JP6510844B2 - 表面処理方法、表面処理装置およびアルミニウム表面処理材料 - Google Patents

表面処理方法、表面処理装置およびアルミニウム表面処理材料 Download PDF

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Description

本発明は、フッ化チタン化合物およびフッ化ジルコニウム化合物の少なくとも1種を含有する処理液によるアルミニウム材料の表面処理方法、その表面処理方法で用いられる表面処理装置、および、その表面処理方法により得られ、自動車、船舶、航空機等の車両用、特に自動車用パネルに好適に使用されるアルミニウム表面処理材料に関する。
自動車産業では、近年、CO排出規制等の地球環境問題から、部材の軽量化による燃費の向上が求められている。アルミニウム材料は、比重が鉄材料の約1/3と軽いため、今まで鉄材料が使用されていた部分に軽量化が求められて置き換わる材料として注目されている。アルミニウム材料としては、Al−Mg系合金、Al−Mg−Si系合金がその特性に応じて使用されている。
特に、電食の抑制、接合の容易性または剛性の観点から、アルミニウム材料と鉄材料とを併用する場合、アルミニウム材料の接着耐久性を向上させる必要がある。従来、接着耐久性を向上させる技術としては、チタンおよびジルコウニムを含有する処理液によりアルミニウム材料の表面に皮膜を形成させる表面処理方法が提案されている。
例えば、特許文献1には、金属材料の接着剤塗布前処理方法が提案されている。そして、特許文献1の接着剤塗布前処理方法は、アルミニウム系基材からなる被処理物をジルコニウムフッ素錯体および/またはチタンフッ素錯体を含有する化成処理液により処理する工程(I)と、シランカップリング剤の加水分解重縮合物を含有する表面処理液を塗布する工程(II)とからなる。
特許文献2には、無濯ぎ法でアルミニウム合金の表面に無クロム化成被覆を形成する方法が提案されている。そして、特許文献2の無クロム化成被覆を形成する方法は、所定の有機皮膜形成剤を含有する溶液とアルミニウム合金の表面を接触させ、1〜40秒の接触時間の後、濯ぎをせずに、50〜125℃の温度で表面の溶液を乾燥させている。
特開2006−152267号公報 特表平9−511548号公報
アルミニウム材料の表面に皮膜を形成する表面処理方法としては、特許文献1に記載されているような、アルミニウム材料の表面に処理液を噴霧する方法(以下、適宜「噴霧方法」という)や、アルミニウム材料を処理液に浸漬する方法(以下、適宜「浸漬方法」という)、そして、特許文献2に記載されているような、アルミニウム材料の表面にコーター等を使用して処理液を塗布する方法(以下、適宜「塗布方法」という)が存在する。
本発明者らが、特許文献1、2に記載されている従来の噴霧方法、浸漬方法、塗布方法について詳細に検討したところ、それぞれの表面処理方法について以下のような問題点が存在することがわかった。
まず、塗布方法については、アルミニウム材料の表面に処理液を塗布した後、処理液を乾燥させていることから、アルミニウム材料と処理液との反応により発生するフッ化アルミニウムや、処理液中の未反応分のフッ素化合物が、皮膜の表面に偏析してしまう。その結果、皮膜の表面に偏析したフッ素化合物が、接着耐久性(特に、湿潤環境下での接着耐久性)を低下させてしまう。
これに対し、噴霧方法や浸漬方法については、噴霧処理や浸漬処理によってアルミニウム材料の表面に付着した余分な処理液を水洗した後、処理液を乾燥させることから、皮膜の表面におけるフッ素化合物の偏析がほとんど見られない。
しかしながら、噴霧方法や浸漬方法については、アルミニウム材料の表面への処理液の当たり方、処理液の滞留する状態等により、アルミニウム材料の表面の場所ごとに皮膜量が変化し易く、アルミニウム材料の幅方向において皮膜量の均一性を確保することが難しい。特に、アルミニウム材料としてある程度の幅を有するコイル状のアルミニウム板を対象とする場合、幅方向端部と幅方向中央部において皮膜量が多くなり易く、端部と中央部との間の部分(例えば、端部から幅方向内側に100mmの部分)において皮膜量が少なくなり易い。加えて、皮膜に含まれるチタンやジルコニウムの量(以下、適宜「チタン皮膜量」、「ジルコニウム皮膜量」という)は、塗装処理前に施されるリン酸亜鉛処理に影響を及ぼしてしまうことから、アルミニウム材料の幅方向における皮膜量の不均一という事態が、最終的には、塗装ムラを引き起こす要因にもなる。
そこで、本発明は、前記問題を解決すべく創案されたもので、その課題は、アルミニウム材料の幅方向における皮膜量の均一性を確保しつつ、優れた接着耐久性を有する皮膜をアルミニウム材料の表面に形成できる表面処理方法および表面処理装置を提供することにある。また、本発明の課題は、優れた接着耐久性を有するアルミニウム表面処理材料を提供することにある。
前記課題を解決するため、本発明に係る表面処理方法は、自動車パネル用のアルミニウム材料の表面処理方法であって、フッ化チタン化合物およびフッ化ジルコニウム化合物の少なくとも1種を含有する処理液をアルミニウム材料の表面に塗布し皮膜を形成する処理液塗布工程と、前記処理液塗布工程において形成した前記皮膜を乾燥する乾燥工程と、前記乾燥工程において乾燥した前記皮膜を30〜80℃の水で水洗する水洗工程と、を含み、前記処理液塗布工程において、金属チタン換算量金属ジルコニウム換算量の合計の塗布量が3〜25mg/mとなるように前記アルミニウム材料の表面に前記処理液を塗布し、前記水洗工程において、前記皮膜の表面における「フッ素換算量/金属チタン換算量と金属ジルコニウム換算量との和」を3.4以下とすることを特徴とする。
本発明に係る表面処理方法は、所定の処理液をアルミニウム材料の表面に塗布することにより皮膜を形成させていることから、噴霧方法や浸漬方法により皮膜を形成させる表面処理方法と比較し、アルミニウム材料の幅方向における皮膜量の均一性を向上させることができる。
また、本発明に係る表面処理方法は、アルミニウム材料の表面に形成させた皮膜を乾燥させた後に、所定の温度の水で水洗することにより、皮膜の表面に偏析したフッ素化合物を除去することができる。その結果、皮膜が形成されたアルミニウム材料に接着対象を接着させるに際して、皮膜の表面に接着耐久性を低下させるフッ素化合物が存在しなくなるため、皮膜が優れた接着耐久性を発揮することとなる。
さらに、本発明に係る表面処理方法は、チタンとジルコニウムの合計の塗布量が所定の範囲となるように処理液を塗布していることから、チタン皮膜量やジルコニウム皮膜量が多過ぎることに起因する接着耐久性の低下(皮膜の脆弱化)を防止することができる。
本発明に係る表面処理装置は、自動車パネル用のアルミニウム材料の表面処理装置であって、フッ化チタン化合物およびフッ化ジルコニウム化合物の少なくとも1種を含有する処理液をアルミニウム材料の表面に塗布し皮膜を形成する処理液塗布装置と、前記処理液塗布装置によって形成した前記皮膜を乾燥する乾燥装置と、前記乾燥装置によって乾燥した前記皮膜を30〜80℃の水で水洗する水洗装置と、を備え、前記処理液塗布装置によって、金属チタン換算量金属ジルコニウム換算量の合計の塗布量が3〜25mg/mとなるように前記アルミニウム材料の表面に前記処理液を塗布し、前記水洗装置によって、前記皮膜の表面における「フッ素換算量/金属チタン換算量と金属ジルコニウム換算量との和」を3.4以下とすることを特徴とする。
また、本発明に係る表面処理装置は、前記アルミニウム材料がアルミニウム板であり、前記アルミニウム板を通板させながら前記処理液塗布装置、前記乾燥装置、及び前記水洗装置による処理が行われることが好ましい。
本発明に係る表面処理装置は、処理液塗布装置によって所定の処理液をアルミニウム材料の表面に塗布することにより皮膜を形成させていることから、噴霧方法や浸漬方法により皮膜を形成させる表面処理装置と比較し、アルミニウム材料の幅方向における皮膜量の均一性を向上させることができる。
また、本発明に係る表面処理装置は、アルミニウム材料の表面に形成させた皮膜を乾燥装置によって乾燥させた後に、水洗装置によって所定の温度の水で水洗することにより、皮膜の表面に偏析したフッ素化合物を除去することができる。その結果、皮膜が形成されたアルミニウム材料に接着対象を接着させるに際して、皮膜の表面に接着耐久性を低下させるフッ素化合物が存在しなくなるため、皮膜が優れた接着耐久性を発揮することとなる。
また、本発明に係る表面処理装置は、チタンとジルコニウムの合計の塗布量が所定の範囲となるように処理液を塗布していることから、チタン皮膜量やジルコニウム皮膜量が多過ぎることに起因する接着耐久性の低下(皮膜の脆弱化)を防止することができる。
本発明に係るアルミニウム表面処理材料は、自動車パネル用のアルミニウム表面処理材料であって、アルミニウム材料と、前記アルミニウム材料の表面に形成されたチタンおよびジルコニウムの少なくとも1種を含有する皮膜と、を備え、前記皮膜は、金属チタン換算量金属ジルコニウム換算量との合計量が3〜17mg/mであるとともに、前記皮膜の表面における「フッ素換算量/金属チタン換算量と金属ジルコニウム換算量との和」が3.4以下であることを特徴とする。
本発明のアルミニウム表面処理材料は、アルミニウム材料の表面に形成された皮膜が、所定のチタン皮膜量およびジルコニウム皮膜量であることによって、皮膜の接着耐久性が向上する。
本発明の表面処理方法および表面処理装置によれば、アルミニウム材料の幅方向における皮膜量の均一性を確保しつつ、優れた接着耐久性を有する皮膜をアルミニウム材料の表面に形成できる。
本発明のアルミニウム表面処理材料によれば、皮膜の接着耐久性が優れたものとなる。
本発明に係る表面処理方法の工程を模式的に示す図である。 本発明の表面処理方法で使用される表面処理装置を模式的に示す図である。 本発明に係るアルミニウム表面処理材料の構成を模式的に示す断面図である。 アルミニウム表面処理材料の接着性評価試験の手順を模式的に示す図である。
本発明に係る表面処理方法、表面処理装置およびアルミニウム表面処理材料の実施形態について説明する。
まず、本発明の表面処理方法で用いられる表面処理装置について説明する。
図2に示すように、表面処理装置21は、処理液塗布装置11と、乾燥装置12と、水洗装置13と、を備える。以下、各構成につて説明する。
(処理液塗布装置)
処理液塗布装置11は、搬入ロール20によって搬入されるアルミニウム材料1の表面に、処理液を塗布する装置である。そして、処理液塗布装置11では、アルミニウム材料1の表面に皮膜2(乾燥前の皮膜2)が形成される。
ここで「塗布」とは、アルミニウム材料1の表面に処理液をこすりつける、または、なすりつけるという処理であり、アルミニウム材料1の表面に処理液を噴霧したり、アルミニウム材料1を処理液に浸漬させたりするような処理を除外するものである。
処理液塗布装置11は、アルミニウム材料1の表面に対して処理液を塗布できる装置であればよく、例えば、図2に示すようなロールコーターであってもよいし、従来公知のバーコーター、ダイコーターといった各種コーター(塗工機)であってもよい。
そして、処理液塗布装置11によってアルミニウム材料1の表面に処理液を塗布するにあたり、チタンとジルコニウムの合計の塗布量が3〜25mg/mとなるように塗布する。なお、チタンとジルコニウムの合計の塗布量、処理液の濃度、処理液の塗布量については、後記する本発明の表面処理方法で説明する。
(乾燥装置)
乾燥装置12は、処理液塗布装置11から搬入されるアルミニウム表面処理材料3を乾燥する装置である。この乾燥装置12は、処理液塗布装置11に隣り合って、あるいは、所定の間隔を空けて設置される。そして、乾燥装置12では、処理液塗布装置11によってアルミニウム材料1の表面に形成した皮膜2を乾燥させる。
乾燥装置12は、皮膜2に対して乾燥処理を施すことができる装置であればよく、例えば、アルミニウム表面処理材料3に加熱処理(処理温度:50〜150℃、処理時間:10〜60秒)を施す装置であってもよいし、皮膜2に対して熱風や乾燥空気を吹き付けるといった装置であってもよい。
(水洗装置)
水洗装置13は、乾燥装置12から搬入されるアルミニウム表面処理材料3を水洗する装置である。この水洗装置13は、乾燥装置12に隣り合って、あるいは、所定の間隔を空けて設置される。そして、水洗装置13では、乾燥装置12によって乾燥した皮膜2が水洗される。
水洗装置13は、皮膜2の表面に水洗処理を施すことができる装置であればよく、例えば、アルミニウム表面処理材料3の上下に配置された噴射ノズルから噴射される水によって皮膜2を洗浄する装置であってもよく、浸漬槽に貯められた水にアルミニウム表面処理材料3を潜らせるといった装置であってもよい。
そして、水洗装置13において使用する水の温度は、30〜80℃である。なお、水の温度については、後記する本発明の表面処理方法で説明する。
以上のように構成された表面処理装置21は、アルミニウム材料1が搬入ロール20によって搬入される経路において、従来公知のアルカリ洗浄装置、水洗装置、酸洗装置、水洗装置を処理液塗布装置11の前方にさらに備えていてもよい(図示せず)。このアルカリ洗浄装置、水洗装置、酸洗装置、水洗装置は、アルミニウム材料1の作製時に、表面に残存する油分、アルミニウム材料1の表面に形成されるアルミニウム酸化皮膜またはマグネシウム酸化皮膜を除去するための装置である。
また、表面処理装置21は、従来公知の乾燥装置を水洗装置13の後方にさらに備えていてもよい(図示せず)。この乾燥装置は、水洗装置13によって水洗された皮膜を乾燥するための装置である。
なお、表面処理装置21は、処理対象であるアルミニウム材料1がアルミニウム板であって、このアルミニウム板を通板(移動)させながら、処理液塗布装置11、乾燥装置12、水洗装置13などにおける各処理を行う構成(表面処理を施す構成)であるのが、処理能力を向上させる点において好ましい。
次に、本発明に係る表面処理方法について、図面を参照して説明する。
図1に示すように、本発明の表面処理方法は、処理液塗布工程S5と、乾燥工程S6と、水洗工程S7とを含むことを特徴とする。
また、本発明の表面処理方法は、処理液塗布工程S5の前にアルカリ洗浄工程S1と、水洗工程S2と、酸洗浄工程S3と、水洗工程S4とを含み、水洗工程S7の後に乾燥工程S8を含むものであってもよい。以下、各工程について、具体的に説明する。なお、本発明の表面処理方法で得られるアルミニウム表面処理材料の構成については、一例として図3を参照する。
(アルカリ洗浄工程)
アルカリ洗浄工程S1は、アルミニウム材料1の表面をアルカリで洗浄することによって、アルミニウム材料1の表面に残存する油分を除去する工程である。ここで、油分は、アルミニウム材料1を作製する際に、アルミニウム材料1の表面に付着した潤滑油等である。また、アルカリ洗浄装置またはアルカリ洗浄条件については、アルミニウム材料1の搬入経路に沿って設けられる従来公知の装置、または、従来公知の条件が用いられる。なお、アルミニウム材料1の表面に残存する油分の付着量が無視できる場合には、アルカリ洗浄工程S1を省略することが可能である。
(水洗工程)
水洗工程S2は、アルミニウム材料1の表面を水洗することによって、アルミニウム材料1の表面に残存するアルカリを除去する工程である。また、水洗装置または水洗条件については、従来公知の装置または条件が用いられる。なお、前記アルカリ洗浄工程S1を省略した際には、水洗工程S2を省略することができる。
(酸洗浄工程)
酸洗浄工程S3は、アルミニウム材料1の表面を酸で洗浄することによって、アルミニウム材料1の表面に残存するアルミニウム酸化皮膜またはマグネシウム酸化皮膜を除去する工程である。ここで、アルミニウム酸化皮膜またはマグネシウム酸化皮膜は、アルミニウム材料1を作製する際に、アルミニウム材料1の表面に形成される酸化皮膜である。また、酸洗浄装置または酸洗浄条件については、従来公知の装置または条件が用いられる。なお、アルミニウム材料1の表面に残存するアルミニウム酸化皮膜またはマグネシウム酸化皮膜の皮膜量が無視できる場合には、酸洗浄工程S3を省略することが可能である。
(水洗工程)
水洗工程S4は、アルミニウム材料1の表面を水洗することによって、アルミニウム材料1の表面に残存する酸を除去する工程である。また、水洗装置または水洗条件については、従来公知の装置または条件が用いられる。なお、前記酸洗浄工程S3を省略した際には、水洗工程S4を省略することができる。
(処理液塗布工程)
処理液塗布工程S5は、フッ化チタン化合物およびフッ化ジルコニウム化合物の少なくとも1種を含有する処理液をアルミニウム材料1の表面に塗布する工程である。
そして、処理液塗布工程S5において、アルミニウム材料1の表面に塗布された処理液はアルミニウム材料1と反応して、アルミニウム材料1の表面にチタンおよびジルコニウムの少なくとも1種を含有する皮膜2を形成する。
ここで、フッ化チタン化合物とは、例えば、KTiF、(NHTiF等のフルオロチタネート、HTiF等のフルオロチタネート酸、TiF(フッ化チタン)等である。フッ化ジルコニウム化合物とは、例えば、KZrF、(NHZrF等のフルオロジルコネート、HZrF等のフルオロジルコネート酸、ZrF(フッ化ジルコニウム)等である。
処理液塗布工程S5における処理液塗布装置は、図2に示すようなロールコーターや、従来公知の各種コーター(塗工機)を用いることができる。また、処理液塗布工程S5における塗布条件は、従来公知の塗布条件を用いることができる。
しかしながら、処理液塗布工程S5において、チタン(金属チタン換算量)とジルコニウム(金属ジルコニウム換算量)の合計の塗布量が3〜25mg/mとなるようにアルミニウム材料1の表面に処理液を塗布する必要がある。そして、チタンとジルコニウムの合計の塗布量は、5mg/m以上が好ましく、20mg/m以下がさらに好ましい。このようにチタンとジルコニウムの合計の塗布量が所定の範囲となるように処理液を塗布することによって、形成された皮膜2は、金属チタン換算量のチタン皮膜量と金属ジルコニウム換算量のジルコニウム皮膜量との合計量が3〜17mg/mとなり、皮膜2の接着耐久性が向上する。
詳細には、チタンとジルコニウムの合計の塗布量が所定値未満であると、十分なチタン皮膜量とジルコニウム皮膜量が得られない。一方、チタンとジルコニウムの合計の塗布量が所定値を超えると、皮膜量が過剰になり、皮膜2が脆くなる。
また、フッ化チタン化合物およびフッ化ジルコニウム化合物の少なくとも1種を含有する処理液は、チタン濃度とジルコニウム濃度との合計量が0.1〜20.0g/Lである水溶液を用いるのが好ましい。そして、この処理液は、チタン濃度が0.1〜12.0g/Lおよびジルコニウム濃度が0.1〜12.0g/Lの少なくとも一方を満足するのが好ましい。
このようなチタン濃度およびジルコニウム濃度を有する処理液を用いることにより、後記するような範囲の処理液の塗布量(1〜100mL/m)の場合、形成された皮膜2は、金属チタン換算量のチタン皮膜量と金属ジルコニウム換算量のジルコニウム皮膜量との合計量が3〜17mg/mとなり、皮膜2の接着耐久性が向上する。また、形成された皮膜2は、チタン皮膜量が金属チタン換算量で1〜10mg/mおよびジルコニウム皮膜量が金属ジルコニウム換算量で1〜10mg/mの少なくとも一方を満足することとなる。
処理液のチタン濃度とジルコニウム濃度との合計量が、0.1g/L未満であると、十分なチタン皮膜量とジルコニウム皮膜量が得られない。一方、処理液のチタン濃度とジルコニウム濃度との合計量が、20.0g/Lを超えると、皮膜量が過剰になり、皮膜2が脆くなる。
処理液のチタン濃度が0.1g/L未満であると、十分なチタン皮膜量が得られない。一方、チタン濃度が12.0g/Lを超えると、チタン皮膜量が過剰になる。また、処理液の製造コストアップにもつながる。処理液は、接着耐久性を向上させる観点から、チタン濃度の下限値が0.2g/L、チタン濃度の上限値が10.0g/Lであることが好ましい。
処理液のジルコニウム濃度が0.1g/L未満であると、十分なジルコニウム皮膜量が得られない。ジルコニウム濃度が12.0g/Lを超えると、ジルコニウム皮膜量が過剰になる。また、処理液の製造コストのアップにもつながる。処理液は、接着耐久性を向上させる観点から、ジルコニウム濃度の下限値が0.2g/L、ジルコニウム濃度の上限値が10.0g/Lであることが好ましい。
処理液の塗布量は、1〜100mL/mが好ましい。
処理液の塗布量が1mL/m未満であると、所望のチタン皮膜量およびジルコニウム皮膜量が得られない。一方、処理液の塗布量が100mL/mを超えると、形成された皮膜2の均一性を失いやすい。
(乾燥工程)
乾燥工程S6は、処理液塗布工程S5においてアルミニウム材料1の表面に形成した皮膜2を乾燥する工程である。
乾燥工程S6における乾燥処理は、皮膜2に対して乾燥処理を施すことができる処理であればよく、例えば、アルミニウム表面処理材料3を加熱する処理(処理温度:50〜150℃、処理時間:10〜60秒)であってもよいし、皮膜2に対して熱風や乾燥空気を吹き付ける処理であってもよい。
(水洗工程)
水洗工程S7は、乾燥工程S6において乾燥した皮膜2を30〜80℃の水で水洗する工程である。
そして、水洗工程S7において、乾燥工程S6の後の皮膜2の表面に偏析したフッ素化合物(アルミニウム材料1と処理液との反応により発生するフッ化アルミニウムや、処理液中の未反応分のフッ素化合物)が水によって洗い流される。その結果、アルミニウム材料1の表面に形成された皮膜1が優れた接着耐久性を発揮することとなる。
水洗工程S7における水洗処理は、皮膜2の表面に水洗処理を施すことができる処理であればよく、例えば、アルミニウム表面処理材料3の上下に配置された噴射ノズルから噴射される水によって皮膜2を洗浄する処理であってもよく、浸漬槽に貯められた水にアルミニウム表面処理材料3を潜らせるといった処理であってもよい。
水洗工程S7で使用する水の温度は、30〜80℃である。水の温度が30℃未満であると、皮膜2の表面に偏析するフッ素化合物を十分に除去することができない。一方、水の温度が80℃を超えると、皮膜2の表面に偏析するフッ素化合物の除去の効果が飽和する。
なお、水洗工程S7における水洗処理の時間については、特に限定されないが、2〜120秒であればよい。
(乾燥工程)
乾燥工程S8は、水洗工程S7において水洗された皮膜2を乾燥する工程である。また、乾燥装置または乾燥条件については、従来公知の装置または条件が用いられる。
次に、本発明の表面処理方法で得られるアルミニウム表面処理材料について説明する。
図3に示すように、アルミニウム表面処理材料は、アルミニウム材料1と、アルミニウム材料1の表面に形成された皮膜2とを備える。ここで、アルミニウム材料1の表面とは、アルミニウム材料1の少なくとも一面を意味し、いわゆる片面、両面または複数の面が含まれる。以下、各構成について説明する。
(アルミニウム材料)
アルミニウム材料1は、コイル状またはシート状のアルミニウム板、鋳物または押し出し加工材の形状で提供され、好ましくはアルミニウム板である。アルミニウム材料1を構成するアルミニウム合金としては、Al−Mg系合金、Al−Mg−Si系合金が好ましい。Al−Mg系合金はJIS規定の5000系合金であり、Al−Mg−Si系合金はJIS規定の6000系合金である。
アルミニウム材料1の厚さは、0.7〜3.0mmである。厚さが0.7mm未満であると強度不足になり、厚さ3.0mmを超えると製造コストアップにつながる。アルミニウム材料1の厚さは、強度の観点から0.8mm以上が好ましく、製造コストの観点から2.3mm以下が好ましい。
(皮膜)
皮膜2は、所定量のチタンおよびジルコニウムを含有する皮膜である。そして、皮膜2におけるチタンは、チタン酸化物およびチタンフッ化物の少なくとも一方であることが好ましく、皮膜2におけるジルコニウムは、ジルコニウム酸化物およびジルコニウムフッ化物の少なくとも一方であることが好ましい。また、皮膜2は、チタンおよびジルコニウムのほかに、残部がアルミニウムおよび不純物からなる。ここで、残部のアルミニウムにはアルミニウム酸化物、アルミニウムフッ化物等が含まれる。
皮膜2は、金属チタン換算量のチタン皮膜量と金属ジルコニウム換算量のジルコニウム皮膜量との合計量が3〜17mg/mとする。そして、皮膜2は、チタン皮膜量が金属チタン換算量で1〜10mg/mおよびジルコニウム皮膜量が金属ジルコニウム換算量で1〜10mg/mの少なくとも一方を満足するのが好ましい。これにより、皮膜2の水、酸素、塩化物イオン等の劣化因子に対する安定性が増し、湿潤環境におけるアルミニウム材料1の表面における水和が抑制される。その結果、皮膜2の接着耐久性が向上する。
皮膜2のチタン皮膜量とジルコニウム皮膜量との合計量は、3mg/m未満では、アルミニウム材料1の表面における水和の抑制効果が十分でなく、17mg/mを超えると接着時に皮膜内部の破壊が生じ易くなる。また、アルミニウム材料1の表面における水和抑制する観点から、皮膜2のチタン皮膜量とジルコニウム皮膜量との合計量の下限値は5mg/mが好ましく、接着時の皮膜内部の破壊を抑制する観点から、皮膜2のチタン皮膜量とジルコニウム皮膜量との合計量の上限値は15mg/mが好ましい。
皮膜2のチタン皮膜量が1mg/m未満であると前記の効果がなく、チタン皮膜量が10mg/m超えであると前記の効果が飽和し製造コストアップとなり、また、接着時に皮膜内部の破壊が生じ易くなる。また、アルミニウム材料1の表面における水和を抑制する観点からチタン皮膜量の下限値は2mg/mが好ましく、皮膜2の製造コストアップおよび皮膜内部の破壊を抑制する観点から、チタン皮膜量の上限値は8mg/mが好ましい。
皮膜2のジルコニウム皮膜量が1mg/m未満であると前記の効果がなく、ジルコニウム皮膜量が10mg/m超えであると前記の効果が飽和し製造コストアップとなり、また、接着時に皮膜内部の破壊が生じ易くなる。また、アルミニウム材料1の表面における水和を抑制する観点から、ジルコニウム皮膜量の下限値は2mg/mが好ましく、皮膜2の製造コストアップおよび皮膜内部の破壊を抑制する観点から、ジルコニウム皮膜量の上限値は8mg/mが好ましい。
皮膜2の厚さは、チタン皮膜量およびジルコニウム皮膜量が所定量であれば特に限定されないが、10〜150nmであることが好ましい。皮膜2の厚さが10nm未満であると接着耐久性が維持し難くなり、皮膜2の厚さが150nmを超えると接着耐久性が飽和し製造コストアップになり易い。
皮膜2のチタン皮膜量およびジルコニウム皮膜量は、蛍光X線(XRF:X−ray Fluorescence Analysis)によって測定することが可能である。また、皮膜2の厚さは、グロー放電発光分析装置(GD−OES:Glow Discharge Optical Emission Spectroscopy)によって測定することが可能である。また、皮膜量および厚さの測定法は、XRF、GD−OESに限定されず、前記測定法と同精度を持つ測定法であればよい。
[実施例1]
次に、本発明の表面処理方法およびアルミニウム表面処理材料について、本発明の要件を満たす実施例と、本発明の要件を満たさない比較例と、を対比させて具体的に説明する。
実施例1では、表面処理方法の種類が、皮膜に与える影響について確認した。
まず、JIS規定の6016系合金を用いて、厚さが1.0mmで幅が1000mmのアルミニウム板を作製した。このアルミニウム板をアルカリ脱脂、水洗し、次いで酸洗浄、水洗した。
アルミニウム表面処理材料(No.1)については、酸洗浄後に水洗したアルミニウム板の表面に対して、フッ化チタン化合物としてフルオロチタネート酸を6g/L、フッ化ジルコニウム化合物としてフルオロジルコネート酸を6g/L含有する処理液(温度25℃、1mL/m)を塗布した。その後、110℃、30秒の乾燥処理を行った後、60℃の水で15秒間の水洗処理を行い、室温乾燥を行うことで、アルミニウム表面処理材料(No.1)を作製した。
一方、アルミニウム表面処理材料(No.2)については、酸洗浄後に水洗したアルミニウム板の表面に対して、フッ化チタン化合物としてフルオロチタネート酸を150ppm、フッ化ジルコニウム化合物としてフルオロジルコネート酸を250ppm含有する処理液(50℃)を3秒間噴霧した。その後、60℃の水で3秒間の水洗処理を行った後、110℃、30秒の乾燥処理を行うことで、アルミニウム表面処理材料(No.2)を作製した。
作製したアルミニウム表面処理材(No.1、No.2)の表面に形成された皮膜について、幅方向端部である「エッジ(1)、エッジ(2)」、「エッジ(1)から幅方向内側に100mmの位置」、「エッジ(2)から幅方向内側に100mmの位置」、幅方向中央部である「センター」におけるチタン皮膜量およびジルコニウム皮膜量を、蛍光X線(XRF)により測定した。その結果を表1に示す。
Figure 0006510844
表1に示すように、実施例であるアルミニウム表面処理材料(No.1)は、表面処理方法が「塗布」であったため、「エッジ(1)、エッジ(2)」、「エッジ(1)から幅方向内側に100mmの位置」、「エッジ(2)から幅方向内側に100mmの位置」、「センター」におけるチタン皮膜量およびジルコニウム皮膜量が同じであった。つまり、幅方向における皮膜量の均一性を確保することができていた。
一方、比較例であるアルミニウム表面処理材料(No.2)は、表面処理方法が「スプレー(噴霧)」であったため、各場所におけるチタン皮膜量およびジルコニウム皮膜量にばらつきがあった。つまり、幅方向における皮膜量の均一性に劣っていた。
[実施例2]
実施例2では、水洗処理で使用する水の温度が、皮膜に与える影響について確認した。
まず、JIS規定の6016系合金を用いて、厚さが1.0mmのアルミニウム板を作製した。このアルミニウム板をアルカリ脱脂、水洗し、次いで酸洗浄、水洗した。
アルミニウム表面処理材料(No.3〜12)については、酸洗浄後に水洗したアルミニウム板の表面に対して、フッ化チタン化合物としてフルオロチタネート酸を6g/L、フッ化ジルコニウム化合物としてフルオロジルコネート酸を6g/L含有する処理液(温度25℃、1mL/m)を塗布した。その後、110℃、30秒の乾燥処理を行った後、所定の温度の水で所定時間の水洗処理を行い、室温乾燥を行うことで、アルミニウム表面処理材料(No.3〜12)を作製した。
一方、アルミニウム表面処理材料(No.13)については、酸洗浄後に水洗したアルミニウム板の表面に対して、フッ化チタン化合物としてフルオロチタネート酸を150ppm、フッ化ジルコニウム化合物としてフルオロジルコネート酸を250ppm含有する処理液(50℃)を3秒間噴霧した。その後、25℃の水で60秒間の水洗処理を行った後、室温乾燥を行うことで、アルミニウム表面処理材料(No.13)を作製した。
作製したアルミニウム表面処理材(No.3〜13)の表面に形成された皮膜について、幅方向中央部である「センター」におけるチタン皮膜量およびジルコニウム皮膜量を、蛍光X線(XRF)により測定した。
また、作製したアルミニウム表面処理材(No.3〜13)の表面に形成された皮膜の表面のフッ素換算量、金属チタン換算量、および金属ジルコニウム換算量の重量パーセント濃度をX線光電子分光(XPS)で測定し、皮膜の表面における「フッ素換算量」と「金属チタン換算量と金属ジルコニウム換算量の和」との比(=「フッ素換算量」/「金属チタン換算量と金属ジルコニウム換算量の和」、表中および以下では「表面F/(Ti+Zr)」とする)を算出した。
Figure 0006510844
表2に示すように、実施例であるアルミニウム表面処理材料(No.3〜8)は、水洗処理に使用した水の温度が所定の範囲内であったため、「表面F/(Ti+Zr)」が低下していた。つまり、皮膜の表面のフッ素化合物が除去されていた。
なお、実施例であるアルミニウム表面処理材料(No.3〜8)は、水洗処理を行っていないアルミニウム表面処理材料(No.12)と比較すると明らかなように、皮膜量の減少は確認できなかった。
一方、比較例であるアルミニウム表面処理材料(No.9〜12)は、水洗処理に使用した水の温度が所定の値よりも低かったため、または、水洗処理自体を行っていなかったため、「表面F/(Ti+Zr)」がほとんど低下していなかった。
なお、参考例であるアルミニウム表面処理材料(No.13)は、表面処理方法が「スプレー(噴霧)」であったため、「表面F/(Ti+Zr)」が低下していた。
[実施例3]
実施例3では、「表面F/(Ti+Zr)」と「接着耐久性」との関係について確認した。
実施例2において作製したアルミニウム表面処理材(No.8、12、13)を用いて、図4に示すような下側試験片31と上側試験片33とを接着剤32を介して接合した接着試験体34(No.14、15、16)を作製した。この接着試験体34を用いて、以下の接着耐久性試験を行った。接着試験体34の具体的な作製方法は、次のとおりである。
図4に示すように、下側試験片31と上側試験片33とを、熱硬化型エポキシ樹脂系接着剤32によりラップ長10mm(接着面積:25mm×10mm)となるように重ね合わせ貼り付けた。このとき、接着剤32の厚さが250μmとなるようにガラスビーズ(粒径250μm)を接着剤32に添加して調節した。その後、170℃×20分で焼付、硬化させた。その後、室温で24時間静置して接着試験体34とした。
(接着耐久性試験)
作製した接着試験体34を中性塩水噴霧中で14日間保持した後、下側および上側試験片31、33の未接着の部位を掴み、10mm/minの速度でせん断引張り試験を行った。そして、接着試験体34の破壊形態の観察および接着強度の算出を以下の手順で行い、接着耐久性を評価した。
なお、各接着試験体34は3本ずつ作製し、以下の凝集破壊率および接着強度は3本の平均値とした。
(接着耐久性試験:破壊形態)
引張り試験後の接着試験体34の剥離状態を観察し、接着剤32の内部での破壊を凝集破壊、下側試験片31と接着剤32との界面、および、上側試験片33と接着剤32との界面での剥離を界面破壊とし、下式(1)で破壊形態の指標としての凝集破壊率を算出した。
凝集破壊率(%)=100−{(下側試験片31の界面剥離面積/下側試験片31の接着面積)×100+(上側試験片33の界面剥離面積/上側試験片33の接着面積)×100)}・・・(1)
また、破壊形態の評価基準は、凝集破壊率が90%未満を不良「×」、90%以上を良好「○」とした。その結果を表3に示す。
(接着耐久性試験:接着強度)
引張り試験時に得られた応力−ひずみ線図から、破断時の最大応力を接着面積で除した値を接着強度とした。その結果を表3に示す。
Figure 0006510844
表3に示すように、実施例であるアルミニウム表面処理材(No.8)で作製した接着試験体(No.14)は、乾燥処理の後に所定の水洗処理を行っていたことから、「表面F/(Ti+Zr)」が減少し、その結果、破壊形態が良好となるとともに、接着強度も高い値となった。つまり、乾燥処理の後の所定の水洗処理により「表面F/(Ti+Zr)」を減少させることによって、接着耐久性が優れたものとなることが確認できた。
なお、実施例であるアルミニウム表面処理材料(No.8)で作製した接着試験体(No.14)は、表面処理方法が「スプレー(噴霧)」であるアルミニウム表面処理材料(No.13)で作製した接着試験体(No.16)と比較すると、接着強度が同程度となった。
一方、比較例であるアルミニウム表面処理材料(No.12)で作製した接着試験体(No.15)は、乾燥処理の後に水洗処理を行っていなかったことから、「表面F/(Ti+Zr)」の値が高く、破壊形態が不良となるとともに、接着試験体(No.14、16)と比較して接着強度が低い値となった。
[実施例4]
実施例4では、チタンとジルコニウムの合計の塗布量が、皮膜に与える影響について確認した。
まず、JIS規定の6016系合金を用いて、厚さが1.0mmのアルミニウム板を作製した。このアルミニウム板をアルカリ脱脂、水洗し、次いで酸洗浄、水洗した。
そして、酸洗浄後に水洗したアルミニウム板の表面に対して、フッ化チタン化合物としてフルオロチタネート酸を所定量、フッ化ジルコニウム化合物としてフルオロジルコネート酸を所定量含有する処理液(温度25℃)を所定量塗布した。その後、110℃、30秒の乾燥処理を行った後、60℃の温度の水で60秒間の水洗処理を行い、室温乾燥を行うことで、アルミニウム表面処理材料(No.17〜22)を作製した。
作製したアルミニウム表面処理材(No.17〜22)の表面に形成された皮膜について、実施例2と同様の方法により、チタン皮膜量およびジルコニウム皮膜量を測定した。
また、作製したアルミニウム表面処理材(No.17〜22)を用いて、実施例3と同様の方法により接着試験体(No.17〜22)を作製し、接着耐久性試験(破壊形態および接着強度)を実施した。その結果を表4に示す。
Figure 0006510844
表4に示すように、実施例であるアルミニウム表面処理材(No.17〜21)は、チタンとジルコニウムの合計の塗布量が所定の範囲内であったことから、所望の皮膜を形成することができた。その結果、実施例であるアルミニウム表面処理材(No.17〜21)で作製した接着試験体(No.17〜21)は、破壊形態が良好となるとともに、接着強度も高い値となった。つまり、処理液のチタン濃度とジルコニウム濃度の合計量が所定の範囲内とすることにより、接着耐久性が優れたものとなることが確認できた。
一方、比較例であるアルミニウム表面処理材料(No.22)は、チタンとジルコニウムの合計の塗布量が所定の値を超えていたことから、所望の皮膜を形成することができなかった。その結果、比較例であるアルミニウム表面処理材(No.22)で作製した接着試験体(No.22)は、破壊形態が不良となるとともに、接着試験体(No.17〜21)と比較して接着強度が低い値となった。
以上、本発明に係る表面処理方法、表面処理装置およびアルミニウム表面処理材料について実施の形態および実施例を示して詳細に説明したが、本発明の趣旨は前記した内容に限定されることなく、その権利範囲は特許請求の範囲の記載に基づいて解釈しなければならない。なお、本発明の内容は、前記した記載に基づいて改変・変更等することができることはいうまでもない。
S1 アルカリ洗浄工程
S2 水洗工程
S3 酸洗浄工程
S4 水洗工程
S5 処理液塗布工程
S6 乾燥工程
S7 水洗工程
S8 乾燥工程
1 アルミニウム材料
2 皮膜
3 アルミニウム表面処理材料
11 処理液塗布装置
12 乾燥装置
13 水洗装置
21 表面処理装置

Claims (4)

  1. 自動車パネル用のアルミニウム材料の表面処理方法であって、
    フッ化チタン化合物およびフッ化ジルコニウム化合物の少なくとも1種を含有する処理液をアルミニウム材料の表面に塗布し皮膜を形成する処理液塗布工程と、
    前記処理液塗布工程において形成した前記皮膜を乾燥する乾燥工程と、
    前記乾燥工程において乾燥した前記皮膜を30〜80℃の水で水洗する水洗工程と、を含み、
    前記処理液塗布工程において、金属チタン換算量金属ジルコニウム換算量の合計の塗布量が3〜25mg/mとなるように前記アルミニウム材料の表面に前記処理液を塗布し、
    前記水洗工程において、前記皮膜の表面における「フッ素換算量/金属チタン換算量と金属ジルコニウム換算量との和」を3.4以下とすることを特徴とする表面処理方法。
  2. 自動車パネル用のアルミニウム材料の表面処理装置であって、
    フッ化チタン化合物およびフッ化ジルコニウム化合物の少なくとも1種を含有する処理液をアルミニウム材料の表面に塗布し皮膜を形成する処理液塗布装置と、
    前記処理液塗布装置によって形成した前記皮膜を乾燥する乾燥装置と、
    前記乾燥装置によって乾燥した前記皮膜を30〜80℃の水で水洗する水洗装置と、を備え、
    前記処理液塗布装置によって、金属チタン換算量金属ジルコニウム換算量の合計の塗布量が3〜25mg/mとなるように前記アルミニウム材料の表面に前記処理液を塗布し、
    前記水洗装置によって、前記皮膜の表面における「フッ素換算量/金属チタン換算量と金属ジルコニウム換算量との和」を3.4以下とすることを特徴とする表面処理装置。
  3. 前記アルミニウム材料がアルミニウム板であり、前記アルミニウム板を通板させながら前記処理液塗布装置、前記乾燥装置、及び前記水洗装置による処理が行われることを特徴とする請求項2に記載の表面処理装置。
  4. 自動車パネル用のアルミニウム表面処理材料であって、
    アルミニウム材料と、前記アルミニウム材料の表面に形成されたチタンおよびジルコニウムの少なくとも1種を含有する皮膜と、を備え、
    前記皮膜は、金属チタン換算量金属ジルコニウム換算量との合計量が3〜17mg/mであるとともに、前記皮膜の表面における「フッ素換算量/金属チタン換算量と金属ジルコニウム換算量との和」が3.4以下であることを特徴とするアルミニウム表面処理材料。
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