JP6463973B2 - ハニカム構造体の製造方法 - Google Patents

ハニカム構造体の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6463973B2
JP6463973B2 JP2015006868A JP2015006868A JP6463973B2 JP 6463973 B2 JP6463973 B2 JP 6463973B2 JP 2015006868 A JP2015006868 A JP 2015006868A JP 2015006868 A JP2015006868 A JP 2015006868A JP 6463973 B2 JP6463973 B2 JP 6463973B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
paste layer
coating material
material paste
honeycomb
outer periphery
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2015006868A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2016132582A (ja
Inventor
怜 植村
怜 植村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ibiden Co Ltd
Original Assignee
Ibiden Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ibiden Co Ltd filed Critical Ibiden Co Ltd
Priority to JP2015006868A priority Critical patent/JP6463973B2/ja
Publication of JP2016132582A publication Critical patent/JP2016132582A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6463973B2 publication Critical patent/JP6463973B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Porous Artificial Stone Or Porous Ceramic Products (AREA)
  • Ceramic Products (AREA)
  • Exhaust Gas After Treatment (AREA)
  • Processes For Solid Components From Exhaust (AREA)

Description

本発明は、ハニカム構造体の製造方法に関する。
バス、トラック等の車両や建設機械等の内燃機関から排出される排ガス中に含有されるスス等のパティキュレート(以下、PMという)やその他の有害成分が環境や人体に害を及ぼすことが最近問題となっている。そこで、排ガス中のPMを捕集して排ガスを浄化するハニカムフィルタとして、多孔質SiCからなるハニカム構造体が種々提案されている。
また、NOx等の有害ガスを浄化するハニカム触媒も種々提案されている。
このようなハニカム構造体等を製造する際には、まず、セラミック粒子を有機バインダ等と混練した後、押出成形用の金型等を用いて所定の形状に成形し、複数の貫通孔が長手方向に並設されたハニカム成形体を作製する。この後、必要により、成形体を構成する貫通孔のいずれかの一端部を目封止し、得られたハニカム成形体を焼成炉で2000〜2300℃で焼成処理し、排ガスの流路となる複数のセルを区画形成する多孔質のセル隔壁及び外周壁を備えたハニカム焼成体を製造する。
その後、ハニカム焼成体の外周壁に、無機粒子、無機繊維、シリカゾル等の無機バインダ及び有機バインダを含む接着材ペーストを塗布して接着材ペースト層を形成し、接着材ペースト層を介して複数のハニカム焼成体を接着し、乾燥させ、複数のハニカム焼成体が接着材層を介して接着されたハニカム集合体を作製する。さらに、その後、必要により、ダイヤモンドカッター等を用いてハニカム集合体を所定形状に切削加工し、外周に外周コート層を形成することにより、柱状のハニカム構造体を製造する。
しかしながら、上記製造工程において、複数のハニカム焼成体の間に形成された接着材ペースト層の乾燥が終わるまでの間に、接着材ペースト層中の水分が多孔質のハニカム焼成体に吸収されたり、加熱により水分が蒸発する際に、ゾルに含まれるシリカ等が凝集して接着材層中で偏在し易く、その結果、大きな気孔(マクロポア)が形成されてしまい、接着材層の強度が低下してしまうという問題があった。また、外周コート層を形成する際にも、接着材ペーストと同じ材料を使用するため、同様の問題が発生していた。
このような接着材層の機械的強度の劣化を防止するため、特許文献1に記載のハニカム構造体の製造方法では、まず、複数のハニカム焼成体を接着材で接着する前に、接着可能なスペーサを介して複数のハニカム焼成体を組み合わせることにより、所定の形状のハニカム集合体を形成する。この後、拘束冶具である筒状体の内部にハニカム集合体を収納し、発泡剤が添加された接着材ペーストをハニカム焼成体間のスペースに充填し、乾燥させることにより接着材層を有する集合体としていた。
上記方法によれば、接着材ペースト中に多数のごく小さな気孔を導入することができ、この小さな気孔の存在により、乾燥後の接着材層中にマクロポアが発生するのを防止することができることが記載されている。
特許文献2のハニカム構造体の製造方法では、複数のハニカム焼成体を接着性のスペーサを介して組み合わせ、所定の形状のハニカム集合体を形成した後、枠型の内部に収容し、接着材又は外周塗布材として用いられるペーストをハニカム焼成体のスペース間及びハニカム集合体と枠体との間に充填、乾燥し、接着材層と外周コート層とを同時に形成する方法が開示されている。
また、特許文献2では、外周コート層の機械的強度の低下を防止するために、枠体の内側に紙、不織布等により構成された通気部を設けて、乾燥時に水分が一方的にハニカム焼成体の方に移動し、外周コート層の組成に場所による偏りが生じるのを防止している。
国際公開第2008/120390号パンフレット 国際公開第2011/135683号パンフレット
しかしながら、特許文献1に開示されたハニカム構造体の製造方法では、発泡剤を含む接着材ペーストを用い、接着材ペーストの乾燥時にハニカム集合体の形状を維持するため、拘束冶具である筒状体の内部に収納する必要があり、拘束冶具を用いない他のハニカム構造体の製造方法に転用できないという問題がある。また、筒状体の内部の形状は、一定であるため、他の形状のハニカム構造体を製造するためには、新たに筒状体を作製しなければならないという問題がある。
特許文献2に開示されたハニカム構造体の製造方法では、接着材ペースト層の乾燥に所定の時間がかかるが、接着材ペーストの乾燥が完了するまで、枠型から離型することができないため、量産する際には、多数の枠型が必要となり、製造費用が高くなるという問題がある。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、種々のハニカム構造体の製造方法に用いることができ、ハニカム焼成体の接着や外周コート層の形成に用いられたペースト層にマクロポアが形成されることなく、上記ペースト層を乾燥することが可能であり、効率よく機械的特性に優れたハニカム構造体を製造することが可能なハニカム構造体の製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の第1のハニカム構造体の製造方法は、排ガスの流路となる複数のセルを区画形成する多孔質のセル隔壁及び外周壁を備えた複数のハニカム焼成体の外周壁の間に、無機粒子及び無機繊維のうちの少なくとも1種並びにゾルからなる無機バインダを含む接着材ペースト層を形成する接着材ペースト層形成工程と、上記複数のハニカム焼成体の間に存在する接着材ペースト層に凍結処理を施す接着材ペースト層凍結処理工程と、上記複数のハニカム焼成体間に存在する上記接着材ペースト層の乾燥を行い、接着材層とする接着材ペースト層乾燥工程とを含むことを特徴とする。
上記ハニカム構造体の製造方法では、ハニカム焼成体を接着するために形成された接着材ペースト層の乾燥を行う前に凍結処理を施している。この凍結処理により、接着材ペースト層に含まれるゾルがゲル化し、ゾルに含まれているシリカ等の無機物が三次元構造体を形成し、その後、温度を上げて乾燥させても、上記ゲルの三次元構造体は壊れることがない。従って、上記乾燥工程で接着材層に大きな気孔痕(マクロポア)が形成されることなく、水分が除去され、機械的強度が高い接着材層が形成される。その結果、機械的特性に優れたハニカム構造体を製造することができる。
本発明のハニカム構造体の製造方法では、さらに、上記接着材層を有する複数のハニカム焼成体の外周に、無機粒子及び無機繊維のうちの少なくとも1種並びにゾルからなる無機バインダを含む外周コート材ペーストを用い、外周コート材ペースト層を形成する外周コート材ペースト層形成工程と、上記外周コート材ペースト層に凍結処理を施す外周コート材ペースト層凍結処理工程と、外周コート材ペースト層を乾燥して外周コート層とする外周コート材ペースト層乾燥工程とを含むことが望ましい。
上記ハニカム構造体の製造方法では、複数のハニカム焼成体の外周に形成された外周コート材ペースト層の乾燥を行う前に凍結処理を施している。この凍結処理により、前述した接着材ペースト同様、外周コート層に大きな気孔痕(マクロポア)が形成されることなく、機械的強度が高い外周コート層が形成され、その結果、機械的特性に優れたハニカム構造体を製造することができる。
本発明のハニカム構造体の製造方法では、複数のハニカム焼成体の外周の周囲に枠型を配置して、上記複数のハニカム焼成体の間、及び、上記ハニカム焼成体と上記枠型との間に、接着材ペーストおよび外周コート材ペーストを充填することにより、上記接着材ペースト層形成工程と、上記外周コート材ペースト層形成工程とを、同時に行うことが望ましい。
特許文献2に記載のように、複数のハニカム焼成体を接着性のスペーサを介して組み合わせ、所定の形状のハニカム集合体を形成した後、枠型の内部に収容し、接着材ペーストおよび外周コート材ペーストを充填することで、工程数を削減することができる。また、本発明のハニカム構造体の製造方法では、その後、接着材ペースト層及び外周コート材ペースト層に凍結処理を施しているので、接着材層および外周コート材層に大きな気孔痕(マクロポア)が形成されることなく、水分が除去され、機械的強度が高い接着材層および外周コート材層が形成される。また、複数のハニカム焼成体と枠型との間に外周コート材ペーストを充填することで、凍結処理を施した後、外周コート材ペースト層の形を崩すことなく、短時間でハニカム構造体を枠型から離型することができる。従って、量産においても、多数の枠型を作製することなく、ハニカム構造体を製造することができ、ハニカム構造体の生産効率を上げることができる。
本発明のハニカム構造体の製造方法では、上記外周コート材ペースト層形成工程において、接着材層を有する複数のハニカム焼成体の外周の周囲に枠型を配置し、上記複数のハニカム焼成体と上記枠型との間に、外周コート材ペーストを充填することにより、外周コート材ペースト層を形成することが望ましい。
上記ハニカム構造体の製造方法で、接着材層を有する複数のハニカム焼成体と枠型との間に外周コート材ペーストを充填する方法をとった場合、外周コート材ペースト層に凍結処理を施した後、外周コート材ペースト層の形を崩すことなく、短時間で離型することができる。従って、量産においても、多数の枠型を作製することなく、ハニカム構造体を製造することができ、ハニカム構造体の生産効率を上げることができる。
本発明のハニカム構造体の製造方法では、上記接着材ペースト層乾燥工程の後であって、上記外周コート材ペースト層形成工程の前に、接着材層を有する複数のハニカム焼成体に切削加工を施して所定形状とする切削加工工程を行うことが望ましい。
上記ハニカム構造体の製造方法で、上記切削加工工程を加える場合、切削加工により種々の形状のハニカム構造体を製造することができるため、ハニカム構造体の製造における応用範囲を広げることができる。
本発明の第2のハニカム構造体の製造方法は、排ガスの流路となる複数のセルを区画形成する多孔質のセル隔壁及び外周壁を備えた1個のハニカム焼成体の外周に、無機粒子及び無機繊維のうちの少なくとも1種並びにゾルからなる無機バインダを含む外周コート材ペーストを用い、外周コート材ペースト層を形成する外周コート材ペースト層形成工程と、
形成された外周コート材ペースト層に凍結処理を施す外周コート材ペースト層凍結処理工程と、上記凍結処理が施された外周コート材ペースト層の乾燥を行い、外周コート層とする外周コート材ペースト層乾燥工程とを含むことを特徴とする。
上記ハニカム構造体の製造方法では、ハニカム焼成体の外周壁の表面に形成された外周コート材ペースト層の乾燥を行う前に、該外周コート材ペースト層に凍結処理を施している。この凍結処理により、外周コート材ペースト層に含まれるゾルがゲル化し、ゾルに含まれているシリカ等が三次元構造体を形成し、その後、温度を上げて乾燥させても、上記ゲルの三次元構造体は壊れることがない。従って、上記外周コート材ペースト層乾燥工程で、外周コート材ペースト層に大きな気孔痕(マクロポア)が形成されることなく、水分が除去され、強度が高い外周コート層が形成される。その結果、機械的特性に優れたハニカム構造体を製造することができる。
本発明の第2のハニカム構造体の製造方法では、上記外周コート材ペースト層形成工程において、1個のハニカム焼成体の外周の周囲に枠型を配置し、上記ハニカム焼成体と上記枠型との間に、外周コート材ペーストを充填することにより、外周コート材ペースト層を形成することが望ましい。
上記ハニカム構造体の製造方法で、1個のハニカム焼成体と枠型との間に外周コート材ペーストを充填する方法をとった場合、外周コート材ペースト層に凍結処理を施した後、外周コート材ペースト層の形を崩すことなく、短時間で離型することができる。従って、量産においても、多数の枠型を作製することなく、ハニカム構造体を製造することができ、ハニカム構造体の生産効率を上げることができる。
本発明のハニカム構造体の製造方法では、上記凍結処理工程において、−30〜−196℃の温度に冷却することが望ましい。
上記した温度領域まで冷却することにより凍結処理を行うことができ、この凍結処理により、接着材ペースト層や外周コート材ペースト層に含まれるゾルがゲル化し、ゾルに含まれるシリカ等のしっかりした三次元構造体を形成することができる。従って、後の乾燥工程で接着材ペースト層や外周コート材ペースト層に大きな気孔痕(マクロポア)が形成されることなく、水分が除去され、強度が高い接着材層や、外周コート層が形成される。
本発明のハニカム構造体の製造方法では、−1〜−5℃の温度領域を30秒以内で通過するように冷却することが望ましい。
−1〜−5℃の温度帯域は、最大氷結晶生成帯といわれる温度領域で、氷結点〜水分80%が氷になる温度帯域であり、この温度帯域で氷の結晶が粒成長するが、この温度帯域をなるべく早く通過させることにより、氷の結晶が粒成長せず、小さい結晶のまま留まるため、凍結時に接着材ペースト層中や外周コート材ペースト層中での水分の移動が少ない。
その結果、上記ハニカム構造体の製造方法では、後の乾燥工程で接着材層や外周コート層に氷の結晶由来の大きな気孔痕(マクロポア)が形成されることなく、水分が除去され、強度が高い接着材層や、外周コート層が形成される。
本発明のハニカム構造体の製造方法では、上記接着材ペースト層乾燥工程又は上記外周コート材ペースト層乾燥工程において、100〜200℃で乾燥を行うことが望ましい。
上記条件での乾燥により、水分がしっかりと接着材ペースト層や外周コート材ペースト層から飛散し、機械的強度の大きい接着材層又は外周コート層が形成される。
本発明のハニカム構造体の製造方法では、上記接着材ペースト又は外周コート材ペーストは、有機バインダを含むことが望ましい。
上記接着材ペーストや外周コート材ペーストに有機バインダが含まれていると、上記接着材ペーストや外周コート材ペーストの粘性等が改善され、容易に接着材ペースト層、外周コート材ペースト層が形成できる。
図1(a)は、本発明のハニカム構造体の製造方法における成形工程で得られたハニカム成形体を模式的に示す斜視図であり、図1(b)は、図1(a)に示すハニカム成形体のA−A線断面図である。 図2(a)は、本発明のハニカム構造体の製造方法における接着材ペースト層形成工程及び接着工程の一例を模式的に示す正面図であり、図2(b)は、接着工程が終了した際の仮接着体を模式的に示す正面図である。 図3は、第一実施形態に係るハニカム構造体の製造方法において、別の凍結処理方法を示す正面図である。 図4(a)は、接着集合体に対して切削加工工程を終了したセラミックブロックに対し、長手方向に垂直な断面を示す断面図であり、図4(b)は、外周コート材ペースト層形成工程と外周コート材ペースト層凍結処理工程とを模式的に示すセラミックブロックの長手方向に垂直な断面図である。 図5(a)、図5(b)、及び、図5(c)は、第二実施形態で製造するハニカム焼成体の一例を模式的に示した斜視図である。 図6(a)は、第二実施形態で製造するハニカム構造体の別の例を模式的に示す斜視図であり、図6(b)は、上記ハニカム構造体を構成するハニカム焼成体を模式的に示す斜視図である。 図7は、本発明の第二実施形態において、固定工程により枠型の内部にハニカム焼成体が配置された状態をセルの長手方向に垂直な断面で示した断面図である。 図8(a)は、本発明の第二実施形態において、供給装置を装着した枠型の長手方向に垂直な断面を模式的に示す断面図であり、図8(b)は、本発明の第二実施形態において、供給装置を装着した枠型の長手方向に平行な断面を示す断面図である。 図9(a)は、本発明の第二実施形態において、ペーストを充填した枠型の長手方向に垂直な断面を模式的に示す断面図である。図9(b)は、本発明の第二実施形態において、ペーストを充填した枠型の長手方向に平行な断面を模式的に示す断面図である。 図10(a)、図10(b)、図10(c)、図10(d)、図10(e)及び、図10(f)は、本発明の第三実施形態に係るハニカム構造体の製造方法において、ハニカム焼成体の固定工程を説明する工程図である。 図11は、本発明の第五実施形態において、外周コート材ペースト層形成工程と外周コート材ペースト層凍結処理工程とを模式的に示す断面図である。 図12は、本発明のハニカム構造体の製造方法により製造されたハニカム構造体を示す斜視図である。 図13(a)は、図12に示したハニカム構造体を構成するハニカム焼成体を示す斜視図であり、図13(b)は、図13(a)に示したハニカム焼成体のB−B線断面図である。 図14は、実施例1で得られたハニカム構造体について、外周コート層を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した結果を示す写真である。 図15は、比較例1で得られたハニカム構造体について、外周コート層をSEMで観察した結果を示す写真である。
以下、本発明のハニカム構造体の製造方法について具体的に説明する。しかしながら、本発明は、以下の記載に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。
本発明の第1のハニカム構造体の製造方法は、排ガスの流路となる複数のセルを区画形成する多孔質のセル隔壁及び外周壁を備えた複数のハニカム焼成体の外周壁の間に、無機粒子及び無機繊維のうちの少なくとも1種並びにゾルからなる無機バインダを含む接着材ペースト層を形成する接着材ペースト層形成工程と、上記複数のハニカム焼成体の間に存在する接着材ペースト層に凍結処理を施す接着材ペースト層凍結処理工程と、上記複数のハニカム焼成体間に存在する上記接着材ペースト層の乾燥を行い、接着材層とする接着材ペースト層乾燥工程とを含むことを特徴とする。
また、本発明の第2のハニカム構造体の製造方法は、排ガスの流路となる複数のセルを区画形成する多孔質のセル隔壁及び外周壁を備えた1個のハニカム焼成体の外周に、無機粒子及び無機繊維のうちの少なくとも1種並びにゾルからなる無機バインダを含む外周コート材ペーストを用い、外周コート材ペースト層を形成する外周コート材ペースト層形成工程と、形成された外周コート材ペースト層に凍結処理を施す外周コート材ペースト層凍結処理工程と、上記凍結処理が施された外周コート材ペースト層の乾燥を行い、外周コート層とする外周コート材ペースト層乾燥工程とを含むことを特徴とする。
上記した第1のハニカム構造体の製造方法と第2のハニカム構造体の製造方法とでは、製造するハニカム構造体の構造が異なる。すなわち、第1のハニカム構造体の製造方法で製造するハニカム構造体は、複数のハニカム焼成体が接着材層を介して接着され、外周に外周コート層が形成されているのに対し、第2のハニカム構造体の製造方法で製造するハニカム構造体は、1個のハニカム焼成体の外周に外周コート層が形成されている点で、その構造が異なる。
また、第1のハニカム構造体の製造方法及び第2のハニカム構造体の製造方法において、いくつかの異なる実施形態が存在するので、以下においては、それぞれの実施形態に分けて説明していくこととする。
(第一実施形態)
以下、本発明の第1のハニカム構造体の製造方法の一実施形態である第一実施形態について説明する。
この第一実施形態に係るハニカム構造体の製造方法は、排ガスの流路となる複数のセルを区画形成する多孔質のセル隔壁及び外周壁を備えた複数のハニカム焼成体の外周壁の表面に、無機粒子及び無機繊維のうちの少なくとも1種並びにゾルからなる無機バインダを含む接着材ペーストを塗布して接着材ペースト層を形成する接着材ペースト層形成工程と、上記接着材ペースト層を介して複数のハニカム焼成体を接着する接着工程と、上記複数のハニカム焼成体の間に存在する接着材ペースト層に凍結処理を施す接着材ペースト層凍結処理工程と、上記複数のハニカム焼成体間に存在する上記接着材ペースト層の乾燥を行い、接着材層とする接着材ペースト層乾燥工程とを含むことを特徴とする。
第一実施形態においては、さらに、上記接着材層を有する複数のハニカム焼成体の外周に、無機粒子及び無機繊維のうちの少なくとも1種並びにゾルからなる無機バインダを含む外周コート材ペーストを用い、外周コート材ペースト層を形成する外周コート材ペースト層形成工程と、上記外周コート材ペースト層に凍結処理を施す外周コート材ペースト層凍結処理工程と、外周コート材ペースト層を乾燥して外周コート層とする外周コート材ペースト層乾燥工程とを含むことが望ましい。
上記したハニカム構造体の製造工程においては、上記接着材層を有する複数のハニカム焼成体からなるハニカム構造体を製造した後、さらに、上記接着材層を有する複数のハニカム焼成体の外周に外周コート材ペースト層を形成し、外周コート層とする場合が多いので、ここでは、上記した工程をまとめて説明することとする。ただし、外周コート層の形成は、必須ではなく、必要に応じて行えばよい。
第一実施形態に係るハニカム構造体の製造方法では、まず、排ガスの流路となる複数のセルを区画形成する多孔質のセル隔壁及び外周壁を備えたハニカム焼成体を製造する。
上記ハニカム焼成体は、下記する(1−1)成形体用原料調製工程、(1−2)成形体作製工程、(1−3)脱脂工程及び(1−4)焼成工程を経て得られる。以下に、上記工程に基づく、ハニカム焼成体の製造方法を説明する。
なお、以下では、製造の対象となるハニカム構造体を構成する多孔質のセラミックが炭化ケイ素からなる場合を例にとって説明するが、上記多孔質のセラミックの材料は、炭化ケイ素に限定されるものではなく、例えば、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化チタン等の窒化物セラミック、炭化ジルコニウム、炭化チタン、炭化タンタル、炭化タングステン等の炭化物セラミック、アルミナ、ジルコニア、コージェライト、ムライト、チタン酸アルミニウム等の酸化物セラミック等が挙げられる。
(1−1)成形体用原料調製工程
この成形体用原料調製工程では、炭化ケイ素粉末、及び、少なくとも有機バインダを含む有機添加物を含む原料組成物を混合して成形体用原料を調製する。
炭化ケイ素粉末の粒径等は、特に限定されるものではないが、平均粒子径の異なる2種類の炭化ケイ素粉末を用いることが好ましい。
有機添加物としては、有機バインダが挙げられるほか、分散媒液、可塑剤、潤滑剤等が挙げられる。
上記有機バインダとしては、例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリエチレングリコール、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。これらのなかでは、メチルセルロースが好ましい。
上記分散媒液としては、例えば、メタノール等のアルコール、ベンゼン等の有機溶媒が挙げられるほか、水が挙げられる。上記可塑剤としては特に限定されず、例えば、グリセリン等が挙げられる。
上記潤滑剤としては特に限定されず、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル等のポリオキシアルキレン系化合物等が挙げられる。上記潤滑剤の具体例としては、例えば、ポリオキシエチレンモノブチルエーテル、ポリオキシプロピレンモノブチルエーテル等が挙げられる。
上記成形体用原料を調製する際には、炭化ケイ素粉末、有機バインダ、及び、分散媒液である水を、湿式混合機を用いて混合することにより成形体用原料を調製する。その際、必要により、上記可塑剤、上記潤滑剤等を加えてもよい。
(1−2)成形体作製工程
この成形体作製工程では、調製した成形体用原料を押出成形することによりハニカム成形体を作製する。
この工程では、得られた成形体用原料を押出成形機に投入して、金型を用いた押出成形を行い、角柱形状の連続体を作製した後、所定の長さに切断することにより、長手方向に多数のセルが並設された生のハニカム成形体を作製する。この生のハニカム成形体を乾燥機により乾燥させ、ハニカム成形体の乾燥体とする。
次いで、ハニカム成形体の乾燥体を構成するセルのいずれかの端部に、封止材ペーストを所定量充填し、貫通孔を目封止し、ハニカム成形体とする。このような工程を経て、セルの一端部が目封止されたハニカム成形体が作製される。
図1(a)は、本発明のハニカム構造体の製造方法における上記成形工程で作製されたハニカム成形体を模式的に示す斜視図であり、図1(b)は、図1(a)に示すハニカム成形体のA−A線断面図である。図1(a)において、両矢印Aで示した方向を長手方向といい、セルによる開口が形成された面を端面といい、端面以外の面を側面という。
図1(a)及び(b)に示すように、作製されたハニカム成形体200には、一端部が封止部202により目封止された多数のセル201が長手方向に並設されており、これらのセル201の間には壁部203が形成されている。
(1−3)脱脂工程
次に、脱脂工程として、作製されたハニカム成形体を、酸素含有雰囲気中、300〜650℃に加熱することにより、有機物を酸化分解させて完全に除去する。
この脱脂処理では、作製された複数のハニカム成形体を所定形状の成形体載置用冶具に収容し、さらにハニカム成形体が収容された成形体載置用冶具を搬送部材上に載置し、脱脂炉に搬入することにより脱脂処理を行う。
(1−4)焼成工程
焼成工程では、脱脂処理が終了したハニカム成形体が載置された上記搬送部材を、そのまま焼成炉に搬入し、2000〜2300℃で焼成処理を行い、ハニカム焼成体とする。
製造されたハニカム焼成体は、基本的な構造は、図1に示したハニカム成形体200と同様であり、排ガスの流路となる複数のセルを区画形成する多孔質のセル隔壁及び外周壁を備えている。
上記のようにして得られたハニカム焼成体を用い、その後、以下に説明する工程によりハニカム構造体を製造する。
(1−5)接着材ペースト層形成工程
図2(a)は、本発明のハニカム構造体の製造方法における接着材ペースト層形成工程及び接着工程の一例を模式的に示す正面図であり、図2(b)は、接着工程が終了した際の仮接着体を模式的に示す正面図である。
この接着材ペースト層形成工程では、図2(a)に示すように、V字形状の凹部を有する載置台31に、上記工程により製造されたハニカム焼成体20を載置し、ハニカム焼成体20の側面20aに、無機粒子及び無機繊維のうちの少なくとも1種並びにゾルからなる無機バインダを含む接着材ペーストを塗布して接着材ペースト層11’を形成する。
接着材ペースト層11’の形成に用いられる上記無機粒子としては、例えば、炭化物、窒化物等を挙げることができ、具体的には、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化硼素等からなる無機粉末又はウィスカー等を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。上記無機粒子のなかでは、熱伝導性に優れる炭化ケイ素が望ましい。
上記無機繊維としては、例えば、シリカ−アルミナ、ムライト、アルミナ、シリカ等からなるセラミックファイバ等を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。上記無機繊維のなかでは、シリカ−アルミナファイバが望ましい。
ゾルからなる無機バインダとしては、例えば、アルミナゾル、シリカゾル、チタニアゾル等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記接着材ペーストには、有機バインダが含まれていることが望ましい。上記有機バインダとしては、例えば、例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。上記有機バインダのなかでは、カルボキシメチルセルロースが望ましい。
接着材ペーストには、無機粒子及び無機繊維のうちの少なくとも1種が含まれていればよいが、両方が含まれていることが望ましい。
通常は、無機粒子及び無機繊維のうちの少なくとも1種と無機バインダと任意成分である有機バインダとを混合することにより所定粘度を有する接着材ペーストを調製し、この接着材ペーストを複数のハニカム焼成体の外周壁の表面に塗布して接着材ペースト層11’を形成することが望ましい。
(1−6)接着工程
次に、上記接着材ペースト層11’を介して複数のハニカム焼成体を接着する。
この接着工程では、図2(b)に示すように、ハニカム焼成体20の側面20aに接着材ペーストを塗布し、その上に別のハニカム焼成体20を載置し、複数のハニカム焼成体20が接着材ペースト層11’を介して仮接着された仮接着集合体17を作製する。
なお、図示はしていないが、接着材ペースト11’が0.5〜2mmの厚さとなるようにハニカム焼成体20の側面20aには、0.5〜2mmの厚さのスペーサが貼付されていてもよい。スペーサの材質は特に限定されるものではないが、ボール紙、繊維紙、不織布又は無機充填紙等からなるものが挙げられる。
(1−7)接着材ペースト層凍結処理工程
次に、上記複数のハニカム焼成体(仮接着集合体17)の間に存在する接着材ペースト層11’に凍結処理を施す。
この凍結処理は、仮接着集合体17を有する載置台31を、凍結処理が可能な空間(部屋)に運び込み、−30〜−196℃の温度に冷却することにより行うことができる。載置台31の底部に車輪を配設することにより、簡単に凍結処理が可能な空間(部屋)に運び込むことができる。
凍結処理が可能な空間(部屋)に運び込むと、接着材ペースト層11’の温度が低下していくが、接着材ペースト層11’の温度は、−1〜−5℃の温度領域を30秒以内で通過するように冷却することが望ましい。
上記温度帯域をなるべく早く通過させることにより、接着材ペースト層11’では、氷の結晶が粒成長せず、小さい結晶のまま留まるため、凍結時に接着材ペースト層11’での水分の移動が少ない。その結果、後の乾燥工程で接着材層に氷の結晶由来の大きな気孔痕(マクロポア)が形成されることなく、水分が除去され、強度が高い接着材層が形成される。
図3は、第一実施形態に係るハニカム構造体の製造方法において、別の凍結処理方法を示す正面図である。
上記した凍結処理では、仮接着集合体17を凍結処理が可能な空間(部屋)に運び込み、凍結処理していたが、図3に示すように、載置台31の仮接着集合体17と接触する部分に、液体の冷媒を流通させる冷媒流通部31aを形成し、冷媒を流すとともに、仮接着集合体17の載置台31と接触しない側面部分に対しても、内部に液体の冷媒を流すことができるマット形状で折り曲げ等が可能な冷却部材32を、仮接着集合体17を覆うように周囲に設置し、冷媒流通部31a及び冷却部材32の内部に冷媒を流すことにより仮接着集合体17を凍結処理してもよい。
(1−8)接着材ペースト層乾燥工程
この後、仮接着集合体17を乾燥装置に運び込んで、例えば、100℃〜200℃の温度で、乾燥することにより、ハニカム焼成体20が接着材層を介して接着された接着集合体を作製する。
(1−9)切削加工工程
図4(a)は、接着集合体に対して切削加工工程を終了したセラミックブロックに対し、長手方向に垂直な断面を示す断面図であり、図4(b)は、外周コート材ペースト層形成工程と外周コート材ペースト層凍結処理工程とを模式的に示すセラミックブロックの長手方向に垂直な断面図である。
切削加工工程では、ダイヤモンドカッター等を用いて接着集合体に切削加工を施し、図4(a)に示すように、円柱形状からなるセラミックブロック15を作製する。セラミックブロック15は、柱状であれば円柱状に限定されることはなく、例えば、楕円柱状や角柱状等任意の形状のものであってもよい。
(1−10)外周コート材ペースト層形成工程
外周コート材ペースト層形成工程では、セラミックブロック15の外周に、無機粒子及び無機繊維のうちの少なくとも1種並びにゾルからなる無機バインダを含む外周コート材ペーストを用い、外周コート材ペースト層を形成する。
その際、塗布用の冶具を用いてセラミックブロック15の外周に外周コート材ペーストを塗布し、均一な厚さに均すことにより外周コート材ペースト層を形成してもよいが、図4(b)に示すように、セラミックブロック15の周囲にセラミックブロック15を取り囲む、セラミックブロック15よりも僅かに直径の大きな円筒形状の枠型35を載置し、枠型35とセラミックブロック15との間に外周コート材ペーストを充填することにより、外周コート材ペースト層12’を形成することが望ましい。外周コート材ペースト層12’に、内枠36と外枠38との間に冷媒を流通させることができる冷媒流通部37を有する枠型35を配設することにより、外周コート材ペースト層12’の形成後、直ぐに冷媒流通部37に冷媒を流すことより外周コート材ペースト層凍結処理工程を行うことができるからである。なお、内枠36と外枠38とは、銅、ニッケル、ステンレス、又は、これらの金属の少なくとも一種を用いてなる合金等にて形成されている。
外周コート材ペーストを調製するために用いる無機粒子、無機繊維及び無機バインダは、接着材ペーストを調製するために用いたものと同様のものを使用することができ、接着材ペーストを調製するために用いた有機バインダも用いることができる。ただし、その配合割合等は、粘度等の要求特性に応じて変更してもよい。
(1−11)外周コート材ペースト層凍結処理工程
外周コート材ペースト層12’の形成後、直ぐに冷媒流通部37に冷媒を流通させることにより、外周コート材ペースト層12’の凍結処理を行うことができる。
これにより、外周コート材ペースト層12’に含まれるゾルがゲル化し、ゾルに含まれているシリカ等が三次元構造体を形成し、その後、温度を上げて乾燥させても、上記ゲルの三次元構造体は壊れることがない。従って、上記乾燥工程で、外周コート材ペースト層12’に大きな気孔痕(マクロポア)が形成されることなく、水分が除去され、強度が高い外周コート層が形成される。その結果、機械的特性に優れたハニカム構造体を製造することができる。
また、上記凍結処理を行うと、外周コート材ペースト層12’が凍結するため、外周コート材ペースト層12’の形を崩すことなく、内枠36を、凍結した外周コート材ペースト層12’から容易に引き離すことができ、短時間で離型することができる。従って、量産においても、多数の枠型を作製することなく、ハニカム構造体を製造することができ、ハニカム構造体の生産効率を上げることができる。
(1−12)外周コート材ペースト層乾燥工程
セラミックブロック15の外周に形成された外周コート材ペースト層12’を、例えば、100〜200℃の温度で、乾燥することにより外周コート層12とし、ハニカム構造体の製造を終了する。
(第二実施形態)
次に、本発明の第1のハニカム構造体の製造方法の一実施形態である第二実施形態について説明する。
この第二実施形態に係るハニカム構造体の製造方法は、排ガスの流路となる複数のセルを区画形成する多孔質のセル隔壁及び外周壁を備えた複数のハニカム焼成体を所定の位置に固定し、その周囲に枠型を配置する固定工程、枠型内に接着材ペースト及び外周コート材ペーストとして機能するペーストを充填する充填工程、充填したペーストに凍結処理を施す凍結処理工程、及び、凍結処理を施したペーストを乾燥固化させる乾燥工程を含むことを特徴とする。
上記したハニカム構造体の製造方法では、第一実施形態に記載した接着材ペースト層形成工程と外周コート材ペースト層とを同時に行うことができ、かつ、接着材ペースト層凍結処理工程と外周コート材ペースト層凍結処理工程とを同時に行うことができる。
第二実施形態に係るハニカム構造体の製造方法においても、まず、排ガスの流路となる複数のセルを区画形成する多孔質のセル隔壁及び外周壁を備えたハニカム焼成体を製造する。
上記ハニカム焼成体は、下記する(2−1)成形体用原料調製工程、(2−2)成形体作製工程、(2−3)脱脂工程及び(2−4)焼成工程を経て得られる。
第二実施形態に係るハニカム構造体の製造方法において、(2−1)成形体用原料調製工程、(2−3)脱脂工程及び(2−4)焼成工程は、第一実施形態に係るハニカム構造体の製造方法の(1−1)成形体用原料調製工程、(1−3)脱脂工程及び(1−4)焼成工程と全く同様である。従って、上記工程については、説明を省略するが、(2−2)成形体作製工程は、第一実施形態に係るハニカム構造体の製造方法における(1−2)成形体作製工程と少し異なるので、(2−2)成形体作製工程について説明する。
(2−2)成形体作製工程
図5(a)、図5(b)、及び、図5(c)は、第二実施形態で製造するハニカム焼成体の一例を模式的に示した斜視図である。図5(a)、図5(b)、及び、図5(c)において、両矢印Aで示した方向を長手方向といい、セルが開口した面を端面といい、端面以外の面を側面という。
第二実施形態では、ハニカム焼成体として、ハニカム焼成体の長手方向に垂直な断面を見たときにその断面形状がそれぞれ異なる3種類のハニカム焼成体40、50、20を製造する。
図5(a)に示したハニカム焼成体40の側面は、2つの平面と1つの曲面により構成されている。ハニカム焼成体40は、多数のセル41がセル隔壁43を隔てて長手方向(両矢印A方向)に並設された構成を有する。ハニカム焼成体40は、セル41のいずれか一方の端部が封止材層42によって目封止されている。
図5(b)に示したハニカム焼成体50の側面は、3つの平面と1つの曲面により構成されている。ハニカム焼成体50もハニカム焼成体40と同様に、多数のセル51がセル隔壁53を隔てて長手方向(両矢印A方向)に並設された構成を有する。また、ハニカム焼成体50は、セル53のいずれか一方の端部が封止材層52によって目封止されている。
図5(c)に示すハニカム焼成体20の側面は、第1実施形態に示したハニカム焼成体20と同じ構造であり、4つの平面により構成された四角柱形状である。ハニカム焼成体20も、多数のセル21がセル隔壁23を隔てて長手方向(両矢印A方向)に並設された構成を有する。また、ハニカム焼成体20は、セル21のいずれか一方の端部が封止材層22によって目封止されている。
従って、成形体作製工程では、上記した3種類の形が異なるハニカム焼成体40、50,20を製造することができるように、形状の異なる3種類の金型を用い、調製した成形体用原料を押出成形することによりハニカム成形体を作製する。
第二実施形態では、用いる金型が異なるほかは、第一実施例形態の場合と同様にしてハニカム成形体を作製し、第一実施例形態の場合と同様に(2−3)脱脂工程及び(2−4)焼成工程を行って図5(a)、図5(b)、及び、図5(c)に示すハニカム焼成体40、50、20を製造する。図6(a)は、第二実施形態で製造するハニカム構造体の別の例を模式的に示す斜視図であり、図6(b)は、上記ハニカム構造体を構成するハニカム焼成体を模式的に示す斜視図である。
上記成形体作成工程では、図5(c)に示すハニカム焼成体20及び図6(b)に示すハニカム焼成体90を製造することができるように、形状の異なる2種類の金型を用いて成形体を作製し、下記する(2−5)固定工程以降の工程を同様に行ってもよい。この場合には、図6(a)に示すハニカム構造体100が製造される。なお、符号91は、セル、符号92は、封止材層、符号93は、セル隔壁である。
第二実施形態に係るハニカム構造体の製造方法では、ハニカム焼成体40、50、20を製造した後、(2−5)固定工程、(2−6)充填工程、(2−7)凍結処理工程、及び、(2−8)乾燥工程を経てハニカム構造体を製造する。以下、上記工程について説明する。
(2−5)固定工程
この固定工程では、得られた3種類のハニカム焼成体40、50、20を、その輪郭が円柱形状となるように組み上げて固定し、その周囲に枠型(筒状治具)を配置する。この際、筒状治具の底面と上面とに蓋をして、シール材ペーストを充填しても、枠型からシール材ペーストが漏れないようにする。また、筒状治具と底面又は上面の板材とからなる治具の上面又は底面に蓋をしてもよい。
図7は、本発明の第二実施形態において、固定工程により枠型の内部にハニカム焼成体が配置された状態をセルの長手方向に垂直な断面で示した断面図である。
図7に示す枠型60では、金属製の内枠61と外枠63との間に冷媒を流通させることができる冷媒流通部62が設けられている。内枠61と外枠63とは、銅、ニッケル、ステンレス、又は、これらの金属の少なくとも一種を用いてなる合金等にて形成されている。
また、枠型60は、内部にハニカム焼成体40、50、20を配置するための空間が形成された円筒形状である。枠型60の内面には、離型性の向上等を目的としてフッ素樹脂等のコーティング処理が施されていてもよい。
図7に示すように、枠型60の内部には、複数のハニカム焼成体40、50、20の輪郭が円形状になるようにスペーサ66を介して組み上げられ、固定されている。このような円柱形状のハニカム焼成体40、50、20の集合体は、それぞれのハニカム焼成体40、50、20を、両面に接着材が塗布されたスペーサ66を介して接着することにより形成することができる。上記のようにして形成されたスペーサ66を介して接着され、固定された円柱形状のハニカム焼成体40、50、20の集合体の周囲に、図7に示すように、枠型60を配置する。スペーサ66の材料、厚さ等は、第一実施形態で用いたスペーサ66と同様である。
(2−6)充填工程
充填工程では、ハニカム焼成体40、50、20の側面間の隙間67及び枠型60とハニカム焼成体40、50、20の組み合わせにより形成された円柱形状のものとの隙間68に接着材ペースト及び外周コート材ペーストとして機能するペーストを充填する。ペーストの充填方法は特に限定されるものではないが、本実施形態では、枠型60にペーストの供給装置を装着して行う例を挙げて説明する。
図8(a)は、本発明の第二実施形態において、供給装置を装着した枠型の長手方向に垂直な断面を模式的に示す断面図であり、図8(b)は、本発明の第二実施形態において、供給装置を装着した枠型の長手方向に平行な断面を示す断面図である。
図8(a)及び図8(b)に示すように、枠型60には、ペーストを充填するための供給装置70が装着されている。供給装置70は、ペーストを収容するためのペースト室71と、ペーストをペースト室71から枠型60内に押し出すための押出機構72とを備えている。
枠型60には、供給装置70との接続部分にペーストの注入口64が形成されており、この注入口64を介してペーストの充填が行われる。また、枠型60には、ハニカム焼成体40、50、20の両端面側に複数の開口部65が形成されている。
図9(a)は、本発明の第二実施形態において、ペーストを充填した枠型の長手方向に垂直な断面を模式的に示す断面図である。図9(b)は、本発明の第二実施形態において、ペーストを充填した枠型の長手方向に平行な断面を模式的に示す断面図である。
図9(a)及び図9(b)に示した供給装置70のペースト室71にペーストが供給され、図9(a)及び図9(b)に示すように、ペーストが押出機構72により加圧されると、注入口64を介してペーストがペースト室71から枠型60の内部へと供給される。これにより、枠型60のハニカム焼成体40、50、20の側面間の隙間67、及び、枠型60とハニカム焼成体40、50、20の組み合わせにより形成された円柱との隙間68にペーストが充填され、接着材ペースト層45’及び外周コート材ペースト層46’が形成される。ペーストの供給装置をハニカム焼成体の端面側に設置し、端面方向から充填して、接着材ペースト層45’及び外周コート材ペースト層46’を形成してもよい。
本実施形態で用いられるペーストは、第一実施形態で用いた接着材ペーストと同様の材料により構成されているが、第一実施形態で用いた接着材ペーストと比べて粘度を低下させておいてもよい。上記充填工程を良好に進行させるためである。
(2−7)凍結処理工程
この凍結処理工程では、枠型60の冷媒流通部62に冷媒を流し、−30〜−196℃の温度に冷却する。
枠型60の冷媒流通部62に冷媒を流すと、接着材ペースト層45’及び外周コート材ペースト層46’の温度が低下していくが、接着材ペースト層45’及び外周コート材ペースト層46’の温度は、−1〜−5℃の温度領域を30秒以内で通過するように冷却することが望ましい。
上記温度帯域をなるべく早く通過させることにより、接着材ペースト層45’及び外周コート材ペースト層46’では、氷の結晶が粒成長せず、小さい結晶のまま留まるため、凍結時に接着材ペースト層45’及び外周コート材ペースト層46’での水分の移動が少ない。その結果、後の乾燥工程で接着材層及び外周コート層に氷の結晶由来の大きな気孔痕(マクロポア)が形成されることなく、水分が除去され、強度が高い接着材層及び外周コート層が形成される。
また、上記凍結処理を行うと、外周コート材ペースト層が凍結するため、外周コート材ペースト層の形を崩すことなく、短時間で離型することができる。従って、量産においても、多数の枠型を作製することなく、ハニカム構造体を製造することができ、ハニカム構造体の生産効率を上げることができる。また、本実施形態では、切削工程を省略することができる。
(2−8)乾燥工程
接着材ペースト層45’及び外周コート材ペースト層46’を有するハニカム焼成体40、50、20を、例えば、100℃〜200℃の温度で、乾燥することにより接着材層及び外周コート層とし、ハニカム構造体の製造を完了する
(第三実施形態)
次に、本発明の第1のハニカム構造体の製造方法の一実施形態である第三実施形態について説明する。
上記した第二実施形態では、それぞれ形状の異なるハニカム焼成体40、50、20を使用し、両面に接着層が形成されたスペーサ66を介して組み合わせることにより、円柱形状としたが、第三実施形態では、(3−5)固定工程において、ハニカム焼成体110の両端面を上下から支持する固定ピンを用い、固定する方法をとる。この固定工程より前の工程である(3−1)成形体用原料調製工程、(3−2)成形体作製工程、(3−3)脱脂工程及び(3−4)焼成工程は、第二実施形態と同様に行う。
(3−5)固定工程
図10(a)、図10(b)、図10(c)、図10(d)、図10(e)及び、図10(f)は、本発明の第三実施形態に係るハニカム構造体の製造方法において、ハニカム焼成体の固定工程を説明する工程図である。上記工程図は、ハニカム焼成体の配置に関し、ハニカム焼成体の長手方向に垂直な断面を模式的に示した断面図である。枠型は、第二実施形態で用いた枠型60と同様に構成されている。
ハニカム焼成体40、50、20を配置する際、輪郭が円を形成するように、ハニカム焼成体40、50、20のうち、適切な形状のものを配置していく。
まず、図10(a)において、2個のハニカム焼成体40と2個のハニカム焼成体50とを、ハニカム焼成体50がハニカム焼成体40で挟まれるように配置する。ハニカム焼成体40とハニカム焼成体50との間には、後工程においてシール材ペーストを充填できるように、一定の間隔を空けておく。
ハニカム焼成体40、50の搬送及び配置は、例えば、ロボットアーム、又は、一度に4個のハニカム焼成体を載置できる載置面を備えた搬送部材等を用いて行われる。
次いで、図10(b)に示したように、ハニカム焼成体40、50の両端面を上下から支持、固定する固定ピン75で固定する。固定ピン75は、ハニカム焼成体40、50の端面が同一平面上に揃うように、ハニカム焼成体40、50を支持、固定する。
次いで、図10(c)に示したように、2個のハニカム焼成体50と2個のハニカム焼成体20とを、ハニカム焼成体20がハニカム焼成体50で挟まれるように配置する。そして、上記と同様に、各ハニカム焼成体50、20の両端面を固定ピン75で固定する。
次いで、図10(d)に示したように、2個のハニカム焼成体50と2個のハニカム焼成体20を、上記と同様に配置して固定ピン75で固定する。さらに、図10(e)に示したように、2個のハニカム焼成体40と2個のハニカム焼成体50を、上記と同様に配置して固定ピン75で固定する。これにより、ハニカム焼成体40、50、20の集合体の輪郭が円柱形状となる。
このようにして、ハニカム構造体を構成する16個のハニカム焼成体40、50、20を、長さ方向に平行で、かつ、両端面が同じ平面を構成するように配置することができる。
その後、図10(f)に示したように、ハニカム焼成体40、50、20の集合体の周囲に枠型60を配置する。
上記工程の後の(3−6)充填工程、(3−7)凍結処理工程、及び、(3−8)乾燥工程
は、第二実施形態と同様に行えばよい。
第三実施形態でも、第二実施形態と同様の効果を得ることができる。
(第四実施形態)
次に、本発明の第1のハニカム構造体の製造方法の一実施形態である第四実施形態について説明する。
第二実施形態及び第三実施形態では、形状の異なるハニカム焼成体40、50、20を組み合わせて外形が円柱形状の集合体を作製し、それを枠型の内部に配置していたが、第四実施形態では、四角柱形状のハニカム焼成体20のみを使用し、各ハニカム焼成体20を切削加工を施すことにより、第二実施形態に示した三種類の形状のハニカム焼成体を作製する。なお、ハニカム焼成体は、第一実施形態と同様の方法を用い、(4−1)成形体用原料調製工程、(4−2)成形体作製工程、(4−3)脱脂工程及び(4−4)焼成工程を行うことにより製造することができる。
その後、第三実施形態と同様に、(4−5)固定工程、(4−6)充填工程、(4−7)凍結処理工程、及び、(4−8)乾燥工程を行えばよい。
得られたハニカム構造体が、第二実施形態や第三実施形態と異なるのは、複数のハニカム焼成体20に切削加工が施されるため、切削加工された面には、セルが切削された結果、凹部(溝部)として外周に露出し、充填工程により、露出した凹部にはペーストが充填される。従って、充填工程で、凹部を含む部分が外周コート材ペースト層となり、乾燥後、凹部を含む部分が外周コート層となる点である。
第四実施形態では、第二実施形態や第三実施形態における発明の効果と対比すると、切削工程は行う必要があるが、逆に複数の金型を使用し、複数の形状のハニカム成形体を作製する必要がなくなるという利点がある。また、外周コート層は、凹部に食い込んでいるため、アンカー効果によりしっかりとハニカム焼成体に固定され、剥離等が生じにくい。
そのほか、第四実施形態でも、第二実施形態と同様の効果を得ることができる。
なお、第一実施形態から第四実施形態まで、16個のハニカム焼成体を接着する工程について説明しているが、ハニカム構造体を構成するハニカム焼成体の個数は、上記した実施形態の個数に限定されるものではなく、16個より多くても少なくてもよい。
(第五実施形態)
次に、本発明の第2のハニカム構造体の製造方法の一実施形態である第五実施形態について説明する。
第五実施形態に係るハニカム構造体の製造方法は、排ガスの流路となる複数のセルを区画形成する多孔質のセル隔壁及び外周壁を備えた1個のハニカム焼成体の外周に、無機粒子及び無機繊維のうちの少なくとも1種並びにゾルからなる無機バインダを含む外周コート材ペーストを用い、外周コート材ペースト層を形成する外周コート材ペースト層形成工程と、形成された外周コート材ペースト層に凍結処理を施す外周コート材ペースト層凍結処理工程と、前記凍結処理が施された外周コート材ペースト層の乾燥を行い、外周コート層とする外周コート材ペースト層乾燥工程とを含むことを特徴とする。
第五実施形態に係るハニカム構造体の製造方法では、まず、排ガスの流路となる複数のセルを区画形成する多孔質のセル隔壁及び外周壁を備えたハニカム焼成体を製造する。
上記ハニカム焼成体は、第一実施形態の場合と同様、(5−1)成形体用原料調製工程、(5−2)成形体作製工程、(5−3)脱脂工程及び(5−4)焼成工程を経て得られる。上記工程は、第一実施形態とほぼ同様であるので、ここでは、その詳しい説明を省略するが、形成するハニカム焼成体の形状は、角柱形状のほか、円柱状、楕円柱状等であってもよい。
この後、(5−5)外周コート材ペースト層形成工程、(5−6)外周コート材ペースト層凍結処理工程、及び、(5−7)外周コート材ペースト層乾燥工程を行うことによりハニカム構造体を製造する。
(5−5)外周コート材ペースト層形成工程
外周コート材ペースト層形成工程では、1個のハニカム焼成体の外周に、無機粒子及び無機繊維のうちの少なくとも1種並びにゾルからなる無機バインダを含む外周コート材ペーストを用い、外周コート材ペースト層を形成する。
図11は、本発明の第五実施形態において、外周コート材ペースト層形成工程と外周コート材ペースト層凍結処理工程とを模式的に示す断面図である。
外周コート材ペースト層形成工程において、塗布用の冶具を用いて1個のハニカム焼成体の外周に外周コート材ペーストを塗布し、均一な厚さに均すことにより外周コート材ペースト層を形成してもよいが、図11に示すように、円柱形状のハニカム焼成体80の周囲にハニカム焼成体80を取り囲む、ハニカム焼成体80よりも僅かに直径の大きな円筒形状の枠型60を載置し、枠型60とハニカム焼成体80との間に外周コート材ペーストを充填することにより、外周コート材ペースト層82’を形成することが望ましい。枠型60の内枠61と外枠63との間に冷媒を流通させることができる冷媒流通部62を設けることにより、外周コート材ペースト層82’の形成後、直ぐに外周コート材ペースト層凍結処理工程を行うことができるからである。
外周コート材ペーストを調製するために用いる無機粒子、無機繊維及び無機バインダは、第一実施形態で、接着材ペーストを調製するために用いたものと同様のものを使用することができ、接着材ペーストを調製するために用いた有機バインダも用いることができる。ただし、その配合割合等は、粘度等の要求特性に応じて変更してもよい。
(5−6)外周コート材ペースト層凍結処理工程
外周コート材ペースト層82’の形成後、直ぐに冷媒流通部62に冷媒を通過させることにより、外周コート材ペースト層82’の凍結処理を行うことができる。
これにより、外周コート材ペースト層82’に含まれるゾルがゲル化し、ゾルに含まれているシリカ等が三次元構造体を形成し、その後、温度を上げて乾燥させても、上記ゲルの三次元構造体は壊れることがない。従って、上記乾燥工程で、外周コート材ペースト層82’に大きな気孔痕(マクロポア)が形成されることなく、水分が除去され、強度が高い外周コート層が形成される。その結果、機械的特性に優れたハニカム構造体を製造することができる。
また、上記凍結処理を行うと、外周コート材ペースト層82’が凍結するため、外周コート材ペースト層82’の形を崩すことなく、短時間で離型することができる。従って、量産においても、多数の枠型を作製することなく、ハニカム構造体を製造することができ、ハニカム構造体の生産効率を上げることができる。
(5−7)外周コート材ペースト層乾燥工程
ハニカム焼成体80の外周に形成された外周コート材ペースト層82’を、例えば、100℃〜200℃の温度で、乾燥することにより外周コート層とすることにより、ハニカム構造体の製造を終了する。
(本発明のハニカム構造体の製造方法により製造されたハニカム構造体)
図12は、本発明のハニカム構造体の製造方法により製造されたハニカム構造体を示す斜視図であり、図13(a)は、図12に示したハニカム構造体を構成するハニカム焼成体を示す斜視図であり、図13(b)は、図13(a)に示したハニカム焼成体のB−B線断面図である。
本発明のハニカム構造体の製造方法により製造されたハニカム構造体10では、図13(a)に示すハニカム焼成体20が接着材層11を介して複数個結束されてセラミックブロック15を構成し、さらに、このセラミックブロック15の外周に外周コート層12が形成されている。
図12では、ハニカム焼成体20の輪郭のみが示されているが、ハニカム構造体10を構成するハニカム焼成体20は、図13(b)に示すように、長手方向に多数のセル21が並設され、セル21同士を隔てるセル隔壁23がフィルタとして機能するようになっている。
すなわち、ハニカム焼成体20に形成されたセル21は、図13(b)に示すように、排ガスの入口側又は出口側の端部のいずれかが封止材層22により目封じされ、一のセル21に流入した排ガスは、セル21を隔てるセル隔壁23を通過した後、他のセル21から流出するようになっており、排ガスがこのセル隔壁23を通過する際、パティキュレートがセル隔壁23部分で捕集され、排ガスが浄化される。
ハニカム構造体10を構成する接着材層11や外周コート層12には、マクロポアが形成されず、小さな気孔のみが形成されているので、ハニカム構造体10の内部に堆積したPMを燃焼させる再生処理等の際に、ハニカム構造体10が急激に温度上昇しても、接着材層11や外周コート層12にクラックが形成されにくく、耐久性に優れたハニカム構造体となる。なお、図12に示すハニカム構造体10は、第一実施形態により製造されたハニカム構造体に相当するハニカム構造体であるが、他の実施形態により製造されたハニカム構造体も同様の効果を有する。
(実施例)
以下、本発明の第一実施形態をより具体的に開示した実施例を示す。なお、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
(ハニカム成形体の作製)
平均粒子径が22μmである炭化ケイ素の粗粉末52.8重量%と、平均粒子径が0.5μmである炭化ケイ素の微粉末22.6重量%とを混合した。得られた混合物に対して、アクリル樹脂2.1重量%、有機バインダ(メチルセルロース)4.6重量%、潤滑剤(日油社製 ユニルーブ)2.8重量%、グリセリン1.3重量%、及び、水13.8重量%を加えて混練して混合組成物を得た。この混合組成物を用いて押出成形を行い、図13に示したハニカム焼成体20と同じ形状であって、セルの目封じをしていない、生のハニカム成形体を作製した。
(ハニカム焼成体の作製)
マイクロ波乾燥機を用いて生のハニカム成形体を乾燥させ、ハニカム成形体の乾燥体とした。このハニカム成形体の乾燥体に、上記混合組成物と同様の組成のペーストを所定のセルに目封じをした。そして、熱風乾燥機を用いて乾燥処理を行った。
乾燥したハニカム成形体を400℃で脱脂し、常圧のアルゴン雰囲気下で、2200℃、3時間の条件で焼成処理を行うことにより、図13に示す形状のハニカム焼成体20を作製した。得られたハニカム焼成体20は、気孔率が45%、平均気孔径が15μm、セルの数(セル密度)が300個/inch、セル隔壁の厚さが0.25mm(10mil)であり、炭化ケイ素焼結体からなるハニカム焼成体であった。
本実施例では、第四実施形態と同様の方法を用いた。すなわち、上記工程により製造されたハニカム焼成体20を使用し、それぞれのハニカム焼成体20をダイヤモンドカッター等を用いてハニカム焼成体20に切削加工を施し、図5(a)、(b)及び(c)に示したものと同様の形状のハニカム焼成体を製造した。その後、ハニカム焼成体の両端面を上下から支持する固定ピンを用い、ハニカム焼成体を縦に4個、横に4個配列し、図10に示したものを同様に、円柱形上のハニカム焼成体の集合体の周囲に、ペーストを充填するための供給装置70が装着され枠型(筒状治具)60を配置した。
その後、供給装置70を用いて枠型60の内部にペーストを充填して接着材ペースト層及び外周コート材ペースト層を形成した。
ペーストには、平均繊維長が20μmのアルミナ繊維30重量%、平均粒子径0.6μmの炭化ケイ素粒子21重量%、シリカゾル(固形分30重量%)15重量%、カルボキシメチルセルロース5.6重量%、及び、水28.4重量%を含むペーストを用いた。
その後、枠型60の冷媒流通部62に冷媒を流し、液体窒素を流通させることによりー196℃で凍結処理を行った後、直ちに枠型の離型を行ったが、外周コート材ペースト層には、剥れ等は発生せず、均一な厚さを保っていた。
その後、接着材ペースト層及び外周コート材ペースト層が形成された複数のハニカム焼成体を120℃で加熱処理して、接着材ペースト層及び外周コート材ペースト層を乾燥させ、接着材層及び外周コート層とした。これにより、円柱形状のハニカム構造体(図12参照)が得られた。
図14は、実施例1で得られたハニカム構造体について、外周コート層を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した結果を示す写真である。
図14に示すように、外周コート層には、大きな気孔痕(マクロポア)は観察されず、気孔の大きさは、0.05mm以下であった。なお、接着材層も同様に気孔の大きさは、0.05mm以下であった。
(実施例2)
冷媒として、イソプロピルアルコールにドライアイスを浸漬することにより温度を調整した冷媒を用い、上記充填工程により接着材ペースト層及び外周コート材ペースト層が形成された複数のハニカム焼成体を−30℃で凍結処理したほかは、実施例1と同様にしてハニカム構造体を製造した。
得られたハニカム構造体の接着材層及び外周コート層を、SEMにより観察したが、気孔の大きさは、0.05mm以下であった。
(比較例1)
上記充填工程により接着材ペースト層及び外周コート材ペースト層が形成された複数のハニカム焼成体を凍結処理することなく、そのまま120℃で加熱処理して、接着材ペースト層及び外周コート材ペースト層を乾燥させ、接着材層及び外周コート層としたほかは、実施例1と同様にしてハニカム構造体を製造した。
図15は、比較例1で得られたハニカム構造体について、外周コート層をSEMで観察した結果を示す写真である。
図15に示すように、外周コート層には、大きな気孔痕(マクロポア)が観察されており、マクロポアの大きさは、1.0mm以上であった。
10 ハニカム構造体
11 接着材層
11’、45’ 接着材ペースト層
12 外周コート層
12’、46’、82’ 外周コート材ペースト層
15 セラミックブロック
17 仮接着集合体
20、40、50、80 ハニカム焼成体
20a 側面
21、41、51 セル
22、42、52 封止材層
23、43、53 セル隔壁
31 載置台
31a、37、62 冷媒流通部
32 冷却部材
35、60 枠型
36、61 内枠
38、63 外枠
64 注入口
65 開口部
66 スペーサ
67、68 隙間
70 供給装置
71 ペースト室
72 押出機構
75 固定ピン
200 ハニカム成形体
201 セル
202 封止部
203 壁部

Claims (10)

  1. 排ガスの流路となる複数のセルを区画形成する多孔質のセル隔壁及び外周壁を備えた複数のハニカム焼成体の外周壁の間に、無機粒子及び無機繊維のうちの少なくとも1種並びにゾルからなる無機バインダを含む接着材ペースト層を形成する接着材ペースト層形成工程と、
    前記複数のハニカム焼成体の間に存在する接着材ペースト層に凍結処理を施す接着材ペースト層凍結処理工程と、
    前記複数のハニカム焼成体間に存在する前記接着材ペースト層の乾燥を行い、接着材層とする接着材ペースト層乾燥工程とを含むハニカム構造体の製造方法であって、
    前記接着材ペースト層凍結処理工程において、−30〜−196℃の温度に冷却することを特徴とするハニカム構造体の製造方法。
  2. さらに、前記接着材層を有する複数のハニカム焼成体の外周に、無機粒子及び無機繊維のうちの少なくとも1種並びにゾルからなる無機バインダを含む外周コート材ペーストを用い、外周コート材ペースト層を形成する外周コート材ペースト層形成工程と、
    前記外周コート材ペースト層に凍結処理を施す外周コート材ペースト層凍結処理工程と、外周コート材ペースト層を乾燥して外周コート層とする外周コート材ペースト層乾燥工程とを含み、前記外周コート材ペースト層凍結処理工程において、−30〜−196℃の温度に冷却する請求項1に記載のハニカム構造体の製造方法。
  3. 複数のハニカム焼成体の外周の周囲に枠型を配置して、前記複数のハニカム焼成体の間、及び、前記ハニカム焼成体と前記枠型との間に、接着材ペースト及び外周コート材ペーストを充填することにより、前記接着材ペースト層形成工程と、前記外周コート材ペースト層形成工程とを、同時に行う請求項2に記載のハニカム構造体の製造方法。
  4. 前記外周コート材ペースト層形成工程において、接着材層を有する複数のハニカム焼成体の外周の周囲に枠型を配置し、前記複数のハニカム焼成体と前記枠型との間に、外周コート材ペーストを充填することにより、外周コート材ペースト層を形成する請求項2に記載のハニカム構造体の製造方法。
  5. 前記接着材ペースト層乾燥工程の後であって、前記外周コート材ペースト層形成工程の前に、接着材層を有する複数のハニカム焼成体に切削加工を施して所定形状とする切削加工工程を行う請求項2又は3に記載のハニカム構造体の製造方法。
  6. 排ガスの流路となる複数のセルを区画形成する多孔質のセル隔壁及び外周壁を備えた1個のハニカム焼成体の外周に、無機粒子及び無機繊維のうちの少なくとも1種並びにゾルからなる無機バインダを含む外周コート材ペーストを用い、外周コート材ペースト層を形成する外周コート材ペースト層形成工程と、
    形成された外周コート材ペースト層に凍結処理を施す外周コート材ペースト層凍結処理工程と、
    前記凍結処理が施された外周コート材ペースト層の乾燥を行い、外周コート層とする外周コート材ペースト層乾燥工程とを含むハニカム構造体の製造方法であって、
    前記外周コート材ペースト層凍結処理工程において、−30〜−196℃の温度に冷却することを特徴とするハニカム構造体の製造方法。
  7. 前記外周コート材ペースト層形成工程において、1個のハニカム焼成体の外周の周囲に枠型を配置し、前記ハニカム焼成体と前記枠型との間に、外周コート材ペーストを充填することにより、外周コート材ペースト層を形成する請求項6に記載のハニカム構造体の製造方法。
  8. 前記凍結処理工程において、−1〜−5℃の温度領域を30秒以内で通過するように冷却する請求項1〜7のいずれかに記載のハニカム構造体の製造方法。
  9. 前記接着材ペースト層乾燥工程又は前記外周コート材ペースト層乾燥工程において、100〜200℃で乾燥を行う請求項1〜8のいずれかに記載のハニカム構造体の製造方法。
  10. 前記接着材ペースト又は外周コート材ペーストは、有機バインダを含む請求項1〜9のいずれかに記載のハニカム構造体の製造方法。
JP2015006868A 2015-01-16 2015-01-16 ハニカム構造体の製造方法 Active JP6463973B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015006868A JP6463973B2 (ja) 2015-01-16 2015-01-16 ハニカム構造体の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015006868A JP6463973B2 (ja) 2015-01-16 2015-01-16 ハニカム構造体の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016132582A JP2016132582A (ja) 2016-07-25
JP6463973B2 true JP6463973B2 (ja) 2019-02-06

Family

ID=56425938

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015006868A Active JP6463973B2 (ja) 2015-01-16 2015-01-16 ハニカム構造体の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6463973B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN109400128B (zh) * 2018-11-08 2021-11-30 浙江皓翔矿业有限公司 一种含叶腊石粉体的铝碳质耐火材料及其制备方法

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6022667B2 (ja) * 1977-12-05 1985-06-03 武田薬品工業株式会社 セラミツク基材の成形法
JP3015402B2 (ja) * 1990-03-20 2000-03-06 イビデン株式会社 セラミックス成形体の凍結乾燥方法
JP2005305417A (ja) * 2004-03-26 2005-11-04 Ngk Insulators Ltd 触媒機能を有するハニカムフィルタとその製造方法
WO2006112061A1 (ja) * 2005-04-07 2006-10-26 Ibiden Co., Ltd. ハニカム構造体
JP5438342B2 (ja) * 2009-03-18 2014-03-12 日本碍子株式会社 ハニカムフィルタの製造方法及びハニカムフィルタ
JP5767504B2 (ja) * 2010-04-27 2015-08-19 イビデン株式会社 ハニカム構造体の製造方法
WO2011135683A1 (ja) * 2010-04-27 2011-11-03 イビデン株式会社 ハニカム構造体の製造方法及びハニカム構造体

Also Published As

Publication number Publication date
JP2016132582A (ja) 2016-07-25

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4849891B2 (ja) ハニカム構造体の製造方法
JP4267947B2 (ja) ハニカム構造体
JP6622134B2 (ja) ハニカム構造体及びハニカム構造体の製造方法
JPWO2018012565A1 (ja) ハニカム構造体及び該ハニカム構造体の製造方法
WO2018012566A1 (ja) ハニカム構造体及び該ハニカム構造体の製造方法
WO2009101682A1 (ja) ハニカム構造体、排ガス浄化装置、及び、ハニカム構造体の製造方法
WO2007058007A1 (ja) ハニカム構造体
WO2003067041A1 (fr) Filtre a nid d'abeille pour la decontamination des gaz d'echappement, matiere adhesive et de revetement, et procede d'obtention dudit filtre
JPWO2007116665A1 (ja) 接合体、ハニカムセグメント接合体、及びそれを用いたハニカム構造体
WO2013145245A1 (ja) ハニカム構造体、排ガス浄化用ハニカムフィルタ及び排ガス浄化装置
JP2002102627A (ja) セラミック構造体及びその製造方法
JP2004154718A (ja) ハニカムフィルタの製造方法及びハニカムフィルタ
EP1600433B1 (en) Honeycomb structure
JP2009255037A (ja) ハニカム構造体
JP5345371B2 (ja) ハニカム構造体の製造方法
JP2008134036A (ja) 乾燥装置、セラミック成形体の乾燥方法及びハニカム構造体の製造方法
WO2009101691A1 (ja) ハニカム構造体
JP6463973B2 (ja) ハニカム構造体の製造方法
JP2017000930A (ja) ハニカムフィルタ
JP5234970B2 (ja) ハニカム構造体、排ガス浄化装置、及び、ハニカム構造体の製造方法
WO2016039325A1 (ja) ハニカム焼成体及びハニカムフィルタ
WO2009095982A1 (ja) ハニカム構造体
JP2004188278A (ja) 排気ガス浄化用ハニカムフィルタ
JP2002219317A (ja) セラミック構造体の製造方法
JP5188437B2 (ja) ハニカム構造体

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180112

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20180921

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20181002

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20181127

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20181211

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20190107

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6463973

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250