JP6512439B2 - 車両用操舵装置 - Google Patents
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Description
特許文献1には、環境変化や経時的変化に応じた適切なレーンキープアシストトルクが得られるように、レーンキープアシストトルクを調整できるようにした車両用操舵装置が開示されている。特許文献1に記載の車両用操舵装置では、車速と操舵角とからモデルヨーレートが演算される。モデルヨーレートと実ヨーレートとに基づいて、車両状態指標が演算される。車両状態指標に基づいて、レーンキープアシストトルクを調整するためのゲインが演算される。
請求項3記載の発明は、目標走行ラインからの車両の横偏差と、前記横偏差の単位時間当たりの変化率である横偏差変化率とを取得する情報取得手段(42)をさらに含み、前記アシスト電流値演算手段は、前記横偏差および前記横偏差変化率を零に近づけるためのレーンキープアシストトルクの目標値に対応するレーンキープアシスト電流値を演算するように構成されている、請求項1に記載の車両用操舵装置である。
図1は、本発明の一実施形態に係る車両用操舵装置が適用された電動パワーステアリング装置の概略構成を示す模式図である。
電動パワーステアリング装置(EPS:electric power steering)1は、車両を操向するための操舵部材としてのステアリングホイール2と、このステアリングホイール2の回転に連動して転舵輪3を転舵する転舵機構4と、運転者の操舵を補助するための操舵補助機構5とを備えている。ステアリングホイール2と転舵機構4とは、ステアリングシャフト6および中間軸7を介して機械的に連結されている。
入力軸8の周囲には、入力軸8の回転角である操舵角θを検出するための舵角センサ25が配置されている。この実施形態では、舵角センサ25は、入力軸8の中立位置からの入力軸8の正逆両方向の回転量(回転角)を検出するものであり、中立位置から右方向への回転量を例えば正の値として出力し、中立位置から左方向への回転量を例えば負の値として出力する。
操舵補助機構5は、操舵補助力(操舵アシストトルク)を発生させるための操舵補助用の電動モータ18と、電動モータ18の出力トルクを転舵機構4に伝達するための減速機構19とを含む。減速機構19は、ウォーム軸20と、このウォーム軸20と噛み合うウォームホイール21とを含むウォームギヤ機構からなる。減速機構19は、伝達機構ハウジングとしてのギヤハウジング22内に収容されている。
電動モータ18によってウォーム軸20が回転駆動されると、ウォームホイール21が回転駆動され、ステアリングシャフト6が回転する。そして、ステアリングシャフト6の回転は、中間軸7を介してピニオン軸13に伝達される。ピニオン軸13の回転は、ラック軸14の軸方向移動に変換される。これにより、転舵輪3が転舵される。すなわち、電動モータ18によってウォーム軸20を回転駆動することによって、転舵輪3が転舵されるようになっている。つまり、電動モータ18は、転舵輪3を転舵させるための転舵用駆動力を発生させるためのモータである。
舵角センサ25によって検出される操舵角θ、トルクセンサ11によって検出される操舵トルクT、車速センサ23によって検出される車速V、ヨーレートセンサ26によって検出されるヨーレートYrおよびCCDカメラ24から出力される画像信号は、ECU(電子制御ユニット:Electronic Control Unit)12に入力される。ECU12は、これらの入力信号に基いて、電動モータ18を制御する。
ECU12は、電動モータ18を制御するためのマイクロコンピュータ31と、マイクロコンピュータ31によって制御され、電動モータ18に電力を供給する駆動回路(インバータ回路)32と、電動モータ18に流れるモータ電流(実電流値)Iを検出する電流検出回路33とを含んでいる。
目標電流値演算部44は、操舵アシスト電流値設定部41によって設定された操舵アシスト電流値Is*に、レーンキープアシスト電流値設定部43によって設定されたレーンキープアシスト電流値Ir*を加算することにより、目標電流値I*を演算する。電流偏差演算部45は、目標電流値演算部44によって得られた目標電流値I*と電流検出回路33によって検出された実電流値Iとの偏差(電流偏差ΔI=I*−I)を演算する。
以下、レーンキープアシスト電流値設定部43について詳しく説明する。図2に示すように、レーンキープアシスト電流値設定部43は、レーンキープアシスト電流値演算部51と、補正用ゲイン演算部52と、ゲイン乗算部53とを含む。
図5は、レーンキープアシスト電流値演算部51の電気的構成を示すブロック図である。レーンキープアシスト電流値演算部51は、第1電流値演算部61と、第2電流値演算部62と、加算部63と、車速ゲイン設定部64と、乗算部65とを含んでいる。
第1電流値演算部61は、予め設定された横偏差wに対する第1レーンキープアシスト電流値Ir1*の関係を示すマップまたは演算式に基いて、第1レーンキープアシスト電流値Ir1*を演算する。第2電流値演算部62は、予め設定された横偏差変化率dw/dtに対する第2レーンキープアシスト電流値Ir2*の関係を示すマップまたは演算式に基いて、第2レーンキープアシスト電流値Ir2*を演算する。
つまり、第1電流値演算部61は、b1が奇数に設定される場合には、Ir1*=a1・wb1の関数で表される、wとIr1*との関係に基いて、第1レーンキープアシスト電流値Ir1*を演算することが好ましい。一方、b1が偶数に設定される場合には、w≧0の範囲では、Ir1*=a1・wb1の関数で表され、w<0の範囲では、Ir1*=−a1・wb1の関数で表される、wとIr1*との関係に基いて、第1レーンキープアシスト電流値Ir1*を演算することが好ましい。
一方、操舵アシスト電流値Is*の符号が前記実施形態と同様に設定され、かつ横偏差wの符号が前記実施形態とは逆に設定されている場合、または操舵アシスト電流値Is*の符号が前記実施形態とは逆に設定され、かつ横偏差wの符号が前記実施形態と同様に設定されている場合には、定数a1およびa2は、正の値に設定される。
一般的に、aを定数とすると、f(x)=axb(bは自然数からなる次数)で表される関数においては、xの絶対値が大きくなるほどf(x)の絶対値は大きくなる。また、bの値が2以上である場合には、平均変化率は、xの絶対値が大きくなるほど大きくなる。平均変化率とは、(f(x)の変化量)/(xの変化量)をいう。
前記a1が前記a2と等しい場合、前記b1が前記b2より大きいと、横偏差wの絶対値が1未満の範囲での第1レーンキープアシスト電流値Ir1*の平均変化率は、横偏差変化率dw/dtの絶対値が1未満の範囲での第2レーンキープアシスト電流値Ir2*の平均変化率に比べて小さくなり、横偏差wの絶対値が1より大きな範囲での第1レーンキープアシスト電流値Ir1*の平均変化率は、横偏差変化率dw/dtの絶対値が1より大きな範囲での第2レーンキープアシスト電流値Ir2*の平均変化率に比べて大きくなる。
この実施形態では、第1電流値演算部61は、図6Aに示されている、横偏差wに対する第1レーンキープアシスト電流値Ir1*の関係を記憶したマップまたは当該関係を表す演算式に基いて、第1レーンキープアシスト電流値Ir1*を演算する。図6Aの例では、第1レーンキープアシスト電流値Ir1*は、a1を負の定数として、Ir1*=a1・w3の3次関数で表される。つまり、この関数は、前記a1が負でかつ前記b1が3である場合に相当する。
図2に戻り、補正用ゲイン演算部52は、路面状況の変化等の環境変化やタイヤ劣化等の経時的変化に応じて、レーンキープアシスト電流値演算部51によって演算されたレーンキープアシスト電流値Iro*を補正するための補正用ゲインGを演算する。具体的には、補正用ゲイン演算部52は、車速V、操舵角θおよびヨーレートYrに基づいて、レーンキープアシスト電流値Iro*を補正するための補正用ゲインGを演算する。補正用ゲイン演算部52の動作の詳細は後述する。
補正用ゲイン演算部52は、車速V、操舵角θおよびヨーレートYrを取得する(ステップS1)。そして、補正用ゲイン演算部52は、車速Vが所定の閾値E(E>0)以上であるか否かを判別する(ステップS2)。車速Vが閾値E未満である場合には(ステップS2:NO)、操舵角が一定である場合にはヨーレートYrの絶対値が車速Vにほぼ正比例するという仮定が成立しない可能性が高いので、補正用ゲイン演算部52は、今演算周期での処理を終了する。
この積算値演算処理について具体的に説明する。ステップS1で取得された操舵角θをxiとすると、補正用ゲイン演算部52は、次式(1)に基いて、操舵角θの二乗値の積算値Sx2を演算する。
Sx2 (i−1)は、カウント値iが今回のカウント値iよりも1だけ小さい値であるときに演算された操舵角θの二乗値の積算値を表している。
また、ステップS1で取得されたヨーレートYrをステップS1で取得された車速Vで除算した値(正規化ヨーレート)をyiとすると、補正用ゲイン演算部52は、次式(2)に基いて、操舵角θと正規化ヨーレートYr/Vとの積θ・Yr/Vの積算値Sxyiを演算する。
Sxy(i−1)は、カウント値iが今回のカウント値iよりも1だけ小さい値であるときに演算された積θ・Yr/Vの積算値を表している。このようにして、Sx2 iおよびSxyiが演算されると、補正用ゲイン演算部52は、今演算周期での処理を終了する。
前記ステップS4で、カウント値iが所定値mよりも大きな値であると判別された場合には(ステップS5:YES)、補正用ゲイン演算部52は、補正用ゲインGを演算するためのゲイン演算処理を行う(ステップS7)。
μML=Sxyi/Sx2 i …(3)
Sxyiは、前述したステップS6において最新に演算された、操舵角θと正規化ヨーレートYr/Vとの積θ・Yr/Vの積算値である。Sxyiは、i=1からi=mまでのm回分の積θ・Yr/Vの積算値である。Sx2 iは、前述したステップS6において最新に演算された操舵角θの二乗値の積算値である。Sx2 iは、i=1からi=mまでのm回分の操舵角θの二乗値の積算値である。
σ2 ML=σ2/Sx2 i …(4)
σ2は、傾きμの母集団の分散であり、予め求められて不揮発性メモリ(図示略)に記憶されている。
次に、補正用ゲイン演算部52は、次式(7)に基づいて、補正用ゲインGを演算する。
式(7)において、μoは、傾きμの基準値であり、予め設定されている。
このようにして、補正用ゲインGが演算されると、補正用ゲイン演算部52は、カウント値i、積算値Sx2およびSxyを零に設定する(ステップS8)。そして、補正用ゲイン演算部52は、今演算周期での処理を終了する。
例えば、前述の実施形態では、補正用ゲイン演算部52によって演算された補正用ゲインGを用いてレーンキープアシスト電流値演算部51によって演算されるレーンキープアシスト電流値Iro*を補正している。しかし、それに加えてまたはそれに代えて、操舵アシスト電流値設定部41によって設定される操舵アシスト電流値Is*を、補正用ゲイン演算部52によって演算された補正用ゲインGによって補正するようにしてもよい。
また、前述の実施形態では、乗算部65(図5参照)が設けられているが、乗算部65を省略してもよい。乗算部65を省略する場合には、車速ゲイン設定部64は不要である。
また、前述の実施形態では、電動パワーステアリング装置にこの発明が適用された例について説明したが、この発明は、ステア・バイ・ワイヤ(SBW)システムその他の車両用操舵装置に適用できる。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
Claims (4)
- 車両の転舵機構に転舵用駆動力を与えるための電動モータと、
操舵角を検出する操舵角検出手段と、
前記車両のヨーレートを検出するヨーレート検出手段と、
車速を検出する車速検出手段と、
アシストトルクの目標値に対応するアシスト電流値を演算するアシスト電流値演算手段と、
前記操舵角検出手段によって検出される操舵角と、前記ヨーレート検出手段によって検出されるヨーレートと、前記車速検出手段によって検出される車速とに基づいて、前記アシスト電流値演算手段によって演算されるアシスト電流値を補正する補正手段と、
前記補正手段によって補正された後のアシスト電流値を用いて、目標電流値を演算する目標電流値演算手段と、
前記目標電流値演算手段によって演算される目標電流値に基いて、前記電動モータを駆動制御する制御手段とを含み、
前記補正手段は、
ヨーレートを車速で除算した値を正規化ヨーレートとして、操舵角の変化量に対する正規化ヨーレートの変化量の平均比率を間欠的に推定する推定手段と、
前記推定手段によって推定された平均比率を用いて、前記アシスト電流値演算手段によって演算されるアシスト電流値を補正する手段とを含む、車両用操舵装置。 - 前記アシスト電流値演算手段は、車両を目標走行ラインに沿って走行させるためのレーンキープアシストトルクの目標値に対応するレーンキープアシスト電流値を演算するように構成されている、請求項1に記載の車両用操舵装置。
- 目標走行ラインからの車両の横偏差と、前記横偏差の単位時間当たりの変化率である横偏差変化率とを取得する情報取得手段をさらに含み、
前記アシスト電流値演算手段は、前記横偏差および前記横偏差変化率を零に近づけるためのレーンキープアシストトルクの目標値に対応するレーンキープアシスト電流値を演算するように構成されている、請求項1に記載の車両用操舵装置。 - 操舵アシストトルクの目標値に対応した操舵アシスト電流値を設定する操舵アシスト電流値設定手段をさらに含み、
前記目標電流値演算手段は、操舵アシスト電流値設定手段によって設定される操舵アシスト電流値と、前記補正手段によって補正された後のレーンキープアシスト電流値とを用いて、目標電流値を演算するように構成されている、請求項2または3に記載の車両用操舵装置。
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