JP6470828B1 - プロテクトフィルム付偏光板枚葉体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】式:TD弾性率−MD弾性率≧300MPaを満たす領域を含むプロテクトフィルムを偏光板の片面に貼合してプロテクトフィルム付偏光板を得る工程と、プロテクトフィルム付偏光板の枚葉体を上記領域から切り出す工程とを含むプロテクトフィルム付偏光板枚葉体の製造方法が提供される。式中、TD弾性率とは、温度23℃、相対湿度55%RHでのTD方向における引張弾性率であり、MD弾性率とは、温度23℃、相対湿度55%RHでのMD方向における引張弾性率である。
【選択図】図1
Description
偏光板は、その表面を保護するための剥離可能なプロテクトフィルム(表面保護フィルムとも呼ばれる。)を貼着したプロテクトフィルム付偏光板として市場流通されるのが一般的である。プロテクトフィルム付偏光板においても、薄くなると枚葉体としたときにカールを生じやすいという傾向は同じである。
逆カールが生じていると、プロテクトフィルム付偏光板枚葉体の偏光板側を粘着剤層を介して液晶セル、有機EL素子等の画像表示素子に貼合する際、貼合ミスを生じたり、粘着剤層と画像表示素子との界面に気泡が混入したりする不具合を起こしやすくなる。
したがって、上記多層構造体とされることを考慮するとき、プロテクトフィルム付偏光板枚葉体は、十分に大きな正カールを有していることが望ましい。上記多層構造体が逆カールを有していると、これを画像表示素子に貼合する際、上述の不具合が起こりやすくなるためである。
一方、プロテクトフィルム付偏光板を上記多層構造体とはせずにそのまま画像表示素子に貼合する場合、それが有する大きな正カールは、画像表示素子への貼合の妨げとはならない。
本発明の他の目的は、比較的大きい正カールを有することができるプロテクトフィルム付偏光板枚葉体を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、比較的大きい正カールを有するプロテクトフィルム付偏光板枚葉体を与えることができる長尺状プロテクトフィルム付偏光板を提供することにある。
[1] 下記式(I)を満たす領域を含むプロテクトフィルムを偏光板の片面に貼合して、プロテクトフィルム付偏光板を得る工程と、
プロテクトフィルム付偏光板の枚葉体を前記領域から切り出す工程と、
を含むプロテクトフィルム付偏光板枚葉体の製造方法。
TD弾性率−MD弾性率≧300MPa (I)
[式中、TD弾性率とは、温度23℃、相対湿度55%RHでのTD方向における引張弾性率であり、MD弾性率とは、温度23℃、相対湿度55%RHでのMD方向における引張弾性率である。]
[2] 前記偏光板と前記プロテクトフィルムとを一対のロール間に挟み込んで貼合する[1]に記載の製造方法。
[3] 前記偏光板が長尺状であり、前記プロテクトフィルムが長尺状である[2]に記載の製造方法。
[4] 前記偏光板の貼合前張力が200N/m以下であり、
前記プロテクトフィルムの貼合前張力が300N/m以上である[3]に記載の製造方法。
[5] 前記偏光板の吸収軸と、前記プロテクトフィルムのMD方向とが平行となるように貼合する[1]〜[4]のいずれかに記載の製造方法。
[6] 前記偏光板の厚みが70μm以下である[1]〜[5]のいずれかに記載の製造方法。
[7] 偏光板と、その片面に積層されるプロテクトフィルムとを含み、
前記プロテクトフィルムが、下記式(II)を満たすプロテクトフィルム付偏光板枚葉体。
第1弾性率−第2弾性率≧300MPa (II)
[式中、第1弾性率とは、温度23℃、相対湿度55%RHでの前記偏光板の吸収軸と直交する方向における引張弾性率であり、第2弾性率とは、温度23℃、相対湿度55%RHでの前記偏光板の吸収軸と平行な方向における引張弾性率である。]
[8] 前記偏光板側の面を凸とする前記偏光板の吸収軸と平行な方向におけるカール量が40mm以上である[7]に記載のプロテクトフィルム付偏光板枚葉体。
[9] 前記偏光板の厚みが70μm以下である[7]又は[8]に記載のプロテクトフィルム付偏光板枚葉体。
[10] 長尺状の偏光板と、その片面に積層される長尺状のプロテクトフィルムとを含み、
前記プロテクトフィルムが、下記式(III)を満たす領域を含む長尺状プロテクトフィルム付偏光板。
第1弾性率−第2弾性率≧300MPa (III)
[式中、第1弾性率とは、温度23℃、相対湿度55%RHでの前記長尺状の偏光板の吸収軸と直交する方向における引張弾性率であり、第2弾性率とは、温度23℃、相対湿度55%RHでの前記長尺状の偏光板の吸収軸と平行な方向における引張弾性率である。]
[11] 前記領域が、前記プロテクトフィルムの幅方向全体にわたっている[10]に記載の長尺状プロテクトフィルム付偏光板。
比較的大きい正カールを有することができるプロテクトフィルム付偏光板枚葉体を提供することができる。
比較的大きい正カールを有するプロテクトフィルム付偏光板枚葉体を与えることができる長尺状プロテクトフィルム付偏光板を提供することができる。
図1を参照して、本発明に係るプロテクトフィルム付偏光板枚葉体の製造方法は、下記工程:
プロテクトフィルムを偏光板の片面に貼合して、プロテクトフィルム付偏光板を得る貼合工程S101、及び
プロテクトフィルム付偏光板の枚葉体を切り出す切出工程S102
を含む。以下、各工程について詳細に説明する。
本明細書において「枚葉体」とは、より大きいサイズのフィルム(例えば、長尺状(帯状)のフィルム)から切り出されたより小さいサイズのフィルムをいう。
(1−1)貼合工程S101に供される偏光板
(1−1−1)偏光板の構成
偏光板は、少なくとも偏光子を含む偏光素子であり、通常はその片面又は両面に貼合される熱可塑性樹脂フィルムをさらに含む。
熱可塑性樹脂フィルムは、偏光子を保護する保護フィルム、偏光子とは異なる光学機能を有する他の光学フィルム等であることができる。他の光学フィルムの例は、位相差フィルム、輝度向上フィルム等である。
熱可塑性樹脂フィルムは、その表面に積層される樹脂層(例えば光学層)を備えていてもよい。樹脂層の例は、ハードコート層、防眩層、反射防止層、帯電防止層、防汚層等である。
熱可塑性樹脂フィルムは、接着剤層又は粘着剤層を介して偏光子に貼合することができる。
偏光板の厚みは、通常20μm以上又は30μm以上である。
図2に示される偏光板2aは、偏光子10;偏光子10の一方の面に貼合される第1熱可塑性樹脂フィルム20;偏光子10の他方の面に貼合される第2熱可塑性樹脂フィルム30を備える。第1及び第2熱可塑性樹脂フィルム20,30は、例えば保護フィルムである。
貼合工程S101に供される長尺状の偏光板の長さは、例えば100〜20000mであり、好ましくは1000〜10000mである。また、貼合工程S101に供される長尺状の偏光板の幅は、例えば0.5〜3mであり、好ましくは1〜2.5mである。
偏光板を構成する偏光子10は、その吸収軸に平行な振動面をもつ直線偏光を吸収し、吸収軸に直交する(透過軸と平行な)振動面をもつ直線偏光を透過する性質を有する吸収型の偏光子である。偏光子10の一例は、一軸延伸されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムに二色性色素を吸着配向させた偏光子である。このような偏光子10は、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを一軸延伸する工程;ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを二色性色素で染色することにより二色性色素を吸着させる工程;二色性色素が吸着されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムをホウ酸水溶液等の架橋液で処理する工程;及び、架橋液による処理後に水洗する工程を含む方法によって製造できる。
ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度及び平均重合度は、JIS K 6726に準拠して求めることができる。
一方、正カールが十分に大きいプロテクトフィルム付偏光板枚葉体を製造しやすくする観点からは、偏光子10の厚みは大きいことが好ましく、具体的には、好ましくは10μm以上、より好ましくは15μm以上、さらに好ましくは20μm以上である。
第1及び第2熱可塑性樹脂フィルム20,30は、それぞれ独立して、透光性を有する熱可塑性樹脂、好ましくは光学的に透明な熱可塑性樹脂で構成されるフィルムである。第1及び第2熱可塑性樹脂フィルム20,30を構成する熱可塑性樹脂は、例えば、鎖状ポリオレフィン系樹脂(ポリプロピレン系樹脂等)、環状ポリオレフィン系樹脂(ノルボルネン系樹脂等)のようなポリオレフィン系樹脂;トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロースのようなセルロース系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートのようなポリエステル系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;メタクリル酸メチル系樹脂のような(メタ)アクリル系樹脂;ポリスチレン系樹脂;ポリ塩化ビニル系樹脂;アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン系樹脂;アクリロニトリル・スチレン系樹脂;ポリ酢酸ビニル系樹脂;ポリ塩化ビニリデン系樹脂;ポリアミド系樹脂;ポリアセタール系樹脂;変性ポリフェニレンエーテル系樹脂;ポリスルホン系樹脂;ポリエーテルスルホン系樹脂;ポリアリレート系樹脂;ポリアミドイミド系樹脂;ポリイミド系樹脂等であることができる。
例えば、上記材料からなる熱可塑性樹脂フィルムを延伸(一軸延伸又は二軸延伸等)したり、該フィルム上に液晶層等を形成したりすることにより、任意の位相差値が付与された位相差フィルムとすることができる。第1及び/又は第2熱可塑性樹脂フィルム20,30は、その表面に積層される、ハードコート層、防眩層、反射防止層、帯電防止層、防汚層のような表面処理層(コーティング層)を有していてもよい。
正カールが十分に大きいプロテクトフィルム付偏光板枚葉体を製造しやすくする観点からは、第1熱可塑性樹脂フィルム20や第2熱可塑性樹脂フィルム30の厚みは小さいことが好ましく、具体的には、好ましくは40μm以下、より好ましくは30μm以下である。
上述のように、第1、第2熱可塑性樹脂フィルム20,30は、例えば接着剤層を介して偏光子10に貼合することができる。接着剤層を形成する接着剤としては、水系接着剤、活性エネルギー線硬化性接着剤又は熱硬化性接着剤を用いることができ、好ましくは水系接着剤、活性エネルギー線硬化性接着剤である。
(1−2−1)プロテクトフィルムの構成
プロテクトフィルムは、偏光板の表面を保護するためのフィルムであり、通常、例えば画像表示素子等にプロテクトフィルム付偏光板枚葉体が貼合された後に、粘着剤層を有する場合にはその粘着剤層ごと剥離除去される。したがって、プロテクトフィルム1は、偏光板2の上記表面に剥離可能に貼合されている。
基材フィルムは、熱可塑性樹脂、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;(メタ)アクリル系樹脂などで構成することができる。基材フィルムは、単層構造であってもよいし多層構造であってもよい。
粘着剤層は、(メタ)アクリル系粘着剤、エポキシ系粘着剤、ウレタン系粘着剤、シリコーン系粘着剤等で構成することができる。
また、プロテクトフィルムは、ポリプロピレン系樹脂及びポリエチレン系樹脂等の自己粘着性を有する樹脂フィルムであってもよい。この場合、プロテクトフィルムは、粘着剤層を有しない。
貼合工程S101に供される長尺状のプロテクトフィルムの長さは、例えば100〜20000mであり、好ましくは1000〜10000mである。また、貼合工程S101に供される長尺状のプロテクトフィルムの幅は、例えば0.5〜3mであり、好ましくは1〜2.5mである。
貼合工程S101に供されるプロテクトフィルムは、下記式(I):
TD弾性率−MD弾性率≧300MPa (I)
を満たす領域を含む。
式(I)中、TD弾性率とは、温度23℃、相対湿度55%RHでのTD方向における引張弾性率(MPa)であり、MD弾性率とは、温度23℃、相対湿度55%RHでのMD方向における引張弾性率(MPa)である。
MD方向とは、フィルムの機械流れ方向、すなわちフィルムの長手方向を意味し、TD方向とは、MD方向に直交する方向を意味する。
上記の「該領域から枚葉体を切り出す」とは、切り出された枚葉体が有するプロテクトフィルムの全体が該領域に含まれていることを意味する。
MDカールは、具体的には、後述する実施例の項の記載に従って測定用サンプル(枚葉体)を長尺状プロテクトフィルム付偏光板から切り出し、該測定用サンプルを凹側の面を上にして水平な台の上に置いたとき、測定用サンプルの2つの対角線のうち、長尺状のプロテクトフィルム付偏光板のMD方向との角度が小さい方の対角線上の2つの角が持ち上がるようなカールとしてその大きさを測定することができる。長尺状のプロテクトフィルム付偏光板において偏光板の吸収軸方向とプロテクトフィルムのMD方向とが平行であるとき、MDカールは、測定用サンプルの2つの対角線のうち、測定用サンプルの偏光板の吸収軸方向との角度が小さい方の対角線上の2つの角が持ち上がるようなカール(吸収軸方向のカール)として測定することができる。
「TDカール」とは、プロテクトフィルム付偏光板枚葉体が切り出される長尺状のプロテクトフィルム付偏光板のTD方向と平行な方向の応力(収縮力、膨張力等)に起因して生じるカールである。
したがって、TD方向全体にわたって式(I)を満たすプロテクトフィルムは通常、そのプロテクトフィルム全体にわたって(すなわち、そのプロテクトフィルムのどの位置から測定用サンプルを採取しても)、式(I)を満たしているといえる。
図4を参照して、偏光板2とプロテクトフィルム1との貼合は、例えば一対のロール(貼合ロール)5,5を用いて行うことができる。この方法は、製造効率の観点から、偏光板2及びプロテクトフィルム1が長尺状である場合に特に有利である。
偏光板2のMD方向(搬送方向)とプロテクトフィルム1のMD方向(搬送方向)とは通常、平行である。平行とは、偏光板2のMD方向とプロテクトフィルム1のMD方向とのなす角度が0度±5度であることを意味し、好ましくは0度±2度である。
得られるプロテクトフィルム付偏光板枚葉体のMD正カールを大きくする観点から、偏光板2の吸収軸とプロテクトフィルム1のMD方向とが平行となるように両フィルムを貼合することが好ましい。平行とは、偏光板2の吸収軸とプロテクトフィルム1のMD方向とのなす角度が0度±5度であることを意味し、好ましくは0度±2度である。
偏光板2とプロテクトフィルム1との積層体を一対の貼合ロール5,5間に通すことにより、積層体は上下から押圧されるので、両フィルムが密着される。
偏光板2がその最表面にクリアハードコート層(表面が平滑なハードコート層)を有しており、該クリアハードコート層にプロテクトフィルム1を貼合する場合には、偏光板2とプロテクトフィルム1との間の密着力を高めやすく、これによりMD正カールが十分に大きいプロテクトフィルム付偏光板枚葉体が得られやすい傾向にある。したがって、偏光板2は、その最表面にクリアハードコート層(表面が平滑なハードコート層)を有することが好ましい。
同様の観点から、プロテクトフィルム1のMD方向における貼合前張力は、260N/m以上であることが好ましく、300N/m以上であることがより好ましい。
本工程は、貼合工程S101で得られたプロテクトフィルム付偏光板3における式(I)を満たす上記領域から切り出しを行って、プロテクトフィルム付偏光板枚葉体を得る工程である。
切り出し(裁断)は、裁断用カッター等の従来公知の裁断手段を用いて行うことができる。
上述のように、「領域から枚葉体を切り出す」とは、切り出された枚葉体が有するプロテクトフィルムの全体が該領域に含まれていることを意味する。
プロテクトフィルム付偏光板枚葉体は、好ましくは方形形状であり、より好ましくは長辺と短辺とを有する方形形状である。この方形形状は好ましくは長方形である。
プロテクトフィルム付偏光板枚葉体の形状が長方形である場合において、長辺の長さは、例えば50mm〜300mmであり、好ましくは70mm〜150mmである。短辺の長さは、例えば30mm〜200mmであり、好ましくは40mm〜100mmである。
一般に、プロテクトフィルム付偏光板枚葉体のサイズが大きくなると、MD正カールを生じさせにくい傾向にある。したがって、プロテクトフィルム付偏光板枚葉体のサイズが大きい場合には、十分なMD正カール量を付与するために、式(I)の左辺をより大きくした方が好ましいことがある。
あるいは、プロテクトフィルム付偏光板枚葉体の形状が長方形である場合において、プロテクトフィルム付偏光板枚葉体をプロテクトフィルム側からみたとき、その長辺に対して偏光板の吸収軸方向(偏光板のMD方向)が平行となるように、又は90度の角度をなすように、プロテクトフィルム付偏光板3からプロテクトフィルム付偏光板枚葉体を切り出してもよい。
本発明に係るプロテクトフィルム付偏光板枚葉体は、偏光板と、その片面に積層されるプロテクトフィルムとを含み、プロテクトフィルムが、下記式(II):
第1弾性率−第2弾性率≧300MPa (II)
を満たす。
式(II)中、第1弾性率とは、温度23℃、相対湿度55%RHでの偏光板の吸収軸と直交する方向における引張弾性率(MPa)であり、第2弾性率とは、温度23℃、相対湿度55%RHでの偏光板の吸収軸と平行な方向における引張弾性率(MPa)である。
十分に大きいMD正カールを有するプロテクトフィルム付偏光板枚葉体によれば、その偏光板側に別の1以上の光学機能層等を積層して上述の多層構造体とした場合であっても逆カールを有しない状態(フラットな状態)又は正カールを有する状態を維持することができるため、プロテクトフィルム付偏光板枚葉体又は多層構造体を粘着剤層を介して画像表示素子に貼合する際、貼合ミスを生じたり、粘着剤層と画像表示素子との界面に気泡が混入したりする不具合を抑制することができる。
偏光板の吸収軸と直交する方向は、上述のプロテクトフィルム付偏光板枚葉体の製造方法によってプロテクトフィルム付偏光板枚葉体を製造する場合には、プロテクトフィルム及び偏光板のTD方向と同義である。
<プロテクトフィルム付偏光板枚葉体の製造方法>の項に記載した理由と同じ理由で、プロテクトフィルム付偏光板枚葉体において、偏光板の吸収軸と直交する方向全体にわたって式(II)を満たすプロテクトフィルムは通常、そのプロテクトフィルム全体にわたって(すなわち、そのプロテクトフィルムのどの位置から測定用サンプルを採取しても)、式(II)を満たしているといえる。
あるいは、プロテクトフィルム付偏光板枚葉体の形状が長方形である場合において、プロテクトフィルム付偏光板枚葉体をプロテクトフィルム側からみたとき、その長辺に対して偏光板の吸収軸方向が平行であってもよく、又は90度の角度をなしていてもよい。
偏光板2及びプロテクトフィルム1のより具体的な説明については、<プロテクトフィルム付偏光板枚葉体の製造方法>の項の記載が引用される。
本発明に係る長尺状プロテクトフィルム付偏光板は、長尺状の偏光板と、その片面に積層される長尺状のプロテクトフィルムとを含み、プロテクトフィルムが、下記式(III):
第1弾性率−第2弾性率≧300MPa (III)
を満たす領域を含む。
式(III)中、第1弾性率とは、温度23℃、相対湿度55%RHでの長尺状の偏光板の吸収軸と直交する方向における引張弾性率(MPa)であり、第2弾性率とは、温度23℃、相対湿度55%RHでの長尺状の偏光板の吸収軸と平行な方向における引張弾性率(MPa)である。
上記の「該領域から枚葉体を切り出す」とは、切り出された枚葉体が有するプロテクトフィルムの全体が該領域に含まれていることを意味する。
偏光板の吸収軸と直交する方向は、上述のプロテクトフィルム付偏光板枚葉体の製造方法の貼合工程S101を実施することによって長尺状プロテクトフィルム付偏光板を製造する場合には、プロテクトフィルム及び偏光板のTD方向と同義である。
<プロテクトフィルム付偏光板枚葉体の製造方法>の項に記載した理由と同じ理由で、長尺状プロテクトフィルム付偏光板において、偏光板の吸収軸と直交する方向全体にわたって式(III)を満たすプロテクトフィルムは通常、そのプロテクトフィルム全体にわたって(すなわち、そのプロテクトフィルムのどの位置から測定用サンプルを採取しても)、式(III)を満たしているといえる。
プロテクトフィルム付偏光板又は長尺状プロテクトフィルム付偏光板の偏光板側の面に、さらに別の1以上の光学機能層やセパレートフィルム(剥離フィルム)等を粘着剤層や接着剤層を介して積層してもよい。
光学機能層は位相差層等であってよく、光学機能層は、粘着剤層や接着剤層を介して偏光板側の面に積層することができる。
(株)ニコン製のデジタルマイクロメーター「MH−15M」を用いて測定した。
長尺状プロテクトフィルム付偏光板から長辺100mm×短辺25mmの長方形の小片をスーパーカッターを用いて切り出した。切り出しは、小片の長辺が長尺状プロテクトフィルム付偏光板のMD方向と平行になり、小片の短辺が長尺状プロテクトフィルム付偏光板のTD方向と平行になるように行った。この小片から偏光板を剥離し、得られたプロテクトフィルム単体の小片をMD弾性率の測定用サンプルとした。
また同様に、長尺状プロテクトフィルム付偏光板から長辺100mm×短辺25mmの長方形の小片をスーパーカッターを用いて切り出した。ただし、切り出しは、小片の長辺が長尺状プロテクトフィルム付偏光板のTD方向と平行になり、小片の短辺が長尺状プロテクトフィルム付偏光板のMD方向と平行になるように行った。この小片から偏光板を剥離し、得られたプロテクトフィルム単体の小片をTD弾性率の測定用サンプルとした。
MD弾性率の測定用サンプルの測定から算出された引張弾性率がMD弾性率、TD弾性率の測定用サンプルの測定から算出された引張弾性率がTD弾性率である。
以下、TD弾性率(第1弾性率)を単に「TD弾性率」といい、MD弾性率(第2弾性率)を単に「MD弾性率」という。
以下、TD弾性率−MD弾性率(第1弾性率−第2弾性率)を単に「弾性率差」という。
偏光板とプロテクトフィルムとを貼合するための一対の貼合ロールと、その上流側であって貼合ロールに最も近い一対のニップロールとの間を走行する偏光板及びプロテクトフィルムのフィルム張力〔N/m〕を、貼合ロールと貼合ロールに最も近い一対のニップロールとの間に設置されたテンション検出ロールを用いて測定し、MD方向における貼合前張力とした。
図6に示すように、得られた長尺状プロテクトフィルム付偏光板60から、プロテクトフィルム側から見たときに偏光板の吸収軸61が長辺及び短辺に対して45度となるように、長方形(長辺140mm×短辺70mm)の小片(枚葉体)をスーパーカッターを用いて切り出して、これをMDカール量の測定用サンプル70とした。測定用サンプル70の切り出しは、偏光板とプロテクトフィルムとを貼合した直後に、23℃、相対湿度55%の環境下で行った。
測定用サンプル70を凹側の面を上にして基準面(水平な台)上に置いた。この状態で測定用サンプル70の2つの対角線のうち、測定用サンプル70の偏光板の吸収軸方向との角度が小さい方の対角線上の2つの角80のそれぞれについて基準面からの高さを測定し、それら2つの角80の高さの平均としてMDカール量〔mm〕を求めた。
プロテクトフィルム側が凹となっている状態が正カールを有している状態であり、偏光板側が凹となっている状態が逆カールを有している状態である。下記の実験例1〜3では、いずれの測定用サンプル(プロテクトフィルム付偏光板枚葉体)も正カールを有していた。
(A)偏光子の作製
長尺のポリビニルアルコールフィルム〔平均重合度:約2400、ケン化度:99.9モル%以上、厚み:30μm〕を連続的に搬送しながら、乾式で約4倍に一軸延伸し、さらに緊張状態を保ったまま、40℃の純水に1分間浸漬した後、ヨウ素/ヨウ化カリウム/水の重量比が0.1/5/100の水溶液に28℃で60秒間浸漬した。その後、ヨウ化カリウム/ホウ酸/水の重量比が10.5/7.5/100の水溶液に68℃で300秒間浸漬した。引き続き、5℃の純水で5秒間洗浄した後、70℃で180秒間乾燥して、一軸延伸されたポリビニルアルコールフィルムにヨウ素が吸着配向された長尺状の偏光子を得た。偏光子の厚みは13μmであった。
上記(A)で得られた長尺状の偏光子を連続的に搬送するとともに、長尺状の第1熱可塑性樹脂フィルム〔日本製紙(株)製のクリアハードコートフィルムである商品名「COP25ST−HC」、環状ポリオレフィン系樹脂フィルム上にクリアハードコート層が形成されているフィルム、厚み:29μm〕及び長尺状の第2熱可塑性樹脂フィルム〔富士フィルム(株)製のトリアセチルセルロース(TAC)フィルムである商品名「ZRG20SL」、厚み:20μm〕を連続的に搬送し、偏光子と第1熱可塑性樹脂フィルムとの間、及び偏光子と第2熱可塑性樹脂フィルムとの間に水系接着剤を注入しながら、一対の貼合ロール間に通して第1熱可塑性樹脂フィルム/水系接着剤層/偏光子/水系接着剤層/第2熱可塑性樹脂フィルムからなる積層フィルムを得た。
引き続き、得られた積層フィルムを搬送し、熱風乾燥機に通して80℃、300秒間の加熱処理を行うことにより水系接着剤層を乾燥させて、長尺状の偏光板を得た。
上記の水系接着剤には、ポリビニルアルコール粉末〔日本合成化学工業(株)製の商品名「ゴーセファイマー」、平均重合度:1100〕を95℃の熱水に溶解して得られた濃度3重量%のポリビニルアルコール水溶液に架橋剤〔日本合成化学工業(株)製のグリオキシル酸ナトリウム〕をポリビニルアルコール粉末10重量部に対して1重量部の割合で混合した水溶液を用いた。得られた偏光板の厚みは62μmであった。
上記(B)で得られた長尺状の偏光板を連続的に搬送するとともに、セパレートフィルムが剥離された長尺状のプロテクトフィルム〔二軸延伸されたポリエチレンテレフタレート(厚み:38μm)に、(メタ)アクリル系粘着剤層(厚み:15μm)が積層された、藤森工業(株)製の商品名「AY−4212」〕を連続的に搬送し、これらを重ねて一対の貼合ロール間に通すことによりプロテクトフィルムと偏光板との積層体を上下から押圧して、長尺状プロテクトフィルム付偏光板を連続的に製造した。
プロテクトフィルムは、その粘着剤層を介して偏光板の第1熱可塑性樹脂フィルム(クリアハードコートフィルム)面に貼合した。
なお、貼合ロールによってプロテクトフィルムと偏光板との積層体に与えられた圧力(ニップ圧)は0.1MPaであった。このとき、偏光板のMD方向における貼合前張力は151N/mであり、プロテクトフィルムのMD方向における貼合前張力は327N/mであった。
プロテクトフィルム1〜3はそれぞれ、1300mmの幅(TD方向長さ)を有する。各プロテクトフィルムの弾性率の測定にあたっては、ある1つの任意のMD方向位置において、幅方向に沿って幅方向の一端から100mm、280mm、470mm、650mm、830mm、1020mm及び1200mmの計7点の位置で測定用サンプルを切り出し、これら7個の測定用サンプルのそれぞれについて、TD弾性率、MD弾性率及び弾性率差を求めた。これらの結果を、表1の「1」の欄に示す。上記ある1つの任意のMD方向位置からMD方向に沿って20mm離れた位置で上記と同様に7個の測定用サンプルを切り出し、これら7個の測定用サンプルのそれぞれについて、TD弾性率、MD弾性率及び弾性率差を求めた。これらの結果を、表1の「2」の欄に示す。上記ある1つの任意のMD方向位置からMD方向に沿って50mm離れた位置で上記と同様に7個の測定用サンプルを切り出し、これら7個の測定用サンプルのそれぞれについて、TD弾性率、MD弾性率及び弾性率差を求めた。これらの結果を、表1の「3」の欄に示す。
また、プロテクトフィルム1〜3の幅方向位置と弾性率差(表1の「1」の欄に記載した弾性率)との関係を示すグラフを図7に示す。
測定用サンプルを切り出す位置に関し、例えば「幅方向の一端から100mmの位置で測定用サンプルを切り出す」とは、幅方向の一端から100mmの位置と測定用サンプルの幅方向中心位置とが合致するように測定用サンプルを切り出すことを意味する。他の幅方向の一端からの位置についても同様である。
これに対して、長尺状のプロテクトフィルム3は、TD方向全体(長尺状の偏光板の吸収軸と直交する方向)にわたって、かつMD方向全体(長尺状の偏光板の吸収軸方向)にわたって式(I)及び(III)を満たす領域を含むが、この領域は、プロテクトフィルムの幅方向全体にわたっていない。すなわち、長尺状のプロテクトフィルム3は、幅方向の一端から、該一端から約700mmまでの領域においてのみ、式(I)及び(III)を満たす。
なお上述のように、ある1つの任意のMD方向位置において式(I)及び(III)を満たすプロテクトフィルムは通常、他のMD方向位置においても式(I)及び(III)を満たす。
図6に示すように、上記(C)で得られた長尺状プロテクトフィルム付偏光板から、プロテクトフィルム側から見たときに偏光板の吸収軸が長辺及び短辺に対して45度となるように、長方形(長辺140mm×短辺70mm)の小片(枚葉体)をスーパーカッターを用いて切り出して、プロテクトフィルム付偏光板枚葉体を得た。
実験例1〜3の長尺状プロテクトフィルム付偏光板はそれぞれ、1330mmの幅(TD方向長さ)を有する。各長尺状プロテクトフィルム付偏光板から得られたプロテクトフィルム付偏光板枚葉体のMDカール量の測定にあたっては、ある1つの任意のMD方向位置において、幅方向に沿って幅方向の一端から100mm、280mm、470mm、650mm、830mm、1020mm及び1200mmの計7点の位置でプロテクトフィルム付偏光板枚葉体を切り出し、これら7枚の枚葉体のそれぞれについて、MDカール量を測定した。7枚の枚葉体は、表1の「1」の欄に記載したプロテクトフィルムの弾性率差を測定するための測定用サンプルの切り出し位置の近傍から切り出した。結果を表2に示す。また、実験例1〜3の長尺状プロテクトフィルム付偏光板からプロテクトフィルム付偏光板枚葉体を切り出す幅方向位置と、切り出されたプロテクトフィルム付偏光板枚葉体のMDカール量との関係を示すグラフを図7に示す。
プロテクトフィルム付偏光板枚葉体を切り出す位置に関し、例えば「幅方向の一端から100mmの位置でプロテクトフィルム付偏光板枚葉体を切り出す」とは、幅方向の一端から100mmの位置とプロテクトフィルム付偏光板枚葉体の幅方向中心位置とが合致するようにプロテクトフィルム付偏光板枚葉体を切り出すことを意味する。他の幅方向の一端からの位置についても同様である。
実験例1〜3の長尺状プロテクトフィルム付偏光板から切り出されたプロテクトフィルム付偏光板枚葉体はいずれも正カールを有していた。したがって、測定されたMDカール量は、MD正カールの量である。
プロテクトフィルム3を用いた実験例3の長尺状プロテクトフィルム付偏光板から切り出された7枚のプロテクトフィルム付偏光板枚葉体のうち、長尺状プロテクトフィルム付偏光板の幅方向の一端から100mm、280mm、470mm及び650mmの位置で切り出された枚葉体は、偏光板に積層されているプロテクトフィルムに関して、式(II)を満たすが、830mm、1020mm及び1200mmの位置で切り出された枚葉体は、これを満たさない。
Claims (11)
- 下記式(I)を満たす領域を含むプロテクトフィルムを偏光板の片面に貼合して、プロテクトフィルム付偏光板を得る工程と、
プロテクトフィルム付偏光板の枚葉体を前記領域から切り出す工程と、
を含むプロテクトフィルム付偏光板枚葉体の製造方法。
908MPa≧TD弾性率−MD弾性率≧338MPa (I)
[式中、TD弾性率とは、温度23℃、相対湿度55%RHでのTD方向における引張弾性率であり、MD弾性率とは、温度23℃、相対湿度55%RHでのMD方向における引張弾性率である。] - 前記偏光板と前記プロテクトフィルムとを一対のロール間に挟み込んで貼合する請求項1に記載の製造方法。
- 前記偏光板が長尺状であり、前記プロテクトフィルムが長尺状である請求項2に記載の製造方法。
- 前記偏光板の貼合前張力が200N/m以下であり、
前記プロテクトフィルムの貼合前張力が300N/m以上である請求項3に記載の製造方法。 - 前記偏光板の吸収軸と、前記プロテクトフィルムのMD方向とが平行となるように貼合する請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
- 前記偏光板の厚みが70μm以下である請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法。
- 偏光板と、その片面に積層されるプロテクトフィルムとを含み、
前記プロテクトフィルムが、下記式(II)を満たすプロテクトフィルム付偏光板枚葉体。
908MPa≧第1弾性率−第2弾性率≧338MPa (II)
[式中、第1弾性率とは、温度23℃、相対湿度55%RHでの前記偏光板の吸収軸と直交する方向における引張弾性率であり、第2弾性率とは、温度23℃、相対湿度55%RHでの前記偏光板の吸収軸と平行な方向における引張弾性率である。] - 前記偏光板側の面を凸とする前記偏光板の吸収軸と平行な方向におけるカール量が40mm以上であり、
前記カール量は、偏光板の吸収軸が長辺及び短辺に対して45度の角度を有する長方形の測定用サンプルを基準面上に置き、測定用サンプルの偏光板の吸収軸方向との角度が小さい方の対角線上の2つの角のそれぞれについて基準面からの高さを測定したときの、それら2つの角の高さの平均として求められる請求項7に記載のプロテクトフィルム付偏光板枚葉体。 - 前記偏光板の厚みが70μm以下である請求項7又は8に記載のプロテクトフィルム付偏光板枚葉体。
- 長尺状の偏光板と、その片面に積層される長尺状のプロテクトフィルムとを含み、
前記プロテクトフィルムが、下記式(III)を満たす領域を含む長尺状プロテクトフィルム付偏光板。
908MPa≧第1弾性率−第2弾性率≧338MPa (III)
[式中、第1弾性率とは、温度23℃、相対湿度55%RHでの前記長尺状の偏光板の吸収軸と直交する方向における引張弾性率であり、第2弾性率とは、温度23℃、相対湿度55%RHでの前記長尺状の偏光板の吸収軸と平行な方向における引張弾性率である。] - 前記領域が、前記プロテクトフィルムの幅方向全体にわたっている請求項10に記載の長尺状プロテクトフィルム付偏光板。
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