JP6515282B2 - 酸性環境用耐食鋼材及び防食方法 - Google Patents

酸性環境用耐食鋼材及び防食方法 Download PDF

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Description

本発明は酸性の腐食環境で使用される酸性環境用耐食鋼材及び防食方法に関する。
石炭焚き火力ボイラーや廃棄物の焼却施設の排煙系統では、燃焼ガス中に含まれる三酸化硫黄や塩化水素に起因して高濃度の硫酸や塩酸が生成する。このような環境では硫酸露点腐食や塩酸露点腐食など、強酸による腐食が問題になる。そして、pHが2未満の強酸による腐食を抑制するために、Cu、Sbなどを添加した耐酸露点腐食性に優れた鋼材が提案されている(例えば、特許文献1、2、参照)。
また、一般に、厳しい腐食環境で使用される鋼材には、種々の腐食因子から遮断するため、表面に塗装が施される。しかし、塗膜の劣化などに伴い、鋼材に達する傷が付くと、防食の効果が失われ、局部的な腐食が急速に進行する。このような、海浜地域や凍結防止剤が散布される地域などで問題となる、塩化物に起因する腐食に対し、Snイオンを供給源とする物質を含有させた塗膜を鋼材表面に形成する方法が提案されている(例えば、特許文献3〜5、参照)。
特開2001−164335号公報 特開2003−213367号公報 特開2006−315238号公報 特開2006−316139号公報 特開2007−230088号公報
従来のCu、Sbなどを添加した耐酸露点腐食性に優れた鋼材(耐酸露点腐食鋼材)は、ボイラーや焼却施設の排ガス煙突では塗装等を施さずに裸材で使用され、特に、pHが2未満の強酸環境で発生する露点腐食に対して優れた耐食性を発揮する。しかし、従来の耐酸露点腐食鋼材は、裸材で使用した場合、pH2以上の酸性環境、特にpH2〜4の弱酸性環境では、露点腐食が支配的ではなくなり、普通鋼やステンレス鋼と比較して、耐食性に大差はない。むしろステンレス鋼の方が耐食性では優位になることがあった。
本発明はこのような実情に鑑み、高濃度の硫酸や塩酸など、pHが2未満の強酸環境だけでなく、pHが2〜4の弱酸性環境においても優れた耐食性を発現し、強酸性環境から弱酸性環境まで幅広い酸性環境下で使用できる酸性環境用耐食鋼材、及び、耐食鋼材に塗装を施す防食方法の提供を課題とするものである。
本発明者らは、上記課題を解決するための検討に際し、塩化物による腐食が問題となる環境では、Snイオンを含む塗装を施した鋼材は、塗装疵部や塗装脆弱部などで地鉄鋼材が露出しても、その近傍での腐食の進行が抑制されることに着目した。そこで、pH2〜4の弱酸性環境における鋼材の耐食性に及ぼす、Cu、Sb、Snなどの合金成分の添加、Snイオンを含む塗装やその他の種々の塗装の影響について検討を行った。その結果、Sn含有層によって被覆された耐食鋼材では、腐食の進行が塗装疵部や塗装脆弱部などに限定されるが、その塗装疵部や脆弱部において鋼中から溶出するCu及びSbと、Sn含有層から溶出するSnイオンとの相乗効果により、酸性環境における耐食性が著しく向上することを見出した。即ち、Cu及びSbを同時に添加した鋼材とSnイオンを含む塗装との組合せにより、pHが2未満の強酸環境ではCuやSbによる耐露点腐食性が発揮され、pH2〜4の弱酸性環境ではSnとCu、Sbの相乗効果による耐食性が発現され、強酸性環境から弱酸性環境でも幅広く使用可能であるという知見を得た。
本発明はこのような知見に基づいてなされたものであり、その要旨は以下のとおりである。
[1] 質量%で、
C:0.001〜0.20%、
Si:0.01〜2.50%、
Mn:0.10〜2.00%、
Cu:0.10〜1.00%、
Sb:0.01〜0.20%
を含有し、
P:0.05%以下、
S:0.05%以下
に制限し、残部がFe及び不可避的不純物からなる鋼材と、
前記鋼材の表面の上、又は、前記鋼材の表面に形成されたさび層の上に、Snイオン供給物質とバインダーとを含有するSn含有層を有し、
前記Snイオン供給物質の量は、前記Sn含有層の全固形分質量に対して金属Sn換算量で1〜54質量%であることを特徴とする酸性環境用耐食鋼材。
[2] 前記鋼材が、更に、質量%で、
Mo:1.00%以下、
W:1.00%以下、
Ni:1.00%以下、
Sn:0.50%以下
の1種又は2種以上を含有することを特徴とする上記[1]に記載の酸性環境用耐食鋼材。
[3] 前記鋼材が、更に、質量%で、
Cr:0.50%以下、
Ti:0.150%以下、
Nb:0.150%以下、
V:0.50%以下、
Ta:0.040%以下、
B:0.010%以下
の1種又は2種以上を含有することを特徴とする上記[1]又は[2]に記載の酸性環境用耐食鋼材。
[4] 前記鋼材が、更に、質量%で、
Al:0.10%以下、
Ca:0.010%以下、
Mg:0.010%以下、
REM:0.010%以下
の1種又は2種以上を含有することを特徴とする上記[1]〜[3]の何れか1項に記載の酸性環境用耐食鋼材。
[5] 前記Sn含有層が、更に、Cu2+イオン、Ni2+イオン、Cr3+イオンの1種又は2種以上を供給する1種以上の金属イオン供給物質を含有し、前記Snイオン供給物質及び前記金属イオン供給物質の量は、前記Sn含有層の全固形分質量に対して金属Sn換算量、金属Cu換算量、金属Ni換算量、金属Cr換算量の合計が65%以下であることを特徴とする上記[1]〜[4]の何れか1項に記載の酸性環境用耐食鋼材。
[6] 前記Sn含有層の上に、更に、厚みが10〜100μmの有機樹脂層を有することを特徴とする上記[1]〜[5]の何れか1項に記載の酸性環境用耐食鋼材。
[7] 前記Sn含有層は5〜50μmの膜厚であることを特徴とする[1]〜[6]の何れか1項に記載の酸性環境用耐食鋼材。
[8] 質量%で、
C:0.001〜0.20%、
Si:0.01〜2.50%、
Mn:0.10〜2.00%、
Cu:0.10〜1.00%、
Sb:0.01〜0.20%
を含有し、
P:0.05%以下、
S:0.05%以下
に制限し、残部がFe及び不可避的不純物からなる鋼材を準備し、
全固形分質量に対して金属Sn換算量で1〜54質量%になるように、Snイオン供給物質をバインダーに混合してSn含有塗料を準備し、前記Sn含有塗料を前記鋼材の表面の上、又は、前記鋼材の表面に形成されたさび層の上に塗布してSn含有層を形成することを特徴とする防食方法。
[9] 前記鋼材が、更に、質量%で、
Mo:1.00%以下、
W:1.00%以下、
Ni:1.00%以下、
Sn:0.50%以下
の1種又は2種以上を含有することを特徴とする上記[8]に記載の防食方法。
[10] 前記鋼材が、更に、質量%で、
Cr:0.50%以下、
Ti:0.150%以下、
Nb:0.150%以下、
V:0.50%以下、
Ta:0.040%以下、
B:0.010%以下
の1種又は2種以上を含有することを特徴とする上記[8]又は[9]に記載の防食方法。
[11] 前記鋼材が、更に、質量%で、
Al:0.10%以下、
Ca:0.010%以下、
Mg:0.010%以下、
REM:0.010%以下
の1種又は2種以上を含有することを特徴とする上記[8]〜[10]の何れか1項に記載の防食方法。
[12] 全固形分質量に対して金属Sn換算量、金属Cu換算量、金属Ni換算量、金属Cr換算量の合計が65%以下になるように金属イオン供給物質をバインダーに混合してSn含有塗料を準備することを特徴とする上記[8]〜[11]の何れか1項に記載の防食方法。
[13] 前記Sn含有層の上に、更に、厚みが10〜100μmの有機樹脂層を形成することを特徴とする上記[8]〜[12]の何れか1項に記載の防食方法。
[14] 前記Sn含有層を5〜50μmの膜厚に形成することを特徴とする上記[8]〜[13]の何れか1項に記載の防食方法。
本発明によれば、高濃度の硫酸や塩酸など、pHが2未満の強酸環境だけでなく、pHが2〜4の弱酸性環境をも含む酸性環境においても優れた耐食性を発現し、塗装疵部や塗装脆弱部における局部的な腐食の進行を抑制する酸性環境用耐食鋼材、及び、耐食鋼材に塗装を施す防食方法を提供することが可能になり、本発明は産業上の貢献が極めて顕著である。
本発明の酸性環境用耐食鋼材は、Cu及びSbを同時に含む鋼板上にSnイオンを含む塗装が施されたことを特徴としており、その耐食性は、従来の耐酸露点腐食鋼材及び従来のSnイオン含有塗料には無いものである。
本発明の酸性環境用耐食鋼材が前述の優れた耐食性を発現する理由について、本発明者らは以下のように推定している。
塗装を施さない裸材の場合、Cu及びSbを同時に添加した耐食鋼材の耐食性は、pHが2未満の強酸環境下では普通鋼に比べて顕著に向上するが、pHが2以上になると普通鋼に比べて顕著に向上するとはいえなくなる。これは、強酸環境下では鋼材の腐食速度が大きく、鋼中に含まれる合金成分の溶出量が多いため、Cu及びSbによる耐食性の向上の効果が顕著に発現されるが、pHが2以上になると鋼材の腐食速度が低下して合金成分の溶出量が減少するためであると考えられる。
一方、塗装を施した鋼材では、塗装疵部や塗装脆弱部(例えば、塗膜が薄いところ)などの限定された部位で局部的に腐食が進行する。即ち、塗装疵部がアノード、塗装部がカソードとなり、腐食の進行に伴って塗膜が剥離して新たなアノードサイトが生じる。このような塗装を施した鋼材の局部的な腐食は、裸材の全面腐食よりも速く進行し、前記塗装疵部や塗装脆弱部において鋼中に含まれる合金成分の溶出量も増加する。そのため、塗膜下の鋼材に耐腐食成分が含有されていれば、当該成分による腐食進行の抑制効果が発現するようになると考えられる。
したがって、塗装を施した鋼材の場合、Cu及びSbの両者を鋼材に含有させることにより、局所的に腐食した前記塗装疵部や塗装脆弱部では合金成分の溶出量が高められて、局所的な腐食の進行に対して溶出した合金成分が有効に作用すると考えられる。そして、ある程度、腐食が進行すると、塗料に含有させたSnイオンの溶出量も増加し、アノードでの鋼材の溶解の抑制に寄与するようになり、前記塗装疵部や塗装脆弱部における耐食性の向上に寄与するのではないかと考えられる。
ただし、Cu、Sb、Snを同時に含有する鋼材にSnイオンを含まない塗膜を形成した場合、本発明の酸性環境用耐食鋼材と同等の効果は得られないことを、本発明者は見出した。また、Cu、Snを同時に含有するがSbを含有しない鋼材にSbイオンを含む塗膜を形成した場合、本発明の酸性環境用耐食鋼材と同等の効果は得られない。そのため、本発明では、Cu及びSbを同時に含む鋼板上にSnイオンを含む塗装を施す必要がある。
以下、本発明について詳細に説明する。
まず、鋼材の成分を限定した理由について説明する。なお、%の表記は特に断りがない場合は質量%を意味する。
(C:0.001〜0.20%)
Cは、強度を向上させる元素であり、0.001%以上を含有させることが必要である。好ましくはC量を0.01%以上とする。一方、C量が0.20%を超えると耐食性が劣化するため、C量を0.20%以下とする。好ましくは、C量を0.10%以下とし、より好ましくは0.05%以下とする。
(Si:0.01〜2.50%)
Siは、脱酸及び強度の向上に寄与する元素であり、0.01%以上を含有させることが必要である。好ましくはSi量を0.05%以上とする。一方、2.50%を超えるSiを含有させると熱延スケールの固着や靱性の低下の原因となるため、Si量を2.50%以下に制限する。好ましくはSi量を1.00%以下、より好ましくは0.50%以下とする。
(Mn:0.10〜2.00%)
Mnは、強度及び靭性を向上させる元素であり、0.10%以上を添加する。好ましくはMn量を0.20%以上とし、より好ましくは0.50%以上とする。一方、2.0%以上のMnを添加すると、粗大なMnSが生成し、耐食性や機械特性が劣化するため、Mn量を2.0%以下とする。好ましくはMn量を1.50%以下とし、より好ましくは1.20%以下とする。
(Cu:0.10〜1.00%)
Cuは、Sbと同時に添加すると、硫酸や塩酸に対する耐食性を顕著に発現する極めて重要な元素である。酸性環境での耐食性を確保するために、Cu量を0.10%以上とすることが必要である。好ましくはCu量を0.20%以上とする。一方、1.00%を超えてCuを添加すると製造性が低下するため、Cu量を1.00%以下とする。好ましくはCu量を0.70%以下、より好ましくは0.40%以下とする。
(Sb:0.01〜0.20%)
Sbは、上述のように、本発明では重要な元素であり、酸性環境での耐食性を確保するため、0.01%以上を添加することが必要である。好ましくはSb量を0.05%以上とし、より好ましくは0.10%以上とする。一方、0.20%を超えるSbを添加すると、熱間加工性や靭性が低下するので、Sb量を0.20%以下とする。好ましくはSb量を0.15%以下とする。
(P:0.05%以下)
Pは、不純物であり、鋼材の機械特性や製造性を低下させるため、P量を0.05%以下に制限する。好ましくはP量を0.020%以下とする。P量の下限は限定せず、0%でもよいが、コストの観点から0.001%以上とすることが好ましい。
(S:0.05%以下)
Sは、不純物であり、熱間加工性や鋼材の機械特性を低下させるため、S量を0.05以下に制限する。一方、Sは、Cu及びSbと同時に含有させると、酸性環境での耐食性を向上させることから、0.001%以上を含有させてもよい。より好ましくはS量を0.005%以上、更に好ましくは0.01%以上とする。
更に、酸性環境での耐食性を向上させるために、Mo、W、Ni、Snの1種又は2種以上を含有させることができる。
(Mo:1.00%以下)
Moは、Cu及びSbと同時に添加することにより、酸性環境での耐食性を向上させる元素である。Mo量は0.01%以上が好ましく、より好ましくは0.10%以上とする。一方、Moは高価な元素であるため、コストの観点からMo量は1.00%以下が好ましく、より好ましくは0.50%以下とする。
(W:1.00%以下)
Wは、酸性環境での耐食性を向上させる元素であり、0.01%以上を含有させてもよい。より好ましくはW量を0.10%以上とする。一方、Wも高価な元素であるため、コストの観点からW量は1.00%以下が好ましく、より好ましくは0.50%以下とする。
(Ni:1.00%以下)
Niは、酸性環境での耐食性を向上させる元素であり、また、本発明の酸性環境用耐食鋼材のようにCuを含有する場合、製造性を高める効果を発現する。好ましくはNi量を0.01%以上とし、より好ましくは0.05%以上、更に好ましくは0.10%以上とする。一方、Niも高価な元素であるため、コストの観点からNi量は1.00%以下が好ましく、より好ましくは0.50%以下とする。
(Sn:0.50%以下)
Snは、Sbに比べて効果は顕著ではないが、酸性環境での耐食性を向上させる元素であり、0.01%以上を含有させてもよい。より好ましくはSn量を0.02%以上、更に好ましくはSn量を0.05%以上とする。一方、Snを過剰に含有させると熱間加工性や靭性が低下するので、Sn量は0.50%以下が好ましい。より好ましくはSn量を0.30%以下とする。
更に、機械特性等を向上させるため、Cr、Ti、V、Nb、Ta、Bの1種又は2種以上を含有させることができる。
(Cr:0.50%以下)
Crは焼入れ性を高めて強度を向上させる元素であり、0.01%以上を含有させてもよい。より好ましくはCr量を0.05%以上とする。また、Crは耐候性を高める元素であるが、酸性環境での耐食性を低下させる場合があり、好ましくはCr量を0.50%以下とする。より好ましくはCr量を0.30%以下、更に好ましくは0.10%以下とする。
(Ti:0.150%以下)
Tiは、窒化物を形成し、結晶粒の微細化や強度の向上に寄与する元素であり、Ti量を0.005%以上とすることが好ましい。より好ましくはTi量を0.010%以上とする。一方、0.150%超のTiを添加すると、機械特性が劣化することがあるため、Ti量の上限は0.150%以下が好ましい。Ti量のより好ましい上限は0.10%以下であり、更に好ましくは0.050%以下とする。
(Nb:0.150%以下)
Nbは、Tiと同様に、窒化物を形成する元素であり、結晶粒の微細化や強度の向上を目的として、0.001%以上を含有させてもよい。より好ましくはNb量を0.005%以上とする。一方、0.150%超のNbを添加すると、機械特性が劣化することがあるため、Nb量の上限は0.150%以下が好ましい。Nb量のより好ましい上限は0.10%以下であり、更に好ましくは0.050%以下とする。
(V:0.50%以下)
Vは、Ti、Nbと同様、窒化物を形成する元素であるが、主に、析出強化による強度の改善のために添加することができる。効果を得るために、V量を0.005%以上とすることが好ましい。より好ましくはV量を0.010%以上とする。一方、0.50%超のVを添加すると、機械特性が劣化することがあるため、V量の上限は0.50%以下が好ましい。V量のより好ましい上限は0.20%以下であり、更に好ましくは0.30%以下とする。
(Ta:0.040%以下)
Taは、強度の向上に寄与する元素であり、0.001%以上を含有させてもよい。また、メカニズムは必ずしも明らかでないが、Taは耐食性の向上にも寄与し、より好ましくはTa量を0.005%以上とする。一方、Taを過剰に含有させるとコストが上昇するため、Ta量は0.040%以下が好ましい。より好ましくはTa量を0.020%以下とする。
(B:0.010%以下)
Bは焼入れ性を高めて強度を向上させる元素であり、0.0001%以上を含有させてもよい。より好ましくはB量を0.0003%以上、更に好ましくは0.0005%以上とする。一方、0.010%超のBを添加すると、機械特性が劣化することがあるため、B量の上限は0.010%以下が好ましい。B量のより好ましい上限は0.005%以下であり、更に好ましくは0.003%以下とする。
更に、脱酸や介在物の制御を目的として、Al、Ca、Mg、REMの1種又は2種以上を含有させることができる
(Al:0.10%以下)
Alは、脱酸剤であり、0.005%以上を含有させることが好ましく、より好ましくはAl量を0.01%以上、更に好ましくは0.02%以上とする。一方、Alを過剰に含有させると、介在物の増加によって延性や熱間加工性を損なうことがあるため、好ましくはAl量を0.10%以下とする。より好ましくはAl量を0.05%以下、更に好ましくは0.03%以下とする。
(Ca:0.010%以下、Mg:0.010%以下、REM:0.010%以下)
Ca、Mg、希土類元素(REM)は、酸化物や硫化物の制御に用いられる元素であり、それぞれ、0.0005%以上を含有させてもよい。Ca、Mg、希土類元素(REM)は、何れも0.010%を超えて添加すると、機械特性が損なわれる場合があるため、上限は0.010%以下が好ましい。より好ましくは、それぞれ、上限を0.005%以下とする。
本発明においては、上記元素以外の残部はFe及び不可避的不純物からなるが、本発明の作用効果を害さない範囲内で他の元素を微量に添加することができる。
本発明の耐食鋼材の形状は特に限定されず、鋼板、鋼帯、形鋼、鋼管、棒鋼、鋼線等であればよい。鋼板、鋼帯、形鋼、鋼管等の鋼材の厚さは特に限定されないが、通常3〜50mmである。好ましい下限は6mm、より好ましくは10mmであり、好ましい上限は40mm、より好ましくは30mmである。
次に、Sn含有層について説明する。上述の成分組成を有する耐食鋼材の表面の上に直接、又は、耐食鋼材の表面に形成されたさび層の上に、Snイオン供給物質とバインダーとを含むSn含有層を形成する。「Snイオン供給物質」とは、酸性溶液に溶解してSn2+イオンとSn4+イオンの一方又は両方を供給することができる物質を意味する。そのようなSnイオン供給物質は、具体的には、2価Sn化合物、4価Sn化合物、更には金属Snを包含する。
Sn含有層によって被覆された耐食鋼材では、腐食の進行が塗装疵部や塗装脆弱部などに限定される。そして、鋼中から溶出するCu及びSbと、Sn含有層から溶出するSnイオンとの相乗効果により、酸性環境における耐食性が著しく向上すると考えられる。
このような効果を発現させるため、Snイオン供給物質の量は、Sn含有層の全固形分質量に対して金属Sn換算量で1質量%以上とすることが必要である。好ましくは2質量%以上とする。一方、Snイオン供給物質の量が、Sn含有層の全固形分質量に対して金属Sn換算量で54質量%を超えると、Snイオン供給物質を固定する接着性を有するバインダーを用いた場合に、相対的にバインダーの量が不足し、Sn含有層の密着性が低下する。そのため、前記Snイオン供給物質の量の上限を54質量%以下とする。好ましくは40質量%以下とする。尚、「全固形分質量」とは、Snイオン供給物質、及び/或いは後述する金属イオン供給物質等をバインダー中に分散させるために用いる溶媒を除く質量、又は、バインダーが熱分解しない温度で乾燥させた後のSn含有層の質量をいう。
Snイオン供給物質がSn化合物である場合の金属Sn換算量は次式に従って算出できる。
(Sn化合物の質量)×[(Sn原子量)/(Sn化合物の分子量)]・・・(式1)
Snイオンの供給物質はSn2+又はSn4+イオンを生ずる、酸可溶性の2価Sn化合物又は4価Sn化合物と、金属Snのうちの少なくとも1種あればよい。好ましくは2価の化合物である。2価の化合物の具体例として、硫酸スズ(II)、酸化スズ(II)、ピロリン酸スズ(II)を挙げることができる。硫酸スズ(II)は中性領域で溶解しがたく、低PH領域になると溶解するので、本発明において使用するのに特に好ましいSnイオン供給源である。
バインダー中には、Snイオン供給源に加えて、Cu2+、Ni2+、Cr3+イオンなど、耐食性を向上させる金属カチオンの供給源となる金属イオン供給物質を共存させることも可能である。この金属イオン供給物質についても、酸可溶性の金属化合物又は金属を使用しても良い。例えば、Cu(NO、CuSO、Ni(NO、NiSO、Cr(NO、Cr(SOなどである。
これら追加の金属イオン供給物質は耐食性を改善するために、1種又は2種以上を使用することができる金属イオン供給物質は、金属換算での総添加量がSn含有層の全固形分に対して1質量%以上となるようにバインダーに添加することが好ましい。上限は20質量%以下が好ましい。また、Snイオン供給物質との合計量は、Sn含有層の全固形分に対して金属換算量で65質量%以下となるようにバインダーに添加することが好ましい。
金属イオン供給物質がM化合物(Mは、Cu、Ni、Crの1種)である場合の金属換算の質量は、Snイオン供給物質がSn化合物である場合の金属Sn換算量と同様、次式に従って算出できる。
(M化合物の質量)×[(M原子量)/(M化合物の分子量)]・・・(式2)
前記バインダーは特に制限されないが、樹脂であることが好ましく、塗料に使用される各種の有機樹脂を使用することができる。バインダーとして使用する樹脂をバインダー樹脂という。具体的にはエポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、アルキド樹脂、フタル酸樹脂、ブチラール樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂等を挙げることができる。これらは溶液又はエマルジョンのいずれの状態であってもよい。バインダーの固形分としての量は、Sn含有層の強度を確保する面から、Sn含有層の全固形分に対して25質量%以上であることが好ましく、より好ましくは30質量%以上である。
Sn含有層の厚みは、塗装疵部や塗装脆弱部などにSnイオンを供給して酸性環境における耐食性を向上させるために、5μm以上とすることが必要である。好ましくは、10μm以上、より好ましくは20μm以上とする。Sn含有層の厚みの上限は、耐食性の観点からは厚いほど好ましいが、塗装の作業性などの観点から、50μm以下とする。
耐久性を向上させるために、Sn含有層の上に、更に、厚みが10μm以上の有機樹脂層を形成してもよい。厚みの上限は、耐久性の観点からは厚いほど好ましいが、塗装の作業性などの観点から、100μm以下が好ましい。上限は、より好ましくは50μm以下とする。
有機樹脂層は特に制限されないが、例えば、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、アルキド樹脂、フタル酸樹脂、ブチラール樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂などの塗料が有機樹脂層の形成に使用できる。また、ベンガラ、二酸化チタン、カーボンブラック、などの着色顔料と、タルク、シリカ、マイカなどの体質顔料とを、それぞれ1種又は2種以上添加することができる。
次に、本発明の酸性環境用耐食鋼材の製造方法について説明する。常法で製造した上述の成分を有する耐食鋼材の表面、又は、耐食鋼材の表面に形成されたさびの上に、Snイオン供給物質とバインダーとを含有するSn含有層を、前記Snイオン供給物質の量が前記Sn含有層の全固形分質量に対して金属Sn換算量で1〜54質量%であるように形成する。そのような形成方法として、Snイオン供給物質とバインダーとを含むSn含有塗料を常法で塗布して乾燥させて、Sn含有層を形成しても良い。
Sn含有層を形成する前の耐食鋼材は、例えば、溶鋼を転炉、電気炉等の公知の方法で溶製し、連続鋳造法、造塊法等の公知の方法でスラブやビレット等の鋼素材とし、熱間圧延を施して製造すればよい。なお、溶鋼に、取鍋精錬や真空脱ガス等の処理を施してもよい。鋳造や造塊後の鋼素材をそのまま熱間圧延してもよい。更に、熱間圧延後、熱処理や冷間加工を施すことができる。
Sn含有層を形成する方法は特に限定されない。例えば、前述したSnイオン供給物質及び金属イオン供給物質とを塗料中に入れ、ディゾルバーやボールミルなどで分散させ、Sn含有塗料を調製し、当該Sn含有塗料を前記鋼材の表面の上、又は、前記鋼材の表面に形成されたさび層の上に塗布し、乾燥することによって、前記Sn含有層を形成しても良い。
或いは、前述したバインダーと、前述したSnイオン供給物質及び金属イオン供給物質とを均一に混合してSn含有塗料を調製し、当該Sn含有塗料を前記鋼材の表面の上、又は、前記鋼材の表面、または表面に形成されたさび層の上に塗布することによって、前記Sn含有層を形成しても良い。前記Sn含有塗料は、前記バインダーと溶媒とを均一に混合、或いは前記バインダーを前記溶媒に溶解して溶液を調製した後、前記Snイオン供給物質及び金属イオン供給物質を前記溶液に均一に分散することによって製造しても良い。尚、前記Sn含有塗料の組成は、前記バインダーの固形分質量、前記Snイオン供給物質及び金属イオン供給物質の固形分質量の合計の質量に対して、前記バインダーの固形分の質量、前記Snイオン供給物質及び金属イオン供給物質の固形分質量が前述した所定の割合になるように調整する必要がある。
Snイオン供給物質とバインダーとを含むSn含有塗料を用いた塗装は、常法に従って行うことができる。例えば、既存の構造物の場合には、エアスプレー、エアレススプレー、刷毛塗り等の方法が適当である。工場内で塗装する場合は、ロールコート、浸漬などの他の方法も採用できる。溶媒は塗装後に自然乾燥により蒸散させることが好ましく、そのような溶媒を使用することが好ましい。塗装は乾燥後に5〜50μmの厚みのSn含有層が形成されるように行う。Sn含有層の上に有機樹脂層を形成する場合も、同様に、常法で行えば良い。
表1に示す成分組成の鋼を溶製し、鋳造し、得られた鋼片を1100℃に加熱し、仕上げ温度を740℃として5mm厚さまで熱間圧延し、室温まで空冷した。得られた鋼板から長さ150mm、幅60mm、厚み4mmの試験片として鋼No.1〜14を採取した。試験片の表面には、Sa2.5(ISO 8501−1)以上になるようにブラスト処理を施した。
Figure 0006515282
ブラスト処理後の試験片には、無塗装またはSnイオンの供給源となる硫酸スズ(II)を含有したエポキシ系樹脂を塗布し、Sn含有層を形成した。一部の試験片には、Snイオンを含有しないエポキシ系樹脂、Snイオン供給源に替えてSbイオン供給源を含むエポキシ系樹脂を塗布し、塗膜を形成した。一部の試験片には、Sn含有層の表層にフロン系樹脂を塗布し、有機樹脂層を形成した。表2に鋼板表面に塗布した塗膜B〜Gの組成を示す。尚、無塗装(ブラスト処理まま)の状態を便宜上「塗膜A」とした。
Figure 0006515282
強酸環境では使用中に塗膜が失われる可能性が高いため、長期間の使用を想定して無塗装で強酸に対する耐食性を評価した。無塗装(A)の試験片の重量を測定した後、試験片全面に、pH0またはpH1に調整した硫酸溶液を霧吹きにて吹き付け、30℃、100%RHに制御した環境下で垂直にて24時間保持する腐食試験を1年間実施した。腐食試験後、クエン酸アンモニウム溶液にてさびを除去した試験片の重量測定を行い、試験前後の重量の差を腐食減耗量として算出した。評価は、合金元素を含有しない普通鋼(表1、No.14)の腐食減耗量を100%とした場合の、各鋼材の減耗量の相対比で行った。腐食減耗量の相対比が小さいほど耐食性は良好であり、30%以上を×、30〜15%を○、15%以下を◎とした。その結果、表3に示すように、Cu及びSbを含有する鋼は、Cu或いはSbの片方のみを含有する鋼に比べて、強酸環境での耐食性が優れていることがわかった。
Figure 0006515282
次に、Sn含有層又はSnイオン供給源を含まない塗膜を形成した試験片には、幅0.6mm、長さ50mmの2本の直線が、互いに試験面の下部で試験片上からみて45°で交わるXカットをカッターで入れ、地鉄面を露出させた。Xカットは、不可避的な欠陥を模擬するものである。これらの試験片を用いて腐食試験を行った。
試験片全面に、pH2に調整した硫酸溶液を霧吹きにて吹き付け、30℃、100%RHに制御した環境下で垂直にて24時間保持する腐食試験を1年間実施した。腐食試験後、スクレーパーにて容易に剥離可能な被膜を除去した後、クエン酸アンモニウム溶液にてさびを除去した。その後、腐食深さを17点計測し、平均腐食深さとした。
合金元素を含有しない普通鋼(表1の鋼No.14)とSnイオン供給源及びSbイオン供給源を含まないエポキシ系樹脂(表2の塗膜F)との組合せの平均腐食深さを100%とした場合の、各種鋼材の平均腐食深さの相対比で評価を行った。平均腐食深さの相対比が小さいほど耐食性は良好であり、30%以上を×、30%〜15%を○、15%以下を◎と評価し、結果を表4−1及び表4−2に示した。
表4−1に示したように、Cu及びSbを含有する鋼No.1〜10にSnイオン供給源を含有する塗膜B〜Eを形成した鋼材の場合は、耐食性が良好である。一方、表4−2に示したように、Snイオン供給源を含有する塗膜B〜EをCu及びSbの少なくともいずれかを含まない鋼No.11〜14に形成した場合、或いはSnイオン供給源を含まない塗膜F及びGを前記鋼No.1〜10に形成した場合は、普通鋼に対する耐食性の優位性が見られない。
このように、本発明の酸性環境用耐食鋼材は、pHが2未満の強酸環境だけでなく、pH2以上の弱酸性環境においても優れた耐食性を発現し、塗装疵部や塗装脆弱部における腐食の進行が抑制される効果を有する。これに対して、前記試験結果が示すように、Cu及びSbを同時に添加した鋼材とSnイオンを含まない塗装との組合せや、Sbを含まない鋼材とSnイオンを含む塗装の組合せの場合、装疵部や塗装脆弱部における腐食の進行を抑制する効果が見られなかった。同様に、Sbを添加せず、Cu及びSnを同時に添加した鋼材に、Sbイオンを含む塗装を施した鋼材も、装疵部や塗装脆弱部における腐食の進行を抑制する効果が見られなかった。
Figure 0006515282
Figure 0006515282
本発明の酸性環境用耐食鋼材及び防食方法によれば、例えば、温泉地帯や酸性雨などによって弱酸性環境に曝される鋼構造物などの耐食性を向上させることが可能になる。また、本発明の酸性環境用耐食鋼材及び防食方法は、酸露点腐食などの強酸環境だけでなく、何らかの要因でpHが変動して弱酸性環境にも曝されるような酸性腐食環境においても、優れた耐食性を発現する可能性がある。したがって、本発明は産業上の貢献が極めて顕著である。

Claims (14)

  1. 質量%で、
    C:0.001〜0.20%、
    Si:0.01〜2.50%、
    Mn:0.10〜2.00%、
    Cu:0.10〜1.00%、
    Sb:0.01〜0.20%
    を含有し、
    P:0.05%以下、
    S:0.05%以下
    に制限し、残部がFe及び不可避的不純物からなる鋼材と、
    前記鋼材の表面の上、又は、前記鋼材の表面に形成されたさび層の上に、Snイオン供給物質とバインダーとを含有するSn含有層とを有し、
    前記Snイオン供給物質の量は、前記Sn含有層の全固形分質量に対して金属Sn換算量で1〜54質量%であることを特徴とする酸性環境用耐食鋼材。
  2. 前記鋼材が、更に、質量%で、
    Mo:1.00%以下、
    W:1.00%以下、
    Ni:1.00%以下、
    Sn:0.50%以下
    の1種又は2種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載の酸性環境用耐食鋼材。
  3. 前記鋼材が、更に、質量%で、
    Cr:0.50%以下、
    Ti:0.150%以下、
    Nb:0.150%以下、
    V:0.50%以下、
    Ta:0.040%以下、
    B :0.010%以下
    の1種又は2種以上を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の酸性環境用耐食鋼材。
  4. 前記鋼材が、更に、質量%で、
    Al:0.10%以下、
    Ca:0.010%以下、
    Mg:0.010%以下、
    REM:0.010%以下
    の1種又は2種以上を含有することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の酸性環境用耐食鋼材。
  5. 前記Sn含有層が、更に、Cu2+イオン、Ni2+イオン、Cr3+イオンの1種又は2種以上を供給する1種以上の酸可溶性の金属イオン供給物質を含有し、
    前記Snイオン供給物質及び前記金属イオン供給物質の量は、前記Sn含有層の全固形分質量に対して金属Sn換算量、金属Cu換算量、金属Ni換算量、金属Cr換算量の合計が65%以下であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の酸性環境用耐食鋼材。
  6. 前記Sn含有層の上に、更に、厚みが10〜100μmの有機樹脂層を有することを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の酸性環境用耐食鋼材。
  7. 前記Sn含有層は、5〜50μmの膜厚であることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の酸性環境用耐食鋼材。
  8. 質量%で、
    C:0.001〜0.20%、
    Si:0.01〜2.50%、
    Mn:0.10〜2.00%、
    Cu:0.10〜1.00%、
    Sb:0.01〜0.20%
    を含有し、
    P:0.05%以下、
    S:0.05%以下
    に制限し、残部がFe及び不可避的不純物からなる鋼材を準備し、
    全固形分質量に対して金属Sn換算量で1〜54質量%になるように、Snイオン供給物質をバインダーに混合してSn含有塗料を準備し、
    前記Sn含有塗料を前記鋼材の表面の上、又は、前記鋼材の表面に形成されたさび層の上に塗布してSn含有層を形成することを特徴とする防食方法。
  9. 前記鋼材が、更に、質量%で、
    Mo:1.00%以下、
    W:1.00%以下、
    Ni:1.00%以下、
    Sn:0.50%以下
    の1種又は2種以上を含有することを特徴とする請求項8に記載の防食方法。
  10. 前記鋼材が、更に、質量%で、
    Cr:0.50%以下、
    Ti:0.150%以下、
    Nb:0.150%以下、
    V:0.50%以下、
    Ta:0.040%以下、
    B :0.010%以下
    の1種又は2種以上を含有することを特徴とする請求項8又は9に記載の防食方法。
  11. 前記鋼材が、更に、質量%で、
    Al:0.10%以下、
    Ca:0.010%以下、
    Mg:0.010%以下、
    REM:0.010%以下
    の1種又は2種以上を含有することを特徴とする請求項8〜10の何れか1項に記載の防食方法。
  12. 全固形分質量に対して金属Sn換算量、金属Cu換算量、金属Ni換算量、金属Cr換算量の合計が65%以下になるように金属イオン供給物質をバインダーに混合してSn含有塗料を準備することを特徴とする請求項8〜11の何れか1項に記載の防食方法。
  13. 前記Sn含有層の上に、更に、厚みが10〜100μmの有機樹脂層を形成することを特徴とする請求項8〜12の何れか1項に記載の防食方法。
  14. 前記Sn含有層を5〜50μmの膜厚に形成することを特徴とする請求項8〜13の何れか1項に記載の防食方法。
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