JP6459141B2 - リアクトル - Google Patents
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Description
最初に、本発明の実施態様を列記して説明する。
本発明の実施形態の詳細を、以下に説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。図中の同一符号は、同一名称物を示す。
図1〜図5を参照して、実施形態1のリアクトル1を説明する。
・全体構成
実施形態1のリアクトル1は、図1,2に示すように、巻線2wを螺旋状に巻回してなる巻回部2a,2bを有するコイル2と、巻回部2a,2b内に配置される部分を有する磁性コア3と、巻回部2a,2bの内面と磁性コア3との間に介在される部分を有する介在部材5と、コイル2と磁性コア3と介在部材5との組合体10を収納するケース4と、を備える。ここでは、リアクトル1は、ケース4内に充填され、組合体10を封止する封止樹脂部6を備える。実施形態1のリアクトル1は、介在部材5によって、コイル2をケース4の内底面(底板部40の内面)に接触させた状態で組合体10をケース4に固定できる点を特徴の一つとする。以下、構成要素ごとに詳細に説明する。なお、以下の説明において、組合体10をケース4内に設置したときの設置側(ケース4の底板部40側)を下側、その対向側(ケース4の開口側)を上側とする。
コイル2は、図4に示すように、一本の連続する巻線2wを螺旋状に巻回して形成された一対の筒状の巻回部2a,2bと、両巻回部2a,2bを連結する連結部2rと、を備える。各巻回部2a,2bは、互いに同一の巻数、同一の巻回方向で中空筒状に形成され、各軸方向が平行になるように並列(横並び)されている。連結部2rは、両巻回部2a,2bを繋ぐU字状に屈曲された部分である。このコイル2は、接合部の無い一本の巻線を螺旋状に巻回して形成しても良いし、各巻回部2a,2bを別々の巻線により作製し、各巻回部2a,2bの巻線の端部同士を溶接や圧着などにより接合することで形成しても良い。コイル2の両端部は、巻回部2a,2bから適宜な方向に引き延ばされて、図示しない端子部材に接続される。この端子部材を介して、コイル2に電力供給を行なう電源などの外部装置が接続される。
磁性コア3は、図4に示すように、複数の柱状の内コア片31m,…と、U字状の一対の外コア片32m,32mと、各コア片間に介在される複数のギャップ材31g,…と、を備える。内コア片31m,…は、巻回部2a,2b内に全体が配置される磁性片であり、外コア片32m,32mは、巻回部2a,2b外に配置される部分を有する磁性片のことである。外コア片32m,32mは、巻回部2a,2b内に部分的に配置される部分を有していてもよく、この例では、外コア片32,32mは、巻回部2a,2b外に配置される部分と、巻回部2a,2b内に配置される部分との双方を有する。外コア片32m,32mは、U字の開口部が向かい合うように配置され、内コア片31m,…とギャップ材31g…との積層物が、外コア片32m,32m間に横並び(並列)に配置される。この配置によって、磁性コア3は環状に組み付けられ、コイル2を励磁したときに閉磁路を形成する。
内コア片31mは、巻回部2a,2bの形状に合わせた形状であることが好ましい。ここでは、図4に示すように、内コア片31mの形状は直方体状であり、その角部は、巻回部2a,2bの内周面の角部に沿って丸められている。内コア片31mの個数は、適宜選択できる。
一対の外コア片32m,32mは、同一の形状であり、図4の上方から見て略U字状である。外コア片32mは、巻回部2a,2b外に配置されて巻回部2a,2b間に跨るように配置される直方体状の外コア基部321と、この外コア基部321から突出して巻回部2a,2b内にそれぞれ配置される一対の突出部322と、を有する。外コア基部321と一対の突出部322,322とは一体に成形された一体物である。また、ここでは、外コア基部321は、一対の突出部322,322とは反対側に突出する部分が一体に成形されている。この突出する部分の横断面積は内コア片31mや突出部322の横断面積と実質的に同一である。上記一対の突出部322,322の端面は、内コア片31mの端面とほぼ同じ形状及び大きさであり、その大きさ及び突出長さは、コイル2に応じた所定の磁路断面積を有するように適宜選択できる。一対の突出部322,322は、巻回部2a,2bの形状に合わせた形状であることが好ましく、ここでは、角部が実質的に巻回部2a,2bの内周面の角部に沿って丸められている。
ギャップ材31gは、コア片31m,32mよりも比透磁率が低い材料、代表的にはアルミナなどの非磁性材で構成される。この例では、ギャップ材31gは、平面視長方形状の非磁性材の平板としている。ギャップ材31gの形状や個数は適宜選択できる。各コア片31m,32m間に介在されるギャップ材31gは、そのギャップ材31gに代えて、又はギャップ材31gと併用してエアギャップとすることができる。
介在部材5は、コイル2(巻回部2a,2b)と磁性コア3との間に介在され、コイル2と磁性コア3との間を絶縁する部材である。介在部材5は、図4,5に示すように、コイル2(巻回部2a,2b)の軸方向に二分割される一対の分割介在部材5A,5Bを備える。介在部材5は、一対の分割介在部材5A,5Bを組み合わせたとき、巻回部2a,2b内に配置される内側介在部51と、巻回部2a,2bと外コア片32mとの間に介在される端面介在部52と、巻回部2a,2bの軸方向外方に延出して外コア片32mの上面に配置される延出部53と、を備える。ここでは、分割介在部材5Aは、内側介在部51と端面介在部52と延出部53とが一体に成形されており、分割介在部材5Bは、端面介在部52と延出部53とが一体に成形されている。
内側介在部51は、内コア片31m,…とギャップ材31g,…との積層物を収納可能な筒状部である。ここでは、内側介在部51は、積層物の4つの角部のそれぞれに対応するように、4つの湾曲した介在片51fから構成されている。各介在片51fが積層物の各角部に沿うように湾曲していることで、内側介在部51に積層物を収納し易くなっている。内側介在部51は、4つの介在片51f,…によって形成される横断面形状が内コア片31mの外形に沿った筒状となっている。各介在片51fは、端面介在部52側の一端部で繋がった枠状となるように形成されている。つまり、内側介在部51は、筒状部の側面に、筒状部の軸方向の一端側が開口し、他端側(端面介在部52側)が閉塞されたスリットが形成されている。内側介在部51にスリットが形成されていることで、各内コア片31m,…及びギャップ材31g,…を把持した状態でスリットの開口側から内側介在部51内に挿入させることができ、収納作業が行い易い。
端面介在部52は、外コア片32mの一対の突出部322,322がそれぞれ配置される上面開口したE字状部材である。このE字状部材の開口部分に後述する延出部53が配置されることで、上記突出部322,322が挿通可能な二つの挿通孔52h、52hを有するB字状の枠状部となる。分割介在部材5Aに備わる端面介在部52は、巻回部2a,2bと対面する側の面に、上記内側介在部51と、仕切り部52dと、センサ保持部52sと、が一体に成形されており、外コア片32mと対面する側の面に、後述する延出部53が一体に成形されている。分割介在部材5Bに備わる端面介在部52は、巻回部2a,2bと対面する側の面に、分割介在部材5Aと係合する係合部52eと、仕切り部52dと、が一体に成形されており、外コア片32mと対面する側の面に、後述する延出部53が一体に成形されている。
延出部53は、端面介在部52の上端に連続して、外コア片32mが配置される側に延出するように設けられている。延出部53は、外コア片32mの外コア基部321の厚さ方向及び幅方向に延びる板状部材である。ここでは、分割介在部材5Aの延出部53は、外コア基部321の最大厚さの1/3程度まで全幅に亘って延出しており、それよりも外方には、ケース4の角部に向かって二股に分かれて延出している。このとき、二股に分かれて延出する部分は、外コア片32mの外コア基部321の幅方向の中央線を挟んで対称形状であることが好ましい。分割介在部材5Bの延出部53は、外コア基部321の最大厚さの2/3程度まで全幅に亘って延出しており、それよりも外方には、ケース4の角部に向かって二股に分かれて延出している。分割介在部材5Bが配置される側には、コイル2の連結部2rが外コア基部321の上方に配置されるため、分割介在部材5Bの延出部53は、分割介在部材5Aよりも広くなっている。
ケース4は、図3に示すように、組合体10が載置される平板状の底板部40と、組合体10の周囲を囲むように底板部40から立設される略矩形枠状の側壁部41とを有し、底板部40とは反対側(上側)が開口した有底容器状である。リアクトル1は、ケース4に組合体10を収納することよって、組合体10の外部環境(粉塵や腐食など)からの保護や機械的保護を図ることができる。この例では、ケース4の底板部40の下面が冷却ベースといった設置対象(図示せず)の上面に接するように固定され、リアクトル1が設置対象上に設置される。図1では、底板部40が下方となる設置状態を示すが、底板部40が上方、又は側方となる設置状態もあり得る。
この例に示すリアクトル1は、図2,3に示すように、組合体10の設置面に接合層7を備える。接合層7は、組合体10のうちコイル2の下面と底板部40との間に介在される。接合層7を備えることで、組合体10を底板部40に強固に固定でき、コイル2の動きの規制、放熱性の向上、設置対象への固定の安定化などを図ることができる。接合層7の構成材料は、絶縁性樹脂、特にセラミックスフィラーなどを含有して放熱性に優れるもの(例えば、熱伝導率が0.1W/m・K以上、更に1W/m・K以上、特に2W/m・K以上)が好ましい。具体的な樹脂は、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、不飽和ポリエステルなどの熱硬化性樹脂や、PPS樹脂、LCPなどの熱可塑性樹脂が挙げられる。接合層7は、例えばシート状のものを用いたり、塗布やスプレーしたりして形成するとよい。
封止樹脂部6は、図1に示すように、ケース4内に充填され、ケース4内に収納された組合体10を封止する部材である。封止樹脂部6は、組合体10におけるコイル2の両巻線端部を除く上面が埋設されるまで充填されている(図2を参照)。リアクトル1は、封止樹脂部6で組合体10を封止することによって、組合体10をケース4に固定し、組合体10の電気的・機械的保護、外部環境からの保護、コイル2に通電したときに発生する磁性コア3の振動、及びこの振動に起因する騒音の低減などを図ることができる。
上記構成を備えるリアクトル1は、例えば、組合体10の作製⇒組合体10をケース4に収納・固定⇒封止樹脂部6の未固化の構成樹脂を充填・固化、という手順によって製造することができる。
まず、一方の分割介在部材5Aに、内コア片31m,…及びギャップ材31g,…と、一方の外コア片32mと、を取り付ける。このとき、分割介在部材5Aの端面介在部52の挿通孔52h,52hに一方の外コア片32mの一対の突出部322,322を挿通し、分割介在部材5Aの内側介在部51に内コア片31m,…及びギャップ材31g,…の積層物を収納する。そうすると、分割介在部材5Aによって、一方の外コア片32mと内コア片31m,…及びギャップ材31g,…とが位置決めされた状態となる。次に、巻回部2a,2bを分割介在部材5Aの内側介在部51の外周に装着する。その後に、分割介在部材5A,5Bを係合部51e,52eで係合し、他方の分割介在部材5Bの端面介在部52の挿通孔52h,52hに他方の外コア片32mの一対の突出部322,322を挿通する。この組合体10は、介在部材5によって、コイル2と磁性コア3(内コア片31m,…とギャップ材31g,…と外コア片32m,32m)とが位置決めされた状態の一体物として取り扱える。
組合体10をケース4内に収納する(図3を参照)。ここでは、組合体10の下面に接合層7を配置した後、組合体10をケース4内に収納する。このとき、組合体10の介在部材5の固定部53fが、ケース4の取付部45に配置される。固定部53fの貫通孔53fと、取付部45の取付穴45hとを位置合わせして、取付穴45hと貫通孔53hに締結部材9を貫通して締結することで、固定部53fはケース4の底板部40側に締め付けられて、組合体10はケース4に固定される。
以上説明したリアクトル1は、介在部材5が固定部53fを備えることで、組合体10の構成部材で組合体10をケース4に固定することができるため、ケース4に対して組合体10を配置し易く、リアクトル1の組立作業性に優れる。また、ケース4への組合体10の固定は、組合体10の構成部材を利用して行っているため、従来のステーのような別部材を準備する必要がなく、部品点数を削減できる。
2 コイル
2a,2b 巻回部 2r 連結部 2w 巻線
3 磁性コア
31m 内コア片 31g ギャップ材
32m 外コア片 321 外コア基部 322 突出部
4 ケース
40 底板部 40m 内底面 41 側壁部
45 取付部 45h 取付穴
5 介在部材 5A,5B 分割介在部材
51 内側介在部
51f 介在片 51p 押付部 51e 係合部
52 端面介在部
52h 挿通孔 52e 係合部
52d 仕切り部 52s センサ保持部
53 延出部 53f 固定部 53h 貫通孔
54 補強部
6 封止樹脂部
7 接合層
9 締結部材(ボルト)
Claims (3)
- 巻回部を有するコイルと、
前記巻回部内に全体が配置される内コア片と、前記巻回部外に配置される部分を有する外コア片とを有する磁性コアと、
前記巻回部と前記磁性コアとの間に介在される部分を有する介在部材と、
前記コイルと前記磁性コアと前記介在部材との組合体を収納する有底四角筒状のケースと、を備えるリアクトルであって、
前記介在部材は、
前記巻回部内に配置される内側介在部と、
前記巻回部と前記外コア片との間に介在される端面介在部と、
前記巻回部の軸方向外方に延出して前記外コア片の上面に配置される延出部と、を備え、
前記延出部は、締結部材の貫通孔を有し、前記締結部材によって前記ケースの内底面側に締め付けられると共に、前記組合体を前記ケースに固定する固定部を備え、
前記内側介在部は、前記固定部と一体に成形され、前記巻回部の内周面における前記ケースの内底面側の領域と前記磁性コアとの間に介在される部材であり、前記固定部の前記ケースへの固定に伴い、前記コイルを前記ケースの内底面に押し付ける押付部を備え、
前記固定部は、前記ケースの各角部に向かって延び、前記貫通孔側を自由端、その反対側を前記押付部側との連結端とする片持ち支持構造の板状片であり、
前記介在部材は、前記固定部における前記ケースの内底面側の面と前記端面介在部における前記外コア片側の面とを繋ぎ、前記外コア片の側面沿いに設けられる補強部を備えるリアクトル。 - 前記介在部材は、前記巻回部の軸方向に二分割される一対の分割介在部材を組み合わせて構成されており、
前記一対の分割介在部材の一方は、前記押付部を含み、前記磁性コアのうち前記巻回部内に配置される内コア片及びギャップ材の全てを収納可能な筒状部を備える請求項1に記載のリアクトル。 - 前記一対の分割介在部材は、互いに係合する係合部を備える請求項2に記載のリアクトル。
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