以下、本発明の一実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、説明の簡略化を図るべく、図中、同一符号を付してある。
(第1実施形態)
図1は、本発明の統合弁としての統合弁30を有する車両用空調装置10の全体構成図である。この車両用空調装置10は、ハイブリッド車に搭載され車室内の空調を行う空調装置である。ハイブリッド車では、従来のガソリンエンジンまたはディーゼルエンジンのみを走行用駆動力源するエンジン車両とは異なりエンジンの廃熱が小さい。また、電気自動車でも同様であり、電気自動車ではその廃熱自体が無い。そのため、上記エンジン車両のようにエンジン廃熱を利用した暖房を行うことが難しい。そこで、ハイブリッド車または電気自動車では、電気ヒータ等を用いて暖房が行われるが、暖房を効率良く行うために、冷媒との熱交換によって送風空気を加熱するヒートポンプを採用することが進められている。
その一方で、ハイブリッド車や電気自動車では、暖房しない単なる除湿や冷房を行うために、エンジン車両と同様のエアコンサイクル、すなわち冷媒との熱交換によって送風空気を冷却するエアコンサイクルが採用される。そして、暖房用のヒートポンプサイクルは、コンプレッサ、熱交換器、配管などの構成部品の多くを冷房用のエアコンサイクルと共有することができる。これらのことから、本実施形態の車両用空調装置10は、冷媒の循環経路を切り替えることにより暖房および冷房等の複数の作動モードで運転可能な図1に示す冷凍サイクル11を備えている。
図1の冷凍サイクル11は蒸気圧縮式冷凍サイクルである。冷凍サイクル11を循環する熱媒体すなわち冷媒としては、フロン系冷媒(例えば、R134a)が採用されている。この冷凍サイクル11は、高圧側冷媒圧力が冷媒の臨界圧力を超えない亜臨界サイクルである。
車両用空調装置10は、車室内を冷房する冷房モードと、車室内を暖房する暖房モードと、車室内を除湿しつつ暖房する除湿暖房モードとの3つの作動モードを備えており、何れかの作動モードに択一的に切り替えられる。
車両用空調装置10は、車室内に配置されている車室内空調ユニット12、圧縮機14、膨張弁16、外気と冷媒とを熱交換させる室外熱交換器18、電気信号に応じて冷媒流通路を開閉する電磁開閉弁20、蒸発圧力制御弁22、気液を分離する気液分離器24、および統合弁30等を備えている。
車室内空調ユニット12は、車室内最前部のインストルメントパネルの内側に配置されている。車室内空調ユニット12は、電動の送風機121、送風機121に対し空気流れ下流側に配置された室内蒸発器122、室内蒸発器122に対し空気流れ下流側に配置された室内凝縮器123、室内蒸発器122に対し空気流れ下流側であって室内凝縮器123に対し空気流れ上流側に配置されたヒータコア124、およびエアミックスドア125等を備えている。そして、車室内空調ユニット12は、室内蒸発器122、室内凝縮器123、およびヒータコア124により調温された空気を車室内に吹き出す。
送風機121は例えば遠心式送風機であり、車室外の空気である外気または車室内の空気である内気を吸い込んで、その吸い込んだ空気を吹き出す。送風機121から吹き出された空気は室内蒸発器122へ流れる。
室内蒸発器122は車室内空調ユニット12内に配置されている。室内蒸発器122は、室内蒸発器122を通過する空気と冷凍サイクル11を循環する冷媒とを熱交換させ、その熱交換により冷媒を蒸発させると共に上記通過する空気を冷却する。すなわち、室内蒸発器122は、車室内へ吹き出す空気を冷却するエバポレータである。
室内蒸発器122は、室内凝縮器123、圧縮機14、膨張弁16、室外熱交換器18、電磁開閉弁20、蒸発圧力制御弁22、気液分離器24、および統合弁30等とともに、冷凍サイクル11を構成している。室内蒸発器122の冷媒入口122aは統合弁30の流出口30cに接続され、室内蒸発器122の冷媒出口122bは蒸発圧力制御弁22を介して気液分離器24の入口側に接続されている。すなわち、室内蒸発器122では、冷媒は冷媒入口122aから流入し冷媒出口122bから流出する。
車室内空調ユニット12内には、室内凝縮器123およびヒータコア124が設けられた暖房通路12aと、室内凝縮器123およびヒータコア124を迂回させて室内凝縮器123よりも空気流れ下流側へ空気を導くバイパス通路12bとが、室内蒸発器122に対する空気流れ下流側に形成されている。暖房通路12aを流れる空気は、室内凝縮器123およびヒータコア124の一方または両方によって加熱される。
エアミックスドア125は暖房通路12aとバイパス通路12bとを開閉し、室内蒸発器122からの空気がその暖房通路12aとバイパス通路12bとへ流入する風量割合を、エアミックスドア125の回動位置に応じて調節する。
室内凝縮器123は、室内凝縮器123を通過する空気と冷凍サイクル11を循環する冷媒とを熱交換させ、その熱交換により冷媒を凝縮させると共に上記通過する空気を加熱する。すなわち室内コンデンサである。
室内凝縮器123の冷媒入口側には、圧縮機14の冷媒吐出口14aが接続されており、室内凝縮器123の冷媒出口側には、室内凝縮器123から流出した冷媒を室外熱交換器18へ導く第1冷媒通路111が接続されている。なお、冷房モードでは暖房通路12aがエアミックスドア125により閉じられるので、その場合には、空気と冷媒との熱交換は行われない。
ヒータコア124は、車両走行用駆動力を出力するエンジンの廃熱を利用して、ヒータコア124を通過する空気を加熱する加熱器である。ヒータコア124には、車両走行用駆動力を出力するエンジンの冷却水が循環させられており、ヒータコア124は、ヒータコア124を通過する空気とエンジンの冷却水とを熱交換させて、それによりその空気を加熱する。
圧縮機14は、エンジンルーム内に配置され、冷凍サイクル11において冷媒を冷媒吸入口14bから吸入し、その冷媒を圧縮して冷媒吐出口14aから吐出する。圧縮機14は、電動モータによって駆動される電動圧縮機として構成されている。その圧縮機14が吐出する冷媒の吐出流量は圧縮機14の回転速度に応じて変化し、その回転速度は、電子制御装置から出力される制御信号によって変化させられる。
膨張弁16は第1冷媒通路111に配設されており、その第1冷媒通路111の通路面積を変更可能に構成されている。膨張弁16は、室内凝縮器123から流出した冷媒を減圧する減圧装置である。
具体的に、膨張弁16は、絞り開度を変更可能に構成された弁体と、この弁体の絞り開度を変化させるステッピングモータとを有して構成される電気式の可変絞り機構である。従って、膨張弁16は、電子制御装置から出力される制御信号によって、膨張弁16の絞り開度(単に、開度とも言う)を増減する。
そして、膨張弁16の絞り開度が大きくなるほど、第1冷媒通路111の通路面積は大きくなる。膨張弁16は、膨張弁16を通過し室外熱交換器18へ流入する冷媒を絞ることによりその冷媒を減圧膨張させる。
例えば、膨張弁16は、膨張弁16の全開状態では冷媒を減圧膨張させずに通過させる。その一方で、膨張弁16は、膨張弁16の全閉状態すなわち絞り開度零では冷媒の流通を遮断する。すなわち、冷媒が室外熱交換器18へ流入しないようにする。
膨張弁16の出口側には、室外熱交換器18の入口側が接続されている。室外熱交換器18は、エンジンルーム内に配置され、不図示の送風ファンから送風された車両走行風と室外熱交換器18の内部を流通する冷媒とを熱交換させるものである。この室外熱交換器18は、例えば暖房モード時等には、冷媒を蒸発させて吸熱作用を発揮させる蒸発器として機能し、冷房モード時等には、冷媒を放熱させる放熱器として機能する。
室外熱交換器18の出口側には、室外熱交換器18から流出した冷媒を気液分離器24の入口側へ導く第2冷媒通路112、および、室外熱交換器18から流出した冷媒を統合弁30の第2流入口30bへ導く第3冷媒通路113が接続されている。
この第2冷媒通路112には、電磁開閉弁20が配置されている。この電磁開閉弁20は、第2冷媒通路112を開閉する電磁弁であり、電子制御装置から出力される制御信号により、その作動が制御される。
また、冷凍サイクル11には、第1冷媒通路111において膨張弁16の入口側へ至る前の冷媒を統合弁30の第1流入口30aへ導く第4冷媒通路114が設けられている。換言すると、この第4冷媒通路114は、室内凝縮器123から流出した冷媒を、膨張弁16および室外熱交換器18を迂回させて統合弁30へ導く冷媒通路である。
蒸発圧力制御弁22は、室内蒸発器122の冷媒出口122bから気液分離器24へ至る冷媒流路において第2冷媒通路112が接続される接続点よりも上流側に配設されている。蒸発圧力制御弁22は、その内部の機械的な作動により、蒸発圧力制御弁22を通過する冷媒を減圧する機械式の減圧装置である。具体的に、蒸発圧力制御弁22は、蒸発圧力制御弁22の入口側すなわち室内蒸発器122の冷媒出口122bにおける冷媒圧力を所定値に保持しつつ、言い換えればその冷媒圧力を一定に保持しつつ、蒸発圧力制御弁22を通過する冷媒を減圧する。その蒸発圧力制御弁22の入口側の冷媒圧力は、室内蒸発器122の結露を防止できるように設定される。
気液分離器24は、その内部に流入した冷媒の気液を分離して、冷凍サイクル11内の余剰冷媒を蓄えるアキュムレータである。気液分離器24の気相冷媒出口には、圧縮機14の冷媒吸入口14bが接続されている。従って、気液分離器24は、圧縮機14に液相冷媒が吸入されることを抑制し、圧縮機14における液圧縮を防止する機能を果たす。
統合弁30は、第1流量制御部301と第2流量制御部302とを備えている。そして、第1流量制御部301は、第1流入口30aから流入した冷媒の流量を調節し、その冷媒を減圧膨張させて流出口30cへ流す。その一方で、第2流量制御部302は、第2流入口30bから流入した冷媒の流量を調節し、その冷媒を減圧膨張させて流出口30cへ流す。すなわち、統合弁30は、2つの減圧弁弁を統合した統合型の統合弁である。この統合弁30の構造については後述する。
なお、統合弁30は、第1流量制御部301と第2流量制御部302とのうちの一方または両方を、冷媒流れを遮断する遮断状態すなわち全閉状態にすることができ、第1流量制御部301と第2流量制御部302との両方から同時に冷媒が流出口30cへ流れることがないようになっている。
このように構成された車両用空調装置10では、前述した各作動モードに応じて冷凍サイクル11の冷媒流れが切り替えられる。従って、車両用空調装置10の作動モードは、そのまま冷凍サイクル11の作動モードでもある。
先ず、車両用空調装置10の暖房モードに関して説明する。車両用空調装置10の暖房モードにおいて、車両用空調装置10の空調制御を行う電子制御装置は、電磁開閉弁20を開状態として第2冷媒通路112を開く。また、膨張弁16の開度を目標開度に制御して、その膨張弁16を、室内凝縮器123から流出した冷媒を減圧してから室外熱交換器18へ流す絞り状態とする。更に、統合弁30の第1流量制御部301を下記表1に示すように全閉状態にして、それにより第4冷媒通路114を遮断すると共に、第2流量制御部302も全閉状態にして、それにより室内蒸発器122への冷媒の流入を阻止する。下記表1では、全閉状態は「閉」と記載され、開弁されて絞り開度が制御されている状態は「制御」と記載されている。
これらの弁操作により、暖房モードにおいて冷凍サイクル11では、圧縮機14から吐出された冷媒が、室内凝縮器123、膨張弁16、室外熱交換器18、電磁開閉弁20、気液分離器24の順に流れて圧縮機14に戻る冷媒流路が成立させられる。すなわち、図2の矢印ARhのように冷媒が循環する暖房循環経路が成立させられる。図2は、暖房モード時の冷媒流れを図1に追記した図である。
この暖房循環経路では、圧縮機14は、室外熱交換器18から気液分離器24を介して吸入した冷媒を圧縮してから室内凝縮器123へ吐出する。そして、室外熱交換器18は、その室外熱交換器18内へ流入した冷媒へ外気の熱を吸熱させる吸熱側熱交換器として機能する。
また、暖房モードでは、上記電子制御装置は、エアミックスドア125によりバイパス通路12bを閉塞し、それにより、室内蒸発器122を通過後の送風空気の全流量が暖房通路12aを通過するようにする。
以上のように、暖房モードでは、圧縮機14で圧縮した高温高圧の冷媒が室内凝縮器123に流入し、その高温高圧の冷媒が有する熱を室内凝縮器123にて送風空気に放熱させると共にヒータコア124にその送風空気を加熱させる。このように加熱された送風空気を車室内へ吹き出させることで、車室内の暖房を実現する。
次に、車両用空調装置10の除湿暖房モードに関して説明する。車室内の湿度が高くなると窓ガラスが曇るため、車室内の除湿を行う必要がある。そして暖房中に湿度が高くなった場合には除湿と暖房とを並行して行わなければならない。そこで、除湿と暖房とを並行して行うために除湿暖房モードが選択される。
車両用空調装置10の除湿暖房モードにおいて、上記電子制御装置は、上記暖房モードと同様に、電磁開閉弁20を開状態として第2冷媒通路112を開く。また、膨張弁16の開度を目標開度に制御して、その膨張弁16を、室内凝縮器123から流出した冷媒を減圧してから室外熱交換器18へ流す絞り状態とする。また、統合弁30の第2流量制御部302を上記表1に示すように全閉状態にして、それにより室外熱交換器18から室内蒸発器122への冷媒の流入を阻止する。その一方で、上記暖房モードとは異なり、除湿のために、統合弁30の第1流量制御部301を開弁してその絞り開度を調節し、それにより第4冷媒通路114を開く。そして、室内凝縮器123から流出した冷媒を減圧し、その減圧されて低温になった冷媒を室内蒸発器122へ流入させる。
これらの弁操作により、除湿暖房モードにおいて冷凍サイクル11では、図3の矢印ARdhのように冷媒が循環する除湿暖房循環経路が成立させられる。図3は、除湿暖房モード時の冷媒流れを図1に追記した図である。この図3の矢印ARdhで示される除湿暖房循環経路では、圧縮機14から吐出された冷媒は室内凝縮器123へ流れ、その室内凝縮器123から膨張弁16、室外熱交換器18、電磁開閉弁20、気液分離器24の順に流れると共に、室内凝縮器123から統合弁30の第1流量制御部301、室内蒸発器122、蒸発圧力制御弁22、気液分離器24の順に流れ、更に、気液分離器24で合流した冷媒が気液分離器24から圧縮機14に戻る。
この除湿暖房循環経路では、室外熱交換器18は、上述の暖房循環経路と同様に吸熱側熱交換器として機能する。また、除湿暖房モードでは、上記電子制御装置は、車室内へ吹き出される空気の温度調節のために、エアミックスドア125の回動位置を調節する。
以上のように、除湿暖房モードでは、暖房モードと同様に、圧縮機14で圧縮した高温高圧の冷媒が室内凝縮器123に流れ、送風機121からの送風空気がその室内凝縮器123およびヒータコア124へエアミックスドア125によって導かれる。そして、その室内凝縮器123およびヒータコア124で加熱された送風空気が車室内へ吹き出されることで、車室内の暖房が実現される。更に、車室内の除湿のために、室内凝縮器123から流出した冷媒が統合弁30の第1流量制御部301にて減圧され、その減圧されて低温になった冷媒が室内蒸発器122へ流入させられる。そして、車室内空調ユニット12内にて送風空気がその室内蒸発器122を通過する。これにより、送風空気に含まれる水蒸気が室内蒸発器122の表面で結露するため、室内蒸発器122通過後の送風空気は、その送風空気に含まれる水蒸気量の割合が低い状態になる。これにより、除湿が行われる。
次に、車両用空調装置10の冷房モードに関して説明する。車両用空調装置10の冷房モードにおいて、上記電子制御装置は、上記暖房モードと同様に、統合弁30の第1流量制御部301を上記表1に示すように全閉状態にする。その一方で、上記暖房モードとは異なり、膨張弁16を最大開度にする全開状態とする。膨張弁16は全開状態になると、冷媒を減圧せずに又は殆ど減圧せずに流す。また、電磁開閉弁20を閉状態として第2冷媒通路112を遮断する。また、上記表1に示すように統合弁30の第2流量制御部302を開弁してその絞り開度を調節し、それにより第3冷媒通路113を開く。
これらの弁操作により、冷房モードにおいて冷凍サイクル11では、図4の矢印ARcのように冷媒が循環する冷房循環経路が成立させられる。図4は、冷房モード時の冷媒流れを図1に追記した図である。この図4の矢印ARcで示される冷房循環経路では、圧縮機14から吐出された冷媒は、室内凝縮器123、膨張弁16、室外熱交換器18、統合弁30の第2流量制御部302、室内蒸発器122、蒸発圧力制御弁22、気液分離器24の順に流れて圧縮機14に戻る。この冷房循環経路では、第2冷媒通路112が遮断されているので、蒸発圧力制御弁22は、室内蒸発器122からの冷媒を殆ど減圧せずに気液分離器24へ流す。
この冷房循環経路では、室外熱交換器18は、その室外熱交換器18内へ流入した冷媒の熱を外気へ放熱させる放熱側熱交換器として機能する。また、冷房モードでは、上記電子制御装置は、エアミックスドア125により暖房通路12aを閉塞し、それにより、室内蒸発器122を通過後の送風空気の全流量がバイパス通路12bへ流れることになる。そして、暖房通路12aに送風空気が流れないので、室内凝縮器123に流入した冷媒は殆ど送風空気と熱交換することなく、室内凝縮器123から流出する。
以上のように、冷房モードでは矢印ARcのように冷媒が循環するので、圧縮機14で圧縮した高温高圧の冷媒は室外熱交換器18で冷却され、その冷却された冷媒は統合弁30の第2流量制御部302へ流れその第2流量制御部302で減圧される。そして、その減圧された低温低圧の冷媒は室内蒸発器122へ流入する。また、車室内空調ユニット12内にて、送風機121からの送風空気がその室内蒸発器122を通過する。これにより、送風機121からの送風空気が室内蒸発器122で冷却されてから車室内へ吹き出されて、車室内の冷房が行われる。
次に、本実施形態の統合弁30の具体的構成に関して図5を用いて説明する。図5は、統合弁30の中心軸であるロッド心CL1を含む断面で統合弁30を切断した断面図であって、統合弁30の構成を示す図である。
図5に示すように、統合弁30は、ボデー部32、第1弁体34、第1バネ36、第2弁体38、第2バネ40、プッシュロッド42、栓部44、46、およびアクチュエータ48等を備えている。
ボデー部32は、略円筒状に形成されて、ロッド心CL1を中心とする径方向外側に突起する突起部50を備える。突起部50には、第1流入口30aおよび第2流入口30bが径方向外側に向けて開口されている。第1流入口30aは、第2流入口30bに対して軸方向一方側に配置されている。ボデー部32は、径方向外側に開口する流出口30cを備える。流出口30cは、第1、第2の流入口30a、30bの間で、かつロッド心CL1に対して第1、第2の流入口30a、30bと反対側に設けられている。
ここで、第1の流入口30aおよび流出口30cの間には、冷媒流路60が形成されている。冷媒流路60は、入口流路61、中間流路62、出口流路63、および絞り流路64から構成されている。入口流路61は、第1流入口30a側およびロッド心CL1側の間に亘って形成されている。中間流路62は、入口流路61のうちロッド心CL1側に形成されている。出口流路63は、流出口30c側およびロッド心CL1側の間に亘って形成されている。
絞り流路64は、中間流路62および出口流路63の間を連通するように形成されている。絞り流路64は、その流路断面がロッド心CL1を中心とする円形になるように形成されている。絞り流路64の流路断面積は、中間流路62の流路断面積や出口流路63の流路断面積よりも小さくなっている。
ボデー部32のうち中間流路62に対して軸方向一方側には、第1弁体収納室65が形成されている。第1弁体収納室65は、ボデー部32のうち軸方向一方側に開口する開口部65aを形成し、かつ中間流路62に連通している。開口部65aは、栓部44によって閉じられている。栓部44には、ロッド心CL1に沿って軸方向他方側に突起する突起部44aが形成されている。
さらに、第2流入口30bおよび流出口30cの間には、冷媒流路70が形成されている。冷媒流路70は、入口流路71、中間流路72、絞り流路73、および出口流路63から構成されている。
入口流路71は、第2流入口30b側およびロッド心CL1側の間に亘って形成されている。中間流路72は、入口流路71のうちロッド心CL1側から軸方向一方側にロッド心CL1に沿って形成されている。
絞り流路73は、中間流路72および出口流路63の間を連通するように形成されている。絞り流路73は、その流路断面がロッド心CL1を中心とする円形になるように形成されている。絞り流路73の流路断面積は、中間流路72の流路断面積や出口流路63の流路断面積よりも小さくなっている。ボデー部32のうち中間流路72に対して軸方向他方側には、第2弁体収納室66が形成されている。
第2弁体収納室66は、ボデー部32のうち軸方向他方側に開口する開口部66aを形成し、かつ中間流路72に連通している。開口部66aは、規制部としての栓部46によって閉じられている。栓部46には、ロッド心CL1に沿って軸方向一方側に突起する突起部46aが形成されている。突起部46aは、プッシュロッド42を支える支持部を構成する。さらに、栓部46には、ロッド心CL1に沿って貫通する貫通穴46bが形成されている。貫通穴46bには、軸方向に亘って雌ネジ46cが形成されている。栓部46には、その外周側には径方向内側に凹む凹部46dが設けられている。凹部46dには、リング部材46eが嵌め込まれている。リング部材46eは、栓部46およびボデー部32の間を密閉する。これにより、第2弁体収納室66から栓部46およびボデー部32の間の隙間を通して冷媒が漏れることを防止する。
プッシュロッド42は、その軸線(すなわち、ロッド心CL1)がボデー部32の中心軸に一致するように配置されている。プッシュロッド42は、その軸方向に移動することが可能にボデー部32によって支持されている。
具体的には、プッシュロッド42は、中間流路62、絞り流路64、出口流路63、絞り流路73、中間流路72、第2弁体収納室66、および栓部46の貫通穴46bを貫通している。プッシュロッド42の軸方向他方側が栓部46の貫通穴46bから軸方向他方側に突出している。プッシュロッド42のうち外周側には、雄ネジ42aが形成されている。雄ネジ42aは、栓部46の雌ネジ46cに噛み合っている。
プッシュロッド42のうち雄ネジ42aに対して軸方向一方側には、ストッパ部42cが設けられている。ストッパ部42cは、プッシュロッド42から径方向外側に突起する環状に形成されている。ストッパ部42cは、後述するように、第2弁体38を軸方向他方側から支える支持部を構成する。
第1弁体34は、弁本体34aおよび弁体ストッパ部34bを備える。第1弁体34は、中間流路62内に配置されている。弁本体34aは、ロッド心CL1を中心とする円柱状に形成されている。弁本体34aのうち軸方向他方側にはテーパ部34cが形成されている。テーパ部34cは、軸方向一方側から軸方向他方側に向けてロッド心CL1を中心とする径方向寸法が徐々に小さくなっている。弁本体34aのテーパ部34cは、第1弁座64aに対して軸方向一方側に配置されている。第1弁体34は、冷媒流路85(図9参照)(すなわち、冷媒流路60)を開閉する。冷媒流路85は、第1弁体34および第1弁座64aの間の冷媒流路である。
第1弁座64aは、冷媒流路60内に配置されている。具体的には、第1弁座64aは、ボデー部32において絞り流路64の軸方向一方側開口部を形成する形成部である。すなわち、第1弁座64aは、絞り流路64の軸方向一方側の開口部を囲む環状に形成されている。弁本体34aには、軸方向他方側に開口する穴部34dが形成されている。穴部34dには、プッシュロッド42の軸方向一方側が嵌め込まれている。
弁体ストッパ部34bは、第1弁体収納室65内に配置されている。弁体ストッパ部34bは、弁本体34aに対して軸方向一方側に配置されている。弁体ストッパ部34bは、ロッド心CL1を中心とする円筒状に形成されて、かつその軸方向他方側が蓋部34eによって塞がれている。弁体ストッパ部34bは、その蓋部34eが弁本体34aに結合されている。蓋部34eには、軸方向に連通する均圧孔34fが形成されている。均圧孔34fは、弁体ストッパ部34bの内側から外側に冷媒が移動したり、弁体ストッパ部34bの外側から内側に冷媒が移動することを許容する。
第1バネ36は、弁体ストッパ部34bの蓋部34eおよび栓部44の間に配置されている。第1バネ36は、栓部44に対して第1弁体34を軸方向他方側に付勢する第1付勢手段である。つまり、第1バネ36は、第1弁体34を軸方向他方側に押し付ける力を第1弁体34に作用させる第1負荷作用手段である。
このように構成される統合弁30では、第1バネ36、プッシュロッド42、第1弁体34、および第1弁座64aが、冷媒流路85を通過する冷媒流量を制御する第1流量制御部301を構成している。
第2弁体38は、弁本体38aおよび弁体ストッパ部38bを備える。第2弁体38は、中間流路72内に配置されている。弁本体38aは、ロッド心CL1を中心として貫通孔38fを有する円筒状に形成されている。弁本体38aの貫通孔38fには、プッシュロッド42が貫通している。貫通孔38f内には、リング部材38g、38hが配置されている。リング部材38g、38hは、それぞれ、プッシュロッド42を外周側から囲むように環状に形成されている。リング部材38gは、リング部材38hに対して軸方向一方側に配置されている。リング部材38g、38hは、断面U字状に形成されている。リング部材38g、38hは、プッシュロッド42および弁本体38aの間を密閉する。これにより、第2弁体38が冷媒流路86(すなわち、冷媒流路70)を閉じたときに、絞り流路73内からプッシュロッド42および弁本体38aの間の隙間を通して第2弁体収納室66に冷媒が流れることを防止する。冷媒流路86は、第2弁体38および第2弁座73aの間に形成される冷媒流路である。
弁本体38aのうち軸方向一方側にはテーパ部38cが形成されている。テーパ部38cは、軸方向他方側から軸方向一方側に向けてロッド心CL1を中心とする径方向寸法が徐々に小さくなっている。弁本体38aのテーパ部38cは、第2弁座73aに対して軸方向他方側に配置されている。
第2弁座73aは、冷媒流路70内に配置されている。具体的には、第2弁座73aは、ボデー部32において絞り流路73の軸方向他方側の開口部を形成する形成部である。すなわち、第2弁座73aは、絞り流路73の軸方向他方側の開口部を囲む環状に形成されている。弁本体38aには、軸方向に貫通する貫通孔38fが形成されている。貫通孔38fには、プッシュロッド42が貫通している。
弁体ストッパ部38bは、第2弁体収納室66内に配置されている。弁体ストッパ部38bは、弁本体38aに対して軸方向他方側に配置されている。弁体ストッパ部38bは、ロッド心CL1を中心とする円筒状に形成されて、かつその軸方向一方側が蓋部38dによって塞がれている。弁体ストッパ部38bは、その蓋部38dが弁本体38aに結合されている。蓋部38dには、軸方向に連通する均圧孔38eが形成されている。均圧孔38eは、弁体ストッパ部38bの内側から外側に冷媒が移動したり、弁体ストッパ部38bの外側から内側に冷媒が移動することを許容する。
本実施形態では、第2弁体38は、第1弁体34に対して天地方向上側に配置されている。
第2バネ40は、弁体ストッパ部38bの蓋部38dおよび栓部46の間に配置されている。第2バネ40は、栓部46に対して第2弁体38を軸方向一方側に付勢する第2付勢手段である。つまり、第2バネ40は、第2弁体38を軸方向一方側に押し付ける力を第2弁体38に作用させる第2負荷作用手段である。
このように構成される統合弁30では、第2バネ40、プッシュロッド42、第2弁座73a、および第2弁体38が冷媒流路86を流れる冷媒流量を制御する第2流量制御部302を構成している。
アクチュエータ48は、ボデー部32に対して軸方向他方側に配置されているステッピングモータである。アクチュエータ48は、缶部材80、ロータ81、およびステータ82を備える。ロータ81は、ロッド心CL1を中心とする円筒状に形成されている。ロータ81の中空部には、プッシュロッド42の軸方向他方側が嵌め込まれている。これにより、ロータ81がプッシュロッド42に支持されることになる。ロータ81は、ステータ82から発生される回転磁界に同期して回転してプッシュロッド42を回転させる回転力を発生させる。
缶部材80は、ロッド心CL1を中心とする径方向外側からロータ81を覆う円筒状に形成されてかつ、その軸方向他方側を蓋部80aにより閉じている。ステータ82は、缶部材80に対してロッド心CL1を中心とし径方向外側に配置されている。ステータ82は、複数のステータコイルによって構成されている。複数のステータコイルは、電子制御装置90(図2参照)から出力される電流によって、ロータ81に与える回転磁界を発生する。電子制御装置90の詳細については、後述する。
また、本実施形態のボデー部32の外表面32aには、コード表示部32b(図6参照)が印刷等により形成されている。コード表示部32bは、プッシュロッド42の位置制御で用いる制御情報をコードで表示している。本実施形態では、コードとして例えばQRコード(登録商標)を用いることができる。
次に、電子制御装置90について図6を参照して説明する。
電子制御装置90は、マイクロコンピュータ91およびメモリ92等から構成されている。メモリ92は、RAM、フラッシュメモリ等から構成されている。マイクロコンピュータ91は、メモリ92に記憶されているコンピュータプログラムにしたがって、空調制御処理を実行する。マイクロコンピュータ91は、空調制御処理の実行に伴って、圧縮機14、膨張弁16、電磁開閉弁20等とともに、統合弁30のアクチュエータ48を制御する。
例えば、電子制御装置90は、アクチュエータ48のロータ81を正方向に回転させる。このため、ロータ81は、プッシュロッド42とともに、正方向に回転する。これに伴い、プッシュロッド42は、その雄ネジ42aが栓部46の雌ネジ46cに噛み合った状態で、軸方向一方側に移動する。
また、電子制御装置90は、アクチュエータ48のロータ81を負方向に回転させる。このため、ロータ81は、プッシュロッド42とともに、負方向に回転する。これに伴い、プッシュロッド42は、その雄ネジ42aが栓部46の雌ネジ46cに噛み合った状態で、軸方向他方側に移動する。
次に、本実施形態の統合弁30の作動について説明する。
まず、第2弁体38の弁体ストッパ部38bが栓部46から離れて、プッシュロッド42の軸方向一方側が弁本体34aの穴部34dの底部から離れている状態では、第1バネ36は、その弾性力によって第1弁体34を軸方向他方側に付勢する。このため、第1弁体34は、第1バネ36の弾性力により第1弁座64aに押し付けられている。このため、第1弁体34のテーパ部34cが第1弁座64aに接触して冷媒流路85(図9参照)が全閉した状態になる。
このとき、第2バネ40は、その弾性力によって第2弁体38を軸方向一方側に付勢する。このため、第2弁体38は、第2バネ40の弾性力により第2弁座73aに押し付けられている。このため、第2弁体38のテーパ部38cが第2弁座73aに接触して冷媒流路86が全閉した状態になる。
例えば、電子制御装置90は、アクチュエータ48のロータ81を正方向に回転させる。このため、ロータ81は、プッシュロッド42とともに、正方向に回転する。これに伴い、プッシュロッド42は、その雄ネジ42aが栓部46の雌ネジ46cに噛み合った状態で、軸方向一方側に移動する。
このとき、プッシュロッド42がリング部材38g、38hに対して滑りながら、軸方向一方側に移動して、第1弁体34を軸方向一方側に押し付ける。このため、第2弁体38が冷媒流路86を閉じた状態で、第1弁体34が、第1バネ36の弾性力に対抗しつつ、第1弁体34を軸方向一方側に移動する。これに伴い、第1弁体34は、第1弁座64aから離れて、第1弁体34の開度は徐々に大きくなる。
さらに、プッシュロッド42が軸方向一方側に移動して第1弁体34をプッシュロッド42が押して冷媒流路85が全開した状態なり、弁体ストッパ部34bが栓部44に接触して第1弁体34が停止する。このように、プッシュロッド42が第1弁体34を軸方向一方側に押し付けることにより、第2弁体38が冷媒流路86を全閉した状態で、かつ冷媒流路85における第1弁体34の開度が徐々に大きくなる。これにより、冷媒流路85、ひいては冷媒流路60を通過する冷媒流量が増加する。このとき、冷媒流路60の絞り流路64を冷媒を通過することにより、冷媒が減圧膨張されて流出口30cから排出される。
例えば、電子制御装置90は、アクチュエータ48のロータ81を負方向に回転させる。このため、ロータ81は、プッシュロッド42とともに、負方向に回転する。これに伴い、プッシュロッド42は、その雄ネジ42aが栓部46の雌ネジ46cに噛み合った状態で、軸方向他方側に移動する。
このとき、プッシュロッド42がリング部材38g、38hに対して滑りながら、軸方向他方側に移動する。これに伴い、第1弁体34は、第1バネ36の弾性力によって軸方向他方側に移動する。このため、冷媒流路85における第1弁体34の開度は徐々に小さくなる。その後、第1弁体34のテーパ部34cが第1弁座64aに接触して冷媒流路85が全閉した状態なる。
その後、ストッパ部42cが第2弁体38を支えて第2弁体38を軸方向他方側に移動させる。このため、第2弁体38が冷媒流路86を全閉した状態から、冷媒流路86における第2弁体38の開度が徐々に大きくなる。その後、第2弁体38が冷媒流路86を全開した状態になった後に、弁体ストッパ部38bが栓部46に接触して第2弁体38が停止する。このように、プッシュロッド42が軸方向他方側に移動することにより、第1弁体34が冷媒流路85が全閉した状態で、冷媒流路86における第2弁体38の開度が徐々に大きくなる。これにより、冷媒流路86、ひいては冷媒流路70を流れる冷媒流量が増加する。このとき、冷媒流路70の絞り流路73を冷媒を通過することにより、冷媒が減圧膨張されて流出口30cから排出される。
次に、電子制御装置90は、アクチュエータ48のロータ81を正方向に回転させる。このため、ロータ81は、プッシュロッド42とともに、正方向に回転する。これに伴い、プッシュロッド42は、その雄ネジ42aが栓部46の雌ネジ46cに噛み合った状態で、軸方向一方側に移動する。
このとき、プッシュロッド42がリング部材38g、38hに対して滑りながら、軸方向一方側に移動して、第2弁体38を軸方向一方側に押し付ける。このため、第2弁体38は、軸方向一方側に移動する。これに伴い、冷媒流路86における第2弁体38の開度は徐々に小さくなる。その後、第2弁体38が第2弁座73aに接触して、第2弁体38が冷媒流路86を全閉した状態になる。
以上により、プッシュロッド42が軸方向一方側に移動することにより、第1弁体34が冷媒流路85を全閉した状態で、冷媒流路86における第2弁体38の開度が徐々に小さくなる。これにより、冷媒流路86を流れる冷媒流量が減少する。
以上のように構成される統合弁30では、第2弁体38の弁体ストッパ部38bが栓部46に接触した状態では、プッシュロッド42の軸方向一方側が弁本体34aの穴部34dの底部から離れている。このとき、第2弁体38が冷媒流路86を全開し、かつ第1弁体34が冷媒流路85を全閉した状態になる。
その後、プッシュロッド42の軸方向一方側を移動させると、第1弁体34が冷媒流路85を全閉したまま、第2弁体38による冷媒流路86の開度(図10中符号A参照)が徐々に小さくなる。
その後、プッシュロッド42が所定位置(以下、特定位置P1という)に到達すると、第2弁体38が冷媒流路86を全閉する。さらに、プッシュロッド42の軸方向一方側を移動させると、第1弁体34が冷媒流路85を全閉し、かつ第2弁体38が冷媒流路86を全閉した状態が維持される。
さらに、プッシュロッド42の軸方向一方側を移動させてプッシュロッド42が所定位置(以下、特定位置P2という)に到達すると、第1弁体34が冷媒流路85を開け始める。さらに、プッシュロッド42の軸方向一方側を移動させると、第2弁体38が冷媒流路86を全閉した状態で、第1弁体34による冷媒流路85の開度(図10中B参照)が徐々に大きくなる。
本実施形形態では、開度とは、冷媒流路85の開き具合を示す尺度である。例えば、第1弁体34が冷媒流路85を全開したとき開度を100%とし、第1弁体34が冷媒流路85を全閉したとき開度を0%として、冷媒流路85の開口面積を百分率で示す比率を開度とする。
例えば、第2弁体38が冷媒流路86を全開したとき第2弁体38の開度を100%とし、第2弁体38が冷媒流路86を全閉したとき第2弁体38の開度を0%として、冷媒流路86の開口面積を百分率で示す比率を第2弁体38の開度とする。
ここで、蓋部(規制部)46によりプッシュロッド42が軸方向他方側に移動することが規制されたとき、第2弁体38が冷媒流路86を全開しているとして、第2弁体38の位置を全開位置とする。第2弁体38が第2弁座73aに接触しているとき、第2弁体38が冷媒流路86を全閉しているとして、第2弁体38の位置を全閉位置とする。第1弁体34が第1弁座64aに接触しているとき、第1弁体34が冷媒流路85を全閉しているとして、第1弁体34の位置を全閉位置とする。第1弁体34の弁体ストッパ部34bが栓部44に接触しているとき、第1弁体34の位置を全開位置とする。
次に、本実施形態の統合弁30の製造手順について図8〜図10を参照して説明する。図8(a)は、統合弁30の製造手順を示すフローチャートである。
まず、最初の工程(ステップ100)では、ボデー部32内に第2弁体38、第2バネ40、リング部材38g、38hおよび、プッシュロッド42等を配置する。ボデー部32の開口部66aを栓部46により閉じる。これに加えて、ボデー部32内に第1弁体34および第1バネ36を配置して、ボデー部32の開口部65aを栓部44により閉じる。これにより、アクチュエータ48を除いた統合弁30が組み立てられる。以下、説明の便宜上、アクチュエータ48を除いた統合弁30を統合弁アッセンブリという。
次の工程(ステップ110)では、統合弁アッセンブリのプッシュロッド42の位置を初期化する。具体的には、プッシュロッド42を負方向に回転させて、プッシュロッド42を軸方向他方側に移動させる。これに伴い、ストッパ部42cが第2弁体38を軸方向他方側に移動させる。その後、第1弁体34が冷媒流路85を全閉し、かつ第2弁体38が全開した状態で、第2弁体38が栓部46に接触して第2弁体38が軸方向他方側に移動することが規制される。すなわち、プッシュロッド42が軸方向他方側に移動することが栓部46によって規制される。このようにプッシュロッド42が軸方向他方側に移動することが栓部46によって規制される位置を原点とする。原点は、第1、第2弁体34、38の開度制御(すなわち、位置制御)を実施する際の基準位置である。
以上により、第1弁体34が冷媒流路85を全閉し、かつ第2弁体38が冷媒流路86を全開した状態で、プッシュロッド42を原点に停止させる初期化が完了する。
次の工程(ステップ120)では、統合弁アッセンブリにおいて、第2弁体38により冷媒流路86を全閉するプッシュロッド42の特定位置P1を特定する。
具体的には、第1流入口30aを治具としての栓100で封止した状態で、第2流入口30bに空気を送風し、流出口30cから流れる空気量を流量計410で測定しながら、プッシュロッド42を軸方向一方側に移動させる。これに伴い、
ストッパ部42cが軸方向一方側に移動する。このため、第1弁体34が冷媒流路85を閉じた状態で、第2バネ40の弾性力により第2弁体38が軸方向一方側に移動する。このため、第2弁体38の開度が徐々に小さくなる。その後、第2流入口30bから流出口30cに空気量が流れなくなり(図9A参照)、流量計410により測定される空気量が「零」となる。このとき、第2弁体38が冷媒流路86を全閉したとする。この第2弁体38が冷媒流路86を全閉した瞬間のプッシュロッド42の位置を特定位置P1とする。
次の工程(ステップ130)では、統合弁アッセンブリにいて、第1弁体34により冷媒流路85が開き始めるプッシュロッド42の特定位置P2を特定する。
具体的には、第1弁体34が冷媒流路85を全閉し、かつ第2弁体38が冷媒流路86を全閉し、さらに第2流入口30bを治具としての栓100で封止した状態で、第1流入口30aに空気を送風し、流出口30cから流れる空気量を流量計410で測定しながら、プッシュロッド42を軸方向一方側に移動させる。
このため、第1弁体34がプッシュロッド42によって軸方向に押されて、第1弁体34が第1弁座64aから離れ始める。このため、第1流入口30aから流出口30cに空気量が流れていない状態から、第1流入口30aから流出口30cに空気量が流れ始めて、流量計410により測定される空気量が「零」よりも大きくなったときに(図9B参照)、第1弁体34が冷媒流路85を開き始めたとする。この第1弁体34による冷媒流路85が開き始めた瞬間のプッシュロッド42の位置を特定位置P2とする。
次の工程(ステップ140)では、統合弁アッセンブリにおいて、プッシュロッド42の原点から、特定位置P1までプッシュロッド42を移動させるのに必要な移動量L1(第2移動量)と、プッシュロッド42の原点から、特定位置P2までプッシュロッド42を移動させるのに必要な移動量L2(第1移動量)とを取得する(図10参照)。
次の工程(ステップ150)では、プッシュロッド42の移動量L1、L2に対応する制御量S1、S2(第1、第2の制御量)を示すコード表示部32bをボデー部32の外表面32aに印刷等により形成する。
ここで、制御量S1、S2は、アクチュエータ48のロータ81の回転角度を示す情報である。制御量S1は、プッシュロッド42を原点から移動量L1分、移動させるのために回転させることが必要となるロータ81の回転角度である。制御量S2は、プッシュロッド42を原点から移動量L2分、移動させるのために回転させることが必要となるロータ81の回転角度である。
次の工程(ステップ160)では、アクチュエータ48と統合弁アッセンブリとから統合弁30を組み立てる。
以上により、統合弁30を製造する工程で、統合弁30を製品毎に、プッシュロッド42の制御量S1、S2を取得し、この取得した制御量S1、S2を示すコード表示部32bをボデー部32の外表面32aに印刷等により形成する。
その後、統合弁30を車両用空調装置10の電子制御装置90を組み立てる工程(ステップ170)では、図11に示す製造装置400を用意する。製造装置400は、フラッシュメモリ等のメモリにデータを書き込むロムライタ401と、コード表示部32bから制御量S1、S2を読み取るコードリーダ402とから構成されている。
まず、コードリーダ402により統合弁30のボデー部32のコード表示部32bから統合弁30毎の制御量S1、S2を読み取る。この読み取った制御量S1、S2をロムライタ401が電子制御装置90のメモリ92のフラッシュメモリに書き込む。
以上により、統合弁30の製品毎の制御量S1、S2が電子制御装置90のメモリ92に記憶されることになる。
次に、電子制御装置90の弁開度制御処理について図8(b)を参照して説明する。図8(b)は、弁開度制御処理を示すフローチャートである。電子制御装置90は、図8(b)のフローチャートにしたがって、弁開度制御処理について実行する。弁開度制御処理は、自動車のイグニッションスイッチがオンされて走行用エンジンがオンしたときに、実行が開始される。
まず、ステップ200において、アクチュエータ48を制御してプッシュロッド42の位置を初期化する。具体的には、アクチュエータ48によりプッシュロッド42を負方向に一定角度、回転させる。これにより、プッシュロッド42が軸方向他方側に一定距離移動して、第2弁体38が栓部46に接触してプッシュロッド42が停止する。すなわち、プッシュロッド42が軸方向他方側に移動することを栓部46により規制された位置(すなわち、原点)でプッシュロッド42が停止する。よって、第1弁体34を冷媒流路85を全閉し、かつ第2弁体38を冷媒流路86を全開した状態で、プッシュロッド42を原点で停止させる初期化が完了する。
次のステップ210において、統合弁30の第1、第2の弁体の開度を変更する要求が受けたか否かを判定する。このとき、第1、第2の弁体34、38の開度を変更する要求(以下、開度変更要求という)を受けないとしてステップ210においてNOと判定したとき、ステップ210に戻る。このため、開度変更要求を受ける迄ステップ210のNO判定を繰り返す。その後、開度変更要求を受けると、ステップ210でYESと判定して、ステップ220に移行する。このとき、第2弁体38が冷媒流路86を全開した状態で第2弁体38が栓部46により軸方向他方側に移動することが規制された位置を原点とし、制御量S1、S2とに基づいて、アクチュエータ48を制御してプッシュロッド42の位置を制御する。
ここで、アクチュエータ48のロータ81の回転角度がプッシュロッド42の移動量に対応し、ロータ81の回転方向がプッシュロッド42の移動方向に対応している。このため、ロータ81の実際の回転角度を目標角度に近づけるようにアクチュエータ48としてのステッピングモータを制御する。このため、第1、第2の弁体34、38の開度を目標開度に近づけることができる。これにより、第1、第2の弁体34、38の開度を変更することができる。これにより、冷媒流路60、70のうち一方の冷媒流路を流れる冷媒量を変更することができる。
その後、走行用エンジンがオフされたか否かを判定する(ステップ230)。走行用エンジンがオンされているとしてステップ230でNOと判定すると、ステップ210に戻る。このため、走行用エンジンがオンされているときに、開度変更要求を受けてステップ210でYESと判定する毎に、プッシュロッド42が軸方向他方側に移動することが栓部46によって規制される位置を原点として、制御量S1、S2とに基づいて、アクチュエータ48を制御してプッシュロッド42の位置を制御する。これにより、第1、第2の弁体34、38の開度を変更する。
その後、自動車のイグニッションスイッチがオフされて走行用エンジンがオフしたときには、ステップ230でYESと判定すると、弁開度制御処理の実行を終了する。
以上説明した本実施形態によれば、統合弁30は、第1流入口30a、第2流入口30b、および流出口30cと、第1流入口30aおよび流出口30cの間に配置されている第1弁座64aおよび第1弁体34を備える。第1弁体34が第1弁座64aに接触することにより冷媒流路60(85)を閉じ、第1弁体34が第1弁座64aから離れることにより冷媒流路60(85)を開ける。統合弁30は、冷媒流路85を閉じる方向に力を第1弁体34に付勢する第1バネ36と、第2流入口30bおよび流出口30cの間に配置されている第2弁座73aおよび第2弁体38を備える。第2弁体38が第2弁座73aに接触することにより冷媒流路70(86)を閉じて、第2弁座73aから離れることにより冷媒流路70(86)を開ける。統合弁30は、冷媒流路86を閉じる方向に力を第2弁体38に付勢する第2バネ40と、プッシュロッド42とを備える。プッシュロッド42は、ストッパ部42cを備え、軸方向に移動可能に支持されて、軸方向一方側に移動することにより冷媒流路85を開ける方向に第1弁体34を押し、軸方向他方側に移動することにより、ストッパ部42cによって冷媒流路70を開ける方向に第2弁体38を押す。統合弁30では、プッシュロッド42の軸方向の移動に伴って、第1弁体34が冷媒流路60を開け、かつ第2弁体38が冷媒流路70を閉じた第1状態、第1弁体34が冷媒流路60を閉じて、かつ第2弁体38が冷媒流路70を開けた第2状態、および第1、第2の弁体34、38が冷媒流路60、70を閉じた第3状態がそれぞれ実施される。
本実施形態では、第2弁体38が冷媒流路70(86)を全開した位置でプッシュロッド42が軸方向他方側に移動することを規制する栓部46を備え、栓部46によってプッシュロッド42の軸方向他方側への移動が規制される位置にプッシュロッド42を移動させて、栓部46によってプッシュロッド42の移動が規制される位置を第1、第2の弁体34、38の位置を制御するときの原点とする初期化が実施されることを特徴とする。
以上によれば、第2弁体38が冷媒流路86を全開し、かつ栓部46によってプッシュロッド42の軸方向他方側への移動が規制される位置を、原点として、第1、第2の弁体34、38の位置を制御することができる。これにより、第1、第2の弁体34、38の開度の制御が実施可能に構成される統合弁30を提供することができる。これに伴い、統合弁30において第1、第2の弁体34、38の開度を制御できる電子制御装置90、電子制御装置90の製造方法、および車両用空調装置10を提供することができる。
本実施形態では、第2弁体38は、第1弁体34に対して天地方向上側に配置されている。そして、本実施形態では、第2弁体38の弁体ストッパ部38bを栓部46に当接させた状態を原点にプッシュロッド42の位置をリセットする。そして、第2弁体38の弁体ストッパ部38bは、冷媒流路85よりも天地方向(重力方向)上側かつ冷媒流路85から離れた位置に配置されているため、冷媒とともにサイクル内を流れてきた圧縮機14の磨耗粉等の異物が弁体ストッパ部38bと栓部46との間に挟まることによるプッシュロッド42の位置の原点の誤差の発生を抑制することができる。
本実施形態では、プッシュロッド42位置の初期化を行うときは弁体ストッパ部38bが栓部46に当接するまで第2バネ40に対抗して第2弁体38を押さなければならず、プッシュロッド42に荷重が働く分、プッシュロッド42が太くすることが必要になる。プッシュロッド42が太くなると、流路面積を確保するために弁口径を大きくする必要があり、これに伴う第2バネ40の大型化などによって体格が大きくなるためプッシュロッド42は細くしたい。弁体が上下に2つある場合には、通常はプッシュロッド42を貫通させるために上側に配置している第2弁体38の径を第1弁体34よりも大きくするため、第2弁座73aと比べて第1弁座64aのほうが小径でありプッシュロッド42径も小さくなる。このため、第1、第2弁体34、38ともに初期化時にプッシュロッド42に働く荷重が同じだとすれば、初期化に伴うプッシュロッド42径の増大量が第2弁体38のほうが小さくなり、第1弁体34で初期化を行うよりも体格小さくすることができる。
本実施形態では、統合弁30において制御量S1、S2とがコードにより表示される表示コード部32bから制御量S1、S2をコードリーダ402によって読み取り、この読み取られた制御量S1、S2をロムライタ401によってメモリ92に書き込む工程(S170)を備える。これによれば、統合弁30に表示コード部32bに設けておけば、電子制御装置90の製造工程と統合弁30の製造工程とを離れた場所で実施しても、統合弁30に対応した電子制御装置90のメモリ92に制御量S1、S2を統合弁30毎に確実に記憶させることができる。
(第2実施形態)
上記第1実施形態では、走行用エンジンがオンしたときに弁開度制御処理の実行を開始した例について説明したが、これに代えて、本第2実施形態では、走行用エンジンがオフしたときに弁開度制御処理の実行を開始する例について説明する。
本実施形態と上記第1実施形態とは、電子制御装置90による弁開度制御処理が相違するため、以下、本実施形態の弁開度制御処理について図12を参照して説明する。図12は本実施形態の弁開度制御処理を示すフローチャートである。図12において、図8(b)と同一符号は同一のステップを示し、その説明を省略する。
電子制御装置90は、図12のフローチャートにしたがって、弁開度制御処理について実行する。弁開度制御処理は、自動車のイグニッションスイッチがオフされて走行用エンジンがオフしたときに、実行が開始される。
まず、ステップ200において、上記第1実施形態と同様、アクチュエータ48を制御してプッシュロッド42の位置を初期化する。
次に、走行用エンジンがオンされたか否かを判定する(ステップ240)。走行用エンジンがオフされているとしてステップ240でNOと判定すると、ステップ240に戻る。このため、走行用エンジンがオフされている限り、ステップ240のNO判定を繰り返す。
その後、走行用エンジンがオンされているとしてステップ240でYESと判定すると、ステップ210に進む。このとき、統合弁30の第1、第2の弁体の開度を変更する開度変更要求を受けたか否かを判定する。開度変更要求を受けたとしてステップ210においてYESと判定したとき、上記第1実施形態と同様、第2弁体38を冷媒流路86を全開した状態で第2弁体38が軸方向他方側に移動することが栓部46により規制される位置を原点とし、制御量S1、S2とに基づいて、アクチュエータ48を制御してプッシュロッド42の位置を制御する。これにより、第1、第2の弁体34、38の開度を変更する。よって、冷媒流路60、70のうち一方の冷媒流路を流れる冷媒量を変更することができる。
その後、走行用エンジンがオフされたか否かを判定する(ステップ230)。走行用エンジンがオンされているとしてステップ230でNOと判定すると、ステップ210に戻る。このため、走行用エンジンがオンされているときに、開度変更要求を受けてステップ210でYESと判定する毎に、プッシュロッド42が軸方向他方側に移動することが栓部46によって規制される位置を原点として、制御量S1、S2とに基づいて、アクチュエータ48を制御してプッシュロッド42の位置を制御する。これにより、第1、第2の弁体34、38の開度を変更する。その後、自動車のイグニッションスイッチがオフされて走行用エンジンがオフしたときには、ステップ230でYESと判定すると、弁開度制御処理の実行を終了する。
以上説明した本実施形態によれば、エンジンがオフされたときに、第1の弁体34が冷媒流路85を全閉し、かつ第2弁体38が冷媒流路86を全開した状態で、栓部46によりプッシュロッド42の軸方向他方側への移動が規制される位置にプッシュロッド42を移動させて停止し、この停止した位置を、第1、第2の弁体34、38の位置を制御するときの原点とする初期化が実施される。したがって、上記第1実施形態と同様に、第1、第2の弁体34、38の位置制御が実施可能に構成される統合弁30、電子制御装置90、および車両用空調装置10を提供することができる。
(他の実施形態)
(1)上述の各実施形態において、車両用空調装置10はヒータコア124を備えているが、そのヒータコア124は設けられていなくても差し支えない。
(2)上述の各実施形態において、冷凍サイクル11において統合弁30は室内蒸発器122の冷媒入口122aに接続されているが、冷凍サイクル11の中で統合弁30が設けられる箇所はこれに限定されない。
(3)上述の各実施形態において、統合弁30の第1流入口30aには第4冷媒通路114が連結され、第2流入口30bには第3冷媒通路113が連結されているが、逆に、第1流入口30aには第3冷媒通路113が連結され、第2流入口30bには第4冷媒通路114が連結されていても差し支えない。
(4)上述の各実施形態において、アクチュエータ48としてステッピングモータを用いた例について説明したが、これに代えて、アクチュエータ48として同期型三相交流モータを用いてもよい。
(5)上述の各実施形態において、統合弁30は、ハイブリッド車に搭載される車両用空調装置10に含まれているが、ハイブリッド車に限らず例えば電気自動車用の空調装置に用いられても差し支えない。電気自動車ではエンジンが無いのでヒータコア124も無い。更に言えば、統合弁30は、車両用以外の用途に用いられても差し支えない。
(6)上述の各実施形態において、車両用空調装置10は暖房モード、除湿暖房モード、および冷房モードの何れかの作動モードで運転されるが、これらの作動モードに加えて、単なる除湿モードで運転されることがあっても差し支えない。単なる除湿モードでは、車室内の温度を維持するように車室内空調ユニット12の吹出空気温度が調節される。すなわち、冷房も暖房も行わずに単に車室内の除湿を行う。この単なる除湿モードでは、冷凍サイクル11の冷媒は、図4に示す冷房循環経路で循環させられる。そして、車室内への吹出空気を冷やさないようにするために、暖房通路12aを閉塞する回動位置から少し開いた回動位置へエアミックスドア125を回動し、室内蒸発器122通過後の送風空気の一部を暖房通路12aへ導入する。
(7)上述の各実施形態において、プッシュロッド42の軸方向を天地方向とした例について説明したが、これに限らず、第1、第2の弁体34、38を天地方向にずらして配置して、かつ第2弁体38を第1弁体34に対して天地方向上側に配置するのであれば、プッシュロッド42の軸方向を天地方向に対して斜めになるようにプッシュロッド42を配置してもよい。
(8)上述の各実施形態において、統合弁30の冷媒流路60、70を、冷媒を流通させる冷媒流路とした例について説明したが、これに代えて、統合弁30の冷媒流路60、70を、冷媒以外の流体(例えば、油、水)を流通させる流路としてもよい。
(9)上記第1実施形態では、車両のエンジンが始動されたとき初期化を実施し、車両のエンジンが停止されたとき初期化を実施した例について説明したが、これに代えて、上記第1、第2の実施形態を組み合わせて、車両のエンジンが始動されたとき、および車両のエンジンが停止されたときに、初期化を実施してもよい。
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。また、上記各実施形態は、互いに無関係なものではなく、組み合わせが明らかに不可な場合を除き、適宜組み合わせが可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、上記各実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。また、上記各実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されるものではない。