JP6449616B2 - 布帛および繊維製品および布帛の処理方法 - Google Patents

布帛および繊維製品および布帛の処理方法 Download PDF

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Description

本発明は、全芳香族ポリアミド繊維を含む布帛であって、難燃性だけでなく洗濯耐久性のある吸汗性をも有する布帛および繊維製品および布帛の処理方法に関する。
従来、全芳香族ポリアミド繊維を含む難燃性布帛で構成された、消防服や作業着等は、気温の高い環境での運動・作業で着用する機会が多く、作業者は発汗を余儀なくされる。しかしながら、火炎などからの防護性能を優先する必要があるため、その快適性はあまり考慮されてこなかった。
一方、発汗時の快適性を得る方法として、肌側に発生した汗を効率的に生地で吸い上げる方法が提案されている(たとえば特許文献1参照)。
しかしながら、難燃性だけでなく洗濯耐久性のある吸汗性をも有する布帛はこれまであまり提案されていない。
特開2011−94285号公報
本発明は上記の背景に鑑みなされたものであり、その目的は、全芳香族ポリアミド繊維を含む布帛であって、難燃性だけでなく洗濯耐久性のある吸汗性をも有する布帛および繊維製品および布帛の処理方法を提供することにある。
本発明者らは上記の課題を達成するため鋭意検討した結果、全芳香族ポリアミド繊維を含む布帛に特定の吸汗加工剤を付与することにより、難燃性だけでなく洗濯耐久性のある吸汗性をも有する布帛が得られることを見出し、さらに鋭意検討を重ねることにより本発明を完成するに至った。
かくして、本発明によれば「全芳香族ポリアミド繊維を含む布帛であって、布帛に吸汗加工剤が付与されており、洗濯10回後におけるJIS L1018A法(滴下法)による吸水速度が10秒以下であり、前記吸汗加工剤が、粒子径が25〜200nmの範囲内であるポリエチレングリコール−アミノシリコーン共重合体であることを特徴とする布帛。」が提供される。
その際、布帛の限界酸素指数LOIが26以上であることが好ましい。また、前記全芳香族ポリアミド繊維がメタ型全芳香族ポリアミド繊維であることが好ましい。かかるメタ型全芳香族ポリアミド繊維において結晶化度が15〜25%の範囲内であることが好ましい。また、前記メタ型全芳香族ポリアミド繊維を形成するメタ型全芳香族ポリアミドが、下記の式(1)で示される反復構造単位を含む芳香族ポリアミド骨格中に、反復構造の主たる構成単位とは異なる芳香族ジアミン成分、または芳香族ジカルボン酸ハライド成分を、第3成分として芳香族ポリアミドの反復構造単位の全量に対し1〜10mol%となるように共重合させたメタ型全芳香族ポリアミドであることが好ましい。
−(NH−Ar1−NH−CO−Ar1−CO)− ・・・式(1)
ここで、Ar1はメタ配位又は平行軸方向以外に結合基を有する2価の芳香族基である。
その際、第3成分となる芳香族ジアミンが式(2)、(3)、または芳香族ジカルボン酸ハライドが、式(4)、(5)であることが好ましい。
N−Ar2−NH ・・・式(2)
N−Ar2−Y−Ar2−NH ・・・式(3)
XOC−Ar3−COX ・・・式(4)
XOC−Ar3−Y−Ar3−COX ・・・式(5)
ここで、Ar2はAr1とは異なる2価の芳香族基、Ar3はAr1とは異なる2価の芳
香族基、Yは酸素原子、硫黄原子、アルキレン基からなる群から選ばれる少なくとも1種
の原子又は官能基であり、Xはハロゲン原子を表す。
また、前記メタ型芳香族ポリアミド繊維の残存溶媒量が0.1質量%以下であることが好ましい。
また、布帛がさらに、セルロース繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維、ポリアミド繊維、ポリベズビスオキサゾール繊維、および全芳香族ポリエステル繊維から選択される少なくとも一つを含むことが好ましい。その際、前記セルロース系繊維が難燃レーヨンであることが好ましい。また、前記のセルロース系繊維またはポリエステル繊維またはアクリル繊維またはポリアミド繊維が難燃剤を含むことが好ましい。また、前記パラ型全芳香族ポリアミド繊維が、パラフェニレンテレフタラミド繊維またはコパラフェニレン・3、4’オキシジフェニレンテレフタルアミド繊維であることが好ましい
本発明の布帛において、布帛の目付けが130〜260g/mの範囲内であることが好ましい。また、布帛に染色加工が施されていることが好ましい。
また、本発明によれば、前記の布帛を用いてなり、防護服、消防防火服、消防活動服、救助服、ワークウェア、警察制服、自衛隊衣服、および軍服からなる群より選択されるいずれかの繊維製品が提供される。
また、本発明によれば、全芳香族ポリアミド繊維を含む布帛に、粒子径が25〜200nmの範囲内であるポリエチレングリコール−アミノシリコーン共重合体を含む吸汗加工剤を付与することを特徴とする布帛の処理方法が提供される。
本発明によれば、難燃性だけでなく洗濯耐久性のある吸汗性をも有する布帛および繊維製品および布帛の処理方法が得られる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。本発明の布帛は、全芳香族ポリアミド繊維を含む布帛であって、布帛に吸汗加工剤が付与されており、洗濯10回後におけるJIS L1018A法(滴下法)による吸水速度が10秒以下(好ましくは3秒以下、より好ましくは0.1〜2秒)であることを特徴とする布帛である。かかる吸水速度が10秒未満の場合、洗濯耐久性のある吸汗性が得られず好ましくない。洗濯前の前記吸水速度としては1秒以下であることが好ましい。
なお、前記の洗濯は以下の方法により行うものとする。すなわち、家庭用洗濯機を使用し、洗剤としてアタック(花王株式会社製)を用い、下記(イ)〜(ハ)の工程を1回として10回行う。
(イ)2g/Lの洗剤を使用し、浴比1:30で40℃、10分間洗濯する。
(ロ)脱水後、浴比1:30で常温、2分間水洗する。これを2回繰り返す。
(ハ)脱水後、風乾する。
前記全芳香族ポリアミド繊維としては、メタ型全芳香族ポリアミド繊維が好ましいが、パラ型全芳香族ポリアミド繊維でもよい。
ここで、メタ型全芳香族ポリアミド繊維とは、その繰返し単位の85モル%以上がm−フェニレンイソフタルアミドであるポリマーからなる繊維である。かかるメタ型全芳香族ポリアミドは、15モル%未満の範囲内で第3成分を含んだ共重合体であってもさしつかえない。
このようなメタ型全芳香族ポリアミドは、従来から公知の界面重合法により製造することができ、そのポリマーの重合度としては、0.5g/100mlの濃度のN−メチル−2−ピロリドン溶液で測定した固有粘度(I.V.)が1.3〜1.9dl/gの範囲のものが好ましく用いられる。
上記メタ型全芳香族ポリアミドにはアルキルベンゼンスルホン酸オニウム塩が含有されていてもよい。アルキルベンゼンスルホン酸オニウム塩としては、ヘキシルベンゼンスルホン酸テトラブチルフォスフォニウム塩、ヘキシルベンゼンスルホン酸トリブチルベンジルフォスフォニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラフェニルフォスフォニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸トリブチルテトラデシルフォスフォニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルフォスフォニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸トリブチルベンジルアンモニウム塩等の化合物が好ましく例示される。なかでもドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルフォスフォニウム塩、又はドデシルベンゼンスルホン酸トリブチルベンジルアンモニウム塩は、入手しやすく、熱的安定性も良好なうえ、N−メチル−2−ピロリドンに対する溶解度も高いため特に好ましく例示される。
上記アルキルベンゼンスルホン酸オニウム塩の含有割合は、十分な染色性の改良効果を得るために、ポリ−m−フェニレンイソフタルアミドに対して2.5モル%以上、好ましくは3.0〜7.0モル%の範囲にあるものが好ましい。
また、ポリ−m−フェニレンイソフタルアミドとアルキルベンゼンスルホン酸オニウム塩を混合する方法としては、溶媒中にポリ−m−フェニレンイソフタルアミドを混合、溶解し、それにアルキルベンゼンスルホン酸オニウム塩を溶媒に溶解する方法などが用いられそのいずれを用いてもよい。このようにして得られたドープは、従来から公知の方法により繊維に形成される。
メタ型全芳香族ポリアミド繊維に用いるポリマーは、染着性や耐変褪色性を向上させる等目的で、下記の式(1)で示される反復構造単位を含む芳香族ポリアミド骨格中に、反復構造の主たる構成単位とは異なる芳香族ジアミン成分、または芳香族ジカルボン酸ハライド成分を、第3成分として芳香族ポリアミドの反復構造単位の全量に対し1〜10mol%となるように共重合させることも可能である。
−(NH−Ar1−NH−CO−Ar1−CO)− ・・・式(1)
ここで、Ar1はメタ配位又は平行軸方向以外に結合基を有する2価の芳香族基である。
また、第3成分として共重合させることも可能であり、式(2)、(3)に示した芳香族ジアミンの具体例としては、例えば、p−フェニレンジアミン、クロロフェニレンジアミン、メチルフェニレンジアミン、アセチルフェニレンジアミン、アミノアニシジン、ベンジジン、ビス(アミノフェニル)エーテル、ビス(アミノフェニル)スルホン、ジアミノベンズアニリド、ジアミノアゾベンゼン等が挙げられる。式(4)、(5)に示すような芳香族ジカルボン酸ジクロライドの具体例としては、例えば、テレフタル酸クロライド、1,4−ナフタレンジカルボン酸クロライド、2,6−ナフタレンジカルボン酸クロライド、4,4’−ビフェニルジカルボン酸クロライド、5−クロルイソフタル酸クロライド、5−メトキシイソフタル酸クロライド、ビス(クロロカルボニルフェニル)エーテルなどが挙げられる。
N−Ar2−NH ・・・式(2)
N−Ar2−Y−Ar2−NH ・・・式(3)
XOC−Ar3−COX ・・・式(4)
XOC−Ar3−Y−Ar3−COX ・・・式(5)
ここで、Ar2はAr1とは異なる2価の芳香族基、Ar3はAr1とは異なる2価の芳香族基、Yは酸素原子、硫黄原子、アルキレン基からなる群から選ばれる少なくとも1種の原子又は官能基であり、Xはハロゲン原子を表す。
また、メタ型全芳香族ポリアミド繊維の結晶化度は、染料の吸尽性がよく、より少ない染料でまたは染色条件が弱くても狙いの色に調整し易いという点で、5〜35%であることが好ましい。更には、染料の表面偏在が起こり難く耐変褪色性も高い点および実用上必要な寸法安定性も確保できる点で15〜25%であることがより好ましい。
また、メタ型全芳香族ポリアミド繊維の残存溶媒量は、メタ型全芳香族ポリアミド繊維の優れた難燃性能を損なわない点および染料の表面偏在が起こり難く耐変褪色性も高い点で、0.1重量%以下であることが好ましい。
前記メタ型全芳香族ポリアミド繊維は以下の方法により製造することができ、特に後述する方法により、結晶化度や残存溶媒量を上記範囲とすることができる。
メタ型全芳香族ポリアミドポリマーの重合方法としては、特に限定する必要はなく、例えば特公昭35−14399号公報、米国特許第3360595号公報、特公昭47−10863号公報などに記載された溶液重合法、界面重合法を用いてもよい。
紡糸溶液としては、とくに限定する必要はないが、上記溶液重合や界面重合などで得られた、芳香族コポリアミドポリマーを含むアミド系溶媒溶液を用いても良いし、上記重合溶液から該ポリマーを単離し、これをアミド系溶媒に溶解したものを用いても良い。
ここで用いられるアミド系溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシドなどを例示することができるが、とくにN,N−ジメチルアセトアミドが好ましい。
上記の通り得られた共重合芳香族ポリアミドポリマー溶液は、さらにアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩を含むことにより安定化され、より高濃度、低温での使用が可能となり好ましい。好ましくはアルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩がポリマー溶液の全重量に対して1重量%以下、より好ましくは0.1重量%以下である。
紡糸・凝固工程においては、上記で得られた紡糸液(メタ型全芳香族ポリアミド重合体溶液)を凝固液中に紡出して凝固させる。
紡糸装置としては特に限定されるものではなく、従来公知の湿式紡糸装置を使用することができる。また、安定して湿式紡糸できるものであれば、紡糸口金の紡糸孔数、配列状態、孔形状等は特に制限する必要はなく、例えば、孔数が1000〜30000個、紡糸孔径が0.05〜0.2mmのスフ用の多ホール紡糸口金等を用いてもよい。
また、紡糸口金から紡出する際の紡糸液(メタ型全芳香族ポリアミド重合体溶液)の温度は、20〜90℃の範囲が適当である。
繊維を得るために用いる凝固浴としては、実質的に無機塩を含まない、アミド系溶媒、好ましくはNMPの濃度が45〜60質量%の水溶液を、浴液の温度10〜50℃の範囲で用いる。アミド系溶媒(好ましくはNMP)の濃度が45質量%未満ではスキンが厚い構造となってしまい、洗浄工程における洗浄効率が低下し、繊維の残存溶媒量を低減させることが困難となる。一方、アミド系溶媒(好ましくはNMP)の濃度が60質量%を超える場合には、繊維内部に至るまで均一な凝固を行うことができず、このためやはり、繊維の残存溶媒量を低減させることが困難となる。なお、凝固浴中への繊維の浸漬時間は、0.1〜30秒の範囲が適当である。
引続き、アミド系溶媒、好ましくはNMPの濃度が45〜60質量%の水溶液であり、浴液の温度を10〜50℃の範囲とした可塑延伸浴中にて、3〜4倍の延伸倍率で延伸を行う。延伸後、10〜30℃のNMPの濃度が20〜40質量%の水溶液、続いて50〜70℃の温水浴を通して十分に洗浄を行う。
洗浄後の繊維は、温度270〜290℃にて乾熱処理を施し、上記の結晶化度および残存溶媒量の範囲を満たすメタ型全芳香族アラミド繊維を得ることができる。
一方、パラ系アラミド繊維としては、テクノーラ(登録商標)、ケブラー(登録商標)およびトワロン(登録商標)に代表されるものであり、主鎖中に芳香族環を有するポリアミドからなる繊維であり、ポリ−p−フェニレンテレフタルアミド(PPTA)でも共重合タイプのコポリパラフェニレン−3,4’オキシジフェニレンテレフタルアミド(PPODPA)であってもよい。
前記全芳香族ポリアミド繊維は、長繊維(マルチフィラメント)でもよいし短繊維でもよい。特に、他の繊維と混紡する上で繊維長25〜200mmの短繊維が好ましい。特に、吸汗加工剤を洗濯耐久性よく保持する上で紡績糸が好ましい。全芳香族ポリアミド繊維の単繊維繊度としては1〜5dtexの範囲が好ましい。
本発明の布帛は、メタ型全芳香族ポリアミド繊維の優れた耐熱性と難燃性を発揮させるために、まずメタ型全芳香族ポリアミド繊維が50質量%以上であることが好ましい。また、用途や使用やのニーズに応じて、セルロース繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維、ポリアミド繊維、ポリベズビスオキサゾール繊維、および全芳香族ポリエステル繊維から選択される少なくとも一つを含んでいてもよい。
その際、前記セルロース系繊維が難燃レーヨンであることが好ましい。また、前記のセルロース系繊維またはポリエステル繊維またはアクリル繊維またはポリアミド繊維が難燃剤を含むことが好ましい。
より具体的な例としては、メタ型全芳香族ポリアミド繊維が50〜98質量%、ポリエステル繊維が2〜50質量%、セルロース系質量繊維が0〜50%の混率として染色性と快適性を併せ持つようにすることもできる。重視する性能に応じて比率を調整することができる。
本発明の布帛の製造方法は、特に限定するものではなく、公知のいかなる方法でも用いる可能である。例えば、上記繊維の紡績糸を混綿して紡績糸を作製し、単糸または双糸にて、レピア織機などの公知の織機または編機を用いて、綾織、平織、2重織物などの組織に製織または製編する。
次いで、かかる布帛に吸汗加工剤が付与することにより、洗濯10回後におけるJIS L1018A法(滴下法)による吸水速度を10秒以下とする。
ここで、前記吸汗加工剤としては、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレートの誘導体、ポリエチレンテレフタレート−ポリエチレングリコール共重合体、水溶性ポリウレタンなどでもよいが、ポリエチレングリコール−アミノシリコーン共重合体が、全芳香族ポリアミド繊維との親和性がよく洗濯耐久性のある吸汗性が得られやすく好ましい。また、前記吸汗加工剤の粒子径は小さいほど全芳香族ポリアミド繊維に固着しやすいため好ましく、25〜200nmの範囲であることが好ましい。具体的な商品名としては、クインセッターPA−400(コタニ化学工業社製)が好ましい。
布帛に吸汗加工剤を付与する方法としては、染色時に同浴処理する方法でもよいが、パディング処理する方法が好ましい。
かかる布帛に染色加工が施されていることが好ましい。さらには、撥水剤、蓄熱剤、紫外線遮蔽あるいは制電剤、抗菌剤、消臭剤、防虫剤、蓄光剤、再帰反射剤等の機能を付与する他の各種加工を付加適用してもよい。
かくして得られた布帛において、目付けは、130〜260g/m(より好ましくは、140〜220g/m)であること好ましい。
かかる布帛は、難燃性だけでなく洗濯耐久性のある吸汗性をも有する。その際、布帛の限界酸素指数LOIとしては26以上であることが好ましい。
本発明の繊維製品は、前記の布帛を用いてなり、防護服、消防防火服、消防活動服、救助服、ワークウェア、警察制服、自衛隊衣服、および軍服からなる群より選択されるいずれかの繊維製品である。
かかる繊維製品は前記の布帛を用いているので難燃性だけでなく洗濯耐久性のある吸汗性をも有する。
以下、実施例をあげて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。なお、実施例中の各物性は下記の方法により測定したものである。
(1)布帛の難燃性(限界酸素指数)
JIS L1096 E法に基づき、50mm以上燃え続けるのに必要な酸素濃度を限界酸素指数(LOI)とした。
(2)残存溶媒量
原繊維を約8.0g採取し、105℃で120分間乾燥させた後にデシケーター内で放冷し、繊維質量(M1)を秤量する。続いて、この繊維について、メタノール中で1.5時間、ソックスレー抽出器を用いて還流抽出を行い、繊維中に含まれるアミド系溶媒の抽出を行う。抽出を終えた繊維を取り出して、150℃で60分間真空乾燥させた後にデシケーター内で放冷し、繊維質量(M2)を秤量する。繊維中に残存する溶媒量(アミド系溶媒質量)は、得られるM1およびM2を用いて、下記式により算出する。
残存溶媒量(%)=[(M1−M2)/M1]×100
得られた原繊維を用いて、捲縮加工、カットを行い、長さ51mmのステープルファイバー(原綿)を得た。
(3)結晶化度
X線回折測定装置(リガク社製 RINT TTRIII)を用い、原繊維を約1mm径の繊維束に引きそろえて繊維試料台に装着して回折プロファイルを測定した。測定条件は、Cu−Kα線源(50kV、300mA)、走査角度範囲10〜35°、連続測定0.1°幅計測、1°/分走査でおこなった。実測した回折プロファイルから空気散乱、非干渉性散乱を直線近似で補正して全散乱プロファイルを得た。次に、全散乱プロファイルから非晶質散乱プロファイルを差し引いて結晶散乱プロファイルを得た。結晶化度は、結晶散乱プロファイルの面積強度(結晶散乱強度)と全散乱プロファイルの面積強度(全散乱強度)から、次式により求めた。
結晶化度(%)=[結晶散乱強度/全散乱強度]×100
(4)洗濯
洗濯は以下の方法により行った。すなわち、家庭用洗濯機を使用し、洗剤としてアタック(花王株式会社製)を用い、下記(イ)〜(ハ)の工程を1回として10回行った。
(イ)2g/Lの洗剤を使用し、浴比1:30で40℃、10分間洗濯する。
(ロ)脱水後、浴比1:30で常温、2分間水洗する。これを2回繰り返す。
(ハ)脱水後、風乾する。
(5)吸水性
洗濯10回後の試料について、JIS L1018A法(滴下法)による吸水速度を測定した。
[メタ型全芳香族アラミド繊維の製造]
メタ型全芳香族アラミド繊維は、次の方法で作成した。
特公昭47−10863号公報記載の方法に準じた界面重合法により製造した、固有粘度(I.V.)が1.9のポリメタフェニレンイソフタルアミド粉末20.0質量部を、−10℃に冷却したN−メチル−2−ピロリドン(NMP)80.0質量部中に懸濁させ、スラリー状にした。引き続き、懸濁液を60℃まで昇温して溶解させ、透明なポリマー溶液を得た。該ポリマー溶液に、ポリマー対比3.0質量%の2−[2H−ベンゾトリアゾール−2−イル]−4−6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール粉末(水への溶解度:0.01mg/L)を混合溶解させ、減圧脱法して紡糸液(紡糸ドープ)とした。
[紡糸・凝固工程]
上記紡糸ドープを、孔径0.07mm、孔数500の紡糸口金から、浴温度30℃の凝固浴中に吐出して紡糸した。凝固液の組成は、水/NMP=45/55(質量部)であり、凝固浴中に糸速7m/分で吐出して紡糸した。
[可塑延伸浴延伸工程]
引き続き、温度40℃の水/NMP=45/55の組成の可塑延伸浴中にて、3.7倍の延伸倍率で延伸を行った。
[洗浄工程]
延伸後、20℃の水/NMP=70/30の浴(浸漬長1.8m)、続いて20℃の水浴(浸漬長3.6m)で洗浄し、さらに60℃の温水浴(浸漬長5.4m)に通して十分に洗浄を行った。
[乾熱処理工程]
洗浄後の繊維について、表面温度280℃の熱ローラーにて乾熱処理を施し、メタ型全芳香族アラミド繊維を得た。
[原繊維の物性]
得られたメタ型全芳香族アラミド繊維の物性は、繊度1.7dtex、残存溶媒量0.08質量%、結晶化度は19%であった。
その他の繊維原綿は下記の物を用いた。
ポリエステル繊維;帝人ファイバー製ポリエチレンテレフタレート繊維
レーヨン繊維;レンチング社製「LenzingFR(登録商標)」
パラ型アラミド繊維;テイジンアラミド社製「トワロン(登録商標)」
導電糸(ナイロン):ソルシア社製「NO SHOCK(登録商標)」
(導電性カーボン微粒子を練り込みナイロン導電糸)
[布帛の吸汗加工]
吸汗加工剤(クインセッターPA−400:コタニ化学工業社製、ポリエチレングリコール−アミノシリコーン共重合体、粒子径25〜200nm))を用いて、処理した。
<処理条件>
クインセッターPA−400(50g/L)に試験布を浸漬、圧搾、乾燥後に温度180℃、2分間の乾熱セットを施した。
浸漬工程:クインセッターPA−400を50g/L液を100L準備
圧搾工程:圧搾率<pick up率>=70%
乾燥工程:100℃で5分間処理
熱セット:180℃で2分間処理
[実施例1]
メタ型全芳香族アラミド繊維(MA)(長さ51mm)、パラ型全芳香族ポリアミド(PA)(長さ50mm)、ポリエステル繊維(長さ38mm)(PE)、難燃レーヨン(Ry)(長さ51mm)の各ステープルファイバーを、MA/PA/PE/RY=55/5/15/25の比率で混紡した紡績糸40番手/双糸とし、織密度 経67本/25.4mm、緯56本/25.4mmで製織し、目付け170g/mのツイル織物を得た。これを用いて常法により染色、仕上げ加工をした後、前記の吸汗加工を施し、洗濯10回後の吸水速度を測定した。結果を表1に示す。
[実施例2、3]
紡績糸を、メタ型全芳香族ポリアミド(MA)、パラ型全芳香族ポリアミド(PA)、ナイロン導電糸(AS)を表1の混率で混紡した紡績糸に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行った。結果を表1に示す。
[実施例4]
紡績糸を、メタ型全芳香族ポリアミド(MA)、パラ型全芳香族ポリアミド(PA)、ポリエステル(PE)を表1の混率で混紡した紡績糸に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行った。結果を表1に示す。
[実施例5]
紡績糸を、メタ型全芳香族ポリアミド(MA)、パラ型全芳香族ポリアミド(PA)、難燃レーヨン(RY)を表1の混率で混紡した紡績糸に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行った。結果を表1に示す。
[比較例1〜5]
使用した吸汗加工剤をポリエステル用吸汗加工剤(ナイスポールF―9160:日華化学製)に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行った。結果を表1に示す。
[比較例6]
紡績糸を、難燃レーヨン(RY)のみからなる紡績糸に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行った。結果を表1に示す。
[比較例7]
紡績糸を、ポリエステル(PE)のみからなる紡績糸に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行った。結果を表1に示す。
Figure 0006449616
本発明によれば、難燃性だけでなく洗濯耐久性のある吸汗性をも有する布帛および繊維製品および布帛の処理方法が提供され、その工業的価値は極めて大である。

Claims (15)

  1. 全芳香族ポリアミド繊維を含む布帛であって、布帛に吸汗加工剤が付与されており、洗濯10回後におけるJIS L1018A法(滴下法)による吸水速度が10秒以下であり、前記吸汗加工剤が、粒子径が25〜200nmの範囲内であるポリエチレングリコール−アミノシリコーン共重合体であることを特徴とする布帛。
  2. 布帛の限界酸素指数LOIが26以上である、請求項1に記載の布帛。
  3. 前記全芳香族ポリアミド繊維がメタ型全芳香族ポリアミド繊維である、請求項1または請求項2に記載の布帛。
  4. 前記メタ型全芳香族ポリアミド繊維の結晶化度が15〜25%の範囲内である、請求項3に記載の布帛。
  5. 前記メタ型全芳香族ポリアミド繊維を形成するメタ型全芳香族ポリアミドが、下記の式(1)で示される反復構造単位を含む芳香族ポリアミド骨格中に、反復構造の主たる構成単位とは異なる芳香族ジアミン成分、または芳香族ジカルボン酸ハライド成分を、第3成分として芳香族ポリアミドの反復構造単位の全量に対し1〜10mol%となるように共重合させたメタ型全芳香族ポリアミドである、請求項3または請求項4に記載の布帛。
    −(NH−Ar1−NH−CO−Ar1−CO)− ・・・式(1)
    ここで、Ar1はメタ配位又は平行軸方向以外に結合基を有する2価の芳香族基である。
  6. 第3成分となる芳香族ジアミンが式(2)、(3)、または芳香族ジカルボン酸ハライドが、式(4)、(5)である請求項5に記載の布帛。
    N−Ar2−NH ・・・式(2)
    N−Ar2−Y−Ar2−NH ・・・式(3)
    XOC−Ar3−COX ・・・式(4)
    XOC−Ar3−Y−Ar3−COX ・・・式(5)
    ここで、Ar2はAr1とは異なる2価の芳香族基、Ar3はAr1とは異なる2価の芳香族基、Yは酸素原子、硫黄原子、アルキレン基からなる群から選ばれる少なくとも1種の原子又は官能基であり、Xはハロゲン原子を表す。
  7. 前記メタ型芳香族ポリアミド繊維の残存溶媒量が0.1質量%以下である、請求項3〜6のいずれかに記載の布帛。
  8. 布帛がさらに、セルロース繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維、ポリアミド繊維、ポリベズビスオキサゾール繊維、および全芳香族ポリエステル繊維から選択される少なくとも一つを含む、請求項1〜7のいずれかに記載の布帛。
  9. 前記セルロース系繊維が難燃レーヨンである、請求項8に記載の布帛。
  10. 前記のセルロース系繊維またはポリエステル繊維またはアクリル繊維またはポリアミド繊維が難燃剤を含む、請求項8に記載の布帛。
  11. 前記パラ型全芳香族ポリアミド繊維が、パラフェニレンテレフタラミド繊維またはコパラフェニレン・3、4’オキシジフェニレンテレフタルアミド繊維である、請求項1に記載の布帛。
  12. 布帛の目付けが130〜260g/mの範囲内である、請求項1〜11のいずれかに記載の布帛。
  13. 布帛に染色加工が施されている、請求項1〜12のいずれかに記載の布帛。
  14. 請求項1〜13のいずれかに記載された布帛を用いてなり、防護服、消防防火服、消防活動服、救助服、ワークウェア、警察制服、自衛隊衣服、および軍服からなる群より選択されるいずれかの繊維製品。
  15. 全芳香族ポリアミド繊維を含む布帛に、粒子径が25〜200nmの範囲内であるポリエチレングリコール−アミノシリコーン共重合体を含む吸汗加工剤を付与することを特徴とする布帛の処理方法。
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