JP6493093B2 - 抵抗スポット溶接用電源装置 - Google Patents

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Description

本発明は、抵抗スポット溶接用電源装置に関し、特に、金属板を抵抗スポット溶接するために用いて好適なものである。
例えば、自動車の車体の組立や部品の取付け等の工程において、抵抗スポット溶接が用いられることが多い。抵抗スポット溶接は、板面が相互に重ね合わせられた1枚または複枚の金属板の重ね合わせ部の表側および裏側に対して溶接電極を加圧しながら通電することにより当該金属板の重ね合わせ部に発生するジュール熱によって、当該金属板の重ね合わせ部を溶融させ接合する方法である。
一般的に、抵抗スポット溶接を行う際には、商用周波数での単相交流電流、または、コンデンサからの放電電流を、変流器を介して溶接電極に通電することが行われる。また、変流器を通した電流を整流して直流電流を通電する場合もある。これらの場合、通電周波数が低いため、溶接電極と金属板との接触部にほぼ均一に電流が流れる。したがって、周囲への熱流出を考慮すると、金属板の通電部における温度分布は、通電領域の中心の温度が最も高く、当該通電領域から離れた位置ほど温度が低くなる分布になる。
例えば、高張力鋼板や厚手の鋼板のように強度や剛性が大きい金属板に対して抵抗スポット溶接を行う場合には、溶接継手の継手強度も大きくすることが望まれる。そこで、特許文献1には、電流値を制御することで溶接部の温度履歴を制御し、溶接部の温度履歴を制御することで溶接金属の材質を制御する技術が開示されている。また、特許文献2には、金属板の通電部における発熱分布を制御するために、周波数が50Hzの低周波電源と、周波数が30kHzの高周波電源からの電力を2枚の鋼板に同時に印加することで焼きもどし領域を制御することが開示されている。
特許第5043236号公報 特許第5467480号公報 特許第3634982号公報
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、従来の商用周波数での単相交流電流や直流電流を対象としたものであり、電流の制御として従来の実効値についての制御しかできい。また、特許文献2に記載の技術では、低周波電源と高周波電源の2つの電源が必要になる。したがって、制御が複雑になると共に装置が大型化する虞がある。また、金属板の溶接部における適切な発熱分布は、溶接条件(溶接部の大きさ、材質、厚み、温度変化等)および要求特性(溶接金属組織、継ぎ手強度)に応じて、一点のスポット溶接を施すのに要する1秒以内といった極めて短時間の間で変わる。しかしながら、特許文献2に記載の技術の高周波電源では、直列共振回路を構成するため、高周波電源の周波数は固定であり、発熱領域を目的に合わせて設定するためには周波数毎の電源を用意しなければならず、実用上不可能である。
そこで、本発明者らは、抵抗スポット溶接用の電源装置として、特許文献3等に記載されている磁気エネルギー回生スイッチ(Magnetic Energy Recovery Switch)を用いることを検討した。しかしながら、特許文献3等に記載されている磁気エネルギー回生スイッチを用いて溶接電流の周波数を変更すると、溶接電流の周波数を変更する際に、溶接電流の大きさが急激に変動した後に定常状態になるという知見を得た。このような溶接電流の大きさの急激な変動は、溶接電極の損耗を早めたり、スパッタ(溶接中に飛散する粒子)を発生させたりする要因になり得る。
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、抵抗スポット溶接時の溶接電流の周波数を1つの電源装置で制御するに際し、溶接電流の周波数の変更時に生じる溶接電流の大きさの変動を抑制することを目的とする。
本発明の抵抗スポット溶接用電源装置は、金属板の板面同士の重ね合わせ部の表側および裏側に対して溶接電極を加圧しながら通電することにより当該金属板の重ね合わせ部に発生するジュール熱によって、当該金属板の重ね合わせ部を抵抗スポット溶接するために、当該溶接電極に電力を供給する抵抗スポット溶接用電源装置であって、4個の逆導通型半導体スイッチにて構成されるブリッジ回路と、当該ブリッジ回路の直流端子間に接続され、磁気エネルギーを蓄積するコンデンサと、を有する磁気エネルギー回生スイッチと、前記磁気エネルギー回生スイッチのスイッチ動作を制御することにより、前記溶接電極に流れる溶接電流の周波数を制御する制御手段と、を有し、前記制御手段は、前記磁気エネルギー回生スイッチのスイッチ動作を制御することにより、1回の前記抵抗スポット溶接の期間内において、前記溶接電流の周波数を第1の周波数から第2の周波数に上げる際に、当該第1の周波数を上回り且つ当該第2の周波数を下回る少なくとも1つの中間周波数に前記溶接電流の周波数を変更してから、当該第2の周波数に前記溶接電流の周波数を変更することを特徴とする。
本発明によれば、抵抗スポット溶接時の溶接電流の周波数を1つの電源装置で制御するに際し、溶接電流の周波数の変更時に生じる溶接電流の大きさの変動を抑制することができる。
抵抗スポット溶接システムの構成の一例を示す図である。 スイッチングパターンと通電パターンの一例を示す図である。 溶接電流の周波数を変更した場合の、溶接電流およびMERSのコンデンサの電圧と時間との関係の一例を示す図である。 溶接電流の周波数を変更した場合の、溶接電流、MERSのコンデンサCの電圧、U−Yゲート、およびX−Vゲートと、時間との関係の第1の例を示す図である。 溶接電流の周波数を変更した場合の、溶接電流、MERSのコンデンサCの電圧、U−Yゲート、およびX−Vゲートと、時間との関係の第2の例を示す図である。 溶接電流の周波数を変更した場合の、溶接電流、MERSのコンデンサCの電圧、U−Yゲート、およびX−Vゲートと、時間との関係の第3の例を示す図である。 溶接電流の周波数を変更した場合の、溶接電流、MERSのコンデンサCの電圧、U−Yゲート、およびX−Vゲートと、時間との関係の第4の例を示す図である。 溶接電流の周波数を変更した場合の、溶接電流、MERSのコンデンサCの電圧、U−Yゲート、およびX−Vゲートと、時間との関係の第5の例を示す図である。 オーバーシュートを説明する図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態を説明する。
本実施形態では、磁気エネルギー回生スイッチ(Magnetic Energy Recovery Switch、以降、必要に応じてMERSと称する。)を用いることで、金属板を抵抗スポット溶接する際に金属板に与える溶接電流の周波数を、1回の抵抗スポット溶接を行っている最中に制御する。
MERSは、4個の逆導通型半導体スイッチにて構成されるブリッジ回路と、当該ブリッジ回路の直流端子間に接続され、磁気エネルギーを蓄積するコンデンサと、を有する。これら4個の逆導通型半導体スイッチのゲートに制御信号を与えて、逆導通型半導体スイッチのそれぞれオン・オフ制御を行うことにより、出力電流の周波数を変更することができる。
(抵抗スポット溶接システムの構成)
図1は、抵抗スポット溶接システムの構成の一例を示す図である。
本実施形態では、抵抗スポット溶接システムは、交流電源100と、整流器200と、抵抗300と、コンデンサ400と、降圧チョッパ500と、直流リアクトル600と、MERS700と、制御部800と、交流インダクタンス900と、変流器1000と、抵抗スポット溶接機1100と、を有する。
図1において、MERS700の入力側の接続関係は以下の通りである。
整流器200の入力端と、交流電源100とが相互に接続される。整流器200の出力端の一つと、抵抗300の一端およびコンデンサ400の一端とが相互に接続される。整流器200の出力端の他の一つと、抵抗300の一端およびコンデンサ400の他端とが相互に接続される。整流器200の出力端には、さらに降圧チョッパ500が接続される。本実施形態では、降圧チョッパ500は、逆導通型半導体スイッチIと、ダイオードDjとを有する。本実施形態では、逆導通型半導体スイッチIは、半導体スイッチSiとダイオードDiの並列接続によって構成される。具体的には、ダイオードDiのアノードに半導体スイッチSiのエミッタが、ダイオードDiのカソードに半導体スイッチSiのコレクタがそれぞれ接続される。このように、逆導通型半導体スイッチIは、1つの半導体スイッチSiと、当該半導体スイッチSiに並列に接続された1つのダイオードDiとを有する。
逆導通型半導体スイッチIの一端は、整流器200の出力端の他の一つと相互に接続され、逆導通型半導体スイッチIの他端は、ダイオードDjのアノードに相互に接続される。ダイオードDjのカソードは、整流器200の出力端の一つと相互に接続される。
また、半導体スイッチSiのゲート端子Giは、制御部800と接続される。半導体スイッチSiのゲート端子Giは、制御部800から降圧チョッパ500への制御信号として、半導体スイッチSiをオンするオン信号(ゲート信号)の入力を受ける。オン信号が入力されている間、半導体スイッチSiはオン状態となり、オン信号が入力されていない間、半導体スイッチSiはオフ状態となる。
整流器200の出力端の一つには、直流リアクトル600の一端がさらに接続される。逆導通型半導体スイッチIの他端には、MERS700の直流端子cが接続される。直流リアクトル600の他端と、MERS700の直流端子bとが相互に接続される。
MERS700の出力側の接続関係は以下の通りである。
MERS700の交流端子dと、交流インダクタンス900の一端が相互に接続される。交流インダクタンス900の他端と、変流器1000の入力端の一つとが相互に接続される。MERS700の交流端子aと、変流器1000の入力端の他の一つとが相互に接続される。変流器1000の出力端の一つと溶接電極E1とが相互に接続され、他の一つと溶接電極E2とが相互に接続される。
次に、抵抗スポット溶接システムの各構成要素の機能の一例を説明する。
交流電源100は、交流電力を出力する。交流電源100は、単相交流電源であっても、三相交流電源であってもよい。
整流器200は、交流電源100から出力される交流電力を整流して直流電力にする。交流電源100が単相交流電源である場合、整流器200は単相整流回路を備えることになる。一方、交流電源100が三相交流電源である場合、整流器200は三相整流回路を備えることになる。
降圧チョッパ500は、整流器200で整流された直流電圧を降圧する。
直流リアクトル600は、降圧チョッパ500を通った直流電力を平滑化する。
MERS700は、磁気エネルギー回生スイッチの一例であり、整流器200から、降圧チョッパ500および直流リアクトル600を介して入力した直流電力を後述するようにして交流電力として出力する。
制御部800は、制御手段の一例であり、MERS700および降圧チョッパ500の動作を制御する。
MERS700の動作の詳細については後述する。
変流器1000は、MERS700から交流インダクタンス900を介して出力された交流電流を、(変流器1000の)巻数比に応じて大電流に変換し、抵抗スポット溶接機1100の溶接電極E1、E2に出力する。尚、本実施形態では、変流器1000を用いて大電流を抵抗スポット溶接機1100に供給する場合を例に挙げて示す。しかしながら、必ずしも変流器1000を用いる必要はない。例えば、MERS700を構成する各素子を前述した大電流に耐え得るもので構成すれば、変流器1000を用いる必要はない。
抵抗スポット溶接機1100は、板面が相互に重ね合わせられた複数の金属板M1、M2の重ね合わせ部の表側及び裏側に対して、溶接電極E1、E2を(図1の上下方向から挟み込むようにして)加圧しながら、当該複数の金属板M1、M2の所望の接触領域を通電することにより当該複数の金属板M1、M2の重ね合わせ部に発生するジュール熱によって、当該複数の金属板M1、M2の所望の接触領域を接合する。尚、抵抗スポット溶接機1100については、公知のものを利用することができる。抵抗スポット溶接の対象となる金属板M1、M2の材質・板厚・枚数としては、抵抗スポット溶接に適用することが可能な種々のものを採用することができる。尚、1枚の金属板の板面同士を重ね合わせて抵抗スポット溶接を行ってもよい。
以上のように本実施形態では、MERS700と、制御部800とを用いることにより、抵抗スポット溶接用電源装置を構成することができる。
(MERS700の構成)
次に、MERS700の構成の一例を説明する。
MERS700は、特許文献3等に開示されているMERSの一例である。
図1に示すように、MERS700は、ブリッジ回路と、コンデンサCとを含む。
ブリッジ回路は、2つの経路にそれぞれ2つずつ配置された4つの逆導通型半導体スイッチU、V、X、Yによって構成される。コンデンサCは、ブリッジ回路の2つの経路の間に配置される。
具体的にブリッジ回路は、交流端子aから直流端子b(逆導通型半導体スイッチU、Vの接続点)を経由して交流端子dまで到達する経路である第1の経路と、交流端子aから直流端子c(逆導通型半導体スイッチX、Yの接続点)を経由して交流端子dまで到達する経路である第2の経路とを含む。第1の経路には、交流端子dと直流端子bとの間に逆導通型半導体スイッチV(第4の逆導通型半導体スイッチ)が配置され、直流端子bと交流端子aとの間に逆導通型半導体スイッチU(第1の逆導通型半導体スイッチ)が配置される。第2の経路には、交流端子dと直流端子cとの間に逆導通型半導体スイッチY(第3の逆導通型半導体スイッチ)が配置され、直流端子cと交流端子aとの間に逆導通型半導体スイッチX(第2の逆導通型半導体スイッチ)が配置される。コンデンサCは、直流端子bと直流端子cとの間に配置される。
逆導通型半導体スイッチU、V、X、Yのそれぞれは、ゲート端子GU、GV、GX、GYにオン信号が入力していないスイッチオフ時には、電流を一方向にのみ導通させ、ゲート端子GU、GV、GX、GYにオン信号が入力しているスイッチオン時には、電流を両方向に導通させる。すなわち、逆導通半導体スイッチU、V、X、Yは、スイッチオフ時には、エミッタ端子及びコレクタ端子間の一方向において電流を導通させるが、スイッチオン時には、エミッタ端子及びコレクタ端子間の両方向において電流を導通させる。尚、以下の説明では、「各逆導通型半導体スイッチU、V、X、Yがスイッチオフ時に電流を流す方向」を、必要に応じて「順方向」と称し、スイッチオフ時に電流を流さない方向を、必要に応じて「逆方向」と称する。また、以下の説明では、「順方向および逆方向の、回路に対する接続方向」を、必要に応じて「スイッチ極性」と称する。
また、各逆導通型半導体スイッチU、V、X、Yは、それぞれスイッチの極性が以下のようになるように配置される。並列に接続された逆導通型半導体スイッチUと逆導通型半導体スイッチXは逆方向のスイッチ極性を有し、同様に、並列に接続された逆導通型半導体スイッチVと逆導通型半導体スイッチYも、逆方向のスイッチ極性を有する。また、直列に接続された逆導通型半導体スイッチUと逆導通型半導体スイッチVは、逆方向のスイッチ極性を有し、同様に、直列に接続された逆導通型半導体スイッチXと逆導通型半導体スイッチYも、逆方向のスイッチ極性を有する。よって、逆導通型半導体スイッチUと逆導通型半導体スイッチYは、順方向のスイッチ極性を有し、逆導通型半導体スイッチVと逆導通型半導体スイッチXも、順方向のスイッチ極性を有す。また、逆導通型半導体スイッチU、Yのスイッチ極性と、逆導通型半導体スイッチV、Xのスイッチ極性は、逆方向となる。
尚、図1に示すスイッチ極性は、逆導通型半導体スイッチU、Yと、逆導通型半導体スイッチV、Xとの間で、反対に構成されてもよい。
また、逆導通型半導体スイッチU、V、X、Yには、様々な構成が考えられるが、本実施形態では、半導体スイッチSU、SV、SX、SYとダイオードDU、DV、DX、DYとの並列接続によって構成されるものとする。すわなち、逆導通型半導体スイッチU、V、X、Yのそれぞれは、1つのダイオードDU、DV、DX、DYと、当該ダイオードに並列に接続された1つの半導体スイッチSU、SV、SX、SYとを有する。
また、半導体スイッチSU、SV、SX、SYのそれぞれのゲート端子GU、GV、GX、GYは、それぞれ制御部800と接続される。ゲート端子GU、GV、GX、GYは、制御部800からMERS700への制御信号として、半導体スイッチSU、SV、SX、SYをオンするオン信号(ゲート信号)の入力を受ける。オン信号が入力されている間、半導体スイッチSU、SV、SX、SYはオン状態となり、両方向に電流を導通させる。しかしながら、オン信号が入力されない場合、半導体スイッチSU、SV、SX、SYはオフ状態となり、電流をどちらの方向にも導通させない。よって、半導体スイッチSU、SV、SX、SYのオフ時には、半導体スイッチSU、SV、SX、SYに並列に接続されたダイオードDU、DV、DX、DYの導通方向にのみ、電流は導通される。
また、MERS700に含まれる逆導通型半導体スイッチは、逆導通型半導体スイッチU、V、X、Yに限定されるものではない。すなわち、逆導通型半導体スイッチは、前述した動作を示す構成であればよく、例えば、パワーMOS FET、逆導通型GTOサイリスタ等であってもよく、IGBT等の半導体スイッチとダイオードとの並列接続であってもよい。
また、逆導通型半導体スイッチU、V、X、Yのスイッチ極性を、ダイオードDU、DV、DX、DYに置き換えて説明すれば、以下のようになる。すなわち、順方向(スイッチオフ時に導通する方向)は、各ダイオードDU、DV、DX、DYの導通方向であり、逆方向(スイッチオフ時に導通しない方向)は、各ダイオードDU、DV、DX、DYの非導通方向である。また並列に接続されたダイオード同士(U・XまたはV・Y)の導通方向は、相互に逆方向であり、直列に接続されたダイオード同士(U・VまたはX・Y)の導通方向も、相互に逆方向である。また、ダイオードU、Yの導通方向は、相互に順方向であり、同様にダイオードV、Xの導通方向も相互に順方向である。よって、ダイオードU、Yと、ダイオードV、Xの導通方向は、相互に逆方向である。
以上のように、各逆導通型半導体スイッチU、V、X、Yは、順方向が以下のようになるように配置される。すなわち、逆導通型半導体スイッチUおよび逆導通型半導体スイッチYを第1のペアとし、逆導通型半導体スイッチVおよび逆導通型半導体スイッチXを第2のペアとすると、第1のペアの逆導通型半導体スイッチUおよび逆導通型半導体スイッチYは、順方向が同じ方向になるように配置され、第2のペアの逆導通型半導体スイッチVおよび逆導通型半導体スイッチXは、順方向が同じ方向になるように配置され、第1のペアと第2のペアとは、順方向が相互に逆向きになるように配置される。したがって、ブリッジ回路で対角線上に配置された逆導通型半導体スイッチ(U・YまたはV・X)は、各順方向が同方向になるように配置される。
(MERS700の動作)
MERS700では、ブリッジ回路の対角線上に配置された2つの逆導通型半導体スイッチのうち、一方の逆導通型半導体スイッチがオンすると他方の逆導通型半導体スイッチもオンする。同様に、ブリッジ回路の対角線上に配置された2つの逆導通型半導体スイッチの一方の逆導通型半導体スイッチがオフすると他方の逆導通型半導体スイッチもオフする。例えば、逆導通型半導体スイッチUがオンすると逆導通型半導体スイッチYもオンし、逆導通型半導体スイッチUがオフすると逆導通型半導体スイッチYもオフする。これらのことは、逆導通型半導体スイッチV、Xについても同じである。
また、ブリッジ回路における2つの対角線のうち、一方の対角線上に配置された2つの逆導通型半導体スイッチがオンであるときには、他方の対角線上に配置された2つの逆導通型半導体スイッチはオフとなる。例えば、逆導通型半導体スイッチU、Yがオンであるときには、逆導通型半導体スイッチV、Xはオフとなる。
図2は、スイッチングパターンと通電パターン(当該スイッチングパターンに対応する部分の通電パターン)の一例を示す図である。具体的に図2は、ゲート端子GU、GV、GX、GYに入力されるオン信号(ゲート信号)、コンデンサCの両端の電圧VC、およびMERS700の出力電流ILと、時間との関係の一例を示す。ここで、本実施形態におけるスイッチングパターンとは、図2に示す「U−Yゲート(ゲート端子GU、GY)」および「V−Xゲート(ゲート端子GV、GX)」に入力されるゲート信号のオン・オフのパターンである。また、通電パターンとは、1回の抵抗スポット溶接を行うために必要なMERS700の出力電流ILと時間との関係である。言い換えると、1回の抵抗スポット溶接における溶接電極E1、E2に対する通電パターンの継続時間(通電パターンの開始のタイミングから終了のタイミングまでの期間)が、1回の全溶接期間になる。
図2において、U−Yゲートとは、ゲート端子GU、GYに入力されるオン信号(ゲート信号)を表す。また、V−Xゲートとは、ゲート端子GV、GXに入力されるオン信号(ゲート信号)を表す。U−Yゲートの波形が立ち上がっている期間に、逆導通型半導体スイッチU、Y(半導体スイッチSU、SY)はオンとなり、U−Yゲートの波形が立ち下がっている期間に、逆導通型半導体スイッチU、Y(半導体スイッチSU、SY)はオフとなる。同様に、V−Xゲートの波形が立ち上がっている期間に、逆導通型半導体スイッチV、X(半導体スイッチSV、SX)はオンとなり、V−Xゲートの波形が立ち下がっている期間に、逆導通型半導体スイッチV、X(半導体スイッチSV、SX)はオフとなる。
尚、以下の説明では、ゲート端子GU、GYにオン信号(ゲート信号)が入力され、逆導通型半導体スイッチU、Yがオンすることを必要に応じて「U−Yゲートがオン・オフする」と称する。また、ゲート端子GV、GXにオン信号(ゲート信号)が入力され、逆導通型半導体スイッチV、Xがオン・オフすることを必要に応じて「V−Xゲートがオン・オフする」と称する。
以下に、図2に示す動作を説明する。
<図2に示す動作>
図2に示す例におけるスイッチングパターンは、ブリッジ回路における対角線のうち、一方の対角線上に配置された2つの逆導通型半導体スイッチ(U・Y又はV・X)のオン・オフを1回行った後、他方の対角線上に配置された2つの逆導通型半導体スイッチ(V・X又はU・Y)のオン・オフを1回行うことを交互に行うパターンである。
図2に示す例では、逆導通型半導体スイッチU、V、X、Yのオン・オフを2回行うたびに、逆導通型半導体スイッチU、V、X、Yのオン時間及びオフ時間を変更する。具体的に説明すると、図2に示すように、逆導通型半導体スイッチU、V、X、Yの1回のオン・オフの周期をT1→T2→T3→T1→T2→・・・の順に繰り返し変更する。
また、同一の周期T1、T2、T3における、一方の対角線上に配置された2つの逆導通型半導体スイッチ(U・YまたはV・X)のオン時間およびオフ時間と、他方の対角線上に配置された2つの逆導通型半導体スイッチ(V・XまたはU・Y)のオン時間およびオフ時間は、同じである。
図2に示すように、逆導通型半導体スイッチU、V、X、Yの1回のオン・オフの周期(T1、T2、T3)は、MERS700の出力電流ILおよび溶接電流IWの周期に対応する。すなわち、逆導通型半導体スイッチU、V、X、Yの1回のオン・オフの周波数は、MERS700の出力電流ILおよび溶接電流IWの周波数(通電周波数)に対応する。
本実施形態では、この通電周波数として、MERS700の出力端から負荷側を見たときのインダクタンスと、コンデンサCのキャパシタンス(容量)とに基づく共振周波数以下の周波数を採用する。このようにすることにより、特許文献3に記載されているようにソフトスイッチングを行うことができるからである。また、大容量の電圧源コンデンサを用いる必要がなくなるので、コンデンサCのキャパシタンスを小さくすることができる。ただし、必ずしも、通電周波数として、MERS700の出力端から負荷側を見たときのインダクタンスと、コンデンサCのキャパシタンス(容量)とに基づく共振周波数以下の周波数を採用する必要はない。
また、周波数f3(=1/T3)が前記共振周波数になるようにし、周波数f2(=1/T2)が周波数f3よりも低くなるようにし、f1(=1/T1)が周波数f2よりも低くなるようにする(すなわち、f3>f2>f1になるようにする)。
次に、図1及び図2を参照しながら、図2に示す例でのMERS700の動作を説明する。尚、図2では、説明を簡単にするため、後述する周波数の変更時に生じる溶接電流IWの大きさの変動を考慮していない。
[周波数f1(<共振周波数f3)の期間t1
(1a)U−Yゲート:オン、V−Xゲート:オフ
V−Xゲートがオフし、U−Yゲートがオンすると、MERS700の出力電流ILは、変流器1000→逆導通型半導体スイッチU→コンデンサC→逆導通型半導体スイッチYの経路を流れ、コンデンサCが充電される。したがって、MERS700の出力電流ILは減少し(0(ゼロ)に近づき)、コンデンサCの両端の電圧VCは上昇する。そして、コンデンサCの充電が完了すると、MERS700の出力電流ILは0(ゼロ)になると共に、コンデンサCの両端の電圧VCは最大値を示す。
コンデンサCの充電が完了した後、コンデンサCの放電が開始し、MERS700の出力電流ILは、コンデンサC→逆導通型半導体スイッチU→変流器1000→逆導通型半導体スイッチYの経路を流れる。したがって、MERS700の出力電流ILは0(ゼロ)から増加し(0(ゼロ)から正の値になり)、コンデンサCの両端の電圧VCは減少する。そして、コンデンサCの放電が完了すると、MERS700の出力電流ILは最大値を示すと共に、コンデンサCの両端の電圧VCは最小値(0(ゼロ))になる。
周波数f1は前記共振周波数f3よりも低いので(周期T1は周期T3より長いので)、コンデンサCの放電が完了しても、制御部800は、U−Yゲートをオフせず、U−Yゲートはオンされた状態のままであり、V−Xゲートはオフされた状態のままである。したがって、MERS700の出力電流ILは、逆導通型半導体スイッチY→ダイオードDX→変流器1000の経路と、ダイオードDV→逆導通型半導体スイッチU→変流器1000の経路に並列に流れ、還流する。このMERS700の出力電流ILは、負荷の抵抗とインダクタンスから定まる時定数に従って減少する(0(ゼロ)に近づく)。
(2a)U−Yゲート:オフ、V−Xゲート:オン
制御部800は、周波数f1の2倍の逆数の時間(周期T1の1/2倍の時間)が経過すると、U−Yゲートをオフすると共にV−Xゲートをオンする。このとき、コンデンサCの両端の電圧VCは0(ゼロ)であるから、ソフトスイッチングが実現される。
U−Yゲートがオフされると共にV−Xゲートがオンされると、MERS700の出力電流ILは、変流器1000→逆導通型半導体スイッチV→コンデンサC→逆導通型半導体スイッチXの経路を流れ、コンデンサCが充電される。したがって、MERS700の出力電流ILは減少し(0(ゼロ)に近づき)、コンデンサCの両端の電圧VCは上昇する。そして、コンデンサCの充電が完了すると、MERS700の出力電流ILは0(ゼロ)になると共に、コンデンサCの両端の電圧VCは最大値を示す。
コンデンサCの充電が完了した後、コンデンサCの放電が開始し、MERS700の出力電流ILは、コンデンサC→逆導通型半導体スイッチV→変流器1000→逆導通型半導体スイッチXの経路を流れる。したがって、MERS700の出力電流ILは0(ゼロ)から増加し(0(ゼロ)から負の値になり)、コンデンサCの両端の電圧VCは減少する。そして、コンデンサCの放電が完了すると、MERS700の出力電流ILは負の最大値を示すと共に、コンデンサCの両端の電圧VCは最小値(0(ゼロ))になる。
周波数f1は前記共振周波数f3よりも低いので、コンデンサCの放電が完了しても、制御部800は、V−Xゲートをオフせず、V−Xゲートはオンされた状態のままであり、U−Yゲートはオフされた状態のままである。したがって、MERS700の出力電流ILは、逆導通型半導体スイッチV→変流器1000→ダイオードDUの経路と、逆導通型半導体スイッチX→ダイオードDY→変流器1000の経路に並列に流れ、還流する。このMERS700の出力電流ILは、負荷の抵抗とインダクタンスから定まる時定数に従って減少する(0(ゼロ)に近づく)。
制御部800は、周波数f1の2倍の逆数の時間(周期T1の1/2倍の時間)が経過すると、V−Xゲートをオフすると共にU−Yゲートをオンする。このとき、コンデンサCの両端の電圧VCは0(ゼロ)であるから、ソフトスイッチングが実現される。
以上の前記(1a)及び前記(2a)の動作で、周期T1(1周期)の動作が終了する。以上のようにして前記(1a)の動作、前記(2a)の動作が交互に2回行われると、期間t1の動作が終了する。
[周波数f2(>周波数f1、<共振周波数f3)の期間t2
期間t2では、MERS700の出力電流ILが還流する時間が、期間t1よりも短くなる。この他のMERS700の動作は、期間t1の動作と同じであるので、期間t2におけるMERS700の動作の詳細な説明を省略する。
[周波数f3(=共振周波数)の期間t3
(1b)U−Yゲート:オン、V−Xゲート:オフ
V−Xゲートがオフし、U−Yゲートがオンすると、MERS700の出力電流ILは、変流器1000→逆導通型半導体スイッチU→コンデンサC→逆導通型半導体スイッチYの経路を流れ、コンデンサCが充電される。したがって、MERS700の出力電流ILは減少し(0(ゼロ)に近づき)、コンデンサCの両端の電圧VCは上昇する。そして、コンデンサCの充電が完了すると、MERS700の出力電流ILは0(ゼロ)になると共に、コンデンサCの両端の電圧VCは最大値を示す。
コンデンサCの充電が完了した後、コンデンサCの放電が開始し、MERS700の出力電流ILは、コンデンサC→逆導通型半導体スイッチU→変流器1000→逆導通型半導体スイッチYの経路を流れる。したがって、MERS700の出力電流ILは0(ゼロ)から増加し(0(ゼロ)から正の値になり)、コンデンサCの両端の電圧VCは減少する。そして、コンデンサCの放電が完了すると、MERS700の出力電流ILは正の最大値を示すと共に、コンデンサCの両端の電圧VCは最小値(0(ゼロ))になる。
(2b)U−Yゲート:オフ、V−Xゲート:オン
周波数f3は前記共振周波数である。したがって、制御部800は、以上のようにコンデンサCの両端の電圧VCが0(ゼロ)になった時点で、U−Yゲートをオフすると共にV−Xゲートをオンする。そうすると、MERS700の出力電流ILは、変流器1000→逆導通型半導体スイッチV→コンデンサC→逆導通型半導体スイッチXの経路を流れ、コンデンサCが充電される。したがって、MERS700の出力電流ILは減少し(0(ゼロ)に近づき)、コンデンサCの両端の電圧VCは上昇する。そして、コンデンサCの充電が完了すると、MERS700の出力電流ILは0(ゼロ)になると共に、コンデンサCの両端の電圧VCは最大値を示す。
コンデンサCの充電が完了した後、コンデンサCの放電が開始し、MERS700の出力電流ILは、コンデンサC→逆導通型半導体スイッチV→変流器1000→逆導通型半導体スイッチXの経路を流れる。したがって、MERS700の出力電流ILは0(ゼロ)から減少し(0(ゼロ)から負の値になり)、コンデンサCの両端の電圧VCは減少する。そして、コンデンサCの放電が完了すると、MERS700の出力電流ILは負の最大値を示すと共に、コンデンサCの両端の電圧VCは最小値(0(ゼロ))になる。
周波数f3は前記共振周波数である。したがって、制御部800は、以上のようにコンデンサCの両端の電圧VCが0(ゼロ)になった時点で、U−Yゲートをオンすると共にV−Xゲートをオフする。以上の前記(1b)及び前記(2b)の動作で、周期T3(1周期)の動作が終了する。以上のようにして、前記(1b)の動作、前記(2b)の動作が交互に2回行われると、期間t3の動作が終了する。
以上のように、U−YゲートおよびV−Xゲートをオン・オフするタイミングでコンデンサCの両端の電圧VCは0(ゼロ)になるので、ソフトスイッチングが実現される。
そして、図2に示す例では、1回の通電パターン(すなわち、1回の抵抗スポット溶接)を実行する過程で、以上の期間t1、t2、t3の動作が、少なくとも1回実行される。例えば、期間t1、t2、t3の動作が2回以上行われる場合には、期間t1、t2、t3の動作がこの順で繰り返し実行される。
以上のようにMERS700を用いることによって、1つの電源装置により、1回の抵抗スポット溶接を実行する過程で、溶接電流IWの周波数を変更することができる。
尚、通電パターンは、図2に示す例に限定されない。例えば、通電パターンの少なくとも一部の期間に、2つの逆導通型半導体スイッチ(V・XまたはU・Y)のみをオン・オフする期間があってもよい。また、例えば、一周期において、2つの逆導通型半導体スイッチV・Xをオンする時間と、2つの逆導通型半導体スイッチU・Yをオンする時間とを異ならせてもよい。また、例えば、一周期において、2つの逆導通型半導体スイッチU・Yをオフしたまま2つの逆導通型半導体スイッチV・Xを複数回オンした後に、2つの逆導通型半導体スイッチV・Xをオフしたまま2つの逆導通型半導体スイッチU・Yを複数回オンしてもよい。
(本発明者らが得た知見)
図3は、溶接電流IWの周波数を変更した場合の、溶接電流IWと時間との関係の一例と、MERS700のコンデンサCの電圧VCと時間との関係の一例を示す図である。図3(a)は、溶接電流IWの周波数を0.1kHzから1.0kHzに変更した場合の関係を示し、図3(b)は、溶接電流IWの周波数を1.0kHzから0.1kHzに変更した場合の関係を示す。図3では、抵抗スポット溶接機1100の金属板M1、M2を含む等価回路が、RL直列回路(R=1.08mΩ、L=0.299μH)であるものとしてコンピュータシミュレーションを行った結果を示す。
図3(a)に示すように、本発明者らは、MERS700を用いて出力電流IL(すなわち、溶接電流IW)の周波数を低周波数から高周波数に変更する際に、溶接電流IWの大きさ(振幅)が急激に変動した後に定常状態になる場合があるという知見を得た。これは、以下の理由によるものと考えられる。
MERS700の交流端子a、d(出力端)から負荷側(溶接部側)を見た場合、容量性リアクタンス(キャパシタンス)は、誘導性リアクタンス(インダクタンス)よりも十分に小さいので、MERS700の交流端子a、d(出力端)から負荷側(溶接部側)を見た場合のインピーダンスZは、低周波数の場合には小さくなり、高周波数の場合には大きくなる。したがって、溶接電極E1、E2に流れる溶接電流IWは低周波数の場合には大きくなり、高周波数の場合には小さくなる。
一方、MERS700に供給する直流電流は一定値である。MERS700の交流端子a、d(出力端)から負荷側(溶接部側)を見た場合のインピーダンスZが大きいことから、低周波数から高周波数への変更時には、直流リアクトル600の磁気エネルギーは、MERS700のコンデンサCに供給され、MERS700のコンデンサCを充電する。これによりコンデンサCの電圧VCは急増する(図3(a)のコンデンサCの電圧VCの波形を参照)。そうすると、溶接電極E1、E2に流れる溶接電流IWは、MERS700に供給する直流電流にこのコンデンサCの放電電流が重畳することになり、これにより、低周波数から高周波数への変更時には、出力電流ILが一時的に過大になり、図3(a)の溶接電流IWの波形に示すように、溶接電極E1、E2に流れる溶接電流IWも一時的に過大になる。このように溶接電流IWが過大になると、溶接電極E1、E2の損耗を早めたり、スパッタが発生したりする虞がある。
一方、高周波数から低周波数に変更する場合には、MERS700の交流端子a、d(出力端)から負荷側(溶接部側)を見た場合のインピーダンスZは小さくなることから、MERS700に供給する直流電流は、コンデンサCに流入せず、逆導通型半導体スイッチU、V、X、Yに供給されるので、コンデンサCの電圧VCは急増しない(図3(b)のコンデンサCの電圧VCの波形を参照)。従って、図3(b)の溶接電流IWの波形に示すように、溶接電極E1、E2には過大な溶接電流IWは流れない。
以上のような低周波数から高周波数への変更時の溶接電流IWの急激な変化を抑制する方法として、溶接電極E1、E2に流れる電流値を計器用変流器などで直接検出して、当該電流値が目標値になるようにMERS700の入力電圧(逆導通型半導体スイッチIの動作)を制御する方法が考えられる。しかしながら、このようにすると、新たに計測器を設置することと、新たな制御ロジックを構築する必要があることから、抵抗スポット溶接システムのコストが増加する。また、抵抗スポット溶接は、約1秒(s)程度の短時間で行われることから、制御の応答性を確保することが容易ではない。したがって、このような手法とは異なる方法により、低周波数から高周波数への変更時の溶接電流IWの急激な変化を抑制する必要がある。
そこで、本発明者らは、このような方法とは別の方法で低周波数から高周波数への変更時の溶接電流IWの急激な変化を抑制することを指向し、MERS700の交流端子a、d(出力端)から負荷側(溶接部側)を見た場合の変動の要因を調査した。
ここでは、厚みが1.6mm、大きさが20mm角の矩形の普通鋼を2枚重ね合わせたものを抵抗スポット溶接機1100にセットした状態(溶接電極E1、E2に挟んだ状態)で、それぞれの周波数における溶接電極E1、E2の直流抵抗RとインダクタンスLをLCRメータで測定した。その結果を表1に示す。
Figure 0006493093
表1において、R増分とは、各周波数fにおける直流抵抗Rの値(=R)を、周波数fが100[Hz]のときの直流抵抗Rの値(=R)で割ったものである。R2増分とは、各周波数fにおける直流抵抗Rの2乗の値(=R2)を、周波数fが100[Hz]のときの直流抵抗Rの2乗の値(=R2)で割ったものである。L増分とは、各周波数fにおけるインダクタンスLの2乗の値(=L)を、周波数fが100[Hz]のときのインダクタンスLの値(=L)で割ったものである(ωL)2増分とは、各周波数fにおける誘導性リアクタンスωLの2乗の値(=(ωL)2)を、周波数fが100[Hz]のときの誘導性リアクタンスωLの2乗の値(=(ωL)2)で割ったものである。
表1に示すように、MERS700の交流端子a、d(出力端)から負荷側(溶接部側)を見た場合のインピーダンスZの増加の主要因は、周波数fの増加であり、直流抵抗RおよびインダクタンスLの増加は、周波数fの増加に比べて十分に小さい。したがって、溶接電流IWの周波数を低周波数から高周波数へ変更した際の、MERS700の交流端子a、d(出力端)から負荷側(溶接部側)を見た場合のインピーダンスZは、金属板M1、M2の総板厚、種類、および材質に依存せず、周波数に依存すると言える。
このことから、第1の周波数から第2の周波数に溶接電流IWの周波数を上げる過程において、当該第1の周波数を上回り且つ当該第2の周波数を下回る少なくとも1つ、好ましくは2つの中間周波数で通電を行うことにより、当該第1の周波数から当該第2の周波数に溶接電流IWの周波数を直接変更する場合よりも、周波数を変更する際に生じる溶接電流IWの大きさの急激な変動を抑制することができると言える。また、第1の周波数から第2の周波数に溶接電流IWを上げるのに要する時間は、短い方が好ましいことから、当該第1の周波数から当該第2の周波数に変更するのに要する時間の上限値は、1回の抵抗スポット溶接の全溶接期間の2%の時間であるのが好ましい。また、第1の周波数から第2の周波数に溶接電流IWの周波数を上げる過程で中間周波数による通電の実施を確保する観点から、当該第1の周波数から当該第2の周波数に変更するのに要する時間の下限値は、1回の抵抗スポット溶接の全溶接期間の1%の時間であるのが好ましい。すなわち、1回の抵抗スポット溶接の全溶接期間の1%〜2%の時間内に、第1の周波数から第2の周波数に溶接電流IWの周波数を変更するのが好ましい。この1回の抵抗スポット溶接の全溶接期間の1%〜2%の時間において、中間周波数での通電が行われる。
また、1回の抵抗スポット溶接の全溶接期間において、第1の周波数と第2の周波数との組みが2以上あってもよい。例えば、1回の抵抗スポット溶接の全溶接期間において、第1の周波数から第2の周波数に溶接電流IWの周波数を上げた後、第2の周波数から第3の周波数に溶接電流IWの周波数を上げてもよい。この場合、第1の周波数から第2の周波数に溶接電流IWの周波数を上げる過程と、第2の周波数から第3の周波数に溶接電流IWの周波数を上げる過程との少なくとも何れか一方において、中間周波数での通電が行われる。
また、1回の抵抗スポット溶接の全溶接期間において、相対的に低い周波数から相対的に高い周波数に変更することを少なくとも1回行っていれば、当該変更の前と後の少なくとも何れか一方において、相対的に高い周波数から相対的に低い周波数に変更してもよい。例えば、第1の周波数から第2の周波数に溶接電流IWの周波数を上げた後、第2の周波数から第3の周波数に溶接電流IWの周波数を下げてもよい。前述したように、溶接電流IWの周波数を下げる際には、周波数を変更する際に生じる溶接電流IWの大きさの変動は小さいので、高い周波数から低い周波数に直接変更する。
本発明者らは、溶接部の溶融状態から、凝固過程において、溶接電極E1、E2に流れる電流の周波数を増加することで、凝固組織の改質が可能であることを見出した。ここで、第1の周波数および第2の周波数としては、主として、金属板M1、M2の種類・材質・総板厚、溶接条件によって、種々の値をとり得るが、本発明者らは、第1の周波数から第2の周波数に変更する過程で、第2の周波数が第1の周波数の3倍以上となる場合は、第2の周波数に変更した直後に溶接電極E1、E2に流れる電流の変動が大きくなることを見出した。また、本発明者らは、第2の周波数において金属板M1、M2を流れる電流の通電路は、高周波化するにつれ拡散し、金属板M1、M2の端部まで広がることになることを見出し、さらに、種々の実験結果により、凝固組織を改質させる観点から、第2の周波数は第1の周波数の10倍以下であることが必要であることを見出した。ここでは、以上の観点から、第2の周波数が第1の周波数の3倍以上、10倍以下である場合において、第1の周波数から第2の周波数に溶接電流IWの周波数を上げる際の電流変動抑制条件(溶接電流IWの大きさが急激に変動することを抑制するための条件)を検討した。
その結果、第2の周波数が第1の周波数の3倍以上、10倍以下である場合には、以下の(A)〜(C)の全ての条件を満たすのが好ましいことを見出した。
(A)第1の周波数から第2の周波数に溶接電流IWの周波数を上げる過程において設定される中間周波数の数が2以上(溶接電流IWの周波数の変更回数が3回以上)である。
(B)中間周波数の増加率Δf/Δtが50kHz/s以上である。
(C)中間周波数のサイクルの数が5未満である。
ここで、中間周波数は、第1の周波数を上回り且つ第2の周波数を下回る周波数である。中間周波数の増加率Δf/Δtとは、当該中間周波数における周波数の増加量(当該中間周波数から当該中間周波数に変更する直前の周波数(第1の周波数または当該中間周波数とは別の中間周波数)を減算した値)Δfを、当該中間周波数の継続時間Δtで割った値である。また、中間周波数のサイクルの数は、当該中間周波数と当該中間周波数の継続時間との積である。
中間周波数の数が1以下であると、周波数を急激に変動させなければならない。したがって、溶接電流IWの大きさの急激な変動を抑制することができない。このような条件の中で中間周波数の数(周波数の変更の回数)を可及的に少なくすることが好ましい。中間周波数は溶接部に本来与えるべき周波数ではなく、また、前述したように、1回の抵抗スポット溶接の全溶接期間の1%〜2%の時間内に第1の周波数から第2の周波数に周波数を変更する必要があるからである。このような観点から、中間周波数の増加率Δf/Δtが50kHz/s以上であり、且つ、中間周波数のサイクルの数が5未満であるという条件が設定される。これらの条件を満たさないと、中間周波数の数(周波数の変更の回数)が過大になる。
図4〜図8は、溶接電流IWの周波数を変更した場合の、溶接電流IW、MERS700のコンデンサCの電圧VC、U−Yゲート、およびX−Vゲートと、時間との関係の一例を示す図である。U−YゲートおよびX−Vゲートの意味は、図2を参照しながら説明した通りである。
また、図4〜図8でも、図3と同様に、抵抗スポット溶接機1100の金属板M1、M2を含む等価回路が、RL直列回路(R=1.08mΩ、L=0.299μH)であるものとしてコンピュータシミュレーションを行った結果を示す。また、図4〜図8に示す何れの場合も、1回の抵抗スポット溶接の全溶接期間は1秒(s)である。
図4は、溶接を開始してから0.210sが経過した時点で、溶接電流IWの周波数を0.1kHzから1.0kHzに変更した場合の関係を示す(0〜0.210s:0.1kHz、0.210s〜1s:1.0kHz)。
図5は、溶接を開始してから0.200sが経過した時点で、溶接電流IWの周波数を0.1kHzから0.5kHzに変更し、溶接を開始してから0.210sが経過した時点で、溶接電流IWの周波数を0.5kHzから1.0kHzに変更した場合の関係を示す(0〜0.200s:0.1kHz、0.200s〜0.210:0.5kHz、0.210s〜1s:1.0kHz)。
図6は、溶接を開始してから0.200sが経過した時点で、溶接電流IWの周波数を0.1kHzから0.5kHzに変更し、溶接を開始してから0.205sが経過した時点で、溶接電流IWの周波数を0.5kHzから0.9kHzに変更し、溶接を開始してから0.210sが経過した時点で、溶接電流IWの周波数を0.9kHzから1.0kHzに変更した場合の関係を示す(0〜0.200s:0.1kHz、0.200s〜0.205:0.5kHz、0.205s〜0.210s:0.9kHz、0.210s〜1s:1.0kHz)。
図7は、溶接を開始してから0.200sが経過した時点で、溶接電流IWの周波数を0.1kHzから0.5kHzに変更し、溶接を開始してから0.204sが経過した時点で、溶接電流IWの周波数を0.5kHzから0.7kHzに変更し、溶接を開始してから0.206sが経過した時点で、溶接電流IWの周波数を0.7kHzから0.8kHzに変更し、溶接を開始してから0.208sが経過した時点で、溶接電流IWの周波数を0.8kHzから0.9kHzに変更し、溶接を開始してから0.210sが経過した時点で、溶接電流IWの周波数を0.9kHzから1.0kHzに変更した場合の関係を示す(0〜0.200s:0.1kHz、0.200s〜0.204:0.5kHz、0.204s〜0.206s:0.7kHz、0.206s〜0.208:0.8kHz、0.208s〜0.210:0.9kHz、0.210s〜1s:1.0kHz)。
図8は、溶接を開始してから0.200sが経過した時点で、溶接電流IWの周波数を0.1kHzから0.3kHzに変更し、溶接を開始してから0.202sが経過した時点で、溶接電流IWの周波数を0.3kHzから0.5kHzに変更し、溶接を開始してから0.204sが経過した時点で、溶接電流IWの周波数を0.5kHzから0.7kHzに変更し、溶接を開始してから0.206sが経過した時点で、溶接電流IWの周波数を0.7kHzから0.8kHzに変更し、溶接を開始してから0.208sが経過した時点で、溶接電流IWの周波数を0.8kHzから0.9kHzに変更し、溶接を開始してから0.210sが経過した時点で、溶接電流IWの周波数を0.9kHzから1.0kHzに変更した場合の関係を示す(0〜0.200s:0.1kHz、0.200s〜0.202:0.3kHz、0.202s〜0.204s:0.5kHz、0.204s〜0.206:0.7kHz、0.206s〜0.208:0.8kHz、0.208s〜0.210:0.9kHz、0.210s〜1s:1.0kHz)。
図4〜図8に示すように、ここでは、第2の周波数が第1の周波数の3倍以上、10倍以下である条件の一例として、第1の周波数が0.1kHzであり、第2の周波数が1.0kHzである場合を示す。前述したように図4は、溶接電流IWの周波数を0.1kHzから1.0kHzに直接変更した場合の関係を示す。一方、図5〜図8は、その変更の過程において、中間周波数に変更した場合の関係を示す。図5〜図8では、中間周波数の数と、中間周波数における溶接電流IWのサイクルの数を異ならせている。
このような図4〜図8に示す溶接電流IWと時間との関係から、溶接電流IWの周波数を低周波数から高周波数に変更する際の溶接電流IWの大きさの変動を評価した。ここでは、溶接電流IWの周波数を低周波数から高周波数に変更する際の溶接電流IWの大きさの変動を表す指標として、以下に説明するオーバーシュートβを採用した。
図9は、オーバーシュートβを説明する図である。
図9において、周波数を変更した直後の溶接電流IWのピーク値をAとし、周波数を変更した後の定常時の溶接電流IWのピーク値をBとすると、オーバーシュートβは、以下の(1)式で定義される。
β={(A−B)/B}×100 ・・・(1)
本発明者らは、種々の通電パターンで抵抗スポット溶接を行った結果から、オーバーシュートβが10%以下であれば、溶接電極E1、E2の損耗やスパッタの発生を実用上問題ないレベルに抑えることができることを確認した。
そして、本発明者らは、第2の周波数が第1の周波数の3倍以上、10倍以下である場合には、金属板M1、M2の種類・材質・総板厚、溶接条件に関わらず、前述した(A)〜(C)の条件を全て満たすと、オーバーシュートβが10%以下になり、前述した(A)〜(C)の条件を全て満たさないと、オーバーシュートβが10%以下にならないことを確認した。図4〜図8を例に挙げて、その結果を表2に示す。
Figure 0006493093
表2において、Δfは、周波数の増加量であり、変更後の周波数から変更前の周波数を減算した値である。
Δf/Δtは、中間周波数の増加率である。前述したように、中間周波数の増加率Δf/Δtは、当該中間周波数における周波数の増加量Δfを、当該中間周波数の継続時間Δtで割った値である。例えば、表2において、ケース(図6)の0.9kHzの継続時間Δtは0.005sであるので、Δf/Δtは、80.0(=(0.9−0.5)/0.005)になる。尚、前述したように図4〜図8では、溶接電流IWの周波数を0.1kHzから1.0kHzに変更するので、中間周波数は、0.1kHzを上回り、1.0kHzを下回る周波数である。したがって、表2に示すように、0.1kHz、1.0kHzにおいては、中間周波数の増加率Δf/Δtは算出されない。
図4、図5、図6、図7、図8に示す結果では、オーバーシュートβは、それぞれ18.2%(={(14.796−12.519)/12.519}×100)、20.7%(={(15.108−12.518)/12.518}×100)、3.4%(={(12.950−12.519)/12.519}×100)、2.9%(={(12.862−12.503)/12.503}×100)、2.3%(={(12.797−12.515)/12.515}×100)である。したがって、表2において、図4および図5のケースでは、判定は「×」になる。すなわち、図4および図5のケースでは、オーバーシュートβを10%以下にすることができず、溶接電流IWの周波数の変更時に、溶接電流IWの大きさが急激に変動すると評価することができる。一方、図6〜図8のケースでは、判定は「○」になる。すなわち、図6〜図8のケースでは、オーバーシュートβを10%以下にすることができ、溶接電流IWの周波数の変更時に、溶接電流IWの大きさが急激に変動しないと評価することができる。
尚、本発明者らは、第2の周波数が第1の周波数の3倍以上、10倍以下である場合には、図6〜図8のケースに限らず、前述した(A)〜(C)の条件を全て満たすと、オーバーシュートβが10%以下になり、前述した(A)〜(C)の条件を全て満たさないと、オーバーシュートβが10%以下にならないことを確認している。
(通電パターンの設定)
抵抗スポット溶接を行うことにより形成される溶接継手の品質に影響を与える所定の1つまたは複数の因子により定まる溶接条件に応じた適切な通電パターンを、例えば模擬実験を行って特定し、特定した通電パターンを制御部800に記憶する。この通電パターンには、当該通電パターンの継続時間(すなわち、1回の抵抗スポット溶接の全期間)の1%〜2%の時間内において、前述した(A)〜(C)の条件を全て満たすように、第1の周波数から第2の周波数に溶接電流IWの周波数を上げることが少なくとも1つ含まれる。制御部800は、この通電パターンに基づいて、半導体スイッチSU、SV、SX、SYのオン・オフを制御する。
(まとめ)
以上のように、本実施形態では、MERS700を用いて、1回の抵抗スポット溶接において、溶接電流IWの周波数を第1の周波数から第2の周波数に上げる際に、当該第1の周波数を上回り且つ当該第2の周波数を下回る少なくとも1つの中間周波数での通電を所定の期間行ってから当該第2の周波数に溶接電流IWの周波数を変更する。したがって、溶接電流IWの周波数を1つの電源装置で制御するに際し、溶接電流IWの周波数の変更時に生じる溶接電流IWの大きさの急激な変動を抑制することができる。
また、本実施形態では、1回の抵抗スポット溶接の全溶接期間の1%〜2%の時間内において、溶接電流IWの周波数を第1の周波数から第2の周波数に上げる。したがって、可及的に速やかに所望の周波数(第2の周波数)に変更することができる。
また、本実施形態では、第2の周波数が第1の周波数の3倍以上、10倍以下である場合に、前述した(A)〜(C)の条件を全て満たすようにする。したがって、オーバーシュートβを10%以下にすることができる。
このように、第2の周波数が第1の周波数の3倍以上、10倍以下である場合に、前述した(A)〜(C)の条件を全て満たすようにすると、オーバーシュートβを10%以下にすることができるので好ましい。しかしながら、1回の抵抗スポット溶接の期間内において、溶接電流の周波数を第1の周波数から第2の周波数に上げる際に、少なくとも1つの中間周波数を設定する場合の方が、設定しない場合よりも、オーバーシュートβを低減することができ、且つ、抵抗スポット溶接により凝固組織の改質ができれば、必ずしも、第2の周波数を第1の周波数の3倍以上10倍以下とし、前述した(A)〜(C)の条件を全て満たす必要はない。すなわち、前述したように、1回の抵抗スポット溶接において、溶接電流IWの周波数を第1の周波数から第2の周波数に上げる際に、当該第1の周波数を上回り且つ当該第2の周波数を下回る少なくとも1つの中間周波数での通電を所定の期間行ってから当該第2の周波数に溶接電流IWの周波数を変更していればよい。
尚、以上説明した本発明の実施形態における制御部800の処理は、コンピュータがプログラムを実行することによって実現することができる。また、前記プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体及び前記プログラム等のコンピュータプログラムプロダクトも本発明の実施形態として適用することができる。記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等を用いることができる。
また、以上説明した本発明の実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
100:交流電源、200:整流器、300:抵抗、400:コンデンサ、500:降圧チョッパ、600:直流リアクトル、700:MERS、800:制御部、900:交流インダクタンス、1000:変流器、1100:抵抗スポット溶接機

Claims (4)

  1. 金属板の板面同士の重ね合わせ部の表側および裏側に対して溶接電極を加圧しながら通電することにより当該金属板の重ね合わせ部に発生するジュール熱によって、当該金属板の重ね合わせ部を抵抗スポット溶接するために、当該溶接電極に電力を供給する抵抗スポット溶接用電源装置であって、
    4個の逆導通型半導体スイッチにて構成されるブリッジ回路と、当該ブリッジ回路の直流端子間に接続され、磁気エネルギーを蓄積するコンデンサと、を有する磁気エネルギー回生スイッチと、
    前記磁気エネルギー回生スイッチのスイッチ動作を制御することにより、前記溶接電極に流れる溶接電流の周波数を制御する制御手段と、を有し、
    前記制御手段は、前記磁気エネルギー回生スイッチのスイッチ動作を制御することにより、1回の前記抵抗スポット溶接の期間内において、前記溶接電流の周波数を第1の周波数から第2の周波数に上げる際に、当該第1の周波数を上回り且つ当該第2の周波数を下回る少なくとも1つの中間周波数に前記溶接電流の周波数を変更してから、当該第2の周波数に前記溶接電流の周波数を変更することを特徴とする抵抗スポット溶接用電源装置。
  2. 前記制御手段は、1回の前記抵抗スポット溶接の全溶接期間の1%から2%の時間内に、前記溶接電流の周波数を、前記第1の周波数から前記第2の周波数に上げることを特徴とする請求項1に記載の抵抗スポット溶接用電源装置。
  3. 前記第2の周波数は、前記第1の周波数の3倍以上、10倍以下であり、
    前記第1の周波数から前記第2の周波数に前記溶接電流の周波数を上げる過程において設定される前記中間周波数の数は、2以上であり、
    前記中間周波数の増加率は、50kHz/s以上であり、
    前記中間周波数のサイクルの数は、5未満であり、
    前記中間周波数の増加率は、当該中間周波数から、当該中間周波数に変更する直前の周波数を減算した値を、当該中間周波数の継続時間で割った値であり、
    前記中間周波数のサイクルの数は、当該中間周波数と当該中間周波数の継続時間との積であることを特徴とする請求項1または2に記載の抵抗スポット溶接用電源装置。
  4. 前記ブリッジ回路は、第1の逆導通型半導体スイッチ、第2の逆導通型半導体スイッチ、第3の逆導通型半導体スイッチ、および第4の逆導通型半導体スイッチを有し、
    前記第1の逆導通型半導体スイッチと前記第4の逆導通型半導体スイッチは、スイッチオフ時の導通方向を相互に逆向きにして第1の経路に直列に配置され、
    前記第2の逆導通型半導体スイッチと前記第3の逆導通型半導体スイッチは、スイッチオフ時の導通方向を相互に逆向きにして第2の経路に直列に配置され、
    前記第1の逆導通型半導体スイッチと前記第3の逆導通型半導体スイッチのスイッチオフ時の導通方向は同じであり、
    前記コンデンサは、前記第1の経路の領域のうち、前記第1の逆導通型半導体スイッチと前記第4の逆導通型半導体スイッチとの間の領域と、前記第2の経路の領域のうち、前記第2の逆導通型半導体スイッチと前記第3の逆導通型半導体スイッチとの間の領域との間に接続され、
    前記制御手段は、前記第1の逆導通型半導体スイッチおよび前記第3の逆導通型半導体スイッチと、前記第2の逆導通型半導体スイッチおよび前記第4の逆導通型半導体スイッチと、の少なくとも何れか一方のオン時間とオフ時間とを制御することにより、前記溶接電極に流れる溶接電流の周波数を制御することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の抵抗スポット溶接用電源装置。
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