JP6441086B2 - 石炭灰の有効利用方法 - Google Patents

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Description

本発明は,石炭火力発電等から発生する石炭灰からの重金属類等の微量成分の溶出を低減した組成物,並びにその組成物を土質固化材として利用する石炭灰の有効利用方法に関する。
石炭火力発電等から発生する石炭灰は,石炭を燃焼した際に発生する残渣であり,電力事業,一般産業を合わせると,国内で年間1000万トン以上発生している。それと同時に石炭灰の有効利用は進められており,「石炭灰全国実態調査報告書(平成24年度実績)/一般財団法人 石炭エネルギーセンター」によると,平成7年度の石炭灰の有効利用は発生量の67.1%であったが,年々有効利用率は増加し,平成24年度には97.6%に及び,概ね有効利用に対する意識が浸透していることがいえる。
石炭灰の有効利用は,セメント分野や土木・建築分野,農林・水産分野等幅広い分野で行われており,このうちセメント分野での有効利用は,前述の文献によると,全有効利用量の67.9%に上る。セメント分野においては,セメント原材料をはじめ,セメント混合材やコンクリート混和材等に用いられている。
石炭火力発電における微粉炭焚においては,石炭灰は発生箇所別にフライアッシュとクリンカアッシュに大別されるが,このうちフライアッシュのセメント混合材の例としては,フライアッシュセメントやセメント系固化材への適用が挙げられ,コンクリート混和材の例としては,フライアッシュコンクリート等が挙げられる。
フライアッシュコンクリートは,ポゾラン反応による長期強度の増進や乾燥収縮の減少,アルカリシリカ反応の抑制,水和熱の減少,化学抵抗性の向上等の特徴を有するが,空気連行性の低下やフライアッシュに含まれる未燃炭素分の影響で,硬化後のコンクリート表面に黒ずみによる色むらが発生することが課題として挙げられる。これら解決方法としては,AE減水剤や特殊混和剤,特殊AE剤を併用することが一般的に知られている。
その他,石炭灰からは微量成分の溶出が懸念されている。特にセメント系固化材に適用した場合においては,セメント系固化材を混合して改良土にしたときに,改良土から微量成分が溶出する可能性がある。
セメント及びセメント系固化材の地盤改良への使用においては,既に建設省(現・国土交通省)直轄事業を対象に,通達「セメント及びセメント系固化材を地盤改良への使用及び改良土の再利用に関する当面の措置について(平成12年3月24日/建設省技調発第48号)」が出され,改良予定の土壌と使用予定の固化材による六価クロムの溶出試験を実施することが謳われている。また,「土壌の汚染に係る環境基準について(平成3年8月/環境庁告示第46号)」には,六価クロムを含む土壌環境基準が27項目規定されており,記載された砒素,ふっ素,セレン,ほう素等,その他の微量成分等についても石炭灰から溶出する可能性が考えられる。
そこで,特許文献1では,普通ポルトランドセメントに代えて,高炉系セメント(特に高炉セメントB種)及び/又は高炉スラグを石炭灰に添加,硬化させて溶出を抑制させる方法が開示されている。
特開2000−301107号公報
特許文献1の方法については,石炭灰からの微量成分の溶出を抑制するために石炭灰を硬化させてしまうため,該石炭灰をセメント系固化材への添加材として使用することができない。
ところで,本発明に係わり,本発明者等は石炭灰からの微量成分について測定を行った。測定結果を表1に示す。No.1〜No.6いずれの石炭灰も,電力会社A社の同じ火力発電所において発生した石炭灰であり,不定期にサンプリングした結果である。
Figure 0006441086
表1について,pHの測定は地盤工学会基準「土懸濁液のpH試験方法」を参考にして測定した。また,微量成分溶出量の測定は,「土壌の汚染に係る環境基準について(平成3年8月/環境庁告示第46号)」に定められた方法に基づいて測定した。
上記の表1に示すように,同じ火力発電所から発生した石炭灰であっても,サンプリングした時期が異なれば,pH並びに微量成分溶出量の値も大きく異なることがいえる。これは,火力発電に使用する石炭の炭種の変動による影響であると考えられる。また,砒素,セレン,ふっ素,ほう素については,土壌環境基準を上回る溶出量であることが確認された。さらに,溶出した濃度についても,石炭灰によって大きく異なっている。
この結果を踏まえると,石炭灰から溶出する微量成分の濃度は,元となる石炭の炭種により大きく変動することから,土壌環境基準以内に抑制するためには,これら変動する要因を勘案する必要がある。
従って本発明は,石炭灰を土質固化材への添加材等として利用可能な粉末状のまま,微量成分の溶出が抑制された状態とすることを目的とする。
本発明者らは,上記課題を達成するため,鋭意検討を行った。そこで,石炭灰からの微量成分溶出量について,溶媒による洗浄や静電による分級,セメントによる固化を行わず,水酸化カルシウム,高炉スラグ等の添加材を使用することによって,石炭灰からの微量成分溶出量を抑制することを検討し,本発明に至った。更には,得られた改質石炭灰を水から遮蔽した状態で保管し,ユーザーからの必要に応じて土質固化材の添加材として使用することができる,石炭灰を有効利用する方法を見出した。
すなわち本発明は,火力発電所から発生した石炭灰に,水酸化カルシウム及び高炉スラグを、石炭灰100質量部に対して水酸化カルシウム3.4〜16.7質量部、高炉スラグ11.5〜50質量部の範囲で加えて改質石炭灰とし,該改質石炭灰を水から遮蔽した状態で保管しておき,ユーザーからの発注に応じて,改質石炭灰とセメントと石膏を混合して土質固化材として出荷する,石炭灰の有効利用方法である。
また,土質固化材として出荷するセメントが高炉スラグを含むセメントである石炭灰の有効利用方法である。
本発明によれば,石炭火力発電等から発生する石炭灰からの重金属類等の微量成分の溶出を低減した組成物を得ることができる。また,当該改質石炭灰は粉末状であるため,他の材料,例えば土質固化材等の混合材として使用することが可能となり,石炭灰の有効利用を図ることができる。更には,該改質石炭灰からの微量成分の溶出は,土壌環境基準以内に抑制されているため,保管,運搬等に際して特別の措置を講ずる必要性がなく,極めて扱いやすいものである。
以下に,本発明について詳細に説明する。本発明における改質石炭灰は,石炭灰,水酸化カルシウム,高炉スラグを含んでなる。更には土質固化材等の混合材として出荷することが可能である。
本発明で使用する石炭灰は,石炭を燃焼した際に発生する残渣として得られるものである。石炭灰を製品別による分類すると,フライアッシュとシンダアッシュの混合物である原粉,原粉を分級選別した細粉で日本工業規格「コンクリート用フライアッシュ」に適合させたJISフライアッシュ,原粉を分級し粒度調整をした粗いものである粗粉,クリンカホッパに落下した灰を収集し,破砕・脱水・粒度調整したクリンカアッシュに分類されるが,本発明においては特に限定されるものではない。また,石炭灰は石炭火力発電等の電気事業及び一般産業において発生するが,発生事業についても特に限定されない。
本発明で使用する水酸化カルシウムは,一般に消石灰と呼ばれるものである。石炭灰に水酸化カルシウムを含有させることにより,該石炭灰に含まれる微量成分のうち,砒素,セレン,ふっ素,ほう素の溶出量を抑制することができる。また,消石灰を含む本発明の粉末状組成物は,固化材などとして使用する際に水と混合してスラリーとした場合,該スラリーの粘性が高くなるとともに,未燃炭素分の滲出を抑制することができるという効果も発現する。
本発明の改質石炭灰において,水酸化カルシウムは,石炭灰100質量部に対して,3.4〜16.7質量部であることが好ましい。3.4〜14.3質量部であることがより好ましく,3.4〜10.4質量部であることが特に好ましい。水酸化カルシウムの量が多いと,改質石炭灰をスラリーとした場合の粘性が非常に高くなり,該改質石炭灰を土質固化材とした場合のスラリーの粘性への影響が大きくなるとともに,土質固化材としてもコストがかさむ傾向にある。また,石炭灰自体の有効利用量が減少する。
水酸化カルシウムは,工業用消石灰,農業用消石灰,水酸化カルシウム試薬等,市販されているものが好適に使用できる。好ましくは,日本工業規格「工業用消石灰」に規定された水酸化カルシウムであり,さらに好ましくは,経済性や市場流通性,含有するカルシウム量が多い点で,特号品であることがより好ましい。
本発明で使用する高炉スラグは,高炉水砕スラグをいう。高炉スラグは,石炭灰100質量部に対して11.5〜50質量部であることが好ましく,11.5〜46.2質量部がより好ましく,11.5〜26.7質量部が最も好ましい。該高炉スラグは,水酸化カルシウムと併用して使用することにより,石炭灰に含まれる微量成分のうち,特にセレンの溶出量を抑制する効果を発現する。
また,高炉スラグの使用量を増やすことにより,高炉スラグのコストはかさむが,水酸化カルシウムの使用量を少なくすることができ,改質石炭灰にかかるコストとして同等,もしくは低く抑えることができ,経済的であるといえる。
本発明における改質石炭灰は,発生した石炭灰に水酸化カルシウム,高炉スラグを添加・混合することにより製造することができ,金属などの溶出がないため,特別な設備を用いることなく,その他の粉末と同様の保管,流通を行うことができる。好ましくは,大量に製造したものを長期的に保管し,ユーザーからの発注に応じて迅速に出荷できるよう,水と遮蔽された容器で保管することが好ましい。
本発明における改質石炭灰は,水酸化カルシウムと高炉スラグが含まれていることから,水を加えると硬化する性質を有する。したがって,生コンクリートやモルタル材料の添加材としても使用することができる。更に好適には,土質固化材の添加材として用いることができる。即ち,ポルトランドセメントクリンカ,石膏その他成分を含む土質固化材の増量材,改質材として用いることができる。
本発明における改質石炭灰の保管は,水と遮断された容器であれば,材質や容量など,特に限定されない。該改質石炭灰を土質固化材に使用することを考慮すると,セメントサイロなどに保管することが好ましい。
土質固化材に使用するセメントクリンカは,公知のセメントクリンカが特に制限なく使用できる。なかでも,普通ポルトランドセメント,早強ポルトランドセメント,超早強ポルトランドセメント,中庸熱ポルトランドセメント及び低熱ポルトランドセメントの製造に使用されるポルトランドセメントクリンカが好適に使用できる。
本発明において,改質石炭灰を土質固化材の添加材として用いる場合の使用量は特に限定されるものではないが,一般に,上記セメントクリンカ100質量部に対して,改質石炭灰に由来する石炭灰が1〜55質量部が好ましく,1〜30質量部がより好ましい。
土質固化材に使用する石膏は,セメントやセメント系固化材に使用される石膏として公知の石膏が特に制限なく使用できる。例えば,2水石膏,半水石膏,I型又はII型無水石膏等が挙げられる。また,天然石膏,化学石膏のいずれでもよく,化学石膏としては排煙脱硫石膏,リン酸石膏,チタン石膏及びフッ酸石膏等が挙げられる。
上記石膏は必要に応じて単独或いは複数種を組み合わせて使用できる。好ましくは,無水石膏,2水石膏を単独で或いはこれらを組み合わせて使用する。石膏の量はセメントクリンカ100質量部に対して1〜25質量部であることが好ましく,5〜20質量部であることがより好ましい。また,用いる石膏の粉末度は特に制限されるものではないが,一般的にはブレーン比表面積で2,500〜10,000cm/gであり,多くは2,500〜7,000cm/gである。
土質固化材には,イオン交換反応による土の塑性指数の低下やポゾラン反応の促進を目的として水酸化カルシウム(消石灰)が配合されることがあり,前記改質石炭灰を添加された土質固化材においても,該改質石炭灰に由来する水酸化カルシウムに加えて,別途,水酸化カルシウムが含まれていてもよい。当該水酸化カルシウムの配合量は,改質石炭灰に由来する水酸化カルシウムと併せた量が,ポルトランドセメントクリンカ100質量部に対して15質量部以下となる量が好ましく,10質量部以下がより好ましい。
高炉スラグには潜在水硬性があり,固化材成分として使用した場合には,長期的な強度発現性に寄与することができる。また,六価クロムの溶出を低減する作用を有するため,環境負荷の点からも好ましい。従って,本発明における改質石炭灰を添加された土質固化材においても,該改質石炭灰に由来する高炉スラグに加えて,別途,高炉スラグが含まれていてもよい。上記効果を発現するためには,土質固化材中の高炉スラグの含有量は,改質石炭灰に由来する量と併せてポルトランドセメントクリンカ100質量部に対して150質量部以下となる量が好ましく,40質量部以下がより好ましい。
本発明の改質石炭灰を添加する土質固化材には,上記各成分に加えて,土質固化材の配合成分として公知の他の成分,具体的にはナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩系,リグニンスルホン酸塩系,メラミンスルホン酸ホルマリン縮合物塩系,ポリカルボン酸塩系及びポリエーテル系の分散剤等の各種の分散剤・流動化剤,第一鉄塩,3価のチタン酸塩,亜硫酸塩,亜硫酸水素塩,チオ硫酸塩等の還元剤,シリカフューム,石灰石,アルカリ金属りん酸塩等が配合されていてもよい。
以下に実施例により本発明を具体的に説明するが,本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。
1.石炭灰及び使用材料
(a)石炭灰
石炭灰は,電力会社A社において発生した石炭灰を用いた。石炭灰は採取時期の違いにより,(1)〜(5)の5種類の石炭灰を使用した。
(b)水酸化カルシウム
水酸化カルシウム(以下の記述では,「消石灰」と称す。)は,中山石灰工業株式会社製の工業用特号消石灰を用いた。使用した消石灰の粒度について,レーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置(株式会社堀場製作所製)を用いて測定を行ったところ,最小粒子径0.26μm,最大粒子径262.38μmであった。
(c)高炉スラグ
高炉スラグは,株式会社神戸製鋼所加古川製鉄所において発生する高炉水砕スラグを用いた。蛍光X線分析装置(株式会社リガク製:ZSX)を用いて測定した化学成分は,MgO:7.0%,Al:12.8%,SiO:28.1%,SO:4.55%,CaO:45.6%であった。
2.試製石炭灰の作製
石炭灰と上記添加材料を適宜調合し,改質石炭灰を作製した。調合は,各材料を計量の上,ポリ袋に投入し,袋内で混合した。
3.改質石炭灰硬化体及び溶出試験検体の作製
作製した改質石炭灰を,水/改質石炭灰比として0.4の割合で水道水(山口県周南市水道水)と混合してスラリー状とし,直径5cm−高さ10cmの円柱型金属製型枠に流し込み,7日間封かん養生させて改質石炭灰硬化体を作製した。なお,混合方法はスリーワンモーター(アズワン株式会社製「トルネード」)を用いて400rpm/5分間とした。7日間封かん養生させた改質石炭灰硬化体を細かく粉砕し,非金属製ふるい(ふるい目開き2mm)を用いてふるい分けし,通過した試料を溶出試験用検体とした。
4.測定成分及び微量成分溶出量の測定
測定する微量成分は,土壌汚染対策法において第二種特定有害物質に分類される六価クロム,砒素,セレン,ふっ素,ほう素の5項目とした。微量成分溶出量の測定方法は,前述と同じように「土壌の汚染に係る環境基準について(平成3年8月/環境庁告示第46号)」に定められた方法に基づいて測定した。
4−1.消石灰及び高炉スラグによる微量成分溶出低減効果
石炭灰に消石灰及び高炉スラグを含有することによる微量成分溶出量への効果を検証した。石炭灰並びに試製石炭灰の組成と測定結果を表2に示す。なお,石炭灰のみの場合の溶出試験については,硬化体を試製することができないため,試料は混合後の粉末状のものを用いた。また,組成は質量部で表している。
Figure 0006441086
実施例1〜10は,石炭灰(1)に対して消石灰,高炉スラグを含有させることによる溶出低減効果を確認しているが,全ての項目において土壌環境基準以内の溶出量に抑制することができている。
実施例11〜14は,石炭灰のロットが異なるだけであり,同一含有量の消石灰,高炉スラグにおける溶出低減効果を確認しているが,基材となる石炭灰自体の微量成分溶出量(比較例2〜5)の多少が異なるにもかかわらず,いずれの実施例ともに土壌環境基準以内の溶出量に抑制することができる。
以上のように,本発明によれば,石炭火力発電等から発生する石炭灰からの重金属類等の微量成分の溶出を低減した組成物を得ることができる。
4−2.改質石炭灰を含むセメント系固化材を用いた改良土からの微量成分溶出量
改質石炭灰を含むセメント系固化材を用いた改良土からの微量成分溶出量を検証した。セメント系固化材は,普通ポルトランドセメント,高炉セメントB種(以上,株式会社トクヤマ製)と無水石膏を,改質石炭灰を含むセメント系固化材は,さらに改質石炭灰をポリ袋内で混合して試製した。この時に使用した石炭灰は,表2に示す石炭灰(5)であり,溶出試験結果は,表2に示す比較例5のとおりである。また,改質石炭灰は,実施例14の組成と同じものを用いた。
試料土は,大阪府内で採取された砂質土(自然含水比15.29%,湿潤密度2.084g/cm)と細粒土(自然含水比26.82%,湿潤密度1.906g/cm)を用いた。固化材添加量は,対象試料土1m当り砂質土で粉体添加の場合は50kgの1水準,細粒土で粉体の場合は100kg,200kgの2水準とし,スラリー添加の場合は,いずれの試料土も1m当り300kg,水セメント比80%の1水準とした。
改良土の作製は,対象試料土に試製したセメント系固化材または固化材スラリーを投入し,ソイルミキサー(愛工舎製作所製)を用いて5分間,混合した。作製した改良土は,粉体添加の場合はセメント協会標準試験方法JCAS L−01「セメント系固化材による改良体の強さ試験方法」,スラリー添加の場合は地盤工学会基準JGS0821「安定処理土の締固めをしない供試体作製方法」にそれぞれ準拠して型枠に充填し,供試体を作製した。養生期間は,7日間とした。
溶出試験は,六価クロム,砒素,セレン,ふっ素,ほう素の5項目とし,7日間養生した供試体を検体として用いた。溶出量試験は,「土壌の汚染に係る環境基準について(平成3年8月/環境庁告示第46号)」に定められた方法に基づいて測定した。
改質石炭灰を含むセメント系固化材及び,参考例として実施した改質石炭灰を含まないセメント系固化材の組成及び溶出試験結果を表3に示す。
Figure 0006441086
実施例15〜19は,改質石炭灰を含むセメント系固化材における改良土からの微量成分の溶出量を示す。改良対象となる土質の種類や添加形態,固化材添加量にかかわらず,改良土からの微量成分の溶出は,土壌環境基準以内に抑制されている。
また,参考例1〜5は,改質石炭灰を含まない一般的なセメント系固化材における微量成分溶出量を示すが,これら参考例と比べても,改質石炭灰を含む実施例15〜19の微量成分の溶出量は,殆ど変わらないといえる。したがって,改質石炭灰として微量成分の溶出量を抑制した石炭灰をセメント系固化材に含有しても,石炭灰を由来とする微量成分の溶出は見られないことが明らかであるため,セメント系固化材等の配合成分として有用に使用することができる。

Claims (3)

  1. 火力発電所から発生した石炭灰に、水酸化カルシウム及び高炉スラグを、石炭灰100質量部に対して水酸化カルシウム3.4〜16.7質量部、高炉スラグ11.5〜50質量部の範囲で加えて改質石炭灰とし、該改質石炭灰を水から遮蔽した状態で保管しておき、ユーザーからの発注に応じて、該改質石炭灰とセメントと石膏を混合して土質固化材として出荷する、石炭灰の有効利用方法。
  2. セメントが、高炉スラグを含むセメントである請求項1に記載の石炭灰の有効利用方法。
  3. 改質石炭灰における成分割合が、石炭灰100質量部に対して水酸化カルシウム3.4〜10.4質量部、高炉スラグ11.5〜26.7質量部である請求項1又は請求項2に記載の石炭灰の有効利用方法。
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