JP6439332B2 - スクライブ装置、スクライブ方法及びホルダユニット - Google Patents

スクライブ装置、スクライブ方法及びホルダユニット Download PDF

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Description

本発明は、ガラス基板等の脆性材料基板の分断において、脆性材料基板の表面にスクライブラインを形成するためのスクライブ装置、スクライブ方法及びホルダユニットに関する。
ガラス基板の分断は、通常、スクライビングツールを用いてガラス基板の表面にスクライブラインを形成することにより行われている。このスクライビングツールとしてスクライビングホイールがよく知られている。このスクライビングホイールとしては、例えば特許文献1に記載されているホイールカッターがある。
特許文献1に記載されているホイールカッターは、カッターホルダに保持されるとともに、カッターピンが挿入された回転軸を中心として脆性材料基板上を回転することで、脆性材料基板の表面にスクライブラインを形成していく。
スクライビングホイール以外のスクライビングツールとして、例えば特許文献2や特許文献3に記載されている円柱状や角柱状からなる支持部の先端にダイヤモンドチップ等を取り付け、チップ表面を研磨してスクライビングポイントを形成したものが知られている。
特許文献2や特許文献3に記載されているスクライビングツールは、脆性材料基板に対してスクライビングポイントを圧接し、この状態でケガクように摺動させる。したがって、基板上でスクライビングポイントが引き摺られることになり、その際に脆性材料基板の表面にスクライブラインが形成されていく。この時、特許文献1のようなスクライビングホイールに比べ左右へのブレが生じないため、このスクライビングツールは、高精度のスクライブラインを形成できるという利点を有している。
特開2013−245135号公報 特開2003−183040号公報 特開2005−079526号公報
しかしながら、スクライビングツールは、スクライビングポイントが摩耗してしまうとそのスクライビングポイントは使用できないため、使用できる寿命が短いという問題がある。
短寿命という問題を解決するために、特許文献2、特許文献3のように、スクライビングポイントが摩耗してくると、支持部の中心軸を中心に回転(脆性材料基板の表面と平行な方向で回転)させ、他のスクライビングポイントへ代えて使用する方法もあるが、スクライビングポイントを適切な方向に向けて固定することは難しく、またスクライビングポイントの加工も難しい。
本発明は、使用できる寿命を長くしながら、スクライビングポイントによるスクライブラインのように高精度のスクライブラインを形成することができるスクライブ装置、スクライブ方法及びホルダユニットを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明のスクライブ装置は、スクライビングホイールと、前記スクライビングホイールを回転自在に軸支するピンと、前記ピンを挿入孔へ挿入することにより前記ピンを保持するホルダと、を有するホルダユニットと、前記ホルダユニットを取り付けるホルダジョイントを有するスクライブヘッドと、脆性材料基板が載置されるテーブルと、を備え、前記スクライビングホイールへ荷重を印加することにより前記テーブルの上に載置された脆性材料基板の表面へスクライブラインを形成するスクライブ装置であって、前記スクライビングホイールと、前記スクライビングホイールの回転を抑制する回転抑制部を備えることを特徴とする。
本発明のスクライブ装置によれば、回転自在に保持されているスクライビングホイールが脆性材料基板に接触すると、回転抑制部によってスクライビングホイールの回転が止まるように構成されているため、スクライビングホイールの回転を止めてスクライブラインを形成することで、スクライビングホイールを用いてスクライビングポイントによるスクライブラインのように精度の高いスクライブラインを形成することができる。また、スクライビングホイールへ荷重を印加していない時には、スクライビングホイールは回転自在な状態となっているため、例えば、脆性材料基板への乗り上げを利用してスクライビングホイールの刃先を簡単に回転させることができ、常に同じ刃先位置でスクライブラインを形成することを防ぐことができ、スクライビングホイールを使用できる寿命を長くすることができる。
また、本発明のスクライブ装置は、前記ピンに回転自在に軸支された前記スクライビングホイールが、上下方向へ移動可能になっており、前記スクライビングホイールが脆性材料基板に接触することにより前記スクライビングホイールは上方向へと移動して前記回転抑制部によって回転を抑制されることを特徴とする。
また、本発明のスクライブ装置は、前記ホルダユニットが、前記ホルダを上下方向へ揺動可能に保持するジョイント補助具を更に有しており、前記ジョイント補助具を介して前記ホルダジョイントへ取り付けられ、前記回転抑制部は前記ジョイント補助具に備わっており、前記ホルダの先端側の上方向への揺動によって前記スクライビングホイールは上方向へと移動して前記回転抑制部と当接することによって回転を抑制されることを特徴とする。
本発明のスクライブ装置によれば、スクライビングホイール自体を交換する際に、ジョイント補助具からホルダを取り外して交換することができるため、スクライビングホイールの交換を容易に行うことができる。
また、本発明のスクライブ装置は、前記ホルダと前記ジョイント補助具との間に引張コイルバネが取り付けられていることを特徴とする。
本発明のスクライブ装置によれば、引張コイルバネの張力を利用してホルダの揺動をスムーズに行うことができる。
また、本発明のスクライブ方法は、上記に記載のスクライブ装置を用い、前記スクライビングホイールを前記テーブルの上に載置された脆性材料基板の端部外側から接触させることを特徴とする。
本発明のスクライブ方法によれば、脆性材料基板への乗り上げを利用してスクライビングホイールの刃先を簡単に回転させることができ、常に同じ刃先位置でスクライブラインを形成することを防ぐことができ、スクライビングホイールを使用できる寿命を長くすることができる。
また、本発明のホルダユニットは、スクライブ装置に取り付けられ、脆性材料基板の表面にスクライブラインを形成するために用いられるホルダユニットであって、前記ホルダユニットは、スクライビングホイールと、前記スクライビングホイールを回転自在に軸支するピンと、前記ピンを挿入孔へ挿入することにより前記ピンを保持するホルダと、前記ホルダを上下方向へ揺動可能に保持するジョイント補助具と、を有しており、前記ホルダの先端部の上方向への揺動によって前記スクライビングホイールが上方向へと移動し前記ジョイント補助部に備わっている回転抑制部と当接し、前記スクライビングホイールの回転が抑制されることを特徴とする。
本発明のホルダユニットによれば、ホルダユニットを交換することにより、既存のスクライブ装置を用いて上記効果を得ることができる。
実施形態1のスクライブ装置の概略図である。 図2(A)は実施形態1のホルダユニットが取り付けられたホルダジョイントの正面図であり、図2(B)はこのホルダジョイントの側面図である。 図3(A)は実施形態1のホルダユニットを構成するホルダの斜視図であり、図3(B)はホルダユニットを構成するジョイント補助具の側面断面図であり、図3(C)はホルダユニットの側面断面図である。 図4は実施形態1のスクライブ装置を用いたスクライブ方法を示す概念工程図である。 図5(A)は実施形態2のホルダユニットの側面図であり、図5(B)はホルダユニットの断面図である。 図6(A)は実施形態2のホルダの斜視図であり、図6(B)は実施形態2のホルダユニットを構成するジョイント補助具の正面図であり、図6(C)はジョイント補助具の側面図である。 図7は実施形態2のスクライブ装置を用いたスクライブ方法を示す概念工程図である。 図8(A)は実施形態3のホルダユニットを構成するホルダの側面図であり、図8(B)はホルダの正面図であり、図8(C)はホルダの底面図であり、図8(D)はホルダの正面断面図である。 図9(A)は実施形態3のスクライビングホイールへ荷重が印加されていない時のホルダユニットの要部拡大図であり、図9(B)はスクライビングホイールへ荷重が印加された時のホルダユニットの要部拡大図である。 図10は実施形態3のスクライブ装置を用いたスクライブ方法を示す概念工程図である。
以下、本発明の実施形態を図面を用いて説明する。ただし、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための一例を示すものであり、本発明をこの実施形態に特定することを意図するものではない。本発明は、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態にも適応できるものである。
[実施形態1]
図1は、本発明の実施形態1に係るスクライブ装置1の概略図である。スクライブ装置1は、移動台10を備えている。移動台10は、ボールネジ11と螺合されており、モータの駆動によりこのボールネジ11が回転することで、一対の案内レール12に沿ってy軸方向に移動可能となっている。
移動台10の上面には、モータ13が設置されている。モータ13は、上部に位置するテーブル14をxy平面で回転させて所定角度に位置決めする。モータ13により水平回転可能なテーブル14は、図示しない真空吸着手段を備えており、テーブル14上に載置された脆性材料基板15をこの真空吸着手段によって保持する。
この脆性材料基板15は、ガラス基板、低温焼成セラミックスや高温焼成セラミックスからなるセラミック基板、シリコン基板、化合物半導体基板、サファイア基板、石英基板等である。また、脆性材料基板15は、基板の表面又は内部に薄膜或いは半導体材料を付着させたり、含ませたりしたものであってもよい。また、脆性材料基板15は、その表面に脆性材料に該当しない薄膜等が付着されていても構わない。
スクライブ装置1は、テーブル14に載置された脆性材料基板15の上方に、この脆性材料基板15の表面に形成されたアライメントマークを撮像する二台のCCDカメラ16を備えている。移動台10とその上部のテーブル14とを跨ぐように、ブリッジ17が支柱18a、18bに架設されている。
ブリッジ17にはガイド19が取り付けられており、スクライブヘッド20はこのガイド19に案内されてx軸方向に移動するように設置されている。スクライブヘッド20には、ホルダジョイント21を介して後述するホルダユニット30が取り付けられている。
ホルダジョイント21の詳細について説明する。図2(A)はホルダユニット30が取り付けられたホルダジョイント21の正面図であり、図2(B)はこのスクライブヘッド20の側面図である。
ホルダジョイント21は下端にホルダユニット取付部24を有している。ホルダユニット取付部24は、図2(B)の矢印で示す進行方向Dに向かって略逆L字状となっている。このホルダ取付部24の上面には図示しない回転軸が取り付けられている。そして、回転軸が二つのベアリング22、23に挿入されている。ホルダジョイント21は、スクライブヘッド20の下端においてベアリング22、23を介して回転可能に支持されている。
また、スクライブヘッド20は、図示しない昇降部を備えており、この昇降部によってホルダユニット30が昇降する。そして、ホルダユニット30の昇降によって後述するスクライビングホイール31へ荷重が印加されることになり、スクライビングホイール31は、テーブル14に載置された脆性材料基板15表面へ圧接しスクライブラインを形成する。
次にホルダユニット30の詳細について説明する。図3(A)はホルダユニット30を構成するホルダ40の斜視図であり、図3(B)はホルダユニット30を構成するジョイント補助具50の側面断面図であり、図3(C)はホルダユニット30の側面断面図である。ホルダユニット30は、スクライビングホイール31と、ピン32と、ホルダ40と、ジョイント補助具50と、を備えている。
スクライビングホイール31は特許文献1に記載されているホイールカッターを用いることができるが、より具体的には特開2013−14129号公報に記載されているような円板状のスクライビングホイール基材の円周部に設けられた傾斜面及び稜線の表面にダイヤモンド膜を成膜したものが好適である。表面にダイヤモンド膜が形成されることより、スクライビングホイール31の表面の粗さが抑えられ、後述するスクライブ方法によりスクライブラインを形成する際に、スクライビングホイール31は脆性材料基板15上で滑りやすくなる。したがって、脆性材料基板15上でのスクライビングホイール31の回転を抑えることができ、予期せぬ回転によるチッピングの発生も抑えることができ、脆性材料基板15を分断した時の端面強度も強くなる。また、スクライビングホイール31にはピン32が貫通するための貫通孔が円板側面の中心に形成されている。本実施形態のスクライビングホイール31は、厚さが約0.65mmであり、外径が約2.0mm、貫通孔41の径が約0.8mm、刃43の刃先角が約120°である。なお、スクライビングホイール31は、焼結ダイヤモンドや超硬合金で形成されたものの他に、単結晶ダイヤモンドや多結晶ダイヤモンドからなるものでも構わない。
ピン32は、例えば焼結ダイヤモンドや超硬合金等で形成された、円柱状の部材であり、一端が尖頭形状の尖頭部になっている。ピン32をスクライビングホイール31の貫通孔へ挿入することで、スクライビングホイール31が回転自在に軸支される。
ホルダ40は金属製の部材からなる。ホルダ40は図3(A)に示すように先端側が切削されており、一対の保持部41a、41bと、保持部41a、41bの間に位置する保持溝42が形成されている。保持部41a、41bには、ピン32が挿通される挿入孔43a、43bが同軸位置にそれぞれ形成されている。ホルダ40は、スクライビングホイール31を保持溝42に配置し、ピン32をスクライビングホイール31の貫通孔及び挿入孔43a、43bへ通すことで、ピン32を回転自在に保持するとともにスクライビングホイール31を保持溝42で保持する。したがって、スクライブ装置1は、スクライビングホイール31を交換する際には、ホルダユニット30からホルダ40を取外し、ホルダ40ごと交換することにより、微小なスクライビングホイール31の交換を容易に行うことができる。また、ホルダ40は、保持部41a、41bの上方となる中間位置に、挿入孔43a、43bと同一方向に形成された揺動軸孔44を備えている。
ジョイント補助具50は金属製の部材からなる。ジョイント補助具50は図3(B)に示すように上部側は矩形状からなり、下部側は下方に向かって幅が狭くなる台形状となっている。ジョイント補助具50は、下部側の台形状部分と上部側の矩形状部分の一部が切削されており、一対のホルダ保持部51a、51bと、ホルダ保持部51a、51bの間に位置するホルダ保持溝52が形成されている。
ホルダ保持部51a、51bには、ホルダ40を上下方向に揺動可能に保持するための揺動孔53a、53bが同軸位置にそれぞれ形成されている。なお、図2(A)に示すように本実施形態の揺動孔53aは、ジョイント補助具50を貫通するものではないが、貫通するものでも構わない。
ホルダ保持溝52は、進行方向Dに対して前方側と後方側とで溝の深さ(上方向の高さ)が異なっている。前方側となるホルダ保持溝52aは、溝が深くなっており、こちらに揺動孔53a、53bが形成されている。
後方側となるホルダ保持溝52bは、溝が浅くなっており、ホルダ保持溝52bの頂部とスクライビングホイール31との距離が非常に近くなっている。このため、スクライビングホイール31が上方向へ移動するとホルダ保持溝52bの頂部と当接することになり、回転自在のスクライビングホイール31の回転が抑制される。したがって、ホルダ保持溝52bの頂部は、スクライビングホイール31の回転を抑制する回転抑制部60を構成することになり、ジョイント補助具50は回転抑制部60を備えることになる。
また、ジョイント補助具50にはホルダジョイント21へネジ止めするためのジョイント取付孔54が形成されている。そして、ジョイント補助具50は、ジョイント取付孔54とホルダユニット取付部24へ形成されているネジ孔とを介して、ネジ55によりホルダユニット取付部24へ取り付けられる。また、ジョイント補助具50には止め金取付孔56が形成されている。そして、止め金取付孔56にネジ57を介して止め金58を固定する。この止め金58は、揺動孔53bを閉塞するためのものである。
そして、ジョイント補助具50は、スクライビングホイール31とピン52が取り付けられたホルダ40をホルダ保持溝52に配置し、揺動ピン59をホルダ40の揺動軸孔44と揺動孔53a、53bへ通すことで、ホルダ40を上下方向へ揺動可能に保持する。
以上のように、回転自在に軸支されたスクライビングホイール31を備えるホルダ40が上下方向に揺動可能に保持された構成のホルダユニット30は、通常であればホルダ40及びスクライビングホイール31の自重によってホルダ40の先端側が下方に下がった状態となっている。この時、スクライビングホイール31は回転自在な状態となっている。なお、図3(C)に示すようにホルダ40の上端がホルダ保持溝52aの頂部に当たることで、ホルダ40の揺動が止まる。
一方、スクライビングホイール31が脆性材料基板15の表面上に位置する時等、スクライブヘッド20の昇降部によってホルダユニット30が降下するとスクライビングホイール31へ荷重が印加されることになり、上下方向に揺動可能に保持されているホルダ40の先端側は上方に動くことになる。そして、ホルダ40の先端側の上方への動きによってスクライビングホイール31も上方向へと移動することになり、ホルダ保持溝52bの頂部である回転抑制部60と当接する。したがって、スクライビングホイール31は回転抑制部60によって回転が抑制され、スクライビングホイール31へ印加される荷重が大きくなるとスクライビングホイール31は回転自在な状態から固定状態へと変わる。
つまり、ホルダユニット30は、回転自在に保持されているスクライビングホイール31が上方へ移動すると、回転抑制部60によってスクライビングホイール31の回転が止まり、荷重が印加されるように構成されている。
このような構成のホルダユニット30及びホルダユニット30を備えるスクライブ装置1を用いて脆性材料基板15に対してスクライブラインを形成することによる効果について、図面を用いて説明する。図4はスクライブ装置1を用いたスクライブ方法を示す概念工程図である。なお、図4においては分かり易くするためにスクライブ装置1を構成するホルダユニット30と、脆性材料基板15のみを図示している。また、スクライビングホイール31の状態を分かり易くするために、ホルダユニット30を断面図で示している。
ここで、本実施形態における脆性材料基板15に対するスクライブラインの形成は、所謂外切りというスクライブ方法にて行われる。外切りとは脆性材料基板15の外側から外側までをスクライブするスクライブ方法であり、脆性材料基板15の端部より少し外側のポイントにおいて、スクライビングホイール31の最下端を脆性材料基板15の上面よりも僅かに下方まで降下させる。そしてスクライビングホイール31に対して所定の荷重をかけた状態で進行方向に水平移動させることで脆性材料基板15の縁からスクライブを開始し、脆性材料基板15の他方の縁までスクライブするものである。
まず、スクライブ装置1は、脆性材料基板15の端部より外側のポイントにおいて、スクライビングホイール31の最下端が脆性材料基板15の上面よりもわずかに下方となる位置までスクライブヘッド20を降下させておく(ステップ1)。この時、スクライビングホイール31は、回転抑制部60と当接していないため、回転自在な状態となっている。
つぎに、スクライブ装置1は、スクライブヘッド20を動かすことによりホルダユニット30を進行方向Dに水平移動させる。この時、スクライビングホイール31は、回転自在な状態となっているため、脆性材料基板15の外縁と接触しクラックを形成するとともに基板表面へ乗り上げることなるが、この瞬間に矢印Rの方向に少しだけ回転する(ステップ2)。またこの時、上下方向に揺動可能に保持されているホルダ40の先端側は、脆性材料基板15の基板表面への乗り上げにより上方向に向かって動くことになる。
そして、スクライブ装置1は、脆性材料基板15の表面にスクライビングホイール31の刃先が食い込んだ状態で、ホルダユニット30を進行方向Dに水平移動させてスクライブを行う(ステップ3)。この時、ホルダ40の上方への動きによってスクライビングホイール31は回転抑制部60と強く当接し、スクライビングホイール31には所定の荷重が印加されているため、ステップ1の回転自在な状態から固定状態となっている。また、この時スクライビングホイール31は、矢印Rの方向に対する回転だけでなく、ピン32の軸方向に対する移動も規制されることになる。
したがって、ステップ3におけるスクライブ時、スクライブ装置1は、スクライビングホイール31を用いて常に同じ刃先位置で脆性材料基板15のスクライブを行うことになる。つまり、スクライブ装置1は、特許文献2や特許文献3に記載されているスクライビングツールのように、固定された状態のスクライビングホイール31の刃先をスクライビングポイントとして脆性材料基板15に圧接し、この状態でケガクように摺動させてスクライブラインを形成する。
また、スクライブ装置1は、脆性材料基板15の他方の縁までスクライブを行うと、また外切りにてスクライブラインを形成することになるので、ステップ2の時にスクライビングホイール31を少しだけ回転させることができ、次にスクライブラインを形成する刃先位置を変えることができる。
このように本実施形態のスクライブ装置1は、外切りにてスクライブラインを形成すると、特許文献2や特許文献3のようなスクライビングポイントによるスクライブラインのように精度の高いスクライブラインを形成することができる。またスクライビングホイール31自体は、特許文献1のホイールカッターのようにスクライブラインを形成する際に従来から多用されているものであるため製造等が容易である。
また、スクライブ装置1は、脆性材料基板15表面へ乗り上げる際にスクライビングホイール31の刃先を簡単に回転させることができるため、常に同じ刃先位置でスクライブラインを形成することによる摩耗を抑制することができ、スクライビングホイール31を使用できる寿命を長くすることができる。また、この時のスクライビングホイール31の回転量についても比較的簡単に制御することができるので、スクライビングホイール31におけるスクライビングポイントの位置管理も容易に行うことができる。
[実施形態2]
つぎに実施形態2にかかるホルダユニット130について図を用いて説明する。図5(A)はホルダユニット130の側面図であり、図5(B)はホルダユニット130の断面図である。なお、図5(B)はホルダ140を側面図として示している。また、図6(A)はホルダ140の斜視図であり、図6(B)はホルダユニット130を構成するジョイント補助具150の正面図であり、図6(C)はジョイント補助具150の側面図である。
実施形態1のホルダユニット30は、脆性材料基板15の他方の縁までスクライブを行うとホルダ40及びスクライビングホイール31の自重によってホルダ40の先端側が下方に下がった状態に戻る構成となっている。この時ホルダ40及びスクライビングホイール31が軽過ぎるとホルダ40の先端側が下方に下がった状態に戻り難くなり、ホルダ40がスムーズに揺動しない場合がある。そこで、実施形態2のホルダユニット130は、ホルダ40及びスクライビングホイール131が軽い場合にもホルダ140がスムーズに揺動できる構成となっている。
具体的にはホルダユニット130は、スクライビングホイール131と、ピン132と、ホルダ140と、ジョイント補助具150と、ホルダ140とジョイント補助具150とに接続された引張コイルバネ170を備えている。なお、スクライビングホイール131とピン132については、実施形態1のスクライビングホイール31とピン32と同様であるため説明を省略する。
ホルダ140は金属製の部材からなる。ホルダ140は、先端側に一対の保持部141a、141bと、保持部141a、141bの間に位置する保持溝142が形成されている。保持部141a、141bには、ピン132が挿通される挿入孔143a、143bが同軸位置にそれぞれ形成されている。ホルダ140は、スクライビングホイール131を保持溝142に配置し、ピン132をスクライビングホイール131の貫通孔及び挿入孔143a、143bへ通すことで、ピン132を回転自在に保持するとともにスクライビングホイール131を保持溝142で保持する。また、ホルダ140は、挿入孔143a、143bと同一方向に形成された揺動軸孔144を備えている。また、ホルダ140には後端側に引張コイルバネ160のフックを掛ける引掛部145が形成されている。
ジョイント補助具150は金属製の部材からなる。ジョイント補助具150は図6(C)に示すように上部側は矩形状からなり、下部側は下方に向かって幅が狭くなる台形状となっている。ジョイント補助具150は、下部側の台形状部分と上部側の矩形状部分の一部が切削されており、一対のホルダ保持部151a、151bと、ホルダ保持部151a、151bの間に位置するホルダ保持溝152が形成されている。
ホルダ保持部151a、151bには、ホルダ140を上下方向に揺動可能に保持するための揺動孔153a、153bが同軸位置にそれぞれ形成されている。
ホルダ保持溝152は、溝の深さ(上方向の高さ)が異なっている。進行方向Dに対して前方側となるホルダ保持溝152aは溝が一番深くなっており、ホルダ保持溝152bは溝が次に深くなっておりホルダ保持溝152bに揺動孔153a、153bが形成されている。
後方側となるホルダ保持溝152cは、溝が一番浅くなっており、ホルダ保持溝152cの頂部とスクライビングホイール131との距離が非常に近くなっている。このため、スクライビングホイール131が上方向へ移動するとホルダ保持溝152cの頂部と当接することになり、回転自在のスクライビングホイール131の回転が抑制される。したがって、ホルダ保持溝152cの頂部が、ジョイント補助具150における回転抑制部160を構成する。
また、ジョイント補助具150にはホルダジョイント21へネジ止めするためのジョイント取付孔154が形成されている。そして、ジョイント補助具150は、ジョイント取付孔154とホルダ取付部24へ形成されているネジ孔とを介して、図示していないネジによりホルダ取付部24へ取り付けられる。また、ジョイント補助具150には止め金取付孔156が形成されている。そして、止め金取付孔156に図示していないネジを介して図示していない止め金を固定し、この止め金によって揺動孔153bを閉塞する。
また、ジョイント補助具150には図6(B)に示すように正面上部に引張コイルバネ170のフックを掛ける引掛部157が形成されたネジを固定するための固定孔158が形成されている。
そして、ジョイント補助具150は、スクライビングホイール131とピン132が取り付けられたホルダ140をホルダ保持溝152に配置し、揺動ピン159をホルダ140の揺動軸孔144と揺動孔153a、153bへ通すことで、ホルダ140を上下方向へ揺動可能に保持する。また、ジョイント補助具150は、引張コイルバネ170のフックをホルダ140の引掛部145と、ジョイント補助具150に固定された引掛部157とに引っ掛けることで、ホルダ140とジョイント補助具150との間に引張コイルバネ170を取り付けて構成されている。
以上のように、回転自在に軸支されたスクライビングホイール131を備えるホルダ140が上下方向に揺動可能に保持された構成のホルダユニット130は、通常であればホルダ140及びスクライビングホイール131の自重と引張コイルバネ170の張力によってホルダ140が下方に下がった状態となっている。この時、スクライビングホイール131は回転自在な状態となっている。なお、図5(B)に示すようにホルダ140の上面がホルダ保持溝152aとホルダ保持溝152bとで形成された角部155に当接することで、ホルダ140の下方への移動が止まる。
一方、スクライビングホイール131が脆性材料基板15の表面上に位置する時等、スクライブヘッド20の昇降部によってホルダユニット130が降下するとスクライビングホイール131が基板に接触することになり、上下方向に揺動可能に保持されているホルダ140の先端側は上方に動くことになる。そして、ホルダ140の先端側の上方への動きによってスクライビングホイール131も上方向へと移動することになり、ホルダ保持溝152cの頂部である回転抑制部160と当接し、回転抑制部160によって回転が抑制されることになる。したがって、スクライビングホイール131が基板に接触するとスクライビングホイール131は回転自在な状態から固定状態へと変わり、スクライビングホイール131に印加される荷重が大きくなるとより強固に固定されることとなる。
つまり、ホルダユニット130は、回転自在に保持されているスクライビングホイール131が基板に接触し、荷重が印加されると、回転抑制部160によってスクライビングホイール131の回転が止まるように構成されている。
このような構成のホルダユニット130及びホルダユニット130を備えるスクライブ装置1を用いて脆性材料基板15に対してスクライブラインを形成することによる効果について、図面を用いて説明する。図7はスクライブ装置1を用いたスクライブ方法を示す概念工程図である。なお、図7においては、ホルダユニット130以外の構成は実施形態1と同様のため、ホルダユニット130以外の構成については同じ符号を用いて説明する。また、分かり易くするためにスクライブ装置1を構成するホルダユニット130と、脆性材料基板15のみを図示している。また、スクライビングホイール131の状態を分かり易くするために、ホルダユニット130を断面図で示している。
ここで、本実施形態における脆性材料基板15に対するスクライブラインの形成は、実施形態1と同様に外切りというスクライブ方法にて行われる。
まず、スクライブ装置1は、脆性材料基板15の端部より外側のポイントにおいて、スクライビングホイール131の最下端が脆性材料基板15の上面よりもわずかに下方となる位置まで降下させておく。この時、スクライビングホイール131は、回転抑制部160と当接していなため、回転自在な状態となっている。なお、この工程は実施形態1における図4のステップ1と同様となるため図示していない。
つぎに、スクライブ装置1は、スクライブヘッド20を動かすことによりホルダユニット130を進行方向Dに水平移動させる(ステップ1)。この時、スクライビングホイール131は、回転自在な状態となっているため、脆性材料基板15の外縁と接触しクラックを形成するとともに基板表面へ乗り上げることなるが、この瞬間に矢印Rの方向に少しだけ回転する。またこの時、上下方向に揺動可能に保持されているホルダ140の先端部は、脆性材料基板15の基板表面への乗り上げにより上方向に向かって動くことになる。
そして、スクライブ装置1は、脆性材料基板15の表面にスクライビングホイール131の刃先が食い込んだ状態で、ホルダユニット130を進行方向Dに水平移動させてスクライブを行う(ステップ2)。この時、スクライビングホイール131には所定の荷重が印加されているため、ホルダ140の先端側上方への動きによってスクライビングホイール131は回転抑制部160と強く当接し、ステップ1の回転自在な状態から固定状態となっている。また、この時スクライビングホイール131は、矢印Rの方向に対する回転だけでなく、ピン132の方向に対する移動も規制されることになる。
したがって、ステップ2におけるスクライブ時、スクライブ装置1は、スクライビングホイール131を用いて常に同じ刃先位置で脆性材料基板15のスクライブを行うことになる。つまり、実施形態1と同様、スクライブ装置1は、固定された状態のスクライビングホイール131の刃先をスクライビングポイントとして脆性材料基板15に圧接し、この状態でケガクように摺動させてスクライブラインを形成する。
また、スクライブ装置1は、脆性材料基板15の他方の縁までスクライブを行うと、また外切りにてスクライブラインを形成することになるので、ステップ1の時にスクライビングホイール131を少しだけ回転させることができ、次にスクライブラインを形成する刃先位置を変えることができる。
また、ステップ2の時に引張コイルバネ170は伸びた状態となっているため、脆性材料基板15の他方の縁までスクライブを行うと、引張コイルバネ170の張力によりホルダ140の後端側が上方へ引き上げられ、ホルダ140の先端側が確実に下方に下がった状態となる。
このように実施形態2のスクライブ装置1は、外切りにてスクライブラインを形成すると、実施形態1と同様に精度の高いスクライブラインを形成することができる。またスクライビングホイール131を容易に製造することができる。また、スクライブ装置1は、常に同じ刃先位置でスクライブラインを形成することを防ぐことができ、スクライビングホイール131を使用できる寿命を長くすることができる。
更には、スクライブ装置1は、ホルダ140とジョイント補助具150との間に引張コイルバネ170が取り付けられているため、ホルダ140がスムーズに揺動でき、特にスクライビングホイール131が脆性材料基板に接触していない状態でホルダ140の先端部を確実に下げることができる構成となっている。
[実施形態3]
つぎに実施形態3にかかるホルダユニット230について図を用いて説明する。図8(A)はホルダユニット230を構成するホルダ240の側面図であり、図8(B)はホルダ240の正面図であり、図8(C)はホルダ240の底面図であり、図8(D)はホルダ240の正面断面図である。ホルダユニット230は、スクライビングホイール231と、ピン232と、ホルダ240と、を備えている。なお、スクライビングホイール231とピン232については、実施形態1のスクライビングホイール31とピン32と同様であるため説明を省略する。
ホルダ240は金属製の部材からなる。ホルダ240は、図8(A)に示すように上部側は矩形状からなり、下部側は下方に向かって幅が狭くなる台形状となっている。ホルダ240は、下部側の台形状部分の一部が切削されており、一対の保持部241a、241bと、保持部241a、241bの間に位置する保持溝242が形成されている。
保持部241a、241bには、焼結ダイヤモンドや超硬合金からなる円柱体246a、246bがロウ付けによってそれぞれ同軸位置で固定されている。そして、スクライビングホイール231の円板側面とは、保持部241a側の円柱体246aからなる保持壁247aと、保持部241b側の円柱体246bからなる保持壁247bとが対向することになる。なお、図8(A)、(B)、(C)において円柱体246a、246bは斜線で示している。
また、円柱体246a、246bには、ピン232が挿通される挿入孔243a、243bが同軸位置にそれぞれ形成されている。この挿入孔243a、243bは、挿通されたピン232が上下方向及び前後方向へ移動できるよう、ピン232の径よりも十分に大きな上下方向に長い孔となっている。より具体的には図8(A)に示すように挿入孔243a、243bは、菱形形状となっている。
また、保持溝242における円柱体246a、246bの上部にそれぞれ凸部261a、261bが形成されている。この凸部261a、261bは、ピン232の上方向への移動に伴って上方向へ移動したスクライビングホイール231が当接するために形成されている。そして、ピン232によって回転自在に保持されているスクライビングホイール231が凸部261a、261bに当接することによって、回転自在のスクライビングホイール231の回転が抑制される。したがって、凸部261a、261bは、スクライビングホイール231の回転を抑制する回転抑制部260を構成することになり、ホルダ240は回転抑制部260を備えることになる。
ここで、円柱体246a、246bと挿入孔243a、243bの製造方法について説明する。まず、円柱体246a、246bを取り付けるための取付孔と保持溝242が形成されているホルダ240の基材に対して円柱状の部材をロウ付けにより固定する。次に、ホルダ240の基材の下方を図8(A)のような台形状に切断し、この時スリットSを形成して挿入孔243a、243bも同時に切断し形成していく。次に、円柱状の部材の中間位置を、スクライビングホイール231の刃先の幅に合わせてダイヤモンドカッター等で切除し幅狭の隙間を形成する。そして、幅狭隙間を形成した円柱状の部材に対して、スクライビングホイール231の幅に合わせてダイヤモンドカッターや放電加工等で切除して、幅広の隙間を形成し、保持壁247a、247bと凸部261a、261bが形成される。なお、円柱体246a、246bと挿入孔243a、243bの製造方法について、より具体的には特開2011−240541号公報に記載されている工程を採用することができる。
また、ホルダ240は、ホルダジョイント21へネジ止めするためのジョイント取付孔254が形成されている。そして、ホルダ240は、ジョイント取付孔254とホルダジョイント21へ形成されているネジ孔とを介して、図示していないネジによりホルダジョイント21へ取り付けられる。また、ホルダ240には止め金取付孔256が形成されている。そして、止め金取付孔256にネジ257a、257bを介して止め金258a、258bを固定する。この止め金258a、258bは、挿入孔243a、243bを閉塞するためのものである。
そして、ホルダユニット230は、スクライビングホイール231をホルダ240の保持溝242に配置し、ピン232をスクライビングホイール231の貫通孔及び挿入孔243a、243bへ通すことで、ピン232を回転自在に保持するとともにスクライビングホイール231を保持壁247a、247bの間で保持する。また、ホルダユニット230は、ホルダ240の挿入孔243a、243bを縦長の菱形形状に形成しているため、ピン232とともにスクライビングホイール231が上下方向及び前後方向に自由に移動できるように保持する。
以上のようなホルダユニット230におけるスクライビングホイール231の動きについて図面を用いて説明する。図9(A)はスクライビングホイール231へ荷重が印加されていない時のホルダユニット230の要部拡大図であり、図9(B)はスクライビングホイール231へ荷重が印加された時のホルダユニット230の要部拡大図である。
スクライビングホイール231を回転自在に軸支するピン232を、上下方向に長く形成された挿入孔243a、243bで保持するホルダ240を備えるホルダユニット230では、通常図9(A)に示すように、挿入孔243a、243bの下方にピン232が位置することになる。そのためスクライビングホイール231と回転抑制部260とは当接せず、ホルダユニット230はスクライビングホイール231を回転自在に保持している。
一方、スクライビングホイール231が脆性材料基板15の表面上に位置するような時、スクライブヘッド20の昇降部によってホルダユニット230が降下するとスクライビングホイール231へ荷重が印加されることになり、上下方向及び前後方向に移動できるように保持されているピン232の上方への動きによってスクライビングホイール231は上方向へと移動することになる。そのため凸部261a、261bからなる回転抑制部260とスクライビングホイール231とは当接し、スクライビングホイール231の回転が抑制されることになる。そして、スクライビングホイール231へ印加される荷重が大きくなると、ホルダユニット230はスクライビングホイール231を回転自在な状態から固定状態で保持することになる。
つまり、ホルダユニット230は、回転自在に保持されているスクライビングホイール231に対して荷重が印加されると、回転抑制部260によってスクライビングホイール231の回転を止めるように構成されている。
このような構成のホルダユニット230及びホルダユニット230を備えるスクライブ装置1を用いて脆性材料基板15に対してスクライブラインを形成することによる効果について、図面を用いて説明する。図10はスクライブ装置1を用いたスクライブ方法を示す概念工程図である。なお、図10においては分かり易くするためにスクライブ装置1を構成するホルダユニット230の一部と、脆性材料基板15のみを図示している。また、スクライビングホイール231の状態を分かり易くするために、ホルダユニット230を断面図で示している。
ここで、本実施形態における脆性材料基板15に対するスクライブラインの形成は、所謂外切りというスクライブ方法にて行われる。外切りとは脆性材料基板15の外側から外側までをスクライブするスクライブ方法であり、脆性材料基板15の端部より少し外側のポイントにおいて、スクライビングホイール231の最下端を脆性材料基板15の上面よりも僅かに下方まで降下させる。そしてスクライビングホイール231に対して所定の荷重をかけた状態で進行方向に水平移動させることで脆性材料基板15の縁からスクライブを開始し、脆性材料基板15の他方の縁までスクライブするものである。
まず、スクライブ装置1は、脆性材料基板15の端部より外側のポイントにおいて、スクライビングホイール231の最下端が脆性材料基板15の上面よりもわずかに下方となる位置まで降下させておく(ステップ1)。この時、スクライビングホイール231は、回転抑制部260と当接していなため、回転自在な状態となっている。
つぎに、スクライブ装置1は、スクライブヘッド20を動かすことによりホルダユニット230を進行方向Dに水平移動させる。この時、スクライビングホイール231は、回転自在な状態となっているため、脆性材料基板15の外縁と接触しクラックを形成するとともに基板表面へ乗り上げることなるが、この瞬間に矢印Rの方向に少しだけ回転する(ステップ2)。またこの時、上下方向及び前後方向に移動可能に保持されているピン232は、脆性材料基板15の基板表面への乗り上げにより上方向に向かって動くことになる。
そして、スクライブ装置1は、脆性材料基板15の表面にスクライビングホイール231の刃先が食い込んだ状態で、ホルダユニット230を進行方向Dに水平移動させてスクライブを行う(ステップ3)。この時、スクライビングホイール231には所定の荷重が印加されているため、ピン232の上方への動きによってスクライビングホイール231は回転抑制部260と強く当接し、ステップ1の回転自在な状態から固定状態になる。また、回転抑止部260を凸部261a、261bで構成しているため、図9(B)のように凸部261aと凸部261bとの間にスクライビングホイール231の刃先が入り込むことになる。したがって、スクライビングホイール231は、矢印Rの方向に対する回転だけでなく、ピン232の方向に対する移動も強く規制されることになる。
また、スクライブの際に基板に接触するスクライビングホイール231の稜線周辺は凸部261a、261bと接触することなく、スクライブの際に基板に接触しない傾斜面が凸部261a、261bと接触するように凸部261aと凸部261bとの間の溝が形成されている。このため、刃先部分が回転抑制部260に当接し荷重を受けることがなく、より刃先の寿命を長くすることができる。溝幅は、例えば0.2mmとされている。
また、本実施形態においては、凸部261a、凸部261bの下端とスクライビングホイール231とがそれぞれ点接触するように凸部261aと凸部261bが形成されている。スクライビングホイール231の刃先角度が凸部261aの下端と凸部261bの下端がなす角度よりも小さい場合には、回転抑制部260とスクライビングホイール231が点接触することとなる。これにより、刃先角度が異なるスクライビングホイール231を取り付けた場合であっても、ピン232が上方向移動することで同様に回転抑制部とスクライビングホイール231とが点接触するため、種々の刃先角度のスクライビングホイール231に対して同一のホルダ240を使用することができる。
したがって、ステップ3におけるスクライブ時、スクライブ装置1は、スクライビングホイール231を用いて常に同じ刃先位置で脆性材料基板15のスクライブを行うことになる。つまり、スクライブ装置1は、特許文献2や特許文献3に記載されているスクライビングツールのように、固定された状態のスクライビングホイール231の刃先をスクライビングポイントとして脆性材料基板15に圧接し、この状態でケガクように摺動させてスクライブラインを形成する。
また、スクライブ装置1は、脆性材料基板15の他方の縁までスクライブを行うと、また外切りにてスクライブラインを形成することになるので、ステップ2の時にスクライビングホイール231を少しだけ回転させることができ、次にスクライブラインを形成する刃先位置を変えることができる。
このように本実施形態のスクライブ装置1は、外切りにてスクライブラインを形成すると、特許文献2や特許文献3のようなスクライビングポイントによるスクライブラインのように精度の高いスクライブラインを形成することができる。またスクライビングホイール231自体は、特許文献1のホイールカッターのようにスクライブラインを形成する際に従来から多用されているものであるため製造等が容易である。
また、スクライブ装置1は、脆性材料基板15表面へ乗り上げる際にスクライビングホイール231の刃先を回転させることができるため、常に同じ刃先位置でスクライブラインを形成することを防ぐことができ、スクライビングホイール231を使用できる寿命を長くすることができる。
また、スクライブ装置1は、実施形態1、実施形態2と異なり、スクライビングホイール231とピン232とホルダ240という少ない部品点数でホルダユニット230を構成することができる。
なお、本実施形態においては、上下方向に長く形成している挿入孔243a、243bを作り易さの点で菱形形状にしているが、挿入孔243a、243bは楕円形状等他の形状でも構わない。また、ホルダ240にはロウ付けされた円柱体246a、246bが形成されているが、ホルダユニット230はホルダ240に円柱体246a、246bを形成しない構成でも構わない。この場合、例えば保持溝242の頂部によって回転抑制部260を実現することができる。
また、本実施形態においては、スクライブ装置1は、外切りによってスクライビングホイールの回転を行っているが、手動等他の方法によって回転させても構わない。
1…スクライブ装置
10…移動台
11…ボールネジ
12…案内レール
13…モータ
14…テーブル
15…脆性材料基板
16…CCDカメラ
17…ブリッジ
18a、18b…支柱
19…ガイド
20…スクライブヘッド
21…ホルダジョイント
22、23…ベアリング
24…ホルダ取付部
30、130、230…ホルダユニット
31、131、231…スクライビングホイール
32、132、232…ピン
40、140、240…ホルダ
41a、41b、141a、141b、241a、241b…保持部
42、142、242…保持溝
43a、43b、143a、143b、243a、243b…挿入孔
44、144…揺動軸孔
50、150…ジョイント補助具
51a、51b、151a、151b…ホルダ保持部
52、52a、52b、152、152a、152b、152c…ホルダ保持溝
53a、53b、153a、153b…揺動孔
54、154、254…ジョイント取付孔
55、57、257a、257b…ネジ
56、156、256…止め金取付孔
58、258a、258b…止め金
59、159…揺動ピン
60、160、260…回転抑制部
145、157…引掛部
155…角部
158…固定孔
170…引張コイルバネ
261a、261b…凸部

Claims (6)

  1. スクライビングホイールと、前記スクライビングホイールを回転自在に軸支するピンと、前記ピンを挿入孔へ挿入することにより前記ピンを保持するホルダと、を有するホルダユニットと、
    前記ホルダユニットを取り付けるホルダジョイントを有するスクライブヘッドと、
    脆性材料基板が載置されるテーブルと、を備え、
    前記スクライビングホイールへ荷重を印加することにより前記テーブルの上に載置された脆性材料基板の表面へスクライブラインを形成するスクライブ装置であって、
    前記スクライビングホイールが前記脆性材料基板に接触すると、前記スクライビングホイールの回転を抑制する回転抑制部を備えることを特徴とするスクライブ装置。
  2. 前記ピンに回転自在に軸支された前記スクライビングホイールは、上下方向へ移動可能になっており、
    前記スクライビングホイールが脆性材料基板に接触することにより前記スクライビングホイールは上方向へと移動して前記回転抑制部によって回転を抑制されることを特徴とする請求項1に記載のスクライブ装置。
  3. 前記ホルダユニットは、前記ホルダを上下方向へ揺動可能に保持するジョイント補助具を更に有しており、前記ジョイント補助具を介して前記ホルダジョイントへ取り付けられ、
    前記回転抑制部は前記ジョイント補助具に備わっており、
    前記ホルダの上方向への揺動によって前記スクライビングホイールは上方向へと移動して前記回転抑制部と当接することによって回転を抑制されることを特徴とする請求項2のスクライブ装置。
  4. 前記ホルダと前記ジョイント補助具との間に引張コイルバネが取り付けられていることを特徴とする請求項3のスクライブ装置。
  5. 請求項1から4の何れかに記載のスクライブ装置を用い、
    前記スクライビングホイールを前記テーブルの上に載置された脆性材料基板の端部外側から接触させることを特徴とするスクライブ方法。
  6. スクライブ装置に取り付けられ、脆性材料基板の表面にスクライブラインを形成するために用いられるホルダユニットであって、
    前記ホルダユニットは、
    スクライビングホイールと、
    前記スクライビングホイールを回転自在に軸支するピンと、
    前記ピンを挿入孔へ挿入することにより前記ピンを保持するホルダと、
    前記ホルダを上下方向へ揺動可能に保持するジョイント補助具と、を有しており、
    前記ホルダの上方向への揺動によって前記スクライビングホイールが上方向へと移動し前記ジョイント補助部に備わっている回転抑制部と当接し、前記スクライビングホイールの回転が抑制されることを特徴とするホルダユニット。
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