JP6493875B2 - 3次元造形物の形成方法 - Google Patents

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Description

本発明は、3次元造形物の形成方法に関する。
光学的立体造形法とは、光硬化性組成物に必要なエネルギー供給を選択的に行って、所望形状の立体造形物を形成する方法である。
立体造形法の代表的な例としては、容器に入れた光硬化性組成物の液面に、所望パターンの硬化層が得られるように、光、例えば紫外線レーザーを選択的に照射して硬化層を得、次に該硬化層の上に光硬化性組成物を層状に供給し、次いで上記と同様に光を選択的に照射して上記の硬化層と連続した硬化層を形成する。この積層操作を繰り返すことにより、最終的に所望の立体的な3次元造形物を得る方法である。この立体造形法は、製作する造形物の形状が複雑な場合でも、容易にしかも短時間で目的の造形物を得ることができるため注目されている。
また、近年、インクジェット方式による光造形法が提案され、従来法に比べ、インクジェットノズルから吐出した液状の光硬化性樹脂を硬化させ、積層して光造形することが可能となり、従来のように大型の樹脂液槽や暗室の設置が不要となる等の利点がある。光造形機がコンパクトで小型化できる他、CAD(Computer Aided Design)システムを用いることにより、自由に立体モデルを作製できる3DCADとして注目されている。
従来の光造形法としては、特許文献1及び2に記載されたものが挙げられる。
特開2012−111226号公報 米国特許第7851122号明細書
従来の紫外線硬化型インクジェット方式の3次元造形物は、工業製品の試作品の製作に多く用いられてきたため、成型物自体の色に対する要求は少なかった。昨今、3次元印刷は、小ロットの玩具製品(例えば、アニメキャラクターの人形等)、文房具(例えば、ボールペン等)、装飾品などにも利用されるようになり、成型物の黄色着色の低減が強く望まれるようになってきた。しかしながら、従来の紫外線硬化型インクジェット方式3次元造形物の形成方法を用いた場合、3次元造形物の黄色着色が大きく、特に透明や白のモデル材の使用には大きな制限があった。
本発明が解決しようとする課題は、用いるインク組成物の安定性に優れ、硬化時の体積収縮が小さく、成型性に優れ、得られる3次元造形物の黄色着色が小さく、得られる3次元造形物を手で触った場合の指紋跡残りが小さい3次元造形物の形成方法を提供することである。
上記の課題は、下記<1>に記載の手段により達成された。好ましい実施態様である<2>〜<11>と共に以下に列挙する。
<1>インク組成物を40℃〜80℃の範囲に加熱する加熱工程、加熱された上記インク組成物をインクジェットヘッドで吐出し、3次元造形物の断面情報に基づいて、インク層を形成する吐出工程、及び、上記インク層を活性光線で硬化させる硬化工程、を含み、上記インク組成物が、少なくとも1種の(メタ)アクリレート化合物を含有し、上記インク組成物中における全(メタ)アクリレート化合物100質量部に対する単官能(メタ)アクリレート化合物の含有量が、50〜95質量部であり、上記インク組成物が、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)ベンジル]フェニル}−2−メチルプロパン−1−オン、及び、上記のいずれか1種の開始剤を多官能化した化合物よりなる群から選択された1種類以上の光重合開始剤を、インク組成物の全質量に対し、4〜20質量%含有し、上記硬化工程が、波長275〜310nmの間にピークを有するLED光源を用いることを特徴とする3次元造形物の形成方法、
<2>上記インク組成物における上記光重合開始剤の含有量が、インク組成物の全質量に対し、6〜12質量%である、<1>に記載の3次元造形物の形成方法、
<3>上記インク組成物が、ガラス転移温度が50℃〜120℃、かつ重量平均分子量が5,000〜200,000のアクリル樹脂を、インク組成物の全質量に対し、1〜3質量%含有する、<1>又は<2>に記載の3次元造形物の形成方法、
<4>上記インク組成物が、着色剤を実質的に含有しない、<1>〜<3>のいずれか1つに記載の3次元造形物の形成方法、
<5>上記インク組成物が、白色着色剤として酸化チタンを含有する、<1>〜<3>のいずれか1つに記載の3次元造形物の形成方法、
<6>上記インク組成物における酸化チタンの含有量が、インク組成物の全質量に対し、1〜5質量%である、<5>に記載の3次元造形物の形成方法、
<7>上記インク組成物が、上記光重合開始剤を2種類以上含有する、<1>〜<6>のいずれか1つに記載の3次元造形物の形成方法、
<8>上記インク組成物が、上記光重合開始剤を2又は3種類含有する、<7>に記載の3次元造形物の形成方法、
<9>上記アクリル樹脂が、メチルメタクリレート単独重合体及び/又は共重合体である、<3>に記載の3次元造形物の形成方法、
<10>上記アクリル樹脂が、メチルメタクリレート共重合体である、<9>に記載の3次元造形物の形成方法、
<11>上記インク組成物が、重量平均分子量が2,000以上20,000以下の2官能(メタ)アクリレートオリゴマーを含有する、<1>〜<10>のいずれか1つに記載の3次元造形物の形成方法。
本発明によれば、用いるインク組成物の安定性に優れ、硬化時の体積収縮が小さく、成型性に優れ、得られる3次元造形物の黄色着色が小さく、得られる3次元造形物を手で触った場合の指紋跡残りが小さい3次元造形物の形成方法を提供することができる。
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。
なお、本発明において、数値範囲を表す「下限〜上限」の記載は、「下限以上、上限以下」を表し、「上限〜下限」の記載は、「上限以下、下限以上」を表す。すなわち、上限及び下限を含む数値範囲を表す。
更に、本明細書における基(原子団)の表記において、置換及び無置換を記していない表記は置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
「(メタ)アクリレート」等は、「アクリレート及び/又はメタクリレート」等と同義であり、以下同様とする。
また、本発明において、「質量%」と「重量%」とは同義であり、「質量部」と「重量部」とは同義である。
また、本発明において、2以上の好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
(3次元造形物の形成方法)
本発明の3次元造形物の形成方法は、インク組成物を40℃〜80℃の範囲に加熱する加熱工程、加熱された上記インク組成物をインクジェットヘッドで吐出し、3次元造形物の断面情報に基づいて、インク層を形成する吐出工程、及び、上記インク層を活性光線で硬化させる硬化工程、を含み、上記インク組成物が、少なくとも1種の(メタ)アクリレート化合物を含有し、上記インク組成物中における全(メタ)アクリレート化合物100質量部に対する単官能(メタ)アクリレート化合物の含有量が、50〜95質量部であり、上記インク組成物が、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)ベンジル]フェニル}−2−メチルプロパン−1−オン、及び、上記のいずれか1種の開始剤を多官能化した化合物よりなる群から選択された1種類以上の光重合開始剤を、インク組成物の全質量に対し、4〜20質量%含有し、上記硬化工程が、波長275〜310nmの間にピークを有するLED(発光ダイオード)光源を用いることを特徴とする。
本発明者は、詳細な検討を行った結果、特定組成のインク組成物を用い、かつ波長275〜310nmの間の中にピークを有するLED光源を用い硬化することにより、用いるインク組成物の安定性に優れ、硬化時の体積収縮が小さく、成型性に優れ、得られる3次元造形物の黄色着色が小さく、得られる3次元造形物を手で触った場合の指紋跡残りが小さいことを見いだした。
本発明における「3次元造形」とは、3D印刷又は3Dプリンティングともいい、複数のインク層を積層して形成する造形方法であって、好ましくは50層以上の層を積層する造形方法をいう。本発明では、上記吐出工程及び上記硬化工程を好ましくは50回以上繰り返して行って、50層以上の層を積層する。
上記効果が発現する詳細な機構は、不明であるが、インク組成物が単官能(メタ)アクリレート化合物を多く含有し、特定の光重合開始剤を特定量含有し、かつ、波長275〜310nmの間にピークを有するLED光源を用い硬化することにより、協奏的に効果が発現していると推定している。
本発明の3次元造形物の形成方法は、例えば、血管等の医療用3次元造形物や、玩具、フィギュア等を形成する用途に好適に用いることができる。
本発明の3次元造形物の形成方法は、上記インク組成物を1種単独で使用しても、2種以上使用してもよい。
また、上記インク組成物は、ホワイトインク組成物、又は、クリアインク組成物であることが好ましい。
本発明の3次元造形物の形成方法は、上記インク組成物以外の他のインク組成物を用いてもよい。他のインク組成物としては、例えば、有機顔料を含有するインク組成物等が挙げられる。
また、本発明の3次元造形物の形成方法は、上記インク組成物として、上記インク組成物(モデル材用インク組成物)だけでなく、サポート材用インク組成物を併用してもよい。
なお、「モデル材」とは、硬化して、目的とする3次元造形物となる材料であって、「サポート材」とは、3次元造形においてモデル材の周囲や内部に印刷され、モデル材を支持(サポート)するものであって、造形が終了した後に除去される材料をいう。
<加熱工程>
本発明の3次元造形物の形成方法は、インク組成物を40℃〜80℃の範囲に加熱する加熱工程を含む。
本発明の3次元造形物の形成方法に用いるインク組成物の好ましい態様については、後述する。
インク組成物の加熱手段としては、特に制限はなく、公知の加熱手段を用いることができる。
加熱手段としては、後述する吐出工程に用いるインクジェット吐出装置に備えられた加熱手段が好適に挙げられる。一例としては、インク組成物供給タンクからインクジェットヘッド部分までの断熱及び加温を行う加熱手段が挙げられる。
温度コントロールの方法としては、特に制限はないが、例えば、温度センサーを各配管部位に複数設け、インク組成物の流量、環境温度に応じた加熱制御をすることが好ましい。温度センサーは、インク組成物供給タンク及びインクジェットヘッドのノズル付近に設けることができる。また、加熱するヘッドユニットは、装置本体を外気からの温度の影響を受けないよう、熱的に遮断又は断熱することが好ましい。加熱を要するインクジェット吐出装置の立上げ時間を短縮するため、あるいは、熱エネルギーのロスを低減するために、他部位との断熱を行うと共に、加熱ユニット全体の熱容量を小さくすることが好ましい。
また、活性光線硬化型インクジェットインク組成物は、概して通常インクジェット吐出において使用される水性インク組成物より粘度が高いため、吐出時の温度変動による粘度変動が大きい。インク組成物の粘度変動は、液滴サイズの変化及び液滴吐出速度の変化に対して大きな影響を与え、ひいては画質劣化を引き起こす場合があるため、吐出時のインク組成物の温度はできるだけ一定に保つことが好ましい。よって、本発明において、インク組成物の温度の制御幅は、好ましくは設定温度の±5℃、より好ましくは設定温度の±2℃、更に好ましくは設定温度±1℃とすることが適当である。
また、本発明の3次元造形物の形成方法においては、上記加熱工程を複数回行ってもよいし、上記加熱手段を1回行い、そのままインク組成物を40℃〜80℃の範囲で保温してもよい。
本発明の3次元造形物の形成方法においては、後述する吐出工程において、インクジェットヘッドで吐出する際のインク組成物の温度が40℃〜80℃であることが好ましいため、40℃〜80℃の範囲にインク組成物が保たれるように、加熱工程を再度行ったり、保温したりすることが好ましい。
<吐出工程>
本発明の3次元造形物の形成方法は、上記加熱工程により加熱された上記インク組成物をインクジェットヘッドで吐出し、3次元造形物の断面情報に基づいて、インク層を形成する吐出工程を含む。
吐出工程に用いる3次元造形物の断面情報は、特に制限はなく、所望の3次元造形物の3次元形状に応じた断面データを、使用する装置にあわせた任意の形式で作成すればよい。3次元造形物の断面情報の生成方法としては、例えば、造形すべき物体の三次元CADデータを用い、上記CADデータを三次元造形用のデータとして、例えば、三次元STL(Stereo Lithography)データに変換し、更に、この三次元STLデータから、任意の一方向(例えば、高さ方向)にインク層1層分の厚みに相当するピッチ(層厚)でスライスした各断面体(層)のデータを生成する方法が挙げられる。上記ピッチは、使用するインク組成物や、所望の精度等に応じて、適宜決定することができる。また、上記各断面体(層)のデータは、必要に応じて、各部分の色の情報(彩色データ)を有していてもよい。
更に、三次元形状入力装置で計測された三次元着色形状のデータ及びテクスチャを利用することも可能である。
また、吐出工程において、上記インク組成物等のモデル材用インク組成物だけでなく、サポート材用インク組成物を用いる場合、上記「3次元造形物の断面情報」とは、3次元造形物自体の断面情報だけでなく、3次元造形物を形成する際に設けるサポート材の断面情報も含まれることは言うまでもない。
吐出工程には、公知のインクジェット吐出装置又はインクジェット吐出手段を用いて、インク組成物をインクジェットヘッドで吐出し、インク層を形成することができる。
上記インク層を形成するインク組成物は、少なくとも上記インク組成物を含んでいればよく、例えば、カラー3次元造形物を形成するためには、上記インク組成物を含めた2種以上のインク組成物を用いることが好ましく、また、必要に応じて、上記インク組成物以外にサポート材用インク組成物を用いることが好ましい。
サポート材用インク組成物により形成するインク層は、任意の形状で形成すればよい。例えば、3次元造形物を形成する際において必要最低限のサポート材が形成されるように、サポート材用インク組成物によるインク層を形成してもよいし、また、3次元造形物の周囲や内部に十分なサポート材が形成されるように、大きくマージンをとってサポート材用インク組成物によるインク層を形成してもよい。
また、所望の形状の3次元造形物の形成に、サポート材が不要であれば、サポート材用インク組成物を用いなくともよい。
吐出工程におけるインク層の厚さは、特に制限はなく、上述したように、使用するインク組成物や、所望の精度等に応じて決定すればよいが、0.1〜200μmであることが好ましく、1〜150μmであることがより好ましく、10〜100μmであることが更に好ましい。
吐出工程におけるインクジェットヘッドによるインク組成物の吐出の解像度は、特に制限はなく、所望の3次元造形物の精度や、3次元造形物の断面情報の精度に応じて、適宜選択することができる。
本発明の3次元造形物の形成方法における最初の吐出工程において形成するインク層は、使用する3次元造形装置の基盤や造形テーブル上に直接形成してもよいし、別途準備した任意の基板、支持体又は物品上に形成してもよいし、上記吐出工程以外の方法で設けたサポート材用インク組成物を1層又は複数層の上に形成してもよい。
本発明の3次元造形物の形成方法における2回目以降の吐出工程において形成するインク層は、既に形成されたインク層上に形成することが好ましい。
<硬化工程>
本発明の3次元造形物の形成方法は、上記吐出工程により形成したインク層を活性光線で硬化させる硬化工程を含み、上記硬化工程において、波長275〜310nmの間にピークを有するLED光源を用いる。
本発明で、「波長275〜310nmの間にピークを有する」とは、光源の発光スペクトルを測定した場合に、発光強度の極大値が波長275〜310nmの間にあることを意味する。
硬化工程において用いる活性光線のピーク波長は、275〜310nmの間であり、2800〜305nmの間であることが好ましく、280〜300nmの間であることがより好ましい。上記範囲であると、成型性により優れ、また、得られる3次元造形物を手で触った場合の指紋跡残りがより小さくなる。
上記硬化工程における活性光線源としては、波長275〜310nmの間にピークを有するLED光源を用いる。LED光源を用いることにより、得られる3次元造形物を、特に形成直後に、手で触った場合の指紋跡残りが小さくなる。
上記硬化工程におけるLED光源の上記インク層上での最高照度は、10〜2,000mW/cm2であることが好ましく、20〜1,000mW/cm2であることがより好ましく、50〜800mW/cm2であることが特に好ましい。
また、上記インク層は、活性光線に、好ましくは0.01〜120秒、より好ましくは0.1〜90秒照射されることが適当である。
本発明の3次元造形物の形成方法は、上記吐出工程及び上記硬化工程を50回以上繰り返して行う。上記吐出工程及び上記硬化工程の1セットを繰り返すことにより、3次元造形物が、断面情報に基づき1層ずつ形成されていき、本発明の3次元造形物の形成方法においては50層以上形成される。繰り返し回数が50回以上であれば、本発明における柔らかさの効果が十分に得られる。本発明における柔らかさの効果をより発揮する観点から、成型物の厚さが1mm以上であることが好ましく、1cm以上であることがより好ましい。そのため、本発明の3次元造形物の形成方法は、上記吐出工程及び上記硬化工程を100回以上繰り返して行うことが好ましく、300回以上繰り返して行うことがより好ましい。
また、上記吐出工程及び上記硬化工程を繰り返す間に、必要に応じて、上記加熱工程を再度行ってもよい。
また、必要に応じ、上記吐出工程と上記硬化工程との間に、インク層の表面をローラ等により平滑化する平滑化工程を含んでいてもよい。
インク組成物としてサポート材用インク組成物を併用した場合、本発明の3次元造形物の形成方法は、得られた3次元造形物からサポート材用インク組成物が硬化したサポート材を除去する除去工程を含む。
サポート材の除去方法としては、特に制限はなく、粉砕等により物理的に除去してもよいし、溶解等により化学的に除去してもよい。
例えば、サポート材がモデル材と比較して硬度が小さく、かつ破砕可能な硬化物であれば、粉砕等により物理的に除去することが好ましい。また、サポート材が水溶性の硬化物である場合は、水性液に接触させ除去することが好ましい。
本発明の3次元造形物の形成方法は、必要に応じて、その他公知の工程を含んでいてもよい。
また、本発明の3次元造形物の形成方法は、必要に応じて、得られた三次元造形物に対して掃除、熱処理、樹脂又はワックス浸透、研磨などの後処理工程を行ってもよい。上記掃除は、上記三次元造形物をブローやブラシ掛けをして隙間に残されたサポート材の残渣等を取り除くことが挙げられる。上記熱処理は、3次元造形物の強度及び耐久性を増加させるため、使用したモデル材用インク組成物の組成等に応じ行うことができる。上記ワックス浸透は、間隙率を低下させ、上記3次元造形物を耐水性にし、より研磨仕上げをしやすくすることができ、また、表面光沢性を改良することができる。上記研磨仕上げは、表面平滑性を改良し、肌ざわりや光沢性等を改良することができる。
また、本発明の3次元造形物の形成方法は、必要に応じて、得られた3次元造形物の表面を着色する工程を含んでいてもよい。
<インク組成物>
本発明の3次元造形物の形成方法は、少なくとも1種の(メタ)アクリレート化合物を含有し、上記インク組成物中における全(メタ)アクリレート化合物100質量部に対する単官能(メタ)アクリレート化合物の含有量が、50〜95質量部であり、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)ベンジル]フェニル}−2−メチルプロパン−1−オン、及び、上記のいずれか1種の開始剤を多官能化した化合物よりなる群から選択された1種類以上の光重合開始剤(以下、「特定光重合開始剤」ともいう。)を、インク組成物の全質量に対し、4〜20質量%含有するインク組成物を少なくとも用いる。
上記インク組成物は、白色以外の着色剤を実質的に含有しないことが好ましい。
着色剤を実質的に含有しないとは、着色剤を含有しないか、又は、着色剤の含有量が、インク組成物の全質量に対し、0質量%を超え0.5質量%以下であることを意味する。
上記インク組成物は、白色以外の着色剤を含有しないか、又は、白色以外の着色剤の含有量が、インク組成物の全質量に対し、0質量%を超え0.1質量%以下であることが好ましく、白色以外の着色剤を含有しないか、又は、白色以外の着色剤の含有量が、インク組成物の全質量に対し、0質量%を超え0.01質量%以下であることがより好ましく、白色以外の着色剤を含有しないことが特に好ましい。
−特定光重合開始剤−
上記インク組成物は、光重合開始剤として、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)ベンジル]フェニル}−2−メチルプロパン−1−オン、及び、上記のいずれか1種の開始剤を多官能化した化合物よりなる群から選択された1種類以上の光重合開始剤を、インク組成物の全質量に対し、4〜20質量%含有する。
上記インク組成物は、特定光重合開始剤を1種類以上含有し、2種類以上含有することが好ましく、2〜4種類含有することがより好ましく、2又は3種類含有することが更に好ましく、3種類含有することが特に好ましい。上記態様であると、成型性及びインク安定性により優れる。
上記インク組成物は、特定光重合開始剤を、インク組成物の全質量に対し、4〜20質量%含有し、5〜15質量%であることが好ましく、6〜12質量%であることがより好ましい。上記範囲であると、成型性及びインク安定性により優れ、また、得られる3次元造形物を手で触った場合の指紋跡残りがより小さくなる。
特定光重合開始剤としては、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンを少なくとも含むことが好ましく、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン及び1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オンを少なくとも含むことがより好ましい。上記態様であると、成型性により優れ、また、得られる3次元造形物を手で触った場合の指紋跡残りがより小さくなる。
また、特定光重合開始剤は、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、及び、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)ベンジル]フェニル}−2−メチルプロパン−1−オンのいずれか1種の開始剤を多官能化した化合物を含むことが好ましい。上記態様であると、成型性により優れる。
上記多官能化した化合物としては、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、又は、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)ベンジル]フェニル}−2−メチルプロパン−1−オンのいずれか1種の開始剤を2以上連結基により結合し多官能化した構造を有する化合物であればよい。
中でも、上記多官能化した化合物としては、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、及び、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)ベンジル]フェニル}−2−メチルプロパン−1−オンよりなる群から選ばれた1種の開始剤から水素原子を1つの除いた構造を2以上有する化合物であることが好ましく、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オンから水素原子を1つの除いた構造を2以上有する化合物であることがより好ましい。
上記インク組成物は、光重合開始剤として、特定光重合開始剤以外の光重合開始剤を含んでいてもよいが、黄色着色の抑制の観点から、特定光重合開始剤以外の光重合開始剤を含有しないか、又は、含有しても1質量%以下であることが好ましく、特定光重合開始剤以外の光重合開始剤を含有しないことがより好ましい。
−(メタ)アクリレート化合物−
上記インク組成物は、重合性化合物として、(メタ)アクリレート化合物を少なくとも含有し、上記インク組成物中における全(メタ)アクリレート化合物100質量部に対する単官能(メタ)アクリレート化合物の含有量が、50〜95質量部である。
すなわち、上記インク組成物は、単官能(メタ)アクリレート化合物、及び、多官能(メタ)アクリレート化合物を含有する。
上記インク組成物中における全(メタ)アクリレート化合物100質量部に対する単官能(メタ)アクリレート化合物の含有量が、50〜95質量部であり、60〜95質量部であることが好ましく、70〜90質量部であることがより好ましく、75〜85質量部であることが特に好ましい。上記範囲であると、成型性により優れ、得られる3次元造形物を手で触った場合の指紋跡残りがより小さくなり、また、体積収縮をより小さくすることができる。
また、上記(メタ)アクリレート化合物は、アクリレート化合物であっても、メタクリレート化合物であってもよいが、粘度、成型性、及び、重合速度の観点から、アクリレート化合物であることが好ましい。
上記インク組成物中における重合性化合物の含有量は、60〜95質量%であることが好ましく、70〜95質量%であることがより好ましく、80〜90質量部であることが特に好ましい。上記範囲であると、成型性により優れ、得られる3次元造形物を手で触った場合の指紋跡残りがより小さくなり、また、体積収縮をより小さくすることができる。
単官能(メタ)アクリレート化合物は、下記ホモポリマーのガラス転移温度が25℃以上120℃以下の(メタ)アクリレートモノマーA、及び、下記ホモポリマーのガラス転移温度が−60℃以上25℃未満の(メタ)アクリレートモノマーBを含むことが好ましく、下記ホモポリマーのガラス転移温度が25℃以上120℃以下の(メタ)アクリレートモノマーA、及び、下記ホモポリマーのガラス転移温度が−60℃以上25℃未満の(メタ)アクリレートモノマーBであることがより好ましい。
なお、本発明において、モノマーのホモポリマー(単独重合体)のガラス転移温度(Tg)は、動的粘弾性測定器(DMA)によって測定される。なお、ホモポリマーのガラス転移温度は、重合度に左右される場合があるが、重量平均分子量10,000以上のホモポリマーを作製して測定すれば、重合度による影響は無視できる。本発明では、重合度による影響が無視できるまで重合させた試料を用いて測定した値を、ガラス転移温度(Tg)とした。
<<ホモポリマーのガラス転移温度が25℃以上120℃以下の(メタ)アクリレートモノマーA>>
上記インク組成物は、ホモポリマーのガラス転移温度が25℃以上120℃以下の(メタ)アクリレートモノマーAを含有することが好ましい。
(メタ)アクリレートモノマーAは、アクリレート化合物であっても、メタクリレート化合物であってもよいが、アクリレート化合物であることが好ましい。
(メタ)アクリレートモノマーAのホモポリマーのガラス転移温度は、25℃以上120℃以下であり、30℃以上100℃以下であることが好ましく、60℃以上100℃以下であることがより好ましい。上記態様であると、得られる3次元造形物の柔らかさ及び引っ張り強度により優れ、また、サポート材除去時の故障発生を抑制できる。
また、(メタ)アクリレートモノマーAは、単官能アクリレートモノマーであっても、多官能アクリレートモノマーであってもよいが、単官能アクリレートモノマーであることが好ましい。
更に、(メタ)アクリレートモノマーAは、炭化水素環構造を有するアクリレートモノマーであることが好ましい。
(メタ)アクリレートモノマーAとして、具体的には、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、t−ブチルアクリレート、t−ブチルメタクリレート、t−ブチルシクロヘキシルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、フェニルアクリレート、フェニルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、フェネチルアクリレート、フェネチルメタクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−メタクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−メタクリロイロキシエチルフタル酸、3,3,5−トリメチルシクロヘキシルアクリレート、3,3,5−トリメチルシクロヘキシルメタクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレートが挙げられる。
これらの中でも、(メタ)アクリレートモノマーAとしては、イソボルニルアクリレート、t−ブチルシクロヘキシルアクリレート、3,3,5−トリメチルシクロヘキシルアクリレート、及び、ジシクロペンタニルアクリレートよりなる群から選ばれたモノマーを含むことが好ましく、イソボルニルアクリレート及び/又はt−ブチルシクロヘキシルアクリレートを含むことがより好ましい。上記態様であると、得られる3次元造形物の引っ張り強度により優れ、また、サポート材除去時の故障発生を抑制できる。
(メタ)アクリレートモノマーAは、1種単独で含有しても、2種以上を含有してもよい。
上記インク組成物の全質量に対する(メタ)アクリレートモノマーAの含有量は、10〜80質量%であることが好ましく、20〜75質量%であることがより好ましく、30〜70質量%であることが更に好ましく、40〜60質量%であることが特に好ましい。上記範囲であると、得られる3次元造形物の柔らかさ及び引っ張り強度により優れ、また、サポート材除去時の故障発生を抑制できる。
<<ホモポリマーのガラス転移温度が−60℃以上25℃未満の(メタ)アクリレートモノマーB>>
上記インク組成物は、ホモポリマーのガラス転移温度が−60℃以上25℃未満の(メタ)アクリレートモノマーBを含有することが好ましい。
(メタ)アクリレートモノマーBは、アクリレート化合物であっても、メタクリレート化合物であってもよいが、アクリレート化合物であることが好ましい。
(メタ)アクリレートモノマーBのホモポリマーのガラス転移温度は、−60℃以上25℃未満であり、−30℃以上10℃以下であることが好ましく、−10℃以上10℃以下であることがより好ましい。上記態様であると、得られる3次元造形物の柔らかさ及び引っ張り強度により優れ、また、成型性に優れる。
また、(メタ)アクリレートモノマーBは、単官能アクリレートモノマーであっても、多官能アクリレートモノマーであってもよいが、単官能アクリレートモノマーであることが好ましい。
更に、(メタ)アクリレートモノマーBは、エーテル結合及び/又は炭素数8以上のアルキル基を有するアクリレートモノマーであることが好ましい。
(メタ)アクリレートモノマーBとしては、長鎖アルキル(炭素数8以上)アクリレート化合物、ポリエチレンオキサイド又はポリプロピレンオキサイド鎖を有するアクリレート化合物、及び、フェノキシエチルアクリレート化合物が好ましく挙げられる。
長鎖アルキルアクリレート化合物としては、例えば、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、n−ノニルアクリレート、n−デシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、n−ラウリルアクリレート、n−トリデシルアクリレート、n−セチルアクリレート、n−ステアリルアクリレート、イソミリスチルアクリレート、イソステアリルアクリレート等が挙げられる。
ポリエチレンオキサイド又はポリプロピレンオキサイド鎖を有するアクリレート化合物としては、例えば、(ポリ)エチレングリコールモノアクリレート、(ポリ)エチレングリコールアクリレートメチルエステル、(ポリ)エチレングリコールアクリレートエチルエステル、(ポリ)エチレングリコールアクリレートフェニルエステル、(ポリ)プロピレングリコールモノアクリレート、(ポリ)プロピレングリコールモノアクリレートフェニルエステル、(ポリ)プロピレングリコールアクリレートメチルエステル、(ポリ)プロピレングリコールアクリレートエチルエステル、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、メトキシジプロピレングリコールアクリレート、エトキシジエチレングリコールアクリレート(エトキシエトキシエチルアクリレート)、メトキシポリエチレングリコールアクリレート等が挙げられる。
フェノキシエチルアクリレート化合物としては、例えば、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシジエチレングリコールアクリレート、フェノキシポリエチレングリコールアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、ノニルフェノールエチレンオキサイド付加物アクリレート等が挙げられる。
また、(メタ)アクリレートモノマーBとしては、テトラヒドロフルフリルアクリレートや、アクリル酸2−(N−ブチルカルバモイルオキシ)エチル(1,2−エタンジオール 1−アクリラート 2−(N−ブチルカルバマート))も好ましく挙げられる。
これらの中でも、(メタ)アクリレートモノマーBとしては、フェノキシエチルアクリレート、n−ステアリルアクリレート、イソデシルアクリレート、エトキシエトキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、n−ラウリルアクリレート、n−オクチルアクリレート、n−デシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、n−トリデシルアクリレート、及び、アクリル酸2−(N−ブチルカルバモイルオキシ)エチルよりなる群から選ばれたモノマーを含むことが好ましく、フェノキシエチルアクリレート及び/又はn−ステアリルアクリレートを含むことがより好ましい。上記態様であると、得られる3次元造形物の柔らかさ及び引っ張り強度により優れ、また、成型性に優れる。
(メタ)アクリレートモノマーBは、1種単独で含有しても、2種以上を含有してもよい。
上記インク組成物の全質量に対する(メタ)アクリレートモノマーBの含有量は、1〜70質量%であることが好ましく、5〜50質量%であることがより好ましく、10〜40質量%であることが更に好ましく、14〜30質量%であることが特に好ましい。上記範囲であると、得られる3次元造形物の柔らかさ及び引っ張り強度により優れ、また、成型性に優れる。
<<重量平均分子量が2,000以上20,000以下の2官能(メタ)アクリレートオリゴマーC>>
上記インク組成物は、多官能(メタ)アクリレート化合物として、多官能(メタ)アクリレートオリゴマーを含有することが好ましく、重量平均分子量が2,000以上20,000以下の2官能(メタ)アクリレートオリゴマーCを含有することがより好ましい。
(メタ)アクリレートオリゴマーCは、アクリロイルオキシ基を有していても、メタクリロイルオキシ基を有していてもよいが、アクリロイルオキシ基を有していることが好ましい。
(メタ)アクリレートオリゴマーCは、アクリロイルオキシ基及び/又はメタクリロイルオキシ基を合計2つ有するオリゴマーである。
(メタ)アクリレートオリゴマーCの重量平均分子量(Mw)は、2,000以上20,000以下であり、5,000以上20,000以下であることが好ましく、10,000以上20,000以下であることがより好ましい。上記態様であると、得られる3次元造形物の柔らかさ及び引っ張り強度により優れる。
本発明における(メタ)アクリレートオリゴマー等の樹脂の重量平均分子量の測定方法としては、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)分析を実施し、測定する。
より詳細には、GPCの測定条件としては、東ソー(株)製HLC−8220 GPCを使用し、カラムとしてTSK gel SuperAWM−Hを3本連結して使用し、N−メチルピロリドン(10mM LiBr)を溶媒とし、流速0.5mL/minにて測定する。また、試料の濃度は0.1質量%とし、注入量は60μL、測定温度は40℃とする。検出器には、RI検出装置(示差屈折計)を使用する。
(メタ)アクリレートオリゴマーCの25℃におけるヤング率は、1〜100MPaであることが好ましく、2〜80MPaであることがより好ましく、3〜50MPaであることが更に好ましく、10〜30MPaであることが特に好ましい。上記範囲であると、得られる3次元造形物の柔らかさ及び引っ張り強度により優れる。
本発明における(メタ)アクリレートオリゴマーCの25℃におけるヤング率とは、(メタ)アクリレートオリゴマーCの単独重合体(モノポリマー)の25℃におけるヤング率である。
本発明における25℃におけるヤング率の測定方法は、以下の方法にて行う。
Irgacure819(BASF社製)2質量%、Irgacure184(BASF社製)2質量%、及び、測定するオリゴマー96質量%を混合した液体をバーコーターにて100μmの塗布膜を形成し、紫外線(UV)露光機にて硬化させる。この時、硬化膜の重合度の影響が無視できる程度まで硬化をさせた。この硬化膜を15mm×50mmの短冊状に切り出し、引っ張り試験機(オートグラフAGS−X 5KN、(株)島津製作所製)にてヤング率を測定する。また、ヤング率の値は、1%の伸びの部分で測定する。また、試験では、長軸方向に引っ張り、上下約10mm部分をクランプで掴んだ。
(メタ)アクリレートオリゴマーCとしては、例えば、アクリロイルオキシ基及び/又はメタクリロイルオキシ基を計2つ有するMw2,000以上20,000以下のオリゴマーであれば、特に制限はなく、例えば、オレフィン系(エチレンオリゴマー、プロピレンオリゴマーブテンオリゴマー等)、ビニル系(スチレンオリゴマー、ビニルアルコールオリゴマー、ビニルピロリドンオリゴマー、アクリル樹脂オリゴマー等)、ジエン系(ブタジエンオリゴマー、クロロプレンゴム、ペンタジエンオリゴマー等)、開環重合系(ジ−,トリ−,テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリエチルイミン等)、重付加系(オリゴエステル(メタ)アクリレート、ポリアミドオリゴマー、ポリイソシアネートオリゴマー)、付加縮合オリゴマー(フェノール樹脂、アミノ樹脂、キシレン樹脂、ケトン樹脂等)等を挙げることができる。
これらの中でも、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマー、又は、エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーが好ましく、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーがより好ましい。
ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマー、及び、エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、オリゴマーハンドブック(古川淳二監修、(株)化学工業日報社)を参照することができる。
また、(メタ)アクリレートオリゴマーCとしては、新中村化学工業(株)、サートマー社、ダイセル・サイテック(株)、Rahn A.G.社等により市販されているもので上記条件に該当するものを用いることができる。
(メタ)アクリレートオリゴマーCは、1種単独で含有しても、2種以上を含有してもよい。
上記インク組成物の全質量に対する(メタ)アクリレートオリゴマーCの含有量は、1〜30質量%であることが好ましく、5〜25質量%であることがより好ましく、10〜20質量%であることが更に好ましく、12〜18質量%であることが特に好ましい。上記範囲であると、得られる3次元造形物の柔らかさ及び引っ張り強度により優れる。
上記インク組成物における多官能(メタ)アクリレート化合物のうち、(メタ)アクリレートオリゴマーCの占める割合は、多官能(メタ)アクリレート化合物の全質量に対し、50質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることが更に好ましく、95質量%以上であることが特に好ましい。上記範囲であると、得られる3次元造形物の柔らかさ及び引っ張り強度により優れる。
また、上記インク組成物は、(メタ)アクリレートモノマーA、(メタ)アクリレートモノマーB及び(メタ)アクリレートオリゴマーC以外のその他の重合性化合物を含有していてもよい。
その他の重合性化合物としては、N−ビニル化合物、ビニルエーテル化合物、(メタ)アクリレートモノマーA及び(メタ)アクリレートモノマーBに該当しない単官能アクリレート化合物、分子量又はMw2,000未満の2官能以上の(メタ)アクリレート化合物等が挙げられる。
なお、(メタ)アクリレートモノマーA、(メタ)アクリレートモノマーB及び(メタ)アクリレートオリゴマーC以外のモノマーを含有する場合、インク組成物の全質量に対する含有量は、(メタ)アクリレートモノマーAの含有量よりも少ないことが好ましく、(メタ)アクリレートモノマーAの含有量、(メタ)アクリレートモノマーBの及び(メタ)アクリレートオリゴマーCの質量含有率のいずれよりも少ないことがより好ましい。
−着色剤−
上記インク組成物は、白色以外の着色剤を実質的に含有しないことが好ましい。本発明の3次元造形物の形成方法は、得られる3次元造形物の黄色着色が小さく、また、得られる3次元造形物を手で触った場合の指紋跡残りが小さいことから、特に上記黄色着色及び上記指紋跡残りが顕著に表れる、白色以外の着色剤を実質的に含有しない上記インク組成物を用いる場合において、本発明の効果を特に発揮できる。
上記インク組成物は、白色の着色剤を含有するか、又は、着色剤を実質的に含有しないことが好ましく、白色無機顔料を含有するか、又は、着色剤を実質的に含有しないことがより好ましい。
白色の着色剤を含有する場合、上記インク組成物は、白色インク組成物であり、また、着色剤を実質的に含有しない場合、上記インク組成物は、クリア(透明)インク組成物である。
ここで用いることのできる白色の着色剤には、特に制限はなく、用途に応じて公知の種々の白色の着色剤を適宜選択して用いることができる。中でも、白色の着色剤としては特に耐光性に優れるとの観点から無機顔料であることが好ましい。
本発明に好ましく使用される白色の無機顔料について述べる。
白色の無機顔料としては、市販の顔料分散体や表面処理された顔料、例えば、顔料を分散媒として不溶性の樹脂等に分散させたもの、あるいは顔料表面に樹脂をグラフト化したもの等も、本発明の効果を損なわない限りにおいて用いることができる。
これらの無機顔料としては、例えば、伊藤征司郎編「顔料の辞典」(2000年刊)、W.Herbst,K.Hunger「Industrial Organic Pigments」、特開2002−12607号公報、特開2002−188025号公報、特開2003−26978号公報、特開2003−342503号公報に記載の白色の無機顔料が挙げられる。
白色の無機顔料の具体例としては、塩基性炭酸鉛(2PbCO3Pb(OH)2、いわゆる、シルバーホワイト)、酸化亜鉛(ZnO、いわゆる、ジンクホワイト)、酸化チタン(TiO2、いわゆる、チタンホワイト)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3、いわゆる、チタンストロンチウムホワイト)などが利用可能である。
ここで、酸化チタンは他の白色顔料と比べて比重が小さく、屈折率が大きく化学的、物理的にも安定であるため、顔料としての隠蔽力や着色力が大きく、更に、酸やアルカリ、その他の環境に対する耐久性にも優れている。したがって、白色顔料としては酸化チタンを利用することが好ましい。もちろん、必要に応じて他の白色顔料(列挙した白色顔料以外であってもよい。)を使用してもよい。
白色の無機顔料の分散には、例えばボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、ジェットミル、ホモジナイザー、ペイントシェーカー、ニーダー、アジテータ、ヘンシェルミキサ、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿式ジェットミル等の分散装置を用いることができる。
白色の無機顔料の分散を行う際には、界面活性剤等の分散剤を添加することができる。
また、無機顔料を添加するにあたっては、必要に応じて、分散助剤として、各種無機顔料に応じたシナージストを用いることも可能である。分散助剤は、無機顔料100質量部に対し、1〜50質量部添加することが好ましい。
白色の無機顔料は、インク組成物の調製に際して、各成分と共に直接添加してもよい。また、分散性向上のため、あらかじめ溶剤又はモノマーのような分散媒体に添加し、均一分散あるいは溶解させた後、配合することもできる。
白色の無機顔料などの諸成分の分散媒としては、溶剤を添加してもよく、また、無溶剤で、低分子量成分である上記重合性化合物を分散媒として用いてもよいが、インク組成物を活性光線の照射により硬化させるため、無溶剤であることが好ましい。これは、硬化されたインク組成物から形成された硬化インク層中に、溶剤が残留すると、耐溶剤性が劣化したり、残留する溶剤のVOC(Volatile Organic Compound)の問題が生じるためである。このような観点から、分散媒としては、モノマーを用い、中でも、最も粘度が低いモノマーを選択することが分散適性やインク組成物のハンドリング性向上の観点から好ましい。
ここで用いる白色の無機顔料の平均粒径は、微細なほど発色性に優れるため、0.01〜0.4μmであることが好ましく、0.02〜0.2μmであることがより好ましい。最大粒径は好ましくは3μm以下、より好ましくは1μm以下となるよう、着色剤、分散剤、分散媒の選定、分散条件、ろ過条件を設定する。この粒径管理によって、ヘッドノズルの詰まりを抑制し、インク組成物の保存安定性、透明性及び硬化感度を維持することができる。本発明においては分散性、安定性に優れた上記分散剤を用いることにより、粒子状の着色剤を用いた場合でも、均一で安定な分散物が得られる。
白色の無機顔料の粒径は、公知の測定方法で測定することができる。具体的には、遠心沈降光透過法、X線透過法、レーザー回折・散乱法、動的光散乱法により測定することができる。本発明においては、レーザー回折・散乱法を用いた測定により得られた値を採用する。
上記インク組成物が白色の着色剤を含有する場合、インク組成物の全質量に対する白色の着色剤の含有量は、使用目的により適宜選択されるが、着色性及び保存安定性の観点から、0.1〜15質量%であることが好ましく、0.5〜10質量%であることがより好ましく、1〜5質量%であることが特に好ましい。上記範囲であると、成型性により優れ、また、得られる3次元造形物における隠蔽性により優れる。
−分散剤−
上記インク組成物は、分散剤を含有してもよい。特に白色の無機顔料を使用する場合において、白色の無機顔料をインク組成物中に安定に分散させるため、分散剤を含有することが好ましい。分散剤としては、高分子分散剤が好ましい。なお、本発明における「高分子分散剤」とは、重量平均分子量が1,000以上の分散剤を意味する。
高分子分散剤としては、DISPERBYK−101、DISPERBYK−102、DISPERBYK−103、DISPERBYK−106、DISPERBYK−111、DISPERBYK−161、DISPERBYK−162、DISPERBYK−163、DISPERBYK−164、DISPERBYK−166、DISPERBYK−167、DISPERBYK−168、DISPERBYK−170、DISPERBYK−171、DISPERBYK−174、DISPERBYK−182(BYKケミー社製);EFKA4010、EFKA4046、EFKA4080、EFKA5010、EFKA5207、EFKA5244、EFKA6745、EFKA6750、EFKA7414、EFKA745、EFKA7462、EFKA7500、EFKA7570、EFKA7575、EFKA7580(エフカアディティブ社製);ディスパースエイド6、ディスパースエイド8、ディスパースエイド15、ディスパースエイド9100(サンノプコ(株)製);ソルスパース(SOLSPERSE)3000、5000、9000、12000、13240、13940、17000、22000、24000、26000、28000、32000、36000、39000、41000、71000などの各種ソルスパース分散剤(Noveon社製);アデカプルロニックL31、F38、L42、L44、L61、L64、F68、L72、P95、F77、P84、F87、P94、L101、P103、F108、L121、P−123((株)ADEKA製)、イオネットS−20(三洋化成工業(株)製);ディスパロン KS−860、873SN、874(高分子分散剤)、#2150(脂肪族多価カルボン酸)、#7004(ポリエーテルエステル型)(楠本化成(株)製)が挙げられる。
インク組成物の全質量に対する分散剤の含有量は、使用目的により適宜選択されるが、0.01〜15質量%であることが好ましく、0.05〜5質量%であることがより好ましい。
−アクリル樹脂−
上記インク組成物は、アクリル樹脂を含有することが好ましい。上記態様であると、得られる3次元造形物を手で触った場合の指紋跡残りがより小さくなる。
アクリル樹脂としては、(メタ)アクリレート化合物の単独重合体又は共重合体であることが好ましい。
また、アクリル樹脂としては、ガラス転移温度が50℃〜120℃、かつ重量平均分子量が5,000〜200,000のアクリル樹脂であることが好ましい。
更に、アクリル樹脂としては、メチルメタクリレート単独重合体及び/又は共重合体を含有することが好ましく、不活性なメチルメタクリレート単独重合体及び/又は共重合体を含有することがより好ましい。
本発明における「不活性なメチルメタクリレート単独重合体及び/又は共重合体」とは、メチルメタクリレート単独重合体及び/又は共重合体が、更に連鎖重合反応可能な重合性の官能基をもたない、並びに、更に逐次架橋反応可能な架橋性及び/又は被架橋性の官能基をもたない重合体であることを意味する。すなわち、重合反応及び架橋反応を実質的に生じない状態のメチルメタクリレート単独重合体及び/又は共重合体を指す。
不活性なメチルメタクリレート単独重合体としては、特に制約はなく、例えばメチルメタクリレートを公知の重合方法により単独重合体としたもの、又は市販の単独重合体製品として入手できるものが好ましく挙げられる。
また、不活性なメチルメタクリレート共重合体としては、特に制約はなく、例えばメチルメタクリレートとその他の重合性化合物とを公知の重合方法により共重合体としたもの、又は市販の共重合体製品として入手できるものが好ましく挙げられる。共重合体は、ランダム共重合体、ブロック共重合体又はグラフト共重合体のいずれでもよい。共重合に使用するその他の重合性化合物としては、(メタ)アクリレート化合物が好ましく挙げられる。より好ましくは、メタクリレート化合物である。
アクリル樹脂は、1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
アクリル樹脂の含有量は、インク組成物の全質量に対し、0.3〜5質量%であることが好ましく、0.5〜4質量%であることがより好ましく、1〜3質量%であることが特に好ましい。上記範囲内であると、成型性により優れ、また、得られる3次元造形物を手で触った場合の指紋跡残りがより小さくなる。
上記アクリル樹脂の重量平均分子量は、5,000〜200,000であることが好ましく、8,000〜150,000であることがより好ましく、10,000〜100,000であることが更に好ましく、10,000〜60,000であることが特に好ましく、20,000〜50,000であることが最も好ましい。アクリル樹脂の重量平均分子量が上記範囲内であると、成型性により優れ、また、得られる3次元造形物を手で触った場合の指紋跡残りがより小さくなる。
上記アクリル樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)測定法により測定されるポリスチレン換算重量平均分子量である。GPC測定装置の具体例としては、例えば、(株)島津製作所製HPLC LC−10AD等が挙げられる。また、このGPC測定には、カラムとして例えば、昭和電工(株)製のShodex GPC−KF−804が用いられ、溶離液として例えば、テトラヒドロフラン(THF)が使用され、重量平均分子量は標準ポリスチレンの分子量との比較により算出される。
上記アクリル樹脂のガラス転移温度(Tg)は、50℃〜120℃であることが好ましく、60℃〜110℃であることがより好ましい。上記範囲であると、成型性により優れ、また、得られる3次元造形物を手で触った場合の指紋跡残りがより小さくなる。
本発明において、樹脂のガラス転移温度は、示差走査熱量測定(DSC測定)により測定する。具体的には、測定パンにサンプルを10mg入れ、窒素気流中で10℃/分で−50℃から180℃まで昇温した後(1st−run)、−50℃まで10℃/分で降温させ、この後再び−50℃から10℃/分で180℃まで昇温(2nd−run)し、2nd−runでベースラインが低温側から変位し始める温度をもってガラス転移温度(Tg)とする。
上記アクリル樹脂は、メチルメタクリレートとその他の重合性化合物との共重合体が好ましく用いられる。その他の重合性化合物としては、重合後の共重合体が不活性であれば特に制約はないが、メチルメタクリレート以外の(メタ)アクリレート化合物がより好ましく、メチルメタクリレート以外のメタクリレート化合物が更に好ましい。
メチルメタクリレート以外のその他の共重合モノマーとしては、好ましい例として、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、t−ペンチル(メタ)アクリレート、ネオペンチル(メタ)アクリレート、1−ナフチル(メタ)アクリレート、2−ナフチル(メタ)アクリレート、2−α−ナフトキシエチル(メタ)アクリレート、2−β−ナフトキシエチル(メタ)アクリレート、2−アントリル(メタ)アクリレート、9−アントリル(メタ)アクリレート、1−フェナントリル(メタ)アクリレート、2−フェナントリル(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性クレゾール(メタ)アクリレート、p−ノニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、p−ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、p−クミルフェノキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−フリル(メタ)アクリレート、2−フルフリル(メタ)アクリレート、2−チエニル(メタ)アクリレート、2−テニル(メタ)アクリレート、1−ピロリル(メタ)アクリレート、2−ピリジル(メタ)アクリレート、2−キノリル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘプチル(メタ)アクリレート、シクロオクチル(メタ)アクリレート、シクロデシル(メタ)アクリレート、ジシクロデシル(メタ)アクリレート、3,3,5−トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、4−t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルフォリン、N−フタルイミドエチル(メタ)アクリレート、ペンタメチルピペリジル(メタ)アクリレート、テトラメチルピペリジル(メタ)アクリレート、5−(メタ)アクリロイルオキシメチル−5−エチル−1,3−ジオキサシクロヘキサン、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、カルビトール(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート、オリゴエステル(メタ)アクリレート等が挙げられる。中でも、n−ブチル(メタ)アクリレートが好ましく、n−ブチルメタクリレートが特に好ましい。
上記アクリル樹脂における、メチルメタクリレート由来のモノマー単位の割合は、質量比で共重合体全体に対し、10.0〜90.0質量%であることが好ましく、30.0〜85.0質量%であることがより好ましい。上記範囲内であると、成型性により優れ、また、得られる3次元造形物を手で触った場合の指紋跡残りがより小さくなる。
上記不活性なメチルメタクリレート単独重合体及び/又は共重合体のうち、単独重合体は種々の分子量の単独重合体を選択して用いるのが容易である便宜性の点で好ましく、また、共重合体はその他の(メタ)アクリレートモノマーの種類を選択することにより溶解性又は相溶性のような共重合体の物性を変化させることが可能となる点で好ましい。
上記アクリル樹脂は、当該分野の公知の方法で入手できる。該当する(メタ)アクリレート化合物から重合反応により合成をしてもよいし、市販製品から入手してもよい。
アクリル樹脂、特に不活性なメチルメタクリレート共重合体の市販製品としては、例えば、Aldrich社製のポリメチルメタクリレート(分子量10,000、カタログ番号81497;分子量20,000、カタログ番号81498;分子量50,000、カタログ番号81501)、メチルメタクリレート/n−ブチルメタクリレート共重合体(質量比85/15、分子量75,000;カタログ番号474029)等;Lucite Intenational社製のELVACITE2013(メチルメタクリレート/n−ブチルメタクリレート共重合体、質量比36/64、分子量37,000)、2021、2614、4025、4026、4028等;Rohm and Haas社製のParaloid DM55、B66等;三菱レイヨン(株)製のダイヤナールBR−113、115等が挙げられる。
−界面活性剤−
上記インク組成物は、長時間安定した吐出性を付与するため、界面活性剤を含有することが好ましい。
界面活性剤としては、特開昭62−173463号、同62−183457号の各公報に記載されたものが挙げられる。例えば、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、脂肪酸塩類等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、アセチレングリコール類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等のノニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩類、第四級アンモニウム塩類等のカチオン性界面活性剤が挙げられる。また、上記界面活性剤としてフッ素系界面活性剤(例えば、有機フルオロ化合物等)やシリコーン系界面活性剤(例えば、ポリシロキサン化合物等)を用いてもよい。上記有機フルオロ化合物は、疎水性であることが好ましい。上記有機フルオロ化合物としては、例えば、フッ素系界面活性剤、オイル状フッ素系化合物(例、フッ素油)及び固体状フッ素化合物樹脂(例、四フッ化エチレン樹脂)が含まれ、特公昭57−9053号(第8〜17欄)、特開昭62−135826号の各公報に記載されたものが挙げられる。
上記ポリシロキサン化合物としては、ジメチルポリシロキサンのメチル基の一部に有機基を導入した変性ポリシロキサン化合物であることが好ましい。変性の例として、ポリエーテル変性、メチルスチレン変性、アルコール変性、アルキル変性、アラルキル変性、脂肪酸エステル変性、エポキシ変性、アミン変性、アミノ変性、メルカプト変性などが挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。これらの変性の方法は組み合わせて用いられてもかまわない。また、中でもポリエーテル変性ポリシロキサン化合物がインクジェットにおける吐出安定性改良の観点で好ましい。
ポリエーテル変性ポリシロキサン化合物の例としては、例えば、SILWET L−7604、SILWET L−7607N、SILWET FZ−2104、SILWET FZ−2161(日本ユニカー(株)製)、BYK306、BYK307、BYK331、BYK333、BYK347、BYK348等(BYK Chemie社製)、KF−351A、KF−352A、KF−353、KF−354L、KF−355A、KF−615A、KF−945、KF−640、KF−642、KF−643、KF−6020、X−22−6191、X−22−4515、KF−6011、KF−6012、KF−6015、KF−6017(信越化学工業(株)製)が挙げられる。
これらの中でも、界面活性剤としてはシリコーン系界面活性剤が好ましく挙げられ、ポリシロキサン系界面活性剤がより好ましく挙げられ、ポリジメチルシロキサン系界面活性剤が更に好ましく挙げられる。
本発明のインク組成物中における界面活性剤の含有量は使用目的により適宜選択されるが、インク組成物の全体の質量に対し、0.0001〜3質量%であることが好ましい。
−増感剤−
上記インク組成物は、光重合開始剤として、特定の活性光線を吸収して重合開始剤の分解を促進させるため、増感剤として機能する化合物(以下、単に「増感剤」ともいう。)を含有してもよいが、黄色着色抑制の観点から、含有しないことが好ましい。
増感剤としては、例えば、多核芳香族類(例えば、ピレン、ペリレン、トリフェニレン、2−エチル−9,10−ジメトキシアントラセン等)、キサンテン類(例えば、フルオレッセイン、エオシン、エリスロシン、ローダミンB、ローズベンガル等)、シアニン類(例えば、チアカルボシアニン、オキサカルボシアニン等)、メロシアニン類(例えば、メロシアニン、カルボメロシアニン等)、チアジン類(例えば、チオニン、メチレンブルー、トルイジンブルー等)、アクリジン類(例えば、アクリジンオレンジ、クロロフラビン、アクリフラビン等)、アントラキノン類(例えば、アントラキノン等)、スクアリウム類(例えば、スクアリウム等)、クマリン類(例えば、7−ジエチルアミノ−4−メチルクマリン等)、チオキサントン類(例えば、イソプロピルチオキサントン等)、チオク また、増感剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
インク組成物の全質量に対する増感剤の含有量は、0.1〜5質量%であることが好ましく、0.5〜3質量%であることがより好ましい。
−その他の成分−
上記インク組成物は、必要に応じて、上記各成分以外に、その他の成分を含有していてもよい。
その他の成分としては、例えば、重合禁止剤、特定光重合開始剤以外の光重合開始剤、共増感剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、褪色防止剤、導電性塩類、溶剤、高分子化合物、塩基性化合物、レベリング添加剤、マット剤、膜物性を調整するためのポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ビニル系樹脂、ゴム系樹脂、ワックス類等が挙げられる。これらは、特開2009−185186号公報に記載されており、本発明においても使用できる。
上記インク組成物は、保存性を高める観点から、重合禁止剤を含有することが好ましい。
加熱工程において、上記インク組成物は、40℃〜80℃の範囲で加熱され、低粘度化して吐出工程において吐出されるため、熱重合によるヘッド詰まりを防ぐために、重合禁止剤を添加することが好ましい。
重合禁止剤としては、ニトロソ系重合禁止剤、ハイドロキノン、メトキシヒドロキノン、ベンゾキノン、p−メトキシフェノール、TEMPO、TEMPOL(HO−TEMPO)、クペロンAl、ヒンダードアミン等が挙げられる。
本発明に好ましく使用されるニトロソ系重合禁止剤の具体例を以下に示すが、これらに限定されるものではない。
Figure 0006493875
ニトロソ系重合禁止剤の市販品として、FIRSTCURE ST−1(Chem First社製)、等が挙げられる。
ヒンダードアミン系重合禁止剤の市販品としてTINUVIN292、TINUVIN770DF、TINUVIN765、TINUVIN123が挙げられる。
中でも、重合禁止剤としては、クペロンAl(トリス(N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシルアミン)アルミニウム塩、FIRSTCURE ST−1)、メトキシヒドロキノン、及び、HO−TEMPO(4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジニルオキシ)よりなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物が好ましい。
重合禁止剤は、1種単独で含有しても、2種以上を含有してもよい。
上記インク組成物の全質量に対する重合禁止剤の含有量は、0.001〜1.5質量%が好ましく、0.01〜1.0質量%がより好ましく、0.05〜0.8質量%が更に好ましい。上記範囲であると、インク組成物の調製時、保管時の重合を抑制でき、インクジェットノズルの詰まりを防止できる。
−インク組成物の物性−
上記インク組成物の25℃における粘度は、20〜150mPa・sであることが好ましく、40〜100mPa・sであることがより好ましい。上記範囲であると、吐出性及び成型性に優れる。
なお、本発明におけるインク組成物等の粘度は、液温25℃に保持し、デジタル粘度計(DV-I Prime、ブルックフィールド社製)で測定した粘度である。
また、上記インク組成物の25℃における表面張力は、20〜40mN/mであることが好ましく、20〜30mN/mであることがより好ましい。上記範囲であると、吐出性及び成型性に優れる。
なお、本発明におけるインク組成物等の表面張力は、液温25℃に保持し、表面張力計(表面張力計CBVP−Z、協和界面科学(株)製)を用いて測定した値である。
<サポート材用インク組成物>
本発明に用いることができるサポート材用インク組成物は、特に制限はなく、公知のサポート材用インク組成物を用いることができる。
上記サポート材用インク組成物としては、単官能アクリルアミド化合物及び/又は1つ以上のヒドロキシ基を有する単官能アクリレート化合物と、ポリエチレングリコール及び/又はポリプロピレングリコールと、光重合開始剤とを含有し、上記サポート材用インク組成物の全質量に対する2官能以上のアクリレート化合物の含有量が、5質量%以下であることが好ましい。
上記サポート材用インク組成物は、モノマーと光重合開始剤とを含有する活性光線硬化型のインクジェットインク組成物であることが好ましい。
上記サポート材用インク組成物は、3D印刷において、モデル材用インク組成物を吐出した位置の周囲に必要に応じて吐出されることにより、インク層を支持するサポート材として好適に用いられる。
本発明に用いることができるサポート材用インク組成物は、硬化して得られたサポート材が容易に除去できるものであることが好ましく、硬化して得られたサポート材が、水溶性の硬化物であるか、及び/又は、硬化したモデル材よりも硬度が小さく、かつ破砕可能な硬化物であることがより好ましい。
また、サポート材用インク組成物とモデル材用インク組成物とは、互いに相溶しない組成物であることが好ましい。上記態様であると、成型性に優れ、また、活性光線の照射によりこれら2種の組成物を同時に硬化することも可能になる。
上記サポート材用インク組成物は、サポート材用インク組成物の全質量に対する2官能以上のアクリレート化合物の含有量が、5質量%以下であることが好ましく、2質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることが更に好ましく、2官能以上のアクリレート化合物を含有しないことが特に好ましい。上記態様であると、得られるサポート材の除去性に優れ、また、得られたサポート材を除去する際における3次元造形物の故障の発生を抑制することができる。
−単官能アクリルアミド化合物及び/又は1つ以上のヒドロキシ基を有する単官能アクリレート化合物−
上記サポート材用インク組成物は、単官能アクリルアミド化合物及び/又は1つ以上のヒドロキシ基を有する単官能アクリレート化合物を含有することが好ましい。上記態様であると、得られるサポート材の除去性に優れ、また、得られたサポート材を除去する際における3次元造形物の故障の発生を抑制することができる。
また、上記サポート材用インク組成物におけるエチレン性不飽和化合物の全質量に対する単官能アクリルアミド化合物及び1つ以上のヒドロキシ基を有する単官能アクリレート化合物の含有量が、50質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることが更に好ましく、95質量%以上であることが特に好ましく、100質量%、すなわち、サポート材用インク組成物におけるエチレン性不飽和化合物として、単官能アクリルアミド化合物及び/又は1つ以上のヒドロキシ基を有する単官能アクリレート化合物のみを含有することが最も好ましい。上記態様であると、得られるサポート材の除去性に優れ、また、得られたサポート材を除去する際における3次元造形物の故障の発生を抑制することができる。
単官能アクリルアミド化合物としては、アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−プロピルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−ヒドロキシプロピルアクリルアミド、N−ヒドロキシブチルアクリルアミド、アクリロイルモルフォリン、メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N−プロピルメタクリルアミド、N−イソプロピルメタクリルアミド、N−ブチルメタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N,N−ジエチルメタクリルアミド、N−ヒドロキシエチルメタクリルアミド、N−ヒドロキシプロピルメタクリルアミド、N−ヒドロキシブチルメタクリルアミド及びメタクリロイルモルフォリン等が例示できる。
これらの中でも、単官能アクリルアミド化合物は、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、アクリロイルモルフォリン及びN,N−ジメチルアクリルアミドよりなる群から選ばれた化合物を含むことが好ましい。
1つ以上のヒドロキシ基を有する単官能アクリレート化合物としては、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、ポリエチレングリコールモノアクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノアクリレート、ポリプロピレングリコールモノアクリレート、メトキシポリプロピレングリコールモノアクリレート、ポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコールブロックポリマーのモノアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート、メトキシポリプロピレングリコールモノメタクリレート、ポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコールブロックポリマーのモノメタクリレート等が例示できる。
これらの中でも、1つ以上のヒドロキシ基を有する単官能アクリレート化合物は、ポリエチレングリコールモノアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート及び2−ヒドロキシプロピルアクリレートよりなる群から選ばれた化合物を含むことが好ましい。
単官能アクリルアミド化合物は、1種単独で含有しても、2種以上を含有してもよく、1つ以上のヒドロキシ基を有する単官能アクリレート化合物は、1種単独で含有しても、2種以上を含有してもよく、単官能アクリルアミド化合物及び1つ以上のヒドロキシ基を有する単官能アクリレート化合物を共に含有していてもよい。
サポート材用インク組成物の全質量に対する単官能アクリルアミド化合物及び1つ以上のヒドロキシ基を有する単官能アクリレート化合物の総含有量は、1〜95質量%であることが好ましく、3〜50質量%であることがより好ましく、5〜30質量%であることが更に好ましい。上記範囲であると、得られたサポート材を除去する際における3次元造形物の故障の発生を抑制することができる。
また、サポート材用インク組成物の全質量に対する単官能アクリルアミド化合物及び1つ以上のヒドロキシ基を有する単官能アクリレート化合物の総含有量は、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールの総含有量よりも少ないことが好ましい。
−ポリエチレングリコール及び/又はポリプロピレングリコール−
上記サポート材用インク組成物は、ポリエチレングリコール及び/又はポリプロピレングリコールを含有することが好ましく、ポリエチレングリコール及び/又はポリプロピレングリコールを2種以上含有することがより好ましく、ポリエチレングリコールを1種以上及びポリプロピレングリコールを1種以上含有することが更に好ましい。上記態様であると、得られるサポート材の除去性に優れ、また、得られたサポート材を除去する際における3次元造形物の故障の発生を抑制することができる。
また、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールの数平均分子量Mnとしては、100〜5,000であることが好ましく、150〜3,000であることがより好ましい。上記態様であると、成型性に優れ、得られたサポート材を除去する際における3次元造形物の故障の発生を抑制することができる。
ポリエチレングリコールは、1種単独で含有しても、2種以上を含有してもよく、ポリプロピレングリコールは、1種単独で含有しても、2種以上を含有してもよく、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールを共に含有していてもよい。
サポート材用インク組成物の全質量に対するポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールの総含有量は、10〜98質量%であることが好ましく、20〜95質量%であることがより好ましく、30〜90質量%であることが更に好ましく、40〜80質量%であることが特に好ましい。上記範囲であると、成型性に優れ、得られたサポート材を除去する際における3次元造形物の故障の発生を抑制することができる。
−サポート材用インク組成物に用いられる光重合開始剤−
上記サポート材用インク組成物は、光重合開始剤を含有することが好ましい。
光重合開始剤としては、光ラジカル重合開始剤であることが好ましい。
光重合開始剤としては、(a)芳香族ケトン類、(b)アシルフォスフィンオキサイド化合物、(c)芳香族オニウム塩化合物、(d)有機過酸化物、(e)チオ化合物、(f)ヘキサアリールビイミダゾール化合物、(g)ケトオキシムエステル化合物、(h)ボレート化合物、(i)アジニウム化合物、(j)メタロセン化合物、(k)活性エステル化合物、(l)炭素ハロゲン結合を有する化合物、及び(m)アルキルアミン化合物等が挙げられる。これらのラジカル重合開始剤は、上記(a)〜(m)の化合物を単独若しくは組み合わせて使用してもよい。上記重合開始剤の詳細については、例えば、特開2009−185186号公報の段落0090〜0116に記載されているものが例示できる。
光重合開始剤は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
サポート材用インク組成物は、光重合開始剤を2種以上含有することが好ましく、3〜5種含有することがより好ましく、3種含有することが更に好ましい。
光重合開始剤としては、アシルフォスフィンオキサイド化合物、α−ヒドロキシケトン化合物及び/又はα−アミノケトン化合物が好ましく挙げられる。中でも、サポート材用インク組成物は、サポート材用インク組成物は、アシルフォスフィンオキサイド化合物及びα−ヒドロキシケトン化合物を含有することが特に好ましい。
アシルフォスフィンオキサイド化合物及びα−ヒドロキシケトン化合物としては、公知のものを用いることができ、例えば、特定光重合開始剤として上述したものが好ましく挙げられる。
α−アミノケトン化合物としては、公知のものを用いることができ、具体的には例えば、2−メチル−1−フェニル−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(ヘキシル)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−エチル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン)、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルフォリニル)フェニル]−1−ブタノン等が好ましく例示できる。
サポート材用インク組成物に用いられる光重合開始剤としては、水溶性の光重合開始剤を含むことが好ましい。
例えば、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オンは、水溶性の光重合開始剤であり、好ましく例示できる。
サポート材用インク組成物の全質量に対する光重合開始剤の含有量は、1〜20質量%であることが好ましく、2〜15質量%であることがより好ましく、5〜10質量%であることが更に好ましい。上記範囲であると、硬化性に優れ、得られたサポート材を除去する際における3次元造形物の故障の発生を抑制することができる。
−その他の成分−
上記サポート材用インク組成物は、必要に応じて、上記各成分以外に、その他の成分を含有していてもよい。
その他の成分としては、例えば、重合禁止剤、共増感剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、褪色防止剤、導電性塩類、溶剤、水、高分子化合物、塩基性化合物、レベリング添加剤、マット剤、膜物性を調整するためのポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、ワックス類等が挙げられる。これらは、特開2009−185186号公報に記載されており、本発明においても使用できる。
また、サポート材用インク組成物は、単官能アクリルアミド化合物及び1つ以上のヒドロキシ基を有する単官能アクリレート化合物以外のモノマーを含有していてもよい。
なお、単官能アクリルアミド化合物及び1つ以上のヒドロキシ基を有する単官能アクリレート化合物以外のモノマーを含有する場合、そのサポート材用インク組成物の全質量に対する含有量は、単官能アクリルアミド化合物及び1つ以上のヒドロキシ基を有する単官能アクリレート化合物の総質量含有率よりも少ないことが好ましく、サポート材用インク組成物の全量に対し、5質量%以下であることが好ましく、2質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることが更に好ましく、含有しないことが特に好ましい。
本発明に用いられるサポート材用インク組成物は、保存性を高める観点から、重合禁止剤を含有することが好ましい。
重合禁止剤としては、上述したものが好ましく挙げられる。
重合禁止剤は、1種単独で含有しても、2種以上を含有してもよい。
サポート材用インク組成物の全量に対する重合禁止剤の質量含有率は、0.001〜1.5質量%が好ましく、0.01〜1.0質量%がより好ましく、0.05〜0.8質量%が更に好ましい。上記範囲であると、サポート材用インク組成物の調製時、保管時の重合を抑制でき、インクジェットノズルの詰まりを防止できる。
−サポート材用インク組成物の物性−
サポート材用インク組成物の25℃における粘度は、20〜150mPa・sであることが好ましく、40〜100mPa・sであることがより好ましい。上記範囲であると、吐出性及び成型性に優れる。
また、サポート材用インク組成物の25℃における表面張力は、20〜40mN/mであることが好ましく、25〜35mN/mであることがより好ましい。上記範囲であると、吐出性及び成型性に優れる。
上記インク組成物及び上記サポート材用インク組成物の製造方法は、特に制限はなく、公知の方法により各成分を混合し製造することができる。
以下、実施例に基づき本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
なお、以下において特に断らない限り、「部」は「質量部」を表し、「%」は「質量%」を表す。
また、以下におけるモノマーのTgは、モノマーのホモポリマーにおけるガラス転移温度である。
<試験用3Dプリンター>
インクジェットプリンターKEGON((株)アフィット製)の搬送ステージ、光源を改造し、3Dプリンターとして用いた。搬送ステージは高さを自動で昇降できる機構(駿河精機(株)製の水平面Z軸自動ステージKS332−8N)を設けた。また、光源はLEDランプ波長ピーク285nm(日機装(株)製)、波長ピーク300nm(日機装(株)製)、及び、波長ピーク385nm(富士フイルム(株)製Acuity1600LED装備のLEDランプ)、並びに、メタルハライドランプ(Vzero II−85、Integration Technology社製)の4種類が装備できるようにした。ここでヘッド温度は50℃〜70℃の範囲で調整した。
<顔料分散物の作製>
下記表1に記載の顔料以外の組成を混合し、SILVERSON社製ミキサーで撹拌し(10〜15分、2,000〜3,000回転/分)、均一な透明液(分散剤希釈液)を得た。この透明液(分散剤希釈液)に顔料を加え、更にミキサーで撹拌し(10〜20分、2,000〜3,000回転/分)、均一な予備分散液を500部得た。その後、ディスパーマット社製の循環型ビーズミル装置(SL−012C1)を用いて分散処理を実施した。分散条件は直径0.65mmのジルコニアビーズを200部充填し、周速を15m/sとした。分散時間は1〜6時間とした。
Figure 0006493875
表1に記載の各成分の詳細を以下に示す。
TiO(酸化チタン、白色顔料、KRONOS 2300、KRONOS社製)
PB15:4(C.I.ピグメントブルー15:4、シアン顔料、HELIOGEN BLUE D 7110 F、BASF社製)
混結キナクリドン(キナクリドン系混晶顔料、マゼンタ顔料、CINQUASIA MAGENTA L 4540、BASF社製)
PY155(C.I.ピグメントイエロー155、イエロー顔料、INK JET YELLOW 4GC、Clariant社製)
カーボンブラック(CAS No. 1333-86-4、ブラック顔料、Mogul E、Cabot社製)
Sol32000(分散剤、SOLSPERSE 32000、Lubrizol社製)
Sol41000(分散剤、SOLSPERSE 41000、Lubrizol社製)
UV12(重合禁止剤、FLORSTAB UV−12、Kromachem社製)
PEA(2−フェノキシエチルアクリレート、Tg:5℃、分子量:192、SR339C、Sartomer社製)
<モデル材の作製>
下記表2〜表6に記載の組成を混合し、SILVERSON社製ミキサーで撹拌し(10〜15分、2,000〜3,000回転/分)、均一な液体組成物を得た。これを、実施例、比較例又は参考例のモデル材として用いた。
(実施例1〜23、及び、比較例1〜11(光源を波長ピーク300nmのLEDに固定))
サポート材(ストラタシス社製サポート材)、及び、表2〜表6に記載のモデル材(インクT1〜T22、W1〜W4、C1、C2、M1、M2、Y1、Y2、K1又はK2)を上記3Dプリンター(光源を波長ピーク300nmのLEDに固定)に充填し、成型性、着色、隠蔽性(ホワイトのみ)、指紋跡、及び、体積収縮について、下記に記載の方法で評価した。更に、インク組成物をガラス瓶に充填し60℃で4週間、−15℃で2週間保管し、保管前後での液物性の変化を測定し、インク安定性を下記に記載の方法で評価した。
<成型性評価>
一片の長さが1cm×1cm×5mmの長方体を作製し、得られた長方体の上面の頂点の角度を測定して、以下の評価基準により評価した。
5(優秀):頂点の角度がいずれも90±0.5度未満
4(良好):90度からの最も大きい誤差が、0.5度以上1度未満
3(許容):90度からの最も大きい誤差が、1度以上1.5度未満
2(不良):90度からの最も大きい誤差が、1.5度以上2.0度未満
1(きわめて不良):90度からの最も大きい誤差が、2.0度以上
<着色(透明)>
厚み1mmの板サンプルを作製し、富士フイルム(株)製インクジェット写真用紙(画彩)を背景にして測定した、サンプルの色相(L、a 、b )、及び、写真用紙の色相(L、a 、b )をグレタグ社製SPM100−IIにて測定し、ΔE={(a −a +(b −b +(L−L1/2を計算して以下の評価基準により評価した。
5(優秀):ΔEが3未満
4(良好):ΔEが3以上6未満
3(許容):ΔEが6以上9未満
2(不良):ΔEが9以上12未満
1(きわめて不良):ΔEが12以上
<着色(ホワイト及びカラー)>
厚み1mmの板サンプルを作製し、富士フイルム(株)製インクジェット写真用紙(画彩)を背景にして測定した、サンプルの色相(L、a 、b )、及び、写真用紙の色相(L、a 、b )をグレタグ社製SPM100−IIにて測定し、ΔE={(a −a +(b −b +(L−L1/2を計算して以下の評価基準により評価した。
5(優秀):ΔEが8未満
4(良好):ΔEが8以上10未満
3(許容):ΔEが10以上13未満
2(不良):ΔEが13以上16未満
1(きわめて不良):ΔEが16以上
<隠蔽性(ホワイトのみ)>
厚み1mmの板サンプルを作製し、富士フイルム(株)製インクジェット写真用紙(画彩)を背景にして測定した、サンプルの明度(L)、及び、黒板を背景にして測定したサンプルの明度(L)をグレタグ社製SPM100−IIにて測定し、隠蔽率(%)=100×(L/L)を計算して以下の評価基準により評価した。
5(優秀):隠蔽率が98%以上
4(良好):隠蔽率が96%以上98%未満
3(許容):隠蔽率が94%以上96%未満
2(不良):隠蔽率が92%以上94%未満
1(きわめて不良):隠蔽率が92%未満
<指紋跡評価>
一片の長さが3cmの立方体を作製し、指の指紋を模擬して、シボのある皮革基材(カプチーCP830、(株)ヤマプラス)を利用した評価を実施した。上記皮革基材を3cm×3cmの1面に対し、1kg加重で1分押し付け、それを立方体から剥がした後のサンプル面を目視して、以下の評価基準により評価した。なお、印刷後12時間後に、環境温度を35℃、30℃、20℃、10℃で実施した。
5(優秀):35℃、30℃、20℃、10℃でサンプル面にシボの跡は残らない
4(良好):30℃、20℃、10℃でサンプル面にシボの跡は残らないが、35℃で残る
3(許容):20℃、10℃でサンプル面にシボの跡は残らないが、35℃、30℃で残る
2(不良):10℃でサンプル面にシボの跡は残らないが、35℃、30℃、20℃で残る
1(きわめて不良):全ての温度でシボの跡が残る
<収縮率評価>
モデル材液体、及び、3次元造形物の密度は、乾式自動密度計(アキュピックII 1340シリーズ、(株)島津製作所製)を用いて測定した。液体の密度は約1gの液体サンプルにて、3次元造形物の密度は1辺が10mmの立方体に成型したサンプルにて、測定した。これらの密度差により以下の評価基準で評価した。
5(優秀):密度差が3%未満
4(良好):密度差が3%以上6%未満
3(許容):密度差が6%以上9%未満
2(不良):密度差が9%以上12%未満
1(きわめて不良):密度差が12%以上
<インク安定性>
インク組成物を2つのガラス瓶にそれぞれ充填し、一方のガラス瓶を60℃で4週間、他方のガラス瓶を−15℃で2週間保管し、60℃保管サンプルは保管前後での粘度の変化を測定し、また、−15℃サンプルは析出物の有無を調べ、下記に記載の方法で評価した。
5(優秀):粘度変化が5%未満、かつ、析出物なし
4(良好):粘度変化が5%以上10%未満、かつ、析出物なし
3(許容):粘度変化が10%以上15%未満、かつ、析出物なし
2(不良):粘度変化が15%以上、かつ、析出物なし
1(きわめて不良):析出物の有無に関わらず粘度変化が15%以上、及び/又は、析出物あり
Figure 0006493875
Figure 0006493875
Figure 0006493875
Figure 0006493875
Figure 0006493875
上述した以外の、表2〜表6、及び、後述する表7に記載の各化合物及び略称の詳細は、以下の通りである。
IBOA(イソボルニルアクリレート、単官能アクリレート化合物、Tg:94℃、分子量:208、SR506D、Sartomer社製)
HDDA(1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、Tg:43℃、分子量:226、SR238、Sartomer社製)
PEG200DA(ポリエチレングリコール(分子量約200)ジアクリレート、2官能、SR259、Sartomer社製)
FA512(ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、単官能アクリレート化合物、ファンクリルFA−512、日立化成(株)製)
SR217(t−ブチルシクロヘキシルアクリレート、単官能アクリレート化合物、Sartomer社製)
EOEOEA(2−(2−エトキシエトキシ)エチルアクリレート、単官能アクリレート化合物、SR256、Sartomer社製)
CN9001(2官能ウレタンアクリレート、Sartomer社製)
Ebecryl270(2官能ウレタンアクリレート、Mw:1,500、ガラス転移温度:−27℃、アクリレート価:750g/価、ダイセル・サイテック(株)製、
Irg184(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、光重合開始剤、IRGACURE184、BASF社製)
Irg2959(1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、光重合開始剤、IRGACURE2959、BASF社製)
KIP160(1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン構造を2以上有する多官能光重合開始剤、ESACURE KIP160、Lamberti社製)
Irg127(2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)ベンジル]フェニル}−2−メチルプロパン−1−オン、光重合開始剤、IRGACURE127、BASF社製)
Dar1173(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、光重合開始剤、DAROCUR1173、BASF社製)
Irg819(ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、光重合開始剤、IRGACURE819、BASF社製)
BR113(メチルメタクリレートとブチルメタクリレートとの共重合体、Mw:30,000、Tg:75℃、ダイヤナールBR−113、三菱レイヨン(株)製)
Elvacite2927(アクリル樹脂、Mw:19,000、Tg45℃、Lucite International社製)
Dianal MB−7833(アクリル樹脂、Mw:3,000、Tg60℃、Dianal社製)
BYK307(ポリジメチルシロキサン系界面活性剤、BYK−307、BYK Chemie社製)
UV1(重合禁止剤、FLORSTAB UV−1、Kromachem社製)
SpeedBright OB−184(2,5−ビス(5−tert−ブチル−2−ベンゾオキサゾリル)チオフェン、Lambson社製)
(実施例24(光源を波長ピーク280nm、300nm若しくは385nmのLED、又は、メタルハライドランプと変更))
サポート材(ストラタシス社製サポート材)、及び、表7に記載のモデル材(インクT1)を上記3Dプリンター(光源を波長ピーク280nm、300nm若しくは385nmのLED、又は、メタルハライドランプと変更)に充填し、成型性及び指紋跡について、下記に記載の方法で評価した。評価結果を表7に示す。
<成型性評価>
一片の長さが1cm×1cm×5mmの長方体を作製し、得られた長方体の上面の頂点の角度を測定して、以下の評価基準により評価した。
5(優秀):頂点の角度がいずれも90±0.5度未満
4(良好):90度からの最も大きい誤差が、0.5度以上1度未満
3(許容):90度からの最も大きい誤差が、1度以上1.5度未満
2(不良):90度からの最も大きい誤差が、1.5度以上2.0度未満
1(きわめて不良):90度からの最も大きい誤差が、2.0度以上
<指紋跡評価>
一片の長さが3cmの立方体を作製し、指の指紋を模擬して、シボのある皮革基材(カプチーCP830、(株)ヤマプラス)を利用した評価を実施した。上記皮革基材を3cm×3cmの1面に対し、1kg加重で1分押し付け、それを立方体から剥がした後のサンプル面を目視して、以下の評価基準により評価した。なお、環境温度を35℃、30℃、20℃、及び、10℃で実施した。
5(優秀):35℃、30℃、20℃、及び、10℃でサンプル面にシボの跡は残らない
4(良好):30℃、20℃、及び、10℃でサンプル面にシボの跡は残らないが、35℃で残る
3(許容):20℃、及び、10℃でサンプル面にシボの跡は残らないが、35℃、及び、30℃で残る
2(不良):10℃でサンプル面にシボの跡は残らないが、35℃、30℃、及び、20℃で残る
1(きわめて不良):全ての温度でシボの跡が残る
<直後指紋跡評価>
一片の長さが3cmの立方体を作製し、指の指紋を模擬して、シボのある皮革基材(カプチーCP830、(株)ヤマプラス)を利用した評価を実施した。上記皮革基材を3cm×3cmの1面に対し、1kg加重で1分押し付け、それを立方体から剥がした後のサンプル面を目視して、以下の評価基準により評価した。なお、印刷直後1分以内に、環境温度を20℃で実施した。
3(優秀):シボの跡は残らない
2(許容):皮革を剥がした直後はシボ跡が残るが、10分以内には目視できない
1(不良):皮革を剥がした10分後にもシボ跡が残る
Figure 0006493875
なお、表7の成型性及び指紋跡評価欄における括弧内の280nm、300nm、385nm、メタハラとの記載は、それぞれ、光源として、波長ピーク280nm、300nm若しくは385nmのLED、又は、メタルハライドランプを用いて行ったことを示す。

Claims (12)

  1. インク組成物を40℃〜80℃の範囲に加熱する加熱工程、
    加熱された前記インク組成物をインクジェットヘッドで吐出し、3次元造形物の断面情報に基づいて、インク層を形成する吐出工程、及び、
    前記インク層を活性光線で硬化させる硬化工程、を含み、
    前記インク組成物が、少なくとも1種の(メタ)アクリレート化合物、及び、アクリル樹脂を含有し、
    前記インク組成物中における全(メタ)アクリレート化合物100質量部に対する単官能(メタ)アクリレート化合物の含有量が、50〜95質量部であり、
    前記インク組成物が、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)ベンジル]フェニル}−2−メチルプロパン−1−オン、及び、上記のいずれか1種の開始剤を多官能化した化合物よりなる群から選択された1種類以上の光重合開始剤を、インク組成物の全質量に対し、4〜20質量%含有し、
    前記硬化工程が、波長275〜310nmの間にピークを有するLED光源を用いることを特徴とする
    3次元造形物の形成方法。
  2. 前記インク組成物における前記光重合開始剤の含有量が、インク組成物の全質量に対し、6〜12質量%である、請求項1に記載の3次元造形物の形成方法。
  3. 前記インク組成物が、前記アクリル樹脂として、ガラス転移温度が50℃〜120℃、かつ重量平均分子量が5,000〜200,000のアクリル樹脂を含有する、請求項1又は2に記載の3次元造形物の形成方法。
  4. 前記インク組成物が、前記アクリル樹脂として、前記ガラス転移温度が50℃〜120℃、かつ重量平均分子量が5,000〜200,000のアクリル樹脂を、インク組成物の全質量に対し、1〜3質量%含有する、請求項に記載の3次元造形物の形成方法。
  5. 前記インク組成物が、着色剤を実質的に含有しない、請求項1〜のいずれか1項に記載の3次元造形物の形成方法。
  6. 前記インク組成物が、白色着色剤として酸化チタンを含有する、請求項1〜のいずれか1項に記載の3次元造形物の形成方法。
  7. 前記インク組成物における酸化チタンの含有量が、インク組成物の全質量に対し、1〜5質量%である、請求項に記載の3次元造形物の形成方法。
  8. 前記インク組成物が、前記光重合開始剤を2種類以上含有する、請求項1〜のいずれか1項に記載の3次元造形物の形成方法。
  9. 前記インク組成物が、前記光重合開始剤を2又は3種類含有する、請求項に記載の3次元造形物の形成方法。
  10. 前記ガラス転移温度が50℃〜120℃、かつ重量平均分子量が5,000〜200,000のアクリル樹脂が、メチルメタクリレート単独重合体及び/又は共重合体である、請求項3又は4に記載の3次元造形物の形成方法。
  11. 前記ガラス転移温度が50℃〜120℃、かつ重量平均分子量が5,000〜200,000のアクリル樹脂が、メチルメタクリレート共重合体である、請求項10に記載の3次元造形物の形成方法。
  12. 前記インク組成物が、重量平均分子量が2,000以上20,000以下の2官能(メタ)アクリレートオリゴマーを含有する、請求項1〜11のいずれか1項に記載の3次元造形物の形成方法。
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