以下、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の発明を実施するための形態(以下、実施形態という)により本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、下記実施形態で開示した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
(実施形態)
図1は、本実施形態に係る電柱挟持工具を示す平面図である。図2は、本実施形態に係る電柱挟持工具が電柱に取り付けられた状態を示す側面図である。図3は、図2におけるA−A断面図である。図4は、本実施形態に係る電柱挟持工具に設けられた第1弾性部材を示す斜視図である。図2に示すように、電柱挟持工具10は、防護シート8を電柱100に取り付けるために使用される工具である。防護シート8を電柱100に取り付ける際、例えば、2つの電柱挟持工具10が使用される。防護シート8は、例えばEVA(Ethylene-Vinyl Acetate)すなわちエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂で形成されており、絶縁性および可撓性を有する。
図1に示すように、本実施形態に係る電柱挟持工具10は、第1アーム11と、第2アーム12と、第3アーム13と、第4アーム14と、第1連結部材31と、第2連結部材32と、第3連結部材33と、第1弾性部材41と、第2弾性部材42と、第3弾性部材43と、第1操作部51と、第2操作部52と、を備える。
図1に示すように、第1アーム11は、湾曲した部材である。第2アーム12は、第1アーム11に対向するように配置されており、平面視で第1アーム11とは逆に湾曲している。図3に示すように、第1アーム11および第2アーム12は、電柱100の表面の曲率に略等しい曲率で湾曲している。第1アーム11および第2アーム12は、例えばプラスチック等の絶縁性材料により形成されている。また、第1アーム11および第2アーム12は、内部に空洞を有する中空部材である。
第1連結部材31は、例えば蝶番を有する部材である。第1連結部材31は、第1アーム11および第2アーム12が相対的に揺動できるように、第1アーム11および第2アーム12を連結している。第1連結部材31は、第1アーム11の一端と第2アーム12の一端とを連結している。このため、第1アーム11は、第2アーム12の一端(第1連結部材31)を中心に回転することができ、第2アーム12は、第1アーム11の一端(第1連結部材31)を中心に回転することができる。以下の説明においては、第1アーム11および第2アーム12が互いに遠ざかるように揺動することは、第1アーム11および第2アーム12が開くと記載され、第1アーム11および第2アーム12が互いに近づくように揺動することは、第1アーム11および第2アーム12が閉じると記載される。
第1操作部51は、第1連結部材31から第1アーム11とは異なる方向に向かって設けられている。具体的には、本実施形態に係る第1操作部51は、第1アーム11の一端に第1アーム11と一体に形成されており、第1アーム11に連動する。
第2操作部52は、第1連結部材31から第2アーム12とは異なる方向に向かって設けられている。具体的には、本実施形態に係る第2操作部52は、第2アーム12の一端に第2アーム12と一体に形成されており、第2アーム12に連動する。
第1弾性部材41は、第1操作部51と第2操作部52とに跨って配置されている。図4に示すように、第1弾性部材41は、例えばねじりコイルばねであって、螺旋状の本体部413と、本体部413の一端から突出する第1端部411と、本体部413の他端から突出する第2端部412と、を備える。
第1端部411が第1操作部51に接触しており、第2端部412が第2操作部52に接触している。外力により第1操作部51および第2操作部52が互いに近づくと、第1端部411が第2端部412に近づく。これにより、第1弾性部材41の本体部413に弾性力が生じるため、第1端部411および第2端部412が第1操作部51および第2操作部52を押し戻す。このため、第1弾性部材41は、第1アーム11および第2アーム12に、互いに近づく方向の力を加えることができる。このため、第1操作部51および第2操作部52を互いに近づけた外力が取り除かれると、第1アーム11および第2アーム12は自動的に閉じられる。
第3アーム13は、湾曲した部材であって、第1アーム11の他端に配置されている。第3アーム13の形状は、第1アーム11に沿った円弧状である。第4アーム14は、湾曲した部材であって、第2アーム12の他端に配置されている。第4アーム14の形状は、第2アーム12に沿った円弧状である。図3に示すように、第3アーム13および第4アーム14は、電柱100の表面の曲率に略等しい曲率で湾曲している。第3アーム13および第4アーム14は、例えばプラスチック等の絶縁性材料により形成されている。また、第3アーム13および第4アーム14は、内部に空洞を有する中空部材である。また、図1に示すように、電柱挟持工具10が電柱100に取り付けられる前の状態において、第3アーム13の先端は第4アーム14の先端に対して隙間を空けて配置されている。また、第3アーム13の先端と第4アーム14の先端との間の隙間は、外側に向かって大きくなっている。
第2連結部材32は、例えば蝶番を有する部材である。第2連結部材32は、第3アーム13が第4アーム14に対して遠ざかる方向および近づく方向に揺動できるように、第1アーム11および第3アーム13を連結している。第2連結部材32は、第1アーム11の他端と第3アーム13の一端とを連結している。すなわち、第2連結部材32は、第1アーム11および第3アーム13の間に配置された関節である。このため、第3アーム13は、第1アーム11の他端(第2連結部材32)を支点として揺動することができる。
第3連結部材33は、例えば蝶番を有する部材である。第3連結部材33は、第4アーム14が第3アーム13に対して遠ざかる方向および近づく方向に揺動できるように、第2アーム12および第4アーム14を連結している。第3連結部材33は、第2アーム12の他端と第4アーム14の一端とを連結している。すなわち、第3連結部材33は、第2アーム12および第4アーム14の間に配置された関節である。このため、第4アーム14は、第2アーム12の他端(第3連結部材33)を支点として揺動することができる。
第3アーム13および第4アーム14が互いに遠ざかるように揺動すると、第3アーム13の先端と第4アーム14の先端との間の隙間が大きくなる。第3アーム13および第4アーム14が互いに近づくように揺動すると、第3アーム13の先端と第4アーム14の先端との間の隙間が小さくなる。以下の説明においては、第3アーム13および第4アーム14が互いに遠ざかるように揺動することは、第3アーム13および第4アーム14が開くと記載され、第3アーム13および第4アーム14が互いに近づくように揺動することは、第3アーム13および第4アーム14が閉じると記載される。
第2弾性部材42は、例えば引張コイルばねであって、第1アーム11および第3アーム13の内部で第1アーム11と第3アーム13とに跨って配置されている。第2弾性部材42の両端は、それぞれ第1アーム11および第3アーム13に取り付けられている。より具体的には、第2弾性部材42の一端は、第1アーム11の内壁に設けられた取付部材111に取り付けられ、第2弾性部材42の他端は、第3アーム13の内壁に設けられた取付部材131に取り付けられている。第2弾性部材42が第1アーム11および第3アーム13の内部に配置されていることで、第2弾性部材42が破損する可能性が低減する。
第3弾性部材43は、例えば引張コイルばねであって、第2アーム12および第4アーム14の内部で第2アーム12と第4アーム14とに跨って配置されている。第3弾性部材43の両端は、それぞれ第2アーム12および第4アーム14に取り付けられている。より具体的には、第3弾性部材43の一端は、第2アーム12の内壁に設けられた取付部材121に取り付けられ、第3弾性部材43の他端は、第4アーム14の内壁に設けられた取付部材141に取り付けられている。第3弾性部材43が第2アーム12および第4アーム14の内部に配置されていることで、第3弾性部材43が破損する可能性が低減する。
第2弾性部材42および第3弾性部材43のばね定数は、第3アーム13および第4アーム14に対して外力が加えられたときに、第1弾性部材41が変形する前に第2弾性部材42および第3弾性部材43が変形する大きさに設定されている。このため、第3アーム13および第4アーム14に対して互いに遠ざかる方向の外力が加えられると、第1アーム11および第2アーム12が開く前に第3アーム13および第4アーム14が開く。
なお、第2弾性部材42は、第1アーム11と第3アーム13とに跨って配置されるねじりコイルばねであってもよいし、第3弾性部材43は、第2アーム12と第4アーム14とに跨って配置されるねじりコイルばねであってもよい。また、第1弾性部材41は、第1操作部51と第2操作部52とに跨って配置される圧縮コイルばねであってもよいし、第1アーム11と第2アーム12とに跨って配置される引張コイルばねであってもよい。例えば、第1弾性部材41、第2弾性部材42および第3弾性部材43がねじりコイルばねである場合、第2弾性部材42および第3弾性部材43のばね定数は、第1弾性部材41のばね定数よりも小さく設定される。また、第1弾性部材41、第2弾性部材42および第3弾性部材43は、コイルばねでなくてもよく、例えば合成ゴム等のその他の弾性体であってもよい。
図5〜図7は、本実施形態に係る電柱挟持工具を用いて防護シートを電柱に取り付ける方法を説明する模式図である。図5は、防護シート8を電柱100に取り付ける際の最初の工程を示している。図6は、第3アーム13および第4アーム14が開いた状態を示している。図7は、第1アーム11および第2アーム12が開き始めた状態を示している。
電柱挟持工具10を用いて防護シート8を電柱100に取り付ける際、最初に、可撓性を有する防護シート8が電柱100に巻き付けられる。そして、防護シート8が電柱100に巻き付けられた状態が、図5に示すようにホットスティック92で保持される。その後、ホットスティック92とは別のホットスティック91により例えば第1操作部51が把持された状態で、第3アーム13および第4アーム14の先端が防護シート8に接触させられる。
次に、電柱挟持工具10は、電柱100に向かって押し込まれる。すなわち、電柱挟持工具10に対して、電柱100の径方向の力がホットスティック91を介して加えられる。電柱挟持工具10が押し込まれると、第3アーム13および第4アーム14に電柱100から反力が加わる。電柱100の表面が凸曲面であり且つ第3アーム13の先端と第4アーム14の先端との間に隙間があることにより、電柱100からの反力は、図5に示すように第3アーム13および第4アーム14を開かせる方向に作用する。このため、電柱挟持工具10が電柱100に向かって押し込まれていくと、図6に示すように第3アーム13および第4アーム14が電柱100の表面に沿って開いていく。また、第3アーム13および第4アーム14が開くに従って、第2弾性部材42および第3弾性部材43は引っ張られる。このため、第3アーム13には第4アーム14に近づく方向の力が第2弾性部材42から加わり、第4アーム14には第3アーム13に近づく方向の力が第3弾性部材43から加えられている。
さらに電柱挟持工具10が押し込まれると、図7に示すように第1アーム11および第2アーム12が防護シート8に接触する。これにより、第1アーム11および第2アーム12に電柱100から反力が加わる。電柱100からの反力は、図7に示すように第1アーム11および第2アーム12を開かせる方向に作用する。このため、電柱挟持工具10が電柱100に向かって押し込まれていくと、第1アーム11および第2アーム12が電柱100の表面に沿って開いていく。
第3アーム13および第4アーム14が電柱100の裏側に向かうに従って、第3アーム13および第4アーム14に加わる電柱100から反力が小さくなる。なお、電柱100の裏側は、第3アーム13および第4アーム14が最初に接した位置に対して電柱100の径方向で反対側を意味している。一方、第3アーム13および第4アーム14には、第2弾性部材42および第3弾性部材43の弾性力が復元力として作用している。これにより、第3アーム13および第4アーム14が図3に示すように電柱100の表面に沿うように閉じられる。このため、第3アーム13および第4アーム14は、防護シート8のうち電柱100の裏側に位置する部分を押さえることができる。図3で示すように、電柱挟持工具10は、電柱100の表面に沿った第1アーム11、第2アーム12、第3アーム13および第4アーム14によって防護シート8を電柱100に保持できる。
なお、電柱挟持工具10は、必ずしも第1操作部51および第2操作部52を備えていなくてもよい。このような場合、例えば第1アーム11または第2アーム12がホットスティック91で把持されればよい。
以上述べたように、本実施形態に係る電柱挟持工具10は、第1アーム11と、第2アーム12と、第1連結部材31と、第1弾性部材41と、第3アーム13と、第4アーム14と、第2連結部材32と、第2弾性部材42と、第3連結部材33と、第3弾性部材43と、を備える。第1アーム11は、湾曲した部材である。第2アーム12は、第1アーム11とは逆に湾曲した部材である。第1連結部材31は、第1アーム11と第2アーム12とが互いに遠ざかる方向および近づく方向に揺動できるように、第1アーム11の一端および第2アーム12の一端を連結する。第1弾性部材41は、第1アーム11および第2アーム12に、互いに近づく方向の力を加える。第3アーム13は、第1アーム11の他端に設けられる湾曲した部材である。第4アーム14は、第2アーム12の他端に設けられる湾曲した部材である。第2連結部材32は、第3アーム13が第4アーム14に対して遠ざかる方向および近づく方向に揺動できるように、第1アーム11の他端と第3アーム13の一端とを連結する。第2弾性部材42は、第4アーム14に近づく方向の力を第3アーム13に加える。第3連結部材33は、第4アーム14が第3アーム13に対して遠ざかる方向および近づく方向に揺動できるように、第2アーム12の他端と第4アーム14の一端とを連結する。第3弾性部材43は、第3アーム13に近づく方向の力を第4アーム14に加える。
電柱挟持工具10は、第2連結部材32および第3連結部材33を備えることで、先端が開きやすくなっている。これにより、電柱挟持工具10は、第3アーム13および第4アーム14によって容易に電柱100を挟むことができる。そして、電柱挟持工具10が電柱100に押し込まれると、第1アーム11および第2アーム12が電柱100からの反力により開かれ、第1弾性部材41の弾性力により防護シート8を挟み込む。さらに電柱挟持工具10が押し込まれると、第2弾性部材42および第3弾性部材43の弾性力により、第3アーム13および第4アーム14が電柱100の裏側で表面に沿うように閉じられる。このように、電柱挟持工具10は、電柱100からの反力を利用できるので、電柱100に防護シート8を取り付けるための動作を従来技術に比較して単純化できる。したがって、電柱挟持工具10は、間接活線作業を行う際の防護シート8の取付作業を容易にすることができる。
また、本実施形態に係る電柱挟持工具10において、第3アーム13の他端および第4アーム14の他端が電柱100に押し付けられると、第3アーム13および第4アーム14が互いに遠ざかる方向に揺動する。このため、電柱挟持工具10によれば、電柱100に押し込むという単純な動作によって防護シート8の取付が可能となる。
また、本実施形態に係る電柱挟持工具10において、第3アーム13の他端は、第4アーム14の他端に対して隙間を空けて配置されている。これにより、第3アーム13の他端および第4アーム14の他端が電柱100に押し付けられたとき、電柱100が第3アーム13と第4アーム14との間に入り込みやすくなる。このため、第3アーム13および第4アーム14がより開きやすくなる。
また、本実施形態に係る電柱挟持工具10は、第1操作部51と、第2操作部52と、を備える。第1操作部51は、第1連結部材31から第1アーム11とは異なる方向に向かって設けられ、且つ第1アーム11と連動する。第2操作部52は、第1連結部材31から第2アーム12とは異なる方向に向かって設けられ、且つ第2アーム12と連動する。これにより、第1操作部51および第2操作部52の把持によって、第3アーム13と第4アーム14との間の隙間を拡大することができる。このため、電柱挟持工具10が電柱100に押し付けられたときに第3アーム13および第4アーム14がより開きやすくなる。
(変形例1)
図8は、変形例1に係る電柱挟持工具を示す平面図である。図9は、変形例1に係る電柱挟持工具が電柱に取り付けられた状態を示す断面図である。なお、上述した実施形態で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
図8に示すように、変形例1に係る電柱挟持工具10Aは、第3操作部53と、第1操作紐61と、第4操作部54と、第2操作紐62と、を備える。
第3操作部53は、例えば第1操作部51に設けられた板バネである。第3操作部53の一端は第1操作部51に固定されており、他端は第1操作部51に隙間を空けて配置されている。このため、第3操作部53の他端は、第1操作部51に対して遠ざかる方向および近づく方向に揺動できる。
第1操作紐61は、例えばワイヤ等の紐状部材である。第1操作紐61は、第3アーム13および第3操作部53を連結している。より具体的には、第3アーム13の外側表面に設けられた環状の取付部132に第1操作紐61の一端が固定され、第3操作部53に設けられた環状の取付部531に第1操作紐61の他端が固定されている。図8に示すように、電柱挟持工具10Aが電柱100に取り付けられる前の状態で、第1操作紐61はピンと張られている。すなわち、第1操作紐61には張力が生じている。
第4操作部54は、例えば第2操作部52に設けられた板バネである。第4操作部54の一端は第2操作部52に固定されており、他端は第2操作部52に隙間を空けて配置されている。このため、第4操作部54の他端は、第2操作部52に対して遠ざかる方向および近づく方向に揺動できる。
第2操作紐62は、例えばワイヤ等の紐状部材である。第2操作紐62は、第4アーム14および第4操作部54を連結している。より具体的には、第4アーム14の外側表面に設けられた環状の取付部142に第2操作紐62の一端が固定され、第4操作部54に設けられた環状の取付部541に第2操作紐62の他端が固定されている。図8に示すように、電柱挟持工具10Aが電柱100に取り付けられる前の状態で、第2操作紐62はピンと張られている。すなわち、第2操作紐62には張力が生じている。
なお、第3操作部53および第4操作部54は、必ずしも板バネでなくてもよい。例えば、第3操作部53および第4操作部54は、蝶番およびねじりコイルばねの組み合わせによって揺動する部材であってもよい。
なお、第1操作紐61および第2操作紐62は、必ずしもワイヤでなくてもよく、例えばポリエステル等の化学繊維で形成されていてもよいし、麻等の天然繊維で形成されていてもよい。また、第1操作紐61および第2操作紐62は、必ずしもピンと張られていなくてもよく、弛んでいてもよい。
図10および図11は、変形例1に係る電柱挟持工具を用いて防護シートを電柱に取り付ける方法を説明する模式図である。図10は、第1操作部51および第3操作部53が把持された状態を示している。図11は、第1アーム11および第2アーム12が開き始めた状態を示している。
図10に示すように、ホットスティック91で第1操作部51および第3操作部53が把持されると、第3操作部53が第1操作部51に近づく方向に撓む。このため、第1操作紐61を介して第3アーム13が外側に引っ張られるので、第3アーム13が第4アーム14から遠ざかる。すなわち、第3アーム13と第4アーム14との間の隙間が大きくなる。
次に、ホットスティック91で第1操作部51および第3操作部53が把持された状態のまま、電柱挟持工具10Aが電柱100に押し込まれる。第3アーム13と第4アーム14との間の隙間が大きくなっているので、第3アーム13および第4アーム14が開きやすい。このため、電柱挟持工具10Aを押し込むために必要な力は、上述した実施形態に比較して小さくなる。
さらに電柱挟持工具10Aが押し込まれると、図11に示すように第1アーム11および第2アーム12が防護シート8に接触する。このため、第1アーム11および第2アーム12が電柱100の表面に沿って開いていく。最終的には、図9で示すように、電柱挟持工具10Aは、電柱100の表面に沿った第1アーム11、第2アーム12、第3アーム13および第4アーム14によって防護シート8を電柱100に保持する。
なお、第1操作部51および第3操作部53に代えて、第2操作部52および第4操作部54が把持されてもよい。このようにした場合、第2操作紐62を介して第4アーム14が外側に引っ張られるので、第4アーム14が第3アーム13から遠ざかる。また、第3操作部53および第4操作部54のいずれか一方はなくてもよい。
以上述べたように、電柱挟持工具10Aは、第3操作部53と、第1操作紐61と、を備える。第3操作部53は、第1操作部51に取り付けられている。第1操作紐61は、第3操作部53と第3アーム13とを連結し、第3操作部53の変位に応じて第3アーム13を揺動させる。これにより、第1操作部51が把持されることで予め第3アーム13と第4アーム14との間の隙間が拡大される。このため、電柱挟持工具10Aが電柱100に押し込まれたときに第3アーム13および第4アーム14が開きやすくなる。したがって、電柱挟持工具10Aは、防護シート8の取付作業を容易にすることができる。
さらに、電柱挟持工具10Aは、第4操作部54と、第2操作紐62と、を備える。第4操作部54は、第2操作部52に取り付けられている。第2操作紐62は、第4操作部54と第4アーム14とを連結し、第4操作部54の変位に応じて第4アーム14を揺動させる。これにより、第1操作部51および第2操作部52のいずれか一方が把持されれば、第3アーム13と第4アーム14との間の隙間が拡大される。このため、第3アーム13と第4アーム14との間の隙間を予め拡大させる作業がより容易になる。
(変形例2)
図12は、変形例2に係る防護シートが電柱に取り付けられた状態を示す側面図である。図13は、図12におけるB−B断面図である。なお、上述した実施形態で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
図13に示すように、変形例2に係る防護シート8Aは、絶縁性および可撓性を有するシートであって、第1収納部81と、第2収納部82と、を備える。第1収納部81は、例えば電柱挟持工具10の第1アーム11および第3アーム13を収納できる袋状の部材である。第2収納部82は、例えば電柱挟持工具10の第2アーム12および第4アーム14を収納できる袋状の部材である。第1収納部81および第2収納部82は、隣接して設けられている。防護シート8Aは、隣接する第1収納部81および第2収納部82の組を例えば2組備える。2組の第1収納部81および第2収納部82は、例えば防護シート8Aが電柱100に巻き付けられたときにそれぞれ電柱100の軸方向両端に位置するように配置されている。
防護シート8Aには、2つの電柱挟持工具10が取り付けられている。電柱挟持工具10の第1アーム11および第3アーム13が第1収納部81に挿入されており、第2アーム12および第4アーム14が第2収納部82に挿入されている。これにより、防護シート8Aは、電柱100に巻き付けられる前の状態で、第1アーム11、第2アーム12、第3アーム13および第4アーム14に沿った湾曲した形状になっている。防護シート8Aは、電柱挟持工具10の動作に追従して変形できる。すなわち、第1アーム11および第2アーム12が開くとき、第1アーム11および第2アーム12に追従して防護シート8Aも開く。第3アーム13および第4アーム14が開くとき、第3アーム13および第4アーム14に追従して防護シート8Aも開く。
防護シート8Aを電柱100に取り付ける際、防護シート8Aは、第3アーム13および第4アーム14の先端側から電柱100に押し込まれる。そして、上述した実施形態と同様に第1アーム11、第2アーム12、第3アーム13および第4アーム14が電柱100に沿うように開閉する。第1アーム11、第2アーム12、第3アーム13および第4アーム14に追従して防護シート8Aが開閉するので、図13に示すように防護シート8Aが電柱100に保持される。このため、防護シート8Aによれば、上述した実施形態に比較して、最初に防護シートを電柱100に巻き付けてホットスティックで保持しておく工程が省略される。
また、図12に示すように、防護シート8Aが電柱100に取り付けられた状態で電柱挟持工具10が電柱100の軸方向に動かされると、電柱挟持工具10に追従して防護シート8Aが伸縮する。具体的には、防護シート8Aは、2つの電柱挟持工具10に挟まれる部分を弛ませながら伸縮する。このため、防護シート8Aによれば、電柱100を覆う面積の調整が容易となる。
なお、防護シート8Aに取り付けられる電柱挟持工具10は3つ以上であってもよい。また、変形例1で示した電柱挟持工具10Aが防護シート8Aに取り付けられていてもよい。
以上説明したように、防護シート8Aは、電柱挟持工具10(または電柱挟持工具10A)が少なくとも2つ取り付けられた、絶縁性および可撓性を有するシートである。防護シート8Aは、第1アーム11および第3アーム13を収納する第1収納部81と、第2アーム12および第4アーム14を収納する第2収納部82と、を備える。これにより、上述した実施形態に比較して最初に防護シートを電柱100に巻き付けてホットスティックで保持しておく工程が省略される。このため、防護シート8Aは、間接活線作業を行う際の電柱100の保護作業を容易にすることができる。