JP6473649B2 - レーザ単結晶育成装置及び単結晶 - Google Patents

レーザ単結晶育成装置及び単結晶 Download PDF

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Description

本発明は、レーザ単結晶育成装置及び単結晶に関する。
従来、ハロゲンランプ加熱による浮遊溶融帯方式に対して、複数の加熱レーザ源を用いて複数の加熱レーザ光を周囲から原料棒に照射する方式が提案されている。複数の加熱レーザ光を用いる方式は、原料が溶融している溶融帯と、結晶界面の液体温度分布を峻別することができる。これにより、分解溶融型液体から結晶相を安定して取り出すことができる。
図30は、従来のハロゲンランプ加熱方式の単結晶育成装置500を示す。単結晶育成装置500では、ハロゲンランプ520などの赤外線ランプを共焦点楕円体反射鏡530の左右の焦点位置に配置する。また、2つの共焦点楕円体反射鏡530の中心位置に石英管510を配置し、石英管510内に原料棒501を置く。これにより、単結晶育成装置500は、左右の二つの共焦点楕円体反射鏡530からの反射光を集光し、原料棒501を溶融する。溶融部の保持は溶融液の粘性、表面張力および溶融部の重量のバランスで保持されている。溶融部の重量が大きく、粘性が低い材料の場合は溶融帯を保持するために溶融部の上下間隙を狭くしなければならない。この間隙が広いと溶融部は結晶棒に垂れてしまい、溶融部を維持できない。結晶棒の直径を大きく成長したい場合は溶融帯の間隙を大きくしなければならない。結晶棒に供給する溶融材料を増加させるとともに溶融帯温度を保持するためである。しかしながら、加熱範囲の変更は単結晶育成装置500の基本構造を変更することになり実現できない。
一方、レーザ光加熱方式においても、いくつかの課題がある。第1には、可視光ではない略四角形に整形された5本のレーザ照射光の光路、形状や強度分布を調整することが現実的ではない。特にレーザ照射光形状の変更が多く発生する場合は、その度に、レーザ照射光形状の変更に伴うレーザ照射光形状の確認作業が実現できない。加熱レーザ光の波長は赤外領域の波長を使う。この波長領域は原料棒の加熱を効率よく実現できる。この波長領域ではレーザ光強度の高い半導体レーザ装置が供給されている。しかし、赤外光は肉眼で見ることはできない。その為に、赤外可視光変換パネルを使い、赤外光を変換パネルに照射し、照射パネル上で発光した可視光で、加熱レーザ光の位置や照射形状を確認する。しかしながら、このような方法により多数の赤外レーザ照射光を調整することは困難で現実的でない。また、調整に際しては半導体レーザの出力を極力下げて調整するが、目への散乱光入射は大変危険であることから赤外光遮断ゴーグルが義務づけられており、作業性が損なわれる。さらに、変換された可視光の発光強度は極めて弱く、調整上、不十分な強度である。原料棒に照射するM個の加熱レーザ光形状や強度分布を自由に確認できない。
第2には、原料棒における溶融帯の温度を直接観察することの課題が知られていなかった。また、溶融帯からの放射光は、プランクの式で知られる黒体放射光に加えて、加熱レーザ光の強力な散乱光を含む。そのため、従来の放射温度計では、加熱レーザ光の強力な散乱光を遮断できず、溶融帯の温度を直接観察できない。
第3には、レーザ光加熱方式は、溶融帯以外への加熱が激減することになるので、溶融帯の上下が暗くなる。そのため、溶融帯の上下の結晶棒や原料部の状態を観察することができなくなる。
第4には、レーザ光加熱方式は溶融帯と結晶棒との温度分布を急峻にすることにより分解溶融材料の単結晶を得る優れた特性を示した。しかし、一方では、レーザ光加熱方式により成長した結晶部位が急激に冷却することとなる。そのため、成長した結晶棒の部位に歪みが残る場合がある。特定の材料には、成長した結晶部位にクラックを発生させる等の深刻な問題を引き起こす。クラックが結晶全体に及ぶと所望の単結晶を得られない。
本発明の第1の態様においては、M本の加熱レーザ光を用いる単結晶育成装置において、1台のレーザ電源と、1台のレーザ電源が供給した電力に基づいて、1本の加熱レーザ光を出射する1台の半導体レーザ装置と、1本の半導体レーザ光をM本の加熱レーザ光に分割するレーザ光分割装置と、原料棒の中心軸を中心として、M本の加熱レーザ光を略四角形の照射光形状で原料棒に放射状に照射するM個のレーザ照射ヘッドと、原料棒に参照レーザ光を照射する1台の参照光レーザ装置と、レーザ光分割装置へ参照レーザ光を半導体レーザ光と同一光路に導く光路統合部と、原料棒の温度を測定する温度測定部と、原料棒の温度に基づいて、M本の加熱レーザ光の出力を制御する出力制御部とを備える単結晶育成装置を提供する。
本発明の第2の態様においては、M本の加熱レーザ光のトップフラットな照射強度分布をもつ略四角形照射形状を可変できるM個のレーザ照射ヘッドを備える単結晶育成装置を提供する。
本発明の第3の態様においては、M本の加熱レーザ光のトップフラットな照射強度分布を釣鐘形状強度分布に可変でき尚且つ略四角形照射形状を可変できるM個のレーザ照射ヘッドを備える単結晶育成装置を提供する。
本発明の第4の態様においては、N個の反射鏡とN個の加熱ハロゲンランプとを有し、加熱ハロゲンランプの照射する光を反射鏡に反射させて、原料棒に照射する加熱補助部をさらに備える第1の態様に記載の単結晶育成装置を提供する。
本発明の第5の態様においては、原料棒における溶融帯を監視する溶融帯監視部をさらに備え、溶融帯監視部は、原料棒の映像を取得するカメラと、原料棒からの放射光を減衰させる光学フィルタとを有し、光学フィルタは、2枚の偏光子を含む第1の態様又は第2の態様に記載の単結晶育成装置を提供する。
本発明の第6の態様においては、原料棒に磁場を印加する磁場印加部をさらに備える第1の態様から第5の態様のいずれかに記載の単結晶育成装置を提供する。
本発明の第7の態様においては、原料棒に高周波を印加する高周波印加部をさらに備える第1の態様から第5の態様のいずれかに記載の単結晶育成装置を提供する。
本発明の第8の態様においては、第1の態様から第7の態様のいずれかに係る単結晶育成装置を用いたY、W,Z型フェライト構造を有する鉄酸化化合物の単結晶の製造方法を提供する。
なお、上記の発明の概要は、本発明の特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
単結晶育成装置100の構成の概要を示す。 単結晶育成装置100の構成の上面図の一例を示す。 単結晶育成装置100の斜視図の一例を示す。 原料棒1の実測温度の時間依存性を示す。 レーザ照射ヘッド21の構成の一例を示す。 原料棒1の位置における、参照レーザ光6の観察写真を示す。 実施例1に係るレーザ照射ヘッド21からの光強度分布の実測結果を示す。 実施例1に係るレーザ光分割装置130の構成例を示す。 原料棒1の温度(度)とレーザ照射ヘッドからの照射光強度(W)との関係を示す。 図10(a)は、3mm×8mmの照射光形状を生成するレーザ照射ヘッド21の構成例を示す。図10(b)は、4mm×8mmの照射光形状を生成するレーザ照射ヘッド21の構成例を示す。図10(c)は、10mm×10mmの照射光形状を生成するレーザ照射ヘッド21の構成例を示す。図10(d)は、15mm×15mmの照射光形状を生成するレーザ照射ヘッド21の構成例を示す。 3mm×8mmの照射光の強度分布の実測結果を示す。 10mm×10mmの照射光の強度分布の実測結果を示す。 15mm×15mmの照射光の強度分布の実測結果を示す。 図14(a)は、3mm×10mmの照射光形状を生成するレーザ照射ヘッド21の構成例を示す。図14(b)は、5mm×10mmの照射光形状を生成するレーザ照射ヘッド21の構成例を示す。図14(c)は、10mm×10mmの照射光形状を生成するレーザ照射ヘッド21の構成例を示す。 実施例7に係る単結晶育成装置100の構成例を示す。 図16(a)は、原料棒1の加熱時に照射光がない場合の溶融帯近傍の写真を示す。図16(b)は、高輝度ダイオード光を照射した場合の溶融帯近傍の写真である。 化学式A1222のY型フェライト単結晶棒の写真である。 化学式AB1627のW型フェライト単結晶棒の写真である。 化学式A2441のZ型フェライト単結晶棒の写真である。 溶融帯監視部54の構成の一例を示す。 図21(a)及び図21(b)は、偏光子回転装置56のより詳細な図を示す。 レーザ照射ヘッド21の構成の一例を示す。 レーザ照射ヘッド21の構成の一例を示す。 補助加熱部80を備える単結晶育成装置100の構成の一例を示す。 補助加熱部80の上面図の一例を示す。 溶融帯4近傍における温度の一例を示す。 補助加熱部80を備える単結晶育成装置100の構成の一例を示す。 磁場印加部を備える単結晶育成装置100の構成例を示す。 高周波印加部を備える単結晶育成装置100の構成例を示す。 共焦点楕円体鏡面をもつハロゲンランプ加熱方式を示す。
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
図1は、単結晶育成装置100の斜視図の一例を示す。単結晶育成装置100は、M台のレーザ照射ヘッド、M本のファイバ及びそれらの光学系を固定する光学台140を備える。光学台140の下には、レーザ電源110、半導体レーザ装置120、レーザ光分割装置130、参照光レーザ装置150及び光路統合部155を配置する。
単結晶育成装置100は、浮遊溶融帯方式で原料棒1に加熱レーザ光3を照射して単結晶を育成する装置である。
半導体レーザ装置120は、レーザ電源110からの電源電力により駆動し、半導体レーザ光5を生成する。半導体レーザ装置120は、生成した半導体レーザ光5をレーザ光分割装置130に出射する。本例の単結晶育成装置100は、レーザ電源110及び半導体レーザ装置120をそれぞれ1台ずつ有する。
レーザ光分割装置130は、半導体レーザ光5をM本に分割する。レーザ光分割装置130は、分割した半導体レーザ光5をファイバ31,32,33,34,35に入射する。本例のレーザ光分割装置130は、半導体レーザ光5を5本に分割する。
参照光レーザ装置150は、参照レーザ光6を生成する。参照光レーザ装置150は、生成した参照レーザ光6を光路統合部155に入射する。本例の単結晶育成装置100は、参照レーザ電源と一体になった参照光レーザ装置150を1台有する。
光路統合部155は、入射された半導体レーザ光5及び参照レーザ光6を同一光路でレーザ光分割装置130に入射する。本例の光路統合部155はハーフミラーで構成するが、分割ミラー、プリズム及び三角柱ミラー等を用いてもよい。また、レーザ光分割装置130に入射するレーザの進行方向を逆にすることにより、レーザ光分割装置130で示した光学系を光路統合部155として利用することもできる。
レーザ光分割装置130は、参照レーザ光6をM本に分割する。レーザ光分割装置130は、分割した参照レーザ光6をファイバ31,32,33,34,35に入射する。本例のレーザ光分割装置130は、参照レーザ光6を5本に分割する。
原料棒1は、育成する単結晶に応じた材料で形成した円柱状の棒である。例えば、原料棒1の直径は、2mm〜15mmである。原料棒1は、加熱レーザ光3で加熱することにより結晶棒2上に溶融帯4を形成する。例えば、原料棒1の溶融温度は、300℃から2000℃である。溶融帯4は、原料棒1が加熱レーザ光3により溶融した層であり、結晶棒を下降することにより原料棒1の材料に応じた単結晶を成長する。原料棒1と結晶棒2は、石英管中に設置し、原料棒保持部11及び単結晶保持部12にそれぞれ固定する。本例の単結晶育成装置100は、原料棒1を坩堝に置く必要がないので、坩堝からの不純物汚染がなく極めて高純度の単結晶棒を育成できる。また、原料棒1に微量の元素を添加することも可能となる。
原料棒保持部11は、原料棒1を石英管内で保持する。原料棒保持部11は、平面視で、原料棒1の中心軸に対して反時計周りに原料棒1を回転させる。例えば、原料棒保持部11は、シャフトを有し、当該シャフトから白金線などの高融点ワイアで原料棒1を吊るす。原料棒1の回転速度は、任意の速度に決定すればよく、一例では10rpmから60rpm程度である。
単結晶保持部12は、結晶棒2を石英管内で保持する。単結晶保持部12は、平面視で、結晶棒2の中心軸に対して時計周りに結晶棒2を回転させる。即ち、原料棒保持部11及び単結晶保持部12は、原料棒1の回転方向と結晶棒2の回転方向が逆向きとなるように回転する。結晶棒2の回転速度は、任意の速度に決定すればよく、一例では10rpmから60rpm程度である。結晶棒2の回転速度は、原料棒1の回転速度と同じであることが好ましいが、これに限られない。原料棒1及び結晶棒2を回転することにより、溶融帯4の温度均一性が向上する。
原料棒保持部11及び単結晶保持部12は、溶融帯4が予め定められた温度に安定化した状態で、徐々に原料棒1及び結晶棒2の保持位置を下方に移動させる。これにより、溶融帯4に加熱レーザ光3が照射しなくなった領域から徐々に結晶化する。原料棒保持部11及び単結晶保持部12の移動する速度は、単結晶の材料の特性及び加熱レーザ光3の強度等に応じて任意に設定する。
レーザ照射ヘッド21,22,23,24,25は、ファイバ31,32,33,34,35から入射した光をレンズで整形し、略四角形の照射強度分布を有する加熱レーザ光3を生成する。レーザ照射ヘッド21,22,23,24,25は、原料棒1の中心軸に対して放射状で、且つ、等間隔に複数の加熱レーザ光3を照射するようにレーザ照射ヘッドを配置する。即ち、レーザ照射ヘッド21,22,23,24,25は、原料棒1を中心に略72度の間隔の角度で5方向から加熱レーザ光3を照射する。
また、レーザ照射ヘッド21,22,23,24,25は、ファイバ31,32,33,34,35から入射した参照レーザ光6を加熱レーザ光3と同様にレンズで整形し、加熱レーザ光3と同じ略四角形の照射強度分布を有する参照レーザ光6を生成する。参照レーザ光6は可視光で、加熱レーザ光3に用いる赤外波長領域に近い波長を選択する。レーザ照射ヘッドのレンズなどの屈折率が赤外光に近い値になるようにするためである。レーザ照射ヘッド21,22,23,24,25は、原料棒1の中心軸に対して放射状で、且つ、等間隔に複数の参照レーザ光6を照射する。参照レーザ光6は加熱レーザ光3を調整する段階で照射してよい。
図2は、単結晶育成装置100の構成の上面図の一例を示す。図3は、単結晶育成装置100の斜視図の一例を示す。単結晶育成装置100は、石英管10、M台のダンパ、光検知器53、溶融帯監視部54及び出力制御部70をさらに備える。本例では台数M=5の場合を示す。
石英管10は、石英により形成した透明な管である。石英管10の中心軸上に原料棒1を配置する。石英管10内には、原料棒1の材料等に応じて好適なガスを充満させる。例えば、石英管10に酸素ガスを供給し、石英管10内を予め定められた圧力に調整する。
ダンパ41,42,43,44,45は、水冷機構を有し、加熱レーザ光3の一部を吸収する。ダンパ41,42,43,44,45は、原料棒1を挟んで、レーザ照射ヘッド21,22,23,24,25とそれぞれ対向して設ける。例えば、ダンパ41は、レーザ照射ヘッド21が出力した加熱レーザ光3の内、原料棒1の左右を通過した加熱レーザ光3を吸収する。これにより、レーザ照射ヘッド21による単結晶育成装置100の内部の損傷を防止できる。
温度測定部50は、溶融帯4の少なくとも一部の領域の温度を光学的に測定する。より具体的には、温度測定部50は、加熱した原料棒1もしくは溶融帯4の放射光を検出することにより、溶融帯4の温度を測定する。即ち、温度測定部50は、原料棒1にレーザ照射ヘッドからの加熱レーザ光3が照射するのと同時に溶融帯4の温度を測定できる。温度測定部50は、レンズ51、フィルタ52及び光検知器53を有する。
レンズ51は、温度測定の対象となる加熱領域を限定するために用いる。例えば、レンズ51は、温度測定の対象となる加熱領域を2mmφ以内の領域に限定する。
フィルタ52は、分光器若しくは光学フィルタを有し、加熱レーザ光3及び後述の照明光が光検知器53に入射するのを遮断する。なお、温度測定部50は、ピンホールを設けることにより、温度測定の領域の範囲を限定し、他からの光を遮断してもよい。
光検知器53は、レンズ51とフィルタ52とを介して入射した光を受光する。例えば、光検知器53は、InGaAsセンサを有する。InGaAsセンサは、遠赤外波長範囲に検出波長域を有するので、フィルタ52を通した後の光であっても、溶融帯4の温度を検出するのに十分な放射光を検出できる。また、InGaAsセンサは、原料棒1及び結晶棒2が黒体である場合、黒体からの輻射光に感度を有する。よって、光検知器53としては、InGaAsセンサが好適である。
また、光検知器53は、センサの出力電圧を、原料棒1又は結晶棒2の黒体からの輻射光に基づいて校正する。これにより、光検知器53は、センサの出力電圧から溶融帯4の温度に換算する。従来の共焦点楕円体反射鏡を用いた単結晶育成装置では、共焦点楕円体反射鏡が原料棒1を完全に覆うので、温度測定部50のようなレンズ51、フィルタ52及び光検知器53を備える光学測定系を設置できない。レーザ加熱方式の単結晶育成装置100では、温度測定部50を配置できることから、溶融帯4における狭い領域の温度を精度よく測定できる。このように、本例の温度測定部50は、従来の熱電対による温度測定とは全く異なる非接触方式の測定方法により、溶融帯4の温度を測定する。
溶融帯監視部54は、溶融帯4を撮影する。本例の溶融帯監視部54は、カメラ55及び偏光子回転装置56を備える。カメラ55は、溶融帯4の近傍の画像を取得する。偏光子回転装置56は、2つの偏光子からなり、溶融帯4からの放射光を偏光する。単結晶育成装置100は、溶融帯4の近傍の画像を取得することにより、単結晶の結晶性に応じて出力制御部70を制御してよい。
出力制御部70は、温度測定部50の測定した溶融帯4の温度に基づいて、加熱レーザ光3の照射強度を変化させる。また、出力制御部70は、溶融帯監視部54が取得した溶融帯4の映像に基づいて、加熱レーザ光3の照射強度を変化させてよい。一例では、出力制御部70は、PID(Proportional Integral Derivative)制御方式により溶融帯4の温度を制御する。PID制御とは、P(比例制御),I(積分制御),D(微分制御)の3つの要素に基づいて行う制御方式である。出力制御部70は、半導体レーザ装置120に供給する電力をPID制御して、加熱レーザ光3の照射強度を制御する。例えば、出力制御部70は、溶融帯4の温度が予め定められた温度よりも低い場合に、レーザ電源110の供給電力を大きくすることによって加熱レーザ光3の照射強度を大きくする。複数の半導体レーザ装置を制御する場合は、複数のレーザ電源の出力を制御することになる。半導体レーザ装置120からの半導体レーザ光5の強度は供給電力に対してほぼ線形であるが異なる関数形を有する。そのため、レーザ電源110とレーザ出力強度の関係を予め測定したデータをベースにして、複数台のレーザ電源110からの供給電力を決定する必要がある。また、この関数は加熱レーザ光3の使用経過時間とともに変化していく。即ち、複数の半導体レーザ装置を用いる場合、それぞれの半導体レーザ装置の出力を制御するには、大きな困難性を有し現実的でなかった。
一方、本明細書に開示した単結晶育成装置100は、1台のレーザ電源を制御すればよい。半導体レーザ光出力強度の供給電力との関数形は一つであるので、PID制御によればよい。また、半導体レーザ光の経時変化も定期的にモニターすればよい。PID制御によれば適当な制御パラメータの変更だけで済む。原料棒1や溶融帯4の温度を測定することにより加熱レーザ光3を容易に制御できる。さらに、出力制御部70は、原料棒1の形状、溶融帯4の温度、安定性、高さ、幅に応じて加熱レーザ光3の照射光形状のサイズを変更してよい。
[実施例1]
図4は、原料棒1としてSrBaCoZnFe11AlO22のY型フェライトの焼結棒を用いた場合の実測温度の時間依存性を示す。縦軸は原料棒1の温度(度)を示し、横軸は時間(時)を示す。半導体レーザ光5の波長は940nmである。1台の半導体電源からの供給電力により1台の波長940nmの半導体レーザ光5を照射する。1本の半導体レーザ光5はレーザ光分割装置130により5本に分割し5個のファイバに集光する。略四角形に成形されたファイバからの半導体レーザ光5は5個の照射ヘッドにより4mm×8mmのトップフラットの照射強度分布を有する5本の加熱レーザ光3を5方向から原料棒1に照射した。なお、原料棒1は20rpmで回転する。
図4で示した温度バラツキは、±1℃の温度範囲に収まっていることが分かる。回転する原料棒1の極めて小さい温度変動は以下の手順で実現する。半導体レーザ光5の照射形状ならびにトップフラットな照射光強度分布を用意する。半導体レーザ光5の照射形状を実現するために、参照レーザ光6で原料棒1における照射光形状が所望の半導体レーザ光5の照射形状となるようにレーザ照射ヘッドを調整する。参照レーザ光6は可視領域の波長をもった光なので、容易に照射光を調整できる。実施例1に用いた参照レーザ光6の波長は655nmで、1mWの出力強度である。
図5は、レーザ照射ヘッド21の構成の一例を示す。レーザ照射ヘッド21は、平行光生成部26及びレーザ集光部27を備える。
レーザ照射ヘッド21は、照射光形状が4mm×8mmの参照レーザ光6を出力する。本明細書において、レーザ光の照射光形状としてAmm×Bmmと記載する場合は、照射光形状の高さがAmmで、照射光形状の幅がBmmであることを指す。即ち、参照レーザ光6の照射光形状の高さは4mmであり、参照レーザ光6の照射光形状の幅は8mmである。本例の照射光形状の高さは4mmを選択したが、溶融帯4の粘性が低い場合は3mmを選択してもよい。レーザ照射ヘッド21は、参照レーザ光6を照射した高さ4mmの範囲の原料棒1を加熱する。なお、本例の参照レーザ光6は、トップフラットの照射光強度分布を有する。
平行光生成部26は、1枚の凸レンズからなりファイバ31からの参照レーザ光6を平行光に変換する。ファイバ31の出口形状は正四角形であり、ファイバ31での出口では2次元面の放射強度分布をもつ。周辺の環境のチリなどの付着を防止するために平行光生成部26の照射光出口は、透明保護ガラスでカバーする。平行光生成部26は、円筒状装置であり、円環形状の固定治具d1により光学台に固定する。
レーザ集光部27は、平行光生成部26からの正四角柱形状の平行光を所望のサイズの略四角形の照射光形状に変換する。レーザ集光部27は、水平軸及び垂直軸をもつシリンドリカルレンズ及び凸レンズを有する。シリンドリカルレンズは、曲面を有する断面と曲面を有さない断面を含む。シリンドリカルレンズを用いることにより、照射光形状の高さと幅の比を変更できる。レーザ集光部27の左右の入射口側と出口側は透明保護ガラスでカバーする。レーザ集光部27は円筒状装置であり、円環形状の固定治具d2により光学台に固定する。
図6は、実施例1に係るレーザ照射ヘッド21の参照レーザ光6の照射光形状の原料棒位置での写真を示す。図5に示した照射光学システムにより、参照レーザ光6は4mm×8mmの照射光形状が実現していることが分かる。周辺の円形状の広がりはレンズに塗布された積層多層膜の反射防止膜厚が加熱レーザ光3の赤外光の波長で最適化されていることによる。参照レーザ光6の可視領域の波長では多重反射が発生して四角形形状の周囲に散乱光を生じることによる。4mm×8mmの照射光形状で、参照レーザ光6の照射光強度分布もトップフラットな強度分布をもつようにシリンドリカルレンズを設計する。他の4個のレーザ照射ヘッドも参照レーザ光6を用いて、原料棒1の中心軸上に5本のビームの高さが一致するように、レーザ照射ヘッドの高さや向きを調整する。また、原料棒1の中心軸上に5本の参照レーザ光6の焦点が合うようにレンズ位置を調整する。このように、可視光である参照レーザ光6で、レーザ照射ヘッド21の配置やレンズ系を調整した後、赤外領域の波長をもつ加熱レーザ光3の照射形状や強度分布が所望の照射形状や強度分布であることを2次元赤外センサで確認する。この1対1対応の確認は1回実施すればよい。
図7に、実施例1に係る原料棒位置での加熱レーザ光3の2次元照射強度の2次元赤外センサでの実測例を示す。4mm×8mmの照射光形状が実現していることが分かる。加熱レーザ光3の照射強度Aは、破線で示した水平軸aにおける加熱レーザ光3の強度分布を示す。即ち、照射強度Aは、加熱レーザ光3の幅方向の強度分布を示す。一方、加熱レーザ光3の照射強度Bは、破線で示した垂直軸bにおける加熱レーザ光3の強度分布を示す。即ち、照射強度Bは、加熱レーザ光3の高さ方向の強度分布を示す。垂直軸bは原料棒1の中心軸と一致する。本例の計測結果から、加熱レーザ光3の端部が少し変形しているものの、大変よい四角形形状を有する。また、加熱レーザ光3の照射強度Aは、垂直軸b、水平軸aの切り口での照射光強度分布は台形状の照射光強度分布を示し、台形強度分布の上辺の照射強度のばらつきは、照射光強度の±5%以内に収まっている。ほぼ完全なトップフラットの照射光強度分布を示す。他の4個の照射ヘッドからの加熱レーザ光3の2次元照射強度分布を赤外センサでトップフラットな強度分布をもつことを確認する。
一度、可視光の参照レーザ光6と加熱レーザ光3との照射形状や強度分布の1対1対応の確認が取れれば、次からは参照レーザ光6での照射光形状や照射光強度分布を観測することにより、加熱レーザ光3の照射位置や照射強度も確認できる。つまり、2次元赤外センサによる加熱レーザ光3の観察を省略できる。よって、略四角形形状の変更に伴う5台の照射ヘッドの調整を大幅に削減できる。このようにして得られた5方向からのトップフラットの照射光強度分布は原料棒1の円周方向の加熱温度分布の高い均一性を実現する。この結果、照射温度の高い安定性を確保できる。
図8は、実施例1で用いられたレーザ光分割装置130の構成の一例を示す。本例のレーザ光分割装置130は、半導体レーザ装置120の出射した半導体レーザ光5を複数ので分割する。レーザ光分割装置130は、Y方向コリメータ131、X方向コリメータ132、減衰ミラー134、第1集光レンズ136、第2集光レンズ137及びハーフミラー139を備える。
レーザ光分割装置130は、半導体レーザ装置120の出射した半導体レーザ光5をY方向コリメータ131及びX方向コリメータ132に入射する。Y方向コリメータ131及びX方向コリメータ132は、半導体レーザ光5を平行なレーザ光に変換する。
ハーフミラー139は、Y方向コリメータ131及びX方向コリメータ132により変換した平行な半導体レーザ光5をM本に分割する。ハーフミラー139は、多層膜構造の反射膜を有する。これにより、ハーフミラー139は、入射した半導体レーザ光5の一部を予め定められた方向に曲げ、他の一部を透過させる。ハーフミラー139は、入射した半導体レーザ光5の進行方向に対して、ハーフミラー139の垂直軸が45度をなすように配置する。ハーフミラー139は、半導体レーザ光5を進行方向に対して左側に90度曲げる。本例のハーフミラー139は、ハーフミラー139a,139b,139c,139d,139eを有する。ハーフミラー139a,139b,139c,139d,139eの反射率は、それぞれ、半導体レーザ装置120に近いハーフミラー139から15%、18.4%、23.5%、32.8%、54%となる。
なお、本例の各ハーフミラー139の損失は3%である。この場合、5本に分割した半導体レーザ光5の反射強度は、15±0.1%内のほぼ等しい反射強度の半導体レーザ光5が得られる。
減衰ミラー134は、ハーフミラー139が反射した5本の半導体レーザ光5の反射強度を調整する。減衰ミラー134は、ハーフミラー139からの半導体レーザ光5の進行方向に対して減衰ミラー134の垂直軸が45度をなすように配置する。これにより、減衰ミラー134は、半導体レーザ光5の少なくとも一部をダンパ等に反射して、半導体レーザ光5の照射強度を減衰させる。なお、減衰ミラー134は、入射するM本の半導体レーザ光5と、減衰ミラー134の垂直軸との角度を変更することなく移動するために、アクチュエータ等の機構を備えてよい。減衰ミラー134がアクチュエータを備える場合、M本に分割された半導体レーザ光5のそれぞれの減衰率を自由に調整できる。そのため、M本に分割された半導体レーザ光5のレーザ光強度を均一となるように制御できる。本例の減衰ミラー134は、ハーフミラー139a,139b,139c,139d,139eに対応した減衰ミラー134a,134b,134c,134d,134eを有する。
第1集光レンズ136及び第2集光レンズ137は、減衰ミラー134により減衰した半導体レーザ光5を、集光してファイバ31,32,33,34,35に入射する。なお、半導体レーザ光5をファイバ31,32,33,34,35に集光するレンズは、最小数の2枚の集光レンズである第1集光レンズ136及び第2集光レンズ137で構成したが、それ以上の集光レンズの組み合わせであってもよい。
レーザ光分割装置130は、ハーフミラー139で構成しているが、反射ミラーで構成してもよい。また、レーザ光分割装置130は、プリズム形状の反射ミラーを使用してもよい。レーザ光分割装置130は、入射光を分割する分割ファイバを用いてもよい。また、レーザ光分割装置130は、これらの部品を組み合わせたレーザ光分割装置であってよい。実施例1における参照レーザ光6はレーザ光分割装置130を用いてM本の参照レーザ光6に分割される。参照光レーザ装置150は、参照レーザ光6を光路統合部155に入射する。例えば、参照光レーザ装置150は、YAGレーザ、He−Neレーザ等のレーザ装置である。
光路統合部155は、半導体レーザ光5及び参照レーザ光6の光路上に配置する。光路統合部155は、入射した半導体レーザ光5を通過させてレーザ光分割装置130に入射する。また、光路統合部155は、半導体レーザ光5と同一の光路となるように参照レーザ光6を反射する。なお、光路統合部155は、半導体レーザ光5を反射させ、参照レーザ光6を通過させるように配置してもよい。本例の光路統合部155は、一例としてハーフミラーを用いたが、その他の光学系を用いても半導体レーザ光5及び参照レーザ光6の光路を統合し得る。
参照レーザ光6は、レーザ光分割装置130により、M本の参照レーザ光6に分割して、M本のファイバに入射する。参照レーザ光6は、ファイバにより成形して、略四角形となる。また、参照レーザ光6は、M個の照射ヘッドにより半導体レーザ光5と同一の照射光形状となり原料棒1に照射する。原料棒1の代わりの観察用の厚紙、もしくは白色棒にて、参照レーザ光6の照射位置及び強度分布を確認してもよい。
さらに、溶融帯4の温度測定部50からの出力制御部70により長時間の温度揺らぎを制御する。出力制御部70はPID方式による制御信号を出力し、1台のレーザ電源110の出力を制御する。出力制御部70はPID方式を採用することにより温度感度を自由に調整できる。PID制御は最適感度や応答速度を自ら決定する機能を備えている。マニュアル制御モード、自動制御モードの切り替えも容易である。温度測定部50による測定温度の再現性は±0.2℃以内で実現している。温度測定部50による測定温度の高い再現性は、溶融帯4の温度を正確に制御するために重要である。実施例1に係る単結晶育成装置100は、溶融帯4の中心部における2mmφ以内の領域の温度が、数時間にわたって±1℃以内となるように制御できることを図4は示している。
光照射を使った浮遊溶融帯結晶作製方法において、結晶作製中に溶融帯温度をモニターしながら、その光照射強度を制御できることは結晶作製上極めて重要である。ハロゲンランプを用いた共焦点楕円体を使った従来タイプの浮遊溶融帯結晶作製方法では、共焦点楕円体反射鏡530が周囲を囲むため、溶融帯温度を観察できなかった(図30参照)。溶融帯状態とは溶融帯の幅が減少する、もしくは増大する、溶融帯状態が左右に揺らぎ不安定になるなどを指す。また、原料棒1の回転が不連続となるなども溶融帯温度が低下している証拠である。このような現象は溶融帯4が安定する温度領域の下限、もしくは上限近傍になって初めて観察される。本例の単結晶育成装置100は、溶融帯温度を±0.2℃以内の温度精度で検知できるので、溶融帯4が不安定になる前に溶融帯4の状態を検知できる敏感な検出方法を提供する。
実施例1によれば半導体レーザ光源を用いる新方式のレーザ加熱方式に関し、放射光を測定し、その測定出力により制御する方法は従来知られていなかった。5台もしくは7台などの多数の半導体レーザ電源を同時に制御しなければならなかったので、測定出力の制御の困難性が予想されたことにもよる。レーザ光分割装置130を有する実施例1では、1台のレーザ電源110を制御すればよいので、5個のレーザ照射ヘッドからの加熱レーザ光3を同時にPID方式などの精度の高い制御方式で制御可能となった。溶融帯4の出力制御部70は制御用に出力される。また、その結果は記録計に温度履歴として簡単に保存できる。結晶成長の初期段階では溶融帯4の温度が不安定なので、溶融帯4の温度をモニターしながら、マニュアルで半導体レーザ電源出力を制御する。レーザ電源110は1台なので、同時に5個の照射ヘッドからの加熱レーザ光3の照射強度を容易に制御できる。その後、比較的安定した段階で自動制御に切り替える。自動制御方式ではPID制御方式を用いてよい。出力制御部70は、溶融帯4の温度を数日から数週間の成長時間において温度を一定に保つように、レーザ電源110を制御する。自動制御運転では、温度上限設定をすることが重要である。なんらかの原因で溶融帯4の液だれなどが発生し、滴下してしまう場合がある。このような場合、温度が急激に低温化したと判断し、半導体レーザ光5の照射強度を増加するべくレーザ電源110の出力を増加させない緊急遮断処置を備わっていることが重要である。
以上の実施例から分かるように、単結晶育成装置100は、原料棒1の加熱中に溶融帯4の中心部における2mmφの小さな領域の温度を正確に測定する。即ち、単結晶育成装置100は、溶融帯4を結晶相図に示した所望温度に正確に加熱できる。特に、溶媒移動浮遊帯域法(TSFZ:Transfer Solevent Floating Zone)法を用いる場合に効果が高い。
TSFZ法は、成長させる結晶とは異なる成分のフラックス材料を用いる結晶作成法である。TSFZ法による結晶成長速度は、単位時間あたり0.5mm程度である。そのため、TSFZ法では、10cmの結晶を成長させるのにおよそ200時間(約9日)かかる。単結晶育成装置100は、溶融帯4の安定温度を知ることにより溶融帯4のフラックス成分濃度を結晶成長中に判定できる。例えば、単結晶育成装置100は、溶融帯4の温度が上昇していれば、溶融帯4のフラックス濃度が一方に偏っていることが分かる。溶融帯4のフラックス濃度の偏りから、成長継続可能時間を推定できる。成長継続可能時間の推定は、TSFZ法のような長時間の成長時間を要する結晶成長法において特に重要である。また、溶融帯4のフラックス濃度の偏りに基づいて、フラックス濃度を予め調整することもできる。ひとたび溶融帯組成と溶融温度との関係がわかれば、適切な溶融帯温度を決定できる。この溶融温度を保つように実測した温度により、加熱レーザ光3の強度を制御すれば数日間におよぶ結晶成長を安定に保持できる。
また、単結晶育成装置100は、溶融帯4の温度を加熱中に実測することにより、原料棒1の融点を溶融温度直前で知ることができる。原料棒1が溶解するに至るには溶解熱が必要である。そのため、加熱レーザ光3の強度を徐々に上昇しても、原料棒1の温度がそれに伴い上昇しない温度領域が発生する。単結晶育成装置100は、原料棒1の実際の温度を検知できるので、原料棒1の溶解熱現象を把握できる。単結晶育成装置100は、原料棒1の溶融温度に近い温度まで加熱していることが事前にわかるので、原料棒1が溶融する段階で加熱レーザ光3の強度を慎重に制御すればよい。原料棒1の溶解熱現象を把握することは、新規材料や未知の材料の融点温度を正確に把握する上で重要である。即ち、単結晶育成装置100は、結晶相図の温度が不正確な場合であっても、原料棒1を溶融し任意の温度で単結晶を育成できる。
[実施例2]
図9は、原料棒1の温度(度)と照射光強度(W)との関係を示す。本例の単結晶育成装置100は、5台のレーザ照射ヘッド21,22,23,24,25により原料棒1を加熱する。原料棒1の材料はPrCaMnO(PCMO)であり、融点温度が2000℃以上黒色の材料である。加熱レーザ光3の波長は940nmである。
照射光強度は、原料棒1の加熱温度及び照射光形状の大きさに応じて決定する。本例の測定結果から、照射光形状が4mm×8mmの場合、原料棒1を1000℃に加熱するには、1台あたり10W以上の照射光強度が必要である。原料棒1を1500℃に加熱するには、1台あたり25W以上の照射光強度が必要である。原料棒1を2000℃以上に加熱するには、1台あたり70W以上の照射光強度が必要である。以上より、黒色材料の原料棒1を2000℃程度の温度に加熱するためには、照射光形状が4mm×8mmの場合で、1台あたり70W以上の照射光強度が必要である。
原料棒1に一般的に用いられる材料では、2000℃程度に加熱すれば、単結晶を育成するのに十分である。したがって、単結晶育成装置100は5台の照射光を使う場合、1台あたり70W以上あれば、黒体材料の加熱溶融には十分である。なお、照射光面積が大きければ、より大きな出力の加熱レーザ光3が必要である。したがって、原料棒1を2000℃以上に加熱するには、単位面積で2.2W/mm以上の加熱レーザ光3の出力がそれぞれ必要である。
[実施例3]
図10(a)〜(d)は、レーザ照射ヘッド21の構成例を示す。図10(a)〜(d)は、レーザ照射ヘッド21が照射する加熱レーザ光3の照射光形状及びその大きさがそれぞれ異なる。但し、それぞれのレーザ照射ヘッド21は、共通の固定治具d1及びd2を使用してよい。図10(b)は、4mm×8mmの照射光形状を生成するレーザ照射ヘッド21の構成例を示す。図10(b)は、図5に示したレーザ照射ヘッド21と同一である。なお、加熱レーザ光3の照射光形状は、照射光形状の幅が7mm以上20mm未満で、且つ、高さが3mm以上20mm未満であってもよい。
図10(a)は、3mm×8mmの照射光形状を生成するレーザ照射ヘッド21の構成例を示す。本例のレーザ集光部27は、実施例1のレーザ集光部27における縦方向のシリンドリカルレンズよりも、焦点距離を小さくしたシリンドリカルレンズを有する。これにより、本例の照射光形状は、実施例1に対して、高さを4mmから3mmに小さくしている。
図11は、3mm×8mmの略四角形照射光の強度の2次元赤外センサによる実測結果を示す。加熱レーザ光3の照射強度Cは、破線cにおける加熱レーザ光3の幅方向の強度分布を示す。一方、加熱レーザ光3の照射強度Dは、破線dにおける加熱レーザ光3の高さ方向の強度分布を示す。本例の計測結果は、加熱レーザ光3が、3mm×8mmの照射光形状を有し、トップフラットの照射強度分布を有することを示す。台形状の強度分布の上辺の照射光強度のばらつきは、照射光強度の±5%内に収まっている。
[実施例4]
図10(c)は、10mm×10mmの照射光形状を生成するレーザ照射ヘッド21の構成例を示す。本例では、照射光形状の高さと幅とが等しい。レーザ集光部27は、凸レンズを用いて正方形の照射光形状を容易に実現できる。この場合も、レーザ集光部27は、固定治具d2により固定する。
図12は、10mm×10mmの略四角形照射光の強度の2次元赤外センサによる実測結果を示す。加熱レーザ光3の照射強度Eは、破線eにおける加熱レーザ光3の幅方向の強度分布を示す。一方、加熱レーザ光3の照射強度Fは、破線fにおける加熱レーザ光3の高さ方向の強度分布を示す。本例の計測結果は、加熱レーザ光3が、10mm×10mmの照射光形状を有し、トップフラットの照射強度分布を有することを示す。トップの照射光強度のばらつきは、照射光強度の±5%内に収まっている。本例のレーザ照射ヘッド21は、原料棒1の直径が8mm程度の比較的太い場合に用いる。ここで、原料棒1が大きくなると、溶融帯4の長さも大きくとる必要がある場合が多い。また、原料棒1の直径が大きくなると原料棒1と結晶棒2の固体相がぶつかる可能性がある。よって、本例の照射光形状は、幅を10mmと大きくするのに加えて、高さも10mmと大きくしている。
[実施例5]
図10(d)は、15mm×15mmの照射光形状を生成するレーザ照射ヘッド21の構成例を示す。本例のレーザ集光部27は、実施例3の場合と同様に、凸レンズを用いて正方形の照射光形状を容易に実現できる。この場合も、レーザ集光部27は、固定治具d2により固定する。
図13は、15mm×15mmの略四角形照射光の強度の2次元赤外センサによる実測結果を示す。加熱レーザ光3の照射強度Gは、破線gにおける加熱レーザ光3の幅方向の強度分布を示す。一方、加熱レーザ光3の照射強度Hは、破線hにおける加熱レーザ光3の高さ方向の強度分布を示す。本例の計測結果は、加熱レーザ光3が、15mm×15mmの照射光形状を有し、トップフラットの照射強度分布を有することを示す。トップの照射光強度のばらつきは、照射光強度の±5%内に収まっている。本例のレーザ照射ヘッド21は、原料棒1の直径が実施例3の場合よりもさらに太い場合であっても対応できる。
[実施例6]
図14(a)〜(c)は、レーザ照射ヘッド21の構成例を示す。本例のレーザ照射ヘッド21は、出口側レンズ28を有し、照射光形状の幅を一定として高さを変更する。図14(a)は、3mm×10mmの照射光形状を生成するレーザ照射ヘッド21の構成例を示す。図14(b)は、5mm×10mmの照射光形状を生成するレーザ照射ヘッド21の構成例を示す。図14(c)は、10mm×10mmの照射光形状を生成するレーザ照射ヘッド21の構成例を示す。
出口側レンズ28は、ファイバ31からの半導体レーザ光に基づいて、任意の照射光形状を有する加熱レーザ光3を生成する。出口側レンズ28は、レーザ集光部27において、加熱レーザ光3の進行方向に対して前後に移動する。出口側レンズ28の移動は、レーザ照射ヘッド21が備えたアクチュエータ等により行う。これにより、レーザ照射ヘッド21は、加熱レーザ光3の照射光形状の幅を一定としたまま、高さを変更する。例えば、レーザ照射ヘッド21は、出口側レンズ28から照射光形状の位置までの距離をDaとすることにより、照射光形状を3mm×10mmとする。また、レーザ照射ヘッド21は、出口側レンズ28から照射光形状の位置までの距離をDbとすることにより、照射光形状を5mm×10mmとする。さらに、レーザ照射ヘッド21は、出口側レンズ28から照射光形状の位置までの距離をDcとすることにより、照射光形状を10mm×10mmとする。本例のDa,Db,Dcは、Da<Db<Dcの関係を有する。ここでは照射光形状の幅が10mmの場合を説明したが、照射光形状の幅が8mmや15mmの場合も同様に照射光形状の幅を固定して高さを変更することができる。なお、レーザ集光部27は、レンズ位置を制御する回転機構をもったギアを有し、外部からパルスモータで制御してよい。これにより単結晶育成装置100は、溶融帯4の状態及び照射温度に基づいて、加熱レーザ光3を照射しながら、照射光形状を制御できる。
以上の通り、レーザ照射ヘッド21は、出口側レンズ28の位置を調整することにより、加熱レーザ光3の照射光形状の大きさを自由に変更する。また、加熱レーザ光3の照射光形状の大きさは、溶融帯4の温度を制御する1つの指標となる。即ち、レーザ照射ヘッド21は、加熱レーザ光3の照射強度を自在に変更することにより、溶融帯4の温度を制御できる。
[実施例7]
図15は、実施例7に係る単結晶育成装置100の構成例を示す。本例の単結晶育成装置100は、照明部60をさらに備える。
照明部60は、溶融帯4近傍の原料棒1及び結晶棒2に照明用の光を照射する。例えば、照明用の光は、ハロゲンランプ又は半導体ダイオードからの光である。照明部60の配置位置は、原料棒1に照射する加熱レーザ光3の光路を邪魔しない位置であればよい。本例の照明部60は、レーザ照射ヘッド22とダンパ42との間に配置する。一方、従来の共焦点楕円体反射鏡を用いた単結晶育成装置では、共焦点楕円体反射鏡が原料棒1の左右に配置してあるので、照明部60を原料棒1の近傍に配置できない。
図16(a)は、原料棒1の加熱時に照射光がない場合の溶融帯4近傍の写真を示す。溶融帯4は加熱により発光しているので、照明光がなくとも観察できる。しかし、溶融帯4の上下の原料棒1及び結晶棒2は暗く観察できない。また、溶融帯4からの発光が強い場合、観察カメラの絞りを強めてカメラのセンサを保護する必要がある。その結果、結晶成長中の原料棒1や成長した単結晶の観察像が暗くなり観察ができない。
図16(b)は、高輝度ダイオード光を照射した場合の溶融帯4近傍の写真である。本例では、照明部60から溶融帯4の近傍の原料棒1及び結晶棒2に高輝度ダイオード光を照射する。溶融帯4の発光強度が強いので、高輝度ダイオード照明を使用してよい。これにより、溶融帯4が高温状態になっても、カメラのセンサを保護するとともに溶融帯4近傍を観察できる。溶融帯4近傍の観察により、育成した単結晶の結晶面の観察ができる。
結晶面の観察写真は、原料棒1が加熱により単結晶化していることを示す。結晶面が観察されない場合、原料棒1が加熱により単結晶化していない可能性が高い。また、結晶面が斜め方向に成長する場合、又は結晶面が交わった面をもつ場合は、単結晶ではなくツイン構造をもった結晶が成長している。この場合、単結晶育成装置100は、一度溶融帯4の半径を小さくして、成長結晶の直径を絞りこむネッキングプロセスなどを実施する必要がある。結晶面によっては複数回のネッキングプロセスが必要な場合もある。したがって、原料棒1の加熱後に、単結晶の成長面が規則正しく成長していることを確認することが重要である。
[実施例8]
図17は、化学式A1222のY型フェライト単結晶棒の写真である。化学式A1222のY型フェライト単結晶棒は、5台のレーザ照射ヘッドを有する単結晶育成装置100により育成する。本例の育成条件は、実施例1と同様に酸素9.9気圧下である。また、成長速度は、時間当たり1mmである。
化学式A1222のY型フェライト単結晶棒において、AはBa、Sr、Sc、Pb元素の少なくとも1つを含む。BはCo、Zn、Cu、Cd、Ni、Mg元素の少なくとも1つを含む。CはFeを主成分としてAl、Ga若しくはMn元素を含む。写真の単結晶棒は、化学式(Ba1−xSrCoFe12−yAl22、0≦x≦1、0≦y≦1であり、x=0.5、y=1の場合である。単結晶棒の右端部は劈開面が観察されており、単結晶棒が良質な結晶であることを示している。
本例のY型フェライト材料は、融点付近で分解する。ハロゲンランプを用いた単結晶育成装置では、溶融帯4と単結晶との界面の温度を峻別できないので、Y型フェライト単結晶を育成できない。一方、加熱レーザ光3を用いた単結晶育成装置100は、溶融帯4と単結晶との界面の温度を峻別できる。溶融帯4では結晶組成と異なる分解溶液であっても、下部に所望の結晶相がある場合は、下部結晶組成と同じ結晶組成でエピタキシャル成長することができる。これにより、単結晶育成装置100は、浮遊溶融帯方式による大型のY型フェライト単結晶の育成を実現する。
[実施例9]
図18は、化学式AB1627のW型フェライト単結晶棒の写真である。化学式AB1627のW型フェライト単結晶棒は、5台のレーザ照射ヘッドを有する単結晶育成装置100により育成する。育成条件は、実施例1と同様に酸素9.9気圧下である。また、成長速度は、時間当たり1mmである。
化学式AB1627のW型フェライト単結晶棒において、AはBa、Sr、Sc、Pb元素の少なくとも1つを含む。BはCo、Zn、Cu、Cd、Ni、Mg元素の少なくとも1つを含む。CはFeを主成分としてAl、Ga若しくはMn元素を含む。写真の単結晶棒は、化学式Ba1−xSrCoFe16−yAl22、0≦x≦1、0≦y≦1でありx=0、y=0の場合である。単結晶棒の表面の強い反射光は結晶側面がすぐれた鏡面状態で、特定の結晶面であることを示している。このような綺麗な反射面をもつ結晶は良質の単結晶であることを示している。
本例のW型フェライト材料は、融点付近で分解する。ハロゲンランプを用いた単結晶育成装置では、溶融帯4と単結晶との界面の温度を峻別できないので、W型フェライト単結晶を育成できない。一方、加熱レーザ光3を用いた単結晶育成装置100は、溶融帯4と単結晶との界面の温度を峻別できる。溶融帯4では結晶組成と異なる分解溶液であっても、下部に所望の結晶相がある場合は、下部結晶組成と同じ結晶組成でエピタキシャル成長することができる。これにより、単結晶育成装置100は、浮遊溶融帯方式による大型のW型フェライト単結晶の育成を実現する。
[実施例10]
図19は、化学式A2441のZ型フェライト単結晶棒の写真である。化学式A2441のZ型フェライト単結晶棒は、5台のレーザ照射ヘッドを有する単結晶育成装置100により育成する。育成条件は、実施例1と同様に酸素9.9気圧下である。また、成長速度は、時間当たり1mmである。
化学式A2441のZ型フェライト単結晶棒において、Aは、Ba、Sr、Sc、Pb元素の少なくとも1つを含む。BはCo、Zn、Cu、Cd、Ni、Mg元素の少なくとも1つを含む。CはFeを主成分としてAl、Ga若しくはMn元素を含む。写真の単結晶棒は、化学式(Ba1−xSrCoFe24−yAl41、0≦x≦1、0≦y≦1でありx=0、y=0の場合である。単結晶棒の右端部はきれいな劈開面を示しており、良質な単結晶が得られていることを示している。
本例のZ型フェライト材料は、融点付近で分解する。ハロゲンランプを用いた単結晶育成装置では、溶融帯4と単結晶との界面の温度を峻別できないので、Z型フェライト単結晶を育成できない。一方、加熱レーザ光3を用いた単結晶育成装置100は、溶融帯4と単結晶との界面の温度を峻別できる。溶融帯4では結晶組成と異なる分解溶液であっても、下部に所望の結晶相がある場合は、下部結晶組成と同じ結晶組成でエピタキシャル成長することができる。これにより、単結晶育成装置100は、浮遊溶融帯方式による大型のZ型フェライト単結晶の育成を実現する。
実施例8〜10は、加熱レーザ光3を照射光源に用いた場合、溶融液が分解溶融するような材料においても、大型単結晶が得られることを実証している。これは、加熱レーザ光3を用いて原料棒1を加熱すると、溶融帯4と単結晶との界面において鋭く温度勾配を持った加熱が可能であることによる。即ち、単結晶面に溶融液が覆いかぶさることが発生しない。よって、本例の単結晶育成装置100は、溶融帯4と単結晶との界面における鋭い温度勾配を形成することにより、Y型、W型及びZ型フェライト材料の単結晶棒を育成できる。その他の材料に関しても、単結晶育成装置100は、従来の共焦点楕円体反射鏡を用いた単結晶育成装置では育成できなかった材料の単結晶を育成するポテンシャルを有する。
図20は、溶融帯監視部54の構成の一例を示す。また、図21(a)及び図21(b)は、偏光子回転装置56のより詳細な図を示す。本例の偏光子回転装置56は、固定偏光子57、回転偏光子58及び偏光子回転部59を有する。
固定偏光子57は、カメラ55に対する偏光軸を固定して配置する。一方、回転偏光子58は、カメラ55に対する偏光軸を偏光子回転部59によって回転することができる。偏光子回転部59は、アクチュエータ等の回転偏光子58を回転させる機構を備えてよい。例えば、偏光子回転部59は、外部から入力された偏光子回転用パルスに応じて回転偏光子58の偏光軸を回転させる。より具体的には、偏光子回転部59は、固定偏光子57の偏向方向と、回転偏光子58の偏光方向とをクロスすることにより、加熱レーザ光3の透過率をゼロにする。また、偏光子回転部59は、回転偏光子58の偏光方向を徐々に回転させることにより、加熱レーザ光3の透過率を調整できる。
図22は、レーザ照射ヘッド21の構成の一例を示す。レーザ照射ヘッド21は、反射鏡29を備える。
反射鏡29は、加熱レーザ光3を反射することにより、結晶棒2を加熱する反射鏡である。例えば、反射鏡29は、加熱レーザ光3を拡げる凹面鏡である。凹面鏡を回転することにより、結晶棒2の加熱範囲を広げることができる。即ち、反射鏡29を用いて加熱レーザ光3の照射範囲を広げることにより、溶融帯4と結晶棒領域の急峻な温度勾配を緩和できる。この結果、結晶棒2にクラックが入りにくくなる。したがって、単結晶育成装置100は、結晶棒2の材料がクラックの入りやすい材料である場合に有効である。但し、反射鏡29を用いる場合、反射鏡29を用いない場合よりも溶融帯4の温度が低下する。そのため、単結晶育成装置100は、使用する原料棒1の材料によって、反射鏡29の回転角度を調節してよい。また、単結晶育成装置100は、加熱レーザ光3の照射中に反射鏡29の角度を調節する機構を有してよい。
図23は、レーザ照射ヘッド21の構成の一例を示す。レーザ照射ヘッド21は、出口側レンズ28を備える。
出口側レンズ28は、凹シリンドリカルレンズで構成する。出口側レンズ28は、入射した加熱レーザ光3を拡大する。出口側レンズ28は、トップフラットの照射光強度分布を釣鐘型強度分布に変換する。
釣鐘型強度分布は、照射光形状の中央付近にピークを有するガウス形状の照射光強度分布である。つまり、釣鐘型強度分布は、急峻なトップフラットの強度分布を緩和した強度分布である。釣鐘型強度分布では、照射光強度分布を緩和することにより、結晶棒2にクラックが入りにくくなる。したがって、単結晶育成装置100は、結晶棒2の材料がクラックの入りやすい材料である場合に本例の出口側レンズ28を用いてよい。
図24は、補助加熱部80を備える単結晶育成装置100の構成の一例を示す。図25は、補助加熱部80の上面図の一例を示す。
補助加熱部80は、溶融帯4の近傍の領域を補助的に加熱する。補助加熱部80は、原料棒1を挟んで配置した1組のハロゲンランプ81及び反射鏡82を有する。補助加熱部80は、反射鏡82の焦点位置にハロゲンランプ81を配置する。反射鏡82は、ハロゲンランプ81が発した赤外線を原料棒1に照射する。例えば、補助加熱部80は、溶融帯4の近傍に赤外線を照射することにより、原料棒1の温度を1000℃以上に容易に加熱できる。これにより、本例の単結晶育成装置100は、熱ひずみによるクラックが発生しやすい材料であっても、クラックフリーの単結晶棒を得ることができる。なお、補助加熱部80は、原料棒1を挟んで配置した複数の組のハロゲンランプ81及び反射鏡82を有してもよい。
図26は、溶融帯4近傍における温度の一例を示す。横軸は溶融帯4の高さ方向の位置(mm)を示し、縦軸は溶融帯4の温度(℃)を示す。本例の単結晶育成装置100は、補助加熱部80を用いることにより、溶融帯4の温度を均一に制御する。
測定位置の中心(0mm)は、溶融帯4の高さ方向の中心位置を示す。溶融帯4の中心位置における温度は1000℃を超える。また、溶融帯4の温度は、溶融帯4の中心を最高温度に、溶融帯4の中心から離れるに従い線形的に減少する。溶融帯4の温度分布は、図26に示すような釣鐘分布状となることが好ましい。本例では、溶融帯4の中心から±10mmの範囲に補助加熱部80からの赤外線を照射する。
図27は、補助加熱部80を備える単結晶育成装置100の構成の一例を示す。本例の補助加熱部80は、1組の線状ランプ83及び凹面鏡84を備える。また、補助加熱部80は、複数の組の線状ランプ83及び凹面鏡84を備えてもよい。
線状ランプ83は、複数のハロゲンランプを有し、均一な強度で赤外線を照射する。線状ランプ83は、凹面鏡84の焦点位置に配置する。本例の線状ランプ83は、ハロゲンランプを用いるが、水銀ランプであってもよい。
凹面鏡84は、線状ランプ83が発した赤外線を原料棒1に直線状に反射する。直線状に反射するとは、原料棒1の高さ方向に均一に線状ランプ83の発した赤外線を反射することを指す。凹面鏡84は、原料棒1の中心軸上に、直線状の焦点を有し、且つ、原料棒1の中心軸に垂直な面において凹面鏡形状を有する。凹面鏡84の形状は半円筒形状であってよい。
本例の補助加熱部80は、図24に示した場合よりも、原料棒1に赤外線を照射する領域を広げることができる。本例の補助加熱部80は、溶融帯4よりも結晶棒2側の領域を加熱する。補助加熱部80の照射領域は、原料棒1の溶融帯4の中心から0〜10cm以上の範囲としてよい。これにより、本例の補助加熱部80は、原料棒1の温度を1000℃以上に加熱しつつ、熱ひずみによるクラックをさらに低減できる。なお、補助加熱部80は、溶融帯4よりも原料棒1側の領域を加熱してもよい。
図28は、磁場印加部を備える単結晶育成装置100の構成例を示す。本例の磁場印加部は、コイルC及びDC電源90を備える。
コイルCは、DC電源90からの直流電流に応じて、コイルC内に磁場を発生させる。コイルCは、原料棒1及び結晶棒2をコイルC内に含むように配置する。但し、加熱レーザ光3がコイルCを照射しないようにコイルCの位置を調整する。これにより、原料棒1、溶融帯4及び単結晶部位に磁場を印加できる。コイルC内に発生した磁場は、溶融帯4に対流の影響を与える。また、本例の単結晶育成装置100は、磁性を有する単結晶の育成時に、元素がもつ磁気モーメントの制御に利用し得る。例えば、磁性材料を高温下で印加することによって、磁気モーメントを一方向に揃える。その後、結晶棒を冷却しても磁気モーメントは所定の方向に揃った単結晶棒をえることができる。このように、単結晶育成装置100は、磁場の印加と高温化での浮遊溶融帯方式とを組み合わせることにより、新たな磁気相を有する磁性体結晶を製造し得る。
図29は、高周波印加部を備える単結晶育成装置100の構成例を示す。本例の磁場印加部は、コイルC及びAC電源95を備える。
コイルCは、AC電源95からの交流電流に応じて、コイルC内に高周波を印加する。コイルCは、原料棒1及び結晶棒2をコイルC内に含むように配置する。但し、加熱レーザ光3がコイルCを照射しないようにコイルCの位置を調整する。これにより、原料棒1、溶融帯4及び単結晶部位に高周波を印加できる。
高周波の印加は、高周波そのものが原料棒1内の電子を振動させて原料棒1を直接加熱する。特に原料棒1の材料が金属材料の場合に高周波による加熱の効果が顕著である。これにより、本例の単結晶育成装置100は、原料棒1と溶融帯4の温度状態を厳密に峻別しながら、加熱レーザ光3による加熱と個別に温度を制御できる。本例の単結晶育成装置100は、温度の制御性が高いので、金属単結晶の育成に関して詳細に物理的解析できる。物理的解析を詳細にすることは、特に複雑な合金相を有する材料の場合に有効である。
本明細書に開示したレーザ光を用いた単結晶育成装置100は下記の特徴を有する。
1.単結晶育成装置100は、1台のレーザ電源と1台の加熱レーザ光源とM個の照射光に分割するレーザ光分割装置からなり、M個の照射ヘッドから略四角形形状の照射光強度分布を有する照射光を照射する。さらに1台の参照レーザ光源を有し、加熱レーザと同様にレーザ分割装置でM本の参照レーザ光に分割し、M個照射ヘッドから加熱レーザと同じ略四角形形状ならびに照射光強度分布を有する参照光を照射する。可視領域の参照レーザ光で加熱レーザの略四角形形状ならびに照射光強度分布を容易に且つ安全に調整できる。
2.単結晶育成装置100は、1台のレーザ電源と1台のレーザ光源とM個の照射光に分割するレーザ光分割装置からなり、M個の照射ヘッドから略四角形形状の照射光強度分布を有する照射光を照射し、温度測定部50が直接測定した原料棒1の加熱部位、及び溶融帯4等の温度をフィードバックして、出力制御部70により1台のレーザ電源の出力を制御し、原料棒1の加熱温度を制御する。即ち、単結晶育成装置100は、溶融帯4の温度を所望の温度に容易に設定でき、加熱温度を長時間安定、且つ、精度よく制御できる。
3.単結晶育成装置100は、溶融帯4の状態や温度により、自由に略四角形の照射形状や照射光強度分布をトップフラットな形状から釣鐘型照射光形状の強度分布に制御できる。
4.単結晶育成装置100は、溶融帯4の上下に照射用高輝度ダイオード光を照射し、溶融帯4に近接した原料棒1及び単結晶表面を観察できる。これにより、単結晶育成装置100は、原料棒1への溶融材料の吸い込み現象の観察や、結晶棒2の結晶面の成長を確認できる。
5.単結晶育成装置100は、原結晶成長時の温度の急冷が適さない材料の場合、原料棒1の溶融帯4に外部から赤外線加熱して結晶性を向上できる。
6.単結晶育成装置100は、操作者がレーザ光に暴露されることなく、単結晶育成中に偏光子回転装置56を制御できる。
7.単結晶育成装置100は、磁場又は高周波を印加するためのコイル電線を配置できる。
以上の通り、単結晶育成装置100は、加熱レーザ光3による原料棒1の加熱と並行して、単結晶棒の制御に必要な機能を自由に付加することができる。このような構成により、単結晶育成装置100は、溶融部で原料が分解溶融状態となるY型、W型、Z型のフェライト結晶を得ることができる。
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
1・・・原料棒、2・・・結晶棒、3・・・加熱レーザ光、4・・・溶融帯、5・・・半導体レーザ光、6・・・参照レーザ光、10・・・石英管、11・・・原料棒保持部、12・・・単結晶保持部、21・・・レーザ照射ヘッド、22・・・レーザ照射ヘッド、23・・・レーザ照射ヘッド、24・・・レーザ照射ヘッド、25・・・レーザ照射ヘッド、26・・・平行光生成部、27・・・レーザ集光部、28・・・出口側レンズ、29・・・反射鏡、31・・・ファイバ、32・・・ファイバ、33・・・ファイバ、34・・・ファイバ、35・・・ファイバ、41・・・ダンパ、42・・・ダンパ、43・・・ダンパ、44・・・ダンパ、45・・・ダンパ、50・・・温度測定部、51・・・レンズ、52・・・フィルタ、53・・・光検知器、54・・・溶融帯監視部、55・・・カメラ、56・・・偏光子回転装置、57・・・固定偏光子、58・・・回転偏光子、59・・・偏光子回転部、60・・・照明部、70・・・出力制御部、80・・・補助加熱部、81・・・ハロゲンランプ、82・・・反射鏡、83・・・線状ランプ、84・・・凹面鏡、90・・・DC電源、95・・・AC電源、100・・・単結晶育成装置、500・・・単結晶育成装置、501・・・原料棒、510・・・石英管、520・・・ハロゲンランプ、530・・・共焦点楕円体反射鏡、110・・・レーザ電源、120・・・半導体レーザ装置、130・・・レーザ光分割装置、131・・・Y方向コリメータ、132・・・X方向コリメータ、134・・・減衰ミラー、136・・・第1集光レンズ、137・・・第2集光レンズ、139・・・ハーフミラー、140・・・光学台、150・・・参照光レーザ装置、155・・・光路統合部

Claims (32)

  1. M本の加熱レーザ光を用いる単結晶育成装置において、
    1台の半導体レーザ電源と、
    前記1台の半導体レーザ電源が供給した電力に基づいて、1本の半導体レーザ光を出射する1台の半導体レーザ装置と、
    前記1本の半導体レーザ光をM本の加熱レーザ光に分割するレーザ光分割装置と、
    原料棒の中心軸を中心として、前記M本の加熱レーザ光を略四角形の照射光形状で前記原料棒に放射状に照射するM個のレーザ照射ヘッドと、
    前記原料棒に可視光の参照レーザ光を照射する1台の参照光レーザ装置と、
    前記レーザ光分割装置へ前記参照レーザ光を前記半導体レーザ光と同一光路に導く光路統合部と、
    前記原料棒の温度を測定する温度測定部と、
    前記原料棒の温度に基づいて、前記M本の加熱レーザ光の出力を制御する出力制御部と
    を備える単結晶育成装置。
  2. 前記温度測定部は、前記M本の加熱レーザ光の前記原料棒への照射時に、光学的に前記原料棒の温度を測定する
    請求項1に記載の単結晶育成装置。
  3. 前記温度測定部は、
    前記原料棒からの放射光を集光するレンズと、
    前記M本の加熱レーザ光の前記温度測定部への照射を遮断するレーザ遮断部と、
    前記放射光を検知する光強度検知器と
    を有する
    請求項1又は2に記載の単結晶育成装置。
  4. 前記温度測定部は、前記原料棒において、前記M本の加熱レーザ光の照射領域の少なくとも一部の領域の温度を測定する請求項1から3のいずれか一項に記載の単結晶育成装置。
  5. 前記温度測定部は、温度測定の領域の範囲を限定するためのピンホールを有する
    請求項4に記載の単結晶育成装置。
  6. 前記出力制御部は、前記原料棒の温度変化に応じて、前記M本の加熱レーザ光の出力を制御し、前記M本の加熱レーザ光の照射強度を制御する
    請求項1から5のいずれか一項に記載の単結晶育成装置。
  7. 前記出力制御部は、PID制御方式で前記M本の加熱レーザ光の出力を制御し、前記M本の加熱レーザ光の照射強度を制御する
    請求項1から6のいずれか一項に記載の単結晶育成装置。
  8. 前記出力制御部は、前記原料棒の温度が予め定められた温度以下となるように前記M本の加熱レーザ光の照射強度を制御し、前記原料棒の温度が予め定められた温度を超えた場合に、前記M本の加熱レーザ光の出力を遮断
    請求項1から7のいずれか一項に記載の単結晶育成装置。
  9. 前記M個のレーザ照射ヘッドは、前記中心軸に対して放射状で、且つ、等間隔に略四角形の照射光形状を有するM本の加熱レーザ光を照射するように配置する
    請求項1から8のいずれか一項に記載の単結晶育成装置。
  10. 前記M個のレーザ照射ヘッドは、前記加熱レーザ光における略四角形の照射光形状を可変にする
    請求項1から9のいずれか一項に記載の単結晶育成装置。
  11. 前記M個のレーザ照射ヘッドは、
    前記加熱レーザ光を照射する照射口側に出口側レンズを有し、
    前記出口側レンズの位置を可変にすることにより、前記加熱レーザ光の略四角形の照射光形状を変更する
    請求項1から10のいずれか一項に記載の単結晶育成装置。
  12. 前記M個のレーザ照射ヘッドは、
    前記照射光形状の幅を固定し、前記照射光形状の高さを変更する
    請求項11に記載の単結晶育成装置。
  13. 前記M個のレーザ照射ヘッドは、
    前記加熱レーザ光の前記照射光形状の幅を7mm以上20mm未満の範囲で変更し、且つ、前記略四角形の照射光形状の高さを3mm以上20mm未満の範囲で変更する
    請求項11又は12に記載の単結晶育成装置。
  14. 前記M個のレーザ照射ヘッドは、トップフラットな照射強度分布を有する加熱レーザ光を出力する
    請求項1から13のいずれか一項に記載の単結晶育成装置。
  15. 前記原料棒は、柱状形状であり、
    前記M個のレーザ照射ヘッドの個数は5であり、
    当該レーザ照射ヘッドからの照射光強度は2.2W/mm以上の照射光強度を有する
    請求項1から14のいずれか一項に記載の単結晶育成装置。
  16. 前記M個のレーザ照射ヘッドは、
    前記加熱レーザ光を照射する照射口側に配置した反射鏡を有し、
    前記反射鏡は、前記M本の加熱レーザ光の少なくとも一部を結晶棒に照射するように反射する
    請求項11から15のいずれか一項に記載の単結晶育成装置。
  17. 前記M個のレーザ照射ヘッドは、
    前記加熱レーザ光を照射する照射口側に出口側シリンドリカルレンズを有し、
    前記出口側シリンドリカルレンズは、前記M本の加熱レーザ光の照射光強度分布を釣鐘型強度分布に変更する
    請求項1から10のいずれか一項に記載の単結晶育成装置。
  18. 前記原料棒において、前記加熱レーザ光の照射領域に隣接した領域に、照明用の光を照射する照明部をさらに備える
    請求項1から17のいずれか一項に記載の単結晶育成装置。
  19. N個の反射鏡とN個の加熱ランプとを有し、前記加熱ランプの照射する光を前記反射鏡に反射させて、
    結晶棒に照射する加熱補助部をさらに備える
    請求項1から18のいずれか一項に記載の単結晶育成装置。
  20. 前記N個の反射鏡は、凹面形状を有し、
    前記加熱ランプの照射する光を前記結晶棒に直線状に反射する請求項19に記載の単結晶育成装置。
  21. 前記N個の反射鏡は、半円筒形状を有する
    請求項20に記載の単結晶育成装置。
  22. 前記N個の反射鏡は、前記結晶棒の中心軸上に直線状の焦点を有し、且つ、
    前記結晶棒の中心軸に垂直な面において凹面鏡形状を有する
    請求項20又は21に記載の単結晶育成装置。
  23. 前記原料棒における溶融帯を監視する溶融帯監視部をさらに備え、
    前記溶融帯監視部は、
    前記原料棒の映像を取得するカメラと、
    前記原料棒からの放射光を減衰させる光学フィルタと
    を有し、
    前記光学フィルタは、2枚の偏光子を含む
    請求項1から22のいずれか一項に記載の単結晶育成装置。
  24. 前記2枚の偏光子は、
    前記カメラに対して偏光軸を固定して配置した固定偏光子と、
    前記カメラに対する偏光軸の向きを回転する機構を有する回転偏光子と
    を備える
    請求項23に記載の単結晶育成装置。
  25. 前記原料棒に磁場を印加する磁場印加部をさらに備える
    請求項1から24のいずれか一項に記載の単結晶育成装置。
  26. 前記原料棒に高周波を印加する高周波印加部をさらに備える
    請求項1から24のいずれか一項に記載の単結晶育成装置。
  27. 請求項1から26のいずれか一項に記載の単結晶育成装置を用いた
    Y型フェライト構造を有する酸化化合物A1222の単結晶の製造方法であって、
    AはBa、Sr、Sc、Pb元素の少なくとも1つを含み、
    BはCo、Zn、Cu、Cd、Ni、Mg元素の少なくとも1つを含み、
    CはFeを主成分としてAl、Ga若しくはMn元素の少なくとも1つを含む
    製造方法。
  28. 前記酸化化合物A1222は、
    化学式(Ba1−xSrCoFe12−yAl22、0≦x≦1、0≦y≦1からなる
    請求項27に記載の製造方法。
  29. 請求項1から26のいずれか一項に記載の単結晶育成装置を用いた
    W型フェライト構造を有する酸化化合物AB1627の製造方法であって、
    AはBa、Sr、Sc、Pb元素の少なくとも1つを含み、
    BはCo、Zn、Cu、Cd、Ni、Mg元素の少なくとも1つを含み、
    CはFeを主成分としてAl、Ga若しくはMn元素の少なくとも1つを含む
    製造方法。
  30. 前記酸化化合物AB1627は、
    化学式Ba1−xSrCoFe 16−yAl22、0≦x≦1、0≦y≦1からなる
    請求項29に記載の製造方法。
  31. 請求項1から26のいずれか一項に記載の単結晶育成装置を用いた
    Z型フェライト構造を有する酸化化合物A2441の単結晶育成方法であって、
    AはBa、Sr、Sc、Pb元素の少なくとも1つを含み、
    BはCo、Zn、Cu、Cd、Ni、Mg元素の少なくとも1つを含み、
    CはFeを主成分としてAl、Ga若しくはMn元素の少なくとも1つを含む
    製造方法。
  32. 前記酸化化合物A2441は、
    化学式(Ba1−xSrCoFe24−yAl41、0≦x≦1、0≦y≦1からなる請求項31に記載の製造方法。
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