JP6489931B2 - コンクリート表面被覆層形成用積層フィルム - Google Patents

コンクリート表面被覆層形成用積層フィルム Download PDF

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Description

本発明は、コンクリート表面被覆層形成用積層フィルムに関し、更に詳しくは、コンクリート表面を傷付きから保護するための保護性と、コンクリート表面を平滑にして意匠性を向上させるための表面平滑性に優れたコンクリート表面被覆層を形成するための積層フィルムに関するものである。
建材であるコンクリート、例えば、軽量気泡コンクリート(ALC)の表面には、下地材の保護や、水の侵入による性能低下の防止、炭酸ガスの侵入による中性化の防止等のため、塗装を施して被覆層が形成されている。特に、軽量気泡コンクリートは、製造工場内でボード化されて建設現場に持ち込まれ、これを骨組みに敷設して建築物が形成され、その後、外壁面側に塗装が施されることが一般的である。かかる軽量気泡コンクリートボードは、発泡構造であるために輸送の際に欠け等の破損が発生しやすいという点、輸送および施工時に、やはり発泡構造のために微細な割れや欠け等からの粉塵が落ちやすいという点、およびその表面の発泡構造による凹凸で意匠性を付与しづらいという点等、種々の問題点を有している。
このようなコンクリート、とりわけ軽量気泡コンクリートボードの表面に被覆層を形成するに際しては塗装の手法が採用されることが多い。塗装については、「下塗」、「中塗」、「上塗」のように塗材を重ね塗りすることが一般的で、これらの塗材は液体に分散あるいは希釈されたものが多く、かかる塗材をコンクリート、とりわけ軽量気泡コンクリートボードの表面に塗布しては液体成分を乾燥するといったことを繰り返し行うことが多い。
しかし、塗材を形成する液体成分が有機溶剤の場合は、臭気の問題や人体への悪影響が懸念されるものであり、重ね塗りによる有機溶剤の暴露は作業上の問題となっている。この問題点を改善するため、エマルジョン化の技術を利用して液体成分を水に代える方法が現在ではかなり普及している。しかしながら、この場合も乾燥するのに相当の時間を要するため、重ね塗りを想定するとその塗装にかなりの時間を要するという問題点が新たに生じるものであった。
また、コンクリート表面に塗装を施して被覆層を形成する他の方法として、ケイ酸質原料パウダーを混入した熱硬化性樹脂紛体をコンクリート表面に塗布し、オートクレーブ養生により熱硬化性樹脂紛体を硬化させる方法なども提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開平11−79869号公報
しかしながら、上記特許文献1の開示技術では、コンクリート表面に被覆層を形成するに当たり、静電スプレー等で塗布する必要があり、生産性、作業性に劣るものであった。また、コンクリート表面の保護性や、コンクリート表面を平滑にして意匠性を向上させるための表面平滑性の点でも更なる改良が求められるものであった。
そこで、本発明では、このような背景下において、生産性、作業性に優れ、更に、コンクリート表面の保護性や表面平滑性に優れる被覆層を形成することを目的とする。
しかるに、本発明者はかかる事情に鑑み鋭意研究を重ねた結果、硬化性樹脂組成物を用いてコンクリート表面に被覆層を形成するにあたり、硬化性樹脂組成物[i]からなる層[I]と、支持フィルム[II]との積層フィルムをコンクリート表面に貼合し、硬化性樹脂組成物層[I]を硬化させることにより、生産性、作業性に優れ、更に、コンクリート表面の保護性や表面平滑性に優れる被覆層が形成されることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明の要旨は、硬化性樹脂組成物[i]からなる層[I]と、支持フィルム[II]とが積層されてなり、硬化性樹脂組成物[i]が、バインダーポリマー(A)、不飽和基を1個以上有する反応性オリゴマー(B)、不飽和基を1個以上有する反応性モノマー(C)及び重合開始剤(D)を含有してなる硬化性樹脂組成物であり、バインダーポリマー(A)が、(メタ)アクリル系樹脂(a1)であることを特徴とするコンクリート表面被覆層形成用積層フィルムである。
本発明のコンクリート表面被覆層形成用積層フィルムは、コンクリート表面に被覆層を形成するにあたり、生産性、作業性に優れ、更に、コンクリート表面の保護性や表面平滑性に優れる効果を奏するものである。
図1は本発明のコンクリート表面被覆層形成用積層フィルムを模式的に示す断面図である。 図2は本発明のコンクリート表面被覆層形成用積層フィルムを用いてコンクリートの表面に被覆層を形成する工程を模式的に示す断面図である。
以下、本発明を詳細に説明するが、これらは望ましい実施態様の一例を示すものである。
本発明のコンクリート表面被覆層形成用積層フィルムは、硬化性樹脂組成物[i]からなる層[I]と、支持フィルム[II]とが積層されてなることを特徴とする。
以下、硬化性樹脂組成物[i]について説明する。
本発明で用いる硬化性樹脂組成物[i]は、熱及び/または活性エネルギー線により硬化しうる樹脂組成物であり、好ましくは、より高い耐候性を付与するという点で、熱硬化性樹脂組成物である。
かかる硬化性樹脂組成物[i]としては、好ましくは、不飽和基を有する化合物を含有してなる硬化性樹脂組成物である。不飽和基を有する化合物としては、例えば、不飽和基を1個以上有する反応性オリゴマーや反応性モノマーが挙げられる。
本発明で用いる硬化性樹脂組成物[i]は、バインダーポリマー(A)、不飽和基を1個以上有する反応性オリゴマー(B)、不飽和基を1個以上有する反応性モノマー(C)及び重合開始剤(D)を含有してなるものである。
以下、各成分について説明する。
<バインダーポリマー(A)>
本発明におけるバインダーポリマー(A)は、未硬化膜の適度な柔軟性および表面の粘着性抑制、硬化膜の耐久性向上および硬度の調整の目的で用いるものであり、例えば、(メタ)アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂等が挙げられる。中でも、硬化膜の耐久性および硬度の調整を容易にするという点で(メタ)アクリル系樹脂(a1)が好ましく、本発明ではバインダーポリマー(A)として(メタ)アクリル系樹脂(a1)が用いられる。
以下、(メタ)アクリル系樹脂(a1)について更に具体的に説明する。
なお、(メタ)アクリルはアクリルまたはメタクリルを、(メタ)アクリレートはアクリレートまたはメタクリレートを表す。
〔(メタ)アクリル系樹脂(a1)〕
本発明における(メタ)アクリル系樹脂(a1)とは、(メタ)アクリル系モノマーを含有するモノマー成分を重合してなるものである。(メタ)アクリル系樹脂(a1)は、1種を単独で又は2種以上を併せて用いることができる。
(メタ)アクリル系樹脂(a1)は、好ましくは、(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(a2)を主たる重合成分として含有し、必要に応じて、官能基含有モノマー(a3)、その他の共重合性モノマー(a4)を共重合成分とすることもできる。
かかる(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(a2)としては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル等の脂肪族系(メタ)アクリル酸エステル系モノマー、(メタ)アクリル酸フェニルエステル等の芳香族系(メタ)アクリル酸エステル系モノマーが挙げられる。
かかる(メタ)アクリル酸アルキルエステルについては、アルキル基の炭素数が、通常1〜12、特には1〜8、更には4〜8であることが好ましく、具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、かかる(メタ)アクリル酸フェニルエステルとしては、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
その他の(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(a2)としては、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を併せて用いることができる。
かかる(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(a2)の中でも、共重合性、粘着物性、取り扱いやすさ及び原料入手しやすさの点で、メチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートが好ましく用いられる。
官能基含有モノマー(a3)としては、例えば、水酸基含有モノマー、カルボキシル基含有モノマー、アルコキシ基含有モノマー、フェノキシ基含有モノマー、アミド基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、その他の窒素含有モノマー、グリシジル基含有モノマー、リン酸基含有モノマー、スルホン酸基含有モノマー等が挙げられ、これらは1種を単独で又は2種以上を併せて用いることができる。
上記水酸基含有モノマーとしては、例えば、1級水酸基含有モノマー、2級水酸基含有モノマー、3級水酸基含有モノマー等が挙げられる。1級水酸基含有モノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、5−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、10−ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、(4−ヒドロキシメチルシクロへキシル)メチル(メタ)アクリレート等の1級水酸基含有の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル;カプロラクトン変性2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等のカプロラクトン変性モノマー;2−アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタル酸;N−メチロール(メタ)アクリルアミド;N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。2級水酸基含有モノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の2級水酸基含有の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル;2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート;3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート;2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。3級水酸基含有モノマーとしては、例えば、2,2−ジメチル−2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、上記水酸基含有モノマーとして、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のポリエチレングリコール誘導体、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のポリプロピレングリコール誘導体、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール−モノ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール−テトラメチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、ポリ(プロピレングリコール−テトラメチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート等のオキシアルキレン変性モノマーを用いてもよい。
上記カルボキシル基含有モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、アクリルアミドN−グリコール酸、ケイ皮酸、(メタ)アクリル酸のミカエル付加物(例えば、アクリル酸ダイマー、メタクリル酸ダイマー、アクリル酸トリマー、メタクリル酸トリマー、アクリル酸テトラマー、メタクリル酸テトラマー等)、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルジカルボン酸モノエステル(例えば、2−アクリロイルオキシエチルコハク酸モノエステル、2−メタクリロイルオキシエチルコハク酸モノエステル、2−アクリロイルオキシエチルフタル酸モノエステル、2−メタクリロイルオキシエチルフタル酸モノエステル、2−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸モノエステル、2−メタクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸モノエステル等)等が挙げられる。なお、かかるカルボキシル基含有モノマーは、酸のまま用いても良いし、アルカリで中和された塩の形で用いても良い。
上記アルコキシ基含有モノマーとしては、例えば、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、2−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−ブトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、オクトキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール−モノ(メタ)アクリレート、ラウロキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ステアロキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等の脂肪族系の(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられ、フェノキシ基含有モノマーとしては、例えば、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノールエチレンオキサイド付加物(メタ)アクリレート等の芳香族系の(メタ)アクリレートのアクリル酸エステル等が挙げられる。
上記アミド基含有モノマーとしては、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−(n−ブトキシアルキル)アクリルアミド、N−(n−ブトキシアルキル)メタクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、アクリルアミド−3−メチルブチルメチルアミン、ジメチルアミノアルキルアクリルアミド、ジメチルアミノアルキルメタクリルアミド等が挙げられる。
上記アミノ基含有モノマーとしては、例えば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートやその4級化物等が挙げられる。
上記アミド基含有モノマーおよび上記アミノ基含有モノマーを除くその他の窒素含有モノマーとしては、例えば、アクリロイルモルフォリン等が挙げられる。
上記グリシジル基含有モノマーとしては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等が挙げられる。
上記リン酸基含有モノマーとしては、例えば、2−(メタ)アクリロイロキシエチルアシッドホスフェート、ビス(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)アシッドホスフェート等が挙げられる。
上記スルホン酸基含有モノマーとしては、例えば、エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸等のオレフィンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸あるいはその塩等が挙げられる。
その他の共重合性モノマー(a4)としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、スチレン、α−メチルスチレン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アルキルビニルエーテル、ビニルトルエン、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、イタコン酸ジアルキルエステル、フマル酸ジアルキルエステル、アリルアルコール、アクリルクロライド、メチルビニルケトン、N−アクリルアミドメチルトリメチルアンモニウムクロライド、アリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルアリルビニルケトン等のモノマーが挙げられる。
また、高分子量化を目的とする場合、エチレングリコールジ(メタ) アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン等のエチレン性不飽和基を二つ以上有する化合物等を併用することもできる。
(メタ)アクリル系樹脂(a1)において、(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(a2)、官能基含有モノマー(a3)、及びその他共重合性モノマー(a4)の含有割合は、(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(a2)が好ましくは10〜100重量%、特に好ましくは20〜95重量%であり、官能基含有モノマー(a3)が好ましくは0〜90重量%、特に好ましくは5〜80重量%であり、その他共重合性モノマー(a4)が好ましくは0〜50重量%、特に好ましくは5〜40重量%である。
本発明における(メタ)アクリル系樹脂(a1)としては、不飽和基を1個以上有する反応性オリゴマー(B)として好適なウレタン(メタ)アクリレート系化合物との相溶性に優れる点で、また出来上がる被覆層の耐候性および硬度を調整するという点で、メチル(メタ)アクリレートを重合成分とする重合体であることが好ましく、特にはメチルメタクリレートを重合成分とする重合体であることが好ましく、更にはポリメチルメタクリレートであることが好ましい。
本発明においては、上記(a2)〜(a4)のモノマー成分を重合することにより(メタ)アクリル系樹脂(a1)を製造することができる。かかる重合は、溶液ラジカル重合、懸濁重合、塊状重合、乳化重合などの従来公知の方法により行うことができる。例えば、有機溶媒中に、上記(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(a2)、官能基含有モノマー(a3)、その他の共重合性モノマー(a4)等の重合モノマー、重合開始剤(アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソバレロニトリル、過酸化ベンゾイル等)を混合あるいは滴下し、還流状態あるいは50〜90℃で2〜20時間重合する。
上記重合反応に用いられる有機溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ヘキサン等の脂肪族炭化水素類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の脂肪族アルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類等が挙げられる。
(メタ)アクリル系樹脂(a1)のガラス転移温度(Tg)は、通常、40〜120℃、好ましくは60〜110℃である。かかるガラス転移温度が高すぎると硬化性樹脂組成物[i]を調製する際に配合できる(メタ)アクリル系樹脂(a1)の量が制限され、被覆層の耐久性と柔軟性の調整範囲が狭められ、ひいては被覆層の耐久性が低下したり、硬くなりすぎて強度が低下する傾向があり、ガラス転移温度が低すぎると被覆層の熱耐久性が低下する傾向がある。
なお、上記ガラス転移温度(Tg)は、以下のFoxの式より算出されるものである。
1/Tg=w1/Tg1+w2/Tg2+・・・・・・・・・・・・Wk/Tgk
但し、Tgは共重合体のガラス転移温度であり、Tg1,Tg2,・・・・・・・・Tgkは各単量体成分の単独共重合体のTgであり、w1,w2,・・・・・・・・・・wkは各単量体成分のモル分率を表し、w1+w2+・・・・・・・・・wk=1である。
かくして得られる(メタ)アクリル系樹脂(a1)の重量平均分子量については、通常、1万〜300万、好ましくは2万〜250万である。
かかる重量平均分子量が小さすぎると、未硬化の硬化性樹脂組成物が軟弱になるとともに、必要以上に粘着性が高くなり、ハンドリング性が低下する傾向があり、さらに硬化後の硬化性樹脂組成物が脆くなってしまう傾向がある。また、かかる重量平均分子量が大きすぎると、塗工前の硬化性樹脂組成物の粘度が高くなりすぎたり、あるいは濃度を高めることが困難になるなどの塗工性の低下を招く傾向があり、さらには硬化前の硬化性樹脂組成物の柔軟性が失われてロール状に巻き取ることが困難になるなどの傾向がある。
尚、上記の重量平均分子量は、標準ポリスチレン分子量換算によるものであり、高速液体クロマトグラフィー(日本Waters社製、「Waters2695(本体)」と「Waters2414(検出器)」)に、カラム:Shodex GPC KF−806L(排除限界分子量:2×10、分離範囲:100〜2×10、理論段数:10,000段/本、充填剤材質:スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、充填剤粒径:10μm)の3本直列を用いることにより測定することができる。
<不飽和基を1個以上有する反応性オリゴマー(B)>
本発明における不飽和基を1個以上有する反応性オリゴマー(B)としては、例えば、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(b1)、エポキシ(メタ)アクリレート系化合物、ポリエステル(メタ)アクリレート系化合物等が挙げられる。中でも、硬化後の膜に適度な弾性を付与するという点でウレタン(メタ)アクリレート系化合物(b1)が好ましい。
以下、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(b1)について更に具体的に説明する。
〔ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(b1)〕
本発明で用いるウレタン(メタ)アクリレート系化合物(b1)としては、水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(b2)、多価イソシアネート系化合物(b3)及びポリオール系化合物(b4)を反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレート系化合物(b1)が挙げられる。
本発明で用いられるウレタン(メタ)アクリレート系化合物(b1)の重量平均分子量は、500〜50000であることが好ましく、更に好ましくは1000〜30000である。かかる重量平均分子量が小さすぎると被覆層が脆くなる傾向があり、大きすぎると被覆層が硬くなりすぎて耐衝撃性が低下する傾向がある。
なお、上記の重量平均分子量は、標準ポリスチレン分子量換算による重量平均分子量であり、高速液体クロマトグラフィー(昭和電工社製、「Shodex GPC system−11型」)に、カラム:Shodex GPC KF−806L(排除限界分子量:2×10、分離範囲:100〜2×10、理論段数:10,000段/本、充填剤材質:スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、充填剤粒径:10μm)の3本直列を用いることにより測定することができる。
上記ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(b1)の60℃における粘度は、500〜15万mPa・sであることが好ましく、特に好ましくは500〜12万mPa・s、更に好ましくは1000〜10万mPa・sである。かかる粘度が上記範囲外では、被覆層形成時における塗工性が低下する傾向がある。
なお、粘度はE型粘度計により測定することができる。
〔水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(b2)〕
水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(b2)としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェート、2−(メタ)アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、カプロラクトン変性2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、脂肪酸変性−グリシジル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイル−オキシプロピルメタクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらの中でも、エチレン性不飽和基を1個有する水酸基(メタ)アクリレート系化合物が被覆層形成の際の硬化収縮を緩和することができる理由から好ましく、特に好ましくは、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートであり、更には2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートを用いることが、反応性および汎用性に優れる点で好ましい。
また、これらは1種を単独で又は2種以上を併せて用いることができる。
〔多価イソシアネート系化合物(b3)〕
多価イソシアネート系化合物(b3)としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリフェニルメタンポリイソシアネート、変性ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等の芳香族系ポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、リジントリイソシアネート等の脂肪族系ポリイソシアネート、水添化ジフェニルメタンジイソシアネート、水添化キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン等の脂環式系ポリイソシアネート、或いはこれらポリイソシアネートの3量体化合物又は多量体化合物、アロファネート型ポリイソシアネート、ビュレット型ポリイソシアネート、水分散型ポリイソシアネート(例えば、日本ポリウレタン工業(株)製の「アクアネート100」、「アクアネート110」、「アクアネート200」「アクアネート210」等)等が挙げられる。
これらの中でも、黄変が少ない点から、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の脂肪族系ジイソシアネート、水添化ジフェニルメタンジイソシアネート、水添化キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン等の脂環式系ジイソシアネートが好ましく用いられ、特に好ましくは硬化収縮が小さい点でイソホロンジイソシアネート、水添化ジフェニルメタンジイソシアネート、水添化キシリレンジイソシアネートが用いられ、更に好ましくは、反応性および汎用性に優れる点でイソホロンジイソシアネートが用いられる。
〔ポリオール系化合物(b4)〕
ポリオール系化合物(b4)としては、例えば、ポリエーテル系ポリオール、ポリエステル系ポリオール、ポリカーボネート系ポリオール、ポリオレフィン系ポリオール、ポリブタジエン系ポリオール、(メタ)アクリル系ポリオール、ポリシロキサン系ポリオール等の他に、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグルコール等のアルキレングリコール等も挙げられる。
上記ポリエーテル系ポリオールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリブチレングリコール、ポリヘキサメチレングリコール等のアルキレン構造含有ポリエーテル系ポリオールや、これらポリアルキレングリコールのランダム或いはブロック共重合体などが挙げられる。
上記ポリエステル系ポリオールとしては、例えば、多価アルコールと多価カルボン酸との縮合重合物;環状エステル(ラクトン)の開環重合物;多価アルコール、多価カルボン酸及び環状エステルの3種類の成分による反応物などが挙げられる。
前記多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,4−テトラメチレンジオール、1,3−テトラメチレンジオール、2−メチル−1,3−トリメチレンジオール、1,5−ペンタメチレンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサメチレンジオール、3−メチル−1,5−ペンタメチレンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタメチレンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、シクロヘキサンジオール類(1,4−シクロヘキサンジオールなど)、ビスフェノール類(ビスフェノールAなど)、糖アルコール類(キシリトールやソルビトールなど)などが挙げられる。
前記多価カルボン酸としては、例えば、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸等の脂肪族ジカルボン酸;1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸;テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、パラフェニレンジカルボン酸、トリメリット酸等の芳香族ジカルボン酸等が挙げられる。
前記環状エステルとしては、例えば、プロピオラクトン、β−メチル−δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトンなどが挙げられる。
上記ポリカーボネート系ポリオールとしては、例えば、多価アルコールとホスゲンとの反応物;環状炭酸エステル(アルキレンカーボネートなど)の開環重合物などが挙げられる。
前記多価アルコールとしては、前記ポリエステル系ポリオールの説明中で例示の多価アルコール等が挙げられ、上記アルキレンカーボネートとしては、例えば、エチレンカーボネート、トリメチレンカーボネート、テトラメチレンカーボネート、ヘキサメチレンカーボネートなどが挙げられる。
なお、ポリカーボネートポリオールは、分子内にカーボネート結合を有し、末端がヒドロキシル基である化合物であればよく、カーボネート結合とともにエステル結合を有していてもよい。
上記ポリオレフィン系ポリオールとしては、飽和炭化水素骨格としてエチレン、プロピレン、ブテン等のホモポリマーまたはコポリマーを有し、その分子末端に水酸基を有するものが挙げられる。
上記ポリブタジエン系ポリオールとしては、炭化水素骨格としてブタジエンの共重合体を有し、その分子末端に水酸基を有するものが挙げられる。
ポリブタジエン系ポリオールは、その構造中に含まれるエチレン性不飽和基の全部または一部が水素化された水添化ポリブタジエンポリオールであってもよい。
上記(メタ)アクリル系ポリオールとしては、(メタ)アクリル酸エステルを重合体又は共重合体の分子内にヒドロキシル基を少なくとも2つ有しているものが挙げられ、かかる(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル等が挙げられる。
上記ポリシロキサン系ポリオールとしては、例えば、ジメチルポリシロキサンポリオールやメチルフェニルポリシロキサンポリオール等が挙げられる。
これらの中でも、ポリエステル系ポリオール、ポリエーテル系ポリオールが好ましく、特に好ましくは硬化時に柔軟性等の機械的物性に優れる点でポリエステル系ポリオールである。
上記ポリオール系化合物(b4)の重量平均分子量としては、500〜8000が好ましく、特に好ましくは550〜5000、更に好ましくは600〜3000である。ポリオール系化合物(b4)の分子量が大きすぎると、硬化時に塗膜硬度等の機械的物性が低下する傾向があり、小さすぎると硬化収縮が大きく安定性が低下する傾向がある。
なお、上記の重量平均分子量は、標準ポリスチレン分子量換算による重量平均分子量であり、高速液体クロマトグラフィー(昭和電工社製、「Shodex GPC system−11型」)に、カラム:Shodex GPC KF−806L(排除限界分子量:2×10、分離範囲:100〜2×10、理論段数:10,000段/本、充填剤材質:スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、充填剤粒径:10μm)の3本直列を用いることにより測定することができる。
ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(b1)は、通常、上記水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(b2)、多価イソシアネート系化合物(b3)及びポリオール系化合物(b4)を、反応器に一括又は別々に仕込み反応させることにより製造することができる。また、ポリオール系化合物(b4)と多価イソシアネート系化合物(b3)とを予め反応させて得られる反応生成物に、水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(b2)を反応させてウレタン(メタ)アクリレート系化合物(b1)を製造することもでき、この製造方法は反応の安定性や副生成物の低減等の点で有用である。
ポリオール系化合物(b4)と多価イソシアネート系化合物(b3)との反応には、公知の反応手段を用いることができる。その際、例えば、多価イソシアネート系化合物(b3)中のイソシアネート基:ポリオール系化合物(b4)中の水酸基とのモル比を通常2n:(2n−2)(nは2以上の整数)程度にすることにより、イソシアネート基を残存させた末端イソシアネート基含有ウレタン(メタ)アクリレート系化合物を得た後、水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(b2)との付加反応が可能となる。
上記ポリオール系化合物(b4)と多価イソシアネート系化合物(b3)とを予め反応させて得られる反応生成物と、水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(b2)との付加反応にも、公知の反応手段を用いることができる。
反応生成物と水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(b2)との反応モル比は、例えば、多価イソシアネート系化合物(b3)のイソシアネート基が2個で、水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(b2)の水酸基が1個である場合は、反応生成物:水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(b2)が1:2程度であり、多価イソシアネート系化合物(b3)のイソシアネート基が3個で、水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(b2)の水酸基が1個である場合は、反応生成物:水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(b2)が1:3程度である。
この反応生成物と水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(b2)との付加反応においては、反応系の残存イソシアネート基含有率が0.5重量%以下になる時点で反応を終了させることにより、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(b1)が得られる。
かかるポリオール系化合物(b4)と多価イソシアネート系化合物(b3)との反応、更にその反応生成物と水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(b2)との反応においては、反応を促進する目的で触媒を用いることも好ましい。かかる触媒としては、例えば、ジブチル錫ジラウレート、トリメチル錫ヒドロキシド、テトラ−n−ブチル錫等の有機金属化合物、オクトエ酸亜鉛、オクトエ酸錫、ナフテン酸コバルト、塩化第1錫、塩化第2錫等の金属塩、トリエチルアミン、ベンジルジエチルアミン、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン、N,N,N′,N′−テトラメチル−1,3−ブタンジアミン、N−エチルモルホリン等のアミン系触媒、硝酸ビスマス、臭化ビスマス、ヨウ化ビスマス、硫化ビスマス等の他、ジブチルビスマスジラウレート、ジオクチルビスマスジラウレート等の有機ビスマス化合物や、2−エチルヘキサン酸ビスマス塩、ナフテン酸ビスマス塩、イソデカン酸ビスマス塩、ネオデカン酸ビスマス塩、ラウリル酸ビスマス塩、マレイン酸ビスマス塩、ステアリン酸ビスマス塩、オレイン酸ビスマス塩、リノール酸ビスマス塩、酢酸ビスマス塩、ビスマスリビスネオデカノエート、ジサリチル酸ビスマス塩、ジ没食子酸ビスマス塩等の有機酸ビスマス塩等のビスマス系触媒等が挙げられ、中でも、ジブチル錫ジラウレート、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセンが好適である。
またポリオール系化合物(b4)と多価イソシアネート系化合物(b3)との反応、更にその反応生成物と水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(b2)との反応においては、イソシアネート基に対して反応する官能基を有しない有機溶剤、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、トルエン、キシレン等の芳香族類等の有機溶剤を用いることができる。
また、反応温度は、通常30〜90℃、好ましくは40〜80℃であり、反応時間は、通常2〜10時間、好ましくは3〜8時間である。
本発明で用いられるウレタン(メタ)アクリレート系化合物(b1)は、構造上の特性であるコンクリートとの接着性を活かす点で、20個以下のエチレン性不飽和基を有するものであることが好ましく、特に好ましくは10個以下のエチレン性不飽和基を有するものであり、更に好ましくは5個以下のエチレン性不飽和基を有するものである。なお、エチレン性不飽和基数の下限は通常2である。
バインダーポリマー(A)と不飽和基を1個以上有する反応性オリゴマー(B)との含有割合(重量比)は、通常、バインダーポリマー(A):反応性オリゴマー(B)=90:10〜10:90であり、好ましくは70:30〜20:80、特に好ましくは60:40〜30:70である。バインダーポリマー(A)が少なすぎる(反応性オリゴマー(B)が多すぎる)と、硬化後の被覆層表面に粘着性が発現し、その後の工程に支障を来すとともに、被覆層の硬化収縮性が大きくなり、貼合面の端部等で剥離が発生する要因となる傾向があり、バインダーポリマー(A)が多すぎる(反応性オリゴマー(B)が少なすぎる)と未硬化膜が硬くなりすぎて、貼合前のハンドリングで膜に亀裂が発生したりするとともに、貼合時の追従性等も損なわれる傾向がある。
<不飽和基を1個以上有する反応性モノマー(C)>
本発明における不飽和基を1個以上有する反応性モノマー(C)としては、例えば、単官能モノマー、2官能モノマー、3官能以上のモノマー、その他のエチレン性不飽和モノマー等を用いることができる。
上記単官能モノマーとしては、エチレン性不飽和基を1つ含有するモノマーが用いられ、例えば、スチレン、ビニルトルエン、クロロスチレン、α−メチルスチレン、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、アクリロニトリル、酢酸ビニル、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、n−ステアリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノールエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、ノニルフェノールプロピレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルフタレート等のフタル酸誘導体のハーフエステル(メタ)アクリレート、フルフリル(メタ)アクリレート、カルビトール(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルフォリン、2−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ビニルピロリドン、2−ビニルピリジン、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェートモノエステル等が挙げられる。
上記2官能モノマーとしては、エチレン性不飽和基を2つ含有するモノマーが用いられ、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールエチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、フタル酸ジグリシジルエステルジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性ジアクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェートジエステル等が挙げられる。
上記3官能以上のモノマーとしては、エチレン性不飽和基を3つ以上含有するモノマーが用いられ、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アクリロイルオキシエトキシトリメチロールプロパン、グリセリンポリグリシジルエーテルポリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、コハク酸変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記その他のエチレン性不飽和モノマーとして、上記の他に、アクリル酸のミカエル付加物あるいは2−アクリロイルオキシエチルジカルボン酸モノエステルも挙げられ、上記アクリル酸のミカエル付加物としては、アクリル酸ダイマー、メタクリル酸ダイマー、アクリル酸トリマー、メタクリル酸トリマー、アクリル酸テトラマー、メタクリル酸テトラマー等が挙げられる。また、特定の置換基をもつカルボン酸である上記2−アクリロイルオキシエチルジカルボン酸モノエステルとしては、例えば、2−アクリロイルオキシエチルコハク酸モノエステル、2−メタクリロイルオキシエチルコハク酸モノエステル、2−アクリロイルオキシエチルフタル酸モノエステル、2−メタクリロイルオキシエチルフタル酸モノエステル、2−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸モノエステル、2−メタクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸モノエステル等が挙げられる。更に、オリゴエステルアクリレートも挙げられる。
本発明における不飽和基を1個以上有する反応性モノマー(C)としては、2官能モノマー及び3官能以上のモノマーの多官能モノマーが好ましく、特に好ましくは多官能(メタ)アクリレート系化合物(c1)である。
硬化性樹脂組成物[i]における反応性モノマー(C)の含有量は、バインダーポリマー(A)成分と反応性オリゴマー(B)成分との不揮発分合計を100重量部としたときに、1〜100重量部であることが好ましく、特に好ましくは3〜80重量部、更に好ましくは5〜70重量部である。
反応性モノマー(C)の含有量が少なすぎると、貼合前の被覆層の柔軟性が損なわれて加工性が著しく損なわれる傾向があり、多すぎると被覆層が硬くなりすぎて耐衝撃性が低下し脆くなる傾向がある。
<重合開始剤(D)>
本発明における重合開始剤(D)としては、例えば、熱重合開始剤及び光重合開始剤が挙げられる。
熱重合開始剤としては、例えば、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2′−アゾビス2,4−ジメチルバレロニトリル、ジメチル−2,2′−アゾビスイソオブチレート、1,1′−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、1,1′−アゾビス(1−アセトキシ1−フェニルエタン)、2,2′−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾビス系化合物、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、エチルメチルケトンペルオキシド、ビス−(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート等のパーオキシジカーボネート等が挙げられ、これらは1種を単独で又は2種以上を併せて用いることができる。
中でも上記のアゾビス系化合物が好ましく用いられ、更に10時間半減温度が50℃以上のアゾビス系化合物が特に好ましい。10時間半減温度が50℃以上のアゾビス系化合物としては、例えば、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、1,1′−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2′−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、ジメチル2,2′−アゾビス(2−メチルプロピネート)等が挙げられる。
光重合開始剤としては、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノンオリゴマー等のアセトフェノン類;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン類;ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4′−メチル−ジフェニルサルファイド、3,3′,4,4′−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−N,N−ジメチル−N−[2−(1−オキソ−2−プロペニルオキシ)エチル]ベンゼンメタナミニウムブロミド、(4−ベンゾイルベンジル)トリメチルアンモニウムクロリド等のベンゾフェノン類;2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、2−(3−ジメチルアミノ−2−ヒドロキシ)−3,4−ジメチル−9H−チオキサントン−9−オンメソクロリド等のチオキサントン類;2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド等のアシルフォスフォンオキサイド類;等があげられる。これら光重合開始剤は、1種を単独で又は2種以上を併せて用いることができる。
また、これらの助剤として、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4,4′−ジメチルアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、4,4′−ジエチルアミノベンゾフェノン、2−ジメチルアミノエチル安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸(n−ブトキシ)エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、2,4−ジエチルチオキサンソン、2,4−ジイソプロピルチオキサンソン等を併用することも可能である。
硬化性樹脂組成物[i]における重合開始剤(D)の含有量は、バインダーポリマー(A)成分と反応性オリゴマー(B)成分と反応性モノマー(C)成分との不揮発分合計を100重量部としたとき、0.1〜30重量部であることが好ましく、特に好ましくは0.5〜20重量部、更に好ましくは1〜10重量部である。
重合開始剤(D)の含有量が少なすぎると、被覆層が硬化不足となり十分な弾性又は硬度が得られず、膜が脆くなってしまい機能が果たせなくなる傾向があり、含有量が多すぎると、反応前の膜の保管時に重合開始剤(D)がブリードアウトして、被覆層の中で結晶が析出したりする傾向がある。
尚、本発明における硬化性樹脂組成物[i]には、必要に応じて、可塑剤、酸化防止剤、溶剤、表面張力改質材、安定剤、連鎖移動剤、界面活性剤等の周知の添加剤を配合しても差し支えない。
<コンクリート表面被覆層形成用積層フィルム>
本発明のコンクリート表面被覆層形成用積層フィルムは、硬化性樹脂組成物[i]からなる層[I](以下、硬化性樹脂組成物層[I]ともいう。)と、支持フィルム[II]とが積層された構造を有する。図1は本発明のコンクリート表面被覆層形成用積層フィルムを模式的に示す断面図であり、図中の(1)は硬化性樹脂組成物層[I]、(2)は支持フィルム[II]、(10)は本発明のコンクリート表面被覆層形成用積層フィルムである。本発明のコンクリート表面被覆層形成用積層フィルムには、硬化性樹脂組成物層[I]の支持フィルム[II]に対して反対側に、保護フィルム[III](不図示)が積層されていてもよい。
支持フィルム[II]としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリビニルアルコール系フィルム、エチレンビニルアルコール共重合体系フィルム等、あるいは樹脂層をその表面に積層した紙などを用いることが好ましい。
中でも、フィルム形成時および被膜硬化時の耐熱性の点で、PETフィルム、あるいは樹脂層をその表面に積層した紙を用いることが特に好ましい。
支持フィルム[II]の厚みは、5μm以上が好ましく、特には10〜100μm、更には20〜50μmが好ましい。
さらに、この支持フィルム[II]の表面に、意匠を目的としたパターンを設けて、硬化後にコンクリートの表面を被覆する硬化性樹脂組成物層[I]にこのパターンを転写させることもできる。
上記保護フィルム[III]は、コンクリート表面被覆層形成用積層フィルムをロール状にしておく場合に、粘着性を有する硬化性樹脂組成物層[I]の支持フィルム[II]への転写等を防止する目的で使用されるものであり、かかる保護フィルム[III]としては、例えば、ポリエチレンフィルム、PETフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリビニルアルコール系フィルム、エチレンビニルアルコール共重合体系フィルム、ポリ四フッ化エチレンフィルム、ナイロンフィルム、離型紙などが挙げられるが、中でもポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等のポリオレフィン系フィルムが好ましい。
保護フィルム[III]の厚みは、5μm以上が好ましく、特には10〜100μm、更には15〜50μmが好ましい。
本発明のコンクリート表面被覆層形成用積層フィルムを製造する方法としては、例えば、支持フィルム[II]の片面に、硬化性樹脂組成物[i]を均一に塗布し、通常50〜120℃、もしくは順次温度の高くなるオーブンで、通常5〜60分間乾燥して硬化性樹脂組成物層[I]を形成する方法が挙げられる。また、保護フィルム[III]を用いる場合には、上記硬化性樹脂組成物層[I]を形成し、次いで該層[I]の上面に保護フィルム[III]を加圧積層する方法が挙げられる。
本発明のコンクリート表面被覆層形成用積層フィルムにおいて、硬化性樹脂組成物層[I]の厚みは、80μm以上が好ましく、特には100〜500μm、更には150〜300μmが好ましい。
本発明のコンクリート表面被覆層形成用積層フィルムにおいて、硬化性樹脂組成物層[I]を硬化させた被覆層に意匠性を付与する場合には、硬化性樹脂組成物層[I]の厚みは、150μm以上が好ましく、特には150〜500μm、更には250〜300μmが好ましい。
かかる硬化性樹脂組成物層[I]の厚みが薄すぎると、コンクリート表面に機械的に保護するのに適当な厚みを得るために積層する枚数が多くなりすぎて積層工程が煩雑となったり、コストが高くなりすぎたりする傾向があり、あるいは保護するのに適当な厚みが得られずコンクリート表面の破損の抑制が困難となる傾向がある。また、かかる厚みが厚すぎると、被覆層がコンクリート表面から剥離しやすくなる傾向があり、コストが高くなりすぎる傾向がある。
かくして得られた本発明のコンクリート表面被覆層形成用積層フィルムは、コンクリートの表面を被覆する被覆層の形成に、特に軽量気泡コンクリート(ALC)ボードの表面を被覆する被覆層の形成に好適に用いることができる。
軽量気泡コンクリート(ALC)ボードは、その製造会社あるいはロット毎にその表面性は異なるが、そのままの表面に対して被覆しても良いし、サンドペーパー等を用いて表面を研磨し、内部発泡部分を露出させてから被覆することも可能である。
図2は、本発明のコンクリート表面被覆層形成用積層フィルムを用いてコンクリートの表面に被覆層を形成する工程を模式的に示す断面図である。図2(a)に示すコンクリート(3)の表面(3a)の上に、硬化性樹脂組成物層[I](1)と支持フィルム[II](2)とが積層された、図2(b)に示す本発明のコンクリート表面被覆層形成用積層フィルムを積層し、硬化性樹脂組成物層[I](1)を溶融させて図2(c)に示すように貼合する。硬化性樹脂組成物層[I]を硬化させることによって、図2(d)に示すようにコンクリート(3)の表面(3a)の上に硬化物である被覆層(4)を形成する。さらに、必要に応じて、図2(e)に示すように被覆層(4)から支持フィルム[II](2)を剥離する。以上の工程により、コンクリート(3)上に被覆層(4)が形成されたコンクリート製建材(5)が得られる。
本発明のコンクリート表面被覆層形成用積層フィルムを用いて軽量気泡コンクリート(ALC)ボードの表面に被覆層を形成する工程について説明する。なお、以下では、コンクリート表面被覆層形成用積層フィルムを単に積層フィルムともいう。
〔積層(貼合)〕
軽量コンクリート(ALC)ボードに、そのまま本発明の積層フィルムを乗せるだけで積層しても良く、或いは本発明の積層フィルムを貼合することより積層しても良い。特に、予め軽量気泡コンクリート(ALC)ボードを予熱又は乾燥してから本発明の積層フィルムを貼合することが好ましい。
貼合に際しては、例えば、表面温度を70℃以上に加熱したロール(以下、熱ロールともいう。)で、軽量気泡コンクリート(ALC)ボード上に本発明の積層フィルムを押し当てながら貼り合わせることができる。なお、コンクリート表面被覆層形成用積層フィルムが保護フィルム[III]を有する場合は、保護フィルム[III]を剥離しながら又は剥離した後、硬化性樹脂組成物層[I]が軽量気泡コンクリート(ALC)ボードに接するように貼り合わせる。
この際のロール温度は、好ましくは80℃以上、特に好ましくは100℃〜180℃、さらに好ましくは130℃〜160℃である。ロール温度が低すぎると、コンクリート表面被覆層形成用積層フィルムの硬化性樹脂組成物層[I]が充分に軟化溶融せず、軽量気泡コンクリート(ALC)ボード表面に充分浸透し難くなり、硬化後の硬化性樹脂組成物層[I]の剥離の原因となる傾向がある。ロール温度が高すぎると、硬化性樹脂組成物層[I]の溶融が進みすぎて粘度が低下し、軽量気泡コンクリート(ALC)ボードに完全に浸透してしまって表面に被覆するための樹脂分が残らなくなる傾向があり、また、硬化性樹脂組成物[i]が熱重合開始剤を含有する場合は、積層中に硬化性樹脂組成物[i]の硬化が進んでしまって、充分な浸透が得られず硬化性樹脂組成物層[I]の剥離の原因となる傾向がある。
積層フィルムを押圧する際の熱ロールの加重線圧は、好ましくは0.1〜100kg/cm、特に好ましくは0.3〜50kg/cm、さらに好ましくは0.5〜25kg/cmである。また、積層フィルムに対する熱ロールの移動速度は、好ましくは0.01〜20m/分、特に好ましくは0.1〜15m/分、さらに好ましくは0.2〜10m/分である。
熱ロールの加重線圧が小さすぎたり、熱ロールの移動速度が高すぎたりすると、積層フィルムの硬化性樹脂組成物層[I]が軽量気泡コンクリート(ALC)ボード表面に充分浸透し難くなり、硬化後の硬化性樹脂組成物層[I]の剥離の原因となる傾向がある。また、熱ロールの加重線圧が大きすぎたり、熱ロールの移動速度が低すぎたりすると、硬化性樹脂組成物層[I]が軽量気泡コンクリート(ALC)ボードに完全に浸透してしまって表面に被覆するための樹脂分が残らなくなる傾向がある。
なお、貼合に際して用いられるロールは上記の熱ロールに限らず、加熱されていない(即ち、雰囲気温度の)ロールを用いることもできる。
さらに、貼合したコンクリート表面被覆層形成用積層フィルムの硬化性樹脂組成物層[I]を厚くし、所望の表面形状、表面性を得るために、このコンクリート表面被覆層形成用積層フィルムの硬化性樹脂組成物層[I]を積層することもできる。
例えば、上記で貼合した第一のコンクリート表面被覆層形成用積層フィルムの支持フィルム[II]を剥離して露出した第一の硬化性樹脂組成物層[I−1]上に、同様にして第二のコンクリート表面被覆層形成用積層フィルムを貼合して、第一の硬化性樹脂組成物層[I−1]と第二の硬化性樹脂組成物層[I−2]とを積層してもよい。
また、あらかじめ第一の硬化性樹脂組成物層[I−1]と第二の硬化性樹脂組成物層[I−2]とをラミネート貼合し、厚膜の硬化性樹脂組成物層を形成した後、上記と同様にして、軽量気泡コンクリート(ALC)ボード表面に貼合することも可能である。
〔コンクリート表面被覆層の形成〕
本発明のコンクリート表面被覆層形成用積層フィルムを用いてコンクリートの表面に被覆層を形成するには、上記の積層(貼合)を行なうことにより、コンクリート表面被覆層形成用積層フィルムをコンクリートに積層して、硬化性樹脂組成物層[I]をコンクリート表面と接触させたうえで、硬化性樹脂組成物層[I]を硬化させることによって行なうことができる。硬化性樹脂組成物層[I]を硬化させる方法としては、硬化性樹脂組成物層[I]が重合開始剤(D)として熱重合開始剤を含有する場合には、例えば、下記の第1、第2、第3及び第4の方法が挙げられる。
(第1の方法:熱ロールによる方法)
第1の方法は、熱ロールでコンクリート表面被覆層形成用積層フィルムをコンクリート表面に押圧し、硬化性樹脂組成物層[I]を硬化させる方法である。熱ロールは、好ましくは積層フィルム上に配置し、積層フィルムを介してコンクリート表面を押圧する。
熱ロールとしては、例えば、ロールの数が1本の単独ロール機、ロール軸に対して交差する方向に複数のロールが配置された連続ロール機等が用いられる。連続ロール機における複数のロールは、積層フィルムに与える熱量が次第に大きくなるように、表面温度を次第に大きく設定して配置することが好ましい。尚、ロールを構成する材料としては、例えば、金属またはゴムが挙げられ、温度調整が容易である点から金属が好ましい。また、連続ロール機におけるロールの数は、通常、2〜10本であり、好ましくは3〜8本、特に好ましくは4〜6本である。
使用する熱ロールとしては、外周面が平滑な平滑ロール、外周面に凹凸が形成されたエンボスロール等が挙げられるが、被覆層に凹凸を形成することによる意匠性を付与できる点でエンボスロールを用いることが好ましい。エンボスロールにおける凹部の深さは、例えば、0.001〜1mm、好ましくは0.005〜0.5mmである。
積層フィルムを介してコンクリート表面を押圧する際の熱ロールの表面温度は、好ましくは70℃以上、特に好ましくは100℃〜180℃、さらに好ましくは130℃〜160℃である。熱ロールの表面温度が低すぎると、硬化性樹脂組成物層[I]の硬化が不十分となり、硬化後の硬化性樹脂組成物層[I]の剥離の原因となる傾向がある。
積層フィルムを介してコンクリート表面を押圧する際の熱ロールの線圧は、好ましくは0.01〜10kg/cm、特に好ましくは0.05〜5kg/cm、さらに好ましくは0.1〜2kg/cmである。また、積層フィルムに対する熱ロールの移動速度は、好ましくは0.01〜20m/分、特に好ましくは0.05〜15m/分、さらに好ましくは0.1〜10m/分である。
熱ロールの線圧が小さすぎたり、熱ロールの移動速度が高すぎたりすると、硬化性樹脂組成物層[I]の硬化が不十分となり、硬化後の硬化性樹脂組成物層[I]の剥離の原因となる傾向がある。また、熱ロールの線圧が大きすぎたり、熱ロールの移動速度が低すぎたりすると、硬化性樹脂組成物層[I]が軽量気泡コンクリート(ALC)ボード等のコンクリートに完全に浸透してしまって表面に被覆するための樹脂分が残らなくなる傾向がある。
(第2の方法:熱板による方法)
第2の方法は、熱板でコンクリート表面被覆層形成用積層フィルムをコンクリート表面に押圧し、硬化性樹脂組成物層[I]を硬化させる方法である。熱板は、好ましくは積層フィルム上に配置し、積層フィルムを介してコンクリート表面を押圧する。
使用する熱板としては、積層フィルムに接する面が平滑な平板、積層フィルムに接する面に凹凸が形成されたエンボス板等が挙げられるが、被覆層に凹凸を形成することによる意匠性を付与できる点でエンボス板を用いることが好ましい。エンボス板における凹部の深さは、例えば、0.001〜1mm、好ましくは0.005〜0.5mmである。
積層フィルムを介してコンクリート表面を押圧する際の熱板の表面温度は、好ましくは70℃以上、特に好ましくは100℃〜180℃、さらに好ましくは130℃〜160℃である。熱板の表面温度が低すぎると、硬化性樹脂組成物層[I]の硬化が不十分となり、硬化後の硬化性樹脂組成物層[I]の剥離の原因となる傾向がある。
積層フィルムを介してコンクリート表面を押圧する際の熱板の圧力は、好ましくは0.5〜500kgf/cm、特に好ましくは1〜100kg/m、さらに好ましくは2〜80kg/mである。押圧時間は、好ましくは1〜120分間、特に好ましくは3〜60分間、さらに好ましくは5〜30分間である。
熱板の圧力が小さすぎたり、押圧時間が短すぎたりすると、硬化性樹脂組成物層[I]の硬化が不十分となり、硬化後の硬化性樹脂組成物層[I]の剥離の原因となる傾向がある。また、熱板の圧力が大きすぎたり、押圧時間が長すぎたりすると、硬化性樹脂組成物層[I]が軽量気泡コンクリート(ALC)ボード等のコンクリートに完全に浸透してしまって表面に被覆するための樹脂分が残らなくなる傾向がある。
(第3の方法:高温雰囲気による方法)
第3の方法は、高温の雰囲気中にて硬化性樹脂組成物層[I]を硬化させることによって、コンクリート表面に被覆層を形成する方法である。雰囲気温度は、70℃以上、特に好ましくは100℃〜180℃、さらに好ましくは130℃〜160℃である。高温の雰囲気中にて硬化性樹脂組成物層[I]を硬化させる方法としては、例えば、上記雰囲気温度に調整された恒温槽内にコンクリート表面被覆層形成用積層フィルムを放置する方法、上記雰囲気温度に調整された雰囲気炉内でコンクリート表面被覆層形成用積層フィルムを移動させる方法が挙げられる。
この第3の方法は、上記の第1の方法又は第2の方法と組み合わせてもよい。
また、第1の方法で用いる熱ロールや第2の方法で用いる熱板を、表面温度が上記温度に満たないロール、エンボスロール、平板、エンボス板に変更して、コンクリート表面被覆層形成用積層フィルムをコンクリート表面に押圧しながら、又は押圧した後に、この第3の方法を行なってもよい。
(第4の方法:包装体による方法)
第4の方法は、コンクリート表面被覆層形成用積層フィルムの硬化性樹脂組成物層[I]をコンクリート表面と接触させた後、単層フィルム又は複層フィルムからなる袋に入れ、減圧密封した包装体の雰囲気温度を90℃以上にすることによって、コンクリート表面に被覆層を形成する方法である。
〔単層フィルム又は複層フィルムからなる袋〕
コンクリートとコンクリート表面被覆層形成用積層フィルムとの積層体を入れる袋は、単層フィルム又は複層フィルムからなる袋である。
単層フィルム又は複層フィルムを構成するフィルムとしては、熱可塑性樹脂フィルムを用いることができ、熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン系フィルム、ポリエステル系フィルム、ポリアミド系フィルム、ポリウレタンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリスチレン系フィルム、ポリアクリロニトリル系フィルム、エチレン酢酸ビニル共重合体フィルム、エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルム、エチレン−メタクリル酸共重合体フィルム等が挙げられる。
ポリオレフィン系フィルムを構成する樹脂としては、例えば、ポリプロピレン、ポリブテン−1、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状短鎖分岐ポリエチレン(LLDPE)などのホモポリマーが挙げられる他、プロピレンを主成分とするエチレン、ブテン−1、ペンテン−1、4−メチルペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5 −メチレン−2−ノルボルネン、1,4−ヘキサジエン、スチレン等との共重合体、さらには無水マレイン酸などのカルボン酸でグラフト変性されたもの、ブテン−1を主成分とするエチレン、プロピレン、ブテン−2、イソブチレン、ブタジエン、ペンテン−1、4−メチルペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1などとの共重合体、さらには無水マレイン酸などのカルボン酸でグラフト変性されたもの、エチレンを主成分とするプロピレン、ブテン−1、4−メチルペンテン−1、1−ヘキセン、1−オクテン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、スチレン、酢酸ビニル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸、メタクリル酸グリシジルなどとの共重合体、さらには無水マレイン酸などのカルボン酸でグラフト変性されたもの等が挙げられる。
前記共重合体のうちアクリル酸やメタクリル酸との共重合体は、ナトリウム、亜鉛、アルミニウムなどで架橋されていても良いし、また酢酸ビニルとの共重合体は、酢酸ビニル成分の一部または全てがケン化されていても良い。またポリエチレンは、無水マレイン酸などのカルボン酸でグラフト変性されていても良い。
ポリオレフィン系フィルムの中でも、ポリプロピレンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、フッ素系フィルムが好ましい。
ポリエステル系フィルムを構成する樹脂としては、酸成分とグリコール成分から構成される。
かかる酸成分としては、例えば、テレフタル酸、シュウ酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、ダイマー酸、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などのジカルボン酸、4−ヒドロキシ安息香酸、ε−カプロラクトン、乳酸などのオキシカルボン酸などが挙げられる。
かかるグリコール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのグリコールが挙げられる。
上記の酸(成分)とグリコール(成分)とを共重合させることで、ポリエステル系樹脂が得られる。両成分の組合せについては特には限定されず、任意の組合せで共重合させたものを用いることができるが、中でも、ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレートが好ましく用いられ、更には、ポリエチレンテレフタレートが特に好ましく用いられる。
本発明で用いられる単層フィルム又は複層フィルムは、2種以上の熱可塑性樹脂を混合したものであってもよい。また、本発明で用いられる単層フィルム又は複層フィルムは、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、界面活性剤、顔料、蛍光増白剤等、さらにシリカ、炭酸カルシウム、酸化チタン等の無機粒子、アクリル酸、スチレンなどを構成成分とする有機粒子も必要に応じて適宜含有していてもよい。さらに、本発明で用いられる単層フィルム又は複層フィルムは、延伸処理を施したものが好ましく、例えば、一軸延伸又は二軸延伸のフィルムを用いることが好ましい。
本発明で用いられる複層フィルムは、2種以上の熱可塑性樹脂層が積層された構造を有しており、熱可塑性樹脂層の間に蒸着層や接着剤層が介在していてもよい。
蒸着層に用いられる金属又は金属酸化物としては、例えば、アルミニウム、金、銀、銅、ニッケル、コバルト、クロム、スズなどの金属又は金属酸化物を用いることができる。それらのなかでも、アルミニウム、金、銀、スズが好ましく用いられ、特にアルミニウムが、コストの面から好ましく用いられる。かかる蒸着層の厚みは、通常50〜1000Å、特には200〜1000Åが好ましい。金属又は金属酸化物の蒸着方法としては、例えば、スパッタリング法、イオンプレーティング法、抵抗加熱蒸着法、高周波誘導加熱蒸着法、電子ビーム加熱蒸着法などの一般的な真空蒸着法を用いることができる。
接着剤層における接着剤としては、例えば、有機チタン化合物、イソシアネート化合物、ポリエステル系化合物等が挙げられる。
本発明で用いられる単層フィルム又は複層フィルムの製造方法は公知の方法を採用することができ、例えば、ドラム、エンドレスベルト等の金属面上に熱可塑性樹脂の溶液を流延してフィルム形成する流延式成形法、あるいは押出機により溶融押出する溶融成形法によって製膜することができる。
本発明で用いられる単層フィルムの厚みは、通常5〜200μm、特には10〜100μmであることが好ましい。また、複層フィルムの厚みは、通常5〜200μm、特には10〜100μmであることが好ましい。厚みが薄すぎると加工時に破れ等が生じやすい傾向があり、反対に厚すぎると、加工性が低下するばかりでなく不経済となる傾向がある。
単層フィルム又は複層フィルムから袋を形成するに際しては、袋の内側となる面に、シール層を設けることが好ましい。シール層としては、シール強度の観点からポリオレフィン系樹脂層が好ましく、中でもポリプロピレンや高密度ポリエチレンや低密度ポリエチレンあるいはエチレン−酢酸ビニル系樹脂などが好適に用いられる。シール層については、上記樹脂から別途フィルムを作製しておき、かかるフィルムを袋の内側となる面に接着剤等を用いて貼り付け積層してもよいし、また、袋の内側となる面に直接押し出して積層してもよい。シール層をフィルムとして積層する場合は、無延伸フィルムとして積層する方がシール性を得る点で有利である。シール層の厚みは、通常は10〜100μm、特には20〜80μmが好ましい。
上記の単層フィルム又は複層フィルムからなる袋に、コンクリートとコンクリート表面被覆層形成用積層フィルムとの積層体を入れて減圧し、袋の開口部をシールして閉じることで密封して包装体が得られる。包装体内の減圧度としては、100Pa以下が好ましく、さらには10Pa以下が好ましく、特には5Pa以下が好ましい。
上記の単層フィルム又は複層フィルムからなる袋に、コンクリートとコンクリート表面被覆層形成用積層フィルムとの積層体を入れるに際しては、該積層体をそのまま袋に入れても良いし、積層フィルムに接する面が平滑な平板、又は積層フィルムに接する面に凹凸が形成されたエンボス板等を積層体の積層フィルム上に置いた状態で袋に入れても良い。特に、被覆層に凹凸を形成することによる意匠性を付与できる点でエンボス板を用いることが好ましい。エンボス板における凹部の深さは、例えば、0. 001〜1mm、好ましくは0.005〜0.5mmである。
なお、平板やエンボス板等を、袋に該積層体を入れた包装体の積層フィルム側に乗せて、下記の熱処理や活性エネルギー線照射を行なっても良い。
コンクリート表面被覆層形成用積層フィルムにおける硬化性樹脂組成物層[I]が重合開始剤(D)として熱重合開始剤を含有する場合には、該袋に該積層体が密封された包装体の雰囲気温度を90℃以上にする。雰囲気温度は、好ましくは90〜180℃、特に好ましくは100℃〜180℃、さらに好ましくは130℃〜160℃である。該包装体の雰囲気温度をかかる温度に調整する方法としては、例えば、上記雰囲気温度に調整された恒温槽内に該包装体を放置する方法、上記雰囲気温度に調整された雰囲気炉内で該包装体を移動させる方法が挙げられる。該包装体をかかる温度雰囲気下にする時間は、好ましくは1〜120分間、特に好ましくは3〜60分間、さらに好ましくは5〜30分間である。
このように包装体の雰囲気を高温にすることによって、熱重合開始剤を含有する硬化性樹脂組成物層[I]が熱硬化反応を起こし、所望の硬化被覆層となる。
次に、硬化性樹脂組成物層[I]が光重合開始剤を含有する場合において、硬化性樹脂組成物層[I]を硬化させる方法について説明する。
硬化性樹脂組成物層[I]が光重合開始剤を含有する場合は、活性エネルギー線をコンクリート表面被覆層形成用積層フィルムの硬化性樹脂組成物層[I]に照射する。尚、活性エネルギー線は、コンクリート表面被覆層形成用積層フィルムの支持フィルム[II]側から照射してもよく、支持フィルム[II]上の平板やエンボス板を通して照射してもよく、さらに支持フィルム[II]を剥離した後に硬化性樹脂組成物層[I]に直接照射してもよい。
かかる活性エネルギー線としては、例えば、遠紫外線、紫外線、近紫外線、赤外線等の光線、X線、γ線等の電磁波の他、電子線、プロトン線、中性子線等が利用できるが、硬化速度、照射装置の入手のし易さ、価格等から紫外線照射による硬化が有利である。
紫外線照射により硬化させる方法としては、150〜450nm波長域の光を発する高圧水銀ランプ、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、無電極ランプ、LEDランプ等を用いて、100〜3000mJ/cm程度を照射する方法が挙げられる。
紫外線照射後は、必要に応じて、加熱を行って硬化の完全を図ることもできる。
第4の方法(包装体による方法)においては、該袋に入れられ、かつ硬化性樹脂組成物層[I]が硬化されたコンクリート表面被覆層形成用積層フィルムを有する積層体は、該袋から取り出しても良く、また使用時まで該袋に入れたままにしても良い。使用時まで該袋に入れたままにすることによって、運搬や保管時における破損、コンクリートに由来する粉じんなどを防ぐことができる。
〔端面処理〕
軽量気泡コンクリート(ALC)ボード上に貼合された後、硬化反応を施したコンクリート表面被覆層形成用積層フィルムは、その荷重等により、ボードの端面で樹脂がはみ出すなどして不要部分が残存する場合があり、この不要部分を切断あるいは切削等で除去しても良い。
さらに、端面の一部にコンクリート表面被覆層形成用積層フィルムが欠落した部分や、加工の際に敷設しきれなかった部分に、本発明で用いる硬化性樹脂組成物[i]と同じあるいは類似の樹脂組成物、或いは本発明で用いる硬化性樹脂組成物[i]を構成するバインダーポリマー(A)又はそのバインダーポリマー(A)と類似の樹脂を塗布等によって補っても良い。
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
尚、例中「%」および「部」とあるのは重量基準を意味する。
各成分として、以下のものを用意した。
<バインダーポリマー(A)>
(A1):ポリメチルメタクリレート(ガラス転移温度:105℃)(三菱レイヨン社製「ダイヤナールBR−83」)
<不飽和基を1個以上有する反応性オリゴマー(B)>
反応性オリゴマー(B1)として以下のものを調製した。
(B1):温度計、攪拌機、水冷コンデンサー、窒素ガス吹き込み口を備えた4つ口フラスコに、イソホロンジイソシアネート16.1g(0.07モル)、2官能ポリエステルポリオール(水酸基価54mgKOH/g)75.2g(0.04モル)、重合禁止剤としてハイドロキノンモノメチルエーテル0.02g、反応触媒としてジブチルスズジラウレート0.02gを仕込み、60℃で3時間反応させ、2−ヒドロキシエチルアクリレート8.6g(0.07モル)を仕込み、60℃で3時間反応させ、残存イソシアネート基が0.3%となった時点で反応を終了し、2官能ウレタンアクリレート(B1)(重量平均分子量10,000、60℃における粘度15,000mPa・s)を得た。
<不飽和基を1個以上有する反応性モノマー(C)>
(C1):メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(新中村化学工業社製「M−90G」)
(C2):ペンタエリスリトールとアクリル酸の縮合物(大阪有機化学工業社製「ビスコート300」、3官能以上のモノマーに相当する。)
<熱重合開始剤(D)>
(D1):2,2′−アゾビスイソブチロニトリル(和光純薬社製「V−60」)
(D2):1,1′−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル(和光純薬社製「V−40」)
〔実施例1〕
バインダーポリマー(A1)を酢酸エチルで40%に希釈した樹脂溶液と、反応性オリゴマー(B1)を2−ブタノンで70%に希釈したオリゴマー溶液とを、バインダーポリマー(A1)と反応性オリゴマー(B1)が不揮発分の重量比で40:60になるように混合した後、更に、反応性モノマー(C1)を、バインダーポリマー(A1)と反応性オリゴマー(B1)の不揮発分合計100部に対して20部となるように混合した。
次いで、(A1)、(B1)、(C1)の混合物の不揮発分100部に対して2部となるように、熱重合開始剤(D1)を混合し、不揮発分濃度が56%となる硬化性樹脂組成物[i−1]溶液を得た。
この硬化性樹脂組成物[i−1]溶液を厚さ25μmのポリエステルフィルム[II]上にギャップ幅0.5mmにセットしたコンマコーターで連続的に流延して、これをさらに連続的に70℃で12分間と90℃で6分間乾燥することで、厚さ220μmの硬化性樹脂組成物層[I−1]を形成し、コンクリート表面被覆層形成用積層フィルム(IV−1)(以下、単に積層フィルムともいう。)を得た。
得られたコンクリート表面被覆層形成用積層フィルム(IV−1)を用いて、下記のとおり、評価用のパネル積層体〔α〕を得た。
即ち、80℃、24時間乾燥させた後、室温まで冷却したコンクリートパネル(旭化成建材社製「ヘーベルパワーボードフラットパネル」(厚さ37mm))(P)の外壁側となる表面に、上記のコンクリート表面被覆層形成用積層フィルム(IV−1)の硬化性樹脂組成物層[I−1]面側が重なるように積層し、これを150℃に加熱したゴムロールで線圧2kg/cmで押しつけながら0. 25m/分の速度でラミネートした(1回目ラミネート)。
その後、この積層フィルム(IV−1)からポリエステルフィルム[II]を剥離して、その硬化性樹脂組成物層[I−1]の上に、更に、上記と同様にして製造した別のコンクリート表面被覆層形成用積層フィルムを硬化性樹脂組成物層[I−1]面側が重なるように積層し、これを先と同様に、150℃に加熱したゴムロールで線圧2kg/cmで押しつけながら0. 25m/分の速度でラミネートして(2回目ラミネート)、未硬化のパネル積層体を得た。
2回のラミネートで得られたパネル積層体の面積と同じ面積であって、かつ表面が平滑な鉄板の上に、かかるパネル積層体を積層フィルムが積層された面を下にして載置し、この状態で130℃に熱した恒温槽内に入れ1時間放置することで硬化性樹脂組成物層[I−1]を硬化させて、コンクリートパネル(P)の表面に被覆層が形成された評価用のパネル積層体〔α〕を得た。
上記で得られたパネル積層体〔α〕の硬化膜(被覆層)側の表面は平滑であり、ポリエステルフィルム[II]を剥離して、この表面に市販のアクリルラッカーを2度塗りでスプレー塗装したところ、光沢感に富むフラットな意匠の表面が得られた。
また、この硬化膜面にカッターナイフで直線的な切り傷2本を十文字に入れて、この切り傷の交差部を中心に覆うように市販のガムテープを貼合して、重さ5kgのロールを10往復させて完全に貼合した。このガムテープを端部から10m/分の定速で剥離したところ、該切り傷部分に硬化膜(被覆層)の剥がれは認められなかった。
次に、かかるパネル積層体〔α〕を、硬化膜が積層されていない面側を上にした状態で空中に固定し、パネルの面中央を素手で5回強く叩いたところ、硬化膜(被覆層)面側からは破片等の脱落は確認されなかった。
〔実施例2〕
実施例1で得られたコンクリート表面被覆層形成用積層フィルム(IV−1)を用いて、下記のとおり、評価用のパネル積層体〔β〕を得た。
即ち、80℃、24時間乾燥させた後、室温まで冷却したコンクリートパネル(旭化成建材社製「ヘーベルパワーボードフラットパネル」(厚さ37mm))(P)の外壁側となる表面に、上記のコンクリート表面被覆層形成用積層フィルム(IV−1)の硬化性樹脂組成物層[I−1]面側が重なるように積層し、さらにコンクリート表面被覆層形成用積層フィルム(IV−1)のポリエステルフィルム[II]の上に、厚さ10mmの平滑なアルミ板を積層して積層体を得た。この積層体を、アルミホイルとポリエチレンフィルムとを積層ラミネートしてなる減圧包装袋の内部に挿入し、この減圧包装袋を真空包装機にて600Paまで減圧してから封止(封入)し、これを常圧に戻すことで、先のコンクリートパネル(P)とコンクリート表面被覆層形成用積層フィルム(IV−1)とアルミ板とを密着させた。
減圧状態で封止(封入)されたこの減圧包装袋、およびその内部で密着させられたコンクリートパネル(P)とコンクリート表面被覆層形成用積層フィルム(IV−1)とアルミ板との積層体を、130℃に加熱した恒温機内で1時間放置することで硬化性樹脂組成物層[I−1]をコンクリートパネル(P)に浸透密着させるとともに硬化させた。その後、減圧包装袋を開封し、アルミ板を除去することで、コンクリートパネル(P)の表面に被覆層が形成された評価用のパネル積層体〔β〕を得た。
上記で得られたパネル積層体〔β〕の硬化膜(被覆層)側の表面は平滑であり、ポリエステルフィルム[II]を剥離して、この表面に市販のアクリルラッカーを2度塗りでスプレー塗装したところ、光沢感に富むフラットな意匠の表面が得られた。
また、この硬化膜面にカッターナイフで直線的な切り傷2本を十文字に入れて、この切り傷の交差部を中心に覆うように市販のガムテープを貼合して、重さ5kgのロールを10往復させて完全に貼合した。このガムテープを端部から10m/分の定速で剥離したところ、該切り傷部分に硬化膜(被覆層)の剥がれは認められなかった。
次に、かかるパネル積層体〔β〕を、硬化膜(被覆層)が積層されていない面側を上にした状態で空中に固定し、パネルの面中央を素手で5回強く叩いたところ、硬化膜(被覆層)面側からは破片等の脱落は確認されなかった。
〔実施例3〕
バインダーポリマー(A1)を酢酸エチルで40%に希釈した樹脂溶液と、反応性オリゴマー(B1)を2−ブタノンで70%に希釈したオリゴマー溶液とを、バインダーポリマー(A1)と反応性オリゴマー(B1)が不揮発分の重量比で37:63になるように混合した。
次いで、(A1)、(B1)、の混合物の不揮発分100部に対して2部となるように、熱重合開始剤(D1)を混合し、不揮発分濃度が56%となる硬化性樹脂組成物[i−2]溶液を得た。
この硬化性樹脂組成物[i−2]を用い、実施例1と同様にして、厚さ25μmのポリエステルフィルム[II]上に厚さ230μmの硬化性樹脂組成物層[I−2]を形成して、コンクリート表面被覆層形成用積層フィルム(IV−2)を得た。このコンクリート表面被覆層形成用積層フィルム(IV−2)を用い、熱ロールの加熱温度を175℃とした以外は実施例1と同様にして、評価用のパネル積層体(γ)を得た。
上記で得られたパネル積層体〔γ〕の硬化膜(被覆層)側の表面は平滑であり、ポリエステルフィルム[II]を剥離して、この表面に市販のアクリルラッカーを2度塗りでスプレー塗装したところ、光沢感に富むフラットな意匠の表面が得られた。
また、この硬化膜(被覆層)面にカッターナイフで直線的な切り傷2本を十文字に入れて、この切り傷の交差部を中心に覆うように市販のガムテープを貼合して、重さ5kgのロールを10往復させて完全に貼合した。このガムテープを端部から10m/分の定速で剥離したところ、該切り傷部分に硬化膜(被覆層)の剥がれは認められなかった。
次に、かかるパネル積層体〔γ〕を、硬化膜(被覆層)が積層されていない面側を上にした状態で空中に固定し、パネルの面中央を素手で5回強く叩いたところ、硬化膜(被覆層)面側からは破片等の脱落は確認されなかった。
〔実施例4〕
バインダーポリマー(A1)を酢酸エチルで40%に希釈した樹脂溶液と、反応性オリゴマー(B1)を2−ブタノンで70%に希釈したオリゴマー溶液とを、バインダーポリマー(A1)と反応性オリゴマー(B1)が不揮発分の重量比で40:60になるように混合した後、更に、反応性モノマー(C2)を、バインダーポリマー(A1)と反応性オリゴマー(B1)の不揮発分合計100部に対して12部となるように混合した。
次いで、(A1)、(B1)、(C2)の混合物の不揮発分100部に対して2部となるように、熱重合開始剤(D2)を混合し、不揮発分濃度が56%となる硬化性樹脂組成物[i−3]溶液を得た。
この硬化性樹脂組成物[i−3]を用い、実施例1と同様にして、厚さ25μmのポリエステルフィルム[II]上に厚さ225μmの硬化性樹脂組成物層[I−3]を形成して、コンクリート表面被覆層形成用積層フィルム(IV−3)を得た。このコンクリート表面被覆層形成用積層フィルム(IV−3)を用い、貼合後の放置温度を180℃にした以外は実施例1と同様にして、評価用のパネル積層体(δ)を得た。
上記で得られたパネル積層体〔δ〕の硬化膜(被覆層)側の表面は平滑であり、ポリエステルフィルム[II]を剥離して、この表面に市販のアクリルラッカーを2度塗りでスプレー塗装したところ、光沢感に富むフラットな意匠の表面が得られた。
また、この硬化膜(被覆層)面にカッターナイフで直線的な切り傷2本を十文字に入れて、この切り傷の交差部を中心に覆うように市販のガムテープを貼合して、重さ5kgのロールを10往復させて完全に貼合した。このガムテープを端部から10m/分の定速で剥離したところ、該切り傷部分に硬化膜(被覆層)の剥がれは認められなかった。
次に、かかるパネル積層体〔δ〕を、硬化膜(被覆層)が積層されていない面側を上にした状態で空中に固定し、パネルの面中央を素手で5回強く叩いたところ、硬化膜(被覆層)面側からは破片等の脱落は確認されなかった。
以上の結果より、本発明のコンクリート表面被覆層形成用積層フィルムを軽量気泡コンクリート(ALC)等のコンクリートに貼合し、硬化することでコンクリート表面に被覆層を形成することができるので、本発明の積層フィルムは作業性および生産性が良好である。また本発明の積層フィルムが貼合され、硬化されたコンクリートパネル表面は平滑となり、表面平滑性に優れるので、意匠形成性にも優れたものである。更に、本発明の積層フィルムは、コンクリート表面と密着させることができるので、コンクリート表面の保護性に優れたものである。
本発明のコンクリート表面被覆層形成用積層フィルムは、建築物の外壁として用いられる軽量気泡コンクリート(ALC)等のコンクリートの表面の意匠性の自由度を増大させるために利用することができる。また、施工の際の煩雑な塗装工程を軽量気泡コンクリート(ALC)工場での工程に置き換えることができ、現場作業の簡素化を実現するのに利用することができる。更には、軽量気泡コンクリート(ALC)の輸送や保管時の汚染や破損の軽減を実現するために利用することができる。
1:硬化性樹脂組成物[i]からなる層(硬化性樹脂組成物層)[I]
2:支持フィルム[II]
3:コンクリート
3a:コンクリート表面
4:被覆層
5:コンクリート製建材
10:コンクリート表面被覆層形成用積層フィルム

Claims (6)

  1. 硬化性樹脂組成物[i]からなる層[I]と、支持フィルム[II]とが積層されてなり、
    硬化性樹脂組成物[i]が、バインダーポリマー(A)、不飽和基を1個以上有する反応性オリゴマー(B)、不飽和基を1個以上有する反応性モノマー(C)及び重合開始剤(D)を含有してなる硬化性樹脂組成物であり、
    バインダーポリマー(A)が、(メタ)アクリル系樹脂(a1)であることを特徴とするコンクリート表面被覆層形成用積層フィルム。
  2. 不飽和基を1個以上有する反応性オリゴマー(B)が、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(b1)であることを特徴とする請求項記載のコンクリート表面被覆層形成用積層フィルム。
  3. 不飽和基を1個以上有する反応性モノマー(C)が、多官能(メタ)アクリレート系化合物(c1)であることを特徴とする請求項1または2記載のコンクリート表面被覆層形成用積層フィルム。
  4. 重合開始剤(D)が、10時間半減温度が50℃以上のアゾビス系化合物であることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載のコンクリート表面被覆層形成用積層フィルム。
  5. 硬化性樹脂組成物[i]からなる層[I]の厚みが、80μm以上であることを特徴とする請求項1〜いずれか記載のコンクリート表面被覆層形成用積層フィルム。
  6. 更に、硬化性樹脂組成物[i]からなる層[I]の支持フィルム[II]に対して反対側に保護フィルム[III]が積層されてなることを特徴とする請求項1〜いずれか記載のコンクリート表面被覆層形成用積層フィルム。
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