JP6513163B2 - 吸収性物品 - Google Patents

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Description

本発明は、吸収性物品に関する。より具体的には、使い捨ておむつに関する。
特許文献1に記載された使い捨ておむつは、中央吸収体と、一対のサイド吸収体との間にそれぞれ切離部を有しており、切離部はそれぞれ中央吸収体の少なくとも長手方向(製品長方向)中央部の両端部に設けられ、かつ長手方向他方部(後ろ身頃部)の両端部に開放されており、このサイド吸収体は、少なくとも股下部(製品中央部付近)に配されている。この従来例は、切離部(スリット)があることで、おむつ着用状態で股下部がだぶつかず、おむつの外観がすっきりしていて、股間部でのフィット性、防漏性が優れており、またおむつの製造現場においての生産安定性(連続生産性)にも優れている。
特開2006−141761号公報
吸収体に切離部を設けたおむつでは、おむつを装着するときに、変形の自由度が高すぎるため、意図しない変形を吸収体がしてしまい、お尻の間におむつが入り込む等のトラブルがあった。また、長時間の使用(夜間・外出時等)または動きの激しい乳幼児・幼児への装着時には、吸収前または吸収後の吸収体に負荷がかかり、吸収体の形状が崩れてしまうことがあった。さらには、この崩れを抑制するため、過度に吸収体をプレス等し、密度を高くしすぎると、おむつとしてのやわらかさを維持できないという問題があった。
本発明は、吸収体部分が狙いとする形状へと変形しやすく、使用時の吸収体の形状が崩れてしまうことも防ぐことができる吸収性物品を提供することを課題とする。
本発明者らは、吸収性物品の吸収体に、低目付けでかつ高吸収性ポリマー含有率が低い折り曲げ誘導帯域を設け、さらに折り曲げ誘導帯域内に高密度の圧搾条溝を設け、折り曲げ誘導帯域を吸収体側縁付近まで存在せしめることにより、上記従来例の問題点を解決できることを見いだし、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、液透過性のトップシート、液不透過性のバックシート、それらの間に介在する吸収体、防漏壁を形成する左右一対のサイドシート、および外装シートを有する吸収性物品であって、
吸収体は親水性繊維と高吸収性ポリマーを含み、
サイドシートは前端領域と中央領域と後端領域からなり、サイドシートの幅方向外側領域はトップシート、バックシートおよび外装シートの少なくとも1つと接合し、サイドシートの前端領域および後端領域の幅方向内側縁部においてサイドシートはトップシートと接合し、サイドシートの中央領域の幅方向内側縁は自由端となっており、自由端には弾性部材が取り付けられ、そしてサイドシートの中央領域は防漏壁として機能し、
吸収体は前領域と股領域と後領域からなり、吸収体には股領域中心から前方および後方に向って延びる左右一対の折り曲げ誘導帯域が設けられ、右の折り曲げ誘導帯域と左の折り曲げ誘導帯域の間の幅方向の距離は、股領域中心に比べ、折り曲げ誘導帯域の前端および後端において広く、折り曲げ誘導帯域の前端および後端は、サイドシートの前端領域および後端領域の幅方向内側縁部におけるサイドシートとトップシートとの接合領域の幅方向内側位置よりも、幅方向外側に位置しており、折り曲げ誘導帯域は親水性繊維および高吸収性ポリマーを含むが、吸収体の他の部位に比べ目付けが低くかつ高吸収性ポリマーの含有率が低く、
各折り曲げ誘導帯域内には圧搾条溝が設けられ、圧搾条溝は吸収体の他の部位に比べ密度が高いことを特徴とする。
本発明は、次の実施態様を含む。
[1]液透過性のトップシート、液不透過性のバックシート、それらの間に介在する吸収体、防漏壁を形成する左右一対のサイドシート、および外装シートを有する吸収性物品であって、
吸収体は親水性繊維と高吸収性ポリマーを含み、
サイドシートは前端領域と中央領域と後端領域からなり、サイドシートの幅方向外側領域はトップシート、バックシートおよび外装シートの少なくとも1つと接合し、サイドシートの前端領域および後端領域の幅方向内側縁部においてサイドシートはトップシートと接合し、サイドシートの中央領域の幅方向内側縁は自由端となっており、自由端には弾性部材が取り付けられ、そしてサイドシートの中央領域は防漏壁として機能し、
吸収体は前領域と股領域と後領域からなり、吸収体には股領域中心から前方および後方に向って延びる左右一対の折り曲げ誘導帯域が設けられ、右の折り曲げ誘導帯域と左の折り曲げ誘導帯域の間の幅方向の距離は、股領域中心に比べ、折り曲げ誘導帯域の前端および後端において広く、折り曲げ誘導帯域の前端および後端は、サイドシートの前端領域および後端領域の幅方向内側縁部におけるサイドシートとトップシートとの接合領域の幅方向内側位置よりも、幅方向外側に位置しており、折り曲げ誘導帯域は親水性繊維および高吸収性ポリマーを含むが、吸収体の他の部位に比べ目付けが低くかつ高吸収性ポリマーの含有率が低く、
各折り曲げ誘導帯域内には圧搾条溝が設けられ、圧搾条溝は吸収体の他の部位に比べ密度が高いことを特徴とする吸収性物品。
[2]折り曲げ誘導帯域の前端および後端が吸収体の側縁に位置していることを特徴とする[1]に記載の吸収性物品。
[3]折り曲げ誘導帯域は、吸収体の幅方向中央に向かって凸の曲線状または折れ線状の形状を有することを特徴とする[1]または[2]に記載の吸収性物品。
[4]折り曲げ誘導帯域は、吸収体の幅方向中央に向かって凸の弧状の形状を有することを特徴とする[3]に記載の吸収性物品。
[5]吸収体の目付けが、折り曲げ誘導帯域より幅方向内側の領域に比べ、折り曲げ誘導帯域より幅方向外側の領域において低いことを特徴とする[1]〜[4]のいずれか1つに記載の吸収性物品。
[6]圧搾条溝はトップシートを介して吸収体を加圧エンボスすることにより形成されていることを特徴とする[1]〜[5]のいずれか1つに記載の吸収性物品。
[7]吸収体とトップシートの間および吸収体とバックシートの間に吸収体ラップシートが介在し、圧搾条溝は、トップシートおよび吸収体ラップシートを介してまたは吸収体ラップシートを介して、吸収体を加圧エンボスすることにより形成されていることを特徴とする[1]〜[5]のいずれか1つに記載の吸収性物品。
[8]折り曲げ誘導帯域における吸収体の目付けが、折り曲げ誘導帯域より幅方向内側の領域における吸収体の目付けの35〜65質量%であることを特徴とする[1]〜[7]のいずれか1つに記載の吸収性物品。
[9]折り曲げ誘導帯域における親水性繊維の目付けが、折り曲げ誘導帯域より幅方向内側の領域における親水性繊維の目付けの45〜80質量%であり、折り曲げ誘導帯域における高吸収性ポリマーの目付けが、折り曲げ誘導帯域より幅方向内側の領域における高吸収性ポリマーの目付けの25〜50質量%であることを特徴とする[1]〜[8]のいずれか1つに記載の吸収性物品。
[10]折り曲げ誘導帯域より幅方向外側の領域における吸収体の目付けが、折り曲げ誘導帯域より幅方向内側の領域における吸収体の目付けの50〜80質量%であることを特徴とする[1]〜[9]のいずれか1つに記載の吸収性物品。
本発明の吸収性物品は、吸収体部分が狙いとする形状へと変形しやすく、使用時の吸収体の形状が崩れてしまうことも防ぐことができ、かつ漏れを発生しにくい。
図1は、本発明の吸収性物品の1つの実施形態の平面図である。 図2は、図1のI−I線における断面図である。 図3は、別の実施形態の折り曲げ誘導帯域の形状を示す。 図4は、吸収体製造装置の一例を示す図である。 図5は、第1積層ドラムの積層部断面の一例を示す図である。 図6は、第1積層ドラムの積層部断面の別の例を示す図である。 図7は、第2積層ドラムの積層部断面の一例を示す図である。 図8は、加圧エンボスロールのエンボス形状の一例を示す図である。
以下、本発明を図面を参照しながら説明するが、本発明は図面のものに限定されない。
図1は、本発明の吸収性物品の1つの実施形態の平面図である。本発明の吸収性物品としては、特に限定するものではないが、使い捨ておむつ、トレーニングパンツ、失禁パッド等が挙げられる。図1の吸収性物品は使い捨ておむつの例である。
図2は、図1のI−I線における断面図である。
本発明の吸収性物品1は、液透過性のトップシート2、液不透過性のバックシート3、それらの間に介在する吸収体4、防漏壁を形成する左右一対のサイドシート5,5、および外装シート6を有する。
吸収体4は親水性繊維と高吸収性ポリマーを含む。
サイドシート5は前端領域5Fと中央領域5Cと後端領域5Rからなり、サイドシートの幅方向外側領域5Oはトップシート2、バックシート3および外装シート6の少なくとも1つと接合し、サイドシートの前端領域および後端領域の幅方向内側縁部においてサイドシート5はトップシート2と接合し、サイドシートの中央領域の幅方向内側縁5Ciは自由端となっており、自由端には弾性部材7が取り付けられ、そしてサイドシートの中央領域は防漏壁として機能する。
吸収体4は前領域4Fと股領域4Cと後領域4Rからなり、吸収体4には股領域中心から前方および後方に向って延びる左右一対の折り曲げ誘導帯域8,8が設けられ、右の折り曲げ誘導帯域と左の折り曲げ誘導帯域の間の幅方向の距離は、股領域中心に比べ、折り曲げ誘導帯域の前端8fおよび後端8rにおいて広く、折り曲げ誘導帯域の前端8fおよび後端8rは、サイドシートの前端領域および後端領域の幅方向内側縁部におけるサイドシートとトップシートとの接合領域9の幅方向内側位置9iよりも、幅方向外側に位置しており、折り曲げ誘導帯域8は親水性繊維および高吸収性ポリマーを含むが、吸収体の他の部位に比べ目付けが低くかつ高吸収性ポリマーの含有率が低い。
各折り曲げ誘導帯域8内には圧搾条溝10が設けられ、圧搾条溝10は吸収体の他の部位に比べ密度が高い。
折り曲げ誘導帯域8は、親水性繊維および高吸収性ポリマーを含むが、吸収体の他の部位に比べ目付けが低い領域であり、帯状の細長い形状を有し、吸収体側縁または吸収体側縁近傍に始点および終点を有し、幅方向内側に向かって凸の曲線状または折れ線状の形状を有する。好ましくは、図1に示すように、吸収体側縁に始点および終点を有し、幅方向内側に向かって凸の弧状の形状を有する。ただし、折り曲げ誘導帯域8の形状は、最終的に吸収体の内側から外側である吸収体の側縁に向かった形状であれば、例えば直線状の形状であっても、あるいは途中で部分的に内側に向かった形状などであっても構わない。ここで、幅方向とは左右方向と同じである。また、折り曲げ誘導帯域8の始点および終点は、折り曲げ誘導帯域の前端8fおよび後端8rと同じである。
右の折り曲げ誘導帯域と左の折り曲げ誘導帯域の間の幅方向の距離は、好ましくは、股領域中心において最も狭く、折り曲げ誘導帯域の前端8fおよび後端8rにおいて最も広い。
ここで、吸収体の股領域4Cとは、吸収性物品を装着したときに股に当接する領域をいう。吸収体の前領域4Fとは、股領域4Cより前(腹側)の吸収体の領域をいう。吸収体の後領域4Rとは、股領域4Cより後(背側)の吸収体の領域をいう。吸収体の股領域中心とは、股領域4Cの前後方向のほぼ中心をいう。逆に言えば、右の折り曲げ誘導帯域と左の折り曲げ誘導帯域の間の幅方向の距離が最も狭い位置が吸収体の股領域中心である。
右の折り曲げ誘導帯域と左の折り曲げ誘導帯域の間の幅方向の距離は、特に限定するものではないが、最も狭いところで、たとえば20〜90mmであり、好ましくは25〜75mmであり、より好ましくは35〜60mmであり、最も広いところでは、好ましくは、吸収体の幅とほぼ一致する。
折り曲げ誘導帯域の幅は、限定するものではないが、たとえば3〜30mmであり、好ましくは5〜25mmであり、より好ましくは7〜20mmである。折り曲げ誘導帯域の幅が狭すぎると、折り曲げ誘導帯域と加圧エンボスの同期位置ズレが発生する可能性が高くなり、逆に、広すぎると、同期位置ズレの可能性は低下するものの、親水性繊維および高吸収性ポリマーの含有率が低くなる領域が増え、吸収体の保水性能が低下する可能性が生じる。
折り曲げ誘導帯域の前端と後端の直線距離は、限定するものではないが、たとえば50〜400mmであり、好ましくは100〜350mmであり、より好ましくは150〜300mmである。折り曲げ誘導帯域の前端と後端の直線距離が短すぎると、おむつ着用状態で股下部が窮屈になる恐れがあり、逆に、長すぎると、おむつ着用状態で股下部がだぶつく恐れがある。
折り曲げ誘導帯域の前端8fおよび後端8rは、サイドシートの前端領域および後端領域の幅方向内側縁部におけるサイドシート5とトップシート2との接合領域9の幅方向内側位置9iよりも、幅方向外側に位置している。好ましくは、図1に示すように、折り曲げ誘導帯域の前端8fおよび後端8rは吸収体の側縁4r,4lに位置している、すなわち折り曲げ誘導帯域は吸収体の側縁4r,4lにまで達している。
図3は、別の実施形態の折り曲げ誘導帯域の形状を示す。図3は、一部の部材の図示を省略してある。図3の折り曲げ誘導帯域8は、折り曲げ誘導帯域の前端8fおよび後端8rが、サイドシートの前端領域5Fおよび後端領域5Rの幅方向内側縁部におけるサイドシートとトップシートとの接合領域9の幅方向内側位置9iよりも、幅方向外側に位置しているが、吸収体の側縁4r,4lまでは達していない。
折り曲げ誘導帯域の前端8fおよび後端8rが、サイドシートの前端領域および後端領域の幅方向内側縁部におけるサイドシート5とトップシート2との接合領域9の幅方向内側位置9iよりも、幅方向外側に位置していることにより、防漏壁の前端および後端の近傍において吸収体が幅方向内側へ折り込まれるのを防ぎ(すなわち股部におけるフィット性に優れ)、防漏壁を乗り越えての漏れを防止することができる。
サイドシートの前端領域および後端領域の幅方向内側縁部においてサイドシート5とトップシート2は接合し、接合領域9を形成している。
ここで、サイドシート5は、前後方向すなわち長さ方向に、前端領域5Fと中央領域5Cと後端領域5Rに分けられ、中央領域5Cとは自由端すなわち防漏壁が存在する領域であり、前端領域5Fとは自由端が存在しない領域であって中央領域よりも前にある領域であり、後端領域5Rとは自由端が存在しない領域であって中央領域よりも後にある領域である。前端領域5Fの前後方向寸法は、たとえば10〜100mmであり、好ましくは20〜85mmであり、より好ましくは30〜70mmである。後端領域5Rの前後方向寸法は、たとえば10〜100mmであり、好ましくは20〜90mmであり、より好ましくは30〜80mmである。
サイドシートの前端領域の幅方向内側縁部とは、サイドシートの前端領域の幅方向内側縁の近傍の領域をいい、たとえば、幅方向内側縁から10mm以内の領域をいう。サイドシートの後端領域の幅方向内側縁部とは、サイドシートの後端領域の幅方向内側縁の近傍の領域をいい、たとえば、幅方向内側縁から10mm以内の領域をいう。
サイドシート5とトップシート2の接合部9は、サイドシートの前端領域および後端領域の幅方向内側縁部に存在する。接合部9は、サイドシートの前端領域および後端領域の幅方向内側縁の近傍の領域に存在すればよく、必ずしも幅方向内側縁まで存在する必要はなく、たとえば幅方向内側縁から2mm以内、好ましくは1mm以内は接合していなくてもよい。サイドシートの前端領域5Fにおける接合部9の前後方向寸法は、限定するものではないが、たとえば10〜100mmであり、好ましくは20〜85mmであり、より好ましくは30〜70mmである。サイドシートの後端領域5Rにおける接合部9の前後方向寸法は、限定するものではないが、たとえば10〜100mmであり、好ましくは20〜90mmであり、より好ましくは30〜80mmである。接合部9の幅方向寸法は、限定するものではないが、たとえば1〜20mmであり、好ましくは1.5〜15mmであり、より好ましくは2〜10mmである。サイドシートの前端領域5Fにおける接合部9の幅方向寸法とサイドシートの後端領域5Rにおける接合部9の幅方向寸法とは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
サイドシート5とトップシート2との接合領域9の幅方向内側位置9iは、サイドシートの幅方向内側縁からの距離が、サイドシートの前端領域と後端領域で同じであることが好ましいが、異なっていてもよい。前端領域と後端領域で、幅方向内側位置9iのサイドシートの幅方向内側縁からの距離が異なる場合は、折り曲げ誘導帯域の前端8fが、サイドシートの前端領域5Fの幅方向内側縁部におけるサイドシート5とトップシート2との接合領域9の幅方向内側位置9iよりも、幅方向外側に位置しており、そして折り曲げ誘導帯域の後端8rが、サイドシートの後端領域5Rの幅方向内側縁部におけるサイドシート5とトップシート2との接合領域9の幅方向内側位置9iよりも、幅方向外側に位置しているものとする。
サイドシートの中央領域の幅方向内側縁5Ciは自由端となっている。自由端には弾性部材7が取り付けられている。図1には、弾性部材7が1本取り付けられた態様が示されているが、弾性部材は複数本取り付けられていてもよい。サイドシートの中央領域の幅方向内側縁5Ciが自由端となっており、かつ自由端に弾性部材7が取り付けられていることによって、サイドシートの中央領域は防漏壁として機能する。
折り曲げ誘導帯域8は親水性繊維および高吸収性ポリマーを含むが、吸収体の他の部位に比べ目付けが低くかつ高吸収性ポリマーの含有率が低い。折り曲げ誘導帯域8の目付けが吸収体の他の部位に比べ低いことにより、吸収性物品を装着したときに、吸収体は折り曲げ誘導帯域において折り曲がりやすくなり、その結果、都合の悪い場所での折り曲がりを防止することができ、吸収体が意図しない変形をするのを防止することができる。折り曲げ誘導帯域内には加圧エンボスによる圧搾条溝が設けられているが、加圧エンボスされる箇所に高吸収性ポリマーが多く存在すると、加圧エンボスにより高吸収性ポリマー粒子が高密度化されることで、折り曲げ誘導帯域の吸収体が硬化し、高吸収性ポリマー粒子の粒感が着用者側表面および着側表面にて異物感として発生し、他の箇所と比較して、吸収体として肌への負担を引き起こす可能性が高くなる虞があるが、高吸収性ポリマーの含有率を低くすることにより、これらの問題を解消することができる。すなわち、高吸収性ポリマーの含有率の低い折り曲げ誘導帯域内に圧搾条溝が設けたことにより、吸収体の柔らかさを維持することができる。
折り曲げ誘導帯域以外の領域の吸収体の目付けは均一であってもよいが、折り曲げ誘導帯域より幅方向内側の領域と折り曲げ誘導帯域より幅方向外側の領域で目付けが異なっていてもよい。好ましくは、吸収体の目付けが、折り曲げ誘導帯域より幅方向内側の領域に比べ、折り曲げ誘導帯域より幅方向外側の領域において低い。折り曲げ誘導帯域より幅方向外側の領域における吸収体の目付けは、好ましくは、折り曲げ誘導帯域より幅方向内側の領域における吸収体の目付けの50〜80質量%である。吸収体の目付けが、折り曲げ誘導帯域より幅方向内側の領域に比べ、折り曲げ誘導帯域より幅方向外側の領域において低いことにより、おむつ着用状態で股下部がだぶつかず、外観がすっきりしていて、股間部でのフィット性が向上する。
ここで、折り曲げ誘導帯域より幅方向内側の領域とは、右の折り曲げ誘導帯域の左側縁と、左の折り曲げ誘導帯域の右側縁と、右の折り曲げ誘導帯域の前端と左の折り曲げ誘導帯域の前端を結ぶ直線と、右の折り曲げ誘導帯域の後端と左の折り曲げ誘導帯域の後端を結ぶ直線とによって囲まれる領域をいう。
折り曲げ誘導帯域より幅方向外側の領域とは、右の折り曲げ誘導帯域の右側縁と、吸収体の右側縁と、右の折り曲げ誘導帯域の前端と左の折り曲げ誘導帯域の前端を結ぶ線分を右に延長した直線と、右の折り曲げ誘導帯域の後端と左の折り曲げ誘導帯域の後端を結ぶ線分を右に延長した直線とによって囲まれる領域、および左の折り曲げ誘導帯域の左側縁と、吸収体の左側縁と、右の折り曲げ誘導帯域の前端と左の折り曲げ誘導帯域の前端を結ぶ線分を左に延長した直線と、右の折り曲げ誘導帯域の後端と左の折り曲げ誘導帯域の後端を結ぶ線分を左に延長した直線とによって囲まれる領域をいう。
以下、折り曲げ誘導帯域より幅方向内側の領域を「股繰り内側部」ともいい、折り曲げ誘導帯域より幅方向外側の領域を「股繰り外側部」ともいう。
また、折り曲げ誘導帯域を「低目付け領域」ともいい、折り曲げ誘導帯域以外の領域を「高目付け領域」ともいう。なお、吸収体の目付けが、折り曲げ誘導帯域より幅方向内側の領域に比べ、折り曲げ誘導帯域より幅方向外側の領域において低い場合は、折り曲げ誘導帯域を「低目付け領域」ともいい、折り曲げ誘導帯域より幅方向外側の領域を「中目付け領域」ともいい、折り曲げ誘導帯域より幅方向外側の領域と折り曲げ誘導帯域とを除いた残りの吸収体の領域を「高目付け領域」ともいう。
折り曲げ誘導帯域より幅方向内側の領域における吸収体の目付けは、限定するものではないが、好ましくは100〜1000g/mであり、より好ましくは200〜900g/mであり、さらに好ましくは300〜800g/mである。折り曲げ誘導帯域より幅方向内側の領域における吸収体の目付けが低すぎると、吸収体としての保水性能を保持出来なくなる(モレにつながる)恐れがあり、逆に、高すぎると、股間部がだぶつき、外観がすっきりせず、股間部でのフィット性が低下する恐れがある。
折り曲げ誘導帯域より幅方向内側の領域における高吸収性ポリマーの含有率は、限定するものではないが、好ましくは10〜80質量%であり、より好ましくは20〜70質量%であり、さらに好ましくは30〜60質量%である。折り曲げ誘導帯域より幅方向内側の領域における高吸収性ポリマーの含有率が低すぎると、吸収体としての保水性能を保持出来なくなる(モレにつながる)恐れがあるり、逆に、高すぎると、吸収体が硬化し、高吸収性ポリマー粒子の粒感による異物感が発生し、且つ尿吸収時に膨潤することで吸収体のゴワつきが発生する恐れがある。
折り曲げ誘導帯域における吸収体の目付けは、好ましくは、折り曲げ誘導帯域より幅方向内側の領域における吸収体の目付けの35〜65質量%である。折り曲げ誘導帯域における吸収体の目付けが低すぎると、(その部位をきっかけに)吸収体の型崩れが生じる恐れがあり、且つ尿などの体液が過度に侵入した場合、体液を吸収、保持する能力が低下し、体液モレを引き起こす可能性が高くなる。逆に、高すぎると、加圧エンボスにより吸収体が硬化され(高吸収性ポリマー粒子の粒感による異物感が発生)、他の箇所と比較して、吸収体として肌への負担を引き起こす可能性が高くなる。
折り曲げ誘導帯域における親水性繊維の目付けは、好ましくは、折り曲げ誘導帯域より幅方向内側の領域における親水性繊維の目付けの45〜80質量%である。折り曲げ誘導帯域における親水性繊維の目付けが低すぎると、尿などの体液を素早く吸収体へ吸収する能力(初期吸水能力)が低下し、体液モレを引き起こす可能性が高くなる。逆に、高すぎると、(親水性繊維の厚みにより)加圧エンボスによる、折り曲げ誘導帯域の形成が不十分となり、吸収体内側への折込み制御能が低下する恐れがある。
折り曲げ誘導帯域における高吸収性ポリマーの目付けは、好ましくは、折り曲げ誘導帯域より幅方向内側の領域における高吸収性ポリマーの目付けの25〜50質量%である。折り曲げ誘導帯域における高吸収性ポリマーの目付けが低すぎると、尿などの体液を吸収、保持する能力が低下し、体液モレを引き起こす可能性が高くなる。逆に、高すぎると、加圧エンボスにより吸収体が硬化され(高吸収性ポリマー粒子の粒感による異物感が発生)、他の箇所と比較して、吸収体として肌への負担を引き起こす可能性が高くなる。
折り曲げ誘導帯域における高吸収性ポリマーの含有率は、好ましくは10〜80質量%であり、より好ましくは15〜70質量%であり、さらに好ましくは20〜60質量%である。折り曲げ誘導帯域における高吸収性ポリマーの含有率が低すぎると、尿などの体液を吸収、保持する能力が低下し、体液モレを引き起こす可能性が高くなる。逆に、高すぎると、加圧エンボスにより吸収体が硬化され(高吸収性ポリマー粒子の粒感による異物感が発生)、他の箇所と比較して、吸収体として肌への負担を引き起こす可能性が高くなる。
なお、高吸収性ポリマー(以下「SAP」ともいう。)の含有率は、次のように測定する。
[SAP含有率測定法(トルエン浸漬法)]
<準備物>
・吸収体
・打抜き型(金属刃の付いた打ち抜き型)
・250メッシュナイロンネット(NBC工業製 N−NO.250HD)(200×200mmの袋状にシールしておく。)
・トルエン
・アルミトレイ
・ピンセット
・濾紙(アドバンテックNo.2,100mm×100mm)
・3.5kg/100cmの重り
・電子天秤
・ヒートシーラー
・ビーカー(1000mL)
・遠心分離機(国産遠心(株)分離機,型HI30,回転数850rpm=150G)
<評価フロー>
(以下、ドラフト外での作業)
(1)パルプ、SAP積層後、ホットメルト接着剤を塗布したティッシュを重ね合わせ、ティッシュで挟み込まれた吸収体を準備する。
(2)金属刃のついた、打抜き型(面積2.785cm)にて、各サンプル、部位毎の打抜きを行い、約1gを採取する。
※部位:股繰り内側部、股繰り外側部、折り曲げ誘導帯域の3箇所。
各サンプルを入れるメッシュの乾燥重量を測定しておく。
(以下、ドラフト内での作業)
(3)アルミトレイにトルエンを入れ、打抜いたサンプルをトルエンに漬けてすすいだ後、別のトレイに移し、ピンセットで上下のティッシュを剥がす。
(4)その状態で軽く液切りした後、ナイロンネットに入れ、濾紙を上下に各20枚挟んで、重りで荷重を掛ける(1分)。
※ナイロンネットは予め乾燥重量を測定しておく(重量A)。
(5)トルエンがある程度除去されたのを確認した後、ナイロンネット内の吸収体を薬さじで攪拌させる(砕く)。
(6)ドラフト内で乾燥させる(ドラフト内に洗濯ばさみなどを用意して吊るして乾燥させてもよい)(5時間)。
(7)トルエンが揮発したのを確認した後、吸収体の入ったネットを取り出す(乾燥状況により時間は適宜調整する)。
(以下、ドラフト外での作業)
(8)ナイロンネットの残り一辺にシールを行い、吸収体を封入状態にして乾燥重量を測定する(重量B)。
(8−1)吸水倍率の測定
(8−1−1)ビーカーにイオン交換水を1000mL入れる。
(8−1−2)準備しておいた封入状態の袋を(8−1−1)のビーカーの底に触れる様に浸漬させる。
(8−1−3)袋の上部の一辺を洗濯ばさみでビーカーの端に固定する。
(8−1−4)1時間放置する。
(8−1−5)放置後袋を引き上げ、袋の短辺の中央(上端より5mm、両端より50mm)を洗濯ばさみで挟み、15分間水切りを行う。
(8−1−6)重量を測定する(重量C)。
(8−2)保水倍率の測定
(8−2−1)(8−1−6)を遠心分離機で脱水する。条件:850rpm(150G)、時間:850rpm一定後90秒。
(8−2−2)脱水後の重量を測定する(重量D)。
(8−3)吸水倍率および保水倍率を次の算式により計算する。
吸水倍率=(重量C−重量A)/(重量B−重量A)
保水倍率=(重量D−重量A)/(重量B−重量A)
※吸水倍率、保水倍率ともにナイロンネットの吸水倍率、保水倍率は無視する。
(9)SAP比率算出のための検量線作成
以下の3種類の試料を用意し、上記(1)〜(8)と同様に、吸水倍率および保水倍率を算出する。
・パルプ:1g(SAP比率0%)
・パルプ:0.5g、SAP:0.5g(SAP比率50%)
・SAP:1g(SAP比率100%)
(10)上記(9)の測定結果より、検量線(保水倍率当たりのSAP含有率)を作成する。
※3点を近似値とする直線より、保水倍率からSAP含有率を同定することができる。
(11)上記(10)で作成した検量線に上記(8)で測定した、各吸収体の部位毎の保水倍率を代入し、各吸収体部位毎のSAP含有率を算出する。
※上記(8)同様、上記(9)で算出した吸水倍率、保水倍率ともにナイロンネットの吸水倍率、保水倍率は無視しているため、SAP含有率の値への影響は無いものと考えてよい。
折り曲げ誘導帯域8内には圧搾条溝10が設けられている。ここで、圧搾条溝とは、圧縮することによって形成された帯状の溝をいう。圧搾条溝10を設けたことにより、吸収性物品を装着したときに、吸収体は圧搾条溝が設けられた箇所で折り曲がりやすくなり、その結果、都合の悪い場所での折り曲がりを防止することができ、吸収体が意図しない変形をするのを防止することができる。この効果は、折り曲げ誘導帯域の目付けが低いことによっても奏されるものであるが、圧搾条溝を設けることにより、吸収体の意図しない変形をさらに効果的に防止することができる。また、圧搾条溝は、吸収体の型崩れの防止にも寄与する。
圧搾条溝は吸収体の他の部位に比べ密度が高い。ここで、密度とは、単位体積当たりの質量をいう。密度(g/cm)は、試料の面積(cm)、厚さ(cm)および質量(g)を測定し、質量(g)を面積(cm)と厚さ(cm)の積で割って求める。吸収体の他の部位の密度は、限定するものではないが、好ましくは0.01〜0.5g/cmであり、より好ましくは0.03〜0.4g/cmであり、さらに好ましくは0.05〜0.3g/cmである。吸収体の他の部位の密度が低すぎると、吸収体全体がだぶつき、外観がすっきりせず、特に股間部でのフィット性が低下する恐れがある。逆に、高すぎると、吸収体全体が硬化し、肌への負担を引き起こす恐れがある。
圧搾条溝は、折り曲げ誘導帯域内に設けられている限り、折り曲げ誘導帯域内のどこにあってもよいが、好ましくは、圧搾条溝は折り曲げ誘導帯域の幅方向ほぼ中央に設けられる。
圧搾条溝の幅は、折り曲げ誘導帯域の幅より小さい限り、限定するものではないが、好ましくは0.5〜20mmであり、より好ましくは1〜10mmであり、さらに好ましくは1.5〜5mmである。圧搾条溝の幅が狭すぎると、加圧エンボスによる接合強度が低下し、接合されたトップシートと吸収体が剥がれる可能性があり、また(圧縮条溝を基点とする)折り曲げ誘導自体が不可能になる可能性がある。逆に、広すぎると、折り曲げ誘導帯域が親水性繊維および高吸収性ポリマーの含有率が低く抑えられているとはいえ、加圧エンボスの剛性により肌への負担が生じる恐れがある。
圧搾条溝の前端と後端の直線距離は、折り曲げ誘導帯域の前端と後端の直線距離と同じかそれよりも短い限り、限定するものではないが、好ましくは50〜400mmであり、より好ましくは100〜350mmであり、さらに好ましくは150〜300mmである。圧搾条溝の前端と後端の直線距離が短すぎると、おむつ着用状態で股下部が窮屈になる恐れがある。逆に、長すぎると、おむつ着用状態で股下部がだぶつく恐れがある。
圧搾条溝は、通常、吸収体を、エンボスロール等により加圧エンボスすることにより形成される。1つの実施態様においては、圧搾条溝はトップシートを介して吸収体を加圧エンボスすることにより形成されている。すなわち、圧搾条溝は、吸収体とトップシートを一緒に、トップシート側から加圧エンボスすることにより形成されていてもよい。また、別の実施態様においては、吸収体とトップシートの間および吸収体とバックシートの間に吸収体ラップシートが介在し、圧搾条溝は、トップシートおよび吸収体ラップシートを介してまたは吸収体ラップシートを介して、吸収体を加圧エンボスすることにより形成されている。すなわち、吸収体のトップシート側の面が吸収体ラップシートにより被覆されているときは、吸収体と吸収体ラップシートを一緒に、吸収体ラップシート側から加圧エンボスすることにより、圧搾条溝を形成することが好ましい。また、吸収体と吸収体ラップシートとトップシートを一緒に、トップシート側から加圧エンボスすることにより、圧搾条溝を形成してもよい。
吸収性物品を構成するトップシートは、尿等の体内からの液状***物を、その下層に設けた吸収体へ通過させる機能を有するとともに、バックシートとの間に吸収体を挟むことにより吸収体を保持するためのものである。トップシートは、その全部または一部が液透過性であり、液透過域は、多数の液透過孔が形成された樹脂フィルム、多数の網目を有するネット状シート、液透過性の不織布、または織布などで形成される。前記樹脂フィルムやネット状シートは、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)などで形成されたものを使用できる。また不織布としては、レーヨンなどのセルロース繊維、合成樹脂繊維などから形成されたスパンレース不織布、前記合成樹脂繊維で形成されたエアスルー不織布などを用いることができる。また、素材として、ポリ乳酸、キトサン、ポリアルギン酸などの生分解性が可能な天然物を用いることもできる。また、多数の液透過孔を形成するとともに、シリコーン系やフッ素系の撥水性油剤を塗布して、その外面に体液が付着しにくいものとしてもよい。
吸収性物品を構成するバックシートは、吸収体に吸収された尿等の液体が外へ漏れ出すのを防止する機能を有するものであり、そのような液体が外へ漏れ出すのを防止できる材料が使用される。また、液体は通さないが通気性のある素材とすることにより、着用時のムレを低減させることができ、着用時における不快感を低減させることが可能となる。このような材料としては、たとえば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等を主体とした液不透過性フィルム、通気性フィルム、スパンボンドなどの不織布の片面に液不透過性フィルムをラミネートした複合シートなどが挙げられる。好ましくは、疎水性の不織布、不透水性のプラスティックフィルム、不織布と不透水性プラスティックフィルムとのラミネートシート等を用いることができる。また、耐水性の高いメルトブローン不織布を強度の強いスパンボンド不織布で挟んだSMS不織布でもよい。
吸収性物品を構成する吸収体は、尿等の液体を吸収して保持する機能を有するもので、嵩高であり、型崩れし難く、化学的刺激が少ないものであることが好ましい。
吸収体は、親水性繊維と高吸収性ポリマーを含む。
親水性繊維としては、限定するものではないが、フラッフ状パルプ、化学パルプ、セルロース繊維、レーヨン、アセテート等の人工セルロース繊維が挙げられる。
高吸収性ポリマー(Superabsorbent Polymer,「SAP」ともいう。)は、水溶性高分子が適度に架橋された三次元網目構造を有するもので、数十倍〜数百倍の水を吸収するが本質的に水不溶性であり、一旦吸収された水は多少の圧力を加えても離水しないものであり、たとえば、デンプン系、アクリル酸系、アミノ酸系の粒子状または繊維状のポリマーを例示できる。
吸収体は、吸収体ラップシートによって挟まれまたは包まれていてもよい。吸収体ラップシートとしては、限定するものではないが、ティッシュが挙げられる。
吸収性物品を構成するサイドシートは、防漏壁を形成するものである。
サイドシートを構成する素材としては、エアスルー不織布、スパンボンド、フィルム、開孔フィルムが使用できるが、なかでもエアスルー不織布が好ましい。
図1および図2に示すサイドシート5は、吸収性物品の左右両側に設けられ、その外形輪郭は、外装シート6と重なる部分において外装シート6とほぼ同一であり、トップシート2の側縁部と部分的に重なり合っており、トップシート2と重なり合っていない部分は外装シート6と重なり合い、少なくとも部分的に接合されている。サイドシート5と、トップシート2および外装シート6との接合は、たとえばホットメルト接着剤または熱エンボスによって行われる。ただし、サイドシート5は、必ずしも図1および図2に示す形態に限られるものではなく、サイドシートの幅方向側縁部が、トップシートとともに、吸収体の裏面に回り込んだ形態であってもよい。
サイドシートの自由端に取り付けられる弾性部材としては、限定するものではないが、天然ゴムのゴム糸、ポリウレタン弾性繊維やポリエステルエラストマー繊維等の合成弾性繊維等が挙げられる。
吸収性物品を構成する外装シートは、トップシートと反対側に設けられ、吸収性物品の外形を画定する。外装シートを構成する素材としては、限定するものではないが、スパンボンド・メルトブローン・スパンボンド(SMS)不織布、ポイントボンド不織布、スパンボンド不織布等の不織布等が挙げられる。外装シートは、複数の部材から構成されていてもよく、たとえば、2枚以上の不織布を重ね合わせて形成されていてもよい。また、バックシートが、外装シートを構成する2枚以上の不織布の間に挟み込まれていてもよい。また、外装シートは、バックシートよりも肌面側に存在するカバー不織布(サイドトップシート)を含んでいてもよい。
次に、本発明の吸収性物品の製造方法を説明する。
吸収体は、親水性繊維と高吸収性ポリマーを混合し、積層して、成形される。積層に際し、折り曲げ誘導帯域に相当する領域の目付けおよびSAP含有率が低くなるように積層する。
図4は、吸収体製造装置の一例を示す図である。ただし、本発明の吸収性物品の製造方法は、図4に示されるものに限定されない。
まず、コーター51で、ティッシュ等の吸収体ラップシート52の全面にホットメルト接着剤等の接着剤を繊維状に分散させて塗工する。接着剤を塗工した吸収体ラップシート52をベルトコンベヤー53に載せて搬送する。
第1積層ドラム54で、高目付け領域に相当する部分(中目付け領域を設ける場合は高目付け領域および中目付け領域に相当する部分。以下同様。)を積層する。積層目付けは高目付け領域の目付けから低目付け領域(すなわち折り曲げ誘導帯域)の目付けを差し引いた目付けに設定する。積層は、親水性繊維と高吸収性ポリマーを混合し、エア搬送し、図5に示すような通気性のメッシュスクリーン71上に積層する。積層時に折り曲げ誘導帯域に相当する領域に吸収体が積層されないように、非通気性の突起部72を設けておく。非通気性の突起部72の素材としては、限定するものではないが、たとえば、アルミニウムや鉄などの金属性のプレートやナイロン、ゴム状の弾性体のプレートが用いられる。また、中目付け領域を設ける場合は、さらに、図6に示すように、中目付け領域に相当する箇所に、通気性制御部材73を設けておく。通気性制御部材73が設けられた箇所は積層目付けが低くなる。通気性制御部材としては、限定するものではないが、たとえば、メッシュ(例えば金属性、弾性体)プレートが用いられる。
第1積層ドラム54に積層された第1積層物55を、ベルトコンベヤー53の下に設けられた転写サクションボックス56で吸引することにより、吸収体ラップシート52の接着剤を塗工した面に転写する。
次に、第2積層ドラム57で、吸収体全体を積層する。積層目付けは、低目付け領域の目付けに合わせて設定する。第2積層ドラム57では、図7に示すような、非通気性の突起部や通気性制御部材の設けられていない通気性メッシュスクリーン71上に、均一の目付けで積層する。
第2積層ドラム57に積層された第2積層物58を、ベルトコンベヤー53の下に設けられた転写サクションボックス59で吸引することにより、第1積層物55の上に転写し、第1積層物55と第2積層物58の積層体60を作製する。
次に、コーター61で、ティッシュ等の吸収体ラップシート62の全面にホットメルト接着剤等の接着剤を繊維状に分散させて塗工し、塗工した面が積層体60に接触するように、吸収体ラップシート62を積層体60に重ねる。吸収体ラップシート62を重ねた積層体60を加圧装置63に通して、高目付け領域の厚さが一定になるように圧縮する。なお、厚さは、限定するものではないが、子ども用の使い捨ておむつとしての使用を想定すると、高目付け領域で3mm程度に調整することが好ましい。
その後、加圧エンボスロール64を用いて、折り曲げ誘導帯域内に圧搾条溝を形成する。加圧エンボスロール64のエンボス形状は、限定するものではないが、たとえば、図8に示すような形状であってもよい。なお、図8中の数値の単位はmmである。エンボスの強度は、限定するものではないが、子ども用の使い捨ておむつとしての使用を想定すると、加圧エンボス後の接合部の接合強度は0.065N/25mm以上に調整することが好ましい。
以上の工程により、2枚の吸収体ラップシートに挟まれた吸収体が得られる。
次に、外装シート、バックシート、吸収体、トップシートおよび一対のサイドシートを、常法により、重ね合わせて、吸収性物品を作製する。
以上、本発明の吸収性物品の製造方法の一例を説明したが、本発明の吸収性物品の製造方法は上記の製造方法に限定されない。
従来技術の中央吸収体とサイド吸収体の切離部を有する使い捨ておむつにあっては、切離部が存在することで、その箇所における吸収体自体の強度(形態保持性)が低下するとともに、切離部自体は吸収体としての体液吸収性能を有さない。そのため、吸収性物品を装着後、足を動かすなどの動作後に切離部を中心に吸収体が型崩れし、おむつの位置ずれ(吸収体ワレによる遊離)が起こり易くなり、その周縁部を中心に尿などの体液を吸収、保持する能力が低下し、体液漏れを引き起こす可能性が高くなり、結果的に吸収性物品としての防漏性能が低下する。また、切離部が存在するものの、吸収体の前身頃部において、吸収体が特定の折り曲げ構造を有していないため、切離部でない箇所で吸収体が折れ込まれてしまい、目的の吸収面積を確保できない虞がある。
それに対し、本発明の吸収性物品は、吸収体に折り曲げ誘導領域を設け、かつ折り曲げ誘導領域内に圧搾条溝を設けたことにより、吸収体が型崩れしにくく、着用時の外観がすっきりしており、股下部でのフィット性に優れる。
図4に示す吸収体製造装置を用いて、吸収体を製造した。得られた吸収体を使用して、常法により、使い捨ておむつを作製し、評価した。
なお、以下の実施例および比較例においては、次の原材料を使用した。
親水性繊維:木材フラッフパルプ(NBKP)
高吸収性ポリマー:住友精化社製 SAP アクアキープSA60S
ホットメルト接着剤:ヘンケルジャパン社製 スチレン系熱可塑性エラストマー
ティッシュ:ユニ・チャーム国光ノンウーブン社製(16g/m
実施例1
第1積層ドラムにおいて、搬送されたティッシュにホットメルト接着剤5g/mを塗布し、その上に予め検量されたパルプ90g/m、SAP140g/mを積層した。ただし、折り曲げ誘導帯域に相当する箇所には、図5に示すように、非通気性の突起部72を施し、積層されないようにした。
第2積層ドラムにおいて、予め検量されたパルプ160g/m、SAP80g/mを積層し、その上にホットメルト接着剤5g/mを塗布したティッシュを重ね合わせ、ティッシュで挟み込まれた吸収体を成形した。
加圧装置により高目付け部の厚みを3mmに圧縮した後、図8に示すエンボス形状を有するエンボスロールを用いて加圧エンボスすることにより、折り曲げ誘導帯域に相当する箇所に圧搾条溝を形成した。加圧エンボス後の接合部の接合強度は0.065N/25mmに調整した。
折り曲げ誘導帯域および圧搾条溝は、図1に示すように、股領域中心から前方および後方に向って延び、右の折り曲げ誘導帯域と左の折り曲げ誘導帯域の間の幅方向の距離は、股領域中心において狭く、股領域中心から遠ざかるにつれて広くなり、吸収体の側縁まで伸びた形状とした。以上の工程により股繰り内側部および股繰り外側部が高目付け領域(パルプ250g/m、SAP220g/m)、折り曲げ誘導帯域が低目付け領域(パルプ160g/m、SAP80g/m)の吸収体を得た。なお、折り曲げ誘導帯域の低目付け領域は、中心部に加圧エンボスを施した高密度領域と、その周囲のエンボスを施していない低密度領域からなる。吸収体の外形寸法は、長さ420mm、幅120mmであり、折り曲げ誘導帯域の幅は10mmであり、2本の折り曲げ誘導帯域の間の幅方向の距離は、最も狭いところで35mmであり、折り曲げ誘導帯域の前端と後端の直線距離は220mmであった。
作製したティッシュで挟み込まれた吸収体を、外装シートおよびバックシートの上に重ね、ティッシュで挟み込まれた吸収体の上にトップシートを重ね、その上に一対のサイドシートを重ねて、図1に示すような使い捨ておむつを作製した。
実施例2
第1積層ドラムにおいて、図3に示すように、折り曲げ誘導帯域の前端および後端が、吸収体の側縁よりは幅方向内側で、かつサイドシートの前端領域と後端領域の幅方向内側縁部におけるサイドシートとトップシートとの接合領域の幅方向内側位置よりも、幅方向外側に位置するよう、第1積層ドラムの非通気性の突起部の位置を調整して積層した以外は、実施例1と同様にして、使い捨ておむつを作製した。折り曲げ誘導帯域の前端および後端の吸収体側縁からの距離は10mmであり、折り曲げ誘導帯域の前端と後端の直線距離は195mmであった。
実施例3
第1積層ドラムにおいて、股繰り外側部に相当する箇所にメッシュで開孔した通気性制御部材(図6参照)を配置し、パルプ25g/m、SAP40g/mが積層されるよう調整した以外は、実施例1と同様にして、使い捨ておむつを作製した。
実施例4
第1積層ドラムでパルプ130g/m、SAP160g/mを積層した。ただし、折り曲げ誘導帯域に相当する箇所には非通気性の突起部を設け、積層されないようにし、股繰り外側部に相当する箇所にはメッシュで開孔した通気性制御部材(図6参照)を配置し、パルプ25g/m、SAP30g/mが積層されるよう調整した。第2層積層ドラムにおいて、パルプ120g/m、SAP60g/mを積層した。それ以外は、実施例1と同様にして、使い捨ておむつを作製した。
実施例5
第1積層ドラムでパルプ50g/m、SAP120g/mを積層した。ただし、折り曲げ誘導帯域に相当する箇所は非通気性の突起部を設け、積層されないようにし、股繰り外側部に相当する箇所はメッシュで開孔した通気性制御部材(図6参照)を配置し、パルプ25g/m、SAP50g/mが積層されるよう調整した。第2積層ドラムにおいて、パルプ200g/m、SAP100g/mを積層した。それ以外は、実施例1と同様にして、使い捨ておむつを作製した。
比較例1
第1積層ドラムにおいて、折り曲げ誘導帯域の前端および後端が、サイドシートの前端領域と後端領域の幅方向内側縁部におけるサイドシートとトップシートとの接合領域の幅方向内側位置よりも、さらに幅方向内側に位置するよう、第1積層ドラムの非通気性の突起部の位置を調整して積層した以外は、実施例1と同様にして、使い捨ておむつを作製した。
比較例2
第1積層ドラムでパルプ250g/m、SAP220g/mを積層した。ただし、折り曲げ誘導帯域に相当する箇所には、図5に示すように、非通気性の突起部を設け、積層されないようにした。第2積層ドラムの工程は省略した。それ以外は、実施例1と同様にして、使い捨ておむつを作製した。この比較例2の使い捨ておむつは、股繰り内側部および股繰り外側部が高目付け領域(パルプ250g/m、SAP220g/m)であり、折り曲げ誘導帯域に相当する箇所に目付けの無い切離部が存在するものであった。
比較例3
第1積層ドラムでパルプ250g/m、SAP220g/mを積層した。ただし、第1積層ドラムの積層部には、図7に示すような非通気性の突起部も通気性制御部材も有しない通気性のメッシュスクリーンを用いた。第2積層ドラムの工程は省略した。それ以外は、実施例1と同様にして、使い捨ておむつを作製した。この比較例3の使い捨ておむつは、股繰り内側部、股繰り外側部、折り曲げ誘導帯域に相当する箇所の全領域が高目付け領域(パルプ250g/m、SAP220g/m)であるものであった。
比較例4
加圧エンボスを施さなかった点以外は、実施例1と同様にして、使い捨ておむつを作製した。この比較例4の使い捨ておむつは、圧搾条溝が存在しないものであった。
比較例5
加圧エンボスを施さなかった点以外は、比較例3と同様にして、使い捨ておむつを作製した。この比較例5の使い捨ておむつは、折り曲げ誘導帯域も圧搾条溝も存在しないものであった。
比較例6
第1積層ドラムの積層部のメッシュスクリーンの形状において、股繰り外側部を廃した形状(所謂砂時計型)のメッシュスクリーンを用いた以外は、比較例2と同様にして、使い捨ておむつを作製した。この比較例6の使い捨ておむつは、吸収体に股繰り外側部も折り曲げ誘導帯域も存在しないものであった。
実施例および比較例で作製した使い捨ておむつについて、吸収体内側への折込み、柔らかさ(肌への負担)および型崩れ(おむつの位置ズレ)を評価した。各評価項目の評価方法は次のとおりである。評価結果は表1に示す。
[吸収体内側への折込み](実際の赤ちゃんの装着状態より確認)
評価対象の使い捨ておむつを、実際に赤ちゃん6名へ装着し、自由動作20分後の使い捨ておむつの外観、および脱衣後のおむつのトップシート(肌面)側から、吸収体の内側への折込みを確認し、以下の評価とした。
折込み人数:0〜1名(○)、2〜3名(△)、4名以上(×)
[柔らかさ(肌への負担)」(装着者(母親)からの意見より確認)
評価対象の使い捨ておむつを、実際に赤ちゃん6名へ装着する際の装着者(母親)から、おむつのトップシート(肌面)側の触感を確認してもらい、加圧エンボスによる硬さによる意見を確認し、以下の評価とした。
「硬い」と感じた人数:0〜1名(○)、2〜3名(△)、4名以上(×)
[型崩れ(おむつの位置ズレ)](実際の赤ちゃんの装着状態より確認)
評価対象の使い捨ておむつを、実際に赤ちゃん6名へ装着し、自由動作10分後、0.9%食塩水100ccを股間部に注入後、さらに自由動作10分後の、紙おむつ脱衣後のおむつのトップシート(肌面)側から、吸収体のヨレ、浮き状態を確認し、股間部の吸収体が大きくヨレ(使用前位置と比べて幅方向で10mm以上のヨレ)あるいはトップシートが浮いている状態(使用前位置と比べて20mm以上の差異)を「型崩れ」と判断し、以下の評価とした。
型崩れ人数:0〜1名(○)、2〜3名(△)、4名以上(×)
Figure 0006513163
実施例1は、股繰り内側部および股繰り外側部を高目付け領域に設定し、折り曲げ誘導帯域の目付けを低減させ、かつ加圧エンボスによる圧搾条溝を吸収体側縁まで施した実施例である。折り曲げ誘導帯域の目付けを低減させたこと、かつ加圧エンボスを施すことで、折り曲げ誘導帯域付近の吸収体としての吸収性能を保持しつつ、吸収体の型崩れを防ぐことができる。また、目付け低減に加えて折り曲げ誘導帯域のSAP含有率を低減させることで、加圧エンボスによりSAP粒子が高密度化され、折り曲げ誘導帯域の吸収体が硬化する虞を回避し、他の箇所同様の柔軟性を維持し、肌への負担を軽減させることができる。さらに、折り曲げ誘導帯域が股繰り部から前後長手方向へ向かって放射状に伸び、吸収体の側縁まで達することで、防漏壁の前端および後端での吸収体内側への折込みが制御され、防漏壁を乗り越えての漏れ防止が期待できる。
実施例2は、実施例1の構成において、加圧エンボスによる折り曲げ誘導帯域を吸収体の側縁よりは幅方向内側で、かつサイドシートの前端領域と後端領域の幅方向内側縁部におけるサイドシートとトップシートとの接合領域の幅方向内側位置よりも、幅方向外側に存在するように施した実施例である。サイドシートの前端領域と後端領域の幅方向内側縁部におけるサイドシートとトップシートとの接合領域の幅方向内側位置よりも、幅方向外側に存在させることで実施例1とほぼ同様の作用を示し、防漏壁の前端および後端での吸収体内側への折込みが制御され、防漏壁を乗り越えての漏れ防止が期待できる。
実施例3は、実施例1の構成において、股繰り外側部の目付けを低減させた実施例である。股繰り部外側部の目付けを若干低減させているが、作用としては、実施例1とほぼ同様の作用を示す。吸収性物品の目的・用途に応じて調整することができる実施例である。
実施例4は、実施例1の構成において、股繰り外側部および折り曲げ誘導帯域の目付けを実施例3よりもさらに低減させた実施例である。股繰り外側部および折り曲げ誘導帯域の目付けを低減させることで、吸収体全体としての吸収容量は実施例1と比較すると若干低下はするが、折り曲げ誘導帯域に加圧エンボスを施すことで、吸収体の型崩れを防ぐことができる。また、目付け低減に加えて折り曲げ誘導帯域のSAP含有率を低減させることで、加圧エンボスによりSAP粒子が高密度化され折り曲げ誘導帯域の吸収体が硬化する虞を回避し、他の箇所同様の柔軟性を維持し、肌への負担を軽減させることができる。吸収性物品の目的・用途に応じて調整することができる実施例である。
実施例5は、実施例1の構成において、股繰り外側部の目付けを実施例1よりは低いが実施例3よりは高くし、そして折り曲げ誘導帯域の目付けを実施例1や実施例3よりも高くした実施例である。股繰り外側部および折り曲げ誘導帯域の目付けを実施例3よりも高くしたことで、吸収体全体としての吸収容量は実施例3と比較すると向上するが、折り曲げ誘導帯域に加圧エンボスを施すことで、吸収体の型崩れを防ぐことができる。折り曲げ誘導帯域の目付けが増加されることで、その箇所に占めるSAPの全体量も増加され、加圧エンボスによりSAP粒子による折り曲げ誘導帯域の吸収体が若干硬化はするが、他の箇所とほぼ同様の柔軟性を維持し、肌への負担を軽減させることができる。吸収性物品の目的・用途に応じて調整することができる実施例である。
比較例1は、実施例1の構成において、折り曲げ誘導帯域の前端および後端がサイドシートの前端領域と後端領域の幅方向内側縁部におけるサイドシートとトップシートとの接合領域の幅方向内側位置よりも幅方向内側に存在するように施した例である。折り曲げ誘導帯域の前端および後端が、サイドシートの前端領域および後端領域の幅方向内側縁部におけるサイドシートとトップシートとの接合領域の幅方向内側位置よりも、さらに幅方向内側に存在する形態にすると、防漏壁の前端および後端での吸収体内側への折込みが発生し、従来の吸収体領域に尿が滴下されずに防漏壁上に滴下されてしまい、防漏壁を乗り越えての漏れにつながる虞が高い。
比較例2は、実施例1の折り曲げ誘導帯域の目付けを廃し、折り曲げ誘導帯域を切離部とした例である。折り曲げ誘導帯域が吸収体の側縁まで達することで、吸収体内側への折込みは制御できる一方で、股繰り付近の排尿位置付近では吸収体(パルプ/SAP)が存在しない切離部のため型崩れが生じること、かつ従来技術例と同様、切離部自体に吸収体としての体液吸収性能を有さないことから、尿などの体液を吸収、保持する能力が低下し、体液漏れを引き起こす可能性が高くなり、結果的に吸収性物品としての防漏性能(吸収容量)が低下する。
比較例3は、実施例1の折り曲げ誘導帯域の目付けを、股繰り内側部目付け、股繰り外側部目付け同様に高目付けにした例である。折り曲げ誘導帯域が高目付けだと、加圧エンボスによりSAP粒子が高密度化されることで、折り曲げ誘導帯域の吸収体が硬化し(SAPの粒感による異物感が発生)、他の箇所と比較して、吸収体として肌への負担を引き起こす虞が高くなる。
比較例4は、実施例1の構成において、折り曲げ誘導帯域に加圧エンボスを施さない例である。加圧エンボスによる圧搾条溝が無いと、折り曲げ誘導帯域に沿った吸収体内側への折込み制御がされにくくなり、防漏壁を乗り越えての漏れにつながる虞が高くなるほか、低目付け領域の折り曲げ誘導帯域付近を中心に吸収体の型崩れが生じ、おむつの位置ずれ(吸収体ワレによる遊離)が起こり易くなり、その周縁部を中心に尿などの体液を吸収、保持する能力が低下し、体液漏れを引き起こす虞が高くなり、結果的に吸収性物品としての防漏性能も低下する。
比較例5は、比較例3と同様に、吸収体全領域を高目付け領域にした例であるが、比較例3と異なり、加圧エンボスによる圧搾条溝が無いため、吸収体硬化は生じないものの、折り曲げ誘導帯域に沿った吸収体内側への折込み制御ができなくなり、防漏壁を乗り越えての漏れにつながる虞が高くなるほか、おむつの位置ずれ(吸収体ワレによる遊離)が起こり易くなり、その周縁部を中心に尿などの体液を吸収、保持する能力が低下し、体液漏れを引き起こす可能性が高くなり、結果的に吸収性物品としての防漏性能が低下する。
比較例6は、吸収体形状の股繰り外側部を廃した所謂砂時計型にしたものである。砂時計型にすることで折り曲げ誘導帯域に相当する領域が無くなり、その箇所を中心とした吸収体の型崩れは生じないが、加圧エンボスが無いため、折り曲げ誘導帯域に沿った吸収体内側への折込み制御ができなくなり、防漏壁を乗り越えての漏れにつながる可能性が高くなるほか、砂時計型の吸収体形状になることで、全体の吸収容積が低下するため、尿などの体液を吸収、保持する能力が低下し、体液漏れを引き起こす虞が高くなり、結果的に吸収性物品としての防漏性能が低下する。
本発明の吸収性物品は、乳児用使い捨ておむつ、幼児用使い捨ておむつ、トレーニングパンツ、大人用使い捨ておむつ、失禁パッド等に好適に利用することができる。
1 吸収性物品
2 トップシート
3 バックシート
4 吸収体
5 サイドシート
6 外装シート
7 弾性部材
8 折り曲げ誘導帯域
9 接合領域
10 圧搾条溝
51 コーター
52 吸収体ラップシート
53 ベルトコンベヤー
54 第1積層ドラム
55 第1積層物
56 転写サクションボックス
57 第2積層ドラム
58 第2積層物
59 転写サクションボックス
60 積層体
61 コーター
62 吸収体ラップシート
63 加圧装置
64 加圧エンボスロール
71 通気性のメッシュスクリーン
72 非通気性の突起部
73 通気性制御部材

Claims (11)

  1. 液透過性のトップシート、液不透過性のバックシート、それらの間に介在する吸収体、防漏壁を形成する左右一対のサイドシート、および外装シートを有する吸収性物品であって、
    前記吸収体は親水性繊維と高吸収性ポリマーを含み、
    前記サイドシートは前端領域と中央領域と後端領域からなり、
    前記サイドシートの幅方向外側領域は前記トップシート、前記バックシートおよび前記外装シートの少なくとも1つと接合し、
    前記サイドシートの前記前端領域および前記後端領域の幅方向内側縁部は前記トップシートと接合し、
    前記サイドシートの前記中央領域の幅方向内側縁は自由端となっており、前記自由端には弾性部材が取り付けられており、よって前記サイドシートの前記中央領域は防漏壁として機能し、
    前記吸収体は前領域と股領域と後領域からなり、前記吸収体には前記股領域の中心から前方および後方に向って延びる左右一対の折り曲げ誘導帯域が設けられ、
    右の前記折り曲げ誘導帯域と左の前記折り曲げ誘導帯域の間の幅方向の距離は、前記股領域中心に比べ、前記折り曲げ誘導帯域の前端および後端において広く、
    前記折り曲げ誘導帯域の前端および後端は、前記サイドシートの前記前端領域および前記後端領域の幅方向内側縁部における前記サイドシートと前記トップシートとの接合領域の幅方向内側位置よりも、幅方向外側に位置しており、
    前記折り曲げ誘導帯域は、前記吸収体の他の部位に比べ目付けが低くかつ高吸収性ポリマーの含有率が低く、
    各折り曲げ誘導帯域内には圧搾条溝が設けられ、前記圧搾条溝は前記吸収体を加圧エンボスすることにより形成されている、
    ことを特徴とする吸収性物品。
  2. 前記折り曲げ誘導帯域の前端および後端が前記吸収体の側縁に位置していることを特徴とする請求項1に記載の吸収性物品。
  3. 前記折り曲げ誘導帯域は、前記吸収体の幅方向中央に向かって凸の曲線状または折れ線状の形状を有することを特徴とする請求項1または2に記載の吸収性物品。
  4. 前記折り曲げ誘導帯域は、前記吸収体の幅方向中央に向かって凸の弧状の形状を有することを特徴とする請求項3に記載の吸収性物品。
  5. 前記折り曲げ誘導帯域の幅が3〜30mmである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の吸収性物品。
  6. 前記吸収体の目付けが、前記折り曲げ誘導帯域より幅方向内側の領域に比べ、前記折り曲げ誘導帯域より幅方向外側の領域において低いことを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の吸収性物品。
  7. 前記折り曲げ誘導帯域より幅方向外側の領域における前記吸収体の目付けが、前記折り曲げ誘導帯域より幅方向内側の領域における前記吸収体の目付けの50〜80質量%であることを特徴とする請求項に記載の吸収性物品。
  8. 前記圧搾条溝は前記トップシートを介して前記吸収体を加圧エンボスすることにより形成されていることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の吸収性物品。
  9. 前記吸収体と前記トップシートとの間に吸収体ラップシートが介在し、前記圧搾条溝は、前記トップシートおよび前記吸収体ラップシートを介してまたは前記吸収体ラップシートを介して、前記吸収体を加圧エンボスすることにより形成されていることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の吸収性物品。
  10. 前記折り曲げ誘導帯域における前記吸収体の目付けが、前記折り曲げ誘導帯域より幅方向内側の領域における吸収体の目付けの35〜65質量%であることを特徴とする請求項8または9に記載の吸収性物品。
  11. 前記折り曲げ誘導帯域は親水性繊維および高吸収性ポリマーを含み、
    前記折り曲げ誘導帯域における前記親水性繊維の目付けが、前記折り曲げ誘導帯域より幅方向内側の領域における前記親水性繊維の目付けの45〜80質量%であり、前記折り曲げ誘導帯域における前記高吸収性ポリマーの目付けが、前記折り曲げ誘導帯域より幅方向内側の領域における前記高吸収性ポリマーの目付けの25〜50質量%であることを特徴とする請求項8〜10のいずれか1項に記載の吸収性物品。
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