上記のように、熱交換器の上部とシュラウドの上部との間、及び、熱交換器の下部とシュラウドの下部との間にそれぞれマウント装置を配置する場合には、特に下側のマウント装置及びシュラウドの下部に熱交換器の重量が付加されるために、シュラウドの下部の、下側のマウント装置を支持するための強度が問題となり、安定したダイナミックダンパ特性を得ることが困難である。また、シュラウドの下部の強度を高めようとすると、その下部の厚みが増大して、シュラウドの重量が増大してしまう。
そこで、上記特許文献1又は2のように、熱交換器の車幅方向両側の側部における上部にマウント装置をそれぞれ設けて、これらマウント装置(所謂、吊り下げ方式のマウント装置)で熱交換器の重量を支持するようにすることが考えられる。
しかし、吊り下げ方式のマウント装置を採用した場合、シュラウドにおける該マウント装置を支持する箇所で、マウント装置を介して熱交換器の重量を支持する必要があるので、この場合も、シュラウドの、マウント装置を支持するための強度の確保には課題がある。また、特許文献2のように、マウント装置に設けた取付ブラケットを、キャリア(シュラウド)にクリップ止めする構成の場合には、熱交換器を新品のものに交換する際に、熱交換器を、車体部材に固定されたシュラウドに対して脱着する作業が困難になる可能性が高くなり、特に取付ブラケットのクリップを外す作業が困難になる。
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、シュラウドの、マウント装置を支持するための強度を十分に確保するとともに、車両用熱交換器を新品のものに交換する際における車両用熱交換器のシュラウドに対する脱着作業を容易にすることが可能な、車両用熱交換器の取付構造を提供することにある。
上記の目的を達成するために、本発明の一態様では、車両に搭載される車両用熱交換器の取付構造を対象として、上記車両用熱交換器を上下振動可能に支持するシュラウドであって、該シュラウドの車幅方向両側の側部に、上記車両の車体部材に固定される車体固定部がそれぞれ設けられたシュラウドと、上記車両用熱交換器の車幅方向両側の側部にそれぞれ設けられた被支持部を、上記シュラウドの車幅方向両側の側部に対して上下振動可能にそれぞれ支持するマウント装置とを備え、上記各マウント装置は、弾性部材を保持しかつ該弾性部材を介して上記各被支持部を上記シュラウドの上記各側部に対して支持するマウント本体を有し、上記シュラウドの上記各側部における上記車体固定部よりも上側の位置に、上記各マウント装置のマウント本体がそれぞれ設置される設置部が設けられており、上記各マウント装置のマウント本体がそれぞれ設置される上記各設置部は、該マウント本体の下面を支持する受け部を有し、上記各マウント装置のマウント本体の車両後側に、該マウント本体を上記シュラウドの上記各側部に固定するための固定用ブラケットが設けられ、上記各設置部は、上記シュラウドの上記各側部の車両後側の面にそれぞれ設けられていて、上記各マウント装置のマウント本体がそれぞれ収容される、車両後側が開放された収容凹部で構成され、上記各設置部の上記受け部は、上記収容凹部の下側壁部の上面で構成され、上記各マウント装置のマウント本体がそれぞれ収容される上記各収容凹部の車両後側に、上記固定用ブラケットが設けられ、上記受け部を構成する、上記収容凹部の下側壁部の上面は、上記シュラウドの下部に載せられた上記車両用熱交換器の車幅方向両側の側部における上記被支持部にそれぞれ取り付けられた上記マウント装置のマウント本体を、上記シュラウドの車幅方向両側の側部における上記収容凹部にその開放側から奥側にそれぞれ挿入するときにおいて、該挿入により上記車両用熱交換器が上記シュラウドの下部から浮き上がるように、上記収容凹部の奥側ほど高くなる傾斜面とされている、という構成とした。
上記の構成により、シュラウドの車幅方向両側の側部には、上下方向に延びる壁部が存在し、上下方向に延びる壁部は、シュラウドの上部及び下部において水平方向に延びる壁部よりも、上下方向の荷重に対して高い強度を有するので、シュラウドの、マウント装置(延いてはラジエータ)を支持するための強度を十分に確保することができるようになる。また、シュラウドの車幅方向両側の側部に車体固定部がそれぞれ設けられているので、車両用熱交換器を含むシュラウド全体を、車体部材に対して十分な強度でもって支持することができる。さらに、マウント本体の車両前側又は後側に固定用ブラケットが設けられているので、マウント本体の車両前側又は後側(つまりシュラウドの車両前側又は後側)からのボルトの締結又は締結解除等によって、固定用ブラケットをシュラウドに取り付けたり外したりすることができ、この結果、熱交換器を新品のものに交換する際における熱交換器のシュラウドに対する脱着作業が容易になる。
また、車両用熱交換器を収容凹部に容易に支持することができるとともに、シュラウドの、マウント装置を支持するための強度をより一層高めることができるようになる。また、固定用ブラケットにより、収容凹部からマウント装置(マウント本体)が抜けないようにすることができる。
さらに、車両用熱交換器をシュラウドの下部に載せた状態で、車両用熱交換器の被支持部に取り付けたマウント本体を収容凹部に挿入することにより、車両用熱交換器をシュラウドの下部から浮き上がらせることができる。この結果、車両用熱交換器をマウント装置と共にシュラウドに容易にかつ適切に組み付けることができるようになり、よって、車両用熱交換器及びマウント装置のシュラウドへの組付性を向上させることができる。
上記車両用熱交換器の取付構造において、上記マウント本体の下面が、上記受け部の上記傾斜面に対応して傾斜する傾斜面部と、該傾斜面部に対して車両前側に連続的に設けられ、該マウント本体の下面の高さ位置が車両前側ほど高くなるように湾曲した曲面部とで構成されている、ことが好ましい。
このことにより、車両用熱交換器の被支持部に取り付けたマウント本体を収容凹部に挿入する際に、曲面部に続く傾斜面部を受け部の傾斜面に載せ易くなり、マウント本体の収容凹部への挿入が容易になる。また、マウント本体の収容凹部への挿入の途中で、傾斜面部が受け部の傾斜面に対して摺動することになるが、曲面部は受け部の傾斜面から浮き上がっているので、曲面部がなくてマウント本体の下面の車両前後方向の略全体が傾斜面部である場合に比べて、受け部の傾斜面に対する傾斜面部の摺動抵抗を低減することができる。
上記マウント本体の下面が上記傾斜面部と上記曲面部とで構成されている場合、上記マウント本体の下面が、該下面における車幅方向の中間部が下側に突出してなりかつ車両前後方向に延びる突状部を有し、上記突状部の下面が、上記傾斜面部及び上記曲面部で構成され、上記収容凹部の下側壁部の上面は、上記突状部が嵌合しかつ車両前後方向に延びるように凹む嵌合凹部を有し、上記嵌合凹部の底面に、上記受け部の上記傾斜面が形成されている、ことが好ましい。
このことにより、突状部が嵌合凹部に嵌合することで、車両用熱交換器のシュラウドに対する車幅方向の位置決めを行うことができる。よって、車幅方向両側のマウント装置による車両用熱交換器のシュラウドに対する上下振動特性を安定させることができる。
上記突状部は、該突状部の車両前側の部分において、該突状部の車幅方向の幅が車両前側ほど小さくなるように形成されている、ことが好ましい。
このことで、車両用熱交換器がシュラウドに対して車幅方向に多少ずれていたとしても、突状部を嵌合凹部に嵌合し易くなる。そして、その嵌合の完了後は、車両用熱交換器がシュラウドに対して車幅方向に位置決めされることになる。
上記車両用熱交換器の取付構造において、上記各収容凹部の下側壁部は、車両前後方向かつ上下方向に延びる複数のリブを有しており、上記各設置部の上記受け部は、上記各収容凹部の下側壁部における上記複数のリブの上面で構成されている、ことが好ましい。
これにより、複数のリブにより収容凹部の下側壁部を薄肉化しながら該下側壁部の強度を向上させることができる。
上記車両用熱交換器の取付構造において、上記マウント本体の上面に、該マウント本体が上記設置部に設置されたときに上記シュラウドに係合するクリップ部が設けられている、ことが好ましい。
このことにより、マウント本体が収容凹部に挿入完了されたときに、クリップ部によって、マウント本体をシュラウドに仮保持することができ、これにより、固定用ブラケットのシュラウドへの固定が容易になる。
上記車両用熱交換器の取付構造において、上記車両用熱交換器は、その車幅方向両側の側部において上下方向に延びるタンク部をそれぞれ有し、上記各被支持部は、上記各タンク部にそれぞれ設けられている、ことが好ましい。
このことで、車両用熱交換器における被支持部が設けられる部分の強度を向上させることができる。
上記車両用熱交換器の取付構造において、上記各被支持部は、上記車両用熱交換器の上記各側部から車幅方向外側に突出する突出部で構成され、上記各マウント装置の上記弾性部材には、上記各突出部がそれぞれ嵌合する孔部が形成されており、上記各マウント装置の上記弾性部材の孔部及び該孔部に嵌合する突出部は、該弾性部材が該突出部の回りに回動しない形状に形成されている、ことが好ましい。
このことにより、各突出部を各マウント装置の弾性部材の孔部にそれぞれ挿入した状態で、車両用熱交換器をマウント装置と共にシュラウドに組み付けることができる。特に、上記のように、マウント装置のマウント本体の収容凹部への挿入時に、上記受け部の上記傾斜面を利用して、車両用熱交換器をシュラウドの下部から浮き上がらせる場合に、弾性部材(マウント本体)が突出部の回りに回動しないので、車両用熱交換器及びマウント装置のシュラウドへの組付性をより一層向上させることができる。
上記車両用熱交換器の取付構造において、上記車両用熱交換器の下面に、下側に突出しかつ周囲が弾性体で覆われたピン部が設けられ、上記シュラウドの下部には、上記ピン部及び上記弾性体が挿入される挿入孔が形成され、上記弾性体の外周面と上記挿入孔の内周面との間には、所定量の隙間が形成されている、ことが好ましい。
こうすることで、車両用熱交換器がシュラウドに対して上下方向とは垂直な方向(車両前後方向、車幅方向等の水平方向)に、所定量よりも大きく振動しようとしても、弾性体の外周面が挿入孔の内周面に当接することで、そのような大きな水平方向の振動を抑制することができる。また、弾性体の外周面が挿入孔の内周面に当接しても、音が発生することはない。
上記車両用熱交換器の取付構造において、上記車両用熱交換器には、該車両用熱交換器を車両前側から車両後側へ通過する冷却風を生じさせる冷却ファンが設けられ、上記シュラウドには、上記車両用熱交換器の上面、下面及び車幅方向両側の側面を囲む囲繞部が形成されており、上記車両用熱交換器の上面、下面及び車幅方向両側の側面と上記シュラウドの囲繞部との間には、上記冷却風が該間を通って車両前側へ戻るのを抑制するシール部材が設けられている、ことが好ましい。
このことにより、車両用熱交換器を通過して温められた冷却風が、車両用熱交換器の車両前側に戻るのを抑制することができ、この結果、その温められた冷却風が再び車両用熱交換器を車両前側から後側へ通過すること(冷却風のリサーキュレーション)を抑制することができる。
本発明の別の態様では、車両に搭載される車両用熱交換器の取付構造を対象として、上記車両用熱交換器を上下振動可能に支持するシュラウドであって、該シュラウドの車幅方向両側の側部に、上記車両の車体部材に固定される車体固定部がそれぞれ設けられたシュラウドと、上記車両用熱交換器の車幅方向両側の側部にそれぞれ設けられた被支持部を、上記シュラウドの車幅方向両側の側部に対して上下振動可能にそれぞれ支持するマウント装置とを備え、上記各マウント装置は、弾性部材を保持しかつ該弾性部材を介して上記各被支持部を上記シュラウドの上記各側部に対して支持するマウント本体を有し、上記シュラウドの上記各側部における上記車体固定部よりも上側の位置に、上記各マウント装置のマウント本体がそれぞれ設置される設置部が設けられており、上記各マウント装置のマウント本体がそれぞれ設置される上記各設置部は、該マウント本体の下面を支持する受け部を有し、上記各マウント装置のマウント本体の車両後側に、該マウント本体を上記シュラウドの上記各側部に固定するための固定用ブラケットが設けられ、上記各設置部は、上記シュラウドの上記各側部の車両後側の面にそれぞれ設けられていて、上記各マウント装置のマウント本体がそれぞれ収容される、車両後側が開放された収容凹部で構成され、上記各設置部の上記受け部は、上記収容凹部の下側壁部の上面で構成され、上記各マウント装置のマウント本体がそれぞれ収容される上記各収容凹部の車両後側に、上記固定用ブラケットが設けられ、上記各収容凹部の下側壁部は、車両前後方向かつ上下方向に延びる複数のリブを有しており、上記各設置部の上記受け部は、上記各収容凹部の下側壁部における上記複数のリブの上面で構成されているものとする。
この構成により、シュラウドの、マウント装置を支持するための強度を十分に確保することができるとともに、熱交換器を新品のものに交換する際における熱交換器のシュラウドに対する脱着作業が容易になる。また、車両用熱交換器を収容凹部に容易に支持することができるとともに、シュラウドの、マウント装置を支持するための強度をより一層高めることができるようになる。また、固定用ブラケットにより、収容凹部からマウント装置(マウント本体)が抜けないようにすることができる。さらに、複数のリブにより収容凹部の下側壁部を薄肉化しながら該下側壁部の強度を向上させることができる。
本発明の更に別の態様では、車両に搭載される車両用熱交換器の取付構造を対象として、上記車両用熱交換器を上下振動可能に支持するシュラウドであって、該シュラウドの車幅方向両側の側部に、上記車両の車体部材に固定される車体固定部がそれぞれ設けられたシュラウドと、上記車両用熱交換器の車幅方向両側の側部にそれぞれ設けられた被支持部を、上記シュラウドの車幅方向両側の側部に対して上下振動可能にそれぞれ支持するマウント装置とを備え、上記各マウント装置は、弾性部材を保持しかつ該弾性部材を介して上記各被支持部を上記シュラウドの上記各側部に対して支持するマウント本体を有し、上記シュラウドの上記各側部における上記車体固定部よりも上側の位置に、上記各マウント装置のマウント本体がそれぞれ設置される設置部が設けられており、上記各マウント装置のマウント本体がそれぞれ設置される上記各設置部は、該マウント本体の下面を支持する受け部を有し、上記各マウント装置のマウント本体の車両前側又は後側に、該マウント本体を上記シュラウドの上記各側部に固定するための固定用ブラケットが設けられ、上記車両用熱交換器には、該車両用熱交換器を車両前側から車両後側へ通過する冷却風を生じさせる冷却ファンが設けられ、上記シュラウドには、上記車両用熱交換器の上面、下面及び車幅方向両側の側面を囲む囲繞部が形成されており、上記車両用熱交換器の上面、下面及び車幅方向両側の側面と上記シュラウドの囲繞部との間には、上記冷却風が該間を通って車両前側へ戻るのを抑制するシール部材が設けられているものとする。
この構成により、シュラウドの、マウント装置を支持するための強度を十分に確保することができるとともに、熱交換器を新品のものに交換する際における熱交換器のシュラウドに対する脱着作業が容易になる。また、車両用熱交換器を通過して温められた冷却風のリサーキュレーションを抑制することができる。
以上説明したように、本発明の一態様の車両用熱交換器の取付構造によると、シュラウドの、マウント装置を支持するための強度を十分に確保することができるとともに、熱交換器を新品のものに交換する際における熱交換器のシュラウドに対する脱着作業が容易になる。また、車両用熱交換器を収容凹部に容易に支持することができるとともに、シュラウドの、マウント装置を支持するための強度をより一層高めることができるようになる。また、固定用ブラケットにより、収容凹部からマウント装置(マウント本体)が抜けないようにすることができる。さらに、車両用熱交換器及びマウント装置のシュラウドへの組付性を向上させることができる。
また、本発明の別の態様の車両用熱交換器の取付構造によると、シュラウドの、マウント装置を支持するための強度を十分に確保することができるとともに、熱交換器を新品のものに交換する際における熱交換器のシュラウドに対する脱着作業が容易になる。また、車両用熱交換器を収容凹部に容易に支持することができるとともに、シュラウドの、マウント装置を支持するための強度をより一層高めることができるようになる。また、固定用ブラケットにより、収容凹部からマウント装置(マウント本体)が抜けないようにすることができる。さらに、複数のリブにより収容凹部の下側壁部を薄肉化しながら該下側壁部の強度を向上させることができる。
さらに、本発明の更に別の態様の車両用熱交換器の取付構造によると、シュラウドの、マウント装置を支持するための強度を十分に確保することができるとともに、熱交換器を新品のものに交換する際における熱交換器のシュラウドに対する脱着作業が容易になる。また、車両用熱交換器を通過して温められた冷却風のリサーキュレーションを抑制することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る取付構造が適用される車両用熱交換器としてのラジエータ1(図4及び図5参照)を支持する樹脂製のシュラウド21が、車両(自動車等)の車体部材としてのバンパービーム61に固定された状態を示す。ラジエータ1は、本実施形態では、エンジン冷却液を冷却するためのラジエータである。尚、以下の説明では、車両の前、後、左及び右を、それぞれ単に前、後、左及び右という。
シュラウド21は、図2及び図3にも示すように、上下に相対向して車幅方向に延びる上壁部22及び下壁部23と、該上壁部22及び下壁部23の左側端部同士及び右側端部同士をそれぞれ連結する左右の側壁部24,24(車幅方向両側の側部に相当)とを有していて、前後方向から見て略矩形枠状をなしている。シュラウド21の上壁部22、下壁部23及び左右の側壁部24,24は、前後方向から見て略矩形状をなすラジエータ1の上部、下部及び車幅方向両側の側部に対してそれぞれ前側に位置している。尚、図1及び図2では、シュラウド21の後側に位置するラジエータ1の記載を省略している(実際には、枠状のシュラウド21の枠内にラジエータ1が見える)。
シュラウド21の上壁部22の上端、下壁部23の下端、及び、左右の側壁部24,24の車幅方向外側端には、それぞれ、後側(ラジエータ1の側)に延びる後側延設部22a,23a,24a,24aが形成されている(図3及び図4参照)。これら後側延設部22a,23a,24a,24aは、ラジエータ1の上面、下面及び車幅方向両側の側面とそれぞれ対向した状態で後側に延びている。すなわち、後側延設部22a,23a,24a,24aは、ラジエータ1の上面、下面及び車幅方向両側の側面を囲む囲繞部を構成している。
シュラウド21の左右の側壁部24,24同士が、車幅方向かつ水平方向に延びる水平延設連結部25により連結されている。また、シュラウド21の上壁部22における車幅方向中央部には、下側に突き出る突起部22bが形成され、この突起部22b及び水平延設連結部25の上端における車幅方向中央部同士、及び、下壁部23における車幅方向中央部及び水平延設連結部25の下端における車幅方向中央部同士が、それぞれ、上下方向に延びる上下延設連結部26,26により連結されている。
バンパービーム61は、2枚の板状部材が互いに前後方向に重ねられたものであって、シュラウド21の水平延設連結部25の前側で車幅方向に延びている。そして、バンパービーム61の車幅方向両側の端部が、左右のクラッシュカン62,62を介して、左右のフロントサイドフレーム63,63の前端(フランジ部)にそれぞれ固定されている。シュラウド21は、左右のクラッシュカン62,62の間の位置に位置している。
シュラウド21の左右の側壁部24,24における上下方向中央部には、不図示のボルトによりバンパービーム61に固定される車体固定部28,28がそれぞれ設けられている。各側壁部24における車体固定部28の後側の面には、複数の補強リブ24b,24b,…が形成されている。
バンパービーム61の後側の面における左右の側壁部24,24に対向する位置には、側壁部24,24に向けて突出するように車体ブラケット65、65がそれぞれ固定されており、これら車体ブラケット65,65が、側壁部24,24における車体固定部28,28における前側の面にそれぞれ当接した状態で締結されている。このようにシュラウド21は、その車幅方向両側の側部(左右の側壁部24,24における車体固定部28,28)にて、車体ブラケット65,65を介してバンパービーム61に固定されている。
シュラウド21の上壁部22における車幅方向両側の端部には、支持ブラケット66,66の一端部がそれぞれ固定されており、支持ブラケット66,66の他端部が、左右のフロントサイドフレーム63,63にそれぞれ固定された左右のエプロンレインメンバ68,68にそれぞれ固定されている。このようにシュラウド21の上壁部22は、支持ブラケット66,66を介して左右のエプロンレインメンバ68,68に固定されている。
図4及び図5に示すように、ラジエータ1は、その車幅方向両側の側部において上下方向に延びるタンク部2,2を有している。すなわち、本実施形態では、ラジエータ1は、該ラジエータ1の車幅方向両側の側部にタンク2,2がそれぞれ設けられたクロスフロータイプのラジエータである。右側(図4及び図5の右側に相当)のタンク部2には、エンジン冷却液を該タンク部2に流入させるための流入管が接続される流入管接続部2aが設けられている。一方、左側(図4及び図5の左側に相当)のタンク部2には、ラジエータ1により冷却されたエンジン冷却液を該タンク部2から流出させるための流出管が接続される流出管接続部2bが設けられている。また、右側のタンク部2の下端部には、ドレン管が接続されるドレン管接続部2cが設けられている。
ラジエータ1の後部には、該ラジエータ1を前側から後側へ通過する冷却風を生じさせる冷却ファン3が設けられている。図4及び図5では、冷却ファン3を簡略化して二点鎖線でもって円形で描いている。この冷却ファン3は、ラジエータ1の後部に配置されたファンシュラウド5のモータ支持部5aによって支持された電動モータ4によって駆動されるようになっている。モータ支持部5aの周囲には、上記冷却風が通過する貫通孔5bが形成されている。モータ支持部5aは、貫通孔5bを径方向に横断する複数の支持部5c,5c,…によって支持されている。
ラジエータ1の上面、下面及び車幅方向両側の側面とシュラウド21の上記囲繞部(後側延設部22a,23a,24a,24a)との間には、4つのシール部材7,8,9,9がそれぞれ設けられている(図4参照)。すなわち、ラジエータ1の上面とシュラウド21の上壁部22における後側延設部22aとの間には、上部シール部材7が設けられ、ラジエータ1の下面とシュラウド21の下壁部23における後側延設部23aとの間には、下部シール部材8が設けられ、ラジエータ1の左側の側面とシュラウド21の左側の側壁部24における後側延設部24aとの間(後述のマウント装置40が配設された箇所から下側の部分)、及び、ラジエータ1の右側の側面とシュラウド21の右側の側壁部24における後側延設部24aとの間(後述のマウント装置40が配設された箇所から下側の部分)には、側部シール部材9,9がそれぞれ設けられている。これら4つのシール部材7,8,9,9は、上記冷却風がラジエータ1の上面、下面及び車幅方向両側の側面とシュラウド21の上記囲繞部との間を通って前側へ戻るのを抑制するものである。4つのシール部材7,8,9,9により、ラジエータ1を通過して温められた冷却風が上記間を通って前側へ戻った後に再びラジエータ1を前側から後側へ通過すること(冷却風のリサーキュレーション)を抑制することができる。
ラジエータ1は、シュラウド21の左右の側壁部24,24にそれぞれ配設されたマウント装置40,40によって、シュラウド21に上下振動可能に支持されている。これらマウント装置40,40は、ラジエータ1の車幅方向両側の側部(本実施形態では、左右のタンク部2,2)にそれぞれ設けられた被支持部を、シュラウド21の左右の側壁部24,24に対して、上下振動可能にそれぞれ支持する。本実施形態では、上記各被支持部は、ラジエータ1の上記各側部(各タンク部2)から車幅方向外側に突出する棒状の突出部11(図5参照)で構成されている。この突出部11の断面形状は、四角形である。
各マウント装置40は、ゴム部材等からなる弾性部材43を保持しかつ該弾性部材43を介して各突出部11をシュラウド21の各側壁部24に対して支持するマウント本体41と、固定用ブラケット45とを有している。各マウント装置40のマウント本体41は、車幅方向に延びる断面矩形状の上記弾性部材43と、該弾性部材43の上面、前側の面及び下面を覆う樹脂製の保持部材44とを有する。保持部材44は、弾性部材43の後側の面を覆う固定用ブラケット45と共に、弾性部材43を保持する。本実施形態では、固定用ブラケット45は、保持部材44と樹脂で一体形成されたものであって、保持部材44と合わせて、弾性部材43の周囲を囲む筒状をなしている。尚、固定用ブラケット45の一部(弾性部材43の後側の面を覆う部分)を、保持部材44と見做すことも可能である。
各固定用ブラケット45は、シュラウド21の各側壁部24に2つのボルト46,46により固定される。各固定用ブラケット45がシュラウド21の各側壁部24に固定されることで、各マウント装置40のマウント本体41がシュラウド21の側壁部24に固定されることになる。このように各固定用ブラケット45は、各マウント本体41(各マウント装置40)をシュラウド21の各側壁部24に固定するためのものである。本実施形態では、各固定用ブラケット45は、各マウント本体41の後側に設けられていることになる。尚、固定用ブラケット45を、保持部材44とは別部材で構成してもよい。
図6に示すように、各マウント本体41の弾性部材43の中心部には、各突出部11がそれぞれ嵌合する断面四角形の孔部43aが形成されている。マウント装置40,40における弾性部材43,43の孔部43a,43aに、ラジエータ1における左右の突出部11,11(被支持部)がそれぞれ挿入嵌合され、かつ、マウント装置40,40のマウント本体41,41が後述の設置部50,50にそれぞれ設置されることで、ラジエータ1は、2つのマウント装置40,40を介して、シュラウド21に支持される(つまり、上下振動可能に支持される)ことになる。各マウント本体41の弾性部材43の孔部43a及び該孔部43aに嵌合する突出部11は、上記のように断面四角形であるので、該弾性部材43(マウント本体41)が該突出部11の回りに回動しない形状に形成されていることになる。尚、孔部43a及び突出部11の断面形状は、弾性部材43が突出部11の回りに回動しなければ、どのような形状であってもよい。
図7に示すように、シュラウド21の各側壁部24の後側の面における車体固定部28よりも上側の位置(各側壁部24の後側の面における上端部)に、各マウント装置40のマウント本体41が設置される設置部50(本実施形態では、後に説明する収容凹部51)が設けられている。この各設置部50は、マウント本体41の下面(つまり保持部材44の下面)を支持する受け部57を有する。左右2つの設置部50,50の受け部57,57で、ラジエータ1の全重量を受けることになる。本実施形態では、各側壁部24において、受け部57は車体固定部28の上側近傍に位置する。
各設置部50は、各マウント装置40のマウント本体41がそれぞれ設置されて収容される、前側に凹んで後側が開放された収容凹部51で構成されている。各収容凹部51は、該収容凹部51の上側の壁部である上側壁部52、下側の壁部である下側壁部53、前側の壁部である前側壁部54(つまり側壁部24)、及び、車幅方向外側の壁部である車幅方向外側壁部55(つまり側壁部24の後側延設部24a)で構成されている(囲まれている)。各マウント装置40のマウント本体41(保持部材44)が、収容凹部51に嵌められた状態で、固定用ブラケット45によりシュラウド21の側壁部24に固定されている。ここで、本実施形態では、各収容凹部51は、車幅方向内側も開放されていることになるが、以下の説明で、収容凹部51の開放側とは、収容凹部51の後側のことであり、収容凹部51の奥側とは、開放側とは反対側、つまり収容凹部51の前側のことである。尚、各収容凹部51の車幅方向内側の壁部である車幅方向内側壁部を形成するようにしてもよい。この場合、その車幅方向内側壁部には、該車幅方向内側壁部の後側の端面から前側に向かって切り欠かれかつ突出部11が通過可能な切欠部を形成する。
各設置部50の受け部57は、収容凹部51の下側壁部53の上面で構成されている。固定用ブラケット45は、収容凹部51の後側に位置して、収容凹部51の後側の開放部を覆うように設けられている。固定用ブラケット45及びボルト46,46には、ラジエータ1の重量が殆どかからないので、固定用ブラケット45によるマウント本体41の固定は、マウント本体41(マウント装置40)が収容凹部51から外れないようにする程度の固定であればよい。
各収容凹部51の下側壁部53は、互いに車幅方向に間隔をあけた状態で前後方向かつ上下方向に延びる複数(本実施形態では、2つ)のリブ53a,53aを有している。各設置部50の受け部57は、下側壁部53におけるリブ53a,53aの上面で構成されている。このことで、リブ53a,53aにより収容凹部51の下側壁部53を薄肉化しながら該下側壁部53の強度を向上させることができる。尚、下側壁部53のリブ53a,53aをなくして、下側壁部53の上面の略全体を上記受け部57としてもよい。
各収容凹部51の上側壁部52も、下側壁部53と同様に、前後方向かつ上下方向に延びる複数(本実施形態では、2つ)のリブ52a,52aを有している。これらリブ52a,52aの下面にマウント本体41の上面(保持部材44の上面)が当接する(厳密には、マウント本体41が収容凹部51に収容された状態では、僅かに隙間があいている)。また、前側壁部54も、複数のリブ54a,54a,…を有している。
各設置部50の受け部57(下側壁部53におけるリブ53a,53aの上面)は、収容凹部51の奥側ほど高くなる傾斜面とされている。この受け部57の傾斜面に対応して、保持部材44の下面(マウント本体41の下面)が、収容凹部51の奥側ほど高くなるように傾斜する傾斜面部44aで構成されている。これは、後述の如く、ラジエータ1及びマウント装置40,40をシュラウド21に組み付ける作業を容易にするためである。また、上側壁部52の下面は、収容凹部51の奥側ほど低くなる傾斜面とされている。この傾斜面に対応して、保持部材44の上面(マウント本体41の上面)が、収容凹部51の奥側ほど低くなるように傾斜する傾斜面部44bで構成されている。
本実施形態では、図8に示すように、ラジエータ1の下面(本実施形態では、左右のタンク部2,2の下面)に、下側に突出しかつ周囲が弾性体14で覆われたピン部13が設けられている。各ピン部13の周囲の弾性体14は、ゴム部材からなっていて、タンク部2の下面に固定されている。また、弾性体14は、タンク部2側の大径部14aと、反タンク部2側の小径部14bとを有する。尚、ラジエータ1の下面に設けられるピン部13は、1つであっても、3つ以上であってもよい。
一方、シュラウド21の下壁部23の後側延設部23aにおける車幅方向両側の端部(左右のタンク部2,2の真下の部分)には、挿入孔23b,23bがそれぞれ形成されている。左側の挿入孔23bには、左側のピン部13及び弾性体14の小径部14bが挿入され、右側の挿入孔23bには、右側のピン部13及び弾性体14の小径部14bが挿入される。各弾性体14の小径部14bの外周面と各挿入孔23bの内周面との間には、所定量の隙間が形成されている。すなわち、ラジエータ1がシュラウド21に対して上下方向とは垂直な方向(車両前後方向、車幅方向等の水平方向)に、上記所定量よりも大きく振動しようとしても、少なくとも一方の弾性体14の小径部14bの外周面が挿入孔23bの内周面に当接することで、そのような大きな水平方向の振動を抑制する。尚、各弾性体14の大径部14aの下面と下壁部23の後側延設部23aの上面との間、及び、ラジエータ1の下面におけるタンク部2,2以外の部分と後側延設部23aの上面との間にも、隙間が形成されており、ラジエータ1がシュラウド21に対して上下方向に振動しても、基本的に、各弾性体14の大径部14aの下面及びラジエータ1の下面(タンク部2,2以外の部分)が、下壁部23の後側延設部23aの上面に当接しないようになされている。
次に、ラジエータ1及び2つのマウント装置40,40をシュラウド21に組み付ける方法を説明する。
先ず、作業者が、ラジエータ1の左右の突出部11,11を、マウント装置40,40のマウント本体41,41における弾性部材43,43の孔部43a,43aにそれぞれ挿入嵌合させて、左右の突出部11,11にマウント装置40,40をそれぞれ取り付ける(突出部11,11とマウント装置40,40とをそれぞれ係合させる)。各弾性部材43の孔部43a及びこれにそれぞれ嵌合する各突出部11の断面形状は四角形であるので、各突出部11に取り付けられたマウント本体41(弾性部材43及び保持部材44)が、突出部11の回りに回動するようなことはない。
続いて、作業者が、シュラウド21の下壁部23の後側延設部23aの上面に、左右の突出部11,11にマウント装置40,40がそれぞれ取り付けられたラジエータ1を載せる。このとき、下壁部23の後側延設部23aに形成された挿入孔23b,23bに、ピン部13,13及び弾性体14,14の小径部14b,14bを挿入する必要がある。但し、左右の突出部11,11にそれぞれ取り付けられたマウント装置40,40は、未だ収容凹部51,51に収容されていないので、下壁部23の後側延設部23aの上面に載せられたラジエータ1は、上側ほど後側に位置するように斜めに傾いている。このようにラジエータ1が斜めに傾いていても、各弾性体14の小径部14bの外周面と各挿入孔23bの内周面との間には、上記所定量の隙間が形成されているので、挿入孔23b,23bにピン部13,13及び弾性体14,14の小径部14b,14bを挿入することができる。このことも考慮して上記所定量の大きさが決められている。
そして、作業者が、下壁部23の後側延設部23aの上面に載せられて斜めになっているラジエータ1を、該ラジエータ1の下面を基点として、ラジエータ1の上部が前側に移動するように回動させながら、左右の突出部11,11にそれぞれ取り付けられたマウント装置40,40のマウント本体41,41を、シュラウド21の収容凹部51,51にその開放側(後側)から奥側(前側)にそれぞれ挿入する。
ここで、各設置部50の受け部57(下側壁部53におけるリブ53a,53aの上面)は、上述の如く、収容凹部51の奥側ほど高くなる傾斜面とされているとともに、保持部材44の下面が、収容凹部51の奥側ほど高くなるように傾斜する傾斜面部44aで構成されているので、ラジエータ1の上記回動により、マウント本体41,41を収容凹部51,51に容易にかつ略同時に挿入することができる。
本実施形態では、ラジエータ1の上記回動によりマウント本体41,41を収容凹部51,51にそれぞれ略同時に挿入するときにおいて、各マウント本体41の保持部材44の下面(傾斜面部44a)が受け部57の上記傾斜面上に載せられて、上記挿入の進行により該傾斜面上を摺動する。この摺動により、各マウント本体41が上記挿入の進行に連れて徐々に押し上げられる。この押し上げにより、突出部11,11も押し上げられるので、ラジエータ1が、シュラウド21の下壁部23の後側延設部23aの上面から浮き上がることになる。こうして上記挿入の完了時には、各弾性体14の大径部14aの下面と下壁部23の後側延設部23aの上面との間、及び、ラジエータ1の下面におけるタンク部2,2以外の部分と後側延設部23aの上面との間に隙間が形成される。
上記挿入の完了後に、各固定用ブラケット45をボルト46,46によりシュラウド21の各側壁部24に固定すれば、各マウント本体41(各マウント装置40)が、各収容凹部51に収容設置された状態で、各収容凹部51から外れなくなる。
このように各収容凹部51の受け部57は、シュラウド21の下部(下壁部23の後側延設部23aの上面)に載せられたラジエータ1の左右の突出部11,11にそれぞれ取り付けられたマウント装置40,40のマウント本体41,41を、シュラウド21の車幅方向両側の側壁部24,24における収容凹部51,51にその開放側から奥側にそれぞれ挿入するときにおいて、該挿入によりラジエータ1がシュラウド21の下部(下壁部23の後側延設部23aの上面)から浮き上がるように、収容凹部51の奥側ほど高くなる傾斜面とされていることになる。
サービス工場等において、ラジエータ1を新品のものに交換する際には、シュラウド21をバンパービーム61及びエプロンレインメンバ68,68に固定したまま、作業者が、ラジエータ1をシュラウド21から外し、その後に新品のラジエータ1をシュラウド21に組み付ける。
ラジエータ1をシュラウド21から外すには、作業者が、各マウント本体41の後側(つまりシュラウド21の後側)からボルト46,46の締結解除を行った後、ラジエータ1の上部を後側に倒しながら、マウント装置40,40のマウント本体41,41を、シュラウド21の収容凹部51,51から外す。この途中で、ラジエータ1がシュラウド21の下壁部23の後側延設部23aの上面に接触し、ラジエータ1がシュラウド21から落下することはない。
マウント装置40,40のマウント本体41,41が収容凹部51,51から完全に外れると、ラジエータ1は、組付時におけるマウント本体41,41の収容凹部51,51への挿入前と同様に、斜めに傾いた状態になる。このラジエータ1の突出部11,11には、マウント装置40,40がそれぞれ取り付けられた状態にある。作業者が、このラジエータ1を上側に引き上げれば、ラジエータ1をシュラウド21から外す作業は完了する。
マウント装置40,40に問題がなければ、作業者が、シュラウド21から外したラジエータ1の突出部11,11からマウント装置40,40を外して、これらを新品のラジエータ1の突出部11,11に取り付ける。そして、作業者が、上述の組付方法と同様にして、ラジエータ1及びマウント装置40,40をシュラウド21に組み付ける。
したがって、本実施形態では、シュラウド21の上下方向に延びる各側壁部24における車体固定部28よりも上側の位置に、各マウント装置40のマウント本体41がそれぞれ収容設置される収容凹部51(設置部50)が設けられ、各収容凹部51が、マウント本体41の下面を支持する受け部57を有するので、シュラウド21の、マウント装置40,40(延いてはラジエータ1)を支持するための強度を十分に確保することができるようになる。すなわち、上下方向に延びる側壁部24,24は、水平方向に延びる上壁部22及び下壁部23よりも、上下方向の荷重に対して高い強度を有するので、マウント装置40,40(延いてはラジエータ1)を支持するための強度を十分に確保することができる。また、シュラウド21の車幅方向両側の側壁部24,24に、車体固定部28,28がそれぞれ設けられているので、ラジエータ1を含むシュラウド21全体を、バンパービーム61に対して十分な強度でもって支持することができる。しかも、通常は、各側壁部24における車体固定部28が補強される(本実施形態では、補強リブ24b,24b,…によって補強される)ので、各側壁部24においてその補強された車体固定部28の近傍に収容凹部51の受け部57を設けることで、シュラウド21の、マウント装置40,40を支持するための強度をより一層高めることができる。
さらに、各マウント装置40のマウント本体41の後側に、該マウント本体41をシュラウド21の各側壁部24に固定するための固定用ブラケット45が設けられているので、各マウント本体41の後側(シュラウド21の後側)からのボルト46,46の締結又は締結解除によって、固定用ブラケット45をシュラウド21に取り付けたり外したりすることができ、この結果、ラジエータ1を新品のものに交換する際におけるラジエータ1のシュラウド21に対する脱着作業が容易になる。
(実施形態2)
図9〜図13は、本発明の実施形態2を示し、各マウント装置40のマウント本体41の構成、及び、該構成に関連する、設置部50の構成を、上記実施形態1とは異ならせたものである。尚、図9〜図13では、実施形態1の各図と同じ部分については同じ符号を付して、その詳細な説明は省略する。
すなわち、本実施形態では、各マウント装置40のマウント本体41の下面(保持部材44の下面)が、該下面における車幅方向の中間部が下側に突出してなりかつ前後方向に延びる突状部44cを有している。保持部材44の下面における突状部44c以外の部分(突状部44cの両側の部分)は、上記実施形態1における傾斜面部44aと同様の形状の傾斜面部44aとされている。突状部44cの下面(マウント本体41の下面でもある)は、傾斜面部44dと、該傾斜面部44dに対して車両前側に連続的に設けられ、マウント本体41の下面の高さ位置が前側ほど高くなるように湾曲した曲面部44eとで構成されている(図11及び図12参照)。
一方、各設置部50をそれぞれ構成する各収容凹部51の下側壁部53の上面が、突状部44cが嵌合しかつ前後方向に延びるように凹む嵌合凹部53bを有している。この嵌合凹部53bの底面に、互いに車幅方向に間隔をあけた状態で前後方向かつ上下方向に延びる複数(本実施形態では、2つ)のリブ53c,53cが形成されている。
本実施形態においても、上記実施形態1と同様に、各設置部50は、マウント本体41の下面(つまり保持部材44の下面)を支持する受け部57を有する。各設置部50の受け部57は、収容凹部51の下側壁部53の上面(特に嵌合凹部53bの底面)で構成されている。本実施形態では、上記のように、嵌合凹部53bの底面にリブ53c,53cが形成されており、これらのリブ53c,53cの上面が、設置部50の受け部57を構成している。リブ53c,53cの上面は、上記実施形態1で説明したリブ53a,53aの上面と同様の傾斜面(後側延設部23aの上面に載せられたラジエータ1の左右の突出部11,11にそれぞれ取り付けられたマウント装置40,40のマウント本体41,41を、シュラウド21の車幅方向両側の側壁部24,24における収容凹部51,51にその開放側から奥側にそれぞれ挿入するときにおいて、該挿入によりラジエータ1が後側延設部23aの上面から浮き上がるように、収容凹部51の奥側ほど高くなる傾斜面)とされている。尚、リブ53c,53cをなくして、嵌合凹部53の底面の略全体を、設置部50の受け部57としてもよい。
リブ53c,53cの上面に、各マウント本体41の突状部44cの傾斜面部44dが当接する。各マウント本体41の傾斜面部44dは、受け部57の傾斜面に対応して、前側ほど高くなるように傾斜して、曲面部44eに繋がる。
図12に示すように、各マウント本体41の突状部44cは、該突状部44cの前側の部分において、該突状部44cの車幅方向の幅が前側ほど小さくなるように(先細り形状に)形成されている。すなわち、突状部44cの車幅方向両側の側面が、突状部44cの前側の部分において、前側ほど互いに接近するように形成されている。
上記実施形態1と同様にして、ラジエータ1及び2つのマウント装置40,40をシュラウド21に組み付ける際に、作業者が、下壁部23の後側延設部23aの上面に載せられて斜めになっているラジエータ1を、該ラジエータ1の下面を基点として、ラジエータ1の上部が前側に移動するように回動させながら、左右の突出部11,11にそれぞれ取り付けられたマウント装置40,40のマウント本体41,41を、シュラウド21の収容凹部51,51にその開放側(後側)から奥側(前側)にそれぞれ挿入する。このとき、各マウント本体41の突状部44cを各収容凹部51の下側壁部53の嵌合凹部53bにそれぞれ嵌合させる必要がある。各マウント本体41の突状部44cは、該突状部44cの前側の部分において、先細り形状に形成されているので、ラジエータ1がシュラウド21に対して車幅方向に多少ずれていたとしても、突状部44cが、その先細り形状により嵌合凹部53bに案内されて、嵌合凹部53bに嵌合される。そして、突状部44cの嵌合凹部53bへの嵌合の完了時(マウント本体41の収容凹部51への挿入完了時)には、ラジエータ1がシュラウド21に対して車幅方向に位置決めされることになる。
また、突状部44cの曲面部44eによって、各マウント本体41の収容凹部51への挿入の際に、曲面部44eに続く傾斜面部44dを受け部57の傾斜面に載せ易くなり、このことと、上記先細り形状とによって、突状部44cを嵌合凹部53bに嵌合し易くなる。さらに、マウント本体41の収容凹部51への挿入の途中で、傾斜面部44dがリブ53c,53cの上面に対して摺動することになるが、曲面部44eはリブ53c,53cの上面から浮き上がっているので、上記実施形態1におけるリブ53a,53aの上面に対する傾斜面部44aの摺動抵抗に比べて、リブ53c,53cの上面に対する傾斜面部44dの摺動抵抗を低減することができる。
また、各収容凹部51の下側壁部53の上面における嵌合凹部53b以外の部分(嵌合凹部53bの両側の部分)は、上記実施形態1で説明したリブ53a,53aの上面と同じ高さ位置で同じ形状をなしていて、傾斜面部44aが当接する。但し、基本的には、嵌合凹部53bの底面のリブ53c,53cの上面が、設置部50の受け部57を構成していて、マウント本体41の下面を支持する。下側壁部53の上面における嵌合凹部53b以外の部分は、補助的に、設置部50の受け部57を構成する。
各マウント本体41の上面(保持部材44の上面)には、マウント本体41が設置部50に設置されているときにシュラウド21に係合するクリップ部44fが設けられている(図9、図11及び図13参照)。各収容凹部51の上側壁部52には、クリップ部44fに対応して、係合凹部52bが形成されている。尚、本実施形態では、上側壁部52及び前側壁部54に、上記実施形態1のようなリブ52a,54aは設けられていない。また、前側壁部54は、上記実施形態1に比べてかなり前側にある(上記実施形態1と同じ前後位置にあってもよく、上記実施形態1と同様のリブ54a,54a,…が設けられていてもよい)。
クリップ部44fは、保持部材44の上面における前後方向の略中央部分から上側に延びた後に直ぐに後側に延びる延設部44gを有している。この延設部44gは、可撓性を有していて、下側に撓むことが可能である。延設部44gの後端の近傍に、係合凹部52bに係合する係合部44hが設けられている。マウント本体41が収容凹部51に挿入完了されたときに、係合部44hが係合凹部52bに係合して、マウント本体41がシュラウド21に仮保持されるようになっている。これにより、固定用ブラケット45がシュラウド21に固定されていなくても、マウント本体41が収容凹部51から外れることはない。
延設部44gにおける係合部44hよりも後側部分は、固定用ブラケット45よりも後側に延びていて、作業者が操作可能な操作部44iとされている。作業者が操作部44iを下側に押圧すると、延設部44gが下側に撓むことで、係合部44hと係合凹部52bとの係合が解除される。これにより、ラジエータ1を新品のものに交換する際には、操作部44iの操作により、マウント本体41を収容凹部51から外すことができる。尚、保持部材44の上面における延設部44gの下側に対向する部分には、延設部44gが当接して該延設部44gが下側に撓み過ぎるのを抑制するためのストッパ44jが設けられている。
したがって、本実施形態では、上記実施形態1と同様の作用効果が得られるとともに、ラジエータ1及び2つのマウント装置40,40をシュラウド21に組み付ける際に、各マウント本体41を各収容凹部51にそれぞれ挿入し易くなり、また、その挿入完了後は、クリップ部44fによる仮保持により、固定用ブラケット45のシュラウド21への固定が容易になる。また、ラジエータ1のシュラウド21に対する車幅方向の位置決めを行うことができる。
本発明は、上記実施形態1及び2に限られるものではなく、請求の範囲の主旨を逸脱しない範囲で代用が可能である。
例えば、上記実施形態1及び2では、シュラウド21の各側壁部24の後側の面における車体固定部28よりも上側の位置に、各マウント装置40のマウント本体41がそれぞれ収容設置される収容凹部51(設置部50)が設けられ、各マウント装置40のマウント本体41の後側に固定用ブラケット45が設けられているが、シュラウド21の各側壁部24の前側の面における車体固定部28よりも上側の位置に、各マウント装置40のマウント本体41がそれぞれ設置される設置部50が設けられ、各マウント装置40のマウント本体41の前側に固定用ブラケット45が設けられていてもよい。この場合、シュラウド21の各側壁部24には、各突出部11がシュラウド21の後側から挿通されてシュラウド21の前側に位置することを可能にする挿通穴を形成しておく。そして、突出部11,11にマウント装置40,40を取り付けない状態で、各突出部11を上記各挿通穴を介してシュラウド21の各側壁部24の前側の面における各設置部50に位置するように、ラジエータ1をシュラウド21にセットする。続いて、各突出部11に各マウント装置40を取り付けながら各マウント装置40のマウント本体41を上記各設置部50に設置し、その後に各固定用ブラケット45をマウント本体41の前側から各側壁部24に締結して、該マウント本体41をシュラウド21の各側壁部24に固定する。
また、上記実施形態1及び2では、各マウント装置40のマウント本体41が設置される設置部50が、収容凹部51で構成されているが、収容凹部には限られず、マウント本体41の下面を支持する受け部57を有していればよい。
また、上記実施形態1及び2では、ラジエータ1がクロスフロータイプのラジエータであるが、ラジエータ1の上下両端部にタンク部がそれぞれ設けられたダウンフロータイプのラジエータであってもよい。
さらに、上記実施形態1及び2では、車両用熱交換器が、エンジン冷却液を冷却するためのラジエータである場合について説明したが、車両用熱交換器としては、インタークーラの冷却液を冷却するためのラジエータであってもよく、空調装置のコンデンサであってもよい。
上述の実施形態は単なる例示に過ぎず、本発明の範囲を限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は請求の範囲によって定義され、請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。