JP6506113B2 - 鉄筋コンクリート構造物の補修方法 - Google Patents

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Description

本発明は、鉄筋コンクリート構造物の補修方法に関し、さらに詳しくは、鉄筋コンクリート構造物を補修する際に、マクロセル腐食の進行を抑制しつつ、補修対象部に新たに打設した材料と、鉄筋コンクリート構造物の既存コンクリートとの一体性をより向上させることができる鉄筋コンクリート構造物の補修方法に関するものである。
柱、杭、橋梁等の鉄筋コンクリート構造物を補修する工法としては、例えば、その構造物の劣化したコンクリートを部分的に削って除去し、内部の鉄筋を露出させた後、その補修対象部に新たな材料(コンクリートやモルタル等)を打設する断面修復工法がある。このような補修をした場合には、新たに打設した材料(モルタルやセメント材料等)内部の鉄筋と、健全な既存コンクリート内部の鉄筋との境界部付近では、自然電位が極端に異なることによって鉄筋、既存コンクリートおよび新たに打設した材料を介して電気回路が形成される。これにより、補修部分近傍の鉄筋の腐食が進行する、いわゆるマクロセル腐食が発生することが知られている。従来、このマクロセル腐食を防止する方法は種々提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1で提案されている方法では、鉄筋コンクリート構造物の既存コンクリートを除去した後の補修対象部の表面に絶縁剤を塗布する。その後、この表面に新たなコンクリートを打設する。この塗布した絶縁剤によって、新旧のコンクリート間の電気抵抗を増大させて電気回路の形成を抑制する。その絶縁剤として、撥水性を有するシラン系やシロキサン系の含浸剤が使用される。このような含浸剤を用いることによって、マクロセル腐食の発生を抑制することが可能になるが、新旧のコンクリートの境界面には撥水性を有する含浸剤が存在することになる。この含浸剤が介在することによって、新たに打設したコンクリートは既存コンクリートに付着し難くなる。そのため、新たに打設したコンクリートを既存コンクリートに強固に付着させて鉄筋コンクリート構造物との一体性をより向上させるには改善の余地がある。
特開2008−45290号公報
本発明の目的は、鉄筋コンクリート構造物を補修する際に、マクロセル腐食の進行を抑制しつつ、補修対象部に新たに打設した材料と、鉄筋コンクリート構造物の既存コンクリートとの一体性をより向上させることができる鉄筋コンクリート構造物の補修方法を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の鉄筋コンクリート構造物の補修方法は、鉄筋コンクリート構造物の既存コンクリートを部分的に除去した補修対象部に、前記構造物に内設されていた鉄筋を露出させ、次いで、この補修対象部に新たな材料を打設して、露出させた前記鉄筋を埋設した状態にして硬化させることにより前記構造物と一体化させる鉄筋コンクリート構造物の補修方法であって、
前記新たな材料として、少なくとも複数微細ひび割れ型セメント複合材料を使用し、この複合材料を前記補修対象部の既存コンクリートの表面の全範囲および前記鉄筋の露出表面の一部に直接接触させて打設し、前記複合材料を覆って前記複合材料とは異なる種類の新たな材料を打設することを特徴とする。
また、本発明の別の鉄筋コンクリート構造物の補修方法は、鉄筋コンクリート構造物の既存コンクリートを部分的に除去した補修対象部に、前記構造物に内設されていた鉄筋を露出させ、次いで、この補修対象部に新たな材料を打設して、露出させた前記鉄筋を埋設した状態にして硬化させることにより前記構造物と一体化させる鉄筋コンクリート構造物の補修方法であって、前記新たな材料として、少なくとも複数微細ひび割れ型セメント複合材料を使用し、この複合材料を前記補修対象部の既存コンクリートの表面の全範囲および前記鉄筋の露出表面の全範囲に直接接触させて打設し、前記複合材料を覆って前記複合材料とは異なる種類の新たな材料を打設することを特徴とする。
本発明において、打設する新たな材料として使用する複数微細ひび割れ型セメント複合材料は、通常のモルタルやセメント材料に比して耐防食性に優れている。また、この複合材料は水結合材比が低いので、物質移動抵抗性が高い。そのため、新たに打設された複合材料に覆われた範囲では、マクロセル腐食の発生に必要な酸素の供給が抑制され、いわゆるマクロセル腐食が発生し難くなる。また、この複合材料は、既存コンクリートとの付着性にも優れているので、既存コンクリートに強固に付着させることができる。それ故、新たに打設した複合材料と鉄筋コンクリート構造物との一体性をより向上させることができ、従来の補修材料に比して耐久性に優れた補修が可能になる。
前記複合材料には補強繊維が混入されているので鉄筋コンクリート構造物との一体性がより向上する。また、前記複合材料として高強度な材料を用いることによって、よりマクロセル腐食の防止効果および一体性を向上させるには一段と有利になっている。
前記複合材料の水結合材比が0.15以上0.3以下であり、シリカフュームを混入させておくこともできる。これにより、複合材料が硬化した際に一段と高い強度を発現させることができる。
前記複合材料の硬化後の電気抵抗率を例えば500Ω・m以上にすると、前記複合材料を打設した補修対象部のマクロセル腐食の発生を抑制するにはより有利になる。また、前記複合材料の硬化後の酸素透過係数を例えば0.001×10-162以下にすると、前記複合材料を打設した補修対象部の耐防食性をより向上させることができる。
前記複合材料を前記鉄筋の露出表面の一部に直接接触させて打設し、前記複合材料を覆って前記複合材料とは異なる種類の新たな材料を打設することもできる。或いは、前記複合材料を前記鉄筋の露出表面の全範囲に直接接触させて打設し、前記複合材料を覆って前記複合材料とは異なる種類の新たな材料を打設することもできる。これらの場合、前記複合材料の使用量を抑制できるので、補修に要する材料コストを低減することができる。
前記新たな材料として前記複合材料のみを使用することもできる。これにより、補修対象部の電気抵抗の増加、腐食反応に必要な酸素の供給量の大幅な減少効果が得られるので、マクロセル腐食の進行抑制効果をより確実に発揮できる。
本発明により補修された鉄筋コンクリートの構造体の内部構造を断面視で例示する説明図である。 本発明により補修された別の鉄筋コンクリート構造体の内部構造を断面視で例示する説明図である。 本発明により補修された別の鉄筋コンクリート構造体の内部構造を断面視で例示する説明図である。 鉄筋コンクリートの構造体の既存コンクリートを除去して鉄筋を露出させる工程を例示する説明図である。 曲げ試験の試験サンプルを例示する平面図である。 曲げ試験の試験サンプルを例示する側面図である。 曲げ試験の説明図である。 マクロセル腐食試験の説明図である。 従来例のマクロセル腐食試験の結果を示すグラフ図である。 実施例1のマクロセル腐食試験の結果を示すグラフ図である。 実施例2のマクロセル腐食試験の結果を示すグラフ図である。 比較例のマクロセル腐食試験の結果を示すグラフ図である。 付着強度試験の説明図である。 付着強度試験の結果を示すグラフ図である。
以下、本発明の鉄筋コンクリート構造物の補修方法を、図面に示した実施形態に基づいて説明する。
図1に例示するように、本発明によって補修された鉄筋コンクリート構造物1(以下、構造物1という)では、既存コンクリート2が部分的に除去された補修対象部4に、新たに打設された複数微細ひび割れ型セメント複合材料5(以下、複合材料5という)が充填されて硬化している。複合材料5は、補修対象部4の鉄筋3および既存コンクリート2の表面に直接接触していて、鉄筋3が複合材料5に埋設された状態になっている。複合材料5は、既存コンクリート2および鉄筋3と強固に付着することにより構造物1と一体化している。
本発明は、補修対象部4に打設する新たな材料として複合材料5を使用することが大きな特徴の一つである。この複合材料5の構成材料は、セメント、細骨材、混和材、混和剤、強化繊維5a、水である。セメントとしては例えば、普通または低熱ポルトランドセメントを用いる。細骨材としては例えば、砂や珪砂を用いる。混和材としては例えば、シリカヒュームやフライアッシュ、膨張材を用いる。混和剤としては例えば、高性能AE減水剤および消泡剤を用いる。
複合材料5に混合される強化繊維5aとしては、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)繊維、高強度ポリエチレン繊維(PE)を用いる。強化繊維5aは例えば、直径0.01mm〜0.04mm、長さ6mm〜12mm、弾性係数40GPa〜90GPa、引張破断強度1600MPa〜2800MPaである。複合材料5の全体に対する補強繊維5aの混入率は、例えば体積割合で0.5%〜2.0%である。
複合材料5として、複数微細ひび割れ型繊維補強セメント複合材料(HPFRCC)の中でも、超高強度および高靭性を併せ持つ超高強度ひずみ硬化型セメント系材料(以下、UHP−SHCCという)を用いるとよい。UHP−SHCCの構成材料は、セメント、細骨材、混和材、混和剤、強化繊維5a、水である。セメントとしては、例えば、普通または低熱ポルトランドセメントを用いる。細骨材としては、例えば、珪砂を用いる。混和材としては、例えば、シリカフュームおよび膨張材を用いる。混和剤としては、例えば、高性能AE減水剤および消泡剤を用いる。強化繊維5aとしては、例えば、高強度ポリエチレン繊維(直径0.012mm程度、密度0.97g/cm2程度、弾性係数88GPa程度、引張破断強度2700MPa程度)を用いる。
図1の実施形態では、既存コンクリート2が部分的に除去されて形成された窪み状の補修対象部4の全範囲に複合材料5のみが新たに打設されているが、図2、図3に例示する実施形態のように、複合材料5の他に複合材料5とは異なる種類の材料(例えば一般的な無収縮モルタル6等)を使用して補修することもできる。即ち、2種類以上の新たな材料5、6を補修対象部4に打設して補修することもできる。
図2では、複合材料5を補修対象部4の既存コンクリート2の表面の全範囲および鉄筋3の露出表面の一部に直接接触させて打設している。さらに、この複合材料5を覆って無収縮モルタル6が新たな材料として打設されて、窪み状の補修対象部4が複合材料5および無収縮モルタル6により充填されている。
この実施形態では、複合材料5の層厚は例えば5mm以上、より好ましくは10mm以上にする。複合材料5は硬化して既存コンクリート2および鉄筋3と強固に付着し、無収縮モルタル6は硬化して複合材料5および鉄筋3と強固に付着する。この実施形態では、補修対象部4の大部分は無収縮モルタル6により充填され、複合材料5は既存コンクリート2と無収縮モルタル6の間の絶縁性および一体性を高めるための材料として使用されている。
図3では、複合材料5を補修対象部4の既存コンクリート2の表面の全範囲および鉄筋3の露出表面の全範囲に直接接触させて打設している。さらに、この複合材料5を覆って無収縮モルタル6が新たな材料として打設されて、窪み状の補修対象部4が複合材料5および無収縮モルタル6により充填されている。
この実施形態では、鉄筋3に対する複合材料5のかぶり厚は、例えば5mm以上、より好ましくは10mm以上、さらに好ましくは30mm以上にする。複合材料5は硬化して既存コンクリート2および鉄筋3と強固に付着し、無収縮モルタル6は硬化して複合材料5および既存コンクリート2と強固に付着する。
図2および図3の実施形態において、複合材料5を覆って打設される材料としては、無収縮モルタル6に限らず、その他に無収縮モルタル6以外の材料を用いることができる。
図1に例示するように構造物1を補修する場合の本発明の補修方法の手順は、まず、図4に例示するように、構造物1の既存コンクリート2を部分的に除去して内部の鉄筋3を露出させる。次いで、鉄筋3を露出させた補修対象部4に、新たな材料として複合材料5を打設して、既存コンクリート2の表面および鉄筋3の露出表面に直接接触させる。これにより図1に例示するように、複合材料5に鉄筋3を埋設した状態にして硬化させる。鉄筋3に対する複合材料5のかぶり厚は、例えば5mm以上、より好ましくは10mm以上、さらに好ましくは30mm以上にする。既存コンクリート2および鉄筋3に付着して硬化した複合材料5は構造物1と一体化する。
図2に例示するように構造物1を補修する場合は、図4に例示するように、構造物1の既存コンクリート2を部分的に除去して内部の鉄筋3を露出させる。次いで、この補修対象部4の既存コンクリート2の表面の全範囲を所定の厚さ以上で覆って複合材料5を打設し、鉄筋3の露出表面の一部に直接接触させて鉄筋3を部分的に複合材料5に埋設した状態にする。
次いで、複合材料5の外側を覆って無収縮モルタル6を打設する。この状態で、複合材料5および無収縮モルタル6を硬化させることにより、複合材料5を既存コンクリート2および鉄筋3と強固に付着させる。また、無収縮モルタル6を複合材料5および鉄筋3に付着させて、複合材料5および無収縮モルタル6を構造物1と一体化させる。
図3に例示するように構造物1を補修する場合は、図4に例示するように、構造物1の既存コンクリート2を部分的に除去して内部の鉄筋3を露出させる。次いで、この補修対象部4の既存コンクリート2の表面の全範囲および鉄筋4の露出表面の全範囲を所定厚さ以上で覆って複合材料5を打設し、既存コンクリート2の表面の一部に直接接触させて鉄筋3を複合材料5に埋設した状態にする。
次いで、複合材料5の外側を覆って無収縮モルタル6を、補修対象分4の既存コンクリート2の残りの表面に直接接触させて打設する。この状態で、複合材料5および無収縮モルタル6を硬化させることにより、複合材料5を既存コンクリート2および鉄筋3と強固に付着させる。また、無収縮モルタル6を複合材料5に付着させて、複合材料5および無収縮モルタル6を構造物1と一体化させる。
図1に例示するように補修対象部4に複合材料5を打設して補修した場合、構造物1が負荷を受けて変形した際に、引張応力下において複合材料5に複数の微細ひび割れが発生することで、通常のセメント材料に比して高い靭性や強度を発揮する。さらに、構造物1の内部に延在して埋設されている鉄筋3と複合材料5とが連続的に一体化しているので、微細なひび割れが鉄筋3を通じて複合材料5のより広い範囲に分散されて、複合材料5が有する擬似ひずみ硬化特性を効果的に発揮させることができ、一段と耐力を向上させた補強が可能になっている。
さらに複合材料5は、通常のモルタルやセメント材料に比して耐防食性に優れ、かつ、水結合材比が低いので物質移動抵抗性が高い。したがって、複合材料5に覆われた範囲の鉄筋3では、腐食に必要な酸素の供給が抑制される。これに伴って、いわゆるマクロセル腐食が発生し難くなる。
加えて、複合材料5は、既存コンクリート2との付着性にも優れているので、直接、既存コンクリート2に接触させて強固に付着させることができる。それ故、新たに打設した複合材料5と構造物1との一体性をより向上させることができ、マクロセル腐食の発生を抑制しつつ、従来に比して耐久性に優れた補修が可能になる。
また、複合材料5として高強度な材料を用いることによって、マクロセル腐食の防止効果および構造物1との一体性をさらに向上させることができる。
複合材料5の硬化後の電気抵抗率を例えば500Ω・m以上にすると、既存コンクリート2と複合材料5に跨って埋設された鉄筋3を介して電気回路が形成され難くなるので、マクロセル腐食の発生を抑制するにはより有利になる。また、複合材料5の酸素透過係数を例えば0.001×10-162以上にすると、複合材料5に埋設された鉄筋3に酸素が供給され難くなるので、複合材料5を新たに打設した補修対象部4の耐防食性をより向上させることができる。尚、酸素透過係数は透気試験(トレント法)によって測定される。
図2、図3に例示するように、打設した複合材料5を覆って複合材料5とは異なる材料(無収縮モルタル6)を打設して補修した場合は、複合材料5の使用量を抑制できる。複合材料5は、無収縮モルタル6などの一般的な打設材料に比して単位体積当たりのコストが高いので、この方法によれば、補修対象部4の補修に要する材料コストを低減することが可能になる。
本発明は、鉄筋コンクリート杭、鉄筋コンクリート柱、鉄筋コンクリート橋梁等、様々な構造物1を補修対象にすることができる。
[耐防食性]
本発明の補修方法により補修された構造物の耐防食性を、試験サンプルSを用いて確認した。図5、図6に例示する試験サンプルSでは、長方形(縦寸法150mm、横寸法530mm)の鋼板7の一方表面に2本の鉄筋3(D13,SD295)を点溶接wして互いの間隔をあけて平行に並べて固定した。この鋼板7の一方表面に複合材料5として、表1に示す配合のUHP−SHCCを、縦寸法150mm、横寸法400mm、厚さ30mmにして打設して硬化させることにより、複合材料5と鉄筋3と鋼板7とを一体化させて試験サンプルSを作成した。
図5、図6中の各寸法は次のとおりである。W1=390mm、W2=70mm、W3=400mm、W4=65mm、B=150mm、B1=90mm、B2=30mm、t=30mm。
Figure 0006506113
表1の成分を詳述すると、セメントは普通ポルトランドセメント(密度3.16g/cm3)、シリカヒューム(密度2.20g/cm3、比表面積200,000cm2/g)、膨張材はエトリンガイト・石灰複合系膨張材(密度3.10g/cm3)、砂は珪砂7号(密度2.68g/cm3)、強化繊維は高強度ポリエチレン繊維(密度0.97g/cm3、直径0.012mm、長さ6mm、弾性係数88Gpa、引張破断強度2700MPa)、高性能AE減水剤(密度1.10g/cm3、ポリカルボン酸系)、消泡剤(密度1.00g/cm3、ポリエーテル系)である。
この試験サンプルSを図7に例示するように、パイ型変位計8を用いて、鋼板7を2つの支点12で支持した状態で試験サンプルSの中央部を2点で押圧して、純曲げ区間の複合材料5に1.5%の曲げひずみを与えて微細ひび割れを導入した。支点12の間隔を460mmとして、押圧する2点の間隔は100mmにした。図7中の各寸法は次のとおりである。W5=100mm、W6=180mm。
この試験サンプルSのひび割れ面を暴露面として鋼板7を含む暴露面以外の面をすべてエポキシ樹脂により被覆して、桟橋下の飛沫帯に試験サンプルSを設置して海洋環境下に暴露した。暴露期間は3年として、暴露後の1年後および3年後において試験サンプルSの図5の中央部Aにて、交流インピーダンス法によって鋼板7の分極抵抗を測定した。また、暴露3年後の複合材料5を鋼板7から剥がし、この複合材料5を縦断した断面において、塩化物イオンの浸透状況を、0.1N硝酸銀溶液の噴霧およびEPMA分析により観察した。その結果、暴露後1年と3年とでは、分極抵抗の値にはほとんど変化がなく、CEB(ヨーロッパコンクリート委員会)による腐食速度の判定基準では不動状態(腐食なし)と判定された。
塩化物イオンの浸透状況は、微細ひび割れが存在しない領域では、塩化物イオンの浸透深さは5mmに留まっていて浸透はほとんどない状況であった。一方、微細ひび割れが存在する領域では、微細ひび割れに沿って塩化物イオンが浸透して鋼板7に達していた。しかしながら、鋼板7には腐食はなく、鉄筋3の表面にわずかな腐食が見られる程程度であった。これは、複合材料5が有する微細ひび割れの分散性により酸素、水等の劣化因子の供給が抑制されたことで優れた耐防食性が発揮されたと考えられる。
[耐マクロセル腐食]
本発明の補修方法により補修された構造物の耐防食性を、試験サンプルSを用いて確認した。図8に例示するように、鉄筋コンクリートを構成する既存コンクリート2に新たな材料を打継いで4種類の試験サンプルS(従来例、実施例1、2、比較例)を作製し、それぞれの試験サンプルSについて、既存コンクリート2と新たな材料とを跨いで埋設された鉄筋3に対して、マクロセル腐食速度を測定した。試験サンプルSの縦寸法は400mm、横寸法は100mm、厚さ寸法は100mmであった。鉄筋3の仕様はD16であり、試験サンプルSのほぼ中央部に埋設した。図8中の各寸法は次のとおりである。L1=150mm、L2=35mm、L3=10mm、t=100mm。
マクロセル腐食速度の測定は、既存コンクリート2において間隔をあけた2点、打継部Mを跨いで間隔をあけた2点、新たな材料において間隔をあけた2点の3箇所について、それぞれの2点にリード線10を接続して、無抵抗電流計9を用いて測定を行った。その結果を図9〜図12のグラフ図に示す。図9〜図12ではそれぞれ、図8における最も左側のリード線10を接続した範囲、左側から2番目および3番目のリード線10を接続した範囲、左側から4番目および5番目のリード線10を接続した範囲、最も右側のリード線10を接続した範囲の合計4点におけるマクロセル腐食速度を示している。尚、マクロセル腐食速度の値が大きい程、腐食速度が速いことを示している。
図9に例示する従来例では、新たな材料として一般的な無収縮モルタル6を使用した。従来例では既存コンクリート2と無収縮モルタル6との打継部Mを境にしてマクロセル腐食速度が大幅に速くなっている。
図10に例示する実施例1では、新たな材料として表1に示す配合のUHP−SHCC5を使用した。実施例1では、いずれの位置においてもマクロセル腐食速度は実質的にゼロであり変化がない。
図11に例示する実施例2では、新たな材料として表1に示す配合のUHP−SHCC5および一般的な無収縮モルタル6およびを使用し、既存コンクリート2と無収縮モルタル6との間にUHP−SHCC5を介在させて、これら材料を一体化させた。UHP−SHCC5の縦寸法は5mmであった。実施例2では打継部Mを跨いでマクロセル腐食速度が多少速くなっている。
図12に例示する比較例は、実施例2におけるUHP−SHCC5に補強繊維5aを混合していないことのみが実施例2と異なる。比較例では打継部Mを跨いでマクロセル腐食速度が、実施例2よりも速くなっている。
図9〜図12の結果より、実施例1、2は従来例および比較例に比してマクロセル腐食速度が小さくなっており、マクロセル腐食の防止効果があることが分かる。
[既存コンクリートに対する付着性]
本発明の補修方法により補修された構造物における打設した新たな材料の既存コンクリートに対する付着性を、試験サンプルSを用いて確認した。上述した従来例、実施例1〜2の3種類の試験サンプルSに対して、図13に示すように、2つの支点12で支持した状態で試験サンプルSの中央部の打継部Mを跨いだ2点で押圧して、曲げ強度を測定した。支点12の間隔は300mmとして、押圧する2点の間隔は100mmであった。図13中の各寸法は次のとおりである。L4=100mm、L5=100mm、L6=50mm、t=100mm。
測定結果は図14のグラフ図に示すとおりであり、従来例の曲げ強度を基準の1.00として指数で示した。指数の値が大きい程、曲げ強度が大きいことを示している。従来例は打継部Mで破損し、実施例1は既存コンクリート2で破損し、実施例2は無収縮モルタル6で破損した。この結果より、実施例1、2は従来例に比して、打設した新たな材料の既存コンクリートに対する付着強度が大幅に向上していることが分かる。
1 鉄筋コンクリート構造体
2 既存コンクリート
3 鉄筋
4 補修対象部
5 複数微細ひび割れ型セメント複合材料(新たな材料)
5a 補強繊維
6 一般的な無収縮モルタル(新たな材料)
7 鋼板
8 パイ型変位計
9 無抵抗電流計
10 リード線
11 押し治具
12 支点
S 試験サンプル
M 打継部
w 溶接部

Claims (5)

  1. 鉄筋コンクリート構造物の既存コンクリートを部分的に除去した補修対象部に、前記構造物に内設されていた鉄筋を露出させ、次いで、この補修対象部に新たな材料を打設して、露出させた前記鉄筋を埋設した状態にして硬化させることにより前記構造物と一体化させる鉄筋コンクリート構造物の補修方法であって、
    前記新たな材料として、少なくとも複数微細ひび割れ型セメント複合材料を使用し、この複合材料を前記補修対象部の既存コンクリートの表面の全範囲および前記鉄筋の露出表面の一部に直接接触させて打設し、前記複合材料を覆って前記複合材料とは異なる種類の新たな材料を打設することを特徴とする鉄筋コンクリート構造物の補修方法。
  2. 鉄筋コンクリート構造物の既存コンクリートを部分的に除去した補修対象部に、前記構造物に内設されていた鉄筋を露出させ、次いで、この補修対象部に新たな材料を打設して、露出させた前記鉄筋を埋設した状態にして硬化させることにより前記構造物と一体化させる鉄筋コンクリート構造物の補修方法であって、
    前記新たな材料として、少なくとも複数微細ひび割れ型セメント複合材料を使用し、この複合材料を前記補修対象部の既存コンクリートの表面の全範囲および前記鉄筋の露出表面の全範囲に直接接触させて打設し、前記複合材料を覆って前記複合材料とは異なる種類の新たな材料を打設することを特徴とする鉄筋コンクリート構造物の補修方法。
  3. 前記複合材料の水結合材比が0.15以上0.3以下であり、シリカフュームを混入させておく請求項1または2に記載の鉄筋コンクリート構造物の補修方法。
  4. 前記複合材料の硬化後の電気抵抗率が500Ω・m以上である請求項1〜3のいずれかに記載の鉄筋コンクリート構造物の補修方法。
  5. 前記複合材料の硬化後の酸素透過係数が0.001×10-162以下である請求項1〜4のいずれかに記載の鉄筋コンクリート構造物の補修方法。
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