本出願は、2017年5月30日に日本国に特許出願された特願2017−107081の優先権を主張するものであり、これらの先の出願の開示全体を、ここに参照のために取り込む。
複数のセルスタックそれぞれの温度を変化させて、複数のセルスタック間の温度の差が広がりにくくすることにより、セルスタックの劣化を抑制して発電装置の劣化を抑制することが提案されている。各セルスタックにおいて種々の適切な制御を行うことにより、発電装置の劣化の進行を抑制できれば、有利である。本開示は、劣化の進行を抑制する発電装置、制御装置、および制御プログラムを提供することに関する。一実施形態によれば、劣化の進行を抑制する発電装置、制御装置、および制御プログラムを提供することができる。以下、本開示の実施形態について、図面を参照して説明する。まず、本開示の実施形態に係る発電装置の構成を説明する。
(第1実施形態)
図1は、本開示の第1実施形態に係る発電装置の構成を概略的に示す機能ブロック図である。また、図2は、第1実施形態に係る発電装置の構成の一部を、より詳細に示す機能ブロック図である。
図1に示すように、本開示の第1実施形態に係る発電装置(発電ユニット)1は、貯湯タンク60と、負荷100と、商用電源(grid)200に接続される。また、図1に示すように、発電装置1は、外部からガスおよび空気が供給されることにより発電し、発電した電力を負荷100等に供給する。
図1に示すように、発電装置1は、制御部10と、記憶部12と、燃料電池モジュール20と、ガス供給部32と、空気供給部34と、改質水供給部36と、インバータ40と、排熱回収処理部50と、循環水処理部52と、を備える。
発電装置1は、以下にさらに詳細に述べられるように、種々の機能を実行するための制御および処理能力を提供するために、制御部10として少なくとも1つのプロセッサを含む。種々の実施形態によれば、少なくとも1つのプロセッサは、単一の集積回路(IC)として、または複数の通信可能に接続された集積回路ICおよび/またはディスクリート回路(discrete circuits)として実行されてもよい。少なくとも1つのプロセッサは、種々の既知の技術に従って実行されることが可能である。
ある実施形態において、プロセッサは、1以上のデータ計算手続または処理を実行するために構成された、1以上の回路またはユニットを含む。例えば、プロセッサは、1以上のプロセッサ、コントローラ、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、特定用途向け集積回路(ASIC)、デジタル信号処理装置、プログラマブルロジックデバイス、フィールドプログラマブルゲートアレイ、またはこれらのデバイスもしくは構成の任意の組み合わせ、または他の既知のデバイスもしくは構成の組み合わせを含むことにより、以下に説明する機能を実行してもよい。
制御部10は、記憶部12と、燃料電池モジュール20と、ガス供給部32と、空気供給部34と、改質水供給部36と、インバータ40とに接続され、これらの各機能部をはじめとして発電装置1の全体を制御および管理する。制御部10は、記憶部12に記憶されているプログラムを取得して、このプログラムを実行することにより、発電装置1の各部に係る種々の機能を実現する。制御部10から他の機能部に制御信号または各種の情報などを送信する場合、制御部と他の機能部とは、有線または無線により接続されていればよい。制御部10が行う本実施形態に特徴的な制御については、さらに後述する。また、本実施形態において、制御部10は、燃料電池モジュール20に含まれるセルスタックの稼働時間(例えば発電時間)を計測するなど、所定の時間を計測することができるものとする。
記憶部12は、制御部10から取得した情報を記憶する。また記憶部12は、制御部10によって実行されるプログラム等を記憶する。その他、記憶部12は、例えば制御部10による演算結果などの各種データも記憶する。さらに、記憶部12は、制御部10が動作する際のワークメモリ等も含むことができるものとして、以下説明する。記憶部12は、例えば半導体メモリまたは磁気ディスク等により構成することができるが、これらに限定されず、任意の記憶装置とすることができる。例えば、記憶部12は、光ディスクのような光学記憶装置としてもよいし、光磁気ディスクなどとしてもよい。
図1に示す燃料電池モジュール20は、図2により詳細に示すように、改質器22と、セルスタック24とを備えている。図2は、図1に示した発電装置1において、制御部10、燃料電池モジュール20、およびガス供給部32のみを示し、その他の機能部は省略している。図2に示すように、本実施形態において、燃料電池モジュール20は、2つの改質器22A(第1改質部)および改質器22B(第2改質部)と、2つのセルスタック24Aおよび24Bとを備えている。以下、改質器22Aと改質器22Bとを特に区別しない場合、単に、改質器22のように総称する。同様に、以下、セルスタック24Aとセルスタック24Bとを特に区別しない場合、単に、セルスタック24のように総称する。
燃料電池モジュール20のセルスタック24は、ガス供給部32から供給されるガス(燃料ガス)などを用いて発電し、発電した直流電力をインバータ40に出力する。燃料電池モジュール20は、ホットモジュールとも呼ばれる。燃料電池モジュール20において、セルスタック24は、発電を行う際の燃焼に伴い発熱する。本開示において、実際に発電を行う燃料電池を含むセルスタック24を、適宜、「発電部」と記す。また、本開示において、「発電部」とは、発電を行う各種の機能部としてもよい。例えば、「発電部」として、セルスタックの他に、単体のセル、または燃料電池モジュールなどとしてもよい。本実施形態において、セルスタック24Aを第1発電部とし、セルスタック24Bを第2発電部とする。すなわち、本実施形態に係る発電装置1は、燃料電池を含む第1発電部(セルスタック24A)と、燃料電池を含む第2発電部(セルスタック24B)と、を備える。
改質器22は、ガス供給部32から供給されるガスおよび改質水供給部36から供給される改質水を用いて、水素および/または一酸化炭素を生成する。セルスタック24は、改質器22で生成された水素および/または一酸化炭素と、空気中の酸素とを反応させることにより、発電する。すなわち、本実施形態において、燃料電池のセルスタック24は、電気化学反応により発電する。なお、改質器としては、水蒸気改質を行う改質器を例示しているが、他の改質器として、酸素を含む空気等を用いて水素を生成する部分酸化改質(Partial Oxidation(POX))を行う改質器等であってもよい。
図2に示すように、改質器22Aおよび改質器22Bは、それぞれ別個にガス供給部32から燃料ガスを供給される。また、図2に示すように、改質器22Aはセルスタック24Aに接続され、改質器22Bはセルスタック24Bに接続される。これらの接続により、改質器22Aおよび改質器22Bは、それぞれセルスタック24Aおよびセルスタック24Bに、水素および/または一酸化炭素を供給することができる。このように、本実施形態において、改質器22Aは、ガスポンプ94A(第1ガス供給部)からセルスタック24A(第1発電部)に供給されるガスを改質する。また、本実施形態において、改質器22B(第2改質部)は、ガスポンプ94B(第2ガス供給部)からセルスタック24B(第2発電部)に供給されるガスを改質する。
以下、セルスタック24は、SOFC(固体酸化物型燃料電池)であるとして説明する。しかしながら、本実施形態に係るセルスタック24はSOFCに限定されない。本実施形態に係るセルスタック24は、例えば固体高分子形燃料電池(Polymer Electrolyte Fuel Cell(PEFC))、りん酸形燃料電池(Phosphoric Acid Fuel Cell(PAFC))、および溶融炭酸塩形燃料電池(Molten Carbonate Fuel Cell(MCFC))などのような燃料電池で構成してもよい。本実施形態に係る発電装置1は、図2に示すように、2つのセルスタック24Aおよび24Bを備えている。しかしながら、後述するように、他の実施形態において、セルスタック24は、例えば単体で700W程度の発電ができるものを4つ備えてもよい。この場合、燃料電池モジュール20は、全体として3kW程度の電力を出力することができる。
本実施形態に係る燃料電池モジュール20およびセルスタック24は、上述のような構成に限定されるものではなく、種々の構成を採用することができる。本実施形態において、発電装置1は、ガスを利用して発電を行う発電部を2つ以上備えていればよい。また、例えば、発電装置1は、発電部として、セルスタック24ではなく、単に、燃料電池のセル1つのみを備えるものも想定できる。また、本実施形態に係る発電部は、例えばPEFCのように、モジュールのない燃料電池としてもよい。
図1に示すように、発電装置1は、ガス供給部32と、空気供給部34と、改質水供給部36とを備える。すなわち、ガス供給部32は、燃料電池モジュール20において改質器22にガスを供給する。空気供給部34は、燃料電池モジュール20においてセルスタック24に空気を供給する。改質水供給部36は、燃料電池モジュール20において改質器22に改質水を供給する。
図1に示すガス供給部32は、図2により詳細に示すように、流量計92と、ガスポンプ94とを備えている。図2に示すように、本実施形態において、ガス供給部32は、2つの流量計92Aおよび92Bと、2つのガスポンプ94Aおよび94Bとを備えている。以下、流量計92Aと流量計92Bとを特に区別しない場合、単に、流量計92のように総称する。同様に、以下、ガスポンプ94Aとガスポンプ94Bとを特に区別しない場合、単に、ガスポンプ94のように総称する。
ガス供給部32は、燃料電池モジュール20のセルスタック24にガスを供給する。このとき、ガス供給部32は、制御部10からの制御信号に基づいて、セルスタック24に供給するガスの量を制御する。本実施形態において、ガス供給部32は、例えばガスラインによって構成することができる。またガス供給部32は、ガスの脱硫処理を行ってもよいし、ガスを予備的に加熱してもよい。ガスを加熱する熱源として、セルスタック24の排熱が利用されてもよい。ガスは、例えば、都市ガス、またはLPG等であるが、これらに限定されない。例えば、ガスは、燃料電池に応じて、天然ガスまたは石炭ガスなどとしてもよい。本実施形態において、ガス供給部32は、セルスタック24が発電する際の電気化学反応に用いられる燃料ガスを供給する。
図2に示すように、ガス供給部32に供給されるガスは、1つの供給源から2つの経路に分岐されて、それぞれ流量計92Aおよび流量計92Bに供給される。また、図2に示すように、流量計92Aはガスポンプ94Aに接続され、流量計92Bはガスポンプ94Bに接続される。これらの接続により、ガスポンプ94Aおよびガスポンプ94Bは、それぞれ流量計92Aおよび流量計92Bを経たガスを、それぞれ改質器22Aおよび改質器22Bに供給することができる。図2に示すように、ガス供給部32が供給するガスの経路は、流量計92Aおよびガスポンプ94Aを経る第1のガスラインと、流量計92Bおよびガスポンプ94Bを経る第2のガスラインとを有している。本実施形態において、ガスポンプ94Aはセルスタック24Aにガスを供給し、ガスポンプ94Bはセルスタック24Bにガスを供給する。本実施形態において、ガス供給部32は、発電部(セルスタック24)に燃料ガスを供給する。図2に示す例においては、1つの供給源から2つの経路に分岐されたガスが、それぞれ流量計92Aおよび92Bに供給されている。しかしながら、例えば流量計92Aおよび92Bには、それぞれ別個の供給源からガスが供給されるようにしてもよい。
流量計92Aおよび92Bは、それぞれを経て流れるガスの流量を測定する。ここで、流量計92Aおよび92Bがそれぞれ計測するガスの流量とは、例えば、単位時間あたりにガスが流量計92Aまたは92Bを経て移動する量とすることができる。流量計92Aおよび92Bは、ガスの流量を計測できるものであれば、任意のものを採用することができる。
ガスポンプ94Aおよび94Bは、それぞれ流量計92Aおよび92Bを経たガスを、燃料電池モジュール20の改質器22Aおよび改質器22Bにそれぞれ送出する。ガスポンプ94Aおよび94Bは、改質器22Aおよび22Bにガスを送出できるものであれば、任意のものを採用することができる。
図2に示すように、ガス供給部32は、制御部10と有線または無線により通信可能に接続される。流量計92Aおよび流量計92Bがそれぞれ計測したガスの流量の情報は、制御部10に送信される。これにより、制御部10は、流量計92Aおよび流量計92Bがそれぞれ計測したガスの流量を把握することができる。また、制御部10は、ガス供給部32と通信可能に接続されることにより、ガスポンプ94Aおよび94Bがそれぞれ改質器22Aおよび22Bに送出するガスの流量を調整(増減)することができる。したがって、本実施形態において、制御部10は、セルスタック24Aに供給されるガスの流量およびセルスタック24Bに供給されるガスの流量を調整することができる。
本実施形態に係る発電装置において、ガス供給部32は、図2に示すような構成に限定されるものではない。例えば、図2に示すガス供給部32においては、流量計92は、ガスポンプ94によって送出される前のガスの流量を測定している。しかしながら、ガス供給部32において、流量計92は、ガスポンプ94によって送出された後のガスの流量を測定してもよい。
空気供給部34は、燃料電池モジュール20のセルスタック24に空気を供給する。このとき、空気供給部34は、制御部10からの制御信号に基づいて、セルスタック24に供給する空気の量を制御する。本実施形態において、空気供給部34は、例えば空気ラインによって構成することができる。また空気供給部34は、外部から取り込んだ空気を予備的に加熱して、セルスタック24に供給してもよい。空気を加熱する熱源として、セルスタック24の排熱が利用されてもよい。本実施形態において、空気供給部34は、セルスタック24が発電する際の電気化学反応に用いられる空気を供給する。
改質水供給部36は、水蒸気を生成して燃料電池モジュール20の改質器22に供給する。このとき、改質水供給部36は、制御部10からの制御信号に基づいて、セルスタック24に供給する水蒸気の量を制御する。本実施形態において、改質水供給部36は、例えば改質水ラインによって構成することができる。改質水供給部36は、セルスタック24の排気から回収された水を原料として水蒸気を生成してもよい。水蒸気を生成する熱源として、セルスタック24の排熱が利用されてもよい。
インバータ40は、燃料電池モジュール20に接続される。インバータ40は、セルスタック24が発電した直流電力を、交流電力に変換する。インバータ40から出力される直流電力は、分電盤などを介して、負荷100に供給される。負荷100は、分電盤などを介して、インバータ40から出力された電力を受電する。図1において、負荷100は、1つのみの部材として図示してあるが、負荷を構成する任意の個数の各種電気機器とすることができる。また、負荷100は、分電盤などを介して、商用電源200から受電することもできる。図1に示すように、インバータ40と制御部10とは、有線または無線により通信可能に接続されるようにしてもよい。この接続により、制御部10は、インバータ40による交流電力の出力を制御することができる。
排熱回収処理部50は、セルスタック24の発電により生じる排気から、排熱を回収する。排熱回収処理部50は、例えば熱交換器等で構成することができる。排熱回収処理部50は、循環水処理部52および貯湯タンク60に接続される。
循環水処理部52は、貯湯タンク60から排熱回収処理部50へ水を循環させる。排熱回収処理部50に供給された水は、排熱回収処理部50で回収された熱によって加熱され、貯湯タンク60に戻る。排熱回収処理部50は、排熱を回収した排気を外部に排出する。また、上述のように、排熱回収処理部50で回収された熱は、ガス、空気、または改質水の加熱などに用いることができる。
貯湯タンク60は、排熱回収処理部50および循環水処理部52に接続される。貯湯タンク60は、燃料電池モジュール20のセルスタック24などから回収された排熱を利用して生成された湯を、貯えることができる。
本実施形態において、制御部10は、セルスタック24に供給されるガスの流量を制御する。より詳細には、制御部10は、セルスタック24Aに供給されるガスの流量およびセルスタック24Bに供給されるガスの流量の少なくとも一方を変化させるように制御する。このようなガスの流量の制御については、さらに後述する。
また、図2に示すように、発電装置1は、改質器22に関連する温度を検出する温度センサ80を備えている。図2に示すように、本実施形態において、燃料電池モジュール20は、2つの温度センサ80Aおよび80Bを備えている。図2に示すように、温度センサ80Aは改質器22A近傍に設置され、温度センサ80Bは改質器22B近傍に設置される。以下、温度センサ80Aと温度センサ80Bとを特に区別しない場合、単に、温度センサ80のように総称する。
温度センサ80は、図2に示すように、改質器22近傍の温度を検出する位置に設置することができる。ここで、温度センサ80が温度を検出する改質器22近傍とは、発電装置1において改質器22に関連する温度の測定に好適な位置、例えば改質器22が発生する熱が適度に伝導する位置とすることができる。例えば、温度センサ80が温度を検出する改質器22近傍とは、改質器22から燃料ガスが送出される出口(以下、「改質出口」と記す)近傍の温度としてもよい。また、本実施形態において、温度センサ80が温度を検出する改質器22近傍とは、例えば改質器22内部の温度としてもよい。例えば改質器22全体の温度としてもよいし、改質器22内部の温度などとしてもよい。以下、温度センサ80が温度を検出する改質器22近傍とは、改質出口の温度(以下、適宜「改質出口温度」と記す)とする場合について説明する。
温度センサ80は、例えば熱電対などにより構成することができる。この場合、例えば、改質器22から燃料ガスが送出される出口付近に、熱電対の温度検出部が挿入されるようにしてもよい。一方、温度センサ80は、当該温度センサ80を構成する素材によっては、過度の高熱を計測できない場合も想定される。このような場合、温度センサ80は、例えば改質器22から離れているが、改質器22が発生する熱が伝導する位置における温度を検出してもよい。
温度センサ80は、熱電対に限定されず、温度を測定できる部材であれば、任意のものを採用することができる。例えば、温度センサ80は、サーミスタまたは白金測温抵抗体としてもよい。温度センサ80は、制御部10に接続される。このため、図2に示すように、燃料電池モジュール20は、制御部10と有線または無線により通信可能に接続される。温度センサ80は、検出した温度に基づく信号を制御部10に送信する。この信号を受信することで、制御部10は、改質器22に関連する温度を把握することができる。
また、図2に示すように、発電装置1は、セルスタック24に関連する温度を検出する温度センサ82を備えている。図2に示すように、本実施形態において、燃料電池モジュール20は、2つの温度センサ82Aおよび82Bを備えている。図2に示すように、温度センサ82Aはセルスタック24A近傍に設置され、温度センサ82Bはセルスタック24B近傍に設置される。以下、温度センサ82Aと温度センサ82Bとを特に区別しない場合、単に、温度センサ82のように総称する。
温度センサ82は、図2に示すように、セルスタック24近傍の温度を検出する位置に設置することができる。ここで、温度センサ82が温度を検出するセルスタック24近傍とは、発電装置1においてセルスタック24に関連する温度の測定に好適な位置、例えばセルスタック24が発生する熱が適度に伝導する位置とすることができる。例えば、温度センサ82が温度を検出するセルスタック24近傍とは、発電するセルスタック24の中心の温度としてもよい。また、本実施形態において、温度センサ82が温度を検出するセルスタック24近傍とは、セルスタック24そのものが存在する位置であってもよい。また、温度センサ82が温度を検出するセルスタック24近傍とは、例えばセルスタック24の全体、またはセルスタック24内部の一部(例えばセル)などであってもよい。
温度センサ82は、例えば熱電対などにより構成することができる。この場合、例えば、セルスタック24に空気を導入する導入板の中に、熱電対が挿入されるようにしてもよい。一方、温度センサ82は、当該温度センサ82を構成する素材によっては、過度の高熱を計測できない場合も想定される。このような場合、温度センサ82は、例えばセルスタック24から離れているが、セルスタック24が発生する熱が伝導する位置における温度を検出してもよい。温度センサ82がセルスタック24から離れている場合、温度センサ82が温度を検出するセルスタック24近傍とは、例えばセルスタック24上方の燃焼部に位置してもよい。また、温度センサ82がセルスタック24から離れている場合、温度センサ82が温度を検出するセルスタック24近傍とは、前記燃焼部上方から少し離れていても、セルスタック24付近の温度を十分に測定できる位置であればよい。
温度センサ82は、熱電対に限定されず、温度を測定できる部材であれば、任意のものを採用することができる。温度センサ82は、制御部10に接続される。温度センサ82は、検出した温度に基づく信号を制御部10に送信する。この信号を受信することで、制御部10は、セルスタック24近傍の温度を把握することができる。
次に、本実施形態に係る発電装置1の動作を説明する。
図2に示したように、例えば2つのセルスタック24Aおよび24Bのような、複数のセルスタックを用いて発電を行う場合を想定する。複数のセルスタックによって開始した発電を停止する際などに、当該複数のセルスタックにおいて失火が生じるタイミングがほぼ同時に、または近くなることがある。失火とは、セルスタック24が発電を行っている際に燃焼部において生じていた燃焼が消えることとすることができる。ここで、複数のセルスタックにおいて近いタイミングで失火が生じると、燃料ガスの一酸化炭素などが燃焼せずに多く残留する。この残留ガスは、触媒に大量に送られることになる。すると、触媒の温度は著しく上昇するため、触媒の劣化を早めることになる。このように、触媒の劣化が早まると、ひいては発電装置の劣化が早まる原因となる。
そこで、本実施形態にかかる発電装置1は、複数のセルスタックにおいて失火が生じるタイミングがほぼ同時に、または近くならないように、セルスタックに供給されるガスの流量を制御する。複数のセルスタックにおける失火のタイミングがずれていれば、残留ガスが大量に発生することはなくなり、触媒の過度な温度上昇は抑制される。したがって、触媒の劣化の進行は抑制され、ひいては発電装置の劣化の進行も抑制される。このような制御について、以下、さらに説明する。
図3は、第1実施形態に係る発電装置1の動作を示すフローチャートである。
図3に示す動作が開始する時点は、例えば発電装置1において発電を停止するための処理を開始する時点とすることができる。したがって、図3に示す動作が開始する時点で、発電装置1はすでに発電中であるものとして、以下説明する。
図3に示す動作が開始する時点で、発電装置1において、セルスタック24Aおよびセルスタック24Bは、すでに運転を開始しており、それぞれ発電を行っている。したがって、図3に示す動作が開始する時点で、制御部10は、ガス供給部32がセルスタック24Aおよび24Bにそれぞれ燃料ガスを供給するように制御している。同様に、図3に示す動作が開始する時点で、制御部10は、空気供給部34がセルスタック24Aおよび24Bにそれぞれ空気を供給するように制御している。また、図3に示す動作が開始する時点で、制御部10は、改質水供給部36がセルスタック24Aおよび24Bにそれぞれ改質水を供給するように制御している。発電装置1において、セルスタック24Aおよびセルスタック24Bが運転を開始して発電する動作は、一般的なSOFCの発電ユニットと同様に行うことができる。したがって、セルスタック24Aおよびセルスタック24Bが運転を開始して発電を行う動作について、より詳細な説明は省略する。
図3に示す動作が開始すると、制御部10は、セルスタック24Aおよびセルスタック24Bに供給されるガスの流量の目標値を、例えば、それぞれ1.2[NL/min]に設定する(ステップS11)。具体的には、制御部10は、第1のガスラインおよび第2のガスラインを流れるガスの流量の目標を、例えば、それぞれ1.2[NL/min]に設定する。上述のように、第1のガスラインは流量計92Aおよびガスポンプ94Aを経るガスの経路であり、第2のガスラインは流量計92Bおよびガスポンプ94Bを経るガスの経路である。したがって、ステップS11において、制御部10は、ガスポンプ94Aがセルスタック24Aに供給するガスの流量の目標値、およびガスポンプ94Bがセルスタック24Bに供給するガスの流量の目標値を、それぞれ1.2[NL/min]に設定する。
ガスの流量の目標値が設定されたら、制御部10は、ステップS11において、それぞれ設定された目標値が達成されるように、ガスポンプ94Aおよびガスポンプ94Bが出力するガスの流量を制御する。具体的には、制御部10は、流量計92Aが測定するガスの流量を取得することにより、ガスポンプ94Aが出力するガスの流量を制御する。同様に、制御部10は、流量計92Bが測定するガスの流量を取得することにより、ガスポンプ94Bが出力するガスの流量を制御する。
次に、制御部10は、セルスタック24Aに関連する温度またはセルスタック24Bに関連する温度のいずれかが、600℃以下になっているか否か判定する(ステップS12)。セルスタック24Aに関連する温度およびセルスタック24Bに関連する温度は、それぞれ、温度センサ82Aおよび温度センサ82Bによって検出される。上述したように、セルスタック24に関連する温度は、セルスタック24Aおよびセルスタック24Bそれぞれの近傍の温度としてもよい。温度センサ82は、常時温度を検出するようにして、ステップS12において制御部10がその時点の温度を取得してもよい。また、温度センサ82は、常時温度を検出せずにステップ12において温度を検出し、検出された温度を制御部10が取得してもよい。
ステップS12においてセルスタック24Aに関連する温度またはセルスタック24Bに関連する温度のどちらも600℃以下になっていないと判定される場合、制御部10は、ステップS11に戻って処理を続行する。ステップS12においてセルスタック24Aに関連する温度およびセルスタック24Bに関連する温度の少なくとも一方が600℃以下になっていると判定される場合、制御部10は、ステップS13の処理を実行する。
ステップS13において、制御部10は、セルスタック24Aおよびセルスタック24Bに供給されるガスの流量の目標を、例えば、それぞれ0.9[NL/min]に設定する。ガスの流量の目標値が設定されたら、制御部10は、ステップS13において、それぞれ設定された目標値が達成されるように、ガスポンプ94Aおよびガスポンプ94Bが出力するガスの流量を制御する。
次に、制御部10は、改質器22Aに関連する温度または改質器22Bに関連する温度のいずれかが、600℃以下になっているか否か判定する(ステップS14)。改質器22Aに関連する温度および改質器22Bに関連する温度は、それぞれ、温度センサ80Aおよび温度センサ80Bによって検出される。上述したように、改質器22に関連する温度は、改質出口温度としてもよい。温度センサ80は、常時温度を検出するようにして、ステップS14において制御部10がその時点の温度を取得してもよい。また、温度センサ80は、常時温度を検出せずにステップ14において温度を検出し、検出された温度を制御部10が取得してもよい。
ステップS14において改質器22Aに関連する温度または改質器22Bに関連する温度のどちらも600℃以下になっていないと判定される場合、制御部10は、ステップS13に戻って処理を続行する。ステップS14において改質器22Aに関連する温度および改質器22Bに関連する温度の少なくとも一方が600℃以下になっていると判定される場合、制御部10は、ステップS15の処理を実行する。
ステップS15において、制御部10は、改質器22Aおよび改質器22Bのうち関連する温度(改質出口温度)が低い方に供給するガスの流量の目標値を、例えば、0.6[NL/min]に設定する。具体的には、制御部10は、第1のガスラインおよび第2のガスラインのうち、改質出口温度が低いほうのガスラインを流れるガスの流量の目標を、例えば、0.6[NL/min]に設定する。
例えば、改質器22Aに関連する温度の方が改質器22Bに関連する温度よりも低い場合、制御部10は、セルスタック24Aに供給されるガスの流量の目標値を、0.6[NL/min]に設定する。そして、制御部10は、セルスタック24Bに供給されるガスの流量の目標値を、0.9[NL/min]の設定のまま維持する。一方、例えば、改質器22Bに関連する温度の方が改質器22Aに関連する温度よりも低い場合、制御部10は、セルスタック24Bに供給されるガスの流量の目標値を、0.6[NL/min]に設定する。そして、制御部10は、セルスタック24Aに供給されるガスの流量の目標値を、0.9[NL/min]の設定のまま維持する。そして、制御部10は、ステップS15において、それぞれ設定された目標値が達成されるように、ガスポンプ94Aおよびガスポンプ94Bが出力するガスの流量を制御する。要するに、ステップS15において、制御部10は、改質出口温度が低い方の改質器22に供給するガスの流量を、ある程度減少させる。
例えば、改質器22Aの改質出口温度が改質器22Bの改質出口温度よりも低い場合、改質器22A内部の温度も改質器22B内部の温度よりも低い傾向にあると考えられる。改質器22において、水素ガスが反応するには、ある程度の温度の高さが必要となる。このため、例えば改質器22Aにおける改質出口の温度が低いと、改質が行われた結果として改質器22Aから出てくる水素の割合は低くなる傾向にある。したがって、この場合、改質器22Aに供給するガスの流量をある程度減少させることにより、改質器22Aに接続されたセルスタック24Aにおいて失火を生じ易くすることができる。したがって、本実施形態において、改質器22Aの改質出口温度が改質器22Bの改質出口温度よりも低い場合、制御部10は、セルスタック24Aに供給されるガスの流量を少なくする。このようにして、本実施形態に係る発電装置1は、セルスタック24Bよりも先にセルスタック24Aにおいて失火が生じ易くする。
ステップS15において改質出口温度が低い方の改質器22に供給するガスの流量を減少させたら、制御部10は、ステップS16の処理を実行する。ステップS16において、制御部10は、改質器22Aに関連する温度および改質器22Bに関連する温度のいずれもが、550℃以下になっているか否か判定する(ステップS16)。ステップS16においても、改質器22に関連する温度とは、改質出口温度としてもよい。
ステップS16において改質器22Aに関連する温度または改質器22Bに関連する温度のいずれかが550℃以下になっていないと判定される場合、制御部10は、ステップS15に戻って処理を続行する。ステップS16において改質器22Aに関連する温度および改質器22Bに関連する温度のいずれもが550℃以下になっていると判定される場合、制御部10は、ステップS17の処理を実行する。
ステップS17において、制御部10は、セルスタック24Aおよびセルスタック24Bに供給されるガスの流量の目標を、例えば、それぞれ0.6[NL/min]に設定する。ガスの流量の目標値が設定されたら、制御部10は、ステップS17において、それぞれ設定された目標値が達成されるように、ガスポンプ94Aおよびガスポンプ94Bが出力するガスの流量を制御する。
次に、制御部10は、セルスタック24Aに関連する温度およびセルスタック24Bに関連する温度のいずれもが、285℃以下になっているか否か判定する(ステップS18)。上述したように、セルスタック24に関連する温度は、セルスタック24Aおよびセルスタック24Bそれぞれの近傍の温度としてもよい。
ステップS18においてセルスタック24Aに関連する温度またはセルスタック24Bに関連する温度のいずれかが285℃以下になっていないと判定される場合、制御部10は、ステップS17に戻って処理を続行する。ステップS18においてセルスタック24Aに関連する温度およびセルスタック24Bに関連する温度のいずれもが285℃以下になっていると判定される場合、制御部10は、ステップS19の処理を実行する。
ステップS19において、制御部10は、セルスタック24Aおよびセルスタック24Bに供給されるガスの流量の目標を、例えば、それぞれ0[NL/min]に設定する。ガスの流量の目標値が設定されたら、制御部10は、ステップS13において、それぞれ設定された目標値が達成されるように、ガスポンプ94Aおよびガスポンプ94Bが出力するガスの流量を制御する。以上のようにして、制御部10は、図3に示す処理を終了する。
このように、本実施形態において、制御部10は、セルスタック24Aに供給されるガスの流量およびセルスタック24Bに供給されるガスの流量を制御させる。また、本実施形態において、制御部10は、ガスポンプ94Aがセルスタック24Aに供給するガスの流量とガスポンプ94Bがセルスタック24Bに供給するガスの流量とが異なるように制御する。例えば、制御部10は、ガスポンプ94Aがセルスタック24Aに供給するガスの流量およびガスポンプ94Bがセルスタック24Bに供給するガスの流量の少なくとも一方が減少するように制御してもよい。これにより、セルスタック24Aにおいて失火するタイミングは、セルスタック24Bにおいて失火するタイミングとは異なるようになる。
本実施形態において、制御部10は、セルスタック24Aに関連する温度(改質器22Aに関連する温度)およびセルスタック24Bに関連する温度(改質器22B)に関連する温度の少なくとも一方に基づいて、上述のように制御してもよい。この場合、制御部10は、改質器22Aに関連する温度が改質器22Bに関連する温度よりも低い場合、セルスタック24Aに供給されるガスの流量が、セルスタック24Bに供給されるガスの流量よりも少なくなるように制御してもよい。
以上説明したように、本実施形態に係る発電装置1によれば、セルスタック24Aにおいて失火するタイミングとセルスタック24Bにおいて失火するタイミングとがほぼ同時に、または近くならないように制御する。これにより、本実施形態に係る発電装置1は、セルスタック24およびセルスタック24Bにおいて触媒の劣化の進行を抑制することができる。したがって、本実施形態に係る発電装置1によれば、発電装置の劣化が早まることを抑制することができる。
上述した実施形態において、図3に示した温度およびガスの流量の目標値などの各数値は、例示を目的としたものである。これらの各数値は、セルスタック24および/または改質器22などの構成または仕様などに応じて、適宜、好適な値を設定することができる。
(第2実施形態)
次に、本開示の第2実施形態に係る発電装置について説明する。
第2実施形態に係る発電装置は、第1実施形態で説明した発電装置1において、触媒の劣化の進行を抑制する観点から、さらに追加の措置を行うものである。したがって、第2実施形態に係る発電装置の構成について、第1実施形態に係る発電装置1と同様の内容の説明は、適宜、簡略化または省略する。
第2実施形態に係る発電装置は、図1に示した第1実施形態に係る発電装置1において、空気供給部34の制御を変更するものである。
第1実施形態に係る発電装置1においては、改質出口温度が低い方の改質器22に供給するガスの流量を、ある程度減少させた。第2実施形態においては、さらに、改質出口温度が低い方の改質器22に接続されたセルスタック24に供給する空気の流量を、ある程度増やす。
図4は、本実施形態に係る発電装置において、制御部10、燃料電池モジュール20、および空気供給部34のみを示す図である。図4においては、制御部10、燃料電池モジュール20、および空気供給部34以外の機能部は図示を省略してある。図示を省略した機能部は、図1および図2において説明した第1実施形態に係る発電装置1の場合と同様に構成することができる。
図4に示すように、本実施形態において、空気供給部34は、2つの空気ブロワ96A(第1空気供給部)および空気ブロワ96B(第2空気供給部)と、2つの流量計98Aおよび98Bとを備えている。以下、空気ブロワ96Aと空気ブロワ96Bとを特に区別しない場合、単に、空気ブロワ96のように総称する。同様に、以下、流量計98Aと流量計98Bとを特に区別しない場合、単に、流量計98のように総称する。
図4に示すように、本実施形態において、空気供給部34に供給される空気は、1つの供給源から2つの経路に分岐されて、それぞれ空気ブロワ96Aおよび空気ブロワ96Bに供給される。また、図4に示すように、空気ブロワ96Aは流量計98Aに接続され、空気ブロワ96Bは流量計98Bに接続される。これらの接続により、空気ブロワ96Aおよび空気ブロワ96Bは、それぞれ流量計98Aおよび流量計98Bを経て、セルスタック24Aおよびセルスタック24Bにそれぞれ空気を供給することができる。図4に示す例においては、1つの供給源から2つの経路に分岐された空気が、それぞれ空気ブロワ96Aおよび96Bに供給されている。しかしながら、例えば空気ブロワ96Aおよび96Bには、それぞれ別個の供給源から空気が供給されるようにしてもよい。
空気ブロワ96Aおよび96Bは、空気供給部34に供給された空気を、それぞれ流量計98Aおよび98Bを経て、燃料電池モジュール20のセルスタック24Aおよびセルスタック24Bにそれぞれ送出する。空気ブロワ96Aおよび96Bは、セルスタック24Aおよび24Bに空気を送出できるものであれば、任意のものを採用することができる。
流量計98Aおよび98Bは、それぞれを経て流れる空気の流量を測定する。ここで、流量計98Aおよび98Bがそれぞれ計測する空気の流量とは、例えば、単位時間あたりに空気が流量計98Aまたは98Bを経て移動する量とすることができる。流量計98Aおよび98Bは、空気の流量を計測できるものであれば、任意のものを採用することができる。
図4に示すように、空気供給部34は、制御部10と有線または無線により通信可能に接続される。流量計98Aおよび流量計98Bがそれぞれ計測した空気の流量の情報は、制御部10に送信される。これにより、制御部10は、流量計98Aおよび流量計98Bがそれぞれ計測した空気の流量を把握することができる。また、制御部10は、空気供給部34と通信可能に接続されることにより、空気ブロワ96Aおよび96Bがそれぞれセルスタック24Aおよび24Bに送出する空気の流量を調整(増減)することができる。したがって、本実施形態において、制御部10は、セルスタック24Aに供給される空気の流量およびセルスタック24Bに供給される空気の流量を調整することができる。
本実施形態に係る発電装置において、空気供給部34は、図4に示すような構成に限定されるものではない。例えば、図4に示す空気供給部34においては、流量計98は、空気ブロワ96によって送出された後の空気の流量を測定している。しかしながら、空気供給部34において、流量計98は、空気ブロワ96によって送出される前の空気の流量を測定してもよい。
次に、第2実施形態に係る発電装置の動作を説明する。
図5は、第2実施形態に係る発電装置の動作を説明するフローチャートである。図5においては、図3に示した第1実施形態に係る発電装置1の処理として説明したのと同じ内容の処理は、同じステップとして示してある。
図5に示すように、第2実施形態においては、ステップS15の処理とステップS16との処理の間に、さらにステップS21を追加する。ステップS15において、制御部10は、改質出口温度が低い方の改質器22に供給するガスの流量を、ある程度減少させる。本実施形態においては、ステップS15の後、改質出口温度が低い方の改質器22に接続されたセルスタック24に供給する空気の流量を、ある程度増大させる。
例えば、ステップS14において改質器22Aの改質出口温度が改質器22Bの改質出口温度よりも低い場合、ステップS15において、制御部10は、セルスタック24Aに供給されるガスの流量を少なくする。この場合、本実施形態において、制御部10は、改質器22Aに接続されたセルスタック24Aに供給する空気の流量が増すように制御する(ステップS21)。具体的には、制御部10は、空気ブロワ96Aを制御して、セルスタック24Aに供給される空気の流量を増大させる。図5においては、ステップS15の後でステップS21を開始しているが、ステップS14からYESに進む場合、ステップS15およびステップS21を同時に開始してもよい。また、この場合、ステップS21の後でステップS15を開始してもよい。ステップS21の後は、制御部10は、第1実施形態と同様に、ステップS16以降の処理を行うことができる。
第1実施形態におけるガスの流量の制御と同じように、本実施形態においても、制御部10は、空気の流量の目標値を設定し、設定された目標値が達成されるように、空気ブロワ96Aを制御してもよい。また、制御部10は、流量計98が測定する空気の流量を取得することにより、空気ブロワ96が出力するガスの流量を制御してもよい。
空気ブロワ96によって、セルスタック24に供給される空気を増量すると、セルスタック24内におけるガスの濃度が低くなる。セルスタック24内におけるガスの濃度が低くなると、触媒の温度も下がる。このため、セルスタック24において失火が生じ易くなる。また、例えばシンタリングなどによって触媒が劣化するリスクを低減することもできる。
このように、本実施形態において、制御部10は、発電装置の発電を停止する際、第1発電部(セルスタック24A)に供給される空気の流量と第2発電部(セルスタック24B)に供給される空気の流量とが異なるように制御してもよい。例えば、制御部10は、発電装置の発電を停止する際、第1発電部(セルスタック24A)に供給される空気の流量および第2発電部(セルスタック24B)に供給される空気の流量の少なくとも一方が増すように制御してもよい。また、例えば、制御部10は、改質器22Aの改質出口温度が改質器22Bの改質出口温度よりも低い場合、空気ブロワ96Aがセルスタック24Aに供給する空気の流量が増すように制御してもよい。これにより、セルスタック24Aにおいて、より失火が生じ易くなる。
図4に示す発電装置は、2つの空気ブロワ96を備え、それぞれが独立してセルスタック24Aおよびセルスタック24Bに空気を供給した。しかしながら、図4に示す発電装置を簡略化した例として、発電装置が空気ブロワ96を1つのみ備える構成としてもよい。この場合、1つの空気ブロワ96が、セルスタック24Aおよびセルスタック24Bに空気を供給するような構成としてもよい。そして、制御部10は、発電装置の発電を停止する際、セルスタック24Aおよびセルスタック24Bに供給される空気の流量が変化するように制御してもよい。例えば、制御部10は、発電装置の発電を停止する際、セルスタック24Aおよびセルスタック24Bに供給される空気の流量が増すように制御してもよい。
(第3実施形態)
次に、本開示の第3実施形態に係る発電装置について説明する。
第3実施形態に係る発電装置は、第1実施形態で説明した発電装置1と部分的に同じ構成を採用することができる。したがって、第2実施形態に係る発電装置の構成について、第1実施形態に係る発電装置1と同様の内容の説明は、適宜、簡略化または省略する。
第3実施形態に係る発電装置は、図1に示した第1実施形態に係る発電装置1において、燃料電池モジュール20の構成を変更するものである。
第1実施形態に係る発電装置1において、燃料電池モジュール20は、図2に示したように、2つのセルスタック24Aおよび24Bを備えている。第3実施形態に係る発電装置においては、図6に示すように、燃料電池モジュール20’は、4つのセルスタック(24A,24B,24C,24D)を備えている。図6は、図2と同様に、図1に示した発電装置1において、制御部10、燃料電池モジュール20’、およびガス供給部32のみを示し、その他の機能部は省略している。以下、セルスタック24A,24B,24C,24Dを特に区別しない場合、単に、セルスタック24のように総称する。それぞれのセルスタック24は、例えば単体で700W程度の発電が可能な場合、燃料電池モジュール20’は、全体として3kW程度の電力を出力することができる。
図6に示すように、燃料電池モジュール20’において、改質器22Aはセルスタック24Aおよびセルスタック24Bに接続され、改質器22Bはセルスタック24Cおよびセルスタック24Dに接続される。これらの接続により、改質器22Aおよび改質器22Bは、それぞれセルスタック24A,24Bおよびセルスタック24C,24Dに、水素および/または一酸化炭素を供給することができる。
また、図6に示すように、燃料電池モジュール20’においても、セルスタック24近傍の温度を検出する温度センサ80を備えている。図6に示すように、本実施形態において、燃料電池モジュール20’は、4つの温度センサ80A,80B,80C,80Dを備えている。図6に示すように、温度センサ80Aはセルスタック24A近傍に設置され、温度センサ80Bはセルスタック24B近傍に設置される。また、温度センサ80Cはセルスタック24C近傍に設置され、温度センサ80Dはセルスタック24D近傍に設置される。第2実施形態においても、「セルスタック24近傍」の意味などは、第1実施形態と同様である。
図6に示す燃料電池モジュール20’のように、4つのセルスタック24A,24B,24C,24Dを備える場合でも、第1実施形態に係る発電装置1と同様に動作させることができる。図4に示す構成では、ガス供給部32から燃料電池モジュール20’に燃料ガスを供給するガスラインは2つの経路を有している。したがって、本実施形態では、ガスポンプ94Aによって、セルスタック24Aおよびセルスタック24Bに供給されるガスの流量を調整することができる。また、本実施形態では、ガスポンプ94Bによって、セルスタック24Cおよびセルスタック24Dに供給されるガスの流量を調整することができる。
本実施形態においては、セルスタック24Aおよびセルスタック24Bを第1発電部として、またセルスタック24Bおよびセルスタック24Dを第2発電部として、第1実施形態に係る発電装置1と同様に動作させることができる。この場合、セルスタック24A近傍の温度とセルスタック24B近傍の温度の平均を、第1発電部近傍の温度とすることができる。同様に、セルスタック24C近傍の温度とセルスタック24D近傍の温度の平均を、第2発電部近傍の温度とすることができる。
以上説明したように、本実施形態に係る発電装置において、第1実施形態と同様に、改質出口温度が低い方の改質器22に供給されるガスの流量が少なくなるように制御する。これにより、4つのセルスタック24において失火が生じるタイミングがほぼ同時に、または近くならないようになる。
第3実施形態においても、第2実施形態と同様に、空気ブロワ96がセルスタック24に供給する空気を増量することにより、セルスタック24において、より失火が生じ易くさせてもよい。
(第4実施形態)
次に、本開示の第4実施形態に係る発電装置について説明する。
第4実施形態に係る発電装置は、第1〜第3実施形態で説明した発電装置1と部分的または全体的に同じ構成を採用することができる。したがって、第4実施形態に係る発電装置の構成について、第1〜第3実施形態に係る発電装置1と同様の内容の説明は、適宜、簡略化または省略する。
第1〜第3実施形態においては、改質器22に関連する温度(改質出口温度)が低い方の改質器22に供給するガスの流量を減少させた。第4実施形態においては、改質器22に関連する温度(改質出口温度)ではなく、セルスタック24に関連する温度(例えばセルスタック24の内部温度または近傍の温度など)に基づいて、セルスタック24に供給するガスの流量を制御する。
例えば、セルスタック24Aの内部温度または近傍の温度などが、セルスタック24Bの内部温度または近傍の温度などよりも低い場合、セルスタック24Aにおいて失火が生じ易い傾向にある。したがって、温度センサ82が各セルスタック24の温度を検出した際に、制御部10は、検出された温度が低いセルスタック24に供給されるガスの流量を減少させる。この場合、当該セルスタック24において失火が生じ易くなる。このため、複数のセルスタック24において失火が生じるタイミングがほぼ同時に、または近くならないようになる。
このように、本実施形態において、制御部10は、セルスタック24Aに関連する温度およびセルスタック24Bに関連する温度に基づいて、第1および第2の発電部に供給されるガスの流量が異なるように制御してもよい。例えば、制御部10は、セルスタック24Aに関連する温度およびセルスタック24Bに関連する温度に基づいて、第1および第2の発電部に供給されるガスの流量の少なくとも一方が減少するように制御してもよい。この場合、制御部10は、セルスタック24Aに関連する温度がセルスタック24Bに関連する温度よりも低い場合、セルスタック24Aに供給されるガスの流量が、セルスタック24Bに供給されるガスの流量よりも少なくなるように制御してもよい。
(その他の実施形態)
以下、上述した実施形態以外の実施形態について説明する。
上述した第1実施形態においては、ガス供給部32から供給されるガスの流量を減少させた。これにより、セルスタック24において失火が生じ易くなる。しかしながら、例えば、例えば改質水供給部36から改質器22に供給される改質水を減少させてもよい。このようにしても、当該改質器22に接続されたセルスタック24において失火が生じ易くなる。
また、上述した第1実施形態においては、例えば図3において説明したように、ステップS15においてガスの流量を一段階(一回)のみ減少させる場合について説明した。しかしながら、例えば、ステップS15においてガスの流量を一段階のみ減少させても、改質出口温度にあまり差が生じず、複数のセルスタック24において失火がほぼ同時または近いタイミングで発生するような事態も想定される。このような場合に備えて、ガスの流量を一段階減少させた後でも、複数のセルスタック24において失火がほぼ同時または近いタイミングで発生すると予想される場合は、さらにガスの流量を段階的に(すなわち複数回)減少させてもよい。例えば、ガスの流量を一段階減少させた後で所定の時間が経過しても、複数の改質器22において改質出口温度に所定の温度差が生じない場合、さらにガスの流量を減少させてもよい。
本発明を諸図面および実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形および修正を行うことが容易であることに注意されたい。したがって、これらの変形および修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各機能部、各手段、各ステップなどに含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の機能部およびステップなどを1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。また、上述した本発明の各実施形態は、それぞれ説明した各実施形態に忠実に実施することに限定されるものではなく、適宜、各特徴を組み合わせたり、一部を省略したりして実施することもできる。
例えば、以上の開示においては、第1実施形態として、燃料電池を備える発電装置1について説明した。しかしながら、本開示の各実施形態は、燃料電池を備える発電装置に限定されるものではない。
例えば、本開示の実施形態は、燃料電池を備えずに、燃料電池を外部から制御する、燃料電池の制御装置として実現することもできる。このような実施形態の一例を、図7に示す。図7に示すように、本実施形態に係る燃料電池の制御装置2は、例えば制御部10と、記憶部12とを含んで構成される。制御装置2は、外部の発電装置1を制御する。すなわち、本実施形態に係る燃料電池の制御装置2は、第1発電部(セルスタック24A)に供給されるガスの流量および第2発電部(セルスタック24B)に供給されるガスの流量を制御する。また、制御装置2は、発電装置の発電を停止する際、セルスタック24Aに供給されるガスの流量とセルスタック24Bに供給されるガスの流量とが異なるように制御する。
さらに、本開示の実施形態は、例えば、上述したような燃料電池の制御装置2に実行させる制御プログラムとして実現することもできる。すなわち、本実施形態にかかる燃料電池の制御プログラムは、制御装置2に、セルスタック24Aに供給されるガスの流量およびセルスタック24Bに供給されるガスの流量を制御するステップを実行させる。また、制御プログラムは、制御装置2に、発電装置の発電を停止する際、セルスタック24Aに供給されるガスの流量とセルスタック24Bに供給されるガスの流量とが異なるように制御するステップを実行させる。