JP6489292B1 - 水素脆化特性の評価方法 - Google Patents
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Abstract
Description
遅れ破壊を引き起こす因子は、材料(強度)、加工(歪および応力)、および水素の3因子であることが知られている。ここで、金属材料への水素の侵入原因としては、金属材料と接触する溶液または溶媒からの侵入や、使用される環境下で金属材料が腐食することに伴って発生する水素の侵入が考えられる。
実際の使用環境下で金属材料に遅れ破壊が発生するか否かを判断するためには、自動車部品の実走行試験や暴露試験を行う必要がある。しかしながら、その評価結果を得るには、年単位の時間を要してしまう。鋼材開発や部品実用化にあたっては、短時間で遅れ破壊特性を評価する必要がある。そのため、これまで種々の加速試験が提案されている。
(1)本発明の一態様に係る水素脆性特性の評価方法は、金属材料の水素脆化特性を評価する方法であって、前記金属材料の表面に、塩化物を含む金属塩を付着させる塩付着工程と;前記塩付着工程後に行う工程であって、前記金属材料を相対湿度Hhの雰囲気中に暴露させる湿潤工程と、前記金属材料を相対湿度Hlo(ただし、Hlo<Hh)の雰囲気中に暴露させる乾燥工程とを1回ずつ行う操作を基本サイクルとし、前記基本サイクルを1回以上含む基本工程と;を有し、前記塩付着工程、前記湿潤工程、及び前記乾燥工程を40℃以下の雰囲気中で行い、前記基本工程における少なくとも1回の前記乾燥工程を、温度30℃以下の雰囲気中、相対湿度0%〜60%、1分以上6時間以下の条件で行い、前記乾燥工程における温度T 1 (℃)と、前記湿潤工程における温度T 2 (℃)との関係が、T 1 <T 2 −5(℃)である。
複合サイクル腐食試験において、金属塩を含む液膜を付着させた金属材料を、湿潤環境と、湿潤環境よりも相対湿度が低い乾燥環境とに交互に暴露させると、湿潤環境においては液膜中の塩化物イオンによる腐食反応により水素が発生し、この水素が金属材料中に侵入する。乾燥環境においては、乾燥環境に暴露させた初期段階では、金属材料の表面に付着した液膜の厚みが減少し、これに伴い金属塩の濃度が上昇して腐食反応が促進される。この腐食反応の促進により水素発生量が増加し、金属材料中(例えば鋼中)への水素の侵入量が増大する。その後、乾燥環境での暴露を継続させて乾燥が更に進行し、液膜がほぼなくなると、腐食が進まなくなるため水素発生速度が低下し、水素の侵入量も低下する。そして、更に乾燥を続けると、金属材料からの水素の放出量が侵入量を上回り、金属材料中の水素濃度が低下する。
この乾燥の進行により金属材料からの水素放出量が増大する傾向は、温度が高いほど顕著となる。一般的に腐食反応は温度が高い方が進行するため、従来の複合サイクル腐食試験では、乾燥工程の温度は腐食を促進するために比較的高い温度(例えば60℃)に設定される場合が多い。このため、従来の複合サイクル腐食試験においては、湿潤工程および乾燥工程初期に金属材料中に侵入した水素の大部分が乾燥工程で放出されてしまう。本発明者らは、これが、従来の複合サイクル試験における水素放出挙動が実環境での水素放出挙動と大きく異なる原因であると考えた。
本発明は、上述した乾燥工程の温度と金属材料の水素放出挙動とに関する新たな知見と、湿潤工程と乾燥工程と塩付着工程とを全て40℃以下の雰囲気中で行うこととを組み合わせることによる新たな知見とに基き、本発明者らが鋭意検討を重ね、完成に至ったものである。
本実施形態に係る水素脆化特性の評価方法では、塩化物を含む金属塩が表面に付着した金属材料を相対湿度Hhの雰囲気中に暴露させる湿潤工程と、前記金属材料を相対湿度Hlo(ただし、Hlo<Hh)の雰囲気中に暴露させる乾燥工程とを1回ずつ行う操作を基本サイクルとし、前記基本サイクルを1回以上含む基本工程を行う。また、基本サイクルを1〜7回繰り返す毎に、前記金属材料の表面に前記金属塩を付着させる塩付着工程を1回以上行う。また、湿潤工程、乾燥工程及び塩付着工程を40℃以下の雰囲気中(以下、単に「40℃以下の条件」とも称する)で行う。
なお、基本工程における少なくとも1回の乾燥工程を、温度30℃以下の雰囲気中、相対湿度0%〜60%、1分以上6時間以下の条件で行う。この条件により、金属材料からの水素の放出量を抑制してかつ、実環境よりも金属材料中の水素濃度が低くなることを抑制でき、実環境での水素脆化特性をより正確に模擬することが可能になる。
また、乾燥工程、湿潤工程、及び塩付着工程を40℃以下の条件で行うことで、金属材料からの水素の放出が抑制され、金属材料中の水素濃度の低下を抑制できる。なお、本実施形態では、湿潤工程、乾燥工程、および塩付着工程を少なくとも含む評価方法の全工程を、40℃以下の条件で行うことが好ましい。すなわち、これら工程に加えて、後述する高湿潤工程および冷凍工程を行う場合、全ての工程を40℃以下の条件で行うことが好ましい。この場合、寒冷地における腐食環境をより精緻に再現することができ、実環境での水素脆化特性を正確に模擬できる。
本実施形態の評価方法に供される金属材料は、例えば鉄鋼材料である。金属材料の形態は特に限定されるものではなく、例えば板材、棒材、または管材である。ただし、本実施形態の評価方法は板厚が比較的薄い板材または管材への評価に好適であるため、板材または管材を評価対象とすることが好ましい。
また、水素脆化特性を評価するため、試験中の金属材料には、引張、曲げ、および/またはねじり等の応力を付与することが必要となる。金属材料に応力を付与する方法としては、小型の冶具を作成し、金属材料からなる試験片に引張応力を付与する方法を例示できる。なお、上記方法に限られず、例えば、金属板をU字状に曲げることで自動車用部品を模擬した塑性変形を付与した後、ボルト等での締め付けにより曲げ応力を付与することで、U字状に曲げられた金属板の外周面側に引張応力を付与してもよい。
試験片の形状や端面の処理は、実際の評価対象に合わせて設定すればよい。例えば、切断端面の影響を考慮する場合は、実際の自動車部品製造工程に類似した端面状況を達成するため、金型での打ち抜きや、シャーでのせん断を行ってもよい。
(塩付着工程)
塩付着工程は、金属材料の表面に金属塩を付着させる工程である。塩付着工程により、金属材料の表面に金属塩を含む液膜を形成させる。
実際の腐食環境を考慮すると、例えば海岸近くの地域における水素脆化特性を模擬する場合、金属塩としてNaClを主体とする成分(NaClが全成分の50質量%超である成分)であることが好ましい。また、冬期に融雪剤を頻繁に散布する地域における水素脆化特性を模擬する場合、金属塩の組成を、その地域に散布される融雪剤の成分に近い組成にすることが好ましい。融雪剤に近い成分としては、金属塩としてCaCl2を主体とする成分(CaCl2が全成分の50質量%超である成分)、MgCl2を主体とする成分(MgCl2が全成分の50質量%超である成分)、NaClを主体とする成分(NaClが全成分の50質量%超である成分)などを例示できる。
複数の金属塩を組み合わせて用いる例として、例えば、米国自動車技術会規格(SAE J2334)(0.5%NaCl−0.1%CaCl2−0.075%NaHCO3)、人工海水(2.5%NaCl−0.5%MgCl2−0.12%CaCl2−0.07%KCl他(例えば、八洲薬品株式会社製アクアマリン(登録商標)の水溶液))などを例示できる。
金属塩を含む溶液中の金属塩の濃度が0.1質量%以上であると、十分に腐食が促進されるため、好ましい。また、金属塩を含む溶液中の金属塩の濃度が10質量%以下であると、腐食挙動や水素侵入挙動が実環境と乖離することがなく、好ましい。すなわち、金属塩を含む溶液中の金属塩の濃度は、0.1質量%以上10質量%以下であることが好ましい。
噴霧によって金属材料に金属塩の液膜を形成させる場合、金属材料に十分に金属塩を付着させるため、金属塩の溶液の噴霧時間は1秒以上とすることが好ましい。また、噴霧時間が10時間以下であると、腐食挙動や水素侵入挙動が実環境と乖離することがなく、好ましい。噴霧時間は4時間以下がより好ましい。噴霧の際の噴霧量は、80cm2の漏斗に1〜3g/時間が望ましい。
本実施形態の水素脆化特性の評価方法では、湿潤工程と乾燥工程とを交互に1回ずつ行う操作を基本サイクルとする。そして、この基本サイクルは、金属塩が付着した、評価対象とする金属材料に対して行われる。
基本サイクルは、湿潤工程後に乾燥工程を行うものであってもよいし、乾燥工程後に湿潤工程を行うものであってもよい。すなわち、基本サイクルは、湿潤工程および乾燥工程をこの順で行うものであってもよいし、逆順で行うものであってもよい。図1に、基本サイクルの一例を示す。図1は、相対湿度30%で乾燥工程を行い、その後、一定の変化速度で湿度を増加させ、相対湿度80%で湿潤工程を行う例を示している。なお、図1では、横方向が時間の経過を表しており、縦方向が湿度の高低を表している。
また、基本サイクルにおいては、塩付着工程と同様に、金属材料の表面の傾斜角度を水平面に対して例えば0°にしてもよいし、当該表面を水平面に対して傾斜させてもよい。
基本工程は、上記の基本サイクルを1回以上含む。なお、1回の基本工程で行う基本サイクルの回数の上限は、特に限定されるものではないが、7回以下であることが好ましい。7回以下の基本サイクルを行うごとに上記の塩付着工程を実施することで、腐食と水素発生をより促進させることができるためである。
乾燥工程は、金属塩が付着した金属材料を、相対湿度Hloの雰囲気中に暴露させる工程である。乾燥工程では、相対湿度Hloを、湿潤工程における相対湿度Hhよりも低くし(Hlo<Hh)、金属塩を含む液膜の厚みを徐々に減少させる。これにより、乾燥工程では、乾燥工程の初期に水素を金属材料に侵入させることができる。換言すれば、乾燥工程は、腐食をある程度進める工程である。
上述のように、本発明者らは、乾燥工程を行うことにより、液膜が減少して液膜中の金属塩が濃縮される際に、水素発生量が増加することを見出している。本実施形態の評価方法を実環境により近づけるためには、乾燥工程においてできるだけ多くの水素を発生させるとともに、発生した水素を金属材料中に侵入させる必要がある。そのため、乾燥工程を上記のように規定している。
乾燥工程において液膜がほぼ消失すると、水素発生速度が低下する。その後、更に乾燥工程を進めると、金属材料からの水素の放出量が侵入量を上回り、金属材料中の水素濃度が低下する。この傾向は温度が高いほど顕著となる。そこで、金属材料からの水素の放出を抑制するため、保持温度を40℃以下とする。なお、保持温度を30℃以下とすると、実環境との乖離がより小さくなり、好ましい。
乾燥工程における相対湿度は、0%〜50%の範囲であればより好ましく、0%〜45%の範囲であればさらに好ましい。また、上記相対湿度は、金属材料からの水素の放出を抑制するために、金属塩の潮解湿度よりも低い湿度であることが好ましい。なお、全ての乾燥工程における相対湿度を0%〜60%の範囲としてもよい。
また、相対湿度の下限は、例えば10%であってもよい。
湿潤工程は、金属塩が付着した金属材料を、相対湿度Hhの雰囲気中に暴露させる工程である。湿潤工程により、金属材料の表面に付着した金属塩を潮解させて、液膜を成長させる。
湿潤工程における液膜中では、金属材料が腐食されることに伴って水素が発生する。発生した水素は金属材料中に侵入する。ここで、従来は、湿潤工程における相対湿度が高いほど、金属材料中に侵入する水素量が多くなると考えられていた。しかしながら、本発明者らが検討したところ、金属材料に侵入する水素量は、試験に用いる金属塩の潮解湿度の影響が大きいことが分かった。具体的には、用いる金属塩の潮解湿度に近い湿度で金属材料の暴露を行ったときに、水素の発生量が増加し、金属材料への水素侵入量が増大することがわかった。
全ての湿潤工程を、Hs−10(%)≦Hh≦Hs+10(%)の条件で行ってもよい。
湿潤工程における相対湿度Hhを金属塩の潮解湿度Hsの±10(%)の範囲に保持することで、相対湿度Hhが上記範囲外である場合と比較して、実環境での水素脆化特性をより正確に模擬できる理由を、以下のように推定している。すなわち、上記条件で塩付着工程および湿潤工程を行った場合、金属材料の表面における液膜量が適度に減少して塩濃度が増加する。その結果、下記式で示されるように、濃厚塩化物溶液中の加水分解反応が生じ、水素の発生が促進されるものと推定している。
Cl−+Fe3+ →hydrolysis
(Fe3++3H2O→Fe(OH)3+3H+)
また、湿潤工程における相対湿度Hhが金属塩の潮解湿度Hsと同じか僅かに高い場合には、金属材料の表面の液膜が減少するのに長時間を要する。その結果、金属材料の表面に薄い液膜が存在している時間が長く維持され、水素侵入が促進されたと考えられる。
湿潤工程の相対湿度HhがHs−10(%)以上であると、液膜量が減少しすぎることがなく、上記の反応式が進みやすくなるため、水素侵入促進の効果が顕著になると推測される。また、湿潤工程の相対湿度HhがHs+10(%)以下であると、液膜量の減少により容易に濃厚塩化物溶液が生成され、上記加水分解反応が生じやすくなるため、水素侵入促進の効果が顕著になると推測される。
また、各金属塩の潮解湿度は、NaCl:75%、CaCl2:50%、MgCl2:33%、MgSO4:93%、KCl:34%として計算してもよい。
本実施形態の評価方法では、基本サイクルのうち、少なくとも1回の基本サイクルが、湿潤工程、乾燥工程及び高湿潤工程を1回ずつ行うものであることが好ましい。そして、この場合、湿潤工程は、乾燥工程と高湿潤工程との間で行うことが好ましい。
なお、基本サイクルのうち、1回のみの基本サイクルが、湿潤工程、乾燥工程及び高湿潤工程をそれぞれ1回ずつ行うものであってもよいし、全ての基本サイクルが、湿潤工程、乾燥工程及び高湿潤工程をそれぞれ1回ずつ行うものであってもよい。
そこで、本発明者らは、腐食挙動が比較的よく再現される、乾燥工程(湿度60%以下)と高湿潤工程(湿度85%以上)との繰り返しサイクルに、水素の侵入を促進する工程である湿潤工程を組み込んだ。このことにより、腐食挙動を模擬しながら水素侵入挙動を模擬できることを知見するに至った。そして、乾燥工程から高湿潤工程への遷移期間中、または、高湿潤工程から乾燥工程への遷移期間中に、水素の侵入を促進する湿潤工程を段階的に組み込むことで、最も実環境の腐食挙動の再現性がよい評価方法となることを知見した。
高湿潤工程の保持時間は、10分以上12時間以下であることが好ましく、10分以上6時間以下がより好ましい。高湿潤工程の保持時間が10分以上であると、高湿度工程を行うことによる効果が十分に得られる。一方、保持時間が12時間以下であると、腐食生成物および腐食ピットの形状などが実環境から乖離することがなく、好ましい。
また、乾燥工程における温度は、高湿潤工程における温度よりも低いことが好ましい。乾燥工程における保持温度を、高湿潤工程における保持温度未満とすることで、乾燥工程における水素の放出を更に抑制できる。
本実施形態では、基本サイクルを1〜7回繰り返す毎に、金属材料を0〜−50℃の雰囲気に暴露させる冷凍工程を1回以上行うことが好ましい。この冷凍工程を実施することで、特に融雪剤が散布されるような寒冷地における腐食環境を再現でき、実環境での水素脆化特性をより正確に模擬することが可能になる。これに加え、冷凍工程は、金属材料に塗膜を設けた場合、塗膜にダメージを与え、その後の腐食をより有効に進める。
なお、冷凍工程は、塗膜を塗布した場合に塗膜にダメージを与える意図で行うものである。冷凍工程では、金属材料からの水素の放出速度がかなり低下するので、冷凍工程における湿度は、積極的に制御する必要はない。
続いて、上記2種の試験片(めっき材、非めっき材)のそれぞれに、化成処理(日本パーカライジング(株)社製化成処理液(PB−SX35))を施した後、電着塗装(日本ペイント(株)社製電着塗料(パワーニックス110)15μm狙い)し、170℃で焼き付けた。なお、穴部は腐食しないようシール塗装した。
その後、図4に示す様に、これら試験片の穴部にSUS304で作成したボルト及びナットを通し、ボルト締め付け量を変えることでU曲げ頂点部に曲げ応力を付与した。
なお、ボルトおよびナットと、評価対象とする鋼板とが直接接触すると、それぞれの腐食電位の差から局部電池を形成し、局所的な腐食を誘発する虞がある。このため、試験片の穴部に、テフロン(登録商標)製の絶縁材を配設した。これにより、ボルトおよびナットと、評価対象としているU曲げ加工された鋼板との直接的な接触を回避した。頭頂部の塗膜にはカッターナイフで疵を付与した。
腐食サイクル試験の条件を表1および表2に示す。具体的には、各試験片に対し、表1に示すサイクル順序およびサイクル数で腐食サイクル試験を実施した。例えば表1の試験No.1は、「塩付着工程(E)」、「乾燥工程(A)」、そして「湿潤工程(B)」をこの順で1回ずつ行うサイクル順序とし、このサイクルを80回繰り返した場合を示す。試験No.2〜24についても同様である。各試験における各工程の条件は表1の通りである。なお、No.1〜24の腐食サイクル試験では、いずれも合計試験時間を960時間とした。
ここで、塩付着工程(E)では、試験片の表面に、表2に示す種類および濃度の金属塩を表2に示す手法で付着させた。塩を付着させる際は、金属塩を純水に混合し、表1および表2に示す金属塩の濃度に調整した水溶液を用いた。付着手法としては、金属塩の水溶液に試験片を浸漬させる方法(表2に示す浸漬)または、金属塩の水溶液を霧状に発生させて試験片より高い位置から噴霧する方法(表2に示す噴霧)を用いた。
水素脆化評価用の試験片に対して、自動車の融雪塩環境での暴露試験(北海道室蘭市)を1年間行った。この際、実際の自動車の使用環境では走行中に融雪塩が飛散するため、この環境を模擬することを目的として、休日を除き1日に1回スプレーにより5分間の金属塩溶液噴霧を行った。金属塩溶液は、金属塩としてNaClを用い、濃度を3%(質量%)とした。
暴露試験の結果、非めっき材およびめっき材ともに試験に供した3個(n=3)全ての試験片で割れが発生した。また、非めっき材における塗膜膨れがめっき材の塗膜膨れの0.8倍超であった。
(水素脆化評価)
×:割れ無し
△:1個割れた
○:2個以上割れた
(暴露試験との対応)
○:腐食サイクル試験において、n=3の試験片のうちいずれかで割れが発生しかつ、非めっき材における塗膜膨れがめっき材の塗膜膨れの0.8倍未満であった。
×:腐食サイクル試験において、一個も試験片に割れが生じなかった。
△:腐食サイクル試験において、n=3の試験片のうちいずれかで割れが発生しかつ、非めっき材における塗膜膨れがめっき材の塗膜膨れの0.8倍超であった。
一方、試験例No.5〜8は、腐食サイクル試験の条件が本発明の範囲外であるため、腐食サイクル試験と実環境における暴露試験との差が大きく、実環境における腐食を十分に再現できなかった。
Claims (1)
- 金属材料の水素脆化特性を評価する方法であって、
前記金属材料の表面に、塩化物を含む金属塩を付着させる塩付着工程と;
前記塩付着工程後に行う工程であって、前記金属材料を相対湿度Hhの雰囲気中に暴露させる湿潤工程と、前記金属材料を相対湿度Hlo(ただし、Hlo<Hh)の雰囲気中に暴露させる乾燥工程とを1回ずつ行う操作を基本サイクルとし、前記基本サイクルを1回以上含む基本工程と;
を有し、
前記塩付着工程、前記湿潤工程、及び前記乾燥工程を40℃以下の雰囲気中で行い、
前記基本工程における少なくとも1回の前記乾燥工程を、温度30℃以下の雰囲気中、相対湿度0%〜60%、1分以上6時間以下の条件で行い、
前記乾燥工程における温度T 1 (℃)と、前記湿潤工程における温度T 2 (℃)との関係が、T 1 <T 2 −5(℃)である
ことを特徴とする水素脆化特性の評価方法。
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