以下、本発明を具体化した一実施形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態は、本発明の建物の屋根構造を、コンビニエンスストアの店舗として使用される建物に具体化したものである。
はじめに、建物10の全体概要について、図1〜図3を参照しつつ説明する。図1は建物10の構成を示す斜視図、図2は建物本体12の平面図であり、図3は建物10の屋根構造を示す側面図である。なお、図2において、(a)は外壁部17の状態を示し、(b)は柱21,22の配置を示している。いずれも屋根ユニット41,42を二点鎖線で示し、図2(b)の一点鎖線は外壁部17の位置を示している。
図1に示すように、建物10は、基礎11の上に設けられた建物本体12と、建物本体12の上に設けられた屋根13と、屋根13から建物正面の前方に向けて突出した庇部14とを有している。建物本体12は略直方体形状とされており、その外壁部17により囲まれた屋内空間16が建物本体12内に設けられている。
図2(a)に示すように、建物10の屋内空間16は、平面視において矩形状をなす外壁部17によって囲まれ、その全域が一つの大空間となっている。この大空間を利用して、商品販売のための売り場スペースや、倉庫や事務所等のためのバックヤードスペース等、店舗に必要なスペースが設けられる。
外壁部17には、屋外空間と屋内空間16とを連通する屋外出入口17aが設けられている。屋外出入口17aは、外壁部17における建物正面側に設けられており、屋外から屋内空間16への客や店員の出入りを可能としている。
図2(b)に示すように、建物本体12は、基礎11に立設されている複数の柱21,22を有している。それら柱21,22は、屋根13をその下方から支持している。柱21,22としては、外壁部17に沿って横並びに配置されたラチス柱21と、ラチス柱21同士の間に配置された間柱22とがある。ラチス柱21及び間柱22は、外壁部17と一体になっている壁付き柱とされており、外壁部17に沿って並んで設けられている。
なお、外壁部17のうち建物正面側には、嵌め殺し式の窓ガラスが複数設けられた窓ガラス領域(図示略)が設けられている。窓ガラス領域には、ラチス柱21が設けられておらず、隣り合う窓ガラスの間に間柱22が配置されている。また、屋外出入口17aは、窓ガラス領域において隣り合う間柱22の間に配置されている。
図1に戻り、屋根13は、建物正面側から奥側にかけて傾斜する片流れの傾斜屋根とされている。屋根13は、建物奥側に配置された第1屋根部31と、建物正面側に配置された第2屋根部32とを有し、それら第1屋根部31と第2屋根部32とが連結されることにより屋根13が形成されている。第1屋根部31の屋根面では、傾斜によって建物裏側の端部が下端とされ、第2屋根部32との境界側の端部が上端とされている。第2屋根部32の屋根面では、傾斜によって第1屋根部31との境界側の端部が下端とされ、建物正面側の端部が上端とされている。
第1屋根部31と第2屋根部32との境界部では、第2屋根部32の屋根面の上端が第1屋根部31の屋根面の上端よりも高い位置にあり、第1屋根部31の高さ寸法が第2屋根部32の高さ寸法よりも小さくなっている。そのため、両屋根部31,32の境界部では、屋根13に段差が生じた状態になっている。
この屋根13は、建物本体12の上において、屋根構造物Yと、その屋根構造物Yの屋根面に設けられた金属製の折板材43とを有して構成されている。このため、屋根13は折板屋根となっており、折板材43の折り目が片流れの傾斜に沿って延びる向きで設置されている。
屋根構造物Yは、略直方体形状に形成された複数の屋根ユニット41,42が、横並びに設けられることによって構成されている。屋根ユニット41,42は、フレーム構造部分の他、断熱材や折板材43の下に設けられる防水材等を有してユニット化されているが、ここではフレーム構造部分を中心に説明することとし、図示もフレーム構造のみとする。この屋根ユニット41,42は、第1屋根ユニット41と、第2屋根ユニット42とよりなる。
第1屋根ユニット41は、その長辺部同士を隣り合わせた状態で並べて設けられている。この実施の形態では、図2に示すように7つの第1屋根ユニット41が設けられている。その並べられた状態の各第1屋根ユニット41により、第1屋根ユニット構成部46が形成されている。第1屋根部31は、この第1屋根ユニット構成部46によって構成されている。
第2屋根ユニット42も、その長辺部同士を隣り合わせた状態で並べて設けられている。この実施の形態では、図2に示すように7つの第1屋根ユニット41が設けられている。その並べられた状態の各第2屋根ユニット42により、第2屋根ユニット構成部47が形成されている。第2屋根部32は、この第2屋根ユニット構成部47によって構成されている。
もっとも、第2屋根ユニット42に関しては、建物10の幅方向(屋根13の傾斜と直交する方向)の一端に設けられる一つの第2屋根ユニット42aは、その長手寸法が他の第2屋根ユニット42のそれよりも短く形成されている。このため、図1に示すように、この第2屋根ユニット42aが設けられた部分では、第2屋根部32が建物正面側から見て窪んだ状態となっている。
また、第1屋根ユニット41と第2屋根ユニット42とは、それぞれの長手方向が屋根13の傾斜方向に沿うようにして並べられている。これにより、両屋根ユニット41,42の長手方向の端面部分が互いに突き合わされ、その状態で、第1屋根ユニット41と第2屋根ユニット42とが連結されている。一つの第1屋根ユニット41と一つの第2屋根ユニット42とがこのように連結された状態のものを、一つの屋根ユニット体45とする。建物10の幅方向に沿って複数の屋根ユニット体45が並んで設けられた状態で一体化され、屋根13を構成する屋根構造物Yが形成されている。
なお、建物10の幅方向において、長辺部同士を隣り合わせて並べて配置された7個の第1屋根ユニット41の合計長さ寸法と、同じく長辺部同士を隣り合わせて並べて配置された7個の第2屋根ユニット42の合計長さ寸法とは同じとなっている。各屋根ユニット41,42の短手寸法は、このように長さ寸法が同じとなるように設定されている。
図3に示すように、第1屋根ユニット41及び第2屋根ユニット42により構成された屋根構造物Yは、基礎11に立設されたラチス柱21及び間柱22の上端部に設けられた上梁23に設置されている。上梁23はH形鋼により形成されており、上下方向に延びるウェブと、ウェブの上下に配置された一対の水平なフランジとを有している。このフランジの上に屋根構造物Yが設置されている。上梁23は、図2(a)に示した外壁部17に沿って延びるように設けられている。
次に、このように上梁23に設置された屋根構造物Yの躯体構成について図4〜図7を参照しつつ説明する。図4は第1屋根ユニット41及び第2屋根ユニット42を示す斜視図であり、図5は第1屋根ユニット41と第2屋根ユニット42との連結部分を拡大して示す側面図である。また、図6は、隣り合う各屋根ユニット41,42の連結部分を示す概略斜視図である。
図4に示すように、第1屋根ユニット41は、水平方向に延びる屋根トラス51,52を有するトラスユニットとされている。屋根トラス51,52は、平行弦トラスとされており、上下に対向配置された上弦材55及び下弦材56と、それら上弦材55及び下弦材56を連結する斜材57を有している。上弦材55、下弦材56及び斜材57は、それぞれ溝形鋼により形成されており、溝部の開放側を水平方向に向けて配置されている。
屋根トラス51,52のうち、第1屋根ユニット41の長手方向に沿って延びる長辺屋根トラス51は一対をなし、互いに平行に向き合うように設けられている。長辺屋根トラス51の上弦材55は、屋根13の傾斜に合わせて傾斜している。第1屋根ユニット41の短手方向に沿って延びる短辺屋根トラス52は、一対の長辺屋根トラス51の間に架け渡された状態でそれら長辺屋根トラス51を連結している。短辺屋根トラス52は、第1屋根ユニット41の長手方向に所定間隔で複数設けられている。長辺屋根トラス51の下弦材56、短辺屋根トラス52の上弦材55及び下弦材56は水平方向に延びている。
第1屋根ユニット41の四隅及び短辺屋根トラス52が設けられた部分には、それぞれ束材58が設けられている。四隅に設けられた各束材58は、長辺屋根トラス51において上弦材55と下弦材56とを連結している。束材58は、斜材57等と同様に鋼材としての溝形鋼によって形成されており、溝部の開放側を水平方向に向けて配置されている。第1屋根ユニット41では、屋根トラス51,52の上弦材55、下弦材56及び四隅に設けられた束材58により直方体形状の骨格(フレーム)が形成されている。
なお、斜材57及び束材58は、上弦材55及び下弦材56よりも屋根ユニット内側に配置されており、斜材57及び束材58の外側面が、上弦材55及び下弦材56の内側面に溶接等により固定されている。第2屋根ユニット42は、長手方向の長さが異なるだけで、その他の構成は第1屋根ユニット41と同じとなっている。
第1屋根ユニット41において、四隅に設けられた束材58のうち、第2屋根ユニット42が連結される側(建物正面側であって、図3ではその左側)に配置された一対の束材58aには、第1連結部材としての連結金具59がそれぞれ設けられている。
図5に示すように、連結金具59は、コ字状をなす板材により形成されている。連結金具59は、束材58aが延びる方向に沿って当該束材58aに取り付けられた基部59aを有している。基部59aの両端部には、第2屋根ユニット42側に向けて水平方向に突出する取付片部59bが設けられている。この取付片部59bが第2屋根ユニット42の四隅に設けられた束材58のうち、第1屋根ユニット41と連結される側に配置された束材58bに取り付けられている。このようにして第1屋根ユニット41の各束材58aと、第2屋根ユニット42の各束材58bとが連結金具59によって連結され、長手方向に沿って並ぶ第1屋根ユニット41と第2屋根ユニット42とが、一つの屋根ユニット体45として一体化されている。
それに加え、隣り合う屋根ユニット体45について、第1屋根ユニット41及び第2屋根ユニット42の各角部が集まった部分に、第2連結部材としての連結プレート61が設けられている。各角部が集まった部分とは、図2(a)に示すように、第1屋根ユニット構成部46と第2屋根ユニット構成部47との境界線と、屋根ユニット体45同士の境界線とが交差する交差部分Cである。この交差部分Cのすべてに、図2(b)に示すように連結プレート61が設けられている。
図6に示すように、この連結プレート61は各屋根ユニット41,42の下面側に当接した状態で設けられている。連結プレート61は、四角形状をなす板状に形成されている。連結プレート61は、その一対の辺において下方に延設されたフランジ62が設けられており、このフランジ62により連結プレート61の強度が補強されている。
連結プレート61の上面は、各屋根ユニット41,42の角部が載置される載置面63となっている。平面部としての載置面63は、図に一点鎖線により仮想的に示すように4つの載置領域S1〜S4に区分されている。各載置領域S1〜S4は、載置面63を4等分することにより形成され、各屋根ユニット41,42の角部が載置される領域となっている。
第1載置領域S1及び第2載置領域S2は、屋根13の傾斜方向に並んで設けられ、第1屋根ユニット体45aを構成する屋根ユニット41,42の各角部がそれぞれ載置される。より詳しくは、図5に示すように、屋根ユニット41,42の各角部を形成する束材58a,58b、長辺屋根トラス51の下弦材56及び短辺屋根トラス52の下弦材56により角部が形成され、これら載置領域S1,S2に載置される。
なお、束材58には、その下端に固定金物Kが設けられており、その固定金物Kを介して載置されている。このため、屋根ユニット41,42の角部が載置されるとしても、連結プレート61の載置面63に実際に当接しているのは、束材58a,58bの下端に設けられた固定金物Kとなる。
図6に戻って、第3載置領域S3及び第4載置領域S4は、屋根13の傾斜方向に並んで設けられ、第2屋根ユニット体45bを構成する屋根ユニット41,42の各角部がそれぞれ載置される。第2屋根ユニット体45bは、第1屋根ユニット体45aに隣接する屋根ユニット体45である。なお、図6では、第2屋根ユニット体45bの第2屋根ユニット42(第4載置領域S4に角部が載置されるもの)が省略されている。
載置面63の各載置領域S1〜S4には、それぞれ連結用孔64が設けられている。各屋根ユニット41,42の角部が載置面63に載置された状態で、図5に示すように、連結用孔64に挿通されたボルト65を用いて、連結プレート61に各屋根ユニット41,42の角部が連結される。より詳しくは、束材58の下端部に設けられた固定金物Kが載置面63に載置された状態で、固定金物Kと連結プレート61とがボルト65により連結される。
以上のように、複数の第1屋根ユニット41と複数の第2屋根ユニット42とが一体化されて屋根構造物Yが形成され、前述したように、それが上梁23によって支持されている。その上梁23による支持に関し、図3に示すように、第1屋根ユニット41に設けられた四隅の束材58のうち、第2屋根ユニット42が連結される側とは反対側(建物奥側であって、図3の右側)に配置された一対の束材58cが上梁23に載置されている。この場合、束材58cには、その下端部に前記固定金物K(図5参照)と同様の固定金物(図示略)が設けられており、この固定金物(図示略)を介して上梁23のフランジに載置され、ボルト等の固定具を用いて固定されている。このようにして、屋根構造物Yのうち、建物奥行方向の一端側(建物奥側)が支持されている。
一方、建物奥行方向の建物正面側では、第2屋根ユニット42のうち、長辺屋根トラス51の長手方向中間部であって、短辺屋根トラス52が設けられた部分の束材58dが上梁23に載置されている。この束材58dも、その下端部に設けられた固定金物(図示略)を介して上梁23のフランジに載置され、ボルト等の固定具を用いて固定されている。このようにして、屋根構造物Yのうち、建物奥行方向の建物正面側が支持されている。
このように建物正面側では、第2屋根ユニット42の長手方向中間部が上梁23によって支持される。そのため、図2(a)及び(b)に示すように、第2屋根ユニット42は、上梁23を支持する柱21,22を含んだ外壁部17よりも正面側に突出している。第2屋根ユニット42のこの突出部分が、建物10の庇部14となる。
続いて、以上のように構成された建物10の屋根構造物Yについて、その屋根構造物Yを構築する構築手順について説明する。
建築現場において基礎11を構築した後、工場から建築現場にラチス柱21や間柱22、上梁23などを運搬し、建築現場において建物本体12を構築する。そして、工場にて屋根ユニット41,42を予め製作しておき、屋根ユニット41,42をその工場から建築現場にトラック等にて運搬する。建築現場において屋根ユニット41,42を建物本体12の上に設置し、建物本体12に対して固定することで屋根13を構築する。なお、運搬に用いるトラックは10t車等の大型車両とすることが好ましい。
上記手順のうち、屋根ユニット41,42を連結して屋根構造物Yを設置する際の手順について、図7〜図9を参照しつつさらに説明する。図7は建物10を側面から見た状態において屋根構造物Yの構築手順を説明する説明図であり、図8は仮柱24を示す斜視図であり、図9は連結プレート61を取り付ける手順を説明する説明図である。図7及び図9の(a)〜(d)は、いずれも施工の段階を示している。図9における一点鎖線は、屋根ユニット41,42の角部を示している。
図7(a)に示すように、屋根構造物Yを構築する前に、建物10の基礎11に、柱21,22を含む外壁部17を設置する。その柱21,22の上端部には、上梁23も設置する。これに加え、第1屋根ユニット構成部46と第2屋根ユニット構成部47との境界となる部分に、仮柱24を設置する。これにより、建物10の奥行方向に相対向する一対の外壁部17間、つまり平行な一対の上梁23(梁材)間に仮柱24が設けられる。この仮柱24は後に取り除かれるものであり、屋根構造物Yを構築する際に一時的に設置される。そのため、仮柱24は、ラチス柱21や間柱22とは異なり、基礎11に固定されていない。
図8に示すように、仮柱24は、第1柱部25と第2柱部26とを有している。第2柱部26は、第1柱部25と同じ軸線方向に延びて、当該第1柱部25の上に設けられている。第1柱部25と第2柱部26との間には、ネジ軸部27が設けられている。第1柱部25に取り付けられたハンドルHを回転させることによりネジ軸部27が回転し、それにともなって第2柱部26が上下方向に移動するように構成されている。この第2柱部26の移動により、仮柱24の高さが変更可能となる。
第2柱部26の上端部には、十字状をなすプレート載置部28が設けられている。プレート載置部28の上面には、各端部に突起部29が設けられており、この突起部29を利用して、プレート載置部28に連結プレート61が載置される。図9(a)及び(b)に示すように、連結プレート61には、その四辺ごとの中央部に挿入孔66が設けられている。この挿入孔66に突起部29を挿入することで、プレート載置部28に載置された連結プレート61が、プレート載置部28から外れることを抑制している。
このように連結プレート61が上端部に設けられるとともに、屋根ユニット41,42の下端の高さに合わせて第2柱部26が上昇した状態となっている仮柱24が、図7(a)に示すように、基礎11に設置されている。仮柱24は複数本準備され、第1屋根ユニット構成部46と第2屋根ユニット構成部47との境界線と、屋根ユニット体45同士の境界線とが交差する交差部分C(図2(a)参照。)ごとに設置する。つまり、連結プレート61が設けられる部分ごとに仮柱24を設置する。
図7(a)に示すように、仮柱24が設置された状態で、次に、第1屋根ユニット41を設置する。第1屋根ユニット41をその長手方向が建物10の幅方向と直交する方向に向くようにし、建物正面側となる第2屋根ユニット42との連結側の端部を、仮柱24の連結プレート61上に載置する。この場合、隣接する一対の仮柱24の連結プレート61間に、第1屋根ユニット41の短辺部分が架け渡されるように、その短手方向両端の角部を各連結プレート61に載置する。一方、建物奥側となる端部は、柱21,22の上端部に設けられた上梁23の上に載置する。そして、建物正面側では、ボルト65を用いて連結プレート61とそこに載置された角部(より詳しくは束材58a)とを連結し(図5参照)、建物裏側では上梁23と束材58bとを同じくボルト等を用いて連結する。
次いで、図7(b)に示すように、第2屋根ユニット42を設置する。第2屋根ユニット42をその長手方向が建物10の幅方向と直交する方向に向くようにし、建物正面側では、束材58dを上梁23の上に載置する。その反対側となる建物奥側(第1屋根ユニット41との連結側)は、仮柱24の連結プレート61上に載置する。この場合、隣接する一対の仮柱24の連結プレート61間に、第2屋根ユニット42の短辺部分が架け渡されるように、その短手方向両端の角部を各連結プレート61に載置する。そして、建物正面側では、上梁23と束材58dとをボルト等で連結し、その反対の裏側では、連結金具59により第1屋根ユニット41と連結する。また、ボルト65を用いて連結プレート61とそこに載置された角部(より詳しくは束材58b)とを連結する(図5参照)。
これにより、図7(c)に示すように、第1屋根ユニット41と第2屋根ユニット42とは、その短辺部同士が互いに連結される。このようにして建物10の幅方向に各屋根ユニット41,42を順次設置する。その結果、図9(c)に示すように、屋根ユニット41,42の境界線が交差する交差部分Cにおいて、隣接する屋根ユニット41,42の各角部が連結プレート61によって連結される。なお、それら各角部は、仮柱24によって支持される被支持部に相当する。
続いて、図8(b)に示すように、ハンドルHを回転させて第2柱部26の位置を下げ、仮柱24の高さを低くする。これにより、図9(d)に示すように、屋根ユニット41,42に連結された連結プレート61を残し、プレート載置部28が連結プレート61から外れる。その後、図7(d)に示すように、基礎11に設置していた仮柱24を取り外せば、屋根ユニット41,42によって構築された屋根構造物Yが得られる。
以上詳述した本実施形態によれば、以下の優れた効果が得られる。
まず、上記の屋根構造物Yに関し、第1屋根ユニット41と第2屋根ユニット42との境界線と、屋根ユニット体45同士の境界線との交差部分Cのすべてに、連結プレート61が設けられている。そのため、第1屋根ユニット41と第2屋根ユニット42とが連結金具59によって連結されて屋根ユニット体45が構成されることに加え、連結プレート61により、交差部分Cにおいて互いに隣接し合う各屋根ユニット41,42の角部が連結される。これにより、屋根構造全体の強度が補強されることとなり、第1屋根ユニット構成部46と第2屋根ユニット構成部47との境界上に柱等を設け、その柱等によって境界部分を支える必要がなくなる。その結果、トラック等による輸送時の輸送制限を遵守しつつ、第1屋根ユニット41の長手方向に沿った奥行寸法が長くなった、より広い建物10の屋内空間16を確保することができる。
上記の屋根構造物Yでは、第1屋根ユニット41が、その長辺部同士を隣り合わせて並べて設けられるとともに、第2屋根ユニット42も、その長辺部同士を隣り合わせて並べて設けられている。そして、第1屋根ユニット41と第2屋根ユニット42とは、その短辺部同士が互いに連結され、屋根ユニット体45が構成されている。これにより、建物10の奥行寸法は、第1屋根ユニット41の長手寸法に加え、第2屋根ユニット42の長手寸法を合わせた長さを有することとなり、より一層広い屋内空間16を得ることができる。この場合、第2屋根ユニット42の長手方向の長さを、輸送制限の範囲内で任意に設定することができるため、所望の奥行寸法を有する屋内空間16を得ることができる。
上記の屋根構造物Yの屋根面は、建物正面側から裏側にかけて傾斜する片流れとなっている。そして、第2屋根ユニット42は第1屋根ユニット41の傾斜上部側、つまり、第1屋根ユニット41において高さ寸法がもっとも高い側に設けられている。一方、第1屋根ユニット41の傾斜下部側、つまり第1屋根ユニット41において高さ寸法がもっとも低い側が上梁23に載置され、外壁部17によって支持されている。このため、第1屋根ユニット41では、その高さ寸法が低くて比較的強度の弱い側が外壁部17によって支持される一方、高さ寸法が高く強度を確保できる側で、第2屋根ユニット42と連結され、連結プレート61を用いた屋根ユニット41,42同士の連結がなされている。片流れの傾斜において、第1屋根ユニット41の傾斜下部側に、より高さ寸法を低くする第2屋根ユニット42を設けた構成では、両屋根ユニット41,42を連結する部分での強度を確保しづらいのに対し、上記の構成によれば十分な強度を確保できる。
境界線の交差部分Cに設けられた連結プレート61は、第1屋根ユニット41及び第2屋根ユニット42に対し、その下側から装着されてそれらと連結されている。このため、トラス構造内で連結する構成に比べ、連結プレート61を設置する作業が容易となる。特に、交差部分Cを仮柱24で支えつつ屋根構造物Yを構築する場合には、その仮柱24の上端部に連結プレート61を設置して、連結プレート61の載置面63に各屋根ユニット41,42の角部が載置する。その状態で、連結プレート61と各屋根ユニット41,42とを連結するという手法を採用できる。これにより、連結プレート61と各屋根ユニット41,42との連結作業を行いやすい。
また、屋根構造物Yを構築する上記の施工方法に関して、交差部分Cのすべてにまず仮柱24が設けられる。この仮柱24により、第1屋根ユニット41及び第2屋根ユニット42がそれぞれ一時的に支持され、その状態で、連結金具59や連結プレート61を用いた屋根ユニット41,42間の連結が行われる。仮柱24は、その連結後に外される。これにより、第1屋根ユニット構成部46と第2屋根ユニット構成部47との境界部分に柱や内壁部のない屋根構造物Yを好適に構築することができる。
この場合に、連結プレート61は、その挿入孔66に、仮柱24の上端部に設けられた突起部29が挿入されただけの状態で、仮柱24に対して着脱自在に設けられている。その連結プレート61の上に、屋根ユニット41,42の各角部が載置される。それら各角部が連結プレート61に載置された状態で、連結プレート61と各角部とが連結されるため、連結作業が行いやすい。
また、仮柱24は第1柱部25と第2柱部26戸を有し、第2柱部26を上下に移動させて、仮柱24の高さを変更することが可能な構成となっている。そのため、仮柱24の高さ寸法を高い状態に設定し、その連結プレート61の載置面63に屋根ユニット41,42の各角部を載置してそれらを連結した後に、仮柱24の高さを低くすれば、各角部に連結された連結プレート61が残って仮柱24から外れる。これにより、高さが低くなってすでに屋根ユニット41,42を支持する状態ではなくなった仮柱24を容易に取り外すことができ、屋根構造物Yの構築を容易に行うことができる。
[他の実施形態]
本発明は、上記実施の形態で説明した内容に限定されるものではなく、例えば次のように実施されてもよい。
(1)上記実施の形態では、第1屋根ユニット41と第2屋根ユニット42とは、それぞれの短辺部同士をつなぎ合わせた状態で並べたが、第2屋根ユニット42をその長手方向が各第1屋根ユニット41の並び方向と平行になる向きで配置してもよい。図10に、その一例を示す。
この場合、第2屋根ユニット42は、第1屋根ユニット41同士の境界部を跨いだ状態となり、第1屋根ユニット41の長手方向と第2屋根ユニット42の長手方向とは直交する。そして、第2屋根ユニット42は、その短辺部分が、第1屋根ユニット41の傾斜方向に沿って傾斜するように形成されている。
そして、第1屋根ユニット41同士の境界線と、第1屋根ユニット構成部46と第2屋根ユニット構成部47との境界線とが交差する部分のすべてに、連結プレート61が設けられる。その連結プレート61が設けられた部分において互いに隣接し合う第1屋根ユニット41及び第2屋根ユニット42が、その連結プレート61と連結される。
また、第1屋根ユニット41の並び方向についても、上記実施の形態では建物10の幅方向を並び方向としたが、建物10の奥行方向を並び方向としてもよい。
(2)上記実施の形態では、屋根13を建物正面側から建物奥側にかけて傾斜する片流れの傾斜屋根としたが、屋根13の傾斜はこれと異なっていてもよい。例えば、図11(a)に示すように、切妻の傾斜屋根としてもよい。この場合、第2屋根ユニット42では、建物正面側の端部が屋根面の下端とされ、第1屋根ユニット41との境界側の端部が屋根面の上端とされている。
また、図11(b)に示すように、片流れの傾斜方向を逆とし、建物奥側から建物正面側に向けて片流れとなる傾斜屋根としたり、第1屋根部31と第2屋根部32との境界部分の段差をなくし、連続して傾斜する構成を採用したりしてもよい。
(3)上記実施の形態では、相対的に長手寸法が長い第1屋根ユニット41が建物奥側に、第2屋根ユニット42が建物正面側に設けられているが、上記図11(b)に示すように、これとは前後を逆にしてもよい。この場合、第1屋根ユニット41が建物正面側に、第2屋根ユニット42が建物奥側に設けられる。
(4)上記実施の形態では、屋根13を傾斜屋根としたが、その傾斜勾配を小さくして水勾配のレベルとし、そのような水勾配が設けられた陸屋根(フラットルーフ)としてもよい。
(5)上記実施の形態では、第1連結部材の例としてコ字状をなす連結金具59を用いたが、四角形状をなすものなど、他の構成を採用してもよい。また、第2連結部材の例として連結プレート61を用いたが、連結プレート61に代えて別の構成を採用してもよい。例えば、連結プレート61が設けられた交差部分Cに集まった4つの束材58の周囲を取り囲む連結用の金物を設け、それら各束材58をそれぞれ連結用の金物に固定することで一体化するようにしてもよい。
(6)上記実施の形態では、各屋根ユニット41,42は屋根トラス51,52を有する構成としたが、屋根トラス51,52を有していない構成としてもよい。例えば、十分な強度を有する梁材を設けた構成とすれば、屋根トラス51,52に代わる強度を確保することができる。また、各屋根ユニット41,42に設けられる折板材43は、建築現場で取り付けられるようにしてもよいし、ユニットとして工場で予め取り付けられた状態としてもよい。
このように屋根トラス51,52を有しない構成とした場合、連結プレート61の載置面63には、屋根ユニット41,42の角部を構成し、束材51a,58bに代わる柱状部が少なくとも載置されることになる。この柱状部の下端にも、束材51a,58bと同様、固定金物Kが設けられることが好ましい。
(7)上記実施の形態では、第2屋根ユニット42の長手寸法を第1屋根ユニット41のそれよりも短くしたが、第1屋根ユニット41と同じ長手寸法としてもよい。この場合でも、各屋根ユニット41,42の長手寸法は、輸送制限の範囲内に設定することが好ましい。
(8)上記実施の形態では、屋内空間16に柱や内壁部等が全く存在しない場合を例として説明したため、屋根構造物Yには、交差部分Cのすべてに連結プレート61が設けられている。建物10の間取りによっては、第1屋根ユニット構成部46と第2屋根ユニット構成部47との境界線上の一部に、柱や内壁部を設けてもよい。この場合、連結プレート61は、その柱や内壁部による支えのない交差部分Cにのみ設ければ足りる。屋根構造物Yの施工時に仮柱24が設置されるのも、その部分のみとなる。
(9)上記実施の形態では、屋根構造物Yを構築する手順として、第1屋根ユニット41を設置した後に、第2屋根ユニット42を連結し、さらにその後、建物10の幅方向に各屋根ユニット41,42を順次設置する方法を示した。これに代えて、第2屋根ユニット42を第1屋根ユニット41よりも先に設置してもよいし、複数の第1屋根ユニット41のみをすべて設置した後に、複数の第2屋根ユニット42を順次設置する手順又はその逆の手順を採用してもよい。
(10)上記実施の形態では、コンビニエンスストアの店舗として使用される建物10に具体化したものとして説明したが、建物10は、スーパー、商店、事務所等の他の用途に利用してもよい。