JP6434237B2 - 中空金属粒子の製造方法と中空金属粒子 - Google Patents
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中空金属粒子を製造するには、有機重合体からなる粒径1μm〜2mmの芯材粒子表面に無電解メッキにより金属層を形成した後、芯材粒子を除去する方法が知られている(特許文献1参照)。この製造方法では、芯材粒子を除去する際に金属層の一部に開口部が生じるため、閉殻の中空金属粒子は得られない。
また、マイクロバブルを利用したポリマーやタンパク質の殻をもつ中空の有機微粒子の製造方法が提案されている。(特許文献2、非特許文献1参照)
1.微細気泡分散液中で、
金属微粒子を微細気泡の表面に吸着させる工程、
前記金属微粒子を凝集させて外殻を形成する工程、
を有することを特徴とする中空金属粒子の製造方法。
2.前記金属微粒子が、金属イオンと還元剤との還元反応により析出したものであることを特徴とする、1.に記載の中空金属粒子の製造方法。
3.前記微細気泡が還元剤を含有する気体からなることを特徴とする、2.に記載の中空金属粒子の製造方法。
4.前記気体が水素であることを特徴とする、3.に記載の中空金属粒子の製造方法。
5.前記金属微粒子が、数平均粒子径1nm〜200nmであることを特徴とする、1.〜4.のいずれかに記載の中空金属粒子の製造方法。
6.前記微細気泡分散液が塑性流体であり、
前記微細気泡の浮遊状態を、前記微細気泡に作用する前記降伏応力に基づいて制御することを特徴とする、1.〜5.のいずれかに記載の中空金属粒子の製造方法。
7.前記微細気泡分散液が、アガロース、ペクチン、カラギーナン、キサンタンガム、タマリンドガム、ジェランガム、グァーガム、アラビアガム、ゼラチン、にかわ、カルボキシメチルセルロース、プロピレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンから選ばれる1種、または2種以上の増粘剤を、0.01〜10wt%有することを特徴とする、6.に記載の中空金属粒子の製造方法。
8.前記降伏応力と、前記微細気泡が発生する深さによって、前記中空金属粒子の外殻の厚さを制御することを特徴とする6.または7.に記載の中空金属粒子の製造方法。
9.前記金属微粒子が銀、銅、金のいずれかであることを特徴とする、1.〜8.のいずれかに記載の中空金属粒子の製造方法。
10.上部に切欠き部を有する液槽を用い、
前記液槽の下部で微細気泡を発生させながら、または、前記液槽の下部に微細気泡分散液を供給しながら、
前記切欠き部から前記微細気泡分散液の上層を回収することを特徴とする、1.〜9.のいずれかに記載の中空金属粒子の連続製造方法。
11.金属を外殻とし、数平均粒子径が0.1μm〜1000μmであることを特徴とする中空金属粒子。
12.前記外殻が銀、銅、金のいずれかからなることを特徴とする、11.に記載の中空金属粒子。
微細気泡分散液として降伏応力を示す液を用いることにより、微細気泡の浮遊状態を制御することができ、中空金属粒子の粒径を調整することができる。また、降伏応力と微細気泡が発生する深さにより、中空金属粒子の外殻の厚さも制御することができる。さらに、本発明の製造方法によると、中空金属粒子を連続的に生産することもできる。
本発明の製造方法は、従来の製造方法と異なり芯材粒子を除去する工程が不要なので、閉殻である中空金属粒子が得られる。また、本発明の中空金属粒子は閉殻で、真球状であるため、強度、流動性に優れており潰れにくい。本発明の中空金属粒子は、電気伝導性、剛性、熱伝導性等の、金属が有する性能を維持しつつ、大きな比表面積、低密度等の中空構造に由来する特性を有するため、新規な機能性材料として用いることができる。
本発明は、微細気泡分散液中で、金属微粒子を微細気泡の表面に吸着させる工程、前記金属微粒子を凝集させて外殻を形成する工程、を有することを特徴とする中空金属粒子の製造方法に関する。
本発明において、微細気泡とは、直径約0.1μm〜1000μmの気泡のことを意味する。微細気泡の中で、直径約0.1μm〜1μmの気泡をウルトラファインバブル、直径約1μm〜100μmの気泡をマイクロバブル、直径約100μm〜1000μmの気泡をサブミリバブルという。また、ウルトラファインバブルとマイクロファインバブルとを合わせた、直径約0.1μm〜100μmの気泡はファインバブルと総称される。(ISO/TC281参照)
ここで、本発明において、ウルトラファインバブル、及びマイクロバブルの直径は、微細気泡分散液をレーザー回折式粒度分布計(株式会社島津製作所製、商品名:SALD7100)により測定した数平均径を意味し、サブミリバブルの直径は、写真撮影法で測定した数平均径を意味する。
式1: ν=ΔρgdB 2/18μL
ここで、Δρは液と気泡内ガスとの密度差、gは重力加速度、dBは微細気泡の直径、μLは液粘度を示す。
本発明において、微細気泡分散液の作成に使用する微細気泡発生装置の種類は特に限定されない。例えば、加圧溶解式、旋回液流式、スタティックミキサー式、エゼクター式、ベンチュリ式、極微細孔式、超音波付加中空針状ノズル式、蒸気凝縮式などの任意の微細気泡発生装置を用いることができる。
液中に上記微細気泡発生装置により微細気泡を発生させることにより、微細気泡分散液が得られる。上記したように、微細気泡は液中で極めて安定しているため、微細気泡分散液は、撹拌、加熱、混合等の通常の実験操作を施すことができる。
本発明の一次粒子である金属微粒子の製造方法は特に限定されず、熱プラズマ法、CVD法等の気相法、固相合成法、乾式粉砕法、湿式粉砕法等の固相法、還元法、噴霧法等の液相法を使用することができる。これらの中で、還元法と湿式粉砕法とが、金属微粒子の分散液が得られ、そのまま中空金属粒子の製造に用いることができるため好ましい。金属の種類は限定されず、具体的には周期表の第3族から第11族に含まれる遷移金属であれば特に制限することなく使用することができる。また、純金属だけでなく、酸化物、硫化物、炭化物、窒化物、塩化物、フッ化物等も用いることができる。
還元法により、金属イオンを金属微粒子に還元、析出させるならば、銀、銅、金が、析出した金属微粒子が凝集しやすいため好ましい。ここで、本発明において還元される金属イオンは単原子イオンに限定されず、錯イオン、多原子イオンでもよい。
なお、金属微粒子の数平均粒子径は、金属微粒子分散液をレーザー回折式粒度分布計(株式会社島津製作所製、商品名:SALD7100)により測定した値を意味する。
還元法における、金属イオンの還元反応に使用する還元剤は、特に限定することなく使用することができる。例えば、グリオキサール、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、二酸化硫黄、水素、一酸化炭素、アスコルビン酸、グルコン酸、グルコース、蟻酸、酒石酸、ハイドロキノン、ヒドラジン、亜硫酸ナトリウム、水素化ホウ素ナトリウム等が挙げられる。これらの中で、還元させる金属種や、還元反応の速度に応じて、適切な還元剤を選択すればよい。還元剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を用いることもできる。2種以上の還元剤は、反応開始時に液中に含有させておいてもよく、先の還元剤での反応が終了した後に、異なる還元剤を添加してもよい。
本発明の中空金属粒子の製造方法を図1に示す。
微細気泡1が液中に分散している微細気泡分散液中に、一次粒子である金属微粒子2が存在すると、金属微粒子は濡れ性が悪いため微細気泡表面に吸着する。そして微細気泡表面で金属微粒子が凝集して外殻を形成することにより、中空金属粒子3が形成される。金属微粒子の数平均粒子径は1nm〜200nmが凝集しやすく外殻を形成しやすいため、好ましい。
なお、図1において、中空金属粒子はその断面が示されており、実際に製造される中空金属粒子は閉殻の球である。
金属微粒子を湿式粉砕法により製造するならば、粉砕後に得られる金属微粒子分散液中に微細気泡を直接発生させてもよく、微細気泡分散液と混合してもよい。
また、粉末状の金属微粒子であれば、予め金属微粒子分散液を調製し、この分散液中に微細気泡を直接発生させるか、微細気泡分散液と混合すればよい。
微細気泡1を形成する気体が還元剤を含有すると、微細気泡から液中に溶解した還元剤により還元反応が進行する。そのため、還元反応は微細気泡近傍のみで進行し、一次粒子である金属微粒子2は微細気泡近傍で析出する。析出した金属微粒子が、微細気泡表面で凝集して外殻を形成することにより、中空金属粒子3が形成される。
微細気泡の直径が大きいと、微細気泡の表面全体を覆うのに必要な金属微粒子の量が多くなるため、金属微粒子が凝集して中空金属粒子を形成するのに必要な時間が長くなる。しかし、直径の大きな微細気泡は上昇速度が速く、液面に浮かび上がり気泡が弾けるまでの時間(以下、液中滞留時間という。)が短いため、金属微粒子の吸着が十分に行われない。さらに上昇速度が速いと液との摩擦によって吸着した金属微粒子が剥離しやすいため、中空金属粒子が形成されにくい。そのため、直径が大きな微細気泡表面で金属微粒子を凝集させ、大きな粒径の中空金属粒子を製造するには、液中滞留時間を長くすること、上昇速度を遅くすることが必要である。液中滞留時間を長くするには、液高を高くする、微細気泡の上昇速度を遅くするという方法が挙げられるが、液高を高くすると、製造設備が大規模になる、必要な液量が増える、という問題がありコストが増加してしまう。そのため、中空金属微粒子の生成に最も効果的なのは微細気泡の上昇速度を遅くして液中滞留時間を長くすることである。
上昇速度を遅くするには微細気泡分散液として、降伏応力を持つ塑性流体を使用すればよい。流体は、降伏応力を持つ塑性流体と、降伏応力を持たない粘性流体とに分類される。ずり速度により粘度が変わらない流体が粘性流体であり、水や低分子溶媒等が該当する。ずり速度により粘度が変わるものが非ニュートン流体であり、そのうち、特定の力(降伏応力)以上の力を加えないと流動しないものを塑性流体という。塑性流体とするための手法は特に制限されないが、増粘剤を添加する方法が、降伏応力の調整が容易であるため好ましい。増粘剤としては塑性流体が得られるものであれば特に制限することなく使用することができ、例えば、アガロース、ペクチン、カラギーナン、キサンタンガム、タマリンドガム、ジェランガム、グァーガム、アラビアガム、ゼラチン、にかわ、カルボキシメチルセルロース、プロピレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなどを挙げることができる。増粘剤の配合量は、特に制限されないが、通常、0.01〜10wt%である。
ここで、本発明の降伏応力は、2重円筒型回転式粘度計(デジタル粘度計(LV DV−III Ultra,BROOKFIELD)を用いて測定した、液体がHerchel−Bulkleyモデルに基づくと仮定した時の数値である。
式2: FD=τ0×π(d/2)2
ここで、τ0は液の降伏応力[N/m2]、dは微細気泡の直径[m]を示す。
式3: FU=VΔρg
ここで、Vは微細気泡の体積[m3]、Δρは液と微細気泡との密度差[kg/m3]、gは重力加速度[m/s2]を示す。
式4: d0=(3τ0)/(2Δρg)
十分な液中滞留時間を有する微細気泡(例えば、直径約50〜100μm)は、その表面に金属微粒子が吸着、凝集して外殻を形成して中空金属粒子が製造される。この中空金属粒子は、降伏応力よりも浮力が大きいため浮上することができ、また、内部に微細気泡を包含しており低密度であるため、液面に浮かび上がる。
上昇速度が速い微細気泡(例えば、直径約100〜1000μm)は、その表面で金属微粒子が吸着、凝集して中空金属粒子が完成する前に液面に浮上して弾けてしまうため、中空金属粒子ではなく外殻片が製造される。この外殻片は、微細気泡とともに液面に浮上する。
すなわち、本発明の製造方法によると、微細気泡の浮遊状態を降伏応力に基づいて制御することができ、限界直径よりも小さい直径の微細気泡からは液中に漂った状態の中空金属粒子を、限界直径よりも大きい直径の微細気泡からは液面に浮かび上がった状態の中空金属粒子を得ることができる。
なお、上記した微細気泡の直径は単なる一例であり、実際には液高や、反応速度等により、得られる中空金属粒子の粒径は異なる。
液の降伏応力は、液面に浮上させる中空金属粒子の粒径に応じて、0.05〜1.0N/m2の範囲で適宜調整することができる。降伏応力は、増粘剤の種類、濃度、液温等により調製することができる。
また、中空金属粒子の外殻の厚さは、微細気泡表面に凝集する金属微粒子量に依存するため、液中滞留時間が長くなるほど外殻は厚くなる。すなわち、外殻の厚さは、降伏応力と微細気泡が発生する深さにより制御することができる。
上記したように、製造終了後の液面には、限界直径よりも略大きな粒径の中空金属粒子3と、未完成の中空金属粒子である外殻片4が浮かんでいる。また、気液界面で凝集した板状の金属片5も浮かんでいる。すなわち、製造終了後に液面に浮かんでいる金属には、中空金属粒子3と外殻片4と板状の金属片5とが含まれている。限界直径よりも略小さな粒径の中空金属粒子6は浮上も沈殿もすることができないため、液中に漂っている。
中空金属粒子3は、閉殻であり粒子内部の中空部に水が侵入しないため低密度である。一方、外殻片4と板状の金属片5は、バルク金属であり密度が大きい。そのため、製造終了後には液面に浮かび上がっているが、本来は水に沈殿する。液面上に浮かんでいる金属を洗浄すると、外殻片4と板状の金属片5は沈殿するが、中空金属粒子3は浮かんだままなので、中空金属粒子を容易に選り分けることができる。
また、水を反応槽下部から供給しながら連続生産を行うと、液中に漂う限界直径よりも略小さな粒径の中空金属粒子も新たに供給される水に押し出されるように液の上層に移動するため、上層とともに回収することができる。
上記製造方法により、金属を外殻とし、粒径が0.1〜1000μmである中空金属粒子を製造することができる。なお、本発明において、中空金属粒子の粒径は、3Dリアルサーフィスビュー顕微鏡(株式会社キーエンス製、装置名:VE−8800)で観察した画像を画像解析ソフト(日鐵住金テクノロジー株式会社、ソフト名:粒子解析III)で解析した200〜400個の粒子の数平均粒子径を意味する。
本発明の製造方法により製造される中空金属粒子は、液中で微細気泡を包み込みながら形成されるため、閉殻であるという従来の中空金属粒子とは一見して区別できる外観を有している。これに対し、従来の製造方法では、芯物質を除去する際に、外殻に開口部が生じてしまうため、閉殻の中空金属粒子は得られない。
さらに、本発明の中空金属粒子は、真球である微細気泡表面で凝集して外殻を形成するため、真球状で、その内面が非常に平滑である。本発明の中空金属粒子は閉殻で、真球状であり、強度、流動性に優れているため、樹脂等と混合したり、分散液をポンプで循環させたりしても、潰れにくい。
硝酸銀の0.3mol/L水溶液5.0mlに、2.0mol/Lのアンモニア水を徐々に加えると、茶褐色の酸化銀(I)の沈殿が生じた。さらにアンモニア水を加えると、ジアンミン銀(I)イオン([Ag(NH3)2]+)を形成して酸化銀(I)の沈殿が消失した。アンモニア水は、合計で2.2ml加えた。この液に、pH調整剤として1.0mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を0.4ml、増粘剤としてキサンタンガム(SIGMA−ALDRICH株式会社製、商品名:Xanthan gum、製品番号:G1253−500G、Batch#:014K0210)の0.6wt%水溶液を0.6ml加え、銀鏡反応溶液とした。
C6H12O6+2[Ag(NH3)2]++2OH−
→C6H12O7+2Ag+4NH3+H2O
また、洗浄後に沈殿した銀に含まれる未完成の中空金属粒子である外殻片を回収して、同様の手法で走査型顕微鏡により観察した。図7に外殻片の走査型電子顕微鏡画像、図8に外殻片の内面を拡大した走査型電子顕微鏡画像を示す。図6、8より、本発明の中空銀粒子の内面が外面に比べて滑らかであることが確認できた。
液高3.00cmである実施例1と合わせて、得られた中空銀粒子の数平均粒子径を表1に示す。
キサンタンガム濃度が高く、降伏応力が大きくなるにつれ、製造される中空銀粒子の数平均粒子径が大きくなることが確認できた。これは、降伏応力が大きくなると、限界直径が大きくなり、この限界直径より略大きな粒径の中空金属粒子が選択的に液面に浮かび上がったためである。なお、本実施例において、降伏応力の測定は20℃、中空銀粒子の製造は55℃で行っているため、上記式4に降伏応力の実測値を代入して算出される限界直径の値と、得られた中空銀粒子の粒子径とは一致していない。
硝酸銅の0.3mol/L水溶液5.0mlに、3.0mol/Lのアンモニア水を2.2ml加えて硝酸銅を溶解し、テトラアンミン銅(II)イオン([Cu(NH3)4]2+)溶液とした。この液に、pH調整剤として1.0mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を0.4ml、増粘剤としてキサンタンガム(SIGMA−ALDRICH株式会社製、商品名:Xanthan gum 製品番号:G1253−500G Batch#:014K0210)の0.6wt%水溶液を6.0ml加え、銅鏡反応溶液とした。
[Cu(NH3)4]2++アスコルビン酸+2OH−
→デヒドロアスコルビン酸+Cu+4NH3+2H2O
図9に中空銅粒子の走査型電子顕微鏡画像を、図10にその拡大図を示す。走査型電子顕微鏡による観察により、本発明の中空銅粒子が閉殻であることが確認できた。
蒸留水7.6mlに、ヨウ化カリウム0.6g及びヨウ素0.1gを投入して攪拌溶解させた。この溶液に金を0.1g投入して撹拌溶解させてテトラヨード金(III)イオン([AuI4]−)溶液とした。さらに、増粘剤としてキサンタンガム(SIGMA−ALDRICH株式会社製、商品名:Xanthan gum 製品番号:G1253−500G Batch#:014K0210)の0.6wt%水溶液を4.0ml加え、金鏡反応溶液とした。
[AuI4]−+2アスコルビン酸
→2デヒドロアスコルビン酸+Au+4HI
硝酸銀の0.9mol/L水溶液50.0mlに、6.0mol/Lのアンモニア水を徐々に加えると、茶褐色の酸化銀(I)の沈殿が生じた。さらにアンモニア水を加えると、ジアンミン銀(I)イオン([Ag(NH3)2]+)を形成して酸化銀(I)の沈殿が消失した。アンモニア水は、合計で25.0ml加えた。この液に、pH調整剤として1.5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を4.0ml、増粘剤としてキサンタンガム(SIGMA−ALDRICH株式会社製、商品名:Xanthan gum、製品番号:G1253−500G、Batch#:014K0210)の0.6wt%水溶液を10.0ml加え、反応液とした。この反応液89.0mlを、耐圧容器(ポリエチレンテレフタレート製、容量500ml)に入れた。反応液中のキサンタンガムの濃度は0.067wt%であり、この反応液の20℃における降伏応力は0.33N/m2であった。
H2+2[Ag(NH3)2]++2OH−
→2Ag+4NH3+2H2O
2.金属微粒子
3.限界直径より略大きな粒径の中空金属粒子
4.外殻片
5.板状の金属片
6.限界直径より略小さな粒径の中空金属粒子
Claims (8)
- 直径0.1μm〜1000μmである微細気泡が分散した塑性流体である微細気泡分散液中で、
数平均粒子径1nm〜200nmである金属微粒子を前記微細気泡の表面に吸着させる工程、
前記金属微粒子を凝集させて外殻を形成する工程、
を有し、
前記微細気泡の浮上可能な直径を、前記微細気泡に作用する降伏応力と前記微細気泡の浮力との関係に基づいて制御することを特徴とする中空金属粒子の製造方法。 - 前記金属微粒子が、金属イオンと還元剤との還元反応により析出したものであることを特徴とする、請求項1に記載の中空金属粒子の製造方法。
- 前記微細気泡が還元剤を含有する気体からなることを特徴とする、請求項2に記載の中空金属粒子の製造方法。
- 前記気体が水素であることを特徴とする、請求項3に記載の中空金属粒子の製造方法。
- 前記微細気泡分散液が、アガロース、ペクチン、カラギーナン、キサンタンガム、タマリンドガム、ジェランガム、グァーガム、アラビアガム、ゼラチン、にかわ、カルボキシメチルセルロース、プロピレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンから選ばれる1種、または2種以上の増粘剤を、0.01〜10wt%有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の中空金属粒子の製造方法。
- 前記微細気泡の液中滞留時間によって、前記中空金属粒子の外殻の厚さを制御することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の中空金属粒子の製造方法。
- 前記金属微粒子が銀、銅、金のいずれかであることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の中空金属粒子の製造方法。
- 上部に切欠き部を有する液槽を用い、
前記液槽の下部で微細気泡を発生させながら、または、前記液槽の下部に微細気泡分散液を供給しながら、
前記切欠き部から前記微細気泡分散液の上層を回収することを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の中空金属粒子の連続製造方法。
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