JP6441084B2 - ミシン - Google Patents
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Description
しかしながら、押さえ足の幅が広いと、布地の針落ち位置が押さえ足に隠される、針落ち位置の近くに手を置いて作業ができない等、作業性が低下するため、従来のミシンでは、縫いの種類に応じて押さえ足を交換としていた(例えば、特許文献1参照)。
布押さえ及び針板を縫いの種類に応じて交換可能なミシンにおいて、
被縫製物の送り方向に沿った動作を付与される送り台と、前記針板の上の被縫製物を送る送り歯とを備え、
前記送り台に前記送り歯を分離可能に装着する装着部を備え、
前記送り歯は、前記装着部に装着するためのカム部を備え、
前記装着部は、前記カム部が挿入される対向状態の第一受け面及び第二受け面と、これらに挿入された前記カム部を挿入方向に押圧する押圧部材とを備え、
前記カム部は、
平坦な前記第一受け面に面接触する平坦な第一カム面と、
前記第二受け面の端部に対して、前記カム部が挿入される挿入方向に直交する方向に沿った線による線接触を行う第二カム面と、
前記押圧部材に押圧される第三カム面と、を備え、
前記カム部と前記装着部が、前記送り歯の取り外しと取り付けとを当該送り歯の手操作による回動により工具を使うことなく行う支持構造を構成するたことを特徴とする。
前記第三カム面に対して前記押圧部材が押圧する方向は、前記第一カム面が前記第一受け面を押圧する方向と前記カム部の挿入方向とに成分分けが可能な方向であることを特徴とする。
前記送り歯における前記挿入方向の端部に前記カム部を設けたことを特徴とする。
前記カム部の挿入方向と前記送り歯による被縫製物の送り方向とが平行であることを特徴とする。
前記装着部は、前記第一受け面に平行であって前記挿入方向に交差する方向について、前記送り歯を前記装着部に対して位置決めする位置決め部材を備えることを特徴とする。
前記カム部は、前記第一カム面の前記挿入方向の端部に当該第一カム面に連なる断面円弧状の第一の連続面を有することを特徴とする。
前記押圧部材は、前記第三カム面に圧接する圧接部を備え、
前記カム部は、前記第一カム面及び前記第三カム面に連なる断面円弧状の第二の連続面を有することを特徴とする。
前記押圧部材は、前記第三カム面に圧接する圧接部を備えたバネ材であることを特徴とする。
前記押圧部材は、前記第三カム面に圧接する圧接部を備えたラッチ機構であることを特徴とする。
前記押圧部材は、前記第三カム面に圧接する位置と前記第三カム面から退避した位置とに位置切り替え可能なレバー部材であることを特徴とする。
また、押圧部材により第一のカム面と第一の受け面との面接触状態及び第二のカム面と第二の受け面との線接触状態が維持され、送り歯が送り台に適正に保持される。そして、押圧部材に抗して送り歯を挿入方向と逆の方向に引っ張れば分離することができるので、交換を容易に行うことが可能となる。
このため、縫いの種類に適した送り歯への交換を行うことができ、縫い品質の向上を図ることが可能となる。
以下、図面を参照して、発明の実施形態であるミシン10について詳細に説明する。図1はミシン10の斜視図である。このミシン10は、水平面上に載置した状態において、その針板13の上面が水平となり、当該針板13の上面沿って被縫製物である布地の送りを行う。なお、以下の説明において、被縫製物の送り方向をY軸方向、針板13の上面に平行であってY軸方向に直交する方向をX軸方向、針板13に垂直な方向をZ軸方向とする。
また、このミシン10の針上下動機構では、針振りを行わずに針棒を上下動させることもでき、通常の直線縫いと針振りを伴い千鳥縫いとを選択して行うことができる。
また、送り歯20も送り台15に対して後述する所定の構造により着脱可能となっており、X軸方向の幅が狭い直線縫い用の送り歯20A(図9参照)とX軸方向の幅が広い千鳥縫い用の送り歯20とに交換することができる。
また、針板13はミシンベッド部から取り外し可能であり、直線縫い用の送り歯20Aに対応する開口部が形成された針板(図示略)と千鳥縫い用の送り歯20に対応する開口部が形成された針板13とに交換することが可能である。
ミシン10の送り機構2は、縫製の駆動源であるミシンモーター(図示略)からトルクを得て回転を行う前後送り軸及び上下送り軸と、装着部50を介して送り歯20(又は20A)が取り付けられる送り台15と、前後送り軸の回転からY軸方向に沿った往復動作を取り出して送り台の一端部に伝達する第一の伝達機構と、上下送り軸の回転からZ軸方向に沿った往復動作を取り出して送り台15の他端部に伝達する第二の伝達機構とを備えている。
この構成により送り台15は、Y軸方向に沿った往復動作とZ軸方向に沿った往復動作とが合成され、送り歯20(又は20A)に対してY軸方向に沿った長円運動が付与される。そして、この長円運動の上部の区間を移動する際に、針板13の開口部から歯先が送り方向沿って移動しながら出没して所定のピッチで布送りを行う。
送り台15は、その上部のY軸方向における中央部に送り歯20を着脱可能とする装着部50を備えている。
図2は装着部50と当該装着部50に装着された送り歯20の正面図、図3は側面図、図4は平面図、図5は図2のW−W先に沿った断面図である。
送り歯20の下部におけるY軸方向の一端部には前述したカム部30が形成されている。また、送り歯20のY軸方向の中央部から他端部にかけては矩形の開口部23が形成されている。
装着部50は、送り歯20のカム部30を載置する土台部51と、上方から当接してカム部30を保持する保持部材52と、土台部51と保持部材52の間にカム部30が挿入される方向に押圧する押圧部材としてのバネ材53と、装着部50に対する送り歯20のX軸方向における位置を位置決めする位置決め部材54とを備えている。
保持部材52の屈曲部521は、その下部に土台部51の第一受け面511に対向するX−Y平面に沿った平坦面が形成されている。なお、この平坦面は、その端部が、後述するカム部30の第二カム面32に対して線接触する第二受け面522となる(図7参照)。即ち、この第二受け面522のY軸方向の他端部(送り方向後側、以下、単に、後側という)は、角が丸くX軸周りの周面525(図7参照)となるように形成されており、平坦な第二カム面32に対してX軸方向に沿った線に沿って接触する。
本体部541は、有底穴512に挿入された状態において内部で回転可能である。また、本体部541の上端面は、有底穴512に挿入された状態において、第一受け面511よりも僅かに低くなるように設定されている。
また、この位置決め部材54を挿入する有底穴512に対して、土台部51の前面から貫通するネジ穴513が形成されており、当該ネジ穴513には頭無しネジ55が螺入されている。この頭無しネジ55は螺入により位置決め部材54の本体部541の外周面に当接し、位置決め部材54を固定することにより送り歯20の調節後の位置を維持する。
図7はカム部30に対する周囲からの支持状態を示す説明図である。
カム部30は、その底部において装着部50の第一受け面511に面接触する平坦な第一カム面31と、装着部50の第二受け面522の端部に対して、その上部においてカム部30が挿入される挿入方向(Y軸方向)に直交する方向(X軸方向)に沿った線による線接触を行う第二カム面32と、バネ材53の圧接部532に押圧される第三カム面33とを備えている。
第一カム面31は装着部50の第一受け面511に面接触することにより、送り歯20の上端部を水平に維持することができる。
このバネ材53により、カム部30は第三カム面33に垂直な押圧力Fが入力される。このバネ材53による押圧力Fは、第一カム面31が第一受け面511を押圧する方向(Z軸方向)の力Fzとカム部30が第一受け面511と第二受け面522の間へ挿入される方向(Y軸方向)の力Fyとに成分分けが可能である。
つまり、上記二方向に成分分けが可能な方向の押圧力Fが第三カム面33に入力されることにより、第一カム面31が第一受け面511に面接触した状態と第二カム面32が第二受け面522の端部に線接触した状態とが維持され、送り歯20を適正な向きでY軸方向及びZ軸方向について適正な位置に保持することができるようになっている。
なお、送り歯20のX軸方向の適正な位置決めは、送り歯20の位置決め用凹部24と位置決め部材54とにより行われている。
図8は送り歯の着脱動作を示す動作説明図である。図示のように、送り歯20はカム部30とは逆側の端部(後端部)を上方に引き上げることで、工具やネジ等の部品の取り外し作業を伴うことなく送り歯20を送り台15から取り外すことができる。
即ち、送り歯20の後端部に上方の引き上げ力を加えると、カム部30の第一の連続面34を支点として送り歯20全体が反時計回りに回動する。その際、第三カム面33の傾斜によりバネ材53の圧接部532は後方に押し戻されるが、カム部30の回動には梃子の作用が働くので、比較的容易に回動させることができる。また、カム部30の第一のカム面31と第三カム面33との間には第二の連続面35が形成されているので、第一カム面31と第三カム面33との間に角がある場合に比べて、バネ材53の圧接部532が容易に第二の連続面35を通過することができる。
また、第二カム面32は、保持部材52の屈曲部521の先端部に当接してカム部30が後退移動するが、第一の連続面34により第一受け面511の上を円滑に滑らせることができ、カム部30を第一受け面511と第二受け面522の間から引き出すことができる。
これにより、送り歯20は、送り台15から容易に取り外すことができる。
これにより、カム部30の先端部が第一受け面511と第二受け面522との間に徐々に入り込む。この時、カム部30の第二の連続面35はバネ材53の圧接部532に当接し、当該圧接部532を後方に押しながら当該圧接部532を通過する。そして、第二の連続面35が通過後、バネ材53の圧接部532は、第三カム面33に圧接する。これにより、カム部30は前方と下方に向かって押圧され、第一カム面31が第一受け面511に面接触し、第二カム面32が第二受け面522の後端部の周面525に線接触した状態で停止する。これにより、送り歯20はY軸方向とZ軸方向について適正な位置に位置決めされ、また、送り歯20の上端部が水平となる様に適正な向きに保持される。
またこの時、送り歯20の位置決め用凹部24に位置決め部材54の円形突起542が嵌合するように送り歯20を導くことによりX軸方向についても送り歯20は適正な位置に位置決めされる。
千鳥縫い用の送り歯20と交換する直線縫い用の送り歯20Aを図9に示す。この送り歯20Aについて送り歯20と同一の構成については同符号を付して重複する説明は省略する。
この送り歯20Aは、送り歯20と同一のカム部30を備え、上部21Aは上部21よりもX軸方向の幅が狭く形成されている。これにより、歯部22は五本から三本に減じられており、また、上部21Aの幅の減少に伴い、開口部23Aの幅も狭くなっている。
この送り歯20Aは、カム部30を備えるので、送り歯20と同様に、送り台15に対する取り付け及び取り外しを容易に行うことができ、送り歯20と送り歯20Aとの交換を容易に行うことができる。
上記ミシン10は、被縫製物の送り方向に沿った動作を付与される送り台15と、針板13の上の被縫製物を送る送り歯20(又は20A)とを備え、送り台15に送り歯20(又は20A)を分離可能に装着する装着部50を設けている。
このため、縫いの種類に適した送り歯20,20Aへの交換を行うことができ、縫い品質の向上を図ることが可能となる。
これにより、第一のカム面31の面接触状態と第二カム面32の線接触状態がバネ材53の押圧力で維持され、送り歯20,20AをY軸方向及びZ軸方向について適正な位置に保持すると共に送り歯20が傾くことなく適正な姿勢を保持することが可能となる。
また、カム部30と装着部50による上記の支持構造とにより、送り歯20,20Aを取り外しと取り付けとを送り歯20,20Aの手操作による回動により工具などを使うことなく容易に行うことが可能となる。
これにより、縫製時において被縫製物からの送りの抗力によって送り歯20の向きの変動が生じ難く、良好な送り動作を行うことが可能となる。
従って、送り歯20,20Aの取り付けの際に、X軸方向にも適正な位置決めを行うことが可能となる。
また、カム部30の先端部を第一受け面511と第二受け面522との間に挿入又は引き出す際に、第一の連続面34が第一受け面511に対して円滑に摺動するので、装着作業をさらに円滑に行うことが可能となる。
上記実施形態では、押圧部材としてバネ材53を例示したが、カム部30の第三カム面33を押圧することができれば他の部材或いは他の機構を利用しても良い。
例えば、進出可能な爪を備えたラッチ機構を送り台15の土台部51に設け、突出する方向に弾性的に押圧された爪をカム部30の第三カム面33に押しつけるように設けても良い。この場合、爪を弾性力に抗して後退させることで送り歯20,20Aの着脱を行うことができ、また、爪の押圧力が送り歯20,20Aを装着部50に保持することを可能とする。つまり、バネ材53と同様に機能させることができる。
即ち、レバー部材53Bは、基端部が土台部51の後側の平面に対してY軸回りに回動可能に支持され、回動端部が土台部51の側方の外側を向いた状態(退避位置、実線で図示)と90°回動して起立した状態(圧接位置、二点鎖線で図示)との間で切り替え可能である。
そして、レバー部材53Bの回動端部は、前側に向かって突出し、その突出端部が圧接部532Bとなって第三カム面33に圧接することで、カム部30を前方及び下方に押圧する構成としても良い。
この時、レバー部材53Bの回動端部の圧接部532Bは、実線で図示するように、退避位置から圧接位置に向かうにつれて徐々に前方への突出量が多くなる部分が当接するように、先端部の当接面形状を湾曲面又は傾斜面とすることが望ましい。これにより、レバー部材53Bの回動に応じてカム部30の第三カム面33を徐々に前方に押圧することができる。なお、図10では片側の第三カム面33に当接するレバー部材53Bしか図示されていないが、もう一方の第三カム面33に当接するレバー部材が設けられている。なお、もう一方のレバー部材はその先端部の当接面形状の湾曲又は傾斜の方向が対称とすることが望ましい。
10 ミシン
11 縫い針
12 針棒
13 針板
14 布押さえ
15 送り台
20,20A 送り歯
24 位置決め 用凹部
30 カム部
31 第一カム面
32 第二カム面
33 第三カム面
34 第一の連続面
35 第二の連続面
50 装着部
53 バネ材(押圧部材)
53B レバー部材(押圧部材)
54 位置決め部材
511 第一受け面
522 第二受け面
525 第二受け面の後端部の周面
532,532B 圧接部
Claims (10)
- 布押さえ及び針板を縫いの種類に応じて交換可能なミシンにおいて、
被縫製物の送り方向に沿った動作を付与される送り台と、前記針板の上の被縫製物を送る送り歯とを備え、
前記送り台に前記送り歯を分離可能に装着する装着部を備え、
前記送り歯は、前記装着部に装着するためのカム部を備え、
前記装着部は、前記カム部が挿入される対向状態の第一受け面及び第二受け面と、これらに挿入された前記カム部を挿入方向に押圧する押圧部材とを備え、
前記カム部は、
平坦な前記第一受け面に面接触する平坦な第一カム面と、
前記第二受け面の端部に対して、前記カム部が挿入される挿入方向に直交する方向に沿った線による線接触を行う第二カム面と、
前記押圧部材に押圧される第三カム面と、を備え、
前記カム部と前記装着部が、前記送り歯の取り外しと取り付けとを当該送り歯の手操作による回動により工具を使うことなく行う支持構造を構成することを特徴とするミシン。 - 前記第三カム面に対して前記押圧部材が押圧する方向は、前記第一カム面が前記第一受け面を押圧する方向と前記カム部が前記第一受け面と前記第二受け面の間へ挿入される方向とに成分分けが可能な方向であることを特徴とする請求項1記載のミシン。
- 前記送り歯における前記挿入方向の端部に前記カム部を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載のミシン。
- 前記カム部の挿入方向と前記送り歯による被縫製物の送り方向とが平行であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のミシン。
- 前記装着部は、前記第一受け面に平行であって前記挿入方向に交差する方向について、前記送り歯を前記装着部に対して位置決めする位置決め部材を備えることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のミシン。
- 前記カム部は、前記第一カム面の前記挿入方向の端部に当該第一カム面に連なる断面円弧状の第一の連続面を有することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のミシン。
- 前記押圧部材は、前記第三カム面に圧接する圧接部を備え、
前記カム部は、前記第一カム面及び前記第三カム面に連なる断面円弧状の第二の連続面を有することを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載のミシン。 - 前記押圧部材は、前記第三カム面に圧接する圧接部を備えたバネ材であることを特徴とする請求項7記載のミシン。
- 前記押圧部材は、前記第三カム面に圧接する圧接部を備えたラッチ機構であることを特徴とする請求項7記載のミシン。
- 前記押圧部材は、前記第三カム面に圧接する位置と前記第三カム面から退避した位置とに位置切り替え可能なレバー部材であることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載のミシン。
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