JP6493655B2 - インクジェット記録装置 - Google Patents

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Description

本発明は、インクジェット記録装置に関する。
液体噴射装置の一例であるインクジェット式記録装置は、インクを吐出するノズル孔を有する吐出ヘッドと、ノズル孔からインクを吐出させる駆動手段(例えば、圧電振動子や発熱素子)と、データに応じて駆動手段を制御する制御手段とを備えている。ノズル孔へのインクの供給は、例えば、インクカートリッジとインクカートリッジからのインクを受けるインク供給室と、インク供給室からノズル孔に至るインク供給流路とによって行われる。インクカートリッジは、通常、交換可能となっている。
吐出ヘッドの構造の一例としては、ノズル孔が設けられたノズルプレートと、該ノズルプレートと平行して配置され、圧電素子によって振動される振動板と、を備え、ノズルプレートと振動板との間に形成された圧力室の体積を振動板の振動によって変化させることによってインクを吐出させるタイプのものがある(例えば、特許文献1参照。)。
特許文献1には、装置が低温環境に置かれた際に、ノズルプレート側からインクが凍結しはじめ、凍結が振動板に達すると振動板や圧電素子が破損することがあるため、ヘッドの構造や、部材の相対的な熱容量を調節することにより、インクの凍結を振動板側から生じさせることによって、振動板や圧電素子の破壊を抑制する試みが開示されている。
特開平08−020107号公報
しかしながら、インクジェット記録装置の画像に求められる精細度は最近では非常に高くなっており、これにともない吐出ヘッドも微細化、高密度化してきている。そのため、このような吐出ヘッドでインクの凍結による破壊等を防ぐためには、特許文献1に記載の技術のような、吐出ヘッドの構造や材料の改変だけでは対応することが難しくなってきた。すなわち、ヘッドの小型化によりヘッド内に温度差を形成することが困難となってきており、インクの凍結開始点を制御することが困難となってきている。
本発明の幾つかの態様に係る目的の1つは、高密度で小型な吐出ヘッドを備え、低温環境に置かれたとしても、吐出ヘッドの破損等が生じにくいインクジェット記録装置を提供することにある。
本発明は、上記課題の少なくとも一部を解決するために為されたものであり、以下の態様又は適用例として実現することができる。
[適用例1]本発明に係るインクジェット記録装置の一態様は、インクと、前記インクを吐出する吐出ヘッドと、を備えたインクジェット記録装置であって、前記吐出ヘッドは、ノズルプレートに形成された複数のノズル孔のそれぞれに連通する複数の圧力室と、前記複数の圧力室のそれぞれの容積を変化させる振動板と、前記複数の圧力室に前記インクを供給するインク供給室と、を含み、前記圧力室の容積は、10.0×10μm以下であり、前記ノズルプレートにおける前記複数のノズル孔が配列される密度は、200dpi以上であり、前記インクは、染料と、水と、有機溶剤と、を含み、前記インク中の前記水の質量に対する前記有機溶剤の質量の比(有機溶剤/水)は、0.3以上0.7以下である。
このようなインクジェット記録装置によれば、高密度で小型な吐出ヘッドを備え、低温環境に置かれたとしても、インクが凍結することによる吐出ヘッドの破損が生じにくい。すなわち、このようなインクジェット記録装置では、低温環境に置かれた場合の水の凝固による体積膨張の少なくとも一部を有機溶剤の体積収縮により相殺し、これにより、吐出ヘッドの振動板や圧電素子を破壊してしまうような応力を低減させることができる。
[適用例2]適用例1において、前記インクジェット記録装置が冷却され、インクが凍結する際に、前記圧力室内において、前記振動板側よりも前記ノズルプレート側のインクが優先して凍結してもよい。
[適用例3]適用例1又は適用例2において、前記圧力室と前記振動板は、外気と実質的に接触しなくてもよい。
[適用例4]適用例1ないし適用例3のいずれか一項において、前記振動板を構成する材料のヤング率が250Gpa以下であってもよい。
[適用例5]適用例1ないし適用例4のいずれか一項において、前記供給室を構成する壁面の一部に、可撓性の弾性膜を備えてもよい。
このようなインクジェット記録装置によれば、凍結によってインクの体積が膨張した場合でも、膨張によって生じる応力を緩和することができる。これにより、温環境に置かれたとしても、インクが凍結することによる吐出ヘッドの破損がさらに生じにくい。
[適用例6]適用例1ないし適用例5のいずれか一項において、−20℃の条件下でインクが凍結した場合の、インクの体積膨張率が1.6%以上5.3%以下であってもよい。
[適用例7]適用例1ないし適用例6のいずれか一項において、前記インクは、樹脂成分を含んでもよい。
このようなインクジェット記録装置によれば、樹脂成分の存在によってインクが凍結する際に、水の凍結により強固な固体(氷)が生じにくく、シャーベット状(氷菓状)の固体が生じるので、インクが凍結することによる吐出ヘッドの破損がさらに生じにくい。
実施形態に係るインクジェット記録装置の部分断面斜視図。 実施形態に係る吐出ヘッドを模式的に示す分解斜視図。 実施形態に係る吐出ヘッドの要部の断面の模式図。 実施形態に係る吐出ヘッドの要部の断面の模式図。
以下に本発明のいくつかの実施形態について説明する。以下に説明する実施形態は、本発明の一例を説明するものである。本発明は以下の実施形態になんら限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形形態も含む。なお以下で説明される構成の全てが本発明の必須の構成であるとは限らない。
1.インクジェット記録装置
本発明に係るインクジェット記録装置は、インクを吐出する吐出ヘッドを備える。以下では、吐出ヘッドを有するインクジェット記録装置200について例示的に説明するが、本発明に係るインクジェット記録装置は、係る態様に限定されない。本発明のインクジェット記録装置は、例示するインクジェット記録装置200の形状や構成に限定されず、適宜の構成とすることができるが、以下、一例としてインクジェット記録装置200について説明する。図1は、本実施形態に係るインクジェット記録装置200を模式的に示す斜視図である。
インクジェット記録装置200は、図1に示すように、ヘッドユニット230と、駆動部210と、制御部260と、を含む。さらに、インクジェット記録装置200は、装置本体220と、給紙部250と、記録用紙Pを設置するトレイ221と、記録用紙Pを排出する排出口222と、装置本体220の上面に配置された操作パネル270とを含む。
ヘッドユニット230は、後述する吐出ヘッド100から構成されるインクジェット式記録ヘッド(以下単に「ヘッド」あるいは「吐出ヘッド」ともいう)を有する。ヘッドユニット230は、さらに、ヘッドにインクを供給するインクカートリッジ231と、ヘッド及びインクカートリッジ231を搭載した運搬部(キャリッジ)232とを備える。
駆動部210は、ヘッドユニット230を往復動させることができる。駆動部210は、ヘッドユニット230の駆動源となるキャリッジモーター241と、キャリッジモーター241の回転を受けて、ヘッドユニット230を往復動させる往復動機構242と、を有する。
往復動機構242は、その両端がフレーム(図示せず)に支持されたキャリッジガイド軸244と、キャリッジガイド軸244と平行に延在するタイミングベルト243と、を備える。キャリッジガイド軸244は、キャリッジ232が自在に往復動できるようにしながら、キャリッジ232を支持している。さらに、キャリッジ232は、タイミングベルト243の一部に固定されている。キャリッジモーター241の作動により、タイミングベルト243を走行させると、キャリッジガイド軸244に導かれて、ヘッドユニット230が往復動する。この往復動の際に、ヘッドから所定のタイミングでインクが吐出され、記録用紙Pへの印刷が行われる。
本実施形態では、吐出ヘッド100及び記録用紙Pがいずれも移動しながら印刷が行われる例を示しているが、インクジェット記録装置は、吐出ヘッド100及び記録用紙Pが互いに相対的に位置を変えて記録用紙Pに印刷される機構であればよい。また、本実施形態では、記録用紙Pに印刷が行われる例を示しているが、本発明のインクジェット記録装置によって印刷を施すことができる記録媒体としては、紙に限定されず、布、フィルム、金属など広範な媒体を挙げることができ、適宜構成を変更することができる。
制御部260は、ヘッドユニット230、駆動部210及び給紙部250を制御することができる。給紙部250は、記録用紙Pをトレイ221からヘッドユニット230側へ送り込むことができる。給紙部250は、その駆動源となる給紙モーター251と、給紙モーター251の作動により回転する給紙ローラー252と、を備える。給紙ローラー252は、記録用紙Pの送り経路を挟んで上下に対向する従動ローラー252a及び駆動ローラー252bを備える。駆動ローラー252bは、給紙モーター251に連結されている。制御部260によって給紙部250が駆動されると、記録用紙Pは、ヘッドユニット230の下方を通過するように送られる。ヘッドユニット230、駆動部210、制御部260及び給紙部250は、装置本体220の内部に設けられている。
なお、例示しているインクジェット記録装置200は、1つの吐出ヘッドを有し、この吐出ヘッドによって、記録媒体に印刷を行うことができるものであるが、複数の吐出ヘッドを有してもよい。インクジェット記録装置が複数の吐出ヘッドを有する場合には、複数の吐出ヘッドは、それぞれ独立して上述のように動作されてもよいし、複数の吐出ヘッドが互いに連結されて、1つの集合したヘッドとなっていてもよい。このような集合となったヘッドとしては、例えば、複数のヘッドのそれぞれのノズル孔が全体として均一な間隔を有するような、ライン型のヘッドを挙げることができる。
以下、インクジェット記録装置200に搭載される吐出ヘッド100及びインクについて順次説明する。
1.1.吐出ヘッド
本実施形態の吐出ヘッド100は、ノズルプレート10に形成された複数のノズル孔12のそれぞれに連通する複数の圧力室20と、複数の圧力室20のそれぞれの容積を変化させる振動板30と、複数の圧力室20にインクを供給するインク供給室40とを含む。
図2は、本実施形態の一例に係る吐出ヘッド100の要部を模式的に示す断面図である。図2は、吐出ヘッド100の分解斜視図であり、図1に示したインクジェット記録装置200に搭載される状態とは上下を逆に示したものである。例示する吐出ヘッド100は、圧電素子32を有し、振動板30に接して圧電素子32が形成されている。そして、圧電素子32と振動板30とによって圧電アクチュエーター34が構成されている。なお、図示においては説明の便宜のために各構成の縮尺を適宜変更して示してある。またなお、図2では、圧電素子32は簡略化して図示されている。
吐出ヘッド100は、図2に示すように、ノズル孔12を有するノズルプレート10と、圧力室20を形成するための圧力室基板120と、圧電素子32と、を含む。さらに、吐出ヘッド100は、図2に示すように、筐体130を有することができる。
ノズルプレート10は、図2に示すように、ノズル孔12を有する。ノズル孔12からは、インクが吐出されることができる。ノズルプレート10には、複数のノズル孔12が配列されて設けられている。ノズルプレート10に設けられるノズル孔12の数は、特に限定されない。本実施形態の吐出ヘッド100では、ノズル孔12が配列される間隔は、200dpi以上である。すなわち、配列されたノズル孔12の隣り合うノズル孔12の間隔は、127μm以下である。ノズルプレート10の材質としては、例えば、シリコン、ステンレス鋼(SUS)などを挙げることができる。また、ノズルプレート10の材質としては、鉄(Fe)を主成分(50%以上)として、クロム(Cr)を10.5%以上含む合金であると、剛性や錆び難さを両立できるためより好ましい。
吐出ヘッド100では、圧力室基板120は、ノズルプレート10に接して設けられている。圧力室基板120の材質としては、例えば、シリコンなどを例示することができる。圧力室基板120がノズルプレート10と振動板30との間の空間を区画することにより、図2に示すように、インク供給室40(液体貯留部)と、インク供給室40と連通する供給口126と、供給口126と連通する圧力室20と、が形成される。
この例では、インク供給室40と、供給口126と、圧力室20とを区別して説明するが、これらはいずれも液体の流路であって、圧力室20が形成される限り、流路はどのように設計されても構わない。また例えば、図示の例では供給口126として、流路の一部が狭窄された形状を有しているが、そのような流路の拡大縮小は、設計にしたがって任意に形成することができ、さらに必ずしも必須の構成ではない。
また、吐出ヘッド100の圧力室20は、ノズルプレート10と、圧力室基板120と、振動板30とによって区画される空間のことを指し、ノズル孔12及び供給口126を含まない空間のことをいう。すなわち圧力室20は、振動板30の変位によって容積が変化する空間であり、係る空間に連通する狭窄された流路等を含まない空間と定義する。
インク供給室40、供給口126及び圧力室20は、ノズルプレート10と圧力室基板120と振動板30とによって区画されている。インク供給室40は、外部(例えばインクカートリッジ)から、振動板30に設けられた貫通孔128を通じて供給されるインクを一時貯留することができる。インク供給室40内のインクは、供給口126を介して、圧力室20に供給されることができる。圧力室20は、振動板30の変形により容積が変化する。圧力室20はノズル孔12と連通しており、圧力室20の容積が変化することによって、ノズル孔12からインクが吐出されたり、インク供給室40から圧力室20にインクが導入されたりすることができる。
吐出ヘッド100では、振動板30は、圧力室基板120に接して設けられる。振動板30は、圧電素子32の動作によって変形し、圧力室20の容積を変化させることで圧力室20の内部圧力を変化させることができる。なおこの例では圧力室20は、ノズルプレート10、圧力室基板120及び振動板30によって区画されているが、圧力室20は、振動板30の振動によって容積が変化され得る限り、適宜の部材によって形成されることができ、そのための部材の数、形状、材質等は任意である。
吐出ヘッド100では、圧電素子32は、振動板30に接して設けられている。圧電素子32は、圧電素子駆動回路(図示せず)に電気的に接続され、圧電素子駆動回路の信号に基づいて動作(振動、変形)することができる。圧電素子32としては、特に限定されないが、例えば、電圧を印可することによって変形を生じる種の素子(電気機械変換素子)を挙げることができる。本明細書では、振動板30のうち、圧力室20を区画する部分と、当該部分に設けられた圧電素子32とをあわせて圧電アクチュエーター34と称する場合がある。また、振動板30は、圧電素子32を構成する電極(例えば、Pt等で形成される。)と一体的であってもよい。
本実施形態の吐出ヘッド100は、ノズル孔12間の間隔が127μm以下であるため、圧電素子32としては、2つの電極の間に圧電材料が配置された構成であることが好ましい。すなわち、圧電アクチュエーター34は、例えば、振動板30に対して、一方の電極、圧電材料(例えばPZT(チタン酸ジルコン酸鉛))の層、及び他方の電極が順次積層された全体として薄膜状の態様であることが好ましい。また、圧力室20の体積(容積)は、10.0×10μm以下である。
振動板30の材質についても特に限定されないが、例えば、酸化シリコン(SiO)、窒化シリコン(SiN)、酸化窒化シリコン(SiON)、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化チタン(TiO)、炭化ケイ素(SiC)、及びそれらの材質からなる層の積層体等を挙げることができる。振動板30の材質としては、ヤング率が250Gpa以下のものが、変位を大きくできる点、及び破損を生じにくい点でより好ましく、例えば、ZrO(150GPa)、SiO(75GPa)、Si(130GPa)、SUS(199GPa)、Cr(248GPa)を含んで形成されることがより好ましい(括弧内はヤング率)。また、圧電素子32の電極がPtで形成され、振動板30と一体的に積層されている場合には、ヤング率はPtが168GPa、ZrOが150GPaであるため、組み合わせても250GPa以下となるためそのように構成してもよい。
なお、本明細書において、ヤング率とは、静的試験(JIS G0567J等)(機械的試験)で測定されるヤング率を指し、例えば、II−6号試験片を用いて測定される。
筐体130は、図2に示すように、ノズルプレート10、圧力室基板120及び圧電素
子32を収納することができる。筐体130の材質としては、例えば、樹脂、金属などを挙げることができる。筐体130は、圧電素子32を外部環境から隔てる機能を有してもよい。また、筐体130には、不活性ガス等が封入されたり、筐体130内が減圧されてもよく、これにより、圧電材料の劣化等を抑制することができる。また、筐体130は、圧電素子32を覆うカバーとなっているが、筐体130とは別に、図示せぬカバーが設けられてもよく、その場合に筐体130は、吐出ヘッド100の支持体として機能してもよい。
図3及び図4は、本実施形態の他の例に係る吐出ヘッド101及び吐出ヘッド102の要部の断面の模式図である。吐出ヘッド101及び吐出ヘッド102の説明においては、上述の吐出ヘッド100と同様の機能を有する部材については同様の符号を付して詳細な説明を省略する。
図3及び図4に示す吐出ヘッド101及び吐出ヘッド102は、いずれも、ノズルプレート10に形成された複数のノズル孔12のそれぞれに連通する複数の圧力室20と、複数の圧力室20のそれぞれの容積を変化させる振動板30と、複数の圧力室20にインクを供給するインク供給室40とを含む。
図3及び図4には、インクの吐出動作の際のインク供給室40からノズル孔12までのインクの流れを破線矢印で模式的に示してある。図3に示す吐出ヘッド101には、吐出口127が形成されているが、圧力室20は、流路形成基板110と、圧力室基板120と、振動板30とによって区画される空間のことを指し、ノズル孔12、吐出口127及び供給口126を含まない空間のことをいう。また、図4に示す吐出ヘッド102では、圧力室20は、ノズルプレート10と、圧力室基板120と、振動板30とによって区画される空間のことを指し、ノズル孔12及び供給口126を含まない空間のことをいう。すなわち、吐出ヘッド101及び吐出ヘッド102においても上述の吐出ヘッド100の説明にて述べたと同様に、圧力室20は、振動板30の変位によって容積が変化する空間であり、係る空間に連通する狭窄された流路等を含まない空間と定義される。吐出ヘッド101及び吐出ヘッド102は、いずれも、圧力室20の容積は10.0×10μm以下であり、ノズル孔12の配列の密度は200dpi以上である。
吐出ヘッド101及び吐出ヘッド102には、インク流路の一部を形成する部材としてコンプライアンスシート140が用いられている。コンプライアンスシート140は、可撓性の弾性膜である。コンプライアンスシート140は、弾性を有する膜であれば特に限定されないが、例えば、高分子膜、薄膜にした金属、ガラスファイバー、カーボンファイバー等が挙げられる。高分子膜の材質としては特に限定されないが、ポリイミド、ナイロン、ポリオレフィン、ポリフェニレンスルファイト等が挙げられる。また、金属としては例えば、鉄やアルミニウムを含む材料が挙げられる。
コンプライアンスシート140の厚みは特に限定されないが、例えば、50μm以下が好ましく、より好ましく20μm以下、さらに好ましくは1μm以上10μm以下である。コンプライアンスシート140は、ポリフェニレンスルファイトで形成されることがより好ましい。コンプライアンスシート140は、薄膜にしすぎると、インク吐出時に振動が大きくなり、残留振動が多く発生してしまう場合がある。コンプライアンスシート140は、インクの吐出や流通のためのダンパーの機能を有する。また、コンプライアンスシート140は、インクの体積が膨張した場合に、変形することによって吐出ヘッド101,102の破損を抑制する機能を有している。
吐出ヘッド101及び吐出ヘッド102は、いずれもカバー150を有している。係るカバー150は、図示せぬ筐体とは別部材として構成されている。カバー150は、振動
板30に接して設けられ、圧電素子32を収容する空間を形成し、圧電素子32を当該空間に収納している。カバー150の材質は、上述の筐体130の材質と同様である。カバー150は、圧電素子32を外部環境から隔てる機能を有し、カバー150によって形成される空間に不活性ガス等が封入されたり、当該空間が減圧されてもよい。これにより、圧電素子32の圧電材料の劣化等を抑制することができる。
以上例示した本実施形態の吐出ヘッド100,101,102は、いずれもインクジェット記録装置に搭載された場合に、ノズルプレート10が記録用紙Pに向かって配置され、ノズルプレート10が大気(外気)と直接に接することになる。一方、本実施形態の吐出ヘッド100,101,102が、筐体130あるいはカバー150を有する場合には、圧電素子32及び振動板30が実質的に外気と接触しない構造となる。
インクジェット記録装置は吐出ヘッドにインクが導入されて使用される。インクジェット記録装置は、通常は常温付近の環境に設置して使用されるが、寒冷地に設置されたり設置環境の空調装置等が故障した場合などでは、外気が低温(例えば0℃以下)となる場合がある。このような低温環境となると、インクが水系のインクである場合には、吐出ヘッドにおいてインクの凍結が生じる場合があり、凍結によるインクの体積の膨張や氷の発生による吐出ヘッドの破損が生じる場合がある。特に本実施形態の吐出ヘッドは、ノズルプレートが外気に直接接する構造であるため、インクの凍結が流路の中でもノズルプレート近傍から始まることが多い。そのため、ノズルプレートから離れるにつれて氷の結晶が成長するので、圧電素子や振動板が損傷を受けやすい。すなわち、本実施形態のインクジェット記録装置が冷却され、インクが凍結する際に、吐出ヘッドの圧力室内において、振動板側よりもノズルプレート側のインクが優先して凍結する。
また、本実施形態の吐出ヘッドは、圧力室20の容積が、10.0×10μm以下であり、ノズル孔12の配列の密度が200dpi以上であり、薄膜化された圧電アクチュエーター34を有するため、インクの凍結による圧電素子や振動板の損傷をより生じやすくなっている。さらに、吐出ヘッドが、筐体あるいはカバーを有する場合には、インク流路におけるノズルプレート側から凍結するという傾向はさらに顕著となる。
ここで、本実施形態のインクジェット記録装置は、以下に説明するインクを用いる。これにより、係る吐出ヘッドの破損が抑制されることになる。なお、係るインクは、水を成分として含んでいるにもかかわらず、吐出ヘッドの破損を抑制することができる。以下、インクについて説明する。
1.2.インク
本実施形態のインクジェット記録装置200は、上述の吐出ヘッドによって、以下に説明するインクを吐出する。本実施形態のインクは、染料と、水と、有機溶剤と、を含む。そして、インク中の水の質量に対する有機溶剤の質量の比(有機溶剤/水)は、0.3以上0.7以下である。以下、染料、水、有機溶剤の順に詳細に説明する。
1.2.1.染料
インクは、染料を含有する。染料としては、特に限定されず、インクに一般的に使用される、マゼンタ、シアン、グリーン、イエロー等の各色の染料等を例示できる。
染料の含有量は、インクの全質量に対して、0.1質量%以上20質量%以下であることが好ましく、1質量%以上15質量%以下であることがより好ましい。染料の含有量が上記範囲内にあることで、発色性に優れた画像が得られやすい。
本実施形態のインクにおいて使用可能な染料としては、例えば、アクリジン染料、アニ
リン染料、アントラキノン染料、アジン染料、アゾメチン染料、ベンゾー及びナフトキノン染料、インジゴイド染料、インドフェノール染料、インドアニリン染料、インダミン染料、ロイコ染料、ナフタールイミド染料、ニグロシン染料、インジュリン染料、ニトロ及びニトロソ染料、オキサジン及びジオキサジン染料、酸化染料、フタロシアニン染料、ポリメチン染料、キノフタロン染料、硫化染料、トリ及びジアクリルメタン染料、チアジン染料、チアゾール染料、キサンテン染料、シアニン染料等が挙げられる。
具体的なイエロー系染料としては、C.I.アシッドイエロー1、3、11、17、19、23、25、29、36、38、40、42、44、49、59、61、70、72、75、76、78、79、98、99、110、111、127、131、135、142、162、164、165、C.I.ダイレクトイエロー1、8、11、12、24、26、27、33、39、44、50、58、85、86、87、88、89、98、110、132、142、144、C.I.リアクティブイエロー1、2、3、4、6、7、11、12、13、14、15、16、17、18、22、23、24、25、26、27、37、42、C.I.フードイエロー3、4、C.I.ソルベントイエロー15、19、21、30、109等が挙げられる。
具体的なマゼンタ系の染料としては、例えば、C.I.アシッドレッド1、6、8、9、13、14、18、26、27、32、35、37、42、51、52、57、75、77、80、82、85、87、88、89、92、94、97、106、111、114、115、117、118、119、129、130、131、133、134、138、143、145、154、155、158、168、180、183、184、186、194、198、209、211、215、219、249、252、254、262、265、274、282、289、303、317、320、321、322、C.I.ダイレクトレッド1、2、4、9、11、13、17、20、23、24、28、31、33、37、39、44、46、62、63、75、79、80、81、83、84、89、95、99、113、197、201、218、220、224、225、226、227、228、229、230、231、C.I.リアクティブレッド1、2、3、4、5、6、7、8、11、12、13、15、16、17、19、20、21、22、23、24、28、29、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、45、46、49、50、58、59、63、64、C.I.ソルビライズレッド1、C.I.フードレッド7、9、14等が挙げられる。
具体的なシアン系の染料としては、例えば、C.I.アシッドブルー1、7、9、15、22、23、25、27、29、40、41、43、45、54、59、60、62、72、74、78、80、82、83、90、92、93、100、102、103、104、112、113、117、120、126、127、129、130、131、138、140、142、143、151、154、158、161、166、167、168、170、171、182、183、184、187、192、199、203、204、205、229、234、236、249、C.I.ダイレクトブルー1、2、6、15、22、25、41、71、76、77、78、80、86、87、90、98、106、108、120、123、158、160、163、165、168、192、193、194、195、196、199、200、201、202、203、207、225、226、236、237、246、248、249、C.I.リアクティブブルー1、2、3、4、5、7、8、9、13、14、15、17、18、19、20、21、25、26、27、28、29、31、32、33、34、37、38、39、40、41、43、44、46、C.I.ソルビライズバットブルー1、5、41、C.I.バットブルー4、29、60、C.I.フードブルー1、2、C.I.ベイシックブルー9、25、28、29、44等が挙げられる。
その他の色系統の具体的な染料としては、例えば、C.I.アシッドグリーン7、12、25、27、35、36、40、43、44、65、79、C.I.ダイレクトグリーン1、6、8、26、28、30、31、37、59、63、64、C.I.リアクティブグリーン6、7、C.I.アシッドバイオレット15、43、66、78、106、C.I.ダイレクトバイオレット2、48、63、90、C.I.リアクティブバイオレット1、5、9、10等が挙げられる。
これらの染料は、前記した各色の系の染料の群内および各群間から複数選択して使用することもできる。
1.2.2.水
本実施形態のインクは、水を含有する。本実施形態のインクにおいて、水は主溶媒である。すなわち、インク全体に対して水が50質量%以上含まれる。水としては、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、又は超純水を用いることができる。また、紫外線照射、又は過酸化水素等により滅菌した水を用いることにより、インク組成物を長期保存する場合にカビやバクテリアの発生を防止することができるので好適である。
本実施形態のインクが凍結する場合には、水が凍結することによって、体積の膨張が生じる。より詳しくは、インク中の水が凍結すると、水の体積は、約10%増加する。本実施形態のインクは、凍結する際の、水の体積の膨張を、有機溶剤の体積の収縮によって相殺することにより、インク全体の体積の膨張を抑制することにより、吐出ヘッドの振動板や圧電素子の破壊を抑制している。
このような観点から、本実施形態のインクは、インク中の水と後述の有機溶剤との比率が設計されている。具体的には、インク中の水の質量に対する有機溶剤の質量の比(有機溶剤/水)は、0.3以上0.7以下である。また、当該比のより好ましい値としては、0.35以上0.65以下、さらに好ましくは、0.4以上0.6以下である。このようにすることにより、−20℃の条件下でインクが凍結した場合の、インクの体積膨張率を、1.6%以上5.3%以下の範囲とすることができ、振動板や圧電素子の破壊を抑制することができる。
1.2.3.有機溶剤
本実施形態のインクは、有機溶剤を含有する。インクには、複数種の有機溶剤が含有されていてもよい。インクにおいて、温度が低下する際に、有機溶剤のほうが水よりも後に凍結することが好ましい。したがって、有機溶剤の融点としては、−5℃以下であることが好ましく、より好ましくは−10℃以下である。
有機溶剤としては、特に限定されないが、例えば1,2−アルカンジオール類、多価アルコール類、ピロリドン誘導体、ラクトン、グリコールエーテル類等が挙げられる。
1,2−アルカンジオール類としては、例えば、1,2−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール等が挙げられる。1,2−アルカンジオール類は、記録媒体に対するインクの濡れ性を高めて均一に濡らす作用に優れているため、記録媒体上に密着性に優れた画像を形成することができる場合がある。1,2−アルカンジオール類を含有する場合には、その含有量が、インクの全質量に対して、1質量%以上20質量%以下とすることができる。
多価アルコール類としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−プロ
パンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン等が挙げられる。多価アルコール類は、インクジェット記録装置の記録ヘッドのノズル面において、インクの乾燥固化を抑制して目詰まりや吐出不良等を低減できるという観点から好ましく用いることができる。多価アルコール類を含有する場合には、インクの全質量に対して、2質量%以上20質量%以下とすることができる。
ピロリドン誘導体としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、N−ブチル−2−ピロリドン、5−メチル−2−ピロリドン、1−(2−ヒドロキシエチル)−2−ピロリドン等が挙げられる。ピロリドン誘導体は、樹脂成分の良好な溶解剤として作用することができる。ピロリドン誘導体を含有する場合には、その含有量が、インクの全質量に対して、0.5質量%以上10質量%以下とすることができる。
本発明において「ラクトン」とは、環内にエステル基(−CO−O−)を有する環状化合物の総称をいう。ラクトンとしては、上記定義に含まれるものであれば特に制限されないが、炭素数2以上9以下のラクトンであることが好ましい。このようなラクトンの具体例としては、α−エチルラクトン、α−アセトラクトン、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン、ζ−エナンチオラクトン、η−カプリロラクトン、γ−バレロラクトン、γ−ヘプタラクトン、γ−ノナラクトン、β−メチル−δ−バレロラクトン、2−ブチル−2−エチルプロピオラクトン、α,α−ジエチルプロピオラクトン等が挙げられるが、これらの中でもγ−ブチロラクトンが特に好ましい。ラクトンは、記録媒体が塩化ビニル樹脂等のフィルムである場合に、記録媒体の内部にインクを浸透させて、密着性を高めることができる。ラクトンの含有量としては、インクの全質量に対して、5質量%以上30質量%以下とすることができる。
グリコールエーテル類としては、例えば、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノイソヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノイソヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノイソヘキシルエーテル、エチレングリコールモノイソヘプチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソヘプチルエーテル、トリエチレングリコールモノイソヘプチルエーテル、エチレングリコールモノオクチルエーテル、エチレングリコールモノイソオクチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソオクチルエーテル、トリエチレングリコールモノイソオクチルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノ−2−エチルペンチルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルペンチルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、エチレングリコールモノ−2−メチルペンチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−2−メチルペンチルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、及びトリプロピレングリコールモノメチルエーテル等が挙げられる。これらは、1種単独か又は2種以上を混合して使用することができる。グリコールエーテル類は、インクの記録媒体に対する濡れ性や浸透速度を制御することできる。そのため、濃淡ムラが少ない鮮明な画像を記録することができる。インクを水系インクとして用いる場合に、グリコールエーテル類を含有させる際には、その含有量は、インクの全質量に対して、0.05質量%以上40質量%以下とすることができる。
有機溶剤の体積は、温度の降下により減少する。本実施形態のインクでは、インク中の水が凍結する場合に生じた体積の増加を、有機溶剤の体積の減少によって吸収し、インク全体の体積の増加を抑制している。このような観点から、本実施形態のインクは、インク中の水と後述の有機溶剤との比率が設計されている。具体的には、インク中の水の質量に対する有機溶剤の質量の比(有機溶剤/水)は、0.3以上0.7以下である。また、当該比のより好ましい値としては、0.35以上0.65以下、さらに好ましくは、0.4以上0.6以下である。このようにすることにより、−20℃の条件下でインクが凍結した場合の、インクの体積膨張率を、1.6%以上5.3%以下の範囲とすることができる。
1.2.5.その他の成分
本実施形態のインクは、上記成分の他に、樹脂成分、界面活性剤、固体保湿剤、pH調整剤、防腐剤、防かび剤、防錆剤、キレート剤、顔料等の成分を含んでもよい。
本実施形態のインクは、樹脂成分を含んでもよい。樹脂成分としては、記録される画像の耐擦性等の物理的強度を向上させる種の樹脂(定着樹脂等)、増粘剤として、インクの粘度調整に関与する樹脂、顔料を分散させる種の樹脂等が挙げられる。
より具体的な樹脂成分としては、アクリル系樹脂、スチレンアクリル系樹脂、フルオレン系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ロジン変性樹脂、テルペン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、エポキシ系樹脂、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチレン酢酸ビニル系樹脂等の公知の樹脂や、ポリオレフィンワックス等が挙げられる。これらの樹脂は、1種単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。また、例示した樹脂の中でも、スチレンアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィンワックスを好ましく用いることができる。
ポリエステル系樹脂としては、市販品を用いることができ、例えば、Eastek1100、1300、1400(以上商品名、イーストマンケミカルジャパン社製)、エリーテルKA−5034、KA−3556、KA−1449、KT−8803、KA−5071S、KZA−1449S、KT−8701、KT9204(以上商品名、ユニチカ株式会社製)等が挙げられる。
スチレンアクリル系樹脂としては、例えば、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−α―メチルスチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−α―メチルスチレン−アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。なお、共重合体の形態としては、ランダム共重合体、ブロック共重合体、交互共重合体、グラフト共重合体のいずれの形態でも用いることができる。なお、スチレンアクリル系樹脂としては、市販されているものを利用してもよい。スチレンアクリル系樹脂の市販品としては、ジョンクリル62J(BASFジャパン株式会社製)等が挙げられる。
ポリオレフィンワックスとしては、特に限定されるものではなく、例えばエチレン、プロピレン、ブチレン等のオレフィン又はその誘導体から製造されたワックス及びそのコポリマー、具体的には、ポリエチレン系ワックス、ポリプロピレン系ワックス、ポリブチレン系ワックス等が挙げられる。これらの中でも、画像のヒビ割れの発生を低減できるという観点から、ポリエチレン系ワックスが好ましい。ポリオレフィンワックスは、1種単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
ポリオレフィンワックスの市販品としては「ケミパールW4005」(三井化学株式会社製、ポリエチレン系ワックス、粒径200〜800nm、環球法軟化点110℃、針入
度法硬度3、固形分40%)等のケミパールシリーズが挙げられる。その他、AQUACER513(ポリエチレン系ワックス、粒径100〜200nm、融点130℃、固形分30%)、AQUACER507、AQUACER515、AQUACER539、AQUACER593、AQUACER840(以上、ビックケミー・ジャパン株式会社製)等のAQUACERシリーズや、ハイテックE−7025P、ハイテックE−2213、ハイテックE−9460、ハイテックE−9015、ハイテックE−4A、ハイテックE−5403P、ハイテックE−8237(以上、東邦化学株式会社製)等のハイテックシリーズ、ノプコートPEM−17(サンノプコ社製、ポリエチレンエマルジョン、粒径40nm)等が挙げられる。これらは、常法によりポリオレフィンワックスを水中に分散させた水系エマルジョンの形態で市販されている。
また、ウレタン系樹脂としては、溶媒中に粒子状で分散されたエマルションタイプ、溶媒中に溶解した状態で存在している溶液タイプのいずれのタイプを用いてもよい。また、エマルションタイプは、その乳化方法によって強制乳化型と自己乳化型に分類することができ、本実施形態においてはいずれの型式でも用いることができるが、好ましくは自己乳化型である。自己乳化型のディスパージョンは、強制乳化型に比べ、造膜性や耐水性に優れるため、より水に強い印刷を行うことができる。
本実施形態に用いられるポリウレタン樹脂としては、例えば、「タケラック(登録商標)W−6061」(三井化学社製)などの強制乳化型ポリウレタンエマルション、「レザミンD(登録商標)D−1060」(大日精化社製)、「タケラックW−6021」(三井化学社製)、「WBR−016U」(大成ファインケミカル(株)製ポリエーテル、Tg=20℃)などの自己乳化型ポリウレタンエマルションなどが挙げられる。
ポリウレタン樹脂として上記のエマルションタイプを適用した場合、ポリウレタン樹脂の平均粒子径は、好ましい50〜200nmであり、より好ましくは60〜200nmである。ポリウレタンの樹脂の平均粒子径が上記範囲にあると、インク中においてポリウレタン樹脂粒子を均一に分散させることができる。
水系エマルジョンの定着樹脂は、好ましくはワックスと共に樹脂被膜を形成することで、インクを被記録媒体上に十分定着させて画像の密着性、耐擦性を良好にする効果を発揮する。上記の効果により樹脂エマルジョンを含有する着色インクを用いて記録された記録物は、被記録媒体に対して耐擦性に優れたものとなる。
また、バインダーとして機能する樹脂エマルジョンはインク中にエマルジョン状態で含有される。バインダーとして機能する樹脂をエマルジョン状態でインク中に含有させることにより、インクの粘度をインクジェット記録方式において適正な範囲に調整しやすく、かつ、着色インクの保存安定性及び吐出安定性に優れたものとなる。
樹脂エマルジョンとしては、以下に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、アクリロニトリル、シアノアクリレート、アクリルアミド、オレフィン、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、ビニルアルコール、ビニルエーテル、ビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルカルバゾール、ビニルイミダゾール、及び塩化ビニリデンの単独重合体又は共重合体、フッ素樹脂、及び天然樹脂が挙げられる。中でも、(メタ)アクリル系樹脂及びスチレン−(メタ)アクリル酸共重合体系樹脂のうち少なくともいずれかが好ましく、アクリル系樹脂及びスチレン−アクリル酸共重合体系樹脂のうち少なくともいずれかがより好ましく、スチレン−アクリル酸共重合体系樹脂がさらに好ましい。なお、上記の共重合体は、ランダム共重合体、ブロック共重合体、交互共重合体、及びグラフト共重合体のうちいずれの形態であってもよい。中でも、ウレタン系樹脂が好ましく、特に水溶性ポリウレタンが好ましい。水溶性ポリウレタン樹脂の好ましい具体例としては、NeoRezR−960(ゼネカ製)、NeoRezR−989(ゼネカ製)、NeoRezR−9320(ゼネカ製)、NeoRadNR−440(ゼネカ製)、ハイドランAP−30 (大日本インキ工業(株)製)、ハイドランAPX−601(大日本インキ工業(株)製)、ハイドランSP−510(大日本インキ工業(株) 製)、ハイドランSP−97(大日本インキ工業(株)製)、エラストロンMF−60(第一工業製薬(株)製)、エラストロンMF−9(第一工業製薬(株)製)、M−1064(第一工業製薬(株)製)、アイゼラックスS−1020(保土ヶ谷化学(株)製)、アイゼラックスS−1040(保土ヶ谷化学(株)製)、アイゼラックスS−1085C(保土ヶ谷化学(株)製)、アイゼラックスS−4040N(保土ヶ谷化学(株)製)、ネオタンUE−5000(東亞合成(株)製)、RU−40シリーズ(スタール・ジャパン製)、ユーコートUWS−145 (三洋化成(株)製)、パーマリンUA−150(三洋化成(株)製)、WF−41シリーズ(スタール・ジャパン製)、WPC−101(日本ウレタン工業(株)製)が挙げられる。
樹脂エマルジョンは、市販品を用いてもよく、以下のように乳化重合法などを利用して作製してもよい。インク中の熱可塑性樹脂をエマルジョンの状態で得る方法としては、重合触媒及び乳化剤を存在させた水中で、上述した水溶性樹脂の単量体を乳化重合させることが挙げられる。乳化重合の際に使用される重合開始剤、乳化剤、及び分子量調整剤は従来公知の方法に準じて使用できる。
樹脂エマルジョンの平均粒子径は、インクの保存安定性及び吐出安定性を一層良好にするため、好ましくは5nm〜400nmの範囲であり、より好ましくは20nm〜300nmの範囲である。
また、インクに増粘性を付与できる樹脂成分としては、例えば、ポリビニルアルコール類、ポリ(メタ)アクリル酸類、ポリエーテル類、ポリビニルピロリドン類、ポリビニルホルマール類、タンパク質(例えば、ゼラチン、カゼイン、にかわ等)、多糖類(例えば、プルラン、デキストラン、デキストリン、シクロデキストリン、カラギーナン、ペクチン、グルコマンナン、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、アラビヤゴム、ローカストビーンガム、トラガントガム、グアーガム、タマリンドガム等)、澱粉類(例えば、澱粉、酸化澱粉、カルボキシル澱粉、ジアルデヒド澱粉等)、セルロース又はその誘導体(例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等)、アルギン酸塩(例えば、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸アンモニウム等)アルギン酸エステル(例えば、アルギン酸プロピレングリコールエステル等)などが挙げられる。
本実施形態のインクに、以上説明した樹脂成分が含有される場合には、その機能や種類を問わず固形分量として、インク全体に対して1.5質量%以上配合することが好ましい。これにより、インク中の水の凍結によって形成される氷(氷晶)をより微細化し、柔軟化させることができる。これにより、インクが凍結した際に、いわゆるシャーベット(氷菓)の状態を形成することができるため、上述の吐出ヘッドの振動板や圧電素子の破壊の抑制に寄与することができる。
また、樹脂成分としては、より柔軟性が高いものを用いることが好ましく、ガラス転移温度(Tg)が80℃以下、好ましくは75℃以下、さらに好ましくは50℃以下の樹脂を用いることが好ましい。
界面活性剤は、表面張力を低下させ記録媒体との濡れ性を向上させる機能を備える。界面活性剤の中でも、例えば、アセチレングリコール系界面活性剤、シリコーン系界面活性
剤、及びフッ素系界面活性剤を好ましく用いることができる。
アセチレングリコール系界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、サーフィノール104、104E、104H、104A、104BC、104DPM、104PA、104PG−50、104S、420、440、465、485、SE、SE−F、504、61、DF37、CT111、CT121、CT131、CT136、TG、GA、DF110D(以上全て商品名、Air Products and Chemicals. Inc.社製)、オルフィンB、Y、P、A、STG、SPC、E1004、E1006、E1008、E1010、PD−001、PD−002W、PD−003、PD−004、EXP.4001、EXP.4036、EXP.4051、EXP.4300、AF−103、AF−104、AK−02、SK−14、AE−3(以上全て商品名、日信化学工業社製)、アセチレノールE00、E00P、E40、E100(以上全て商品名、川研ファインケミカル社製)が挙げられる。
シリコーン系界面活性剤としては、特に限定されないが、ポリシロキサン系化合物が好ましく挙げられる。当該ポリシロキサン系化合物としては、特に限定されないが、例えばポリエーテル変性オルガノシロキサンが挙げられる。当該ポリエーテル変性オルガノシロキサンの市販品としては、例えば、BYK−306、BYK−307、BYK−333、BYK−341、BYK−345、BYK−346、BYK−348、BYK−349(以上商品名、BYK社製)、KF−351A、KF−352A、KF−353、KF−354L、KF−355A、KF−615A、KF−945、KF−640、KF−642、KF−643、KF−6020、X−22−4515、KF−6011、KF−6012、KF−6015、KF−6017(以上商品名、信越化学工業社製)が挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては、フッ素変性ポリマーを用いることが好ましく、具体例としては、BYK−340(ビックケミー・ジャパン社製)が挙げられる。
界面活性剤を含有する場合には、その含有量は、インクの全質量に対して、0.1質量%以上1.5質量%以下であることが好ましい。
固体保湿剤としては、融点が20℃以上で、かつ20℃における水への溶解度が5重量%以上のものが該当する。具体的には、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、2−エチル−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール等のアルコール類、炭酸エチレン等のエステル類、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、2−ピロリドン、ε−カプロラクタム、尿素、チオ尿素、N−エチル尿素等の窒素化合物、ジヒドロキシアセトン、エリトリトール、D−アラビノース、L−アラビノース、D−キシロース、2−デオキシ−β−D−リボース、D−リキソース、L−リキソース、D−リボース、D−アラビトール、リビトール、D−アルトロース、D−アロース、D−ガラクトース、L−ガラクトース、D−キノボース、D−グルコース、D−ジギタロース、D−ジギトキソース、D−シマロース、L−ソルボース、D−タガトース、D−タロース、2−デオキシ−D−グルコース、D−フコース、L−フコース、D−フルクトース、D−マンノース、L−ラムノース、D−イノシトール、myo−イノシトール、D−グルシトール、D−マンニトール、メチル=D−ガラクトピラノシド、メチル=D−グルコピラノシド、メチル=D−マンノピラノシド、N−アセチルキトビオース、イソマルトース、キシロビオース、ゲンチオビオース、コージビオース、コンドロシン、スクロース、セロビオース、ソホロース、α,α−トレハロース、マルトース、メリビオース、ラクトース、ラミナリビオース、ルチノース、ゲンチアノース、スタキオース、セロトリオース、プランテオース、マルトトリオース、メレジトース、ラクト−N−テトラオース、ラフィノース等の糖類を挙げることができる。
なお、固体保湿剤を添加する場合には、冷却された際に、水が凍結するよりも先に析出が生じないようにする観点から、水の全量に対して、80質量%以下となるように添加することが好ましい。
pH調整剤としては、例えば、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、アンモニア、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等が挙げられる。
防腐剤・防かび剤としては、例えば、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、1,2−ジベンジソチアゾリン−3−オン等が挙げられる。市販品では、プロキセルXL2、プロキセルGXL(以上商品名、アビシア社製)や、デニサイドCSA、NS−500W(以上商品名、ナガセケムテックス株式会社製)等が挙げられる。
防錆剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール等が挙げられる。また、キレート化剤としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸及びそれらの塩類(エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム塩等)、(S,S)−エチレンジアミンジコハク酸及びそれらの塩類、ジカルボキシメチルグルタミン酸及びそれらの塩類、イミノジコハク酸及びそれらの塩類(イミノジコハク酸四ナトリウム)等が挙げられる。
本実施形態のインクに配合し得る顔料としては、特に限定されず、インクに一般的に使用される、マゼンタ、シアン、グリーン、イエロー等の各色の顔料、白色系顔料及び光輝性顔料等が挙げられる。また、これらのうち、自己分散型の顔料を用いてもよい。さらに、通常の顔料を用いる場合には、上述の分散樹脂とともに配合されることが好ましく、当該分散樹脂を樹脂成分として機能させてもよい。
1.3.作用効果
本実施形態のインクジェット記録装置は、上述のインクと、上述の吐出ヘッドと、を備えている。当該吐出ヘッドの圧力室の容積が、10.0×10μm以下であり、ノズルプレートにおける複数のノズル孔が配列される密度が、200dpi以上であり、高密度で小型な吐出ヘッドを備えているが、上述の有機溶剤/水の比が、0.3以上0.7以下であるインクを使用するため、低温環境に置かれたとしても、インクが凍結することによる吐出ヘッドの破損が生じにくい。
すなわち、このようなインクジェット記録装置では、低温環境に置かれた場合の水の凝固による体積膨張の少なくとも一部を有機溶剤の体積収縮により相殺し、これにより、吐出ヘッドの振動板や圧電素子を破壊してしまうような応力を低減させることができる。
2.実施例、比較例及び参考例
以下に実施例、比較例及び参考例を示し、本発明をさらに説明するが、本発明は以下の例によってなんら限定されるものではない。
2.1.インクの調整
表1に示す材料を容器中に入れ、マグネチックスターラーにて2時間混合撹拌した後、孔径5μmのメンブランフィルターにて濾過してゴミや粗大粒子等の不純物を除去することにより、実施例、比較例及び参考例に用いる各インクを調製した。なお、表1中の数値は、質量%を示し、水(イオン交換水)はインク全量が100質量%となるように添加した。
Figure 0006493655
表1に示す各材料は、以下の通りである。
(色材)
・シアン染料(C.I.ダイレクトブルー199)
・マゼンタ染料(C.I.ダイレクトイエロー132)
(定着樹脂)
・ウレタン樹脂(商品名「M−1064」第一工業製薬株式会社製)
(アルキルポリオール類)
・1,2−ヘキサンジオール(標準沸点:224℃、logP値:0.50)
・グリセリン(標準沸点:290℃、logP値:−2.70)
(保湿剤)
・尿素
(ピロリドン誘導体)
・2−ピロリドン
(界面活性剤)
・オルフィンE1010(アセチレングリコール系界面活性剤)
(その他)
・TEGmBE:トリエチレングリコールモノブチルエーテル
また、有機溶剤の合計量、水の質量に対する有機溶剤の質量の比(有機溶剤/水)、並びに、インクが凍結した際のインク全体の体積膨張率の理論値を併記した。
2.2.評価試験
吐出ヘッドが異なるインクジェット記録装置を複数準備した。各インクジェット記録装置が有する吐出ヘッドは、それぞれヘッドA、ヘッドB、ヘッドCとした。
ヘッドAは、ノズル配列の密度が300dpiであり、圧力室の容積が2.9×10μmである。
ヘッドBは、ノズル配列の密度が360dpiであり、圧力室の容積が3.7×10μmである。
ヘッドCは、ノズル配列の密度が180dpiであり、圧力室の容積が14.4×10μmである。
そして、表2に示すように、所定の吐出ヘッドを有するインクジェット記録装置に対して、表1に記載したインクを印刷可能な状態となるように吐出ヘッドに充填し、インクジェット記録装置全体を、−20℃に温度設定された冷凍室に静置した。5日経過後、インクジェット記録装置を冷凍室から取り出し、常温に戻した後、まず、印字評価を行い、画像の乱れ、ドット抜けが発生した場合、インクジェット記録装置からヘッドを取り出し、圧電アクチュエーターの破損の有無を顕微鏡にて観察した。
その結果、画像の乱れ、ドット抜けが無く、圧電アクチュエーターの破損が生じていないものを○、圧電アクチュエーターにクラック等が生じているものを×として、表2に記載した。
Figure 0006493655
2.3.評価結果
表2をみると、参考例2〜5、実施例1〜では、ヘッドAに対して、インクの組成比(有機溶剤/水)が、0.3以上0.7以下であり、吐出ヘッドの破壊が生じていないことが判明した。これに対して、比較例1では、インクの組成比(有機溶剤/水)が、0.3以下であり、吐出ヘッドの破損が生じた。これは、凍結による水の体積の膨張量が有機溶剤の体積の収縮量に対して大きかったためと考えられる。また、比較例2では、インクの組成比(有機溶剤/水)が、0.3以上0.5以下であるにもかかわらず、吐出ヘッドの破壊が生じた。これは用いたヘッドCの圧力室の容積が10×10μmを越えているため、凍結による水の体積の膨張量を有機溶剤の体積の収縮量によって相殺しても、全体の体積の膨張量を抑制しきれなかったためと考えられる。
一方、参考例1は、ヘッドBとインク7の組わせである。インクの組成比(有機溶剤/水)が、0.3以下であるものの、吐出ヘッドの破壊が生じなかった。ヘッドBの構造は図4の通りであり、ヘッドBのインク凍結は、ノズルから凍結し、圧力室を経てインク供給室へと凍結が進むが、凍結時のインク膨張による圧力は、流路の上流側へ逃げることができるため、強度の低い圧力室での破壊がないと考えられる。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、さらに種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
10…ノズルプレート、12…ノズル孔、20…圧力室、30…振動板、32…圧電素子、34…圧電アクチュエーター、40…インク供給室、100,101,102…吐出ヘッド、110…流路形成基板、120…圧力室基板、126…供給口、127…吐出口、128…貫通孔、130…筐体、140…コンプライアンスシート、150…カバー、200…インクジェット記録装置、210…駆動部、220…装置本体、221…トレイ、222…排出口、230…ヘッドユニット、231…インクカートリッジ、232…キャリッジ、241…キャリッジモーター、242…往復動機構、243…タイミングベルト、244…キャリッジガイド軸、250…給紙部、251…給紙モーター、252…給紙ローラー、252a…従動ローラー、252b…駆動ローラー、260…制御部、270…操作パネル

Claims (6)

  1. インクと、前記インクを吐出する吐出ヘッドと、を備えたインクジェット記録装置であって、
    前記吐出ヘッドは、ノズルプレートに形成された複数のノズル孔のそれぞれに連通する複数の圧力室と、前記複数の圧力室のそれぞれの容積を変化させる振動板と、前記複数の圧力室に前記インクを供給するインク供給室と、を含み、
    前記圧力室の容積は、10.0×10μm以下であり、
    前記ノズルプレートにおける前記複数のノズル孔が配列される密度は、200dpi以上であり、
    前記インクは、水溶性染料と、水と、有機溶剤と、水溶性ポリウレタンと、を含み、
    前記インク中の前記水溶性ポリウレタンの固形分の含有量は、1.5質量%以上10.0質量%以下であり、
    前記インク中の前記水の質量に対する前記有機溶剤の質量の比(有機溶剤/水)は、0.3以上0.7以下である、インクジェット記録装置。
  2. 請求項1において、
    前記インクジェット記録装置が冷却され、インクが凍結する際に、前記圧力室内において、前記振動板側よりも前記ノズルプレート側のインクが優先して凍結する、インクジェット記録装置。
  3. 請求項1又は請求項2において、
    前記圧力室と前記振動板は、外気と実質的に接触しない、インクジェット記録装置。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれか一項において、
    前記振動板を構成する材料のヤング率が250Gpa以下である、インクジェット記録装置。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれか一項において、
    前記供給室を構成する壁面の一部に、可撓性の弾性膜を備えた、インクジェット記録装
    置。
  6. 請求項1ないし請求項5のいずれか一項において、
    −20℃の条件下でインクが凍結した場合の、インクの体積膨張率が1.6%以上5.3%以下である、インクジェット記録装置。
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