JP6470949B2 - アルミニウムハードディスク基板の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、磁気ディスクドライブのディスク基板として広く使用されているアルミニウムハードディスク基板の製造方法に関する。特に、アルミニウム合金基板の表面にニッケル−リンめっき皮膜を形成した磁気記録媒体用基板の研磨方法に関する。
近年、磁気ディスクドライブは小型化・大容量化が進み、高記録密度化が求められている。そこで、高記録密度磁気信号の検出感度を向上させる必要があるために、磁気ヘッドの浮上高さをより低下させ、単位記録面積を縮小する技術開発が進められている。また、磁気ヘッドの低浮上化と記録面積の確保に対応するために、磁気ディスク基板には平滑性および平坦性の向上(表面粗さ、うねり、端面ダレの低減)や、表面欠陥低減(残留砥粒、スクラッチ、突起、ピット等の低減)が厳しく要求されている。
このような要求に対して、より平滑で、傷が少ないといった表面品質の向上と生産性の向上を両立させる観点から、磁気ディスク基板の製造方法においては、2段階以上の研磨工程を有する多段研磨方式が採用されることが多い。一般に、多段研磨方式の最終研磨工程(仕上げ研磨工程)では、表面粗さの低減、スクラッチ、突起、ピット等の傷の低減といった要求を満たすために、コロイダルシリカ粒子を含む仕上げ用研磨剤組成物が使用されてきた。また、仕上げ研磨工程より前の研磨工程(粗研磨工程)では、生産性向上の観点から、アルミナ粒子を含む研磨剤組成物が使用されてきた。
しかし、アルミナ砥粒はアルミニウム合金基板に比べてかなり硬度が高い。このために、アルミニウムハードディスク基板の研磨を行う場合には、アルミナ砥粒が基板に突き刺さり、この突き刺さった砥粒が後段の仕上げ研磨工程に悪影響を与えることが問題となっていた。
このような問題の解決策として、アルミナ砥粒とシリカ砥粒を組み合わせた研磨剤組成物が提案されている(特許文献1〜6)。また、アルミナ砥粒を使用せず、シリカ砥粒のみで研磨する方法が提案されている(特許文献7〜12)。
特開2009−176397号公報 特開2011−204327号公報 特開2012−43493号公報 特開2014−29752号公報 特開2014−29753号公報 特開2014−32718号公報 特表2011−527643号公報 特開2014−29754号公報 特開2014−29755号公報 特開2014−116057号公報 特表2003−514950号公報 特開2012−155785号公報
特許文献1〜3のように、アルミナ砥粒とシリカ砥粒を組み合わせることにより、基板に突き刺さったアルミナ砥粒をある程度除去することは可能となる。しかしながら、このアルミナ砥粒を含む研磨剤組成物を使用する限り、研磨剤中に含まれるアルミナ砥粒が基板に突き刺さる可能性は、依然として残っている。また、このような研磨剤組成物はアルミナ砥粒とシリカ砥粒の両方を含むため、それぞれの砥粒が有する特性を相互に打ち消し合う。このために、研磨速度および表面平滑性が低下する問題が生じる。
また、特許文献4〜6では、最初にアルミナ砥粒を使用して、その後リンス工程をはさんでシリカ砥粒を使用する方法が記載されている。しかしながら、それでもアルミナ砥粒の突き刺さりを完全に除去することは困難である。
そこで、アルミナ砥粒を使用せずに、シリカ砥粒のみで研磨する方法が提案されており、特許文献7では、コロイダルシリカと研磨促進剤の組み合わせを使用する方法が記載されている。特許文献8〜10では、コロイダルシリカ、ヒュームドシリカ、表面修飾されたシリカや、水ガラス法で製造されたシリカなどによる研磨、特に特殊な形状のコロイダルシリカを使用する方法が記載されている。しかしながら、これらの方法では研磨速度が不十分であり、改良が求められている。
また、特許文献11では、コロイダルシリカとヒュームドシリカを組み合わせて使用する方法が記載されている。しかしながら、この方法では研磨速度の向上は見られるものの、ヒュームドシリカは嵩比重がとても小さいために、スラリー化などの作業性が非常に悪くなり、粉塵による健康への影響の懸念もある。
さらに、特許文献12では、破砕シリカ砥粒を使用することにより、アルミナに近い研磨速度を出す方法が記載されている。しかしながら、この方法では表面平滑性が低下する問題があり、改良が求められている。
ところで、アルミニウムハードディスク基板の研磨においては、研磨剤組成物の機械研磨を担う砥粒成分と、化学研磨を担う薬剤成分は、実際の研磨の直前に混合して使用されることが多い。しかし、仕上げ研磨工程において使用されるコロイダルシリカと薬剤成分が混合されると、コロイダルシリカは凝集傾向になる。また、品質要求の高度化に伴って、フィルター目開きは狭くなる傾向にある。このような状況から、仕上げ研磨工程においては、コロイダルシリカの凝集を抑制する手法の開発も課題となっている。
本発明は、このような従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、アルミナ砥粒を使用することなく、高い研磨速度を実現するとともに、良好な表面平滑性を得ることを可能にし、さらにコロイダルシリカの凝集を抑制することができる研磨方法を用いたアルミニウムハードディスク基板の製造方法を提供するものである。
上記課題を解決するため、本発明によれば、ニッケル−リンめっき後の研磨を2段階以上で行うに際し、最終段より前の粗研磨工程は、粉砕工程を経て得られた湿式法シリカ、第1のコロイダルシリカ、および水の存在下で実施し、最終段の仕上げ研磨工程は、第2のコロイダルシリカ、リン含有化合物、および水の存在下で実施する、以下に示すアルミニウムハードディスク基板の製造方法が提供される。
[1] アルミニウムハードディスク基板の製造において、ニッケル−リンめっき後の研磨を2段階以上で行うに際し、最終段より前の粗研磨工程は、粉砕工程を経て得られた湿式法シリカ、第1のコロイダルシリカ、および水を含む第1の研磨剤組成物を用いて実施し、最終段の仕上げ研磨工程は、第2のコロイダルシリカ、リン含有化合物、および水を含む第2の研磨剤組成物を用いて実施し、前記湿式法シリカの平均粒径よりも前記第1のコロイダルシリカの平均粒径が小さく、また、前記第1のコロイダルシリカの前記平均粒径よりも前記第2のコロイダルシリカの平均粒径が小さく、前記粗研磨工程に用いられる前記第1の研磨剤組成物における前記湿式法シリカと前記第1のコロイダルシリカの合計濃度が1〜50質量%であり、シリカ全体に占める前記湿式法シリカの割合が5〜95質量%、前記第1のコロイダルシリカの割合が5〜95質量%であり、前記リン含有化合物が無機リン化合物と、有機ホスホン酸および/またはその塩との組み合わせであり、さらに、前記粗研磨工程および前記仕上げ研磨工程において、前記第1の研磨剤組成物及び第2の研磨剤組成物のpH値が0.1〜4.0であるアルミニウムハードディスク基板の製造方法。
[2] 前記粗研磨工程において、前記湿式法シリカの平均粒径が0.1〜1.0μmであり、前記第1のコロイダルシリカの平均粒径が5〜200nmである前記[1]に記載のアルミニウムハードディスク基板の製造方法。
] 前記仕上げ研磨工程において、前記第2のコロイダルシリカの平均粒径が1〜50nmであり、前記第2の研磨剤組成物における前記第2のコロイダルシリカの濃度が1〜50質量%である前記[1]または[2]のいずれかに記載のアルミニウムハードディスク基板の製造方法。
] 前記仕上げ研磨工程において使用される前記無機リン化合物が、リン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸、ピロリン酸、トリポリリン酸、およびその塩から選ばれる少なくとも1種の化合物である前記[1]〜[3]のいずれかに記載のアルミニウムハードディスク基板の製造方法。
] 前記仕上げ研磨工程において使用される前記有機ホスホン酸およびその塩が、2−アミノエチルホスホン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、エタン−1,1−ジホスホン酸、エタン−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1−ヒドロキシ−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1,2−ジカルボキシ−1,2−ジホスホン酸、メタンヒドロキシホスホン酸、2−ホスホノブタン−1,2−ジカルボン酸、1−ホスホノブタン−2,3,4−トリカルボン酸、α−メチルホスホノコハク酸、およびその塩から選ばれる少なくとも1種の化合物である前記[1]〜[4]のいずれかに記載のアルミニウムハードディスク基板の製造方法。
本発明の粗研磨工程においては、粉砕工程を経て得られた湿式法シリカと第1のコロイダルシリカの組み合わせ砥粒を使用し、さらに湿式法シリカの平均粒径よりも第1のコロイダルシリカの平均粒径を小さくすることにより、高い研磨効率と良好な表面平滑性を達成することが可能である。
また、本発明の仕上げ研磨剤組成物中にリン含有化合物を存在させることにより、仕上げ研磨工程での第2のコロイダルシリカの凝集を抑制することができる。したがって、前述の粗研磨工程の方法と仕上げ研磨工程の方法を組み合わせることにより高い研磨効率と良好な表面平滑性を有するアルミニウムハードディスク基板を製造することができる。
以下、本発明の実施形態について説明する。本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、変更、修正、改良を加え得るものである。
(1)概要
本発明は、アルミニウムハードディスク基板の製造において、ニッケル−リンめっき後の研磨を2段階以上で行う。これに際し、最終段より前の粗研磨工程は、粉砕工程を経て得られた湿式法シリカ、第1のコロイダルシリカ、および水を含む第1の研磨剤組成物を用いて実施する。最終段の仕上げ研磨工程は、第2のコロイダルシリカ、リン含有化合物、および水を含む第2の研磨剤組成物を用いて実施する。このとき、湿式法シリカの平均粒径よりも第1のコロイダルシリカの平均粒径が小さく、また、第1のコロイダルシリカの平均粒径よりも第2のコロイダルシリカの平均粒径が小さい。さらに、粗研磨工程および仕上げ研磨工程において、第1の研磨剤組成物及び第2の研磨剤組成物のpH値が0.1〜4.0である。なお、粗研磨工程と仕上げ研磨工程との間に、リンス工程、洗浄工程をはさんでもよい。以下、詳しく説明する。
(2)粗研磨工程
本発明の粗研磨工程は、アルミニウムハードディスク基板の製造において、ニッケル−リンめっき後の研磨を2段階以上行う際に、最終段より前に行われる工程のうち、少なくとも一つの工程のことを意味している。本発明の粗研磨工程は、粉砕工程を経て得られた湿式法シリカ、第1のコロイダルシリカ、および水を含む第1の研磨剤組成物を用いて実施し、湿式法シリカの平均粒径よりも、第1のコロイダルシリカの平均粒径が小さいものを使用する。なお、湿式法シリカの平均粒径は0.1〜1.0μmであり、第1のコロイダルシリカの平均粒径は5〜200nmであることが好ましい。また、本願における平均粒径とは、メディアン径(D50)である。
このように本発明の粗研磨工程は、湿式法シリカの平均粒径よりも第1のコロイダルシリカの平均粒径が小さいことにより、それぞれのシリカ砥粒を単独で使用した場合と比較して、予想外の高い研磨速度を達成することができると同時に、良好な表面平滑性を達成することができる。
一般的に、大粒径の砥粒(本発明の場合の湿式法シリカ)と小粒径の砥粒(本発明の場合の第1のコロイダルシリカ)とを組み合わせた砥粒を用いた場合、その研磨速度および表面平滑性は大粒径の砥粒がもたらす研磨速度および表面平滑性に支配される傾向がある。すなわち一般的には、研磨速度は大粒径の砥粒による研磨速度を大きく超えることは無く、表面平滑性は大粒径の砥粒の研磨による表面平滑性となるため、小粒径の砥粒による表面平滑性に劣る。
ところが、本発明の粗研磨工程においては、湿式法シリカまたは第1のコロイダルシリカを単独使用した場合よりも、研磨速度を有意に高くすることができ、なおかつ、良好な表面平滑性を維持することができる。以下、本発明の粗研磨工程に使用される湿式法シリカと第1のコロイダルシリカについて、さらに詳細に説明する。
(湿式法シリカ)
本発明で使用される湿式法シリカは、ケイ酸アルカリ水溶液と無機酸または無機酸水溶液とを反応容器に添加することにより、沈殿ケイ酸として得られる湿式法シリカのことを指している。したがって、本発明において湿式法シリカにはコロイダルシリカは含まれない。
湿式法シリカの原料であるケイ酸アルカリ水溶液としては、ケイ酸ナトリウム水溶液、ケイ酸カリウム水溶液、ケイ酸リチウム水溶液などが挙げられるが、一般的にはケイ酸ナトリウム水溶液が好ましく使用される。無機酸としては、硫酸、塩酸、硝酸等を挙げることができるが、一般的には硫酸が好ましく使用される。反応終了後、反応液を濾過、水洗し、乾燥機で水分が10%以下になるように乾燥する。乾燥機は静置乾燥機、噴霧乾燥機、流動乾燥機のいずれでも良い。
その後、ジェットミル等の粉砕機で粉砕し、さらに分級を行い、湿式法シリカを得る。このように粉砕により解砕された湿式法シリカ砥粒の粒子形状は、角部を有しており、球状に近い砥粒よりも研磨性能が高い。湿式法シリカの平均粒径は好ましくは0.1〜1.0μmであり、より好ましくは0.2〜1.0μmであり、さらに好ましくは0.2〜0.8μmである。平均粒径が0.1μm以上であることにより、研磨速度の低下を抑制することができる。また、平均粒径が1.0μm以下であることにより、表面平滑性の低下を抑制することができる。
(第1のコロイダルシリカ)
本発明の粗研磨工程で使用される第1のコロイダルシリカは、平均粒径が5〜200nmであることが好ましい。平均粒径が5nm以上であることにより、研磨速度の低下を抑制することができる。また、平均粒径が200nm以下であることにより、表面平滑性の低下を抑制することができる。なお、第1のコロイダルシリカの平均粒径は、より好ましくは10〜200nmであり、さらに好ましくは20〜200nmである。
第1のコロイダルシリカは球状、鎖状、金平糖型、異形型などの形状が知られており、水中に一次粒子が単分散してコロイド状をなしている。本発明で使用される第1のコロイダルシリカとしては、球状、または球状に近いコロイダルシリカが特に好ましい。球状、または球状に近いコロイダルシリカを用いることで、表面平滑性をより向上させることができる。また、第1のコロイダルシリカは、ケイ酸ナトリウムまたはケイ酸カリウムを原料とする水ガラス法、テトラエトキシシラン等のアルコキシシランを酸またはアルカリで加水分解する方法等によって得られる。
(第1の研磨剤組成物)
粗研磨工程において用いる第1の研磨剤組成物中の湿式法シリカの平均粒径と第1のコロイダルシリカの平均粒径の比(湿式法シリカの平均粒径/第1のコロイダルシリカの平均粒径)は、2.0〜30.0であることが好ましく、より好ましくは2.5〜20.0であり、さらに好ましくは3.0〜16.0である。平均粒径の比が2.0以上であることにより、研磨速度をさらに向上させることができる。また、平均粒径の比が30.0以下であることにより、表面平滑性の低下を抑制することができる。
湿式法シリカと第1のコロイダルシリカの合計濃度は、好ましくは第1の研磨剤組成物全体の1〜50質量%であり、より好ましくは2〜40質量%である。シリカの合計濃度が1質量%以上であることにより、研磨速度の低下を抑制することができる。また、シリカの合計濃度が50質量%以下であることにより、必要以上のシリカを使用することなく、十分な研磨性能を維持することができる。
シリカ全体に占める湿式法シリカの割合は、好ましくは5〜95質量%であり、より好ましくは20〜80質量%である。湿式法シリカの割合が5質量%以上であることにより、研磨速度の低下を抑制することができる。また、湿式法シリカの割合が95質量%以下であることにより、表面平滑性の悪化を抑制することができる。
また、シリカ全体に占める第1のコロイダルシリカの割合は、好ましくは5〜95質量%であり、より好ましくは20〜80質量%である。第1のコロイダルシリカの割合が5質量%以上であることにより、表面平滑性の低下を抑制することができる。また、第1のコロイダルシリカの割合が95質量%以下であることにより、研磨速度の低下を抑制することができる。
第1の研磨剤組成物には、酸と酸化剤を含むことも好ましい。酸としては無機酸または有機酸あるいは両方を存在させてもよい。無機酸としては硝酸、硫酸、塩酸、リン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸、ピロリン酸、トリポリリン酸等が挙げられる。有機酸としては2−アミノエチルホスホン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、エタン−1,1−ジホスホン酸、メタンヒドロキシホスホン酸等の有機ホスホン酸、グルタミン酸、アスパラギン酸等のアミノカルボン酸、クエン酸、酒石酸、シュウ酸、ニトロ酢酸、マレイン酸等のカルボン酸等が挙げられる。
第1の研磨剤組成物中の酸の含有量は、第1の研磨剤組成物で設定されたpHに応じて決められる。酸化剤としては過酸化物、過マンガン酸またはその塩、クロム酸またはその塩等が挙げられる。具体例としては、過酸化水素、過酸化ナトリウム、過酸化バリウム、過マンガン酸カリウム等が挙げられる。中でも過酸化水素が好ましい。
第1の研磨剤組成物中の酸化剤の含有量は、研磨速度向上の観点から0.01質量%以上が好ましく、より好ましくは0.1質量%以上である。また、粗研磨時の表面平滑性向上の観点からは6質量%以下が好ましく、より好ましくは4質量%以下である。
本発明の粗研磨工程で使用される水は、媒体として使用されるものであり、蒸留水、イオン交換水、純水等が挙げられる。第1の研磨剤組成物中の水の含有量は、好ましくは50〜99質量%であり、より好ましくは60〜98質量%である。
粗研磨工程において、第1の研磨剤組成物のpH値は0.1〜4.0であり、好ましくは0.5〜3.0である。pH値が0.1以上であることにより、表面平滑性の悪化を抑制することができる。また、pH値が4.0以下であることにより、研磨速度の低下を抑制することができる。
無電解ニッケル−リンめっきは、通常、pH値が4〜6の条件下で実施される。pH値が4以下の条件ではニッケルが溶解傾向に向かうため、めっきが進行しにくくなる。一方で、研磨においては、pH値が4.0以下の条件下でニッケルが溶解傾向となるため、研磨速度を高めることが容易となる。
粗研磨工程の後、最終段で仕上げ研磨工程を行うが、仕上げ研磨工程の前にリンスおよび/又は洗浄工程をはさんでも良い。リンスおよび/又は洗浄工程をはさむことにより、粗研磨工程で発生した研磨屑や残留砥粒などが除去され、仕上げ研磨工程をスムーズに行えるようになる。
(3)仕上げ研磨工程
本発明の仕上げ研磨工程は、第2のコロイダルシリカ、リン含有化合物および水を含む第2の研磨剤組成物を用いて実施される。このとき、粗研磨工程で使用される第1のコロイダルシリカの平均粒径よりも、仕上げ研磨工程で使用される第2のコロイダルシリカの平均粒径が小さい。第1のコロイダルシリカの平均粒径よりも、第2のコロイダルシリカの平均粒径が小さいことにより、仕上げ研磨工程後の表面平滑性が良好なものとなる。また、仕上げ研磨工程において、第2の研磨剤組成物のpH値は0.1〜4.0である。
(第2のコロイダルシリカ)
また、本発明の仕上げ研磨工程で使用される第2のコロイダルシリカは、平均粒径が1〜50nmであることが好ましい。平均粒径が1nm以上であることにより、研磨速度の低下を抑制することができる。平均粒径が50nm以下であることにより、表面平滑性の低下を抑制することができる。また、第2のコロイダルシリカの平均粒径は、より好ましくは2〜40nmであり、さらに好ましくは3〜40nmである。
コロイダルシリカは球状、鎖状、金平糖型、異形型などの形状が知られており、水中に一次粒子が単分散してコロイド状をなしているが、本発明で使用される第2のコロイダルシリカとしては、球状、または球状に近いコロイダルシリカが好ましい。球状、または球状に近い第2のコロイダルシリカを用いることで、表面平滑性をより向上させることができる。
第2のコロイダルシリカは、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウムを原料とする水ガラス法、テトラエトキシシラン等のアルコキシシランを酸またはアルカリで加水分解する方法等によって得ることができる。
(リン含有化合物)
本発明の仕上げ研磨工程で使用されるリン含有化合物は、無機リン化合物、有機ホスホン酸およびその塩から選ばれる少なくとも1種以上の化合物であることが好ましい。無機リン化合物としては、リン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸、ピロリン酸、トリポリリン酸等の無機酸、およびその塩から選ばれる少なくとも1種の化合物であることが好ましい。
有機ホスホン酸およびその塩としては、2−アミノエチルホスホン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、エタン−1,1−ジホスホン酸、エタン−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1−ヒドロキシ−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1,2−ジカルボキシ−1,2−ジホスホン酸、メタンヒドロキシホスホン酸、2−ホスホノブタン−1,2−ジカルボン酸、1−ホスホノブタン−2,3,4−トリカルボン酸、α−メチルホスホノコハク酸等の有機ホスホン酸、およびその塩から選ばれる少なくとも1種の化合物であることが好ましい。
上記のような、仕上げ研磨工程において使用されるリン含有化合物が、無機リン化合物と有機ホスホン酸および/またはその塩の組み合わせであることも好ましい実施形態である。具体的にはリン酸と有機ホスホン酸の組み合わせ、またはリン酸と有機ホスホン酸塩との組み合わせ等が好ましく挙げられる。
(第2の研磨剤組成物)
仕上げ研磨工程で使用される第2のコロイダルシリカの濃度は、第2の研磨剤組成物全体の1〜50質量%であることが好ましく、より好ましくは2〜40質量%である。第2のコロイダルシリカの濃度が1質量%以上であることにより、研磨速度の低下を抑制することができる。また、第2のコロイダルシリカの濃度が50質量%以下であることにより、必要以上の第2のコロイダルシリカを使用することなく、十分な研磨性能を維持することができる。
第2の研磨剤組成物中のリン含有化合物の濃度は、好ましくは組成物全体の0.1〜20質量%であり、より好ましくは0.2〜10質量%である。リン含有化合物の濃度が0.1質量%以上であることにより、仕上げ研磨工程でのフィルター交換の頻度が低下し、研磨の生産性が向上する。また、リン含有化合物の濃度が20質量%以下であることにより、必要以上のリン含有化合物を使用することなく、十分な研磨性能を維持することができる。
第2の研磨剤組成物には、酸と酸化剤を含むことも好ましい。酸としては、無機酸または有機酸あるいは両方を存在させても良い。無機酸としては、硝酸、硫酸、塩酸、リン酸等が挙げられる。有機酸としては、グルタミン酸、アスパラギン酸等のアミノカルボン酸、クエン酸、酒石酸、シュウ酸、ニトロ酢酸、マレイン酸、リンゴ酸、コハク酸等のカルボン酸および有機ホスホン酸等が挙げられる。仕上げ研磨工程で使用される酸の第2の研磨剤組成物中の含有量は、第2の研磨剤組成物で設定されたpHに応じて決められる。
酸化剤としては、過酸化物、過マンガン酸またはその塩、クロム酸またはその塩等が挙げられる。具体例としては、過酸化水素、過酸化ナトリウム、過酸化バリウム、過マンガン酸カリウム等が挙げられる。中でも過酸化水素が好ましい。仕上げ研磨工程で使用される酸化剤の第2の研磨剤組成物中の含有量は、研磨速度向上の観点から、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上である。また、仕上げ研磨時の表面平滑性の観点から好ましくは5質量%以下であり、より好ましくは3質量%以下である。
仕上げ研磨工程で使用される水は、媒体として使用されるものであり、蒸留水、イオン交換水、純水等が挙げられる。第2の研磨剤組成物中の水の含有量は、好ましくは50〜99質量%、より好ましくは60〜98質量%である。
仕上げ研磨工程において、第2の研磨剤組成物のpH値は0.1〜4.0であり、好ましくは0.5〜3.0である。pH値が0.1以上であることにより、表面平滑性の悪化を抑制することができる。また、pH値が4.0以下であることにより、研磨速度の低下を抑制することができる。
(4)粗研磨工程及び仕上げ研磨工程の研磨方法
実際の研磨においては、研磨機の定盤に研磨パッドを貼り付け、アルミニウムハードディスク基板の研磨する表面または研磨パッドに研磨剤組成物を供給し、研磨する表面を研磨パッドで擦り付ける方法が一般的であり、片面研磨と両面研磨の2つのやり方がある。
両面研磨の場合は、まず、研磨パッドを貼りつけた研磨定盤を2つ用意し、一方の研磨定盤の研磨パッドを基板のおもて面に当て、もう一方の研磨定盤の研磨パッドを基板の裏面に当てることによって、研磨パッドで基板を挟み込んだ状態とする。そして、この状態のままで、研磨パッドと基板の表面(おもて面または裏面)との間に研磨材を分散させたスラリー状の研磨剤組成物を供給し、同時に研磨定盤や基板を動かすことによって、基板の表面上を研磨パッドで擦る。この動作によって、研磨材が基板の表面上を転がりながら、あるいは研磨パッドに保持された状態で動きながら、基板の表面の凸な部分を削り落としていくため、基板のおもて面と裏面を研磨することができる。
研磨パッドは、ウレタンタイプ、スエードタイプ、不織布タイプ、これらを積層した二層タイプ等、その他いずれのタイプも使用することができる。また、パッドにカーボン、セリア等の種々の添加剤を含有させたものも使用することができる。
以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。各実施例および比較例の仕上げ研磨工程は、各々対応する粗研磨工程の実施例および粗研磨工程の比較例の条件で粗研磨された基板を用いて実施した。
(1−1)第1の研磨剤組成物の調製
参考例1、2、実施例1〜10および比較例1〜5で使用した第1の研磨剤組成物は、下記の成分と水からなる研磨剤組成物である。これらの第1の研磨剤組成物の成分と含有量を表1に示す。なお、(湿式法シリカの粒径D50)/(第1のコロイダルシリカの粒径D50)を粒径比とした。
参考例1、2、実施例1〜
参考例1、2、実施例1〜で使用した第1の研磨剤組成物の成分として、湿式法シリカ(粒子径D50:0.3μm、市販の湿式法シリカ)を3.0質量%、第1のコロイダルシリカ(粒子径D50:51nm、市販のコロイダルシリカ)を3.0質量%含み(湿式法シリカと第1のコロイダルシリカの質量比は5:5、合計濃度は6.0質量%)、硫酸を0.7質量%、過酸化水素を1.2質量%含む。
(実施例
実施例で使用した第1の研磨剤組成物の成分として、湿式法シリカ(粒子径D50:0.3μm、市販の湿式法シリカ)を3.0質量%、第1のコロイダルシリカ(粒子径D50:80nm、市販のコロイダルシリカ)3.0質量%含み(湿式法シリカと第1のコロイダルシリカの質量比は5:5、合計濃度は6.0質量%)、硫酸を0.7質量%、過酸化水素を1.2質量%含む。
(実施例
実施例で使用した第1の研磨剤組成物の成分として、湿式法シリカ(粒子径D50:0.3μm、市販の湿式法シリカ)を4.2質量%、第1のコロイダルシリカ(粒子径D50:51nm、市販のコロイダルシリカ)を1.8質量%含み(湿式法シリカと第1のコロイダルシリカの質量比は7:3、合計濃度は6.0質量%)、硫酸を0.7質量%、過酸化水素を1.2質量%含む。
(実施例
実施例で使用した第1の研磨剤組成物の成分として、湿式法シリカ(粒子径D50:0.3μm、市販の湿式法シリカ)を1.8質量%、第1のコロイダルシリカ(粒子径D50:51nm、市販のコロイダルシリカ)を4.2質量%含み(湿式法シリカと第1のコロイダルシリカの質量比は3:7、合計濃度は6.0質量%)、硫酸を0.7質量%、過酸化水素を1.2質量%含む。
(実施例
実施例で使用した第1の研磨剤組成物の成分として、湿式法シリカ(粒子径D50:0.4μm、市販の湿式法シリカ)を3.0質量%、第1のコロイダルシリカ(粒子径D50:51nm、市販のコロイダルシリカ)を3.0質量%含み(湿式法シリカと第1のコロイダルシリカの質量比は5:5、合計濃度は6.0質量%)、硫酸を0.7質量%、過酸化水素を1.2質量%含む。
(実施例
実施例で使用した第1の研磨剤組成物の成分として、湿式法シリカ(粒子径D50:0.8μm、市販の湿式法シリカ)を3.0質量%、第1のコロイダルシリカ(粒子径D50:51nm、市販のコロイダルシリカ)を3.0質量%含み(湿式法シリカと第1のコロイダルシリカの質量比は5:5、合計濃度は6.0質量%)、硫酸を0.7質量%、過酸化水素を1.2質量%含む。
(実施例10
実施例10で使用した第1の研磨剤組成物の成分として、湿式法シリカ(粒子径D50:0.3μm、市販の湿式法シリカ)を3.0質量%、第1のコロイダルシリカ(粒子径D50:51nm、市販のコロイダルシリカ)を3.0質量%含み(湿式法シリカと第1のコロイダルシリカの質量比は5:5、合計濃度は6.0質量%)、硫酸を0.7質量%、過酸化水素を1.2質量%含む。
(比較例1〜2)
比較例1〜2で使用した第1の研磨剤組成物の成分として、湿式法シリカ(粒子径D50:0.3μm、市販の湿式法シリカ)を3.0質量%、第1のコロイダルシリカ(粒子径D50:51nm、市販のコロイダルシリカ)を3.0質量%含み(湿式法シリカと第1のコロイダルシリカの質量比は5:5、合計濃度は6.0質量%)、硫酸を0.7質量%、過酸化水素を1.2質量%含む。
(比較例3)
比較例3で使用した第1の研磨剤組成物の成分として、第1のコロイダルシリカ(粒子径D50:51nm、市販のコロイダルシリカ)を6.0質量%含み、硫酸を0.7質量%、過酸化水素を1.2質量%含む。
(比較例4)
比較例4で使用した第1の研磨剤組成物の成分として、湿式法シリカ(粒子径D50:0.3μm、市販の湿式法シリカ)を6.0質量%含み、硫酸を0.7質量%、過酸化水素を1.2質量%含む。
(比較例5)
比較例5の第1の研磨剤組成物の成分として、湿式法シリカ(粒子径D50:0.3μm、市販の湿式法シリカ)を3.0質量%、第1のコロイダルシリカ(粒子径D50:51nm、市販のコロイダルシリカ)を3.0質量%含み(湿式法シリカと第1のコロイダルシリカの質量比は5:5、合計濃度は6.0質量%)、硫酸を0.7質量%、過酸化水素を1.2質量%含む。
(1−2)第2の研磨剤組成物の調製
参考例1、2、実施例1〜10および比較例1〜5で使用した第2の研磨剤組成物は、下記の成分と水からなる研磨剤組成物である。これらの第2の研磨剤組成物の成分と含有量を表2に示す。
参考例1)
参考例1で使用した第2の研磨剤組成物の成分として、第2のコロイダルシリカ(粒子径D50:29nm、市販のコロイダルシリカ)を5.6質量%、リン酸を2.0質量%(第2の研磨剤組成物全体のpHが1.5になるような量)、過酸化水素を0.6質量%含む。
参考例2)
参考例2で使用した第2の研磨剤組成物の成分として、第2のコロイダルシリカ(粒子径D50:29nm、市販のコロイダルシリカ)を5.6質量%、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸(以下、HEDPと略す)を2.0質量%(第2の研磨剤組成物全体のpHが1.5になるような量)、過酸化水素を0.6質量%含む。
(実施例
実施例で使用した第2の研磨剤組成物の成分として、第2のコロイダルシリカ(粒子径D50:29nm、市販のコロイダルシリカ)を5.6質量%、リン酸を1.0質量%、HEDPを1.0質量%(第2の研磨剤組成物全体のpHが1.5になるような量)、過酸化水素を0.6質量%含む。
(実施例
実施例で使用した第2の研磨剤組成物の成分として、第2のコロイダルシリカ(粒子径D50:21nm、市販のコロイダルシリカ)を5.6質量%、リン酸を1.0質量%、HEDPを1.0質量%(第2の研磨剤組成物全体のpHが1.5になるような量)、過酸化水素を0.6質量%含む。
(実施例
実施例で使用した第2の研磨剤組成物の成分として、第2のコロイダルシリカ(粒子径D50:29nm、市販のコロイダルシリカ)を5.6質量%、リン酸を1.0質量%、HEDPを1.0質量%(第2の研磨剤組成物全体のpHが1.5になるような量)、過酸化水素を0.6質量%含む。
(実施例
実施例で使用した第2の研磨剤組成物の成分として、第2のコロイダルシリカ(粒子径D50:29nm、市販のコロイダルシリカ)を5.6質量%、リン酸を0.5質量%、HEDPを0.5質量%、硫酸を0.3質量%(第2の研磨剤組成物全体のpHが1.5になるような量)、過酸化水素を0.6質量%含む。
(実施例
実施例で使用した第2の研磨剤組成物の成分として、第2のコロイダルシリカ(粒子径D50:29nm、市販のコロイダルシリカ)を5.6質量%、リン酸を0.5質量%、HEDPを0.5質量%、硝酸を0.25質量%(第2の研磨剤組成物全体のpHが1.5になるような量)、過酸化水素を0.6質量%含む。
(実施例10
実施例10で使用した第2の研磨剤組成物の成分として、第2のコロイダルシリカ(粒子径D50:29nm、市販のコロイダルシリカ)を5.6質量%、リン酸を0.5質量%、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸四ナトリウム塩(HEDP−4Naと略す)を0.5質量%、硫酸を0.6質量%(第2の研磨剤組成物全体のpHが1.5になるような量)、過酸化水素を0.6質量%含む。
(比較例1)
比較例1で使用した第2の研磨剤組成物の成分として、第2のコロイダルシリカ(粒子径D50:29nm、市販のコロイダルシリカ)を5.6質量%、硫酸を0.4質量%(第2の研磨剤組成物全体のpHが1.5になるような量)、過酸化水素を0.6質量%含む。
(比較例2)
比較例2で使用した第2の研磨剤組成物の成分として、第2のコロイダルシリカ(粒子径D50:29nm、市販のコロイダルシリカ)を5.6質量%、硝酸を0.34質量%(第2の研磨剤組成物全体のpHが1.5になるような量)、過酸化水素を0.6質量%含む。
(比較例3)
比較例3で使用した第2の研磨剤組成物の成分として、第2のコロイダルシリカ(粒子径D50:29nm、市販のコロイダルシリカ)を5.6質量%、リン酸を2.0質量%(第2の研磨剤組成物全体のpHが1.5になるような量)、過酸化水素を0.6質量%含む。
(比較例4)
粗研磨工程後の基板表面にピットが多数あったので、仕上げ研磨工程を実施しなかった。
(比較例5)
比較例5で使用した第2の研磨剤組成物の成分として、第2のコロイダルシリカ(粒子径D50:80nm、市販のコロイダルシリカ)を5.6質量%、リン酸を2.0質量%(第2の研磨剤組成物全体のpHが1.5になるような量)、過酸化水素を0.6質量%含む。
なお、湿式法シリカの粒子径は、0.4μm以下の粒子では動的光散乱式粒度分布測定装置(日機装(株)製、マイクロトラックUPA)を用いて測定し、また0.4μmより大きい粒子ではレーザー回折式粒度分布測定機(島津製作所(株)製、SALD2200)を用いて測定した。湿式法シリカ粒子の平均粒径は、体積を基準とした小粒径側からの積算粒径分布が50%となる平均粒径D50である。
また、コロイダルシリカの粒子径は、透過型電子顕微鏡(TEM)(日本電子(株)製、透過型電子顕微鏡JEM2000FX(200kV))を用いて倍率10万倍の視野の写真を撮影し、この写真を解析ソフト(マウンテック株式会社製、Mac−View Ver,4.0)を用いて解析することにより、Heywood径(投射面積円相当径)として測定した。コロイダルシリカの平均粒径は、前述の方法で2000個程度のコロイダルシリカの粒子径を解析し、小粒径側からの積算粒径分布(累積体積基準)が50%となる粒径を上記解析ソフト(マウンテック株式会社製、Mac−View Ver,4.0)を用いて算出した平均粒径D50である。
(2)研磨条件
(2−1)粗研磨条件
無電解ニッケル−リンめっきした外径3.5インチのアルミディスク基板を研磨対象として、次の研磨条件で粗研磨を行った。研磨機はシステム精工(株)製の9B両面研磨機を用いた。研磨パッドは(株)FILWEL製のP1用パッドを用いた。そして、定盤回転数を上定盤−13.0rpm、下定盤16.0rpmとし、研磨剤供給量を70ml/minとして、研磨量が1.2〜1.5μm/片面となる時間(130〜1500秒)まで研磨した。なお、加工圧力は120g/cmであった。
(2−2)仕上げ研磨条件
上記の粗研磨条件で研磨されたアルミディスク基板を研磨対象として、次の研磨条件で仕上げ研磨工程を行った。研磨機はスピードファム(株)製の9B両面研磨機を用いた。研磨パッドは(株)FILWEL製のP2用パッドを用いた。そして、定盤回転数を上定盤−8.3rpm、下定盤25.0rpmとし、研磨剤供給量を100ml/minとして、300秒研磨した。なお、加工圧力は110g/cmであった。
また、仕上げ研磨工程においては、各成分を混合して第2の研磨剤組成物を調製した後、目開き0.45μmのフィルターを通して研磨機に導入し、研磨試験を実施した。
各第2の研磨剤組成物のフィルター閉塞の起こりにくさを判定するために、仕上げ研磨条件で第2の研磨剤組成物をフィルターに100時間連続して通液した。そして、フィルターカートリッジの差圧が0.2MPaまで上昇した段階で、フィルターを交換し、新しいフィルターに通液した。
(3)研磨したディスク基板の表面の評価
参考例1、2、実施例1〜10、比較例1〜5に対して、粗研磨工程後および仕上げ研磨工程後の研磨レート比を求めた。また、粗研磨工程後にはピットを測定した。さらに、仕上げ研磨工程後にはスクラッチ比を求めた。なお、前述したように、仕上げ研磨条件でフィルター交換回数を測定した。
(3−1)研磨レート比(粗研磨工程、仕上げ研磨工程)
研磨レートは、研磨後に減少したアルミディスクの質量を測定し、下記式に基づいて算出した。研磨レート(μm/min)=アルミディスクの質量減少(g)/研磨時間(min)/アルミディスク片面の面積(cm)/ニッケル−リンめっき皮膜の密度(g/cm)/2×10(ただし、上記式中、アルミディスク片面の面積は65.9cm、ニッケル−リンめっき皮膜の密度は8.0g/cmである。)。
研磨レート比は、粗研磨工程においては、上記式を用いて求めた比較例3の研磨レートを1とした場合の相対値であり、仕上げ研磨工程においては、上記式を用いて求めた比較例1の研磨レートを1とした場合の相対値である。粗研磨工程後の研磨レート比の結果を表1に示し、仕上げ研磨工程後の研磨レート比の結果を表2に示す。
(3−2)ピット(粗研磨工程)
ピットはZygo社製の走査型白色干渉法を利用した三次元表面構造解析顕微鏡を用いて測定した。具体的には、Zygo社製の測定装置(New View 5032(レンズ:2.5倍、ズーム:0.5倍))とZygo社製の解析ソフト(Metro Pro)を用いて測定した。得られた形状プロファイルにおいて、ピットがほとんど認められない場合に○とした。ピットが認められた場合に×とした。また、ピットが多数認められた場合には目視でもピットを観察することができた。ピットの測定結果を表1に示す。
(3−3)スクラッチ比(仕上げ研磨工程)
スクラッチはMicroMAX VMX−4100を用いて、基板にあるスクラッチ本数を、測定条件チルト角−5°、倍率20倍で測定した。スクラッチ比は比較例2のスクラッチ本数を1とした場合の相対値である。スクラッチ比の結果を表2に示す。
(3−4)フィルター交換回数(仕上げ研磨工程)
研磨剤調製後、100時間連続して目開き0.45μmのフィルターに仕上げ研磨条件で通液し、フィルターカートリッジの差圧が0.2MPaまで上昇した段階で新しいフィルターに交換した。交換回数が少ないほどフィルター閉塞が起こりにくい。フィルター交換回数の測定結果を表2に示す。
Figure 0006470949
Figure 0006470949
(4)考察
参考例1と比較例3の対比および参考例1と比較例4の対比から、粗研磨工程においては、粉砕工程を経て得られた湿式法シリカと、第1のコロイダルシリカの組み合わせにより、各々単独の場合よりも研磨速度が向上し、ピットも良好であることがわかる。
さらに、実施例と比較例1の対比、および実施例と比較例2の対比から、仕上げ研磨工程においては、リン含有化合物を存在させることにより、研磨速度が高く、スクラッチ比が低く良好で、しかもフィルターの詰まりを改善できることがわかる。
参考例1と比較例5の対比から、仕上げ研磨工程において、粗研磨工程で使用された第1のコロイダルシリカよりも平均粒径の大きな第2のコロイダルシリカを使用すると、スクラッチが大幅に悪化し、さらにフィルターも詰まりやすくなることがわかる。
また、実施例参考例1および参考例2よりも仕上げ研磨工程での研磨速度とスクラッチのバランスが良好であり、このことからリン含有化合物として、無機リン化合物と有機ホスホン酸および/またはその塩の組み合わせが好ましいことがわかる。
以上のことから、本発明の特定の粗研磨方法と特定の仕上げ研磨方法の組み合わせにより、製品品質を低下させずに研磨の生産性を向上できることがわかる。
本発明のアルミニウムハードディスク基板の製造方法は、磁気ディスク基板、特にアルミニウム合金基板の表面にニッケル−リンめっき被膜を形成した磁気ディスク基板等の製造方法として利用することができる。

Claims (5)

  1. アルミニウムハードディスク基板の製造において、ニッケル−リンめっき後の研磨を2段階以上で行うに際し、
    最終段より前の粗研磨工程は、粉砕工程を経て得られた湿式法シリカ、第1のコロイダルシリカ、および水を含む第1の研磨剤組成物を用いて実施し、
    最終段の仕上げ研磨工程は、第2のコロイダルシリカ、リン含有化合物、および水を含む第2の研磨剤組成物を用いて実施し、
    前記湿式法シリカの平均粒径よりも前記第1のコロイダルシリカの平均粒径が小さく、また、前記第1のコロイダルシリカの前記平均粒径よりも前記第2のコロイダルシリカの平均粒径が小さく、
    前記粗研磨工程に用いられる前記第1の研磨剤組成物における前記湿式法シリカと前記第1のコロイダルシリカの合計濃度が1〜50質量%であり、シリカ全体に占める前記湿式法シリカの割合が5〜95質量%、前記第1のコロイダルシリカの割合が5〜95質量%であり、
    前記リン含有化合物が無機リン化合物と、有機ホスホン酸および/またはその塩との組み合わせであり、
    さらに、前記粗研磨工程および前記仕上げ研磨工程において、前記第1の研磨剤組成物及び第2の研磨剤組成物のpH値が0.1〜4.0であるアルミニウムハードディスク基板の製造方法。
  2. 前記粗研磨工程において、前記湿式法シリカの平均粒径が0.1〜1.0μmであり、前記第1のコロイダルシリカの平均粒径が5〜200nmである請求項1に記載のアルミニウムハードディスク基板の製造方法。
  3. 前記仕上げ研磨工程において、前記第2のコロイダルシリカの平均粒径が1〜50nmであり、前記第2の研磨剤組成物における前記第2のコロイダルシリカの濃度が1〜50質量%である請求項1または2のいずれかに記載のアルミニウムハードディスク基板の製造方法。
  4. 前記仕上げ研磨工程において使用される前記無機リン化合物が、リン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸、ピロリン酸、トリポリリン酸、およびその塩から選ばれる少なくとも1種の化合物である請求項1〜3のいずれか1項に記載のアルミニウムハードディスク基板の製造方法。
  5. 前記仕上げ研磨工程において使用される前記有機ホスホン酸およびその塩が、2−アミノエチルホスホン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、エタン−1,1−ジホスホン酸、エタン−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1−ヒドロキシ−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1,2−ジカルボキシ−1,2−ジホスホン酸、メタンヒドロキシホスホン酸、2−ホスホノブタン−1,2−ジカルボン酸、1−ホスホノブタン−2,3,4−トリカルボン酸、α−メチルホスホノコハク酸、およびその塩から選ばれる少なくとも1種の化合物である請求項1〜4のいずれか1項に記載のアルミニウムハードディスク基板の製造方法。
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