JP6466317B2 - アルミニウム合金硬質箔及びその製造方法 - Google Patents

アルミニウム合金硬質箔及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、アルミニウム合金硬質箔(以下、適宜「硬質箔」という)及びその製造方法に関するものであり、詳細には、ピンホールの発生を抑制することができるアルミニウム合金硬質箔及びその製造方法に関するものである。
アルミニウム箔及びアルミニウム合金箔は、通常、5〜100μm程度の厚みであり、日用品、食料品、薬品等の包装用途、建築材、車両、船舶等の断熱用途、コンデンサ、基板等の電気機器用途といった用途に使用されている。
様々な用途の中でも、成形性を要求される用途として、軟質材としては、各種容器、電池パック等と広く使用されているが、硬質材としては、軽度のエンボス加工を施したフェンス等に使用されるにとどまる。
この理由は、アルミニウム箔及びアルミニウム合金箔の硬質材が加工性に乏しいからである。
なお、これまでにもアルミニウム材料の加工性については、様々な技術が提案されている。
例えば、特許文献1には、必須元素として、Si:0.180〜0.40mass%(以下、単に%と表記する)、Mg:0.70〜1.20%、Mn:0.70〜1.20%、Fe:0.30〜0.70%、Cu:0.10〜0.30%を含有し、残部Al及び不可避不純物よりなり、極限変形能を示すαの値が0.25以上であることを特徴とする口部カール曲げ加工性に優れたボトル缶用アルミニウム合金板が提案されている。
また、特許文献2には、Mgを5〜10wt%含有し、Fe−Al系およびMg−Si系晶出物の面積率が0.4%以下でかつ晶出物の平均粒径が2μm以下で、さらに極限変形能が0.58以上であることを特徴とする成形性に優れたアルミニウム合金板が提案されている。
特開2007−277589号公報 特開平07−150284号公報
特許文献1に提案された技術は、ボトル缶用のアルミニウム合金板として、口部カール曲げ加工性に優れ、特許文献2に提案された技術は、自動車のボディシート用のアルミニウム合金板として、伸びフランジ性や曲げ加工性等の成形性に優れる、とのことである。
特許文献1、2に記載されている板材とは異なり、本発明が対象とする箔は、前記のとおり5〜100μm程度の薄い製品であることから、薄くするために高い冷間圧延率で圧延する必要がある。そして、薄い箔を製造するに際して、通常、2枚の箔を重ねて圧延する重合圧延が施される。
この重合圧延によって箔を薄くする場合、2枚の箔が重合するマット面ではアルミニウム合金が自由に変形してしまうため、マット面が凹凸状の粗い面となるのは避け難い。また、重合圧延の潤滑性等の点からロールと箔との間には圧延油が供給されるため、箔の圧延面では、圧延油の存在に基づくオイルピットの発生は避け難い。そして、マット面の凹凸状の凹部分と圧延面のオイルピットの位置が一致する部分は、箔が薄くなってしまうため、この部分を起点にピンホールが発生してしまう可能性は非常に高い。
このように、重合圧延の原理上、重合圧延を施した箔におけるピンホールの発生は避け難かった。
そこで、本発明は、ピンホールの発生を抑制することができるアルミニウム合金硬質箔及びその製造方法を提供することを課題とする。
本発明者が箔の伸びについて鋭意研究を進めたところ、箔に対して高い圧延率の圧延を施すことによって伸びが減少しても、破断部近傍の伸び、すなわち局所的な伸びを大きくすることができれば、局所の破断に対して強くなることがわかった。その結果、箔に重合圧延を施すことによって、マット面の凹凸状の凹部分と圧延面のオイルピットの位置が一致し薄くなっている箇所が存在しても、ピンホールの発生を抑制できることがわかった。
加えて、箔の局所的な伸びを大きくすることができれば、箔の加工性も向上できることがわかった。
以上の事項に基づいて本発明を完成した。
すなわち、本発明に係るアルミニウム合金硬質箔は、Fe:0.80〜1.40質量%を含有し、残部がAl及び不可避的不純物であり、極限変形能をαとし、厚さをtmmとした場合に、α≧7.0×10−1×t+0.089を満たすことを特徴とする。
また、本発明に係るアルミニウム合金硬質箔は、t≦0.050を満たすことが好ましい。
また、本発明に係るアルミニウム合金硬質箔の製造方法は、所定の工程を含むことを特徴とする。
このアルミニウム合金硬質箔によれば、所定量のFeを含有し、極限変形能と厚さとが所定の関係式を満たすことから、局所的な伸びが大きくなり、ピンホールの発生を抑制することができる。
本発明に係るアルミニウム合金硬質箔は、合金成分の含有量を所定範囲とし、極限変形能と厚さとが所定の関係式を満たすことによって、局所的な伸びが大きくなり、ピンホールの発生を抑制することができる。
加えて、本発明に係るアルミニウム合金硬質箔は、局所的な伸びが大きくなり、加工性にも優れる。
また、本発明に係るアルミニウム合金硬質箔の製造方法は、前記のアルミニウム合金硬質箔を製造することができる。
アルミニウム合金硬質箔の極限変形能を算出するために箔表面にプリントしたスクライブドサークルの模式図である。なお、標点距離Lは短い方から2例のみ示している。 供試材2−4の極限変形能を算出するためのグラフである。
以下、本発明に係るアルミニウム合金硬質箔を実施するための形態について、詳細に説明する。
[アルミニウム合金硬質箔]
本実施形態に係る硬質箔は、所定量のFeを含有し、残部がAl及び不可避的不純物であり、合金成分の含有量を所定範囲とし、極限変形能と厚さとが所定の関係式を満たす。
なお、本実施形態に係る硬質箔の厚さは特に限定されないものの、例えば、5〜100μmであり、好ましくは80μm以下であり、さらに好ましくは50μm以下(0.050mm以下)である。また、本実施形態に係る硬質箔は、後記のとおり中間焼鈍を行わずに製造する直通材である。
以下、本実施形態に係る硬質箔の合金成分の含有量について数値限定した理由、極限変形能と厚さとの所定の関係式を設定した理由を説明する。
(Fe:0.70〜1.40質量%)
Feは、硬質箔の強度及び加工硬化挙動を制御するための成分であって、Al−Fe系金属間化合物を形成させるとともに、サブ組織(隣接する結晶粒同士の傾角が2°を超える粒界で囲まれた結晶粒組織)を微細にし、極限変形能の値を大きくするために添加する。Feの含有量が0.70質量%未満では、サブ組織が十分に微細化しない結果、極限変形能の値が十分に大きくならず、ピンホールの発生を十分に抑制することができないとともに、加工性も優れなくなる。一方、Feの含有量が1.40質量%を超えると、Al−Fe系の粗大な金属間化合物が形成される結果、極限変形能の値が十分に大きくならず、ピンホールの発生を十分に抑制することができないとともに、加工性も優れなくなる。
したがって、Feの含有量は0.70〜1.40質量%である。
なお、Feの含有量は、サブ組織を微細にし、極限変形能の値を大きくする観点から、好ましくは0.80質量%以上であり、より好ましくは0.90質量%以上である。また、Feの含有量は、粗大な金属間化合物の形成を抑え、極限変形能の値の低下を抑制する観点から、好ましくは1.30質量%以下である。
(残部:Al及び不可避的不純物)
本実施形態に係る硬質箔は、JISH4000:2014の合金番号8079や8021に規定される範囲内で、Fe以外の元素を不可避的不純物として含んでもよい。この不可避的不純物の元素として、具体的には、Si、Cu、Mn、Mg、Cr、Zn、Ti、Zr、V、Ni、Sn、In、Ga等が挙げられる。これらの元素の含有量は個々に、Si:0.2質量%以下、Cu:0.03質量%以下、Mg:0.01質量%以下(好ましくはMg:0.005質量%以下)、前記Si、Cu、Mg以外の元素の含有量は個々に0.05質量%以下、それら合計で0.15質量%以下に規制されることが好ましく、この範囲内であれば、不可避的不純物として含有される場合だけではなく、積極的に添加された場合であっても、本発明の効果を妨げない。
(極限変形能)
本実施形態に係る硬質箔のピンホールの発生を抑制するため、本実施形態では重要な指標として極限変形能に関する関係式を規定している。
この極限変形能は、例えば、JIS5号引張試験片において標点距離を50mmとして測定して算出する通常の伸びとは異なり、標点距離を0mmと想定した場合の伸び、つまり材料の局所的な伸びを示している。具体的には、極限変形能は、伸びフランジ加工試験を行う際に破断が予想されるフランジ先端部分の局所的な伸びを示している。
極限変形能は、φ=α・Lβ(φ:引張試験における標点距離Lにおける真ひずみ、α:極限変形能、β:破断近傍部のひずみ勾配)の式(1)を満たし、前記式(1)は、ln(φ)=ln(α)+βln(L)の式(2)のように表すことができる。そして、極限変形能は、標点距離L、真ひずみφを対数プロットした際の回帰曲線の切片より求めることができる。
なお、ここでの真ひずみは、公称ひずみの値を使用すればよい。
通常、硬質箔の伸びは、薄くなるほど小さくなり、例えば、厚さが0.050mm以下の硬質箔では5%以下となる。しかし、硬質箔の極限変形能の値を十分に大きくする、例えば、厚さが0.015mm程度で極限変形能を0.100以上とすることにより、局所的な伸びが大きくなり、ピンホールの発生を抑制することができる。
様々なサンプルを確認した結果、α≧7.0×10−1×t+0.089(α:極限変形能、t:厚さ(mm))を満たす場合に、硬質箔のピンホールの発生を十分に抑制できることが確認できた。
なお、極限変形能の値の上限については、特に限定されないものの、例えば0.400以下である。
なお、極限変形能は、前記したように、合金成分の含有量を所定範囲とするとともに、後記するように、均質化熱処理の温度を制御しつつ、冷間圧延工程、箔圧延工程において、大きな塑性ひずみを箔に付与することによって制御することができる。
本実施形態に係る硬質箔は、以上説明したとおりであるが、その他の明示していない特性等については、従来公知のものであればよく、前記特性によって得られる効果を奏する限りにおいて、限定されないことは言うまでもない。
[アルミニウム合金硬質箔の製造方法]
次に、本実施形態に係る硬質箔の製造方法を説明する。
本実施形態に係る硬質箔は、鋳造工程と、均質化熱処理工程と、熱間圧延工程と、冷間圧延工程と、箔圧延工程と、を含み、この順に行う。ただし、中間焼鈍は行わない。
以下、各工程について説明する。
(鋳造工程)
鋳造工程は、前記の成分組成であるアルミニウム合金を定法により溶解、鋳造して、アルミニウム合金鋳塊を作製する工程である。
(均質化熱処理工程)
均質化熱処理工程は、アルミニウム合金鋳塊を均質化熱処理する工程である。均質化熱処理は、鋳塊に熱間圧延を実施するために施されるものである。
均質化熱処理の均熱温度が400℃未満では、熱間圧延が困難となるとともに、微細な金属間化合物が形成され難い。一方、均熱温度が500℃を超えると、冷間圧延工程にてサブ組織の微細化が不十分となり、極限変形能の値が十分に大きくならないため、500℃以下が好ましい。
均質化熱処理の保持時間は短い方が好ましい。しかし、保持時間が2時間末満では、鋳塊の幅方向及び長さ方向の組織の均一性に欠けるとともに、微細な金属間化合物が形成され難い。一方、保持時間が24時間を超えると、経済性の観点から好ましくないとともに、微細な金属間化合物が成長し、サイズが大きく且つ密度が減少してしまう結果、極限変形能の値が十分に大きくならない。
したがって、均質化熱処理は、400〜500℃の均熱温度で2〜24時間保特することが好ましい。
なお、均質化熱処理の保持時間は、経済性の観点から20時間以下とするのが好ましく、鋳塊の幅方向及び長さ方向の組織の均一性をより向上させる観点から、4時間以上とするのが好ましい。
(熱間圧延工程)
熱間圧延工程は、均質化熱処理したアルミニウム鋳塊を熱間圧延して熱間圧延板とする工程であり、熱間粗圧延及び熱間仕上げ圧延を含む。
熱間圧延の条件は特に限定されないが、例えば、開始温度が400〜500℃とし、終了温度を390〜440℃とする熱間粗圧延と、終了温度が300℃以上であって、板厚を3mm以下(好ましくは2.5mm以下)とする熱間仕上げ圧延と、を施すという条件とすればよい。
(冷間圧延工程、箔圧延工程)
冷間圧延工程、及び箔圧延工程は、熱間圧延板を焼鈍することなく、冷間圧延、及び箔圧延を施して硬質箔とする工程である。そして、この冷間圧延工程、及び箔圧延工程では、熱間圧延板に大きな塑性ひずみを付与することによって、微細なサブ組織を増加させる。冷間圧延工程、及び箔圧延工程において施す圧延処理について、熱間圧延後の板厚をtmmとし、箔圧延後(言い換えると重合圧延前)の箔厚をtmmとした場合、ln(t/t)の値が4.0未満であると、材料中に十分な塑性ひずみを付与することができず、微細なサブ組織が十分に形成されない結果、極限変形能の値が十分に大きくならない。
したがって、冷間圧延工程、及び箔圧延工程において施す圧延処理は、熱間圧延後の板厚をtmmとし、箔圧延後の箔厚をtmmとした場合、ln(t/t)の値が4.0以上となる条件で行うのが好ましい。
(その他の工程)
本実施形態に係る硬質箔の製造方法は、以上に説明したとおりであるが、通常、箔圧延工程の後に重合圧延工程を設ける。
重合圧延工程は、箔圧延後の硬質箔を重合圧延する工程である。そして、重合圧延とは、箔圧延の最終パスにおいて箔を2枚重ねてロールに供給し、圧延するものである。
重合圧延の条件は特に規定されるものでなく、硬質箔が所望の箔厚になるまで圧延を行えばよい。重合圧延は、一例として、圧延率が30〜60%となる条件で行う。また、重合圧延後の箔厚は、一例として、5〜40μmである。
さらに、本実施形態に係る硬質箔の製造を行うにあたり、前記各工程に悪影響を与えない範囲において、前記各工程の間あるいは前後に、他の工程を含めてもよい。例えば、鋳塊を面削する表面平滑化工程や、板や箔の表面の異物を除去する異物除去工程や、各工程で発生した不良品を除去する不良品除去工程等を含めてもよい。
また、前記各工程において、明示していない条件については、従来公知の条件を用いればよく、前記各工程での処理によって得られる効果を奏する限りにおいて、その条件を適宜変更できることは言うまでもない。
次に、本発明に係る硬質箔について、本発明の要件を満たす実施例と本発明の要件を満たさない比較例とを比較して具体的に説明する。
[供試材作製]
表1、2に示す組成のアルミニウム合金を溶解し、500mm厚に半連続鋳造にて鋳造して表1、2に示す組成の鋳塊とした。この鋳塊に面削を施した後、均質化熱処理(温度:表1、2に示す、時間:4hr)を施し、表1、2に示す厚さまで熱間圧延を実施した。その後、表1、2に示す加工率となるように冷間圧延、及び箔圧延を施し、供試材(硬質箔)を製造した。
なお、表1、2に「直通」と示しているものは中間焼鈍を施しておらず、これらの熱間圧延の終了温度は300〜330℃であった。一方、表1、2に「中鈍」と示しているものは冷間圧延の途中で中間焼鈍(420℃×4hr)を施しており、これらの熱間圧延の終了温度は270℃であった。そして、表1、2のln(t/t)の「t」については、「直通」と示しているものは熱間圧延終了時の板厚であり、「中鈍」と示しているものは中間焼鈍時の板厚であった。
[測定項目、評価項目]
(極限変形能)
極限変形能を求めるために、以下の引張強さ、及び伸びの試験を実施した。
引張強さ、及び伸びの試験は、軽金属協会規格LIS AT5に準じてB型試験片を用いて実施した。すなわち、硬質箔である供試材(表2については重合圧延前の箔)から、引張方向が圧延方向と平行になるように15mm幅×約200mm長さの短冊型試験片を切り出し、チャック間距離100mmを標点距離として実施した。試験には、Instron社製 5965 デュアルコラム卓上型試験システム(荷重容量5kN)を用い1kNレンジにて試験を行い、付属ソフトであるBluehillにて測定・解析を行った。
前記の引張強さ、及び伸びの試験前に、図1に示すような直径5mmのスクライブドサークルをプリントした。そして、試験後(供試材の破断後)に破断部を付き合わせ、破断部を中心とした標点距離Lに対する公称ひずみ(伸び)φを測定した。標点距離L及び公称ひずみφの測定については、三次元形状測定装置(株式会社ミツトヨ製、QSL2010/AFB)を用い、観察倍率30倍にてカーソルの位置合せを行い、ステージ移動により1μmの精度にて実施した。測定した値と前記式(2)のln(φ)=ln(α)+βln(L)とに基づき、極限変形能αを求めた。
なお、標点距離Lは、4.9748mm、12.460mm、19.1056mm、26.2174mm、33.3065mm、40.3317mm、47.4149mmとした。
詳細な極限変形能の算出方法について、供試材2−4を用いて説明する。
まず、前記の各標点距離Lにおける公称ひずみφ(=(試験後のL−試験前のL)/試験前のL)を算出した。そして、標点距離Lと公称ひずみφとを対数値に換算し、図2に示すようにプロットした。そして、図2の各プロットから最小二乗法によって回帰直線を求めた。その回帰直線の切片−2.4744がln(α)であることにより、αの値を求めた。
(伸びフランジ加工試験)
表1に示す厚さの箔に、4.00mmから6.70mmまで0.30mmピッチで10種類の穴径(d)の穴を開けた。穴開け金型のクリアランスは板厚+5μmとした。フランジ加工は、バーリング金型1、又はバーリング金型2を用い、適宜、潤滑を良くするために金型に鉱物油を塗布して実施した。
なお、バーリング金型1は、直径D:7.43mm、ポンチ形状:先端が円錐形状(円錐部高さ10mm)、ポンチ径:D−0.10mm、ダイス径:D+0.10mm、という構造のものであった。また、バーリング金型2は、直径D:6.10mm、ポンチ形状:先端が円錐形状(円錐部高さ10mm)、ポンチ径:D−0.10mm、ダイス径:D+0.10mm、という構造のものであった。
伸びフランジ加工率は、加工率(%)=100×(D−d)/dの式によって算出した。そして、穴径と金型の組合せにより、21.8%(加工性1点)、24.5%(加工性2点)、28.1%(加工性3点)、32.6%(加工性4点)、35.1%(加工性5点)、41.9%(加工性6点)、42.9%(加工性7点)、51.6%(加工性8点)の計8つの加工率の伸びフランジ加工を実施した。
各加工率の伸びフランジ加工を10箇所実施し、10箇所のうち7箇所以上に割れが認められない場合に、その加工率での加工が「問題なし」と判断した。
そして、各供試材について「問題なし」と判断した最も高い加工率での点数を「加工性の点数」とし、当該点数が5点以上の場合を加工性が「〇」と評価した。
(ピンホール評価)
表2に示す硬質箔である供試材を2枚重ねた状態で、6.0μmの厚さになるように重合圧延を施した。
前記した条件で重合圧延を施して得られた箔を、暗室にてライトボックスのガラス板上に置き、ガラスの下から800ルクス以上の光を当て、目視にて、1m当たりのピンホール数をカウントした。また、ピンホール数が100個/mを超える場合は、0.316m角(0.1m)当たりのピンホール数をカウントし10倍とした。
なお、ピンホール評価としては、50個/m以下を合格とした。
アルミニウム合金の成分、及び、測定項目、評価項目の結果を表1、2に示す。
Figure 0006466317
Figure 0006466317
[結果の検討]
まず、表1の供試材1−1、1−2については、本発明の規定する要件を満たしていることから、加工性に優れているとの結果となった。
一方、表1の供試材1−3〜1−7については、本発明の規定する要件を満たしていないことから、以下の結果となった。
供試材1−3、1−4については、極限変形能が本発明の規定する関係式を満たしていないことから、加工性が「×」との結果となった。
供試材1−5については、Feの含有量が少ないとともに、極限変形能が本発明の規定する関係式を満たしていないことから、加工性が「×」との結果となった。
供試材1−6、1−7については、Feの含有量が多いとともに、極限変形能が本発明の規定する関係式を満たしていないことから、加工性が「×」との結果となった。
次に、表2の供試材2−1、2−2については、本発明の規定する要件を満たしていることから、局所的な伸びが大きくなっていると想定され、その結果、ピンホールの発生が抑制できているとの結果となった。
一方、表2の供試材2−3、2−4については、極限変形能が本発明の規定する関係式を満たしていないことから、局所的な伸びが大きくなっていないと想定され、その結果、ピンホールの発生が抑制できていないとの結果となった。
供試材2−5については、Feの含有量が少ないとともに、極限変形能が本発明の規定する関係式を満たしていないことから、局所的な伸びが大きくなっていないと想定され、その結果、ピンホールの発生が抑制できていないとの結果となった。
供試材2−6については、Feの含有量が多かったために、圧延割れが発生してしまい、ピンホール評価を実施できなかった。
以上の結果より、本発明に係るアルミニウム合金硬質箔は、ピンホールの発生が抑制できるとともに、加工性にも優れることが確認できた。

Claims (3)

  1. Fe:0.80〜1.40質量%を含有し、残部がAl及び不可避的不純物であり、
    極限変形能をαとし、厚さをtmmとした場合に、α≧7.0×10−1×t+0.089を満たすことを特徴とするアルミニウム合金硬質箔。
  2. t≦0.050を満たすことを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム合金硬質箔。
  3. 請求項1又は請求項2に係るアルミニウム合金硬質箔の製造方法であって、
    アルミニウム合金鋳塊を作製する鋳造工程と、
    前記アルミニウム合金鋳塊を400〜500℃の均熱温度で2〜24時間保持する均質化熱処理工程と、
    前記均質化熱処理工程の後に熱間圧延を施し、板厚を2.5mm以下とする熱間圧延工程と、
    前記熱間圧延工程の後の板厚をt mmとし、箔圧延後の箔厚をtmmとした場合、ln(t /t)の値を4.0以上とする冷間圧延工程、及び、箔圧延工程と、を含み、
    中間焼鈍を行わないことを特徴とするアルミニウム合金硬質箔の製造方法。
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