以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。本発明は、関節を人工関節に置換する人工関節置換術において用いられ、関節にて連結される一対の骨のうちの一方の骨の髄腔に人工関節のステムを設置するための人工関節置換術用手術ユニットに対して広く適用できる。
[人工関節置換術用手術ユニットの概略]
図1は、本発明の一実施の形態に係る人工関節置換術用手術ユニット1を示す図である。図1に示す人工関節置換術用手術ユニット1は、関節を人工関節に置換する人工関節置換術において用いられる。尚、本実施形態では、股関節を人工股関節に置換する人工股関節置換術において用いられる人工関節置換術用手術ユニット1を例にとって説明する。
人工関節置換術用手術ユニット1は、股関節にて連結される一対の骨のうちの一方の骨である大腿骨の髄腔に人工股関節のステムを設置するための人工関節置換術用手術ユニットとして構成される。
図1に示すように、人工関節置換術用手術ユニット1(以下、単に「手術ユニット1」とも称する)は、複数のステム11と、ブローチトライアル12と、ネックトライアル13と、ブローチハンドル14と、を備えて構成されている。尚、複数のステム11、ブローチトライアル12、ネックトライアル13、ブローチハンドル14は、例えば、ステンレス鋼等の金属材料で形成されている。
[ステム]
手術ユニット1においては、ステム11として、サイズが異なる複数のステム11(11A〜F)が備えられている。本実施形態では、手術ユニット1において、サイズが異なる6本のステム11(11A〜F)が設けられた形態を例示している。より具体的には、手術ユニット1においては、ステム11として、第1ステム11A、第2ステム11B、第3ステム11C、第4ステム11D、第5ステム11E、第6ステム11Fが備えられている。
第1ステム11Aが最もサイズが小さいステム11として構成され、第6ステム11Fが最もサイズが大きいステム11として構成されている。そして、第1ステム11Aから第6ステム11Fに至るまで順番にサイズが大きくなるように構成されている。即ち、サイズが異なる複数のステム11は、第1ステム11Aが最もサイズが小さく、第1ステム11A、第2ステム11B、第3ステム11C、第4ステム11D、第5ステム11E、第6ステム11Fの順番で徐々にサイズが大きくなるように構成されている。
上記のように複数のステム11のサイズが構成されるため、本実施形態では、第6ステム11Fが、複数のステム11のうちサイズが最大のステム11である最大ステム11Fとして構成される。また、第1〜5ステム(11A〜E)が、最大ステム11Fよりもサイズが小さいステム11である小ステム(11A〜E)として構成される。また、第1ステム11Aが、複数のステム11のうちサイズが最小のステム11である最小ステム11Aとして構成される。尚、以下の説明では、第1ステム11Aについては、小ステム11A、最小ステム11Aとも称する。第2〜5ステム(11B〜E)については、小ステム(11B〜E)とも称する。第6ステム11Fについては、最大ステム11Fとも称する。
図2は、図1に示す人工関節置換術用手術ユニット1における複数のステム11(11A〜F)を示す図である。複数のステム11のそれぞれは、軸状に延びる部分を有している。そして、複数のステム11のそれぞれは、その軸状に延びる長手方向である軸方向が大腿骨の髄腔が延びる方向に沿って配置されるように、大腿骨の髄腔に挿入される。ステム11の軸方向については、図2では、各ステム(11A〜F)の近傍において、両端矢印L1で示している。
また、複数のステム11のそれぞれは、軸方向のサイズが異なるように設けられている。即ち、複数のステム11は、第1ステム11Aが最も軸方向のサイズが小さく(即ち、最も軸方向の長さが短く)、第1ステム11A、第2ステム11B、第3ステム11C、第4ステム11D、第5ステム11E、第6ステム11Fの順番で軸方向のサイズが大きくなるように(即ち、軸方向に長くなるように)構成されている。
また、複数のステム11(11A〜F)のそれぞれは、ステム本体部15及びネック部16を有している(図2を参照)。本実施形態では、ステム本体部15及びネック部16が一体に設けられた形態の各ステム11を例示している。
ステム本体部15は、軸状に延びる部分として設けられ、軸方向に沿って大腿骨の髄腔に挿入される。ステム本体部15の一方の端部には、ネック部16が一体に設けられる。ステム本体部15の他方の端部は、髄腔に挿入される際の挿入先端側の端部となり、ステム本体部15が髄腔に挿入された状態で髄腔の遠位側に配置される。ここで、遠位側とは、患者の体幹からより遠い側である。
ステム本体部15は、大腿骨の遠位側に配置される挿入先端側から大腿骨の近位側に配置されるネック部16側にかけて幅方向の寸法が徐々に大きくなるように形成されている。ここで、近位側とは、患者の体幹により近い側である。尚、ステム11及びステム本体部15の幅方向は、各ステム11が大腿骨の髄腔に挿入された状態における患者の人体の内外側(ないがいそく)方向に対応する方向である。また、ステム本体部15は、髄腔に挿入された状態において、遠位側から近位側にかけて、患者の人体の内側(ないそく)方向に向かってゆるやかに湾曲するように形成されている。
ネック部16は、ステム11と連結される他の人工関節コンポーネントである骨頭ボール(図示省略)が取り付けられる部分として設けられている。ステム11が大腿骨の髄腔に挿入された際には、ネック部16は、髄腔から突出した状態で配置される。そして、髄腔から突出した状態で配置されたネック部16に対して、上記の骨頭ボールが嵌合した状態で取り付けられる。尚、骨頭ボールは、半球殻状に設けられて患者の骨盤の臼蓋に対して嵌め込まれて設置される骨盤側のコンポーネントに対して、摺動する要素として設けられる。
人工股関節置換術においては、後述するブローチトライアル12が用いられることによって、術者により、複数のステム11(11A〜F)のうち、患者の大腿骨の髄腔の形状に対して適切なステム11のサイズが判断される。そして、適切であると判断されたそのサイズのステム11が、患者の大腿骨の髄腔に挿入されて設置される。
図3は、複数のステム11の形状における関係性について説明するための模式図である。尚、図3では、複数のステム11のうち、第1ステム11A、第4ステム11D、最大ステム11F(第6ステム11F)のみを例示している。また、図3では、ブローチトライアル12については、模式的に図示している。また、図3では、最大ステム11Fに対して第1ステム11A及び第4ステム11Dを二点鎖線で重ねた状態で示す図も図示している。
また、図3では、ブローチトライアル12、第1ステム11A、第4ステム11D、及び最大ステム11Fのそれぞれを示す図と、最大ステム11Fに対して第1ステム11A及び第4ステム11Dを二点鎖線で重ねた状態で示す図とのサイズの対応関係を示すための二点鎖線もあわせて図示している。尚、最大ステム11Fに対して第1ステム11A及び第4ステム11Dを二点鎖線で重ねた状態で示す図においては、各ステム11(11A、11D、11F)は、ステム本体部15の髄腔への挿入先端側の端部の位置を揃えた状態で、図示されている。
図3に示すように、小ステム(11A、11D)は、いずれも、小ステム(11A、11D)のステム本体部15の外形が、最大ステム11Fのステム本体部15における大腿骨の髄腔への挿入先端側の部分であって小ステム(11A、11D)のステム本体部15に対応する部分の外形と同じであるように、構成されている。
また、図3では、小ステム(11A、11D)のみを例示しているが、他の小ステム(11B、11C、11E)のステム本体部15についても、最大ステム11Fのステム本体部15に対する外形の関係が、小ステム(11A、11D)のステム本体部15と同様に構成されている。よって、小ステム(11A〜E)は、いずれも、小ステム(11A〜E)のステム本体部15の外形が、最大ステム11Fのステム本体部15における大腿骨の髄腔への挿入先端側の部分であって小ステム(11A〜E)のステム本体部15に対応する部分の外形と同じであるように、構成されている。
尚、本実施形態において、小ステム(11A〜E)及び最大ステム11Fの外形とは、小ステム(11A〜E)及び最大ステム11Fにおける前後面及び両側面の形状である。ここで、ステム11の前後面とは、各ステム11が大腿骨の髄腔に挿入された状態において、患者の人体の前後方向を向く面である。また、ステム11の両側面とは、各ステム11が大腿骨の髄腔に挿入された状態において、患者の人体の内外側(ないがいそく)方向を向く面である。
また、手術ユニット1においては、小ステム(11A〜E)のステム本体部15と最大ステム11Fのステム本体部15とは、大腿骨の髄腔への挿入先端側の端部から軸方向において同距離にある位置の断面の形状が同じであるように、構成されている。よって、小ステム(11A〜E)のステム本体部15と最大ステム11Fのステム本体部15とは、大腿骨の髄腔への挿入先端側の端部から軸方向において同距離にある位置の断面であって軸方向に垂直な断面の形状も同じであるように、構成されている。
[ブローチトライアル]
手術ユニット1においては、サイズが異なる複数のブローチトライアルは備えられておらず、ブローチトライアル12が1つ備えられている。図4は、ブローチトライアル12を示す図である。尚、図4では、ブローチトライアル12とともにブローチハンドル14の一部も図示されている。ブローチトライアル12には、大腿骨の髄腔の形状を形成するための切削刃(17、18)が設けられている。切削刃(17、18)は、それぞれ複数設けられている。ブローチトライアル12が大腿骨の髄腔に挿入されることで、そのブローチトライアル12の切削刃(17、18)によって、髄腔内における海綿骨及び骨髄が削られ、皮質骨によって区画される髄腔の形状が形成されることになる。尚、ブローチトライアル12は、その軸状に延びる長手方向である軸方向が大腿骨の髄腔が延びる方向に沿って配置されるように、大腿骨の髄腔に挿入される。ブローチトライアル12の軸方向については、図4では、ブローチトライアル12の近傍において、両端矢印L2で示している。
図3及び図4に示すブローチトライアル12には、髄腔に挿入可能な部分であるブローチ本体部19が設けられている。ブローチ本体部19には、切削刃(17、18)が設けられている。ブローチ本体部19は、髄腔の遠位側に配置される挿入先端側から髄腔の近位側に配置される部分にかけて幅方向の寸法が徐々に大きくなるように形成されている。そして、ブローチ本体部19は、髄腔に挿入された状態において、遠位側から近位側にかけて、患者の人体の内側(ないそく)方向に向かってゆるやかに湾曲するように形成されている。尚、ブローチトライアル12及びブローチ本体部19の幅方向は、ブローチトライアル12が大腿骨の髄腔に挿入された状態における患者の人体の内外側(ないがいそく)方向に対応する方向である。
更に、ブローチ本体部12の外形は、最大ステム11Fのステム本体部15の外形に対応する形状となるように設けられている。より具体的には、ブローチ本体部19の軸方向の長さと最大ステム11Fのステム本体部15の軸方向の長さとは、同じ長さに設定されている。更に、ブローチ本体部12と、最大ステム11Fのステム本体部15とは、髄腔の遠位側に配置される挿入先端側から髄腔の近位側に配置される部分にかけて幅方向の寸法が同じ割合で徐々に大きくなるように形成されている。更に、ブローチ本体部12と、最大ステム11Fのステム本体部15とは、遠位側から近位側にかけて、患者の人体の内側(ないそく)方向に向かって、同じ傾斜角度の変化率で、ゆるやかに湾曲するように形成されている。また、ブローチ本体部12は、切削刃(17、18)における外側に突出した先端部分の全てに接するような包絡面状に構成される仮想の曲面状の部分の形状が、最大ステム11Fのステム本体部15の外形と同じとなるように、構成されている。上記のように、ブローチ本体部12の外形は、最大ステム11Fのステム本体部15の外形に対応する形状となるように設けられている。
尚、本実施形態において、ブローチトライアル12のブローチ本体部19の外形とは、ブローチ本体部19における前後面及び両側面の形状である。ここで、ブローチ本体部19の前後面とは、ブローチ本体部19が大腿骨の髄腔に挿入された状態において、患者の人体の前後方向を向く面である。また、ブローチ本体部19の両側面とは、各ステム11が大腿骨の髄腔に挿入された状態において、患者の人体の内外側(ないがいそく)方向を向く面である。
また、ブローチ本体部19は、遠位側挿入部20及び近位側連結部21を備えて構成されている。図5は、図4に示すブローチトライアル12が、遠位側挿入部20と近位側連結部21とに分離した状態を示す図である。図4及び図5に示すように、ブローチ本体部19の遠位側挿入部20と近位側連結部21とは、互いに分離可能及び連結可能に構成されている。前述のとおり、ブローチ本体部12の外形は、最大ステム11Fのステム本体部15の外形に対応する形状となるように設けられている。即ち、遠位側挿入部20と近位側連結部21とが連結されて構成されたブローチ本体部19の外形が、最大ステム11Fのステム本体部15の外形に対応する形状となるように設けられている。
遠位側挿入部20は、大腿骨の髄腔の遠位側に向かって挿入される部分として構成されている。また、遠位側挿入部20は、最小ステム11Aのステム本体部15の形状に対応した部分として設けられている。近位側連結部21は、遠位側挿入部20に対して連結可能に設けられ、髄腔に挿入される遠位側挿入部20から近位側に延長されるように設けられる部分として構成されている。
また、遠位側挿入部20は、その長手方向が、緩やかに湾曲しながら延びており、その長手方向に沿って髄腔に挿入される。そして、遠位側挿入部20及び近位側連結部21が連結された状態において、遠位側挿入部20から近位側に延長されるように近位側連結部21が延びる方向は、遠位側挿入部20における緩やかに湾曲しながら延びる長手方向を延長した方向に沿って、緩やかに湾曲しながら延びる方向として構成されている。尚、近位側連結部21には、ブローチハンドル14が一体に設けられている。ブローチハンドル14は、近位側連結部21における遠位側挿入部20に連結される側と反対側の端部において、近位側連結部21から突出するように設けられている。
図6は、ブローチトライアル12における遠位側挿入部20と近位側連結部21との連結形態を説明するための図である。図6では、連結した状態の近位側連結部21と遠位側挿入部20の一部とを示すとともに、その連結した状態の近位側連結部21及び遠位側挿入部20を側方からみた状態の模式図もあわせて図示している。また、図6では、連結した状態の近位側連結部21及び遠位側挿入部20の図と、側方から見た状態の模式図との位置の対応関係を示す二点鎖線もあわせて図示している。
図6に示すように、遠位側挿入部20には、ガイド溝22が設けられている。ガイド溝22は、遠位側挿入部20における挿入先端側と反対側の端部20aにおいて凹み形成されている。また、ガイド溝22は、遠位側挿入部20の端部20aの端面に平行な方向に沿って延びる溝として設けられている。更に、ガイド溝22の断面形状は、端部20aにて開口する部分の幅が狭く、端部20aにて開口する部分に対して奥側の部分の幅が広い、台形状の断面形状として構成されている。
近位側連結部21には、遠位側挿入部20に設けられたガイド溝22に対して嵌まり込むガイドレール23が設けられている。ガイドレール23は、近位側連結部21における遠位側挿入部20に連結される側の端部21aにおいてレール状に突出した部分として形成されている。また、ガイドレール23は、近位側連結部21の端部21aの端面に平行な方向に沿ってレール状に延びる部分として設けられている。ガイドレール23の断面形状は、ガイド溝22の断面形状に対応する台形状の断面形状として構成されている。
ブローチ本体部19は、遠位側挿入部20に設けられたガイド溝22に対して近位側連結部21に設けられたガイドレール23が嵌め込まれることで、一体に連結される。尚、遠位側挿入部20と近位側連結部21との連結の際には、遠位側挿入部20の端部20aの端面と近位側連結部21の端部21aの端面とが擦りあわされるようにして、ガイド溝22にガイドレール23が嵌め込まれる。これにより、遠位側挿入部20と近位側連結部21とが一体に連結される。
また、遠位側挿入部20及び近位側連結部21には、大腿骨の髄腔の形状の形成のために用いられる前述の切削刃(17、18)が設けられている。切削刃18は、遠位側挿入部20に設けられる遠位側切削刃18として設けられ、複数設けられている。複数の遠位側切削刃18は、遠位側挿入部20の前後面及び両側面に亘る遠位側挿入部20のほぼ全周と、遠位側挿入部20の長手方向のほぼ全体とに亘って配置されるように設けられている。遠位側挿入部20が大腿骨の髄腔に挿入される際、遠位側切削刃18によって、髄腔内における海綿骨及び骨髄が削られる。
切削刃17は、近位側連結部21に設けられる近位側切削刃17として設けられ、複数設けられている。複数の近位側切削刃17は、近位側連結部21の前後面及び両側面において、後述の凹部24を除く部分のほぼ全体に亘って配置されている。そして、近位側切削刃17は、近位側連結部21において、遠位側挿入部20からの近位側への延長方向に沿って並んで配置されている。また、近位側切削刃17は、近位側連結部21の前後面及び両側面に亘る近位側連結部21の周方向にも沿って並んで配置されている。近位側連結部21は、大腿骨の髄腔の形状に応じた深さまで挿入される。そして、近位側連結部21が髄腔に挿入される際、近位側切削刃17によって、髄腔内における海綿骨及び骨髄が削られる。
また、図4及び図5に示すように、近位側連結部21には、遠位側挿入部20からの近位側への延長方向に沿って溝状に延びる凹部24が設けられている。凹部24は、例えば、近位側連結部21における前面に設けられている。尚、近位側連結部21において凹部24が設けられる部分には、近位側切削刃17は設けられていない。近位側連結部21において凹み形成された溝状の凹部24の底面は、平坦な面として形成されている。
図4及び図5に示すように、近位側連結部21には、サイズの異なる複数のステム11のそれぞれに対応する指標25が設けられている。指標25は、サイズの異なる複数のステム11(11A〜F)のそれぞれに対応して複数設けられており、本実施形態では、6個設けられている。各指標25は、ブローチ本体部19の髄腔への挿入先端側の端部と各ステム11の髄腔への挿入先端側の端部との軸方向の位置を揃えた状態で、ブローチ本体部19において、各ステム11のステム本体部15の挿入先端側の端部と反対側の端部に対応するそれぞれの位置に、設けられている。より具体的には、指標25として、第1指標25A、第2指標25B、第3指標25C、第4指標25D、第5指標25E、第6指標25Fが設けられている。第1指標25Aは、第1ステム11Aに対応している。第2指標25Bは、第2ステム11Bに対応している。第3指標25Cは、第3ステム11Cに対応している。第4指標25Dは、第4ステム11Dに対応している。第5指標25Eは、第5ステム11Eに対応している。第6指標25Fは、第6ステム11Fに対応している。
指標25(25A〜F)は、近位側連結部21において、凹部21の底面に設けられている。各指標25(25A〜F)は、凹部24の底面において、直線状に延びる溝として刻印されている。各指標25(25A〜F)を構成する直線状の溝は、近位側連結部21における遠位側挿入部20からの近位側への延長方向に対して略直交する方向に沿って延びるように設けられている。
[ブローチハンドル]
図1に示すブローチハンドル14は、人工関節置換術を行う術者がブローチトライアル12を操作する際のハンドルとして設けられている。ブローチハンドル14は、直線状に延びる軸部分14aを有し、ブローチトライアル12に対して一体に設けられている。図4乃至図6に示すように、軸部分14aは、ブローチトライアル12に対して、近位側連結部21における遠位挿入部20に連結される側の端部21aとは反対側の端部において、一体に設けられている。尚、本実施形態では、直線状に延びる軸部分14aがブローチトライアル12から直接に直線状に延びるように設けられた形態のブローチハンドル14を例示している。
図7は、ブローチトライアル12が大腿骨100の髄腔100aに挿入された状態を示す模式図である。尚、図7では、大腿骨100の一部の断面が図示されている。術者は、ブローチトライアル12が一体に設けられたブローチハンドル14を操作し、ブローチトライアル12を大腿骨100の髄腔100aに挿入する。このとき、術者は、髄腔100aが延びる方向である髄腔100aの中心軸線方向L1(図7中にて一点鎖線L1で示す方向)と平行な方向に沿ってブローチハンドル14の直線状の軸部分14aをその軸方向L2(図7中にて一点鎖線L2で示す方向)に移動させながら、ブローチトライアル12の遠位側挿入部20を髄腔100aに挿入することになる。
[ネックトライアル]
図8は、ネックトライアル13を示す図である。図1及び図8に示すように、手術ユニット1においては、ネックトライアル13として、サイズが異なる複数のネックトライアル13(13A〜F)が備えられている。本実施形態では、手術ユニット1において、ステム11に対応してサイズが異なる6本のネックトライアル13(13A〜F)が設けられた形態を例示している。より具体的には、手術ユニット1においては、ネックトライアル13として、第1ネックトライアル13A、第2ネックトライアル13B、第3ネックトライアル13C、第4ネックトライアル13D、第5ネックトライアル13E、第6ネックトライアル13Fが備えられている。
第1ネックトライアル13Aが最もサイズが小さいネックトライアル13として構成され、第6ネックトライアル13Fが最もサイズが大きいネックトライアル13として構成されている。そして、第1ネックトライアル13Aから第6ネックトライアル13Fに至るまで順番にサイズが大きくなるように構成されている。即ち、サイズが異なる複数のネックトライアル13は、第1ネックトライアル13Aが最もサイズが小さく、第1ネックトライアル13A、第2ネックトライアル13B、第3ステム11C、第4ステム11D、第5ステム11E、第6ステム11Fの順番でサイズが大きくなるように構成されている。
複数のネックトライアル13のそれぞれは、ステム11のネック部16に形状が対応する部分を有し、大腿骨の髄腔から突出した状態で配置されて前述した骨頭ボールが取り付けられる。更に、複数のネックトライアル13のそれぞれは、ブローチトライアル12の遠位側挿入部20に連結可能に設けられる。ネックトライアル13は、ブローチトライアル12の遠位側挿入部20と連結されることで、ステムトライアルとして用いられる。
人工関節置換術においては、術者は、ブローチトライアル12による髄腔100aの形成作業が終了すると、ネックトライアル13と遠位側挿入部20とが連結されて構成されたステムトライアルを用いる。このとき、術者は、ネックトライアル13と遠位側挿入部20とが連結されて構成されたステムトライアルを用いることで、髄腔100aに挿入する適切なサイズのステム11の確認を行う。
複数のネックトライアル13のそれぞれの形状は、ネックトライアル13がブローチトライアル12の遠位側挿入部20に連結された状態において、ネックトライアル13及び遠位側挿入部20が、サイズの異なる複数のステム11のそれぞれの形状に対応するように、形成されている。即ち、各ネックトライアル13は、各ステム11におけるステム本体部15の近位側の一部とネック部16とで構成される部分の形状に対応するように構成されている。
より具体的には、第1ネックトライアル13Aは、第1ステム11Aにおけるステム本体部15の近位側の一部とネック部16とで構成される部分の形状に対応するように構成されている。第2ネックトライアル13Bは、第2ステム11Bにおけるステム本体部15の近位側の一部とネック部16とで構成される部分の形状に対応するように構成されている。第3ネックトライアル13Cは、第3ステム11Cにおけるステム本体部15の近位側の一部とネック部16とで構成される部分の形状に対応するように構成されている。第4ネックトライアル13Dは、第4ステム11Dにおけるステム本体部15の近位側の一部とネック部16とで構成される部分の形状に対応するように構成されている。第5ネックトライアル13Eは、第5ステム11Eにおけるステム本体部15の近位側の一部とネック部16とで構成される部分の形状に対応するように構成されている。第6ネックトライアル13Fは、第6ステム11Fにおけるステム本体部15の近位側の一部とネック部16とで構成される部分の形状に対応するように構成されている。
図9は、ネックトライアル13とブローチトライアル12の遠位側挿入部20との連結形態を説明するための図である。尚、図9では、第1ネックトライアル13Aと遠位側挿入部20とが連結された状態を示す図(図9(a))、第4ネックトライアル13Dと遠位側挿入部20とが連結された状態を示す図(図9(b))、第6ネックトライアル13Fと遠位側挿入部20とが連結された状態を示す図(図9(c))を例示している。
第1ネックトライアル13Aの形状は、図9(a)に示すように第1ネックトライアル13Aが遠位側挿入部20に連結された状態において、第1ネックトライアル13A及び遠位側挿入部20が、第1ステム11Aの形状に対応するように、形成されている。第4ネックトライアル13Dの形状は、図9(b)に示すように第4ネックトライアル13Dが遠位側挿入部20に連結された状態において、第4ネックトライアル13D及び遠位側挿入部20が、第4ステム11Dの形状に対応するように、形成されている。第6ネックトライアル13Fの形状は、図9(c)に示すように第6ネックトライアル13Fが遠位側挿入部20に連結された状態において、第6ネックトライアル13F及び遠位側挿入部20が、第6ステム11Fの形状に対応するように、形成されている。尚、図9では図示が省略された第2、第3、第5ネックトライアル(13B、13C、13E)についても、遠位側挿入部20に連結された状態では、同様に、第2、第3、第5ステム(11A、11B、11E)の形状に対応している。
図10は、ネックトライアル13とブローチトライアル12の遠位側挿入部20との連結形態を更に説明するための図である。尚、第1〜6ネックトライアル(13A〜F)のそれぞれと遠位側挿入部20との連結形態は同様であるため、図10では、第6ネックトライアル13Fと遠位側挿入部20との連結形態のみを例示している。また、図10では、連結した状態の第6ネックトライアル13Fと遠位側挿入部20の一部とを示すとともに、その連結した状態の第6ネックトライアル13F及び遠位側挿入部20を側方からみた状態の模式図もあわせて図示している。更に、図10では、連結した状態の第6ネックトライアル13F及び遠位側挿入部20の図と、側方から見た状態の模式図との位置の対応関係を示す二点鎖線もあわせて図示している。
図10に示すように、第6ネックトライアル13Fには、遠位側挿入部20に設けられたガイド溝22に対して嵌まり込むガイドレール26が設けられている。そして、第1〜5ネックトライアル13のそれぞれにも、遠位側挿入部20に設けられたガイド溝22に対して嵌まり込むガイドレール26が設けられている。ガイドレール26は、ブローチトライアル12の近位側連結部21に設けられたガイドレール23と同様に構成されている。より具体的には、ガイドレール26は、各ネックトライアル13における遠位側挿入部20に連結される側の端部27においてレール状に突出した部分として形成されている。また、ガイドレール26は、各ネックトライアル13の端部27の端面に平行な方向に沿ってレール状に延びる部分として設けられている。ガイドレール26の断面形状は、ガイド溝22の断面形状に対応する台形状の断面形状として構成されている。
各ネックトライアル13と遠位側挿入部20とは、遠位側挿入部20に設けられたガイド溝22に対して各ネックトライアル13に設けられたガイドレール26が嵌め込まれることで、一体に連結される。尚、遠位側挿入部20と各ネックトライアル13との連結の際には、遠位側挿入部20の端部20aの端面と各ネックトライアル13の端部27(図9及び図10を参照)の端面とが擦りあわされるようにして、ガイド溝22にガイドレール27が嵌め込まれる。これにより、遠位側挿入部20と各ネックトライアル13とが一体に連結される。
[人工関節置換術用手術ユニットの使用形態]
次に、手術ユニット1の使用形態について説明する。人工股関節置換術においては、大腿骨100の近位側の端部が切除され、大腿骨100の近位側の端部に骨切り面100bが形成される(図7を参照)。骨切り面100bからは、髄腔100aの近位側の端部が開口することになる。尚、骨切り面100bは、一般的に、大腿骨100の端部において、内側側(ないそくがわ)から外側側(がいそくがわ)にかけて、患者の人体における下方側から上方側に向かって緩やかに斜めに延びるように形成される。即ち、骨切り面100bは、一般的に、大腿骨100の端部において、内側側から外側側にかけて、小転子100c側から大転子100d側に向かって緩やかに斜めに延びるように形成される。
髄腔100aが開口する骨切り面100bが大腿骨100の近位側の端部に形成された状態で、ブローチトライアル12を用いた髄腔100aの形状の形成作業が行われる。また、この作業においては、ブローチトライアル12を用いて適切なサイズのステム11を判断するための作業も行われる。この作業においては、人工股関節置換術を行う術者は、まず、ブローチトライアル12の近位側連結部21が一体に設けられたブローチハンドル14を操作し、図7に示すように、ブローチトライアル12を髄腔100aに挿入する。この挿入時、術者は、髄腔100aが延びる方向である髄腔100aの中心軸線方向L1と平行な方向に沿ってブローチハンドル14の直線状の軸部分14aをその軸方向L2に移動させながら、ブローチトライアル12の遠位側挿入部20を髄腔100aに挿入する。このとき、ブローチトライアル12が髄腔100aに挿入されることで、そのブローチトライアル12の切削刃(17、18)によって、髄腔100a内における海綿骨及び骨髄が削られ、髄腔100aの形状の形成作業が行われることになる。
ブローチトライアル12の髄腔100a内への挿入時には、術者は、ブローチハンドル14の直線状の軸部分14aの軸方向L2が髄腔100aの中心軸線方向L1と平行な状態を維持しながら、ブローチトライアル12を髄腔100a内に挿入する。そして、その挿入作業が継続されると、髄腔100aの形状を区画する皮質骨100eにブローチトライアル12が当接し、髄腔100aの形状に応じた所定の深さ以上にブローチトライアル12を挿入することが困難になる。このとき、ブローチトライアル12は、遠位側挿入部20から延長されるように設けられた近位側連結部21が、髄腔100aの形状に応じた所定の深さまで髄腔100a内に挿入されることになる。このように、ブローチトライアル12が髄腔100aの形状に応じた所定の深さまで挿入されると、髄腔100aの形状の形成作業が完了することになる。
尚、遠位側挿入部20は、髄腔100aに挿入された状態で、その長手方向が、遠位側から近位側にかけて内側側に向かって緩やかに湾曲しながら延びている。同様に、遠位側挿入部20から近位側に延長されるように延びる近位側連結部21も、遠位側から近位側にかけて内側側に向かって緩やかに湾曲しながら延びている。そして、ブローチハンドル14の軸部分14aの軸方向L2が髄腔100aの中心軸線方向L1と平行な状態で、ブローチトライアル12が髄腔100a内に挿入される。このため、ブローチトライアル12の挿入作業が継続されると、ブローチトライアル12は、髄腔100aの内周における皮質骨100eの表面に対して、遠位側挿入部20の遠位側の端部の外側側で当接するとともに、近位側連結部21の内側側で当接することになる。これにより、術者は、髄腔100aの形状に応じた所定の深さ以上にブローチトライアル12を挿入することが困難になる。
図11は、図7の一部を拡大して示す図であって、図7における大腿骨100の近位側の端部の近傍を拡大して示す図である。術者は、髄腔100aの形状に応じた所定の深さ以上にブローチトライアル12を挿入することが困難になった状態で、近位側連結部20に設けられた指標25を読み取り、対応するステム11を判断することができる。
具体的には、術者は、髄腔100aの形状に応じた所定の深さ以上にブローチトライアル12を挿入することが困難になった状態で、骨切り面100bの位置に対応する指標25を読み取る。図11に示す例では、骨切り面100bに対応する指標25として、例えば、骨切り面100bの位置に最も近い第4指標25Dが読み取られる。これにより、図11に示す例では、髄腔100aの形状に対応するステム11が、第4ステム11Dであると判断される。即ち、術者は、髄腔100aの形状に対して適切なサイズのステム11が第4ステム11Dであると判断することができる。このように、術者は、手術中に、ブローチトライアル12を用いて、髄腔100aの形状に対して適切なサイズのステム11を判断することができる。
尚、骨切り面100bは、前述のように、大腿骨100の端部において内側側から外側側にかけて、患者の人体の下方側から上方側に向かって緩やかに斜めに延びるように形成される。このため、骨切り面100bの下方側から上方側への傾斜角度のばらつきによっては、骨切り面100bに対応する指標25の読み取りが難しくなることが考えられる。しかしながら、本実施形態の指標25は、近位側連結部21の前面において内側側に配置されるように設けられている。これにより、ブローチトライアル12は、骨切り面100bに対応する指標25の読み取り誤差が大きくなってしまうことを抑制することができるように構成されている。
前述のように、髄腔100aの形状の形成作業が完了し、更に、髄腔100aの形状に対して適切なステム11のサイズが判断されると、術者は、ブローチハンドル14を操作し、髄腔100aからブローチトライアル12を抜き出す。次いで、術者は、ブローチハンドル12の近位側連結部21と遠位側挿入部20とを分離する。
近位側連結部21と遠位側挿入部20とを分離すると、術者は、適切であると判断したステム11のサイズに対応するネックトライアル13を遠位側挿入部20に連結する。例えば、サイズが適切であると判断したステム11が第4ステム11Dの場合であれば、術者は、ネックトライアル13Dと遠位側挿入部20とを連結する。これにより、適切であると判断されたステム11のサイズに対応するステムトライアルが構成されることになる。
上記のステムトライアルを用いることで、術者は、髄腔100aに挿入する適切なサイズのステム11の確認作業を行う。この確認作業では、術者は、上記のステムトライアルを髄腔100aに挿入し、ネックトライアル13の部分に骨頭ボールを取り付ける。そして、サイズが適切であると判断したステム11が人工股関節として用いられる場合におけるそのステム11の位置及び配置状態を検討し、サイズが適切であるか否かの最終確認を行う。術者は、上記のステムトライアルを用いた確認作業が終わると、髄腔100aの形状に対して適切なサイズのステム11を髄腔100aに挿入し、設置する。これにより、髄腔100aへのステム11の設置が完了することになる。
[人工関節置換術用手術ユニットの効果]
本実施形態によると、小ステム(11A〜E)のステム本体部15の外形が、いずれも、最大ステム11Fのステム本体部15における対応する部分の外形と同じ形状となるように構成される。即ち、最大ステム11Fの一部と小ステム(11A〜E)とにおいて、ステム本体部15の外形の共通化が図られる。更に、ブローチトライアル12のブローチ本体部19の外形が、最大ステム11Fのステム本体部15の外形に対応する形状となるように構成される。よって、本実施形態によると、1つのブローチトライアル12の外形が、その一部又は全部において、サイズの異なる複数のステム11の全ての外形に対応することになる。このため、いずれのサイズのステム11が用いられる場合であっても、1つのブローチトライアル12を用いて、髄腔100aの形状の形成を行うことができる。即ち、患者の髄腔100aの形状に適していると考えられるステム11がいずれのサイズであっても、そのサイズのステム11に対応した髄腔100aの形状を1つのブローチトライアル12を用いて形成することができる。また、ブローチトライアル12のブローチ本体部19には、サイズの異なる複数のステム11のそれぞれに対応する指標25が設けられている。このため、術者は、1つのブローチトライアル12を用いて髄腔100aの形状の形成を行う際に、髄腔100aの形状に対応するステム11のサイズを容易に確認することができる。よって、サイズの異なる複数のステム11に対応する複数のブローチトライアルは不要となり、ブローチトライアル12を1つにすることができる。このように、本実施形態によると、人工関節置換術用手術ユニット1において必要なブローチトライアル12の数を1つに設定できるため、人工関節置換術用手術ユニット1における手術器具点数の増大を抑制でき、構成の簡素化を図ることができる。
以上のように、本実施形態によれば、手術器具点数の増大を抑制でき、構成の簡素化を図ることができる、人工関節置換術用手術ユニット1を提供することができる。
また、本実施形態によると、最大ステム11Fのステム本体部15の挿入先端側と小ステム(11A〜E)のステム本体部15とにおいて、外形の共通化が図られる。よって、本実施形態によると、患者の髄腔100aの形状に適していると考えられるステム11がいずれのサイズであっても、そのサイズのステム11に対応した髄腔100aの形状を1つのブローチトライアル12を用いて形成することができる構成を、容易に実現することができる。
また、本実施形態によると、最大ステム11Fのステム本体部15の外形に対応する形状となるように設けられるブローチ本体部19が、最小ステム11Aのステム本体部15の形状に対応する遠位側挿入部20と、近位側連結部21とに、分離可能に設けられる。このため、遠位側挿入部20をネックトライアル13のような他のトライアル要素と組み合わせて用いることで、この遠位側挿入部20をステムトライアルの一部として用いることもできる。よって、本実施形態によると、ブローチトライアル12の一部をステムトライアルの一部として用いることもできる。
また、本実施形態によると、ブローチトライアル12のブローチ本体部19の遠位側挿入部20を各サイズのネックトライアル13と連結することで、各サイズのステム11に対応するステムトライアルをそれぞれ構成することができる。よって、本実施形態によると、ブローチトライアル12の一部をサイズの異なる複数のステムトライアルの一部として共通して用いることができる。これにより、ステムトライアルの部材の削減を図ることができる。
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能である。例えば、次のように変更して実施してもよい。
(1)前述の実施形態では、人工股関節置換術において用いられる人工関節置換術用手術ユニットを例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。人工股関節置換術以外の人工関節置換術において用いられる人工関節置換術用手術ユニットが実施されてもよい。
(2)前述の実施形態では、ステム及びネックトライアルがそれぞれ6個設けられた形態の人工関節置換術用手術ユニットを例にとって説明したが、この通りでなくもよく、ステム及びネックトライアルが5個以下又は7個以上設けられた形態の人工関節置換術用手術ユニットが実施されてもよい。
(3)前述の実施形態では、ブローチトライアルのブローチ本体部が、遠位側挿入部と近位側連結部とに分離可能な構成を例にとって説明したが、この通りでなくてもよく、一体に設けられたブローチ本体部を備えるブローチトライアルが実施されてもよい。即ち、ブローチ本体部が、遠位側挿入部と外形が同様に形成される遠位側の部分と、近位側連結部と外形が同様に形成される近位側の部分とを有し、ブローチ本体部の遠位側の部分と近位側の部分とが一体に設けられた形態のブローチトライアルが実施されてもよい。
(4)前述の実施形態では、直線状に延びる軸部分がブローチトライアルから直接に直線状に延びるように設けられた形態のブローチハンドルを例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。図12は、変形例に係るブローチハンドル28を示す図である。尚、図12においては、前述の実施形態と同様に構成される要素については、同一の符号を付している。
図12に示すブローチハンドル28は、直線状に延びる軸部分28aに加え、湾曲して延びる湾曲部分28bを有している。そして、軸部分28aは、ブローチトライアル12から直接に直線状に延びるように設けられておらず、湾曲部分28bを介してブローチトライアル12に連結されている。軸部分28a、湾曲部分28b、及びブローチトライアル12の近位側連結部21は、一体に設けられている。ブローチハンドル28は、湾曲部分28bが設けられているため、手術中に患者の軟部組織を避けてブローチトライアル12を操作することがより容易となる。このように、湾曲部分28bを有するブローチハンドル28が実施されてもよい。
(5)前述の実施形態では、ブローチトライアルの近位側連結部に対して一体に設けられた形態のブローチハンドルを例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。図13は、変形例に係るブローチハンドル29及びブローチトライアル30を示す図である。尚、図13と、後述の図14及び図15とでは、前述の実施形態と同様に構成される要素については、同一の符号を付している。
図13に示すブローチハンドル29は、人工関節置換術を行う術者がブローチトライアル30を操作する際のハンドルとして設けられている。ブローチハンドル29は、ブローチトライアル30に対して着脱可能に設けられている。ブローチトライアル30は、ブローチハンドル29が着脱可能である構成を除き、前述のブローチトライアル12と同様に構成されている。即ち、ブローチトライアル30は、近位側連結部21における遠位挿入部20に連結される側の端部と反対側の端部の構造を除き、ブローチトライアル12と同様に構成されている。
ブローチトハンドル29には、ハンドル本体29a、着脱操作レバー29b、嵌合部29c、係合突起29d、等が設けられている。ハンドル本体29aは、直線状に延びるとともに術者によって把持されて操作される部分として設けられている。嵌合部29cは、ブローチトライアル30に対して嵌合可能な凸部として設けられている。ブローチハンドル29が、ブローチトライアル30に取り付けられる際、嵌合部29cがブローチトライアル30に対して嵌合するように挿入される。
図14は、ブローチトライアル30の近位側連結部21における遠位挿入部20に連結される側の端部と反対側の端部の端面30aを示す図である。ブローチトライアル30の近位側連結部21は、端面30aにて、ブローチハンドル29に対して着脱可能に取り付けられる。ブローチトライアル30の近位側連結部21には、遠位挿入部20に連結される側の端部21aと反対側の端部において、嵌合孔30b、係合凸部30c、等が設けられている。嵌合孔30bは、ブローチトハンドル29の嵌合部29cが挿入されて嵌合する凹み孔として設けられている。係合凸部30cは、嵌合孔30bの内側に配置され、嵌合孔30bの底部から嵌合孔30bの開口側に向かって突出する凸部として設けられている。係合凸部30cは、嵌合部29cが嵌合孔30bに嵌合した状態で、嵌合部29cに設けられた凹み孔(図示省略)に対して嵌まり込む凸部として設けられている。
着脱操作レバー29bは、ブローチハンドル29をブローチトライアル30に対して着脱させる操作を行うための操作レバーとして設けられている。着脱操作レバー29bは、ハンドル本体29a内に内蔵されたリンク機構(図示省略)を介して係合突起29dを駆動可能に構成されている。
着脱操作レバー29bの操作が行われていない図13に示す状態では、上記のリンク機構と連動するバネ機構(図示省略)の付勢力によって、係合突起29bが嵌合部29cから突出した状態が維持される。一方、ハンドル本体29aに対して片持ち状で回動自在に支持された着脱操作レバー29bが、ハンドル本体29aに対して開く方向に操作されることで、係合突起29bが嵌合部29cの内側に退避するように駆動される。着脱操作レバー29bがハンドル本体29aに対して開く方向に操作されている状態では、係合突起29bが嵌合部29cの内側に退避した状態が維持される。そして、着脱操作レバー29bのハンドル本体29aから開く方向への操作が解除されると、前述のバネ機構の付勢力によって、着脱操作レバー29bがハンドル本体29aに対して閉じる方向に付勢されるとともに、係合突起29bは、嵌合部29cから突出する。これにより、図13に示す状態に戻ることになる。
係合突起29cは、上述の通り、着脱操作レバー29bの操作に基づいて、嵌合部29cから突出した状態と嵌合部29cに退避した状態との間で駆動される。そして、係合突起29cは、嵌合部29cが嵌合孔30bに嵌合した状態で、嵌合部29cから突出することで、嵌合孔30bの内側に設けられた凹み孔(図示省略)に対して嵌まり込み、嵌合孔30bの内壁に対して係合する。嵌合部29cが嵌合孔30bに嵌合するとともに、係合突起29cが嵌合孔30bに係合することで、ブローチトハンドル29がブローチトライアル30に取り付けられることになる。一方、着脱操作レバー29bの操作が行われて係合突起29cが嵌合部29cに退避するとともに、嵌合部29cが嵌合孔30bから抜き出されることで、ブローチハンドル29がブローチトライアル30から取り外されることになる。
図15は、ブローチトライアル30にブローチハンドル29が取り付けられた状態を示す図である。図13乃至図15の変形例に示すように、互いに着脱自在に設けられたブローチハンドル29及びブローチトライアル30が実施されてもよい。
(6)ブローチトライアルとネックトライアルとの連結形態については、前述の実施形態にて例示した形態に限らず、種々変更して実施してもよい。例えば、図16及び図17の変形例が実施されてもよい。
図16は、変形例に係るブローチトライアル12及びネックトライアル13を説明するための模式図である。尚、図16及び後述の図17では、前述の実施形態に対応する要素については、同一の符号を付している。即ち、変形例に係るブローチトライアル12及びネックトライアル13は、前述の実施形態のブローチトライアル12及びネックトライアル13に対応している。
変形例に係るブローチトライアル12及びネックトライアル13は、前述の実施形態のブローチトライアル12及びネックトライアル13と同様に構成されるが、ブローチトライアル12の遠位側挿入部20とネックトライアル13とを連結する構造において、前述の実施形態とは異なっている。尚、図16では、第1ネックトライアル13Aと遠位側挿入部20とが連結された状態を模式的に示す図(図16(a))、第4ネックトライアル13Dと遠位側挿入部20とが連結された状態を模式的に示す図(図16(b))、第6ネックトライアル13Fと遠位側挿入部20とが連結された状態を模式的に示す図(図16(c))を例示している。
図16(a)〜(c)に示すように、ブローチトライアル12の遠位側挿入部20とネックトライアル13とは、連結ボルト31を介して連結され、互いに固定される。ネックトライアル13には、連結ボルト31のネジ軸部分の先端側に対して螺合するメネジ孔が設けられている。また、遠位側挿入部20には、連結ボルト31のネジ軸部分が貫通して螺合する貫通メネジ孔が設けられている。ネックトライアル13のメネジ孔と遠位側挿入部20の貫通メネジ孔とは、ネックトライアル13と遠位側挿入部20とが組み合わされた状態で、同一直線状に沿って並ぶように設けられている。
連結ボルト31は、組み合わされた状態のネックトライアル13と遠位側挿入部20とに対して、ネックトライアル13のメネジ孔と遠位側挿入部20の貫通メネジ孔とに螺合するように、取り付けられる。これにより、遠位側挿入部20とネックトライアル13とが、連結ボルト31を介して連結され、互いに固定される。
図17は、図16に示す変形例に係るネックトライアル13とブローチトライアル12の遠位側挿入部20との連結形態を更に説明するための模式図である。尚、変形例に係る第1〜6ネックトライアル(13A〜F)のそれぞれと遠位側挿入部20との連結形態は同様であるため、図17では、第6ネックトライアル13Fと遠位側挿入部20との連結形態のみを例示している。また、図17では、連結した状態の第6ネックトライアル13Fと遠位側挿入部20の一部とを示すとともに、その連結した状態の第6ネックトライアル13F及び遠位側挿入部20を側方からみた状態の模式図もあわせて図示している。更に、図17では、連結した状態の第6ネックトライアル13F及び遠位側挿入部20の図と、側方から見た状態の模式図との位置の対応関係を示す二点鎖線もあわせて図示している。
図17に示すように、遠位側挿入部20には、ガイド溝32が設けられている。ガイド溝32は、遠位側挿入部20における挿入先端側と反対側の端部20aにおいて凹み形成されている。また、ガイド溝32は、遠位側挿入部20の端部20aの端面に平行な方向に沿って延びる溝として設けられている。更に、ガイド溝32の断面形状は、端部20aにて開口する部分から奥側の部分に亘って同じ幅の矩形の断面形状として構成されている。尚、連結ボルト31が螺合する遠位側挿入部20の貫通メネジ孔は、ガイド溝32の底部にて開口するように設けられている。
第6ネックトライアル13Fには、遠位側挿入部20に設けられたガイド溝32に対して嵌まり込むガイドレール33が設けられている。そして、図示が省略された第1〜5ネックトライアル13のそれぞれにも、遠位側挿入部20に設けられたガイド溝32に対して嵌まり込むガイドレール33が設けられている。ガイドレール33は、第6ネックトライアル13Fにおける遠位側挿入部20に連結される側の端部27においてレール状に突出した部分として形成されている。また、ガイドレール33は、第6ネックトライアル13Fの端部27の端面に平行な方向に沿ってレール状に延びる部分として設けられている。ガイドレール33の断面形状は、ガイド溝32の断面形状に対応する矩形の断面形状として構成されている。尚、連結ボルト31が螺合するネックトライアル13のメネジ孔は、ガイドレール33にて開口するように設けられている。
各ネックトライアル13と遠位側挿入部20とは、遠位側挿入部20に設けられたガイド溝32に対して各ネックトライアル13に設けられたガイドレール33が嵌め込まれることで、一体に組み合わされる。そして、連結ボルト31が、組み合わされた状態のネックトライアル13と遠位側挿入部20とに対して、ネックトライアル13のメネジ孔と遠位側挿入部20の貫通メネジ孔とに螺合するように、取り付けられる。これにより、遠位側挿入部20とネックトライアル13との連結が完成されることになる。尚、遠位側挿入部20とネックトライアル13との連結が解除される際には、連結ボルト31が取り外され、遠位側挿入部20とネックトライアル13とが分離されることになる。
上記の変形例のように、連結ボルト31によって、ネックトライアル13とブローチトライアル12の遠位側挿入部20とが連結されて互いに固定される形態が、実施されてもよい。
(7)前述の実施形態では、ネックトライアルを備えた人工関節置換術用手術ユニットを例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。図18に示すように、サイズが異なる複数のネックトライアルではなく、サイズが異なる複数のステムトライアルを備えた形態の人工関節置換術用手術ユニットが実施されてもよい。
図18は、変形例に係る人工関節置換術用手術ユニット2を示す図である。尚、図18においては、前述の実施形態と同様に構成される要素については、同一の符号を付している。図18に示す人工関節置換術用手術ユニット2は、サイズが異なる複数のステム11(11A〜F)と、ブローチトライアル12と、ブローチハンドル14と、サイズが異なる複数のステムトライアル34(34A〜F)と、を備えて構成されている。即ち、図18に示す人工関節置換術用手術ユニット2は、サイズが異なる複数のネックトライアル13ではなく、サイズが異なる複数のステムトライアル34を備えている点で、前述の実施形態の人工関節置換術用手術ユニット1とは異なっている。尚、図18に示す人工関節置換術用手術ユニット2は、ブローチトライアル12のブローチ本体部19が一体に設けられている点においても、前述の実施形態の人工関節置換術用手術ユニット1とは異なっている。
人工関節置換術用手術ユニット2においては、ステム11に対応してサイズが異なる6本のステムトライアル34(34A〜F)が設けられている。より具体的には、人工関節置換術用手術ユニット2においては、ステムトライアル34として、第1ステムトライアル34A、第2ステムトライアル34B、第3ステムトライアル34C、第4ステムトライアル34D、第5ステムトライアル34E、第6ステムトライアル34Fが備えられている。
そして、複数のステムトライアル34(34A〜F)のそれぞれの形状は、サイズが異なる複数のステム11(11A〜F)のそれぞれの形状に対応するように形成されている。即ち、第1ステムトライアル34Aの形状は、第1ステム11Aの形状に対応するように形成されている。第2ステムトライアル34Bの形状は、第2ステム11Bの形状に対応するように形成されている。第3ステムトライアル34Cの形状は、第3ステム11Cの形状に対応するように形成されている。第4ステムトライアル34Dの形状は、第4ステム11Dの形状に対応するように形成されている。第5ステムトライアル34Eの形状は、第5ステム11Eの形状に対応するように形成されている。第6ステムトライアル34Fの形状は、第6ステム11Fの形状に対応するように形成されている。
人工関節置換術用手術ユニット2が人工股関節置換術において用いられる際、術者は、ブローチトライアル12による髄腔の形状の形成作業が終了すると、ステムトライアル34を用いることで、髄腔に挿入する適切なサイズのステム11の確認を行う。
上記の変形例によると、サイズの異なる複数のステム11のそれぞれに対応してサイズが異なる複数のステムトライアル34が設けられる。よって、ブローチトライアル12によって髄腔の形状の形成を行った後、術者は、形成した髄腔の形状に対応するサイズのステムトライアル34を用いて、髄腔に挿入するステム11の適切なサイズを容易に確認することができる。
(8)前述の実施形態では、ネックトライアルが備えられ、ステム本体トライアルが備えられていない人工関節置換術用手術ユニットを例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。図19に示すように、サイズが異なる複数のネックトライアルに加え、1つのステム本体トライアルを更に備えた形態の人工関節置換術用手術ユニットが実施されてもよい。
図19は、変形例に係る人工関節置換術用手術ユニット3を示す図である。尚、図19においては、前述の実施形態と同様に構成される要素については、同一の符号を付している。図19に示す人工関節置換術用手術ユニット2は、サイズが異なる複数のステム11(11A〜F)と、ブローチトライアル12と、ブローチハンドル14と、サイズが異なる複数のネックトライアル13(13A〜F)と、ステム本体トライアル35と、を備えて構成されている。即ち、図19に示す人工関節置換術用手術ユニット2は、ステムトライアルを構成するための要素として、サイズが異なる複数のネックトライアル13に加え、更に、ステム本体トライアル35も備えている点で、前述の実施形態の人工関節置換術用手術ユニット1とは異なっている。尚、図19に示す人工関節置換術用手術ユニット3は、ブローチトライアル12のブローチ本体部19が一体に設けられている点においても、前述の実施形態の人工関節置換術用手術ユニット1とは異なっている。
ステム本体トライアル35の形状は、複数のステム11のうちサイズが最小のステム11である最小ステム11Aのステム本体部15の形状に対応するように形成されている。そして、複数のネックトライアル13のそれぞれは、髄腔から突出した状態で配置されて骨頭ボールが取り付けられるとともに、ステム本体トライアル35に連結可能に設けられている。また、複数のネックトライアル13のそれぞれの形状は、ネックトライアル13がステム本体トライアル35に連結された状態において、ネックトライアル13及びステム本体トライアル35が、サイズの異なる複数のステム11のそれぞれの形状に対応するように、形成されている。
即ち、第1ネックトライアル13A及びステム本体トライアル35が連結されて構成されたステムトライアルの形状は、第1ステム11Aの形状に対応するように形成されている。第2ネックトライアル13B及びステム本体トライアル35が連結されて構成されたステムトライアルの形状は、第2ステム11Bの形状に対応するように形成されている。第3ネックトライアル13C及びステム本体トライアル35が連結されて構成されたステムトライアルの形状は、第3ステム11Cの形状に対応するように形成されている。第4ネックトライアル13D及びステム本体トライアル35が連結されて構成されたステムトライアルの形状は、第4ステム11Dの形状に対応するように形成されている。第5ネックトライアル13E及びステム本体トライアル35が連結されて構成されたステムトライアルの形状は、第5ステム11Eの形状に対応するように形成されている。第6ネックトライアル13F及びステム本体トライアル35が連結されて構成されたステムトライアルの形状は、第6ステム11Fの形状に対応するように形成されている。
尚、ステム本体トライアル35には、ネックトライアル13のガイドレール26が嵌まり込むガイド溝(図示省略)が設けられている。ステム本体トライアル35に設けられるガイド溝は、前述の実施形態におけるブローチトライアル12の近位側連結部20のガイド溝22と同様に形成されている。各ネックトライアル13とステム本体トライアル35とは、ステム本体トライアル35に設けられたガイド溝に対して各ネックトライアル13に設けられたガイドレール26が嵌め込まれることで、一体に連結される。
人工関節置換術用手術ユニット3が人工股関節置換術において用いられる際、術者は、ブローチトライアル12による髄腔の形状の形成作業が終了すると、ネックトライアル13及びステム本体トライアル35が連結されて構成されたステムトライアルを用いることで、髄腔に挿入する適切なサイズのステム11の確認を行う。
上記の変形例によると、1つのステム本体トライアル35を各サイズのネックトライアル13と連結することで、各サイズのステム11に対応するステムトライアルをそれぞれ構成することができる。よって、上記の変形例によると、ステム本体トライアル35をサイズの異なる複数のステムトライアルの一部として共通して用いることができる。これにより、ステムトライアルの部材の削減を図ることができる。