JP6447606B2 - 車両用駆動装置 - Google Patents

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Description

本発明は、エンジンと、エンジンの出力回転を変速しつつ車輪側に伝達する自動変速機と、エンジンの出力軸と自動変速機の入力軸とを断接可能に連結する動力断接クラッチと、自動変速機の入力軸に連係された回生装置とを備えた車両用駆動装置に関する。
上記のような駆動装置が適用された車両の一例として、下記特許文献1のものが知られている。具体的に、この特許文献1の車両用駆動装置は、エンジンと、自動変速機と、エンジンの出力軸と自動変速機の入力軸とを断接するクラッチと、自動変速機の入力軸を回転駆動する電気式のモータとを備えている。モータは、自動変速機の入力軸から駆動力を得て発電するジェネレータとして機能させることも可能である。
この特許文献1の車両において、自動変速機のギヤ段を高ギヤ段から低ギヤ段に切り替えるダウンシフト変速時には、クラッチが解放されるとともに、モータがジェネレータとして機能して回生発電が行われる。また、この回生発電の発電量(回生トルク)は、ダウンシフト変速時に締結状態が変化する摩擦締結要素(第1および第2の摩擦締結要素)への供給油圧等をパラメータとした所定の演算により決定される。これにより、ダウンシフト変速時の回生発電量を最大限に確保して燃費性能を改善できるとされている。
特開2016−132432号公報
ここで、上記特許文献1では、ダウンシフト変速の動作中、第1の摩擦締結要素の締結力が複数の段階を経て徐々に減少させられるとともに、第2の摩擦締結要素が複数の段階を経て徐々に増大させられる。このように摩擦締結要素の締結パターンが比較的長い時間をかけて切り替えられるのは、車両の加速度の急変(変速ショック)等を抑制しながらダウンシフト変速中の回生発電量を十分に確保するためであると考えられる。
しかしながら、上記のような態様で摩擦締結要素を制御した場合には、ダウンシフト変速の要求が発せられてから締結パターンの切り替えが完了するまでに要する時間(ダウンシフト変速の所要時間)が長くなるという問題がある。しかも、各摩擦締結要素が比較的長い時間にわたってスリップすることになるので、当該スリップに伴い生じる摩擦熱等に起因したエネルギーロス(スリップロス)が増大するという問題もある。
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、エネルギー効率を良好に維持しながら自動変速機の迅速なダウンシフト変速を実現することが可能な車両用駆動装置を提供することを目的とする。
前記課題を解決するためのものとして、本発明は、出力軸を有するエンジンと、前記エンジンの出力軸と断接可能に連結された入力軸を有しかつ当該入力軸の回転を変速しつつ車輪側に伝達する自動変速機と、前記エンジンの出力軸と前記自動変速機の入力軸とが一体に回転するように両者を連結する締結状態と当該連結を解除する解放状態とに切り替え可能な動力断接クラッチと、前記自動変速機の入力軸に連係され、当該入力軸の回転力をエネルギーに変換して蓄える回生モードと、蓄えたエネルギーを利用して当該入力軸を駆動する駆動モードとに切り替え可能な回生装置と、前記自動変速機のギヤ段を高ギヤ段から低ギヤ段に切り替えるダウンシフト変速時に、前記動力断接クラッチを解放する第1変速制御部と、前記動力断接クラッチの解放以後に、前記エンジンの出力軸の回転数をダウンシフト後の減速比に対応した同期回転数に向けて上昇させるエンジン制御部と、前記動力断接クラッチの解放期間中、前記回生装置のモードを前記駆動モードとして前記自動変速機の入力軸に正トルクを付与する回生制御部と、前記エンジンの出力軸の回転数が前記同期回転数まで上昇するのに応じて、前記自動変速機の摩擦締結要素を前記低ギヤ段が達成される締結パターンに切り替えるとともに、前記動力断接クラッチを締結させる第2変速制御部とを備えた、ことを特徴とする車両用駆動装置である(請求項1)。
本発明によれば、ダウンシフト変速時にまず動力断接クラッチが解放されるとともに、その状態でエンジンの出力軸が同期回転数に向けて上昇させられるので、動力断接クラッチの解放に伴いフリーになったエンジンの出力軸の回転数を迅速かつ精度よく同期回転数まで上昇させることができる。また、動力断接クラッチの解放に伴い回生装置のモードが駆動モードとされるので、エンジンと切り離された自動変速機の入力軸に回生装置から正トルクを付与することにより、車両の加速度を動力断接クラッチの解放前の加速度と同等に維持することができる。さらに、エンジンの出力軸の回転数が同期回転数まで上昇してから動力断接クラッチが締結されるので、十分に加速されたエンジンの出力軸の回転が動力断接クラッチを介して自動変速機の入力軸に伝達されることにより、当該入力軸の回転数がエンジンの出力軸と同じ回転数まで短時間で上昇する。このため、ギヤ段変更のために自動変速機の摩擦締結要素の締結パターンを切り替える動作を、入力軸の回転上昇スピードに合わせた比較的速いスピードで行うことができ、当該切り替えを迅速に完了させてダウンシフト後の低ギヤ段を達成することができる。しかも、このような締結パターン切り替えの迅速化は、摩擦締結要素のスリップロス、つまり摩擦板どうしの相対回転に伴い生じる摩擦熱等に起因したエネルギーロスが低減されることを意味する。したがって、本発明によれば、ダウンシフト変速に要する時間を短縮できる上に、スリップロスを低減してエネルギー効率を向上させることができる。
好ましくは、前記回生制御部は、前記摩擦締結要素の締結パターンの切り替えが完了するまで、前記回生装置のモードを前記駆動モードに維持する(請求項2)。
この構成によれば、締結パターンの切り替え完了まで回生装置から自動変速機の入力軸に継続的に正トルクが付与されるので、自動変速機の入力軸の回転数がエンジンの出力軸と同じ回転数まで上昇するのに要する時間をさらに短縮することができる。これにより、ダウンシフト変速の迅速化とスリップロスの低減とをさらに促進することができる。
前記構成において、より好ましくは、前記回生制御部は、前記摩擦締結要素の締結パターンの切り替えが完了した時点で前記回生装置のモードを前記駆動モードから前記回生モードに切り替えて前記自動変速機の入力軸に逆トルクを付与する(請求項3)。
この構成によれば、締結パターンの切り替え完了に伴って回生モードに切り替えられた回生装置から自動変速機の入力軸に逆トルク(ブレーキ)が付与されるので、ダウンシフト変速による減速比の増大に伴い車両の加速度が急変する変速ショックの発生を効果的に抑制することができる。しかも、回生装置を用いて変速ショックを抑制するので、ダウンシフト変速のたびに入力軸の回転力をエネルギーに変換して蓄えることができ、蓄えたエネルギーを別の機会に仕事として取り出すことができる。
前記構成において、より好ましくは、前記回生制御部は、前記回生モードに切り替えられた前記回生装置から前記入力軸に付与される逆トルクが、前記摩擦締結要素の締結パターン切り替え完了の後で徐々にゼロに近づくように前記回生装置を制御する(請求項4)。
このように、締結パターンの切り替え完了後に入力軸に付与される逆トルクを徐々に低下させる(ゼロに近づける)ようにした場合には、例えば逆トルクを急にゼロまで低下させたような場合と異なり、入力軸の回転数が急変するのを回避できるので、当該回転数の急変により車両の挙動が不安定になるのを防止することができる。
好ましくは、前記回生装置は、前記入力軸に連係された油圧ポンプモータと、当該油圧ポンプモータに給排されるオイルが貯留される蓄圧器とを有し、前記油圧ポンプモータは、前記入力軸により駆動されて前記蓄圧器にオイルを圧送するポンプとして作動する回生モードと、前記蓄圧器からオイルの供給を受けて前記入力軸を駆動するモータとして作動する駆動モードとに切り替え可能である(請求項5)。
この構成によれば、入力軸の回転力を油圧のエネルギーに変換して蓄圧器に蓄えることができるとともに、蓄圧器に蓄えられた油圧のエネルギーを利用して入力軸を駆動することができる。
以上説明したように、本発明の車両用駆動装置によれば、エネルギー効率を良好に維持しながら自動変速機の迅速なダウンシフト変速を実現することができる。
本発明の一実施形態にかかる駆動装置が適用された車両の全体構成を概略的に示す平面図である。 油圧ポンプモータの回路構成を示す回路図である。 油圧ポンプモータの作動状態を説明するための図であり、(a)はポンプとして作動する回生モードのときのオイルの流れを、(b)はモータとして作動する駆動モードのときのオイルの流れをそれぞれ示している。 上記駆動装置の制御系統を示すブロック図である。 自動変速機のギヤ段を低くするダウンシフト変速時の制御動作を説明するためのフローチャートである。 上記ダウンシフト変速時の制御動作を説明するためのタイムチャートである。
(1)車両の全体構成
図1は、本発明の一実施形態にかかる駆動装置が適用された車両の全体構成を概略的に示す平面図である。本図に示される車両は、走行用の動力源として設けられた火花点火式ガソリンエンジンからなるエンジン1と、エンジン1の出力回転を車輪7に伝達する動力伝達経路に沿って設けられた動力断接クラッチ2、回生装置3、自動変速機4、差動装置5、およびドライブシャフト6とを備えている。なお、詳細は後述するが、回生装置3は、自動変速機4に入力される回転から油圧を生成し、生成した油圧により自動変速機4を介して車輪7を駆動することが可能である。このように、当実施形態の車両は、エンジン1とは異なる追加の動力源を備えており、いわゆるハイブリッド車両の一種ということができる。ただし、電気ではなく油圧を利用しているため、特に油圧ハイブリッド車両と呼ばれることもある。
エンジン1は、供給された燃料(ガソリン)を内部で燃焼させるエンジン本体11と、エンジン本体11で発生する燃焼のエネルギーを受けて回転する出力軸12とを有している。
自動変速機4は、減速比の異なる複数のギヤ段を達成可能な有段式の変速機構15と、エンジン1の出力軸12と動力断接クラッチ2を介して同軸に連結された入力軸16と、変速機構15の出力ギヤと差動装置5とを連結する出力軸17とを有している。入力軸16の回転は、変速機構15で達成されているギヤ段に応じた減速比で変速された後に出力軸17に出力され、その出力が差動装置5に入力される。
動力断接クラッチ2は、エンジン1の出力軸12と自動変速機4の入力軸16とを断接可能に連結するものであり、出力軸12と一体に回転するエンジン側摩擦板と、入力軸16と一体に回転する変速機側摩擦板とを有している。動力断接クラッチ2は、これら両摩擦板を互いに圧接させた締結状態と、両摩擦板の圧接を解除した解放状態とに切り替え可能である。動力断接クラッチ2には、上記両摩擦板を圧接方向に駆動する図外のアクチュエータが設けられており、車両の走行状態等に応じて当該アクチュエータの駆動力が自動的に増減されることにより、上記締結状態および解放状態のいずれかが達成されるようになっている。
動力断接クラッチ2の締結状態では、上記両摩擦板が強い力で圧接されることにより、エンジン1の出力軸12のトルクが自動変速機4の入力軸16にロスなく伝達され、出力軸12と入力軸16とが一体に回転する。動力断接クラッチ2の解放状態では、出力軸12から入力軸16へのトルク伝達がなされないように上記両摩擦板の圧接力がゼロにされることにより、出力軸12と入力軸16とが完全に分断される。
差動装置5は、自動変速機4の出力軸17の回転を左右の車輪7に分配するための装置であり、左右のドライブシャフト6の差回転を許容しつつ自動変速機4の出力軸17と各ドライブシャフト6とを連動連結する従来周知のディファレンシャルギヤ機構を内蔵している。
回生装置3は、自動変速機4の入力軸16に連係された油圧ポンプモータ19と、油圧ポンプモータ19にオイルを給排するための油圧回路20とを有している。
油圧ポンプモータ19は、油圧回路20によるオイル給排制御に応じて、入力軸16を駆動するモータとして作動する駆動モードと、入力軸16により駆動されるポンプとして作動する回生モードとに切り替え可能とされている。
例えば、油圧ポンプモータ19がポンプとして作動している回生モードでは、入力軸16により油圧ポンプモータ19が駆動され、当該ポンプモータ19から油圧回路20にオイルが圧送されて蓄圧状態で貯留される。すなわち、回生装置3は、ポンプとして作動する油圧ポンプモータ19により、入力軸16の回転力を油圧のエネルギーに変換し、変換した油圧のエネルギーを油圧回路20(後述するアキュムレータ22)に蓄える。
一方、油圧ポンプモータ19がモータとして作動している駆動モードでは、油圧回路20から供給されるオイルにより油圧ポンプモータ19が駆動され、当該油圧ポンプモータ19により入力軸16が回転させられる。すなわち、回生装置3は、油圧ポンプモータ19をモータとして作動させることにより、油圧回路20に蓄えられていた油圧のエネルギーを、入力軸16を回転させる仕事として取り出す。
図2は、油圧回路20の詳細を示す回路図である。本図に示すように、油圧回路20は、オイルを低圧状態で貯留するオイルパン21と、オイルを蓄圧状態で貯留するアキュムレータ22(請求項にいう「蓄圧器」に相当)と、油圧ポンプモータ19がポンプとして作動する回生モードのときにオイルパン21内のオイルを油圧ポンプモータ19に送るための吸込み通路23と、同じく回生モードのときに油圧ポンプモータ19から吐出されたオイルをアキュムレータ22に送るための吐出通路24と、吐出通路24と吸込み通路23とをつなぐリターン通路25と、油圧ポンプモータ19がモータとして作動する駆動モードのときにアキュムレータ22から油圧ポンプモータ19にオイルを送るための供給通路26と、同じく駆動モードのときに油圧ポンプモータ19から排出されたオイルをオイルパン21に送るための排出通路27と、オイルの流通経路を切り替えるための第1・第2方向切替弁30,31と、吐出通路24の途中部に設けられた逆止弁32と、リターン通路25の途中部に設けられた第1リニアソレノイド弁33と、供給通路26の途中部に設けられた第2リニアソレノイド弁34とを有している。
オイルパン21は、自動変速機4の内部を流通する作動油を貯留するオイルパンと同じものである。すなわち、自動変速機4の内部では、摩擦締結要素(後述するハイクラッチCL1およびロークラッチCL2)を駆動したり摺動部の潤滑を図るために使用される作動が常時流通している。このため、自動変速機4の下部には、当該作動油を貯留するためのオイルパンが取り付けられている。上記油圧回路20のオイルパン21は、この自動変速機4に元々備わっているオイルパンと同じものである。このため、上記油圧回路20内のオイルは、自動変速機4内を流通する作動油の一部ということができる。
アキュムレータ22は、従来周知のブラダ型アキュムレータであり、オイルを貯留するケースと、当該ケースへのオイルの給排を制御する給排弁と、上記ケースの内部に設けられ、気体を内側に封入する隔膜(ブラダ)とを有している。このようなアキュムレータ22は、油圧ポンプモータ19から上記ケース内に圧送されたオイルにより封入気体を圧縮することでオイルの圧力を高めるとともに、上記給排弁を開くことにより高圧のオイルを外部に放出することが可能である。
第1方向切替弁30は、吸込み通路23から油圧ポンプモータ19に向かうオイルの流れと、供給通路26から油圧ポンプモータ19に向かうオイルの流れとのいずれかを選択的に許容するものである。第2方向切替弁31は、油圧ポンプモータ19から吐出通路24に向かうオイルの流れと、油圧ポンプモータ19から排出通路27に向かうオイルの流れとのいずれかを選択的に許容するものである。これら方向切替弁30,31によるオイル流れの切り替えに応じて、油圧ポンプモータ19がポンプとして作動する回生モードとモータとして作動する駆動モードとに切り替えられるようになっている。
図3(a)は、油圧ポンプモータ19がポンプとして作動する回生モードのときのオイルの流れを示している。この回生モードでは、吸込み通路23から油圧ポンプモータ19に向かうオイルの流れが許容され、かつ油圧ポンプモータ19から吐出通路24に向かう流れが許容されるように、第1・第2方向切替弁30,31が駆動される。これにより、オイルパン21に貯留されている低圧の油圧が吸込み通路23を通じて油圧ポンプモータ19に吸い込まれるとともに、油圧ポンプモータ19から吐出された高圧のオイルが吐出通路24を通じてアキュムレータ22へと導かれる。このとき、リターン通路25に設けられた第1リニアソレノイド弁33のDUTY比に応じて、吐出通路24から吸込み通路23へのオイルの戻し量を調整することが可能であり、これに伴って油圧ポンプモータ19のポンプとしての仕事量を増減設定することが可能である。すなわち、吐出通路24から吸込み通路23へのオイルの戻し量が少なくされるほど、油圧ポンプモータ19からアキュムレータ22に圧送されるオイルの量が増えるので、油圧ポンプモータ19のポンプとしての仕事量(負荷)が増大する。当該仕事量が増大すると、自動変速機4の入力軸16から油圧ポンプモータ19に付与すべきトルクが増大するので、入力軸16にはより大きなブレーキがかかることになる。
一方、図3(b)は、油圧ポンプモータ19がモータとして作動する駆動モードのときのオイルの流れを示している。この駆動モードでは、供給通路26から油圧ポンプモータ19に向かうオイルの流れが許容され、かつ油圧ポンプモータ19から排出通路27に向かう流れが許容されるように、第1・第2方向切替弁30,31が駆動される。これにより、アキュムレータ22に貯留されている高圧のオイルが供給通路26を通じて油圧ポンプモータ19に供給されるとともに、油圧ポンプモータ19から排出されたオイルが排出通路27を通じてオイルパン21へと導かれる。このとき、供給通路26に設けられた第2リニアソレノイド弁34のDUTY比に応じて、アキュムレータ22から油圧ポンプモータ19に供給されるオイルの量を調整することが可能であり、これに伴って油圧ポンプモータ19のモータとしての仕事量を増減設定することが可能である。すなわち、アキュムレータ22から油圧ポンプモータ19へのオイルの供給量が多くされるほど、油圧ポンプモータ19のモータとしての仕事量が増大する。当該仕事量が増大すると、自動変速機4の入力軸16に油圧ポンプモータ19から付与されるトルクが増大するので、入力軸16の回転がより加速されることになる。
図1に示すように、自動変速機4の変速機構15は、変速機ケースCと、変速機ケースCの内部に配設された第1ギヤセットGS1および第2ギヤセットGS2と、第1・第2ギヤセットGS1,GS2による動力伝達経路を切り替えるために締結または解放されるハイクラッチCL1およびロークラッチCL2とを有している。
第1・第2ギヤセットGS1,GS2は、それぞれ、従来周知のプラネタリギヤセットであり、互いに噛み合うサンギヤ、ピニオン、およびリングギヤと、ピニオンを支持するキャリヤとを有している。
ハイクラッチCL1は、第1ギヤセットGS1における所定の回転要素と入力軸16とを互いに連結しており、ロークラッチCL2は、第2ギヤセットGS2における所定の回転要素と入力軸16とを互いに連結している。
以上のような構造の変速機構15を含む当実施形態の自動変速機4では、ハイクラッチCL1およびロークラッチCL2の締結/解放の組合せに応じて、減速比の異なる複数のギヤ段が達成可能とされている。例えば、後述するシフトレバーのポジション(シフトポジション)がDレンジであるとき、自動変速機4では、車両の走行状態に応じて、少なくとも1速および2速の2つのギヤ段から自動的に適切なギヤ段が選択される。具体的には、ロークラッチCL2が締結されかつハイクラッチCL1が解放されることにより、1速が達成され、ロークラッチCL2が解放されかつハイクラッチCL1が締結されることにより、1速よりも減速比の小さい2速が達成される。
なお、当実施形態では、説明を簡単にするために1速または2速のみを例示するが、自動変速機4は、4速以上の最高ギヤ段から1速までの間の任意のギヤ段を達成可能な多段変速機であり得る。この場合、変速機構15には、上記第1ギヤセットGS1および第2ギヤセットGS2以外の他の複数のギヤセットと、上記ハイクラッチCL1およびロークラッチCL2以外の他の複数の摩擦締結要素(クラッチまたはブレーキ)とが含まれる。
(2)制御系統
図4は、当実施形態の車両用駆動装置の制御系統を示すブロック図である。本図に示されるPCM50は、エンジン1、回生装置3、および自動変速機4を統括的に制御するためのマイクロプロセッサであり、周知のCPU、ROM、RAM等から構成されている。
PCM50には、各種センサによる検出信号が入力される。例えば、エンジン1には、その出力軸12の回転数つまりエンジン回転数を検出するエンジン回転センサSN1が設けられており、当該エンジン回転センサSN1による検出信号がPCM50に逐次入力される。また、自動変速機4には、その入力軸16の回転数を検出する入力軸回転センサSN2が設けられており、当該入力軸回転センサSN2による検出信号がPCM50に逐次入力される。さらに、車両には、車両の走行速度(車速)を検出する車速センサSN3と、車両を運転するドライバーにより操作される図外のアクセルペダルの開度(アクセル開度)を検出するアクセルセンサSN4と、同じくドライバーにより操作される図外のシフトレバーのポジション(シフトポジション)を検出するシフトポジションセンサSN5とが設けられており、これら車速センサSN3、アクセルセンサSN4、およびシフトポジションセンサSN5による検出信号もPCM50に逐次入力される。
PCM50は、上記各センサSN1〜SN5から入力される信号に基づいて種々の判定や演算等を実行しつつ、エンジン1、回生装置3、および自動変速機4に含まれる各制御対象に制御用の信号を出力する。このような制御を実現するための機能的要素として、PCM50は、エンジン制御部51と、変速制御部52(請求項にいう「第1の変速制御部」および「第2の変速制御部」に相当)と、回生制御部53とを含んでいる。
エンジン制御部51は、エンジン1に備わる図外のインジェクタ(燃料噴射弁)や点火プラグ等と電気的に接続されており、エンジン1の出力トルクがドライバーの要求等に応じた適切な値になるように上記インジェクタや点火プラグを制御する。
変速制御部52は、自動変速機4の内部を流通する作動油の流れを制御して各摩擦締結要素(ハイクラッチCL1およびロークラッチCL2)の締結/解放を切り替えるための図外のソレノイドバルブと電気的に接続されており、自動変速機4のギヤ段として車両の走行状態に応じた適切なギヤ段が得られるように上記ソレノイドバルブを制御する。また、変速制御部52は、動力断接クラッチ2の摩擦板どうしを圧接させるアクチュエータと電気的に接続されており、シフトポジションや車両の走行状態等に応じて動力断接クラッチ2が適切に断接されるように上記アクチュエータを制御する。
回生制御部53は、油圧回路20における第1・第2方向切替弁30,31および第1・第2リニアソレノイド弁33,34と電気的に接続されており、車両の走行状態等に応じて油圧ポンプモータ19がモータまたはポンプとして適切に作動するように上記各弁30〜34を制御する。
(3)ダウンシフト変速時の制御
次に、自動変速機4のギヤ段を2速から1速に切り替えるダウンシフト変速時にPCM50(エンジン制御部51、変速制御部52、および回生制御部53)により実行される制御動作について、図5のフローチャートおよび図6のタイムチャートを用いて説明する。
図5に示す制御がスタートすると、変速制御部52は、自動変速機4のギヤ段を2速から1速に切り替えるダウンシフト変速の要求があるか否かを判定する(ステップS1)。例えば、変速制御部52は、ギヤ段として2速が選択されている状態での車両走行中に、エンジン回転センサSN1、車速センサSN3、およびアクセルセンサSN4により検出されるエンジン回転数、車速、およびアクセル開度の少なくともいずれかが変化して、これら各値の組合せにより定まる条件が1速を選択すべき条件に適合した場合に、ダウンシフト変速の要求が発せられたと判定する。
図6のタイムチャートでは、ダウンシフト変速の要求が発せられた時点をt1としている。この時点t1の以前は、ギヤ段として2速が選択されているため、自動変速機4では、ハイクラッチCL1が締結されかつロークラッチCL2が解放されている。つまり、ハイクラッチCL1には、これを完全に締結させるための高い油圧(ライン圧)Xが供給されるとともに、ロークラッチCL2に供給される油圧はゼロとされている。また、動力断接クラッチ2は、時点t1の以前において締結状態に維持されている。そして、この状態でドライバーがアクセルペダルを比較的大きく含み込むことにより、時点t1においてダウンシフト変速の要求が発せられている。
上記ステップS1でYESと判定されてダウンシフト変速の要求があることが確認された場合、変速制御部52は、動力断接クラッチ2を締結状態から解放状態に切り替える(ステップS2)。すなわち、変速制御部52は、動力断接クラッチ2の摩擦板どうしの圧接力がゼロになるように動力断接クラッチ2のアクチュエータを制御することにより、エンジン1の出力軸12から自動変速機4の入力軸16にトルクが伝達されないように両者の連結を解除する。
また、上記ダウンシフト変速の要求に伴い、回生制御部53は、油圧ポンプモータ19のモードを駆動モードに切り替えて油圧ポンプモータ19をモータとして作動させる(ステップS3)。すなわち、回生制御部53は、図3(b)に示したように、アキュムレータ22→供給通路26→油圧ポンプモータ19→排出通路27→オイルパン21の順にオイルが流れるように第1・第2方向切替弁30,31を制御することにより、アキュムレータ22から供給される高圧のオイルにより回転するモータとして油圧ポンプモータ19を作動させる。
さらに、上記ダウンシフト変速の要求に伴い、エンジン制御部51は、エンジン1の出力トルクが増大するようにエンジン1の各部を制御する(ステップS4)。すなわち、エンジン制御部51は、エンジン1の各気筒にインジェクタ(燃料噴射弁)から噴射される燃料を増量する等の制御を実行することにより、エンジン1の出力トルクを増大させる。
図6のタイムチャートでは、ダウンシフト変速の要求があった時点t1とほぼ同時に、動力断接クラッチ2が解放されるとともに、エンジン1の出力トルクを増大させる制御が開始され、さらに油圧ポンプモータ19のモードが駆動モードに切り替えられている。動力断接クラッチ2の解放に伴いエンジン1の出力軸12はフリーになり(それによりエンジン1の負荷が軽減され)、しかもエンジン1自身で発生するトルクは増大しているので、エンジン1の出力軸12の回転数(下から3つ目のグラフの実線の波形)は、時点t1から比較的急峻に上昇し始める。また、油圧ポンプモータ19の軸トルク、より詳しくは油圧ポンプモータ19から自動変速機4の入力軸16に付与されるトルクは、時点t1以前の値(ここではゼロ)からプラスに急上昇している。そして、時点t1からほどなくして油圧ポンプモータ19の軸トルクが+V1まで増大し、その後しばらく一定値に維持されている。このプラスのトルク(正トルク)は、油圧ポンプモータ19が入力軸16の回転をアシストしていることを表している。
時点t1で動力断接クラッチ2が解放されるのに伴い、それ以降はエンジン1の駆動力が自動変速機4の入力軸16に入力されなくなるが、これに代えて油圧ポンプモータ19から入力軸16に正トルクが付与されることにより、入力軸16への入力トルクが時点t1以前と同等に維持されるととともに、入力軸16の回転数(下から3つ目のグラフの1点鎖線の波形)が時点t1以前と同様の傾向で推移する。図6において、時点t1の前後にわたって車両の加速度が特に変化していないのはこのためである。回生制御部53は、動力断接クラッチ2の解放前と同じ加速度で車両を走行させるために入力軸16に付与すべき正トルク(+V1)を演算により予め決定し、決定した正トルクが油圧ポンプモータ19から発生するように、第2リニアソレノイド弁34を制御して油圧ポンプモータ19のモータとしての仕事量を調整する。
次いで、変速制御部52は、エンジン1の出力軸12の回転数がダウンシフト後のギヤ段(1速)の減速比に対応した回転数である同期回転数Nxまで上昇したか否かを判定する(ステップS5)。同期回転数Nxは、ギヤ段として1速が達成された場合に得られる減速比と、車速センサSN3により検出される車両の現車速とに基づいて演算により求めることができる。変速制御部52は、このようにして算出される同期回転数Nxと、エンジン回転センサSN1により検出される出力軸12の回転数との比較に基づいて、出力軸12の回転数が同期回転数Nxに達したか否かを判定する。なお、図6のタイムチャートでは、出力軸12の回転数が同期回転数Nxに達した時点をt2としている。
上記ステップS5でYESと判定されてエンジン1の出力軸12の回転数が同期回転数Nxまで上昇したことが確認された場合、変速制御部52は、動力断接クラッチ2を解放状態から締結状態に切り替える(ステップS6)。すなわち、変速制御部52は、動力断接クラッチ2の摩擦板どうしが十分な力で圧接されるようにアクチュエータを駆動することにより、エンジン1の出力軸12と自動変速機4の入力軸16とが一体に回転するように両者を連結する。
上記のように動力断接クラッチ2を締結するステップS6の制御が開始されると、変速制御部52は、これとほぼ同時に、ハイクラッチCL1を締結状態から解放状態に切り替えるとともに、ロークラッチCL2を解放状態から締結状態に切り替える(ステップS7)。すなわち、変速制御部52は、ハイクラッチCL1への供給油圧をライン圧Xからゼロまで低下させるとともに、ロークラッチCL2への供給油圧をゼロからライン圧Xまで上昇させることにより、ハイクラッチCL1を締結させかつロークラッチCL2を解放させる。
次いで、変速制御部52は、ロークラッチCL2の締結が完了したか否かを判定する(ステップS8)。すなわち、変速制御部52は、自動変速機4に内蔵されている油圧センサの検出値に基づいて、ロークラッチCL2への供給油圧がライン圧Xに達した否かを調べ、ライン圧Xに達した時点でロークラッチCL2の締結が完了したと判定する。なお、図6のタイムチャートでは、ロークラッチCL2の締結が完了した時点(油圧がライン圧Xに達した時点)をt3としている。また、この時点t3とほぼ同時に、ハイクラッチCL1の解放が完了する(油圧がゼロになる)とともに、動力断接クラッチ2の締結が完了している。
上記ステップS8でYESと判定されてロークラッチCL2の締結が完了したことが確認された場合、回生制御部53は、油圧ポンプモータ19のモードを駆動モードから回生モードに切り替えて油圧ポンプモータ19をポンプとして作動させる(ステップS9)。すなわち、回生制御部53は、図3(a)に示したように、オイルパン21→吸込み通路23→油圧ポンプモータ19→吐出通路24→アキュムレータ22の順にオイルが流れるように第1・第2方向切替弁30,31を制御することにより、オイルパン21からオイルを吸い上げて圧送するポンプとして油圧ポンプモータ19を作動させる。このように油圧ポンプモータ19がポンプとして作動することにより、油圧ポンプモータ19からアキュムレータ22にオイルが圧送され、アキュムレータ22の圧力が高められる。言い換えると、入力軸16の回転力が油圧のエネルギーに変換され、アキュムレータ22に油圧として蓄えられる。
上記のように油圧ポンプモータ19のモードが回生モードに切り替えられるのに伴い、図6のタイムチャートでは、油圧ポンプモータ19の軸トルクがプラスからマイナスに転じ、マイナス側の最大値である−V2にまで直ちに低下している。このマイナスのトルク(逆トルク)は、油圧ポンプモータ19が入力軸16の回転にブレーキをかけていることを表している。回生制御部53は、入力軸16に適正なブレーキをかけるための逆トルク(−V2)を各種条件に応じて決定し、決定した逆トルクが油圧ポンプモータ19から発生するように、第1リニアソレノイド弁33を制御して油圧ポンプモータ19のポンプとしての仕事量を調整する。なお、油圧ポンプモータ19の軸トルクが+V1から−V2まで低下するのに要する時間が無視できない場合には、この所要時間の分だけ上記ステップS9の制御(回生モードへの切り替え)の開始を早めることが必要である。この場合、例えば、ロークラッチCL2への供給油圧の立ち上がり具合等に基づいて当該クラッチCL2の締結完了タイミング(時点t3)を予測し、その予測したタイミングよりも上記所要時間(軸トルクが−V2まで低下するのに要する時間)の分だけ早めたタイミングで、上記ステップS9の制御を開始するとよい。
次いで、回生制御部53は、油圧ポンプモータ19から入力軸16に付与される逆トルクが徐々に低下するように、油圧ポンプモータ19のポンプとしての仕事量を徐々に減少させる(ステップS10)。なお、図6のタイムチャートでは、ロークラッチCL2の締結完了時点t3の直後において−V2にまで増大した逆トルクが、その後徐々に減少して、時点t4においてゼロに達している。以上により、2速から1速へのダウンシフト変速が完了する。
(4)作用効果
以上説明したとおり、当実施形態では、自動変速機4のギヤ段を低くするダウンシフト変速、例えば2速から1速へのダウンシフト変速時(図5、図6参照)に、エンジン1の出力軸12と自動変速機4の入力軸16とを連結する動力断接クラッチ2が解放されるとともに、エンジン1の出力軸12の回転数がダウシフト後の減速比(1速)に対応した同期回転数Nxに向けて上昇するようにエンジン1が制御され、さらに、回生装置3(より詳しくはその油圧ポンプモータ19)のモードが駆動モードとされて自動変速機4の入力軸16に正トルクが付与される。そして、エンジン1の出力軸の回転数が同期回転数Nxまで上昇するのに応じて、自動変速機4の摩擦締結要素(ハイクラッチCL1およびロークラッチCL2)を1速が達成される締結パターン(CL1解放、CL2締結)に切り替えられるとともに、動力断接クラッチ2が解放状態から締結状態に切り替えられる。このような構成によれば、エネルギー効率を良好に維持しながら、自動変速機4の迅速なダウンシフト変速を実現できるという利点がある。
すなわち、上記実施形態では、ダウンシフト変速時にまず動力断接クラッチ2が解放されるとともに、その状態でエンジン1の出力軸12が同期回転数Nxに向けて上昇させられるので、動力断接クラッチ2の解放に伴いフリーになったエンジン1の出力軸12の回転数を迅速かつ精度よく同期回転数Nxまで上昇させることができる。また、動力断接クラッチ2の解放に伴い油圧ポンプモータ19のモードが駆動モードとされるので、エンジン1と切り離された自動変速機4の入力軸16に油圧ポンプモータ19から正トルクを付与することにより、車両の加速度を動力断接クラッチ2の解放前の加速度と同等に維持することができる。さらに、エンジン1の出力軸12の回転数が同期回転数Nxまで上昇してから動力断接クラッチ2が締結されるので、十分に加速されたエンジン1の出力軸12の回転が動力断接クラッチ2を介して自動変速機4の入力軸16に伝達されることにより、当該入力軸16の回転数がエンジン1の出力軸12と同じ回転数まで短時間で上昇する。このため、ギヤ段変更のために自動変速機4の摩擦締結要素の締結パターンを切り替える動作(つまりハイクラッチCL1を解放しかつロークラッチCL2を締結する動作)を、入力軸16の回転上昇スピードに合わせた比較的速いスピードで行うことができ、当該切り替えを迅速に完了させてダウンシフト後の低ギヤ段(1速)を達成することができる。しかも、このような締結パターン切り替えの迅速化は、摩擦締結要素(ハイクラッチCL1およびロークラッチCL2)のスリップロス、つまり摩擦板どうしの相対回転に伴い生じる摩擦熱等に起因したエネルギーロスが低減されることを意味する。したがって、上記実施形態によれば、ダウンシフト変速に要する時間を短縮できる上に、スリップロスを低減してエネルギー効率を向上させることができる。
また、上記実施形態では、動力断接クラッチ2の解放に伴い駆動モードに切り替えられた油圧ポンプモータ19が、ロークラッチCL2の締結が完了するまで(つまり締結パターンの切り替えが完了する図6の時点t3まで)駆動モードのまま維持されるので、油圧ポンプモータ19から自動変速機4の入力軸16に継続的に付与される正トルクの作用により、自動変速機4の入力軸16の回転数がエンジン1の出力軸12と同じ回転数まで上昇するのに要する時間(図6の時点t2からt3までの時間)をさらに短縮することができる。これにより、ダウンシフト変速の迅速化とスリップロスの低減とをさらに促進することができる。
また、上記実施形態では、ロークラッチCL2の締結が完了した時点(図6の時点t3)で油圧ポンプモータ19のモードが駆動モードから回生モードに切り替えられるので、回生モードに切り替えられた油圧ポンプモータ19から自動変速機4の入力軸16に逆トルク(ブレーキ)を付与することにより、ダウンシフト変速による減速比の増大に伴い車両の加速度が急変する変速ショックの発生を効果的に抑制することができる。
また、変速ショックを抑制するために油圧ポンプモータ19が回生モード(ポンプとして作動するモード)に切り替えられて、この油圧ポンプモータ19からアキュムレータ22にオイルが圧送されるので、ダウンシフト変速のたびに入力軸16の回転力を油圧のエネルギーに変換してアキュムレータ22に蓄えることができ、蓄えたエネルギーを別の機会に仕事として取り出すことができる。このように、上記実施形態では、変速ショック対策のためにエネルギーが無駄に消費されることがなく、再利用可能なエネルギーとして回収されるので、車両のエネルギー効率を効果的に向上させることができる。
例えば、変速ショックの抑制は、点火タイミングをリタードしてエンジン1の出力トルクを一時的に低下させることでも達成可能であるが、この場合には点火リタードに伴ってエンジン1の燃費性能が悪化するという問題がある。これに対し、上記実施形態のように回生ブレーキを利用した場合には、回生したエネルギーを再利用できる上に、上記のような点火リタードが不要になるので、その意味でもエネルギー効率を高めることができる。
また、上記実施形態では、回生モードに切り替えられた油圧ポンプモータ19から入力軸16に付与される逆トルクが、ロークラッチCL2の締結完了の後で徐々に低下するように油圧ポンプモータ19が制御されるので、例えば入力軸16への逆トルクを急にゼロまで低下させたような場合と異なり、入力軸16の回転数が急変するのを回避することができ、当該回転数の急変により車両の挙動が不安定になるのを防止することができる。
(5)変形例
上記実施形態では、ダウンシフト変速の要求が発せられると、動力断接クラッチ2を解放させる制御と、油圧ポンプモータ19のモードを駆動モードに切り替える制御と、エンジン1の出力軸12の回転数を同期回転数Nxに向けて上昇させる制御とをほとんど同時に開始したが、各制御の開始タイミングは必ずしも同時でなくてもよい。例えば、油圧ポンプモータ19の駆動モードへの切り替えと、エンジン1の回転数上昇とを、動力断接クラッチ2の解放から所定の微小時間が経過した後に開始してもよい。
また、上記実施形態では、自動変速機4の摩擦締結要素(ハイクラッチCL1およびロークラッチCL2)の締結パターンの切り替えが完了するまで(図6の時点t3まで)、油圧ポンプモータ19のモードを駆動モードに維持したが、油圧ポンプモータ19は、動力断接クラッチ2が解放されている期間中の少なくとも一部において駆動モードに設定されていればよく、締結パターン切り替え完了の少し手前で油圧ポンプモータ19の駆動モードを解除してもよい。
また、上記実施形態では、自動変速機4の入力軸16に正トルクまたは逆トルクを付与する手段として、油圧ポンプモータ19とアキュムレータ22とを含む回生装置3を設けたが、本発明における回生装置は、入力軸の回転力を再利用可能な何らかのエネルギーに変換して蓄える(これに伴い入力軸に逆トルクを付与する)ことができ、かつ蓄えたエネルギーを利用して入力軸を駆動する(正トルクを付与する)ことができるものであればよく、上記実施形態のような油圧式の回生装置3に限られない。例えば、回生装置は、入力軸の回転力を電気エネルギーに変換して蓄える回生モードと、蓄えた電気エネルギーを利用して入力軸を駆動する駆動モードとに切り替え可能な電気式の回生装置であってもよい。この場合、回生装置は、入力軸から駆動力を得て発電する回生モードと入力軸を駆動する駆動モードとに切り替え可能なモータジェネレータと、モータジェネレータで発電された電力を蓄電する充電モードと電力をモータジェネレータに供給する放電モードとに切り替え可能なキャパシタとを含んだものとすることができる。
また、上記実施形態では、車両を走行させるため動力源(油圧ポンプモータ19以外のメインの動力源)として、火花点火式エンジンからなるエンジン1を車両に搭載したが、このようなエンジン1に限らず、ディーゼルエンジンやロータリーエンジンなど、種々のエンジンを動力源として使用可能である。
1 エンジン
2 動力断接クラッチ
3 回生装置
4 自動変速機
7 車輪
12 (エンジンの)出力軸
16 (自動変速機の)入力軸
19 油圧ポンプモータ
22 アキュムレータ(蓄圧器)
51 エンジン制御部
52 変速制御部(第1変速制御部、第2変速制御部)
53 回生制御部
CL1 ハイクラッチ(摩擦締結要素)
CL2 ロークラッチ(摩擦締結要素)
Nx 同期回転数

Claims (5)

  1. 出力軸を有するエンジンと、
    前記エンジンの出力軸と断接可能に連結された入力軸を有しかつ当該入力軸の回転を変速しつつ車輪側に伝達する自動変速機と、
    前記エンジンの出力軸と前記自動変速機の入力軸とが一体に回転するように両者を連結する締結状態と当該連結を解除する解放状態とに切り替え可能な動力断接クラッチと、
    前記自動変速機の入力軸に連係され、当該入力軸の回転力をエネルギーに変換して蓄える回生モードと、蓄えたエネルギーを利用して当該入力軸を駆動する駆動モードとに切り替え可能な回生装置と、
    前記自動変速機のギヤ段を高ギヤ段から低ギヤ段に切り替えるダウンシフト変速時に、前記動力断接クラッチを解放する第1変速制御部と、
    前記動力断接クラッチの解放以後に、前記エンジンの出力軸の回転数をダウンシフト後の減速比に対応した同期回転数に向けて上昇させるエンジン制御部と、
    前記動力断接クラッチの解放期間中、前記回生装置のモードを前記駆動モードとして前記自動変速機の入力軸に正トルクを付与する回生制御部と、
    前記エンジンの出力軸の回転数が前記同期回転数まで上昇するのに応じて、前記自動変速機の摩擦締結要素を前記低ギヤ段が達成される締結パターンに切り替えるとともに、前記動力断接クラッチを締結させる第2変速制御部とを備えた、ことを特徴とする車両用駆動装置。
  2. 請求項1に記載の車両用駆動装置において、
    前記回生制御部は、前記摩擦締結要素の締結パターンの切り替えが完了するまで、前記回生装置のモードを前記駆動モードに維持する、ことを特徴とする車両用駆動装置。
  3. 請求項2に記載の車両用駆動装置において、
    前記回生制御部は、前記摩擦締結要素の締結パターンの切り替えが完了した時点で前記回生装置のモードを前記駆動モードから前記回生モードに切り替えて前記自動変速機の入力軸に逆トルクを付与する、ことを特徴とする車両用駆動装置。
  4. 請求項3に記載の車両用駆動装置において、
    前記回生制御部は、前記回生モードに切り替えられた前記回生装置から前記入力軸に付与される逆トルクが、前記摩擦締結要素の締結パターン切り替え完了の後で徐々にゼロに近づくように前記回生装置を制御する、ことを特徴とする車両用駆動装置。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の車両用駆動装置において、
    前記回生装置は、前記入力軸に連係された油圧ポンプモータと、当該油圧ポンプモータに給排されるオイルが貯留される蓄圧器とを有し、
    前記油圧ポンプモータは、前記入力軸により駆動されて前記蓄圧器にオイルを圧送するポンプとして作動する回生モードと、前記蓄圧器からオイルの供給を受けて前記入力軸を駆動するモータとして作動する駆動モードとに切り替え可能である、ことを特徴とする車両用駆動装置。
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