JP6459693B2 - フィラーパイプ用ポリエチレン及びフィラーパイプ - Google Patents

フィラーパイプ用ポリエチレン及びフィラーパイプ Download PDF

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Description

本発明は、フィラーパイプ用ポリエチレンに関し、成形性(ブロー成形及び押出し成形)に優れ、肉厚均一性が良好な製品に好適で、かつ、製品の振動耐久性、耐環境応力亀裂性(ESCR)及び耐ガソリン膨潤性に優れたフィラーパイプ用ポリエチレン及びフィラーパイプに関する。
近年、軽量化、省エネルギー化の目的で、各種自動車用部品のプラスチック化が活発に押し進められている。例えば、自動車等の燃料タンクへのガソリン燃料の供給配管構造部材においても、各種のプラスチック材料が使用されている。
フィラーパイプ用プラスチック材料は、自動車における使用に適しており、石や路面の破片による衝撃、様々な衝撃、振動疲労及び温度変化に耐え得ることによって、自動車の使用環境に対する耐性を有することが必要である。さらに、フィラーパイプ用プラスチック材料は、ブレーキ液、エンジンオイル、路上の塩及びガソリンなどのような、自動車の通常運転によりさらされる様々な薬剤に対する耐性を有することが必要である。
特に、プラスチック材料としての成形の容易さを備えているだけでなく、上述したような振動耐久性や耐ガソリン膨潤性を兼ね備えることが重要である。
上述の課題を解決するためのプラスチック材料として、例えば、特許文献1(特開平3−117794号公報)には、ガソリンと接触するパイプ内面が高密度ポリエチレンで形成されたプラスチック製のフィラーパイプであって、このパイプの少なくとも一部は、当該高密度ポリエチレンによる薄肉の内層と、特定のエラストマーによる厚肉の外層とによって構成されていることを特徴とするプラスチック製フィラーパイプが提案されている。
また、特許文献2(特表2002−513902号公報)には、少なくとも1つの接着剤により互いに結合されている外側領域と内側領域とを有し、前記外側領域はポリエチレンからなる単一の層を有し、前記内側領域は静電エネルギーを散逸させることが可能で、且つ、炭化水素の透過を妨げることが可能な、自動車用のパイプが提案されている。
また、特許文献3(特開2010−235660号公報)には、(A)高酸変性高密度ポリエチレン樹脂、(B)酸変性高密度ポリエチレン樹脂、(C)未変性高密度ポリエチレン樹脂からなる海相中に、(D)ポリアミド樹脂からなる島相が分散したアロイ材により形成されてなる、給油口側の樹脂製フィラーパイプであって、上記(A)の含有割合が(A)〜(D)合計量全体の2〜19重量%であり、かつ上記海相と島相との間に両相の相溶層を有することを特徴とする樹脂製フィラーパイプが提案されている。
しかしながら、これらの特許文献には、成形性(ブロー成形及び押出し成形)に優れ、肉厚均一性が良好な製品に好適で、かつ、製品の振動耐久性、耐環境応力亀裂性(ESCR)及び耐ガソリン膨潤性に優れたフィラーパイプ用プラスチック材料について、必ずしも十分に開示されているとは言えない。
ブロー成形用の材料に関して、例えば、特許文献4(特開2012−126862号公報)には、密度が920〜970kg/m、MFRが0.005〜1g/10分、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーによる分子量測定において2つのピークを示し、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が2.0〜7.0の範囲であり、分子量分別した際のMnが10万以上のフラクション中に長鎖分岐を主鎖1000炭素数あたり0.15個以上有するエチレン系重合体からなる層を含むブロー容器であって、分子量分別した際のMnが10万以上である成分の割合がポリマー全体の40%未満であることを特徴とするブロー容器が開示されている。また、押出し成形用の材料に関して、例えば、特許文献5(特開2012−126863号公報)には、密度が925〜970kg/m、メルトフローレート(MFR)が0.05〜1g/10分、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーによる分子量測定において2つのピークを示し、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が2.0〜7.0の範囲であり、分子量分別した際のMnが10万以上のフラクション中に長鎖分岐を主鎖1000炭素数あたり0.15個以上有するエチレン系重合体からなるポリエチレンパイプであって、分子量分別した際のMnが10万以上である成分の割合がポリマー全体の40%未満であることを特徴とするポリエチレンパイプが開示されている。
しかしながら、これらの材料では、必ずしも十分な成形性(ブロー成形及び押出し成形)、振動耐久性、長期耐久性及び耐ガソリン膨潤性を達成できるわけでない。
特開平3−117794号公報 特表2002−513902号公報 特開2010−235660号公報 特開2012−126862号公報 特開2012−126863号公報
本発明の目的は、フィラーパイプ用プラスチック材料に関し、成形性(ブロー成形及び押出し成形)に優れ、肉厚均一性が良好な製品に好適で、かつ、製品の振動耐久性、長期耐久性及び耐ガソリン膨潤性に優れたフィラーパイプ用プラスチック材料及びフィラーパイプを提供することにある。
特に、ブロー成形時の耐ドローダウン性や押出し成形時の吐出性等に優れ、しかも製品の振動耐久性や長期耐久性(FNCT)のバランスに優れた樹脂製フィラーパイプ用ポリエチレン樹脂を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、密度、メルトフローレート、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求められる分子量等の特性が特定範囲を満足するポリエチレンを使用することによって、優れたフィラーパイプが得られることを見出し、本発明に至った。
即ち、本発明の第1の発明によれば、下記の特性(1)〜(5)を満たすポリエチレンを用いて製造されたフィラーパイプが提供される。
特性(1)密度が0.930〜0.950g/cmである。
特性(2)温度190℃、荷重21.6kgで測定されるメルトフローレート(HLMFR)が10〜37g/10分である。
特性(3)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求められる重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が7.0を超え20.0以下である。
特性(4)GPCにより測定され、ポリエチレン全体の検出面積に対する分子量10,000以下の成分の検出面積の割合が10%以上17%以下である。
特性(5)GPCにより測定され、ポリエチレン全体の検出面積に対する分子量500,000以上の成分の検出面積の割合が10%以上18%以下である。
本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、下記の特性(6)を満たすポリエチレンを用いて製造されたフィラーパイプが提供される。
特性(6)フルノッチクリープ試験による80℃、4.0MPaにおける破断時間(FNCT)が200時間以上である。
本発明の第3の発明によれば、第1又は第2の発明において、更に下記の特性(7)を満たすポリエチレンを用いて製造されたフィラーパイプが提供される。
特性(7)繰り返し引張疲労試験による80℃、6.0MPaにおける破断回数(FNFT)が20,000回以上である。
本発明の第4の発明によれば、第1〜3のいずれかの発明において、更に下記の特性(8)を満たすポリエチレンを用いて製造されたフィラーパイプが提供される。
特性(8)曲げ弾性率が900MPa以下である。
また、本発明の第5の発明によれば、下記の特性(1)〜(5)を満たすポリエチレンを用いたフィラーパイプの製造方法が提供される。
特性(1)密度が0.930〜0.950g/cm である。
特性(2)温度190℃、荷重21.6kgで測定されるメルトフローレート(HLMFR)が10〜37g/10分である。
特性(3)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求められる重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が7.0を超え20.0以下である。
特性(4)GPCにより測定され、ポリエチレン全体の検出面積に対する分子量10,000以下の成分の検出面積の割合が10%以上17%以下である。
特性(5)GPCにより測定され、ポリエチレン全体の検出面積に対する分子量500,000以上の成分の検出面積の割合が10%以上18%以下である。
また、本発明の第6の発明によれば、第5の発明において、下記の特性(6)を満たすポリエチレンを用いたフィラーパイプの製造方法が提供される。
特性(6)フルノッチクリープ試験による80℃、4.0MPaにおける破断時間(FNCT)が200時間以上である。
また、本発明の第7の発明によれば、第5又は6の発明において、下記の特性(7)を満たすポリエチレンを用いたフィラーパイプの製造方法が提供される。
特性(7)繰り返し引張疲労試験による80℃、6.0MPaにおける破断回数(FNFT)が10,000回以上である。
また、本発明の第8の発明によれば、第5〜7のいずれかの発明において、下記の特性(8)を満たすポリエチレンを用いたフィラーパイプの製造方法が提供される。
特性(8)曲げ弾性率が900MPa以下である。
以上
本発明のフィラーパイプ用ポリエチレンは、特定の密度、メルトフローレート、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求められる分子量等の特性を満足するため、フィラーパイプ用のプラスチック材料として使用した場合、成形性(ブロー成形及び押出し成形)に優れ、肉厚均一性が良好なフィラーパイプの製造に好適で、かつ、製品の振動耐久性、長期耐久性及び耐ガソリン膨潤性に優れたフィラーパイプを製造することができる。
特に、ブロー成形時の耐ドローダウン性や押出し成形時の吐出性等に優れ、しかも製品の振動耐久性や長期耐久性(FNCT)のバランスに優れた樹脂製フィラーパイプを提供することができる。
本発明のフィラーパイプ用ポリエチレンは、特性(1)〜(5)を満たすことを特徴とするポリエチレンである。
以下、本発明を、項目毎に詳細に説明する。
1.ポリエチレンの特性
特性(1)密度
本発明のポリエチレンの密度は、0.930〜0.950g/cmであることが必要であり、好ましくは0.930〜0.945g/cm、さらに好ましくは0.932〜0.942g/cmである。密度が0.930g/cm未満では、剛性が不十分となるため好ましくない。一方、密度が0.950g/cmより大きいと耐衝撃性や耐ストレスクラック性等が不十分となるため好ましくない。
密度は、主に重合体の製造時のα−オレフィンの種類や含有量の制御などの方法により調整することができる。例えば、ポリエチレン中のα−オレフィン含有量を低くする(重合時のα−オレフィン添加量を低くする)、または同じ含有量であれば、炭素数の小さいα−オレフィンを用いることにより、密度を高くすることができる。
なお、上記の密度は、JIS K−7112(1999年版)に準拠し、ペレットを温度160℃の熱圧縮成形機により溶融後25℃/分の速度で降温し、厚み2mmtのシートを成形し、このシートを温度23℃の室内で48時間状態調節した後、密度勾配管に入れ測定したものである。
特性(2)温度190℃、荷重21.6kgで測定されるメルトフローレート(HLMFR)
本発明のHLMFRは、10〜37g/10分であることが必要であり、好ましくは11〜20g/10分、さらに好ましくは12〜18g/10分である。HLMFRが10g/10分未満では、押出し成形性が不十分となるため好ましくない。一方、HLMFRが37g/10分より大きいと、耐衝撃強度や耐ストレスクラック性等が不十分となるため好ましくない。
なお、本明細書において、ポリエチレンのHLMFRは、JIS K7210の「プラスチック−熱可塑性プラスチックのメルトマスフローレイト(MFR)及びメルトボリュームフローレイト(MVR)の試験方法」に準拠して測定したときの値をいう。
HLMFRは、重合温度や水素濃度の制御などの方法で調整することができる。例えば、重合温度を高くする、または水素濃度を高くすることによりHLMFRを高くすることができる。
特性(3)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求められる重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)
本発明のポリエチレンのMw/Mnは、7.0を超え20.0以下であり、10.0以上19.0以下であることが好ましい。Mw/Mnが7.0以下では、成形品の耐久性が不足するため好ましくない。一方、Mw/Mnが20.0より大きいと耐衝撃性や耐ストレスクラック性等が不十分となるため好ましくない。
なお、本明細書において、ポリエチレンのMw/Mnは、GPCで測定される重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnから計算される値をいう。
分子量分布(Mw/Mn)は、主に、重合触媒及び重合条件を選択することにより、所定の範囲とすることができ、また、異なる分子量の複数成分を混合することにより、所定の範囲とすることができる。触媒としては、主にクロム系触媒が好ましい触媒として挙げられる。
本発明において、GPCによる分子量(重量平均分子量Mw、数平均分子量Mn)は、下記の条件により測定される。
装置:WATERS社製150C
カラム:昭和電工社製AD80M/Sを3本
測定温度:140℃
濃度:1mg/1ml
溶媒:o−ジクロロベンゼン
なお、分子量の計算及びカラムの較正は、以下の方法に準拠して行なわれる。
GPCクロマトデータは、1点/秒の頻度でコンピュータに取り込み、森定雄著・共立出版社発行の「サイズ排除クロマトグラフィー」第4章の記載に従ってデータ処理を行ない、Mw、Mn値を計算することができる。
特性(4)GPCにより測定され、ポリエチレン全体の検出面積に対する分子量10,000以下の成分の検出面積の割合
本発明のポリエチレンのGPCにより測定され、ポリエチレン全体の検出面積に対する分子量10,000以下の成分の検出面積の割合は、10%以上、好ましくは11%以上、さらに好ましくは12%以上である。当該割合が10%未満では、成形時の表面肌が悪化するので好ましくない。
本発明のポリエチレンのGPCにより測定され、ポリエチレン全体の検出面積に対する分子量10,000以下の成分の検出面積の割合は、17%以下、好ましくは16%以下、さらに好ましくは15%以下である。当該割合が17%を超えると、耐ガソリン膨潤性が悪化し、ガソリン中に低分子量成分が抽出されるので好ましくない。
本発明のポリエチレンの当該割合は、重合触媒の種類、重合時の条件(例えば、重合温度、水素添加量、エチレン以外のα−オレフィン添加量、反応器の数)、重合後のポリマーの処理条件等を適宜選択することにより、調整することができる。好ましくはクロム触媒、より好ましくはシリカ−チタニア担持クロム触媒を用いることができる。低分子量成分の割合を小さくするという点から、重合後のポリマーを溶媒洗浄してもよいし、窒素や水蒸気等の流体によって揮発性成分を除去してもよい。
特性(5)GPCにより測定され、ポリエチレン全体の検出面積に対する分子量500,000以上の成分の検出面積の割合
本発明のポリエチレンのGPCにより測定され、ポリエチレン全体の検出面積に対する分子量500,000以上の成分の検出面積の割合は、10%以上、好ましくは11%以上、さらに好ましくは12%以上である。当該割合が10%未満では、振動耐久性が低下するので好ましくない。
本発明のポリエチレンのGPCにより測定され、ポリエチレン全体の検出面積に対する分子量500,000以上の成分の検出面積の割合は、18%以下、好ましくは17%以下、さらに好ましくは16%以下である。当該割合が18%を超えると、押出し成形性が悪化するので好ましくない。
本発明のポリエチレンの当該割合は、重合触媒の種類、重合時の条件(例えば、重合温度、水素添加量、エチレン以外のα−オレフィン添加量、反応器の数)、重合後のポリマーの処理条件等を適宜選択することにより、調整することができる。好ましくはクロム触媒、より好ましくはシリカ−チタニア担持クロム触媒を用いることができる。高分子量成分の割合を小さくするという点から、重合を単段の反応器で行なうことが好ましい。
本発明のポリエチレンのGPCにより測定され、ポリエチレン全体の検出面積に対する分子量1,000,000以上の成分の検出面積の割合は、好ましくは、10%以下、さらに好ましくは8%以下、さらに好適には6%以下である。当該割合が10%を超えると、押出し成形性が悪化するので好ましくない。
本発明のポリエチレンの当該割合は、重合触媒の種類、重合時の条件(例えば、重合温度、水素添加量、エチレン以外のα−オレフィン添加量、反応器の数)、重合後のポリマーの処理条件等を適宜選択することにより、調整することができる。好ましくはクロム触媒、より好ましくはシリカ−チタニア担持クロム触媒を用いることができる。高分子量成分の割合を小さくするという点から、重合を単段の反応器で行なうことが好ましい。
特性(6)フルノッチクリープ試験による80℃、4.0MPaにおける破断時間(FNCT)
本発明のポリエチレンのFNCTは、好ましくは200時間以上、さらに好ましくは300時間である。FNCTが200時間未満では、フィラーパイプの耐久性が劣り、応力集中部に割れが発生する傾向がある。
本発明のポリエチレンのFNCTは、JIS K6774(1995)付属書1の全周ノッチ式引張クリープ試験に準拠し、80℃、4.0MPaで測定を行なうことができる。試験片は、JIS K6922−2(1997)表2の条件で作成した厚さ6mmの圧縮成形シートから切出し、全周にノッチを入れたもの(試験片厚み6mm、ノッチ深さ1mm、全周)を使用することができる。サンプルを浸漬する試験溶液は純水を用いることができる。
本発明のポリエチレンのFNCTは、密度を小さくしたり、HLMFRを大きくしたりすることにより、調整することができる。
特性(7)繰り返し引張疲労試験による80℃、6.0MPaにおける破断回数(FNFT)
本発明のポリエチレンのFNFTは、好ましくは10,000回以上、さらに好ましくは20,000回以上である。FNFTが10,000回未満では、振動耐久性が劣り、応力集中部に割れが発生する傾向がある。
本発明のポリエチレンのFNFTは、JIS K7118(1995)付属書5の全周ノッチ式引張疲労試験に準じ、振動疲労試験機を用いて、80℃、6.0MPaで測定を行った。試験片はJIS K6922−2(1997)表2の条件で作成した厚さ6mmの圧縮成形シートから切出し、全周にノッチを入れたもの(試験片厚み6mm、ノッチ深さ1mm、全周)を使用した。試験は80℃空気下にて測定を行なった。
本発明のポリエチレンのFNFTは、密度を小さくしたり、HLMFRを大きくしたり、GPCにより測定され、ポリエチレン全体の検出面積に対する分子量500,000以上の成分の検出面積の割合を小さくすることにより、調整することができる。
特性(8)曲げ弾性率
本発明のポリエチレンの曲げ弾性率は、好ましくは900MPa以下、さらに好ましくは500〜800MPa以下である。曲げ弾性率が900MPaを超えると振動耐久性が低下する傾向があり、500MPa未満では、製品としての剛性が低く、実用上、変形が起こりやすく、フィラーパイプとしての性能を満たさない傾向がある。
曲げ弾性率は、試験片として210℃で射出成形した4×10×80mmの板状体を用い、JIS−K6922−2:1997年に準拠して測定される値である。
曲げ弾性率は、ポリエチレンの分子量及び密度を増減させることにより調節することができ、分子量又は密度を増加させると、曲げ弾性率を上げることができる。
2.ポリエチレンの製造方法
(1)ポリエチレンの原料
本発明のフィラーパイプ用ポリエチレンは、エチレン単独重合体又はエチレンと他のα−オレフィンとの共重合体からなり、α−オレフィンとしては、炭素数3〜20のα−オレフィン、例えば、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン等が挙げられ、好ましくは1−ブテン、1−ヘキセンが挙げられ、更に好ましくは1−ヘキセンが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
得られるポリエチレン中のα−オレフィン含量は、通常15mol%以下、好ましくは10mol%以下が望ましい。
(2)ポリエチレン重合触媒
本発明のポリエチレンは、クロム触媒、チーグラー触媒、メタロセン触媒等の高活性触媒により重合して得られるが、クロム触媒による重合体が好ましい。クロム触媒の例としては、フィリップス触媒が挙げられる。
フィリップス触媒は、クロム化合物を無機酸化物担体に担持し、非還元性雰囲気で焼成活性化することにより少なくとも一部のクロム原子が6価となるクロム触媒として知られている。
この触媒の概要は、例えば、以下の文献に記載されている。
(i)M.P.McDaniel著,Advances in Catalysis,Volume 33,47頁,1985年,Academic Press Inc.
(ii)M.P.McDaniel著,Handbook of Heterogeneous Catalysis,2400頁,1997年,VCH
(iii)M.B.Welchら著,Handbook of Polyolefins: Synthesis and Properties,21頁,1993年,Marcel Dekker
無機酸化物担体としては、周期律表第2、4、13または14族の金属の酸化物が好ましい。具体的にはマグネシア、チタニア、ジルコニア、アルミナ、シリカ、トリア、シリカ−チタニア、シリカ−ジルコニア、シリカ−アルミナまたはこれらの混合物が挙げられる。なかでもシリカ、シリカ−チタニア、シリカ−ジルコニア、シリカ−アルミナ、さらに好適にはシリカ−チタニアが好ましい。シリカ−チタニア、シリカ−ジルコニア、シリカ−アルミナの場合、シリカ以外の金属成分としてチタン、ジルコニウムまたはアルミニウム原子が0.2〜10重量%、好ましくは0.5〜7重量%、さらに好ましくは1〜5重量%含有されたものが用いられる。
これらのクロム触媒に適する担体の製法、物理的性質および特徴は、例えば、以下の文献に記載されている。
(i)C.E.Marsden著,Preparation of Catalysts, Volume V,215頁,1991年,Elsevier Science Publishers
(ii)C.E.Marsden著,Plastics,Rubber and Composites Processing and Applications,Volume 21,193頁,1994年
本発明においては、クロム触媒の担体の比表面積が通常250〜1100m/g、好ましくは300〜1050m/g、さらに好ましくは400〜1000m/gとなるように担体を選択することが好ましい。比表面積が250m/g未満の場合は、分子量分布が狭くかつ長鎖分岐が多くなることと関係すると考えられるが、耐久性、耐衝撃性がともに低下する。また、比表面積が1100m/gを超える担体は、製造が難しくなる傾向にある。
担体の細孔体積としては、一般的なクロム触媒に用いられる担体の場合と同様に、通常0.5〜3.0cm/g、好ましくは1.0〜2.0cm/g、さらに好ましくは1.2〜1.8cm/gの範囲のものが用いられる。細孔体積が0.5未満の場合は、重合時に重合ポリマーによって細孔が小さくなり、モノマーが拡散できなくなってしまい活性が低下する。細孔体積が3.0cm/gを超える担体は、製造が難しくなる傾向にある。
また、担体の平均粒径としては、一般的なクロム触媒に用いられる担体と同様10〜200μm、好ましくは20〜150μm、さらに好ましくは30〜100μmの範囲のものが用いられる。
上記無機酸化物担体にクロム化合物を担持させる。クロム化合物としては、担持後に非還元性雰囲気で焼成活性化することにより少なくとも一部のクロム原子が6価となる化合物であればよく、酸化クロム、クロムのハロゲン化物、オキシハロゲン化物、クロム酸塩、重クロム酸塩、硝酸塩、カルボン酸塩、硫酸塩、クロム−1,3−ジケト化合物、クロム酸エステル等が挙げられる。具体的には三酸化クロム、三塩化クロム、塩化クロミル、クロム酸カリウム、クロム酸アンモニウム、重クロム酸カリウム、硝酸クロム、硫酸クロム、酢酸クロム、トリス(2−エチルヘキサノエート)クロム、クロムアセチルアセトネート、ビス(tert−ブチル)クロメート等が挙げられる。なかでも三酸化クロム、酢酸クロム、クロムアセチルアセトネートが好ましい。酢酸クロム、クロムアセチルアセト
ネートのような有機基を有するクロム化合物を用いた場合でも、後に述べる非還元性雰囲気での焼成活性化によって有機基部分は燃焼し、最終的には三酸化クロムを用いた場合と同様に無機酸化物担体表面の水酸基と反応し、少なくとも一部のクロム原子は6価となってクロム酸エステルの構造で固定化される。
これらの方法は、例えば、以下の文献に記載されている。
(i)V.J.Ruddickら著,J.Phys.Chem.,Volume 100,11062頁,1996年
(ii)S.M.Augustineら著,J.Catal.,Volume 161,641頁,1996年
無機酸化物担体へのクロム化合物の担持は、含浸、溶媒留去、昇華等の公知の方法によって行うことができ、使用するクロム化合物の種類によって適当な方法を用いればよい。担持するクロム化合物の量は、クロム原子として担体に対して通常0.2〜2.0重量%、好ましくは0.3〜1.7重量%、さらに好ましくは0.5〜1.5重量%である。
クロム化合物の担持後に焼成して活性化処理を行う。焼成活性化は水分を実質的に含まない非還元性雰囲気、例えば酸素または空気下で行なうことができる。この際、不活性ガスを共存させてもよい。好ましくは、モレキュラーシーブス等を流通させ十分に乾燥した空気を用い、流動状態下で行う。焼成活性化は通常400〜900℃、好ましくは420〜850℃、さらに好ましくは450〜800℃にて、通常30分〜48時間、好ましくは1時間〜36時間、さらに好ましくは2時間〜24時間行う。この焼成活性化により、無機酸化物担体に担持されたクロム化合物のクロム原子が少なくとも一部は6価に酸化されて担体上に化学的に固定される。焼成活性化を400℃未満で行うと、重合活性はなくなる。一方、焼成活性化を、900℃を超える温度で行うと、シンタリングが起こり、活性が低下する傾向にある。
(3)重合方法
上記の触媒を用いて、ポリエチレンの製造を行うに際しては、スラリー重合、溶液重合のような液相重合法あるいは気相重合法など、いずれの方法を採用することができるが、特にスラリー重合法が好ましく、パイプループ型反応器を用いるスラリー重合法、オートクレーブ型反応器を用いるスラリー重合法、いずれも用いることができる。なかでもパイプループ型反応器を用いるスラリー重合法が好ましい(パイプループ型反応器とこれを用いるスラリー重合の詳細は、松浦一雄・三上尚孝編著、「ポリエチレン技術読本」、148頁、2001年、工業調査会に記載されている)。高分子量成分の割合を小さくするという点から、重合を単段の反応器で行なうことが好ましい。
液相重合法は、通常炭化水素溶媒中で行う。炭化水素溶媒としては、プロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの不活性炭化水素の単独または混合物が用いられる。気相重合法は、不活性ガス共存下にて、流動床、攪拌床等の通常知られる重合法を採用でき、場合により重合熱除去の媒体を共存させる、いわゆるコンデンシングモードを採用することもできる。
液相重合法における重合温度は、一般的には0〜300℃であり、実用的には20〜200℃、好ましくは50〜180℃、さらに好ましくは70〜150℃である。反応器中の触媒濃度およびエチレン濃度は重合を進行させるのに十分な任意の濃度でよい。例えば、触媒濃度は、液相重合の場合反応器内容物の重量を基準にして約0.0001〜約5重量%の範囲とすることができる。同様にエチレン濃度は、液相重合の場合反応器内容物の重量を基準にして約1%〜約10%の範囲とすることができる。
重合により得られたポリマーは、低分子量成分の割合を小さくするという点から、溶媒洗浄してもよいし、窒素や水蒸気等の流体によって揮発性成分を除去するストリッピング処理をしてもよい。
(4)添加剤
本発明のフィラーパイプ用ポリエチレンには、本発明の目的を損なわない範囲において、必要に応じて、通常のポリオレフィンからなる成形品に含有される他のオレフィン系重合体やゴム等のほか、酸化防止剤(フェノール系、リン系、イオウ系)、紫外線吸収剤、光安定剤、滑剤、帯電防止剤、防曇剤、ブロッキング防止剤、加工助剤、着色顔料、パール顔料、偏光パール顔料、架橋剤、発泡剤、中和剤、熱安定剤、結晶核剤、無機又は有機充填材、難燃剤、分散剤等の公知の添加剤を1種又は2種以上配合することができる。
有機充填剤としては、例えば、カーボンファイバー、カーボンブラック、カーボンナノチューブなどが挙げられ、無機充填材としては、例えば、シリカ、ケイ藻土、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、軽石粉、軽石バルーン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ドロマイト、硫酸カルシウム、チタン酸カリウム、硫酸バリウム、タルク、クレー、マイカ、ガラスフレーク、ガラスビーズ、ガラス繊維、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、モンモリロナイト、ベントナイト、硫化モリブデン、グラファイトなどが挙げられる。
無機充填材としては、炭酸カルシウム、タルク、金属粉(アルミニウム、銅、鉄、鉛など)、珪石、珪藻土、アルミナ、石膏、マイカ、クレー、アスベスト、グラファイト、カーボンブラック、酸化チタン等が使用可能である。
いずれの場合でも、上記ポリエチレンに、必要に応じ各種添加剤を配合し、混練押出機、バンバリーミキサー等にて混練し、成形用材料とすることができる。
3.フィラーパイプの成形方法
本発明のフィラーパイプ用ポリエチレンは、各種の方法により、フィラーパイプとすることができる。フィラーパイプの主な成形方法としては、ブロー成形法や押出し成形法が挙げられる。また、フィラーパイプは、単層構造でも多層構造でもいずれでも差支えないが、ガソリン透過性等の各種性能を発現させるために、各種材料と組み合わせた多層構造であることが好ましい。
本発明のフィラーパイプ用ポリエチレンは、ブロー成形法及び押出し成形法のいずれの成形法にも適用可能であり、産業上の利用価値が大きい。
ブロー成形法においては、例えば、多層のパリソンをブローすることにより金型で蛇腹形状に賦形する方法で成形することができる。また、押出し成形においては、例えば、多層の押出管体を押し出しつつループ状に搬送した金型で蛇腹形状に賦形する方法で成形することができる。
4.フィラーパイプの構造
本発明のポリエチレンによるフィラーパイプは、所望の厚さとすることができる。自動車用のフィラーパイプにおける成形品の厚さとしては、一般に、1.5mm〜3.0mmであり、好ましくは、2.0〜3.0mmであり、もっとも好ましくは、2.4mm〜2.6mmである。
本発明のフィラーパイプ用ポリエチレンと組み合わせて多層構造を構成することができる材料としては、例えば、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリアミド、ポリオキシメチレンなどの材料や、バリア層として、エチレンビニルアルコール共重合体、フッ素樹脂、ポリフェニレンサルファイド、ポリエチレンテレフタレートなどが適用される。
以下に、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、実施例、比較例の試験方法は、以下の通りである。
(1)密度:
JIS K−7112(1999年版)に準拠し、ペレットを温度160℃の熱圧縮成形機により溶融後25℃/分の速度で降温し、厚み2mmtのシートを成形し、このシートを温度23℃の室内で48時間状態調節した後、密度勾配管に入れ測定したものである。
(2)HLMFR:
JIS−K6922−2:1997年に準拠して測定した。
(3)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求められる重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn):
分子量、重量平均分子量Mw、数平均分子量Mnの測定は、以下の方法で行なった。即ち、下記条件のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した。
装置:WATERS社製150C
カラム:昭和電工社製AD80M/Sを3本
測定温度:140℃
濃度:1mg/1ml
溶媒:o−ジクロロベンゼン
なお、分子量の計算及びカラムの較正は、以下の方法に準拠して行なった。
GPCクロマトデータは、1点/秒の頻度でコンピュータに取り込み、森定雄著・共立出版社発行の「サイズ排除クロマトグラフィー」第4章の記載に従ってデータ処理を行ない、Mw、Mn値を計算した。
(4)GPCにより測定され、ポリエチレン全体の検出面積に対する分子量10,000以下の成分の検出面積の割合:
上記のGPCによる分子量の測定方法により求めた。
(5)GPCにより測定され、ポリエチレン全体の検出面積に対する分子量500,000以上の成分の検出面積の割合:
上記のGPCによる分子量の測定方法により求めた。
(6)GPCにより測定され、ポリエチレン全体の検出面積に対する分子量1,000,000以上の成分の検出面積の割合:
上記のGPCによる分子量の測定方法により求めた。
(7)フルノッチクリープ試験による80℃、4.0MPaにおける破断時間(FNCT):
本発明のポリエチレンのFNCTは、JIS K6774(1995)付属書1の全周ノッチ式引張クリープ試験に準拠し、80℃、4.0MPaで測定を行なった。試験片は、JIS K6922−2(1997)表2の条件で作成した厚さ6mmの圧縮成形シートから切出し、全周にノッチを入れたもの(試験片厚み6mm、ノッチ深さ1mm、全周)を使用した。サンプルを浸漬する試験溶液純水を用いた。
(8)繰り返し引張疲労試験による80℃、6.0MPaにおける破断回数(FNFT):
本発明のポリエチレンのFNFTは、JIS K7118(1995)付属書5の全周ノッチ式引張疲労試験に準じ、80℃、6.0MPaで測定を行った。試験片はJIS K6922−2(1997)表2の条件で作成した厚さ6mmの圧縮成形シートから切出し、全周にノッチを入れたもの(試験片厚み6mm、ノッチ深さ1mm、全周)を使用した。試験は80℃空気下にて測定を行なった。
(9)曲げ弾性率:
試験片として210℃で射出成形した4×10×80mmの板状体を用い、JIS−K6922−2:1997年に準拠して測定した。
(10)ブロー成形性:
(i)吐出量、モーター負荷:
小型多層ブロー成形機であるタハラ社製TP−5を用い、温度200℃、スクリュー回転数40rpm、ダイス径18mm、コア径15mmでの1時間あたりの吐出量及び、樹脂圧力を測定した。吐出量が15kg/hr以上でありかつ樹脂圧力が25MPa以下であるものを「〇」、それ以外のものを「×」とした。
(ii)肉厚均一率:
小型多層ブロー成形機であるタハラ社製TP−5を用い、温度200℃、スクリュー回転数40rpmでピンチオフ長さが底部直径の95%になるように適宜ダイコアを選択しながら、500ccボトルを成形した。500ccボトルの肉厚を測定し、下記の計算式により、肉厚均一率を算出した。
肉厚均一率=(ボトル最大肉厚)/(ボトル最小肉厚) 肉厚均一率が10以下であるものを「〇」、それ以外のものを「×」とした。
(iii)ドローダウン率:
吐出量の評価と同一条件にて、パリソン長が12cmと60cmに達する時間を測定し、下記の計算式により、ドローダウン率を算出した。
ドローダウン率=(パリソン長が60cmに達する時間)/(パリソン長が12cmに達する時間)
ドローダウン率が4.5以上であるものを「〇」、それ以外のものを「×」とした。
(11)押出し成形性:
(i)吐出量、モーター負荷:
得られたエチレン系重合体を45mmφの押出スクリューを有するパイプ成形機(クラウスーマッフェイ社製)を用いて、温度200℃、スクリュー回転数200rpmの条件で、外径60mm、厚み5.5mmのパイプを成形し、1時間あたりの吐出量及び、樹脂圧力を測定した。吐出量が100kg/hr以上でありかつ樹脂圧力が20MPa以下であるものを「〇」、それ以外のものを「×」とした。
(ii)肉厚均一率:
45mmφの押出スクリューを有するパイプ成形機(クラウスーマッフェイ社製)を用いて、温度200℃、スクリュー回転数200rpmの条件で、成形した外径60mm、厚み5.5mmのパイプの断面肉厚を測定し、下記の計算式により肉厚均一率を算出した。
肉厚均一率=(断面最大肉厚)/(断面最小肉厚) 肉厚均一率が1.5以下であるものを「〇」、それ以外のものを「×」とした。
(12)耐ガソリン膨潤性:
小型多層ブロー成形機であるタハラ社製TP−5を用い、温度200℃、スクリュー回転数40rpmでピンチオフ長さが底部直径の95%になるように適宜ダイコアを選択しながら、500ccボトルを成形した。そのボトルに、レギュラーガソリンを500ml封入し、60℃、168時間静置し、ガソリンに抽出される低分子量ポリエチレンの量を測定した。抽出量が0.05g以下のものを「○」とし、0.05g以上のものを「×」とした。
(13)総合評価:
FNFTが10,000回以上であって、かつブロー成形性、押出し成形性及びガソリン膨潤性の評価が「○」であるものを「○」とた。
FNFTが10,000回未満であるか、ブロー成形性、押出し成形性、ガソリン膨潤性の評価のいずれかが「×」であるものを「×」とした。
[実施例1]
シリカ−チタニア(2%Ti)にCr(1重量%)を担持した触媒成分を用い、非還元性雰囲気下800℃で3時間活性化し、一酸化炭素で500℃にて30分還元処理した触媒を用いた。
重合は、トリエチルボラン助触媒を使用し、95℃で行なった。トリエチルボランは、反応器に上記触媒とともに最初に添加し、エチレンと接触させる前に上記触媒と接触させた。
エチレンと1−ヘキセンの重合を行なった結果、密度が0.937g/cm、HLMFRが18g/10分の重合体を得た。
得られた重合体について、物性を測定及び評価した結果を表1に示した。
[実施例2]
実施例1に準じて重合を行ない、密度が0.946g/cm、HLMFRが18g/10分の重合体を得た。
得られた重合体について、物性を測定及び評価した結果を表1に示した。
[比較例1]
日本ポリエチレン社製の高密度ポリエチレンノバテックHD(HB111R)を用い、物性を測定及び評価した結果を表1に示した。
[比較例2]
チーグラー触媒を用いて、多段重合法により、エチレンと1−ヘキセンの共重合を行ない、密度が0.934g/cm、HLMFRが39g/10分の重合体を得た。
得られた重合体について、物性を測定及び評価した結果を表1に示した。
[比較例3]
クロム触媒を用いて、エチレンと1−ヘキセンの共重合を行ない、密度が0.953g/cm、HLMFRが2g/10分の重合体を得た。
得られた重合体について、物性を測定及び評価した結果を表1に示した。
[比較例4]
クロム触媒を用いて、エチレンの重合を行ない、密度が0.960g/cm、HLMFRが40g/10分の重合体を得た。
得られた重合体について、物性を測定及び評価した結果を表1に示した。
Figure 0006459693
[評価]
以上のとおり、表1に示す結果から、実施例1及び2と比較例1〜4とを対比すると、本発明のフィラーパイプ用ポリエチレンの特定要件を満たす実施例1及び2は、FNFT(振動耐久性)等が優れ、ブロー成形性、押出し成形性及びガソリン膨潤性も優れていた。
比較例1は、GPCにより測定されポリエチレン全体の検出面積に対する分子量500,000以上の成分の検出面積の割合が大きいため、FNFT(振動耐久性)が劣っており、また、HLMFRが小さいため、押出し成形性が劣っていた。
比較例2は、GPCにより測定されポリエチレン全体の検出面積に対する分子量10,000以下の成分の検出面積の割合が大きいため、ガソリン膨潤性が劣っており、また、HLMFRが大きいため、ブロー成形性及びガソリン膨潤性が劣っていた。
比較例3は、HLMFR、密度、GPCにより測定されポリエチレン全体の検出面積に対する分子量10,000以下の成分の検出面積の割合、GPCにより測定されポリエチレン全体の検出面積に対する分子量500,000以上の成分の検出面積の割合が本発明の特定範囲を外れているため、FNFT(振動耐久性)、ブロー成形性及び押出し成形性が劣っていた。
比較例4は、HLMFR、密度、GPCにより測定されポリエチレン全体の検出面積に対する分子量10,000以下の成分の検出面積の割合、GPCにより測定されポリエチレン全体の検出面積に対する分子量500,000以上の成分の検出面積の割合が本発明の特定範囲を外れているため、FNFT(振動耐久性)、ブロー成形性、押出し成形性、ガソリン膨潤性等が劣っていた。
本発明のフィラーパイプ用ポリエチレンは、特定の密度、メルトフローレート、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求められる分子量等の特性を満足するため、フィラーパイプ用のプラスチック材料として使用した場合、成形性(ブロー成形及び押出し成形)に優れ、肉厚均一性が良好なフィラーパイプの製造に好適で、かつ、製品の振動耐久性、長期耐久性及び耐ガソリン膨潤性に優れたフィラーパイプを製造することができる。
特に、ブロー成形時の耐ドローダウン性や押出し成形時の吐出性等に優れ、しかも製品の振動耐久性や長期耐久性のバランスに優れた樹脂製フィラーパイプを提供することができ、高度な性能が要求されるフィラーパイプの分野において、その用途に好適に使用できるため、産業上大いに有用である。

Claims (8)

  1. 下記の特性(1)〜(5)を満たすポリエチレンを用いて製造されたフィラーパイプ
    特性(1)密度が0.930〜0.950g/cmである。
    特性(2)温度190℃、荷重21.6kgで測定されるメルトフローレート(HLMFR)が10〜37g/10分である。
    特性(3)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求められる重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が7.0を超え20.0以下である。
    特性(4)GPCにより測定され、ポリエチレン全体の検出面積に対する分子量10,000以下の成分の検出面積の割合が10%以上17%以下である。
    特性(5)GPCにより測定され、ポリエチレン全体の検出面積に対する分子量500,000以上の成分の検出面積の割合が10%以上18%以下である。
  2. 下記の特性(6)を満たすポリエチレンを用いて製造された請求項1に記載のフィラーパイプ
    特性(6)フルノッチクリープ試験による80℃、4.0MPaにおける破断時間(FNCT)が200時間以上である。
  3. 下記の特性(7)を満たすポリエチレンを用いて製造された請求項1又は2に記載のフィラーパイプ
    特性(7)繰り返し引張疲労試験による80℃、6.0MPaにおける破断回数(FNFT)が10,000回以上である。
  4. 下記の特性(8)を満たすポリエチレンを用いて製造された請求項1〜3のいずれか一項に記載のフィラーパイプ
    特性(8)曲げ弾性率が900MPa以下である。
  5. 下記の特性(1)〜(5)を満たすポリエチレンを用いたフィラーパイプの製造方法。
    特性(1)密度が0.930〜0.950g/cm である。
    特性(2)温度190℃、荷重21.6kgで測定されるメルトフローレート(HLMFR)が10〜37g/10分である。
    特性(3)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求められる重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が7.0を超え20.0以下である。
    特性(4)GPCにより測定され、ポリエチレン全体の検出面積に対する分子量10,000以下の成分の検出面積の割合が10%以上17%以下である。
    特性(5)GPCにより測定され、ポリエチレン全体の検出面積に対する分子量500,000以上の成分の検出面積の割合が10%以上18%以下である。
  6. 下記の特性(6)を満たすポリエチレンを用いた請求項5に記載のフィラーパイプの製造方法。
    特性(6)フルノッチクリープ試験による80℃、4.0MPaにおける破断時間(FNCT)が200時間以上である。
  7. 下記の特性(7)を満たすポリエチレンを用いた請求項5又は6に記載のフィラーパイプの製造方法。
    特性(7)繰り返し引張疲労試験による80℃、6.0MPaにおける破断回数(FNFT)が10,000回以上である。
  8. 下記の特性(8)を満たすポリエチレンを用いた請求項5〜7のいずれか一項に記載のフィラーパイプの製造方法。
    特性(8)曲げ弾性率が900MPa以下である。
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