JP6498322B2 - 空調制御評価装置、空調システム、空調制御評価方法及びプログラム - Google Patents

空調制御評価装置、空調システム、空調制御評価方法及びプログラム Download PDF

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Description

本発明は、空調機器に対する制御を評価する空調制御評価装置、空調システム、空調制御評価方法、及びその方法をコンピュータに実行させるためのプログラムに関する。
近年、ビルなどの建物に設けられた空調システムを構成する各種の空調機器の省エネルギー化の要求が高まっており、その要求を満たすために空調機器の動力を低減化する省エネルギー制御方法が数多く提案されている。一方、現在の省エネルギー法は、空調機器単体の性能向上だけではなく、例えば、BEMS(Building Energy Management System)などを利用した、ビルの機器及び設備の運用面又は管理面における省エネルギー化を要求している。BEMSのような省エネルギー化は、ビルに間借りしているテナントの空調機器の運転効率を改善するだけでは十分ではなく、少なくとも、ビルの責任者及び管理者等のユーザの協力を得ながら推進していくことが必要不可欠である。
省エネルギー化を図った新規の空調システムをユーザに提案する際、又は既存の空調システムへの省エネルギー制御の導入をユーザに提案する際、その効果をユーザに提示する必要がある。ただし、ユーザに提示する効果は、一般的な建物の効果を示す値ではなく、そのユーザが実際に管理している建物に対応した効果であることが望ましい。
建物内の予め決められた空間の温度を制御する冷熱装置について、空間の熱負荷を考慮して省エネルギー効果を算出する技術の一例が特許文献1に開示されている。
特許文献1に開示された消費エネルギー算出装置は、建物情報、発熱体情報、環境情報及び運用情報を含む入力情報を入力とする物理モデルを用いて空間の熱負荷を求める第1の熱負荷解析部と、熱負荷と冷熱装置の消費電力量とを対応付けた冷熱装置特性から、第1の熱負荷解析部が求めた熱負荷に対応する消費電力量を推定する第1の消費電力推定部とを有する構成である。
また、特許文献1には、消費エネルギー算出装置が、過去の熱負荷のデータ群と冷熱装置の消費電力量の実績データ群とを統計的に関連づけた統計モデル(例えば、単回帰分析又は重回帰分析)を用いて冷熱装置特性を求める統計解析部を有することが開示されている。
特許文献1に開示された発明では、上述の構成により、物理モデルを用いて空間の熱負荷を解析し、熱負荷と消費電力量とが対応づけられた冷熱装置特性に基づいて消費電力量を推定することで、既存のシミュレーションに比べてパラメータ数の抑制を図っている。
一方、特許文献1には、推定したい出力データに対する、入力データの影響度を予め分析し、それを計算モデルに取り込む方法の一例が開示されている。具体的には、統計モデルとして単回帰モデル又は重回帰モデルを用いて、入力を熱負荷、出力を消費電力量とする冷熱装置特性を求め、冷熱装置特性を物理モデルに用いることが特許文献1に開示されている。
建物内の空間に対する空調制御を評価する方法ではないが、評価対象の推定値を得るために、評価対象に適した計算モデルと最小限かつ的確なパラメータを求めるために、実測値と推定値の誤差に基づいて計算モデル及びパラメータを選択する方法の例が、特許文献2及び特許文献3に開示されている。
特許文献2には、ニューラルネットワークを用いて、製品の販売実績及び出荷実績などの時系列データから、販売及び出荷の今後の需要を予測する装置が開示されている。特許文献2には、新しい実績データが入力される度に加工して時系列実績データを生成し、生成された時系列実績データを解析して複数の学習モデルから予測モデルとして最良の学習モデルを選択し、予測モデルに最新の予測用実績データを入力して予測計算を行うことが開示されている。そして、新しい実績データを加工する際に、入力データとなる実績データ群と推定したい出力データの時系列実績値との相関係数を用いて、ニューラルネットワークの入力データを選択することが開示されている。
特許文献3には、移動体の属性に応じて、移動体の移動目的の施設の状態を示す情報に基づいて施設の状態を制御するシステムが開示されている。特許文献3には、測定点での移動体の数等を日時に関してパターン化した予測モデルを生成し、日時経過に応じた、移動体の変化に対応してモデルの実測値の誤差を判定し、判定結果に基づいてモデルを修正することが開示されている。
特開2012−242067号公報 特許第3743247号公報 特開平05−6500号公報
特許文献1に開示されたシステムでは、所定の物理モデルと統計モデルを用いて冷熱装置の運転を変更したことによる熱負荷及び消費電力量の増減が算出されるが、算出に用いられるモデルは業種によってパターン化されたモデルからあらかじめ決定しておく必要がある。熱負荷を求める際に用いる物理モデルは、建物の形状や構造、さらにはセンサの設置位置や入手可能なデータ項目によって変更するべきであり、最も精度よく実態を再現できるモデルを自動的に選択できるのが望ましい。また、冷熱装置の運転を変更したことによる空間の快適性の変化については考慮されていない。例えば、冷房時に蒸発器を通過する冷媒温度を上昇させることで省エネルギー化を図る制御を行った場合、蒸発器を通過する空気の除湿量が減少するため室内湿度が変動してしまう。室内湿度の変動についても、熱負荷や室温と同様に複数の物理モデルから自動的に最適なモデルを選定するべきである。
特許文献1に開示されたシステムにおいて、冷熱装置の熱負荷及び消費電力量の変化を推定する際、特許文献2及び3に開示された方法を適用することも考えられる。
特許文献2に開示された方法では、物理モデルの定義が困難な入出力データに対し、入出力データの相関係数を用いて入力データを選択しているが、入出力データとして入手できないデータを用いたい場合は単純な相関関係だけで最適なモデルを選択することは困難である。例えば、快適性を評価する際に壁表面温度を用いる場合、壁表面温度は入出力データとして入手できないが、物理モデルを定義すると予測可能である。特許文献2に開示された装置では、予測モデルの学習に用いた入出力データにおいては相関関係が見られないが、評価に用いたいデータと建物の仕様等から推定される建物の物理モデルを選択する基準を備えていないので、最適なモデルを選択できず、予測精度が悪化する可能性がある。
特許文献3に開示された方法は、評価基準が推定値と実測値の誤差のみであり、計算モデルを必要以上に複雑化させ、結果的に推定すべきパラメータの数が増加し、出力データの推定精度を悪化させる可能性がある。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、複数の建物モデルの中から空調機器の消費電力量の変動及び室内の快適性の変化の推定に必要なパラメータの数を抑制し、空調機器が設置された建物の熱特性、または熱特性と湿度特性両方を最もよく表す建物モデルを自動的に選定し、評価対象の空調制御に関する省エネルギー効果と室内の快適性を評価可能にした空調制御評価装置、空調システム、空調制御評価方法、及びその方法をコンピュータに実行させるプログラムを得るものである。
本発明に係る空調制御評価装置は、建物内に設置された少なくとも1つの空調機器に対する複数の制御を評価する空調制御評価装置であって、前記空調機器が設置されたエリアを含む建物に関する情報である建物情報と、該空調機器の特性を含む機器情報と、該空調機器の運転状態並びに前記エリアと外気の温度、又は温度と湿度の両方の情報を含む実測データと、前記空調機器に対する評価対象の制御の情報と、前記建物の熱特性、又は熱特性と湿度特性の両方を表す複数の建物モデルを含む建物モデル群と、前記建物情報、前記機器情報及び前記実測データに含まれる項目と建物モデルとの対応を示すモデル候補選択基準とを記憶する記憶部と、前記建物情報、前記機器情報及び前記実測データに含まれる項目のうち、前記建物モデルの入力データとして使用可能な項目を判定し、前記実測データの分布の種類を特定するデータ評価部と、前記入力データとして使用可能な項目と前記モデル候補選択基準とに基づいて、前記建物モデル群から複数の建物モデルを候補として選択するモデル候補選択部と、前記分布の種類に対応してパラメータ推定方法を決定し、該パラメータ推定方法にしたがって、前記候補として選択された複数の建物モデルに含まれるパラメータの推定値を算出するパラメータ推定部と、前記候補として選択された複数の建物モデルについて予め決められた統計量を計算し、該統計量と該複数の建物モデル毎の温度、又は温度と湿度の両方の推定値と実測値との残差に基づいて該複数の建物モデルの候補から1つの建物モデルを確定するモデル評価部と、前記モデル評価部が確定した建物モデルを用いて、前記評価対象の複数の制御が実行される場合の前記空調機器の省エネルギー性評価値と快適性評価値を算出する空調制御評価部と、を有するものである。
本発明に係る空調システムは、建物内に設置された少なくとも1つの空調機器と、前記空調機器を制御する空調コントローラと、本発明に係る空調制御評価装置と、を有するものである。
本発明に係る空調制御評価方法は、建物内に設置された少なくとも1つの空調機器に対する複数の制御を評価するコンピュータに実行させる空調制御評価方法であって、前記空調機器が設置されたエリアを含む建物に関する情報である建物情報と、該空調機器の特性を含む機器情報と、該空調機器の運転状態並びに前記エリアの温度、又は温度と湿度の両方の情報を含む実測データと、前記空調機器に対する評価対象の制御の情報と、前記建物の熱特性、又は熱特性と湿度特性の両方を表し、熱特性の影響因子として少なくとも外気温と室内発生熱量を含み、前記建物の躯体の断熱性能を表すパラメータを含む熱特性モデルと、前記建物の躯体の断熱性能と蓄熱性能を表すパラメータを含む熱特性モデルを含む建物モデル群と、前記建物情報、前記機器情報及び前記実測データに含まれる項目と建物モデルとの対応を示すモデル候補選択基準とを前記コンピュータの記憶部に格納し、前記建物情報、前記機器情報及び前記実測データに含まれる項目のうち、前記建物モデルの入力データとして使用可能な項目を判定し、前記実測データの分布の種類を特定し、前記入力データとして使用可能な項目と前記モデル候補選択基準とに基づいて、前記建物モデル群から複数の建物モデルを候補として選択し、前記分布の種類に対応してパラメータ推定方法を決定し、該パラメータ推定方法にしたがって、前記候補として選択された複数の建物モデルに含まれるパラメータの推定値を算出し、前記候補として選択された複数の建物モデルについて予め決められた統計量を計算し、該統計量と該複数の建物モデル毎の温度、又は温度と湿度の両方の推定値と実測値との残差に基づいて該複数の建物モデルの候補から1つの建物モデルを確定し、前記確定された建物モデルを用いて、前記評価対象の制御が実行される場合の前記空調機器の消費電力量と快適性評価値を算出するものである。
本発明に係るプログラムは、コンピュータに、建物内に設置された少なくとも1つの空調機器が設置されたエリアを含む建物に関する情報である建物情報と、該空調機器の特性を含む機器情報と、該空調機器の運転状態並びに前記エリアの温度、又は温度と湿度の両方の情報を含む実測データと、前記空調機器に対する評価対象の制御の情報と、前記建物の熱特性、又は熱特性と湿度特性の両方を表し、熱特性の影響因子として少なくとも外気温と室内発生熱量を含み、前記建物の躯体の断熱性能を表すパラメータを含む熱特性モデルと、前記建物の躯体の断熱性能と蓄熱性能を表すパラメータを含む熱特性モデルを含む建物モデル群と、前記建物情報、前記機器情報及び前記実測データに含まれる項目と建物モデルとの対応を示すモデル候補選択基準とを前記コンピュータの記憶部に格納する手順と、前記建物情報、前記機器情報及び前記実測データに含まれる項目のうち、前記建物モデルの入力データとして使用可能な項目を判定し、前記実測データの分布の種類を特定する手順と、前記入力データとして使用可能な項目と前記モデル候補選択基準とに基づいて、前記建物モデル群から複数の建物モデルを候補として選択する手順と、前記分布の種類に対応してパラメータ推定方法を決定し、該パラメータ推定方法にしたがって、前記候補として選択された複数の建物モデルに含まれるパラメータの推定値を算出する手順と、前記候補として選択された複数の建物モデルについて予め決められた統計量を計算し、該統計量と該複数の建物モデル毎の温度、又は温度と湿度の両方の推定値と実測値との残差に基づいて該複数の建物モデルの候補から1つの建物モデルを確定する手順と、前記確定された建物モデルを用いて、前記評価対象の制御が実行される場合の前記空調機器の消費電力量と快適性評価値を算出する手順を実行させるためのものである。
本発明は、空調機器の消費電力の変動及び室内の快適性の変化の推定に必要なパラメータの数を抑制するとともに、空調機器が設置された建物に対応して、評価対象の空調制御に関する省エネルギー効果と室内の快適性を評価できる。
本発明の実施の形態1の空調制御評価装置を含む空調システムの一構成例を示すブロック図である。 本発明の実施の形態1の空調制御評価装置を含む空調システムの別の構成例を示すブロック図である。 本発明の実施の形態1の空調制御評価装置を含む空調システムの別の構成例を示すブロック図である。 本発明の実施の形態1の空調制御評価装置を含む空調システムの別の構成例を示すブロック図である。 本発明の実施の形態1の空調制御評価装置の一構成例を示すブロック図である。 本発明の実施の形態1の空調制御評価装置の熱特性モデル群が有する熱特性モデルを図式的に示す説明図である。 本発明の実施の形態1の空調制御評価装置の熱特性モデル群が有する熱特性モデルを熱回路網で示した図である。 本発明の実施の形態1の空調制御評価装置の熱特性モデル群が有する熱特性モデルを熱回路網で示した図である。 本発明の実施の形態1の空調制御評価装置の熱特性モデル群が有する熱特性モデルを熱回路網で示した図である。 本発明の実施の形態1の空調制御評価装置の熱特性モデル群が有する熱特性モデルを熱回路網で示した図である。 本発明の実施の形態1の空調制御評価装置の熱特性モデル群が有する熱特性モデルを熱回路網で示した図である。 本発明の実施の形態1の空調制御評価装置の熱特性モデル群が有する熱特性モデルを熱回路網で示した図である。 本発明の実施の形態1の空調制御評価装置の熱特性モデル群が有する熱特性モデルを熱回路網で示した例である。 本発明の実施の形態1の空調制御評価装置の湿度特性モデル群が有する湿度特性モデルを図式的に示す説明図である。 本発明の実施の形態1の空調制御評価装置の湿度特性モデル群が有する湿度特性モデルを回路網で示した図である。 本発明の実施の形態1の空調制御評価装置の湿度特性モデル群が有する湿度特性モデルを回路網で示した図である。 図3に示したモデル評価部が用いる各モデルの統計値の一例を示す表である。 図3に示したモデル残差評価部が用いる累積ペリオドグラムの一例を示すグラフである。 図3に示したモデル残差評価部が用いる自己相関係数の一例を示すグラフである。 本発明の実施の形態1の空調制御評価装置の動作手順を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態2の空調制御評価装置の一構成例を示すブロック図である。 本発明の実施の形態2の空調制御評価装置の動作手順を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態3の空調制御評価装置の一構成例を示すブロック図である。
実施の形態1.
本発明の実施の形態1の空調制御評価装置を含む空調システムの構成について説明する。図1Aは、本発明の実施の形態1の空調制御評価装置を含む空調システムの一構成例を示すブロック図である。
図1Aに示すように、空調システム1は、空調コントローラ11と、空調機器12とを有する。空調コントローラ11は、空調ネットワーク13を介して空調機器12と接続されている。空調コントローラ11は、本実施の形態1の空調制御評価装置の機能を備えている。空調制御評価装置の構成及び動作については、図3〜図11を参照して、後で詳しく説明する。
空調コントローラ11は、予め設定された制御アルゴリズムにしたがって空調ネットワーク13を介して制御信号を空調機器12に送信することで空調機器12を制御する。また、空調コントローラ11は、空調機器12の状態を示す情報を空調ネットワーク13を介して空調機器12から受信することで、空調機器12の状態を監視する。
図1Aでは、1台の空調コントローラ11が設けられている場合を示しているが、空調コントローラ11の設置台数は1台に限定されない。例えば、複数台の空調コントローラ11が空調ネットワーク13に接続されていてもよい。また、複数台の空調コントローラ11のそれぞれは互いに離れた場所に設けられてもよい。空調コントローラ11は、一般的には建物の内部の管理室等に設置されることが多いが、空調コントローラ11の設置場所は管理室に限定されない。空調システム1が複数の空調コントローラ11を有している場合、後述する空調制御評価装置の機能は複数の空調コントローラ11のうち、少なくともいずれか1つに設けられていればよい。
図1Aに示すように、空調機器12は、室外機21a、室内機21b、換気装置22、全熱交換器23、加湿器24、除湿器25、ヒータ26及び外調機27を構成要素として含む。これらの構成要素のそれぞれは、複数台設置されていることが多い。例えば、複数のテナントを有するビルでは、テナント毎に室外機21a及び室内機21bが設置されている。
空調機器12に含まれる構成要素について、上記の構成要素は一例であって、これらの構成要素に限定されない。また、空調機器12に上記の構成要素の全てが含まれている必要はない。また、空調機器12は、上記の構成要素以外に、室内の空気状態を制御するその他の種類の機器を構成要素としてもよい。複数の構成要素を備えた空調機器12が複数設けられてもよい。空調機器12が1つの構成要素であってもよい。
室外機21a及び室内機21bを含む構成を空調機21と称する。図1Aでは、空調機21が1台の場合を示しているが、空調機21の台数は1台に限定されない。例えば、2台以上の空調機21が空調システム1に設けられていてもよい。また、室外機21a及び室内機21bのそれぞれの台数についても、1台に限定されない。
また、空調機21には温度センサ及び湿度センサを含む複数種のセンサが設けられていてもよい。空調機21は空調ネットワーク13を介して空調コントローラ11と通信するための通信機能を備えていてもよい。また、空調機器12に含まれる構成要素のうち、空調機21を除く構成要素の一部又は全部が、温度及び湿度等を計測するセンサを有していてもよく、空調ネットワーク13を介して空調コントローラ11と通信する機能を備えていてもよい。
空調ネットワーク13は、例えば、外部に非公開の通信プロトコルに準拠した通信が行われる通信媒体として形成されてもよく、外部に公開されている通信プロトコルに準拠した通信が行われる通信媒体として形成されてもよい。空調ネットワーク13は、例えば、ケーブルの種類又は通信プロトコルに応じて、複数の異なる種類のネットワークが混在する構成であってもよい。複数の異なる種類のネットワークとしては、例えば、空調機器12を計測制御する専用ネットワーク、LAN(Local Area Network)、及び空調機器12の構成要素毎に異なる個別専用線等が一例として想定される。
図1Bは、本発明の実施の形態1の空調制御評価装置を含む空調システムの別の構成例を示すブロック図である。
図1Bに示すように、空調システム1aは、図1Aに示した構成と比較すると、空調ネットワーク13及び空調機器12のそれぞれと通信ケーブルを介して接続された機器接続用コントローラ14をさらに有する構成である。空調機器12は機器接続用コントローラ14及び空調ネットワーク13を介して空調コントローラ11と接続される。
機器接続用コントローラ14は、空調コントローラ11と空調機器12との間のデータ通信を中継する機能が実装されている。
空調機器12及び機器接続用コントローラ14間で使用される通信プロトコルと空調ネットワーク13で使用される通信プロトコルとが異なる場合、機器接続用コントローラ14は、空調機器12及び空調コントローラ11間の通信を中継するゲートウェイの機能を備えていてもよい。この場合、機器接続用コントローラ14は、空調機器12で使用される通信プロトコルを空調ネットワーク13に隠蔽させることが可能となる。また、機器接続用コントローラ14は、空調機器12と空調コントローラ11との通信内容を監視する機能を備えていてもよい。
図1Bに示す構成において、図1Aに示したように、空調ネットワーク13と空調機器12とが直接に接続される通信ケーブルが設けられていてもよい。この場合、例えば、空調機器12の構成要素のうち、一部の構成要素が空調ネットワーク13と直接に接続し、他の構成要素が機器接続用コントローラ14を介して空調ネットワーク13に接続される構成であってもよい。
図1Cは、本発明の実施の形態1の空調制御評価装置を含む空調システムの別の構成例を示すブロック図である。
図1Cに示すように、空調システム1bは、図1Bに示した構成と比較すると、センサ19をさらに有する構成である。センサ19は、例えば、温度センサ、湿度センサ、及びCO濃度センサ等のセンシングを行う機器である。センサ19の設置場所は、例えば、空調機器12の空調対象空間である室内等である。外気温及び日射量等をセンシングさせるような場合には、センサ19は屋外に設置されればよい。
図1Cに示す構成例では、センサ19は、空調ネットワーク13及び機器接続用コントローラ14のそれぞれと通信ケーブルを介して接続されている。センサ19は、検出した値を空調ネットワーク13を介して空調コントローラ11に送信してもよく、機器接続用コントローラ14及び空調ネットワーク13を介して空調コントローラ11に送信してもよい。
なお、図1Cは、センサ19が1台だけ設置されている構成例を示しているが、センサ19の設置台数は1台に限定されず、複数であってもよい。センサ19として、異なる種類のセンシングを行う機器が複数台設置されたものでもよい。センサ19は、1台で異なる種類のセンシングを行う機器でもよい。
また、図1Cは、センサ19が空調ネットワーク13及び機器接続用コントローラ14のそれぞれと接続する2本の通信ケーブルを有する場合を示しているが、通信ケーブルはいずれか一方だけであってもよい。図1Cに示す構成においても、空調ネットワーク13と空調機器12とが直接に接続される通信ケーブルが設けられていてもよい。
図1A〜図1Cに示したように、空調システム1に空調コントローラ11が設けられている場合、後述する空調制御評価装置の各種機能が空調コントローラ11で実行される。
ここまで、図1A〜図1Cを参照して、本実施の形態1における空調システムの構成例を説明したが、空調システムの構成はこれらの構成に限定されない。空調システムの別の構成例を、図2を参照して説明する。
図2は、本発明の実施の形態1の空調制御評価装置を含む空調システムの別の構成例を示すブロック図である。
図2に示すように、空調システム1cは、図1Cに示した構成において、後述する空調制御評価装置の機能を備えた評価用計算機15を有する構成である。評価用計算機15は、汎用ネットワーク16を介して、空調コントローラ11aと接続されている。空調コントローラ11aは、後述する空調制御評価装置の機能を備えていなくてもよい。評価用計算機15は、汎用ネットワーク16を介して、空調コントローラ11aと各種通信を行う。汎用ネットワーク16は、例えば、インターネットである。
図2に示すように、空調システム1cに空調コントローラ11a及び評価用計算機15が設けられている場合、後述する空調制御評価装置の機能が空調コントローラ11aと評価用計算機15とに分担されるようにしてもよい。
評価用計算機15の設置場所について説明する。評価用計算機15は、空調コントローラ11aと共に、空調機器12の空調対象空間である室内等に設けられていてもよい。評価用計算機15は、空調対象空間でなくても、空調機器12が設置された建物と同じ敷地内に設置されていてもよい。評価用計算機15は、空調機器12が設置された建物の遠隔地に設けられ、複数の建物を管理する集中管理センター等に設置されてもよい。
図2は図1Cに示した空調システムに、汎用ネットワーク16及び評価用計算機15が追加された構成を示しているが、図1Cに示した空調システムの代わりに、図1A又は図1Bに示した空調システムであってもよい。
なお、後述する空調制御評価装置の機能の実装形態を、図1A〜図2を参照して説明したが、これらの構成に限定されない。例えば、図に示さない複数のサーバ装置に、後述する空調制御評価装置の機能を含む空調コントローラ11の機能が分散して実装されてもよい。また、別の例として、図に示さない1台のサーバ装置に、空調コントローラ11aの機能と評価用計算機15の機能とがそれぞれ論理的に異なる形態で実装されてもよい。つまり、後述する空調制御評価装置の機能を含む空調コントローラ11の機能の各機能が実行されればよく、各機能の物理的な格納場所又はその物理的な実行場所は限定されない。
(空調制御評価装置の構成)
本発明の実施の形態1の空調制御評価装置の構成を説明する。
図3は、本発明の実施の形態1の空調制御評価装置の一構成例を示すブロック図である。
図3に示すように、空調制御評価装置3は、記憶部31と、演算部32と、データ入力部33と、データ出力部34とを有する。演算部32は、データ評価部321aを含むデータ前処理部321と、モデル候補選択部322と、パラメータ推定部323と、モデル評価部324と、空調制御評価部325とを有する。
ここでは、制御対象の空調機器12として、空調機21が図1Aを参照して説明した空調システム1に複数台設けられている構成を想定しているが、1台の空調機21に注目して説明する。また、本実施の形態1では、空調制御評価装置の機能を備えた空調システムが図1Aに示した空調システム1の場合で説明するが、図1Aに示した空調システムに限定されない。
以下に、図3に示した空調制御評価装置3の各部の機能を詳しく説明する。
(記憶部31)
記憶部31は、例えば、ハードディスク装置を含む記憶装置である。
記憶部31は、空調機21に関連する機器情報、運転データおよび計測データと、空調機21が設置されている建物に関する情報である建物情報とを記憶する。また、記憶部31は、モデル候補選択基準311と、熱特性モデル群312a及び湿度特性モデル群312bを含む建物モデル群312と、空調制御情報群とを記憶する。さらに、記憶部31は、演算部32が決定する確定建物モデル及び演算部32が算出する評価値を記憶する。
以下に、記憶部31が記憶する各情報について説明する。
記憶部31が記憶する建物情報及び機器情報は、演算部32に含まれる各部が実行する処理で必要な各種条件となる情報である。機器情報は、空調機21の特性を含む情報である。機器情報は、例えば、空調機21の台数、定格能力、定格消費電力量、定格能力に対する消費電力量を示す関係式、及び空調機21に設置されたセンサが検出した値に基づいて空調機21の各アクチュエータを制御するアルゴリズムを含む情報である。
また、機器情報は、室外機21aと室内機21bの接続関係、及び空調機21の設置場所等の空調システムの構成に関する情報も含む。さらに、機器情報は、データ入力部33及びデータ出力部34が空調機21と送受信するデータの種類及び送受信の周期等の情報を含んでいてもよい。本実施の形態1では、空調機器12が空調機21である場合に注目して説明しているが、記憶部31が記憶する機器情報の対象が空調機器12の各構成要素であってもよい。
建物情報は、空調機21が設置されたエリアに関する情報を含む。建物情報は、例えば、空調機21が設置されたフロアが建物の何階か、そのフロアの床面積、室容積、想定される最大の在室人数等である。以下では、評価対象の空調制御が実行される空調機21が設置されたフロアを「評価対象フロア」と称する。建物情報は、評価対象フロアに設置されている、空調機器12の構成要素の情報を含んでいてもよい。構成要素の情報とは、例えば、加湿器24が設置されているか否かの情報である。また、空調システムが図1Cにシステムである場合には、建物情報はセンサ19の設置場所の情報を含んでいてもよい。
記憶部31が記憶する運転データ及び計測データは、空調機21の運転状態を示すデータである。運転データは、例えば、サーモがオンかオフかの状態、及び還気ファンの運転状態を示すデータである。計測データは、空調機21の各部で計測されるデータである。計測データは、例えば、各部で計測される温度、風量、湿度、電力等のデータである。これらのデータは、現在のデータだけでなく、過去のデータを含んでいてもよい。
これらのデータの項目は、運転データ及び計測データのそれぞれについて代表例として列挙したものであり、これらの項目に限定されない。また、運転データ及び計測データのそれぞれは、上記の項目を全て含んでいなくてもよい。以下では、運転データ及び計測データを実測データと称し、機器情報及び実測データを含む情報を機器関連情報と称する。
記憶部31が記憶するモデル候補選択基準311は、データ評価部321aが評価した、入力データの項目の有無並びに建物情報及び機器情報に含まれる設定値と、選択すべき建物モデルの候補との対応を示したものである。モデル候補選択基準311とデータ評価部321aの判定結果に基づいて、パラメータ推定部323が検討するモデル候補が建物モデル群312から複数選択される。モデル候補選択基準311についての詳細は後述する。建物情報及び機器情報に含まれる設定値とは、例えば、空調機21の定格能力及び評価対象フロアの床面積である。
記憶部31が記憶する建物モデル群312は、複数の熱特性モデルを含む熱特性モデル群312aと、複数の湿度特性モデルを含む湿度特性モデル群312bとを有する。熱特性モデルと湿度特性モデルについての詳細は後述する。
記憶部31が記憶する確定建物モデルは、省エネルギー性および快適性の評価のために適用する建物モデルとして、演算部32のモデル評価部324が複数の建物モデルから選択する建物モデルである。確定建物モデルは、熱特性モデル及び湿度特性モデルのうち、いずれか一方でもよく、両方でもよい。
記憶部31が記憶する空調制御情報群は、空調機21に実行させる、評価対象の複数の制御に関するアルゴリズムである。制御に関するアルゴリズムとは、例えば、空調機21と換気装置22を連携して省エネルギーを実現する制御アルゴリズム、及び空調機21の運転停止を最適に組み合わせて省エネルギーを実現する制御アルゴリズムである。以下では、空調機21を含む空調機器12に実行させる制御を「空調制御」と称する。
記憶部31が記憶する評価値は、演算部32の空調制御評価部325が算出する省エネルギー性評価値及び快適性評価値を含む。省エネルギー性評価値は省エネルギー性を示す値に相当し、快適性評価値は快適性を示す値に相当する。
省エネルギー性評価値は、例えば、評価対象のある1つの空調制御が実行された場合と、それ以外の空調制御が実行された場合の空調機21の消費電力量の差、基準となる制御の消費電力量に対するその差の割合、及び消費電力量の時系列データなどである。快適性評価値は、例えば、評価対象のある1つの空調制御が実行された場合とそれ以外の空調制御が実行された場合のそれぞれの快適性の指標であるPMV(Predicted Mean Vote)、制御実行の前後の室内の温度及び湿度の変動量、及び室内の温度及び湿度の時系列データなどである。
ここで、熱特性モデルと湿度特性モデルについて説明する。
(熱特性モデル)
図4は、本発明の実施の形態1の空調制御評価装置の熱特性モデル群が有する熱特性モデルを図式的に示す説明図である。図4は、熱特性モデルで考慮する各因子の例を示している。図4に示す熱特性モデルにおいては、熱負荷の影響因子として、外気温(T)41と、日射量(Q)42と、隣室温度(TOZ)43と、室内温度(T)44と、空調除去熱量(QHVAC)45と、室内発生熱量(QOCC+QEQP)(人体+OA機器+照明)46とが考慮されている。
図5A〜図5Gは、本発明の実施の形態1の空調制御評価装置の熱特性モデル群が有する熱特性モデルを熱回路網で示した図である。図5A〜図5Gは、上記熱負荷の影響因子の関係を表現する際に用いる熱回路網モデルの例を示す。ここでは、図5A〜図5Gを用いて、熱量バランスを考慮する次元数によって異なる複数のモデル例を示す。図5Aは図5B〜図5Gのベースとなる1次モデルである。図5Aは室内温度と外気温を1つの熱抵抗で結び、室の熱容量を考慮した熱特性モデルである。この熱特性モデルは、外気温の変動は時間遅れすることなく、ある一定の影響度で室内温度の変動に寄与することを表す、最も単純な熱特性モデルである。蓄熱性能の低い建物においては図5Aの熱特性モデルで建物の熱特性を再現可能な場合がある。
一例として、図5Bに示す熱回路網モデルのモデル式を式(1)及び式(2)に示す。図5Bの熱回路網モデルにおいては、熱負荷の影響因子として、外気温(T)41と、日射量(Q)42と、隣室温度(TOZ)43と、室内温度(T)44と、空調除去熱量(QHVAC)45と、室内発生熱量(QOCC+QEQP)(人体+OA機器+照明機器)46とが考慮されていることがわかる。図5Bのモデルは、建物の躯体と室の熱容量を考慮したモデルであり、外気温の変動は時間遅れすることなく、ある一定の影響度で室内温度の変動に寄与する成分、例えば換気による熱移動と、建物の躯体を熱が通過する際に時間遅れが生じて室内温度の変動に寄与する成分に分離したモデルである。このモデルにより、断熱性能、蓄熱性能の高い建物において、貫流熱の時間遅れと換気等による時間遅れのない熱負荷の両方を考慮することができる。
Figure 0006498322
Figure 0006498322
式(1)及び式(2)において、Qは日射量[kW/m]であり、QOCCは人体発熱量[kW]であり、QEQPはOA機器及び照明機器の発熱量[kW]であり、QHVACは空調機21の除去(供給)熱量[kW]である。また、Tは外気温[K]であり、Tは外壁温度[K]であり、Tは室内温度[K]であり、TOZは隣室温度[K]である。Rは室外側熱伝達率[kW/K]であり、Rは室内側熱伝達率[kW/K]であり、ROZは内壁熱伝導率[kW/K]であり、RWINは窓熱伝達率[kW/K]である。
また、Cは外壁熱容量[kJ/K]であり、Cは室内熱容量[kJ/K]である。a1は室内へ透過する日射量の係数[−]であり、a2は外壁へ照射する日射量の係数[−]である。b1及びb2は空調除去(供給)熱量の係数[−]である。c1及びc2はOA機器、照明機器及び人体の発熱量の係数[−]である。
なお、評価対象フロアが壁で複数のエリアに仕切られていない場合、つまり評価対象フロアが1つのエリアと見なされる場合、隣室温度(TOZ)43を考慮しなくてよいので、隣室温度(TOZ)43および内壁熱伝導率ROZは無視される。
次に、図5Cの熱回路網モデルについて説明する。図5Cは図5Bに加えて、屋根の温度と熱容量を考慮した熱特性モデルである。屋根の温度(T)と屋根の熱容量(C)をモデルに加えることにより、一般的には屋根部材と外壁部材は異なるため、屋根面に照射する日射の日射熱量について、屋根と屋根以外の躯体を介して流入出する熱量の影響を屋根と屋根以外の躯体で区別して考慮することができる。
次に、図5Dの熱回路網モデルについて説明する。図5Dは図5Bに加えて、床の温度と熱容量を考慮した熱特性モデルである。床面の温度(T)と床面の熱容量(C)、さらに地表面温度(T)をモデルに加えることにより、一般的には外壁部材とは異なる床部材を介して、室内温度の変動へ寄与する成分を外壁とは区別して考慮することができる。
次に、図5Eの熱回路網モデルについて説明する。図5Eは図5Dに加えて、天井裏空間の温度と熱容量を考慮した熱特性モデルである。天井裏温度(T)と天井裏空間の熱容量(C)をモデルに加えることにより、天井裏空間から時間遅れを伴って室内温度の変動へ寄与する成分を外壁と区別して考慮することができる。
次に、図5Fの熱回路網モデルについて説明する。図5Fは図5Eに加えて、天井付近に設置された空調機の熱容量(CAC)と空調機に設置されたセンサで計測した吸込み温度(Tinlet)を追加した熱特性モデルである。空調機が運転している場合、つまり室内空気を吸い込むファンが運転している場合、室内温度と空調機で計測された吸込み温度は一致すると考えてよいが、空調機が停止している場合は空調機で計測された吸込み温度は室内温度ではなく天井付近の温度と考えられる。したがって、空調機の熱容量と吸込み温度をモデルに追加することにより、空調機が運転している場合と停止している場合で室内温度とする温度を変更することができる。
次に、図5Gの熱回路網モデルについて説明する。図5Gは図5Bの躯体部分を、躯体の室内側表面温度(TW1)と室外側表面温度(TW2)、さらに躯体の熱容量を室内側(CW1)と室外側(CW2)に分離した熱特性モデルである。躯体の室内側、室外側表面温度をモデルに加えることにより、躯体の表面温度を推定できるようになる。躯体の表面温度は、室内温度の変動に寄与するとともに、人体への放射温度として快適性評価に用いることができる。
なお、上記の熱回路網モデルは熱特性モデルの一例であって、熱特性モデルは上記のモデルに限定されない。例えば、壁からの放射量を考慮したい場合は、壁表面温度が計算できるように熱回路網モデルを組み立てればよい。
(湿度特性モデル)
図6は、図3に示した湿度特性モデル群が有する湿度特性モデルを図式的に示す説明図である。
図6においては、湿度特性モデルで考慮する各因子の例を、図式的に示している。例えば、湿度特性モデルにおいては、湿度の影響因子として、外気絶対湿度(X)51と、室内発生水分量(W)52と、空調機冷房時による除湿量(WHVAC)53と、室内絶対湿度(X)54と、壁等の吸放湿である表面絶対湿度(X)55とが考慮されている。ここで言う「壁等」には、壁、床、及び天井を含む空調対象空間を形成する構造物及び空調対象空間内の配置物(家具等)が含まれる。
図7A及び図7Bは、本発明の実施の形態1の空調制御評価装置の湿度特性モデル群が有する湿度特性モデルを図式的に示す説明図である。
一例として、図7Aの湿度特性モデルについて説明する。
図7Aの湿度特性モデルは湿度の影響因子として、外気湿度と、室内発生水分量と、空調機による除湿(冷房時)と、壁等の吸放湿とが考慮されている。
上記湿度の影響因子の関係式を理論式(水分収支式)で表現すると、以下の式(3)が導かれる。
Figure 0006498322
式(3)において、X:室内絶対湿度[kg/kg’]、V:室内容積[m]、X:外気絶対湿度[kg/kg’]、G:換気量[m/sec]、W:室内発生水分量[kg/sec]である。また、WHVAC:空調機冷房時による除湿量[kg/sec]、a:表面湿気伝達率[kg/m/h/(kg/kg’)]、A:表面積[m]、X:表面絶対湿度[kg/kg’]である。また、G:すきま風量[m/sec]、ρ:空気密度[kg/m]、σ:室内発生水分量の補正係数[−]、ω:空調機冷房時による除湿量の補正係数[−]、j:吸放湿を考慮する表面数である。
次に、図7Bの湿度特性モデルについて説明する。図7Bは図7Aに加えて加湿器24からの加湿量(WHUMI)を考慮したモデルである。加湿器による加湿量を湿度特性モデルに加えることにより、室内湿度の上昇を人由来と加湿器由来とに分けて考慮することができる。
上記モデルは湿度特性モデルの一例であって、湿度特性モデルは上記モデルに限定されない。例えば、除湿器25からの除湿量を考慮したい場合は、除湿量が考慮できるように湿度特性モデルを組み立てればよい。
(モデル候補選択基準311)
モデル候補選択基準311は建物モデルに使用可能な入力データの項目と選択する建物モデルとの対応を示したものである。図5A〜図5G、図7A及び図7Bを参照して、モデル候補選択基準311を説明する。
熱特性モデルを選択する際に考慮する項目としては、例えば、評価対象フロアが建物の全フロアのうち何階かという項目がある。ユーザが設定した建物情報の評価対象フロアが最上階か、1階か、それら以外の中間階かによって、建物モデルの候補となる熱特性モデルは異なる。ここで標準モデルは、建物の躯体の熱容量を考慮しない熱特性モデル(図5A)と、屋根、床及び外壁を分離せずに1つの躯体としてみなし、躯体の熱容量を考慮する熱特性モデル(図5B)とする。比較モデルは、評価対象フロアが最上階の場合は屋根を分離した熱特性モデル(図5C)とし、評価対象フロアが1階の場合は床を分離し地表面温度の影響を含んだ熱特性モデル(図5D)とする。
また、建物モデルの入力データの項目として、運転データ及び計測データから室内機吸込み温度が使用可能な場合、空調停止時は室内機設置場所(天井付近、又は天井裏)の温度を計測していると見なす。この場合、熱特性モデルの候補として、図5Bに示した標準モデルに加えて、図5Eに示した熱特性モデルが選択される。
建物モデルの入力データの項目として、運転データ及び計測データから室内機吸込み温度に加えて、評価対象のフロアの机の上付近に設置されたセンサが検出した温度が使用可能な場合、熱特性モデルの候補として、図5Bに示した標準モデルに加えて、室内機設置場所付近と居住域温度に分離した熱特性モデル(図5F)が選択される。
建物モデルの入力データの項目として、運転データ及び計測データから壁表面温度が使用可能な場合、図5Bに示した標準モデルに加えて、壁表面温度を含んだ熱特性モデル(図5G)が選択される。一方、入力データの項目として壁表面温度が含まれていないが、室内温度が含まれている場合でも、快適性評価値を計算する際に人体への放射温度として壁表面温度を用いたい場合は、図5Gが選択される。
湿度特性モデルを選択する際に考慮する項目としては、例えば、評価対象フロアに加湿器24及び除湿器25が設置されているか否か、つまり、加湿器24及び除湿器25の有無の項目がある。評価対象フロアに加湿器が設置されている場合、湿度特性モデルとして、図7Aに示した標準モデルに加えて、加湿量を考慮した湿度特性モデル(図7B)が選択される。
上述の、項目とモデルの組み合わせは、使用可能な入力データの項目と建物モデルとの対応関係の一例であって、上述の組み合わせに限定されない。また、モデル候補選択基準311に、複数の入力データの組み合わせと建物モデルとの対応づけが設定されていてもよい。
(演算部32)
演算部32は、図3に示すように、データ前処理部321と、モデル候補選択部322と、パラメータ推定部323と、モデル評価部324と、空調制御評価部325とを有する。パラメータ推定部323はパラメータ上下限設定部323a及びパラメータ評価部323bを含む。モデル評価部324はモデル残差評価部324aを含む。空調制御評価部325は省エネルギー性評価部325a及び快適性評価部325bを含む。
演算部32は、プログラムを記憶するメモリ(不図示)と、プログラムにしたがって処理を実行するCPU(Central Processing Unit)(不図示)とを有する。演算部32に設けられたメモリ(不図示)は、例えば、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)及びフラッシュメモリを含む不揮発性メモリである。CPUがプログラムを実行することで、データ前処理部321、モデル候補選択部322、パラメータ推定部323、モデル評価部324及び空調制御評価部325が空調制御評価装置3に構成される。プログラムには、平均値、標準偏差及び自己相関係数を含む統計値性質を示す値を算出する手順と、情報量基準又は検定に基づくモデル選択を含む統計的処理に関する手順とが記述されている。
(データ前処理部321)
データ前処理部321は、演算部32が使用する各種データの前処理及び各種データの分析を実行する。データ前処理部321は、以下に説明するデータ評価部321aが実行する処理以外の処理として、例えば、センサ異常による外れ値の除去、タイムステップの統一、及び欠損値の補間などを行う。
(データ評価部321a)
データ評価部321aは、建物情報、機器情報、運転データ及び計測データを含む入力データを確認し、運転データ及び計測データの統計的性質を算出する。入力データの確認とは、演算部32が使用するデータ種別が全て揃っているか否かを判定することである。データ評価部321aは、入力データが揃っていないと判定した場合、記憶部31に予め格納されたデフォルト値を使うか、揃っていないデータを使用しないモデルを選択するか、又は必要な入力データが揃っていない旨をユーザに通知するかを判断する。
デフォルト値の使用が可能な入力データの項目として、例えば、室の容積がある。室の容積が記憶部31に登録されていなくても、床面積がユーザの設定によって予め記憶部31に登録されていれば、データ評価部321aは、データ前処理として、床面積に天井高さのデフォルト値を乗じることにより室の容積を求めることが可能となる。
一方、デフォルト値の使用が不可のデータの項目として、例えば、室内湿度の測定データがある。室内湿度の測定データが記憶部31に登録されていない場合、データ評価部321aは、建物モデル群312のうち湿度特性モデル群312bを使用しないことを決定する。
そのため、後述のモデル候補選択部322は、データ評価部321aが確認した入力データの有無と入力データの数値の情報を、モデル候補選択基準311と照らし合わせることにより、選択する建物モデル候補を決定することが可能となる。
データ評価部321aは、運転データ及び計測データについて、統計的性質として代表的な指標である平均、標準偏差及び分散を確認し、これらの実測データの分布の種類を特定する。以下では、分布の種類を含む情報を「分布情報」と称する。モデルで推定したい出力データが正規分布かどうかの確認は、パラメータ推定部323が使用する手法の選定に関わるため、特に重要である。そのため、データ評価部321aは、実測データが正規分布かどうかの確認を必ず実施する。正規性の検定方法として、例えば、Shapiro−Wilkの正規性検定、及びコルモゴロフ−スミルノフ検定がある。
実測データの正規性の仮説が検定により棄却されなかった場合、パラメータ推定部323が使用するパラメータ推定方法に最小二乗法が適用される。実測データの正規性の仮説が棄却された場合、パラメータ推定方法に最尤法が適用される。実測データの正規性の仮説が棄却され、実測データに多峰性が確認された場合、多峰性データへも適用可能なサンプリング手法(例えば、MCMC(マルコフ連鎖モンテカルロ)法)等がパラメータ推定方法に用いられる。
(モデル候補選択部322)
モデル候補選択部322は、データ前処理部321が確認した、使用可能な入力データの項目とモデル候補選定基準311とに基づいて、建物モデルの候補を建物モデル群312から複数選択する。建物モデルの候補を選択する際、モデル候補選択部322は、入力データの項目だけでなく、その項目の数値も参考にしてもよい。
(パラメータ推定部323)
パラメータ推定部323は、モデル候補選択部322が選択した複数の建物モデルの候補のパラメータについて、運転データ及び計測データの分布情報に対応するパラメータ推定方法にしたがってパラメータの値を算出する。例えば、運転データ及び計測データの分布の種類が正規分布である場合、パラメータ推定部323は、パラメータ推定方法に最小二乗法を採用し、建物モデルの出力データの実測値と推定値の残差平方和が最小になるように建物モデルのパラメータの値を決定する。運転データ及び計測データの分布の種類が正規分布でない場合、パラメータ推定部323は、パラメータ推定方法に最尤法を選択し、建物モデルの尤度が最大になるように建物モデルのパラメータの値を推定する。ただし、運転データ及び計測データの分布に多峰性が認められる場合、パラメータ推定部323は、パラメータ推定方法にサンプリング手法を採用する。
このように、パラメータ推定部323は、データ評価部321aが確認した運転データ及び計測データの分布情報にしたがって、パラメータ推定方法を変える。
ここで、建物モデルの出力データの実測値及び推定値の一例を説明する。例えば、建物モデルが図5Bに示した熱特性モデルである場合の式(1)と(2)に注目する。機器関連情報及び建物情報に含まれる項目の値が入力データとして式(1)と(2)の右辺に入力された出力データを実測値とすると、式(1)と(2)の右辺の出力データが推定値となる。そして、式(1)の右辺のデータが実測値として入手できる場合、|「式(1)の右辺」−「式(1)の左辺」|=|実測値−推定値|=残差eとなる。式(2)の右辺のデータが実測値として入手できる場合、|「式(2)の右辺」−「式(2)の左辺」|=|実測値−推定値|=残差eとなる。式(1)と(2)の両方の右辺が実測値として入手できる場合、式(1)の残差と式(2)の残差の合計を残差eとすればよい。残差eは0に近いほど、建物モデルの入力データとパラメータは出力データを精度よく再現していると考えられる。
(パラメータ上下限設定部323a)
パラメータ上下限設定部323aは、最小二乗法又はその他の手法(最尤法及びサンプリング手法など)によってパラメータの推定値を求める際に使用される、パラメータの初期値と、パラメータの上限値及び下限値とを設定する。以下では、上限値及び下限値を「上下限値」と称する。パラメータの初期値と上下限値によって、解の収束速さ及び評価値が変わるため、適切な初期値と上下限値とを設定する必要がある。
パラメータ上下限設定部323aは、パラメータの初期値及び上下限値を、対象となる建物モデルと、建物情報及び機器情報とに応じて変更する。例えば、屋根、床及び外壁を分離せずに1つの躯体として扱う熱特性モデル(図5B)の外壁熱容量Cは、屋根(天井)を分離した熱特性モデル(図5C)の外壁熱容量Cとは異なる。また、室内熱容量Cはモデル化する室内容積の大きさによって異なる。
例えば、ユーザが設定した床面積に基づいて室内容積が推定可能な場合、パラメータ上下限設定部323aは、推定した室内容積V[m]に空気の物性値ρC[kJ/(kg・K)]を乗じることで、室内熱容量Cの初期値を求める。評価対象フロアが事務所の場合、パラメータ上下限設定部323aは、推定するCに什器及び書物の熱容量を加えてもよい。
床面積の情報が建物情報に登録されていない場合、パラメータ上下限設定部323aは、機器情報に含まれる、空調機21の定格能力の情報から床面積又は室内容積を推定してもよい。例えば、空調機21の定格能力[W]を、床面積あたりの最大冷房負荷(例えば、230W/m)で割ることにより、床面積を算出することが可能である。床面積あたりの最大冷房負荷は設計仕様から求めてもよいし、基準となる一般的な指標から求めてもよい。
壁の熱抵抗については、例えば、パラメータ上下限設定部323aは、壁の表面積に熱貫流率を乗算することで、壁の熱抵抗の初期値を求める。壁の表面積は、屋根、床及び外壁を分離せずに1つの躯体として扱う建物モデルにおいては、「推定された床面積の平方根」×4×「推定される天井高さ」で求められる。壁の表面積を外壁面積と考え、天井の面積を推定された床面積と同等と考えると、外壁面積、床面積及び天井の面積を合計することで、躯体表面積を推定することが可能となる。熱貫流率は設計仕様から求めてもよいし、建物の構造による一般的な指標を用いてもよい。
上記の最大冷房負荷及び熱貫流率等の値はあくまでパラメータの上下限値と初期値とを決める際の指標となる値であり、厳密な精度は問わない。
パラメータ上下限設定部323aは、上述のようにして求めた各パラメータの初期値を仮の推定値に決定し、各パラメータの上下限値を決定する。上下限値を決定する方法の一例として、各パラメータの初期値を平均0、分散1の変数に正規化し、正規化した変数の平均値に対して±3σ(σ:標準偏差)の範囲の最大値及び最小値を上限値及び下限値とする方法がある。
(パラメータ評価部323b)
パラメータ評価部323bはパラメータの推定値が建物モデルの出力データに対して顕著な影響があるか否かを評価する。評価方法の一例を説明する。パラメータの値を増やしたときに出力データの推定精度が上がるかどうかをパラメータ毎に確率的に評価する検定を行う。検定の結果、p値が0.05以下のパラメータは、有意水準5%で出力データに対して影響があるとみなす。ここで使用される検定として、例えば、T検定及び尤度比検定がある。
また、目的関数Fの変化量に対する各パラメータParの変化量(dF/dPar)が0に近い場合、目的関数の最適解の付近にパラメータが収束していることを表す。目的関数Fは、例えば、実測値と推定値の残差平方和、及び尤度関数等である。
目的関数Fが実測値と推定値の残差平方和である場合、パラメータ評価部323bは、出力データの実測値と推定値の残差平方和が最小になるように、パラメータの推定値を算出する。目的関数Fが尤度関数である場合、パラメータ評価部323bは、建物モデルの尤度が最大になるようにパラメータの推定値を算出する。
一方、上記の変化量(dF/dPar)の値が0より十分大きい場合、算出されたパラメータの推定値が上限値又は下限値に達しており、目的関数の最適解に到達できずに探索が終了している可能性がある。パラメータの推定値が上限値又は下限値に達している場合、パラメータ評価部323bは、パラメータの上下限値を再設定し、再度パラメータの値を推定する。パラメータの上下限値の再設定の方法として、例えば、統計量に基づいて設定された、パラメータの上限値又は下限値を10%緩和する方法がある。
(モデル評価部324)
モデル評価部324は、パラメータ推定部323が決定した各建物モデルを相対的な統計値及び残差の評価結果に基づいて、確定建物モデルを決定する。この建物モデル中のパラメータ数が増加すると対数尤度は増加する性質がある。そのため、モデル評価部324は、モデル同志を比較して最良のモデルを選択する際、AIC(赤池情報量基準)及びTIC(竹内の情報量基準)などの統一的な指標で比較するか、モデル同志の対数尤度について検定を実施し有意差を確認する。モデル評価部324は、モデル間の有意差を確認することで、パラメータ数を不必要に増加させることを抑制した低次元のモデルを選択することが可能となる。
図8は、図3に示したモデル評価部が用いる各モデルの統計値の一例を示す表である。図8の表は、複数種の建物モデルのそれぞれについて、対数尤度と、検定におけるp値とを表している。ここでは、図8に示すモデルA〜Dは図5A〜図5Dに示した熱特性モデルに対応しているものとする。
モデルAからDにかけてモデルを複雑化したことで、モデルの推定精度(つまり対数尤度)に有意な差があるか否かを、図8を参照して、尤度比検定で確認してみる。p値が0.05以上になってしまうと、有意水準5%で比較する2つのモデルの対数尤度に差があるとは言えない。そのため、図8ではモデルAからDにかけて対数尤度は増加しているが、モデルCとモデルDの対数尤度に有意な差があるとは言えない。図8に示す例では、モデルDの対数尤度がモデルCの対数尤度よりも大きいが、モデル評価部324は、p値が0.05よりも小さいモデルCを最適なモデルとして選択する。
さらに、以下に説明するように、モデル残差評価部324aが上記の評価結果に基づいて、最終的な確定建物モデルを決定する。
(モデル残差評価部324a)
モデルの推定精度の評価は、推定されたモデルの出力データの実測値と推定値との残差平方和又は推定されたモデルの尤度だけでなく、出力データの残差の統計的性質の評価も重要である。入力データに対応してよい出力データの近似が得られている場合は、残差はホワイトノイズである。ホワイトノイズとは、全ての周波数で同じ強度となり、過去のデータと相関がない、つまり自己相関がないノイズのことである。全ての周波数で同じ強度かどうかは、式(4)に示すペリオドグラムを計算することで評価することができる。
Figure 0006498322
式(4)において、fは周波数[Hz]、Cは自己共分散関数[−]、kはタイムラグ[−]、Nはデータ数[−]である。
図9は、図3に示したモデル残差評価部が用いる累積ペリオドグラムの一例を示すグラフである。図9のグラフは、ペリオドグラムを周波数毎に累積した累積ペリオドグラムを表している。図9に示すグラフの横軸は周波数であり、縦軸は周波数に対応する累積ペリオドグラムの値である。図9において、2本の破線に挟まれる区間は95%信頼区間を示す。図9に示すように、累積ペリオドグラムがどの周波数においても2本の破線で示す95%信頼区間内に収まる場合、どの周波数に対しても強度が一様であることが分かる。
自己相関があるかの評価はタイムラグを変化させたときの自己相関関数(ACF)を用いることで評価可能である。自己相関関数は式(5)で計算できる。
Figure 0006498322
式(5)において、yは残差[−]、μは残差の平均[−]、kはタイムラグ[−]である。自己相関関数は自己相関係数と称されることもある。
図10は、図3に示したモデル残差評価部が用いる自己相関係数の一例を示すグラフである。図10に示すグラフの横軸はタイムラグであり、縦軸はACFである。図10では、タイムラグを「ラグ」と省略して記述している。図10において、2本の破線で挟まれる区間は、その区間に収まらない場合に自己相関係数が0と有意に異なることを示す95%信頼区間を示す。
図10に示すように、ACFがタイムラグに依存しない場合、つまりACFが図10の破線で示す95%信頼区間内にある場合、モデル残差評価部324aは、残差に自己相関がないと判断する。この残差の評価は、建物モデルについて、入出力データの感度を評価することに相当する。
モデル残差評価部324aは、図8に示したようにp値に基づいて1つの建物モデルを確定建物モデルの候補として選択した後、残差の評価を実施する。モデル残差評価部324aは、残差がホワイトノイズと判断できた場合、その建物モデルを確定建物モデルに最適なモデルとして決定する。一方、モデル残差評価部324aは、残差がホワイトノイズと判断できない場合、その建物モデルを選択対象から除外し、残りの建物モデルから確定建物モデルの候補として1つ建物モデルを選択する。例えば、モデル残差評価部324aは、残りのモデルのうち、AIC又はTICが最小のモデルを次の候補として選択するか、検定によりp値を再計算してp値が最小のモデルを次の候補として選択する。
全てのモデル候補において残差がホワイトノイズと判断できない場合は、モデル残差評価部324aは、信頼区間を95%から90%に緩和した後、上述した方法と同様にして評価を行い、確定建物モデルの候補を選択する。信頼区間を90%に緩和しても全てのモデル候補においてホワイトノイズと判断できない場合は、モデル残差評価部324aは、累積ペリオドグラムの90%信頼区間からの逸脱度が最も小さいモデルを最適なモデルとして選択する。逸脱度は各周波数の累積ペリオドグラムと90%信頼区間との差の最大値とする。
(空調制御評価部325)
空調制御評価部325は、確定建物モデルを用いて、空調制御群に含まれる空調制御を実施する場合の熱負荷、室温、室内湿度及び空調システムの消費電力量を計算する。
省エネルギー性評価部325aは、省エネルギー性評価値として、評価対象のある一つの空調制御を実施した場合の消費電力量に対する、評価対象の別の空調制御を実施した場合の消費電力量の変化量と、その変化の割合とを計算する。
快適性評価部325bは、快適性評価値として、評価対象のある一つの空調制御を実施した場合の室温及び室内湿度に対する、評価対象の別の空調制御を実施した場合の室温及び室内湿度の変化量を計算する。快適性評価部325bは、快適性評価値として、快適性指標であるPMV値を計算してもよい。
空調制御評価部325は、算出した省エネルギー性評価値及び快適性評価値を記憶部31に格納する。
(データ入力部33)
データ入力部33は、空調機21と通信する機能を備え、空調機21から運転データ及び計測データを受信すると、運転データ及び計測データを記憶部31に格納する。データ入力部33は、建物情報及び機器情報を含むファイルを、例えば、図2に示した汎用ネットワーク16を介して情報処理装置(不図示)からダウンロードして記憶部31に格納してもよい。評価対象の空調制御がデータ入力部33を介して指定される。データ入力部33は、空調機21の各種データを通信媒体を介して空調機21から取得するが、この通信媒体の種類は特に限定されない。通信媒体は、例えば、有線であってもよく、無線であってもよい。
データ入力部33は表示装置に搭載されたタッチパネルであってもよい。データ入力部33がタッチパネルである場合、ユーザがタッチパネルを介して建物情報及び機器情報を直接入力してもよい。
また、ユーザはデータ入力部33を介して、あらかじめ保存された建物モデル群から、自由にモデルを選択してもよい。
(データ出力部34)
データ出力部34は、例えば、ディスプレイ及びプリンタを含む出力装置である。
データ出力部34は、記憶部31が記憶する省エネルギー性評価値及び快適性評価値を読み出して出力する。データ出力部34がディスプレイである場合、データ出力部34は、省エネルギー性評価値及び快適性評価値を含む評価値を画面に表示する。ユーザは、画面に表示された評価値を見て、評価対象の空調制御の省エネルギー性および快適性の効果を確認することが可能となる。
また、データ出力部34は、記憶部31が記憶する建物モデル群及び確定建物モデルのいずれか一方又は両方を表示してもよい。ここで表示する建物モデルは、図5A〜5Gのような熱回路網モデルの図及び図7A、7Bのような湿度特性モデルの図のうち、いずれかの図でもよく、建物モデル毎に熱特性及び湿度特性の一方又は両方で考慮している要因を一覧で表示するものでもよい。ユーザはどのような建物モデルがあらかじめ保存されているか、あるいは確定建物モデルとしてフロアごと及び対象エリアごとのいずれか一方又は両方に適した建物モデルが選択されているか、確認することができる。
(空調制御評価装置3の動作手順)
次に、本実施の形態1の空調制御評価装置3の動作手順を説明する。
図11は、本発明の実施の形態1の空調制御評価装置の動作手順を示すフローチャートである。この処理のフローは、例えば、1[回/日]など、予め決められた時間周期で実行される。上記の1[回/日]の周期は一例であり、1[回/週間]の周期、1[回/月]の周期であってもよい。この時間周期の情報は、建物情報又は機器情報に含まれ、記憶部31に格納されている。なお、各ステップにおける処理内容は、演算部32の各部の機能について詳細に説明しているため、ここでは、その説明を省略する。
図11に示すように、演算部32は、評価対象の空調制御が指定されると、建物情報及び機器情報を記憶部31から読み込み(ステップST11)、空調機器12の運転データ及び計測データを記憶部31から読み込む(ステップST12)。続いて、演算部32は、ステップST11及びステップST12で読み込んだ情報について、データの前処理を行う(ステップST13)。データの前処理では、演算部32は、機器情報、運転データ及び計測データを含む機器関連情報と建物情報とに含まれる項目のうち、建物モデルの入力データとして使用可能な項目を判定し、運転データ及び計測データを含む実測データの分布の種類を特定する。
ステップST14において、演算部32は、建物モデルの入力データとして使用可能な項目と記憶部31が記憶するモデル候補選択基準311とに基づいて、複数の建物モデルの候補を決定する。そして、演算部32は、候補となる複数の建物モデル中のパラメータの上下限値と初期値を決定する(ステップST15)。続いて、演算部32は、ステップST13で特定された分布の種類に対応するパラメータ推定方法を用いて、候補となる複数の建物モデル中のパラメータを推定する(ステップST16)。さらに、演算部32はパラメータの推定値を評価し、パラメータの推定値が最適解に収束しているか否かを判定する(ステップST17)。
演算部32は、ステップST14で決定した複数の建物モデルの候補の全てについてステップST15〜17の処理が完了しているか否かを判定する(ステップST18)。ステップST18の判定の結果、候補となる全ての建物モデルについてパラメータ推定値が収束していると、演算部32は、候補となる複数の建物モデル間の有意差を判定し、建物モデル毎の残差を用いて入出力データの感度を評価する(ステップST19)。
演算部32は、ステップST19の判定及び評価に基づいて最適な建物モデルを確定する(ステップST20)。演算部32は、ステップST20で確定した建物モデルを用いて、評価対象の空調制御を実行した場合の省エネルギー性と室内の快適性を評価する(ステップST21)。演算部32は、ステップST21で行った評価の結果を、データ出力部34を介して出力する(ステップST22)。
なお、上述の空調制御評価装置3の構成及び動作の説明では、1台の空調機21に注目して説明したが、空調制御評価装置3が実行する空調制御評価方法を、図3に示した複数の空調機21のそれぞれに行うことが可能である。例えば、建物が3階建てのビルであり、各フロアに空調機21が設置されている場合、空調制御評価装置3は各フロアに対応した建物モデルを選択すればよい。
また、上述の空調制御評価装置3の構成及び動作の説明では、制御対象の機器を、図1Aに示した空調機器12のうち、空調機21の場合で説明したが、制御対象の機器は空調機21に限定されない。また、制御対象の機器は、図1Aに示した空調機器12の構成要素のうち、1つの構成要素に限定されず、複数の構成要素であってもよい。
本実施の形態1においては、上述したように、空調制御評価装置が、空気の状態を評価したいエリアを含む建物に関する情報である建物情報と、評価したい消費電力の空調機器の特性を含む機器情報と、温度及び湿度を含む実測データとに含まれる項目のうち、入力データとして使用可能な項目を判定し、判定した結果とモデル候補選択基準とに基づいて複数の建物モデルを選択し、選択した複数の建物モデルについて予め決められた統計量を計算し、空調機器の実測データの分布の種類に対応したパラメータ推定方法にしたがって建物モデル中のパラメータの推定値を求め、統計量と各建物モデルの推定値と実測値との残差とに基づいて1つの建物モデルを確定する。その結果、空調機器が設置された建物に対応した建物モデルが選択され、実測データの分布の種類に基づいて建物モデル中のパラメータが推定される。そのため、評価対象の空調機器が設置された建物に対応して、建物の熱負荷を高精度に推定でき、評価対象の空調制御に関する省エネルギー効果と室内の快適性を評価できる。
また、複数の建物モデルについて統計量を用いてモデル間の比較を行っているので、空調機器の消費電力の変動及び室内の快適性の変化の推定に必要なパラメータの数を抑制することができる。
空調システムの省エネルギー化を図る制御方法として、空調機の設定温度を上下させるだけでなく、空調機の運転と停止を最適に組み合わせたり、空調機器の特性上、省エネルギーとなる状態で空調機器を運転したりすることがある。これら制御方法は、省エネルギー性の効果が優先され、室内の快適性がどのように変化するかまで考慮されていない。
これらの制御方法を評価対象として、本実施の形態1の空調制御評価装置に評価を実行させれば、ユーザは、これらの制御方法を空調システムに実際に導入する前に、室内の快適性がどのように変化するかを確認できる。
また、ビル内の一部のエリアの空調機の運転を強制的に停止させて省エネルギー化を図る制御を行う場合、本実施の形態1の空調制御評価装置にその制御を事前に評価させればよい。この場合、ユーザは、対象となるエリアが空調機の運転を停止している間にどれだけ室温が変動するかを事前に評価することができ、評価結果に基づいて空調機を停止する時間を決めたり、空調機の運転を停止するエリアを別のエリアに変更したりすることができる。
一方、建物内の空間に対する空調制御を評価する方法に、目的変数を説明変数と回帰係数の積和で表した回帰モデルを用いることも考えられる。このような回帰モデルは、目的変数と相関関係が高く、かつ多重共線性を回避した説明変数が自動的に選択可能という利点がある。しかし、建物の熱負荷並びに室内の温度及び湿度が目的変数の場合、データの相関関係には表れない建物の形状及びセンサ位置などにも影響するため、説明変数の選択は相関係数だけでは不十分と考えられる。
また、多重共線性回避のために実際に相関関係はないがデータの見かけ上の相関関係により物理的に重要な入力データが削除されてしまう可能性がある。その結果、使用するモデルの出力データの推定精度がよくなっても、入力データの変動に対する出力データの変動が適切にモデル化できないため、省エネルギー制御の効果に関する推定精度を悪化させる可能性がある。
本実施の形態1において、建物モデル群は、熱特性の影響因子として少なくとも外気温と室内発生熱量を含み、建物の躯体の断熱性能を表すパラメータを含む熱特性モデルと、建物の躯体の断熱性能と蓄熱性能を表すパラメータを含む熱特性モデル、又は、湿度特性の影響因子として少なくとも外気湿度とエリアの発生水分量と、空調機器の冷房時による除湿量と、エリアを形成する構造物の吸放湿量を含む水分収支を表す湿度特性モデルと熱特性モデルの両方を有していてもよい。この場合、評価対象の空調制御が行われる建物について、熱特性および湿度特性の両方又は一方により近似した建物モデルを選択できる。
また、本実施の形態1において、パラメータ推定部は、パラメータの上限値及び下限値の範囲でパラメータの実測値と推定値の残差平方和が最小になるように、又は候補として選択された複数の建物モデルの尤度が最大になるように、パラメータの推定値を決定してもよい。実測データが正規分布である場合、実測値と推定値の残差平方和が最小になるように推定値を算出し、実測データが正規分布でない場合、建物モデルの尤度が最大になるように推定値を算出することで、パラメータの推定値の精度を向上させることができる。
本実施の形態1において、省エネルギー性評価値として、空調機器について、ある基準の制御を選定しておき、基準の制御に対する評価対象の制御が実行された場合の消費電力の変化量が算出されてもよい。基準の制御としては、例えば日常的に運用している設定温度一定の制御などである。この場合、省エネルギーの効果がより明確になる。快適性評価値として、空調機器について、ある基準の制御を選定しておき、基準の制御に対する評価対象の制御が実行された場合の室内の温度及び湿度のそれぞれの変化量が算出されてもよい。この場合、室内の快適性がどのように変化したかがより明確になる。
また、本実施の形態1において、建物が複数のフロアを有しており、建物情報が、空調機器の設置されているエリアのフロアが複数のフロアのうち何階であるかの情報を含んでいる場合、モデル候補選択基準に、空調機器が設置されているフロアが何階であるかの情報に応じて、候補として選択される建物モデルが設定されていてもよい。この場合、空調機が設置されたフロアにより適合した建物モデルが選択され、省エネルギー性評価値及び快適性評価値の推定精度が向上する。
また、本実施の形態1において、建物情報は、エリア内に加湿器が設置されているか否かの情報を含み、モデル候補選択基準は、エリア内に加湿器が設置されているか否かの情報と入力データとして使用可能かの情報に対応して、候補として選択される建物モデルが設定されていてもよい。この場合、評価対象の空調制御が行われるエリアを含む建物に対して、エリア内に加湿器が設置されているか否かに応じてより最適な建物モデルを選択できる。
また、本実施の形態1において、機器情報はエリア内に設置されている空調機器の設置場所の情報を含み、建物情報はエリア内の温度を計測するセンサの設置場所の情報を含み、実測データは、空調機器に設置されているセンサで計測した吸込み温度データ、及びエリアに設置されたセンサで計測した室温データの両方、又はいずれか一方を含み、モデル候補選択基準は、空調機器の設置場所に対応して、候補として選択される建物モデルが設定されていてもよい。この場合、評価対象の空調制御が行われるエリアを含む建物について、エリア内の空調機器の設置場所及びエリア内の温度センサの設置場所に応じてより最適な建物モデルを選択でき、選択された建物モデルと空調機器による吸込み温度データ及び温度センサによる室温データの両方又は一方とに対応して、パラメータの推定値の精度を向上させることができる。
さらに、本実施の形態1において、建物モデル毎に残差の累積ペリオドグラムと自己相関係数を算出し、累積ペリオドグラム及び自己相関係数に基づいて残差がホワイトノイズであるか否かを判定してもよい。残差がホワイトノイズと判定された場合、その残差の最も小さい建物モデルが最適なモデルとして選択され、省エネルギー性評価値及び快適性評価値の推定精度が向上する。
実施の形態2.
本実施の形態2は、ユーザが選択した評価対象の制御を空調機に実行可能にしたものである。
本実施の形態2の空調制御評価装置の構成を説明する。実施の形態1と異なる構成について詳細に説明し、実施の形態1と同様な構成についての詳細な説明を省略する。
図12は、本発明の実施の形態2の空調制御評価装置の一構成例を示すブロック図である。図12に示すように、空調制御評価装置3aは、図3に示した構成の他に、ユーザ選択部6と、制御指令変換部326とを有する。制御指令変換部326は演算部32に設けられている。
ユーザ選択部6は、ユーザが空調制御群から空調機21に実行させる空調制御の情報を選択可能にするものである。ユーザ選択部6は、ユーザが選択した空調制御の情報を含む確定制御を記憶部31に一旦格納した後、確定制御の信号を制御指令変換部326に送信する。
なお、図12は、ユーザ選択部6とデータ入力部33とを別の構成として示しているが、データ入力部33がユーザ選択部6の機能を備えていてもよい。
制御指令変換部326は、CPU(不図示)がプログラムを実行することで、空調制御評価装置3aに構成される。制御指令変換部326は、ユーザ選択部6から記憶部31を介して確定制御の信号を受信すると、確定制御の信号に含まれる、空調制御を空調機21に実行させるための制御指令に変換する。制御指令変換部326は、制御指令をデータ出力部34を介して空調機21に送信する。
データ出力部34は、空調機21と通信する機能を備え、記憶部31が記憶する制御指令を読み出し、空調機21に送信する。データ出力部34が空調機21に制御指令を送信するための通信媒体の種類は特に限定されない。通信媒体は、例えば、有線であってもよく、無線であってもよい。また、空調機21及びデータ入力部33間で使用される通信手段と空調機21及びデータ出力部34間で使用される通信手段とが異なっていてもよい。すなわち、これらの通信手段は複数の種類の通信手段が組み合わされたものであってもよい。
次に、本実施の形態2における空調制御評価装置の動作手順を説明する。
図13は、本発明の実施の形態2の空調制御評価装置の動作手順を示すフローチャートである。本実施の形態2では、図11に示した動作手順に追加されたステップST23〜25について説明し、ステップST11〜ステップST22についての詳細な説明を省略する。
ステップST22の処理の後、ユーザは、データ出力部34が出力する評価結果に基づいて、評価したい空調制御を空調制御群からユーザ選択部6を操作して選択する。演算部32は、ユーザにより空調制御が選択されたことを認識すると(ステップST23)、選択された空調制御に基づいて、空調機21宛に送信する制御指令を作成する(ステップST24)。続いて、演算部32は、作成した制御指令をデータ出力部34を介して空調機21に送信する(ステップST25)。
本実施の形態2によれば、実施の形態1と同様な効果が得られるだけでなく、ユーザが選択した空調制御を、評価対象の空調システムに実際に実行させることができる。
実施の形態3.
本実施の形態3は、快適性評価値として汚染物質濃度も考慮できるようにしたものである。本実施の形態3は、評価対象の機器が空調機21だけでなく、図1Aに示した換気装置22及び外調機27など、外気と空気のやりとりを行う、室内汚染物質除去に関わる装置が含まれる場合に、室内の快適性の評価に汚染物質濃度を追加するものである。
本実施の形態3の空調制御評価装置の構成を説明する。実施の形態1と異なる構成について詳細に説明し、実施の形態1と同様な構成についての詳細な説明を省略する。
図14は、本発明の実施の形態3の空調制御評価装置の一構成例を示すブロック図である。図14に示すように、空調制御評価装置3bは、図3に示した建物モデル群312が汚染物質濃度特性モデル群312cをさらに有する構成である。汚染物質濃度特性モデル群312cは、汚染物質の変化の特性に対応した複数種の汚染物質濃度特性モデルを含む。
汚染物質濃度特性モデルとして、例えば、室内のCO濃度特性モデルがある。汚染物質濃度特性モデルは、CO濃度特性モデルに限らず、揮発性有機化合物(VOC)及びオゾンなど室内汚染物質として評価したい物質の濃度特性モデルであればよい。式(6)は室内のCO濃度特性モデルの一例である。
Figure 0006498322
式(6)において、ρは外気CО濃度[ppm]、Gventは換気量[m/h]、ρは室内CО濃度[ppm]、Gdraftは隙間風量[m/h]、Vは室容積[m]、MOCCは室内CO発生量[m/h]である。
式(6)のバリエーションとしては、室内CO濃度をどこで計測しているかによって変更することができる。式(6)は室内CO濃度を居室内で測定している場合のモデルである。換気装置22及び外調機27の吸込み口で室内CO濃度を計測している場合は、居室内のCO濃度とずれが生じるため、時間的空間的ずれを考慮したモデルとすることができる。また、居室内と吸込み口両方でCO濃度を測定している場合は、各測定点でのCO濃度収支式を連立したモデルとすることも可能である。
本実施の形態3においては、機器情報は、空調機器12に設置されている汚染物質濃度を計測するセンサの位置情報を含む。建物情報は、エリア内の汚染物質濃度を計測するセンサの設置位置の情報を含む。実測データは、空調機器12に設置されているセンサで計測した汚染物質濃度データ及びエリア内に設置されたセンサで計測した汚染物質濃度データの両方、又はいずれか一方を含む。モデル候補選択基準は、エリア内の汚染物質濃度を計測するセンサ位置の情報に対応して、候補として選択される汚染物質濃度特性モデルが設定されている。
汚染物質濃度の計測値、計測値の時系列データ及び計測位置の項目と汚染物質濃度特性モデルとを対応づけた選択基準が、建物モデル選択基準に記述されている。
モデル評価部324は、データ評価部321aが評価した使用可能な項目に汚染物質濃度に関する項目が含まれていると、その項目と上記選択基準とに基づいて汚染物質濃度特性モデルの情報を確定建物モデルに含める。
空調制御評価部325の快適性評価部325bは、快適性評価値として、空調機21について、評価対象の複数の空調制御のうち、少なくとも1つの制御が実行された場合の室内の汚染物質濃度に対する、評価対象の別の制御が実行された場合の室内の汚染物質濃度の変化量を算出する。
なお、本実施の形態3では、建物モデル群312が複数種の汚染物質濃度特性モデルを有する場合で説明したが、汚染物質の発生メカニズムを考慮するとその発生原因の可能性が1つしか考えられない場合、建物モデル群312に登録される汚染物質濃度特性モデルが1つであってもよい。また、本実施の形態3における動作については、図11を参照して説明した動作手順と同様になるため、その詳細な説明を省略する。
本実施の形態3によれば、実施の形態1と同様な効果が得られるだけでなく、評価対象の制御に関して、室内の汚染物質濃度を考慮した快適性を評価することが可能となる。本実施の形態3は、実施の形態1をベースにして説明したが、本実施の形態3を実施の形態2に適用してもよい。
本実施の形態3において、機器情報は空調機器に設置されている汚染物質濃度を計測するセンサの位置情報を含み、建物情報はエリア内の汚染物質濃度を計測するセンサの設置位置の情報を含み、実測データは、空調機器に設置されているセンサで計測した汚染物質濃度データ及びエリア内に設置されたセンサで計測した汚染物質濃度データの両方、又はいずれか一方を含み、モデル候補選択基準は、エリア内の汚染物質濃度を計測するセンサ位置の情報に対応して、候補として選択される汚染物質濃度特性モデルが設定されていてもよい。この場合、評価対象の空調制御が行われる建物について、汚染物質濃度を計測するセンサの位置に対応してより最適な汚染物質濃度特性モデルを選択でき、選択されたモデルと実測データの汚染物質濃度データとに対応して汚染物質濃度の推定値の精度を向上させることができる。
また、上述した実施の形態1〜3で説明した空調制御評価方法をコンピュータに実行させるために、その方法の手順をプログラムに記述したものを記録媒体に格納してもよい。また、本プログラムを記憶するコンピュータがネットワークを介して他のコンピュータ等の情報処理装置に本プログラムを提供してもよい。
1、1a〜1c 空調システム、3、3a、3b 空調制御評価装置、6 ユーザ選択部、11、11a 空調コントローラ、12 空調機器、13 空調ネットワーク、14 機器接続用コントローラ、15 評価用計算機、16 汎用ネットワーク、19 センサ、21 空調機、21a 室外機、21b 室内機、22 換気装置、23 全熱交換器、24 加湿器、25 除湿器、26 ヒータ、27 外調機、31 記憶部、32 演算部、33 データ入力部、34 データ出力部、41 外気温、42 日射量、43 隣室温度、44 室内温度、45 空調除去熱量、46 室内発生熱量、51 外気絶対湿度、52 室内発生水分量、53 除湿量、54 室内絶対湿度、55 表面絶対湿度、311 モデル候補選択基準、312 建物モデル群、312a 熱特性モデル群、312b 湿度特性モデル群、312c 汚染物質濃度特性モデル群、321 データ前処理部、321a データ評価部、322 モデル候補選択部、323 パラメータ推定部、323a パラメータ上下限設定部、323b パラメータ評価部、324 モデル評価部、324a モデル残差評価部、325 空調制御評価部、325a 省エネルギー性評価部、325b 快適性評価部、326 制御指令変換部。

Claims (14)

  1. 建物内に設置された少なくとも1つの空調機器に対する複数の制御を評価する空調制御評価装置であって、
    前記空調機器が設置されたエリアを含む建物に関する情報である建物情報と、該空調機器の特性を含む機器情報と、該空調機器の運転状態並びに前記エリアと外気の温度、又は温度と湿度の両方の情報を含む実測データと、前記空調機器に対する評価対象の制御の情報と、前記建物の熱特性、又は熱特性と湿度特性の両方を表す複数の建物モデルを含む建物モデル群と、前記建物情報、前記機器情報及び前記実測データに含まれる項目と建物モデルとの対応を示すモデル候補選択基準とを記憶する記憶部と、
    前記建物情報、前記機器情報及び前記実測データに含まれる項目のうち、前記建物モデルの入力データとして使用可能な項目を判定し、前記実測データの分布の種類を特定するデータ評価部と、
    前記入力データとして使用可能な項目と前記モデル候補選択基準とに基づいて、前記建物モデル群から複数の建物モデルを候補として選択するモデル候補選択部と、
    前記分布の種類に対応してパラメータ推定方法を決定し、該パラメータ推定方法にしたがって、前記候補として選択された複数の建物モデルに含まれるパラメータの推定値を算出するパラメータ推定部と、
    前記候補として選択された複数の建物モデルについて予め決められた統計量を計算し、該統計量と該複数の建物モデル毎の温度、又は温度と湿度の両方の推定値と実測値との残差に基づいて該複数の建物モデルの候補から1つの建物モデルを確定するモデル評価部と、
    前記モデル評価部が確定した建物モデルを用いて、前記評価対象の複数の制御が実行される場合の前記空調機器の省エネルギー性評価値と快適性評価値を算出する空調制御評価部と、
    を有する空調制御評価装置。
  2. 前記建物モデル群は、
    熱特性の影響因子として少なくとも外気温と室内発生熱量を含み、前記建物の躯体の断熱性能を表すパラメータを含む熱特性モデルと、前記建物の躯体の断熱性能と蓄熱性能を表すパラメータを含む熱特性モデル、又は
    湿度特性の影響因子として少なくとも外気湿度と前記エリアの発生水分量と、前記空調機器の冷房時による除湿量と、前記エリアを形成する構造物の吸放湿量を含む水分収支を表す湿度特性モデルと前記熱特性モデルの両方を有する請求項1に記載の空調制御評価装置。
  3. 前記パラメータ推定部は、前記パラメータの推定値を算出する際、該パラメータの上限値、下限値及び初期値を設定し、該パラメータの上限値及び下限値の範囲で該パラメータの実測値と推定値の残差平方和が最小になるように、又は前記候補として選択された複数の建物モデルの尤度が最大になるように、該パラメータの推定値を決定する、請求項1又は2に記載の空調制御評価装置。
  4. 前記省エネルギー性評価値は、前記空調機器について、前記評価対象の複数の制御のうち、少なくとも1つの制御が実行された場合の消費電力量に対する、該評価対象の別の制御が実行された場合の消費電力量の変化量であり、
    前記快適性評価値は、前記空調機器について、前記評価対象の複数の制御のうち、少なくとも1つの制御が実行された場合の前記エリアの温度、又は温度と湿度の両方の推定値に対し、該評価対象の別の制御が実行された場合の前記エリアの温度、又は温度と湿度の両方の変化量である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の空調制御評価装置。
  5. 前記建物情報は、複数のフロアを有する建物において前記空調機器が設置されているエリアのフロアである評価対象フロアが該複数のフロアのうち何階であるかの情報を含み、
    前記モデル候補選択基準は、前記評価対象フロアが何階であるかの情報に対応して、候補として選択される建物モデルが設定されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の空調制御評価装置。
  6. 前記建物情報は、前記エリア内に加湿器が設置されているか否かの情報を含み、
    前記モデル候補選択基準は、前記エリア内に加湿器が設置されているか否かの情報と入力データとして使用可能かの情報に対応して、候補として選択される建物モデルが設定されている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の空調制御評価装置。
  7. 前記機器情報は、前記エリア内に設置されている前記空調機器の設置場所の情報を含み、
    前記建物情報は、前記エリア内の温度を計測するセンサの設置場所の情報を含み、
    前記実測データは、前記空調機器に設置されているセンサで計測した吸込み温度データ、及び前記エリアに設置されたセンサで計測した室温データの両方、又はいずれか一方を含み、
    前記モデル候補選択基準は、前記空調機器の設置場所に対応して、候補として選択される建物モデルが設定されている、請求項1〜6のいずれか1項に記載の空調制御評価装置。
  8. 前記モデル評価部は、前記建物モデル毎に前記残差の累積ペリオドグラムと自己相関係数を算出し、該累積ペリオドグラム及び自己相関係数に基づいて該残差がホワイトノイズであるか否かを判定し、該残差がホワイトノイズと判定した建物モデルのうち、前記残差が最も小さい建物モデルを前記1つの建物モデルに確定する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の空調制御評価装置。
  9. 前記建物モデル群は、前記エリア内の汚染物質濃度の変化の特性を表す汚染物質濃度特性モデルを含み、
    前記空調制御評価部は、前記快適性評価値として、前記空調機器について、前記評価対象の複数の制御のうち、少なくとも1つの制御が実行された場合の前記エリア内の汚染物質濃度に対する、該評価対象の別の制御が実行された場合の前記エリア内の汚染物質濃度の変化量を算出する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の空調制御評価装置。
  10. 前記機器情報は、前記空調機器に設置されている汚染物質濃度を計測するセンサの位置情報を含み、
    前記建物情報は、前記エリア内の汚染物質濃度を計測するセンサの設置位置の情報を含み、
    前記実測データは、前記空調機器に設置されているセンサで計測した汚染物質濃度データ及び前記エリア内に設置されたセンサで計測した汚染物質濃度データの両方、又はいずれか一方を含み、
    前記モデル候補選択基準は、前記エリア内の汚染物質濃度を計測するセンサ位置の情報に対応して、候補として選択される汚染物質濃度特性モデルが設定されている、請求項1〜9のいずれか1項に記載の空調制御評価装置。
  11. 前記記憶部は、前記空調機器について複数の前記制御の情報を含む空調制御群を記憶し、
    前記空調制御群から前記評価対象の制御をユーザが選択するためのユーザ選択部と、
    前記ユーザが前記ユーザ選択部を操作して前記評価対象の制御を選択すると、該評価対象の制御に基づく制御指令を前記空調機器に送信する制御指令変換部と、をさらに有する請求項1〜10のいずれか1項に記載の空調制御評価装置。
  12. 建物内に設置された少なくとも1つの空調機器と、
    前記空調機器を制御する空調コントローラと、
    請求項1〜11のいずれか1項に記載の空調制御評価装置と、
    を有する空調システム。
  13. 建物内に設置された少なくとも1つの空調機器に対する複数の制御を評価するコンピュータに実行させる空調制御評価方法であって、
    前記空調機器が設置されたエリアを含む建物に関する情報である建物情報と、該空調機器の特性を含む機器情報と、該空調機器の運転状態並びに前記エリアと外気の温度、又は温度と湿度の両方の情報を含む実測データと、前記空調機器に対する評価対象の制御の情報と、前記建物の熱特性、又は熱特性と湿度特性の両方を表す複数の建物モデルを含む建物モデル群と、前記建物情報、前記機器情報及び前記実測データに含まれる項目と建物モデルとの対応を示すモデル候補選択基準とを前記コンピュータの記憶部に格納し、
    前記建物情報、前記機器情報及び前記実測データに含まれる項目のうち、前記建物モデルの入力データとして使用可能な項目を判定し、前記実測データの分布の種類を特定し、
    前記入力データとして使用可能な項目と前記モデル候補選択基準とに基づいて、前記建物モデル群から複数の建物モデルを候補として選択し、
    前記分布の種類に対応してパラメータ推定方法を決定し、該パラメータ推定方法にしたがって、前記候補として選択された複数の建物モデルに含まれるパラメータの推定値を算出し、
    前記候補として選択された複数の建物モデルについて予め決められた統計量を計算し、該統計量と該複数の建物モデル毎の温度、又は温度と湿度の両方の推定値と実測値との残差に基づいて該複数の建物モデルの候補から1つの建物モデルを確定し、
    前記確定された建物モデルを用いて、前記評価対象の制御が実行される場合の前記空調機器の省エネルギー性評価値と快適性評価値を算出する、空調制御評価方法。
  14. コンピュータに、
    建物内に設置された少なくとも1つの空調機器が設置されたエリアを含む建物に関する情報である建物情報と、該空調機器の特性を含む機器情報と、該空調機器の運転状態並びに前記エリアと外気の温度、又は温度と湿度の両方の情報を含む実測データと、前記空調機器に対する評価対象の制御の情報と、前記建物の熱特性、又は熱特性と湿度特性の両方を表す複数の建物モデルを含む建物モデル群と、前記建物情報、前記機器情報及び前記実測データに含まれる項目と建物モデルとの対応を示すモデル候補選択基準とを前記コンピュータの記憶部に格納する手順と、
    前記建物情報、前記機器情報及び前記実測データに含まれる項目のうち、前記建物モデルの入力データとして使用可能な項目を判定し、前記実測データの分布の種類を特定する手順と、
    前記入力データとして使用可能な項目と前記モデル候補選択基準とに基づいて、前記建物モデル群から複数の建物モデルを候補として選択する手順と、
    前記分布の種類に対応してパラメータ推定方法を決定し、該パラメータ推定方法にしたがって、前記候補として選択された複数の建物モデルに含まれるパラメータの推定値を算出する手順と、
    前記候補として選択された複数の建物モデルについて予め決められた統計量を計算し、該統計量と該複数の建物モデル毎の温度、又は温度と湿度の両方の推定値と実測値との残差に基づいて該複数の建物モデルの候補から1つの建物モデルを確定する手順と、
    前記確定された建物モデルを用いて、前記評価対象の制御が実行される場合の前記空調機器の省エネルギー性評価値と快適性評価値を算出する手順を実行させるためのプログラム。
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