(水耕栽培方法、水耕栽培装置、植物工場)
開示の水耕栽培方法は、温度調整が可能な閉鎖空間内で植物を水耕栽培する水耕栽培方法である。
前記水耕栽培方法においては、前記閉鎖空間内の室温よりも低温であり、かつ前記閉鎖空間内の室温との差が0℃超3℃以下である液肥を前記植物へ供給する。
開示の水耕栽培装置は、温度調整が可能な閉鎖空間内で植物を水耕栽培する水耕栽培装置である。
前記水耕栽培装置は、前記閉鎖空間内の室温を調整する手段と、前記植物へ供給する液肥を、前記閉鎖空間内の温度よりも低温であり、かつ前記閉鎖空間内の室温との差を0℃超3℃以下に調整する手段とを有する。
開示の植物工場は、開示の水耕栽培装置を備える。
前記閉鎖空間とは、太陽光が入らず、かつ外気が入らない空間をいい、例えば、クリーンルームが挙げられる。
葉脈の中肋が本来の葉色とは異なるピンク色又は褐色に変色する、いわゆるピンクリブなどの生理障害は、植物の商品価値を低下させる。そこで、本発明者は、生理障害の抑制を検討した。例えば、前記ピンクリブは、根からの水分の吸収量に対して、茎や葉など地上部の成長が早すぎる場合に、茎や葉に供給できる水分や栄養分が不足する結果発生すると考えられる。そこで、植物周囲の温度を、栽培対象の植物に好適な温度よりも少し低い温度に下げることにより、地上部の成長を抑制できるため、ピンクリブ発生を抑止できる。このように、成長速度に起因する生理障害は、生育の際の温度を制御して、成長速度を調整することにより、抑制できる。
しかし、閉鎖空間における栽培施設で水耕栽培を運用することを考える場合、栽培施設が大規模になるほど、水耕栽培用の栽培棚が設置される閉鎖空間は広大な空間となる。そのため、広大な栽培室内の室温を下げる空調には多くの電力を使用することになる。
そこで、本発明者は、鋭意検討した結果、液肥の温度を、閉鎖空間内の室温よりも特定の範囲で低くすることにより、電力量の上昇を抑えつつ、ピンクリブなどの生理障害を抑制できることを見出し、本発明の完成に至った。
ここで、前記液肥の温度を、特定の範囲として、閉鎖空間内の室温との差が0℃超3℃以下とする理由は以下のとおりである。
液肥の温度を閉鎖空間内の室温よりも低くすることで、空調によらずに植物周辺の局所的な空気の温度を低下させることができ、ひいては植物の成長速度を抑えることができるが、低くし過ぎると、以下の様な不具合が生じる。
閉鎖空間内において水耕栽培により植物を育成する場合、液肥が栽培棚を循環する際に多少なりとも水分が蒸発し、さらに植物から水分が蒸散されるため、室内の湿度は高い状態になりやすい。そのような環境下で室温に対して液肥の温度が低いと、湿度を含んだ空気が液肥の周囲で冷やされる結果、結露が発生しやすくなる。閉鎖空間内の水耕栽培においては、人工光照明を用いるために、電気設備を栽培棚に設ける必要があるが、電気設備に結露が発生すると悪影響を及ぼす可能性があるから、結露が発生することは望ましくない。
そこで、植物の水耕栽培が行える室温下で、水蒸気を含んだ通常の空気が冷却された場合に結露を生じる温度を検討した結果、温度差分が凡そ3℃以内であると、結露を防ぐことができることが確認できた。例えば、室温が22.5℃で、湿度が80%RHの場合、4℃程度温度が低下しても、結露を生じない。
以下、閉鎖空間内の室温よりも低温であり、かつ前記閉鎖空間内の室温との差が0℃超3℃以下である液肥を「低温液肥」と称することがある。
前記閉鎖空間内の室温としては、例えば、20℃〜24℃が挙げられる。
前記低温液肥の温度は、前記閉鎖空間内の室温との差が1℃以上3℃以下であることが好ましい。
水耕栽培は、播種、育苗、及び定植の3つの段階に分けることができる。
前記播種とは、種を撒いてから発芽するまでの段階である。前記播種においては、例えば、スポンジに種を撒いて、暗所に置いて、育成する。
前記育苗とは、発芽してからある程度の大きさになるまで苗を成長させる段階である。
前記定植とは、育苗した苗を収穫できる大きさまで成長させる段階である。
前記水耕栽培に供される植物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、野菜、いちごなどが挙げられる。前記野菜としては、例えば、葉物野菜、根野菜などが挙げられる。前記葉物野菜としては、例えば、レタス、サンチュ、小松菜、ほうれん草などが挙げられる。
また、前記植物としては、低カリウム野菜であってもよく、低カリウム葉物野菜であってもよい。前記低カリウム野菜とは、カリウム含有量が、従来の栽培方法で栽培した野菜のカリウム含有量の約1/3以下である野菜をいう。
前記低温液肥は、前記水耕栽培において、育苗期、及び定植期の少なくともいずれかで、前記植物に供給される。
前記水耕栽培においては、前記低温液肥が、前記植物の定植期に前記植物へ供給されることが、生理障害を防ぐ効果が高い点で、好ましい。
また、前記水耕栽培においては、前記低温液肥が、前記植物の定植期の後期に前記植物へ供給されることが、生理障害を防ぐ効果がより高い点で、好ましい。
例えば、前記低カリウム野菜を水耕栽培する場合、定植期の前期においては、カリウム含有液肥を供給して栽培を行い、定植期の後期においては、カリウム不含またはカリウムがほとんど含有されていない液肥を供給して栽培を行う。その際の定植期の後期に前記低温液肥を用いることが好ましい。以下、カリウム不含またはカリウムがほとんど含有されていない液肥を「低カリウム液肥」と称することがある。
前記低カリウム野菜の水耕栽培において前記低温液肥を用いることには、更に次のような利点がある。
低カリウム野菜の水耕栽培においては、定植期の後期に貧栄養状態である低カリウム液肥を供給するため、根から吸収できる栄養が十分ではなく、根が傷みやすい。根が傷むと、傷んだ表皮細胞が剥がれ落ちる結果、表皮剥離が多くなる。剥離した表皮は液肥内に浮遊したり溜まったりするため、液肥や配管の汚れが発生したり、カビが繁殖したりしやすくなる。
一方、水温が低い方が、水中の溶存酸素量が多いため、液肥の温度が低いほうが、液肥中の溶存酸素量が多い。そのため、液肥の温度を下げると、室温と同じ温度の液肥よりも溶存酸素量が多くなり根の呼吸を助けられるので、室温と同じ温度の液肥を用いる場合と比較して根が傷む度合いを、より軽い程度に留めることができる。結果、根の表皮剥離の量を少なく抑えることができ、液肥を供給する配管内において剥離した表皮の浮遊量や沈殿量を少なくでき、剥離した表皮が原因となって発生する液肥や配管の汚れやカビ繁殖などを抑止できる。ひいては、液肥の交換、配管の洗浄、カビ繁殖防止対策などの、液肥に関係するメンテナンスコストを低減させることができる。
前記閉鎖空間内の室温を調整する手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、空調設備が挙げられる。前記空調設備は、例えば、前記閉鎖空間内に配置又は接続される。
前記低温液肥は、例えば、液肥を熱交換器によって低温化させることにより得ることができる。前記低温液肥は、例えば、閉鎖空間内の植物へ液肥を供給する液肥配管に接続され、かつ熱交換器を備える液肥供給装置内において、液肥を熱交換器によって低温化させることにより得ることができる。前記低温液肥の温度は、例えば、前記液肥供給装置内において測定した温度であってもよい。なお、前記液肥配管は、前記閉鎖空間内の栽培棚(以下、「植物栽培部材」ともいう)に接続されている。
以下に、図面を参照して実施形態を説明する。図面において、同様の構成要素には同じ参照番号が付されている。
図1は、実施形態に係る植物栽培部材の概要構成の一例を示す斜視図、図2は、実施形態に係る植物栽培部材の一例を示す正面図である。
図1、図2では、栽培トレー4とその上に配置される照明器具5を有する栽培ユニット3を栽培ラック2内で高さ方向に多段に取り付け、さらに各段の栽培ユニット3を2つずつ平行に配置する構造を1つの植物栽培部材1としている。従って、図1では、閉鎖空間である植物栽培室、例えばクリーンルーム51内の第1通路Aに沿って植物栽培部材1A、1C(1B、1D)が隣接して複数設置され、さらに、第1通路Aに対してほぼ直交する奥行き方向の第2通路Bに沿っても植物栽培部材1A、1B(1C、1D)が隣接して複数設置される。
しかし、第1通路Aと第2通路Bが縦横に複数配置される場合に、第1通路Aと第2通路Bにより区画されるそれぞれの領域において設置される複数の植物栽培部材1A、1B、1C、1Dの集合を1つの植物栽培部材としてとらえてもよい。
なお、以下の説明において、植物栽培部材1を真上から見下ろした場合の第1通路Aは、栽培トレー4の取り出し、取り付け作業が行われる領域であり、第1通路側を前側と表現する場合がある。
以下に説明する植物栽培部材1は主に水耕栽培に使用される。栽培する植物としては、例えば葉物野菜が考えられるが、当然ながら葉物野菜以外の植物を栽培対象としても構わない。
植物栽培部材1は栽培ラック2を有している。栽培ラック2は、骨組み構造を有し、第1通路Aに沿って複数の支柱2aが間隔をおいて床面E上に複数列で取り付けられている。支柱2aは床面Eに対して略垂直に立てられる。また、第2通路Bに沿う行方向に隣接する複数本の支柱2aは、複数箇所で第1の梁2bを介して互いに横方向に支えられ、第1の梁2bと支柱2aは例えばネジ、リベット等により固定されている。
第1通路Aに沿って隣り合う2本の支柱2aには、第1通路Aから見る図2の正面図に例示するように、高さ方向に間隔をおいて配置される複数本の第2の梁2cが横方向に渡され、支柱2aと第2の梁2cは例えばネジ、リベット等により固定されている。高さ方向に配置される複数の第2の梁2cには、後述するように栽培トレー4と照明器具5が取り付けられる。
図1では、第1通路Aに沿って1つの列に配置される2つの支柱2aの間の第2の梁2cに栽培ユニット3が取り付けられる構造物を1つの植物栽培部材1としている。これによれば、第2通路Bに沿って、第1の植物栽培部材1Aと第2の植物栽培部材1Bが隣接し、さらに、第3の植物栽培部材1Cと第4の植物栽培部材1Dが隣接する。また、第1通路Aに沿って、第1の植物栽培部材1Aと第3の植物栽培部材1Cが隣接し、さらに、第2の植物栽培部材1Bと第4の植物栽培部材1Dが隣接する。
即ち、図1では、2つの植物栽培部材1が第1通路Aに沿って隣接して配置され、さらに別の2つの植物栽培部材1が第2通路Bに沿って隣接して配置されるとともに、隣接する植物栽培部材1の支柱2a同士が第1の梁2bを介して接続された例を示している。しかし、これらの植物栽培部材1を合せて、1つの植物栽培部材と見ることもできる。植物栽培部材1に、何本の支柱2a、何本の第1の梁2b、何本の第2の梁2cを含めるかは、栽培すべき植物の量、植物栽培部材1を設置する空間の広さ、載置する植物や器具を含めた重さに対する強度などを考慮して適宜決定してもよい。
次に、栽培トレー4とこれを搬送するための搬送器具6について、図2の正面図と図3の斜視図を参照して説明する。
栽培トレー4は、横に長い凹状の栽培容器4aとその上部の開口を覆う長方形の平板状の蓋体4bを有し、搬送器具6を用いて栽培ラック2に搬入され、栽培ラック2から搬出される。
搬送器具6は、第2通路Bに沿った奥行き方向に隣接する複数の栽培ラック2の第2の梁2cの上に渡されるレール7の上を滑って前後方向、即ち第2通路Bに沿った奥行き方向に移動される。レール7は、断面が四角形状を有し、第2の梁2cの上で幅方向に間隔をおいて平行に少なくとも2本取り付けられている。搬送器具6は、平面形状が略四角形の枠状に形成され、その両側には、レール7の上面と側面の角に内側から嵌め合わされる断面Γ字形状の摺動部6aがレール7に沿える直線状に形成されている。
搬送器具6の両側の摺動部6aのそれぞれの上には、搬送器具6の前端部、後端部に沿って栽培トレー4が横長に置かれる部分を有し、それらの部分には栽培トレー4を嵌め入れるU字状の容器嵌合部6bが第1通路A側、即ち正面側から見て、前後に2個以上で形成されている。これにより、複数の栽培トレー4が搬送器具6の上に位置決めされて取り付けられることになる。
また、第1通路Aから見て、搬送器具6の前端には1以上のハンドル6cが取り付けられている。例えば、複数のハンドル6cが横方向に間隔をおいて取り付けられている。また、枠状の搬送器具6の中央寄りの部分には、補強用梁6dが取り付けられていてもよい。
栽培トレー4を栽培ラック2の中に収納する場合、作業者は、まず、栽培容器4を搬送器具6の容器嵌合部6bに上から嵌め合わせ、その後に第1通路A側から搬送器具6の摺動部6aの後端部を栽培ラック2内のレール7の上に載せる。さらに、作業者は、搬送器具6のハンドル6cに手を添えて搬送器具6を押し込みながら摺動部6aをレール7上に滑らせ、設定位置で停止させる。これにより、栽培ラック2に対する栽培トレー4の取り付け作業は終了する。これに対し、栽培トレー4を栽培ラック2から取り出す場合には、作業者はハンドル6cを手で握りながら第1通路Aに向けて搬送器具6を引き出し、搬送器具6の摺動部6aをレール7の上に滑らせ、さらに搬送器具6を支持しながら、栽培トレー4を搬送器具6ごと栽培ラック2から取り出す。
作業者は、取り出された栽培トレー4を搬送器具6に載せたままの状態で別の処理装置の栽培ラックに収納し変えたり、栽培の際に作業しやすいように栽培トレー4を搬送器具6からおろしたりする。ここで、別の処理装置として例えば、供給する液肥の種類が異なり、本実施形態と同様な構造の装置が考えられる。
このように、栽培ラック2に設けたレール7上を摺動する搬送器具6を使用すると、複数の栽培トレー4を一度に栽培ラック2に出し入れすることができるので作業効率が高くなる。しかも、搬送器具6の上には、栽培トレー4を嵌め込む複数の容器嵌込部6bが間隔をおいて前後に形成されているので、複数の栽培トレー4を容易に位置決めすることができ、生育する複数の植物Sの領域の間隔を容易に確保することがきる。
また、植物栽培部材1の設置面積に対して、栽培トレー4の設置台数をできるだけ多くすることで、栽培する植物Sの数、ひいては収穫量を上げられることを鑑み、植物栽培部材1の両脇に通路を設けるのではなく、図1に示したように、2台の植物栽培部材1Aと植物栽培部材1Bとをいわば背中合わせの状態で隣接して設置し、1つの植物栽培部材1に対しては作業を行う正面にのみ第1通路Aを設けることが考えられる。その場合、上記の構造の搬送器具6を用いることにより、植物栽培部材1の奥にある栽培トレー4に対する作業がし易くなり、また、栽培トレー4を移動させる際に作業がし易くなる。
なお、搬送器具6は、奥行き方向、すなわち図1の第2通路Bに沿った方向に隣接する植物栽培部材1Aと1Bとの同じ段にそれぞれ載せる栽培トレー4をも載置できる大きさに形成されてもよい。例えば、図1及び図3のように、1つの植物栽培部材1内の1つの段で、奥行き方向に2つの栽培トレー4を載置する場合に、植物栽培部材1Aと1Bとを接続させれば、1つの段で4つの栽培トレー4を載置できることになる。そこで、搬送器具6を図3の例示よりも大型化させるとともに、容器嵌込部6bの数を増やすことで、例えば、1つの搬送器具6上に4つの栽培トレー4を載置できるようにしてもよい。
また、図3の例では、栽培トレー4には栽培ポット9をはめ込むポット嵌入孔4dが一列に開けられた例を示しているがこれに限る必要は無い。搬送器具6には、例えば、栽培トレー4として、栽培ポット9を縦横に複数配置する奥行きの広い育種用栽培トレーを載せてもよく、この場合には、容器嵌込部は1組だけ設けることもできる。
そのような構造を有する搬送器具6上に載置される栽培トレー4について図3、図4A〜図4Dを参照して説明する。
栽培トレー4の板状の蓋体4bの両端寄りには、図3、図4Aに示すように、上から液肥ホース8が差し込まれるホース差込孔4cが形成され、それらの間の領域には、栽培ポット9が嵌め入れられる複数のポット嵌入孔4dが長手方向に間隔をおいて直線上に形成されている。
ところで、植物の収穫量を上げることを鑑みると、1つの栽培トレー4で栽培する植物の数を増やすことが望ましい。しかし、植物の生育には適度な幅、例えば隣会う植物が生育した際に葉同士が重ならないように、例えば、レタス類や小松菜などの葉物野菜であれば、蓋体4b上で15センチ程度の幅が必要である。もちろん、栽培対象とする植物の種類に応じて、どの程度の幅にするかを適宜決めることができる。
栽培トレー4は、上記のように液肥を溜めたり流したりする桶のような栽培容器4aと、栽培容器4aの上部の開口を覆う蓋体4bとを有し、さらに蓋体4bには複数のポット嵌入孔4d、ホース差込孔4cが形成されている。ポット嵌入孔4dには、育苗された植物Sが植えられたコップ状の栽培ポット9が嵌め入れられる。栽培ポット9の上部の縁がポット嵌入孔4dの縁に引っかかるので、蓋体4bを持ち上げると、栽培ポット9も持ち上がることになる。
蓋体4bに形成されるポット嵌入孔4dは、図4Bの平面図に示すように、長手方向にジグザグになるように2列以上に形成されてもよい。この場合、斜め方向で隣り合うポット嵌入孔4dのピッチLを一列の場合と同じに設定し、各列のポット嵌入孔4dのピッチをL以上に設定しても、長さあたりのポット嵌入4dの個数を例えば8孔から10孔に増やすことができる。しかも、ポット嵌入孔4dを幅方向に2列以上で配置したので、栽培ポット9を嵌め入れた状態の蓋体4bを栽培容器4aの開口部上に置くと、図4Cに例示するように、僅かな奥行き方向のズレ量xで栽培ポット9又は栽培ポット9内の植物から生えた根が栽培容器4aの内側壁面に当たる。このため、蓋体4bの裏もしくは栽培容器4aの開口部に、蓋体4bと栽培容器4aとの間の位置決めのための例えば突起や段差などの構造を設けなくてもよい。これにより、栽培トレー4搬送時に重心が偏ってバランスを崩したり、栽培ポット9ごと蓋体4bがずれて栽培ポット9内もしくは外にはみ出た植物の根が液肥に触れない状態になったりすることが避けられる。また、蓋体4bの位置決めも容易になる。
栽培ポット9は、図3に例示するように、上端に開口を有する有底円筒形状を有し、上端が下端より広いテーパー状の外周面を有している。その中には、所定期間で育苗された植物S、例えばレタス類の苗が植えられた培地となるスポンジ(不図示)が挿入される構造を有している。スポンジとして例えばキュービックウレタンスポンジが使用される。また、栽培ポット9の下部の周囲には植物の根がはみ出すことができる幅の縦長スリット9aが周方向に複数形成され、さらに、その底部には複数の孔が(不図示)形成されている。
栽培トレー4の栽培容器4aの一端寄りは、図2、図5A、図5Bの切り欠き断面の波線で囲むように、蓋体4bの一端側のホース差込孔4cに差し込まれる液肥ホース8を通して液肥が供給される液肥供給領域4eとなる。また、栽培容器4aの他端寄りの底部には、図2と図5Aの一部切り欠いた断面に示すように、液肥排出孔4fが形成されている。液肥排出孔4fとその周辺には、栽培トレー4の栽培容器4a内の液肥が設定の高さを超えないように液量を調整する液量調整器10が取り付けられている。
液量調整器10は、漏斗構造を有し、その底の液肥排出孔4fには下方に延びる管状の足10bが形成されている。さらに、液量調整器10の底から設定の高さを超えた領域には、縦長の複数の排液スリット10aが周方向に沿って形成されている。これにより、栽培トレー4の栽培容器4a内で設定高さに達した液肥Rが排液スリット10aを通して液量調整器10の中に溢れて入り、その下の管状の足10bを通して下方に排出される。
栽培トレー4内には、液肥栽培のため、通常は液肥Rが流れている状態であり、上下段の栽培トレー4間に液肥Rを循環させるため、上段の栽培トレー4から排出された液肥Rを、下段の栽培トレー4へ液肥ホース8で流している。
クリーンルーム内のような、閉鎖されていない空間と比較して菌が非常に少ない状態で育てることで、レタス類や小松菜など葉物野菜の可食部である葉は洗わなくても食べられる程度の清潔さを保っている。一方、液肥Rの中には、植物の老廃物や肥料内に元々含まれていた雑菌などが混入している可能性がある。従って可食部を清潔な状態に保つためには、液肥Rが飛び散って葉にかかることを避ける必要がある。このために、栽培トレー4には、液肥には触れさせたくない葉と液肥に接する必要のある根とを空間的に分離する蓋4bが配置されている。
一方で、栽培している植物を、栽培ラック2から、上記のように搬送器具6により栽培トレー4ごと移動させる必要がある。例えば、液肥の種類を変えるために別の棚に移動したり、栽培の際に作業しやすいように栽培トレー4を棚から下ろしたりするからである。
従って、植物栽培部材1に対して栽培トレー4を移動可能にするためには、液肥ホース8を栽培トレー4に固定してしまうと邪魔になるため、液肥ホース8と栽培トレー4を簡単に離せるようにできる必要がある。さらに、複数の栽培トレー4間で液肥を飛び散らせずに循環させることと、栽培トレー4の移動時に容易に取り外せることの両立が必要である。このため、次に示すような構造の液肥ホース8を採用する。
液量調整器10の管状の足10bに接続される液肥ホース8は、図5Aに例示するように、第1ホース8aと、第1ホース8aの下部に上下に移動可能に嵌め込まれる第2ホース8bとを有している。第2ホース8bの内径は、第1ホース8aの外形より大きくなって、第1ホース8aを差し込める形状となっている。また、第2ホース8bの下部には、側部を貫通する液流孔8dが少なくとも1カ所に形成されている。液流孔8dは、第2ホース8bを第1ホース8aから伸ばして栽培ラック2の下段に収納された栽培トレー4内に差し込んだ状態で液流孔8dが開いている状態となる。第1ホース8aの外周には、支柱2aに固定するための取り付け具12が取り付けられてもよい。
また、液肥ホース8のうち少なくとも第1ホース8aは、初期状態で湾曲する形状を有し、しかも外力により変形した後に外力を解くことによりほぼ初期形状に戻る程度の弾性を有していても良い。例えば、円形にまとめて束ねられた状態で市販されているゴムホースを、例えば20センチ程度の長さに切ると、円形に束ねられていた時の癖がついているため、切り取られたホースは円弧形状にゆるく湾曲している。この湾曲をそのまま利用できる。第2ホース8bは、変形しにくく形成されてもよく、また、湾曲して形成される場合には、その曲率が第1ホース8aの曲率と異なる構造に形成されていてもよい。第1ホース8a、第2ホース8bは例えば樹脂から形成される。
液肥ホース8の第1ホース8aの上端は、栽培トレー4内の液量調整器10の足10bに嵌め込まれる。第2ホース8bを第1ホース8aから下方に引き伸ばして、栽培ラック2の下段に収納された栽培トレー4のホース差込孔4cに差し込んだ状態で、第2ホース8bがホース差込孔4cの内縁に接触し、横方向に蓋体4bに圧力をかける程度の湾曲量となっていてもよい。
栽培トレー4の液肥排出口4fから突出する足10bに接続される液肥ホース8は、図5Aに例示するように、その下段に配置される別の栽培トレー4の蓋体4bのホース差込孔4cに挿入されることで、下端が該別の栽培トレー4の液肥供給領域4eに配置されることになる。さらに、上側の栽培トレー4から液肥ホース8の第1ホース8a内に流れ込んだ液肥は、第2ホース8bの下端の開口8cから排出される。ただし、その下端が液肥供給領域4eの底に接触する状態になると下端の開口8cから液肥が流れにくくなる。しかし、このような状態でも、液肥は第2ホース8bの下部の側部に形成された液流孔8dから側方に流出するので液肥供給領域4eにおける液肥の供給は円滑に行われる。また、液肥ホース8は、その湾曲により栽培トレー4の蓋4bのホース差込孔4cの縁に接触し、移動が規制されるので、液肥ホース8の下端を部材により固定したり外したりする作業が不要になる。
液肥ホース8は、長さ方向に伸縮する構造を有することによりホース差込孔4cへの差込が容易になる。その伸縮構造は上記に限るものではなく、例えば長手方向にたたむことができる蛇腹構造を少なくとも一部に有する管であってもよい。蛇腹構造の液肥ホース8を採用する場合には、蛇腹の凹部にホース差込孔4cの縁をかけることにより、液肥ホース8の移動を規制することができる。
ところで、栽培トレー4を栽培ラック2から取り出す場合には、栽培トレー4への液肥の供給を停止し、液肥ホース8に液肥が流れなくなった状態で、図5Bに例示するように、液肥ホース8の第2ホース8bを上にスライドして蓋体4bから外す。第2ホース8bを第1ホース8aの外周に沿ってスライドさせると、弾性の第1ホース8aと第2ホース8bの曲率の違いから互いの接触による摩擦が大きくなり、第2ホース8bが第1ホース8aからズレにくい状態となる。この後に、第1ホース8aと液量調整器10の接続を外す。ここで、第2ホース8bをスライドする際に、その側部の液流孔8dを第1ホース8aにより塞ぐようにすれば、液量調整器10から液肥が漏れ流れるとしても、漏れ出る方向は開口8cのみになるため液肥の拡散が防止される。
液流孔8dは、第2ホース8bの上端部の側部に形成されてもよく、これにより第2ホース8bの向きを選択する必要なく第1ホース8aを第2ホース8bに嵌め入れることができ、作業性が向上する。ここで、液流孔8dを第2ホース8bの上端部の側部にも形成した場合、液肥ホース8を、図5Aのように液肥を供給する状態に伸ばした状態でも、図5Bのように供給を中断して下段の栽培トレー4から引き抜いた状態でも、第2ホース8bの上端部の側部にも形成した液流孔8dは、第1ホース8aにより塞がれた状態となる。
ところで、図5A及び図5Bに示した液肥ホース8は、その上端を液量調整器10の管状の足10bに接続する構造を有しているが、これに限るものではない。例えば、図6A及び図6Bに例示するように、液肥ホース8の上部に漏斗状容器11の足11aを接続した構造を採用してもよい。漏斗状容器11としては、例えば塩化ビニール管を用いることができる。漏斗状容器11の管状の足11aは、第1ホース8aの上端に接続され、さらにその接続部の周囲には、支柱2aに固定するための取り付け具12が取り付けられている。このような構造の液肥ホース8の上部の漏斗状容器11は、栽培トレー4の栽培容器4a内の液量調整器10の管状の足10bの直下に配置される。
このような構造の液肥ホース8によれば、足10bと液肥ホース8の上端もしくは漏斗状容器11とを空間的に離間した状態でも、実質的に接続した状態に、すなわち、足10bから流れ出た液肥が漏れなく液肥ホース8に流れ込む状態にすることができる。従って、栽培トレー4を搬送器具6により搬送する際に、液肥ホース8を液量調整器10に接続したり、抜いたりする手間がかからず、作業効率を高くすることができる。
また、漏斗状容器11と液肥ホース8の第1ホース8aは、一体化されていてもよい。この場合は、液肥ホース8は、上端が漏斗状形状を呈する第1ホース8aと第2ホース8bとを有することになり、漏斗状容器11は不要になる。もしくは、別の表現をすれば、
漏斗状容器11の管状の足11aを長く伸ばし、第2ホース8bに接続した状態ということもできる。漏斗状容器11の足11aを長く伸ばした場合、漏斗状容器11の出口部分の下部に第2ホース8bが上下に移動可能に嵌め込まれることになる。第2ホース8bの内径は、漏斗状容器11の足11aの外形より大きく、漏斗状容器11の出口部分を差し込める形状となっている。もしくは、漏斗状容器11と蛇腹構造の液肥ホース8とが一体化され、液肥ホース8が全体として漏斗状、すなわち、上端の開口径が下端の開口径よりも大きくなっている構造でもよい。いずれにせよ、漏斗状容器11の上端開口径もしくは、漏斗状容器11と一体化された液肥ホース8の上端開口径は、液量調整器10の管状の足10bの開口径よりも大きくすることで、足10bから流れ出た液肥をこぼさずに受け入れることができる。
搬送器具6に載置された栽培トレー4は、図2に示したように、植物栽培部材1内で間隔をおいて上下に複数段で配置されるが、上下に隣り合う栽培トレー4の向きは、液肥供給領域4eと液量調整器10の取り付け位置が左右逆になるように順に配置される。即ち、栽培トレー4の液肥供給領域4eと液量調整器10の取り付け位置は1つおきに同じ向きとなる。そして、最も上の段の栽培トレー4の液肥供給領域4eには液肥供給装置(不図示)から液肥ホース8を通して液肥が供給され、供給された液肥は、栽培トレー4内で設定の高さになると液量調整器10のスリット10aを通してその下の足10bに向けて漏れ出し、足10bに接続された液肥ホース8を通して下の段の栽培トレー4の液肥供給領域4eに供給される。このようにして、複数の段に配置された栽培トレー4に嵌め込まれた栽培ポット9で栽培される植物Sには液肥ホース8を介して上から下に向けて順に液肥が送られ、液肥供給装置により所定の温度に制御された液肥が、常に交換されながら供給されることになる。
なお、最も下の段に取り付けられる栽培トレー4の液量調整器10の足10bは、図2に示したように、中継管13を介して排液回収管14の開口14a内に実質的に接続され、回収された液肥は再生処理装置により処理が施されて再び液肥として最も上の段の栽培トレー4に供給される。
図7に示すように、再生処理装置と液肥供給装置とは一体で実装されても構わない。排液回収管14から排出された液肥は、液肥タンク71に回収される。液肥タンク71内の液肥に対して、液肥温度管理機72が、上述の通り室温との差が所定の範囲になる温度に液肥の温度を制御する。液肥温度管理機72は、例えば、温度センサー73と、冷却水を供給する冷却管74とを備える。また、液肥タンク71内の液肥に対して、液肥管理機75が、液肥の濃度や成分の調整を行ない、液肥として好適な状態に制御する。液肥管理機75は、例えば、EC(電気伝導度)センサー76、pHセンサー77、及び原液液肥を供給する液肥供給管78を備える。温度、成分、濃度とも制御された後の液肥は、液肥循環ポンプ79により液肥タンク71から吸い出され、植物栽培部材1の最上段の液肥ホース8へ供給される。なお、図には示していないが、排液回収管14から排出された液肥に対して殺菌や濾過等の処理を行なってから液肥タンク71へ回収しても、もちろん構わない。
さて、植物に与える液肥の種類を、植物の生育段階に応じて変化させることがある。
その場合、上述の図2に示す植物栽培部材1を用いて、液肥ホース8に供給する液肥の種類を変化させてもよい。
また、植物栽培部材1を2以上含む植物の水耕栽培装置として、少なくとも2つの植物栽培部材1の間で供給する液肥の成分をそれぞれ異ならせ、1の植物Sに対して、育成段階の早い順に第1の液肥と第2の液肥とを与える水耕栽培装置を実現できる。例えば、定植期の前期に第1の液肥を、定植期の後期に第2の液肥を与える水耕栽培装置を実現できる。この際、前記低温液肥は、前記第1の液肥であってもよいし、前記第2の液肥であってもよいが、前記第2の液肥であることが好ましい。
すなわち、図8に例示するように、第1の液肥供給系31に接続された第1の植物栽培部材1Aと、第2の液肥供給系32に接続された第2の植物栽培部材1Bとを有する植物の水耕栽培装置を実現することができる。第1の液肥と第2の液肥とは成分が異なり、いずれか一方は水であっても良い。水の一例として、水道水や地下水が挙げられる。この場合、第1の植物栽培部材1Aで育成させた植物Sを含む栽培トレー4を、第2の植物栽培部材1Bに移し替える必要が生じる。そこで、異なる成分の液肥が供給されている複数の植物栽培部材1A、1B間で栽培トレー4を容易に移動可能にすることで、結果的に、1の植物Sに対して与える液肥の成分を変化させることができる。
なお、この場合、水耕栽培システムとしては、第1の液肥供給系31に接続されている植物栽培部材1Aと、第2の液肥供給系32に接続されている植物栽培部材1Bとを背中合わせにし、図8に例示するように、第1通路Aを挟んで複数並べた状態に配置することができる。
この場合、上記のように、第1の植物栽培部材1Aにおいて、前記栽培トレー4は複数段に取り付けられ、互いに液肥ホース8を介して第1の液肥供給系31に直列に接続される。また、第2の植物栽培部材1Bにおいて、前記栽培トレー4は複数段に取り付けられ、互いに液肥ホース8を介して第2の液肥供給系32に直列に接続される。
図8に示すように、異なる成分の液肥を流している第1の植物栽培部材1Aと第2の植物栽培部材1Bとを1組として、複数並べると、第1通路Aにいる作業者が、第1の液肥供給系31に接続されている第1植物栽培部材1Aから、搬送器具6ごともしくは単体で栽培トレー4を取り出す。作業者は、取り出した栽培トレー4を、体Dの向きを反転して第1通路Aの逆側にある第2の液肥供給系32に接続されている第2の植物栽培部材1Bに取り付けることで、植物Sに与える液肥の変更作業が終了する。即ち、作業員は、略同じ位置に立ったまま、搬送器具6ごと栽培トレー4を、もしくは栽培トレー4単体を持って、体の向きを反転するだけで液肥の変更作業を行えるため、作業効率の向上を見込める。また、複数の栽培トレー4を載せたままの状態で搬送器具6ごと少ない動作で移動可能にすることで、第1の植物栽培部材1Aから第2の植物栽培部材1Bへの1回の移し替えの動作で複数の栽培トレー4を同時に移し替えることができ、作業効率を向上させられる。栽培対象とする植物の株数が増えるほど、このような、液肥変更のための作業の効率化による作業時間の短縮効果も高くなる。
図8の例では、2台の植物栽培部材1間の栽培トレー4の移し替えを作業者が行っているイメージ図を示しているが、当然ながら、移し替え作業は人手ではなく、機械により行っても構わない。
植物栽培部材1において上下に間隔をおいて配置される複数の栽培トレー4には、ホース差込孔4cを通して液肥供給領域4eに液肥ホース8が差し込まれ、ポット嵌入孔4dには栽培ポット9が嵌め入れられる。栽培ポット9内のスポンジ(不図示)には例えば育苗工程を終えた植物Sが植えられている。その植物の育成には光合成をさせるために十分な量の光が必要である。従って、次に説明するように、植物に対する照明器具5の距離を植物の成長に合せて可変にできることが望ましい。
照明器具5は、図2の正面図と図9Aの斜視図に例示するように、栽培トレー4に沿った長い形状を有し、例えば、直管状蛍光灯、或いは、直線状にLEDを並べた照明灯が使用され、その一端もしくは両端には電力供給用の配線コード15が接続されている。照明器具5は、昇降機16を介して第2の梁2cのウェブに取り付けられている。昇降機16は、断面T字状の第2の梁2cのウェブに上端が軸支されて上下方向に伸縮可能な折りたたみ式のアーム16aを複数有している。複数のアーム16aの中間の折り返し部分は、梁16bを介して回動可能に互いに接続されている。複数のアーム16aのそれぞれの下端には、断面が逆T字状のプレート16cが軸支されている。
プレート16cの下端には、前後に照明器具5を支持する支持具16dが複数箇所に取り付けられている。支持具16dは、例えば中央に凹部が形成され、凹部内にプレート16cがネジ、リベット等により固定され、これにより、プレート16cが2つの照明器具5の間に位置することになり、照明器具5と第2の梁2cの間隔を小さくしている。さらに、プレート16cの左右両端寄りには上側に引き出されるワイヤ17が取り付けられている。ワイヤ17は、図2に示すように、第2の梁2cのウェブに回動自在に取り付けられたプーリー18を通してコイルバネ19の両端に接続され、下に落ちない力で上側に引っ張られている。
そのような構造の昇降機16に上下に移動可能に取り付けられた照明器具5によれば、植物の成長に合わせて高さを変えることができるとともに、照明器具5を高く上げることにより栽培トレー4の着脱等の作業がしやすくなる。
ところで、1個の植物のうち、葉などの色づきや成長に差が出ないようにするためには、植物に対して上から、かつ地面方向以外の各面から光が照射されることが望ましいと考えられよう。しかし、上記のように骨組だけの栽培ラック2では、空気の流通性を向上して植物育成に適正な温度に保つことはできるが、照明器具5から発せられた光が支柱2a、第1の梁2b、第2の2cの間の開放空間を透過してそのまま拡散してしまう。このため、光が拡散せずに植物方向に戻るような光反射部材を栽培ラック2の周りに設けることが好ましい。そこで、植物に対する照明器具5の距離を変更しても、照明から発せられた光を植物方向に反射可能な次のような構造の光反射板(光反射部)20を栽培ラック2の周りに設けることが好ましい。
光反射板20は、植物栽培部材1内に収納された状態の栽培トレー4のうち複数のポット嵌入孔4dが形成されている領域より外側の上方に配置されている。光反射板20は、ガラス、銀膜などからなる鏡や、鏡面仕上げの金属板であってもよいが、表面に光沢のある白い板、例えば白い塩化ビニール板で十分である。光反射板20は、照明器具5から照射された光の栽培トレー4上での光強度分布を略均一にするために配置される。即ち、光反射板20は、少なくとも、照明器具5の両側端の下の位置に配置される栽培ポット9で育つ植物への光の照射量を光反射により補うものである。これにより、栽培トレー4の上の光強度分布をほぼ等しくすることができ、栽培ポット9の位置にかかわらずにほぼ等しい条件で植物を成長させることができる。
また、図9Bに例示するように、光反射板20の上部には、照明器具5の両端に接続される配線コード15を通す縦長のスリット20sが形成されている。スリット20sの数は、照明器具5の数に応じて決定すればよく、図9A及び図9Bの例では、1の光反射板20に対して二つの照明器具5があるため、スリット20sは2カ所に形成されている。スリット20sの長さは、照明器具5の上下の移動範囲に対応させて決められる。なお、照明器具5が蛍光灯の場合には、図2に例示するように。蛍光管5aの上に反射鏡23を配置する。反射鏡23は、図2に例示するように、蛍光管5aを包む袋状になり、上面側に反射面を有し、下面側に透明フィルムを有している。また、蛍光管5aに袋状の反射鏡23を固定するためにクリップ24を用いてもよい。
このような構造によれば、装着自在な光反射板20を作業の最後に取り付けることができる。即ち、フレーム状の栽培ラック2内への栽培トレー4の設置、液肥ホース8の取り付けなどの作業やそれらの位置の確認を第2通路B側からも行なった後に、光反射板20を植物栽培部材1に取り付けることができる。また、光反射板20に形成されたスリット20sは、空気の流通経路ともなり、照明器具5と栽培トレー3の間の空間を通る空気を第2通路B側に通り抜けさせることができる。
ところで、図9Bの二点鎖線に例示するように、光反射板20の上端中央には、照明器具5を支持する第2の梁2cの一部や昇降機16の一部が入り込む切り欠き部20aを形成してもよい。そのような切り欠き部20aを設けることにより、光反射板20を高さ方向に広げることができ、植物への光反射量を大きくすることができる。
また、図10Aに例示するように、光反射板20のスリット20sの上部を横切る掛け具21を着脱可能に取り付けてもよい。図10Aの例では、掛け具21は板状の例を示しているが、板状に限る必要はなく、例えば紐状であっても良い。それ以外の形状でも、配線コード15に光反射板20をぶら下げられれば良い。これによれば、照明器具5の位置を高く移動させる際に、掛け具21が照明器具5の配線ケーブル15に掛かって光反射板20を照明器具5とともに持ち上がるようにできる。
例えば、栽培トレー4に植えられた植物が小さい時期には、図10Bに例示するように、栽培トレー4のうち植物Sが植えられている内側において栽培トレー4の蓋4bと光反射板20のなす角度θが90度より大きくなるように傾斜させる。これにより、照明器具5から外側に向けて斜め下に照射される光を横方向に反射させるように調整することができる。
さらに、図10Cに例示するように、植物Sが育ってその高さが増してゆくにつれて照明器具5と栽培トレー4の間隔を大きくして最適な距離を確保することになる。この場合、照明器具5の位置を高くすることにより配線ケーブル15に掛けられた掛け具21を介して光反射板20を持ち上げて立てることができる。これにより、上に伸びた植物の葉よりも上で光反射板20により光を反射させ、植物Sに対する光照射量を最適化することができる。この場合、光反射板20の下端と栽培トレー4との間に隙間をあけることにより、植物Sの葉の増加及び成長により劣化する空気の流通性を改善することができる。
以上のような植物栽培部材1では、まず、発芽した植物Sが植えられたスポンジ(不図示)を入れた栽培ポット9を栽培トレー4のポット嵌入孔4dに嵌め込む。その後に、栽培トレー4を搬送器具6の容器嵌合部6bに嵌め合わせる。さらに、搬送器具6の両側の摺動部6aを栽培ラック2内のレール7の上に載せ、上記のような操作により搬送器具6を栽培ラック2の中に収める。この場合、最も下に取り付けられる栽培トレー4の液量調整器10を排液回収管14の開口14a内に中継管13を介して接続する。また、上下に配置される栽培トレー4の供給領域4eと液量調整器10の位置が左右逆になるように順に配置する。
このように複数の栽培トレー4を配置した後に、上側の栽培トレー4の液量調整器10の管状の足10bに、液肥ホース8の上端を実質的に接続した状態で、液肥ホース8の長さを伸ばして、例えば湾曲した第1ホース8aから第2ホース8bを下に引き出して、その下段の別の栽培トレー4のホース差込孔4cに挿入する。この場合、第2ホース8bの下端側部に設けられた流通孔8dを第1ホース8aにより塞がらないように調整する。なお、最も上段の栽培トレー4のホース嵌入孔4cには、液肥供給装置の給液口(不図示)に繋がる液肥ホース8を実質的に接続する。
この後に、光反射板20のスリット20sに照明器具5の配線ケーブル15を通すとともに、その下端を栽培トレー4に乗せる。その後に、昇降機16により照明器具5の高さを調整する。さらに、光反射板20の角度等を調整する。
また、液肥供給装置から液肥ホース8を通して最上段の栽培トレー4内の液肥供給領域4eに液肥を供給することにより、栽培トレー4内で液肥の嵩が増し、液量調整器10のスリット10aに達する高さになると、そこから液肥ホース8を通して下段の別の栽培トレー4の液肥供給領域4eからその内部に液肥が供給される。その中の液肥の量が液量調整器10のスリット10aに達成すると、液量調整器10から液肥ホース8を通してさらに下段の栽培トレー4に液肥が供給される。そのように供給された液肥は、最下段の栽培トレー4の液量調整器10を通して排液回収管14に放流され、再生処理装置で再処理されてさらに液肥供給装置に送られる。
このような液肥供給の循環を設定日数で行わせると、液肥から栄養分を吸収し、照明器具5から光が照射された植物Sは成長する。その成長に合わせて昇降機16を用いて照明器具5の高さを変える。その設定日数が経過すると、栽培トレー4内の植物を別な環境に置くために、栽培トレー4を植物栽培部材1から別の環境の装置に搬出する。
栽培トレー4の取り出しには、まず液肥供給装置による液肥の供給を停止し、液肥ホース8を通して液肥が流れなくなったことを確認し、液肥ホース8の長さを縮める。例えば、第2ホース8bを第1ホース8a上でスライドさせて押し上げる。この場合、第2ホース8bの下端側部の液流孔8dを第1ホース8aにより塞いでもよい。さらに、照明器具5の発光を停止してもよい。この後に、液肥ホース8を栽培トレー4のホース差込孔4cから外す。その後に、レール7上に搬送器具6を滑らして第1通路Aに引き出して植物栽培部材1から栽培トレー4を外部に取り出し、搬送器具6に栽培トレー4を載せたままの状態で、別の装置に移し替える。
ところで、栽培トレー4に置いた光反射板20は、液肥ホース8を外す前又は後に、栽培トレー4の上から取り除き、作業をしやすくすることもできる。なお、光反射板20は、栽培ラック2の支柱2a、第2の梁2cに立掛けてもよい。
このように、植物栽培部材1に対する栽培トレー4の着脱を容易にすることができ、作業効率を高めることができる。
図11A及び図12Aは、実施形態にかかる植物工場におけるクリーンルーム及び空調設備を示す側断面図であり、図11B及び図12Bは、図11Aもしくは図12AのX−X線断面で示す平面図である。
図11Aは、図12Aと比較すると、排気管63に対する植物栽培部材1の並び方が異なる。即ち、図11Aと図12Aとでは、植物栽培部材1の並び方が略直交した状態になっている。
また、図12Aでは、図11Aと比較すると、通気用床板57の配置位置が異なる。即ち、図12Aでは、図11Aの図中右の壁側に示されている通気用床板57が無く、排気管63が有る側の壁側にのみ通気用床板57がある。
また、図12Aでは、図11Aと比較すると、植物栽培部材1の配置位置が異なる。即ち、図12Aでは、図11Aには無かった位置、即ち点線で植物栽培部材1を示した壁際の位置に植物栽培部材1が追加して配置されている。なお、図12Aでは、点線で示した植物栽培部材1は、クリーンルーム51の壁に接する位置に配置された例を示しているが、これを、クリーンルーム51の壁から離間する位置に配置してもよい。
図11A及び図12Aにおいて、植物工場におけるクリーンルーム51の上部には、天上面51aとの間に給気領域52を区画する天井板53が取り付けられている。天井板53には給気領域52に供給される空気を通過させる複数の給気孔53aが形成されている。天井板53の給気孔53aの上にはエアフィルタ54が配置されてもよい。
クリーンルーム51の底部には排気路55が配置され、その上には、土台56を介して、通気用床板57と通気防御用床板58が張られている。
通気用床板57は、通風孔57aを有し、クリーンルーム51の底部の排気路55の上に取り付けられている。通気用床板57として、例えばパンチ孔を有するパンチングメタル板が使用されるが、これに限られものではなく、樹脂、セラミック等から形成される板に孔が形成された床板や、金網を使用してもよい。
通気防御用床板58は、少なくとも図1に示す植物栽培部材1の設置場所において、通気用床板57上に重ねられて張られ、通風孔57aを塞いでいる。なお、通気防御用床板58は、植物栽培部材1の設置場所のみの広さではなく、図1や図11Aに示す第1通路Aと第2通路Bを覆う広さを有してもよい。これにより、通気防御用床板58の領域では、栽培空間59の空気が床下の排気路55へ直接流れ込むことがブロックされた状態になる。なお、通気用床板57は、通気防御用床板58に重ならない領域だけに張られてもよい。すなわち、クリーンルーム51の床は、一部は通気用床板57が張られ、一部は通気防御用床板58のみが張られた状態でもよい。そうすることで、通気用床板57の上に通気防御用床板58を重ねて張る場合に生じる通気防御用床板58の厚み分の段差が生じない。
通気用床板57と通気防御用床板58と天井板53に挟まれる部屋の空間は栽培空間59となる。符号50は、クリーンルーム51の出入り口の扉を示している。クリーンルーム51の天井板53の上の給気領域52には、外側の空調設備61の給気部に接続される給気管62が差し込まれる。また、通気用床板57の通風孔57aに繋がる排気路55には空調設備61の吸気部に接続される排気管63が接続されている。
空調設備61は、例えば、排気管63から取り込んだ空気を処理して給気管62に戻す再循環機構と、外気を清浄化して給気管62に給気する外気処理機構を有している。空調設備61に取り込まれた空気は、エアフィルタ(不図示)を通して清浄化される。空調設備61から給気管62を通して清浄化された空気を天井の給気領域52に送ると、空気はエアフィルタ54を通過してさらに清浄化され、天井板53の給気孔53aを通して下方の栽培空間59に吹き出される。空調設備61は、空気の温度制御機構を有し、所定の温度に制御された空気が、栽培空間へ吹き出されることになる。
天井板53から出た空気は、植物栽培部材1内を通過しながらクリーンルーム51内の通気用床板57に向けて移動するが、通気用床板57のうち通気防御用床板58に覆われた部分では通風孔57aが塞がれる、もしくは通風孔57aが存在しないので、植物栽培部材1の上から放出された空気は、広がりながら植物栽培部材1を通り抜け、通気用床板57の通風孔57aに向けて移動する。さらに、通気用床板57の通風孔57aを通してその下の排気路55と排気管63を通して空調設備61に戻される。室内の空気循環をさらに助けるために、室内に送風機を設置しても良い。
このようなクリーンルーム51において、図8を用いて説明したように、異なる液肥が供給される植物栽培部材1が同一のクリーンルーム51内に共存してもよい。例えば、第1の液肥が供給される第1の植物栽培部材1Aと第2の液肥が供給される第2の植物栽培部材1Bが第1通路Aを挟んで対向するように配置されてもよい。
例えば、図11Aや図12Aに示すように、第1通路Aを挟んで対向する位置に、第1の液肥が供給される植物栽培部材1Aが並ぶ列と、第2の液肥が供給される植物栽培部材1Bが並ぶ列とを配置する。また、植物栽培部材1Aと植物栽培部材1Bとを背中合わせに隣接して配置する。栽培空間59の中で、異なる液肥が供給されている植物栽培部材1をこのように配置すると以下の効果がある。即ち、第1通路Aにいる作業者は、植物栽培部材1Aから搬送器具6ごともしくは単体で栽培トレー4を取り出し、体Dの向きを反転して第1通路Aの逆側にある第2の植物栽培部材1Bに取り付けることで、植物Sに与える液肥の変更作業が終了する。そのため、植物Sに与える液肥を変更する作業の作業効率の向上を見込める。栽培対象とする植物Sの株数が増えるほど、このような、液肥変更のための作業の効率化による作業時間の短縮効果も高くなる。
さらに、図12Bの点線で植物栽培部材1を示した位置にも植物栽培部材1を配置することにより、全ての植物栽培部材1Aと植物栽培部材1Bとが、第1通路Aを挟んで対向する位置に設置されることになる。従って、植物Sの成長時期に応じて植物栽培部材1Aと植物栽培部材1Bとの間で栽培トレー4を入れ替える運用を行う場合、植物栽培部材1A(1B)が通路を挟んだ対向側に存在しない植物栽培部材1B(1A)を生じさせず、入れ替えの作業効率、クリーンルーム51内での栽培効率を向上させることができる。
ここで挙げた全ての例および条件的表現は、発明者が技術促進に貢献した発明および概念を読者が理解するのを助けるためのものであり、ここで具体的に挙げたそのような例および条件に限定することなく解釈され、また、明細書におけるそのような例の編成は本発明の優劣を示すこととは関係ない。本発明の実施形態を詳細に説明したが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、それに対して種々の変更、置換および変形を施すことができると理解される。
以下、開示の技術の実施例について説明するが、開示の技術は下記実施例に何ら限定されるものではない。
(比較例1)
温度調整が可能な閉鎖空間としてのクリーンルーム内で図1及び図2に示すような水耕栽培部材を用いて低カリウムレタスを水耕栽培した。
育苗後のレタスの苗(64株)を水耕栽培部材の栽培ポットに設置して、約3週間の定植を行った。定植の際は、室温を23℃に保った。
定植期内の後期において、低カリウム液肥を用いることで、低カリウムレタスを栽培した。
液肥の温度は、室温と同じ23℃とした。
栽培された低カリウムレタス64株について、目視によりピンクリブの発生を調べた。図13において、丸い破線で囲った箇所に見られるように、本来は白色や薄い緑色系の色を呈する葉脈の中肋がピンク色又は褐色となっているものを、ピンクリブが発生している状態と判断した。1株において1箇所以上ピンクリブが発生しているレタスは、ピンクリブが発生していると判断した。
64株について、ピンクリブの発生を調べた結果、17株にピンクリブが発生しており、発生率は27%であった。
(実施例1)
温度調整が可能な閉鎖空間としてのクリーンルーム内で図1及び図2に示すような水耕栽培部材を用いて低カリウムレタスを水耕栽培した。
育苗後のレタスの苗(32株)を水耕栽培部材の栽培ポットに設置して、約3週間の定植を行った。定植の際は、室温を23℃に保った。
定植期内の後期において、低カリウム液肥を用いることで、低カリウムレタスを栽培した。
定植期内の前期の液肥の温度は、室温と同じ23℃とした。定植期内の後期における低カリウム液肥の温度は、20℃とした。
その他の条件は、比較例1と同じとした。
栽培された低カリウムレタス32株について、比較例1と同様にして、目視によりピンクリブの発生を調べた。
32株について、ピンクリブの発生を調べた結果、3株にピンクリブが発生しており、発生率は9%であった。
即ち、液肥の温度を低くすることにより、ピンクリブの発生を抑制することができた。
以上の実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
温度調整が可能な閉鎖空間内で植物を水耕栽培する水耕栽培方法であって、
前記閉鎖空間内の室温よりも低温であり、かつ前記閉鎖空間内の室温との差が0℃超3℃以下である液肥を前記植物へ供給することを特徴とする水耕栽培方法。
(付記2)
前記液肥が、前記閉鎖空間内の室温との差が1℃以上3℃以下である液肥である付記1に記載の水耕栽培方法。
(付記3)
前記液肥が、前記植物の定植期に前記植物へ供給される付記1から2のいずれかに記載の水耕栽培方法。
(付記4)
前記液肥が、前記植物の定植期の後期に前記植物へ供給される付記1から3のいずれかに記載の水耕栽培方法。
(付記5)
前記植物が、葉物野菜である付記1から4のいずれかに記載の水耕栽培方法。
(付記6)
前記葉物野菜が、レタス、サンチュ、小松菜、及びほうれん草のいずれかである付記5に記載の水耕栽培方法。
(付記7)
前記葉物野菜が、低カリウム葉物野菜である付記5に記載の水耕栽培方法。
(付記8)
前記低カリウム葉物野菜が、低カリウムレタスである付記7に記載の水耕栽培方法。
(付記9)
温度調整が可能な閉鎖空間内で植物を水耕栽培する水耕栽培装置であって、
前記閉鎖空間内の室温を調整する手段と、
前記植物へ供給する液肥を、前記閉鎖空間内の温度よりも低温であり、かつ前記閉鎖空間内の室温との差を0℃超3℃以下に調整する手段とを有することを特徴とする水耕栽培装置。
(付記10)
前記閉鎖空間内の室温を調整する手段が、空調設備である付記9に記載の水耕栽培装置。
(付記11)
前記植物へ供給する液肥を、前記閉鎖空間内の温度よりも低温であり、かつ前記閉鎖空間内の室温との差を0℃超3℃以下に調整する手段が、熱交換器である付記9から10のいずれかに記載の水耕栽培装置。
(付記12)
温度調整が可能な閉鎖空間内で植物を水耕栽培する水耕栽培装置を備える植物工場であって、
前記水耕栽培装置が、前記閉鎖空間内の室温を調整する手段と、前記植物へ供給する液肥を、前記閉鎖空間内の温度よりも低温であり、かつ前記閉鎖空間内の室温との差を0℃超3℃以下に調整する手段とを有することを特徴とする植物工場。
(付記13)
前記閉鎖空間としてのクリーンルームを備える付記12に記載の植物工場。
(付記14)
前記閉鎖空間内の室温を調整する手段が、空調設備である付記12から13のいずれかに記載の植物工場。
(付記15)
前記植物へ供給する液肥を、前記閉鎖空間内の温度よりも低温であり、かつ前記閉鎖空間内の室温との差を0℃超3℃以下に調整する手段が、熱交換器である付記12から14のいずれかに記載の植物工場。