JP6507668B2 - プリント配線板の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、プリント配線板の製造方法に関する。
従来、多層プリント配線板は、熱プレス工程を経て製造されている。この熱プレス工程は、例えば、片面又は両面に回路(配線)を有する内層基板上に、絶縁層となる繊維基材に樹脂組成物を含浸して得られるプリプレグ、又は繊維基材を含まない樹脂フィルムと、銅箔とを積層し、加熱、加圧することによって行われる。熱プレス工程は、その生産性の高さから、多層プリント配線板の製造プロセスにおいて、多く用いられている。
そして、近年、電子機器の小型化、高集積化に伴い、多層プリント配線板の微細配線化が求められている。微細配線を形成する方法としては、絶縁層の表面に無電解銅めっきを施した後、必要な部分のみに電解銅めっきを行い、不要な部分の銅めっき層をエッチングによって除去し配線を形成する、セミアディティブ法が好適に用いられる。この方法によれば、エッチング除去する銅層の厚みが薄いほど、つまり、表面粗さのより小さな絶縁層の表面にめっき銅層を薄く形成させて除去することによって、さらなる微細配線化が可能となる。
このような状況において、無電解銅めっきとの接着力の向上を目的とするプライマー層を配線板用積層板に設ける技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この方法によれば、未硬化又は半硬化状態のプライマーを配線板用材料(例えば、プリプレグ)と共にプレスにより成形することで、セミアディティブ法に好適な積層板を得ることができる。しかしながら、この方法では、使用する半硬化状態の配線板用材料によって無電解銅めっきとプライマー層との接着強度が変動する問題等が生じており、適用可能な材料が制限されるという課題があった。
また、プライマー層は、配線板用材料とプレスする工程の前は、未硬化又は半硬化の状態でキャリアフィルム上に形成されている。高温成形が必要な配線板用材料と組み合わせる場合、キャリアフィルムとしては、銅箔又は耐熱性の高い有機フィルムを用いる必要がある。ポリエチレンテレフタレート(以下、「PET」ともいう)等の耐熱性の低い有機フィルムをキャリアフィルムとして使用した場合、キャリアフィルムの耐熱性が低いため、キャリアフィルムが熱変形を起こすことがあり、配線板用材料上にプライマー層を歩留まりよく生産することが難しい。したがって、耐熱性の低い有機フィルムをキャリアフィルムとして用いた場合でも、歩留まりよく、配線板用材料上にプライマー層を形成する方法が望まれていた。
また、従来のプライマー層は、めっき銅との高接着性を発現させるために、例えば、銅箔の凹凸をプライマー層に転写させる手法(例えば、特許文献1参照)、及びデスミア処理により凹凸を形成する手法等により粗化処理が施されている。しかしながら、銅箔の凹凸を転写させる手法では、表面粗さが大きく、微細配線形成が困難となる問題があった。一方、デスミア処理により凹凸を形成する手法では、薬液の管理、及び処理の安定性等の点で課題があった。したがって、表面粗さが小さい表面において良好な接着力を発現するプライマー層が望まれていた。
特開2003−251739号公報
本発明の目的は、配線板用材料、及びキャリアフィルムを制限せず、表面粗さが小さい表面において、導体層に対して良好な接着力を発現する、セミアディティブ法に好適なプリント配線板の製造方法を提供することである。
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、以下に示すプリント配線板の製造方法が上記目的に沿うものであることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、以下の材料を提供するものである。
[1]下記工程1〜6を有する、プリント配線板の製造方法。
工程1:熱硬化性樹脂を含有する絶縁層用組成物を硬化してなる絶縁層に、キャリアフィルムと、該キャリアフィルム上に形成されたプライマー層用樹脂組成物層とを有する、キャリアフィルム付きプライマー層用樹脂組成物層を、キャリアフィルムが外側になるように重ね、加熱及び加圧し、絶縁層とプライマー層用樹脂組成物層とキャリアフィルムとをこの順に有する、積層体(A)を得る工程
工程2:工程1で得られた積層体(A)中のプライマー層用樹脂組成物層を熱硬化して、絶縁層とプライマー層とキャリアフィルムとをこの順に有する、積層体(B)を得る工程
工程3:積層体(B)にビアを作製する工程
工程4:工程3で作製したビアをクリーニングする工程
工程5:積層体(B)のキャリアフィルムを除去して、絶縁層とプライマー層とを有する積層体(C)を得る工程
工程6:積層体(C)のプライマー層に、めっきにより導体層を形成して、積層体(D)を得る工程
[2]前記絶縁層の表面粗さ(Ra)が0.6μm以下である、上記[1]に記載のプリント配線板の製造方法。
[3]前記絶縁層が、プリプレグを硬化してなる絶縁層である、上記[1]又は[2]に記載のプリント配線板の製造方法。
[4]前記キャリアフィルムが有機フィルムである、上記[1]〜[3]のいずれかに記載のプリント配線板の製造方法。
[5]前記キャリアフィルムがポリエチレンテレフタレートフィルムである、上記[4]に記載のプリント配線板の製造方法。
[6]前記キャリアフィルムの厚みが1〜100μmである、上記[1]〜[5]のいずれかに記載のプリント配線板の製造方法。
[7]前記プライマー層用樹脂組成物層の厚みが0.1〜20μmである、上記[1]〜[6]のいずれかに記載のプリント配線板の製造方法。
[8]前記工程2における熱硬化の温度が80〜230℃であり、硬化時間が15〜180分である、上記[1]〜[7]のいずれかに記載のプリント配線板の製造方法。
[9]前記工程6の前に、プライマー層の表面に紫外線照射処理を施す工程を有する、上記[1]〜[8]のいずれかに記載のプリント配線板の製造方法。
[10]前記紫外線照射処理が、大気圧雰囲気下で、最大波長300〜450nmの紫外線を放射する紫外線ランプを用いて行われる処理であり、放射する紫外線の光量が1000〜50000mJ/cmである、上記[9]に記載のプリント配線板の製造方法。
本発明によれば、配線板用材料、及びキャリアフィルムを制限せず、表面粗さが小さい表面において、導体層に対して良好な接着力を発現する、セミアディティブ法に好適なプリント配線板を提供することができる。
[プリント配線板の製造方法]
本発明のプリント配線板の製造方法は、下記工程1〜6を有する。
工程1:熱硬化性樹脂を含有する絶縁層用組成物を硬化してなる絶縁層に、キャリアフィルムと、該キャリアフィルム上に形成されたプライマー層用樹脂組成物層とを有する、キャリアフィルム付きプライマー層用樹脂組成物層を、キャリアフィルムが外側になるように重ね、加熱及び加圧し、絶縁層とプライマー層用樹脂組成物層とキャリアフィルムとをこの順に有する、積層体(A)を得る工程
工程2:工程1で得られた積層体(A)中のプライマー層用樹脂組成物層を熱硬化して、絶縁層とプライマー層とキャリアフィルムとをこの順に有する、積層体(B)を得る工程
工程3:積層体(B)にビアを作製する工程
工程4:工程3で作製したビアをクリーニングする工程
工程5:積層体(B)のキャリアフィルムを除去して、絶縁層とプライマー層とを有する積層体(C)を得る工程
工程6:積層体(C)のプライマー層に、めっきにより導体層を形成して、積層体(D)を得る工程
本発明の製造方法により得られるプリント配線板が、配線板用材料、及びキャリアフィルムを制限せず、表面粗さが小さい表面において、導体層に対して良好な接着力を発現する理由は必ずしも定かではないが、以下のように考えられる。
本発明の製造方法は、硬化した絶縁層とキャリアフィルム付きプライマー層用樹脂組成物層とを組み合わせることで、加熱及び加圧したときに、絶縁層中の成分がプライマー層中に移行することを抑制でき、これによって、組み合わせる配線板用材料が制限されないものと考えられる。
また、予め絶縁層を硬化させておくことで、キャリアフィルム付きプライマー層用樹脂組成物層を絶縁層上に積層し、プライマー層を形成する際に、絶縁層を硬化させるための加熱が不要となる。そのため、絶縁層に高温成形が必要な材料を用いた場合においても、使用するキャリアフィルムは、高い耐熱性を要求されず、PETフィルム等の耐熱性の低い有機フィルムを用いることができる。
以下、各工程について説明する。
<工程1>
工程1は熱硬化性樹脂を含有する絶縁層用組成物を硬化してなる絶縁層に、キャリアフィルムと、該キャリアフィルム上に形成されたプライマー層用樹脂組成物層とを有する、キャリアフィルム付きプライマー層用樹脂組成物層を、キャリアフィルムが外側になるように重ね、加熱及び加圧し、絶縁層とプライマー層用樹脂組成物層とキャリアフィルムとをこの順に有する、積層体(A)を得る工程である。
(絶縁層)
工程1で用いる絶縁層は、熱硬化性樹脂を含有する絶縁層用組成物(以下、単に「絶縁層用組成物」ともいう)を硬化してなる絶縁層である。
絶縁層用組成物が硬化した状態とは、絶縁層用組成物の加熱前後のDSC(示差走査熱量測定)における発熱量から確認することができる。具体的には、絶縁層用組成物のDSCにおける発熱量(加熱前の発熱量)と、180℃1時間の条件で加熱した絶縁層用組成物のDSCにおける発熱量(加熱後の発熱量)の発熱量の変化が5%以内である状態をいう。
絶縁層用組成物に含有される熱硬化性樹脂組成物としては、プリント配線板の絶縁層に適するものであればよく、例えば、エポキシ樹脂、シアネートエステル樹脂、フェノール樹脂、ビスマレイミド−トリアジン樹脂、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、ビニルベンジル樹脂等の熱硬化性樹脂に、その硬化剤を配合した組成物を使用することができる。これらの中でも、熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を含有する組成物であってもよく、エポキシ樹脂とエポキシ樹脂用硬化剤とを含有する組成物であってもよい。
絶縁層用組成物としては、例えば、プリント配線板の製造に用いられるプリプレグや銅張積層板を使用することができる。プリント配線板の製造に用いられるプリプレグや銅張積層板としては、市販品を用いてもよい。これらの市販品としては、例えば、日立化成(株)製、「GEA−67N」、「GEA−679F」、「GEA−679GT」、「GEA−700G」、「MCL−E−679」、「MCL−E−700G(R)」、「MCL−E−705G」、「MCL−E−770G(LH)」等が挙げられる。
本発明で用いる絶縁層は、前記絶縁層用組成物を熱硬化することにより得られる。絶縁層としては、汎用性の点から、プリプレグを熱硬化してなるものであってもよい。
熱硬化の方法及び条件は、通常のプリント配線板の製造工程で行われている熱硬化の方法及び条件を用いることができる。
例えば、絶縁層としてプリプレグを用いる場合は、回路を有する内層基板上に、前記プリプレグを配置した後、その上下に銅箔を重ね、加熱プレス成形し、次いで銅箔をエッチングする方法等が挙げられる。
熱硬化する温度としては、例えば、120〜230℃であってもよく、140〜210℃であってもよく、160〜200℃であってもよい。
熱硬化する時間としては、例えば、5〜180分であってもよく、10〜120分であってもよく、30〜100分であってもよい。
絶縁層用組成物を上記範囲内で熱硬化させることにより、積層したプライマー層用樹脂組成物層を熱硬化させる際に絶縁層用組成物に含まれる成分がプライマー層中に移行することを抑制することができ、導体層とプライマー層との接着強度の低下を抑制することができる。
銅箔としては、例えば、日本電解(株)製「YGP−12」、古河電気工業(株)製「GTS−12」、及び「F2−WS」等が商業的に入手可能である。
絶縁層の表面粗さ(Ra)は、プライマー層の成形性の観点から、0.6μm以下であってもよく、0.4μm以下であってもよく、0.3μm以下であってもよく、0.2μm以下であってもよい。
表面粗さ(Ra)は実施例に記載の方法により測定することができる。
また、硬化した絶縁層は、プライマー層との接着力を高めることを目的として、適宜プラズマ処理、コロナ処理等の表面処理を施してもよい。
(キャリアフィルム付きプライマー層用樹脂組成物層)
本発明に用いるキャリアフィルム付きプライマー層用樹脂組成物層は、キャリアフィルムと、該キャリアフィルム上に形成されたプライマー層用樹脂組成物層とを有する。
〔プライマー層用樹脂組成物〕
プライマー層用樹脂組成物は、プライマー層用樹脂組成物層を構成する樹脂組成物である。
プライマー層用樹脂組成物は、特に限定されるものではないが、例えば、(X)エポキシ樹脂と(Y)エステル基含有硬化剤とを含むものであってもよい。
以下、(X)エポキシ樹脂(以下、「(X)成分」ともいう)と(Y)エステル基含有硬化剤(以下、「(Y)成分」ともいう)とを含むプライマー層用樹脂組成物の各成分について説明する。
≪(X)エポキシ樹脂≫
(X)成分として用いられるエポキシ樹脂は、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するものであれば特に限定されず、例えば、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールT型エポキシ樹脂、ビスフェノールZ型エポキシ樹脂、テトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、テトラメチルビフェニル型エポキシ樹脂、トリフェニル型エポキシ樹脂、テトラフェニル型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型樹脂、ビフェニルアラルキル型樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフタレンジオールアラルキル型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシ樹脂、エチレン性不飽和基を骨格に有するエポキシ樹脂、脂環式型エポキシ樹脂、脂肪族骨格を含むエポキシ樹脂等が挙げられる。
これらのエポキシ樹脂は、絶縁信頼性及び耐熱性の観点から、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(X)エポキシ樹脂としては、導体層との接着力の観点から、例えば、脂肪族骨格を含むエポキシ樹脂、及びビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂から選ばれる一種以上であってもよい。
脂肪族骨格を含むエポキシ樹脂としては、主鎖にアルキレングリコールに由来する構造単位を含有するエポキシ樹脂であってもよい。
アルキレングリコールの炭素数は、2〜12であってもよく、3〜10であってもよく、4〜8であってもよい。
アルキレングリコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール及び1,6−ヘキサンジオール等が挙げられる。これらの中でも、導体層との接着力の観点から、1,6−ヘキサンジオールであってもよい。
主鎖に1,6−ヘキサンジオールに由来する構造単位を含有するエポキシ樹脂としては、例えば、下記一般式(1)で表される、主鎖にヘキサンジオールに由来する構造単位を有するビスフェノールA型エポキシ樹脂であってもよい。
Figure 0006507668
一般式(1)中、m及びnは、それぞれ繰り返し単位数を示す整数である。
脂肪族骨格を含むエポキシ樹脂としては、市販品を用いてもよい。市販品としては、例えば、「EXA−4850−150」、「EXA−4850−1000」、「EXA−4816」、「EXA−4822」(以上、DIC(株)製、商品名)等が挙げられる。
≪(Y)エステル基含有硬化剤≫
(Y)成分のエステル基含有硬化剤は、前記(X)エポキシ樹脂の硬化剤として用いられる。
(Y)エステル基含有硬化剤は、1分子中に1個以上のエステル基を含み、エポキシ樹脂を硬化させることができるものであり、例えば、脂肪族カルボン酸又は芳香族カルボン酸と、脂肪族ヒドロキシ化合物又は芳香族ヒドロキシ化合物とから得られるエステル化合物等が挙げられる。
これらの中でも、有機溶媒への可溶性及びエポキシ樹脂との相溶性を高くする観点からは、脂肪族カルボン酸、及び脂肪族ヒドロキシ化合物等から得られるエステル化合物であってもよく、プライマー層用樹脂組成物の耐熱性を向上させる観点からは、芳香族カルボン酸、及び芳香族ヒドロキシ化合物等から得られるエステル化合物であってもよい。
(Y)エステル基含有硬化剤としては、芳香族多価カルボン酸化合物と多価フェノール系化合物との縮合反応により得られる芳香族エステルであってもよく、芳香族多価カルボン酸化合物と、多価フェノール系化合物及び1価フェノール系化合物の混合物との縮合反応により得られる芳香族エステルであってもよい。
芳香族多価カルボン酸化合物としては、例えば、ベンゼン、ナフタレン、ビフェニル、ジフェニルプロパン、ジフェニルメタン、ジフェニルエーテル、ジフェニルスルホン、及びベンゾフェノン等から選ばれる芳香族化合物が有する芳香環の水素原子の2〜4個がカルボキシ基で置換されたものが挙げられる。
芳香族多価カルボン酸化合物の具体的としては、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ベンゼントリカルボン酸等が挙げられる。
多価フェノール系化合物としては、例えば、上記の芳香族化合物が有する芳香環の水素原子の2〜4個を水酸基で置換したものが挙げられる。
多価フェノール系化合物の具体的としては、例えば、ハイドロキノン、レゾルシン、カテコール、4,4’−ビフェノール、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビスフェノールZ、臭素化ビスフェノールA、臭素化ビスフェノールF、臭素化ビスフェノールS、メチル化ビスフェノールS、各種ジヒドロキシナフタレン、各種ジヒドロキシベンゾフェノン、各種トリヒドロキシベンゾフェノン、各種テトラヒドロキシベンゾフェノン、フロログリシン等が挙げられる。
1価フェノール系化合物としては、例えば、上記の芳香族化合物が有する芳香環の水素原子の1個を水酸基で置換したものが挙げられる。
具体的には、例えば、フェノール、各種クレゾール、α−ナフトール、β−ナフトール等が挙げられる。
このような(Y)エステル基含有硬化剤としては、市販品を用いてもよい。市販品としては、例えば、「EXB−9460」、「EXB−9460S」、「EXB−9470」、「EXB−9480」、「EXB−9420」、「EXB−9451」(以上、DIC(株)製、商品名)、「BPN80」(三井化学(株)製、商品名)等が挙げられる。
これらの(Y)エステル基含有硬化剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
プライマー層用樹脂組成物中における前記(Y)エステル基含有硬化剤の含有量は、前記(X)エポキシ樹脂のエポキシ1当量に対して、0.75〜1.60当量であってもよく、0.80〜1.50当量であってもよく、0.90〜1.45当量であってもよい。(Y)エステル基含有硬化剤の含有量が、0.75当量以上であると、良好なタック性及び硬化性が得られる傾向にあり、1.60当量以下であると、良好な硬化性、耐熱性、及び耐薬品性が得られる傾向にある。
≪反応促進剤≫
本発明に用いるプライマー層用樹脂組成物は、必要に応じて、硬化促進剤を使用することができる。
硬化促進剤としては、例えば、潜在性の熱硬化剤である各種イミダゾール類、リン系硬化促進剤、BFアミン錯体等が使用できる。これらの中でも、プライマー層用樹脂組成物の保存安定性、並びに半硬化状態のプライマー層用樹脂組成物の取り扱い性及びはんだ耐熱性の観点から、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテート、2−フェニルイミダゾール、及び2−エチル−4−メチルイミダゾールから選ばれる1種以上であってもよく、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテート、及び2−フェニルイミダゾールから選ばれる1種以上であってもよい。
硬化促進剤の配合量は、良好な反応性を得る観点から、(X)エポキシ樹脂100質量部に対して、0.05〜5.0質量部であってもよく、0.1〜2.0質量部であってもよく、0.2〜1.0質量部であってもよい。
本発明に用いるプライマー層用樹脂組成物は、本発明の効果が損なわれない範囲で、必要に応じ、例えば、無機フィラー、レベリング剤、酸化防止剤、難燃剤、揺変性付与剤、増粘剤、溶媒等の各種添加成分を含有させることができる。
≪無機フィラー≫
プライマー層用樹脂組成物は、無機フィラーを含有してもよい。無機フィラーを含有させることで、プライマー層用樹脂組成物の低熱膨張化や、塗膜強度の向上等が期待できる。
無機フィラーとしては、例えば、シリカ、溶融シリカ、タルク、アルミナ、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、水酸化カルシウム、エーロジル、炭酸カルシウムから選ばれる1種以上が挙げられる。これらの中でも、誘電特性、及び低熱膨張性の観点から、シリカが好ましい。
プライマー層用樹脂組成物中の無機フィラーの含有量は、導体層との接着力の観点から、溶媒を除くプライマー層用樹脂組成物中、10vol%以下であってもよく、5vol%以下であってもよい。
これらの無機フィラーは、分散性を高める目的で、カップリング剤で処理してもよい。また、これらの無機フィラーは、ニーダー、ボールミル、ビーズミル、3本ロール等、公知の混練機によりプライマー層用樹脂組成物中に分散してもよい。
≪カップリング剤≫
無機フィラーの表面処理に用いられるカップリング剤としては、特に限定されるものではなく、例えば、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤等が挙げられる。これらの中でも、無機フィラーの分散性の観点から、シラン系カップリング剤であってもよい。
シラン系カップリング剤としては、例えば、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン及びN−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノシラン化合物、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン及びβ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシシラン化合物、その他として、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルビニルエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクロキシプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。
≪溶媒≫
本発明に用いるプライマー層用樹脂組成物は、溶媒に希釈して、ワニスとして用いることができる。
溶媒としては、例えば、メチルエチルケトン、キシレン、トルエン、アセトン、エチレングリコールモノエチルエーテル、シクロヘキサノン、エチルエトキシプロピオネート、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、プロピレングリコールモノメチルエーテル等を挙げられる。これらは単独で又は2種以上を混合して用いてもよい。
この溶媒の使用量は、使用するプライマー層用樹脂組成物に合わせて適宜調整することができるが、例えば、溶媒を除くプライマー層用樹脂組成物100質量部に対して、10〜120質量部であってもよく、20〜80質量部であってもよい。
≪プライマー層用樹脂組成物の製造≫
プライマー層用樹脂組成物の製造方法には、特に制限はなく、従来公知の製造方法を用いることができる。
例えば、前記溶媒中に、(X)エポキシ樹脂、(Y)エステル基含有硬化剤を加えると共に、前記必要に応じて用いられる硬化促進剤、無機フィラー、及び各種添加成分を加えた後、超音波分散方式、高圧衝突式分散方式、高速回転分散方式、ビーズミル方式、高速せん断分散方式、及び自転公転式分散方式等の各種混合機を用いて混合、攪拌等することにより、ワニスとして調製することができる。
このワニス中の溶媒を除くプライマー層用樹脂組成物の濃度は、塗工性の観点から、5〜60質量%であってもよく、10〜50質量%であってもよく、20〜45質量%であってもよい。
〔キャリアフィルム〕
キャリアフィルム付きプライマー層用樹脂組成物層に用いられるキャリアフィルムは、CO等のレーザーによる加工が可能であることが好ましい。キャリアフィルムがレーザーによる加工が可能であることにより、キャリアフィルム付きのままビアの形成等のレーザー加工が可能となり、プライマー層の表面を樹脂飛散等から保護でき、製造歩留まりが向上する。
キャリアフィルムとしては、目的に応じて適宜選択されるが、汎用性の観点から、有機フィルムであってもよい。有機フィルムとしては、例えば、PET、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリフェニレンサルファイドフィルム、テフロン(登録商標)フィルム、ポリイミドフィルム等が挙げられ、これらの中でも、汎用性、及びレーザー加工性等の観点から、PETフィルムであってもよい。
また、上記の有機フィルムは、表面平滑性及びキャリアフィルム除去性の観点から、離型処理を施した有機フィルムであってもよい。
キャリアフィルムとしては、市販品を用いてもよい。市販品としては、例えば、東レフィルム加工(株)製「セラピールBX9(商品名)」、ユニチカ(株)製「ユニピールTR1」等が挙げられる。
キャリアフィルムの厚みは、目的に応じて適宜選択されるが、取扱性及びレーザー等によるビア形成性の観点から、1〜100μmであってもよく、10〜80μmであってもよく、10〜50μmであってもよい。
〔キャリアフィルム付きプライマー層用樹脂組成物層の製造方法〕
キャリアフィルム付きプライマー層用樹脂組成物層を製造する手法としては、特に限定されないが、例えば、前記キャリアフィルムに、プライマー層用樹脂組成物を含有するワニスを塗工した後、乾燥することにより製造することができる。
プライマー層用樹脂組成物の塗工は、例えば、ダイコーター、グラビアコーター、コンマコーター等の公知のコーターにより行うことができる。なお、5μm以下の薄膜を塗工する場合は、薄膜塗工性の観点から、ダイコーター又はグラビアコーターにより塗工してもよい。
塗工後の乾燥条件は、特に限定されないが、例えば、乾燥温度は80〜180℃であってもよく、90〜150℃であってもよい。また、乾燥時間は、1〜30分間であってもよく、5〜20分間であってもよい。乾燥温度が80℃以上であり、かつ乾燥時間が1分以上である場合、乾燥が十分に進行し、プライマー層内にボイドが発生することを抑制できる。また、乾燥温度が180℃以下、かつ時間が30分以下であると、乾燥が進みすぎて、樹脂フロー量が低下することを抑制できる。
なお、上記乾燥により得られるプライマー層用樹脂組成物層は、ワニス中の溶媒が揮散した状態であり、硬化処理を行っていない未硬化、又は半硬化の樹脂組成物層である。
上記の方法により形成されるプライマー層用樹脂組成物層の厚みは、目的により適宜選択されるが、キャリアフィルムへの塗工性及び製造されるプリント配線板の薄型化の観点から、0.1〜20μmであってもよく、1〜15μmであってもよく、5〜12μmであってもよい。
(積層体(A)の製造)
次に、前記絶縁層に、上記の方法により得られたキャリアフィルム付きプライマー層用樹脂組成物層を、キャリアフィルムが外側になるように重ね、加熱及び加圧し、絶縁層とプライマー層用樹脂組成物層とキャリアフィルムとをこの順に有する、積層体(A)を得る。
キャリアフィルム付きプライマー層用樹脂組成物層を絶縁層に積層する方法としては、例えば、一般にプリント配線板の製造工程に用いられる、真空加圧式ラミネーター、ホットロールラミネーター等の公知のラミネーターを用いることができる。これらの中でも、生産効率の観点から、真空加圧式ラミネーター、及びホットロールラミネーターを用いてもよい。
ラミネーターにより積層する条件としては、プライマー層用樹脂組成物の組成に応じて適宜決定されるが、例えば、温度が80〜140℃、圧着圧力が0.4〜1.0MPaであってもよい。
<工程2>
工程2は、工程1で得られた積層体(A)中のプライマー層用樹脂組成物層を熱硬化して、絶縁層とプライマー層とキャリアフィルムとをこの順に有する、積層体(B)を得る工程である。
工程2における熱硬化の条件は、使用するプライマー層用樹脂組成物により適宜選定されるが、信頼性及び導体層との接着性の観点から、硬化温度は80〜230℃であってもよく、140〜210℃であってもよく、160〜200℃であってもよい。また、硬化時間は15〜180分であってもよく、30〜120分であってもよく、40〜80分であってもよい。
プライマー層用樹脂組成物層の熱硬化には、クリーンオーブンが一般的に用いられる。また、キャリアフィルム及びプライマー層の酸化を抑制するため、窒素等の不活性ガスの雰囲気中で硬化を行ってもよい。
<工程3>
工程3は、工程2で得られた積層体(B)にビアを作製する工程である。
工程3におけるビアの作製は、一般的にプリント配線板の製造工程に用いられる手法が用いられ、例えば、ドリル、レーザー、プラズマ、又はこれらを組み合わせて作製することができる。レーザーとしては、COガスレーザー、YAGレーザー、UVレーザー、エキシマレーザー等が一般的に用いられる。
<工程4>
工程4は、工程3で作製したビアをクリーニングする工程である。
クリーニングとは、例えば、ビアの作製の際に発生するスミアを除去するデスミア処理をいう。デスミア処理としては、公知の方法を用いることができ、例えば、一般的なプリント配線板で用いられているような、過マンガン酸ナトリウム水溶液を用いる手法、プラズマによる手法等が用いられる。
本発明の製造方法では、キャリアフィルムを付けたままデスミア処理を行うことにより、プライマー層を構成する樹脂の表面の劣化を防ぐことができる。
<工程5>
工程5は、積層体(B)のキャリアフィルムを除去して、絶縁層とプライマー層とを有する積層体(C)を得る工程である。
<工程6>
工程6は、積層体(C)のプライマー層に、めっきにより導体層を形成して、積層体(D)を得る工程である。
なお、(X)エポキシ樹脂と(Y)エステル基含有硬化剤とを含むプライマー層用樹脂組成物をプライマー層に用いる場合は、導体層との高接着力を発現することを目的として、工程6の前、又は工程5の前に、プライマー層の表面に紫外線照射処理を施す工程を有してもよい。
紫外線照射処理により導体層との高接着力を発現する機構については、必ずしも明らかではないが、該プライマー層に紫外線を照射することにより、(X)エポキシ樹脂と(Y)エステル基含有硬化剤との硬化反応で生じたエステル基が分解して、プライマー層表面に酸素含有基が形成され、この酸素含有基が配線導体に対する高い接着力をもたらすものと推察される。なお、該プライマー層の表面に形成された酸素含有基の酸素原子量は、X線光電子分光法により測定することができる。
紫外線照射条件としては、大気圧雰囲気下で、最大波長300〜450nmの紫外線を放射する紫外線ランプを用いてもよい。
また、照射する光量としては、好ましくは1000〜50000mJ/cmであってもよく、5000〜10000mJ/cmであってもよい。
なお、前記光量(mJ/cm)は、「照度(mW/cm)×照射時間(秒)」で表される。
このように、プライマー層用樹脂組成物を熱硬化処理後、紫外線照射処理することにより、得られるプライマー層は、従来用いられる過マンガン酸ナトリウム系等の粗化液を用いて凹凸形状を形成しなくても、導体層に対して高い接着力を発現し得ることから、配線形成の歩留まりの低下を抑えることができると共に、粗化液使用による水洗処理及び廃液処理をなくすことができ、コスト的にも有利である。なお、紫外線照射時のプライマー層の温度は、50〜80℃であってもよく、60〜70℃であってもよい。
また、必要に応じて、セミアディティブ法の前処理として、紫外線照射処理の他に、導体層との接着力を向上することを目的としたプライマー層の表面処理を施すこともできる。表面処理としては、例えば、コロナ処理、プラズマ処理等が挙げられる。これらの処理は適用するプライマーにより適宜選択される。
積層体(C)のプライマー層に、めっきにより導体層を形成する方法としては、セミアディティブ法に用いられる公知の手法を用いてよい。
一般的には、まず、めっき触媒としてパラジウムを付着させる、めっき触媒付与処理を行った後、無電解めっき液に浸漬してプライマー層の表面全面に厚さが0.3〜1.5μmの無電解めっき層(導体層)を析出させる。必要により、更に電気めっきを行って必要な厚さとする。無電解めっきに使用する無電解めっき液は、公知の無電解めっき液を使用することができ、特に制限はない。また、電気めっきについても公知の方法によることができ、特に制限はない。これらのめっきは銅めっきであってもよい。
次に実施例により本発明を説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
[プライマー層用樹脂組成物の製造]
製造例1
ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(日本化薬(株)製、商品名:NC3000H)100.0g、エステル基含有硬化剤(DIC(株)製、商品名:EXB−9451)54.0g、及び1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテート(四国化成工業(株)製、商品名:2PZ−CNS)0.3gを、溶媒であるメチルエチルケトン(以下「MEK」ともいう)66.1gに溶解させ、プライマー層用樹脂組成物(ワニスA)を得た。
製造例2
脂肪族変性エポキシ樹脂(DIC(株)製、商品名:EXA−4816)100.0g、エステル基含有硬化剤(DIC(株)製、商品名:EXB−9451)44.3g、及び2−フェニルイミダゾール(四国化成工業(株)製、商品名:2PZ)0.30gを、溶媒であるMEK96.4gに溶解させ、プライマー層用樹脂組成物(ワニスB)を得た。
[プリント配線板の製造]
実施例1
(1)絶縁層の作製
回路を有する内層基板上にプリプレグ(日立化成(株)製、商品名:GEA−679FG(R)、40μm厚)を重ね、その上下に銅箔(古河電気工業(株)製、商品名:GTS−12)を粗化面が外側になるように重ね、さらに鏡板と、クッション紙とを重ねて、プレス機を用いて、3.0MPa、180℃で1時間加熱硬化させて積層サンプルを得た。得られた積層サンプルからエッチングにより銅箔を除去し、プリプレグを硬化してなる絶縁層を得た。
(2)キャリアフィルム付きプライマー層用樹脂組成物層の作製
上記製造例1で得られたワニスAを、キャリアフィルムとしてのPETフィルム(ユニチカ(株)製、商品名:ユニピールTR1、厚み38μm)上に塗工した。その後、100℃で10分間乾燥処理することにより、プライマー層用樹脂組成物層の膜厚が10μmである、キャリアフィルム付きプライマー層用樹脂組成物層を得た。
(3)積層体(A)及び(B)の作製
上記(2)で得られたキャリアフィルム付きプライマー層用樹脂組成物層を、上記(1)で得られた絶縁層の片面に、キャリアフィルムが外側になるように重ね、真空加圧式ラミネーター((株)名機製作所製、商品名:MVP−500、温度140℃、圧着圧力0.5MPa)を用いて成形して積層体(A)を得た。その後、180℃、60分間にて熱硬化処理して積層体(B)を得た。
(4)ビアの作製
(4−1)レーザー加工
上記(3)で作製した積層体(B)を、COレーザー加工機(日立ビアメカニクス(株)製、商品名:LCO−1B21型)により、ビーム径80μm、周波数500Hz、パルス幅5μsec、ショット数7の条件でレーザー加工してビアを作製した。
(4−2)クリーニング(デスミア処理)
その後、膨潤液として、ジエチレングリコールモノブチルエーテル200mL/L、NaOH5g/Lの水溶液を80℃に加温して、上記でビアを形成した積層体(B)を5分間浸漬した。
次いで、粗化液として、KMnO60g/L、NaOH40g/Lの水溶液を80℃に加温して、クリーニング後の積層体(B)を10分間浸漬した。
引き続き、中和液として、SnCl30g/L、濃度98質量%のHSO300mL/Lの水溶液に室温で5分間浸漬して中和し、ビア底部のスミアを除去した。
(5)紫外線照射
上記(4)で作製した積層体(B)のキャリアフィルムが設けられた面に、ランプがメタルハライドランプのコンベア式紫外線照射装置(最大波長350〜380nm)にて、紫外線を光量が3000mJ/cmになるように照射した。
(6)無電解めっき処理及び電解めっき処理
上記(5)で得られたクリーニング及び紫外線照射後の積層体(B)からキャリアフィルムを剥がして、積層体(C)を得た。
次いで、無電解めっきの前処理として、ジエチレングリコールモノブチルエーテル200mL/L,NaOH5g/Lの水溶液に70℃で10分間浸漬し、その後水洗し、次いでコンディショナー液(日立化成(株)製、商品名:CLC−601)に60℃で5分間浸漬し、その後水洗し、プリディップ液(日立化成(株)製、商品名:PD−201)に室温で2分間浸漬した。
次にPdClを含む無電解めっき用触媒(日立化成(株)製、商品名:HS−202B)に、室温で10分間浸漬した後、水洗した。
次いで、無電解銅めっき液(日立化成(株)製、商品名:CUST−201めっき液)に室温にて15分間浸漬し、さらに硫酸銅電解めっきを行った。
その後、アニール処理を170℃で30分間行い、プライマー層表面上に厚さ20μmの導体層を形成し、積層体(D)を得た。
実施例2
実施例1の(3)において、真空加圧式ラミネーターに変えて、ホットロールラミネーター((株)エム・シー・ケー製、商品名:ML−600D、温度140℃、圧着圧力0.5MPa)を用いて成形した以外は、実施例1と同様にして、積層体(D)を得た。
実施例3
実施例1の(2)において、ワニスAに変えて、製造例2で作製したワニスBを用いた以外は、実施例1と同様にして、積層体(D)を得た。
実施例4
実施例1の(1)において、プリプレグ(日立化成(株)製、商品名:GEA−679FG(R)、40μm厚)に変えて、プリプレグ(日立化成(株)製、商品名:GEA−700G(R)、40μm厚)を用いた以外は、実施例1と同様にして、積層体(D)を得た。
比較例1
回路を有する内層基板上にプリプレグ(日立化成(株)製、商品名:GEA−679FG(R)、40μm厚)を重ね、その上に、実施例1で用いたキャリアフィルム付きプライマー層用樹脂組成物層を、キャリアフィルムが外側になるように重ね、真空加圧式ラミネーター(温度140℃、圧着圧力0.5MPa)を用いて成形した。その後、180℃、60分間にて熱硬化処理して積層体(A)を得た。その後は、実施例1と同様にして、積層体(D)を得た。
比較例2
比較例1において、実施例1で用いたキャリアフィルム付きプライマー層用樹脂組成物層を、実施例3で用いたキャリアフィルム付きプライマー層用樹脂組成物層に変えた以外は、比較例1と同様にして、積層体(D)を得た。
比較例3
比較例1で用いたプリプレグ(日立化成(株)製、商品名:GEA−679FG(R)、40μm厚)を、プリプレグ(日立化成(株)製、商品名:GEA−700G(R)、40μm厚)に変えた以外は、比較例1と同様にして、積層体(D)を得た。
比較例4
実施例1の(4−1)において、レーザー加工に供する前に、積層体(B)からキャリアフィルムを剥がした点以外は、実施例1と同様にして、積層体(D)を得た。
[導体層との接着強度]
各実施例及び比較例で得たプリント配線板の導体層の一部をエッチング処理によって除去し、幅10mm、長さ100mmの導体層部分を形成した。この導体層部分の一端を導体層とプライマー層との界面で剥がして、つかみ具でつかみ、室温中、垂直方向に引張り速度50mm/分で引き剥がした時の荷重を測定した。
[表面粗さ(Ra)測定]
各実施例及び比較例で得た配線板の導体層をエッチング処理によって除去し、露出したプライマー層表面の表面粗さ(Ra)を表面形状測定装置(Veeco社製、商品名:WykoNT9100)を用いて下記条件にて測定した。
<測定条件>
内部レンズ:1倍
外部レンズ:50倍
測定範囲:0.120×0.095mm
測定深度:10μm
測定方式垂直走査型干渉方式(VSI方式)
Figure 0006507668
表1から、本発明の製造方法により製造した実施例1〜4のプリント配線板は、プライマー層と組み合わせる絶縁層(プリプレグ)の種類によらず、安定した接着強度を示すことが確認された。また、キャリアフィルム付きのままレーザー加工及びデスミア処理を行うことで、デスミアによるプライマー層表面の劣化を防ぎ、低い表面粗さを示すことが確認できた。
一方、比較例1及び2に示すように、プライマー層と半硬化状態のプリプレグとを組み合わせると、導体層とプライマー層との接着強度が低下することが確認された。これは、プリプレグの成分がプライマー層中に移行したためと考えられる。
また、比較例1〜3に示すように、プライマー層と半硬化状態のプリプレグとを組み合わせた場合、組み合わせる絶縁層(プリプレグ)によって接着強度に差が生じることが確認された。
また、比較例4に示すように、キャリアフィルムを除去した後にレーザー加工及びデスミア処理を行うと、プライマー層の表面が劣化し、表面粗さが増大することが確認された。

Claims (10)

  1. 下記工程1〜6を有する、プリント配線板の製造方法。
    工程1:熱硬化性樹脂を含有する絶縁層用組成物を硬化してなる絶縁層に、キャリアフィルムと、該キャリアフィルム上に形成されたプライマー層用樹脂組成物層とを有する、キャリアフィルム付きプライマー層用樹脂組成物層を、配線回路を介さずに、キャリアフィルムが外側になるように重ね、加熱及び加圧し、絶縁層とプライマー層用樹脂組成物層とキャリアフィルムとをこの順に有する、積層体(A)を得る工程
    工程2:工程1で得られた積層体(A)中のプライマー層用樹脂組成物層を熱硬化して、絶縁層とプライマー層とキャリアフィルムとをこの順に有する、積層体(B)を得る工程
    工程3:積層体(B)にビアを作製する工程
    工程4:工程3で作製したビアをクリーニングする工程
    工程5:積層体(B)のキャリアフィルムを除去して、絶縁層とプライマー層とを有する積層体(C)を得る工程
    工程6:積層体(C)のプライマー層に、めっきにより導体層を形成して、積層体(D)を得る工程
  2. 前記絶縁層の表面粗さ(Ra)が0.6μm以下である、請求項1に記載のプリント配線板の製造方法。
  3. 前記絶縁層が、プリプレグを硬化してなる絶縁層である、請求項1又は2に記載のプリント配線板の製造方法。
  4. 前記キャリアフィルムが有機フィルムである、請求項1〜3のいずれか1項に記載のプリント配線板の製造方法。
  5. 前記キャリアフィルムがポリエチレンテレフタレートフィルムである、請求項4に記載のプリント配線板の製造方法。
  6. 前記キャリアフィルムの厚みが1〜100μmである、請求項1〜5のいずれか1項に記載のプリント配線板の製造方法。
  7. 前記プライマー層用樹脂組成物層の厚みが0.1〜20μmである、請求項1〜6のいずれか1項に記載のプリント配線板の製造方法。
  8. 前記工程2における熱硬化の温度が80〜230℃であり、硬化時間が15〜180分である、請求項1〜7のいずれか1項に記載のプリント配線板の製造方法。
  9. 前記工程6の前に、プライマー層の表面に紫外線照射処理を施す工程を有する、請求項1〜8のいずれか1項に記載のプリント配線板の製造方法。
  10. 前記紫外線照射処理が、大気圧雰囲気下で、最大波長300〜450nmの紫外線を放射する紫外線ランプを用いて行われる処理であり、放射する紫外線の光量が1000〜50000mJ/cmである、請求項9に記載のプリント配線板の製造方法。
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