JP6442254B2 - 半割軸受 - Google Patents
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Description
特許文献1には、端部において溝幅が開口部の細い溝幅へ切り替わるように段状に形成された給油溝が記載されている(段落84)。
特許文献2には、内周面側に一方の下端面から他方の下端面まで周方向に油溝が形成され、その油溝の深さは、内周に対し偏心しており、かつ、下端面では「0」である「偏心油溝型」のアッパーメタルが記載されている(段落26)。
また、特許文献2に記載の技術では、溝は接合面に近づくほど浅くなるものの、溝の幅は一定であるため、その幅に応じた一定量の油漏れが生じていた。
本発明の目的の1つは、従来技術に比べて漏れ油量を抑制するとともに異物排出性を向上させた半割軸受を提供することである。
また、上述の態様において、2つの前記接合面には、それぞれ前記内周面に沿ってクラッシュリリーフが設けられ、前記第1溝は、2つの前記接合面のクラッシュリリーフのいずれにも達していないことが望ましい。
また、上述の態様において、前記第2溝は、2つの前記接合面のうち、前記軸の回転方向の下流側の接合面に達しており、該回転方向の上流側の接合面に達していないことが望ましい。
以下、本発明の一実施形態に係る半割軸受1の構造を説明する。図において、半割軸受1の各構成が配置される空間をxyz右手系座標空間として表す。図に示す座標記号のうち、白い円の中に互いに交差する2本の斜線を描いた記号は、紙面手前側から奥側へ向かう矢印を表す。空間においてx軸に沿う方向をx軸方向という。また、x軸方向のうち、x成分が増加する方向を+x方向といい、x成分が減少する方向を−x方向という。y、z成分についても、上記の定義に沿ってy軸方向、+y方向、−y方向、z軸方向、+z方向、−z方向を定義する。
Dが示す回転方向により上流側および下流側を定義する。
てもよい。この場合、これら溝の幅とは台形の長辺である。
(1)幅が一定の溝を有する半割軸受との比較
図3は、従来の半割軸受の一例を示す図である。半割軸受7は、従来の半割軸受の一例であり、例えば特許文献2に記載された偏心油溝型のアッパーメタルなどである。
図5は、従来の半割軸受の別の一例を示す図である。半割軸受8は、従来の半割軸受の一例であり、例えば特許文献1に記載された、端部で溝幅が切り替わるように段状に形成された給油溝を有するクランクベアリングなどである。
軸受8が内周面83の側に収容する軸は、クランク軸(主軸)である。図5において、半割軸受8は、内周面83の側に収容する軸がx軸方向に沿うように配置されている。なお、図5において+z方向が上方であり、−z方向が下方である。
以上が実施形態の説明であるが、この実施形態の内容は以下のように変形し得る。また、以下の変形例を組み合わせてもよい。
第2溝12は、第1溝11よりも一定の深さだけ深くなるように構成されていてもよい。例えば、軸方向(x軸方向)に平行な所定の軸を中心とする円弧状に溝を形成する場合、第1溝11および第2溝12の各中心軸を内周面13の中心軸から偏心させ、かつ、これら各中心軸を一致させることにより、第1溝11と第2溝12の深さの差は一定となる。これにより、油に異物が含まれていた場合に、第2溝12がその異物の通路として一定の断面積を確保するため、上述した深さの差が変動する場合に比べて異物の排出性が向上する。
接合面14,15には、それぞれ内周面13に沿ってクラッシュリリーフが設けられていてもよい。この場合、第1溝11は、2つの接合面14,15のクラッシュリリーフのいずれにも達していないように形成されていてもよい。クラッシュリリーフは、内周面13を例えば掘削することにより形成されるため、本来、内周面13があった位置よりも深い。このクラッシュリリーフと第1溝11が重なると、第1溝11に保持された油が、第2溝12ではなくクラッシュリリーフを介して接合面14,15から漏れるため漏れ油量が増加する場合がある。したがって、第1溝11を、クラッシュリリーフに達しないように形成することにより、漏れ油量が抑制される。
第2溝12は、2つの接合面14,15のうち、軸の回転方向の下流側の接合面である接合面14に達しており、この回転方向の上流側の接合面である接合面15に達していないように形成されていてもよい。供給される油に異物が含まれている場合、この異物は油の流れに沿って排出されることが多い。つまり、異物は第2溝12の上流側から排出されることは少なく、下流側から排出される可能性が高い。したがって、第2溝12は、上流側の接合面15に達していなくても、下流側の接合面14に達していれば、異物の排出が可能である。また、上流側の接合面15に達しないように第2溝12を形成することにより、給油量は低減される。
内周面13のうち、第1溝11および第2溝12が形成されていない部分にはコーティング(被覆層という)が施されていてもよい。この被覆層は、例えば、樹脂やメッキ、硬質膜、固体潤滑剤、軟質金属などであってもよい。また、薬剤処理や熱処理などにより内周面13の表面を改質して得られたものであってもよい。これにより、軸と内周面13との摩擦が低減される。
上述した実施形態において、溝の形状は軸を中心とした円弧状であったが、これに限られない。第1溝11および第2溝12は、例えば、軸方向からみて楕円形になるように形成されてもよいし、軸方向からみて放物線を描くように形成されてもよい。また、重ねて形成される溝の数は2に限られず、3以上であってもよい。この場合、3以上の溝のいずれかが、内周面13の周方向に沿って形成され、2つの接合面14,15のいずれにも達していない第1溝11であればよい。そして、3以上の溝のうち、上記の第1溝11を除く溝のいずれかが、内周面13の周方向に沿って第1溝11に重ねて形成され、2つの接合面14,15のいずれかに達していて、第1幅w11よりも細い第2幅w12を有し、
かつ、第1溝11よりも深い第2溝12であればよい。
Claims (4)
- 対をなす他の半割軸受と突合せて全体として内周面の側に軸を収容する円筒状の軸受を形成する半割軸受であって、
前記他の半割軸受の接合面と突合せる2つの接合面と、
前記内周面の周方向に沿って形成され、2つの前記接合面のいずれにも達していない、第1の幅を有する第1溝と、
前記内周面の周方向に沿って前記第1溝に重ねて形成され、2つの前記接合面のいずれかに達している、前記第1の幅よりも細い第2の幅を有する第2溝と、を有し、
前記第1溝および前記第2溝はいずれも、2つの前記接合面のいずれか近い方に近づくほど浅くなり、
前記第2溝は、1本のみであって、前記第1溝よりも深い
ことを特徴とする半割軸受。 - 前記第2溝は、前記第1溝よりも一定の深さだけ深い
ことを特徴とする請求項1に記載の半割軸受。 - 2つの前記接合面には、それぞれ前記内周面に沿ってクラッシュリリーフが設けられ、
前記第1溝は、2つの前記接合面のクラッシュリリーフのいずれにも達していない
ことを特徴とする請求項1または2に記載の半割軸受。 - 前記第2溝は、2つの前記接合面のうち、前記軸の回転方向の下流側の接合面に達しており、該回転方向の上流側の接合面に達していない
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の半割軸受。
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