JP6436309B2 - 連続焼鈍設備における金属帯の温度制御装置および温度制御方法 - Google Patents

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Description

本発明は、金属帯を通板しながら連続して熱処理を施す連続焼鈍設備における金属帯の温度制御装置および温度制御方法に関するものである。
鋼板(鋼帯)等の金属帯を熱処理する設備には、箱型焼鈍炉を用いてコイル形状で熱処理を施すバッチ焼鈍と、金属帯を炉内に通板しながら連続的に熱処理を施す連続焼鈍とがある。上記連続焼鈍は、バッチ焼鈍と比較して均一な熱処理が可能であり、生産性にも優れているため、近年、金属帯の製造においては主流となっている。
しかし、連続焼鈍が均一な熱処理が可能であるとはいえ、炉体構造や加熱手段の違い等によって、金属帯の幅方向で温度差が生じ、製品における幅方向の機械的特性や磁気特性等の品質差を引き起こす。そのため、連続焼鈍においても、金属帯内の加熱温度の均一化、特に幅方向の加熱温度分布の均一化が望まれている。
また、連続焼鈍設備では、種々の種類、寸法の金属帯を種々の条件で熱処理を施しているが、例えば、焼鈍設備の通板速度が急減速したり、金属帯の厚さが急に薄くなったりした場合には、加熱帯のバーナ等の出力を低減して炉内温度を下げようとしても、加熱帯の熱容量は大きく、温度を急変できないため、温度変化が完了するまでの間、鋼板は過加熱され、やはり、製品の品質不良を引き起こす。そのため、上記のような焼鈍条件の変動に起因した温度変化を軽減する技術の開発が望まれている。
以降、金属帯として、鋼帯(鋼板)の場合を例にとって説明する。
鋼板用の連続焼鈍設備における温度制御方法については、従来、幾つかの技術が提案されている。例えば、特許文献1には、火炎長変更可能に形成され、炉内を走行するストリップを加熱するバーナを備えてなる連続加熱炉において、上記ストリップの幅方向の板厚分布を測定する板厚測定手段と、上記ストリップの幅方向での過加熱部分を冷却可能な冷却手段を備え、上記板厚測定手段により測定された板厚分布に基づき、上記冷却手段による上記ストリップ幅方向の冷却を変化させる制御手段を備えてなる連続加熱炉が開示されている。
また、特許文献2には、火炎バーナを用いる無酸化炉方式の連続焼鈍炉において、鋼板の幅方向に温度測定器を設け、測定された温度分布に基づき、鋼板のエッジ部の過加熱分を冷却する冷却装置を、バーナと対向する位置の側壁に付設した帯状鋼板の連続焼鈍炉が開示されている。
また、特許文献3には、鋼帯の幅方向及び進行方向に沿って複数のバーナが配列された竪型直火加熱炉において、竪型直火加熱炉の幅方向に冷却ガスを噴出するガスノズルを配置し、鋼帯の板幅方向に関する温度偏差が目標範囲内になるように、鋼帯との相対温度が−100℃以下の冷却ガスを竪型直火加熱炉に噴出させる鋼帯の連続加熱方法が開示されている。
また、特許文献4には、金属ストリップの連続熱処理炉内に熱容量の大きい温度制御ロールを配設して、金属ストリップの板厚や通板速度等の変更による炉温変更時に、炉温の変更が終了するまでの間、上記温度制御ロールによって金属ストリップを冷却または加熱して金属ストリップを目標温度に制御する金属ストリップに連続焼鈍方法が開示されている。
特開2007−211266号公報 特開平07−041868号公報 特開平08−209251号公報 特開平02−011729号公報
しかしながら、上記特許文献1の技術は、ストリップを板幅方向に均一に加熱することを主眼としているが、板幅方向における板厚変動を元に鋼板板幅方向の冷却を制御しており、板幅方向における実温度分布については考慮していない。また、上記特許文献2の技術は、火炎バーナを用いる無酸化炉おけるバーナと対向する壁面の過熱による幅端面の過加熱を防止することを主眼としており、板幅方向における実温度分布については考慮していない。また、上記特許文献3の技術は、板幅方向の温度の均質化には有効な手段であるが、冷却ガスを噴き付けることによる焼鈍炉内の雰囲気に及ぼす悪影響、例えば、冷却ガスと雰囲気ガスの成分組成の違いによる鋼板表面の酸化や浸窒等が問題となる。また、上記特許文献4の技術は、非定常時における温度全体の温度制御には有効な手段であるが、板幅方向の温度制御に適用することはできない。また、焼鈍条件変動に伴う鋼板の過加熱防止には使用することができない。
上記のように、従来の鋼板用連続焼鈍炉における鋼板の温度制御技術は、前述した問題点を解決する技術としては不十分である。
本発明は、従来技術が抱える上記問題点を解決するべく開発したものであり、その目的は、連続焼鈍設備において、鋼帯等の金属帯を幅方向で均一に加熱するだけでなく、焼鈍条件変動にともなう金属帯の温度変化をも抑制することができる、金属帯の温度制御装置を提供するとともに、上記装置を用いた金属帯の温度制御方法を提案することにある。
発明者らは、上記課題の解決に向けて鋭意検討を重ねた。その結果、連続焼鈍炉の加熱帯に、金属帯の板幅方向の一部を冷却可能な水冷式の冷却機を金属帯の幅方向および/または通板方向に1以上配設した冷却装置を設けて、上記冷却装置を構成する個々の冷却機への冷却水の供給有無および/または上記冷却機に供給する冷却水の流量を制御することが、金属帯の幅方向の均一加熱や焼鈍条件変動にともなう金属帯の温度変化の抑制に有効であることを見出し、本発明を開発するに至った。
すなわち、本発明は、金属帯を炉内に通板しながら連続的に熱処理を施す、加熱帯、均熱帯および冷却帯を有する連続焼鈍設備における金属帯の温度制御装置であって、上記加熱帯内の金属帯の幅方向に金属帯表面に対向して水冷式の冷却機を1以上配設してなる連続焼鈍設備における金属帯の温度制御装置である。
本発明の上記金属帯の温度制御装置は、水冷式の冷却機が金属帯の進行方向に複数配設されていることを特徴とする。
また、本発明の上記金属帯の温度制御装置は、加熱帯の後段に配設されていることを特徴とする。
また、本発明の上記金属帯の温度制御装置は、ハースロール設置位置および/またはハースロール設置位置の近傍に配設されていることを特徴とする。
また、本発明の上記金属帯の温度制御装置は、上記加熱帯の出側に金属帯の温度を測定する温度測定手段を有することを特徴とする。
また、本発明は、上記のいずれかに記載の温度制御装置を用いた連続焼鈍設備における金属帯の温度制御方法であって、
温度制御装置を構成する個々の冷却機への冷却水の供給有無および/または上記冷却機へ供給する冷却水の流量を制御し、金属帯の幅方向の最大温度と最小温度の差を低減することを特徴とする連続焼鈍設備における金属帯の温度制御方法を提案する。
本発明の上記金属帯の温度制御方法は、上記冷却機への冷却水の供給有無および/または上記冷却機へ供給する冷却水の流量の制御を、加熱帯出側に設置した温度測定手段で測定した金属帯の板幅方向の温度分布に基いて行うことを特徴とする。
また、本発明は、上記のいずれかに記載の温度制御装置を用いた連続焼鈍設備における金属帯の温度制御方法であって、金属帯の通板速度や板厚の変動時に、冷却装置を構成する個々の冷却機への冷却水の供給有無および/または上記冷却機へ供給する冷却水の流量を制御し、金属帯の温度変化を抑制することを特徴とする連続焼鈍設備における金属帯の温度制御方法を提案する。
本発明の上記金属帯の温度制御方法は、上記冷却機への冷却水の供給有無および/または上記冷却機へ供給する冷却水の流量の制御を、金属帯の通板速度や板厚の変動量に応じて、および/または、加熱帯出側に設置した温度測定手段で測定した金属帯の温度変化量に基いて行うことを特徴とする。
本発明によれば、連続焼鈍設備で金属帯に熱処理を施す際における金属帯の幅方向の温度分布を均一化することができるので、金属帯の幅方向の品質を均一化することが可能となる。また、本発明によれば、連続焼鈍設備で金属帯に熱処理を施す際における通板速度や板厚等の焼鈍条件の変動にともなう金属帯の温度変化を効果的に抑制することができるので、金属帯の品質向上にも寄与する。
本発明の金属帯の温度制御装置における冷却機の配列例を説明する図である。 本発明の金属帯の温度制御装置を水冷式加熱炉のハースロールの上方に設置した例を示す図である。 本発明の温度制御装置の適用有無による鋼板幅方向の温度分布の変化を示した図である。 本発明の温度制御装置の適用有無による焼鈍条件変動時の鋼板温度の経時変化を示した図である。
まず、本発明に係る連続焼鈍設備における金属帯の温度制御装置について説明する。
本発明の金属帯の温度制御装置は、金属帯を炉内に通板しながら連続的に熱処理を施す、加熱帯、均熱帯および冷却帯を有する連続焼鈍設備において、金属帯の幅方向の温度分布を均一化したり、通板速度や板厚等の焼鈍条件の変動に伴う金属帯の温度変化を抑制したりすることを可能としたものであって、上記加熱帯内の金属帯の幅方向に金属帯表面に対向して水冷式の冷却機を1以上配設してなるものであることを特徴としている。
ここで、図1は、本発明の温度制御装置における冷却機の配列例を説明する図であり、図1(a)は、金属帯の幅方向に1つの冷却機を配設した例を、図1(b)は、金属帯の両幅エッジ部に、幅方向に直列に2つの冷却機を配設した例を、また、図1(c)は、金属帯の両幅エッジ部と幅中央部に、幅方向に直列に3つの冷却機を配設した例を示したものである。なお、幅方向に配設する冷却機の数は、多いほど金属帯の幅方向の温度を精密に制御することが可能となるので好ましいが、設備コストやメンテナンスの面から、上限は2〜3程度とするのが好ましい。
また、本発明の温度制御装置における冷却機は、上記例のように金属帯の幅方向に直列に配設することに加えてさらに、上記冷却機列を、金属帯の進行方向に複数、千鳥状に配設してもよい。図1(d)は、一例として、金属帯の幅方向に冷却機を複数配設した冷却機列を金属帯の進行方向に2列、千鳥状に配列した例を示したものである。なお、進行方向に配設する冷却機列の数は、やはり、多いほど金属帯の温度を精密に制御することが可能となるので好ましいが、設備コストやメンテナンスの面から、2〜3列程度とするのが好ましい。
なお、本発明では上記冷却機として水冷式のものを用いる。上記水冷式の冷却機は、冷却水が漏れない密閉式のものであれば、特に制限はない。また、上記冷却機は、冷却水を常時流すものであってもよいが、温度制御手段として冷却水の供給の有無や、冷却水の流量の調整が可能であることが好ましい。特に、金属帯の温度を精密に制御する観点からは、冷却水の供給有無が可能でかつ冷却水の流量調整が可能であることがより好ましい。
また、上記水冷式の冷却機は、熱伝導性に優れた材質で構成することが望ましく、特に、冷却機への冷却水の供給有無で金属帯の温度制御を行なう場合には、耐熱衝撃性に優れた材質、例えば、SUS310SやSUS316等で構成されていることが好ましい。
また、上記水冷式冷却機への冷却水の供給有無や冷却水の流量制御に代えて、個々の冷却機を金属帯の幅方向あるいは金属帯表面に対して上下方向に移動可能とし、金属帯からの離間距離によって冷却能を変化させるようにしてもよい。
また、図1(a)や図1(a)のように、金属帯幅方向の冷却機の設置数が少ない場合には、冷却機を金属帯の幅方向に移動可能とし、幅方向で最も冷却したい位置、例えば、温度が最も高い位置、に冷却機を移動させるようにするのが好ましい。
また、本発明の温度制御装置は、加熱帯の中でも、その後段に設置されていることが好ましい。熱処理後の金属帯の機械的特性や磁気特性等の品質に及ぼす加熱温度の影響は、通常、高温ほど大きいため、高温域ほど精密な温度制御が必要となるからである。より好ましい設置位置は、温度が最高となる加熱帯の出側近傍である。
また、本発明の温度制御装置は、冷却効率の観点から、可能な限り金属帯に近づけることが好ましく、具体的には、金属帯表面に対して10mm程度まで近接させるのが最も望ましい。しかし、金属帯の形状が悪く、いわゆる、耳伸びや中伸びが発生していた場合には、金属帯が上下に変動して冷却機と接触するおそれがあり、また、ハースロール間では金属帯を支持するものがないため、金属帯が上下左右に振動して冷却機と接触するおそれがあることを考慮すると、金属帯表面に対してある程度離間させることが好ましい。しかし、その場合でも、冷却効率を確保するため、離間距離は150mm以下とするのが好ましく、100mm以下とするのがより好ましい。
また、上記と同じ理由から、本発明の温度制御装置を設置する位置は、加熱炉内で金属帯のパスラインが最も安定しているハースロール設置位置あるいはその近傍位置とするのが好ましい。具体的には、焼鈍炉が水平炉(横型炉)の場合には、ハースロールの上方に、また、焼鈍炉が竪型炉(縦型炉)の場合には、上側ハースロールの上方および/または下側ハースロールの下方に配設することが好ましい。一例として、図2に、水平式加熱炉のハースロールの上方に冷却手段を設けた例を示した。
次に、上記本発明の温度制御装置を用いた金属帯の温度制御方法について説明する。
本発明の金属帯の温度制御方法は、前述したいずれか1の温度制御装置を用いて、温度制御装置を構成する個々の冷却機への冷却水の供給有無および/または上記冷却機へ供給する冷却水の流量を制御することによって、金属帯の幅方向の最大温度と最小温度の差を低減することを特徴とする。
ここで、上記冷却機への冷却水の供給有無および/または上記冷却機へ供給する冷却水の流量の制御は、加熱帯出側に温度測定手段を設置しておき、上記温度測定手段によって測定した金属帯の板幅方向の温度分布に基いて行うが好ましい。しかし、例えば、加熱帯の加熱手段が直火型バーナであり、金属帯の両幅端部が高温となることが明らかであるような場合には、温度測定手段の測定結果に基くことなく、冷却機を金属体の両幅端部に設置して、板温の測定結果に基くことなく、冷却水の供給有無および/または上記水冷式冷却機へ供給する冷却水の流量を制御してもよい。
また、図1(a)や図1(a)のように、金属帯幅方向における冷却機の設置数が少ない場合には、冷却機を金属帯の幅方向に移動可能としておき、例えば、上記温度測定手段によって測定した金属帯の板幅方向の温度分布に基いて、冷却機を金属帯幅方向で最も冷却したい位置に移動させたり、あるいは、金属帯の幅の変動に応じて、冷却機の位置を移動させてもよい。なお、上記温度測定手段に用いる測温計としては、金属帯の幅方向の温度分布を測定する観点から、走査型の放射温度計が好適である。
また、本発明の金属帯の温度制御方法の他の実施形態は、前述したいずれか1の温度制御装置を用いて、金属帯の通板速度や板厚の変動時等の焼鈍条件の変動時に、温度制御装置を構成する個々の冷却機への冷却水の供給有無および/または上記冷却機へ供給する冷却水の流量を制御し、金属帯の温度変化を抑制することを特徴とする。
例えば、連続焼鈍設備で金属帯に熱処理を施していた際、何らかの理由で通板速度を減速した場合には、金属帯の加熱帯内の在留時間が長くなるため、金属帯は過加熱されることになる。これを防止するには、加熱帯の温度を下げる必要があるが、加熱帯は熱容量が大きく、瞬時の温度低下は不可能である。このような場合には、冷却手段を構成する個々の冷却機への冷却水の供給を開始し、また、既に冷却水を供給しているときは、上記冷却機へ供給する冷却水の流量を増して、冷却能を高めることで、上記金属帯の過加熱を抑制することができる。
逆に、通板速度を増速する場合には、金属帯の加熱帯内の在留時間が短くなるため、金属帯は加熱不足となる。しかし、通板速度の増速は、通常、予測できることであるので、増速前に冷却機へ冷却水を供給しておく、あるいは、冷却機へ供給する冷却水の流量を増量しておき、増速直後に冷却機への冷却水の供給を停止する、あるいは、冷却機へ供給する冷却水の流量を低減することで、金属帯の加熱不足を抑制することができる。
同様の現象は、金属帯の厚さが厚手から薄手に変化した場合にも起こる。例えば、金属帯が厚手から薄手に変化する場合には、金属帯の熱容量が小さくなるため、金属帯は過加熱される。逆に、金属帯が薄手から厚手に変化する場合には、金属帯の熱容量が大きくなるため、金属帯は加熱不足となる。しかし、熱処理対象である金属体の厚さ変動は、予め知ることができる。そこで、金属帯の板厚が厚手から薄手に変化する場合には、冷却機への冷却水の供給を開始し、また、既に冷却水を供給しているときは、上記水冷式冷却機へ供給する冷却水の流量を増すことで、金属帯の過加熱を抑制することができる。逆に、金属帯が薄手から厚手に変化する場合には、予め、冷却機に冷却水を供給しておき、あるいは、冷却水の供給量を増大しておき、厚さの変化と同時に、冷却水の供給を停止したり、冷却水の供給量を低減したりすることで、金属帯の加熱不足を抑制することができる。
ここで、上記した通板速度や金属体の厚さ等の焼鈍条件変動時における、冷却機への冷却水の供給有無および/または上記冷却機へ供給する冷却水の流量の制御は、加熱帯出側に設置した温度測定手段によって測定した金属帯の温度変化量に基いて行うことが好ましいが、金属帯の通板速度や板厚の変動量と金属帯の温度変化量との関係および冷却水の流量と冷却能の関係を予め求めておき、金属帯の通板速度や板厚の変動量に応じて冷却水の供給有無や流量を制御してもよい。なお、この場合の上記温度測定手段は、金属帯の幅方向の温度分布を測定できるものであることが必ずしも必要ではない。
直火型バーナを用いた加熱帯の最後段のハースロールの上方かつ、図1(b)に示したように、鋼板の板幅両エッジ部に相当する位置の2箇所に、鋼板と対向する冷却面が幅320mmφ×長さ240mmの大きさの水冷式冷却機を配設した温度制御装置を有する水平式連続焼鈍炉に、冷間圧延後の板厚2.5mm×板幅1000mmの鋼板を速度20m/minで通板し、980℃(目標加熱板温)の熱処理を施した。この際、水冷式冷却機への冷却水の供給あり(ON)または供給なし(OFF)としたときの、加熱帯出側における鋼板幅方向の温度分布に及ぼす影響を調査した。
なお、上記板幅両エッジ部に設置した2つの水冷式冷却機は、鋼板の幅方向および厚さ方向に移動可能で、上記熱処理時には、鋼板の両幅端部から幅中央側に向かって50mmの範囲を覆い、かつ、鋼板表面との距離が70mmとなるよう配置し、上記ON時の冷却水の流量は、2.3m/hrとした。また、上記鋼板幅方向の温度分布は、加熱帯の出側に設置した走査型放射温度計(チノー社製:IR−N50TA)を、幅方向に走査することで測定した。
図3は、上記冷却機への冷却水の供給有無(ON,OFF)による加熱帯出側の鋼板幅方向の温度分布(目標加熱温度との差)を測定した結果を示したものであり、曲線Aは、冷却水の供給OFF(比較例)のときの温度分布、また、曲線Bは、冷却水の供給ON(発明例)のときの温度分布である。
この結果から、本発明の温度制御装置を用いない場合には、鋼板の板幅端部の最高温度と板幅中央部の最低温度の差は約16℃であるが、本発明の水冷手段を使用することによって、上記温度差を1/2の約8℃に低減できていることがわかる。
直火型バーナを用いた加熱帯の最後段のハースロールの上方に、図1(c)に示したように、鋼板の両幅エッジ側に鋼板と対向する冷却面が幅320mmφ×長さ240mmの大きさの水冷式冷却機を2基、幅中央部に、同じく鋼板と対向する冷却面が幅320mmφ×長さ240mmの大きさの水冷式冷却機を1基、合計3基を鋼板幅方向に直列に鋼板表面から100mm離間して配設した温度制御装置を有する水平式連続焼鈍炉に、冷間圧延後の板厚2.0mm×板幅1100mmの鋼板を速度30m/minで通板し、980℃(目標加熱板温)の熱処理を施した。なお、このときの炉温の設定温度は1080℃とした。
この際、上記3つの冷却機には、予め冷却水を供給して、鋼板の両幅端部の最高温度と幅中央部の最低温度の差が10℃以内に収まるよう誘導加熱装置とラジアントチューブの条件を調整した。
その後、焼鈍途中で通板速度を27m/minまで急減速(−10%)すると同時に、ラジアントバーナの出力を30%低減し、さらに、上記3基の冷却機へ供給する冷却水の流量を増加し、減速前後における、鋼板の両幅エッジ部の最高温度と幅中央部の最低温度の時間変化を加熱帯出側に設置した走査型放射温度計(チノー社製:IR−N50TA)で測定した。
なお、上記冷却水の流量は、通板速度30m/minの時は2.3m/hr、通板速度27m/minの時は3.0m/hrに増量し、加熱帯出側の鋼板温度が、目標加熱温度に戻った時点で冷却水の流量を元の2.3m/hrに戻して、バーナの出力を鋼温度度が目標温度となるよう調整した。
また、比較例として、減速時に冷却水を供給しない場合についても、同様の測定を行った。
図4は、上記測定の結果を示したものであり、図4(a)は、鋼板の片側幅端部(端部から30mm内側)の温度変化を、また、図4(b)は、鋼板幅端部の温度変化を示している。なお、鋼板の両幅端部の温度変化は、ほぼ同じであったため、片側のみを示した。
この結果から、減速時に冷却水を流さない比較例の場合には、通板速度の急減速により、バーナの出力を削減したにも拘わらず、鋼板両幅エッジ部の最高温度は985℃から1040℃(+55℃)に、また、鋼板幅中央部の最低温度は980℃から1030℃(+50℃)に、約50℃以上上昇しており、しかも、鋼温温度が元の加熱温度に戻るまでの時間は約120秒を要している。
これに対して、通板速度の急減速と同時に冷却機に冷却水を流した本発明例では、鋼板両幅エッジ部の最高温度は985℃から1005℃(+20℃)に、また、鋼板幅中央部の最低温度は980℃から1000℃(+20℃)に、約20℃の上昇に止まっている。しかも、鋼温温度が元の加熱温度に戻るまでの時間も約100秒に短縮されていることがわかる。
1:金属帯(鋼帯、鋼板
2:冷却機
3:ハースロール

Claims (8)

  1. 金属帯を炉内に通板しながら連続的に熱処理を施す、加熱帯、均熱帯および冷却帯を有する連続焼鈍設備における金属帯の温度制御装置であって、
    ハースロール設置位置および/またはハースロール設置位置の近傍に配設され、かつ、
    上記加熱帯内の金属帯の幅方向に金属帯表面に対向して、冷却水の漏れない密閉式かつ水冷式の冷却機を1以上配設してなる連続焼鈍設備における金属帯の温度制御装置。
  2. 上記温度制御装置は、水冷式の冷却機が金属帯の進行方向に複数配設されていることを特徴とする請求項1に記載の連続焼鈍設備における金属帯の温度制御装置。
  3. 上記温度制御装置は、加熱帯の後段に配設されていることを特徴とする請求項1または2に記載の連続焼鈍設備における金属帯の温度制御装置。
  4. 上記加熱帯の出側に金属帯の温度を測定する温度測定手段を有することを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の連続焼鈍設備における金属帯の温度制御装置。
  5. 請求項1〜のいずれか1項に記載の温度制御装置を用いた連続焼鈍設備における金属帯の温度制御方法であって、
    温度制御装置を構成する個々の冷却機への冷却水の供給有無および/または上記冷却機へ供給する冷却水の流量を制御し、金属帯の幅方向の最大温度と最小温度の差を低減することを特徴とする連続焼鈍設備における金属帯の温度制御方法。
  6. 上記冷却機への冷却水の供給有無および/または上記冷却機へ供給する冷却水の流量の制御を、加熱帯出側に設置した温度測定手段で測定した金属帯の板幅方向の温度分布に基いて行うことを特徴とする請求項に記載の連続焼鈍設備における金属帯の温度制御方法。
  7. 請求項1〜のいずれか1項に記載の温度制御装置を用いた連続焼鈍設備における金属帯の温度制御方法であって、
    金属帯の通板速度や板厚の変動時に、冷却装置を構成する個々の冷却機への冷却水の供給有無および/または上記冷却機へ供給する冷却水の流量を制御し、金属帯の温度変化を抑制することを特徴とする連続焼鈍設備における金属帯の温度制御方法。
  8. 上記冷却機への冷却水の供給有無および/または上記冷却機へ供給する冷却水の流量の制御を、金属帯の通板速度や板厚の変動量に応じて、および/または、加熱帯出側に設置した温度測定手段で測定した金属帯の温度変化量に基いて行うことを特徴とする請求項に記載の連続焼鈍設備における金属帯の温度制御方法。
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