JP6496168B2 - 軸箱構造を有する鉄道車両用台車 - Google Patents

軸箱構造を有する鉄道車両用台車 Download PDF

Info

Publication number
JP6496168B2
JP6496168B2 JP2015057216A JP2015057216A JP6496168B2 JP 6496168 B2 JP6496168 B2 JP 6496168B2 JP 2015057216 A JP2015057216 A JP 2015057216A JP 2015057216 A JP2015057216 A JP 2015057216A JP 6496168 B2 JP6496168 B2 JP 6496168B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
axle box
axle
front lid
heat sink
lubricating oil
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2015057216A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2016026947A (ja
Inventor
福井 康之
康之 福井
此川 徹
徹 此川
智広 大塚
智広 大塚
成志 金森
成志 金森
西村 和彦
和彦 西村
原 聡
聡 原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Sharyo Ltd
Central Japan Railway Co
Original Assignee
Nippon Sharyo Ltd
Central Japan Railway Co
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Sharyo Ltd, Central Japan Railway Co filed Critical Nippon Sharyo Ltd
Priority to JP2015057216A priority Critical patent/JP6496168B2/ja
Publication of JP2016026947A publication Critical patent/JP2016026947A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6496168B2 publication Critical patent/JP6496168B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Mounting Of Bearings Or Others (AREA)
  • Rolling Contact Bearings (AREA)

Description

本発明は、潤滑油で軸受の転動体を潤滑させる油浴潤滑式の軸箱構造を有する鉄道車両用台車に関し、特に、高速走行時に潤滑油の温度を低下させることができる軸箱構造を有する鉄道車両用台車に関する。
鉄道車両用台車は、枕木方向に延びる車軸の両端部に軸箱構造をそれぞれ有していて、軸箱構造で軸受を介して車軸を回転可能に支持している。この軸箱構造では、軸受の性能を維持するために、軸受の転動体をグリースで潤滑させるグリース潤滑式又は潤滑油で潤滑させる油浴潤滑式がある。
下記特許文献1に記載された油浴潤滑式の軸箱構造は、図27に示すように、主に前蓋120と軸箱110と後蓋130とを備えて構成されている。前蓋120は、車軸102の軸端102aを覆っている。軸箱110は、車軸102の軸端102aより枕木方向内側であるジャーナル102bを複列円錐ころ軸受150を介して回転可能に支持している。後蓋130は、車軸102のジャーナル102bより枕木方向内側であるちりよけ座102cを覆っていて、オイルシール133で潤滑油を封止している。そして、前蓋120と軸箱110と後蓋130の内部の下側で潤滑油を油浴していて、車軸102の回転に伴って潤滑油を車軸102周りに循環させて、複列円錐ころ軸受150の転動体153を潤滑するようになっている。
ところで、新幹線(登録商標)等の高速鉄道車両に適用される油浴潤滑式の軸箱構造101Xでは、走行速度が大きくなるにつれて、車軸102が高速回転するため、複列円錐ころ軸受150からの転動による発熱が大きくなって、潤滑油の温度が高くなるという問題点がある。特に、300km/h以上の走行速度になると、動的振動加速度が大きくなり、車軸102の径、複列円錐ころ軸受150の径、オイルシール133の径が拡大する傾向がある。これにより、摺動摩擦が増加して、潤滑油の温度が更に高くなるという悪循環が引き起こされることになる。
こうして、潤滑油の温度が高くなり過ぎると、潤滑油の酸化やスラッジの生成が進み、スラッジがオイルシール133に噛み込まれて、オイルシール133の油漏れの原因になる。また、複列円錐ころ軸受150を圧入している部分のシメシロに影響がでたり、例えば鉄製の複列円錐ころ軸受150とアルミニウム製の軸箱110との線膨張係数の違いによって、隙間が大きくなることが懸念される。そこで、このような潤滑油の温度上昇に対して、下記特許文献1では、後蓋130で潤滑油が流れる流路部130bの容積を従来のものより大幅に拡張させている。これにより、後蓋130の流路部130bで流れる潤滑油が滞らなくなり、潤滑油の温度上昇を抑制している。その結果、スラッジの生成を抑制して、オイルシール133の油漏れを防止するようになっている。
特許第4047846号公報
しかしながら、上記特許文献1の軸箱構造101Xのように、流路部130bの容積を拡張するだけでは、潤滑油の温度を目標とする温度まで低下させるために十分ではなかった。即ち、近年の高速鉄道車両の更なる高速化及び長時間に渡って継続する高速走行を実現するために、従来技術では対応できなくなっている。そこで、従来からの積極的な構造の変更によって潤滑油の温度を大幅に低下することが求められている。
しかし、軸箱110の周りでは、その他の部分で多くの電気配線を用いているため、新たな電気配線を用いることができない。このため、電気配線が必要な冷却機器を新たに設置して、潤滑油を冷やすことはできない。一方、潤滑油として、温度上昇に対応できるものが開発されているが、その潤滑油を用いるとコストが非常にかかる。ここで、本出願人は、現車走行試験の測定結果により、軸箱110及び前蓋120のうち車軸102の軸中心より下側で走行風が強く当たっていることを知得している。従って、この走行風を利用して潤滑油の温度を大幅に低下できるかどうかを鋭意研究していた。
そこで、本発明は上記した課題を解決するためになされたものであり、走行風を利用してコストを抑えつつ潤滑油の温度を大幅に低下させることができる軸箱構造を有する鉄道車両用台車を提供することを目的とする。
本発明に係る軸箱構造を有する鉄道車両用台車は、次のような構成を有し、次のように作用する。
(1)枕木方向に延びる車軸のジャーナル部を、軸受を介して回転可能に支持する軸箱と、前記軸箱の枕木方向の外側を覆う前蓋と、前記軸箱の枕木方向の内側を覆う後蓋を備え、前記車軸の回転に伴って、前記前蓋と前記軸箱と前記後蓋の内部下側に油浴された潤滑油を前記車軸周りに循環させて前記軸受の転動体を潤滑する軸箱構造を有する鉄道車両用台車において、
前記前蓋、または前記軸箱の下面の少なくともいずれか一方に、複数のフィンを備えるヒートシンクが形成されていること、前記軸箱の下面が水平面を備え、前記水平面にレール方向に並行に前記複数のフィンが形成されていること、前記前蓋内の下側で潤滑油が油浴している前蓋油浴部分をレール方向に貫通する空気流し管が取付けられていて、前記空気流し管の内部には、走行風が通過する貫通孔が形成されていること、を特徴とする。
(1)に記載の軸箱構造を有する鉄道車両用台車によれば、高速走行時に、車軸が高速回転するため、軸受からの転動による発熱が大きくなり、潤滑油の温度が上昇しようとする。このとき、台車周辺に発生する気流がヒートシンク作用して、ヒートシンクを冷却するため、潤滑油を効率的に冷却することができる。これにより、走行速度が大きくなるほど、走行風がフィンの間を通過する際にフィンの熱を効果的に奪うことができ、潤滑油の温度を大幅に低下させることができる。
また、高速走行時に、車軸が高速回転するため、軸受からの転動による発熱が大きくなり、潤滑油の温度が上昇しようとする。このとき、軸箱の最下端が広い水平面になっていて、肉抜き孔による凹状の面になっていないため、潤滑油の熱が水平面全体に伝わり易い。そして、水平面にはヒートシンクが取付けられているため、潤滑油の熱がヒートシンクのフィンに十分伝わる。
さらにまた、空気流し管が前蓋油浴部分を貫通した状態で貫通孔に走行風を流すため、潤滑油を直接的に冷却することができる。更に、空気流し管が前蓋の油浴部分を貫通することで、潤滑油が攪拌する際に生じる波を抑えることができ、潤滑油の攪拌熱を抑制することができる。
)()に記載された軸箱構造を有する鉄道車両用台車において、前記ヒートシンクが引抜加工または押出加工により製造されることを特徴とする。
)に記載の軸箱構造を有する鉄道車両用台車によれば、更に、ヒートシンクは、その他の冷却機器のような特注品ではなく市販品をそのまま用いることができ、コストを抑えることができて、走行風を利用して冷却する部材として最適である。
)()に記載された軸箱構造を有する鉄道車両用台車において、前記ヒートシンクが機械加工により、所定の強度を有するように形成されることにより、前記軸箱を載置するときに、直接ヒートシンクを載置面に当てることを特徴とする。
)に記載の軸箱構造を有する鉄道車両用台車によれば、メンテナンスの時に、外した軸箱を載置するときに、直接ヒートシンクを載置面に当てることができるため、利便性が高い。市販のヒートシンクでは、剛性が低いため、軸箱の重量に耐え得ない。そのため、メンテナンスの時には、ヒートシンクを取り外して載置しなければならず、取外し、取付の手間がかかる問題があるが、()のものならば、その問題を解決できる。
)また、本発明に係る軸箱構造を有する鉄道車両用台車において、前記空気流し管のレール方向の両端部は、前記前蓋から露出していて、前記貫通孔より大きくて両端に向かうに従って径が大きくなるテーパ状のテーパ孔を有すると良い。
この場合には、テーパ孔によって多くの走行風を取り込むことができ、空気流し管の貫通孔の中へより多くの走行風を通過させることができる。これにより、潤滑油の温度をより効果的に低下させることができる。
枕木方向に延びる車軸のジャーナル部を、軸受を介して回転可能に支持する軸箱と、前記軸箱の枕木方向の外側を覆う前蓋と、前記軸箱の枕木方向の内側を覆う後蓋を備え、前記車軸の回転に伴って、前記前蓋と前記軸箱と前記後蓋の内部下側に油浴された潤滑油を前記車軸周りに循環させて前記軸受の転動体を潤滑する軸箱構造を有する鉄道車両用台車において、
前記前蓋、または前記軸箱の下面の少なくともいずれか一方に、複数のフィンを備えるヒートシンクが形成されていること、前記軸箱は、前記車軸を支持する中央部からレール方向の両側に向かって延びていて軸バネを支持するバネ受け部を有し、前記軸箱の中央部に一端部が取付けられ前記バネ受け部に他端部が取付けられていて前記バネ受け部に向かって斜め上方に延びるヒートパイプが取付けられていることを特徴とする
この場合には、ヒートパイプの一端部は軸箱の中央部に取付けられているため、軸箱の中央部から潤滑油の熱を受けて加熱される。これにより、作動液が蒸発し、蒸気流となって低温であるヒートパイプの他端部の方へ移動する。そして、蒸気流はヒートパイプの他端部の内壁に接触すると、冷却して凝縮する。その後、凝縮した作動液は毛細管現象又は重力によって高温であるヒートパイプの一端部に戻る。こうして、作動液が蒸発と移動と凝縮を繰り返すことで、潤滑油の熱を連続的に奪い、潤滑油の温度を効果的に低下させることができる。
枕木方向に延びる車軸のジャーナル部を、軸受を介して回転可能に支持する軸箱と、前記軸箱の枕木方向の外側を覆う前蓋と、前記軸箱の枕木方向の内側を覆う後蓋を備え、前記車軸の回転に伴って、前記前蓋と前記軸箱と前記後蓋の内部下側に油浴された潤滑油を前記車軸周りに循環させて前記軸受の転動体を潤滑する軸箱構造を有する鉄道車両用台車において、
前記前蓋、または前記軸箱の下面の少なくともいずれか一方に、複数のフィンを備えるヒートシンクが形成されていること、前記ヒートシンクの下側には、車輪の形状を修正する在姿車輪旋盤の治具で支持される受け座が取付けられていることを特徴とする
この場合には、車輪の形状を修正する際に、在姿車輪旋盤の治具が受け座を支持する。すなわち、仮にヒートシンクの下側に何も取付けられていない場合には、軸箱を在姿車輪旋盤の治具の上に載せる際に、ヒートシンクを取り外さなければならない。従って、在姿車輪旋盤で車輪の形状を修正する際に、ヒートシンクを取り外す手間がなくなり、作業性を向上させることができる。更に、受け座によって、走行中に跳ね上がる飛石や雪の塊からヒートシンクを保護することができる。
(7)また、(6)に記載された軸箱構造を有する鉄道車両用台車において、前記受け座は、前記数のフィンに直交して水平状に延びる平面部と、前記平面部のレール方向の両端から斜め下方に向かって延びる傾斜部とを有することが好ましい。
この場合には、走行風が受け座の傾斜部に沿ってヒートシンクのフィンに向かって流れ込む。これにより、フィンに対して多くの走行風を呼び込むことができ、ヒートシンクによる冷却性能を十分に発揮させることができる。
枕木方向に延びる車軸のジャーナル部を、軸受を介して回転可能に支持する軸箱と、前記軸箱の枕木方向の外側を覆う前蓋と、前記軸箱の枕木方向の内側を覆う後蓋を備え、前記車軸の回転に伴って、前記前蓋と前記軸箱と前記後蓋の内部下側に油浴された潤滑油を前記車軸周りに循環させて前記軸受の転動体を潤滑する軸箱構造を有する鉄道車両用台車において、
前記前蓋、または前記軸箱の下面の少なくともいずれか一方に、複数のフィンを備えるヒートシンクが形成されていること、前記ヒートシンクの下側には、レール上の障害物を排除する排障器が取付けられていることを特徴とする
この場合には、排障器によって、走行中に跳ね上がる飛石や雪の塊からヒートシンクを保護することができ、ヒートシンクがあっても排障器の機能が損なわれることがない。つまり、鉄道車両の先頭車両には通常排障器が設けられているため、先頭車両において排障器があっても軸箱の下側にヒートシンクを取付けることができ、排障器とヒートシンクが共に機能を発揮できる。こうして、全ての車両に対して軸箱の下側にヒートシンクを取付けることができる。
枕木方向に延びる車軸のジャーナル部を、軸受を介して回転可能に支持する軸箱と、前記軸箱の枕木方向の外側を覆う前蓋と、前記軸箱の枕木方向の内側を覆う後蓋を備え、前記車軸の回転に伴って、前記前蓋と前記軸箱と前記後蓋の内部下側に油浴された潤滑油を前記車軸周りに循環させて前記軸受の転動体を潤滑する軸箱構造を有する鉄道車両用台車において、
前記前蓋、または前記軸箱の下面の少なくともいずれか一方に、複数のフィンを備えるヒートシンクが形成されていること、前記前蓋には、潤滑油が油浴している前蓋油浴部分より上側の空間と前記前蓋の外側の空間とを連通する空気配管が取付けられていて、前記空気配管には、レール方向に延びて走行風を取り入れる吸引孔が形成されていることを特徴とする
この場合には、高速走行時に走行風が空気配管の吸引孔から取り入れられて、前蓋油浴部分より上側の空間に入り込む。これにより、前蓋油浴部分より上側で温まった空気が冷やされて、潤滑油の温度をより低下させることができる。
(10)また、枕木方向に延びる車軸のジャーナル部を、軸受を介して回転可能に支持する軸箱と、前記軸箱の枕木方向の外側を覆う前蓋と、前記軸箱の枕木方向の内側を覆う後蓋を備え、前記車軸の回転に伴って、前記前蓋と前記軸箱と前記後蓋の内部下側に油浴された潤滑油を前記車軸周りに循環させて前記軸受の転動体を潤滑する軸箱構造を有する鉄道車両用台車において、
前記前蓋、または前記軸箱の下面の少なくともいずれか一方に、複数のフィンを備えるヒートシンクが形成されていること、前記前蓋は、速度発電機のギヤを収容しているものであることを特徴とする
この場合には、速度発電機のギヤを収容している前蓋が、速度発電機のギヤを収容していない前蓋に比べて、走行風に当接する面積が大きい。これにより、前蓋自体が走行風によって冷やされて、潤滑油の温度をより低下させることができる。
11枕木方向に延びる車軸のジャーナル部を、軸受を介して回転可能に支持する軸箱と、前記軸箱の枕木方向の外側を覆う前蓋と、前記軸箱の枕木方向の内側を覆う後蓋を備え、前記車軸の回転に伴って、前記前蓋と前記軸箱と前記後蓋の内部下側に油浴された潤滑油を前記車軸周りに循環させて前記軸受の転動体を潤滑する軸箱構造を有する鉄道車両用台車において、
前記前蓋、または前記軸箱の下面の少なくともいずれか一方に、複数のフィンを備えるヒートシンクが形成されていること、前記後蓋の外周面に、下部放熱フィンが備えられていること、回転する油切りのうち、前記下部放熱フィンと対向する部位にファンを取り付けたことを特徴とする。これにより、油切りと共に回転する放熱ファンと対向する位置に下部放熱フィンを備えるため、効率的に潤滑油を冷却することができる。
本発明の軸箱構造を有する鉄道車両用台車によれば、車軸の軸中心より下側で軸箱又は前蓋に強く当たる走行風を利用し、ヒートシンクを用いてコストを抑えつつ潤滑油の温度を大幅に低下させることができる。その結果、潤滑油の酸化及びスラッジの生成を抑制して、シール部材の油漏れを防止することができる。こうして、高速鉄道車両の更なる高速化及び長時間に渡って継続する高速走行に十分対応することができる。
第1実施形態の軸箱構造を有する鉄道車両用台車の模式的な側面図である。 図1に示した軸箱構造の平面図である。 図1に示した軸箱構造の側面図である。 図2に示した軸箱構造のX−X線に沿った断面図である。 図4に示した前蓋と軸箱と後蓋を拡大した図である。 第1実施形態の軸箱と従来の軸箱とを比較した側面図である。 第1実施形態の軸箱と従来の軸箱とを比較した底面図である。 図3に示したヒートシンクの斜視図である。 (A)図3に示した空気流し管の斜視図である。(B)図9(A)のY−Y線に沿った断面図である。 図3に示したヒートパイプを説明するための図である。 第1実施形態の第1変形例の軸箱構造を示した側面図である。 第1実施形態の第2変形例の軸箱構造を示した側面図である。 第1実施形態の第3変形例の軸箱構造を示した側面図である。 図13に示した軸箱構造の部分的な断面図である。 第2実施形態の軸箱構造を示した側面図である。 図15に示した軸箱構造の部分的な断面図である。 第2実施形態の変形例の軸箱構造の部分的な断面図である。 第3実施形態の軸箱構造を示した側面図である。 図18に示した上向きヒートシンクをレール方向から見たときの図である。 第4実施形態の変形例の軸箱構造の部分的な断面図である。 ヒートシンクのフィンの変形例を示した斜視図である。 第5実施の形態の軸箱構造を示した側面図である。 第5実施の形態の軸箱構造の部分的な断面図である。 第6実施の形態の軸箱構造を示した側面図である。 第6実施の形態の軸箱構造の部分的な断面図である。 第6実施の形態の変形例を示す部分的な断面図である。 従来の軸箱構造を説明するための部分的な断面図である。
<第1実施形態>
本発明に係る軸箱構造を有する鉄道車両用台車の各実施形態について、図面を参照しながら説明する。図1は、第1実施形態の軸箱構造1を有する鉄道車両用台車DSの模式的な側面図である。図1に示すように、鉄道車両用台車DSでは、枕木方向に延びる一つの車軸2に対して、レール3を転動する二つの車輪4が取付けられていて、二つの車軸2がレール方向に離れて配置されている。そして、各車軸2の両端部が軸箱構造1によって回転可能に支持されていて、軸箱構造1が軸バネ5を介して台車枠6を弾性的に支持している。
図2は、図1に示した軸箱構造1の平面図であり、図3は、図1に示した軸箱構造1の側面図である。また、図4は、図2に示した軸箱構造1のX−X線に沿った断面図である。図2〜図4に示すように、軸箱構造1は、主に軸箱10と、前蓋20と、後蓋30と、油切り40と、複列円錐ころ軸受50とを備えて構成されている。そして、図4に示すように、車軸2は、枕木方向内側(図4の右側)に向かって順に太くなっていて、枕木方向内側に向かって軸端2a、ジャーナル2b、ちりよけ座2c、輪座2dが形成されている。また、車軸2は中空状になっていて、軸端2aには軸端プラグ7が取付けられている。
軸箱10は、車軸2のジャーナル2bを複列円錐ころ軸受50を介して回転可能に支持するものである。この軸箱10は、図3に示すように、車軸2周りに円筒状の中央部11を有し、この中央部11から翼を広げたようにレール方向の両側(図3の左右両側)に向かって延びるバネ受け部12を有している。各バネ受け部12は、軸バネ5の下端を支持している。ここで、図5は、図4に示した軸箱10と前蓋20と後蓋30を拡大した図である。図5に示すように、軸箱10の中央部11は、内周面で複列円錐ころ軸受50の外輪51を組付けていて、下側に潤滑油を溜める軸箱油浴部分10aを有している。この中央部11の枕木方向外側(図5の左側)に前蓋20が嵌合していて、中央部11の枕木方向内側(図5の右側)にボルト14を介して後蓋30のフランジ部31が取付けられている。
前蓋20は、車軸2の軸端2aを覆っていて、枕木方向外側の外面部21には、ゴムキャップ8が取付けられている。また、前蓋20は、下側に潤滑油を溜める前蓋油浴部分20aを有していて、この前蓋油浴部分20aと軸箱油浴部分10aとが連通している。前蓋油浴部分20aの上側には、潤滑油が流れ込む前蓋環状流路部20bが形成されている。そして、図3に示すように、前蓋20の外面部21の上側に、潤滑油を注入するための注入孔(図示省略)が形成されていて、この注入孔に給油栓25が取付けられている。また、図5に示すように、前蓋20の下面部22に、潤滑油を排出するための排出孔22aが形成されていて、この排出孔22aに磁気栓26が取付けられている。磁気栓26は、磁石の吸引力によって潤滑油の中に浮遊する摩耗粉を吸着して、摩耗粉を捕捉又は除去するものである。この前蓋20は、外面部21の上側部分から枕木方向外側に延びるアーム23で、ダンパー27の下端を支持していて、外面部21から上側に延びる連結部24でボルト28等を介して台車枠6に連結している。
後蓋30は、車軸2のちりよけ座2cを覆っていて、油切り40の外周に組付けられている。また、後蓋30は、下側に潤滑油を溜める後蓋油浴部分30aを有していて、この後蓋油浴部分30aと軸箱油浴部分10aとが連通している。後蓋油浴部分30aの上側には、潤滑油が流れ込む後蓋環状流路部30bが形成されている。そして、後蓋30と油切り40との間に、オイルシール33が組付けられていて、このオイルシール33によって、後蓋油浴部分30aから潤滑油が漏れることを防止している。また、後蓋30には、枕木方向に延びる押さえ部32が形成されていて、この押さえ部32によって、複列円錐ころ軸受50の外輪51が枕木方向内側で位置決めされている。
油切り40は、車軸2のちりよけ座2cに組付けられていて、オイルシール33と共に潤滑油を封止(シール)している。この油切り40は、枕木方向外側に向かう従って径が小さくなる筒状部材であり、枕木方向外側の小径部41によって、複列円錐ころ軸受50の内輪52が枕木方向内側で位置決めされている。また、オイルシール33より枕木方向内側で後蓋30と油切り40との間に、ラビリンスシール42が組付けられている。このラビリンスシール42によって、外部から粉塵や水が複列円錐ころ軸受50に向かって侵入することを防止している。
複列円錐ころ軸受50は、車軸2のジャーナル2bを回転可能に支持していて、外輪51と内輪52の間に、複列円錐ころである転動体53を有し、この転動体53を周方向に等間隔で保持する保持器54を有している。外輪51は、軸箱10の中央部11の上側から径内方向に突出する鍔部11aによって、枕木方向外側で位置決めされている。そして、この外輪51の枕木方向中央には、潤滑油が通過できる通過孔51aが形成されている。内輪52は、軸受押さえ55によって、枕木方向外側で位置決めされている。軸受押さえ55は、ボルト56を介して回り止めリング57に連結していて、回り止めリング57によって回転不能になっている。複列の転動体53は、小径側が互いに向き合うように配置されている。
次に、軸箱油浴部分10aの潤滑油の流れについて説明する。鉄道車両の走行時に、車軸2が回転すると、軸箱油浴部分10aの潤滑油は、複列円錐ころ軸受50の回転に伴って、外輪51の通過孔51aから上方へ運ばれ、転動体53の小径側から大径側へ流れて、転動体53を潤滑する。このとき、転動体53はテーパ状になっているため、潤滑油が遠心力によって前蓋環状流路部20b及び後蓋環状流路部30bに向かって勢い良く流れ込む。そして、前蓋環状流路部20bと後蓋環状流路部30bに流れ込んだ潤滑油は、前蓋油浴部分20aと後蓋油浴部分30aに流れ落ち、軸箱油浴部分10aに戻るようになっている。こうして、油浴潤滑式である軸箱構造1では、車軸2の回転に伴って潤滑油を車軸2回りに循環させて転動体53を潤滑している。
この油浴潤滑式の軸箱構造1では、図3に示すように、前蓋20の点検窓29から潤滑油の有無及び潤滑油の劣化を目視で安全に保守点検できるというメリットがある。しかし、新幹線(登録商標)等の高速鉄道車両において、走行速度が大きくなるにつれて、車軸2が高速回転するため、複列円錐ころ軸受50からの転動による発熱が大きくなって、潤滑油の温度が高くなる。特に、300km/h以上の走行速度になると、動的振動加速度が大きくなり、車軸2の径、複列円錐ころ軸受50の径、オイルシール33の径が拡大する傾向がある。これにより、摺動摩擦が増加して、潤滑油の温度が更に高くなるという悪循環が引き起こされることになる。また、複列円錐ころ軸受50は、複列円筒ころ軸受に比べて、転動体53の枕木方向の隙間を小さくすることができて、高速時の走行安定性に優れているが、潤滑油を転動体53の小径側から大径側へ勢い良く飛ばすため、攪拌熱が大きくて、潤滑油の温度が高くなり易い。
こうして、潤滑油の温度が約90度まで高くなると、潤滑油の酸化やスラッジの生成が進み、スラッジがオイルシール33に噛み込まれて、オイルシール33の油漏れの原因になり易い。また、複列円錐ころ軸受50を圧入している部分のシメシロに影響が出たり、鉄製の複列円錐ころ軸受50とアルミニウム製の軸箱10との線膨張係数の違いによって、隙間が大きくなることが懸念される。そこで、本実施形態の軸箱構造1は、このような潤滑油の温度上昇に対して、従来の軸箱構造から積極的な構造の変更によって、潤滑油の温度を大幅に低下できるように構成されている。本出願人は、現車走行試験の測定結果により、軸箱10及び前蓋20のうち車軸2の軸中心より下側で走行風が強く当たっていることを知得している。このため、軸箱構造1はこの走行風を利用して潤滑油の温度を大幅に低下させる点に特徴がある。以下、潤滑油の温度を低下させる構造について説明する。
図3〜図5に示すように、第1実施形態の軸箱構造1では、軸箱10の中央部11の下側(最下端)にヒートシンク60を設けている。このヒートシンク60を軸箱10に取付けるために、軸箱10が以下のように形成されている。図6は、第1実施形態の軸箱10と従来の軸箱210とを比較した側面図であり、図7は、第1実施形態の軸箱10と従来の軸箱210とを比較した底面図である。図6及び図7は、左側に従来の軸箱210が示され、右側に第1実施形態の軸箱10が示されている。
従来の軸箱210は、図6及び図7の左側に示すように、中央部211及びバネ受け部212の下側に大きな肉抜き孔213を有している。この肉抜き孔213は、軸箱210として必要な強度を確保できる範囲で、できるだけ軽量化を図るために設けられている。これに対して、本実施形態の軸箱10は、中央部11及びバネ受け部12の下側に大きな肉抜き孔を有しておらず、中央部11の下側に水平状に延びる広い水平面13が形成されている。この水平面13は、ヒートシンク60を取付ける部分であり、潤滑油で温められた軸箱10の熱を伝達し易くするために広く水平状になっている。即ち、軸箱10は、ヒートシンク60の方へできるだけ多くの熱を伝達するために、下側が中身の詰まった厚板状になっていて、下端が水平状に切断されたようになっている。
本実施形態のバネ受け部12の付け根部分12aの厚さd1は、従来のバネ受け部212の付け根部分212aの厚さd2より大きくなっている。これにより、本実施形態の軸箱10は、負荷が大きい付け根部分12aで強度的に問題が無く、下側が中身の詰まった厚板状であることによって従来の軸箱210より全体的に強度が大きくなっている。一方、本実施形態の軸箱10は、肉抜き孔を有していないため、従来の軸箱210より重量が大きくなる。しかし、軸箱10自体が軽いアルミニウムで構成されていて、肉抜き孔を形成しないことによる重量増加が僅かであるため、重量増加の点は特に問題にならない。こうして、本実施形態の軸箱構造1は、僅かな重量増加があっても、潤滑油の温度を大幅に低下させることを目的として、軸箱10の形状を積極的に変更している。
ヒートシンク60は、上述したように形成された水平面13にボルト63を介して取付けられている。ここで、図8は、図3に示したヒートシンク60の斜視図である。図8に示すように、ヒートシンク60は、平板状である放熱板61と、この放熱板61から下側に向かって延びる多数のフィン62とを有している。放熱板61の上面は、軸箱10の水平面13から漏れなく熱を奪うために、水平面13とほぼ同じ大きさなっている。そして、放熱板61の上面と水平面13との間には、放熱用シリコンが塗布されていて、発熱体である軸箱10と冷却部材であるヒートシンク60との密着性を向上させて、優れた熱伝達を発揮するようになっている。このヒートシンク60(放熱板61及びフィン62)は、熱伝達率が高い素材としてアルミニウム又は銅で構成されている。
各フィン62は、下側に向かって延びると共にレール方向に延びる薄板状になっていて、隣合うフィン62の間には、枕木方向に所定の隙間が形成されている。これにより、走行風が各フィン62の間の隙間を通ってレール方向に流れるようになっている。各フィン62の間の隙間は、小さすぎると砂、埃、油等が詰まることになり、大き過ぎるとフィン62の数が減って冷却性能を十分発揮できなくなる。従って、各フィン62の間の隙間は、砂等の詰まり易さと冷却性能とのバランスを考慮して最適に設定されている。このヒートシンク60の放熱板61には、ボルト63及びカラー64を挿通する挿通孔(図示省略)が形成されている。これにより、ボルト63が放熱板61を貫通して、ボルト63が軸箱10の下側の挿通孔に螺着することで、ヒートシンク60が軸箱10の下側に取付けられている。
こうして、軸箱油浴部分10a、前蓋油浴部分20a、後蓋油浴部分30aの潤滑油の熱は、軸箱10の下側を通って広い水平面13に効率的に伝わり、水平面13からヒートシンク60に伝わる。そして、ヒートシンク60に伝わった熱は、放熱板61から各フィン62の先端に隅々まで伝わることになる。このとき、軸箱10のうち車軸2の軸中心より下側では走行風が強く当たるため、この走行風が各フィン62の間をレール方向に通過して、各フィン62及び放熱板61の熱が奪われる。この結果、走行風を利用して潤滑油の熱をヒートシンク60で冷却することができ、潤滑油の温度を低下させることができる。
また、第1実施形態の軸箱構造1では、潤滑油の温度を低下させるために、ヒートシンク60以外に、空気流し管70及び二つのヒートパイプ80が設けられている。図9(A)は、図3に示した空気流し管70の斜視図であり、図9(B)は、図9(A)のY−Y線に沿った断面図である。空気流し管70は、内部に走行風を通過させて潤滑油の熱を奪うためのものであり、熱伝達率が高い素材としてアルミニウム又は銅で構成されている。そして、空気流し管70は、図9(A)に示すように、長手方向に延びる円筒部71と、円筒部71の両端部に筒状で円錐台形状になっているテーパ部72とを有している。
円筒部71は、図5に示すように、前蓋油浴部分20aをレール方向に貫通するように配置されていて、前蓋油浴部分20aの潤滑油の熱が直接伝わるようになっている。そして、図9(B)に示すように、円筒部71は、内部に走行風が通過する貫通孔71aを有し、この貫通孔71aには、凹凸状の襞部71bが形成されている。この襞部71bによって、円筒部71の中で走行風が当接する面積が大きくなり、円筒部71の熱が効率的に奪われる。
テーパ部72は、図3に示すように、前蓋20から露出するように配置されていて、貫通孔71aより大きくてレール方向の両端に向かうに従って径が大きくなるテーパ状のテーパ孔72aを有している(図9(A)参照)。このテーパ孔72aによって、多くの走行風を取り込むことができ、円筒部71の貫通孔71aの中へより多くの走行風を通過させることができる。こうして、空気流し管70の円筒部71が、前蓋油浴部分20aを貫通した状態で貫通孔71aに走行風を流すため、前蓋油浴部分20aの潤滑油を直接的に冷却することができる。更に、円筒部71が前蓋油浴部分20aを貫通することで、潤滑
油が攪拌する際に生じる波を抑えることができ、潤滑油の攪拌熱を抑制することができる。これにより、潤滑油の温度を効果的に低下させることができる。
図10(A)は、図3に示したヒートパイプ80の斜視図であり、図10(B)は、図10(A)に示したZ部分の断面図である。各ヒートパイプ80は、図10(A)(B)に示すように、円筒状の金属パイプ81と、金属パイプ81の内周に形成された毛細管構造であるウィック82と、金属パイプ81の中に真空状態で封入された少量の作動液とを有して構成されている。そして、図3に示すように、ヒートパイプ80の一端部80aは、軸箱10の中央部11にブラケット83を用いて取付けられていて、軸箱油浴部分10aの潤滑油から熱が伝達されるようになっている。一方、ヒートパイプ80の他端部80bは、軸箱10のバネ受け部12にブラケット84を用いて取付けられていて、比較的温度が低い部分に配置されている。こうして、各ヒートパイプ80はバネ受け部12に向かって斜め上方に延びていて、低い位置である一端部80aが入熱される部分であり、高い位置である他端部80bが放熱する部分になっている。
これにより、ヒートパイプ80の一端部80aは、軸箱油浴部分10aの潤滑油の熱を受けて加熱される。この結果、作動液が蒸発して、図10(B)の矢印S1で示すように、蒸気流となって低温であるヒートパイプ80の他端部80bの方へ移動する。そして、蒸気流はヒートパイプ80の他端部80bの内壁に接触すると、冷却して凝縮する。その後、凝縮した作動液は、図10(B)の矢印S2で示すように、毛細管現象又は重力によって高温であるヒートパイプ80の一端部80aに戻る。こうして、作動液が蒸発と移動と凝縮を繰り返すことで、潤滑油の熱を連続的に奪い、潤滑油の温度を効果的に低下させることができる。
また、第1実施形態の軸箱構造1では、図3に示すように、ヒートシンク60の下側に受け座90が取付けられている。これは以下の理由に基づく。鉄道車両の制動時に強力なブレーキ力が車輪4に作用し、このブレーキ力が車輪4とレール3との間の摩擦力(粘着力)より大きい場合には、車輪4が回転を停止してレール3の上を滑走する。これにより、車輪4には、レール3と接触する面に摩耗した滑走痕が生じる場合がある。この滑走痕が生じていると、騒音が発生したり、亀裂が進展するおそれがある。このため、在姿車輪旋盤を用いて治具で軸箱を支持しながら、車輪4がレール3と接触する面を全周転削して、滑走痕を無くすことを行っている。
このように在姿車輪旋盤を用いる場合、仮にヒートシンク60の下側に何も取付けられていない状態でヒートシンク60を治具で支持すると、ヒートシンク60のフィン62が変形又は破損するおそれがある。これに対し、在姿車輪旋盤を使用する際にヒートシンク60を軸箱10から取り外し、在姿車輪旋盤を使用した後にヒートシンク60を軸箱10に取付ける作業は煩雑になる。従って、軸箱構造1では、ヒートシンク60の下側に、在姿車輪旋盤の治具で支持される受け座90が取付けられている。これにより、在姿車輪旋盤で車輪4の形状を修正する際に、ヒートシンク60を取り外す手間がなくなり、作業性を向上させることができる。更に、この受け座90によって、走行中に跳ね上がる飛石や雪の塊からヒートシンク60を保護することができる。
受け座90は、図3に示すように、フィン62に直交して水平状に延びる平面部91を有し、この平面部91には、ボルト63及びカラー64を挿通可能な挿通孔(図示省略)が形成されている。これにより、ボルト63及びカラー64が、受け座90の平面部91の挿通孔及びヒートシンク60の放熱板61の挿通孔に挿通されて、ボルト63が軸箱10の下側の挿通孔に螺着することで、受け座90がヒートシンク60の下側に取付けられている。また、受け座90は、平面部91のレール方向の両端から斜め下方に向かって延びる傾斜部92を有している。これにより、走行風が受け座90の傾斜部92に沿ってヒートシンク60のフィン62に向かって流れ込むようになる。この結果、フィン62に対して多くの走行風を呼び込むことができ、ヒートシンク60による冷却性能を十分に発揮させることができる。
また、第1実施形態の軸箱構造1では、図5に示すように、前蓋20は、速度発電機のギヤ9を収容するものになっている。前蓋には、速度発電機のギヤ9を収容して枕木方向の寸法が大きいものと、速度発電機のギヤ9を収容しなくて枕木方向の寸法が小さいもの(以下、「一般用前蓋」と呼ぶ)がある。第1実施形態において、ギヤ9を収容する前蓋20を用いたのは以下の理由に基づく。
高速鉄道車両の走行時の実測データから、ギヤ9を収容する前蓋20では、一般用前蓋に比べて、温度が低くなることが判明している。これは、前蓋20では潤滑油の油量が多く、一般用前蓋では潤滑油の油量が少ないため、油量の違いによって生じた結果とも考えられる。しかし、走行を行わない台上回転試験の結果では、前蓋20と一般用前蓋とでは、温度差が生じる結果が得られなかった。このため、油量の違いが原因ではないと解釈できる。従って、前蓋20は、一般用前蓋に比べて走行風に当接する面積が大きくて、この走行風によって、前蓋20自体が冷やされた結果だと解釈できる。
こうして、速度発電機のギヤ9を収容する前蓋20を用いることで、前蓋20の温度を一般用前蓋の温度に比べて約2〜3度低下させることができ、前蓋油浴部分20aの潤滑油の温度をより低下させることができる。また、速度発電機のギヤ9を収容する前蓋20の有効性が確認されたため、一般用前蓋を用いないようにすれば、前蓋の種類が一種類になる。これにより、前蓋の誤取付けを防止できるというメリットもある。
第1実施形態の作用効果について説明する。
第1実施形態の軸箱構造1を有する鉄道車両用台車DSによれば、高速走行時に、車軸2が高速回転するため、複列円錐ころ軸受50からの転動による発熱が大きくなり、潤滑油の温度が上昇しようとする。このとき、軸箱10の最下端が広い水平面13になっていて、肉抜き孔による凹状の面になっていないため、潤滑油の熱が水平面13全体に伝わり易い。そして、水平面13にはヒートシンク60が取付けられているため、潤滑油の熱がヒートシンク60のフィン62に十分伝わる。これにより、走行速度が大きくなるほど、走行風がフィンの62間を通過する際にフィン62の熱を効果的に奪うことができ、潤滑油の温度を大幅に低下させることができる。更に、ヒートシンク60は、その他の冷却機器のような特注品ではなく市販品をそのまま用いることができ、コストを抑えることができて、走行風を利用して冷却する部材として最適である。
こうして、車軸2の軸中心より下側で軸箱10に強く当たる走行風を利用し、ヒートシンク60、空気流し管70、ヒートパイプ80によって潤滑油の温度を約10〜15度低下させることができる。その結果、従来の軸箱構造に比べて、潤滑油の酸化及びスラッジの生成を抑制して、オイルシール33の油漏れを確実に防止することができる。よって、第1実施形態の軸箱構造1は、従来の軸箱構造から積極的な構造の変更よって、高速鉄道車両の更なる高速化及び長時間に渡って継続する高速走行に十分対応することができるものである。
<第1実施形態の第1変形例>
第1実施形態の第1変形例について説明する。第1変形例では、上述した第1実施形態と異なる部分を中心に説明し、第1実施形態と同様である部分については説明を省略する。図11は、第1変形例の軸箱構造1Aを示した側面図である。この軸箱構造1Aでは、図11に示すように、ヒートシンク60の下側に、レール3上の障害物を排除する排障器90Aが取付けられている。このため、この排障器90Aによって、走行中に跳ね上がる飛石や雪の塊からヒートシンク60を保護することができ、ヒートシンク60があっても排障器90Aの機能が損なわれることがない。つまり、鉄道車両の先頭車両には通常、排
障器90Aが設けられているため、先頭車両において排障器90Aがあっても軸箱10の下側にヒートシンク60を取付けることができ、排障器90Aとヒートシンク60が共に機能を発揮できる。こうして、全ての車両に対して軸箱の下側にヒートシンクを取付けることができる。
<第1実施形態の第2変形例>
第1実施形態の第2変形例について説明する。第2変形例では、上述した第1実施形態と異なる部分を中心に説明し、第1実施形態と同様である部分については説明を省略する。図12は、第2変形例の軸箱構造1Bを示した側面図である。この軸箱構造1Bでは、図12に示すように、ヒートシンク60Bがボルト63Bを介して軸箱10の下側に直接取付けられていて、ヒートシンク60Bの下側には何も取付けられていない。即ち、ヒートシンク60Bの下側には、上述した第1実施形態のような受け座90、又は上述した第1変形例のような排障器90Aが取付けられていない。このため、ヒートシンク60Bのフィン62Bの高さ寸法を、第1実施形態及び第1変形例に比べて大きくすることができる。この結果、ヒートシンク60Bの冷却性能を向上させることができ、潤滑油の温度をより低下させることができる。
<第1実施形態の第3変形例>
第1実施形態の第3変形例について説明する。第3変形例では、上述した第1実施形態と異なる部分を中心に説明し、第1実施形態と同様である部分については説明を省略する。図13は、第3変形例の軸箱構造1Cを示した側面図であり、図14は、第3変形例の軸箱構造1Cの部分的な断面図である。この軸箱構造1Cでは、図13及び図14に示すように、前蓋20の外面部21に、空気配管100が取付けられていることに特徴がある。なお、前蓋油浴部分20aでは、第1実施形態の空気流し管70に換えて、2本のヒートパイプ80Cが貫通するように配置されている。
空気配管100は、上側にL字部分101を有し、下側にレール方向の延びる直線部分103を有している。L字部分101の内部には連通孔101aが形成されていて、直線部分103の内部にはレール方向に延びる吸引孔103aが形成されている。これにより、空気配管100の連通孔101aと吸引孔103aによって、前蓋油浴部分20aより上側の空間と前蓋20の外側の空間とが連通するようになっている。
従来では高速走行時に、前蓋油浴部分20aより上側の空間と前蓋20の外側の空間との間で、温度差が約50度あった。これに対して、第3変形例ではこれらの空間を連通させることで、前蓋油浴部分20aより上側で温まった空気を冷やすことができる。特に、高速走行時に走行風が空気配管100の吸引孔103aから取り入れられ、前蓋油浴部分20aより上側の空間に入り込む。これにより、前蓋油浴部分20aより上側で温まった空気が冷やされて、潤滑油の温度をより低下させることができる。
また、吸引孔103aが連通孔101aより低い位置にあるため、雨水等が前蓋油浴部分20aより上側の空間に侵入することを防止している。そして、吸引孔103aには、多孔質膜であるフィルタ(図示省略)が取付けられている。このフィルタは、微細孔によって防水性及び防塵性を有し且つ通気性を有していて、雨水等が侵入することを防止している。こうして、空気配管100は、走行風を取り入れつつ、潤滑油が水分によって乳化することを防止している。
<第2実施形態>
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態では、上述した第1実施形態と異なる部分を中心に説明し、第1実施形態と同様である部分については説明を省略する。図15は、第2実施形態の軸箱構造1Dを示した側面図であり、図16は、第2実施形態の軸箱構造1Dの部分的な断面図である。この軸箱構造1Dでは、図15及び図16に示すように、前蓋20Dの最下端にヒートシンク60D1が取付けられていることに特徴がある。
第2実施形態では、前蓋20Dの下面部22に水平面20D1が形成されている。この水平面20D1は、ヒートシンク60D1を取付ける部分であり、潤滑油で温められた前蓋20Dの熱を伝達し易くするために水平状になっている。ヒートシンク60D1は、図15及び図16に示すように、平板状である放熱板65と、この放熱板65から下側に向かって延びる多数のフィン66とを有している。放熱板65の上面は、前蓋20Dの水平面20D1とほぼ同じ大きさになっていて、各ボルト93によって前蓋20Dに取付けられている。各フィン66は、下側に向かって延びると共にレール方向に延びる薄板状になっていて、隣合うフィン66の間には、枕木方向に所定の隙間が形成されている。これにより、走行風が各フィン66の間の隙間を通ってレール方向に流れるようになっている。
この軸箱構造1Dでは、前蓋20Dの最下端にヒートシンク60Dが取付けられているため、図16に示すように、軸箱10の中央部11の下側に潤滑油を排出するための排出孔11bが形成されていて、この排出孔11bに磁気栓15が取付けられている。これにより、第1実施形態の軸箱構造1と異なり、軸箱10の下側にヒートシンクが取付けられていない。
また、第2実施形態の軸箱構造1Dでは、図15及び図16に示すように、前蓋20の側面に、第2ヒートシンク60D2が取付けられている。即ち、前蓋20Dの外面部21のうち潤滑油を油浴している部分に、鉛直方向に延びる鉛直面20D2が形成されている。この鉛直面20D2は、第2ヒートシンク60D2を取付ける部分であり、潤滑油で温められた前蓋20Dの熱を伝達し易くするために鉛直方向及びレール方向に延びている。
第2ヒートシンク60D2は、平板状である放熱板67と、この放熱板67から枕木方向外側に向かって延びる多数の第2フィン68とを有している。放熱板67の側面(図16の右側面)は、前蓋20Dの鉛直面20D2とほぼ同じ大きさになっていて、各ボルト94によって前蓋20Dに取付けられている。各第2フィン68は、枕木方向外側に向かって延びると共にレール方向に延びる薄板状になっていて、隣合う第2フィン68の間には、上下方向に所定の隙間が形成されている。これにより、走行風が各第2フィン68の間の隙間を通ってレール方向に流れるようになっている。
第2実施形態の作用効果について説明する。
第2実施形態の軸箱構造1Dを有する鉄道車両用台車によれば、高速走行時に、車軸2が高速回転するため、複列円錐ころ軸受50からの転動による発熱が大きくなり、潤滑油の温度が上昇しようとする。このとき、前蓋20Dの最下端が水平面20D1になっていて、潤滑油の熱が水平面20D1全体に伝わり易い。そして、水平面20D1にはヒートシンク60D1が取付けられているため、潤滑油の熱がヒートシンク60D1のフィン66に十分伝わる。これにより、走行速度が大きくなるほど、走行風がフィン66の間を通過する際にフィン66の熱を効果的に奪うことができ、潤滑油の温度を大幅に低下させる
ことができる。更に、ヒートシンク60D1は、その他の冷却機器のような特注品ではなく市販品をそのまま用いることができ、コストを抑えることができて、走行風を利用して冷却する部材として最適である。
更に、第2実施形態の軸箱構造1Dでは、潤滑油の熱が、前蓋20Dの外面部21を介して第2ヒートシンク60D2の第2フィン68に伝わる。これにより、走行風が第2フィン68の間を通過する際に第2フィン68の熱を効果的に奪うことができ、潤滑油の温度を更に低下させることができる。第2実施形態のその他の作用効果は、上述した第1実施形態の作用効果と同様であるため、その説明を省略する。
なお、図16に示すように、第2実施形態の軸箱構造1Dでは、前蓋油浴部分20aの潤滑油の熱を、下面部22を介してヒートシンク60D1に伝えると共に、外面部21を介して第2ヒートシンク60D2に伝えた。しかしながら、図17に示す変形例の軸箱構造1Eのように、下面部22に開口22bを形成すると共に、外面部21に開口21aを形成して、前蓋油浴部分20aの潤滑油の熱を、ヒートシンク60D1及び第2ヒートシンク60D2に直接伝えるようにしても良い。
<第3実施形態>
次に、第3実施形態について説明する。図18は、第3実施形態の軸箱構造1Fを示した側面図である。この軸箱構造1Fでは、図18に示すように、軸箱10のレール方向の両端の側面に、上向きヒートシンク60Fが取付けられていることに特徴がある。また、空気流し管70Fは、車軸2の下側で略U字状に湾曲していて、前蓋20をレール方向に貫通している。なお、軸箱構造1Fでは、軸箱10の下側に第1実施形態と同様のヒートシンク60が取付けられていて、前蓋20の側面に第2実施形態と同様の第2ヒートシンク60D2が取付けられている。図19は、上向きヒートシンク60をレール方向から見たときの図である。
図19に示すように、上向きヒートシンク60Fは、上側に向かって延びる多数の上向きフィン69を有していて、図示しないボルトを介して軸箱10に取付けられている。各上向きフィン69は、上側に向かって延びると共にレール方向に向かって延びる薄板状になっていて、隣合う上向きフィン69の間には、枕木方向に所定の隙間が形成されている。これにより、走行風が各上向きフィン69の間の隙間を通ってレール方向に流れるようになっている。第3実施形態の軸箱構造1Fのその他の構成は、上述した第1実施形態の軸箱構造1の構成とほぼ同様であるため、その説明を省略する。
第3実施形態の作用効果について説明する。
第3実施形態の軸箱構造1Fを有する鉄道車両用台車によれば、潤滑油の熱が、軸箱10のレール方向の両端の側面を介して上向きヒートシンク60Fの各上向きフィン69に伝わる。これにより、走行風が上向きフィン69の間を通過する際に上向きフィン69の熱を効果的に奪うことができ、潤滑油の温度を更に低下させることができる。第3実施形態のその他の作用効果は、上述した第1実施形態の作用効果とほぼ同様であるため、その説明を省略する。
<第4実施形態>
次に、第4実施形態について説明する。図20は、第4実施形態の軸箱構造1Gの部分的な断面図である。図20に示すように、この軸箱構造1Gは、第1実施形態の軸箱構造1と前蓋の構成が異なるだけであるため、前蓋以外の構成については説明を省略する。第4実施形態の前蓋20Gは、第1実施形態の前蓋20に比べて、枕木方向の寸法を図20に示す寸法K1だけ拡張して構成されている。これにより、第4実施形態の前蓋20Gでは、第1実施形態の前蓋20より走行風が当接する面積が大きくなる。この結果、前蓋20G自体が走行風でより冷やされて、潤滑油の温度をより低下させることができる。なお、前蓋20の枕木方向の寸法が大きくなると重量が増加するため、潤滑油の温度を低下させるメリットと重量増加によるデメリットとを考慮して、枕木方向に拡張される寸法K1が最適に設定される。
<第5実施形態>
次に、第5実施形態について説明する。第5実施形態では、上述した第1実施形態と異なる部分を中心に説明し、第1実施形態と同様である部分については説明を省略する。図22は、第5実施形態の軸箱構造1Hを示した側面図であり、図23は、第5実施形態の軸箱構造1Hの部分的な断面図である。
前蓋20の外面部21には、図22に示すように、レール方向に並行に複数のフィン201が形成されている。フィン201は、前蓋20の外面部21全体にわたって形成されている。前蓋20は、車軸の最外側に位置しているため、車両の側面を通過する空気が直接フィン201に当たる。そのため、フィン201付近での空気の流速は速くなり、フィン201を効率的に冷却できる。
図23に示すように、複列円錐ころ軸受50の転動体53の回転により、巻き上げられた潤滑油は、遠心力により外側に飛ばされる。ここで、図23では、従来取り付けられていた仕切り板202(破線で示す。)を廃止している。そのため、外側に飛ばされた潤滑油は、直接前蓋20の内壁面203に当たる。これにより、熱せられた潤滑油が直接前蓋20の内壁面に当たると共に、前蓋20がフィン201により効率的に冷却されているため、潤滑油を外部空気の流れにより効率よく冷却することができる。特に、レール方向に並列に複数のフィン201を形成すれば、フィンがフレッシュで冷たい空気と接触する機会が増加するため、前蓋20を冷却する冷却効率を高めることができる。
以上説明したように、第5の実施の形態によれば、前蓋20に、レール方向に並行に複数のフィン201が形成されていることを特徴とするので、車両が走行するときに、台車の一番外側に位置して、外周に最も早い空気の流れを受ける前蓋20が、外の空気と接して早い空気の流れを受けるため、前蓋20にヒートシンクであるフィン201を取り付ければ、最も効果的に冷却を行うことができるのである。特に、レール方向に並列に複数のフィン201を形成すれば、フィンがフレッシュで冷たい空気と接触する機会が増加するため、前蓋20を冷却する冷却効率を高めることができる。
<第6実施形態>
次に、第6実施形態について説明する。第6実施形態では、上述した第1実施形態と異なる部分を中心に説明し、第1実施形態と同様である部分については説明を省略する。図24は、第6実施形態の軸箱構造1Iを示した側面図であり、図25は、第6実施形態の軸箱構造1Iの部分的な断面図である。
前蓋20の外面部21には、図24に示すように、前蓋20の中心から放射線状に複数のフィン231が形成されている。フィン231は、前蓋20の外面部21全体にわたって形成されている。前蓋20は、車軸の最外側に位置しているため、車両の側面を通過する空気が直接フィン201に当たる。そのため、フィン201付近での空気の流速は速くなり、フィン201を効率的に冷却できる。
図25に示すように、複列円錐ころ軸受50の転動体53の回転により、巻き上げられた潤滑油は、遠心力により外側に飛ばされる。ここで、図25では、従来取り付けられていた仕切り板202(破線で示す。)を廃止している。そのため、外側に飛ばされた潤滑油は、直接前蓋20の内壁面203に当たる。これにより、熱せられた潤滑油が直接前蓋20の内壁面に当たると共に、前蓋20がフィン211により効率的に冷却されているため、潤滑油を外部空気の流れにより効率よく冷却することができる。特に、フィン231を放射線状に形成しているため、空気の流れを前蓋20の外周面の全ての部位に万遍なく流すことができるため、効率的に前蓋20を冷却することができる。
第6実施の形態によれば、前蓋20に、中心より放射線状に複数のフィン231が形成されていることを特徴とするので、空気の流れを前蓋20の外周面の全ての部位に万遍なく流すことができるため、効率的に前蓋20を冷却することができる。また、複列円錐頃軸受50の転動体53を潤滑した潤滑油を前蓋20の内壁面203に当てることにより、複数のフィン231を備えるヒートシンクにより、潤滑油が冷却されることを特徴とするので、高熱となった潤滑油を前蓋20の内壁面203に直接当接させることにより、冷却された前蓋20により潤滑油を効率よく冷却することができる。
図25に示すように、軸箱の下面に設けたヒートシンクであるフィン205を機械加工により所定の強度を有するように形成している。すなわち、市販のヒートシンクと比較して、フィン205の厚みを厚くしている。メンテナンスの時には、軸箱10と車軸2を外して、車輪を再加工する。そのとき、フィン205の剛性が高いため、フィン205を取り外す必要がなく、利便性に優れている。
すなわち、第5実施の形態によれば、フィン205が機械加工により、所定の強度を有するように形成されることにより、軸箱10を載置するときに、直接フィン205を載置面に当てることを特徴とするので、メンテナンスの時に、外した軸箱10を載置するときに、直接ヒートシンクを載置面に当てることが できるため、利便性が高い。市販のヒートシンクでは、剛性が低いため、軸箱の重量に耐え得ない。そのため、メンテナンスの時には、ヒートシンクを取り外して載置しなければならず、取外し、取付の手間がかかる問題があるが、第5実施の形態のものならば、その問題を解決できる。
また、図25に示すように、前蓋油浴部分20a(第2油槽に相当する。)と軸箱油浴部分10a(第1油槽に相当する。)の間に、仕切り板212を設けている。仕切り板212には、図示しない孔が形成されており、第1油槽10aと第2油槽20aとは、連通されている。しかし、連通孔は小さく、かつ巻き上げられ落下してくる潤滑油量が多いため、第2油槽20aの油面は第1油槽10aの油面より高くなる。これにより、前蓋20の内壁面203と潤滑油が直接接触状態である第2油槽20aに貯えられる潤滑油量を多くできるため、潤滑油の冷却効率を高めることができる。なお、本実施の形態では、連通孔を設けたが、連通孔を設けずに、仕切り板212の上端を乗り越えて潤滑油が移動するようにしても良い。
すなわち、複列円錐ころ軸受50の直下に設けられ潤滑油を貯える第1油槽10aと、第1油槽10aと連通して前蓋20の内壁面203に沿って設けられた第2油槽20aを備え、第1油槽10aと第2油槽20aの間に、潤滑油の流れを妨げる仕切り板212が備えられていることを特徴とするので、前蓋20の内壁面203と潤滑油が直接接触状態である第2油槽20aに貯えられる潤滑油量を多くできるため、潤滑油の冷却効率を高めることができる。
なお、第1油槽10aの底面を深くして、よりフィン212に近づけることにより、フィン212による冷却効率を高めることができる。
また、図25に示すように、後蓋30の外周の下面側に下部放熱フィン214が形成されている。そして、回転する油切り40の外周の下部放熱フィン214に対向する部位に、空気の流れを発生するためのファン223が取り付けられている。後蓋30の外周の上面側にフィンを取り付けていないのは、軸2を引き抜くときに邪魔となるからである。
すなわち、後蓋30の外周面(本実施の形態では、下面側)に、下部放熱フィン214が備えられていること、回転する油切り40のうち、下部放熱フィン214と対向する部位にファン223を取り付けたことを特徴とするので、油切り40と共に回転する放熱ファン223と対向する位置に下部放熱フィン214を備えるため、効率的に潤滑油を冷却することができる。
図26に、第6実施の形態の変形例を示す。図24は同じなので、説明を省略し、図26に図25の変形例を示す。変更した部分のみを説明する。
第1油槽220は、図24の第1油槽10aと比較して、深く形成され、容量も大きくなっている。また、第2油槽深部222は、図24の第2油槽20aの下部に形成され、その分容量も大きくなっている。第1油槽220と第2油槽深部222とは、連通部221により、連通されている。第1油槽220、第2油槽深部222、及び連通部221がフィン205の近くまで形成されており、かつフィン205と対向する面積が増加しているため、冷却効率をさらに良くすることができる。
以上、本発明に係る軸箱構造を有する鉄道車両用台車の各実施形態及び各変形例について説明したが、本発明はこれらに限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
各実施形態及び各変形例において、ヒートシンクの各フィンがレール方向に延びる薄板状であるが、図21に示すように、ヒートシンク60Xの各フィン62Xが針状であっても良い。また、ヒートシンクのフィンは蛇行するように延びていても良く、フィンの形状は適宜変更可能である。
また、各実施形態及び各変形例において、複列円錐ころ軸受50を備えた軸箱構造について説明したが、複列円筒ころ軸受を備えた軸箱構造について本発明を実施することも可能である。
DS 鉄道車両用台車
1,1A〜1I 軸箱構造
2 車軸
2a,2b,2c 軸端,ジャーナル,ちりよけ座
4 車輪
10 軸箱
11 中央部
12 バネ受け部
13 水平面
20 前蓋
20D1,20D2 水平面,鉛直面
20a 前蓋油浴部分
21 外面部
22 下面部
30 後蓋
30a 後蓋油浴部分
33 オイルシール
40 油切り
50 複列円錐ころ軸受
53 転動体
60,60B,60D1 ヒートシンク
60D2 第2ヒートシンク
60E 上向きヒートシンク
61,65,67 放熱板
62,66 フィン
68 第2フィン
69 上向きフィン
70 空気流し管
72b テーパ孔
80,80C ヒートパイプ
80a,80b 一端部,他端部
90 受け座
92 傾斜部
90A 排障器
100 空気配管
103a 吸引孔
201 フィン(並列配置)
211 フィン(放射線状配置)
212 仕切り板
213 ファン
214 下部放熱フィン

Claims (11)

  1. 枕木方向に延びる車軸のジャーナル部を、軸受を介して回転可能に支持する軸箱と、前記軸箱の枕木方向の外側を覆う前蓋と、前記軸箱の枕木方向の内側を覆う後蓋を備え、
    前記車軸の回転に伴って、前記前蓋と前記軸箱と前記後蓋の内部下側に油浴された潤滑油を前記車軸周りに循環させて前記軸受の転動体を潤滑する軸箱構造を有する鉄道車両用台車において、
    前記前蓋、または前記軸箱の下面の少なくともいずれか一方に、複数のフィンを備えるヒートシンクが形成されていること
    前記軸箱の下面が水平面を備え、前記水平面にレール方向に並行に前記複数のフィンが形成されていること、
    前記前蓋内の下側で潤滑油が油浴している前蓋油浴部分をレール方向に貫通する空気流し管が取付けられていて、
    前記空気流し管の内部には、走行風が通過する貫通孔が形成されていることを特徴とする軸箱構造を有する鉄道車両用台車。
  2. 請求項に記載された軸箱構造を有する鉄道車両用台車において、
    前記ヒートシンクが引抜加工または押出加工により製造されることを特徴とする軸箱構造を有する鉄道車両用台車。
  3. 請求項に記載された軸箱構造を有する鉄道車両用台車において、
    前記ヒートシンクが機械加工により、所定の強度を有するように形成されることにより、前記軸箱を載置するときに、直接ヒートシンクを載置面に当てることを特徴とする軸箱構造を有する鉄道車両用台車。
  4. 請求項に記載された軸箱構造を有する鉄道車両用台車において、
    前記空気流し管のレール方向の両端部は、前記前蓋から露出していて、前記貫通孔より大きくて両端に向かうに従って径が大きくなるテーパ状のテーパ孔を有することを特徴とする軸箱構造を有する鉄道車両用台車。
  5. 枕木方向に延びる車軸のジャーナル部を、軸受を介して回転可能に支持する軸箱と、前記軸箱の枕木方向の外側を覆う前蓋と、前記軸箱の枕木方向の内側を覆う後蓋を備え、
    前記車軸の回転に伴って、前記前蓋と前記軸箱と前記後蓋の内部下側に油浴された潤滑油を前記車軸周りに循環させて前記軸受の転動体を潤滑する軸箱構造を有する鉄道車両用台車において、
    前記前蓋、または前記軸箱の下面の少なくともいずれか一方に、複数のフィンを備えるヒートシンクが形成されていること、
    前記軸箱は、前記車軸を支持する中央部からレール方向の両側に向かって延びていて軸バネを支持するバネ受け部を有し、
    前記軸箱の中央部に一端部が取付けられ前記バネ受け部に他端部が取付けられていて前記バネ受け部に向かって斜め上方に延びるヒートパイプが取付けられていることを特徴とする軸箱構造を有する鉄道車両用台車。
  6. 枕木方向に延びる車軸のジャーナル部を、軸受を介して回転可能に支持する軸箱と、前記軸箱の枕木方向の外側を覆う前蓋と、前記軸箱の枕木方向の内側を覆う後蓋を備え、
    前記車軸の回転に伴って、前記前蓋と前記軸箱と前記後蓋の内部下側に油浴された潤滑油を前記車軸周りに循環させて前記軸受の転動体を潤滑する軸箱構造を有する鉄道車両用台車において、
    前記前蓋、または前記軸箱の下面の少なくともいずれか一方に、複数のフィンを備えるヒートシンクが形成されていること、
    前記ヒートシンクの下側には、車輪の形状を修正する在姿車輪旋盤の治具で支持される受け座が取付けられていることを特徴とする軸箱構造を有する鉄道車両用台車。
  7. 請求項に記載された軸箱構造を有する鉄道車両用台車において、
    前記受け座は、前記数のフィンに直交して水平状に延びる平面部と、前記平面部のレール方向の両端から斜め下方に向かって延びる傾斜部とを有することを特徴とする軸箱構造を有する鉄道車両用台車。
  8. 枕木方向に延びる車軸のジャーナル部を、軸受を介して回転可能に支持する軸箱と、前記軸箱の枕木方向の外側を覆う前蓋と、前記軸箱の枕木方向の内側を覆う後蓋を備え、
    前記車軸の回転に伴って、前記前蓋と前記軸箱と前記後蓋の内部下側に油浴された潤滑油を前記車軸周りに循環させて前記軸受の転動体を潤滑する軸箱構造を有する鉄道車両用台車において、
    前記前蓋、または前記軸箱の下面の少なくともいずれか一方に、複数のフィンを備えるヒートシンクが形成されていること、
    前記ヒートシンクの下側には、レール上の障害物を排除する排障器が取付けられていることを特徴とする軸箱構造を有する鉄道車両用台車。
  9. 枕木方向に延びる車軸のジャーナル部を、軸受を介して回転可能に支持する軸箱と、前記軸箱の枕木方向の外側を覆う前蓋と、前記軸箱の枕木方向の内側を覆う後蓋を備え、
    前記車軸の回転に伴って、前記前蓋と前記軸箱と前記後蓋の内部下側に油浴された潤滑油を前記車軸周りに循環させて前記軸受の転動体を潤滑する軸箱構造を有する鉄道車両用台車において、
    前記前蓋、または前記軸箱の下面の少なくともいずれか一方に、複数のフィンを備えるヒートシンクが形成されていること、
    前記前蓋には、潤滑油が油浴している前蓋油浴部分より上側の空間と前記前蓋の外側の空間とを連通する空気配管が取付けられていて、
    前記空気配管には、レール方向に延びて走行風を取り入れる吸引孔が形成されていることを特徴とする軸箱構造を有する鉄道車両用台車。
  10. 枕木方向に延びる車軸のジャーナル部を、軸受を介して回転可能に支持する軸箱と、前記軸箱の枕木方向の外側を覆う前蓋と、前記軸箱の枕木方向の内側を覆う後蓋を備え、
    前記車軸の回転に伴って、前記前蓋と前記軸箱と前記後蓋の内部下側に油浴された潤滑油を前記車軸周りに循環させて前記軸受の転動体を潤滑する軸箱構造を有する鉄道車両用台車において、
    前記前蓋、または前記軸箱の下面の少なくともいずれか一方に、複数のフィンを備えるヒートシンクが形成されていること、
    前記前蓋は、速度発電機のギヤを収容しているものであることを特徴とする軸箱構造を有する鉄道車両用台車。
  11. 枕木方向に延びる車軸のジャーナル部を、軸受を介して回転可能に支持する軸箱と、前記軸箱の枕木方向の外側を覆う前蓋と、前記軸箱の枕木方向の内側を覆う後蓋を備え、
    前記車軸の回転に伴って、前記前蓋と前記軸箱と前記後蓋の内部下側に油浴された潤滑油を前記車軸周りに循環させて前記軸受の転動体を潤滑する軸箱構造を有する鉄道車両用台車において、
    前記前蓋、または前記軸箱の下面の少なくともいずれか一方に、複数のフィンを備えるヒートシンクが形成されていること、
    前記後蓋の外周面に、下部放熱フィンが備えられていること、
    回転する油切りのうち、前記下部放熱フィンと対向する部位にファンを取り付けたことを特徴とする軸箱構造を有する鉄道車両用台車。
JP2015057216A 2014-06-26 2015-03-20 軸箱構造を有する鉄道車両用台車 Active JP6496168B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015057216A JP6496168B2 (ja) 2014-06-26 2015-03-20 軸箱構造を有する鉄道車両用台車

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014131536 2014-06-26
JP2014131536 2014-06-26
JP2015057216A JP6496168B2 (ja) 2014-06-26 2015-03-20 軸箱構造を有する鉄道車両用台車

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016026947A JP2016026947A (ja) 2016-02-18
JP6496168B2 true JP6496168B2 (ja) 2019-04-03

Family

ID=55352556

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015057216A Active JP6496168B2 (ja) 2014-06-26 2015-03-20 軸箱構造を有する鉄道車両用台車

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6496168B2 (ja)

Family Cites Families (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS54151007U (ja) * 1978-04-14 1979-10-20
JPS58129329U (ja) * 1983-01-17 1983-09-01 財団法人鉄道総合技術研究所 電車車軸における潤滑構造
JPS58142419U (ja) * 1983-01-17 1983-09-26 財団法人鉄道総合技術研究所 超高速電車車軸軸受の潤滑構造
FR2699878B1 (fr) * 1992-12-29 1995-02-10 Alsthom Gec Chasse-Pierres.
JP2902344B2 (ja) * 1996-03-11 1999-06-07 三菱重工業株式会社 印刷機用軸受
DE19723085A1 (de) * 1996-08-28 1998-03-12 Hewlett Packard Co Hochleistungskupferwärmesenke mit großem Seitenverhältnis zur Luftkühlung
JP2002331932A (ja) * 2001-05-11 2002-11-19 Yoshinori Miyagawa 軌道鉄道における新幹線等の高速走行車輌の車輌重量が掛かる車輌受台車と車輪軸それぞれの電磁波発生装置、及び空冷型ベアリングボックス
JP2004347057A (ja) * 2003-05-23 2004-12-09 Nsk Ltd 軸受装置
JP4047846B2 (ja) * 2004-09-16 2008-02-13 東海旅客鉄道株式会社 鉄道車両
JP5182756B2 (ja) * 2008-10-22 2013-04-17 株式会社不二越 鉄道車輌用軸受装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2016026947A (ja) 2016-02-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4949399B2 (ja) 軸受装置
US8833193B2 (en) Gear unit
US8973458B2 (en) Gear unit
US8465207B2 (en) Auxiliary bearing system with oil reservoir for magnetically supported rotor system
US8777491B2 (en) Bearing assembly with splash protection
JP6496168B2 (ja) 軸箱構造を有する鉄道車両用台車
JP2011208662A (ja) 転がり軸受
CN109863333A (zh) 引导润滑剂以将其提供给齿轮箱的中空轴的导流件
ES2727959T3 (es) Cojinete, en particular cojinete de juego de ruedas, para ruedas ferroviarias
CN203962747U (zh) 内球笼精锻件
JP5182756B2 (ja) 鉄道車輌用軸受装置
CN205173431U (zh) 一种轨道车辆齿轮箱的非接触复合密封结构
CN108591466A (zh) 一种新型高速火车轮毂轴承密封装置
JP2006083945A (ja) 鉄道車両
CN206145072U (zh) 一种可任意方位安装的冷却塔用皮带减速器
SE0801211L (sv) Hjulupphängningsanordning
JP2024066152A (ja) 鉄道車両
RU2377451C1 (ru) Опорное устройство
CN106352031A (zh) 一种可任意方位安装的冷却塔用皮带减速器
JP2014231870A (ja) 車輪用軸受装置
CN204985345U (zh) 一种外圆带弧度的轴承
CN206206392U (zh) 一种新型圆锥滚子轴承
CN209228885U (zh) 轴承密封圈结构
US1652153A (en) Oil recovering and obturating ring
JP2019011850A (ja) スラストころ軸受

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180209

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20181214

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20181225

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190221

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20190305

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20190308

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6496168

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313117

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350