JP6455127B2 - 透明フィルムの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、微細凹凸構造を表面に有する透明フィルムの製造方法に関する。
近年、可視光の波長以下の周期の微細凹凸構造を表面に有する物品は、反射防止効果、ロータス効果等を発現することが知られている。特に、略円錐形状の凸部を並べたモスアイ構造と呼ばれる凹凸構造は、空気の屈折率から物品の材料の屈折率へと連続的に屈折率が増大していくことで有効な反射防止の手段となることが知られている。
物品の表面に微細凹凸構造を形成する方法としては、微細凹凸構造が表面に形成された金型(モールドともいう。以下、本明細書では金型と称する。)を用い、金型の微細凹凸構造を物品の表面に転写する方法、さらに詳しくは、微細凹凸構造を表面に有する金型と基材との間に液状の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を充填し、これに活性エネルギー線を照射して硬化させて、基材の表面に微細凹凸構造が転写された硬化樹脂層を形成する方法が注目されている。前記方法においては、物品の表面からの金型の離型性の良否が、物品の生産性に著しい影響を及ぼす。すなわち、前記方法では、硬化樹脂層の表面から金型を離型する際、金型の表面への樹脂残りが発生し、転写された微細凹凸構造に欠陥が発生する場合がある。
金型と硬化樹脂層との離型性を向上させる方法としては、下記の方法が提案されている。
(1)金型の微細凹凸構造が形成された側の表面を離型剤(外部離型剤)によって処理する方法(例えば特許文献1、2参照)。
(2)物品を構成する材料に離型剤(内部離型剤)を添加する方法。
しかし、(1)の方法には、下記の問題がある。
(i)金型を離型剤の希釈溶液に浸漬する、または金型に離型剤の希釈溶液を塗布した後、乾燥させる必要があるため、離型処理が煩雑で、かつ時間がかかる。
(ii)離型剤の乾燥ムラ等の処理ムラを引き起こすことがある。
(iii)金型の表面の離型剤が物品の表面に移行しやすい。
(iv)金型の微細凹凸構造の隅々まで離型剤が十分に行き渡らず、金型の微細凹凸構造の領域を、均一にかつ十分に離型剤で処理することが困難である。また、異物が金型の微細凹凸構造の領域に付着していると、異物が付着した部分を離型剤で処理することが困難である。そのため、金型の表面の離型剤処理が不十分な箇所で、転写された微細凹凸構造に欠陥が発生する場合がある。また、金型の表面の離型剤処理が不十分な箇所では、硬化樹脂が引きちぎられて固着して残存し、金型の微細凹凸構造自体にも欠陥部位が生じるため、連続的に同じ金型を用いた場合には、繰り返し欠陥が発生する場合がある。
また、(2)の方法には、下記の問題がある。
(v)物品の表面における離型剤による汚染が問題にならない程度の離型剤の添加量では、離型性が不十分となる場合がある。
(vi)一方、離型剤を過剰に添加した場合、物品の表面が離型剤で汚染されて物品の外観不良が発生する。
なお、金型の微細凹凸構造の領域に付着した異物を除去する方法としては、下記の方法が提案されている。
(3)金型の微細凹凸構造が形成された側の表面を、基材よりも金型に対して密着性が高い密着性部材に押し付ける方法(例えば特許文献3参照)。
しかし、(3)の方法では、基材よりも金型に対して密着性が高い密着性部材を用いるため、密着性部材が金型に付着する(すなわち、樹脂残りが発生する)おそれがある。また、金型への密着性部材の付着(樹脂残り)を抑えるためにあらかじめ金型の表面を離型剤(外部離型剤)で処理したとしても、異物が付着した部分を離型剤で処理することが困難であるという問題が残ったままであり、また、異物とともに離型剤が密着性部材によって金型から剥離してしまう。このように、(3)の方法では、異物を除去できたとしても、金型への密着性部材の付着、または金型からの離型剤の剥離によって、転写された微細凹凸構造に欠陥が発生する場合がある。
この問題を解決する方法として、下記の方法が提案されている。
(4)金型の微細凹凸構造が形成された側の表面と基材との間に、特定の金型表面離型処理用活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を供給し、これに活性エネルギー線を照射して硬化させた後、金型の表面から金型表面離型処理用活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物とともに基材を剥離することによって、金型の表面を離型処理する方法(例えば特許文献4参照)。
特開2007−326367号公報 特許第4154595号公報 特開2009−266841号公報 特許第4990414号公報
ところで、表面に微細凹凸構造を有する金型を製造するに際して、予めアルミニウム基材の表面を研磨して表面が平滑なアルミニウム基材を作製しておき、表面処理されたアルミニウム基材を陽極酸化することによって、複数の凹部(細孔)からなる微細凹凸構造をアルミニウム基材の表面に付与する方法が知られている。
しかしながら、アルミニウム基材を研磨すると、使用するアルミニウム基材の材質や研磨条件によっては、得られるアルミニウム基材の表面に可視光の波長よりも大きな凹み(具体的には、円相当直径が0.4〜10.0μm程度の凹み)が形成される場合がある。
そのため、例えば図4に示すように、金型50の表面に可視光の波長よりも大きな凹み52が点在し、この凹み52の周面に沿っても微細凹凸構造が形成されているような場合には、特許文献4に記載の方法により金型の表面を十分に離型処理したとしても、以下のような問題があった。すなわち、金型50の表面のうち、凹み52が形成されていない部分や、凹み52の底部52aに形成された微細凹凸構造の凹部(細孔)は、細孔の向きが鉛直方向下向きに形成されている。そのため、これらの部分の凹部に充填された活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物は、比較的容易に凹部から引き抜くことができる。しかし、凹み52に形成された微細凹凸構造の凹部は、凹み52の開口部52bに近づくほど、細孔の向きが鉛直方向下向きから金型50の表面に対して平行方向に近づくように形成される。そのため、これらの部分の凹部に充填された活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物は凹部から引き抜きにくくなる。よって、凹み52の周面に沿っても微細凹凸構造が形成されている金型50の場合、剥離力が局所的に高くなる傾向にある。剥離力が局所的に高くなった箇所は、凹み52を起点に離型不良が発生し、樹脂残りが発生しやすくなる。
一度樹脂残りが発生すると、この樹脂上にさらに樹脂が堆積しやすくなる(すなわち、樹脂残りが繰り返されやすくなる)。この樹脂の堆積は、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の剥離力が高いほど起こりやすくなる傾向にある。このような金型を用いて物品を製造すると、樹脂残りが100μm程度の粒状であっても、物品の表面には樹脂残りを核とした直径数mm程度の光学歪みが発生する場合がある。このような光学歪み(以下、「光学歪み欠陥」という。)は、たとえ樹脂残りが視認されない場合であっても、光学歪み欠陥としては直径数mmにおよぶため容易に視認されてしまう。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、金型の微細凹凸構造が精度よく転写され、しかも光学歪み欠陥が抑制された透明フィルムの製造方法の提供を課題とする。
本発明者らは鋭意検討した結果、金型と活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物との初期剥離力が最適である場合に樹脂残りによる光学歪み欠陥を抑制できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の態様を有する。
[1] 周期が400nm以下の複数の凸部からなる微細凹凸構造を表面に有する透明フィルムの製造方法であって、(I)純度が99.0〜99.9%であり、アルミニウムより標準電極電位が低い物質を0.05%以上含有するアルミニウム基材の表面を酸性またはアルカリ性の溶液により処理した後、表面処理されたアルミニウム基材を陽極酸化し、円相当直径が0.4〜10.0μmの凹みが表面に点在するアルミニウム基材の該表面上に、複数の凹部からなる、前記微細凹凸構造の反転構造が形成された金型を製造する工程と、(II)前記金型の微細凹凸構造の反転構造を有する側の表面に、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を供給し、該活性エネルギー線硬化性樹脂組成物に活性エネルギー線を照射して活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を硬化し、前記微細凹凸構造を表面に有する透明フィルムを得る工程と、(III)前記透明フィルムと前記金型とを分離する工程と、を有し、前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物と前記金型とを分離する際の180°剥離試験による初期剥離力が7N/m以下である、透明フィルムの製造方法。
[2] 前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は重合性化合物および離型剤を含み、該離型剤が(ポリ)オキシアルキレンアルキルリン酸エステル化合物である、[1]に記載の透明フィルムの製造方法。
[3] 前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、前記重合性化合物100質量部に対して、前記離型剤を0.2〜1.5質量部含有する、[2]に記載の透明フィルムの製造方法。
[4] 前記アルミニウムより標準電極電位が低い物質が、マグネシウム、リチウム、カリウム、バリウム、カルシウム、ナトリウム、チタンからなる群より選択される少なくとも一種である、[1]〜[3]のいずれか1つに記載の透明フィルムの製造方法。
本発明の透明フィルムの製造方法によれば、金型の微細凹凸構造が精度よく転写され、しかも光学歪み欠陥が抑制された透明フィルムを製造できる。
陽極酸化アルミナを表面に有する金型の製造工程を示す断面図である。 微細凹凸構造を表面に有する透明フィルムの製造装置の一例を示す構成図である。 微細凹凸構造を表面に有する透明フィルムの一例を示す断面図である。 表面処理されたアルミニウム基材を陽極酸化して得られた金型の表面状態の一例を示す断面図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
なお、本明細書において、「微細凹凸構造」は、隣接する凸部同士または隣接する凹部同士の平均間隔(中心間距離)が可視光波長以下、すなわち400nm以下の構造を意味する。
また、「活性エネルギー線」は、可視光線、紫外線、電子線、プラズマ、熱線(赤外線等)などを意味する。
また、「透明」とは、少なくとも波長400〜760nmの光を透過することを意味する。
また、「細孔」とは、アルミニウム基材の表面の酸化皮膜に形成された微細凹凸構造の凹部のことをいう。
また、「細孔間の間隔」は、隣接する細孔同士の中心間距離を意味する。
また、「突起」とは、透明フィルムの表面に形成された微細凹凸構造の凸部のことをいう。
また、「(メタ)アクリレート」はアクリレートおよびメタクリレートの総称であり、「(メタ)アクリル酸」はアクリル酸およびメタクリル酸の総称であり、「(メタ)アクリロニトリル」はアクリロニトリルおよびメタクリロニトリルの総称であり、「(メタ)アクリルアミド」はアクリルアミドおよびメタクリルアミドの総称である。
また、「(ポリ)オキシアルキレンアルキルリン酸エステル化合物」は、オキシアルキレン基を1つ有するオキシアルキレンアルキルリン酸エステル化合物およびオキシアルキレン基を2つ以上有するポリオキシアルキレンアルキルリン酸エステル化合物の総称である。
「透明フィルムの製造方法」
本発明の透明フィルムの製造方法は、周期が400nm以下の複数の凸部からなる微細凹凸構造を表面に有する透明フィルムを製造する方法であって、下記の工程(I)〜(III)を有する。
工程(I):純度が99.0〜99.9%であり、アルミニウムより標準電極電位が低い物質を0.05%以上含有するアルミニウム基材の表面を酸性またはアルカリ性の溶液により処理した後、表面処理されたアルミニウム基材を陽極酸化し、円相当直径が0.4〜10.0μmの凹みが表面に点在するアルミニウム基材の該表面上に、複数の凹部からなる、前記微細凹凸構造の反転構造が形成された金型を製造する工程。
工程(II):前記金型の微細凹凸構造の反転構造を有する側の表面に、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を供給し、該活性エネルギー線硬化性樹脂組成物に活性エネルギー線を照射して活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を硬化し、前記微細凹凸構造を表面に有する透明フィルムを得る工程。
工程(III):前記透明フィルムと前記金型とを分離する工程。
以下、各工程について詳細に説明する。
<工程(I)>
工程(I)は、前記微細凹凸構造の反転構造(以下、「反転微細凹凸構造」ともいう。)を表面に有する金型を製造する工程である。以下、金型の反転微細凹凸構造を有する側の表面を「金型の表面」ともいう。
金型の形状としては、ロール状、ベルト状、平板状等が挙げられる。これらの中でも、連続的に金型の反転微細凹凸構造を転写でき、生産性をより高めることができる点から、ロール状またはベルト状が好ましい。
金型は、金型基材の表面に反転微細凹凸構造を形成して製造される。また、得られた金型を原型とし、該原型から電鋳法等で複製型を作製し、これを金型として用いてもよい。
金型基材としては、純度が99.0〜99.9%であり、アルミニウムより標準電極電位が低い物質を0.05%以上含有するアルミニウム基材を用いる。
アルミニウム基材の純度は、99.0%以上であり、99.5%以上が好ましく、99.8%以上がより好ましい。アルミニウム基材の純度が低いと、陽極酸化した時に、不純物の偏析により可視光を散乱する大きさの凹凸構造が形成されたり、陽極酸化で得られる細孔の規則性が低下したりすることがある。
アルミニウムより標準電極電位が低い物質としては、マグネシウム、リチウム、カリウム、バリウム、カルシウム、ナトリウム、チタンなどが挙げられる。これらは1種単独でアルミニウム基材に含まれていてもよいし、2種以上がアルミニウム基材に含まれていてもよい。これらの中でも、アルミニウム基材の結晶粒を微細化しつつ、アルミニウム基材の硬度を高くできる点で、マグネシウム、チタンが好ましい。
アルミニウムより標準電極電位が低い物質の含有量は、0.05%以上であり、0.10%以上が好ましい。アルミニウムより標準電極電位が低い物質を0.05%以上含有することで、アルミニウム基材の硬度を好適に維持でき、アルミニウム基材を所望の形状となるように加工しやすくなる。加えて、アルミニウムの結晶粒を小さくでき、結晶粒の段差を低減することができる。結晶粒サイズが大きいと結晶粒の段差が大きくなり、後述する工程(III)において透明フィルムと金型とを分離する際に、結晶粒の段差に樹脂残りが発生し、転写された微細凹凸構造に欠陥が発生し、透明フィルムのヘイズが上昇する。
アルミニウムより標準電極電位が低い物質の含有量の上限値は、2.00%以下であり、1.00%以下が好ましく、0.80%以下がより好ましい。
アルミニウム基材の形状としては、ロール状、円管状、平板状、シート状などが挙げられる。
アルミニウム基材は、ステンレスやガラスの表面にアルミニウムを成膜したものであってもよい。
アルミニウム基材の表面に反転微細凹凸構造を形成する方法としては、アルミニウム基材の表面に、複数の細孔(凹部)を有する陽極酸化アルミナを形成する方法が好ましく、例えば下記の工程(a)〜(g)を有する方法が挙げられる。
工程(a):酸性またはアルカリ性の溶液を研磨液として用い、アルミニウム基材の表面を処理(研磨)する工程。
工程(b):工程(a)により表面処理されたアルミニウム基材を電解液中、定電圧下で陽極酸化してアルミニウム基材の表面に酸化皮膜を形成する工程。
工程(c):工程(b)で形成された酸化皮膜の全部を除去し、アルミニウム基材の表面に陽極酸化の細孔発生点を形成する工程。
工程(d):工程(c)により細孔発生点が形成されたアルミニウム基材を電解液中、再度陽極酸化し、細孔発生点に細孔を有する酸化皮膜を形成する工程。
工程(e):工程(d)で形成された細孔の径を拡大させる工程。
工程(f):工程(e)の後、電解液中、再度陽極酸化する工程。
工程(g):工程(e)と工程(f)を繰り返し行い、複数の細孔を有する陽極酸化アルミナがアルミニウム基材の表面に形成された金型を得る工程。
(工程(a))
工程(a)は、酸性またはアルカリ性の溶液を研磨液として用い、アルミニウム基材の表面を処理(研磨)する工程である。
なお、アルミニウム基材は、所定の形状に加工する際に用いた油が付着していることがあるため、工程(a)の前に脱脂処理しておくことが好ましい。
アルミニウム基材の表面を研磨する方法としては、機械研磨、化学研磨、電気化学研磨などが知られている。
機械研磨とは、金属表面を機械的に削り取って研磨する方法のことである。一般には、硬度の高い研磨液を、研磨体と被研磨体である金属との間に介在させた状態で、研磨体を相対的に移動させることで機械的に研磨する。
化学研磨とは、酸性またはアルカリ性の水溶液によって金属表面の酸化皮膜や素地を平滑化する方法のことである。
電気化学研磨とは、電解液中で主に直流の電気を流すことで、アルミニウムの表面の凹凸を溶解除去する方法のことである。
工程(a)では、より高度な平滑化が可能であることから、機械研磨と化学研磨とを同時に行う方法(Chemical Mechanical Planarization:CMP法)を用いて、アルミニウム基材の表面を研磨することが好ましい。また、CMP法と、上述した機械研磨、化学研磨、電気化学研磨のいずれか1以上とを併用してもよい。
ここで、CMP法とは、研磨液を布、紙、金属などの研磨体に吸着させ、および/または、被研磨体(アルミニウム基材)と研磨体の間に研磨液を供給して、研磨体でアルミニウム基材を擦ることにより、研磨液に含まれる研磨剤の鋭利な部分でアルミニウム基材の表面を削りつつ、酸またはアルカリによりアルミニウム基材の表面を平滑化する研磨手法のことである。
研磨液は、研磨剤と、還元剤および/または酸化剤と、水等の溶媒とを含む、酸性またはアルカリ性の溶液である。
研磨剤としては、例えばコロイダルアルミナ、コロイダルシリカなどが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
還元剤としては、例えば硫化水素、二酸化硫黄、過酸化水素、硫化鉄、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、亜二チオン酸ナトリウムなどが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
酸化剤としては、例えば過酸化水素、オゾン、過マンガン酸カリウム、希硝酸、濃硝酸、次亜塩素酸ナトリウムなどが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
研磨液が酸性の溶液である場合、そのpHは2〜6であることが好ましい。研磨液のpHを調整するためのpH調整剤(酸)としては、例えば硫酸、硝酸、燐酸等の無機酸;酪酸、クエン酸、酢酸等の有機酸などが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
研磨液がアルカリ性の溶液である場合、そのpHは8〜12であることが好ましい。研磨液のpHを調整するためのpH調整剤(アルカリ)としては、例えば炭酸ナトリウム、珪酸ナトリウム、燐酸ナトリウムなどが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
研磨液としては、アルカリ性の水溶液が好ましい。また、例えば酸性の研磨液を用いてアルミニウム基材を研磨した後に、アルカリ性の研磨液を用いて仕上げ研磨を行うなど、pHの異なる複数の研磨液を併用してもよい。
(工程(b))
工程(b)は、工程(a)により表面処理されたアルミニウム基材を電解液中、定電圧下で陽極酸化してアルミニウム基材の表面に酸化皮膜を形成する工程である。
図1に示すように、アルミニウム基材10を陽極酸化すると、細孔12を有する酸化皮膜14が形成される。
電解液としては、硫酸、シュウ酸、リン酸等が挙げられる。
シュウ酸を電解液として用いる場合:
シュウ酸の濃度は、0.7M以下が好ましい。シュウ酸の濃度が0.7Mを超えると、電流値が高くなりすぎて酸化皮膜の表面が粗くなることがある。
化成電圧が30〜60Vの時、平均間隔が100nmの規則性の高い細孔を有する陽極酸化アルミナを得ることができる。化成電圧がこの範囲より高くても低くても規則性が低下する傾向にある。
電解液の温度は、60℃以下が好ましく、45℃以下がより好ましい。電解液の温度が60℃を超えると、いわゆる「ヤケ」といわれる現象がおこり、細孔が壊れたり、表面が溶けて細孔の規則性が乱れたりすることがある。
硫酸を電解液として用いる場合:
硫酸の濃度は0.7M以下が好ましい。硫酸の濃度が0.7Mを超えると、電流値が高くなりすぎて定電圧を維持できなくなることがある。
化成電圧が25〜30Vの時、平均間隔が63nmの規則性の高い細孔を有する陽極酸化アルミナを得ることができる。化成電圧がこの範囲より高くても低くても規則性が低下する傾向がある。
電解液の温度は、30℃以下が好ましく、20℃以下がより好ましい。電解液の温度が30℃を超えると、いわゆる「ヤケ」といわれる現象がおこり、細孔が壊れたり、表面が溶けて細孔の規則性が乱れたりすることがある。
(工程(c))
工程(c)は、工程(b)で形成された酸化皮膜の全部を除去し、アルミニウム基材の表面に陽極酸化の細孔発生点を形成する工程である。
図1に示すように、酸化皮膜14を一旦除去し、これを陽極酸化の細孔発生点16にすることで細孔の規則性を向上することができる。
酸化皮膜を除去する方法としては、アルミニウムを溶解せず、酸化皮膜を選択的に溶解する溶液に溶解させて除去する方法が挙げられる。このような溶液としては、例えば、クロム酸/リン酸混合液等が挙げられる。
(工程(d))
工程(d)は、工程(c)により細孔発生点が形成されたアルミニウム基材を電解液中、再度陽極酸化し、細孔発生点に細孔を有する酸化皮膜を形成する工程である。
図1に示すように、酸化皮膜を除去したアルミニウム基材10を再度、陽極酸化すると、円柱状の細孔12を有する酸化皮膜14が形成される。
陽極酸化は、工程(b)と同様な条件で行えばよい。陽極酸化の時間を長くするほど深い細孔を得ることができる。
(工程(e))
工程(e)は、工程(d)で形成された細孔の径を拡大させる工程である。
図1に示すように、細孔12の径を拡大させる処理(細孔径拡大処理)を行うと、細孔12の径が工程(d)で形成された細孔12よりも拡径する。
細孔径拡大処理は、酸化皮膜を溶解する溶液に浸漬して陽極酸化で得られた細孔の径を拡大させる処理である。このような溶液としては、例えば、5質量%程度のリン酸水溶液等が挙げられる。
細孔径拡大処理の時間を長くするほど、細孔径は大きくなる。
(工程(f))
工程(f)は、工程(e)の後、電解液中、再度陽極酸化する工程である。
図1に示すように、アルミニウム基材10を再度、陽極酸化すると、円柱状の細孔12の底部から下に延びる、直径の小さい円柱状の細孔12がさらに形成される。
陽極酸化は、工程(b)と同様な条件で行えばよい。陽極酸化の時間を長くするほど深い細孔を得ることができる。
(工程(g))
工程(g)は、工程(e)と工程(f)を繰り返し行い、複数の細孔を有する陽極酸化アルミナがアルミニウム基材の表面に形成された金型を得る工程である。
図1に示すように、工程(e)の細孔径拡大処理と、工程(f)の陽極酸化を繰り返すと、直径が開口部から深さ方向に連続的に減少する形状の細孔12を有する酸化皮膜14が形成され、アルミニウム基材10の表面に陽極酸化アルミナ(アルミニウムの多孔質の酸化皮膜(アルマイト))を有する金型18が得られる。最後は工程(e)で終わることが好ましい。
繰り返し回数は、合計で3回以上が好ましく、5回以上がより好ましい。繰り返し回数が2回以下では、非連続的に細孔の直径が減少するため、このような細孔を有する陽極酸化アルミナを用いて形成されたモスアイ構造の反射率低減効果は不十分である。
細孔12の形状としては、略円錐形状、角錐形状、円柱形状等が挙げられ、円錐形状、角錐形状等のように、深さ方向と直交する方向の細孔断面積が最表面から深さ方向に連続的に減少する形状が好ましい。
細孔12間の平均間隔は、可視光の波長以下、すなわち400nm以下である。細孔12間の平均間隔は、20nm以上が好ましい。
細孔12間の平均間隔は、電子顕微鏡観察によって隣接する細孔12間の間隔(細孔12の中心から隣接する細孔12の中心までの距離)を10点測定し、これらの値を平均したものである。
細孔12のアスペクト比(細孔の深さ/細孔間の平均間隔)は、0.8〜5.0が好ましく、1.2〜4.0がより好ましく、1.5〜3.0が特に好ましい。
細孔12の深さは、電子顕微鏡観察によって倍率30000倍で観察したときにおける、細孔12の最底部と、細孔12間に存在する凸部の最頂部との間の距離を測定した値である。
工程(a)を行うと、アルミニウム基材の表面に円相当直径が0.4〜10.0μmの凹みが形成される。そのため、工程(a)〜(g)を経て得られる金型は、円相当直径が0.4〜10.0μmの凹みが表面に点在するアルミニウム基材の該表面上に、複数の凹部(細孔)からなる、反転微細凹凸構造が形成されたものである。
ここで、円相当直径とは、金型の表面を走査電子顕微鏡で観察し、凹み部分の面積を求め、求めた面積と同じ面積の円の直径のことである。
なお、金型の製造方法は、上述した方法に限定されず、例えば、工程(c)に代えて、下記の工程(c’)を行ってもよい。
工程(c’):工程(b)で形成された酸化皮膜の一部を除去する工程。
図1に示すように、工程(b)で形成された酸化皮膜14の細孔12は、間隔にバラつきがある。そこで、工程(c’)では、細孔12の間隔にバラつきがなくなるまで酸化皮膜14の表面を除去する。工程(c’)により表面に露出した細孔12が、工程(c)における細孔発生点の役割を果たす。
また、得られた金型の反転微細凹凸構造を有する側の表面を外部離型剤で処理(離型処理)してもよい。金型の反転微細凹凸構造を有する側の表面を外部離型剤で処理することで、金型の反転微細凹凸構造を物品(透明フィルム)の表面に転写する場合に、初期の離型性が良好となる。具体的には、後述する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物と金型とを分離する際の180°剥離試験による初期剥離力が7N/m以下になりやすい。
また、繰り返し転写した場合であっても、離型性が低下しにくいため、微細凹凸構造を表面に有する透明フィルムを生産性よく製造できるようになる。
なお、離型処理は、厳密には反転微細凹凸構造を表面に有する金型の、反転微細凹凸構造の表面を離型剤で処理するものであるが、以下の説明において「反転微細凹凸構造を表面に有する金型」や、「金型の表面」を処理する、と記載する場合がある。
外部離型剤としては、アルミニウム基材の陽極酸化アルミナと化学結合を形成し得る官能基を有するものが好ましく、具体的には、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、フッ素化合物などが挙げられ、加水分解性シリル基を有するフッ素化合物が特に好ましい。
加水分解性シリル基を有するフッ素化合物の市販品としては、フルオロアルキルシラン、KBM−7803(信越化学工業社製)、MRAF(旭硝子社製)、オプツールHD1100、HD2100シリーズ(ハーベス社製)、オプツールAES4、AES6(ダイキン工業社製)、ノベックEGC−1720(住友スリーエム社製)、FS‐2050シリーズ(フロロテクノロジー社製)などが挙げられる。
また、後述する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物に含まれる内部離型剤として利用できるフッ素含有化合物、シリコーン系化合物、リン酸エステル系化合物、長鎖アルキル基を有する化合物、ポリオキシアルキレン基を有する化合物、固形ワックス(ポリエチレンワックス、アミドワックス、ポリテトラフルオロエチレンのパウダ等)などを溶剤で希釈したものも外部離型剤として使用できる。
外部離型剤による離型処理方法としては、下記の方法(α)または方法(β)が挙げられ、金型の表面をムラなく外部離型剤で処理できる点から、方法(α)が特に好ましい。
方法(α):外部離型剤の希釈溶液に金型を浸漬する方法。
方法(β):外部離型剤またはその希釈溶液を、金型の反転微細凹凸構造を有する側の表面に塗布する方法。
方法(α)としては、下記の工程(h)〜(m)を有する方法が好ましい。
工程(h):金型を水洗する工程。
工程(i):工程(h)の後、金型にエアーを吹き付け、金型の表面に付着した水滴を除去する工程。
工程(j):加水分解性シリル基を有するフッ素化合物をフッ素系溶媒で希釈した希釈溶液に、金型を浸漬する工程。
工程(k):浸漬した金型をゆっくりと溶液から引き上げる工程。
工程(l):必要に応じて、工程(k)よりも後段にて金型を加熱加湿させる工程。
工程(m):金型を乾燥させる工程。
(工程(h))
工程(h)は、金型を水洗する工程である。
金型には、微細凹凸構造を形成する際に用いた薬剤(細孔径拡大処理に用いたリン酸水溶液、リソグラフィ法に用いた剥離液等)、不純物(埃等)等が付着しているため、水洗によってこれを除去する。
(工程(i))
工程(i)は、工程(h)の後、金型にエアーを吹き付け、金型の表面に付着した水滴を除去する工程である。
金型の表面に水滴が付着していると、工程(j)で用いる希釈溶液が劣化しやすくなるため、金型にエアーを吹き付け、目に見える水滴はほぼ除去する。
(工程(j))
工程(j)は、加水分解性シリル基を有するフッ素化合物をフッ素系溶媒で希釈した希釈溶液に、金型を浸漬する工程である。
希釈用のフッ素系溶媒としては、ハイドロフルオロポリエーテル、パーフルオロヘキサン、パーフルオロメチルシクロヘキサン、パーフルオロ−1,3−ジメチルシクロヘキサン、ジクロロペンタフルオロプロパンなどが挙げられる。
加水分解性シリル基を有するフッ素化合物の濃度は、希釈溶液(100質量%)中、0.01〜0.50質量%が好ましい。
浸漬時間は、1〜30分が好ましい。
浸漬温度は、0〜50℃が好ましい。
(工程(k))
工程(k)は、浸漬した金型をゆっくりと溶液から引き上げる工程である。
浸漬した金型を溶液から引き上げる際には、電動引き上げ機等を用いて、一定速度で引き上げ、引き上げ時の揺動を抑えることが好ましい。これにより塗布ムラを少なくできる。
引き上げ速度は、1〜10mm/secが好ましい。
(工程(l))
工程(l)は、必要に応じて、工程(k)よりも後段にて金型を加熱加湿させる工程である。
金型を加熱加湿下に放置することによって、フッ素化合物(離型剤)の加水分解性シリル基が加水分解されてシラノール基が生成し、該シラノール基と金型の表面の水酸基との反応が十分に進行し、フッ素化合物の定着性が向上する。
加湿方法としては、飽和塩水溶液を用いた飽和塩法、水を加熱して加湿する方法、加熱した水蒸気を金型に直接吹付ける方法などが挙げられる。
工程(l)は恒温恒湿器中で行えばよい。
加熱温度は、30〜150℃が好ましい。
加湿条件は、相対湿度60%以上が好ましい。
放置時間は、10分〜7日が好ましい。
(工程(m))
工程(m)は、金型を乾燥させる工程である。
工程(m)では、金型を風乾させてもよく、乾燥機等で強制的に加熱乾燥させてもよい。
乾燥温度は、30〜150℃が好ましい。
乾燥時間は、5〜300分が好ましい。
なお、金型の表面が外部離型剤で処理されたことは、金型の表面の水接触角を測定することによって確認できる。外部離型剤で処理された金型の表面の水接触角は、60°以上が好ましく、90°以上がより好ましい。水接触角が 60°以上であれば、金型の表面が外部離型剤で十分に処理され、離型性が良好となる。
<工程(II)、工程(III)>
工程(II)は、工程(I)で得られた金型を用いて、微細凹凸構造を表面に有する透明フィルムを得る工程である。
工程(III)は、工程(I)で得られた透明フィルムと金型とを分離する工程である。
工程(II)では、工程(I)で得られた金型の反転微細凹凸構造を有する側の表面に、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を供給し、該活性エネルギー線硬化性樹脂組成物に活性エネルギー線を照射して活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を硬化し、前記微細凹凸構造を表面に有する透明フィルムを得る。この際、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を金型と基材との間に挟んだ状態で硬化させて、金型の反転微細凹凸構造が転写された硬化樹脂層を基材の表面に形成することが好ましい。
基材の形状としては、フィルム、シート、射出成形品、プレス成形品、押出成形品、キャスト成形品などが挙げられる。
基材としては、基材越しに活性エネルギー線照射を行うため、光透過性の高い材質のものが好ましい。光透過性の高い材質としては、例えばポリカーボネート、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、アクリル系樹脂、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリエーテルケトン、セルロース系樹脂(トリアセチルセルロース等)、ポリオレフィン、脂環式ポリオレフィン、ガラスなどが挙げられる。
基材の表面には、密着性、帯電防止性、耐擦傷性、耐候性等の特性の改良を目的として、コーティング、コロナ処理等が施されていてもよい。
工程(II)および工程(III)は、例えば図2に示す製造装置を用いて、下記のように行われる。
表面に反転微細凹凸構造(図示略)を有するロール状金型20と、該ロール状金型20の表面に沿って移動する帯状の基材(基材フィルム)42との間に、タンク22から活性エネルギー線硬化性樹脂組成物24を供給する。
ロール状金型20と、空気圧シリンダ26によってニップ圧が調整されたニップロール28との間で、基材フィルム42および活性エネルギー線硬化性樹脂組成物24をニップし、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物24を基材フィルム42とロール状金型20との間に均一に行き渡らせると同時に、ロール状金型20の反転微細凹凸構造の凹部(細孔)内に充填する。
ロール状金型20の下方に設置された活性エネルギー線照射装置30から、基材フィルム42を通して活性エネルギー線硬化性樹脂組成物24に活性エネルギー線を照射し、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物24を硬化させることによって、ロール状金型20の表面の反転微細凹凸構造が転写された硬化樹脂層44を形成する。
剥離ロール32により、硬化樹脂層44が表面に形成された基材フィルム42をロール状金型20から剥離することによって、図3に示すような透明フィルム40を連続的に製造する。
(活性エネルギー線硬化性樹脂組成物)
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、重合性化合物と、重合開始剤とを含む。
また、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物としては、該活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物と金型とを分離する際の180°剥離試験による初期剥離力が7N/m以下となるような樹脂組成物を用いることが好ましい。
上述したように、金型の製造において、アルミニウム基材の陽極酸化に先立ち研磨処理すると、表面に可視光の波長よりも大きな凹み(具体的には、円相当直径が0.4〜10.0μmの凹み)が形成され、この凹み上にも反転微細凹凸構造が形成されることになり(図4参照)、剥離力が局所的に高くなる傾向にある。そのため、このような金型を用いて透明フィルムなどの物品を製造すると、前記凹みを起点に樹脂残りが発生し、転写を繰り返すことで樹脂残りの部分に樹脂が堆積し、光学歪み欠陥の発生の原因となる。
しかし、前記初期剥離力が7N/m以下であれば、透明フィルム(具体的には硬化樹脂層)と金型との離型性が高まるので、金型の表面に前記凹みが形成されていても、金型への樹脂残り抑制できる。よって、金型の反転微細凹凸構造が精度よく転写され、しかも光学歪み欠陥が抑制された透明フィルムが得られる。
なお、金型の形状がロール状や円管状などの場合は、180°剥離試験を行うことが困難なことがある。そのような場合は、形状以外はロール状または円管状の金型と同じアルミニウム基材を用い、同じ条件で平板状またはシート状の金型を製造し、この平板状またはシート状の金型を用いて180°剥離試験を行い、初期剥離力を求め、これをロール状または円管状の金型と活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物との初期剥離力とみなす。
前記初期剥離力は、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の組成を調整することで調節できる。例えば、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物に離型剤(内部離型剤)を配合させ、該内部離型剤の配合量を調整することで前記初期剥離力を調節できる。内部離型剤の配合量が多くなるほど初期剥離力は小さくなる傾向にある。
また、金型の表面を外部離型剤により離型処理することでも、前記初期剥離力を調節できる。
以下、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物に含まれる各成分について説明する。活性エネルギー線硬化性樹脂組成物に含まれる成分のうち、少なくとも1種はアクリル系の成分であることが好ましい。
<<重合性化合物>>
重合性化合物としては、分子中にラジカル重合性結合および/またはカチオン重合性結合を有するモノマー、オリゴマー、反応性ポリマー等が挙げられる。
ラジカル重合性結合を有するモノマーとしては、単官能モノマー、多官能モノマーが挙げられる。
単官能モノマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、s−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、アルキル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート誘導体;(メタ)アクリル酸;(メタ)アクリロニトリル;スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン誘導体;(メタ)アクリルアミド、N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド誘導体などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
多官能モノマーとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、イソシアヌール酸エチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル)プロパン、1,2−ビス(3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)エタン、1,4−ビス(3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ブタン、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物ジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、メチレンビスアクリルアミド等の二官能モノマー;ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキシド変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキシド変性トリアクリレート、イソシアヌール酸エチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート等の三官能モノマー;コハク酸/トリメチロールエタン/アクリル酸の縮合反応混合物、ジペンタエリストールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリストールペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート等の四官能以上のモノマー;二官能以上のウレタンアクリレート、二官能以上のポリエステルアクリレートなどが挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
カチオン重合性結合を有するモノマーとしては、エポキシ基、オキセタニル基、オキサゾリル基、ビニルオキシ基等を有するモノマーなどが挙げられ、エポキシ基を有するモノマーが特に好ましい。
オリゴマーまたは反応性ポリマーとしては、不飽和ジカルボン酸と多価アルコールとの縮合物等の不飽和ポリエステル類;ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリオール(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、カチオン重合型エポキシ化合物、側鎖にラジカル重合性結合を有する上述のモノマーの単独または共重合ポリマーなどが挙げられる。
<<重合開始剤>>
重合開始剤としては、活性エネルギー線を照射することでラジカルまたはカチオンを発生する化合物を用いる。装置コストや生産性の点から、活性エネルギー線として紫外線を用いる光重合開始剤が好ましい。
光硬化反応を利用する場合、光重合開始剤としては、例えばベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジル、ベンゾフェノン、p−メトキシベンゾフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、α,α−ジメトキシ−α−フェニルアセトフェノン、メチルフェニルグリオキシレート、エチルフェニルグリオキシレート、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン等のカルボニル化合物;テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド等の硫黄化合物;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ベンゾイルジエトキシホスフィンオキサイドなどが挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
電子線硬化反応を利用する場合、重合開始剤としては、例えばベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、メチルオルソベンゾイルベンゾエート、4−フェニルベンゾフェノン、t−ブチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン等のチオキサントン;ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン等のアセトフェノン;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾインエーテル;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド;メチルベンゾイルホルメート、1,7−ビスアクリジニルヘプタン、9−フェニルアクリジンなどが挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
熱硬化反応を利用する場合、熱重合開始剤としては、例えば、メチルエチルケトンパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシオクトエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ラウロイルパーオキサイド等の有機過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系化合物;前記有機過酸化物にN,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチル−p−トルイジン等のアミンを組み合わせたレドックス重合開始剤などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物中の重合開始剤の含有量は、重合性化合物100質量部に対して、0.1〜10.0質量部が好ましい。重合開始剤の含有量が0.1質量部以上であれば、重合が十分に進行する。一方、重合開始剤の含有量が10.0質量部以下であれば、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物(硬化樹脂層)が着色しにくく、また、機械強度の低下も抑制できる。
<<内部離型剤>>
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が内部離型剤を含むことによって、連続転写性を高めることができる。また、硬化樹脂層の基材に対する密着性の低下が抑えられ、その結果、金型への樹脂残り(離型不良)や基材からの硬化樹脂層の剥がれをより抑制できる。加えて、金型からの離型性もより高まるため、金型への樹脂残り(離型不良)もより抑制できる。
内部離型剤は、硬化樹脂層と金型表面との離型性を向上するものであり、かつ活性エネルギー線硬化性樹脂組成物に含まれる内部離型剤以外の成分との相溶性があれば、特に内部離型剤の組成は制限されない。
内部離型剤としては、例えば(ポリ)オキシアルキレンアルキルリン酸エステル化合物、(ポリ)オキシアルキレンアルキルリン酸エステル化合物以外のリン酸エステル系化合物、フッ素含有化合物、シリコーン系化合物、長鎖アルキル基を有する化合物、ポリオキシアルキレン基を有する化合物、固形ワックス(ポリアルキレンワックス、アミドワックス、ポリテトラフルオロエチレンのパウダー等)などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。これらの中でも、(ポリ)オキシアルキレンアルキルリン酸エステル化合物が好ましい。
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が、内部離型剤として(ポリ)オキシアルキレンアルキルリン酸エステル化合物を含むことによって、その硬化物である硬化樹脂層と金型との離型性がより良好となる。また、離型時の負荷が極めて低いため、微細凹凸構造の破損が少なく、その結果、金型の反転微細凹凸構造を効率よく、かつ精度よく転写できる。特に、(ポリ)オキシアルキレンアルキルリン酸エステル化合物を外部離型剤として用いて金型の表面を離型処理すれば、硬化樹脂層と金型との離型性がより高まる。
(ポリ)オキシアルキレンアルキルリン酸エステル化合物としては、離型性の点から、下記式(1)で表わされる化合物が好ましい。
(HO)3−n(O=)P[−O−(RO)−R ・・・(1)
ただし、式(1)中、Rはアルキル基であり、Rはアルキレン基であり、mは1〜20の整数であり、nは1〜3の整数である。
としては、炭素数1〜20のアルキル基が好ましく、炭素数3〜18のアルキル基がより好ましい。
としては、炭素数1〜4のアルキレン基が好ましく、炭素数2〜3のアルキレン基がより好ましい。
mは、1〜10の整数が好ましい。
(ポリ)オキシアルキレンアルキルリン酸エステル化合物は、モノエステル体(n=1)、ジエステル体(n=2)、トリエステル体(n=3)のいずれであってもよい。また、ジエステル体またはトリエステル体の場合、1分子中の複数の(ポリ)オキシアルキレンアルキル基はそれぞれ異なっていてもよい。
(ポリ)オキシアルキレンアルキルリン酸エステル化合物の市販品としては、例えば下記のものが挙げられる。
城北化学社製:JP−506H、
アクセル社製:モールドウィズINT−1856、
日光ケミカルズ社製:TDP−10、TDP−8、TDP−6、TDP−2、DDP−10、DDP−8、DDP−6、DDP−4、DDP−2、TLP−4、TCP−5、DLP−10。
(ポリ)オキシアルキレンアルキルリン酸エステル化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物中の(ポリ)オキシアルキレンアルキルリン酸エステル化合物の含有量は、重合性化合物100質量部に対して、通常の可視光の波長以下の微細凹凸構造を有する金型であれば0.01〜1.00質量部が好ましい。ただし、微細凹凸構造を有する金型に可視光の波長よりも大きな凹み(具体的には円相当直径が0.4〜10.0μmの凹み)が表面に点在し、該表面に反転微細凹凸構造が形成されている金型を用いて透明フィルムを製造する場合には、0.2〜1.5質量部が好ましく、0.2〜1.0質量部がより好ましく、0.3〜0.5質量部がさらに好ましい。
(ポリ)オキシアルキレンアルキルリン酸エステル化合物の含有量が0.2質量部以上であれば、金型と活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物(硬化樹脂層)との剥離力が十分に抑えられ(具体的には、前記初期剥離力が7N/m以下となりやすく)、金型の表面に前記凹みが形成されていても、金型への樹脂残りが発生しにくい。そのため、転写された微細凹凸構造に光学歪み欠陥や転写抜けが発生しにくくなる。また、硬化樹脂層の基材に対す密着性の低下が抑えられ、その結果、金型への樹脂残りが抑えられる。
また、(ポリ)オキシアルキレンアルキルリン酸エステル化合物の含有量が0.2質量部以上であれば、金型の表面に十分な量の(ポリ)オキシアルキレンアルキルリン酸エステル化合物を移行できる。また、金型からの離型性が十分となり、金型への樹脂残りが抑えられる。さらに、金型からの離型性だけでなく、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物に対する離型性も向上するため、一度離型不良となって樹脂残りしたとしても、樹脂残りした箇所の樹脂上にさらに樹脂が堆積する(樹脂残りが繰り返される)ことを抑制できる。よって、光学歪み欠陥が抑制された透明フィルムが得られる。
また(ポリ)オキシアルキレンアルキルリン酸エステル化合物の含有量が0.2〜1.5質量部の範囲であれば、透明フィルムの微細凹凸構造側の表面を水拭きした際に発生する突起の合一を抑制することが可能である。これは、硬化樹脂層が金型に対して十分な離型性を有するのと同様に、透明フィルムの微細凹凸構造の表面も十分な離型性を発現できる。そのため、透明フィルムの微細凹凸構造側の表面を水拭きした場合や、恒温恒湿耐久試験(例えば、85℃85RH%200時間など)を行った場合に、微細凹凸構造の突起合一を抑制することができると考えられる。活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の組成、突起の形状や周期などにもよるが、(ポリ)オキシアルキレンアルキルリン酸エステル化合物以外の組成が同じ活性エネルギー線硬化性樹脂組成物において、(ポリ)オキシアルキレンアルキルリン酸エステル化合物を0.2〜1.5質量部含む組成物は、(ポリ)オキシアルキレンアルキルリン酸エステル化合物を0.2〜1.5質量部含まない組成物に比べて、突起合一を10%程度低減することが可能である。
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、離型性をさらに向上する目的で、(ポリ)オキシアルキレンアルキルリン酸エステル化合物以外の内部離型剤(以下、「他の内部離型剤」ともいう。)を含んでいてもよい。他の内部離型剤としては、上述したものが挙げられる。
<<その他の成分>>
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、必要に応じて、非反応性のポリマー、活性エネルギー線ゾルゲル反応性組成物、帯電防止剤、防汚性を向上させるためのフッ素化合物等の添加剤、微粒子、少量の溶媒などを含んでいてもよい。
非反応性のポリマーとしては、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリウレタン、セルロース系樹脂、ポリビニルブチラール、ポリエステル、熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
活性エネルギー線ゾルゲル反応性組成物としては、アルコキシシラン化合物、アルキルシリケート化合物等が挙げられる。
アルコキシシラン化合物としては、テトラメトキシシラン、テトラ−i−プロポキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−s−ブトキシシラン、テトラ−t−ブトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルプロポキシシラン、トリメチルブトキシシラン等が挙げられる。
アルキルシリケート化合物としては、メチルシリケート、エチルシリケート、イソプロピルシリケート、n−プロピルシリケート、n−ブチルシリケート、n−ペンチルシリケート、アセチルシリケート等が挙げられる。
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物(硬化樹脂層)は、疎水性であってもよいし、親水性であってもよい。活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物を疎水性または親水性に変更することによって、必要に応じて性能(例えば耐水性や指紋拭き取り性)を透明フィルムに付与することができる。
疎水性材料:
透明フィルムに撥水性(具体的には硬化樹脂層の微細凹凸構造の表面の水接触角が90°以上であること)が求められる場合には、疎水性の材料を形成し得る活性エネルギー線硬化性樹脂組成物として、フッ素含有化合物またはシリコーン系化合物を含む組成物を用いることが好ましい。
フッ素含有化合物としては、フッ素含有モノマー、フッ素含有シランカップリング剤、フッ素含有界面活性剤、フッ素含有ポリマーなどが挙げられる。
フッ素含有モノマーとしては、フルオロアルキル基置換ビニルモノマー、フルオロアルキル基置換開環重合性モノマーなどが挙げられる。
フルオロアルキル基置換ビニルモノマーとしては、フルオロアルキル基置換(メタ)アクリレート、フルオロアルキル基置換(メタ)アクリルアミド、フルオロアルキル基置換ビニルエーテル、フルオロアルキル基置換スチレンなどが挙げられる。
フルオロアルキル基置換開環重合性モノマーとしては、フルオロアルキル基置換エポキシ化合物、フルオロアルキル基置換オキセタン化合物、フルオロアルキル基置換オキサゾリン化合物などが挙げられる。
フッ素含有シランカップリング剤としては、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリアセトキシシラン、ジメチル−3,3,3−トリフルオロプロピルメトキシシラン、トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチルトリエトキシシランなどが挙げられる。
フッ素含有界面活性剤としては、フルオロアルキル基含有アニオン系界面活性剤、フルオロアルキル基含有カチオン系界面活性剤などが挙げられる。
フッ素含有ポリマーとしては、フルオロアルキル基含有モノマーの重合体、フルオロアルキル基含有モノマーとポリ(オキシアルキレン)基含有モノマーとの共重合体、フルオロアルキル基含有モノマーと架橋反応性基含有モノマーとの共重合体などが挙げられる。フッ素含有ポリマーは、共重合可能な他のモノマーとの共重合体であってもよい。
シリコーン系化合物としては、(メタ)アクリル酸変性シリコーン、シリコーン樹脂、シリコーン系シランカップリング剤等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸変性シリコーンとしては、シリコーン(ジ)(メタ)アクリレート等が挙げられ、例えば、信越化学工業社製のシリコーンジアクリレート「x−22−164」「x−22−1602」等が好ましく用いられる。
親水性材料:
透明フィルムに親水性(具体的には硬化樹脂層の微細凹凸構造の表面の水接触角が25°以下であること)が求められる場合には、親水性の材料を形成しうる活性エネルギー線硬化性樹脂組成物として、少なくとも親水性モノマーを含む組成物を用いることが好ましい。また、耐擦傷性や耐水性付与の観点からは、架橋可能な多官能モノマーを含む活性エネルギー線硬化性樹脂組成物がより好ましい。なお、親水性モノマーと架橋可能な多官能モノマーは、同一(すなわち、親水性多官能モノマー)であってもよい。さらに、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、その他のモノマーを含んでいてもよい。
親水性の材料を形成し得る活性エネルギー線硬化性樹脂組成物としては、4官能以上の多官能(メタ)アクリレート、2官能以上の親水性(メタ)アクリレート、必要に応じて単官能モノマーを含む組成物を用いることがより好ましい。
4官能以上の多官能(メタ)アクリレートとしては、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、コハク酸/トリメチロールエタン/アクリル酸のモル比1:2:4の縮合反応混合物、ウレタンアクリレート類(ダイセル・サイテック社製:EBECRYL220、EBECRYL1290、EBECRYL1290K、EBECRYL5129、EBECRYL8210、EBECRYL8301、KRM8200)、ポリエーテルアクリレート類(ダイセル・サイテック社製:EBECRYL81)、変性エポキシアクリレート類(ダイセル・サイテック社製:EBECRYL3416)、ポリエステルアクリレート類(ダイセル・サイテック社製:EBECRYL450、EBECRYL657、EBECRYL800、EBECRYL810、EBECRYL811、EBECRYL812、EBECRYL1830、EBECRYL845、EBECRYL846、EBECRYL1870)等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
4官能以上の多官能(メタ)アクリレートとしては、5官能以上の多官能(メタ)アクリレートがより好ましい。
4官能以上の多官能(メタ)アクリレートの含有量は、重合性化合物100質量%中、10〜50質量%が好ましく、耐水性、耐薬品性の点から、20〜50質量%がより好ましく、30〜50質量%が特に好ましい。4官能以上の多官能(メタ)アクリレートの含有量が10質量%以上であれば、弾性率が高くなって耐擦傷性が向上する。4官能以上の多官能(メタ)アクリレートの割合が50質量%以下であれば、表面に小さな亀裂が入りにくく、外観不良となりにくい。
2官能以上の親水性(メタ)アクリレートとしては、アロニックスM−240、アロニックスM260(東亞合成社製)、NKエステルAT−20E、NKエステルATM−35E(新中村化学工業社製)等の長鎖ポリエチレングリコールを有する多官能アクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ポリエチレングリコールジメタクリレートにおいて、一分子内に存在するポリエチレングリコール鎖の平均繰り返し単位の合計は、6〜40が好ましく、9〜30がより好ましく、12〜20が特に好ましい。ポリエチレングリコール鎖の平均繰り返し単位が6以上であれば、親水性が十分となり、防汚性が向上する。ポリエチレングリコール鎖の平均繰り返し単位が40以下であれば、4官能以上の多官能(メタ)アクリレートとの相溶性が良好となり、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が分離しにくい。
2官能以上の親水性(メタ)アクリレートの含有量は、重合性化合物100質量%中、30〜80質量%が好ましく、40〜70質量%がより好ましい。2官能以上の親水性(メタ)アクリレートの含有量が30質量%以上であれば、親水性が十分となり、防汚性が向上する。2官能以上の親水性(メタ)アクリレートの含有量が80質量%以下であれば、弾性率が高くなって耐擦傷性が向上する。
単官能モノマーとしては、親水性単官能モノマーが好ましい。
親水性単官能モノマーとしては、M−20G、M−90G、M−230G(新中村化学工業社製)等のエステル基にポリエチレングリコール鎖を有する単官能(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等のエステル基に水酸基を有する単官能(メタ)アクリレート、単官能アクリルアミド類、メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムメチルサルフェート、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムメチルサルフェート等のカチオン性モノマー類等が挙げられる。
また、単官能モノマーとして、アクリロイルモルホリン、ビニルピロリドン等の粘度調整剤、物品本体への密着性を向上させるアクリロイルイソシアネート類等の密着性向上剤等を用いてもよい。
単官能モノマーの含有量は、重合性化合物100質量%中、0〜20質量%が好ましく、5〜15質量%がより好ましい。単官能モノマーを用いることにより、基材と硬化樹脂層との密着性が向上する。単官能モノマーの含有量が20質量%以下であれば、4官能以上の多官能(メタ)アクリレートまたは2官能以上の親水性(メタ)アクリレートが不足することなく、防汚性または耐擦傷性が十分に発現する。
単官能モノマーは、1種または2種以上を(共)重合した低重合度の重合体として活性エネルギー線硬化性樹脂組成物に重合性化合物100質量%中、0〜35質量%配合してもよい。低重合度の重合体としては、M−230G(新中村化学工業社製)等のエステル基にポリエチレングリコール鎖を有する単官能(メタ)アクリレート類と、メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムメチルサルフェートとの40/60共重合オリゴマー(MRCユニテック社製、MGポリマー)などが挙げられる。
<<粘度>>
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の、25℃における回転式B型粘度計での粘度は、金型の反転微細凹凸構造の細部にまで活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を十分に供給できる点から、10Pa・s以下が好ましく、5Pa・s以下がより好ましく、2Pa・s以下が特に好ましい。活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の25℃における粘度が10Pa・s以下であれば、金型の反転微細凹凸構造への活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の追随性が良好となり、反転微細凹凸構造をより精度よく転写できる。また、金型の表面に供給する際に、あらかじめ加温して粘度を下げてもよい。
(活性エネルギー線)
活性エネルギー線としては、可視光線、紫外線、電子線、プラズマ、熱線(赤外線等)などが挙げられる。これらの中でも紫外線が好ましい。
紫外線を照射するランプとしては、例えばケミカルランプ、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、無電極UVランプ(フュージョンUVシステムズ社製)、UV−LEDランプなどが挙げられる。また、熱による硬化を併用してもよい。
紫外線の照射量は、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物に含まれる重合開始剤の吸収波長や含有量に応じて決定すればよい。通常、紫外線の積算光量は、100〜10000mJ/cmであり、100〜8000mJ/cmが好ましく、400〜6000mJ/cmがより好ましい。紫外線の積算光量が100mJ/cm以上であれば、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を十分に硬化できる。紫外線の積算光量が10000mJ/cm以下であれば、基材の劣化を抑えることができる。
また、紫外線の照射強度についても、基材の劣化等を招かない程度の出力に抑えることが好ましい。
<作用効果>
通常、金型と活性エネルギー線硬化性樹脂組成物との接着力が、基材と活性エネルギー線硬化性樹脂組成物との接着力よりも強力な場合、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を硬化した後に透明フィルムと金型とを分離するときに局所的に金型の表面に活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が付着して残留することがある。
上述したように、金型の製造において、アルミニウム基材の陽極酸化に先立ち研磨処理すると、表面に可視光の波長よりも大きな凹み(具体的には、円相当直径が0.4〜10.0μmの凹み)が形成され、この凹み上にも反転微細凹凸構造が形成されることになり(図4参照)、剥離力が局所的に高くなる傾向にある。そのため、このような金型を用いて透明フィルムなどの物品を製造すると、前記凹みを起点に樹脂残りが発生し、転写を繰り返すことで樹脂残りの部分に樹脂が堆積し、光学歪み欠陥の発生の原因となる。
可視光の波長以下の周期の微細凹凸構造を表面に有する透明フィルムにおいては、反射防止性能が非常に優れているため、このような樹脂残りによる光学歪み欠陥等が容易に視認されてしまう。
しかし、本発明の透明フィルムの製造方法においては、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物(硬化樹脂層)と金型とを分離する際の180°剥離試験による初期剥離力が7N/m以下であるため、透明フィルム(具体的には硬化樹脂層)と金型との離型性が高まり、金型の表面に前記凹みが形成されていても、金型への樹脂残りや転写抜け抑制できる。また、局所的に樹脂残りが発生したとしても、樹脂残りした箇所の樹脂上にさらに樹脂が堆積する(樹脂残りが繰り返される)ことも抑制できる。
よって、本発明の透明フィルムの製造方法によれば、金型の反転微細凹凸構造が精度よく転写され、しかも光学歪み欠陥が抑制された透明フィルムが得られる。
「透明フィルム」
図3は、本発明の透明フィルムの製造方法により得られる透明フィルム40の一例を示す断面図である。
本発明により得られる透明フィルム40は、基材(基材フィルム)42の表面に、金型の反転微細凹凸構造が鍵と鍵穴の関係で転写された微細凹凸構造を有する硬化樹脂層44が形成されたものである。
基材42としては、工程(II)の説明において先に例示した基材が挙げられる。
硬化樹脂層44は、上述した活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物からなる膜であり、表面に微細凹凸構造を有する。
陽極酸化アルミナの金型を用いた場合の透明フィルム40の表面の微細凹凸構造は、陽極酸化アルミナの表面の反転微細凹凸構造を転写して形成されたものであり、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物からなる複数の凸部46を有する。
微細凹凸構造としては、略円錐形状、角錐形状等の突起(凸部)が複数並んだ、いわゆるモスアイ構造が好ましい。突起間の間隔が可視光の波長以下であるモスアイ構造は、空気の屈折率から材料の屈折率へと連続的に屈折率が増大していくことで有効な反射防止の手段となることが知られている。
凸部間の平均間隔は、可視光の波長以下、すなわち400nm以下である。陽極酸化アルミナの金型を用いて突起を形成した場合、凸部間の平均間隔は100から200nm程度となることから、250nm以下が特に好ましい。
凸部間の平均間隔は、凸部の形成のしやすさの点から、20nm以上が好ましい。
凸部間の平均間隔は、電子顕微鏡観察によって隣接する凸部間の間隔(凸部の中心から隣接する凸部の中心までの距離)を10点または50点測定し、これらの値を平均したものである。
凸部の高さは、平均間隔が100nmの場合は、80〜500nmが好ましく、120〜400nmがより好ましく、150〜300nmが特に好ましい。突起の高さが80nm以上であれば、反射率が十分低くなり、かつ反射率の波長依存性が少ない。凸部の高さが500nm以下であれば、凸部の耐擦傷性が良好となる。
凸部の高さは、電子顕微鏡によって倍率30000倍で観察したときにおける、凸部の最頂部と、凸部間に存在する凹部の最底部との間の距離を測定した値である。
凸部のアスペクト比(凸部の高さ/凸部間の平均間隔)は、0.8〜5.0が好ましく、1.2〜4.0がより好ましく、1.5〜3.0が特に好ましい。凸部のアスペクト比が1.0以上であれば、反射率が十分に低くなくなり、かつ反射率の波長依存性が少ない。
凸部のアスペクト比が5.0以下であれば、凸部の耐擦傷性が良好となる。
凸部の形状は、高さ方向と直交する方向の凸部断面積が最表面から深さ方向に連続的に増加する形状、すなわち、凸部の高さ方向の断面形状が、三角形、台形、釣鐘型等の形状が好ましい。
硬化樹脂層44の屈折率と基材42の屈折率との差は、0.20以下が好ましく、0.10以下がより好ましく、0.05以下が特に好ましい。屈折率差が0.20以下であれば、硬化樹脂層44と基材42との界面における反射が抑えられる。
ところで、表面に微細凹凸構造を有する場合、その表面が疎水性の材料から形成されていればロータス効果により超撥水性が得られ、その表面が親水性の材料から形成されていれば超親水性が得られることが知られている。
硬化樹脂層44の材料が上述した疎水性材料の場合の微細凹凸構造の表面の水接触角は、90°以上が好ましく、110°以上がより好ましく、120°以上が特に好ましい。水接触角が90°以上であれば、水汚れが付着しにくくなるため、十分な防汚性が発揮される。また、水が付着しにくいため、着氷防止を期待できる。
硬化樹脂層44の微細凹凸構造の表面の水接触角を90°以上にするためには、上述した疎水性材料を含む活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を用いればよい。
一方、硬化樹脂層44の材料が上述した親水性材料の場合の微細凹凸構造の表面の水接触角は、25°以下が好ましく、23°以下がより好ましく、21°以下が特に好ましい。水接触角が25°以下であれば、表面に付着した汚れが水で洗い流され、また油汚れが付着しにくくなるため、十分な防汚性が発揮される。前記水接触角は、硬化樹脂層44の吸水による微細凹凸構造の変形、それに伴う反射率の上昇を抑える点から、3°以上が好ましい。
硬化樹脂層44の微細凹凸構造の表面の水接触角を25°以下にするためには、上述した親水性材料を含む活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を用いればよい。
<作用効果>
本発明により得られる透明フィルムは、金型の反転微細凹凸構造が精度よく転写されており、しかも光学歪み欠陥が抑制されている。
<用途>
透明フィルムの用途としては、反射防止物品、防曇性物品、防汚性物品、撥水性物品、より具体的には、ディスプレー用反射防止、自動車メーターカバー、自動車ミラー、自動車窓、有機または無機エレクトロルミネッセンスの光取り出し効率向上部材、太陽電池部材、光導波路、レリーフホログラム、レンズ、偏光分離素子、細胞培養シートなどが挙げられる。
例えば、透明フィルムを反射防止フィルムとして用いる場合は、画像表示装置(液晶表示装置、プラズマディスプレイパネル、エレクトロルミネッセンスディスプレイ、陰極管表示装置等)、レンズ、ショーウィンドー、眼鏡レンズ等の対象物の表面に、透明フィルム貼り付けて用いる。
なお、透明フィルムを貼り付ける部分が立体形状である場合は、あらかじめそれに応じた形状の基材を用いて微細凹凸構造を表面に有する物品を製造しておき、これを対象物の所定部分に貼り付ければよい。
また、対象物が画像表示装置である場合は、その表面に限らず、その前面板に対して透明フィルムを貼り付けてもよいし、前面板そのものを、微細凹凸構造を表面に有する物品から構成してもよい。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<金型の細孔の測定>
酸化皮膜が表面に形成された金型の一部を削り、表面および断面に白金を1分間蒸着し、電界放出形走査電子顕微鏡(日本電子社製、「JSM−7400F」)を用いて、加速電圧3.00kVの条件にて表面を観察し、細孔の間隔(細孔の中心から隣接する細孔の中心までの距離)を10点測定し、その平均値を隣り合う細孔の平均間隔とした。
また、金型の縦断面についても同様にして観察し、細孔の最底部と、細孔間に存在する凸部の最頂部との間の距離を10点測定し、その平均値を細孔の平均深さとした。また、細孔の形状を確認した。
<金型表面に形成された凹みの数の計測>
酸化皮膜が表面に形成された金型の一部を削り、表面に白金を1分間蒸着し、電界放出形走査電子顕微鏡(日本電子社製、「JSM−7400F」)を用い、加速電圧10.00kVの条件にて表面を観察し、円相当直径0.4〜10.0μmの凹みの数を計測し、1mm当たりの個数に換算した。
<初期剥離力の測定>
金型aを使用して最初に製造する透明フィルムと、金型aとを分離したときの剥離力を180°剥離試験器(IMADA社製、「ZP−5N」)にて測定し、その値を初期剥離力とした。
<反射率の測定>
黒アクリル板(三菱レイヨン社製、アクリライトEX502)に、ノンキャリアフィルム(リンテック社製、「OPTERIA MO−3006C」)を介して透明フィルムを貼付け、分光光度計(日立製作所社製、「U−4100」)を用いて、入射角5°の条件で波長380nm〜780nmの間の相対反射率を測定した。波長550nmにおける反射率を基に、下記の基準で評価した。
○:550nmの反射率が1.0%以下である。
×:550nmの反射率が1.0%超である。
<ヘイズの測定>
スライドガラス(松永硝子工業社製、「S9112」)に、ノンキャリアフィルム(リンテック社製、「OPTERIA MO−3006C」)を介して透明フィルムを貼付け、ヘイズメーター(日本電色工業社製、「NDH2000」)を用いて透過率を測定した。
<外観評価>
外観評価は、LEDライト(朝日電機社製、「DOP−XRE301」)を使用し、暗室にて透明フィルムを目視にて観察し、直径が1〜2mm程度の光学歪み欠陥の数を計測し、下記の基準で評価した。
○:外観欠陥の発生頻度が0.1mあたり0〜4個
△:外観欠陥の発生頻度が0.1mあたり5〜10個
×:外観欠陥の発生頻度が0.1mあたり11個以上
<金型の製造>
(金型aの製造)
アルミニウム基材としては、アルミニウムの純度が99.87%であり、かつ0.10%のマグネシウムを含む、厚み2mm、10cm角のアルミニウム板を用いた。また、研磨体として、ポリエステル製不織布、発砲ポリウレタン製スウェードの研磨パッドを用いた。
以下の工程に従って、可視光の波長以下の反転微細凹凸構造を表面に有する金型aを製造した。
工程(a):
研磨剤として平均粒径0.1μmのアルミナ粒子を含む、pH2.1の水溶液(研磨スラリー)を用いてアルミニウム基材の表面を処理(研磨)した。研磨は、研磨体を手で保持し、約1往復/秒の速さで移動させ、アルミニウム基材の表面全体を20分間研磨した後、水で洗浄した(第一の研磨処理)。
次いで、研磨処理された前記アルミニウム基材の表面を、研磨液を用いてさらに処理(研磨)した。研磨液としては、亜ジチオン酸ナトリウム濃度が500ppmであり、研磨剤として粒径がナノメートルスケールのシリカ微粒子を含む、pH10.1の水溶液(研磨スラリー)を用いた。該水溶液は、予め窒素バブリングを1時間施したシリカ微粒子含有研磨剤(フジミインコーポレーテッド社製)を、亜ジチオン酸ナトリウムを溶解させたイオン交換水で2倍に希釈して調製した。研磨は、前述の研磨体を手で保持し、約1往復/秒の速さで移動させ、アルミニウム基材の表面全体を20分研磨した後、水で洗浄した(第二の研磨処理)。
工程(b):
工程(a)により表面処理されたアルミニウム基材について、0.3Mシュウ酸水溶液中で、直流40V、温度16℃の条件で30分間陽極酸化を行い、アルミニウム基材の表面に酸化皮膜を形成した。
工程(c):
工程(b)にて酸化皮膜が形成されたアルミニウム基材を、6質量%リン酸/1.8質量%クロム酸混合水溶液に6時間浸漬して、酸化皮膜の全部を除去した。
工程(d):
工程(c)後のアルミニウム基材について、0.3Mシュウ酸水溶液中、直流40V、温度16℃の条件で30秒陽極酸化を行い、アルミニウム基材の表面に酸化皮膜を形成した。
工程(e):
工程(d)にて酸化皮膜が形成されたアルミニウム基材を、32℃の5質量%リン酸に8分間浸漬して、細孔径拡大処理を行った。
工程(f):
工程(e)後のアルミニウム基材について、0.3Mシュウ酸水溶液中、直流40V、温度16℃の条件で30秒間陽極酸化を行った。
工程(g):
前記工程(e)および工程(f)を合計で4回繰り返し、さらに最後に工程(e)を行い、平均間隔:100nm、深さ:180nmの略円錐形状の細孔を有する陽極酸化アルミナが表面に形成された10cm角の板状の金型を得た。
工程(h)〜(k)、(m):
得られた金型を脱イオン水で洗浄した後、表面の水分をエアーブローで除去した。
次いで、金型を、TDP−8(日光ケミカルズ社製)の0.1質量%希釈溶液に10分間浸漬した後、金型をゆっくりと希釈溶液から引き上げ、さらに金型を一晩風乾して、外部離型剤で表面処理された10cm角の板状の金型aを得た。
得られた金型aの表面に点在する凹みの数の計測したところ、4075個/mmであった。
(金型bの製造)
アルミニウム基材としては、アルミニウムの純度が99.67%であり、かつ0.30%のマグネシウムを含む、ロール状のアルミニウムを用いた以外は、金型aの製造と同様にして工程(a)を実施した。
引き続き、以下の工程に従って、可視光の波長以下の反転微細凹凸構造を表面に有する金型bを製造した。
工程(b):
工程(a)により表面処理されたアルミニウム基材について、0.3Mシュウ酸水溶液中で、直流40V、温度16℃の条件で6時間陽極酸化を行い、アルミニウム基材の表面に酸化皮膜を形成した。
工程(c):
工程(b)にて酸化皮膜が形成されたアルミニウム基材を、6質量%リン酸/1.8質量%クロム酸混合水溶液に6時間浸漬して、酸化皮膜の全部を除去した。
工程(d):
工程(c)後のアルミニウム基材について、0.3Mシュウ酸水溶液中、直流40V、温度16℃の条件で20秒陽極酸化を行い、アルミニウム基材の表面に酸化皮膜を形成した。
工程(e):
工程(d)にて酸化皮膜が形成されたアルミニウム基材を、32℃の5質量%リン酸に8分間浸漬して、細孔径拡大処理を行った。
工程(f):
工程(e)後のアルミニウム基材について、0.3Mシュウ酸水溶液中、直流40V、温度16℃の条件で20秒間陽極酸化を行った。
工程(g):
前記工程(e)および工程(f)を合計で4回繰り返し、さらに最後に工程(e)を行い、平均間隔:100nm、深さ:220nmの略円錐形状の細孔を有する陽極酸化アルミナが表面に形成されたロール状の金型を得た。
工程(h)〜(k)、(m):
得られた金型を脱イオン水で洗浄した後、表面の水分をエアーブローで除去した。
次いで、金型を、TDP−8(日光ケミカルズ社製)の0.1質量%希釈溶液に10分間浸漬した後、金型をゆっくりと希釈溶液から引き上げ、さらに金型を一晩風乾して、外部離型剤で表面処理されたロール状の金型bを得た。
得られた金型bの表面に点在する凹みの数の計測したところ、5184個/mmであった。
<活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の調製>
以下の配合組成に従って各成分を混合し、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物A〜Dを調製した。
(活性エネルギー線硬化性樹脂組成物Aの配合組成)
・トリメチロールエタン/アクリル酸/無水コハク酸の縮合反応物:70質量部、
・ポリエチレングリコールジアクリレート(東亞合成社製、「アロニックスM260」):20質量部、
・2−ヒドロキシエチルアクリレート:3質量部、
・メチルアクリレート:7質量部、
・(ポリ)オキシアルキレンアルキルリン酸エステル化合物(アクセル社製、「モールドウィズINT−1856」):0.3質量部、
・1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(BASFジャパン社製、「イルガキュア184」):1質量部、
・ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド(BASFジャパン社製、「イルガキュア819」):0.1質量部。
(活性エネルギー線硬化性樹脂組成物Bの配合組成)
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬社製、「カヤラッドDPHA」):20質量部、
・ペンタエリスリトールトリアクリレート(第一工業製薬社製、「PET−3」):20質量部、
・EO変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬社製、「カヤラッドDPEA−12」):30質量部、
・ポリエチレングリコールジアクリレート(東亞合成社製、「アロニックスM260」):30質量部、
・(ポリ)オキシアルキレンアルキルリン酸エステル化合物(日光ケミカルズ社製、「NIKKOL TDP−2」):0.5質量部、
・1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(BASFジャパン社製、「イルガキュア184」):1質量部、
・ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド(BASFジャパン社製、「イルガキュア819」):0.5質量部。
(活性エネルギー線硬化性樹脂組成物Cの配合組成)
・トリメチロールエタン/アクリル酸/無水コハク酸の縮合反応物:70質量部、
・ポリエチレングリコールジアクリレート(東亞合成社製、「アロニックスM260」):20質量部、
・2−ヒドロキシエチルアクリレート:3質量部、
・メチルアクリレート:7質量部、
・(ポリ)オキシアルキレンアルキルリン酸エステル化合物(アクセル社製、「モールドウィズINT−1856」):0.05質量部、
・1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(BASFジャパン社製、「イルガキュア184」):1質量部、
・ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホフィンオキサイド(BASFジャパン社製、「イルガキュア819」):0.1質量部。
(活性エネルギー線硬化性樹脂組成物Dの配合組成)
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬社製、「カヤラッドDPHA」):20質量部、
・ペンタエリスリトールトリアクリレート(第一工業製薬社製、「PET−3」):20質量部、
・EO変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬社製、「カヤラッドDPEA−12」):30質量部、
・ポリエチレングリコールジアクリレート(東亞合成社製、「アロニックスM260」):30質量部、
・(ポリ)オキシアルキレンアルキルリン酸エステル化合物(日光ケミカルズ社製、「NIKKOL TDP−2」):0.1質量部、
・1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(BASFジャパン社製、「イルガキュア184」):1質量部、
・ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド(BASFジャパン社製、「イルガキュア819」):0.5質量部。
「実施例1」
金型aの反転微細凹凸構造が形成された側の表面に、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物Aを滴下し、さらに基材としてポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡社製、「コスモシャインA−4300」、厚さ:75μm)で押し広げながら被覆した後、基材側から無電極UVランプ(フュージョンUVシステムズ社製、「ライトハンマー6」)を用いて積算光量1000mJ/cmのエネルギーで紫外線を照射して活性エネルギー線硬化性樹脂組成物Aを硬化させることによって、基材の表面に硬化樹脂層を形成した。硬化樹脂層が形成された基材と金型とを分離して、表面に微細凹凸構造(金型aの反転微細凹凸構造が転写された構造)を有する透明フィルムを得た。
同様の操作を合計で5回繰り返し、透明フィルムを5枚製造した。
1回目の透明フィルムの製造において、硬化樹脂層が形成された基材と金型とを分離したときの剥離力を180°剥離試験器にて測定した。結果を表1に示す。
また、5回目に製造した透明フィルムについて、反射率およびヘイズを測定し、外観評価を行った。これらの結果を表2に示す。
「実施例2」
剥離力の測定については、形状以外は金型bと同様の条件で作製した平板状の金型cを使用し、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物Bを用い、基材としてトリアセチルセルロースフィルム(富士フイルム社製、「TACフィルムTD80ULM」、厚さ:80μm)を用いた以外は、実施例1と同様にして透明フィルムを製造した。
1回目の透明フィルムの製造において、硬化樹脂層が形成された基材と金型とを分離したときの剥離力を180°剥離試験器にて測定した。結果を表1に示す。
別途、図2に示す製造装置を用い、以下のようにして透明フィルムを連続的に製造した。なお、ロール状金型20としては金型bを用い、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物24としては活性エネルギー線硬化性樹脂組成物Bを用い、基材(基材フィルム)42としてはトリアセチルセルロースフィルム(富士フイルム社製、「TACフィルムTD80ULM」、厚さ:80μm)を用いた。
帯状の基材フィルム42をロール状金型20の回転に同期させてロール状金型20の表面に沿って移動させつつ、ロール状金型20と基材フィルム42との間に、タンク22から活性エネルギー線硬化性樹脂組成物24を供給した。
基材フィルム42側から、積算光量1000mJ/cmの紫外線を、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物24に照射し、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物24を硬化させることによって、基材フィルム42の表面に硬化樹脂層44を形成した。
剥離ロール32により、硬化樹脂層44が表面に形成された基材フィルム42をロール状金型20から剥離することによって、透明フィルムを連続的に製造した。
透明フィルムを200m製造した時点で基材フィルム42の移動を停止した。停止直前に得られた透明フィルムについて、反射率およびヘイズを測定し、外観評価を行った。これらの結果を表2に示す。
「比較例1」
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物Cを用い、基材としてアクリルフィルム(三菱レイヨン社製、「アクリプレン(登録商標)HBK003」、厚さ:100μm)を用いた以外は、実施例1と同様にして透明フィルムを5枚製造した。
1回目の透明フィルムの製造において、硬化樹脂層が形成された基材と金型とを分離したときの剥離力を180°剥離試験器にて測定した。結果を表1に示す。
また、5回目に製造した透明フィルムについて、反射率およびヘイズを測定し、外観評価を行った。これらの結果を表2に示す。
「比較例2」
剥離力の測定については、形状以外は金型bと同様の条件で作製した平板状の金型cを使用し、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物Dを用いた以外は、実施例1と同様にして透明フィルムを製造した。
1回目の透明フィルムの製造において、硬化樹脂層が形成された基材と金型とを分離したときの剥離力を180°剥離試験器にて測定した。結果を表1に示す。
別途、図2に示す製造装置を用い、透明フィルムを連続的に製造した。具体的には、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物Dを用い、基材(基材フィルム)42としてポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡績社製、「コスモシャインA−4300」、厚さ:75μm)を用いた以外は、実施例2と同様にして透明フィルムを連続的に製造し、200m製造した時点での透明フィルムについて、反射率およびヘイズを測定し、外観評価を行った。これらの結果を表2に示す。
Figure 0006455127
Figure 0006455127
なお、表1、2中の略号は、下記の通りである。
・PET:ポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡績社製、「コスモシャインA−4300」、厚さ75μm)。
・TAC:トリアセチルセルロースフィルム(富士フイルム社製、「TACフィルムTD80ULM」、厚さ80μm)。
・PMMA:アクリルフィルム(三菱レイヨン社製、「アクリプレン(登録商標)HBK003」、厚さ:100μm)。
表1、2の結果から明らかなように、実施例1、2においては、円相当直径0.4〜10.0μmの可視光の波長以上の凹みが点在し、その部分が微細凹凸構造を有する場合でも、180°剥離試験での初期剥離力が7N/m以下の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を使用したため、光学歪み欠陥の発生を抑制することができた。
一方、比較例1、2においては、180°剥離試験での初期剥離力が7N/m超であるため、光学歪み欠陥が発生し、比較例1、2で得られた透明フィルムは外観に劣っていた。
本発明の透明フィルムの製造方法は、反射防止物品、防曇性物品、防汚性物品、撥水性物品、細胞培養シート等の透明フィルムの効率的な量産にとって有用である。
また、本発明により得られる透明フィルムは、反射防止物品、防曇性物品、防汚性物品、撥水性物品、細胞培養シート等として好適である。
10 アルミニウム基材
12 細孔
14 酸化皮膜
16 細孔発生点
18 金型
20 ロール状金型
22 タンク
24 活性エネルギー線硬化性樹脂組成物
26 空気圧シリンダ
28 ニップロール
30 活性エネルギー線照射装置
32 剥離ロール
40 透明フィルム
42 基材(基材フィルム)
44 硬化樹脂層
46 凸部
50 金型
52 凹み
52a 底部
52b 開口部

Claims (2)

  1. 周期が400nm以下の複数の凸部からなる微細凹凸構造を表面に有する透明フィルムの製造方法であって、
    (I)純度が99.0〜99.9%であり、アルミニウムより標準電極電位が低い物質を0.05%以上含有するアルミニウム基材の表面を酸性またはアルカリ性の溶液により処理した後、表面処理されたアルミニウム基材を陽極酸化し、円相当直径が0.4〜10.0μmの凹みが表面に点在するアルミニウム基材の該表面上に、複数の凹部からなる、前記微細凹凸構造の反転構造が形成された金型を製造する工程と、
    (II)前記金型の微細凹凸構造の反転構造を有する側の表面に、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を供給し、該活性エネルギー線硬化性樹脂組成物に活性エネルギー線を照射して活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を硬化し、前記微細凹凸構造を表面に有する透明フィルムを得る工程と、
    (III)前記透明フィルムと前記金型とを分離する工程と、
    を有し、
    前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物と前記金型とを分離する際の180°剥離試験による初期剥離力が7N/m以下であり、
    前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は重合性化合物および離型剤を含み、該離型剤が(ポリ)オキシアルキレンアルキルリン酸エステル化合物であり、
    前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、前記重合性化合物100質量部に対して、前記離型剤を0.2〜1.5質量部含有する、透明フィルムの製造方法。
  2. 前記アルミニウムより標準電極電位が低い物質が、マグネシウム、リチウム、カリウム、バリウム、カルシウム、ナトリウム、チタンからなる群より選択される少なくとも一種である、請求項1に記載の透明フィルムの製造方法。
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