JP6465421B1 - 構造物変状検出装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 道路を含むあらゆる構造物のあらゆる箇所に生じたたとえ微小スケールの変状であっても容易に検出する構造物変状検出装置を提供する。
【解決手段】 構造物変状検出システムは、道路を走行しながら道路構造物及びその周囲の地形や形状を測定する測定車両10と、該測定車両10により測定された地形や形状に基づいて各種データを生成して、道路構造物の損傷の検出を実行する構造物変状検出装置20とを有して構成される。
【選択図】 図1

Description

本発明は、構造物変状検出装置に関し、特に、点群データを用いた構造物変状検出装置に関する。
我が国の道路建設は1956年以降本格化し、高度経済成長期にピークを迎えた。しかし、建設から年月が経過した現在においては老朽化が問題となっている。
特に舗装分野においては、近年、舗装の老朽化による路面変状に起因する事故発生確率が上昇しており、走行時の安全性に直結する問題であることから、その対応が急務となっている。
このように事故に結び付く危険性のある路面変状としては、ポットホール、わだち掘れ、平坦性の低下又はひび割れが挙げられる。
このうち、ポットホールは骨材が飛散することによる局所的な窪みであり、その上を車が走行することによりタイヤがパンクしたり、骨材が巻き上げられて車体に傷をつけたりするおそれがある。
このポットホールは微小スケールの路面変状であることから、慎重に路面状況を確認しなければ発見することが困難である。従って、現状では、路面確認の担当者が、パトロール車で低速で移動しながら、又は徒歩で現場目視調査を行う必要があり、効率化の面で問題を抱えている。
また、目に見えるまで劣化が顕在化していない微小なポットホールについては発見自体が不可能に近いものであった。
上記のような路面変状を検出する従来技術の1つとして、特許文献1が開示する構造体変状検知システムが提案されている。
特許文献1の構造体変状検知システムは、路面を走行する車両に、各車輪の車軸の振動を検知する車軸振動センサと、路面の変位をレーザ照射により検知する少なくとも2つの変位検知センサとを設けている。
特許文献1の構造体変状検知システムは、これら車軸振動センサ及び変位検知センサにより夫々検知された振動データ及び変位データに基づいて、特に路面のジョイント部に係る平坦性及び段差量を算出するというものである。
特開2018−4469
しかしながら、特許文献1の構造体変状検知システムは、検知対象が路面のジョイント部であり、その検知対象の存在自体は容易に確認できるものであり、ポットホールのような微小スケールの変状を検出するための構成を何ら備えていないことから、その検出が困難であるという問題がある。
例えば、車両の車輪が走行しない路面箇所にポットホールが存在する場合には、特許文献1の構造体変状検知システムは、そのポットホールに対応した振動を検知することができず、当該ポットホールを検出することが困難である。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、道路を含むあらゆる構造物のあらゆる箇所に生じたたとえ微小スケールの変状であっても容易に検出する構造物変状検出装置を提供する。
かかる目的を達成するため、本発明は、構造物表面の変状を検出する構造物変状検出装置であって、構造物及び地形を多数の点の集合である点群で表し、点群を構成する各計測点の空間座標を含む点群データを入力する点群データ入力部と、入力された点群データに基づいて構造物の表面に対して垂直方向の座標を抽出又は算出する構造物座標算出部と、構造物の表面に対して垂直方向の複数の座標が示す信号について短時間フーリエ変換を行い、信号を各角周波数の周期関数の和に変換するフーリエ変換処理部と、検出目的の変状の角周波数帯に含まれるフーリエ振幅スペクトルを抽出し、抽出したフーリエ振幅スペクトルが閾値以上である場合、検出目的の変状がある旨の情報を出力する変状検出部とを有し、フーリエ変換処理部は、構造物の表面上に描画された線上に位置する構造物の表面に対して垂直方向の複数の座標から、連続した所定数の座標の組を、組に含まれる連続した座標の組み合わせが互いに異なるように複数回抽出し、複数回抽出した所定数の座標の組が示す信号について短時間フーリエ変換を行い、複数回抽出された座標の組は、描画された線の始線側に隣接する組及び終線側に隣接する組と、座標が所定数共通することを特徴とする。
また、本発明は、構造物表面の変状を検出する構造物変状検出装置であって、構造物及び地形を多数の点の集合である点群で表し、点群を構成する各計測点の空間座標を含む点群データを入力する点群データ入力部と、入力された点群データに基づいて構造物の表面に対して垂直方向の座標を抽出又は算出する構造物座標算出部と、構造物の表面に対して垂直方向の複数の座標が示す信号について短時間フーリエ変換を行い、信号を各角周波数の周期関数の和に変換するフーリエ変換処理部と、検出目的の変状の角周波数帯に含まれるフーリエ振幅スペクトルを抽出し、抽出したフーリエ振幅スペクトルが閾値以上である場合、検出目的の変状がある旨の情報を出力する変状検出部とを有し、構造物座標算出部は、構造物の表面の検査領域を複数の微小領域に区画し、微小領域に含まれる点群の計測点の構造物の表面に対する垂直方向の座標の平均値である微小領域の代表値を構造物の表面に対して垂直方向の座標として微小領域ごとに算出することを特徴とする。
また、本発明によれば、変状検出部は、抽出したフーリエ振幅スペクトルの最大値が閾値以上である場合、検出目的の変状がある旨の情報を出力することを特徴とする。
また、本発明によれば、変状検出部は、抽出したフーリエ振幅スペクトルの平均値が閾値以上である場合、検出目的の変状がある旨の情報を出力することを特徴とする。
また、本発明によれば、構造物座標算出部は、構造物の表面の検査領域を複数の微小領域に区画し、微小領域に含まれる点群の計測点の構造物の表面に対する垂直方向の座標の平均値である微小領域の代表値を構造物の表面に対して垂直方向の座標として微小領域ごとに算出することを特徴とする。
また、本発明によれば、微小領域の代表値に基づいて段階的に彩色した画像データを生成することを特徴とする。
また、本発明によれば、構造物の表面上に描画された線上に位置する微小領域の代表値において、描画された線の始線側から順にi番目、i+a番目、i+b番目(1≦i≦n,0<a<b)の微小領域の代表値をhi 1,hi 2,hi 3とすると、変状検出部は、下記の式1に基づいてHiの値を算出し、
(式1)


算出したHiの値及び下記の式2に基づいて構造物の表面の平坦性σを算出することを特徴とする。
(式2)

また、本発明によれば、変状検出部は、算出した平坦性σ及び下記の式3に基づいて、IRIの値を算出することを特徴とする。
(式3)
IRI=1.33σ+0.24
なお、以上の構成要素の任意の組合せや、本発明の構成要素や表現を方法、装置、システム、コンピュータプログラム、コンピュータプログラムを格納した記録媒体などの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
本発明は、構造物表面の変状を検出する構造物変状検出装置であって、構造物及び地形を多数の点の集合である点群で表し、点群を構成する各計測点の空間座標を含む点群データを入力する点群データ入力部と、入力された点群データに基づいて構造物の表面に対して垂直方向の座標を抽出又は算出する構造物座標算出部と、構造物の表面に対して垂直方向の複数の座標が示す信号についてフーリエ変換を行い、信号を各角周波数の周期関数の和に変換するフーリエ変換処理部と、検出目的の変状の角周波数帯に含まれるフーリエ振幅スペクトルを抽出し、抽出したフーリエ振幅スペクトルが閾値以上である場合、検出目的の変状がある旨の情報を出力する変状検出部とを有するので、道路を含むあらゆる構造物のあらゆる箇所に生じたたとえ微小スケールの変状であっても容易に検出することが可能となる。
本発明の第1の実施の形態における構造物変状検出システムの構成を示す図である。 本発明の第1の実施の形態における測定車両の構成を示す図である。 本発明の第1の実施の形態における測定車両の外観を示す図である。 本発明の第1の実施の形態における構造物変状検出装置の構成を示す図である。 本発明の第1の実施の形態における情報格納部が格納するデータベースを示す図である。 本発明の第1の実施の形態における点群DBのデータ構成の一例を示す図である。 本発明の第1の実施の形態における構造物変状検出装置の機能ブロック図である。 本発明の第1の実施の形態における構造物情報提供システムによる全体動作の流れを示すフローチャートである。 本発明の第1の実施の形態における空間座標を平面に投影し平面座標を求めることを説明するための図である。 本発明の第1の実施の形態における点群データによる立体画像の表示例を示す図である。 本発明の第1の実施の形態における構造物変状検出装置によるコンターの作成動作の流れを示すフローチャートである。 本発明の第1の実施の形態におけるサンプルの領域指定の具体例を示す図である。 本発明の第1の実施の形態におけるメッシュを説明するための図である。 本発明の第1の実施の形態において構造物変状検出装置が作成したコンターの一例を示す図である。 本発明の第1の実施の形態における構造物変状検出装置による平坦性の算出動作の流れを示すフローチャートである。 本発明の第1の実施の形態における構造物変状検出装置が表示するコンターの一例を示す図であり、平坦性を算出する箇所が示されている。 本発明の第1の実施の形態におけるフーリエ変換を説明するための図である。 本発明の第1の実施の形態における構造物変状検出装置によるポットホールの検出動作の流れを示すフローチャートである。 本発明の第1の実施の形態における短時間フーリエ変換を用いたポットホールの検出方法を示す図である。 本発明の第1の実施の形態における短時間フーリエ変換を用いたポットホールの検出方法を示す図である。 本発明の第1の実施の形態における構造物変状検出装置による道路構造物の評価動作の流れを示すフローチャートである。 本発明の第1の実施の形態におけるAA値を用いた道路構造物における変状の評価動作の流れを示すフローチャートである。 本発明の第1の実施の形態におけるAA値とIRIの回帰直線の一例を示す図である。 本発明の第1の実施の形態におけるサンプルDBのデータ構成の一例を示す図である。 本発明の第1の実施の形態における構造物検査DBのデータ構成の一例を示す図である。 本発明の第1の実施の形態における変状評価DBのデータ構成の一例を示す図である。
<第1の実施の形態>
(第1の実施の形態の構成)
(1)構造物変状検出システムの全体構成
図1は、本発明の第1の実施の形態における構造物変状検出システムの構成を示す図である。以下、図を用いて、構造物変状検出システムの構成について説明を進める。
図に示すように、構造物変状検出システムは、道路を走行しながら道路構造物及びその周囲の地形や形状を測定する測定車両10と、該測定車両10により測定された地形や形状に基づいて各種データを生成して、道路構造物の損傷の検出を実行する構造物変状検出装置20とを有して構成される。
なお、本実施の形態において、道路構造物とは、道路及び道路周辺における建造物やその他構造物をいい、例えば、舗装、道路、ガードレール、中央分離帯、トンネル、橋脚等の構造体等をいう。
(2)測定車両10の構成
測定車両10は、道路を走行中又は停車中に、道路構造物及びその周囲の建造物や設置物について点群データを取得するとともに、撮影を行って画像データを取得する装置を搭載した車両である。
図2は、本発明の第1の実施の形態における測定車両10の構成を示す図であり、図3は、その測定車両10の外観を示す図である。
図2,3に示すように、測定車両10は、CPU等から構成され測定車両10における点群データ及び画像データの取得動作全体を制御する制御部11と、取得した点群データ及び画像データ等を格納する情報格納部12と、測定車両10の走行中又は停車中に道路周囲にレーザを照射するとともに、その反射光を受光して点群データを取得するレーザスキャナ13と、測定車両10の現在位置情報を取得するGPS(Global Positioning System)14と、測定車両10の車体の姿勢を示す情報を取得するIMU(Inertial Measurement Unit)15と、計時を行う計時部16と、道路及びその周囲の風景を撮影するカメラ17と、測定車両10の走行距離を計測するオドメータ18と、ネットワーク又は情報記録媒体と接続して情報の入出力を行う情報入出力部19とを有して構成される。
制御部11は、測定車両10全体の制御を司る処理部であり、例えば、CPU(Central Processing Unit)等の電子回路やFPGA(Field−Programmable Gate Array)等の集積回路により構成される。
制御部11は、情報格納部12から情報の読出しを実行するとともに、情報格納部12に情報の書込みを実行する。
情報格納部12は、例えば、ハードディスク、メモリ又は半導体素子等の情報を格納する装置である。
情報格納部12は、制御部11で実行するプログラムを記憶する領域や制御部11が処理を実行する際に一時的に使用する作業領域等(RAM等)を有する。
制御部11は、その情報格納部12に格納されているプログラムを読み出し、上記作業領域に展開して各種の処理を実行する。
本実施の形態において、測定車両10は、いわゆるモービルマッピングシステムの原理を利用して走行中又は停車中に道路及びその周囲の点群データを取得するものである。
測定車両10が道路を走行中又は停車中、レーザスキャナ13は、道路周囲の対象物(道路構造物、道路周囲の建造物・設置物を含む)にレーザを発射し、その反射光を受光する。このとき、レーザスキャナ13は、発射時・受光時の時刻を計時部16から取得するとともに、発射方向(角度)を検出して点群データを取得する。
また、情報格納部12にはレーザスキャナ13の測定車両10の車体との相対的な位置・照射角度・受光角度の関係等の情報が格納されており、測定車両10の現在位置に基づいて、レーザスキャナ13の現在位置及び姿勢等が特定可能に構成されている。
カメラ17は、上記レーザスキャナ13による点群データの取得と同時に、道路周囲の風景等をカラーで撮影し、画像データを取得する。
また、情報格納部12にはカメラ17の撮影角度、画角、測定車両10の車体との相対的な位置・角度の関係等の情報が格納されており、測定車両10の現在位置に基づいて、カメラ17の現在位置及び撮影角度(姿勢)等が特定可能に構成されている。
GPS14及びオドメータ18は、測定車両10の車体の現在位置を計測する。
IMU15は、ジャイロセンサと加速度センサとで構成され、測定車両10の車体の姿勢を計測する。ジャイロセンサは測定車両10の3軸方向xyzそれぞれの角速度を検出し、加速度センサは測定車両10の3軸方向xyzそれぞれの加速度を検出する。
IMU15は、測定車両10の3軸方向xyzそれぞれの角速度と加速度とを示すデータを慣性データとして生成する。慣性データには、計時部16から取得した検出時刻(取得時刻)毎に角速度と加速度とが設定されている。
上記取得された点群データ及び画像データは、情報格納部12に格納される。
格納後、情報入出力部19により上記点群データ及び画像データは構造物変状検出装置20に出力される。
(3)構造物変状検出装置20の構成
図4は、本発明の第1の実施の形態における構造物変状検出装置20の構成を示す図である。
構造物変状検出装置20は、道路管理事業者等により操作されるPC等の情報処理装置であって、上述した測定車両10から点群データを入力するとともに、これら入力した点群データに基づいて、ポットホール等の道路構造物の変状を検出するものである。
構造物変状検出装置20は、CPU等から構成され構造物変状検出装置20全体の動作を制御する制御部21と、入力した情報やネットワークを介して受信した情報等を格納する情報格納部22と、ネットワークを介して情報の送受信を行う通信部23と、ディスプレイ等から構成され情報を画面表示する表示部24と、キーやマウス等から構成され情報の入力等を行う操作部25とを有して構成される。
制御部21は、構造物変状検出装置20全体の制御を司る処理部であり、例えば、CPU等の電子回路やFPGA等の集積回路により構成される。
制御部21は、情報格納部22から情報の読出しを実行するとともに、情報格納部22に情報の書込みを実行する。
情報格納部22は、例えば、ハードディスク、メモリ又は半導体素子等の情報を格納する装置である。
情報格納部22は、制御部21で実行するプログラムを記憶する領域や制御部21が処理を実行する際に一時的に使用する作業領域等(RAM等)を有する。
制御部21は、その情報格納部22に格納されているプログラムを読み出し、上記作業領域に展開して各種の処理を実行する。
また、情報格納部22には、点群データと、点群データに関連するデータと、画像データ(後述のコンターを含む)と、地図データと、道路構造物について解析を行う解析用プログラム等が格納されている。
点群データとは、測定車両10がレーザスキャナ13により照射したレーザ光の反射光を受光した場合、その反射したと推定される位置に点状にモデル化した物体が存在したと認識したときの当該点(当該点を以下「計測点」という)の空間座標情報(X,Y,Z)を含む情報をいう。
その計測点の集合を点群といい、道路構造物やこれを構成する構成部品等の物体は点群で表現される。すなわち、道路構造物や構成部品の空間位置は、複数の点群データにより定めることができる。
点群データは、画面上では微小な点の集合である点群で表示される。あらゆる視点及び拡大縮小率での表示が可能であり、例えば、道路を走行する自動車の搭乗者の視点からの立体画像で表示することもできるし、垂直上方からの見た平面地図状の画像を表示することもできる。
画像データは、測定車両10がカメラ17により撮影した画像のデータであり、動画及び静止画を含む。
地図データは、位置情報(緯度経度等の座標情報、住所情報)を含む地図のデータであり、道路や建造物(道路構造物を含む)の位置が示されている。
解析用プログラムは、測定車両10から構造物変状検出装置20に入力された点群データに基づいて、道路構造物に生じた変状の検出について解析を行うプログラムであり、制御部21により実行される。
制御部21は、解析用プログラムを起動させて道路構造物の変状の解析を行う際に、後述の各データベースのデータ及びその他の情報を解析用プログラムに入力して解析処理を実行する。
図5は、本発明の第1の実施の形態における情報格納部22が格納するデータベースを示す図である。
図に示すように、情報格納部22は、測定車両10から取得した点群データを管理する点群DB(Data Base)221と、変状の検査を行う道路構造物のサンプルのデータを管理するサンプルDB222と、サンプルにおけるZ座標(穴の深さ)のフーリエ振幅スペクトルのデータを管理する構造物検査DB223と、各サンプルの変状を評価する指数を管理する変状評価DB224とを格納する。
図6は、本発明の第1の実施の形態における点群DB221のデータ構成の一例を示す図である。
図に示すように、点群DB221には、点群データとして、測定した各座標点の空間座標(X,Y,Z)と、その受光した反射光の光強度とがそれぞれ対応付けられて管理されている。
その他のサンプルDB222、構造物検査DB223及び変状評価DB224のデータ構成については後述する。
なお、構造物変状検出装置20は、一例としてPCであるとして説明を進めるが、いわゆるサーバ装置であってもよく、この場合、構造物変状検出装置20にはネットワークを介してPCや携帯端末等が接続される。
利用者はその端末を操作して、道路構造物の変状の検出結果の情報の取得要求を構造物変状検出装置20に送信し、構造物変状検出装置20は、その取得要求に応じて、検出した道路構造物の変状の検出結果の情報を上記端末へ送信し、当該端末はその検出結果の情報を画面上に表示する。
図7は、本発明の第1の実施の形態における構造物変状検出装置20の機能ブロック図である。
図に示すように、構造物変状検出装置20は、点群データを入力する点群データ入力部と、入力された点群データに基づいて道路構造物の表面に対して垂直方向の座標を抽出又は算出する構造物座標算出部と、構造物の表面に対して垂直方向の複数の座標が示す信号についてフーリエ変換を行い、信号を各角周波数の周期関数の和に変換するフーリエ変換処理部と、検出目的の変状の角周波数帯に含まれるフーリエ振幅スペクトルを抽出し、抽出したフーリエ振幅スペクトルが閾値以上である場合、検出目的の変状がある旨の情報を出力する変状検出部とを有する。
上記点群データ入力部の機能は、制御部21が通信部23を制御することにより実現される。
上記構造物座標算出部、フーリエ変換部及び変状検出部の機能は、制御部21が情報格納部22に格納されているプログラム及びデータを読出し演算を行うことにより実現される。
(第1の実施の形態の動作)
〔1〕動作の概略
図8は、本発明の第1の実施の形態における構造物情報提供システムによる全体動作の流れを示すフローチャートである。
図に示すように、まず、測定車両10は道路を走行しながら地形や構造物にレーザを照射させて測定を行い、点群データを取得する(ステップS1)。
次に、構造物変状検出装置20は、測定車両10により取得した点群データを格納するとともに、取得した点群データを用いてこれに関連するデータを生成する(ステップS2)。
次に、構造物変状検出装置20は、上記点群データを平面地図状又は立体画像状に表示させ、当該表示させた点群データから、変状検査対象の道路構造物に該当する地点又は領域を指定して、当該指定した地点又は領域をサンプルとして道路構造物の変状の検出を行う(ステップS3)。
以下、上記ステップS1〜3の各動作について詳細に説明する。
〔2〕点群データ等の取得(ステップS1)
(1)点群データの取得
以下、測定車両10が道路を走行中又は停車中に点群データを取得するときの動作について説明する。
測定車両10は、走行中又は停車中に、自車両に備えられているレーザスキャナ13を用いて、道路周囲にレーザを照射する。このとき、レーザの光軸は仰俯角及び方位角を変えることにより垂直方向及び水平方向に走査され、走査範囲内にて微小角度ごとにレーザパルスが発射される。そして、レーザスキャナ13は、その発射したレーザの反射光を受光する。
また、制御部11は、このレーザの発射時刻及び対象物の反射光の受光時刻を計時部16から取得し、このレーザの発射から反射光を受光するまでの時間に基づいてレーザスキャナ13と対象物との間の距離を計測する。
さらに、レーザスキャナ13は、受光した反射光の光強度を測定する。
また、測定車両10の走行中又は停車中には、レーザスキャナ13からレーザの発射方向の情報、GPS14又はオドメータ18により測定車両10の現在位置情報、IMU15により測定車両10の車体の姿勢を示す情報が、それぞれ取得される。
これら各情報は、計時部16により計時される時刻情報とそれぞれ対応付けられ、情報格納部12に格納される。
レーザスキャナ13の位置・姿勢は、測定車両10の位置・姿勢と一定の関係にあるから、制御部11は、測定車両10の位置・姿勢及びレーザの発射方向の情報に基づいて、レーザスキャナ13の位置・姿勢を求める。
制御部11は、上記レーザスキャナ13と対象物との間の距離、レーザスキャナ13の位置・姿勢を示す情報といった各情報に基づいて、レーザパルスを反射した対象物を構成する各座標点の空間座標(三次元座標)を表す点群データを算出する。
例えば、上記各座標点の座標の「1」が「10km」を示すといったように、座標は実際の距離と変換可能な数値であるものとする。
構造物変状検出装置20は、上記測定車両10の情報格納部12に格納されている点群データを測定車両10から取得すると、情報格納部22に格納する。
その取得方法は、特に限定しないが、例えば、構造物変状検出装置20と測定車両10とを有線又は無線のネットワークで接続し、構造物変状検出装置20の通信部23がネットワークを介して測定車両10から点群データを受信することにより取得するようにしてもよいし、構造物変状検出装置20が情報記録媒体の読取機能を備えており、点群データが書き込まれた情報記録媒体を読み取ることにより取得するようにしてもよい。
(2)点群データの立体画像化
構造物変状検出装置20は、上記のように取得された点群データを利用して、以下のように点群データによる立体画像を生成することができる。
図9は、本発明の第1の実施の形態における空間座標を平面に投影し平面座標を求めることを説明するための図である。
図に示すように、構造物変状検出装置20は、視点の座標を(Px,Py,Pz)としたときに、点群データの各座標点(X,Y,Z)を、投影座標点(x,y)に投影した座標を求める。
このようにして、構造物変状検出装置20は、点群データの各座標点(X,Y,Z)に基づいて、ある視点から見た風景の立体画像を生成することができる。
図10は、本発明の第1の実施の形態における点群データによる立体画像の表示例を示す図である。
図に示す例では、道路を走行する自動車の搭乗者に近い視点から見た風景の立体画像が点群により表現されており、道路管理事業者は、撮影画像と同様に、当該点群データによる風景画像を確認することにより、道路構造物等の状態を容易に把握することができる。
(3)点群データの平面地図化
また、上述のとおり、点群データの空間座標を平面に投影する際、地上垂直方向からの視点から見た任意の表示倍率の点群による画像を表示させることにより、当該点群の画像を通常の平面地図と同様に利用することもできる(以下、当該平面地図状に表される点群データを「点群地図情報」という)。
〔3〕点群データに関連するデータの生成(ステップS2)
(1)地図データと点群データの紐付け
上述のとおり、構造物変状検出装置20は、各地点に対して地図座標点の座標(X,Y)の情報が対応付けられている地図データを格納している。この地図座標点の各座標(X,Y)は点群データの各座標点(X,Y,Z)のXY座標と同一又は変換可能に設定されている。以下、本実施の形態では両座標のXY座標は一致しているものとして説明を進める。
構造物変状検出装置20は、各座標点の座標(X,Y)に基づいて、上記点群データと地図データとを紐付けて格納する。
これにより、構造物変状検出装置20は、地図データ上で地図座標点(X,Y)が指定されると、その地図座標点(X,Y)に紐付けられている点群データの座標点(X,Y,Z)を抽出し、その抽出した座標点(X,Y,Z)及びその座標点から所定距離内の各座標点(X,Y,Z)を含む点群データを表示することができる。
また、上記のとおり、本実施の形態における構造物情報提供システムにおいては、点群データと画像データの紐付けもされることから、各座標点の座標(X,Y)をキーにして、点群データ、画像データ及び地図データを紐付けすることができる。
このように、構造物変状検出装置20は、道路管理事業に係る各種データを各座標点の座標(X,Y)をキーにして紐付けして管理するので、各種データの総合窓口として道路管理事業における点検業務の効率化を支援し、例えば、地理情報システム(GIS:Geographic Information System)のプラットフォームとしての機能を果たすことができる。
〔4〕道路構造物の変状検出(ステップS3)
(1)コンターの作成動作
図11は、本発明の第1の実施の形態における構造物変状検出装置20によるコンターの作成動作の流れを示すフローチャートである。
以下、本図に沿って、構造物変状検出装置20による変状検出動作の1つである、コンターの作成動作について説明を進める。
コンターとは、任意の領域における点群データのZ座標(高さ方向の座標)を可視化した平面図を示す画像情報である。
まず、道路管理事業者は、構造物変状検出装置20の操作部25を操作して、点群データの立体画像又は平面画像あるいは点群データが紐付けられた地図データを表示部24上に表示させる(ステップS101)。
次に、操作者は、操作部25を用いて、表示部24上に表示させた画像上の所定の点を指定して、又は線で囲んで変状検出対象の道路構造物の領域を指定して、当該指定した領域を残すようにトリミング処理を行う(ステップS102)。
点群データはGPSとの統合による絶対座標が与えられる。
道路管理事業者は、上記トリミング処理を行う際、操作部25を操作して、変状検出対象の道路構造物の表面がXY平面となるように上記表示部24に表示されている画像をX,Y,Z軸周りに回転させる。
なお、地図データの場合は、そのまま回転させずにトリミングを行ってもよい。
また、道路管理事業者は、トリミング処理を行う際、操作部25を操作して、領域を指定すると、制御部21は、当該指定した領域内の点群データの絶対座標を用いて最小二乗法等により最小二乗平面を演算し、当該最小二乗平面を道路構造物の表面としてもよい。
この場合も同様に、道路管理事業者は、操作部25を操作して道路構造物の表面がXY平面となるようにX,Y,Z軸周りに回転させる。
また、最小二乗法によらず、その他の方法により道路構造物の表面を適宜設定してもよい。
上記X,Y,Z軸周りに回転による座標変換方法については、従来技術によるものとしてその説明は省略する。
当該指定した領域及びこれに含まれる点群データを以下、「サンプル」という。
このとき、制御部21は、サンプルIDを発行するとともに、当該サンプルIDに対応付けて、上記指定された領域の点群データの各座標点の座標(X,Y,Z)を複製してサンプルDB222に登録する。
図12は、本発明の第1の実施の形態におけるサンプルの領域指定の具体例を示す図である。
図に示すように、本実施の形態では、一例として、指定されたサンプルの領域は長方形状であり、その横幅は道路幅となっている。
次に、構造物変状検出装置20の制御部21は、上記のとおり領域を指定したサンプルを複数のメッシュに分割する(ステップS103)。
図13は、本発明の第1の実施の形態におけるメッシュを説明するための図である。
(a)はサンプルとメッシュの関係を示す図であり、(b)はメッシュの強度を説明するための図である。
メッシュとは、変状検査対象のサンプル(例えば、縦5m、横3.5mの道路の一部)を横n列、縦m列(n,mは正数)に区画した方形状の微小領域をいう。
ここで、図13の(a)を用いて、サンプルとメッシュの関係について説明する。
図には、変状検査対象のサンプルの領域が示されており、当該サンプルの領域には点群を構成する複数の計測点が位置している。
また、上記道路構造物の領域は、横5列、縦6列の30個の正方形状のメッシュに分割されている。
また、詳細な内容については後述するが、各メッシュの領域内に位置する1以上の点群の計測点の強度(Z座標値)に基づいて、各メッシュごとに強度が算出される。
メッシュの強度情報とは、各メッシュにおけるZ座標の代表値である強度を示す情報である。例えば、深く道路が削られて生じているポットホールが存在するメッシュは、浅く削られて生じているポットホールが存在するメッシュに比べて、深く削られている分、Z座標が大きくなるので、メッシュの強度も大きくなる。
このような強度の大きなメッシュには、事故を引き起こす可能性の高い深刻なポットホールがあると評価され得る。
図13の(b)には、各メッシュごとに強度が算出され、各強度に応じて異なる色に彩色されていることが示されている。
制御部21は、上記のとおりメッシュを生成したとき、サンプルの領域におけるメッシュの位置情報をそのサンプルのサンプルIDに対応付けてサンプルDB222に書き込む(ステップS104)。
次に、制御部21は、各メッシュ内の計測点の点群データのZ座標の平均値を、当該メッシュのZ座標の代表値として算出する(ステップS105)。
点群データの座標の値の基準の設定方法は特に限定しないが、本実施の形態では、一例として道路構造物の表面(路面等)にXY平面を設定し、Z軸を垂直下方向に設定する。従って、路面が削られてポットホールが生じている場合、深く削られれば削られるほど、そのポットホールの底面に位置するメッシュZ座標の値は、大きな値となる。
制御部21は、上記算出したメッシュのZ座標の代表値を該当するサンプルのサンプルIDに対応付けてサンプルDB222に書き込む(ステップS106)。
次に、制御部21は、サンプル領域内の各メッシュを上記メッシュのZ座標の代表値に基づいて彩色し(ステップS107)、上記彩色して生成したコンターを表示部24上に表示させる(ステップS108)。
以上で、コンターの作成動作が終了する。
図14は、本発明の第1の実施の形態において構造物変状検出装置20が作成したコンターの一例を示す図である。
本例におけるコンター作成の際の各メッシュの彩色方法としては、制御部21は、上記複数のメッシュのZ座標の代表値のうち、最低値のメッシュを完全な黒に彩色し、最高値のメッシュを完全な白に彩色する。また、その間の高い値のメッシュをから低い値のメッシュまで黒→白なるよう段階的(例えば、代表値が1mmごとに)にグレースケールで彩色を行う。
図に示すように、ポットホール等の路面変状が生じていると推測される個所は、黒く表示されている。
このように、構造物変状検出装置20が点群データのZ座標に基づいて彩色を行うことにより、道路管理事業者は、路面変状を容易に発見することが可能となる。
点群データはレーザ光が照射される位置を測定機会ごとに完全に再現することは困難である。その理由は、点群データは、同じ対象を二度測定しても、各測定でレーザ光の照射される位置がわずかに異なるため、路面のきめやわずかな異物の影響で数mm誤差が生じうることによる。
本実施の形態では、上記のとおり、サンプル領域を正方形のメッシュに分割したうえで、メッシュ内で各点のZ座標の平均値をとり、そのメッシュのZ座標の代表値としてコンターを作成するので、上記のようなレーザ照射の際の誤差を抑制することが可能となっている。
(2)平坦性及びIRIの算出動作
次に、構造物変状検出装置20による変状検出動作の1つである、点群データを用いた平坦性及びIRI(International Roughness Index)の算出動作について説明する。
平坦性とは路面の平坦を示す指標であり、その数値が小さな値であるほど平坦であって良好な路面状態であることを示し、これを以下、「平坦性が高い」と表記する。
反対に、平坦性の数値が大きな値であるほど路面に変状(凹凸)が生じており、路面状態が不良であることを示し、これを以下、「平坦性が低い」と表記する。
IRIとは、自動車で走行した際の「乗り心地」として舗装の平坦の程度を客観的に評価する世界銀行により提案された指標であり、数値が低いほど平坦で「乗り心地」の評価が高い。
図15は、本発明の第1の実施の形態における構造物変状検出装置20による平坦性の算出動作の流れを示すフローチャートである。
以下、本図に沿って説明を進める。
まず、道路管理事業者は、構造物変状検出装置20の操作部25を操作して、作成されたコンターを表示部24上に表示する(ステップS201)。
次に、道路管理事業者は、操作部25を操作して、コンター上の平坦性を算出する箇所を指定する(ステップS202)。
図16は、本発明の第1の実施の形態における構造物変状検出装置20が表示するコンターの一例を示す図であり、平坦性を算出する箇所が示されている。
本実施の形態では、一例として、従来の平坦性の算出手法に倣い、平坦性を測定する箇所は測定車線の中心線に沿って平行に選び、例えば図に示すように測定車線の中心線から側道方向に所定距離(1m程度)の箇所を右または左わだち底部としている。
制御部21は、上記指定された平坦性を算出する箇所(線)上に位置し、対応付けられているメッシュを抽出する(ステップS203)。
次に、制御部21は、上記抽出したメッシュのZ座標の代表値に基づいて平坦性の値を算出する(ステップS204)。
以下、その算出方法について具体的に説明する。
下記のように、平坦性の算出式は、従来のものを用いる。
まず、抽出した列に関して、始線側からi番目、i+a番目、i+b番目のメッシュのZ座標の代表値をそれぞれhi 1,hi 2,hi 3とする。ただし、1≦i≦n,0<a<bとする。
本実施の形態では、一例として、サンプルを構成するメッシュのサイズは5cm×5cmである。この場合において、一例として、a=29,b=59とすると、i+a番目のメッシュはi番目のメッシュから1.5mの地点、i+b番目のメッシュはi番目の点から3mの地点に位置する。
iはコンター内の縦方向のメッシュの数以下であり、例えば、縦方向のメッシュの数が105個の場合、上記のとおりa=29,b=59とすると、最大でi=46となる。
次に、制御部21は、下記の式1に上記hi 1,hi 2,hi 3を代入して、Hiを求める。
(式1)


次に、制御部21は、下記の式2に上記Hiを代入して、平坦性σを求める。
(式2)


次に、制御部21は、算出した平坦性σの値を、対応するサンプルのサンプルIDに対応付けて変状評価DB224に書き込む(ステップS205)。
次に、制御部21は、上記算出した平坦性σの値に基づいて、IRIを算出する(ステップS206)。
平坦性の値をIRIに変換する式として下記の式3を用いるが、あくまでも一例であり、他の計算式を用いてもよい。
(式3)
IRI=1.33σ+0.24
制御部21は、算出したIRIを、対応するサンプルのサンプルIDに対応付けて変状評価DB224に書き込む(ステップS207)。
制御部21は、算出した平坦性及びIRIを表示部24上に表示させる(ステップS208)。
道路管理事業者は、表示部24上に表示された平坦性及びIRIの値を確認して、当該コンター領域内の路面状況を容易に確認することができる。
以上説明したように、本実施の形態では、構造物変状検出装置20の制御部21は、点群データを用いてサンプル領域の平坦性及びIRIを算出し、表示するので、道路管理事業者は、道路等の道路構造物の設置場所にわざわざ赴き、計測するといった煩雑な作業を行うことなく、変状検出対象の道路構造物の状況等を容易に把握することが可能となる。
(3)ポットホールの検出動作
次に、時間周波数解析の技術を応用した、短時間フーリエ変換(STFT)を用いたポットホールの検出動作について説明する。
一般に、離散時間に関する短時間フーリエ変換は、下記の(式4)で示される。

(式4)


ここで、w(n)は窓関数、x(n)は変換される関数である。
そして、STFTx,w(n,ω)は時刻n、角度周波数ωのスペクトルを表現する複素数である。
図17は、本発明の第1の実施の形態におけるフーリエ変換を説明するための図である。
制御部21は、上記短時間フーリエ変換を用いることにより、図17の(a)に示すような元の信号を下記のように周期関数の和で表現することができ、図17の(b)及び下記の式5に示すように、角周波数ω1,ω2,ω3,・・・のフーリエ振幅スペクトル(フーリエ変換後の振幅の大きさ)を算出することができる。
(式5)
(元の信号)=(角周波数ω1のフーリエ振幅スペクトル)×(角周波数ω1の周期関数)+(角周波数ω2のフーリエ振幅スペクトル)×(角周波数ω2の周期関数)+(角周波数ω3のフーリエ振幅スペクトル)×(角周波数ω3の周期関数)+・・・・・・・
本実施の形態では、一例として変状検出対象の道路構造物の表面を路面とし、そのサンプル領域を路面の一部を長方形状にトリミングしたものとする。
ここで、その長方形状のサンプル領域の長辺方向を縦方向とし、路面においてこれに直交する方向を横方向とする。
なお、上述のとおり道路構造物の表面をXY平面に合わせた際に、縦方向をY軸、横方向をX軸に合せるようにしてもよい。
また、上記サンプル領域のメッシュは、サンプル領域を横n列、縦m列(n,mは正数)に区画した正方形状の微小領域であるとする。
制御部21は、サンプル領域において、連続したメッシュのZ座標の代表値を縦方向一列分抽出し、その抽出したメッシュのZ座標の代表値が表す路面上の凹凸を、上記「元の信号」として短時間フーリエ変換を行う。
そして、制御部21は、上記縦方向一列分の連続したメッシュのZ座標の代表値に対して短時間フーリエ変換を行って、各角周波数の周期関数の和で表し、フーリエ振幅スペクトルを算出する。
短時間フーリエ変換の結果、表される周期関数の各角周波数は、サンプル領域内の窪み(変状)の縦方向の幅に対応する。
構造物変状検出装置20の制御部21は、検出目的の変状の幅を示す角周波数の情報又はその変状の幅の情報が指定されると、当該指定された角周波数のフーリエ振幅スペクトルに基づいて、当該角周波数に対応する幅の変状、例えばポットホールを検出することができる。
これにより、道路管理事業者は、ポットホール等の変状のスケールが小さく、目視では発見が困難である変状についても容易に発見することが可能となる。
制御部21は、上記ポットホールに該当する周波数帯のフーリエ振幅スペクトルが所定値以上の場合、検査対象の道路構造物にポットホールが生じていると判断し、また、当該フーリエ振幅スペクトルに基づいて、ポットホールの規模(深さ)を判定することができる。
図18は、本発明の第1の実施の形態における構造物変状検出装置20によるポットホールの検出動作の流れを示すフローチャートである。
以下、本図に沿って、ポットホールの検出動作について説明する。
まず、道路管理事業者は、構造物変状検出装置20の操作部25を操作して、変状検出の対象のサンプルを選択する(ステップS301)。
次に、道路管理事業者は、操作部25を用いて、検出目的の変状のスケール情報及びサンプルのスケール情報を入力する(ステップS302)。
ここで、変状のスケール情報とは変状の検出方向(縦方向)の幅をいう。また、サンプルのスケール情報とは変状の検出方向(縦方向)の幅をいう。
本実施の形態では、一例として、検出目的の変状であるポットホールのスケール情報(最大値「50cm」、最小値「20cm」)、サンプル領域のスケール情報「5m」を入力する。
制御部21は、上記入力された検出目的の変状のスケール情報及びサンプルのスケール情報に基づいて、検出目的のポットホールの角周波数帯の情報を算出する(ステップS303)。
上記の例のとおり、ポットホールのスケール情報の最大値「50cm」、最小値「20cm」、サンプル領域のスケール情報「5m」と入力された場合、制御部21は、5m÷(50cm×2)÷5=1cycle/m,5m÷(20cm×2)÷5=2.5cycle/mと計算し、ポットホールの周波数帯として、1〜2.5cycle/mを算出する。
なお、本実施の形態では、制御部21が検出目的のポットホールの角周波数帯の情報を算出したが、道路管理事業者が、操作部25を用いて検出目的のポットホールの角周波数帯の情報を直接入力するようにしてもよい。
図19は、本発明の第1の実施の形態における短時間フーリエ変換を用いたポットホールの検出方法を示す図である。
図に示すように、メッシュの縦方向の1列分の強度(Z座標の代表値)を信号ととらえると、サンプル領域の縦方向の長さは約5mであり、各メッシュの縦方向の長さは5cmであるので、メッシュ縦方向1列分の強度は、100程度の点を持つ離散信号だとみなすことができる。
以下、サンプル領域におけるメッシュの縦方向の1列を「検査列」という。
図19の左側に示されているように、制御部21は、上記サンプルにおける検査列1列の100点のメッシュ強度のうち、信号の進行方向(縦方向)に連続したメッシュ強度を20点ずつ切り出す(抽出する)(ステップS304)。
以下、この切り出された20点のメッシュ強度の組を含む縦方向の列を「切り出し列」という。
制御部21は、このとき、切り出し開始位置を5点ずつずらし、互いに隣接する切り出し列同士15点ずつのオーバーラップが存在するようにする。
なお、上記検査列1列の点数(100点)、切り出し列1列の点数(20点)及びオーバーラップの点数(15点)はあくまで一例であり、これらの値に限定されないものとする。これらの点数は、計算効率や精度に鑑みて適宜変更される。
1つの切り出し列に含まれるメッシュの強度がp点であり、隣接する切り出し列とオーバーラップするメッシュの強度の点数がq点であり、始線側から1つ目の切り出し列の切り出し開始位置が始線側からr番目のメッシュである場合、n個目の切り出し列の切り出し開始位置は〔r+(p−q)×(n−1)〕番目のメッシュである。
例えば、1つの切り出し列に含まれるメッシュの強度が20点であり、隣接する切り出し列とオーバーラップするメッシュの強度の点数が15点であり、始線側から1つ目の切り出し列の切り出し開始位置が始線側から1番目のメッシュである場合、2つ目,3つ目,4つ目の切り出し列の切り出し開始位置はそれぞれ6,11,16番目のメッシュである。
上記のように、制御部21は、互いに隣接する切り出し列同士、所定数点ずつオーバーラップをとって切り出し列を生成するので、切り出し列の境界上にポットホール等の変状が位置した場合でも、当該変状を適切に評価することができる。
仮に、上記のようなオーバーラップをとって切り出さない場合には、切り出し列の境界上の変状は2分割され、スケールの小さな2つの変状とみなされてしまうが、本実施の形態ではこのような不具合を防止することが可能となっている。
なお、制御部21は、データ内の局所的な変動のみが周波数解析に反映されるようにするために、切り出す前に上記約100の信号に対してデトレンドを施して線形トレンドを除去するようにしてもよい。
次に、制御部21は、上記各切り出し列の各メッシュの強度を示す離散信号について、フーリエ変換を実行し、各切り出し列における各角周波数のフーリエ振幅スペクトルを算出する(ステップS305)。制御部21は、この各切り出し列における各角周波数のフーリエ振幅スペクトルの算出処理を、全ての検査列において実行する。
なお、このとき、制御部21は、切り出し列の20点の連続した信号に対して、角周波数方向の解像度を高めるため、ゼロパディングを施して、当該20点の信号の後部に所定数のの0を追加して、所定長の離散信号にしてからハミング窓にかけて短時間フーリエ変換を実行するようにしてもよい。
本例では、窓関数として、ハミング窓を用いたが、ハニング窓又はその他の窓関数を用いてもよい。
制御部21は、上記算出した全検査列の各切り出し列における各角周波数のフーリエ振幅スペクトルを構造物検査DB223に書き込む(ステップS306)。
次に、制御部21は、上記算出した各角周波数のフーリエ振幅スペクトルのデータに基づいて、ポットホールの検出画像のデータを生成し、表示部24上に表示させる(ステップS307)。
図19の右側には、ポットホールの検出画像の一例が示されている。
図に示すように、ポットホールの検出画像では、各切り出し列の各角周波数のフーリエ振幅スペクトルがフーリエ振幅スペクトルごとに異なる色で彩色され、道路管理事業者がサンプル領域内におけるポットホールの有無を容易に判断できるようになっている。
図の例では、ポットホールの検出画像は、横軸に角周波数をとっている。
ポットホールの検出画像では、切り出し列1列分の各角周波数のフーリエ振幅スペクトルが、彩色された各角周波数のフーリエ振幅スペクトルを示すバー状の画像の横方向1列に対応しており、これが全ての切り出し列分、始線側から終線側の順に縦方向に並べて表示している。
すなわち、本図の例では、ポットホールの検出画像には、切り出し列20列に対応して、20列の彩色された各角周波数のフーリエ振幅スペクトルを示すバー状の画像が縦方向に並べられて表示されている。
また、図に示すように、ポットホールの検出画像の左側上方には、ポットホールに対応する角周波数帯が矢印で示されている。
本図では、ポットホールの角周波数帯に、フーリエ振幅スペクトルの高い周波数域を示すが黒塗り部分があり、ポットホールが存在する可能性が高い。
図20は、本発明の第1の実施の形態における短時間フーリエ変換を用いたポットホールの検出方法を示す図である。
図の例では、各検査列で各角周波数のフーリエ振幅スペクトルが算出され、検査列ごとにポットホールの検出画像が示されている。
図に示すように、制御部21は、サンプル領域内の全検査列分、各角周波数のフーリエ振幅スペクトルを算出し、全検査列分、ポットホールの検出画像を生成し、表示部24上に表示させる。
道路管理事業者は、表示された各検査列のポットホールの検出画像において、ポットホールの角周波数帯におけるフーリエ振幅スペクトルを確認することにより、路面においてスケールが小さいために発見が困難であったポットホールの有無を容易に発見することができる。
(4)MA値を用いた道路構造物における変状の評価動作
上記のとおり、構造物変状検出装置20はポットホールの検出動作を行った後、その検出結果に基づいて変状の進行度を示す指標の値を計算し、その指標に沿って道路構造物の変状をさらに評価することができる。
図21は、本発明の第1の実施の形態における構造物変状検出装置20による道路構造物の評価動作の流れを示すフローチャートである。
以下、本図に沿って、道路構造物の評価動作について説明を進める。
まず、道路管理事業者は、構造物変状検出装置20の操作部25を操作して、MA値(Maximum Amplitude)の閾値を入力する(ステップS401)。
制御部21は、上記入力されたMA値の閾値を情報格納部22に書き込み、設定を行う。
MA値は、構造物検査データにおいて、サンプル内の全検査列の全切り出し列における、ポットホールの周波数帯(1〜2.5cycle/m)のフーリエ振幅スペクトルの最高値であり、単位は長さ(m)である。
MA値が高い場合には、正常な路面と比べて突出した変状、例えば深いポットホールがサンプリングした道路構造物の範囲内に存在することを示す。
道路管理事業者は、操作部25を用いて、上記MA値について任意の閾値を構造物変状検出装置20に設定すると、構造物変状検出装置20は当該閾値以上のMA値をもつポットホールについて表示を行う。
本実施の形態では、一例として、道路管理事業者は、操作部25を用いて、MA値の第1の閾値として検査対象の道路構造体の構成部位の厚さ程度、第2の閾値として一般的にポットホールとして認められる深さを入力し、構造物変状検出装置20に設定する。
例えば、道路構造物がアスファルト舗装の道路である場合、一般的に、道路の表層アスファルトの表層厚が0.04mであることから、上記第1の閾値を0.04mと設定してもよい。このように第1の閾値を設定することにより、ポットホールの深さがが基層まで達している可能性があるような危険なポットホールを検出することができる。
また、上記第2の閾値を0.02mと設定してもよい。このように第2の閾値を設定することにより、走行中の車両に悪影響を与えるようなポットホールを検出することができる。
次に、制御部21は、上記構造物検査データに基づいて、MA値を出力する(ステップS402)。
MA値は、構造物検査データにおいて、サンプル内の全検査列の全切り出し列における、ポットホールの周波数帯(1〜2.5cycle/m)のフーリエ振幅スペクトルの最高値である。
制御部21は、情報格納部22に格納される構造物検査データベースに管理されているサンプル内の全検査列の全切り出し列のポットホールの周波数帯のフーリエ振幅スペクトルを参照し、これらポットホールの周波数帯のフーリエ振幅スペクトルのうち、最大値を抽出してMA値として出力する。
次に、制御部21は、出力したMA値と、上記情報格納部22に設定されているMA値の第1,第2の閾値とを比較し、上記MA値が第1,第2の閾値以上であるか否かを判断する(ステップS403)。
そして、制御部21は、MA値が第1,第2の閾値以上であるか否かの判断結果の情報を表示部24上に表示する(ステップS404)。
例えば、ここで、表示部24は、各サンプルにおいて、第1の閾値以上のMA値のサンプルと、第1の閾値未満、第2の閾値以上のMA値のサンプルと、第2の閾値未満のMA値のサンプルとに分類し、各サンプルIDに対応付けられたコンターを情報格納部22から抽出し、各のコンターを区分して表示する。
道路管理事業者は、表示部24上に区分されて表示されたコンターを確認し、特に、第1の閾値以上のコンターに表示されているポットホールに関してはいち早く補修を実行するといった当該領域の補修計画等を検討することが可能となる。
(5)AA値を用いた道路構造物における変状の評価動作
上述したMA値を用いた変状の評価方法は、正常な路面と比べて極めて突出している変状、すなわち、正常な路面から深く削られて生じているポットホールを精度よく検出することができるというものであった。
これに対し、それほど路面が深く削られておらず、変状が道路構造物、例えば路面全体に広がっている場合、その変状を評価するためには、AA(Average Amplitude)値を用いるのが適切である。
AA値は、構造物検査データにおいて、サンプル内の全検査列の全切り出し列における、ポットホールの周波数帯(1〜2.5cycle/m)の全フーリエ振幅スペクトルの平均値であり、単位は長さ(m)である。
AA値が高い場合には、検査対象のサンプリングした道路構造物の範囲(路面)全体にポットホール等の変状が広がっていることを示す。
図22は、本発明の第1の実施の形態におけるAA値を用いた道路構造物における変状の評価動作の流れを示すフローチャートである。
以下、本図に沿って説明を進める。
まず、制御部21は、情報格納部22に格納される構造物検査DB223に管理されているサンプル内の全検査列の全切り出し列のポットホールの周波数帯のフーリエ振幅スペクトルを参照し、これらポットホールの周波数帯のフーリエ振幅スペクトルを抽出し、これら抽出したフーリエ振幅スペクトルの平均値をAA値として算出する(ステップS501)。
制御部21は、上記算出したAA値をサンプルIDに対応付けて情報格納部21内の変状評価DB224に書き込む(ステップS502)。
上記のように各サンプルごとにAA値を算出し、変状評価DB224に書き込まれたAA値が所定個数以上となった時点で、制御部21は、各サンプルのAA値と、これに対応付けられた同サンプルのわだちで計測されたIRI値とを抽出し、例えば最小二乗法等により回帰直線を生成する(ステップS503)。
図23は、本発明の第1の実施の形態におけるAA値とIRIの回帰直線の一例を示す図である。
図の例では、横軸にAA値、縦軸にわだちのIRIをとっている。
また、複数サンプルのAA値に対するIRIの点がプロットされており、これら複数の点に基づく回帰曲線が描画されている。
IRIでは、4以上が損傷を受けた舗装道と扱われるため、本例では、制御部21は、上記回帰直線に基づいて、IRI=4に対応するAA値=0.002(m)をAAの閾値と決定し、情報格納部22に書き込む(ステップS504)。
次に、道路管理事業者は、操作部25を操作して、AA値を用いて変状評価を行うサンプルを指定する(ステップS505)。
例えば、道路管理事業者は表示部24上に表示されたサンプルのリストから、操作部25を用いて該当するサンプルを単数又は複数選択して指定する。
制御部21は、上記AA値を用いて変状評価を行うサンプルの指定情報が入力されると、上記指定されたサンプルのAA値を情報格納部22の変状評価DB224から抽出するとともに、上記AA値の閾値を情報格納部22から抽出し、両者を比較し、指定したサンプルのAA値が閾値以上か否かを判断する(ステップS506)。
次に、制御部21は、AA値が閾値以上であるか否かの判断結果の情報を表示部24上に表示させて(ステップS507)、動作を終了する。
例えば、ここで、表示部24は、各サンプルにおいて、閾値以上のAA値のサンプルと、閾値未満のAA値のサンプルに分類し、各サンプルIDに対応付けられたコンターを情報格納部22から抽出し、閾値以上、閾値未満のAA値のコンターを区分して表示する。
道路管理事業者は、表示部24上に区分されて表示されたコンターを確認し、特に、閾値以上のコンターに関しては、当該領域の補修計画等を検討し、補修を実行することが可能となる。
(第1の実施の形態におけるデータベースについて)
図6に示すように、情報格納部22は、点群DB221と、サンプルDB222と、構造物検査DB223と、変状評価DB224とを格納する。
以下、このうち、サンプルDB222、構造物検査DB223及び変状評価DB224のデータ構成について説明を進める。
図24は、本発明の第1の実施の形態におけるサンプルDB222のデータ構成の一例を示す図である。
図に示すように、サンプルDB222には、サンプルに含まれる点群の点群データと、サンプルの領域を区分して生成された複数のメッシュの位置情報と、各メッシュの強度情報(Z座標の代表値)とが、サンプルの識別情報であるサンプルIDに対応付けられて管理されている。
上記メッシュについては後述する。
メッシュの位置情報は、サンプルの領域内における各メッシュ位置を示す情報である。
図14の例のように、サンプル領域に格子状に線が描画され、同サンプル領域が正方形状の同サイズのメッシュに区画されている場合には、例えば、メッシュの位置情報は、縦横の列の番号で示される。
図25は、本発明の第1の実施の形態における構造物検査DB223のデータ構成の一例を示す図である。
図に示すように、構造物検査DB223には、各サンプルの各検査列における各切り出し列に含まれる複数のメッシュの強度に基づいてフーリエ変換を行った結果、算出された各角周波数のフーリエ振幅スペクトルが管理されている。
また、図に示すように、構造物検査DB223には、各切り出し列の切り出し開始位置も管理されている。
図26は、本発明の第1の実施の形態における変状評価DB224のデータ構成の一例を示す図である。
図に示すように、変状評価DB224は、サンプル領域内の平坦値σと、当該平坦性を算出したサンプル領域内のメッシュの位置と、IRIと、MA値と、AA値とをサンプルIDに対応付けて管理している。
(第1の実施の形態のまとめ)
以上説明したように、本発明の第1の実施の形態によれば、構造物変状検出装置20は、点群データの空間座標を用いて道路構造物の表面の形状を再現し、その表面の凹凸の形状を信号とみなしてフーリエ変換を行って、各角周波数の周期関数の和に変換を行い、フーリエ振幅スペクトルを検出することにより、任意のスケールの変状を明確に視覚化することができ、道路管理事業者は、例えば、目視では発見が困難な小さなスケールの変状、例えばポットホールを容易に検出することができ、道路構造物の適切な補修計画を立てることが可能となる。
上記の測定車両10及び構造物変状検出装置20は、主にCPUとメモリにロードされたプログラムによって実現される。ただし、それ以外の任意のハードウェアおよびソフトウェアの組合せによってこの装置またはサーバを構成することも可能であり、その設計自由度の高さは当業者には容易に理解されるところである。
また、上記の測定車両10又は構造物変状検出装置20をソフトウェアモジュール群として構成する場合、このプログラムは、光記録媒体、磁気記録媒体、光磁気記録媒体、または半導体等の記録媒体に記録され、上記の記録媒体からロードされるようにしてもよいし、所定のネットワークを介して接続されている外部機器からロードされるようにしてもよい。
なお、上記の実施の形態は本発明の好適な実施の一例であり、本発明の第1の実施の形態は、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形して実施することが可能となる。
例えば、本発明の第1の実施の形態では、道路構造物を道路としたが、例えば、地面に垂直に起立している壁面上に生じる変状の検出を行うこともできる。
この場合、上述のように、構造物変状検出装置20の制御部21は、サンプルのトリミングの際、道路構造物の表面である壁面がXY平面となるように、X,Y,Z軸周りに画像の回転を行う。
このように、道路構造物の表面がXY平面となるように回転させることにより、地表に対しあらゆる角度の道路構造物の表面に対して、その表面の垂直方向の凹凸を構成する変状を容易に検出することができる。
10 測定車両
11,21 制御部
12,22 情報格納部
13 レーザスキャナ
14 GPS
15 IMU
16 計時部
17 カメラ
18 オドメータ
19 情報入出力部
20 構造物変状検出装置
23 通信部
24 表示部
25 操作部
221 点群DB
222 サンプルDB
223 構造物検査DB
224 変状評価DB

Claims (8)

  1. 構造物表面の変状を検出する構造物変状検出装置であって、
    構造物及び地形を多数の点の集合である点群で表し、該点群を構成する各計測点の空間座標を含む点群データを入力する点群データ入力部と、
    前記入力された点群データに基づいて構造物の表面に対して垂直方向の座標を抽出又は算出する構造物座標算出部と、
    前記構造物の表面に対して垂直方向の複数の座標が示す信号について短時間フーリエ変換を行い、該信号を各角周波数の周期関数の和に変換するフーリエ変換処理部と、
    検出目的の変状の角周波数帯に含まれるフーリエ振幅スペクトルを抽出し、該抽出したフーリエ振幅スペクトルが閾値以上である場合、前記検出目的の変状がある旨の情報を出力する変状検出部とを有し、
    前記フーリエ変換処理部は、前記構造物の表面上に描画された線上に位置する前記構造物の表面に対して垂直方向の複数の座標から、連続した所定数の座標の組を、該組に含まれる連続した座標の組み合わせが互いに異なるように複数回抽出し、該複数回抽出した所定数の座標の組が示す信号について短時間フーリエ変換を行い、
    前記複数回抽出された座標の組は、前記描画された線の始線側に隣接する組及び終線側に隣接する組と、座標が所定数共通することを特徴とする構造物変状検出装置。
  2. 前記構造物座標算出部は、前記構造物の表面の検査領域を複数の微小領域に区画し、前記微小領域に含まれる前記点群の計測点の前記構造物の表面に対する垂直方向の座標の平均値である前記微小領域の代表値を前記構造物の表面に対して垂直方向の座標として前記微小領域ごとに算出することを特徴とする請求項1記載の構造物変状検出装置。
  3. 構造物表面の変状を検出する構造物変状検出装置であって、
    構造物及び地形を多数の点の集合である点群で表し、該点群を構成する各計測点の空間座標を含む点群データを入力する点群データ入力部と、
    前記入力された点群データに基づいて構造物の表面に対して垂直方向の座標を抽出又は算出する構造物座標算出部と、
    前記構造物の表面に対して垂直方向の複数の座標が示す信号について短時間フーリエ変換を行い、該信号を各角周波数の周期関数の和に変換するフーリエ変換処理部と、
    検出目的の変状の角周波数帯に含まれるフーリエ振幅スペクトルを抽出し、該抽出したフーリエ振幅スペクトルが閾値以上である場合、前記検出目的の変状がある旨の情報を出力する変状検出部とを有し、
    前記構造物座標算出部は、前記構造物の表面の検査領域を複数の微小領域に区画し、前記微小領域に含まれる前記点群の計測点の前記構造物の表面に対する垂直方向の座標の平均値である前記微小領域の代表値を前記構造物の表面に対して垂直方向の座標として前記微小領域ごとに算出することを特徴とする構造物変状検出装置。
  4. 前記微小領域の代表値に基づいて段階的に彩色した画像データを生成することを特徴とする請求項2又は3記載の構造物変状検出装置。
  5. 前記構造物の表面上に描画された線上に位置する前記微小領域の代表値において、前記描画された線の始線側から順にi番目、i+a番目、i+b番目(1≦i≦n,0<a<b)の前記微小領域の代表値をhi 1,hi 2,hi 3とすると、
    前記変状検出部は、下記の式1に基づいてHiの値を算出し、
    (式1)


    前記算出したHiの値及び下記の式2に基づいて前記構造物の表面の平坦性σを算出することを特徴とする請求項2又は3記載の構造物変状検出装置。
    (式2)
  6. 前記変状検出部は、前記算出した平坦性σ及び下記の式3に基づいて、IRIの値を算出することを特徴とする請求項5記載の構造物変状検出装置。
    (式3)
    IRI=1.33σ+0.24
  7. 前記変状検出部は、前記抽出したフーリエ振幅スペクトルの最大値が閾値以上である場合、前記検出目的の変状がある旨の情報を出力することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の構造物変状検出装置。
  8. 前記変状検出部は、前記抽出したフーリエ振幅スペクトルの平均値が閾値以上である場合、前記検出目的の変状がある旨の情報を出力することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の構造物変状検出装置。
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