JP6482546B2 - 二重対立遺伝子ノックアウトを生成するための方法および組成物 - Google Patents

二重対立遺伝子ノックアウトを生成するための方法および組成物 Download PDF

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Description

関連出願の相互参照
本願は、2013年7月19日に提出された米国仮出願シリアル番号第61/856579号に基づく優先権の利益を主張し、その開示全体が引用により本明細書中に援用される。
配列リスト、配列表またはコンピュータプログラムの参照
配列リストの公式コピーは、2014年7月19日に作成された42kbのASCII形式テキストファイル「LRX.0003_ST25.txt」として、EFS−Web経由して本明細書と同時に提出される。EFS−Web経由して提出された配列リストは、本明細書の一部であり、その全体が引用により本明細書中に援用される。
発明の背景
遺伝子ノックアウト技術は、生物学研究に非常に重要であることが示されている。従来の相同組換による遺伝子破壊技術は、手間がかかりかつ結果が予測不能である。近年に開発された標的ゲノム編集は、はるかに効果的であり、染色体における標的二重鎖の切断(DSB)によって達成することができる。例示として、この技術は、CRISPR(Clustered Regularly Interspaced Short Palindromic Repeats)、ZFN(ジンクフィンガーヌクレアーゼ、zinc-finger nuclease)、またはTALEN(転写活性化因子のようなエフェクターヌクレアーゼ、transcription activator-like effector nuclease)(Esvelt and Wang, Mol. Syst. Biol, 2013, 9:641)を利用する。これらのうち、CRISPRは、ゲノム修飾部位に相補的な特異的RNA配列を提供するターゲティングメカニズムを利用するため、最も汎用性の高いゲノム編集ツールである。CRISPRは、ターゲティングRNA配列のクラスタを使用して、複数部位のゲノム編集を可能にする。細胞内の二重鎖切断(DSB)は、非相同末端結合(NHEJ)によって修復される。この非相同末端結合は、低頻度で行われるため、フレームシフトの作成および目的遺伝子の不活性化を引き起こす可能性のある挿入または削除(挿入/削除)が少ない。
殆どの方法を用いたゲノム編集の割合は、比較的低く、典型的には5%よりも低い。Surveyor(登録商標)ヌクレアーゼアッセイ(Transgenomic社、米国ネブラスカ州オマハ市)またはディープシーケンシングを利用したゲノム編集を評価するおよび二重鎖DNAの不一致を検出する最も一般的な方法は、単一対立遺伝子変異または二重対立遺伝子変異を区別していない。単一のステップで二重対立遺伝子変異を生成する可能性が殆どないため、通常、2ステップのゲノム逐次編集は、必要とされる。
治療用抗体は、過去20年間に成功に開発された新種の薬である。米国FDAは、癌、ウイルス感染、臓器移植拒絶反応、リウマチ性関節炎および他の自己免疫性症状を含むさまざまな疾患を治療するための30以上の組換治療用抗体を承認している。拡大しつつさまざまな疾患を治療するために、より多くの治療用抗体は、臨床試験されている。分子生物学の出現によって、哺乳動物細胞から組換抗体を産生することが可能となった(N. Yamane-Ohnuki and M. Satoh, mAbs, 2009, l(3):230-236)。
血管内皮増殖因子または腫瘍壊死因子などの可溶性因子に指向された抗体療法の目的は、単に免疫複合体の形成によって遊離リガンドの濃度を低下することである。対照的には、抗腫瘍免疫療法上の通例のように、細胞表面抗原に指向された抗体療法の目的は、一般的には、疾患を引き起こす細胞自体を除去することである。抗体依存細胞毒性(ADCC)、すなわち、抗体の標的とされた細胞に対する溶解攻撃は、抗体の定常領域(Fc)、殆どの場合に免疫グロブリンサブクラス1(IgG1)抗体の定常領域(Fc)に対するリンパ球受容体の結合(たとえば、FcγRs)により誘発される。抗体は、複数の治療機能(たとえば、抗原結合、アポトーシスの誘発、および補体依存細胞毒性)を有するが、ADCCは、治療用抗体のいくつかの主要機能であると考えられる(T. Shinkawa, et al, J. Bio. Chem., 2003, 278(5):3466-3473)。ADCCにおいて、ナチュラルキラー(NK)細胞は、主にNK細胞のFcγRIII受容体との相互作用によって抗体の定常(Fc)領域を認識し、その後、細胞溶解およびアポトーシスを活性化する。
Fc−FcγRIIIの相互作用は、Fcグリコシル化に対して非常に敏感である。脱グリコシル化抗体、たとえば、非哺乳動物細胞株によって産生された脱グリコシル化抗体は、Fc受容体と結合しない(Leatherbarrow et al., Mol. Immun., 1985, 22:407-15; Walker et al., Biochem. J, 1989, 259:347-53; Leader et al., Immunology, 1991, 72:481-5)。一方、Fc領域のAsn297に連結されている炭水化物鎖のフコシル化は、FcγRIIIとの結合を低下し、ADCCのインビトロ活性を減弱する(Shields et al., J. Biol. Chem., 2002, 277:26733-40; Shinkawa et al., J. Biol. Chem., 2003, 278:3466-73; Niwa et al., Cancer Res., 2004, 64:2127-33)。
チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO細胞)により産生された免疫グロブリンを含め、哺乳動物の免疫グロブリンの大部分は、フコシル化されている(Jefferis et al., Biochem J, 1990, 268:529-37; Raju et al., Glycobiology, 2000, 10:477-86)。フコースは、α−1,6−フコシルトランスフェラーゼ(Fut8)タンパク質により生成されたα−1,6結合によってFcのコア領域に連結される(Oriol et al., Glycobiology, 1999, 9:323-34; Costache et al., J. Biol Chem., 1997, 272:29721-8)。CHO細胞内のFut8遺伝子の破壊は、抗体の核フコシル化を除去することができ、ADCCを約100倍に増加することができる(Yamane-Ohnuki et al., Biotech. Bioengin., 2004, 87(5):614-622)。
ゲノム編集は、FUT8対立遺伝子の両方をノックダウンまたはノックアウトすることによって、Fut8活性を減弱または完全除去するために使用される。今井西谷らは、これらの遺伝子を標的とするためのsiRNAタンデム発現ベクタを用いて、IgG1抗体を産生するCHO/DG44 32−05−12細胞に導入するためのFut8およびGMDのダブルノックダウン方法を開示している(BMC Biotechnology, 2007, 7:84; doi: 10.1186/1472-6750-7-84)。二重対立遺伝子Fut8ノックアウトCHO細胞を作成するために、Yamane-Ohnukiらは、2ステップの逐次相同組換法(Biotech. Bioengin., 2004, 87(5):614-622)を開示し、相同組換の低頻度を克服した。同様に、Collingwoodは、致死量のレンチルレクチン凝集素(LCA)の存在下で連続培養によってFut8ヌル細胞を豊富にし、フコースに対するLCAの特異的結合によって誘発された細胞毒性を利用して、CHOK細胞中のFut8対立遺伝子の両方をノックアウトする指向性ZFN方法を開示している(WO2009/009086; L. Malphettes et al., Biotech. Bioengin., 2010, 106(5):774-783)。
また、Fut8遺伝子に加えて、他の遺伝子が部分的にまたは完全に抑制される細胞株を産生することが望まれる場合がある。ゲノム編集の割合が比較的低く、典型的には5%よりも低いため、単一crRNA部位により二重対立遺伝子変異体を生成する可能性が無視できると合理的に仮定することができる。二重対立遺伝子ノックアウトを得るためには、逐次ゲノム編集を行わなければならない。たとえば、Congらは、2つの内因性遺伝子(EMX1およびPVALB)および同一のEMX1遺伝子における2つの標的部位に対して、成功したゲノム編集を開示した(Science, 2013, 339:819-823)。しかしながら、EMX1遺伝子において2つのプロトスペーサが標的にされた場合に、削除の効率は、わずか1.6%であり、二重対立遺伝子のノックアウトは、報告されなかった。
発明の概要
一局面において、本発明は、標的遺伝子内に位置するヌクレアーゼおよびDNAスペーサ配列に相補的な少なくとも2つのターゲティングRNAを含むCRISPR系を真核細胞に提供することによって、真核細胞から二重対立遺伝子ノックアウトを産生する方法を提供する。一実施形態において、同一のtracrRNAを複数の異なるcrRNAと共に使用することができ、単一のtracrRNAを用いて、多くのcrRNAを組織化することができる。一実施形態において、CRISPR系は、少なくとも3つまたは4つのターゲティングRNAを含む。一実施形態において、複数のCRISPR標的(crRNA標的)は、同一の遺伝子に位置する。一実施形態において、複数のCRISPR標的は、遺伝子の同一のエクソンに位置する。一実施形態において、複数のCRISPR標的は、遺伝子の500塩基対、450塩基対、400塩基対、375塩基対、350塩基対、300塩基対、250塩基対、200塩基対、150塩基対、100塩基対、または50塩基対内に位置する。一実施形態において、真核生物細胞は、哺乳動物細胞である。別の実施形態において、哺乳動物細胞は、CHO細胞、CHOS細胞、293細胞、NS0細胞、胚性幹細胞、またはそれらの誘導体、もしくはそれらの抗体産生細胞または誘導体である。さらなる実施形態において、ヌクレアーゼは、Cas多様体である。別の実施形態において、Cas多様体ヌクレアーゼは、Cas9である。一実施形態において、ターゲティングRNAは、tracrRNAおよびcrRNAから構成される。別の実施形態において、tracrRNAおよびcrRNAは、ヘアピンRNA結合によって連結されてもよい。さらなる実施形態において、標的遺伝子は、フコシルトランスフェラーゼである。別の実施形態において、標的フコシルトランスフェラーゼ遺伝子は、Fut8、α−(1,6)−フコシルトランスフェラーゼある。さらなる実施形態において、標的遺伝子は、グルタミンシンテターゼである。別の実施形態において、標的遺伝子は、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)である。別の実施形態において、標的遺伝子は、シアリダーゼである。
別の局面において、本発明は、本発明の方法を用いて、Fut8をノックアウトした哺乳動物細胞を含む。一実施形態において、哺乳動物細胞は、FACSによって細胞表面フコースを蛍光標識した後、負の蛍光信号に従って単離されたFut8ノックアウト細胞を含む。一実施形態において、蛍光標識は、蛍光標識したL.レンチルレクチン凝集素(LCA−FITC)との結合を含む。
さらなる局面において、本発明は、本発明の方法を用いて、グルタミンシンテターゼをノックアウトした哺乳動物細胞を含む。
別の局面において、本発明は、本発明の方法を用いて、DHFRをノックアウトした哺乳動物細胞を含む。
別の局面において、本発明は、本発明の方法を用いて、シアリダーゼをノックアウトした哺乳動物細胞を含む。
別の局面において、本発明は、本発明の方法を用いて、他の標的遺伝子をノックアウトした哺乳動物細胞を含む。
さらなる局面において、本発明は、本発明の方法を用いて、Fut8をノックアウトした真核細胞によって産生された脱フコシル化タンパク質を含む。一実施形態において、脱フコシル化タンパク質は、抗体である。さらなる一実施形態において、抗体は、リツキシマブである。
別の局面において、本発明は、Cas9タンパク質と、crRNAおよびtracrRNAの一方または両方とをエンコードするヌクレオチドを含有するプラスミドを含む。このプラスミドは、哺乳動物細胞発現ベクタである。crRNAおよびtracrRNAの両方が存在する場合、crRNAおよびtracrRNAは、必要に応じてヘアピンRNA結合によって連結される。一実施形態において、プラスミドは、crRNAおよびtracrRNAの一方または両方を含み、Cas9の染色体部位をターゲティングすることができるcrRNAまたはtracrRNAの一部の配列が利用される。さらなる実施形態において、crRNAは、標的遺伝子の少なくとも2つのプロトスペーサ配列から構成される。別の実施形態において、Cas9タンパク質は、プロモータによって発現される。さらなる実施形態において、プロモータは、CMVプロモータである。別の実施形態において、tracrRNAは、プロモータによって発現される。さらなる実施形態において、crRNAは、プロモータによって発現される。別の実施形態において、ヘアピンRNA結合によってtracrRNAに連結されたcrRNAは、プロモータによって発現される。さらなる実施形態において、tracrRNAプロモータおよびcrRNAプロモータは、ヒトU6プロモータである。別の実施形態において、プラスミドは、抗生物質耐性遺伝子をさらに含む。さらなる実施形態において、抗生物質は、アンピシリンある。
さらなる局面において、本発明は、Cas9を含有する少なくとも1つのプラスミドを用いて、本発明の細胞をトランスフェクトする方法を提供する。
別の局面において、本発明は、crRNAを含有する少なくとも1つのプラスミドを用いて、本発明の細胞をトランスフェクトする方法を提供する。
さらなる局面において、本発明は、ヘアピンRNA結合によってtracrRNAに連結されたcrRNAを含有する少なくとも1つのプラスミドを用いて、本発明の細胞をトランスフェクトする方法を提供する。
Cas9媒介した配列特異的DNA切断を概略的に示しており、図中の典型的なCRISPR系は、Cas9タンパク質と、2つの小さなRNA、すなわちcrRNAおよびtracrRNAとの3つの構成要素を含み、crRNAは、標的DNA(スペーサ配列+NGG)に相補的な配列を含み、tracrRNAは、crRNAに相補的な配列を含み、野生型Cas9は、二本鎖DNA切断を引き起こす一方、Cas9−D10Aは、一本鎖DNA切断を引き起こす。 Cas9媒介した配列特異的DNA切断を概略的に示しており、図中の本発明の改変されたCRISPR系は、Cas9タンパク質と、crRNAおよびtracrRNAの配列を組合わせた単一のgRNAとの2つの構成要素を含み、gRNAは、標的DNAに相補的な配列と、ヘアピン構造とを含む。 Cas9媒介した配列特異的DNA切断を概略的に示しており、図中に概略示されたcrRNAは、3つの異なるターゲティングスペーサを含み、DRは、直列反復配列を示し、T1、T2およびT3は、標的とする配列を示す。 Cas9媒介した遺伝子ターゲティング系、すなわち、哺乳動物細胞発現ベクタLB200のプラスミドマップを示しており、図中、Cas9は、CMVプロモータによって転写され、tracrRNAは、ヒトU6プロモータによって転写される。 Cas9媒介した遺伝子ターゲティング系、すなわち、哺乳動物細胞発現ベクタLB221のプラスミドマップを示しており、図中、Cas9は、CMVプロモータによって転写され、tracrRNAは、ヒトU6プロモータによって転写され、ベクタLB221において、IRES−GFPカセットがCas9の後に挿入される。 Cas9媒介した遺伝子ターゲティング系、すなわち、哺乳動物細胞発現ベクタLB202aのプラスミドマップを示しており、図中、DR−T1−DRのcrRNAは、ヒトU6プロモータによって転写される。 Fut8をターゲティングするCRISPR系の導入前、CHOS細胞のフコースに対するLCA−FITC染色を示しており、左図は、LCA−FITCに染色されていない陰性対照CHOS細胞を示し、右図は、LCA−FITCに染色された野生型CHOS細胞の陽性対照フコースを示している。 Fut8をターゲティングするCRISPR系の導入後、CHOS細胞のフコースに対するLCA−FITC染色を示しており、図中、単一のターゲティングRNAまたはcrRNAを有するCRISPR系の導入後、CHOS細胞のフコースに対するLCA−FITC染色が示されている。 Fut8をターゲティングするCRISPR系の導入後、CHOS細胞のフコースに対するLCA−FITC染色を示しており、図中、単一のターゲティングRNAまたはcrRNAを有するCRISPR系の導入後、CHOS細胞のフコースに対するLCA−FITC染色が示されている。 Fut8をターゲティングするCRISPR系の導入後、CHOS細胞のフコースに対するLCA−FITC染色を示しており、図中、単一のターゲティングRNAまたはcrRNAを有するCRISPR系の導入後、CHOS細胞のフコースに対するLCA−FITC染色が示されている。 1〜10個のターゲティングRNAまたはcrRNAを用いて、Fut8をターゲティングするCRISPR系の導入前、CHOS細胞のフコースに対するLCA−FITC染色を示しており、左図は、LCA−FITCに染色されていない陰性対照CHOS細胞を示し、右図は、LCA−FITCに染色された野生型CHOS細胞の陽性対照フコースを示している。 1〜10個のターゲティングRNAまたはcrRNAを用いて、Fut8をターゲティングするCRISPR系の導入後、CHOS細胞のフコースに対するLCA−FITC染色を示しており、図中、単一のターゲティングRNAまたはcrRNAを有するCRISPR系の導入後、CHOS細胞のフコースに対するLCA−FITC染色が示されている。 1〜10個のターゲティングRNAまたはcrRNAを用いて、Fut8をターゲティングするCRISPR系の導入後、CHOS細胞のフコースに対するLCA−FITC染色を示しており、図中、単一のターゲティングRNAまたはcrRNAを有するCRISPR系の導入後、CHOS細胞のフコースに対するLCA−FITC染色が示されている。 1〜10個のターゲティングRNAまたはcrRNAを用いて、Fut8をターゲティングするCRISPR系の導入後、CHOS細胞のフコースに対するLCA−FITC染色を示しており、図中、単一のターゲティングRNAまたはcrRNAを有するCRISPR系の導入後、CHOS細胞のフコースに対するLCA−FITC染色が示されている。 1〜10個のターゲティングRNAまたはcrRNAを用いて、Fut8をターゲティングするCRISPR系の導入後、CHOS細胞のフコースに対するLCA−FITC染色を示しており、図中、単一のターゲティングRNAまたはcrRNAを有するCRISPR系の導入後、CHOS細胞のフコースに対するLCA−FITC染色が示されている。 左図は、LCA−FITC染色前のCHOS細胞を示しており、図中の細胞は、トランスフェクション#5(3つの標的RNA)のM2プールからクローンされ、2.123.3Pと標記されたものであり、右図は、LCA−FITC染色後のCHOS細胞を示しており、図中の細胞は、トランスフェクション#6(4つの標的RNA)のM2プールからクローンされ、2.123.4Pと標記されたものである。 左図は、LCA−FITC染色前のCHOS細胞を示しており、図中の細胞は、トランスフェクション#5(3つの標的RNA)のM2プールからクローンされ、2.123.3Pと標記されたものであり、右図は、LCA−FITC染色後のCHOS細胞を示しており、図中の細胞は、トランスフェクション#6(4つの標的RNA)のM2プールからクローンされ、2.123.4Pと標記されたものである。 フコースに対するLCA−FITC染色を示している。 フコースに対するLCA−FITC染色を示している。 Fut8のエクソン1(配列番号:1)、変異体1(配列番号:2)、変異体2(配列番号:3)および変異体3(配列番号:4)の配列アラインメントを示しており、変異体1および3は、細胞株2.123−4から変異され、変異体2は、細胞株2.123−6から変異される。 Fut8のエクソン1(配列番号:1)、変異体1(配列番号:2)、変異体2(配列番号:3)および変異体3(配列番号:4)の配列アラインメントを示しており、変異体1および3は、細胞株2.123−4から変異され、変異体2は、細胞株2.123−6から変異される。 トランスフェクション#5(3つの標的RNA)のM2ピークから単離されたクローン体のトランスフェクション効率を示しており、トランスフェクション#5のM2ピークから単離された他の変異細胞株は、2.123−1、2.123−11、2.123−12、2.123−13、2.123−15、2.123−20、2.123−23、2.123−25および2.124−6である。 トランスフェクション#5(3つの標的RNA)のM2ピークから単離されたクローン体のトランスフェクション効率を示しており、トランスフェクション#5のM2ピークから単離された他の変異細胞株は、2.123−1、2.123−11、2.123−12、2.123−13、2.123−15、2.123−20、2.123−23、2.123−25および2.124−6である。 トランスフェクション#5(3つの標的RNA)のM2ピークから単離されたクローン体のトランスフェクション効率を示しており、トランスフェクション#5のM2ピークから単離された他の変異細胞株は、2.123−1、2.123−11、2.123−12、2.123−13、2.123−15、2.123−20、2.123−23、2.123−25および2.124−6である。 トランスフェクション#5(3つの標的RNA)のM2ピークから単離されたクローン体のトランスフェクション効率を示しており、トランスフェクション#5のM2ピークから単離された他の変異細胞株は、2.123−1、2.123−11、2.123−12、2.123−13、2.123−15、2.123−20、2.123−23、2.123−25および2.124−6である。 トランスフェクション#5(3つの標的RNA)のM2ピークから単離されたクローン体のトランスフェクション効率を示しており、トランスフェクション#5のM2ピークから単離された他の変異細胞株は、2.123−1、2.123−11、2.123−12、2.123−13、2.123−15、2.123−20、2.123−23、2.123−25および2.124−6である。 トランスフェクション#5(3つの標的RNA)のM2ピークから単離されたクローン体のトランスフェクション効率を示しており、トランスフェクション#5のM2ピークから単離された他の変異細胞株は、2.123−1、2.123−11、2.123−12、2.123−13、2.123−15、2.123−20、2.123−23、2.123−25および2.124−6である。 野生型CHOS細胞およびFut8の二重対立遺伝子ノックアウトを有するCHOS細胞に作られたリツキシマブ(リツキサン)とラスツズマブ(ハーセプチン)のグリカン分析を示している。 野生型CHOS細胞およびFut8の二重対立遺伝子ノックアウトを有するCHOS細胞に作られたリツキシマブ(リツキサン)とラスツズマブ(ハーセプチン)の抗体依存細胞毒性を示している。図8Aは、野生型CHOS細胞およびFut8の二重対立遺伝子ノックアウトを有するCHOS細胞に作られたリツキシマブ(リツキサン)のADCC活性を示している。 野生型CHOS細胞およびFut8の二重対立遺伝子ノックアウトを有するCHOS細胞に作られたラスツズマブ(ハーセプチン)のADCC活性を示している。
発明の詳細な説明
本発明は、限定ではなく例示として示される。なお、留意すべきことは、本開示において、「一実施形態」または「1つの実施形態」または「いくつかの実施形態」を言及する場合、必ずしも同一の実施形態ではなく、少なくとも1つの実施形態を意味することである。また、文脈によって必要とされる場合を除き、単数形の用語は、複数形のものを含んでもよく、複数形の用語は、単数のものを含んでもよい。本出願において、特に明記しない限り、「または」という用語は、「および/または」を意味する。さらに、「含む」という用語は、「含む」および「含まれる」ならびに他の形態で使用されるときに、限定する意味をしていない。
本明細書において別段の定義がない限り、本発明に関連して使用された科学用語および技術用語は、当業者によって一般的に理解される意味を有するものとする。これらの用語の意味および範囲は、潜在的な曖昧さを有しながらも明確であろう。また、本明細書に提供された定義は、任意の辞書または外因性定義よりも優先する。
一般的には、本明細書中に記載された細胞および組織の培養、分子生物学、免疫学、微生物学、遺伝学、タンパク質および核酸化学、およびハイブリダイゼーションに関連して使用される命名法および技術は、周知でありかつ当技術分野において一般的に使用される。特段の記載のない限り、本発明の方法および技術は、一般には、当該技術分野に周知であり、本明細書の全体に亘って引用および議論されるさまざまな一般的な文献およびより具体的な文献に記載された従来の方法に従って実施される。また、本明細書に記載されるように、酵素反応および精製技術は、当技術分野で一般的に達成されるように、製造業者の仕様書に従って実施される。よって、本発明をより容易に理解することができ、選択された用語は、以下のように定義される。
「抗体」という用語は、本明細書に使用される場合、広い意味で、4つのポリペプチド鎖、すなわち、2つの重鎖(H鎖)および2つの軽鎖(L鎖)から構成される免疫グロブリン(Ig)分子、またはIg分子の本質的なエピトープ結合特徴を保持している任意の機能的断片、変異体、多様体またはその誘導体を指す。このような機能的断片、変異体、多様体またはその誘導体は、たとえば、実質的に免疫グロブリン遺伝子によってコードされた1つ以上のポリペプチド、免疫グロブリン遺伝子の断片、(異なる動物からの遺伝情報を組合わせることによって得られた)ハイブリッド免疫グロブリン遺伝子、合成免疫グロブリン遺伝子、1本鎖抗体、Fab、F(ab)、scFv、dAB、VHH、ラクダ科抗体、またはナノボディを含む。このような変異体、多様体、または抗体誘導体の形態は、当技術分野に知られている。非限定的な実施形態を以下に説明する。
完全長の抗体において、各重鎖は、重鎖可変領域(HCVRまたはVHとして略記される)および重鎖定常領域から構成される。重鎖定常領域は、3つのドメイン、すなわち、CH1、CH2およびCH3から構成される。各軽鎖は、軽鎖可変領域(LCVRまたはVLとして略記される)および軽鎖定常領域から構成される。軽鎖定常領域は、1つのドメインCLから構成される。VHおよびVL領域は、さらに、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる超変異性領域に細分することができ、これらの超変異性領域は、フレームワーク領域(FR)と呼ばれる保存領域によって散在させられる。各VHおよびVLは、アミノ末端からカルボキシ末端まで、FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4という順序で配列された3つのCDRおよび4つのFRから構成される。免疫グロブリン分子は、任意の種(たとえば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgAおよびIgY)、クラス(たとえば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2)またはサブクラスのものであってもよい。
「単離抗体」という用語は、本明細書に使用される場合、異なる抗原特異性を有する他の抗体を実質的に含まない抗体(たとえば、正常Bリンパ球および悪性Bリンパ球の表面に存在するCD20抗原に特異的に結合する単離された抗体)を指す。しかしながら、CD20抗原に特異的に結合する単離抗体は、他の抗原、たとえば他の種から由来したCD20分子に対して交差反応性を有してもよい。さらに、単離抗体は、他の細胞物質および/または化学物質を実質的に含まなくてもよい。
「ポリヌクレオチド」という用語は、本明細書に言及される場合、2個以上のヌクレオチド、すなわち、リボヌクレオチドまたはデオキシリボヌクレオチドのうちいずれか一方のヌクレオチドもしくはヌクレオチドのうちいずれか一方の改変体からなるポリマーを指す。このポリヌクレオチドは、一本鎖のDNAおよび二本鎖のDNAを含むが、特に二本鎖のDNAを指す。
「単離ポリヌクレオチド」という用語は、本明細書に使用される場合、その起源(たとえば、ゲノム起源、cDNA起源または合成起源、またはそれらの一部の組合せ)によって、単離ポリヌクレオチドが本質的に存在するポリヌクレオチドの一部または全部に関連付けられておらず、または単離ポリヌクレオチドが本質的に結合されていないポリヌクレオチドに動作可能に結合されており、またはより大きな配列の一部として本質的に存在していないポリヌクレオチドを意味する。
「ベクタ」という用語は、本明細書に使用される場合、別の核酸に連結され、別の核酸を輸送できる核酸分子を指すものとする。1種類のベクタは、追加のDNAセグメントを連結し得る二本鎖DNAの環状ループと称する「プラスミド」である。一部のベクタは、ベクタが動作可能に連結された遺伝子の発現を指示することができる。本明細書において、このようなベクタは、「組換発現ベクタ」(または、単に「発現ベクタ」)と称される。一般には、組換DNA技術において有用な発現ベクタは、しばしばプラスミドの形態にある。プラスミドは、ベクタの最も一般的に用いられる形態であるため、「本明細書において、プラスミド」および「ベクタ」を交換可能に使用してもよい。しかしながら、本発明は、同等の機能を果たす他の形態の発現ベクタを含むと意図している。細胞内では、ベクタおよび/またはプラスミドは、染色体外に存在してもよく、宿主細胞のDNAに組込まれてもよい。
「動作可能に連結された」という用語は、記載された成分が意図したように機能することできる関係にある寄り集めを意味する。コーディング配列に「動作可能に連結された」制御配列は、制御配列に適合する条件下でコーディング配列の発現を達成するように、コーディング配列に連結される。「動作可能に連結された」配列は、目的遺伝子と隣接する発現制御配列と、目的遺伝子を制御するためにトランスでまたは一定の距離で作用する発現制御配列との両方を含む。「発現制御配列」という用語は、本明細書に使用される場合、コーディング配列に連結され、コーディング配列の発現およびプロセシングを果たすのに必要なポリヌクレオチド配列を意味する。発現制御配列は、適切な転写開始配列、転写終結配列、転写プロモータ配列および転写エンハンサ配列と、スプライシングシグナルおよびポリアデニル化シグナルなどの効率的なRNAプロセシングシグナルと、細胞質mRNAを安定化させる配列と、翻訳効率を増強する配列(すなわち、Kozakコンセンサス配列)と、タンパク質安定性を増強する配列と、必要に応じてタンパク質分泌を増強する配列とを含む。これらの制御配列の性質は、宿主生物によって異なる。一般には、真核生物において、制御配列は、転写プロモータ配列および転写終結配列を含む。「制御配列」という用語は、その存在が発現およびプロセシングに必須である構成要素を含むことを意図しており、また、存在すれば有利である付加的な構成要素、たとえば、リーダー配列および融合パートナー配列を含むこともできる。
「精製されたDNAを真核生物の宿主細胞に導入する」または「トランスフェクション」という用語は、他の材料と共にまたは他の材料を伴わずに、細胞外DNAを宿主細胞に入れる任意プロセスを意味する。「細胞をトランスフェクトする」または「トランスフェクトされた細胞」という用語は、細胞外DNAを導入することによって細胞外DNAを保有する細胞を意味する。核酸を染色体組込体または染色体外来要素として複製するように、DNAを細胞に導入することができる。「プロモータ」という用語は、本明細書に使用される場合、遺伝子の発現を調節する核酸配列を指す。
「組換宿主細胞」(または単に「宿主細胞」)という用語は、本明細書に使用される場合、外来性DNAが導入された細胞を指すことを意図している。理解すべきことは、このような用語は、特定の対象細胞だけでなく、対象細胞の後代細胞を指すように意図されていることである。変異または環境影響によって、後代細胞に一定の改変が起こり得るため、後代細胞は、実際に親細胞と同一ではないが、本明細書に使用される「宿主細胞」という用語の範囲内に含まれる。詳しくは、宿主細胞は、真核細胞を含む。
「真核細胞」は、真核生物から由来する任意の哺乳動物細胞または非哺乳動物細胞を意味する。非限定的な例として、本発明は、細胞培養条件下で保管され、その後トランスフェクトされることができる任意の真核細胞を含む。特に好ましい細胞種は、たとえば、幹細胞、胚性幹細胞、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)、293細胞、NS0細胞、COS、BHK21、NIH3T3、HeLa細胞、C2C12、癌細胞、植物細胞、真菌細胞、および初代分化細胞または初代未分化細胞を含む。他の適切な宿主細胞は、当業者に知られている。
「目的遺伝子」または「導入遺伝子」は、好ましくは、タンパク質(構造タンパク質または調節タンパク質)をエンコードする。「タンパク質」は、本明細書に使用される場合、約10個以上のアミノ酸を有するペプチドおよびポリペプチドを指す。タンパク質は、酵母によって産生されるヒトタンパク質のような宿主細胞と「同種」(すなわち、利用される宿主細胞に内在的)であってもよく、または「異種」(すなわち、利用される宿主細胞に外来的)であってもよい。タンパク質は、細胞のペリプラズム空間または細胞質または細胞外培地中に不溶性の凝集体または可溶性のタンパク質として産生されてもよい。
DNAの組換、オリゴヌクレオチドの合成、組織の培養および形質転換のために、標準的な技術(たとえば、エレクトロポレーション、リポフェクション)を使用することができる。酵素反応および精製技術は、製造業者の仕様書に従って実施され、または当該技術分野において一般的に達成されるように実施され、または本明細書に記載のように実施されてもよい。前述した技術および手順は、一般には、当該技術分野に周知であり、本明細書の全体に亘って引用および議論されるさまざまな一般的な文献およびより具体的な文献に記載された従来の方法に従って実施される。例示的な方法は、分子生物学の最新プロトコル(Coligan, J. E.ら編集, John Wiley & Sons, NY, NY, 2001、Ausubel et al., 分子生物学の最新プロトコル, Greene Publ. Assoc. Inc. & John Wiley & Sons, Inc., NY, NY, 2001)、Sambrookら(分子クローニング, 3rd Ed., Cold Spring Harbor Laboratory, Plainview, NY, 2001)およびその他の刊行物に記載されている。
発明の概要
本発明は、CRISPR系を利用して、真核細胞内の標的遺伝子を破壊する。より具体的には、この系は、目的遺伝子の複数のエクソン部位をターゲティングするCas9、(単一または複数の)tracrRNAおよび複数のcrRNAをCHO細胞、293細胞、NS0細胞または任意の抗体産生細胞などの真核細胞中に一過性発現する。公開されたCRISPR方法に比較して、本発明の系の主な利点は、同一の系内の複数crRNA配列を用いて、1つのステップで2つの標的対立遺伝子を特異的にノックアウトすることである。CRISPRに関連する出版物の殆どは、Surveyor(登録商標)ヌクレアーゼアッセイ(Transgenomic社、米国ネブラスカ州オマハ市)またはディープシーケンシングを利用して、ゲノム編集率を評価し、単一対立遺伝子変異体または二重対立遺伝子変異体を区別していない。二重対立遺伝子のゲノム編集を効率的にする本発明の方法は、複数のcrRNA標的を用いて、同一の遺伝子/エクソンをターゲットする。いかなる特定の理論に拘泥されるつもりないが、我々は、複数のcrRNA部位をターゲットすることは、二重対立遺伝子ノックアウトを産生する可能性を著しく高めるであろうと仮説した。実際には、我々の結果によれば、複数のcrRNAが相乗的に作用し、1〜5%の二重対立遺伝子ノックアウト細胞を産生した。驚くべき意外なことに、最適数のcrRNA(ターゲティングRNA)は、4〜5%のノックアウト率を引起したが、crRNAをさらに追加しても、ノックアウト率を増加しなかった。また、驚くべきことに、3〜4個のcrRNAは、特にこれらのcrRNAサイトが互いに近接して位置する場合、すなわち、crRNAの標的配列が標的細胞のDNAの500、450、400、375、300、250、200、150、100、または50塩基対の範囲内にある場合、相加効果をはるかに超えるノックアウト率を示した。二重対立遺伝子ノックアウト率に対するこの近接効果も、驚くべき意外だった。
Cas9を用いて標的DNAを切断することによって二本鎖フラグメントを生成する場合、目的遺伝子は、非相同末端結合(NHEJ)によるフレームシフトの挿入または削除(挿入/削除)を導入することによって破壊され得る。単一の触媒部位多様体Cas9−D10Aによって2つの一本鎖切断部位を作成した場合、目的遺伝子は、切断部位の間の削除によって破壊され得る。従来では、Cas9系が複数の哺乳動物細胞種において指向性のある遺伝子編集を作成することができることは、証明された(Mali et al., Science, 2013, 339:823-826; Cong, L. et al., Science, 2013, 339:819-823)。しかしながら、非相同末端結合率が標的部位および細胞種によって一般的に低いため、従来のCas9系は、単一のステップで両方の対立遺伝子を含まないノックアウト細胞株を効率的に選択することができない。本発明は、目的遺伝子の複数のターゲティングRNA部位を用いて、単一のステップで、二重対立遺伝子ノックアウトを作成するための方法および組成物を提供する。他の実施形態において、2つ以上の遺伝子は、同時に標的とされる。
CRISPR系は、多くの生物のゲノム修飾に適用可能である。自然界では、CRISPR系は、細菌および古細菌により使用され、RNA指向のDNA分解によってファージおよびプラスミドを防御する。明らかに、外来DNAは、CRISPR関連(Cas)遺伝子の一部によりエンコードされたタンパク質によって小さな要素(〜30bpの長さ)に処理され、その後、これらの小さな要素は、何らかの方法でリーダー配列近くのCRISPR遺伝子座に挿入される。スペーサと呼ばれる外来DNAの短セグメントは、CRISPRリピートの間のゲノムに組込まれ、過去曝しの「記憶」として機能する。CRISPRリピートのサイズは、24〜48塩基対の範囲にある。タイプIIのCRISPR系において、Cas9タンパク質は、相補的な配列を共有する2つの小さなRNA、すなわち、crRNAおよびtracrRNAと共に、複合体を形成する。crRNAは、DNAスペーサの配列に相補的な配列を含み、Cas9−RNA複合体を標的としての外来DNAに案内する。ヘアピンRNA結合を用いてcrRNAとtracrRNAとを連結することによって、単一のキメラガイドRNA(gRNA)を利用することができる。Cas9は、DNA二重鎖を解き、crRNAによる標的配列の認識によって両方の鎖を切断するが、プロトスペーサ隣接モチーフ(PAM)が3′末端に正確に存在する場合のみ、二重鎖断片が生成される。Cas9は、キメラgRNAを発現すること(Mali, P. et al., Science, 2013, 339(6121): 823-6)によって、または処理に必要されたtracrRNAを有するスペーサ配列(Cong, L. et al., Science, 2013, 339(6121):819-23)によって、案内され、互換性のあるPAMを有する任意の配列を切断することができる。2つのCas9ヌクレアーゼドメインのうちいずれか1つをノックアウトすることによって、酵素がニッカーゼに変換される。このニッカーゼは、核酸に切り目(一方の鎖に破損)を引き起こし、核酸を解く。CRISPRは、Richterら(Viruses, 2012, 4:2291-2311)、Cong, L.(supra)およびMali, P.ら(supra)により概説される。
一実施形態において、標的としての目的遺伝子は、たとえば、Fut8、α−(1−6)−フコシルトランスフェラーゼなどのフコシルトランスフェラーゼである。フコシルトランスフェラーゼは、L−フコース糖をGDP−フコース(グアノシン二リン酸−フコース)ドナー基質からアクセプター基質に転移する酵素である。アクセプター基質は、たとえば、N−結合型グリコシル化の場合、フコースを中核GlcNAc(N−アセチルグルコサミン)糖質に転移し、またはO−フコシルトランスフェラーゼによって生成されたO−結合グリコシル化の場合、フコースをタンパク質に転移するトランスファなどの他の糖質であってもよい。さらなる実施形態において、標的遺伝子は、グルタミンシンテターゼをコードする。たとえば、グルタミンシンテターゼ(GS)(EC 6.3.1.2)は、グルタミンを形成するグルタミン酸とアンモニアとの縮合反応を触媒することによって、窒素の代謝に重要な役割を果たす酵素である。別の実施形態において、標的遺伝子は、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)である。ジヒドロ葉酸レダクターゼまたはDHFRは、電子ドナーとしてのNADPHを使用して、ジヒドロ葉酸をテトラヒドロ葉酸に還元する酵素である。この時に、NADPHは、1−炭素転移化学に使用される種々のテトラヒドロ葉酸補助因子に変換される。
別の実施形態において、標的遺伝子は、シアリダーゼ(たとえば、NEU2またはNEU3)である。NEU2およびNEU3は、糖タンパク質および糖脂質からシアル酸残基を除去する糖加水分解酵素のファミリーに帰属される。抗体産生細胞内のNEU2またはNEU3を破壊することは、グリコシル化抗体から末端シアル酸の除去を防止し、抗体の活性および循環半減期を改善することができる。
一実施形態において、標的としての目的遺伝子は、BAX、BID、BAKまたはBADなどのアポトーシス促進遺伝子である。抗体産生細胞内のアポトーシス促進遺伝子を破壊することは、アポトーシスプロセスを破壊し、細胞生存率および抗体の産生を高めることができる。
CRISPR
ゲノム編集ヌクレアーゼは、遺伝子工学の有益なツールである。本発明は、CRISPR(Clustered Regularly Interspaced Short Palindromic Repeats)と呼ばれる配列特異的ヌクレアーゼ系を利用する。インビボでは、この微生物ヌクレアーゼ系は、ファージおよびプラスミドの侵入に対する防御を援助する。微生物宿主内のCRISPR遺伝子座は、CRISPR媒介する核酸切断の特異性をプログラムすることが可能なノンコーディングRNA要素と共に、CRISPR関連遺伝子の組合わせを含む。CRISPRは、ゲノムコードされたRNAアレイを使用して、CRISPR関連(Cas)ヌクレアーゼによる外来DNAの切断を制御する。Cas多様体ヌクレアーゼを利用する3種類(I〜III)のCRISPR系は、広い範囲の細菌宿主に亘って確認された(Makarova et al., Nat. Rev. Microbiol, 2011, 9(6):467-77; Karvelis et al., RNA Biol, 2013, 10(5):841-51)。各CRISPR遺伝子座は、非反復配列(スペーサ)の短ストレッチによって離間された反復配列(直接反復)のアレイを含む。スペーサ配列は、標的ゲノム内のプロトスペーサ配列に対応する。これらの標的ゲノムは、一般的には、20〜30個のヌクレオチドの後に続いたNGGプロトスペーサ隣接モチーフ(PAM)を含む。核酸の切断に関連するCasヌクレアーゼを利用するために、ノンコーディングCRISPRアレイは、転写され、直接反復内において個別のスペーサ配列を含む短crRNAに切断される。これらの短crRNAは、Casヌクレアーゼを標的部位(プロトスペーサ)に向わせる。
本発明に利用されたタイプIIのCRISPRは、十分に特徴付けられ、4つの連続ステップで標的DNA二本鎖を切断する。第一に、2つのノンコーディングRNA、すなわち、pre-crRNA(CRISPR RNA)アレイおよびtracrRNA(トランス活性化crRNA)は、CRISPR遺伝子座から転写される。第二に、tracrRNAは、pre-crRNAの反復領域にハイブリダイズし、pre-crRNAを個々のスペーサ配列を含有する成熟crRNAに切断する処理を媒介する。第三に、成熟crRNAとtracrRNAの複合体は、crRNAに存在するスペーサと、標的を認識するための追加要件としてのプロトスペーサ隣接モチーフ(PAM)の隣りの標的DNAに存在するプロトスペーサとの間の塩基対によって、Cas9を標的DNAに向わせる。最後に、Cas9は、標的DNAの切断を媒介することによって、プロトスペーサ内において、二本鎖を切断する(www.genome-engineering.org/crispr)。PAMに加えて、完璧なスペーサ配列相同性を有する少なくとも12個の塩基対(bp)は、CRISPRエンドヌクレアーゼ活性に必要であると思われる(EsveltおよびWang, Mol. Syst. Biol, 2013, 9:641)。
核局在化Cas9および処理したガイドRNAを含め、化膿連鎖球菌CRISPR構成要素からの哺乳動物発現構造物を種々の細胞種にトランスフェクトすることによって、細胞集団内の標的対立遺伝子を破壊することができる。また、このCRISPR系は、多重化処理をすることができる。複数のガイド配列を単一のCRISPRアレイにエンコードすることによって、哺乳動物ゲノム内のいくつかの部位を同時編集することができる。
CRISPRを使用したゲノム編集は、標的遺伝子の破壊を始動させることに加えて、細胞相同組換機械を活用して、一本鎖切断部位に位置する相同性領域を含む設計されたドナーDNAカセットとともに、DNA遺伝子座を置換することができる。Congらは、2つの異なるタイプIIのCRISPR系の設計を開示しており、このCRISPR系は、短RNAを用いてCas9ヌクレアーゼを誘導し、ヒト細胞およびマウス細胞内の内因性ゲノム遺伝子座における精確な切断を誘発することができることを実証した(Science, 2013, 339:819-823)。また、彼らは、Cas9をニッキング酵素に変換することによって、最小限の変異原活性を用いて相同性指向修復を容易にすることができることを報告した。Maliらも、ヒト細胞内の従来のガイドRNA(gRNA)とともに機能するタイプIIの細菌CRISPR系を設計したことを開示している(Science, 2013, 339:823-826)。
二重対立遺伝子ノックアウトの産生方法
一実施形態において、本発明は、ヌクレアーゼおよび少なくとも2つのターゲティングRNAを含むCRISPR系を真核細胞に提供することによって、真核細胞から二重対立遺伝子ノックアウトを産生する方法を含む。一実施形態において、CRISPR系は、3〜4個、3〜5個、3〜6個、3〜7個、3〜8個、3〜9または3〜10個のターゲティングRNAを有する。この方法の1つの応用例として、脱アフコシル化抗体を分泌する細胞を生成することである。Fut8遺伝子は、α−(1,6)−フコシルトランスフェラーゼ、すなわち、フコースをGDP−フコースからN−結合型複合糖ペプチドに転移することを触媒する酵素をコードする。脱フコシル化抗体が高ADCC活性を有するため、抗体産生細胞からFut8をノックアウトすることが望ましい。本発明の一実施形態において、チャイニーズハムスターFut8は、開始コドンから停止コドンまでの間の121971個のヌクレオチドからなる9個のエクソンを含む。チャイニーズハムスターFut8の遺伝子構造は、表1に示される。
表2に示された最初の4つのエクソンに位置する10個のプロトスペーサ配列を選択して、発現ベクタを構築することができる。表2において、標的crRNAの「c」は、相補鎖を意味し、黒字の配列は、PAM(プロトスペーサ隣接モチーフ)を意味する。これらの配列は、U6転写始動を容易にするために、すべてGから始まり、約20個のヌクレオチドの後にNGGが続く。標的スペーサ配列または複数のスペーサ配列のうちいずれか1つを含むように、複数のcrRNA発現ベクタを構築してもよい。
野生型CHO細胞および抗体を発現するCHO細胞株を用いて、Fut8遺伝子ノックアウト効率を特徴付けることができる。典型的には、細胞は、Cas9、tracrRNAおよびcrRNAのうち少なくとも1つの哺乳動物発現ベクタを用いて、トランスフェクトされる。2日間培養後、レンチルレクチン凝集素(LCA)−FITC(Vector Laboratories, Burlingame, CA)による蛍光標識およびフローサイトメトリ分析によって細胞表面フコース量を定めるために、細胞を継続的に監視する。LCA−FITCの陰性結合は、Fut8の両方の対立遺伝子がノックアウトされたことを示している。いくつかの実施形態において、)Fut8は、(図6Bに示された)配列番号2、3または4により表された変性エクソン1の配列を含む。
別の実施形態において、本発明は、CMVプロモータの制御によって転写されるCas9発現カセットおよびヒトU6プロモータの制御によって転写されるtracrRNA発現カセットを含む二重発現ベクタLB200(図2)に関する。別々の発現ベクタまたは複数のベクタを使用して、crRNAを発現することができる。図3は、crRNAを発現するヒトU6プロモータ、すなわち、直列反復配列(DR)が隣接する標的配列(スペーサ)を含むベクタLB202aの基本的な構造を示している。スペーサ配列は、標的ゲノム内のプロトスペーサ配列に対応する。この標的ゲノムは、一般的には、20〜30個のヌクレオチドの後に続いたプロトスペーサ隣接モチーフNGG(PAM)を含む。LB200およびLB202aを目的細胞にコトランスフェクトした後、crRNAおよびtracrRNAは、RNA二重鎖を形成し、Cas9を染色体内のプロトスペーサ配列に案内する。その後、Cas9は、PAMの−3位でDNAを切断する。このcrRNAは、U6プロモータの後に複数のスペーサを含んでもよい。たとえば、crRNA配列DR−T1−DR−T2−DR−T3−DR(図1C)において、3つのスペーサは、標的にされる。したがって、複数のプロトスペーサ配列は、Cas9に同時に狙われることができる。
一部の実施形態において、tracrRNAとcrRNAとは、ヘアピンRNA結合によって連結されてもよい。RNA塩基は、アデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)およびウラシル(U)を含む。RNA分子は、1つのヌクレオチドのリン酸塩基と他のヌクレオチドの糖基との間の共有結合によって相互結合されたヌクレオチドポリマーである。これらの結合は、リン酸ジエステル結合と呼ばれる。RNAは、一本鎖であるが、必ずしも直線的なものとは限らない。その理由は、RNAは、複雑な三次元形状に折畳み、ヘアピンループを形成する能力を有するからである。ループ内において、塩基は、アデニンがウラシルと対を形成し(A−U)、グアニンがシトシンと対を形成する(G−C)ように、互いに結合する。ヘアピンループは、一般に、メッセンジャRNA(mRNA)および転移RNA(tRNA)などのRNA分子に観察される。
本明細書に記載の発現ベクタは、発現制御配列を含むことができる。これらの発現制御配列は、当該技術分野で知られ、たとえば宿主細胞内におけるポリヌクレオチド配列の発現を提供するプロモータ、エンハンサ、ポリアデニル化シグナル、転写終結因子、内部リボソーム侵入部位(IRES)およびその他を含む。これらの発現制御配列は、転写に関与する細胞タンパク質と特異的に相互作用する(Maniatis et al., Science, 1987, 236:237-1245)。例示的な発現制御配列は、たとえば、Goeddel, Gene Expression Technology: Methods in Enzymology, 1990, Vol. 185, Academic Press, San Diego, CAに記載されている。
Cas9の発現は、CMVプロモータ、EF1αプロモータ、SV40プロモータ、RSVプロモータまたはPGKプロモータを含むがこれらに限定されない任意の真核生物プロモータによって、駆動されてもよい。本発明に好適に使用されるCMVプロモータは、GSL Biotech LLC (Chicago, IL), Promega Corporation (Madison, WI), Sigma-Aldrich (St. Louis, MO), and Clontech Laboratories (Mountain View, CA)などの供給源からプラスミドの形で入手可能である。適切なEF1αプロモータは、Clontech Laboratories and Oxford Genetics (Oxfordshire, UK)から入手可能である。SV40プロモータは、Promega Corporation, Invitrogen (Carlsbad, CA), and Oxford Geneticsなどの供給源からプラスミドの形で広く入手可能である。RSVプロモータおよびPGKプロモータは、同様の会社から入手可能である。
RNAの発現は、ヒトU6プロモータ、ヒトH1プロモータまたはヒト7SKプロモータを含むがこれらに限定されない任意のRNAポリメラーゼプロモータによって、駆動されてもよい。適切なヒトU6プロモータは、Invitrogen and Oxford Geneticsなどの供給源からプラスミドの形で入手可能である。
「ターゲティングRNA」は、ゲノム編集のために、Cas9を標的DNA配列に向かわせるcrRNAを指す。ターゲティングRNAは、目的遺伝子のプロトスペーサのDNA配列と相補的なRNA配列を含む。ターゲティングRNAは、ヘアピンRNA結合によって、tracrRNAの完全配列または部分配列と連結することができる。
抗体の産生
本発明の方法およびそれによって産生されたプラスミドを使用して、真核細胞をトランスフェクトすることによって、これらの真核細胞は、目的抗体、好ましくは治療用抗体を産生することができる。治療用抗体の産生および精製は、当該分野で周知である。例としては、重鎖および軽鎖をコードする発現ベクタが標準的な技術によって宿主細胞にトランスフェクトされるという宿主細胞からの発現は、挙げられる。さまざまな形の用語「トランスフェクション」は、外因性DNAを真核生物宿主細胞に導入するために通常使用されたさまざまな技術、たとえば、エレクトロポレーション、リン酸カルシウム沈殿、DEAE−デキストラントランスフェクションなどを包含するように意図されている。原核生物宿主細胞または真核生物宿主細胞のいずれかにおいて本発明の抗体を発現することが可能であるが、真核生物細胞(特に哺乳動物細胞)が原核細胞よりもより簡単に組立てられ、適切に折畳まれかつ免疫学的に活性を有する抗体をより容易に分泌するため、真核細胞における抗体の発現、最も好ましくは哺乳動物宿主細胞における抗体の発現は、好ましい。
本発明の組換抗体を発現するための特定の哺乳動物宿主細胞は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO細胞)、NS0骨髄腫細胞、COS細胞およびSP2細胞を含む。抗体遺伝子をエンコードする組換発現ベクタを哺乳動物宿主細胞に導入して、宿主細胞に抗体を発現することができる充分長い期間で、具体的には、宿主細胞が増殖されている培養培地に抗体を分泌することができる充分長い期間で、哺乳動物宿主細胞を培養することによって、抗体を産生する。抗体は、標準的なタンパク質精製方法を用いて、培養培地から回収されることができる。
一実施形態において、本発明の方法を用いて、たとえばリツキシマブ抗体などのバイオシミラー抗体を産生することができる。また、後続生物製剤とも知られているバイオシミラーは、その活性な薬剤物質が生体から製造されもしくはDNAの組換または制御遺伝子発現法によって生体から由来した生物学的医薬品である。バイオシミラーまたは後続生物製剤は、革新的な製品の特許および独占期満後、さまざまなスポンサによって作られた革新的なバイオ医薬品の正式承認された後続品を記述するために使用された用語である。
リツキシマブ(商品名:リツキサン(商標))は、遺伝子操作により得られた、正常Bリンパ球および悪性Bリンパ球の表面に発見されたCD20抗原を攻撃するキメラマウス/ヒトのモノクローナル抗体である。この抗体は、マウス軽鎖可変領域配列とマウス重鎖可変領域配列とヒト定常領域配列とを含むIgG1κ免疫グロブリンである。リツキシマブは、451個のアミノ酸を有する2つの重鎖と、213個のアミノ酸を有する2つの軽鎖から構成される。リツキシマブのFab領域は、Bリンパ球表面上のCD20抗原に結合する一方、Fcドメインは、抗体を集め、補体として細胞溶解を媒介する。リツキシマブは、CD20陽性の非ホジキンリンパ腫、慢性リンパ球性白血病および慢性リウマチ性関節炎の治療に使用される。
トラスツズマブ(商品名:ハーセプチン(商標))は、遺伝子操作により得られた、特定種類の乳癌細胞の表面に発見されたHER2抗原を攻撃するヒトモノクロナル抗体である。トラスツズマブは、451個のアミノ酸を有する2つの重鎖と、213個のアミノ酸を有する2つの軽鎖から構成される。トラスツズマブのFab領域は、乳癌細胞表面上のHER2抗原に結合する一方、Fcドメインは、抗体を集め、補体として細胞溶解を媒介する。トラスツズマブは、HER2過剰発現乳癌の治療に使用される。
本明細書に開示される発明は、以下の実験の詳細からより理解されるであろう。以下の実施例は、例示として提供され、添付の特許請求の範囲においてより詳しく記載される本発明を限定するものではない。
実施例
実施例1:単一のcrRNA部位をターゲティングすることによるCHO細胞内のFut8遺伝子の破壊
化膿連鎖球菌(S. pyogenes)tracrRNA(配列番号:15)は、ヒトU6プロモータ(配列番号:16)の制御下で、哺乳動物発現ベクタにクローンされた。
化膿連鎖球菌tracrRNA
ATCTTGTTGGAACCATTCAAAACAGCATAGCAAGTTAAAATAAGGCTAGTCCGTTATCAACTTGAAAAAGTGGCACCGAGTCGGTGCTTT(配列番号:15)
ヒトU6プロモータ
AAGGTCGGGCAGGAAGAGGGCCTATTTCCCATGATTCCTTCATATTTGCATATACGATACAAGGCTGTTAGAGAGATAATTAGAATTAATTTGACTGTAAACACAAAGATATTAGTACAAAATACGTGACGTAGAAAGTAATAATTTCTTGGGTAGTTTGCAGTTTTAAAATTATGTTTTAAAATGGACTATCATATGCTTACCGTAACTTGAAAGTATTTCGATTTCTTGGCTTTATATATCTTGTGGAAAGGACGAAACACC(配列番号:16)
tracrRNA発現カセットは、合成され、制限部位DraIIIとBst1107Iとの間に位置するベクタpcDNA3(Invitrogen社)にクローンされ、ベクタLB−tracrRNAを提供した。Cas9タンパク質(配列番号:18)をエンコードする化膿連鎖球菌Cas9 cDNAは、哺乳動物コドン最適化され(配列番号:17)、核局在化シグナル(NLS、配列番号:19および配列番号:20)に融合された。
Cas9をエンコードするコドン最適化された化膿連鎖球菌DNA(配列番号:17)
核局在化シグナル
Cas9 cDNAを合成して、制限部位XbaIとPmeIとの間に位置するベクタLB−tracrRNAにクローンすることによって、ベクタLB200を形成した。Cas9の発現は、CMVプロモータによって駆動された。LB200のプラスミドマップは、図2に示されている。部位特異的変異誘発によりCas9の単一変異体D10AをLB200に導入することによって、ベクタLB201を形成した。ベクタLB202a、LB202bおよびLB202c(表3)は、ハムスターFut8遺伝子に位置する単一プロトスペーサ配列T1、T2またはT3をそれぞれターゲティングするヒトU6プロモータに駆動されることによって、crRNAを発現するように構築された。ターゲティングプロトスペーサは、CRISPR直列反復(DR、配列番号:21)と隣接する。
化膿連鎖球菌CRISPRの直列反復
GTTTTAGAGCTATGCTGTTTTGAATGGTCCCAAAAC(配列番号:21)
発現カセットは、合成され、ベクタpIDT-Smart(Integrated DNA Technologies社)にクローンされた。LB202aのプラスミドマップは、図3に示されている。全てのプラスミドは、細菌増殖ためのアンピシリン耐性遺伝子を有する。
CHOS細胞(Invitrogen社, Carlsbad, CA)表面上のフコースは、5μg/mlの蛍光レンチルレクチン凝集素(LCA−FITC、Vector Laboratories社)で染色することによって容易に検出され、その後、フローサイトメトリー分析により分析された(図4a)。Fut8がノックアウトされた細胞は、表面上にフコースを有しないため、LCA−FITCの染色に陰性である。Fut8ゲノム編集CRISPRベクタをテストするために、1×10個のCHOS細胞は、合計6つの条件下(表4の#1−3および#11−13)で、2つのプラスミド、すなわち、LB200およびLB201からのプラスミドと、LB202a、LB202bおよびLB202cからのプラスミドとを用いて、コトランスフェクトした。トランスフェクションは、ネオンエレクトロポレーション系(Invitrogen社)を用いて行った。トランスフェクションした一週間後、細胞は、LCA−FITCで染色され、その後フローサイトメトリー分析により分析された。トランスフェクタント細胞のいずれも検出可能なフコース陰性集団を示さなかったため、1つのCRISPR配列を標的とすることによる二重対立遺伝子Fut8ノックアウトの効率がごくわずかであることを示唆した(図4b)。
実施例2:複数のcrRNA部位をターゲティングすることによるCHO細胞内のFut8遺伝子の破壊
哺乳動物発現ベクタLB203−207(表3)は、ハムスターFut8遺伝子内の複数の標的配列T1〜T10をターゲティングするcrRNAを発現するために、構築された。すべてのベクタは、ヒトU6プロモータを利用して、図1Cと同様のcrRNAアレイを発現した。
1×10個のCHOS細胞は、表4に示された2〜4個のプラスミド(条件#4−10および#14−20)を用いて、コトランスフェクトした。トランスフェクションの一週間後、細胞は、LCA−FITCで染色され、その後フローサイトメトリー分析により分析され、細胞表面フコースに結合したLCAを決定した。
野生型CHO−S細胞の細胞表面は、LCAに対する強い染色を示した(図5a)。細胞の殆どは、強力な蛍光信号強度を有するM3ピークに存在した。トランスフェクション#1(1つのCRISPRターゲティング配列)は、トランスフェクトされていない対照細胞と同様の結果を示した。LCA−FICTのバックグラウンド染色を表すM2ピークは、陰性対照細胞と同様の0.14%であった。トランスフェクション#4(2つのCRISPRターゲティング配列)は、増強したM2ピーク(0.73%)を示しており、わずかな割合の細胞が表面フコースを失ったことを示唆した。トランスフェクション#5−8(3つ、4つ、3つおよび3つのCRISPRターゲティング配列)の場合、5%以下の細胞が表面フコースを失い、強く強化された二対立遺伝子ゲノム編集を示した。トランスフェクション#9−10の場合、7つまたは10個のCRISPRターゲティング配列は、3つまたは4つのプラスミドにコトランスフェクトされた。2〜4%の細胞は、細胞表面のフコースを失った。ゲノム編集効率のわずかな減少は、減少したコトランスフェクション効率と一致した。トランスフェクション#5および#6のM2ピークに存在する10個の細胞は、それぞれ、プール2.123.3Pおよびプール2.123.4Pに帰属された。LCA染色不足は、1μg/mlのLCA−FITCを用いて染色することによって確認された(図5c)。これらのトランスフェクションの結果は、表5に示される。
3〜4個のCRISPR標的を用いてトランスフェクションした細胞は、Fut8から最高割合の二重対立遺伝子ノックアウトを生成した。2つのCRISPR標的を用いてトランスフェクションした細胞も二重対立遺伝子ノックアウトを生成したが、単一のCRISPR標的を用いてトランスフェクションした細胞は、バックグラウンドを超える検出可能な二重対立遺伝子ノックアウトを生成しなかった。驚くべき意外なことに、3〜4個のCRISPR標的を細胞内に組合わせると、組合わせたCRISPR標的の相加効果による予測割合よりもはるかに大きい割合の二重対立遺伝子ノックアウトを生成した相乗効果を表した。また、驚くべきことに、3〜4個のCRISPR標的を用いてトランスフェクションした細胞は、7または10個のCRISPR標的を用いてトランスフェクションした細胞よりも、より高い割合の二重対立遺伝子ノックアウトを生成した。その理由は、より近い間隔の複数のCRISPR標的が二重対立遺伝子ノックアウトの割合を増加するため、驚くべき予想外の距離効果があったからである。
トランスフェクション#14〜20は、図4bに示されたトランスフェクション#11〜13と同様のLCA−FITC染色プロファイルを示しており、Cas9−D10Aが野生型Cas9よりも低い活性を有し、二対立遺伝子のゲノム編集には適切ではないことを示唆した。
実施例3:Fut8ノックアウトCHO細胞の単離
トランスフェクション#5のM2ピークに位置する細胞を単一細胞として96−ウェルプレートに選別した。コロニを2週間成長した後、野生型CHOS細胞と同様の成長プロファイルを示す11個のクローンは、採取され、振盪フラスコに展延され、冷凍保存された。これらのクローンは、LCA−FITC染色に陰性であり、PCRシーケンシングによってFut8遺伝子において二対立遺伝子フレームシフト変異を含むことが確認された。3つのクローンのLCA染色データは、図6Aに示されている。3つの改変されたFut8対立遺伝子のエクソン1の配列アラインメントは、図6Bに示され(配列番号:1〜4)、2bpの挿入、1bpの削除および91bpの削除後のフレームシフト変異を示した。最初の2つの変異体における挿入/削除は、プロトスペースT2の切断部位で発生した。第3の変異体における削除は、プロトスペーサT1およびT2の間に発生した。
11個のFut8−/−CHOクローンは、GFP発現ベクタを用いて、トランスフェクション効率をテストした。ネオンエレクトロポレーション系を使用して、10μgのDNAを1×10個の細胞にトランスフェクションした。GFP陽性細胞の割合は、2日後に流速計測法により分析した。クローンの殆どは、野生型CHOS細胞と同様のトランスフェクション効率を示した(図6C)。
また、11個のFut8−/−CHOクローンは、一過性トランスフェクションの後に、抗体の産生をテストした。リツキシマブは、モデル抗体として使用された。ネオンエレクトロポレーション系を使用して、5μgのリツキシマブ重鎖発現ベクタおよび軽鎖発現ベクタを各々1×10個の細胞にコトランスフェクトした。培養培地中の抗体濃度は、2日後にElisaにより測定された(表6)。クローン2.123−4、2.123−6および2.123−13は、野生型CHOS細胞と同様の抗体発現レベルを示した。
実施例4:脱フコシル化抗体の産生および特徴付け
バイオシミラー抗体リツキシマブの重鎖配列および軽鎖配列をコードするヌクレオチド配列は、hEF1αプロモータの制御下で哺乳動物発現ベクタにクローンされた。リツキシマブの重鎖タンパク質配列およびイントロンを含むコーディングヌクレオチド配列は、各々配列番号22および配列番号23として提供される。リツキシマブの軽鎖タンパク質配列およびコーディングヌクレオチド配列は、各々配列番号24および配列番号25として提供される。
バイオシミラー抗体トラスツズマブの重鎖配列および軽鎖配列をコードするヌクレオチド配列は、hEF1αプロモータの制御下で哺乳動物発現ベクタにクローンされた。トラスツズマブの重鎖タンパク質配列およびイントロンを含むコーディングヌクレオチド配列は、各々配列番号26および配列番号27として提供される。トラスツズマブの軽鎖タンパク質配列およびコーディングヌクレオチド配列は、各々配列番号24および配列番号25として示される。
リツキシマブ発現プラスミドおよびトラスツズマブ発現プラスミドを使用して、野生型CHOS細胞または2つの異なるFut8−/−CHOクローン2.123−4および2.123−13をトランスフェクションした(表7)。約200μl体積中の細胞(1×10個細胞/ml)は、100μgの重鎖発現ベクタ、100μgの軽鎖発現ベクタ、および200μlのFreestyle Maxトランスフェクション試薬(Invitrogen社)を用いてトランスフェクトされた。約7日間で細胞生存率が70%未満に達した場合、馴化培地を回収し、Protein Aクロマトグラフィーに投入することにより抗体を精製した。
100μgの野生型(WT)抗体または脱アフコシル化(AF)抗体を使用して、グリカン分析を行った。精製された抗体は、変性され、トリプシンを用いて消化された。N−グリカンは、その後、PNGase Fを用いて処理することによってペプチドから酵素的に放出された後、質量分析を用いて定量した。各グリカンは、5桁のコード、すなわち、ヘキソース(Gal、ManまたはGlc)の数、N−アセチルヘキソサミン(GlcNAcまたはGalNAc)の数、デオキシヘキソース(Fuc)の数、N−アセチルノイラミン酸(Neu5Ac)の数、およびN−グリコリルノイラミン酸(Neu5Gc)の数により表された。フコースを含むグリカンは、真ん中の数字が1であるが、フコースを含まないグリカンは、真ん中の数字が0である。たとえば、グリカン33100は、3つのヘキソース、3つのN−アセチルヘキソサミン、および1つのフコースを含む。野生型CHOS細胞から産生されたリツキシマブおよびトラスツズマブは、フコースが確実に存在することを示しているが、それに対し、Fut8−/−CHO細胞から産生されたリツキシマブおよびトラスツズマブは、フコースが完全に欠如することを示した(図7)。
精製された抗体を使用して、ADCC活性を特徴づけた。エフェクターとして、ヒト末梢血単核細胞(PBMC)を使用した。リツキシマブの標的細胞として、ヒトリンパ腫ラジ(Raji)細胞を使用し、トラスツズマブの標的細胞として、ヒト乳癌細胞株SK−BR3を使用した。エフェクター細胞対標的細胞の比率を20:1に維持した。細胞毒性は、LDHの放出によって決定された。
標的細胞を洗浄して、96ウェルプレートに(50μlに1万個の細胞で)接種した。さまざまな濃度の抗体を有する50μlの培養培地を細胞に追加し、細胞インキュベーター内に30分間インキュベートした。エフェクター細胞(100μlに200000個の細胞、E:T=20:1)を追加し、ADCC反応を開始させた。エフェクター細胞または抗体なしで標的細胞を制御し、標的細胞を溶解するように、最終濃度1%のTriton X-100を最大溶解の対照として追加した。エフェクター細胞または抗体なしで細胞を制御するように、アッセイ緩衝液を最小LDH放出の対照として追加した。抗体の存在なしで、エフェクター細胞とともにインキュベートした標的細胞を非特異的LDH放出のバックグラウンド対照として設定した。96−ウェルプレートを37℃で、5%COのインキュベーターに6時間にインキュベートした。ADCC活性は、LDH細胞毒性分析キット(Fisher Scientific社)を用いて分析された。脱アフコシル化リツキシマブ(図8a)および脱アフコシル化トラスツズマブ(図8b)は、野生型抗体に比べて、約50倍および約40倍の増強されたADCC活性をそれぞれ示した。
実施例5:Fut8をノックアウトしたリツキシマブの産生細胞の単離
バイオシミラー抗体リツキシマブの重鎖配列および軽鎖配列は、hEF1αプロモータに従って哺乳動物発現ベクタにクローンされ、CHOS細胞において安定なトランスフェクトされた後、クローン2G8が単離され、リツキシマブを産生した。Fut8遺伝子をノックアウトするために、1×10個の2G8細胞は、各5μgのベクタLB200およびLB204を用いて同時トランスフェクトされた。トランスフェクション一週間後、蛍光標識したLCAを用いて細胞を染色した後、フローサイトメトリー分析に供した。LCA−FITC染色陰性の細胞を単一細胞として96ウェルプレートに選別した。コロニを2週間成長した後、クローンを展延し、LCA−FITCに染色されているか否かを確認した。Fut8遺伝子の配列が決定され、フレームシフト変異が確認された。
実施例6:複数のcrRNA部位をターゲティングすることによるCHO細胞内のシアリダーゼ遺伝子の破壊
シアリル化は、組換治療用糖タンパク質の薬物動態、免疫原性および機能に影響を及ぼす(Bork, et al, J Pharm Sci., 2009, 98: 3499-3508)。シアリル化の程度は、組換タンパク質の血清半減期に相関する。また、シアル酸は、組換タンパク質の免疫原性の重要な調節因子であり、タンパク質由来治療薬に関与する主要な問題である。シアル酸は、抗原決定因子または決定基をマスクするために重要である。したがって、より多くのシアリル化が一般的に好まれる。組換タンパク質のいくつかの重要な特性を影響するのにもかかわらず、シアル酸の取込みは、高度に可変である。CHO細胞から産生したIgGおよびFc断片は、非常に低いレベルのアリル化を示している(<2%; Raymond, 2012, Chapter 17, pp. 397-418. In: Biochemistry, Genetics and Molecular Biology, ed. S. Petrescu, InTech Open Access. ISBN 978-953-51-0771-2)。産生培養の終わり時点における細胞内シアリダーゼの放出は、低レベルアリル化の主な原因である。
チャイニーズハムスターゲノムは、3つのシアリダーゼ遺伝子、すなわち、リソソームNeu1、細胞質Neu2および形質膜Neu3を含む。その中でも、Neu2およびNeu3は、産生される糖タンパク質のシアリル化レベルに影響を与えると証明された(Zhang and Ross, 2012, Compositions and methods for improved glycoprotein sialylation, 米国特許8,273,723)。特に、Neu2は、バッチ培養産生の終了時に死亡細胞から放出された後、グリカンからシアル酸の除去に最も重要な役割を果たしている。Neu2(遺伝子バンク登録番号:U06143.1)およびNeu3(遺伝子バンク登録番号:FJ476074.1)の両方は、それぞれ、2つのエクソンと、379個アミノ酸のタンパク質および417個アミノ酸のタンパク質をそれぞれエンコードする1137個ヌクレオチドおよび1251個ヌクレオチドのオープンリーディングフレームとを含む。
説明したように、CHO細胞におけるゲノム編集用のエクソンNeu2およびNeu3内の3つのCRISPR標的プロトスペーサの配列は、潜在的なオフターゲット改変を最小化するために選択される(Hsu, P.D., et al, Nat Biotechnol., 2013, 31 :827-32)。ベクタLB204と同様に、CRISPR配列用の発現ベクタは、ヒトU6プロモータに制御され、3つのNeu2プロトスペーサ標的または3つのNeu3プロトスペーサ標的を含むように構築される。
我々は、以前に、CMVプロモータの下でCas9、ならびに、ヒトU6プロモータの下でtracrRNAを発現する哺乳動物細胞発現ベクタLB200を最適化した。また、我々は、IRES−EGFPカセットをトランスフェクションレポータとしてベクタLB200に位置するCas9 cDNAの下流に挿入することによって、LB221(図2B)を構築した。
CHO細胞は、LB200またはLB221、およびベクタを発現するCRISPR配列ターゲティングするNeu2および/またはNeu3を用いて、同時トランスフェクトされる。LB221を使用する場合、GFP陽性細胞は、トランスフェクションの2日後に、単一細胞として96ウェルプレートに選別される。コロニを2〜3週間成長した後、細胞を継代することによって、96ウェルプレートを新たなセットのウェルプレートに1:10で複製する。細胞膜を透過するおよび細胞質シアリダーゼを培養培地中に放出するために、元の96ウェルプレートにTriton X-100(0.1%)またはTween 20(0.5%)を添加する。清澄した培地は、蛍光基質メチルウンベリフェリルNeu5Ac(Neu5Ac-a-4MU, Santa Cruz Biotechnology)とともに、シアリダーゼ活性を分析するために使用される。培地(100μL)は、4mMのNeu5Ac−a−4MUと共に、黒色96ウェルプレートにおいて、37℃で90分間インキュベートされる。その後、100μLの0.2M、pH 10.4のグリシン緩衝液を添加して、酵素反応を停止する。蛍光は、362nmの励起光線および448nmの発光光線を有するプレートリーダーを用いて測定され、アッセイの線形範囲を決定する。90分間インキュベーションに亘って蛍光の変化は、シアリダーゼの活性に直接的に比例する。すべての実験は、野生型CHOをベースライン対照として含む。アッセイにおいてより少ない蛍光を示すクローンは、Neu2またはNeu3改変体を含む可能性がある。これらのクローンのNeu2およびNeu3の配列は、フレームシフト変異を確認するために、PCR増幅されおよび配列決定される。シアリダーゼ陰性クローンは、展延され、冷凍保存される。Neu2ノックアウトおよびNeu3ノックアウトは、順番にまたは同時に行うことができる。
あらゆる目的のために各刊行物、特許、特許出願または他の文書を引用により組込むと同様な程度で、その全体が引用により本明細書に援用される。
本発明の好適な実施形態を図示して説明したが、これらの実施形態が例示のみとして提供されることは、当業者にとって明らかであろう。多数の変形、変更および置換は、本発明から逸脱することなく当業者に想起されるであろう。理解すべきことは、本明細書に記載の本発明の実施形態のさまざまな代替案は、本発明を実施する際に使用されてもよいことである。

Claims (9)

  1. 真核細胞中の標的遺伝子から二重対立遺伝子ノックアウトを産生する方法であって、
    クレアーゼおよび3つ〜7つのターゲティングRNAを含むCRISPR系を細胞に提供するステップを備え、ここにおいて前記ターゲティングRNAの標的配列は同一の遺伝子内に位置し、前記ヌクレアーゼはCas9であり、
    各ターゲティングRNAは、crRNAおよびtracrRNAから構成され、各crRNAは異なる配列を有し、同一のtracrRNAが前記crRNAと共に用いられ、
    CRISPRヌクレアーゼおよびターゲティングRNAを発現するステップを備え、
    前記標的遺伝子の両方の対立遺伝子は、細胞からノックアウトされる、方法。
  2. 前記細胞は、哺乳動物細胞である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記細胞は、CHO細胞、293細胞、NS0細胞、胚性幹細胞、またはそれらの誘導体、もしくはそれらの抗体産生細胞または誘導体である、請求項に記載の方法。
  4. 前記tracrRNAおよび前記crRNAは、ヘアピンRNA結合によって連結されている、請求項1に記載の方法。
  5. 各ターゲティングRNAは、前記標的遺伝子の対応する標的配列に相補的であり、
    前記標的配列は、前記標的遺伝子の単一エクソン内に位置している、請求項1に記載の前記方法。
  6. 各ターゲティングRNAは、前記標的遺伝子の対応する標的配列に相補的であり、
    前記標的遺伝子の375塩基対内の範囲に各ターゲティングRNAの標的配列が位置する、請求項1に記載の方法。
  7. 各ターゲティングRNAは、前記標的遺伝子の対応する標的配列に相補的であり、
    前記標的遺伝子の200塩基対内の範囲に各ターゲティングRNAの標的配列が位置する、請求項1に記載の方法。
  8. 各ターゲティングRNAは、前記標的遺伝子の対応する標的配列に相補的であり、
    前記標的遺伝子の150塩基対内の範囲に各ターゲティングRNAの標的配列が位置する、請求項1に記載の方法。
  9. 前記標的遺伝子は、フコシルトランスフェラーゼ、グルタミンシンテターゼ、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)またはシアリダーゼである、請求項1に記載の方法
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