以下、本発明の実施形態の例を、図面を参照して具体的に説明する。参照される各図において、同一の部分には同一の符号を付し、同一の部分に関する重複する説明を原則として省略する。尚、本明細書では、記述の簡略化上、情報、信号、物理量、状態量又は部材等を参照する記号又は符号を記すことによって、該記号又は符号に対応する情報、信号、物理量、状態量又は部材等の名称を省略又は略記することがある。また、後述の任意のフローチャートにおいて、任意の複数のステップにおける複数の処理は、処理内容に矛盾が生じない範囲で、任意に実行順序を変更できる又は並列に実行できる。
<<第1実施形態>>
本発明の第1実施形態を説明する。図1(a)及び(b)は、本発明の第1実施形態に係る給電機器1及び電子機器2の概略外観図である。但し、図1(a)は、給電機器1及び電子機器2が離間状態にあるときのそれらの外観図であり、図1(b)は、給電機器1及び電子機器2が基準配置状態にあるときのそれらの外観図である。離間状態及び基準配置状態の意義については後に詳説する。給電機器1及び電子機器2によって非接触給電システムが形成される。給電機器1は、商用交流電力を受けるための電源プラグ11と、樹脂材料にて形成された給電台12と、を備える。
図2に、給電機器1と電子機器2の概略内部構成図を示す。給電機器1は、電源プラグ11を介して入力された商用交流電圧から所定の電圧値を有する直流電圧を生成して出力するAC/DC変換部13と、AC/DC変換部13の出力電圧を用いて駆動する集積回路である送電側IC100(以下、IC100とも言う)と、IC100に接続された送電側共振回路TT(以下、共振回路TTとも言う)と、を備える。AC/DC変換部13、送電側IC100及び共振回路TTを、給電台12内に配置しておくことができる。AC/DC変換部13の出力電圧を用いて駆動する回路が、IC100以外にも、給電機器1に設けられうる。
電子機器2は、集積回路である受電側IC200(以下、IC200とも言う)と、IC200に接続された受電側共振回路RR(以下、共振回路RRとも言う)と、二次電池であるバッテリ21と、バッテリ21の出力電圧に基づき駆動する機能回路22と、を備える。詳細は後述するが、IC200はバッテリ21に対して充電電力を供給することができる。IC200は、バッテリ21の出力電圧にて駆動しても良いし、バッテリ21以外の電圧源からの電圧に基づき駆動しても良い。或いは、給電機器1から受信したNFC通信(詳細は後述)のための信号を整流することで得た直流電圧が、IC200の駆動電圧となっても良い。この場合、バッテリ21の残容量が無くなってもIC200は駆動可能となる。
電子機器2は、任意の電子機器であって良く、例えば、携帯電話機(スマートホンに分類される携帯電話機を含む)、携帯情報端末、タブレット型パーソナルコンピュータ、デジタルカメラ、MP3プレイヤー、歩数計、又は、Bluetooth(登録商標)ヘッドセットである。機能回路22は、電子機器2が実現すべき任意の機能を実現する。従って例えば、電子機器2がスマートホンであれば、機能回路22は、相手側機器との間の通話を実現するための通話処理部、及び、ネットワーク網を介して他機器と情報を送受信するための通信処理部などを含む。或いは例えば、電子機器2がデジタルカメラであれば、機能回路22は、撮像素子を駆動する駆動回路、撮像素子の出力信号から画像データを生成する画像処理回路などを含む。機能回路22は、電子機器2の外部装置に設けられる回路であると考えても良い。
図3に示す如く、共振回路TTは、送電側コイルであるコイルTLと送電側コンデンサであるコンデンサTCとを有し、共振回路RRは、受電側コイルであるコイルRLと受電側コンデンサであるコンデンサRCとを有する。以下では、説明の具体化のため、特に記述無き限り、送電側コイルTL及び送電側コンデンサTCが互いに並列接続されることで共振回路TTが並列共振回路として形成され、且つ、受電側コイルRL及び受電側コンデンサRCが互いに並列接続されることで共振回路RRが並列共振回路として形成されているものとする。但し、送電側コイルTL及び送電側コンデンサTCが互いに直列接続されることで共振回路TTが直列共振回路として形成されていても良いし、受電側コイルRL及び受電側コンデンサRCが互いに直列接続されることで共振回路RRが直列共振回路として形成されていても良い。
図1(b)に示す如く、電子機器2を給電台12上の所定領域内に載置したとき、磁界共鳴方式にて(即ち、磁界共鳴を利用して)、機器1及び2間における通信、送電及び受電が可能となる。磁界共鳴は、磁界共振などとも呼ばれる。
機器1及び2間における通信は、NFC(Near field communication)による無線通信(以下、NFC通信と呼ぶ)であり、通信の搬送波の周波数は13.56MHz(メガヘルツ)である。以下では、13.56MHzを基準周波数と呼ぶ。機器1及び2間におけるNFC通信は、共振回路TT及びRRを利用した磁界共鳴方式で行われるため、共振回路TT及びRRの共振周波数は、共に、基準周波数に設定されている。即ち、送電側コイルTLのインダクタンス値及び送電側コンデンサTCの静電容量値にて定まる共振回路TTの共振周波数並びに受電側コイルRLのインダクタンス値及び受電側コンデンサRCの静電容量値にて定まる共振回路RRの共振周波数は、基準周波数と一致する。但し、後述されるように、共振回路RRの共振周波数は、一時的に基準周波数から変更され得る。
機器1及び2間における送電及び受電は、給電機器1から電子機器2に対するNFCによる送電と、電子機器2におけるNFCによる受電である。この送電と受電をまとめてNFC電力伝送又は単に電力伝送と称する。磁界共鳴方式によりコイルTLからコイルRLに対して電力を伝達することで、電力伝送が非接触で実現される。
磁界共鳴を利用した電力伝送では、送電側コイルTLに交流電流を流すことで送電側コイルTLに基準周波数の交番磁界を発生させる。すると、この交番磁界が、基準周波数で共鳴(換言すれば共振)する共振回路RRに伝わって受電側コイルRLに交流電流が流れる。つまり、送電側コイルTLを含む共振回路TTから受電側コイルRLを含む共振回路RRへ電力が伝達される。尚、以下では、記述が省略されることがあるが、NFC通信又は電力伝送においてコイルTL又はコイルRLにより発生する磁界は、特に記述無き限り、基準周波数で振動する交番磁界である。
電子機器2が給電台12上の所定の送電領域内に載置され(給電機器1と電子機器2が所定位置関係にあり)、上述のNFC通信及び電力伝送が実現できる状態を、基準配置状態と呼ぶ(図1(b)参照)。一方、電子機器2が給電台12から十分に離れていて上述のNFC通信及び電力伝送を実現できない状態を、離間状態と呼ぶ(図1(a)参照)。尚、図1(a)に示す給電台12では、表面が平らになっているが、載置されるべき電子機器2の形状に合わせた窪み等が給電台12に形成されていても構わない。基準配置状態は、給電機器1及び電子機器2間における電力の送受電が可能な所定の送電領域(換言すれば、送電及び受電を行うための領域)に電子機器2が存在している状態に属し、且つ、離間状態は、該送電領域に電子機器2が存在していない状態に属すると解して良い。
図4に、IC100の内部ブロック図を含む、給電機器1の一部の構成図を示す。IC100には、符号110、120、130、140、150及び160によって参照される各部位が設けられる。図5に、IC200の内部ブロック図を含む、電子機器2の一部の構成図を示す。IC200には、符号210、220、230、240及び250によって参照される各部位が設けられる。また、IC200に対し、IC200の駆動電圧を出力するコンデンサ23を接続しておいても良い。コンデンサ23は、給電機器1から受信したNFC通信のための信号を整流することで得た直流電圧を出力可能である。
切り替え回路110は、制御回路160の制御の下、NFC通信回路120及びNFC送電回路130のどちらかを共振回路TTに接続させる。共振回路TTと回路120及び130との間に介在する複数のスイッチにて、切り替え回路110を構成することができる。本明細書にて述べる任意のスイッチは、電界効果トランジスタ等の半導体スイッチング素子を用いて形成されて良い。
切り替え回路210は、制御回路250の制御の下、共振回路RRをNFC通信回路220及びNFC受電回路230のどちらかに接続させる。共振回路RRと回路220及び230との間に介在する複数のスイッチにて、切り替え回路210を構成することができる。
共振回路TTが切り替え回路110を介してNFC通信回路120に接続され、且つ、共振回路RRが切り替え回路210を介してNFC通信回路220に接続されている状態を、通信用接続状態と呼ぶ。通信用接続状態にてNFC通信が可能となる。通信用接続状態において、NFC通信回路120は、基準周波数の交流信号(交流電圧)を共振回路TTに供給することができる。機器1及び2間のNFC通信は半二重方式で実行される。
通信用接続状態において給電機器1が送信側であるとき、NFC通信回路120が共振回路TTに供給する交流信号に任意の情報信号を重畳させることで、当該情報信号が給電機器側アンテナコイルとしてのコイルTLから送信され且つ電子機器側アンテナコイルとしてのコイルRLにて受信される。コイルRLにて受信された情報信号はNFC通信回路220にて抽出される。通信用接続状態において電子機器2が送信側であるとき、NFC通信回路220は、任意の情報信号(応答信号)を共振回路RRのコイルRLから共振回路TTのコイルTLに送信できる。この送信は、周知の如く、ISO規格(例えばISO14443規格)に基づき、コイルTL(給電機器側アンテナコイル)から見たコイルRL(電子機器側アンテナコイル)のインピーダンスを変化させる負荷変調方式にて実現される。電子機器2から伝達された情報信号はNFC通信回路120にて抽出される。
共振回路TTが切り替え回路110を介してNFC送電回路130に接続され、且つ、共振回路RRが切り替え回路210を介してNFC受電回路230に接続されている状態を、給電用接続状態と呼ぶ。
給電用接続状態において、NFC送電回路130は送電動作を行うことができ、NFC受電回路230は受電動作を行うことができる。送電動作と受電動作にて電力伝送が実現される。送電動作において、送電回路130は、共振回路TTに基準周波数の送電用交流信号(送電用交流電圧)を供給することで送電側コイルTLに基準周波数の送電用磁界(送電用交番磁界)を発生させ、これによって、共振回路TT(送電側コイルTL)から共振回路RRに対し磁界共鳴方式で電力を送電する。送電動作に基づき受電側コイルRLにて受電された電力は受電回路230に送られ、受電動作において、受電回路230は、受電した電力から任意の直流電力を生成して出力する。受電回路230の出力電力にてバッテリ21を充電することができる。
通信用接続状態にてNFC通信を行う場合も、コイルTL又はRLにて磁界が発生するが、NFC通信における磁界強度は、所定の範囲内に収まる。その範囲の下限値及び上限値は、NFCの規格で定められ、夫々、1.5A/m、7.5A/mである。これに対し、電力伝送(即ち送電動作)において送電側コイルTLにて発生する磁界の強度(送電用磁界の磁界強度)は、上記の上限値より大きく、例えば45〜60A/m程度である。機器1及び2を含む非接触給電システムにおいて、NFC通信及び電力伝送(NFC電力伝送)を交互に行うことができ、その時の磁界強度の様子を図6に示す。
負荷検出回路140は、送電側コイルTLの負荷の大きさ、即ち、送電回路130から送電側コイルTLに交流信号が供給されるときにおける送電側コイルTLにとっての負荷の大きさを検出する。図7に、給電用接続状態における送電回路130と負荷検出回路140と共振回路TTとの関係を示す。尚、図7では、切り替え回路110の図示が省略されている。
送電回路130は、基準周波数の正弦波信号を生成する信号生成器131と、信号生成器131にて生成された正弦波信号を増幅し、増幅した正弦波信号をライン134の電位を基準としてライン134及び135間に出力する増幅器(パワーアンプ)132と、コンデンサ133とを備える。一方、負荷検出回路140は、センス抵抗141、包絡線検波器142、増幅器143及びA/D変換器144を備える。信号生成器131が生成する正弦波信号の信号強度は一定値に固定されているが、増幅器132の増幅率は制御回路160により可変設定される。
コンデンサ133の一端はライン135に接続される。給電用接続状態において、コンデンサ133の他端はコンデンサTC及びコイルTLの各一端に共通接続され、且つ、コイルTLの他端はセンス抵抗141を介してライン134及びコンデンサTCの他端に共通接続される。
送電動作は、増幅器132からコンデンサ133を介し共振回路TTに交流信号(送電用交流電圧)を供給することで実現される。給電用接続状態において、増幅器132からの交流信号が共振回路TTに供給されると送電側コイルTLに基準周波数の交流電流が流れ、結果、センス抵抗141に交流の電圧降下が発生する。図8の実線波形は、センス抵抗141における電圧降下の電圧波形である。共振回路TTに関し、送電側コイルTLの発生磁界強度が一定の下、電子機器2を給電台12に近づけると、送電側コイルTLの発生磁界に基づく電流が受電側コイルRLに流れる一方で、受電側コイルRLに流れた電流に基づく逆起電力が送電側コイルTLに発生し、その逆起電力は送電側コイルTLに流れる電流を低減するように作用する。このため、図8に示す如く、基準配置状態におけるセンス抵抗141の電圧降下の振幅は、離間状態におけるそれよりも小さい。
包絡線検波器142は、センス抵抗141における電圧降下の信号の包絡線を検波することで、図8の電圧vに比例するアナログの電圧信号を出力する。増幅器143は、包絡線検波器142の出力信号を増幅して出力する。A/D変換器144は、増幅器143の出力電圧信号をデジタル信号に変換することでデジタルの電圧値VDを出力する。上述の説明から理解されるように、電圧値VDは、センス抵抗141に流れる電流の振幅(従って、送電側コイルTLに流れる電流の振幅)に比例する値を持つ(当該振幅の増大に伴って電圧値VDも増大する)。故に、負荷検出回路140は、送電側コイルTLに流れる電流の振幅を検出する電流振幅検出回路であるとも言え、その振幅検出値が電圧値VDであると考えることができる。尚、包絡線検波器142を増幅器143の後段に設けるようにしても良い。但し、図7に示す如く、包絡線検波器142を増幅器143の前段に設けた方が、高周波への応答性能がより低いものを増幅器143として採用可能となり有利である。
磁界を発生させる送電側コイルTLにとって、受電側コイルRLのような、送電側コイルTLと磁気結合するコイルは、負荷であると考えることができ、その負荷の大きさに依存して、負荷検出回路140の検出値である電圧値VDが変化する。このため、負荷検出回路140は電圧値VDの出力によって負荷の大きさを検出している、と考えることもできる。ここにおける負荷の大きさとは、送電の際における送電側コイルTLにとっての負荷の大きさとも言えるし、送電の際における給電装置1から見た電子機器2の負荷としての大きさとも言える。尚、センス抵抗141はIC100の内部に設けられても良いし、IC100の外部に設けられても良い。
メモリ150(図4参照)は、不揮発性メモリから成り、任意の情報を不揮発的に記憶する。制御回路160は、IC100内の各部位の動作を統括的に制御する。制御回路160が行う制御には、例えば、切り替え回路110の切り替え動作の制御、通信回路120及び送電回路130による通信動作及び送電動作の内容制御及び実行有無制御、負荷検出回路140の動作制御、メモリ150の記憶制御及び読み出し制御が含まれる。制御回路160は、タイマ(不図示)を内蔵しており任意のタイミング間の時間長さを計測できる。
電子機器2における共振状態変更回路240(図5参照)は、共振回路RRの共振周波数を基準周波数から他の所定周波数fMに変更可能な共振周波数変更回路、又は、共振回路RRにおける受電側コイルRLを短絡可能なコイル短絡回路である。
図9の共振周波数変更回路240Aは、共振状態変更回路240としての共振周波数変更回路の例である。共振周波数変更回路240Aは、コンデンサ241とスイッチ242の直列回路から成り、該直列回路の一端はコンデンサRC及びコイルRLの各一端に共通接続される一方、該直列回路の他端はコンデンサRC及びコイルRLの各他端に共通接続される。スイッチ242は、制御回路250の制御の下、オン又はオフとなる。スイッチ242がオフのとき、コンデンサ241はコンデンサRC及びコイルRLから切り離されるため、共振回路RRは、寄生インダクタンス及び寄生容量を無視すれば、コイルRL及びコンデンサRCのみで形成されて、共振回路RRの共振周波数は基準周波数と一致する。即ち、スイッチ242がオフのとき、共振回路RRの共振周波数を決定する受電側容量は、コンデンサRCそのものである。スイッチ242がオンのとき、コンデンサRCにコンデンサ241が並列接続されることになるため、共振回路RRはコイルRLとコンデンサRC及び241の合成容量とで形成され、結果、共振回路RRの共振周波数は基準周波数よりも低い周波数fMとなる。即ち、スイッチ242がオンのとき、共振回路RRの共振周波数を決定する受電側容量は、上記の合成容量である。ここでは、スイッチ242がオンのとき共振回路RRが送電側コイルTLの負荷として機能しない程度に(即ち、共振回路TT及びRR間で磁気共鳴が十分に発生しない程度に)、周波数fMが基準周波数から離れているものとする。例えば、スイッチ242のオンのときにおける共振回路RRの共振周波数(即ち周波数fM)は、数100kHz〜1MHzとされる。
共振回路RRの共振周波数を周波数fMに変更できる限り、変更回路240としての共振周波数変更回路は共振周波数変更回路240Aに限定されず、周波数fMは基準周波数より高くても良い。例えば、共振周波数変更回路はコイルRL及びコンデンサRCを接続する電流ループ上に直列に挿入されたスイッチのオン、オフによって、コイルRL及びコンデンサRC間の接続、非接続を切り替える回路であっても良い(非接続とされた場合、コイルRLと配線の寄生容量等とで共振回路RRの共振周波数(>>基準周波数)が定まる)。つまり、受電側共振回路RRが直列共振回路でありうることをも考慮すれば、以下のことが言える。受電側共振回路RRは受電側コイル(RL)と受電側容量の並列回路又は直列回路を有し、受電側容量が所定の基準容量と一致しているとき、受電側共振回路RRの共振周波数fOは基準周波数と一致する。共振周波数変更回路は、必要なタイミングにおいて、受電側容量を基準容量から増加又は減少させる。これにより、受電側共振回路RRにおいて、受電側コイル(RL)と、基準容量より大きい又は小さい受電側容量とで、並列回路又は直列回路が形成され、結果、受電側共振回路RRの共振周波数fOが基準周波数から変更される。
図10のコイル短絡回路240Bは、共振状態変更回路240としてのコイル短絡回路の例である。コイル短絡回路240Bは、共振回路RRにおけるコンデンサRCの一端及びコイルRLの一端が共通接続されるノードと、共振回路RRにおけるコンデンサRCの他端及びコイルRLの他端が共通接続されるノードとの間に接続(挿入)されたスイッチ243から成る。スイッチ243は、制御回路250の制御の下、オン又はオフとなる。スイッチ243がオンとなると共振回路RRにおけるコイルRLが短絡される(より詳細にはコイルRLの両端が短絡される)。受電側コイルRLが短絡された状態では受電側共振回路RRが存在しなくなる(受電側共振回路RRが存在しない状態と等価な状態となる)。従って、受電側コイルRLの短絡中では、送電側コイルTLにとっての負荷が十分に軽くなる(即ち、あたかも、給電台12上に電子機器2が存在しないかのような状態となる)。受電側コイルRLを短絡できる限り、変更回路240としてのコイル短絡回路はコイル短絡回路240Bに限定されない。
以下では、受電側共振回路RRの共振周波数fOを基準周波数から所定周波数fMに変更する動作を、共振周波数変更動作と呼び、コイル短絡回路を用いて受電側コイルRLを短絡する動作を、コイル短絡動作と呼ぶ。また、記述の簡略化上、共振周波数変更動作又はコイル短絡動作をfO変更/短絡動作と称することがある。
制御回路250(図5参照)は、IC200内の各部位の動作を統括的に制御する。制御回路250が行う制御には、例えば、切り替え回路210の切り替え動作の制御、通信回路220及び受電回路230による通信動作及び受電動作の内容制御及び実行有無制御、変更回路240の動作制御が含まれる。制御回路250は、タイマ(不図示)を内蔵しており任意のタイミング間の時間長さを計測できる。例えば、制御回路250におけるタイマは、fO変更/短絡動作による共振周波数fOの所定周波数fMへの変更又は受電側コイルRLの短絡が維持される時間の計測(即ち後述の時間TMの計測;図19のステップS207参照)を行うことできる。
ところで、給電機器1の制御回路160は、給電台12上における異物の存否を判断し、異物が無い場合にのみ送電動作を行うよう送電回路130を制御できる。本実施形態における異物は、電子機器2及び電子機器2の構成要素(受電側コイルRLなど)と異なり、給電機器1に近づいたときに、送電側コイルTLの発生磁界に基づいて電流(異物内での電流)を発生させられる物体を含む。本実施形態において、異物の存在とは、送電側コイルTLの発生磁界に基づく、無視できない程度の電流が異物内で流れるような位置に異物が存在することを意味する、と解して良い。尚、送電側コイルTLの発生磁界に基づき異物内で流れることになった電流は、異物に対向、結合するコイル(TLやRL)に起電力(又は逆起電力)を発生させるため、そのコイルを含む回路の特性に無視できない影響を与えうる。
図11(a)に、異物の一種である異物3の概略外形図を示し、図11(b)に異物3の概略内部構成図を示す。異物3は、コイルJL及びコンデンサJCの並列回路から成る共振回路JJと、共振回路JJに接続された異物内回路300と、を備える。共振回路JJの共振周波数は基準周波数に設定されている。異物3は、電子機器2とは異なり、給電機器1に対応しない機器である。例えば、異物3は、NFC通信に応答しない13.56MHzのアンテナコイル(コイルJL)を持つ無線ICタグを有した物体(非接触ICカード等)である。また例えば、異物3は、NFC通信機能自体は有しているものの、その機能が無効とされている電子機器である。例えば、NFC通信機能を有するスマートホンではあるが、ソフトウェア設定で当該機能をオフにされているスマートホンは、異物3となりうる。また、NFC通信機能が有効となっているスマートホンでも、受電機能を持たないスマートホンも異物3に分類される。
このような異物3が給電台12上に配置されている状態において、仮に、給電機器1が送電動作を行うと、送電側コイルTLが発生した強磁界(例えば、12A/m以上の磁界強度を持つ磁界)にて異物3が破壊されることがある。例えば、送電動作時における強磁界は、給電台12上の異物3のコイルJLの端子電圧を100V〜200Vまで増大させることもあり、そのような高電圧に耐えられるように異物3が形成されていなければ、異物3が破壊される。
[pFOD処理(電力伝送前のpFOD処理)]
図12を参照し、異物の存否を検出するための異物検出処理を説明する。図12は、電力伝送前に給電機器1により実行される異物検出処理(以下、pFOD処理という)のフローチャートである。
pFOD処理の実行時には、送電回路130が共振回路TTに接続される。pFOD処理において、制御回路160は、まずステップS11にて送電側コイルTLによる磁界強度Hを所定のテスト強度に設定する。磁界強度Hは、送電側コイルTLの発生磁界強度であって、より詳しくは、送電側コイルTLが発生した基準周波数で振動する交番磁界の磁界強度を指す。磁界強度Hをテスト強度に設定するとは、所定のテスト用交流信号(テスト用交流電圧)が共振回路TTに供給されるように送電回路130を制御することで、テスト強度を有し且つ基準周波数で振動する交番磁界であるテスト磁界を送電側コイルTLに発生させることを指す。テスト磁界の磁界強度であるテスト強度は、電力伝送(即ち送電動作)における送電側コイルTLの発生磁界強度(即ち送電用磁界の磁界強度;例えば、45〜60A/m)よりも相当に小さく、通信用磁界強度の下限値“1.5A/m”から上限値“7.5A/m”までの範囲内に収まる。故に、テスト磁界によって異物3が破損等するおそれは無い又は少ない。制御回路160は、増幅器132(図7参照)の増幅率を制御することで磁界強度Hを可変設定することができる。テスト磁界を発生させる場合には所定のテスト用交流電圧が共振回路TTに供給及び印加されるように、且つ、送電用磁界を発生させる場合にはテスト用交流電圧よりも大きな振幅を有する所定の送電用交流電圧が共振回路TTに供給及び印加されるように、増幅器132の増幅率を制御すれば良い。
ステップS11に続くステップS12において、制御回路160は、負荷検出回路140を用い、テスト磁界を発生させているときの電圧値VDを電流振幅検出値VpFODとして取得する。電流振幅検出値VpFODは、テスト磁界を送電側コイルTLに発生させているときの、送電側コイルTLに流れる電流の振幅に応じた値を持つ。尚、pFOD処理が実行される期間中には、NFC通信を介した給電機器1からの指示に従い電子機器2においてfO変更/短絡動作(共振周波数変更動作又はコイル短絡動作)が実行されている。故に、共振回路RR(受電側コイルRL)は実質的に送電側コイルTLの負荷として機能せず、電流振幅検出値VpFODの減少を全く又は殆どもたらさない。
ステップS12に続くステップS13において、制御回路160は、電流振幅検出値VpFODが所定のpFOD正常範囲内に収まるか否かを判断する。そして、電流振幅検出値VpFODがpFOD正常範囲内に収まる場合、制御回路160は、異物3が給電台12上に存在していないと判定する(ステップS14)。この判定を異物無判定と称する。一方、電流振幅検出値VpFODがpFOD正常範囲を逸脱する場合、制御回路160は、異物3が給電台12上に存在していると判定する(ステップS15)。この判定を異物有判定と称する。制御回路160は、異物無判定を成した場合、送電回路130による送電動作の実行が可能であると判断して送電動作の実行(共振回路TTを用いた送電)を許可し、異物有判定を成した場合、送電回路130による送電動作の実行が不可であると判断して送電動作の実行を禁止する。送電動作が実行可能と判断したとき、送電動作において、制御回路160は、所定の送電用磁界が送電側コイルTLにて発生されるよう送電回路130を制御することができる。
pFOD正常範囲は、所定の下限値VpREFL以上且つ所定の上限値VpREFH以下の範囲である(0<VpREFL<VpREFH)。故に、判定不等式“VpREFL≦VpFOD≦VpREFH”が満たされる場合には異物無判定が成され、そうでない場合には異物有判定が成される。
pFOD処理の実行時において、給電台12上に異物3が存在している場合、異物3の共振回路JJ(コイルJL)が送電側コイルTLの負荷として機能し、結果、給電台12上に異物3が存在しない場合と比べて、電流振幅検出値VpFODの減少がみられる。
また、異物として、異物3と異なる異物3a(不図示)も考えられる。異物3aは、例えば、アルミニウムを含んで形成された金属体(アルミニウム箔やアルミニウム板)や銅を含んで形成された金属体である。pFOD処理の実行時において、給電台12上に異物3aが存在している場合、給電台12上に異物3aが存在しない場合と比べて、電気的及び磁気的な作用により、電流振幅検出値VpFODの増大がみられる。
電力伝送の実行前において、給電台12上に異物3が存在している場合には電流振幅検出値VpFODが下限値VpREFLを下回るように、且つ、給電台12上に異物3aが存在している場合には電流振幅検出値VpFODが上限値VpREFHを上回るように、且つ、給電台12上に異物(3又は3a)が存在していない場合には電流振幅検出値VpFODがpFOD正常範囲内に収まるように、実験等を介して、下限値VpREFL及び上限値VpREFHが予め設定されてメモリ150に記憶されている。
尚、給電台12上に異物3aが存在する状態で送電用磁界を発生させると、異物3aにて電力が吸収され、異物3aが発熱するおそれがある。本実施形態では、電力伝送の搬送波周波数としての基準周波数が13.56MHzであることを想定しているため、そのような発熱のおそれは十分に少ないとも言える。故に、異物3aの存在を考慮することなく、電流振幅検出値VpFODが下限値VpREFLを下回った場合に限って異物有判定を行い、電流振幅検出値VpFODが下限値VpREFL以上であれば常に異物無判定を行うようにしてもよい(即ち上限値VpREFHを撤廃しても良い)。しかしながら、本実施形態に係る発明において基準周波数は13.56MHzに限定されず、基準周波数を例えば数100kHz程度にした場合には、異物3aの発熱のおそれが高くなるため、下限値VpREFLだけでなく上限値VpREFHをpFOD正常範囲に定める、上述の方法の採用が望ましい。
下限値VpREFLの決定方法について説明を加えておく。下限値VpREFLは初期設定処理にて決定される。図13は、初期設定処理の動作フローチャートである。初期設定処理は、以下の初期設定環境の下でIC100により実行される。初期設定環境では、送電側コイルTLに対する負荷が全く無く又は無視できる程度に小さく、送電側コイルTLの発生磁界により電流を生じさせられる物体(送電側コイルTLに磁気結合するコイルを含む)が、給電機器1の構成部品を除いて存在しない。図1(a)の離間状態は、初期設定環境を満たすと考えても良い。初期設定環境の確保を担保すべく、例えば、給電機器1の製造時又は出荷時などにおいて初期設定処理を行うようにしても良い。但し、初期設定環境を確保できるのであれば、任意のタイミングで初期設定処理を行うことができる。
初期設定処理の実行時には送電回路130が共振回路TTに接続される。そして、ステップS21にて送電側コイルTLによる磁界強度Hを所定のテスト強度に設定し、続くステップS22にて、その設定状態でA/D変換器144から取得される電圧値VDを電圧値VDOとして得る。その後のステップS23において、電圧値VDOに基づく下限値VpREFLをメモリ150に記憶させる。下限値VpREFLは、異物3の存在下においてのみpFOD処理にて異物有判定が成されるよう、電圧値VDOよりも低い値に設定される。例えば、“VpREFL=VDO−ΔV”、又は、“VpREFL=VDO×k”とすると良い。ΔVは、所定の正の微小値である(但し、ΔV=0とすることも可能)。kは、1未満の正の所定値を有する係数である。尚、初期設定環境下において磁界強度Hを所定のテスト強度に設定したときに得られるであろう電圧値VDを、設計段階で見積もることができる。この見積によって導出された値に基づき、初期設定処理を行うことなく、下限値VpREFLを決定してメモリ150に記憶させるようにしても良い。
図14(a)〜図14(d)を参照して、異物3の検出に関する第1〜第4ケースを考える。第1ケースでは、給電台12上に電子機器2のみが存在している。第2ケースでは、給電台12上に電子機器2及び異物3が存在している。第3ケースでは、給電台12上に異物3のみが存在している。第4ケースでは、給電台12上に電子機器2も異物3も存在していない。
上述したように、pFOD処理が実行される期間中には電子機器2においてfO変更/短絡動作が実行されているため、第1ケースでは、送電側コイルTLにとっての負荷が十分に軽くなり(即ち、あたかも、給電台12上に電子機器2が存在しないかのような状態となり)、電流振幅検出値VpFODが十分に大きくなって異物無判定が成される。一方、第2ケースでは、共振回路RRの共振周波数が上記周波数fMへと変更されるものの又は受電側コイルRLが短絡されるものの、異物3は送電側コイルTLの負荷として存在し続けるため(異物3の共振回路JJの共振周波数は基準周波数のままであるため)、電流振幅検出値VpFODが十分に小さくなって異物有判定が成される。
第3及び第4ケースでは、NFC通信に応答する電子機器2が給電台12上に存在しないため、そもそも送電動作は不要であり、従ってpFOD処理自体が実行されない。給電機器1は、NFC通信により、電力伝送に対応可能な電子機器2が給電台12上に存在しているか否かを判断できる。尚、異物3が給電台12上に存在する状態は、異物3が給電台12に直接接触している状態に限定されない。例えば、図15に示す如く、給電台12上に電子機器2が直接接触する形で存在し且つ電子機器2の上に異物3が存在しているような状態も、異物有判定が成される限り、異物3が給電台12上に存在する状態に属する。
[電力伝送までの信号のやりとり:図16]
図16を参照して、電力伝送が行われるまでの機器1及び2間の信号のやりとりを説明する。以下では、特に記述無き限り、電子機器2が基準配置状態(図1(b))にて給電台12上に存在していることを想定する。
まず、給電機器1が送信側且つ電子機器2が受信側となり、給電機器1(IC100)が、NFC通信によって、問い合わせ信号510を給電台2上の機器(以下、給電対象機器とも言う)に送信する。給電対象機器は、電子機器2を含み、異物3を含みうる。問い合わせ信号510は、例えば、給電対象機器の固有識別情報を問い合わせる信号、給電対象機器がNFC通信を実行可能な状態にあるかを問い合わせる信号、及び、給電対象機器が電力を受け取れるか又は電力の送電を求めているかを問い合わせる信号を含む。
問い合わせ信号510を受信した電子機器2(IC200)は、問い合わせ信号510の問い合わせ内容に答える応答信号520を、NFC通信によって給電機器1に送信する。応答信号520を受信した給電機器1(IC100)は、応答信号520を解析し、給電対象機器がNFC通信を可能であって且つ電力を受け取れる又は電力の送電を求めている場合に、テスト用要求信号530をNFC通信によって給電対象機器に送信する。テスト用要求信号530を受信した給電対象機器としての電子機器2(IC200)は、テスト用要求信号530に対する応答信号540をNFC通信によって給電機器1に送信してから、速やかに、fO変更/短絡動作(共振周波数変更動作又はコイル短絡動作)を実行する。テスト用要求信号530は、例えば、fO変更/短絡動作の実行を要求、指示する信号であり、電子機器2の制御回路250は、テスト用要求信号530の受信を契機としてfO変更/短絡動作を共振状態変更回路240に実行させる。テスト用要求信号530の受信前においてfO変更/短絡動作は非実行とされている。fO変更/短絡動作の実行の契機となるならばテスト用要求信号530はどのような信号でも良く、問い合わせ信号510に内包されるものであっても良い。
応答信号540を受信した給電機器1(IC100)は、上述のpFOD処理を実行する。pFOD処理の実行期間中、電子機器2(IC200)は、fO変更/短絡動作の実行を継続する。具体的には、電子機器2(IC200)は、内蔵タイマを用いて、pFOD処理の実行期間の長さに応じた時間だけfO変更/短絡動作の実行を維持してからfO変更/短絡動作を停止する。
pFOD処理において、給電台12上に異物が無いと判断すると、給電機器1(IC100)は、認証信号550をNFC通信により給電対象機器に送信する。認証信号550は、例えば、これから送電を行うことを給電対象機器に通知する信号を含む。認証信号550を受信した電子機器2(IC200)は、認証信号550に対応する応答信号560を、NFC通信によって給電機器1に送信する。応答信号560は、例えば、認証信号550が示す内容を認識したことを通知する信号又は認証信号550が示す内容に許可を与える信号を含む。応答信号560を受信した給電機器1(IC100)は、送電回路130を共振回路TTに接続して送電動作を実行し、これにより電力伝送570が実現される。
図14(a)の第1ケースでは、上記の流れで電力伝送570が実行されるが、図14(b)の第2ケースの場合においては、応答信号540の送受信まで処理が進行するものの、pFOD処理において給電台12上に異物があると判断されるため、電力伝送570が実行されない。1回分の電力伝送570は所定時間だけ行われるものであっても良く、問い合わせ信号510の送信から電力伝送570までの一連の処理を、繰り返し実行するようにしても良い。実際には、図17に示す如く、NFC通信とpFOD処理と電力伝送(NFC電力伝送)とを順番に且つ繰り返し実行することができる。つまり、非接触給電システムでは、NFC通信を行う動作とpFOD処理を行う動作と電力伝送(NFC電力伝送)を行う動作とを、時分割で順番に且つ繰り返し行うことができる。
[給電機器及び電子機器の動作フローチャート]
次に、給電機器1の動作の流れを説明する。図18は、給電機器1の動作フローチャートである。通信回路120及び送電回路130の動作は、制御回路160の制御の下で実行される。
給電機器1が起動すると、まずステップS101において、制御回路160は、切り替え回路110の制御を通じて通信回路120を共振回路TTに接続する。続くステップS102において、制御回路160は、通信回路120及び共振回路TTを用いたNFC通信により問い合わせ信号510を給電対象機器に送信し、その後、ステップS103において、応答信号520の受信を待機する。通信回路120にて応答信号520が受信されると、制御回路160は、応答信号520を解析し、給電対象機器がNFC通信を可能であって且つ電力を受け取れる又は電力の送電を求めている場合に送電対象があると判断して(ステップS104のY)ステップS105に進み、そうでない場合(ステップS104のN)、ステップS102に戻る。
ステップS105において、制御回路160は、通信回路120及び共振回路TTを用いたNFC通信によりテスト用要求信号530を給電対象機器に送信し、その後、ステップS106において、応答信号540の受信を待機する。通信回路120にて応答信号540が受信されると、ステップS107において、制御回路160は、切り替え回路110の制御を通じて送電回路130を共振回路TTに接続し、続くステップS108にて上述のpFOD処理を行う。
pFOD処理の後、ステップS109にて、制御回路160は、切り替え回路110の制御を通じて通信回路120を共振回路TTに接続し、ステップS110に進む。ステップS108のpFOD処理にて、異物有判定が成されている場合にはステップS110からステップS102に戻るが、異物無判定が成されている場合にはステップS110からステップS111に進む。
ステップS111において、制御回路160は、通信回路120及び共振回路TTを用いたNFC通信により認証信号550を給電対象機器に送信し、その後、ステップS112において、応答信号560の受信を待機する。通信回路120にて応答信号560が受信されると、ステップS113において、制御回路160は、切り替え回路110の制御を通じて送電回路130を共振回路TTに接続し、ステップS114に進む。
制御回路160は、ステップS114にて送電許可フラグにONを設定すると共に、送電動作及びmFOD処理を開始し、その後、ステップS115に進む。詳細は後述されるが、mFOD処理によって電力伝送中における異物の存否が検出され、異物が検出された場合に送電許可フラグがOFFとされる。制御回路160は、送電動作の開始時点からの経過時間を計測し、ステップS115において、その経過時間を所定の時間tA(例えば10分)と比較すると共に送電許可フラグの状態をチェックする。その経過時間が所定の時間tAに達すると、又は、mFOD処理によって送電許可フラグにOFFが設定されると、ステップS116に進む。ステップS116において、制御回路160は、送電許可フラグをONからOFFに切り替える又は送電許可フラグをOFFに維持すると共に、送電動作及びmFOD処理を停止させ、その後ステップS101に戻る。
次に、電子機器2の動作の流れを説明する。図19は、電子機器2の動作フローチャートであり、ステップS201から始まる処理は、図18に示す給電機器1の動作に連動して実行される。通信回路220及び受電回路230の動作は、制御回路250の制御の下で実行される。
電子機器2が起動すると、まずステップS201において、制御回路250は、切り替え回路210の制御を通じて通信回路220を共振回路RRに接続する。電子機器2の起動時においてfO変更/短絡動作は非実行とされている。続くステップS202において、制御回路250は、通信回路220を用い、問い合わせ信号510の受信を待機する。通信回路220にて問い合わせ信号510が受信されると、ステップS203において、制御回路250は、問い合わせ信号510を解析して応答信号520を生成し、通信回路220を用いたNFC通信により応答信号520を給電機器1に送信する。このとき、制御回路250は、バッテリ21の状態を確認し、バッテリ21が満充電状態でなく且つバッテリ21に異常が認められなければ、電力を受け取れる又は電力の送電を求める信号を応答信号520に含める。一方、バッテリ21が満充電状態あれば又はバッテリ21に異常が認められれば、電力を受け取れない旨の信号を応答信号520に含める。
その後のステップS204においてテスト用要求信号530が通信回路220にて受信されると、ステップS205に進む。ステップS205において、制御回路250は、通信回路220を用いたNFC通信により応答信号540を給電機器1に送信し、続くステップS206にて共振状態変更回路240を用いてfO変更/短絡動作を実行する。即ち、共振周波数fOを基準周波数から周波数fMに変更する又は受電側コイルRLを短絡する。制御回路250は、fO変更/短絡動作の実行を開始してからの経過時間を計測し(ステップS207)、その経過時間が所定時間tMに達するとfO変更/短絡動作を停止する(ステップS208)。即ち、共振周波数fOを基準周波数に戻す又は受電側コイルRLの短絡を解消する。その後、ステップS209に進む。給電機器1にてpFOD処理が実行されている期間(即ちテスト磁界が発生されている期間)中、fO変更/短絡動作の実行が維持され、その期間が終了すると速やかにfO変更/短絡動作が停止されるように時間tMが予め設定されている。テスト用要求信号530の中で時間tMが指定されていても良い。
ステップS209において、制御回路250は、通信回路220を用い、認証信号550の受信を待機する。通信回路220にて認証信号550が受信されると、ステップS210において、制御回路250は、認証信号550に対する応答信号560を通信回路220を用いたNFC通信により給電機器1へ送信する。尚、異物が給電台12上に存在する場合には、認証信号550が給電機器1から送信されないので(図18のステップS110参照)、ステップS209にて認証信号550が一定時間受信されない場合にはステップS201に戻ると良い。
応答信号560の送信後、ステップS211において、制御回路250は、切り替え回路210の制御を通じて受電回路230を共振回路RRに接続し、続くステップS212にて受電回路230を用いた受電動作を開始させる。制御回路250は、受電動作の開始時点からの経過時間を計測し、その経過時間と所定の時間tBとを比較する(ステップS213)。そして、その経過時間が時間tBに達すると(ステップS213のY)、ステップS214にて、制御回路250は、受電動作を停止させてステップS201に戻る。
受電動作の行われる期間が給電機器1にて送電動作が行われている期間と実質的に一致するように、時間tBは、予め定められている又は認証信号550の中で指定されている。受電動作の開始後、制御回路250は、バッテリ21への充電電流を監視し、充電電流値が所定値以下になった時点で送電動作が終了したと判断して、受電動作の停止及びステップS201への移行を行うようにしても良い。
[mFOD処理]
送電動作の開始後に異物が給電台12上に置かれることもある。mFOD処理は、電力伝送中の異物検出処理として機能し、mFOD処理により電力伝送中において異物の存否が継続監視される。
図20は、mFOD処理の動作フローチャートである。制御回路160は、送電動作を行っている期間において、図20のmFOD処理を繰り返し実行する。mFOD処理において、制御回路160は、まずステップS51にて最新の電圧値VDを電流振幅検出値VmFODとして取得する。電流振幅検出値VmFODは、送電用磁界を送電側コイルTLに発生させているときの、送電側コイルTLに流れる電流の振幅に応じた値を持つ。続くステップS52において、制御回路160は、電流振幅検出値VmFODが所定のmFOD正常範囲に属しているか否かを判断する。電流振幅検出値VmFODがmFOD正常範囲に属している場合、異物無判定が成されて(ステップS53)ステップS51に戻りステップS51及びS52の処理が繰り返されるが、電流振幅検出値VmFODがmFOD正常範囲を逸脱している場合、ステップS54にて異物有判定が成されて送電許可フラグにOFFが設定される。送電許可フラグは、制御回路160にて管理されるフラグであってON又はOFFに設定される。送電許可フラグがONのとき制御回路160は送電動作の実行を許可し、送電許可フラグがOFFのとき制御回路160は送電動作の実行を禁止する又は送電動作を停止する。
mFOD正常範囲は、所定の下限値VmREFL以上且つ所定の上限値VmREFH以下の範囲である(0<VmREFL<VmREFH)。故に、判定不等式“VmREFL≦VmFOD≦VmREFH”が満たされる場合には異物無判定が成され、そうでない場合には異物有判定が成される。
図21(a)を参照し、例えば、送電動作が実行されているときに、給電機器1の給電台12と電子機器2との間に非接触ICカードとして形成された異物3が挿入された場合を考える。この場合、電子機器2の受電側コイルRLと異物3のコイルJLが磁気的に結合して、異物3の共振回路JJの共振周波数と共に電子機器2の共振回路RRの共振周波数が基準周波数(13.56MHz)からずれる。そうすると、受電側コイルRLでの受電電力が低下して送電側コイルTLから見た送電の負荷が軽くなり、結果として、送電側コイルTLに流れる電流の振幅が大きくなる(この場合に“VmREFH<VmFOD”となるように上限値VmREFHを定めておけばよい)。
また例えば、図21(b)を参照し、送電動作が実行されているときに、給電機器1の給電台12と電子機器2との間に、鉄板又はフェライトシートとしての異物3bが挿入されると、電気的及び磁気的な作用を通じて異物3b内に電流が流れ、結果として、送電側コイルTLに流れる電流の振幅が小さくなる(この場合に“VmFOD<VmREFL”となるように下限値VmREFLを定めておけばよい)。
このように、異物3及び3bを含む異物の存否により電流振幅検出値VmFODに変化が生じる。考えられる異物の種類及び配置状態を想定した実験等を介し、予め適切に決定された下限値VmREFL及び上限値VmREFHを、メモリ150に記憶させておくと良い。また、電力伝送中に、異物が存在することで電流振幅検出値VmFODがどの程度変化するのかを理論計算により推定し、その推定結果に基づき、実験を必要とすることなく、下限値VmREFL及び上限値VmREFHを定めてメモリ150に記憶させても良い。この際例えば、mFOD正常範囲の中心値を基準として電流振幅検出値VmFODを所定の変化率以上変化させるような物体を異物と定義するようにしても良い。
図7に示す増幅器143の増幅率は可変となっている。送電側コイルTLに流れる電流の振幅は、pFOD処理を行っているときよりも、送電動作及びmFOD処理を行っているときの方が随分と大きい。故に、制御回路160は、mFOD処理を行う際において増幅器143の増幅率をpFOD処理を行う際よりも小さく設定し、これによってA/D変換器144の入力信号範囲をpFOD処理及びmFOD処理間で同程度とする。
また例えば、包絡線検波器142とA/D変換器144との間に(より具体的には、包絡線検波器142と増幅器143との間に、又は、増幅器143とA/D変換器144との間に)高域低減回路(不図示)を挿入するようにしても良い。この場合、センス抵抗141の電圧降下信号に高域低減処理(換言すれば平均化処理又は低域通過フィルタリング)を施して得られる振幅情報が、A/D変換器144から電圧値VDとして得られるようになる。ここにおける高域低減処理は、センス抵抗141の電圧降下信号における比較的低い周波数の信号成分を通過させる一方で比較的高い周波数の信号成分を低減(減衰)させる処理である。高域低減処理により、ノイズや給電台12上の電子機器2の軽度な振動などによって送電禁止の制御が行われることが抑制される。
或いは例えば、包絡線検波器142及びA/D変換器144間に高域低減回路を設ける代わりに、A/D変換器144の出力信号による電圧値VDに対し演算による高域低減処理を施して高域低減処理後の電圧値VDを電流振幅検出値VmFODとして用いるようにしても良い(pFOD処理における電流振幅検出値VpFODに対しても同様であって良い)。演算による高域低減処理は、制御回路160にて実行される処理であって、A/D変換器144の出力信号における比較的低い周波数の信号成分を通過させる一方で比較的高い周波数の信号成分を低減(減衰)させる処理である。
尚、mFOD処理の役割は、異物の存否判定だけに限られない。即ち、mFOD処理は、電流振幅検出値VmFODがmFOD正常範囲を逸脱するような、送電動作の継続に不適切なあらゆる状況下で、送電許可フラグをOFFとする役割を持つ。例えば、送電動作の開始後、電子機器2が給電台12上から取り去られたとき、送電側コイルTLから見た送電の負荷が軽くなって電流振幅検出値VmFODが上限値VmREFHを超えるため送電許可フラグがOFFとされる(図20のステップS54)。
このように、制御回路160は、送電動作によって電力の送電が行われているとき、電流振幅検出値VmFODがmFOD正常範囲を逸脱しているか否かを監視することで送電の継続是非を制御する。これにより、送電動作の開始後に異物が給電台12上に置かれた場合など、送電動作の継続に不適切な状況下で、mFOD処理を通じて送電動作が停止されるため、送電動作の継続による異物の破損等を回避することができる。
<<第2実施形態>>
本発明の第2実施形態を説明する。第2実施形態及び後述の第3実施形態は第1実施形態を基礎とする実施形態であり、第2及び第3実施形態において特に述べない事項に関しては、矛盾の無い限り、第1実施形態の記載が第2及び第3実施形態にも適用される。
図22を参照し、第2実施形態の技術を説明するに当たり、まず、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸を定義する。X軸及びY軸に平行な面、Y軸及びZ軸に平行な面、Z軸及びX軸に平行な面を、夫々、XY面、YZ面、ZX面と称することもある。X軸及びY軸は給電台12の載置面に平行であり、従ってZ軸は給電台12の載置面に直交している。給電台12の載置面は電子機器2が載置されるべき面であり、該載置面上に電子機器2及び異物が載置されうる。第2実施形態の各記述において、及び、それらで参照される各図において、特に記述無き限り、電子機器2は基準配置状態にて給電台12の載置面上に載置されているものとする。基準配置状態では、給電機器1及び電子機器2が電力の送受電を行うための所定位置関係にある。
詳細は後述されるが、電子機器2にはアルミニウム等で形成された金属板が設けられたり、フェライトで形成された磁性体板(磁性体シート)が設けられたりすることも多く、それらが電力伝送や異物検出等に対して好ましくない影響を与えることがある。第2実施形態に係る電子機器2には、図23に示すように、このような影響を抑制するためのキャンセル回路(補助共振回路)GGが設けられる。
図24(a)及び(b)に、キャンセル回路GGの第1例、第2例である、キャンセル回路GG1、GG2を示す。キャンセル回路GG1は、キャンセル用コイルであるコイルGLとキャンセル用コンデンサであるコンデンサGCを並列接続して構成される並列共振回路であり、キャンセル回路GG2は、コイルGL及びコンデンサGCを直列接続して構成される直列共振回路である。キャンセル回路GG1及びGG2の夫々には、キャンセル用抵抗としての抵抗GRも設けられる。キャンセル回路GG1において、抵抗GRはコイルGL及びコンデンサGCの並列回路に対して並列接続される。キャンセル回路GG2において、抵抗GRはコイルGL及びコンデンサGCの直列回路に対して直列に挿入及び接続される。キャンセル用コイルGLは受電側コイルRLとは分離した独立のコイルである。
キャンセル回路GGは、キャンセル回路GG1及びGG2のどちらであっても良い。但し、以下では、特に記述無き限り、キャンセル回路GGは並列共振回路としてのキャンセル回路GG1であるとし、また、共振回路TT及びRRも並列共振回路であるとする。
キャンセル用コンデンサGCは、自身の静電容量を変更可能なコンデンサであり、例えば、手動調整によって静電容量を変更可能なトリマコンデンサ、又は、自身へ印加される電圧の相違によって静電容量が変化するバリキャップ(バリアブルキャパシタ)である。但し、静電容量を変更不能なコンデンサをキャンセル用コンデンサGCとして用いることも可能ではある。抵抗GRは自身の抵抗値が固定された固定抵抗であって良い。但し、自身の抵抗値を変更可能な可変抵抗を抵抗GRとして用いるようにしても良い。
キャンセル回路GGは、受電側共振回路RRを含む、電子機器2内の何れの回路に対しても絶縁されている。但し、キャンセル用コンデンサGCをバリキャップとして構成する場合においては、バリキャップに電圧信号を与える、電子機器2内の回路がキャンセル用コンデンサGCに接続される。何れにせよ、キャンセル回路GGは少なくとも交流的には(高周波的には)受電側共振回路RRと絶縁されていると言える。
キャンセル回路GGの共振周波数は、キャンセル用コンデンサGCを用い、基本的に、基準周波数(従って共振回路TT及びRRの共振周波数)よりも高い又は低い周波数に設定されることになるが、それの作用については後述される。
図25(a)、(b)は、基準配置状態での給電機器1及び電子機器2における送電側コイルTL、受電側コイルRL及びキャンセル用コイルGLの概略的な斜視図、断面図の第1例である。図25(a)及び(b)に示すコイルGLの配置方法(以下、中間配置方法と称する)では、基準配置状態において、送電側コイルTLと受電側コイルRLとの間にキャンセル用コイルGLが配置される(即ち、Z軸方向に沿ってコイルRL、GL、TLの順に並んでいる)。
図26(a)、(b)は、基準配置状態での給電機器1及び電子機器2における送電側コイルTL、受電側コイルRL及びキャンセル用コイルGLの概略的な斜視図、断面図の第2例である。図26(a)及び(b)に示すコイルGLの配置方法(以下、背面配置方法と称する)では、受電側コイルRLの背面にキャンセル用コイルGLが配置される。つまり、背面配置方法が採用される場合、基準配置状態において、受電側コイルRLから見て送電側コイルTLの配置位置とは反対側の位置にキャンセル用コイルGLが配置される(故に、Z軸方向に沿ってコイルGL、RL、TLの順に並ぶ)。
中間配置方向及び背面配置方法の何れによっても、送電側コイルTL又は受電側コイルRLにて磁界が発生したとき、その発生磁界がキャンセル用コイルGLを鎖交してキャンセル用コイルGLに有意な電流が流れるような位置に、キャンセル用コイルGLが配置される。
図27(a)、(b)は、非接触ICカードに代表される異物3が給電台12の載置面上に置かれている状態での給電機器1及び異物3におけるコイルTL及びJLの概略的な斜視図、断面図である。
図25(a)、図26(a)及び図27(a)では、図示の簡略化及び煩雑化防止のため、コイルTL、RL、GL及びJLの巻線を二重円にて表現している(後述の図28(c)等においても同様)。コイルの図示を含む図面において、コイルを表す二重円から側方に伸びる線分はコイルの引き出し線を表している。図25(b)、図26(b)及び図27(b)の断面図における断面はYZ面に平行である。コイルTL、RL、GL及びJLの夫々はループアンテナを形成している。基準配置状態において、コイルTL、RL及びGLとしてのループアンテナのループ面(即ち、コイルTL、RL及びGLの巻線が配置されている面)はXY面に平行であり、従ってコイルTL、RL及びGLの中心軸はZ軸に平行である。コイルTLは、自身の中心軸周りに巻線(銅線など)が巻かれることで形成される(コイルRL、GL及びJLについても同様)。また、異物3が給電台12の載置面上に置かれている状態おいて、コイルJLとしてのループアンテナのループ面(即ち、コイルJLの巻線が配置されている面)は、通常、コイルTLと同じくXY面に平行であり、従ってコイルJLの中心軸はZ軸に平行である。
コイルTL及びRL間の結合係数を高めるべく、XY面上においてコイルTL及びRLは互いに同じ形状を有している(但し、それらは互いに異なる形状を有し得る)。本明細書において、コイルの形状とは、コイルの大きさを含む概念である。任意のコイルに関し、コイルの大きさとは、コイルの中心軸に直交する方向においてコイルの外周が占有する面積を表すと考えて良い。コイルがループアンテナを形成している場合には、そのループアンテナのループ面(即ち、当該コイルの巻線が配置されている面)における、当該コイルの巻線に囲まれた部分の面積が当該コイルの大きさに相当する。
一方、図25(a)及び図26(a)において特に示されていないが、コイルTL及びGL間の結合並びにコイルRL及びGL間の結合を、コイルTL及びRL間の結合よりも弱いものとすべく、XY面上においてコイルGLの形状をコイルTL及びRLの各形状と異ならせても良い。これの意義については後の説明から明らかとなる。
尚、図25(a)及び図27(a)等ではコイルTL、RL、GL及びJLの外周形状(換言すれば外形形状)が円とされているが、コイルTL、RL、GL及びJLの夫々において、コイルの外周形状は円に限定されず、楕円又は多角形(長方形など)であっても良いし、直線と曲線がコイルの外周形状に混在していても良い。
以下、第2実施形態に属する実施例EX2_1A、EX2_1B、EX2_2A、EX2_2B、EX2_3A、EX2_3B及びEX2_4の中で、キャンセル回路GGの作用などを説明する。尚、矛盾無き限り、以下に述べる複数の実施例の内、任意の実施例に記載した事項を、他の任意の実施例に適用することもできる(即ち複数の実施例の内の任意の2以上の実施例を組み合わせることも可能である)。
[実施例EX2_1A]
実施例EX2_1Aを説明する。キャンセル回路GGの作用を後述の実施例EX2_1Bにて明確に説明すべく、実施例EX2_1Aでは、便宜上、電子機器2にキャンセル回路GGが設けられていないことを想定する。
実施例EX2_1Aでは、電子機器2に金属部(以下、受電側金属部MT2と称する:不図示)が設けられているものとする。受電側金属部MT2は、電子機器2の筐体の全部又は一部を構成していても良い。即ち例えば、受電側金属部MT2は、電子機器2の筐体としての箱状の金属製ケースであっても良い。或いは例えば、電子機器2の筐体が樹脂材料にて形成され且つ受電側金属部MT2が電子機器2の筐体内にて固定されていても良い。受電側金属部MT2は、主として例えば、電子機器2の構造的強度や質感を高めるために設けられる。
受電側金属部MT2を構成する金属はアルミニウムであるとする。受電側金属部MT2を構成する金属は、アルミニウムと他の金属との合金、即ちアルミニウム合金(例えばアルミニウムと銅の合金としてのジュラルミン)であっても良い。但し、受電側金属部MT2がアルミニウム又はアルミニウム合金にて構成される場合と同様の影響をコイルRL及びTLに与える限り、受電側金属部MT2を構成する金属はアルミニウム又はアルミニウム合金以外でも良い。
受電側金属部MT2は、どのような形状を有していても良いが、図28(a)に示すような、開口部271を有した金属板270を有しているものとする。基準配置状態において金属板270はXY面に平行である。開口部271は、金属板270に設けられたZ軸方向に貫通する穴であり、従って開口部271には金属が存在しない。XY面上において開口部271は閉領域を形成しており、開口部271と金属板270の外周との間には接点が無い。故に、XY面において開口部271の周りにはアルミニウムによる電路(電流ループ)が形成される。開口部271は、樹脂材料などの金属以外の材料にて封止されうる。樹脂材料は、例えば、ポリカーボネイト、ポリプロピレンである。
XY面上において金属板270の外形形状は長方形である。但し、XY面上において、金属板270の外形形状はこれに限定されず、曲線を含んでいても良いし、直線と曲線が金属板270の外形形状に混在していても良い。またここでは、XY面上における開口部271の形状が円(三次元で考えると円柱形状)であると考えるが、XY面上において、開口部271の形状は円に限定されず、楕円又は多角形(長方形など)であっても良いし、直線と曲線が開口部271の形状に混在していても良い。
受電側金属部MT2は、金属板270に加えて他の金属部分を含んでいても良い。即ち例えば、図29に示す如く、受電側金属部MT2が電子機器2の筐体としての箱状の金属製ケースCSMT2である場合には、金属板270は金属製ケースCSMT2の一面(底面)を形成する。
但し、以下の説明及び以下の説明で参照される図面(図28(a)〜図28(c)を含む)では、説明及び図示の簡略化のため、受電側金属部MT2に関して金属板270のみに注目する。図28(a)は、基準配置状態における金属板270の斜視図であり、図28(b)は、基準配置状態における給電機器1及び電子機器2の一部部品の透過図である。図28(c)は、Z軸方向から見た基準配置状態における金属板270及び受電側コイルRLの平面図である。開口部271は受電側コイルRLの配置位置の対向位置(受電側コイルRLの配置位置に対して対向する位置)に設けられており、基準配置状態では、開口部271がコイルTL及びRL間に位置して、コイルTL及びRLが開口部271を介して互いに対向し合うことになる。
そして、XY面において開口部271の大きさはコイルTL及びRLの大きさよりも大きく、Z軸方向に沿ってコイルRL、開口部271及びコイルTLを見たとき、互いに重なり合うコイルRL及びTLの外周は開口部271内に内包される。開口部271の形状、コイルRL及びTLの外周形状が全て円であると考えた場合、それらの円の中心はZ軸に平行な1つの直線上に位置し、図30に示す如く、開口部271の形状としての円の半径r1は、コイルRL及びTLの外周形状としての円の半径r2よりも大きいことになる。このため、コイルTL及びRLを用いた電力伝送を、若干の損失はあるものの良好に実現できる。例えば、半径r1を半径r2よりも5mm(ミリメートル)大きくすると、金属板270が無い場合から見た損失の割合は10〜20%程度となる。
アルミニウムにて形成された金属板270の影響について説明する。
図31(a)を参照し、基準配置状態では、送電側コイルTLが開口部271を有する金属板270と磁気的に結合する。送電側コイルTLに交流電流I1が流れると、それにより送電側コイルTLにて発生した磁界に基づき、電磁誘導によって交流電流I1と逆方向の(即ち180度位相のずれた)交流電流I31が金属板270内の開口部271周りの電路に流れる。送電側コイルTL及び金属板270間の結合係数をK13とおくと、交流電流I31は“I31=K13×I1”にて表される。一方、
図31(b)を参照し、電子機器2内においては、受電側コイルRLも開口部271を有する金属板270と磁気的に結合する。受電側コイルRLに交流電流I2が流れると、それにより受電側コイルRLにて発生した磁界に基づき、電磁誘導によって交流電流I2と逆方向の(即ち180度位相のずれた)交流電流I32が金属板270内の開口部271周りの電路に流れる。受電側コイルRL及び金属板270間の結合係数をK23とおくと、交流電流I32は“I32=K23×I2”にて表される。
図31(c)は、電流I1、I2、I31及びI32を複素平面上に示したものである。交流電流I2は、交流電流I1に基づき受電側コイルRLに流れる共振電流であり、“I2=jQK12×I1”にて表される。ここで、K12は基準配置状態におけるコイルTL及びRL間の結合係数であり、Qは受電側コイルRLのQであり、jは虚数である。電流I2は電流I1に対して位相が90度遅れることになる。
共振回路TTの共振周波数に関して考えると、電流I31が発生せしめられる金属板270の存在は、送電側コイルTLのインダクタンスを等価的に減少させるように(換言すれば共振回路TTを構成するインダクタンス成分を減少させるように)、結果、共振回路TTの共振周波数を増大させるように作用する。
共振回路RRの共振周波数に関して考えると、電流I32が発生せしめられる金属板270の存在は、受電側コイルRLのインダクタンスを等価的に減少させるように(換言すれば共振回路RRを構成するインダクタンス成分を減少させるように)、結果、共振回路RRの共振周波数を増大させるように作用する。
このため、金属板270の存在を無視して給電機器1及び電子機器2を設計すると、金属板270の存在によって共振回路TT及びRRの共振周波数が基準周波数より増大方向にずれる。このずれは、磁気共鳴を利用した電力伝送の効率低下などの影響をもたらしうる。
また、送電側コイルTLにて交番磁界を発生させたとき、送電側コイルTLの発生磁界により金属板270に流れた電流に基づく電圧が送電側コイルTLに発生し、その電圧は送電側コイルTLに流れる電流の振幅を増大させるように作用する。結果、給電台12上に異物3が存在していなくても、pFOD処理又はmFOD処理において異物が存在すると誤認するおそれが生じる。つまり、金属板270が異物と誤認されるおそれがある(金属板270は電子機器2の構成部品であるので、当然、異物として認識されるべきではない)。この誤認を回避するために、pFOD正常範囲又はmFOD正常範囲における上限値を高めに設定しておくことも考えられるが、そのような設定は、真に検出されるべき異物の検知性能劣化に繋がる。また例えば、非接触ICカードに代表される異物3の検出に注目したとき、pFOD処理においては、異物3の存在による送電側コイルTLの電流振幅低下を観測することになるが、送電側コイルTLの電流振幅が金属板270の影響を受けて増加すると、その増加が、異物3の存在による電流振幅低下観測に対しノイズとして機能し、異物3の検出が行いにくくなる。
[実施例EX2_1B]
実施例EX2_1Bを説明する。実施例EX2_1Bは、実施例EX2_1Aを基準として、キャンセル回路GGを電子機器2に設けた実施例である。
上述したように、ここでは共振回路TT、RR及びGGが並列共振回路であると考える。共振回路TT、RR及びGGが直列共振回路である場合には、以下に述べる位相の“進み”と“遅れ”は逆となる。
金属板270の存在により共振回路TTの共振周波数が基準周波数よりも大きくなったとき、共振回路TTのリアクタンスは誘導性となり、共振回路TTに加わる基準周波数の電圧(図32のeに対応)の位相に対し共振回路TTの全体に流れる電流(図32のiに対応)の位相は遅れることになる。金属板270の存在により共振回路RRの共振周波数が基準周波数よりも大きくなったとき、共振回路RRにおいても同様の現象が生じる。金属板270によって生じる、共振回路TT及びRRでの電流の位相の遅れを打ち消すことができれば、金属板270によって基準周波数から増加せしめられた共振回路TT及びRRの共振周波数は、基準周波数に一致する又は近づくことになる。
この打ち消しを実現するためには、金属板270が共振回路TT及びRRに対して与える影響とは逆の影響を共振回路TT及びRRに与えれば良く、その逆の影響を与える回路として、基準周波数よりも低い共振周波数を持ったキャンセル回路GGを設ければ良い(共振回路TT、RR及びGGが直列共振回路である場合には、基準周波数よりも高い共振周波数をキャンセル回路GGに持たせれば良い)。このようなキャンセル回路GGは、キャンセル用コイルGLと、送電側コイルTL、受電側コイルRLとの磁気結合を介して、共振回路TT、RRの全体に流れる電流の位相を進ませる作用を持つ(図32参照)。
図33に、実施例EX2_1Bに係る金属板270とキャンセル回路GGの作用をまとめる。
送電側コイルTLでの交流電流I1の流れにより送電側コイルTLに発生した磁界は、金属板270に電流I31(図31(a)及び(c)参照)を流すように作用し、電流I31が発生せしめられる金属板270の存在は、送電側コイルTLのインダクタンスを等価的に減少させるように、結果、共振回路TTの共振周波数を増大させるように作用する。
一方で、送電側コイルTLでの交流電流I1の流れにより送電側コイルTLに発生した磁界は、キャンセル用コイルGLに電流IG1を流すように作用し、電流IG1が発生せしめられるキャンセル回路GGの存在は、送電側コイルTLのインダクタンスを等価的に増大させるように、結果、共振回路TTの共振周波数を減少させるように作用する。
つまり、交流電流I1に基づく送電側コイルTLの発生交番磁界がキャンセル用コイルGLを鎖交したことでキャンセル用コイルGLに流れる電流IG1は、キャンセル回路GGの共振周波数に依存する位相を持つことになるが、その位相は、金属板270によってもたらされる、共振回路TTの共振周波数の基準周波数からのずれを打ち消すように作用する。
受電側コイルRLでの交流電流I2の流れにより受電側コイルRLに発生した磁界は、金属板270に電流I32(図31(b)及び(c)参照)を流すように作用し、電流I32が発生せしめられる金属板270の存在は、受電側コイルRLのインダクタンスを等価的に減少させるように、結果、共振回路RRの共振周波数を増大させるように作用する。
一方で、受電側コイルRLでの交流電流I2の流れにより受電側コイルRLに発生した磁界は、キャンセル用コイルGLに電流IG2を流すように作用し、電流IG2が発生せしめられるキャンセル回路GGの存在は、受電側コイルRLのインダクタンスを等価的に増大させるように、結果、共振回路RRの共振周波数を減少させるように作用する。
つまり、交流電流I2に基づく受電側コイルRLの発生交番磁界がキャンセル用コイルGLを鎖交したことでキャンセル用コイルGLに流れる電流IG2は、キャンセル回路GGの共振周波数に依存する位相を持つことになるが、その位相は、金属板270によってもたらされる、共振回路RRの共振周波数の基準周波数からのずれを打ち消すように作用する。
また、送電側コイルTLにて交番磁界を発生させたとき、送電側コイルTLの発生磁界によりキャンセル用コイルGLに流れた電流IG1に基づく電圧が送電側コイルTLに発生することになるが、その発生電圧は、電流I31及びIG1間で共振回路TTに与える影響が逆であることから分かるように、送電側コイルTLに流れる電流の振幅を減少させるように作用する。
このように、共振回路TT及びRRに対してキャンセル回路GGは金属板270とは逆の作用を与えるため、金属板270が存在することによる共振回路TT及びRRへの影響をキャンセル回路GGにより打ち消す(減ずる)ことができる。尚、打ち消しとは、打ち消されるべき対象の完全なる打ち消しを理想とするが、部分的な打ち消しにもなり得る。故に、打ち消しとは、打ち消されるべき対象の低減をも意味する(後述の他の実施例においても同様)。
キャンセル用コンデンサGCの静電容量値を変化させれば、電流IG1及びIG2の位相と、電流I1、I2、I31及びI32の位相との関係が変化し、その関係の変化によって、上記打ち消しの度合いが変化する。このため、打ち消しの度合いが最適化(最大化)されるようにキャンセル用コンデンサGCの静電容量値を調整すると良い。
また、キャンセル用抵抗GRの抵抗値を変化させれば、キャンセル回路GGとしての共振回路のQ値の変化を通じて電流IG1及びIG2の大きさが変化し、その電流IG1及びIG2の大きさの変化によっても上記打ち消しの度合いが変化する。このため、打ち消しの度合いが最適化されるようにキャンセル用抵抗GRの抵抗値を決定すると良く、キャンセル用抵抗GRが可変抵抗として形成されている場合においては、打ち消しの度合いが最適化されるようにキャンセル用抵抗GRの抵抗値を調整すると良い。
実施例EX2_1Bの構成によれば、金属板270の存在によって生じる共振回路RRの共振周波数の変化がキャンセル回路GGにて打ち消されると共に、基準配置状態において金属板270の存在によって生じる共振回路TTの共振周波数の変化がキャンセル回路GGにて打ち消されるため、共振周波数のずれの影響が解消される。また、金属板270の存在によって生じる送電側コイルTLの電流振幅増加がキャンセル回路GGの作用により打ち消されるため、当該電流振幅増加に基づく影響も解消される。故に、実施例EX2_1Bの非接触給電システムでは、金属板270の存在に対しキャンセル回路GGを設けるだけで、第1実施形態と同様の動作を行うことができる。
実際には例えば、図34に示す如く、上述の中間配置方法(図25(a)及び(b)参照)を採用し、受電側コイルRLと開口部271との間にキャンセル用コイルGLを配置すると良い。
尚、実施例EX2_1Bにおいて、上述の背面配置方法(図26(a)及び(b)参照)を採用し、受電側コイルRLから見て開口部271及び送電側コイルTLの配置位置とは反対側の位置にキャンセル用コイルGLを配置することも可能ではある。しかしながら、この場合、送電側共振回路TTに対するキャンセル回路GGの影響が送電側共振回路TTに対する金属板270の影響に対して相当に弱くなり、送電側共振回路TTについて上記打ち消しの効果が弱くなる。故に、背面配置方法よりも、図34のような中間配置方法の採用が望ましい。
[実施例EX2_2A]
実施例EX2_2Aを説明する。キャンセル回路GGの作用を後述の実施例EX2_2Bにて明確に説明すべく、実施例EX2_2Aでは、便宜上、電子機器2にキャンセル回路GGが設けられていないことを想定する。
実施例EX2_2Aでは、電子機器2に磁性体部MG2が設けられているものとする。磁性体部MG2は、高透磁率を示す任意の磁性材料から構成され、例えばフェライトにて構成される。磁性体部MG2は、基準配置状態において(即ち、給電機器1及び電子機器2が電力の送受電を行うための所定位置関係にあるときにおいて)、共振回路RRの共振周波数に影響を与える位置、又は、共振回路TT及びRRの双方の共振周波数に影響を与える位置に設けられる。
まず、図35に示す如く、送電側コイルTLと受電側コイルRLとの間に、磁性体部MG2として磁性体板281(図35のドット領域に対応)が設けられると仮定して、磁性体部MG2の存在による影響を説明する。磁性体板281は、共振回路TT及びRRの双方の共振周波数に影響を与えることになる。
図36(a)及び(b)に、送電側コイルTL、受電側コイルRL及び磁性体部MG2に流れる電流の関係を説明する。
基準配置状態では、送電側コイルTLが磁性体部MG2(磁性体板281)と磁気的に結合し、送電側コイルTLに交流電流I1が流れると、それにより送電側コイルTLにて発生した磁界に基づき、図36(a)に示す如く、交流電流I1と同方向の(即ち交流電流I1と同じ位相を有する)交流電流I41が磁性体部MG2に流れる。
電流I41は、実施例EX2_1A及びEX2_1Bで想定した金属板270に流れる電流I31(図31(a)参照)とは逆方向の電流である。故に、送電側共振回路TTに対し、磁性体部MG2は、金属板270とは逆の作用を与える。つまり、電流I41が発生せしめられる磁性体部MG2の存在は、開口部271を有する金属板270とは逆に、送電側コイルTLのインダクタンスを等価的に増大させるように(換言すれば共振回路TTを構成するインダクタンス成分を増大させるように)、結果、共振回路TTの共振周波数を減少させるように作用し、また、送電側コイルTLに流れる電流の振幅を減少させるように作用する。
また、電子機器2内においては、受電側コイルRLが磁性体部MG2(磁性体板281)と磁気的に結合し、受電側コイルRLに交流電流I2が流れると、それにより受電側コイルRLにて発生した磁界に基づき、図36(b)に示す如く、交流電流I2と同方向の(即ち交流電流I2と同じ位相を有する)交流電流I42が磁性体部MG2に流れる。
電流I42は、実施例EX2_1A及びEX2_1Bで想定した金属板270に流れる電流I32(図31(b)参照)とは逆方向の電流である。故に、受電側共振回路RRに対し、磁性体部MG2は、金属板270とは逆の作用を与える。つまり、電流I42が発生せしめられる磁性体部MG2の存在は、開口部271を有する金属板270とは逆に、受電側コイルRLのインダクタンスを等価的に増大させるように(換言すれば共振回路RRを構成するインダクタンス成分を増大させるように)、結果、共振回路RRの共振周波数を減少させるように作用し、また、受電側コイルRLに流れる電流の振幅を減少させるように作用する。
このため、磁性体部MG2の存在を無視して給電機器1及び電子機器2を設計すると、磁性体部MG2の存在によって共振回路TT及びRRの共振周波数が基準周波数より減少方向にずれる。このずれは、磁気共鳴を利用した電力伝送の効率低下などの影響をもたらしうる。
また、磁性体部MG2の存在によって生じる送電側コイルTLの電流振幅減少は、送電側コイルTLの電流振幅に頼る異物検出の精度劣化に繋がる。
[実施例EX2_2B]
実施例EX2_2Bを説明する。実施例EX2_2Bは、実施例EX2_2Aを基準として、キャンセル回路GGを電子機器2に設けた実施例である。
上述したように、ここでは共振回路TT、RR及びGGが並列共振回路であると考える。共振回路TT、RR及びGGが直列共振回路である場合には、以下に述べる位相の“進み”と“遅れ”は逆となる。
磁性体部MG2の存在により共振回路TTの共振周波数が基準周波数よりも小さくなったとき、共振回路TTのリアクタンスは容量性となり、共振回路TTに加わる基準周波数の電圧(図37のeに対応)の位相に対し共振回路TTの全体に流れる電流(図37のiに対応)の位相は進むことになる。磁性体部MG2の存在により共振回路RRの共振周波数が基準周波数よりも小さくなったとき、共振回路RRにおいても同様の現象が生じる。磁性体部MG2によって生じる、共振回路TT及びRRでの電流の位相の進みを打ち消すことができれば、磁性体部MG2によって基準周波数から減少せしめられた共振回路TT及びRRの共振周波数は、基準周波数に一致する又は近づくことになる。
この打ち消しを実現するためには、磁性体部MG2が共振回路TT及びRRに対して与える影響とは逆の影響を共振回路TT及びRRに与えれば良く、その逆の影響を与える回路として、基準周波数よりも高い共振周波数を持ったキャンセル回路GGを設ければ良い(共振回路TT、RR及びGGが直列共振回路である場合には、基準周波数よりも低い共振周波数をキャンセル回路GGに持たせれば良い)。このようなキャンセル回路GGは、キャンセル用コイルGLと、送電側コイルTL、受電側コイルRLとの磁気結合を介して、共振回路TT、RRの全体に流れる電流の位相を遅らせる作用を持つ(図37参照)。
図38に、実施例EX2_2Bに係る磁性体部MG2とキャンセル回路GGの作用をまとめる。
送電側コイルTLでの交流電流I1の流れにより送電側コイルTLに発生した磁界は、磁性体部MG2に電流I41(図36(a)参照)を流すように作用し、電流I41が発生せしめられる磁性体部MG2の存在は、送電側コイルTLのインダクタンスを等価的に増大させるように、結果、共振回路TTの共振周波数を減少させるように作用する。
一方で、送電側コイルTLでの交流電流I1の流れにより送電側コイルTLに発生した磁界は、キャンセル用コイルGLに電流IG1’を流すように作用し、電流IG1’が発生せしめられるキャンセル回路GGの存在は、送電側コイルTLのインダクタンスを等価的に減少させるように、結果、共振回路TTの共振周波数を増大させるように作用する。
つまり、交流電流I1に基づく送電側コイルTLの発生交番磁界がキャンセル用コイルGLを鎖交したことでキャンセル用コイルGLに流れる電流IG1’は、キャンセル回路GGの共振周波数に依存する位相を持つことになるが、その位相は、磁性体部MG2によってもたらされる、共振回路TTの共振周波数の基準周波数からのずれを打ち消すように作用する。
受電側コイルRLでの交流電流I2の流れにより受電側コイルRLに発生した磁界は、磁性体部MG2に電流I42(図36(b)参照)を流すように作用し、電流I42が発生せしめられる磁性体部MG2の存在は、受電側コイルRLのインダクタンスを等価的に増大させるように、結果、共振回路RRの共振周波数を減少させるように作用する。
一方で、受電側コイルRLでの交流電流I2の流れにより受電側コイルRLに発生した磁界は、キャンセル用コイルGLに電流IG2’を流すように作用し、電流IG2’が発生せしめられるキャンセル回路GGの存在は、受電側コイルRLのインダクタンスを等価的に減少させるように、結果、共振回路RRの共振周波数を増大させるように作用する。
つまり、交流電流I2に基づく受電側コイルRLの発生交番磁界がキャンセル用コイルGLを鎖交したことでキャンセル用コイルGLに流れる電流IG2’は、キャンセル回路GGの共振周波数に依存する位相を持つことになるが、その位相は、磁性体部MG2によってもたらされる、共振回路RRの共振周波数の基準周波数からのずれを打ち消すように作用する。
また、送電側コイルTLにて交番磁界を発生させたとき、送電側コイルTLの発生磁界によりキャンセル用コイルGLに流れた電流IG1’に基づく電圧が送電側コイルTLに発生することになるが、その発生電圧は、電流I41及びIG1’間で共振回路TTに与える影響が逆であることから分かるように、送電側コイルTLに流れる電流の振幅を増大させるように作用する。
このように、共振回路TT及びRRに対してキャンセル回路GGは磁性体部MG2とは逆の作用を与えるため、磁性体部MG2が存在することによる共振回路TT及びRRへの影響をキャンセル回路GGにより打ち消す(減ずる)ことができる。
キャンセル用コンデンサGCの静電容量値を変化させれば、電流IG1’及びIG2’の位相と、電流I1、I2、I41及びI42の位相との関係が変化し、その関係の変化によって、上記打ち消しの度合いが変化する。このため、打ち消しの度合いが最適化(最大化)されるようにキャンセル用コンデンサGCの静電容量値を調整すると良い。
また、キャンセル用抵抗GRの抵抗値を変化させれば、キャンセル回路GGとしての共振回路のQ値の変化を通じて電流IG1’及びIG2’の大きさが変化し、その電流IG1’及びIG2’の大きさの変化によっても上記打ち消しの度合いが変化する。このため、打ち消しの度合いが最適化されるようにキャンセル用抵抗GRの抵抗値を決定すると良く、キャンセル用抵抗GRが可変抵抗として形成されている場合においては、打ち消しの度合いが最適化されるようにキャンセル用抵抗GRの抵抗値を調整すると良い。
実施例EX2_2Bの構成によれば、磁性体部MG2の存在によって生じる共振回路RRの共振周波数の変化がキャンセル回路GGにて打ち消されると共に、基準配置状態において磁性体部MG2の存在によって生じる共振回路TTの共振周波数の変化がキャンセル回路GGにて打ち消されるため、共振周波数のずれの影響が解消される。また、磁性体部MG2の存在によって生じる送電側コイルTLの電流振幅減少がキャンセル回路GGの作用により打ち消されるため、当該電流振幅減少に基づく影響も解消される。故に、実施例EX2_2Bの非接触給電システムでは、磁性体部MG2の存在に対しキャンセル回路GGを設けるだけで、第1実施形態と同様の動作を行うことができる。
また、磁性体部MG2が、図35の磁性体板281のように、送電側コイルTLと受電側コイルRLとの間に存在している場合においては、上述の中間配置方法(図25(a)及び(b)参照)を採用して、受電側コイルRLと磁性体部MG2(磁性体板281)との間にキャンセル用コイルGLを配置すると良い、或いは、受電側コイルRLとキャンセル用コイルGLとの間に磁性体部MG2(磁性体板281)を配置すると良い。
しかし、図39に示すような位置に磁性体部MG2としての磁性体板282が存在する場合においては、中間配置方法(図25(a)及び(b)参照)と背面配置方法(図26(a)及び(b)参照)のどちらが採用されても良い。
図40は、磁性体部MG2として磁性体板282が設けられ且つ背面配置方法が採用された場合における、基準配置状態でのコイルTL、RL及びGL並びに磁性体板282の位置関係を示している。基準配置状態において、受電側コイルRLから見て送電側コイルTLの配置位置とは反対側の位置に磁性体板282が設けられ、且つ、受電側コイルRLと磁性体板282との間にキャンセル用コイルGLが配置される。つまり、基準配置状態において、磁性体板282、キャンセル用コイルGL、受電側コイルRL、送電側コイルTLが、Z軸方向に沿って、この順番で並んでいる。
図40のような配置関係が採用された場合、送電側コイルTL及び磁性体板282間の距離が比較的遠くなる。このため、基準配置状態において、磁性体板282としての磁性体部MG2は、共振回路TT及びRRの内、共振回路RRの共振周波数にしか影響を与えないこともありえるし、送電側コイルTLの電流振幅を減少させる作用を持たないこともありえる。つまり、磁性体部MG2の存在による、送電側共振回路TTの共振周波数の変化及び送電側コイルTLの電流振幅減少は、無視できる程度に小さいこともある。この場合、キャンセル回路GGは、もっぱら、磁性体部MG2が受電側共振回路RRに与える影響を打ち消すことを目的に設けられるとも言える。
図41は、磁性体板282の利用例を示している。図41に示す如く、電子機器2には、受電側IC200等の集積回路を含む電子回路ELが実装された基板SUBが設けられている。図41の構成例において、磁性体板282は電子回路ELと受電側コイルRLとの間に挿入され、Z軸方向に沿って電子回路EL、磁性体板282、キャンセル用コイルGL、受電側コイルRL、送電側コイルTLが、この順番で並ぶ。この際例えば、電子回路ELを基板SUBの部品面に実装し、基板SUBの部品面と反対側の面に磁性体板(磁性体シート)282を貼り付けると良い。これにより、電子回路ELの動作にとって不要なコイルRL又はTLの発生磁界が磁性体板282にて吸収され、電子回路ELの誤動作等の抑制が図られる。このように、電子回路ELへの磁界遮断を目的として、磁性体板282が電子機器2内に設けられることも多い。キャンセル回路GGは、このような磁性体板282が、電力伝送や異物検出などに与えうる望ましくない影響を打ち消すのに役立つ。
尚、磁性体部MG2と金属板270が共振回路TT及びRRに対して互いに逆の影響を与えることを考慮すれば、磁性体部MG2(図35の磁性体板281)を金属板270の開口部271に嵌め込むという方法も有益である。これによれば、キャンセル回路GGがなくとも、磁性体部MG2及び金属板270の影響を相殺し合える。しかしながら、この方法による効果の程度は、磁性体部MG2及び金属板270の形状や配置位置に依存し、効果が最適でないからといって、それらの形状等を変更することは、構造の制約上、容易でないことも多い。これに対し、キャンセル回路GGでは、トリマコンデンサの利用などにより調整が容易である。
[実施例EX2_3A]
実施例EX2_3Aを説明する。キャンセル回路GGの作用を後述の実施例EX2_3Bにて明確に説明すべく、実施例EX2_3Aでは、便宜上、電子機器2にキャンセル回路GGが設けられていないことを想定する。
共振状態変更回路240を利用したfO変更/短絡動作(共振周波数変更動作又はコイル短絡動作)の実行により、理想的には、共振回路RRが送電側コイルTLの負荷として全く機能せず、共振回路RRが存在しないのと同様の状況が達成される。しかしながら、共振周波数変更動作による変更後の共振回路RRの共振周波数が基準周波数から十分に離れていなかったり、共振回路RRの共振周波数の変更又は受電側コイルRLの短絡が非直線性を有する回路を介して行われたりすることに起因して、実際には、fO変更/短絡動作の実行下においても、送電側コイルTLの発生磁界に基づき、幾らかの電流(以下、受電側不要電流と称する)が受電側コイルRLに流れることがある。そうすると、受電側コイルRLに流れた受電側不要電流に基づく電圧が送電側コイルTLに発生し、その電圧は送電側コイルTLの電流振幅に変化をもたらす。この変化は、送電側コイルTLの電流振幅に頼るpFOD処理の異物検出精度の劣化に繋がる。
図42に、コイル短絡動作を実現できるように構成された共振状態変更回路240の例を示す。図42では、共振回路RRが並列共振回路であると仮定しており、共振状態変更回路240はトランジスタSS及び抵抗RSSを含んで構成される。トランジスタSSは、Nチャンネル型のMOSFETとして形成されている。整流回路DDはダイオード(整流素子)D1〜D4から成る全波整流回路である。電子機器2において、整流回路DD、トランジスタSS及び抵抗RSSから成る回路を、共振回路RR及び通信回路220間に、又は、共振回路RR及び受電回路230間に設けておくことができる。尚、共振回路RRと整流回路DDとの間に介在すべき切り替え回路210(図5参照)は、図42においては図示が省略されている。
図42の回路において、受電側コイルRLの一端及び受電側コンデンサRCの一端はラインLN1に共通接続される一方、受電側コイルRLの他端及び受電側コンデンサRCの他端はラインLN2に共通接続される。ラインLN1は、ダイオードD1のアノード及びダイオードD3のカソードに共通接続され、ラインLN2は、ダイオードD2のアノード及びダイオードD4のカソードに共通接続される。ダイオードD1及びD2のカソードはラインLN3に共通接続され、ダイオードD3及びD4のアノードはラインLN4に共通接続される。トランジスタSSにおいて、ドレインはラインLN3に接続され、ソースはラインLN4に接続され、ゲートは抵抗RSSを介してラインLN4に接続される。
電子機器2の制御回路250は、トランジスタSSのゲート電圧を制御することで、トランジスタSSをオン又はオフさせる。トランジスタSSがオフのとき、送電側コイルTLの発生磁界に基づき受電側コイルRLに交流電流が流れ、その交流電流に基づく電力が整流回路DDでの整流を通じてラインLN3及びLN4間に伝搬される。ラインLN3及びLN4間に伝搬された電力により受電動作等を行うことができる。
一方、トランジスタSSがオンのとき、受電側コイルRLは整流回路DDを介して(より詳細には、ダイオードD1及びD4の組み合わせ又はダイオードD2及びD3の組み合わせを介して)短絡されるので、ラインLN3及びLN4間には電圧が発生しない(説明の簡略化上、トランジスタSSのドレイン−ソース間電圧をゼロと仮定)。このように、図42のトランジスタSSは図10のスイッチ243に相当するものであるが、図42の回路では、共振回路RRとトランジスタSSとの間に、非線形性を持つ半導体素子(D1〜D4)にて構成された回路(DD)が介在する。
このため、ラインLN1及びLN2間の電圧が低い領域ではダイオードD1〜D4が非導通状態となって、トランジスタSSがオンであっても受電側コイルRLが短絡されず、結果、受電側コイルRLに受電側不要電流が流れる。
[実施例EX2_3B]
実施例EX2_3Bを説明する。実施例EX2_3Bは、実施例EX2_3Aを基準として、キャンセル回路GGを電子機器2に設けた実施例である。
実施例EX2_3Bのキャンセル回路GGは、fO変更/短絡動作が理想的でないことに対応する回路である。一方、fO変更/短絡動作は、pFOD処理において実行されるものであって、電力伝送中などには実行されない。故に、実施例EX2_3Bでは、fO変更/短絡動作の実行、非実行に連動して、図43に示す如く、制御回路250がキャンセル回路GGに対しオン制御信号又はオフ制御信号を与える。
キャンセル回路GGにオン制御信号が与えられたとき、キャンセル回路GGにおいて、コイルGL、コンデンサGC及び抵抗GRの並列接続又は直列接続による並列共振回路又は直列共振回路が形成され、従って、コイルGLに交番磁界が鎖交したときにはキャンセル回路GGで共振動作が行われる(コイルGLに電流が流れる)。
キャンセル回路GGにオフ制御信号が与えられたとき、キャンセル回路GGにおいて、コイルGL、コンデンサGC及び抵抗GR間の接続が遮断され又はコイルGLが短絡され、これによって並列共振回路又は直列共振回路が形成されなくなり、結果、コイルGLに交番磁界が鎖交してもキャンセル回路GGで共振動作が行われなくなる(コイルGLに電流が流れない)。
例えば、キャンセル回路GGにおいて、コイルGL及びコンデンサGC間を結ぶ配線上に直列にスイッチを挿入しておき、オン制御信号を受けた際には当該スイッチをオンとする一方で、オフ制御信号を受けた際には当該スイッチをオフにすることでコイルGL、コンデンサGC及び抵抗GR間の接続を遮断すると良い。或いは例えば、キャンセル回路GGにおいて、コイルGLに対して並列にスイッチを接続しておき、オン制御信号を受けた際には当該スイッチをオフにする一方で、オフ制御信号を受けた際には当該スイッチをオンにすることでコイルGLを短絡すると良い。
制御回路250は、共振状態変更回路240にfO変更/短絡動作を行わせている期間にのみキャンセル回路GGにオン制御信号を出力し、それ以外の期間(NFC通信及びNFC電力伝送が行われている期間を含む)ではキャンセル回路GGにオフ制御信号を出力することでキャンセル回路Gの共振動作を停止させる。
実施例EX2_3Bでは、以下、キャンセル回路GGにオン制御信号が与えられている状況を考える。
図44を参照する。iAは、fO変更/短絡動作の実行下において、送電側コイルTLの発生磁界に基づき受電側コイルRLに流れた受電側不要電流を表す。iBは、fO変更/短絡動作の実行下において、送電側コイルTLの発生磁界に基づきキャンセル用コイルGLに流れた電流を表す。図44では、電流iA及びiBが、複素平面上の電流ベクトルとして表記されている。電流iA及びiBが互いに逆方向の電流であれば(即ち、電流iA及びiBの位相が互いに180度異なっておれば)、電流iA及びiBは共振回路TTに対して互いに逆の作用を与えるため、送電側コイルTLの電流振幅に対する受電側不要電流iAの影響は打ち消される(軽減される)。更に、電流iA及びiBの大きさが互いに同じであれば、送電側コイルTLの電流振幅に対する受電側不要電流iAの影響は、電流iBにより完全に打ち消される。
故に、電流iA及びiBが互いに逆方向の電流となるように(即ち電流iBが受電側不要電流iAと180度異なる位相を持つように)、望ましくは、電流iA及びiBが互いに逆方向の電流であって且つ電流iA及びiBの大きさが互いに同じとなるように、キャンセル回路GGが構成される。このようなキャンセル回路GGの共振周波数は、おのずと、基準周波数からずれたものとなる。
キャンセル用コンデンサGCの静電容量値を変化させれば、電流IA及びIB間の位相関係が変化し、その位相関係の変化によって、上記打ち消しの度合いが変化する。このため、打ち消しの度合いが最適化(最大化)されるようにキャンセル用コンデンサGCの静電容量値を調整すると良い。
また、キャンセル用抵抗GRの抵抗値を変化させれば、キャンセル回路GGとしての共振回路のQ値の変化を通じて電流IBの大きさが変化し、その電流IBの大きさの変化によっても上記打ち消しの度合いが変化する。このため、打ち消しの度合いが最適化されるようにキャンセル用抵抗GRの抵抗値を決定すると良く、キャンセル用抵抗GRが可変抵抗として形成されている場合においては、打ち消しの度合いが最適化されるようにキャンセル用抵抗GRの抵抗値を調整すると良い。
実施例EX2_3Bの構成によれば、受電側不要電流が送電側コイルTLの電流振幅に与える影響を解消することができ、pFOD処理における異物検出精度を高いものに維持することが可能となる。
[実施例EX2_4]
実施例EX2_4を説明する。図45に、XY面上における受電側コイルRLとキャンセル用コイルGLの配置位置関係を示す。尚、図45では、コイルRL及びGLの外周形状が長方形であると仮定しており、図示の簡略化及び煩雑化防止のため、コイルRL及びGLの巻線を二重長方形にて表現している。二重長方形から側方に伸びる線分はコイルの引き出し線を表している。
キャンセル用コイルGLは、金属板270の影響を打ち消すためなどに設けられるものであって、受電側コイルRLとの間で磁気結合度合いを高いものにする必要性は少ない。また、金属板270との結合を考えた場合、Z軸周りにキャンセル用コイルGLをどのように回転させても、その結合の度合いは全く又は殆ど変化しない(磁性体板281又は282についても同様)。
そこで、図45に示す如く、XY面上において、コイルRL及びGLの外周形状が長方形である場合などにおいては、コイルRL及びGL間の結合を弱めるべく、コイルRL及びGLの外周形状の長軸を互いに異なる方向に向ける(例えば互いに直交させる)と良い。尚、受電側コイルRLの外周形状が長方形とされる場合、送電側コイルTLの外周形状も同一の長方形とされ、且つ、基準配置状態においては、コイルTL及びRL間の結合を高めるべく、コイルTL及びRLの外周形状の長軸が互いに同じ方向に向けられる。
同様の主旨から、XY面上においてコイルGLの形状をコイルTL及びRLの各形状と異ならせても良い。
<<第3実施形態>>
本発明の第3実施形態を説明する。第3実施形態では、キャンセル用コンデンサGCの静電容量値の調整及び決定方法について説明する。第3実施形態で述べる方法を、第2実施形態の非接触給電システムに適用できる。
第1及び第2実施形態では意識しなかったが、給電機器1における制御回路160は、通常モード及びテストモードを含む複数のモードの何れかを自身の動作モードに設定して設定した動作モードにて動作し、同様に、電子機器2における制御回路250は、通常モード及びテストモードを含む複数のモードの何れかを自身の動作モードに設定して設定した動作モードにて動作する。制御回路160についての複数のモードと、制御回路250についての複数のモードは、互いに一致していても良いし、互いに異なっていても良い。制御回路160、制御回路250についての複数のモードは、通常モード及びテストモード以外のモードを含みうるが、以下では、通常モード及びテストモードのみに注目する。
第1及び第2実施形態で述べた給電機器1及び電子機器2の動作は、全て、制御回路160及び250の動作モードが通常モードに設定されているときの動作である(但し、初期設定処理を除く)。
給電機器1の制御回路160は、給電機器1の起動時において又は給電機器1の起動後の任意のタイミングにおいて、予め定められたテストモード設定指示の入力を受けたときに限り自身の動作モードをテストモードに設定し、それ以外では自身の動作モードを通常モードに設定する。同様に、電子機器2の制御回路250は、電子機器2の起動時において又は電子機器2の起動後の任意のタイミングにおいて、予め定められたテストモード設定指示の入力を受けたときに限り自身の動作モードをテストモードに設定し、それ以外では自身の動作モードを通常モードに設定する。
図46を参照し、給電機器1はテストモード設定指示を含む様々な指示の入力を受けるための入力受付部170を有し、電子機器2はテストモード設定指示を含む様々な指示の入力を受けるための入力受付部270を有する。
例えば、入力受付部170は、操作者からテストモード設定指示の入力をうけるための、押しボタンスイッチやタッチパネル等で構成されていて良い。或いは例えば、入力受付部170は、外部機器から送信された信号を受信することが可能な通信ポートにて構成されていても良い。この場合、外部機器からの所定のテストモード移行要求信号が入力受付部170の通信ポートにて受信されることが、給電機器1及び入力受付部170に対するテストモード設定指示の入力に相当し、そのテストモード移行要求信号の受信により、制御回路160の動作モードがテストモードに設定される。外部機器は、給電機器1及び電子機器2と異なる機器であって、例えば、後述のコンピュータ装置4(図47参照)であって良い。
同様に例えば、入力受付部270は、操作者からテストモード設定指示の入力をうけるための、押しボタンスイッチやタッチパネル等で構成されていて良い。或いは例えば、入力受付部270は、外部機器から送信された信号を受信することが可能な通信ポートにて構成されていても良い。この場合、外部機器からの所定のテストモード移行要求信号が入力受付部270の通信ポートにて受信されることが、電子機器2及び入力受付部270に対するテストモード設定指示の入力に相当し、そのテストモード移行要求信号の受信により、制御回路250の動作モードがテストモードに設定される。
給電機器1の制御回路160において、動作モードがテストモードに設定された後、 給電機器1の電源をオフとし、給電機器1を再起動させると動作モードが通常モードとなる。また、制御回路160は、自身の動作モードをテストモードに設定した後、所定条件が成立すると(例えば入力受付部170にてテストモード設定指示と異なる通常モード移行指示の入力を受けたとき)自身の動作モードを通常モードに移行させることが可能であっても良い。
電子機器2の制御回路250において、動作モードがテストモードに設定された後、 電子機器2の電源をオフとし、電子機器2を再起動させると動作モードが通常モードとなる。また、制御回路250は、自身の動作モードをテストモードに設定した後、所定条件が成立すると(例えば入力受付部270にてテストモード設定指示と異なる通常モード移行指示の入力を受けたとき)自身の動作モードを通常モードに移行させることが可能であっても良い。
図47に、外部機器の例としてのコンピュータ装置4の外観を給電機器1の外観と共に示す。図48は、コンピュータ装置4の概略内部ブロック図である。コンピュータ装置4は、符号41〜44によって参照される各部位を備える。
演算処理部41は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)などから成り、各種の演算処理を実行すると共に、コンピュータ装置4内の各部位の動作を統括的に制御する。表示部42は、液晶ディスプレイパネル等から成り、演算処理部41の制御の下、任意の情報を映像として表示する。記録部43は、磁気ディスク及び半導体メモリ等からなり、任意の情報を記録する。
通信処理部44は、コンピュータ装置4と異なる機器との間で無線又は有線による通信を行う。ここでは、給電機器1及びコンピュータ装置4間において所定の有線通信規格(例えば、USB(Universal Serial Bus)の規格)に従った有線通信が可能であるものとし、給電機器1に設けられた通信ポートとコンピュータ装置4に設けられた通信ポートとが所定の通信ケーブルにて接続されることで、給電機器1及びコンピュータ装置4間で任意の情報の双方向通信が可能であるものとする。但し、コンピュータ装置4との間で無線通信を行う機能が給電機器1に設けられている場合には、給電機器1及びコンピュータ装置4間の通信は、無線通信であっても良い。
テストモードの一形態において、制御回路160は、切り替え回路110及び送電回路130への制御を通じて、テスト磁界を送電側コイルTLにて発生させることができ、制御回路250は、共振状態変更回路240を用いてfO変更/短絡動作を実行することができる。
ここでは、図49(a)及び(b)の第1テスト形態及び第2テスト形態を想定する。
第1テスト形態では、制御回路160がテストモードに設定されていて且つテスト磁界が送電側コイルTLにて発生せしめられ、また、上述の初期設定環境が整えられる(即ち給電台12上に電子機器2も異物も置かない)。
第2テスト形態では、制御回路160がテストモードに設定されていて且つテスト磁界が送電側コイルTLにて発生せしめられる一方で、制御回路250がテストモードに設定されていて且つfO変更/短絡動作が実行され、また、電子機器2が基準配置状態にて給電台12上に載置される。
図50は、テストモードを利用して、キャンセル用コンデンサGCの静電容量値を調整する処理のフローチャートである。この処理を行う際、給電機器1及びコンピュータ装置4間の通信が可能なように、それらが接続されているものとする。
まず、ステップS11において、テストモード設定指示を給電機器1及び電子機器2に与えることで、制御回路160及び250の動作モードをテストモードに設定する。また、キャンセル用コンデンサGCがトリマコンデンサにて形成される場合、調整者がキャンセル用コンデンサGCの静電容量値を手動調整できるような状態が整えられる。
続くステップS12において第1テスト形態が整えられ、制御回路160は第1テスト形態にて電圧値VDを取得する。第1テスト形態にて取得された電圧値VDを検出値と称し、VTEST1で表す。更にステップS13において第2テスト形態が整えられ、制御回路160は第2テスト形態にて電圧値VDを取得する。第2テスト形態にて取得された電圧値VDを検出値と称し、VTEST2で表す。検出値VTEST1及びVTEST2はコンピュータ装置4に送られて良い。
給電機器1の制御回路160又はコンピュータ装置4の演算処理部41に、テスト処理部(不図示)が設けられる。ステップS13に続くステップS14において、テスト処理部は絶対値|VTEST1−VTEST2|を所定の正の閾値ΔTHと比較する。“|VTEST1−VTEST2|≦ΔTH”が成立すれば、キャンセル用コンデンサGCの静電容量値が適切であると判断して該静電容量値の調整を終えるが、そうでなければステップS15に進む。尚、“|VTEST1−VTEST2|≦ΔTH”が成立する際、テスト処理部は、調整を終えて良いことを示す情報を表示部42に表示させると良い。
ステップS15において、テスト処理部は、“(VTEST2−VTEST1)>0”の成否を判断し、“(VTEST2−VTEST1)>0”の成立時にはステップS16にて共振周波数減少指示を出力してからステップS13に戻るが、“(VTEST2−VTEST1)>0”の非成立時にはステップS17にて共振周波数増加指示を出力してからステップS13に戻る。
キャンセル用コンデンサGCがトリマコンデンサにて形成され、キャンセル用コンデンサGCの静電容量値が手動調整される場合、共振周波数減少指示及び共振周波数増加指示は調整者に対する指示である。この場合、共振周波数減少指示は、キャンセル回路GGの共振周波数が減少する向きにトリマコンデンサを手動操作することを調整者に促す指示であり、例えば、その指示を表す画像が表示部42に表示される。逆に、共振周波数増加指示は、キャンセル回路GGの共振周波数が増加する向きにトリマコンデンサを手動操作することを調整者に促す指示であり、例えば、その指示を表す画像が表示部42に表示される。
キャンセル用コンデンサGCがバリキャップにて形成され、キャンセル用コンデンサGCの静電容量値が手動操作に依らずに調整される場合、共振周波数減少指示及び共振周波数増加指示は、NFC通信によって電子機器2に与えられる。但し、この場合、ステップS13〜S15の処理を1回行うたびに、給電機器1及び電子機器2がNFC通信が可能な状態とされてNFC通信により共振周波数減少指示又は共振周波数増加指示を示す信号が給電機器1から電子機器2に送信される。制御回路250は、バリキャップへの印加電圧を可変する機能を有し、共振周波数減少指示を示す信号を受信したときには、キャンセル回路GGの共振周波数が減少する向きにバリキャップへの印加電圧を所定量だけ変化させ、共振周波数増加指示を示す信号を受信したときには、キャンセル回路GGの共振周波数が増加する向きにバリキャップへの印加電圧を所定量だけ変化させる。
共振周波数減少指示に従い、キャンセル回路GGの共振周波数が減少すればVTEST2の減少が見込まれる。共振周波数増加指示に従い、キャンセル回路GGの共振周波数が増加すればVTEST2の増加が見込まれる。
例えば、電子機器2に金属板270が設けられている場合、金属板270の作用により送電側コイルTLの電流振幅増加が生じることになるが(結果、“(VTEST2−VTEST1)>0”が成立しやすくなるが)、基準周波数よりも低い共振周波数をキャンセル回路GGに持たせれば、キャンセル回路GGの作用により送電側コイルTLの電流振幅が減少するようになって、該電流振幅に対する金属板270とキャンセル回路GGの作用が打ち消し合う。故に、“(VTEST2−VTEST1)>0”の場合には共振周波数減少指示を出力する。電子機器2に磁性体部MG2が設けられている場合は、その逆である。また、|VTEST2−VTEST1|をゼロに近づけることで、fo変更/短絡動作が理想的でないことによる影響も吸収される。
図50の処理によるキャンセル用コンデンサGCの静電容量値調整を経れば、pFOD処理において、電子機器2が給電台12上に存在しないのと等価になるため、異物の存否を正確に判断することが可能となる。また、電子機器2が給電台12に載置されていないときに取得される検出値VTEST1と、fo変更/短絡動作を行いつつ電子機器2を給電台12に載置したときに取得される検出値VTEST2とが等しいことは、金属板270等によって共振周波数が基準周波数から変化せしめられる作用がキャンセル回路GGにて適切に相殺されていることを意味する。
<<本発明の考察>>
上述の各実施形態にて具体化された本発明について考察する。
本発明の一側面に係る受電装置W1は、電力を送電するための送電側コイル(TL)を含む送電側共振回路(TT)を有する送電装置から磁界共鳴方式で前記電力を受電可能な受電装置において、前記電力を受電するための受電側コイル(RL)を含む受電側共振回路(RR)と、前記受電側コイルと異なる補助コイル(GL)を含む補助共振回路(GG)と、を備え、前記送電側コイル又は前記受電側コイルの発生磁界に基づき前記補助コイルに電流が流れる位置に、前記補助コイルが配置されることを特徴とする。
例えば、受電装置に、受電側共振回路の特性、動作に影響を与える部材(金属板など)が配置されることがあるが、上記の補助共振回路を設けておくことにより該影響を打ち消すことが可能となり、結果、適正な受電動作等を行うことが可能となる。
ここで、受電側コイルと補助コイルとの関係について、各実施形態にて受電側コイルの例として挙げた受電側コイルRLと補助コイルの例として挙げたキャンセル用コイルGLとに注目して説明を加える。上述の各実施形態において、受電側コイルRLとキャンセル用コイルGLとが別々に設けられて、前者が受電側共振回路RRを形成し且つ後者がキャンセル回路GGを形成できる限り、コイルRL及びGLの具体的構成方法は任意である。
例えば、回路図で示すと、回路RR及びGGは図51のような関係を有していても良い。図51の回路では、回路RR及びGGが共に並列共振回路として形成されており、コイルGL、コンデンサGC及び抵抗GRの各一端を共通接続するライン(配線)と、コイルRL及びコンデンサRCの各一端を共通接続するライン(配線)とが、共通のラインLL1となっているものの、コイルGL、コンデンサGC及び抵抗GRの各他端を共通接続するラインLL2と、コイルRL及びコンデンサRCの各他端を共通接続するラインLL3とが、別々のラインになっており、ラインLL1〜LL3を経由する電流ループ(閉回路)は形成されない。図51の回路構成におけるキャンセル用コイルGL及び受電側コイルRLは、当然に、互いに異なるコイルであり、別々に設けられた互いに分離したコイルと言える。
図52に示す如く、キャンセル用コイルGLを形成する巻線の大部分と受電側コイルRLを形成する巻線の大部分とが別々の巻線になっているものの、前者の巻線の一部分と後者の巻線の一部分とが共通化されることもありえるが(共通化された部分は巻線の一部分とは呼べない配線部分でありうる)、このような巻線構成においても、キャンセル用コイルGL及び受電側コイルRLは互いに異なるコイルであると言える。尚、図52においてキャンセル用抵抗GRの図示は省略されている。
また例えば、図53に示す如く、電子機器2に搭載された基板(プリント基板)の第1面に受電側コイルRLが第1パターンコイルとして設けられる一方、当該基板における第1面とは逆側の第2面にキャンセル用コイルGLが第1パターンコイルと異なる第2パターンコイルとして設けられることもある。
本発明の一側面に係る非接触給電システムW2は、受電装置W1と、電力を送電するための送電側コイルを含む送電側共振回路を有する送電装置と、を備え、磁界共鳴方式で前記電力の送受電が可能であることを特徴とする。
具体的には例えば、非接触給電システムW2において、前記送電装置は、前記送電側共振回路に交流電圧を供給可能な送電回路と、前記送電側コイルに流れる電流の振幅を検出する検出回路と、前記検出回路の振幅検出値に基づき前記送電回路を制御することで前記電力の送電制御を行う制御回路と、を備えていると良い。
そして例えば、前記受電装置は、前記送電装置からの電力の受電に先立ち、前記受電側共振回路の共振周波数を前記受電の際の共振周波数から変更する又は前記受電側コイルを短絡する変更/短絡回路を備え、前記送電側制御部は、前記送電装置からの通信による信号に従い前記受電装置にて前記受電側共振回路の共振周波数の変更又は前記受電側コイルの短絡が行われている状態で、前記送電に先立ち所定のテスト磁界が前記送電側コイルで発生されるよう前記送電回路を制御する第1処理部と、前記テスト磁界が発生されているときの前記検出回路による振幅検出値に基づき前記送電の実行可否を判断する第2処理部と、前記送電を実行可能と判断した後に前記テスト磁界よりも大きな送電用磁界が前記送電側コイルで発生されるよう前記送電回路を制御することで前記送電を実現する第3処理部と、を有し、前記状態において、前記受電側共振回路が前記送電側コイルの電流振幅に与える影響を打ち消す電流が前記補助共振回路に流れると良い。
受電側共振回路の共振周波数の変更又は受電側コイルの短絡を担う回路の非直線性などに起因して、変更/短絡回路が動作しても、送電側コイルの発生磁界に基づき受電側共振回路に幾らかの電流が流れることがあり、その電流は磁界を発生させて、送電側コイルの電流振幅に変化を与えることがある。この変化は、送電側コイルの電流振幅に基づいて行われる、送電の実行可否判断にとって好ましくない。上記の構成によれば、補助共振回路の働きにより、そのような変化が打ち消されることになるため、送電の実行可否判断の適正化が図られる。
尚、上述の各実施形態における給電機器1そのものが本発明に係る送電装置として機能しても良いし、上述の各実施形態における給電機器1の一部が本発明に係る送電装置として機能しても良い。同様に、上述の各実施形態における電子機器2そのものが本発明に係る受電装置として機能しても良いし、上述の各実施形態における電子機器2の一部が本発明に係る受電装置として機能しても良い。
<<変形等>>
本発明の実施形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。以上の実施形態は、あくまでも、本発明の実施形態の例であって、本発明ないし各構成要件の用語の意義は、以上の実施形態に記載されたものに制限されるものではない。上述の説明文中に示した具体的な数値は、単なる例示であって、当然の如く、それらを様々な数値に変更することができる。上述の実施形態に適用可能な注釈事項として、以下に、注釈1〜注釈3を記す。各注釈に記載した内容は、矛盾なき限り、任意に組み合わせることが可能である。
[注釈1]
上述の実施形態では、各種の信号の周波数や共振周波数を、基準周波数としての13.56MHzに設定することを述べたが、13.56MHzは設定の目標値であって、実際の機器における、それらの周波数には誤差が含まれる。
[注釈2]
本発明をNFCの規格に沿って具現化したものを実施形態中に示したため、基準周波数が13.56MHzであると述べたが、基準周波数は13.56MHz以外でも構わない。これに関連するが、本発明が適用される給電機器及び電子機器間の通信及び電力伝送は、NFC以外の規格に沿った通信及び電力伝送であっても良い。
本発明に係る非接触給電システムの基準周波数が13.56MHz以外の周波数(例えば、6.78MHz)に設定されていて且つ非接触ICカードとして形成された異物3における共振回路JJの共振周波数が13.56MHzである場合にも、異物3が給電台12に置かれた際には、pFOD処理又はmFOD処理にて電圧値VDに相応量の変化がみられるため、そのような場合にも、上述の方法により異物3の検出が可能である。
[注釈3]
本発明に係る受電装置又は送電装置である対象装置を、集積回路等のハードウェア、或いは、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせによって構成することができる。対象装置にて実現される機能の全部又は一部である任意の特定の機能をプログラムとして記述して、該プログラムを対象装置に搭載可能なフラッシュメモリに保存しておいても良い。そして、該プログラムをプログラム実行装置(例えば、対象装置に搭載可能なマイクロコンピュータ)上で実行することによって、その特定の機能を実現するようにしてもよい。上記プログラムは任意の記録媒体に記憶及び固定されうる。上記プログラムを記憶及び固定する記録媒体は対象装置と異なる機器(サーバ機器等)に搭載又は接続されても良い。