JP6434709B2 - 電子部品、電子部品の製造方法および電子機器 - Google Patents

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Description

本発明は、磁性部材、導電性部材および接続端部を備える電子部品、当該電子部品の製造方法および当該電子部品を実装した電子機器に関する。
近年、電子機器の小型化が進み、電子部品の実装スペースは小さくなる傾向がある。その一方で、電子機器に求められる性能は、高速化、多機能化、省電力化など多様化している。これらの要求に応えられるように、電子機器に実装されるべき電子部品の数は増大する傾向にある。それゆえ、電子部品を小型化することに対する要求は、近時、特に高まっている。
このような要求に適切に応えるべく、電子部品が小型化されることによって機能低下しないように、電子部品を構成する材料の見直しが積極的に行われている。例えば、電子部品の一種であるインダクタンス素子が備える磁性部材に含まれる磁性材料として、従来、フェライト粉末が用いられてきたが、最近は、フェライト粉末に比較して飽和磁束密度が大きく、直流重畳特性が高磁界まで保たれる強磁性金属粉末が用いられているようになってきた。
このような強磁性金属粉末として、Fe基非晶質合金粉末、Fe−Ni系合金粉末、Fe−Si系合金粉末、純鉄粉末(高純度鉄粉)等の軟磁性合金粉末が例示される。具体例として、特許文献1には、組成式が、Fe100-a-b-c-x-y-z-tNiaSnbCrcxyzSitで示され、0at%≦a≦10at%、0at%<c≦3at%、6.8at%≦x≦10.8at%、2.2at%≦y≦9.8at%、0at%≦z≦4at%、0at%≦t≦1at%であり、(Bの添加量z+Siの添加量t)は、1at%〜4at%の範囲内であり、ガラス遷移温度(Tg)が710K以下であるFe基非晶質合金が開示されている。また、特許文献2には、Ni:41wt%以上45wt%未満、添加物A:1wt%以上5wt%以下、残部:Feおよび不可避的不純物の組成を有し、前記添加物Aは、Al,Si,Mn,Mo,Cr,Cuのうち少なくとも1種であるFe−Ni系軟磁性合金粉末が開示されている。
特許第5419302号公報 特開2007−254814号公報
上記の特許文献に開示されるような強磁性金属粉末を含む成形体を有する磁性部材を備え、導電性の接続端部をその表面に複数備える電子部品は、これらの接続端部間で短絡が生じないように、磁性部材の表面が適切な絶縁性を有していることが求められる。
特に、導電性の接続端部を構成する部材を電気めっきにより形成しようとする場合には、次に説明するように、磁性部材の表面が十分な絶縁性を有していることが好ましい。すなわち、磁性部材の表面上に電気めっきによりめっき層を形成する場合には、電気めっきを行う前に、磁性部材の表面の一部の領域上に導電性ペーストなどからなるメタライズ層を形成してその領域を通電領域とすることが行われる。磁性部材の表面が十分な絶縁性を有していれば、電気めっきを行った際に、アノードからの電気力線は磁性部材の表面のうち通電領域に到達して、この通電領域上に選択的にめっき層を形成することができる。
ところが、磁性部材が十分な絶縁性を有していないときには、電気めっきを行った際に、アノードからの電気力線が、磁性部材の表面における上記の通電領域に隣接する領域(隣接領域)にも到達してしまう。その結果、めっき層は、通電領域をはみ出して、この隣接領域にも形成されてしまう。
このような、いわゆる、「めっき伸び」現象が生じると、導電性層の平面視形状はメタライズ層の平面視形状とは異なってしまうため、電子部品に外観不良が生じる。めっき伸び量が多い場合には、互いに接しないように磁性部材の表面に設けられていた通電領域間を電気的に短絡させるようにめっき層が形成されて、電子部品はその機能を適切に果たすことができなくなってしまう。
かかる現状を鑑み、本発明は、磁性部材の表面の絶縁性が高められた電子部品を提供することを目的とする。また、本発明は、上記の電子部品を製造する方法、および上記の電子部品を実装した電子機器を提供することを目的とする。
本発明者らが検討した結果、磁性部材の表層に位置する絶縁層が、無機系の材料を含む無機絶縁層を備えることにより、上記課題を解決しうるとの新たな知見を得た。
以上の新たな知見に基づき提供される本発明は、次のとおりである。
(1)強磁性金属粉末を含む粉末が加圧成形された成形製造物から形成され空孔を有する成形体および前記成形体の表面部上に形成された絶縁層を備える磁性部材と、前記磁性部材の内部に位置する部分を有する導電性部材と、前記導電性部材に対して電気的に接続された状態で前記磁性部材の表面上に形成された導電性の2つの接続端部とを備え、前記磁性部材は2つの通電領域が設けられた面を有し、前記2つの通電領域の一方には前記2つの接続端部の一方が位置し、前記2つの通電領域の他方には前記2つの接続端部の他方が位置し、前記接続端部はめっき層を備え、前記絶縁層は無機系の材料からなる無機絶縁層を備え、前記絶縁層は、前記無機絶縁層と前記成形体との間に含浸コート層を備え、前記含浸コート層を備え前記無機絶縁層を備えない状態では、前記磁性部材の表面に低絶縁性領域を有することを特徴とする電子部品。
(2)前記めっき層は、前記絶縁層上に設けられたメタライズ層上に電気めっきにより形成されたものである、上記(1)に記載の電子部品。
(3)前記無機絶縁層は絶縁性の酸化物系材料を含む、上記(1)または(2)に記載される電子部品。
(4)前記酸化物系材料はSiO からなる、上記(3)に記載される電子部品。
(5)前記絶縁層の表面抵抗は、1×1012Ω/□以上である、上記(1)から(4)のいずれかに記載される電子部品。
(6)前記絶縁層は、前記成形体の表面部を構成する前記強磁性金属粉末を覆うように設けられている、上記(1)から(5)のいずれかに記載される電子部品。
(7)前記含浸コート層はシリコーン樹脂を含む、上記(1)から(6)のいずれかに記載の電子部品。
(8)前記成形体は有機系成分を含む、上記(1)から(7)のいずれかに記載される電子部品。
(9)成形体と絶縁層とを備える磁性部材および導電性の2つの接続端部を備える電子部品の製造方法であって、強磁性金属粉末およびバインダー成分を含む混合体を加圧成形する成形工程;前記成形工程を経て得られた前記成形体上に無機系の材料からなる無機絶縁層を含む絶縁層を形成して、前記磁性部材を得る無機絶縁層形成工程;および前記磁性部材の前記絶縁層上に前記2つの接続端部を形成する接続端部形成工程を備え、前記成形工程終了後、前記無機絶縁層形成工程開始前に、前記磁性部材上に含浸コート層を形成する含浸コーティング工程をさらに備え、前記接続端部は導電性ペーストから形成されたメタライズ層と前記メタライズ層上に形成されためっき層とを備え、前記接続端部形成工程は、前記導電性ペーストを前記絶縁層上に塗布してメタライズ層を形成すること、および電気めっき処理を行って前記メタライズ層上に前記めっき層を形成することを含み、前記磁性部材は2つの通電領域が設けられた面を有し、前記2つの通電領域の一方には前記2つの接続端部の一方が位置し、前記2つの通電領域の他方には前記2つの接続端部の他方が位置することを特徴とする電子部品の製造方法。
(10)前記成形工程により得られた成形製造物に対してアニール処理を行うアニール工程を備える、上記(9)に記載の電子部品の製造方法。
(11)前記無機絶縁層形成工程はドライ成膜プロセスを含む、上記(9)または(10)に記載の電子部品の製造方法。
(12)前記無機絶縁層形成工程はウエット成膜プロセスを含む、上記(9)または(10)に記載の電子部品の製造方法。
(13)前記含浸コート層はシリコーン樹脂を含む、上記(9)から(12)のいずれかに記載の電子部品の製造方法
(14)前記磁性部材はその内部に導電性部材を有するものであって、前記接続端部形成工程では、前記導電性部材に電気的に接続するように前記接続端部は形成される、上記(9)から(13)のいずれかに記載される電子部品の製造方法。
(15)上記(1)から(8)のいずれかに記載される電子部品を実装した電子機器
上記の発明に係る電子部品は、磁性部材の絶縁層が無機絶縁層を有するため、磁性部材の表面の絶縁性を高めることができる。本発明によれば、かかる電子部品を製造する方法が提供される。また、本発明によれば、上記の電子部品を実装した電子機器も提供される。
本発明の一実施形態に係るインダクタンス素子の全体構成を一部透視して示す斜視図である。 実施例1により製造された電子部品の1つの断面観察の結果を示す図である。 図1における白枠(a)を拡大して観察した結果を示す図であり、図中の数値は無機絶縁層の厚さを示している。 図1における白枠(b)を拡大して観察した結果を示す図であり、図中の数値は無機絶縁層の厚さを示している。 図1における白枠(c)を拡大して観察した結果を示す図であり、図中の数値は無機絶縁層の厚さを示している。 比較例1により製造された電子部品の1つの外観観察の結果を示す図であり、白丸枠内が「めっき伸び」現象が生じた部分である。 実施例1により製造された電子部品の1つの外観観察の結果を示す図である。 試験例5の結果を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態について、電子部品が、図1に示されるインダクタンス素子10である場合を具体例として説明する。
1.インダクタンス素子
図1に示されるように、本発明の一実施形態に係るインダクタンス素子10は、磁性部材1、導電性部材2および2つの接続端部3a,3bを備える。磁性部材1は、成形体および絶縁層を備える。導電性部材2は、磁性部材1の内部に位置する部分を有する。具体的には、図1に示されるインダクタンス素子10では、磁性部材1の成形体の内部にコイルが埋設されている。導電性の接続端部3a,3bは、導電性部材2に対して電気的に接続された状態で、磁性部材1の表面上に形成されたものである。
本発明の一実施形態に係るインダクタンス素子10の大きさは限定されない。後述するように、本発明の一実施形態に係るインダクタンス素子10の磁性部材1の表面の絶縁性は十分に高いことから、その大きさは、2mm×2mm、高さ1mm程度の、特に小型であってもよい。また、接続端部3a,3bの離間距離は、1mm以下であってもよい。
以下、磁性部材1が備える成形体および絶縁層、導電性部材2ならびに接続端部3a,3bについて説明する。
(1)磁性部材
(1−1)成形体
成形体は、強磁性金属粉末を含む。強磁性金属粉末の種類は限定されない。前述のように、強磁性金属粉末として、Fe基非晶質合金粉末、Fe−Ni系合金粉末、Fe−Si系合金粉末、純鉄粉末(高純度鉄粉)等の軟磁性合金粉末が例示される。強磁性金属粉末は導電性が高いため、成形体の最表面が強磁性金属粉末の面からなる場合には、成形体の表面の絶縁性を確保することは困難である。
成形体は、有機系成分を含んでいてもよい。有機系成分は、強磁性金属粉末を互いに結着させることができることが好ましい。かかる結着機能を有する有機系成分の具体的な組成は限定されない。有機系成分は樹脂材料を含んでいてもよく、樹脂材料として、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、アクリル樹脂、オレフィン樹脂などが例示される。有機系成分は上記のような樹脂材料が熱処理を受けて形成された物質を含んでいてもよい。かかる物質の組成は、熱処理を受ける樹脂材料の組成、熱処理条件などにより調整されうる。有機系成分は、成形体に含まれる強磁性金属粉末を互いに電気的に独立にすることができることが好ましい。有機系成分に係る樹脂材料は1種類から構成されていてもよいし、複数種類から構成されていてもよい。例えば、有機系成分に係る樹脂材料は、フェノール樹脂のような熱硬化性の樹脂と、アクリル樹脂のような熱可塑性樹脂との混合体であってもよい。
成形体が有機系成分を含有する場合において、成形体における有機系成分の含有量は限定されない。有機系成分が結着機能を有する場合には、その機能が適切に発揮される量を含有させることが好ましい。なお、有機系成分の含有量が過度に高い場合には、成形体を備える磁性部材1の磁気的特性が低下する傾向がみられる場合があることを考慮して、成形体における有機系成分の含有量を設定することが好ましい。
成形体は、強磁性金属粉末および有機系成分以外の物質を含有してもよい。かかる物質として、ガラス、アルミナ等の絶縁性の無機系成分;シランカップリング剤等の、強磁性金属粉末および有機系成分との密着性を向上するためのカップリング剤などが挙げられる。これらの物質の成形体における含有量は限定されない。
成形体は空孔を有していてもよい。この空孔の形成過程は限定されない。成形後のスプリングバックによって形成されたものであってもよいし、後述するように、成形により得られた成形製造物に対してアニール処理が行われたことにより形成されたものであってもよい。成形体が空孔を有している場合には、成形体内の強磁性粉末間の絶縁が良好になって磁性部材1の磁気特性が向上する傾向を有する。ただし、成形体内の空孔の存在密度が過度に高いと、成形体内の強磁性粉末間の結着の程度が低下して磁性部材1の機械的強度が低下するおそれが高まる。したがって、成形体が空孔を有している場合には、成形体の空隙率(成形体において固体物質が存在しない部分として定義される空隙部の体積の、成形体全体の体積に対する百分率)は、3%以下であることが好ましく、1%以下であることがより好ましい。
(1−2)絶縁層
絶縁層は、磁性部材1の表面が絶縁性を有するように、成形体の表面および必要に応じて表面近傍の部分(本明細書において、これらを「表面部」と総称する。)上に形成される。本発明の一実施形態に係る磁性部材1は、その絶縁層が無機系の材料からなる無機絶縁層を備える。無機絶縁層を構成する材料は適切な絶縁性を有する限り限定されない。酸化物系材料、炭化物系材料、窒化物系材料などが例示される。酸化物系材料の具体例として、シリコンの酸化物、アルミニウムの酸化物、より具体的にはSiO、Alなどが例示される。但し、成膜時の簡便さを考慮すると、SiOがより好ましい。こうした絶縁性の酸化物系材料は体積抵抗率が高いため、比較的薄膜であっても単独で優れた絶縁性の膜となりうる。
無機絶縁層の厚さは限定されない。絶縁層が所望の絶縁性を有するように適宜設定される。無機絶縁層の厚さの範囲を例示すれば、0.1μm以上100μm以下であり、絶縁層の絶縁性と無機絶縁層の生産性とのバランスを良好にする観点から、無機絶縁層の厚さは1μm以上10μm以下とすることが好ましい。
無機絶縁層の製造方法は限定されない。ドライプロセス、ウエットプロセスのいずれであってもよい。ドライプロセスとして、CVD(化学気相成長法、Chemical Vapor Deposition)、スパッタリング、蒸着、イオンプレーティングなどが例示される。ウエットプロセスとして、ゾルゲル法、化成処理などが例示される。無機絶縁層の厚さの均一性および絶縁性を高める観点から、無機絶縁層は、表面反応により緻密な無機系皮膜を形成することが可能なCVDにより形成されることが好ましい。
絶縁層は、成形体の最表面に位置する強磁性金属粉末(以下、「表面粉末」ともいう。)を覆うように設けられていることが好ましい。表面粉末は、成形後のスプリングバックにより成形金型から取り出す際に金型表面と擦れたり、成形工程後の製造過程において他の部材と接触したりすることにより、金属性材料からなる表面が露出してしまう場合がある。そのような場合であっても、表面粉末を覆うように絶縁層が形成されることにより、磁性部材1の表面の絶縁性を高めることが可能となる。
絶縁層の表面抵抗は、1×1012Ω/□以上であることが好ましい。この程度の表面抵抗であれば、電気めっき処理によって磁性部材1上にめっき層を形成する場合において、メタライズ層などによって磁性部材1上に設けられた通電領域以外にめっき材料が析出しにくくなり、「めっき伸び」現象が生じる可能性をより安定的に低減させることができる。「めっき伸び」現象の発生をさらに安定的に抑制する観点から、絶縁層の表面抵抗は、5×1012Ω/□以上であることが好ましく、1×1013Ω/□以上であることがより好ましい。
絶縁層は、無機絶縁層と成形体との間に含浸コート層を備えてもよい。表面粉末からなる、または表面粉末が有機系成分などによって結着された構造を有する成形体の表面は、強磁性金属粉末の粒度分布によっては凹凸の程度が大きくなっている場合がある。このような場合には、表面粉末を覆うように無機絶縁層を形成することは容易でない。そこで、成形体の表面にまず含浸コート層を形成して、無機絶縁層の形成対象(含浸コートが形成された成形体)の表面の凹凸の程度を小さくした後、無機絶縁層を形成することにより、無機絶縁層によって表面粉末を覆うことが容易になる。したがって、含浸コート層は、表面粉末の表面の全てを覆うように形成されていてもよいし、表面粉末の表面に含浸コート層により覆われていない部分があってもよい。いずれにしても、含浸コート層を形成することによって、無機絶縁層の形成対象の表面の凹凸の程度を小さくできればよい。
含浸コート層の種類は限定されない。シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ブチラールフェノール樹脂などが例示される。無機絶縁層を形成するための処理(特にドライプロセス)において冒される可能性が比較的低いことから、含浸コート層はシリコーン樹脂を含むことが好ましい。
従来技術においては、絶縁層は、このような含浸コートのみにより構成される場合があった。しかしながら、図1に示されるインダクタンス素子10のような電子部品が特に小型化された場合(具体例として2mm×2mm、高さ1mm程度またはそれ以下の大きさが挙げられる。)には、含浸コーティング組成物の塗れ性を高めても、成形体の表面部に均一性高く含浸コート層を形成することは困難である。また、上述したように成形体が空孔を有している場合、含浸コーティング組成物は、この空孔に浸み込んでしまい、成形体の表面が一部露出し、成形体の表面部に含浸コート層を均一に形成できず、電子部品が備える磁性部材の表面に十分な絶縁性を有しない領域(本明細書において「低絶縁性領域」ともいう。)が生じてしまうことがあった。このような低絶縁性領域が「めっき伸び」現象の原因となりうることは前述のとおりである。そこで、低絶縁性領域が生じる可能性を低減させるべく、含浸コート層を形成するための含浸コーティング組成物の使用量を増やすと、含浸コーティング組成物から含浸コート層が形成される際の収縮量が多くなる。その結果、この収縮に起因して電子部品内の強磁性金属粉末に歪が生じやすくなることがあった。この強磁性金属粉末に生じた歪は、電子部品の磁気特性を低下させる原因となりうる。
これに対し、本発明の一実施形態に係る電子部品10は、絶縁層が無機絶縁層を備えることから、磁性部材1の表面に低絶縁性領域が生じる可能性は十分に低減されている。したがって、電子部品(インダクタンス素子10)の大きさが特に小型化された場合であっても、「磁性部材1の表面にめっき伸び」現象のような不具合が生じにくい。
(2)導電性部材
導電性部材2は、磁性部材1の内部に埋設可能であれば、その形状および組成は限定されない。図1に示されるインダクタンス素子10の場合には、導電性部材2はコイル形状の部分を有する。このコイルの具体的な形状は限定されない。例えば、コイルはエッジワイズコイルであってもよい。導電性部材2は、銅、アルミニウムなどを含有する導電率が高い材料から構成されていることが好ましい。
(3)接続端部
接続端部3a,3bは、導電性部材2の端部2a,2bに対して電気的に接続された状態で、磁性部材1の表面上に形成された導電性の部材である。接続端部3a,3bは、通常、磁性部材1の表面の複数の領域上に形成される。図1に示されるインダクタンス素子10では、2つの接続端部3a,3bを備える。接続端部3a,3bの形状および組成は、接続端部3a,3bが適切な導電性を有し、磁性部材1の表面上の複数の接続端部3a,3bが短絡しない限り、限定されない。
図1に示されるインダクタンス素子10では、接続端部3a,3bは、生産性に優れる観点から、銀ペーストなどの導電ペーストから形成されたメタライズ層とこのメタライズ層上に形成されためっき層とを備える。このめっき層を形成する材料は限定されない。当該材料が含有する金属元素として、銅、アルミ、亜鉛、ニッケル、鉄、スズなどが例示される。
上記のめっき層が電気めっきにより形成される場合であっても、本発明の一実施形態に係る磁性部材1の表面は十分な絶縁性を有するため、「めっき伸び」現象が生じにくい。
接続端部3a,3bの厚さや大きさ(形状)は、適宜設定されるべきものである。上記のように、接続端部3a,3bがメタライズ層とめっき層とを備える場合には、メタライズ層を形成するための導電ペーストの塗布量として0.05g/cm程度が例示され、めっき層の厚さの範囲として5〜10μm程度が例示される。
2.電子部品の製造方法
本発明の一実施形態に係る電子部品の製造方法は特に限定されない。次に説明する製造方法により製造すれば、本発明の一実施形態に係る電子部品、具体的には、インダクタンス素子10を効率的に製造することが実現される。
一例において、本発明の一実施形態に係る電子部品(インダクタンス素子10)の製造方法は、成形工程、無機絶縁層形成工程、および接続端部形成工程を備え、好ましい一例において、成形工程と無機絶縁層形成工程との間に、アニール工程および含浸コーティング工程を備える。
成形工程では、強磁性金属粉末およびバインダー成分を含む混合体を成形する。バインダー成分は限定されず、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、アクリル樹脂、オレフィン樹脂などの樹脂材料が例示される。混合体は、絶縁性の無機系成分、カップリング剤、潤滑剤(ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム等が例示される。)などをさらに含んでいてもよい。混合体の調製方法も任意である。ボールミルなどを用いて混合してもよいし、各成分を含む分散液を調整して、この分散液を乾燥・粉砕して、強磁性金属粉末を含む造粒粉として混合体を得てもよい。成形条件も限定されない。0.1GPa〜5GPa程度の範囲で常温にて加圧することが例示される。
成形工程において、成形金型のキャビティ内にコイルなどの導電性部材2を配置して成形を行うことにより、成形製造物内に導電性部材2を埋設させることができる。
成形工程により得られた成形製造物を、必要に応じてアニール処理するアニール工程を行ってもよい。アニール処理をすることにより、成形工程によって生じた強磁性金属粉末内の歪が緩和されて、磁性部材1の磁気特性を向上させることができる。アニール処理の条件は、強磁性金属粉末内に生じた歪の程度や、バインダー成分の熱的特性を考慮して適宜設定される。一例を挙げれば、昇温速度20℃/分〜50℃/分程度で、室温から400℃〜500℃程度に加熱して、加熱温度にて0.5時間〜5時間程度保持することが挙げられる。
アニール工程を経て得られた成形体に対して、無機絶縁層形成工程を実施する前に、含浸コーティング工程を行ってもよい。含浸コーティング工程では、含浸コーティング組成物と成形体とを接触させることにより、当該組成物を成形体の表層に含浸させる。接触方法は限定されない。含浸コーティング組成物中に成形体を浸漬させてもよいし、含浸コーティング組成物を成形体に塗布してもよい。含浸コーティング組成物中に成形体を浸漬させる場合には、真空排気しながら浸漬させることにより、含浸コーティング組成物を成形体内に入り込みやすくすることができる。成形体の表層に含浸した含浸コーティング組成物を乾燥したり、必要に応じて加熱などの処理を行ったりすることにより、含浸コート層が得られる。含浸コート層が形成されることにより、無機絶縁層形成工程の対象物である、含浸コート層が形成された成形体の表面の凹凸の程度は小さくなり、無機絶縁層形成工程において絶縁性に優れる無機絶縁層が形成されやすくなる。含浸コーティング組成物の組成は限定されない。シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ブチラールフェノール樹脂など樹脂系材料を含有していてもよい。
無機絶縁層形成工程では、成形体上に無機系の材料からなる無機絶縁層を含む絶縁層を形成して、成形体と絶縁層とを備える磁性部材1を得る。上記のように、アニール工程が行われた場合には、成形体は、成形工程により得られた成形製造物に対してアニール処理が施されたものからなり、アニール工程が行われない場合には、成形体は成形工程により得られた成形製造物からなる。また、上記のように、含浸コーティング工程が行われた場合には、無機絶縁層は含浸コート層が形成された成形体上に形成される。したがって、この場合には、絶縁層は、含浸コート層および無機絶縁層を備える。含浸コーティング工程が行われない場合には、絶縁層は無機絶縁層を備える。
前述のように、無機絶縁層を形成するための方法は限定されない。ドライプロセスであってもよいし、ウエットプロセスであってもよい。無機絶縁層の製造方法を適切に選択することにより、成形体の表面粉末を覆うように絶縁層を形成することが可能である。
無機絶縁層形成工程後に絶縁層を構成する部材を形成するための工程が行われてもよい。そのような工程として、例えば、有機系のコート層を形成するための工程が行われてもよいし、フッ素系のコート層を形成するための工程が行われてもよい。
こうして、その表層に絶縁層を備える磁性部材1が得られたら、磁性部材1内に配置された導電性部材2に対して電気的に接続する接続端部3a,3bを、磁性部材1の絶縁層上に形成する接続端部形成工程を行う。接続端部3a,3bがメタライズ層とめっき層とから構成される場合には、まず、銀ペーストなどの導電性ペーストを絶縁層上に塗布する。塗布方法は任意である。印刷、ディスペンサーなどが好適に使用される。必要に応じて乾燥を行うことにより絶縁層上にメタライズ層を形成する。続いて、電気めっき処理を行ってメタライズ層上にめっき層を形成する。電気めっきの方法は限定されない。前述のように電子部品のサイズが特に小さい場合には、バレルめっきを行うことが好ましい。本発明の一実施形態に係る電子部品の製造方法では、絶縁層が無機絶縁層を備えるため、電気めっきを行った際に、めっき層が、メタライズ層をはみ出して磁性部材1の絶縁層上に形成される不具合(「めっき伸び」現象)生じにくい。
3.電子機器
本発明の一実施形態に係る電子部品(インダクタンス素子10)は、当該電子部品(インダクタンス素子10)が特に小型である場合であっても、接続端部3a,3bにおいて短絡が生じにくい。したがって、本発明の一実施形態に係る電子部品(インダクタンス素子10)は、特に小型であっても動作安定性に優れる。それゆえ、本発明の一実施形態に係る電子部品(インダクタンス素子10)を実装した電子機器は小型化が容易となる。また、電子機器の実装スペースに、多数の電子部品を実装することが可能となる。この点に関し、本発明の一実施形態に係る電子部品がインダクタンス素子10である場合には、インダクタンス素子10が小型であることにより、電源スイッチング回路、電圧昇降回路、平滑回路、高周波電流を阻止する回路などを小型化することが可能である。それゆえ、電子機器の電源供給回路を増やすことが容易となる。その結果、より精密な電源制御が可能となって、電子機器の消費電力を抑えることが可能となる。
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
例えば、上記の説明では、導電性部材は成形体の製造段階でその内部に埋設されるが、導電性部材を内包するように複数の成形体を配置してもよい。具体的には、1つの成形体が導電性部材を配置しうる溝部を有し、その溝部内に導電性部材を配置し、その後、導電性部材を覆うように別の成形体を配置することにより、複数の成形体に導電性部材が内包された構造体を得ることができる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例等に限定されるものではない。
(実施例1)
水アトマイズ法を用いて、Fe74.43at%Cr1.96at%9.04at%2.16at%7.54at%Si4.87at%なる組成になるように秤量して得られたFe基非晶質軟磁性粉末を強磁性金属粉末として作製した。得られた軟磁性粉末の粒度分布は、日機装社製「マイクロトラック粒度分布測定装置 MT3300EX」を用いて体積分布で測定した。その結果、平均粒径(D50)は10.6μmであった。
上記の軟磁性粉末100質量部、熱可塑性樹脂であるアクリル系樹脂および熱硬化性樹脂であるフェノール系樹脂を含む樹脂系材料を含有するバインダー2質量部、およびステアリン酸亜鉛からなる潤滑剤0.3質量部を溶媒としてのキシレンに混合して、スラリーを得た。
得られたスラリーを乾燥後に粉砕し、目開き300μmのふるいおよび850μmのふるいを用いて、300μm以下の微細な粉末および850μm以上の粗大な粉末を除去して、造粒粉を得た。
上記の方法により得られた造粒粉を、絶縁被覆された銅製コイル(ターン数:5)がキャビティ内にあらかじめ配置された金型に充填し、金型温度23℃、面圧1.5GPaで加圧する条件にて加圧成形し、成形製造物を得た。
得られた成形製造物を、窒素気流雰囲気の炉内に載置し、炉内温度を、室温(23℃)から昇温速度40℃/分で372℃まで加熱し、この温度にて60分間保持し、その後、炉内で室温まで冷却する熱処理を行った。こうして、2mm×2mm、厚さ1mmの直方体の成形体として得た。
シリコーン樹脂を含有する含浸コーティング組成物を用意し、真空排気しながら、当該組成物中に上記の成形体を10分間浸漬させた。その後、含浸コーティング組成物から成形体を取り出し、150℃で30分間乾燥させた。得られた部材を、真空排気しながら、上記の含浸コーティング組成物中に、さらに4.5分間浸漬させ、その後、含浸コーティング組成物から取り出して、150℃で30分間乾燥させることにより、含浸コート層が形成された成形体を得た。
こうして得られた含浸コート層が形成された成形体に対して、CVD装置を用いて処理を行うことにより、シリコンの酸化物、より具体的にはSiOからなる無機絶縁層を形成した。こうして、成形体およびその表面部に無機絶縁層および含浸コート層からなる絶縁層を備える磁性部材を得た。
磁性部材の2mm×1mmの大きさを有し対向する面のそれぞれに、平面視形状が2mm×約0.5mmの長方形であって銀ペーストからなるメタライズ層を、印刷により形成した。
得られたメタライズ層が形成された磁性部材に対して、バレルめっき金属:銅)を行い、約3μmの厚さの銅めっき層を形成した。
こうして、非晶質軟磁性粉末からなる強磁性金属粉末および有機系成分を含む成形体と、成形体の表面部上に形成された、含浸コート層およびシリコンの酸化物からなる無機絶縁層を有する絶縁層とを備える磁性部材;磁性部材が備える成形体の内部に位置する部分(コイル)を有する導電性部材;およびこの磁性部材の表面上に形成された、銀ペーストに基づくメタライズ層と銅めっき層とを有する導電性の接続端部を備え、図1に示される外観を有する、電子部品としてのインダクタンス素子を得た。
(比較例1)
含浸コート層が形成された成形品上に無機絶縁層を形成しなかったこと以外は、実施例1と同様にして、インダクタンス素子を製造した。
(試験例1)無機絶縁層の観察
実施例により製造されたインダクタンス素子を樹脂に埋め込んで切断し、切断面を研磨して、電子顕微鏡にて観察した。図2から5に示されるように、無機絶縁層は成形体の全面を覆うように形成されていることが確認された。また、図3から5に示されるように、無機絶縁層の厚さは2.5μmから3.5μm程度であり、均一性に優れた無機絶縁層が形成されていることも確認された。
(試験例2)表面抵抗の測定
実施例および比較例により製造されたインダクタンス素子(それぞれ50個)について、表面抵抗(単位:Ω/□)を測定して平均値を求めた。その結果を表1に示す。表1に示されるように、無機絶縁層の有無により、表面抵抗値は10倍以上の相違が生じることが確認された。
(試験例3)「めっき伸び」現象の評価
実施例および比較例により製造されたインダクタンス素子(それぞれ50個)について、外観の観察を行い、「めっき伸び」現象が生じているか否かを確認した。その結果、図6に示されるように、比較例により製造されたインダクタンス素子には「めっき伸び」現象(図6における白丸内)が生じているものが認められた。これに対し、図7に示されるように、実施例により製造されたインダクタンス素子には「めっき伸び」現象が生じているものが認められなかった。
(試験例4)リアクタンスの測定
実施例および比較例により製造されたインダクタンス素子(それぞれ50個)について、リアクタンス(単位:μH)を測定して平均値を求めた。その結果を表2に示す。表1に示されるように、無機絶縁層の有無により、リアクタンスの変化は実質的に認められなかった。
本発明に係る実施例1により製造されたインダクタンス素子は、無機絶縁層を有する絶縁層を備えることから、磁気特性に実質的な影響を与えることなく、磁性部材の表面の絶縁性が高められたことが確認された。その結果として、実施例1のインダクタンス素子には、「めっき伸び」現象の発生が認められなかった。これに対して、比較例1により製造されたインダクタンス素子には、「めっき伸び」現象の発生が認められた。
(試験例5)
実施例および比較例により製造されたインダクタンス素子(それぞれ50個)について、次の条件のリフロー試験を行った。
ピーク温度:270℃
ピーク温度の保持時間:180秒
リフロー試験を1回または3回行った後、試験例2と同様にして表面抵抗を測定して平均値を求めた。その結果を表3および図8に示す。
表3および図8に示されるように、実施例1により製造されたインダクタンス素子は、リフロー試験を行っても磁性部材の表面の絶縁性は低下しなかった。これに対し、比較例1により製造されたインダクタンス素子は、リフロー試験を経ることによって磁性部材の表面の絶縁性が顕著に低下した。インダクタンス素子などの電子部品は基板に実装された状態でリフローなどの熱履歴を受ける場合がある。特にリフローの際には、はんだが溶融するため、実装された電子部品が小型であると、その電子部品の基板に対する位置が変動してしまうことがある。スマートフォンなどのように実装空間が狭い電子機器の場合には、この電子部品の位置変動の程度が大きいと、電子部品が電子機器の筐体に接触する状態となってしまうこともある。このような状態となったときでも、本発明の一実施形態に係る電子部品は、磁気部材の表面抵抗が高いため、ショートなどの事故が発生しにくい。また、無機絶縁層の熱的安定性が高いことから、外部環境下において耐環境性も向上することが期待できる。
本発明の電子部品は、携帯電話、スマートフォン、ノートパソコンなどの電子機器に実装される部品として好適であり、特に、これらの電子機器の電源供給回路に使用されるインダクタンス素子として好適である。

Claims (15)

  1. 強磁性金属粉末を含む粉末が加圧成形された成形製造物から形成され空孔を有する成形体および前記成形体の表面部上に形成された絶縁層を備える磁性部材と、
    前記磁性部材の内部に位置する部分を有する導電性部材と、
    前記導電性部材のそれぞれの端部に対して電気的に接続された状態で前記磁性部材の前記絶縁層上に形成された導電性の2つの接続端部とを備え、
    前記磁性部材は2つの通電領域が設けられた面を有し、前記2つの通電領域の一方には前記2つの接続端部の一方が位置し、前記2つの通電領域の他方には前記2つの接続端部の他方が位置し、
    前記接続端部はめっき層を備え、
    前記絶縁層は無機系の材料からなる無機絶縁層を備え、
    前記絶縁層は、前記無機絶縁層と前記成形体との間に含浸コート層を備え、
    前記含浸コート層を備え前記無機絶縁層を備えない状態では、前記磁性部材の表面に低絶縁性領域を有すること
    を特徴とする電子部品。
  2. 前記めっき層は、前記絶縁層上に設けられたメタライズ層上に電気めっきにより形成されたものである、請求項1に記載の電子部品。
  3. 前記無機絶縁層は絶縁性の酸化物系材料を含む、請求項1または2に記載される電子部品。
  4. 前記酸化物系材料はSiOからなる、請求項3に記載される電子部品。
  5. 前記絶縁層の表面抵抗は、1×1012Ω/□以上である、請求項1から4のいずれか一項に記載される電子部品。
  6. 前記絶縁層は、前記成形体の表面部を構成する前記強磁性金属粉末を覆うように設けられている、請求項1から5のいずれか一項に記載される電子部品。
  7. 前記含浸コート層はシリコーン樹脂を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の電子部品。
  8. 前記成形体は有機系成分を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載される電子部品。
  9. 空孔を有する成形体と絶縁層とを備える磁性部材および導電性の2つの接続端部を備える電子部品の製造方法であって、
    強磁性金属粉末およびバインダー成分を含む混合体を加圧成形する成形工程;
    前記成形工程を経て得られた前記成形体上に無機系の材料からなる無機絶縁層を含む絶縁層を形成して、前記磁性部材を得る無機絶縁層形成工程;および
    前記磁性部材の前記絶縁層上に前記2つの接続端部を形成する接続端部形成工程を備え、
    前記成形工程終了後、前記無機絶縁層形成工程開始前に、前記磁性部材上に含浸コート層を形成する含浸コーティング工程をさらに備え、
    前記含浸コーティング工程終了後、前記無機絶縁層形成工程開始前の状態では、前記磁性部材の表面に低絶縁性領域を有し、
    前記2つの接続端部は導電性ペーストから形成されたメタライズ層と前記メタライズ層上に形成されためっき層とを備え、
    前記接続端部形成工程は、前記導電性ペーストを前記絶縁層上に塗布してメタライズ層を形成すること、および電気めっき処理を行って前記メタライズ層上に前記めっき層を形成することを含み、
    前記磁性部材は2つの通電領域が設けられた面を有し、前記2つの通電領域の一方には前記2つの接続端部の一方が位置し、前記2つの通電領域の他方には前記2つの接続端部の他方が位置すること
    を特徴とする電子部品の製造方法。
  10. 前記成形工程により得られた成形製造物に対してアニール処理を行うアニール工程を備える、請求項9に記載の電子部品の製造方法。
  11. 前記無機絶縁層形成工程はドライ成膜プロセスを含む、請求項9または10に記載の電子部品の製造方法。
  12. 前記無機絶縁層形成工程はウエット成膜プロセスを含む、請求項9または10に記載の電子部品の製造方法。
  13. 前記含浸コート層はシリコーン樹脂を含む、請求項9から12のいずれか一項に記載の電子部品の製造方法
  14. 前記磁性部材はその内部に導電性部材を有するものであって、前記接続端部形成工程では、前記導電性部材に電気的に接続するように前記接続端部は形成される、請求項9から13のいずれか一項に記載される電子部品の製造方法。
  15. 請求項1から8のいずれか一項に記載される電子部品を実装した電子機器。
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