JP2004234302A - プロセス管理装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】プロセスの正常状態と各種故障状態のシミュレーションを事前に行うプロセスシミュレーション手段2と、これらの結果をシミュレーションデータとして蓄積するシミュレーションデータ蓄積手段3と、蓄積されたシミュレーションデータを統計解析手法により解析し、正常状態と異常状態との特性値の差異を抽出して故障知識データを生成する統計解析手段4と、この統計解析手段4により得られた故障知識データを蓄積する故障知識データ蓄積手段5と、プロセス実測データの変化の推移を監視し、故障知識データと比較して、プロセス実測データが正常な状態から逸脱しているか否かを判定する正常・異常判定手段6と、正常時及び故障発生時のプロセス実績データを蓄積するプロセス実績データ蓄積手段7とを備える。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、プロセス管理装置に関し、特にビル等の故障検知・予知・診断を効果的に実行できるようにしたプロセス管理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
BEMS(Building and Energy Management System:日本語ではビル・環境・エネルギー管理装置)は、事務所や店舗など業務用ビルの省エネ対策として重要なものになってきた。BEMSは、ビル経営管理からエネルギー管理まで、複数あるいは単独ビルに関する全ての管理を一括して行うシステムである。
【0003】
なお、故障診断支援を支援する装置の従来例として、特開平6−208568号公報に記載された“故障診断支援装置”がある。
【0004】
【特許文献】
特開平6−208568号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、現状のBEMSでは、故障予知や原因発見のための解析に必要なデータ数の不足(特に新築のビル)や、センサ信号が限られていることなどから、故障検知・予知・診断の自動化が困難であった。
【0006】
例えば、空調制御ゾーンにセンサ項目が1つ増えると、大型の30階建ての高層ビルで一階分に10ゾーンあるとすると10センサが必要となるので、全体では300センサが必要となり、設備投資が膨大となる。また、建築されてから年数が十分経過していないと、故障発生時のデータがほとんど蓄積されていないので、故障診断を十分に行うことができなかった。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、限られたセンサ信号から効率良く運転状態と故障状態を判別推定することにより、システムの性能検証や故障検知・予知・診断を行い、またエネルギー消費を削減し、保守費を低減させることができる、BEMS装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明は、請求項1では、システムの故障検知・予知・診断を行うプロセス管理装置であって、プロセスの正常状態と各種故障状態のシミュレーションを事前に行うプロセスシミュレーション手段と、これらの結果をシミュレーションデータとして蓄積するシミュレーションデータ蓄積手段と、蓄積されたシミュレーションデータを統計解析手法により解析し、正常状態と異常状態との特性値の差異を抽出して故障知識データを生成する統計解析手段と、この統計解析手段により得られた故障知識データを蓄積する故障知識データ蓄積手段と、プロセス実測データの変化の推移を監視し、前記故障知識データと比較して、プロセス実測データが正常な状態から逸脱しているか否かを判定する判定手段とを具備することを特徴としている。
【0009】
請求項2では、請求項1に記載のプロセス管理装置において、正常時及び故障発生時のプロセス実績データを蓄積するプロセス実績データ蓄積手段を設け、運転期間が長くなり故障時の実績データが十分蓄積されてきたときには、前記シミュレーションデータ蓄積手段に蓄えられているシミュレーションデータに加えて、あるいは替えて正常状態と異常状態との特性値の差異を抽出する統計解析手段の統計解析に用いることを特徴としている。
【0010】
請求項3では、請求項1または2に記載のプロセス管理装置において、前記統計解析手段は、主成分分析を用いることを特徴としている。
【0011】
請求項4では、請求項3に記載のプロセス管理装置において、前記主成分分析では、プロセス変数結合の重みパラメータを、正常時+故障時のシミュレーション区間のデータを用いて求めることを特徴としている。
【0012】
請求項5では、請求項3に記載のプロセス管理装置において、前記主成分分析では、プロセス変数結合の重みパラメータを、正常時のシミュレーション区間のデータを用いて求めることを特徴としている。
【0013】
請求項6では、請求項3に記載のプロセス管理装置において、前記主成分分析では、プロセス変数を結合してできる新しい変数をZ1,Z2,…,Zmとして、[(Z1の標準偏差)2+(Z2の標準偏差)2+…+(Zmの標準偏差)2]の平方根も特性値として用いることを特徴としている。
【0014】
請求項7では、請求項3乃至6の何れかに記載のプロセス管理装置において、前記主成分分析に用いるプロセス変数のうちでセンサが設置されていないものについて、前記プロセスシミュレーション手段では、残りの計測されるプロセス変数を用いてオンラインにて演算し、前記判定手段では、この演算値と計測されるプロセス変数の値を用いて正常な状態から逸脱しているか否かを判定することを特徴としている。
【0015】
請求項8では、請求項3乃至7の何れかに記載のプロセス管理装置において、故障知識データ蓄積手段に、あらかじめシミュレーションによりシステム系統別の故障散布図パターンも分類して蓄積しておき、プロセス実測データの変化の推移を監視し前記判定手段で異常があると診断した時、前記記故障知識データ蓄積手段の故障散布図パターンと類似性を比較して、どのシステム系統に故障が発生しているかを推定することを特徴としている。
【0016】
本発明は以上のような手段を講じたことにより、限られたセンサ信号から効率良く運転状態と故障状態を判別推定することにより、システムの性能検証や故障検知・予知・診断を精度良く自動で行い、またエネルギー消費を削減し、保守費を低減させることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、本発明が一般的なプロセスに適用できることは明らかであるが、実施例では具体例として空調プロセスへ適用するビル・環境・エネルギー管理(BEMS)装置の故障検知・予知・診断機能について説明する。
【0018】
図1は本発明によるビル空調プロセスに適用したプロセス管理装置の一実施の形態を示す全体構成図である。
【0019】
同図に示すように、このプロセス管理装置1は、プロセスの正常状態と各種故障状態のシミュレーションを事前に行うプロセスシミュレーション手段2と、これらの結果をシミュレーションデータとして蓄積するシミュレーションデータ蓄積手段3と、蓄積されたシミュレーションデータを統計解析手法により解析し、正常状態と異常状態との特性値の差異を抽出して故障知識データを生成する統計解析手段4と、この統計解析手段4により得られた故障知識データを蓄積する故障知識データ蓄積手段5と、プロセス実測データの変化の推移を監視し、前記故障知識データと比較して、プロセス実測データが正常な状態から逸脱しているか否かを判定する正常・異常判定手段6と、正常時及び故障発生時のプロセス実績データを蓄積するプロセス実績データ蓄積手段7とを備え、このプロセス実績データは、事務所ビルやデパート、病院等の対象建物側に設置された計測監視制御手段81,82,…,8nからネットワーク9を介してプロセス管理装置1の正常・異常判定手段6およびプロセス実績データ蓄積手段7に取り込まれるようになっている。
【0020】
前記計測監視制御手段81,82,…,8nは、各建物の設備の監視・制御を行うものであり、エネルギー消費設備のエネルギー消費量やその他のプロセス値(外気温、室温、室内湿度等)をセンサにより検出し監視すると共に、空調制御やエレベータ制御などの各設備の省エネ制御を行うものである。
【0021】
プロセスシミュレーション手段2は、空調解析を行ってその正常状態と各種故障状態のシミュレーションを事前に行うシミュレータ(ソフトウェア)で構成されており、各種建物及び負荷条件を設定データを入力して正常状態シミュレーションおよびフォルト状態シミュレーションを実行する。図2はプロセスシミュレーション手段2で実行されるシミュレーションの処理手順を示すフローチャートである。
【0022】
同図に示すように、初めに、対象の部屋の大きさ、熱容量、壁面積、壁の熱貫流率等のデータを設定する(ステップS1)。また、空調負荷に関連する気象要素である外気温、外気湿度、日射量を事前に設定する(ステップS2)。次いで、室内熱負荷データを設定する(ステップS3)。この熱負荷データの設定では、人の発熱量やOA等の電気機器及び照明の発熱量を、人の在室率変化に応じてシミュレーション時間分だけ、予め計算して設定する。また、日射量を用いて窓ガラス面からの取得熱量も求めておく。シミュレータは、制御で用いるDDC(Direct Digital Controller)も模擬しているので、サンプリング制御周期(シミュレータ計算周期の整数倍)が到来する度に、DDC制御アルゴリズムを通過させるように制御する(ステップS4,S5)。ステップS5で実行されるDDC制御アルゴリズムは、主に室温設定値と室温の偏差及び湿度設定値と室内湿度の偏差に基づいて、PIDアルゴリズム(速度形)の演算を行う。
【0023】
ステップS6では、空調機内での空気の各状態点(温度、湿度、エンタルピ等)を、冷却コイル、加熱コイル、加湿器の順で熱交換器の理論計算式や、空気線図の計算式を用いて求める。ステップS7の室内状態点計算では、ビル内の部屋の壁を外壁(窓あり)、床、内壁、天井の部分に分け、熱の収支を伝熱方程式で記述することにより、差分解法による室温と壁温の動特性変化を計算する。ステップS8では、再循環空気と導入外気の混合計算により空調機入口での空気の状態点を求める。
【0024】
前記プロセスシミュレーション手段2により行ったプロセスの正常状態と各種故障状態のシミュレーション結果は、シミュレーションデータ蓄積手段3に蓄えられる。
【0025】
統計解析手段4では、蓄積されたシミュレーションデータを統計解析手法を用いて、正常状態と異常状態の特性値の差異を抽出する。得られた情報は故障知識データとして故障知識データ蓄積手段5に蓄えられる。正常・異常判定手段6は各建物のプロセス実測データの変化の推移を監視し、前記故障知識データを用いて、正常な状態から逸脱しているか否かを判定・監視する。
【0026】
プロセス実績データ蓄積手段7は、正常時及び故障発生時の実績データを蓄積し、運転期間が長くなり故障時の実績データが十分蓄積されてきた際には、統計解析手段4に供給され、シミュレーションデータ蓄積手段3に蓄えられているシミュレーションデータに加えて、あるいは替わって正常状態と異常状態の特性値の差異を抽出する統計解析のために使用される。これにより故障検知・予知の精度をさらに向上(一種の学習機能)させることができる。
【0027】
図3、図4に前記(空調解析)プロセスシミュレーション手段2を用いて行った、正常状態と故障状態の夏の冷房時シミュレーション結果例を示す。
【0028】
これは、13時以降空調機の冷却コイルの効率を急減させて故障状態を模擬したものである。具体的には13時に熱貫流率を正常な47(W/m2・K)から15(W/m2・K)に急減させた。なお、図3で室温が細かく変動しているのは、室温計測系のノイズも模擬しているためである。空調機は19時に停止させたものである。
【0029】
統計解析手段4では、蓄積されたシミュレーションデータおよび/またはプロセス実績データから、正常状態と異常状態との特性値の差異を抽出するが、その具体的な統計解析手法の一例として主成分分析を以下に説明する。
【0030】
主成分分析(PCA:Principal Components Analysis )とは、多変量データを、情報の損失をできるだけ少なくして、少数個の総合特性値に要約する手法である。分析対象がどのような位置付けにあるのかを視覚的に把握できるようになる。
【0031】
(1) 多数の指標を統合した総合的な指標を作成する
(2) 観測対象をグループ分けする
〈主成分分析の計算手順〉
変数の数がp個(x1,x2,…,xp)、観測対象の数がn個の多変量データ
このデータをもとにp個より少ないm個の新しい変数(z1,z2,…,zm)を作る
新しい変数(z1,z2,…,zm)は、もとの変数(x1,x2,…,xp)を結合した変数で、次のような式で表されるものとする。
【0032】
【数1】
ここで、新しい変数は、次のような性質をもつものとする。
【0033】
z1はx1からxpの情報が最大限集約されるようにする。
【0034】
z2はx1からxpの情報がz1の次に出来るだけ多く集約されるようにする。以下、z3からzmまで同様に考える。
【0035】
具体的には、以下の条件の下で、a11,a12,…,ampを算出する。
【0036】
分散Var( Zi )は,
【数2】
Var ( Z1 ) ≧ Var ( Z2 ) ≧ … ≧ Var ( Zm ) また、
ai1 2+ai2 2+……+aiP 2=1 (i=1,2,…,m)
ここで、z1 はz2 とは独立になるようにする。z3 はz1 およびz2 とは独立になるようにする。以下、z4 からzm まで同様に考える。
【0037】
このような条件の下で、a11,a12,……,ampを求めることは、x1,x2,…,xp の分散共分散行列の固有値と固有ベクトルを計算することに帰着し、a11,a12,…,ampは固有ベクトルに他ならない。
【0038】
前記の正常状態と故障状態のシミュレーション結果例のデータ(1分間隔の8時から19時まで)を用いて主成分分析を行った結果を以下に示す。変数の個数Pは6個で行った。具体的には、
x1:室温(計測ノイズ有)
x2:冷水操作弁MV
x3:室内湿度
x4:外気温度
x5:PMV値
x6:冷水消費熱量
となる。各変数の単位が違うため、各変数毎にデータを正規化(標準化)してから主成分分析を行った。
【0039】
すなわち、k番目(k=1〜6)の変数の対象全データの平均値をMk、標準偏差をSkとして、以下のように各変数を正規化した。
【0040】
xkj → (xkj−Mk)/Sk
ここでj=1〜n(nはデータの個数)。
【0041】
mを3として主成分分析で求めたプロセス変数結合の重みパラメータ、
a11,a12,…,ampの値を表1に示す。
【0042】
【表1】
図5にz1とz3の正常時間帯+異常時間帯(8時から19時)の散布図を示す。
【0043】
主成分を新しい軸とした散布図を見ると、正常時のデータの分布と異常時のデータの分布が、はっきりと分離できていることがわかる。
【0044】
なお、前述した実施形態では、正常状態と故障状態のシミュレーション結果のデータ(8時から19時まで)を用いて主成分分析を行ったが、プロセス変数結合の重みパラメータを正常時の区間のデータのみを用いて求めても良い。以下にその実施形態例を示す。
【0045】
先ず、主成分分析PCAのパラメータを正常シミュレーションのN1〜N6のデータから算出する。変数は通常計測可能な下記の5変数とする。
【0046】
x1:室温(計測ノイズ有)
x2:冷水操作弁MV
x3:室内湿度
x4:外気温度
x5:外気湿度
ここで、a11,a12,…,ampの値を表2に示す。
【0047】
【表2】
正常シミュレーションの条件を以下のようにする。
【0048】
N1
在室人数 110人 外気温度 max 35.11℃ 晴れ
N2
在室人数 110人 外気温度 max 32.11℃ 晴れ
N3
在室人数 110人 外気温度 max 28.7℃ 雨
N4
在室人数 70人 外気温度 max 32.11℃ 晴れ
N5
在室人数 70人 外気温度 max 35.11℃ 晴れ
N6
在室人数 70人 外気温度 max 28.7℃ 雨
また、故障シミュレーションの条件は以下のようにし、標準のN4の条件で以下の故障を発生させた。
【0049】
F1
冷却コイル 故障
冷却コイル故障(効率低下 11時以降)
熱貫流率(W/m2・K)
KEC=47 から KEC=30 (急減ではなく30分の一次遅れ)
F1B
冷却コイル 故障
冷却コイル故障(効率低下 11時以降)
熱貫流率(W/m2・K)
KEC=47 から KEC=26 (急減ではなく30分の一次遅れ)
F2
給気ファン故障 (正常時はGD=7.0(kg/s))
空調開始からGD=4.5(kg/s)
F2B
給気ファン故障 (正常時はGD=7.0(kg/s))
空調開始からGD=4.2(kg/s)
F3
冷却水操作弁 遅れ(操作出力に対して)
遅れ時間 5分 故障は空調開始から
図6に散布図の例として、Z2とZ3を軸とした正常時(N1〜N6)と故障F3の散布図を示す。正常時のデータの分布と異常時のデータの分布が、はっきりと分離できていることがわかる。
【0050】
また、この図からもわかるように、空調負荷を広い範囲で変えた6日分(N1〜N6)の正常データ群に対して、故障データ(F3)は1日分のデータにもかかわらずバラツキがたいへん大きいことがわかる。
【0051】
そこで、下記に示すようなバラツキ度を定義して、各シミュレーションケースについて計算したのが、表3である。
【0052】
【表3】
〈バラツキ度(3次元の標準偏差)の比較〉
【数3】
[(Z1の標準偏差)2+(Z2の標準偏差)2+(Z3の標準偏差)2]の平方根
ここで、N1からN6の負荷(空調消費エネルギー)の大きさ順番は、N1>N2 >N5>N4>N3>N6であり表3のバラツキの大きさの順と一致している。
【0053】
既に述べたように故障シミュレーションの負荷条件はすべてN4であるが、表3からわかるようにすべての故障のバラツキ度はN4よりも大きい。また、故障が大きくなるとバラツキ度が増加していることもわかる(F1→F1B、F2→F2B)。
【0054】
以上の特性を用いて本発明の故障診断(予知)は、各空調制御ゾーン毎に計測できる5変数を用いて、一日毎の(Z1,Z2、Z3)の散布とバラツキ度(3次元の標準偏差)を監視し、故障が徐々に進行して行き、(Z1,Z2、Z3)の散布が正常領域の中にまだある場合でも、負荷(外気温等)が類似のバラツキ度と比較してバラツキ度が大きいと、あるいは大きくなっていく傾向にあるとそのゾーンの空調機が故障あるいは故障進行中と判断する。
【0055】
さらに、故障が進行していくときの散布図パターンの分類により、その故障がどの空調システムの系統で発生しているかを推定する。例えば図6の散布図は冷却水操作弁が故障(F3)したときのパターンであるが、図7に示したのは冷却コイルが故障(F1B)したときのパターンである。
【0056】
このようにして、あらかじめシミュレーションにより主な機器別の故障散布図パターンも故障知識データ蓄積手段5に分類して蓄積しておく。オンラインではプロセス実測データの変化の推移を監視し、正常・異常判定手段6で異常があると診断した時、実測の散布図パターンと類似なものをパターン認識により、前記故障知識データ蓄積手段5の中の故障散布図パターン分類から検索することにより、どの機器に故障が発生しているかを推定する。
【0057】
x1からxpまでのプロセス変数が、すべてセンサが設置されていて計測できる場合は、それらの実測データから前記の方法でz1〜zmに変換して、正常・異常判定手段6により正常な状態から逸脱しているか否かを監視すれば良い。しかしx1 からxpの中で、例えばxpのセンサが設置されていないため実測データが得られない場合は、x1からxp−1の実測データを用いて(空調解析)プロセスシミュレーション手段2によりxpをオンラインで求め、このxpとx1〜xp−1を用いてz1〜zmに変換し、正常な状態から逸脱しているか否かを監視すれば良い。
【0058】
以上説明したような構成とアルゴリズムにより、本発明の目的を達成することができる。
【0059】
<他の実施形態>
なお、本願発明は上述した実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できるものである。
【0060】
例えば、上述した実施形態では、具体例として空調プロセスへ適用するビル・環境・エネルギー管理(BEMS)装置の故障検知・予知・診断機能を用いて説明したが、本発明が一般的なプロセスに適用できることは明らかである。
【0061】
また上述した実施形態では複数の建物に対してのリモートのBEMS装置についてのものであるが、もちろん同様のアルゴリズムを建物単独で実施しても良い。この場合はリモートでなく、その建物に本発明装置が設置される。
【0062】
さらに、上述した実施形態では正常状態と異常状態の特性値の差異を抽出するのに統計解析手段4を用いたが、ファジィモデルやデータマイニング等を用いても良い。
【0063】
また、各実施形態は可能な限り組合わせて実施することが可能であり、その場合には組合せによる効果が得られる。
【0064】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、限られたセンサ信号から効率良く運転状態と故障状態を判別推定することにより、システムの性能検証や故障検知・予知・診断を精度良く自動で行い、またエネルギー消費を削減し、保守費を低減させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるプロセス管理装置の一実施形態を示すビル・環境・エネルギー管理(BEMS)装置の全体構成図である。
【図2】図2はプロセスシミュレーション手段で実行される処理手順を示すフローチャートである。
【図3】プロセスシミュレーション手段を用いて行った冷房時シミュレーション結果例を示す説明図である。
【図4】プロセスシミュレーション手段を用いて行った冷房時シミュレーション結果例を示す説明図である。
【図5】6変数による主成分分析を行い、主成分を新しい軸とした散布図の例を示す説明図である。
【図6】5変数による主成分分析を行い、主成分を新しい軸とした散布図の例を示す説明図である。
【図7】5変数による主成分分析を行い、主成分を新しい軸とした散布図の例を示す説明図である。
【符号の説明】
1 プロセス管理装置
2 プロセスシミュレーション手段
3 シミュレーションデータ蓄積手段
4 統計解析手段
5 故障知識データ蓄積手段
6 正常・異常判定手段
7 プロセス実績データ蓄積手段
81,82,…,8n 計測監視制御手段
9 ネットワーク
Claims (8)
- システムの故障検知・予知・診断を行うプロセス管理装置であって、
プロセスの正常状態と各種故障状態のシミュレーションを事前に行うプロセスシミュレーション手段と、
これらの結果をシミュレーションデータとして蓄積するシミュレーションデータ蓄積手段と、
蓄積されたシミュレーションデータを統計解析手法により解析し、正常状態と異常状態との特性値の差異を抽出して故障知識データを生成する統計解析手段と、
この統計解析手段により得られた故障知識データを蓄積する故障知識データ蓄積手段と、
プロセス実測データの変化の推移を監視し、前記故障知識データと比較して、プロセス実測データが正常な状態から逸脱しているか否かを判定する判定手段と、
を具備することを特徴とするプロセス管理装置。 - 請求項1に記載のプロセス管理装置において、
正常時及び故障発生時のプロセス実績データを蓄積するプロセス実績データ蓄積手段を設け、
運転期間が長くなり故障時の実績データが十分蓄積されてきたときには、前記シミュレーションデータ蓄積手段に蓄えられているシミュレーションデータに加えて、あるいは替えて正常状態と異常状態との特性値の差異を抽出する統計解析手段の統計解析に用いることを特徴とするプロセス管理装置。 - 請求項1または2に記載のプロセス管理装置において、
前記統計解析手段は、主成分分析を用いることを特徴とするプロセス管理装置。 - 請求項3に記載のプロセス管理装置において、
前記主成分分析では、プロセス変数結合の重みパラメータを、正常時+故障時のシミュレーション区間のデータを用いて求めることを特徴とするプロセス管理装置。 - 請求項3に記載のプロセス管理装置において、
前記主成分分析では、プロセス変数結合の重みパラメータを、正常時のシミュレーション区間のデータを用いて求めることを特徴とするプロセス管理装置。 - 請求項3に記載のプロセス管理装置において、
前記主成分分析では、プロセス変数を結合してできる新しい変数をZ1,Z2,…,Zmとして、[(Z1の標準偏差)2+(Z2の標準偏差)2+…+(Zmの標準偏差)2]の平方根も特性値として用いることを特徴とするプロセス管理装置。 - 請求項3乃至6の何れかに記載のプロセス管理装置において、
前記主成分分析に用いるプロセス変数のうちでセンサーが設置されていないものについて、前記プロセスシミュレーション手段では、残りの計測されるプロセス変数を用いてオンラインにて演算し、
前記判定手段では、この演算値と計測されるプロセス変数の値を用いて正常な状態から逸脱しているか否かを判定することを特徴とするプロセス管理装置。 - 請求項3乃至7の何れかに記載のプロセス管理装置において、
故障知識データ蓄積手段に、あらかじめシミュレーションによりシステム系統別の故障散布図パターンも分類して蓄積しておき、プロセス実測データの変化の推移を監視し前記判定手段で異常があると診断した時、前記記故障知識データ蓄積手段の故障散布図パターンと類似性を比較して、どのシステム系統に故障が発生しているかを推定することを特徴とするプロセス管理装置。
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