JP6459576B2 - ダイカスト用スリーブ - Google Patents

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Description

本発明は、アルミニウム合金等の非鉄金属の溶湯をダイカスト金型に射出するためのダイカスト用スリーブに関する。
ダイカストマシンでは、スリーブに溶融金属(溶湯)を供給し、スリーブ内を摺動するプランジャーチップによりスリーブと連通する金型キャビティに溶湯を射出し、溶湯を冷却固化させてダイカスト品を製造する。このため、スリーブの内面には、溶湯により溶損が生じたり、プランジャーチップの摺動により摩耗が生じたりする。スリーブの内面が溶損や摩耗により損傷すると、スリーブとプランジャーチップとの間に溶湯が侵入してスリーブの摺動抵抗が増大し、射出速度が低下するため製品品質が低下する。スリーブとプランジャーチップとの摺動抵抗を低減したり焼付きを防止したりするために多量の潤滑剤を使用すると、溶湯へのガス巻込み等の不純物混入が起こり易くなり、製品品質の低下を招く。
スリーブ内面の溶損及び摩耗を低減するために、従来から高強度低熱膨張性金属の金属製外筒内に、セラミックス製内筒を焼嵌めにより装着した複合構造のダイカスト用スリーブが提案されている。例えば、特開平7-246449号(特許文献1)は、高強度低熱膨張性金属の金属製外筒内に、窒化珪素、サイアロン等のセラミックスで形成したセラミックス製内筒を焼嵌めしたダイカスト用スリーブであって、前記高強度低熱膨張性金属の室温から300℃までの平均熱膨張係数が1×10-6/℃〜5×10-6/℃であり、室温から600℃までの平均熱膨張係数が5×10-6/℃以上であるダイカスト用スリーブを開示している。特許文献1は、高強度低熱膨張性金属がこのような平均熱膨張係数を有することにより、焼嵌め作業が円滑容易にできるとともに、軸方向及び円周方向に外内筒のズレが発生せず十分な焼嵌め効果が確保できると記載している。
特許文献1のダイカスト用スリーブは、金属製外筒の表面温度が室温から300℃までの範囲で用いた場合には安定した射出が可能である。一方、大型のアルミニウム合金のダイカスト成形等で使用した際に、例えば、冷却水の量が不十分になったり、射出のサイクルが早くなり過ぎたりして、金属製外筒の一部の表面温度が300℃を超えるようになった場合、射出が安定し難くなり、成形不良を生じる虞がある。また、場合によっては、セラミックス製内筒の割れにつながる虞れもある。
特開平7-246449号公報
従って、本発明の目的は、大型のアルミニウム合金のダイカスト成形において、金属製外筒の一部の表面温度が300℃を超えるようになった場合であっても、安定した射出を行うことができ、セラミックス製内筒の割れを抑制することのできるダイカスト用スリーブを提供することである。
上記目的に鑑み鋭意研究の結果、本発明者らは、金属製外筒の内にセラミックス製内筒を焼嵌めしたダイカスト用スリーブにおいて、前記金属製外筒が、特定の組成を有し、室温から400℃までの平均熱膨張係数が小さく、かつ室温から200℃までの平均熱膨張係数と、室温から400℃までの平均熱膨張係数との差が小さいFe-Ni-Co-Nb系合金で構成されたときに、大型のアルミニウム合金のダイカスト成形において、金属製外筒の一部の表面温度が300℃を超えるようになった場合であっても、安定した射出が可能であることを見い出し、本発明に想到した。
本発明者らは、まず、ダイカスト用スリーブを用いて室温から300℃までの温度で射出を行っているときの、金属製外筒の上下の温度に着目した。通常、ダイカスト用スリーブは、図1に示すように、水平方向に配置してスリーブの上部に設けられた供給口から溶湯を注入して使用する。このとき注入された溶湯は、射出が行われる前に一時スリーブの下部に滞留するため、繰り返し射出を行うことにより、金属製外筒の下側の温度が上側より高くなり金属製外筒の上下で温度差が生じる。このように金属製外筒の上下で温度差が生じると金属製外筒の上下で熱膨張差が生じる。
ここで、特許文献1の図1中Bで示されるような熱膨張係数を有する高強度低熱膨張性金属で金属製外筒を構成したダイカスト用スリーブを使用すると、金属製外筒の下側の温度が300℃以下の場合には金属製外筒の熱膨張係数が小さいため、金属製外筒の上側及び下側の熱膨張差は小さく、安定した射出が行える。
ところが、大型のアルミニウム合金のダイカスト成形では射出容量(熱容量)が大きいため、例えば、冷却水の量が不十分になったり、射出のサイクルが早くなり過ぎたりして、冷却効果が十分でない場合、金属製外筒の下側の表面温度が300℃超、400℃以下の温度にまで上昇することもあることが判った。特許文献1の図1中Bで示されるように、300℃を超えると熱膨張係数が急激に大きくなるような金属で金属製外筒を構成した場合、金属製外筒の下側の温度が300℃を超えると、金属製外筒の上下の熱膨張差が大きくなり、ダイカスト用スリーブの中心軸が湾曲して、射出が安定し難くなる。
発明者らは、金属製外筒の下側の温度が300超且つ400℃以下の温度にまで上昇しても、射出を安定して行える構成について鋭意検討した結果、本発明に想到した。
すなわち、本発明のダイカスト用スリーブは、金属製外筒の内にセラミックス製内筒を焼嵌めしたダイカスト用スリーブであって、
前記金属製外筒が、29〜35質量%のNi、12〜23質量%のCo及び2〜5質量%のNbを含有し、0.8〜2のNi/Co比を有するFe-Ni-Co-Nb系合金で構成され、
前記金属製外筒の室温から200℃までの平均熱膨張係数αM200、室温から400℃までの平均熱膨張係数αM400、及び室温から600℃までの平均熱膨張係数αM600が、
αM400≦7.5×10-6/℃、
M400−αM200|≦1×10-6/℃、
αM600≧5×10-6/℃、及び
αM600>αM400
を満たすことを特徴とする。
前記セラミックス製内筒は、室温から200℃までの平均熱膨張係数αC200、室温から400℃までの平均熱膨張係数αC400、及び室温から600℃までの平均熱膨張係数αC600が4×10-6/℃以下であるのが好ましい。
αM400は4.5×10-6/℃≦αM400≦7.5×10-6/℃を満たすのが好ましく、5.0×10-6/℃≦αM400≦6.5×10-6/℃を満たすのがより好ましい。
αM600はαM600≧7×10-6/℃を満たすのが好ましい。
前記金属製外筒の300℃及び400℃における引張強さは800 MPa以上であるのが好ましい。
前記金属製外筒は、29〜35質量%のNi、12〜23質量%のCo、2〜5質量%のNb、0.4〜1.5質量%のAl、1.2〜3質量%のTi、0.1質量%以下のC、残部Fe及び不可避的不純物からなるのが好ましい。前記金属製外筒は1.1〜2のNi/Co比を有するのが好ましく、1.2〜2のNi/Co比を有するのが更に好ましい。
前記セラミックス製内筒の焼嵌め前の外径をd1、及び前記金属製外筒の焼嵌め前の内径をD2としたとき、焼嵌率:(d1−D2)/D2は0.001〜0.003の範囲内であるのが好ましい。
本発明のダイカスト用スリーブを用いることで、冷却が不十分となって金属製外筒の一部の表面温度が300℃を超えるようになった場合であっても、安定した射出を行うことができるため成形不良の発生を低減することができ、セラミックス製内筒の割れを抑制することができる。
本発明のダイカスト用スリーブの一例を示す断面図である。 金属製外筒を構成する金属B〜E及びセラミックス製内筒を構成するセラミックスAに関して、温度Tと、室温から温度Tまでの平均熱膨張係数を示すグラフである。 本発明のダイカスト用スリーブの他の一例を示す断面図である。 図3のダイカスト用スリーブを構成する金属製外筒及びセラミックス製内筒を示す分解断面図である。 図3のダイカスト用スリーブを示す分解断面図である。
本発明のダイカスト用スリーブは、金属製外筒の内にセラミックス製内筒を焼嵌めしてなり、前記金属製外筒が、29〜35質量%のNi、12〜23質量%のCo及び2〜5質量%のNbを含有し、0.8〜2のNi/Co比を有するFe-Ni-Co-Nb系合金で構成され、前記金属製外筒の室温から200℃までの平均熱膨張係数αM200、室温から400℃までの平均熱膨張係数αM400、及び室温から600℃までの平均熱膨張係数αM600が、αM400≦7.5×10-6/℃、|αM400−αM200|≦1×10-6/℃、αM600≧5×10-6/℃、及びαM600>αM400を満たすことを特徴とする。
本発明の実施形態を、添付図面を参照して以下詳細に説明するが、本発明は勿論それらに限定されるものではない。各実施形態に関する説明は、特に断りがなければ他の実施形態にも適用できる。
(1)第1の実施形態
(a)全体構成
図1は本発明のダイカスト用スリーブの第1の実施形態を示す。図1において、直線A-Aはスリーブ1の中心軸線を示す。このダイカスト用スリーブは、金属製外筒11と、前記金属製外筒11内に焼嵌めにより装着されたセラミックス製内筒12とを備える。
金属製外筒11の先端部にはダイカストマシンに固定するための先端リング部材2が装着され、金属製外筒11の後端面には後端リング部材3がボルト31により固定されている。金属製外筒11の外周面のうち先端部に隣接する位置に鍔状凸部11cが形成されており、先端リング部材2は鍔状凸部11cにボルト51,51により固定されており、金属製外筒11の先端部からのズレが防止されている。
金属製外筒11は後端面付近に開口部を有し、セラミックス製内筒12は金属製外筒11の開口部と整合する位置に開口部を有する。連通する両開口部は溶湯の供給口7を構成する。金属製外筒11の寸法は、例えば内径90〜180 mm、外径150〜300 mm、軸方向の全長600〜1300 mmとすることができる。
(b)平均熱膨張係数
金属製外筒11は、αM400≦7.5×10-6/℃であり、|αM400−αM200|≦1×10-6/℃という関係を有するため、前記金属製外筒の温度が400℃になっても、前記セラミックス製内筒に対して前記金属製外筒は緩まない。冷却が不十分となって、前記金属製外筒の下側の温度が300℃超且つ400℃以下に達しても、金属製外筒の下側及び上側側の熱膨張差が小さいので、ダイカスト用スリーブの中心軸の湾曲が抑制される。このため、大型のアルミニウム合金のダイカスト成形であっても、安定して射出を行うことができ、成形不良の発生を低減することができる。また、αM600≧5×10-6/℃であり、かつαM600>αM400であるため、金属製外筒とセラミックス製内筒の焼嵌め時の加熱温度550〜600℃において、金属製外筒とセラミックス製内筒の熱膨張係数の差が大きいため、焼嵌め作業が円滑容易にできる。
セラミックス製内筒12は低熱膨張性であるのが好ましく、例えば室温から200℃までの平均熱膨張係数αC200、室温から400℃までの平均熱膨張係数αC400、及び室温から600℃までの平均熱膨張係数αC600が4×10-6/℃以下であるのがより好ましく、これらが1×10-6/℃〜4×10-6/℃であるのが最も好ましい。溶湯の熱による変形を小さくするためには、セラミックス製内筒12は|αC400−αC200|≦1×10-6/℃という関係を有するのが好ましい。
金属製外筒11は、例えば図2に示す金属C及びDを用いることができる。セラミックス製内筒12は、例えば図2に示すAを用いることができる。
αM400が大きすぎると焼嵌めの効果が減じるので、金属製外筒を低熱膨張性のセラミックス製内筒に緩みなく装着するには、金属製外筒がαM400≦7.5×10-6/℃を満たすようにする。αM400≦6.5×10-6/℃であるのが好ましい。金属製外筒の|αM400−αM200|をセラミックス製内筒の|αC400−αC200|に近づけることにより、金属製外筒とセラミックス製内筒とを強固に装着することができる。そのためには、金属製外筒が|αM400−αM200|≦1×10-6/℃を満たすようにする。金属製外筒が|αM400−αM200|≦0.5×10-6/℃を見たすのがより好ましい。さらに金属製外筒が4.5×10-6/℃≦αM400を満たすのが好ましく、5.0×10-6/℃≦αM400を満たすのがより好ましい。また金属製外筒がαM600≧7×10-6/℃を満たすのが好ましく、αM600≧8×10-6/℃を満たすのがより好ましい。
金属製外筒の平均熱膨張係数(平均線膨張係数又は平均線膨張率に相当)は、JIS Z 2285-2003「金属材料の線膨張係数の測定方法」に基づいて測定する。セラミックス製内筒の平均熱膨張係数は、JIS R 1618-2002「ファインセラミックスの熱機械分析による熱膨張の測定」に基づいて測定する。平均熱膨張係数の測定装置としては示差膨張式熱機械分析装置を用いる。室温として例えば25℃で測定してもよい。
(c)組成
ダイカスト用スリーブの金属製外筒がαM400≦7.5×10-6/℃、|αM400−αM200|≦1×10-6/℃、αM600≧5×10-6/℃、及びαM600>αM400を満たすためには、金属製外筒を29〜35質量%のNi、12〜23質量%のCo及び2〜5質量%のNbを含有し、0.8〜2のNi/Co比を有するFe-Ni-Co-Nb系合金で構成する。このような材料を用いることにより、金属製外筒の強度を高めることもできる。Ni含有量を29〜35質量%、Co含有量を12〜23質量%、及びNi/Co比を0.8〜2とすることにより、平均熱膨張係数の変曲点を高温側にシフトする効果が発揮される。前記Nbの含有量は、3〜4質量%であるのが好ましい。Nbは析出強化元素であり、強度(例えば引張強さ)の向上に寄与する。Nbの他に析出強化元素としてはAl、Tiを用いることができる。Nbの含有に併せて、Al、Tiから選ばれる少なくとも1種の元素を含有してもよい。このような金属製外筒を構成する材料は、29〜35質量%のNi、12〜23質量%のCo、2〜5質量%のNb、0.4〜1.5質量%のAl、1.2〜3質量%のTi、0.1質量%以下のC、残部Fe及び不可避的不純物からなるのが好ましい。Al含有量は0.5〜1.5質量%であるのがより好ましい。
金属製外筒をFe-Ni-Co-Nb系合金で構成して熱処理を行うことによって、金属製外筒は高強度になる。熱処理としては、例えば、固溶化処理(900〜1000℃)と、それについで行う時効処理(580〜750℃)との組み合わせが挙げられる。例えば、金属製外筒の300℃及び400℃における引張強さは800 MPa以上であるのが好ましく、900 MPa以上であるのがより好ましい。このような高温強度を有することにより、スリーブ1内に注入された溶湯を射出する際の内部応力に対してセラミックス製内筒12を十分に保護することができる。また、金属製外筒11は室温で、15%以上(特に20%以上)の伸び、20 W/m・K以下の熱伝導率、及び130 GPa以上のヤング率を有するのが好ま
セラミックス製内筒を構成するセラミックスとしては、耐溶損性、耐摩耗性、耐熱性、溶湯保温性及び耐焼付き性に優れた窒化珪素又はサイアロン等の窒化珪素質焼結体が好ましい。前記窒化珪素質焼結体の組織は、窒化珪素粒子又はサイアロン粒子と、希土類元素を含む粒界相により構成されている。
(d)焼嵌率
金属製外筒とセラミックス製内筒とを強固に焼嵌めするには、焼嵌率≧1/1000であるのが好ましい。またセラミックス内筒の割れを抑制するには、焼嵌率≦3/1000であるのが好ましい。なお焼嵌率とは、セラミックス製内筒の焼嵌め前の外径をd1、及び金属製外筒の焼嵌め前の内径をD2としたとき、焼嵌率=(d1−D2)/D2で表される値である。
(2)第2の実施形態
図3〜図5に示すスリーブ1は、金属製外筒11の内にセラミックス製内筒12を焼嵌めしてなるダイカスト用スリーブである。このスリーブ1は、図1と同様のスリーブをダイカスト成形で使用した後に、損耗したセラミックス製内筒を交換したスリーブ(再生したスリーブと呼ぶ)に相当する。本発明に係るダイカスト用のスリーブを再生する方法は、前記金属製外筒から使用済みセラミックス製内筒を焼外す焼外工程と、前記焼外工程の後に前記金属製外筒内に新しいセラミックス製内筒を焼嵌めする焼嵌工程と、前記焼嵌工程の前又は後に前記金属製外筒の外周面に拡径層を形成する拡径層形成工程と、前記金属製外筒内に前記新しいセラミックス製内筒を焼嵌めして装着した後に前記拡径層を円筒状外形に加工する拡径層加工工程を有する。拡径層を形成する前には前記金属製外筒の外周に研削加工を施す研削工程を有する。なお、図4は、拡径層形成工程以前において金属製外筒11を新しいセラミックス製内筒12に焼嵌める際の関係を示す。図5は、拡径層加工工程以降においてスリーブに先端リング部材2及び後端リング部材3を設ける際の関係を示す。
前記研削工程によって金属製外筒の外径が減少しても、拡径層の形成及び円筒状外形への加工を行うので、金属製外筒のサイズがダイカストマシンの保持部材のサイズと合わなくなるまで再生を繰り返すことができる。繰り返し使用する金属製外筒は寿命が長くなるので、コスト削減及び資源及び環境の保護の観点から好ましい。再生を繰り返しても、ダイカストマシンに装着したときにガタの生じないスリーブとすることができる。
金属製外筒11には、図4に示すように、外周面のうち鍔状凸部11cと開口部11dとの間に2つの円環状保持面11e,11fが設けられている。円環状保持面11e,11fは、再生のたびに円筒状外形に加工されるので、金属製外筒11の外周面の他の部分より大きな外径とするのが好ましい。具体的には、円環状保持面11e,11fを金属製外筒11の外周面の他の部分より0.5〜6 mm程度高くするのが好ましい。この実施形態では、円環状保持面11e,11fの数は2であるが、勿論限定的ではなく、1つでも3つ以上でも良い。しかし、2つの円環状保持面11e,11fによりスリーブ1をダイカストマシンに固定するのが最も安定するので好ましい。円環状保持面11e,11fの円筒状外形への加工は切削、研削又は研磨により行うことができる。
金属製外筒11の円環状保持面11e,11fには、図5に示すように、拡径層8,8が形成される。古いセラミックス製内筒12の焼外しと新しいセラミックス製内筒12の焼嵌めにより金属製外筒11の外周面において真円度は変化するが、拡径層8,8を設けて加工を施すことで外周面の真円度を元に戻すことができる。拡径層8,8は、成膜速度の観点からメッキ層、溶射層又は肉盛り溶接層であるのが好ましいが、勿論限定的でない。形成された拡径層8,8は円筒状外形に研削される。前記拡径層8,8が硬質金属のメッキ層である場合、新しいセラミックス製内筒を焼嵌めした後の前記金属製外筒の外周面に前記メッキ層を形成するのが好ましい。前記拡径層が溶射層又は肉盛り溶接層である場合、新しいセラミックス製内筒を焼嵌めする前の前記金属製外筒の外周面に前記溶射層又は肉盛り溶接層を形成するのが好ましい。
本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
実施例1
30質量%のNi、20質量%のCo、4質量%のNb、0.5質量%のAl、1.5質量%のTi、0.05質量%のC、残部Fe及び不可避的不純物からなる高強度低熱膨張性の金属C(表1を参照)からなる金属製外筒11(外径300 mm、内径180 mm、長さ1000 mm)と、87質量%のSi3N4、6質量%のY2O3、4質量%のAl2O3、及び3質量%のAlNを原料配合して焼結してなるサイアロンからなるセラミックス製内筒12(外径180 mm、内径130 mm、長さ1000 mm)とを、焼嵌率0.001で焼嵌めし、熱間工具鋼からなる先端リング部材2を金属製外筒11の先端部11aに焼嵌め及びボルト止めし、さらに後端リング部材3をボルトで取り付けて、図1に示す構造のスリーブ1を構成した。
金属製外筒11を構成する金属C及びセラミックス製内筒12を構成するサイアロンの室温から所定の温度Tまでの平均熱膨張係数を、それぞれ図2のC及びAに示す。金属Cの室温から200℃までの平均熱膨張係数αM200、室温から400℃までの平均熱膨張係数αM400、及び室温から600℃までの平均熱膨張係数αM600を表2に示す。セラミックスAの室温から200℃までの平均熱膨張係数αC200は2.0×10-6/℃、室温から400℃までの平均熱膨張係数αC400は2.4×10-6/℃、及び室温から600℃までの平均熱膨張係数αC600は2.9×10-6/℃であった。また金属Cの300℃、350℃及び400℃における引張強さ、並びに室温におけるヤング率を表3に示す。
Figure 0006459576
注:各金属の単位は質量%であり、各金属はさらにFe(残部)及び不可避的不純物を含む。
Figure 0006459576
注:平均熱膨張係数の単位は[/℃]
Figure 0006459576
作製したスリーブ1を、型締力350トンの横型ダイカストマシンの射出装置に取り付けて、アルミニウム合金のダイカスト成形に使用した(自動車用部品:成形重量16 kg)。放射温度計で測定した金属製外筒11の下側の温度が350〜400℃に達するまで連続使用したが、安定して射出を行うことができた。具体的には、プランジャーチップの射出速度にムラを生じることがなく、湯じわや巣の成形不良は発生しなかった。また、セラミックス製内筒に割れは発生していなかった。
実施例2
金属製外筒11を、表1に組成を示す金属Dで作製した以外は、実施例1と同様にしてスリーブ1を作製した。金属Dの室温から所定の温度Tまでの平均熱膨張係数を図2のDに示し、αM200、αM400及びαM600を表2に示す。また300℃、350℃及び400℃における引張強さ、並びに室温におけるヤング率を表3に示す。
このスリーブ1を、実施例1と同様にしてダイカスト成形で、金属製外筒の下側の温度が350〜400℃に達するまで連続使用したが、安定して射出を行うことができ、湯じわや巣の成形不良は発生しなかった。また、セラミックス製内筒に割れは発生していなかった。
実施例3
焼嵌率を0.002に変更した以外は、実施例2と同様にしてスリーブ1を作製した。このスリーブ1をアルミニウム合金のダイカスト成形で、金属製外筒の下側の温度が350〜400℃に達するまで連続使用したが、射出を安定して行うことができ、湯じわや巣の成形不良は発生しなかった。また、セラミックス製内筒に割れは発生していなかった。
比較例1
金属製外筒11を、表1に組成を示す金属Bで作製した以外は、実施例1と同様にしてスリーブ1を作製した。金属Bの室温から所定の温度Tまでの平均熱膨張係数を図2のBに示し、αM200、αM400及びαM600を表2に示す。また300℃、350℃及び400℃における引張強さ、並びに室温におけるヤング率を表3に示す。
このスリーブ1を、実施例1と同様にダイカスト成形で、金属製外筒の下側の温度が200℃に達するまで連続使用したが、射出を安定して行うことができた。しかし、さらに続けて金属製外筒の下側の温度が350〜400℃に達するまで使用した際に、射出が安定しなくなる場合があった。具体的には、プランジャーチップの射出速度にムラを生じて、製品に湯じわや巣を生じることがあった。
比較例2
金属製外筒11を、表1に組成を示す金属Eで作製した以外は、実施例1と同様にしてスリーブ1を作製した。金属Eの室温から所定の温度Tまでの平均熱膨張係数を図2のEに示し、αM200、αM400及びαM600を表2に示す。また300℃、350℃及び400℃における引張強さ、並びに室温におけるヤング率を表3に示す。
このスリーブ1をダイカスト成形で、金属製外筒の下側の温度が350〜400℃に達するまで連続使用したが、射出を行うことができ、湯じわや巣の成形不良は発生しなかった。ただし、比較例2の金属製外筒は、熱膨張係数が大きいため、金属製外筒の下側の温度が400℃以上になると外筒が内筒に加える圧縮応力が低下して、内筒と外筒の締結が緩み、セラミックス製内筒が割れる恐れがある。
実施例4
実施例1のスリーブ1をダイカスト成形に使用した後、セラミックス製内筒12が消耗したスリーブ1を再生するため、まず金属製外筒11から後端リング部材3を取り外した(工程S1)後、先端リング部材2だけを450℃の温度に加熱して金属製外筒11から先端リング部材2を焼外した(工程S2)。さらに、スリーブ1を700℃の温度に加熱して金属製外筒11からセラミックス製内筒12を焼外し(工程S3)、直ちに同じ温度で、金属製外筒11に新しいセラミックス製内筒12を焼嵌めした(工程S4)。なお、セラミックス製内筒12の両端部を研削して金属製外筒の面と合わせた。
新しいセラミックス製内筒12を焼嵌めした金属製外筒11の2つの円環状保持面11e,11fを円筒状外形に研削した(工程S5)。金属製外筒の円筒状外形は、軸方向の複数個所で測定した真円度が10μmとなるようにした。その後、2つの円環状保持面11e,11f以外をマスキングし、それらの円筒状研削面に、60℃のサージェント浴を用いて60 A/dm2の電流密度で、厚さ60μmのCrメッキ層8を形成した(工程S6)。Crメッキ層8の組成は、0.4質量%の酸素、0.05質量%の水素及び残部Crであった。
その後、先端リング部材2を450℃の温度に加熱して、金属製外筒11の先端部11aに焼嵌めした(工程S7)。焼嵌めした先端リング部材2の先端面を所定のサイズに切削加工した(工程S8)後、先端リング部材2を鍔状凸部11cに螺着した(工程S9)。
金属製外筒11に焼嵌めされたセラミックス製内筒12及び先端リング部材2の内面を面一に研削加工した(工程S10)。新しいセラミックス製内筒12を焼嵌めした金属製外筒11の外周面は僅かに真円度が変化しているので、メッキ層8の外形が円筒になるように(すなわち、外形が工程S1以前の真円度になるように)、平均で10μm研削した(工程S11)。メッキ層は、軸方向の複数個所で測定した真円度が10μmとなるようにした。最後に、金属製外筒11の後端面11bにボルト31により後端リング部材3を固定した(工程S12)。
再生したスリーブ1を型締力350トンの横型ダイカストマシンの射出装置に設けて、高い寸法精度を要する大型のアルミニウム合金のダイカスト成形に使用した結果、安定した射出を行うことができ、湯じわや巣の成形不良は発生しなかった。また、セラミックス製内筒に割れは発生していなかった。
1・・・ダイカスト用スリーブ
11・・・金属製外筒
11a・・・先端部
11b・・・後端面
11c・・・鍔状凸部
11d・・・開口部
11e,11f・・・円環状保持面
12・・・セラミックス製内筒
12a・・・開口部
2・・・先端リング部材
3・・・後端リング部材
31,51・・・ボルト
7・・・溶湯の供給口
8・・・拡径層
30・・・ダイカストマシンの保持部材

Claims (7)

  1. 金属製外筒の内にセラミックス製内筒を焼嵌めしたダイカスト用スリーブであって、
    前記金属製外筒が、29〜35質量%のNi、12〜23質量%のCo及び2〜5質量%のNbを含有し、0.8〜2のNi/Co比を有するFe-Ni-Co-Nb系合金で構成され、
    前記金属製外筒の室温から200℃までの平均熱膨張係数αM200、室温から400℃までの平均熱膨張係数αM400、及び室温から600℃までの平均熱膨張係数αM600が、
    αM400≦7.5×10-6/℃、
    M400−αM200|≦1×10-6/℃、
    αM600≧5×10-6/℃、及び
    αM600>αM400
    を満たし、
    前記セラミックス製内筒は、室温から200℃までの平均熱膨張係数α C200 、室温から400℃までの平均熱膨張係数α C400 、及び室温から600℃までの平均熱膨張係数α C600 が4×10 -6 /℃以下であることを特徴とするダイカスト用スリーブ。
  2. 請求項に記載のダイカスト用スリーブにおいて、αM400が4.5×10-6/℃≦αM400≦7.5×10-6/℃を満たすことを特徴とするダイカスト用スリーブ。
  3. 請求項1又は2に記載のダイカスト用スリーブにおいて、αM400が5.0×10-6/℃≦αM400≦6.5×10-6/℃を満たすことを特徴とするダイカスト用スリーブ。
  4. 請求項1〜のいずれかに記載のダイカスト用スリーブにおいて、αM600がαM600≧7×10-6/℃を満たすことを特徴とするダイカスト用スリーブ。
  5. 請求項1〜のいずれかに記載のダイカスト用スリーブにおいて、前記金属製外筒の300℃及び400℃における引張強さが800 MPa以上であることを特徴とするダイカスト用スリーブ。
  6. 請求項1〜のいずれかに記載のダイカスト用スリーブにおいて、前記金属製外筒が、29〜35質量%のNi、12〜23質量%のCo、2〜5質量%のNb、0.4〜1.5質量%のAl、1.2〜3質量%のTi、0.1質量%以下のC、残部Fe及び不可避的不純物からなり、前記金属製外筒は1.1〜2のNi/Co比を有することを特徴とするダイカスト用スリーブ。
  7. 請求項1〜のいずれかに記載のダイカスト用スリーブにおいて、前記セラミックス製内筒の焼嵌め前の外径をd1、及び前記金属製外筒の焼嵌め前の内径をD2としたとき、焼嵌率:(d1−D2)/D2が0.001〜0.003の範囲内であることを特徴とするダイカスト用スリーブ。
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