JP6433110B2 - 光学用部材及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は反射防止性能を有する光学用部材およびその製造方法に関し、さらに詳述すると可視領域から近赤外領域で高い反射防止性能を示す光学用部材およびその製造方法に関する。
ポリイミドは耐熱性や電気絶縁性に優れるため電子、電機部品に使用されて来た。さらに脂肪族構造やフッ素アルキルを導入した透明性の高いポリイミドは液晶表示素子や光導波路などの光学用途にも使用されている。
一方、金属酸化物やフッ化物の微粒子を堆積させたり、波長以下の微細周期構造を最表面に形成したりすることで優れた反射防止性能を有する光学用部材が得られる。特に適切なピッチ、高さの微細周期構造を形成することにより、広い波長領域ですぐれた反射防止性能を示す。中でも、基材上に成長させた酸化アルミニウムのベーマイトからなる凹凸構造は高い反射防止効果が得られることが知られている。このベーマイトからなる凹凸構造は液相法(ゾルゲル法)などにより成膜した酸化アルミニウムの膜を水蒸気処理あるいは温水浸漬処理により得られる(非特許文献1参照)。さらに、基材とベーマイトからなる凹凸構造の間に基材と凹凸構造の中間の屈折率を持った層を設けることでより高い反射防止効果を示すことも知られている。
ポリイミドは透明性を付与でき屈折率を変化させることが可能である上、水分や水蒸気によるガラス基材へのダメージを抑える効果が知られている(特許文献1参照)。さらに低反射率の光学用部材を得るためには、薄膜時の膜厚や光学特性の変動の小さい光学薄膜が求められている。
特開2008−233880号公報
K.Tadanaga,N.Katata,and T.Minami:"Super-Water-Repellent Al2O3 Coating Films with High Transparency," J.Am.Ceram.Soc.,80 [4] 1040から42(1997)
反射防止膜として表層に微粒子を堆積させた多孔質の膜や、アルミナのベーマイトを基材上に成長させる方法で形成した凹凸構造は、簡便で高い生産性を有し、優れた光学性能を示す。しかしながら、これらの層と基材との屈折率差が大きい場合十分な反射防止効果が得られない。そこで、基材と多孔質膜または凹凸構造を有する層との間に中間の屈折率を持った層を設けることで反射防止効果を高めることができる。しかしながら、基材は用途に合わせて幅広い屈折率から選択されるため、基材の屈折率に合わせた屈折率と膜厚を容易に提供できる薄膜材料が望まれている。さらに高性能でかつ反射防止性能の面内バラつきの小さい反射防止膜付き光学用部材が望まれている。
本発明は、この様な背景技術に鑑みてなされたものであり、高い反射防止性能を有し、かつ反射防止性能の面内バラつきの小さい光学用部材及びその製造方法を提供するものである。
上述の課題を解決する光学用部材は、基材表面に光の反射を抑えるための積層体が形成された光学用部材において、前記積層体の最外表面が多孔質あるいは凹凸構造による空隙を有する層であり、前記積層体の少なくとも一層がポリイミドを主成分とする層であり、前記ポリイミドを主成分とする層が、主鎖中に、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物、meso−ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、または4−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1,2−ジカルボン酸無水物由来である酸二無水物残基、芳香族ジアミン残基、および脂環式ジアミン残基を有するポリイミド1、および主鎖中に、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物、meso−ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、または4−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1,2−ジカルボン酸無水物由来である酸二無水物残基、および芳香族ジアミン残基を有し、かつ芳香族ジアミン残基の含有量がポリイミド1とは異なるポリイミド2を含有し、前記ポリイミド1および前記ポリイミド2のイミド化率が90%以上であることを特徴とする。
また、上述の課題を解決する光学用部材は、基材表面に光の反射を抑えるための積層体が形成された光学用部材において、前記積層体の最外表面が多孔質あるいは凹凸構造による空隙を有する層であり、前記積層体の少なくとも一層がポリイミドを主成分とする層であり、前記ポリイミドを主成分とする層が、主鎖中に、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物、meso−ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、または4−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1,2−ジカルボン酸無水物由来である酸二無水物残基、芳香族ジアミン残基、および脂環式ジアミン残基を有するポリイミド1、および主鎖中に、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物、meso−ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、または4−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1,2−ジカルボン酸無水物由来である酸二無水物残基、および脂環式ジアミン残基を有し、かつ芳香族ジアミン残基を含まないポリイミド2を含有し、前記ポリイミド1および前記ポリイミド2のイミド化率が90%以上であることを特徴とする。
上述の課題を解決する光学用部材の製造方法は、基材表面に光の反射を抑えるための積層体が形成され、前記積層体の少なくとも一層がポリイミドを主成分とする層からなる光学用部材の製造方法であって、
1)少なくとも芳香族ジアミン、脂環式ジアミンおよび酸二無水物を溶媒中で反応を行い、主鎖中に、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物、meso−ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、または4−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1,2−ジカルボン酸無水物由来である酸二無水物残基、芳香族ジアミン残基、および脂環式ジアミン残基を有し、イミド化率が90%以上のポリイミド1を合成する工程、
2)少なくとも芳香族ジアミンおよび酸二無水物を溶媒中で反応を行い、主鎖中に、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物、meso−ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、または4−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1,2−ジカルボン酸無水物由来である酸二無水物残基、および芳香族ジアミン残基を有し、イミド化率が90%以上であって、かつ芳香族ジアミン残基の含有量がポリイミド1とは異なるポリイミド2を合成する工程、
3)前記ポリイミド1および前記ポリイミド2を溶媒に溶解してポリイミド溶液を調製する工程、
4)前記ポリイミド溶液を基材上または基材上に設けられた薄膜上に塗布する工程、
5)前記塗布したポリイミド溶液を乾燥および/または焼成してポリイミドを主成分とする層を形成する工程、
を有することを特徴とする。
また、上述の課題を解決する光学用部材の製造方法は、基材表面に光の反射を抑えるための積層体が形成され、前記積層体の少なくとも一層がポリイミドを主成分とする層からなる光学用部材の製造方法であって、
1)少なくとも芳香族ジアミン、脂環式ジアミンおよび酸二無水物を溶媒中で反応を行い、主鎖中に、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物、meso−ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、または4−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1,2−ジカルボン酸無水物由来である酸二無水物残基、芳香族ジアミン残基、および脂環式ジアミン残基を有し、イミド化率が90%以上のポリイミド1を合成する工程、
2)少なくとも脂環式ジアミンおよび酸二無水物を溶媒中で反応を行い、主鎖中に、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物、meso−ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、または4−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1,2−ジカルボン酸無水物由来である酸二無水物残基、および脂環式ジアミン残基を有し、かつ芳香族ジアミンを含まず、イミド化率が90%以上であるポリイミド2を合成する工程、
3)前記ポリイミド1および前記ポリイミド2を溶媒に溶解してポリイミド溶液を調製する工程、
4)前記ポリイミド溶液を基材上または基材上に設けられた薄膜上に塗布する工程、
5)前記塗布したポリイミド溶液を乾燥および/または焼成してポリイミドを主成分とする層を形成する工程、
を有することを特徴とする。
本発明によれば、高い反射防止性能を有し、かつ反射防止性能の面内バラつきの小さい光学用部材及びその製造方法を提供することができる。
本発明の光学用透明部材の一実施態様を示す概略図である。 本発明の光学用透明部材の一実施態様を示す概略図である。 本発明の光学用透明部材の一実施態様の屈折率分布を示す概略図である。 本発明の光学用透明部材の一実施態様を示す概略図である。 本発明の光学用透明部材の一実施態様を示す概略図である。 実施例1および実施例2における、ポリイミドbまたはポリイミドcとポリイミドaの混合膜中のポリイミドaの含有率と混合膜の屈折率の関係を示すグラフである。 実施例3および実施例4における、ポリイミドdまたはポリイミドeとポリイミドaの混合膜中のポリイミドaの含有率と混合膜の屈折率の関係を示すグラフである。 実施例5および実施例6における、ポリイミドgまたはポリイミドhとポリイミドfの混合膜中のポリイミドfの含有率と混合膜の屈折率の関係を示すグラフである。 実施例7および実施例8における、ポリイミドgまたはポリイミドhとポリイミドaの混合膜中のポリイミドaの含有率と混合膜の屈折率の関係を示すグラフである。 比較例1における、ポリイミドdとポリイミドeの混合膜中のポリイミドdの含有率と混合膜の屈折率の関係を示すグラフである。 実施例9における、屈折率が1.58に調整されたポリイミド膜とアルミナ凹凸構造が積層されたガラスA表面の絶対反射率を示すグラフである。 実施例10における、屈折率が1.64に調整されたポリイミド膜とアルミナ凹凸構造が積層されたガラスA表面の絶対反射率を示すグラフである。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に係る光学用部材は、基材表面に光の反射を抑えるための積層体が形成された光学用部材において、前記積層体の最外表面が多孔質あるいは凹凸構造による空隙を有する層であり、前記積層体の少なくとも一層がポリイミドを主成分とする層であり、前記ポリイミドを主成分とする層が、主鎖中に芳香族ジアミン残基および脂環式ジアミン残基を有するポリイミド1、および主鎖中に芳香族ジアミン残基および/または脂環式ジアミン残基を有し、かつ芳香族ジアミン残基の含有量がポリイミド1とは異なるポリイミド2を含有することを特徴とする。
図1は本実施形態に係る光学用部材を示す模式的な概略断面図である。同図1において、本発明の光学用部材は、基材1表面に、ポリイミドを主成分とする層2と、多孔質あるいは凹凸構造による空隙を有する層からなる低屈折率層3が順に積層されている。
本発明のポリイミドを主成分とする層2と低屈折率層3からなる積層体は基材1表面で発生する光の反射を抑えることができる。ポリイミドを主成分とする層2は、ポリイミド単独あるいはポリイミドと少量のポリイミド以外の成分からなる層である。ポリイミド以外の成分は主成分であるポリイミドを補完するものであって、その特性を損なわない範囲でポリイミドに相溶、混合、分散することができる。ポリイミド以外の成分としては、例えばシランカップリング剤などが挙げられる。ポリイミドを主成分とする層に含有されるポリイミドの含有量は、80重量%以上、好ましくは90重量%以上100重量%以下である。
基材1と低屈折率層3との間に大きな屈折率差がある場合、その界面の強い反射によって大きな反射防止効果は期待できない。基材1と低屈折率層3との間にポリイミドを主成分とする層2を設けることにより、基材1上に直接低屈折率層3を形成した場合に比べ高い反射防止効果が得られることが特徴となる。そのためポリイミドを主成分とする層2の膜厚は10nm以上100nm以下の範囲であり、基材の屈折率などに合わせてこの範囲で変化させる。膜厚が10nm未満ではポリイミドを主成分とする層2がない場合と反射防止効果は変わらない。一方、膜厚が100nmを超えると反射防止効果は著しく低下する。
また、ポリイミドを主成分とする層2を構成するポリイミドは主鎖中に芳香族ジアミン残基および脂環式ジアミン残基を有するポリイミド1、および、主鎖中に芳香族ジアミン残基および/または脂環式ジアミン残基を有し、かつ芳香族ジアミン残基のモル含有量がポリイミド1とは異なるポリイミド2との混合物である。
ポリイミドを主成分とする層2を構成するポリイミド1およびポリイミド2はジアミンと酸二無水物との重合(重付加)反応とイミド化(脱水縮合)反応によって合成される。それ故、ポリイミドは下記一般式で表されるような一つのジアミン残基R12と酸二無水物残基R11が交互に連なった繰り返しユニットから構成される。
Figure 0006433110
ポリイミド1および2の主鎖中の芳香族ジアミン残基はポリイミドの屈折率を高くする効果がある。一方、脂環式ジアミン残基はポリイミドの屈折率を低くする効果があるため芳香族ジアミン残基と脂環式ジアミン残基のモル比を変えることによってポリイミドの屈折率を変化させることができる。
一方、ポリイミド1の主鎖中に芳香族ジアミン残基と脂環式ジアミン残基を導入することはポリイミドの屈折率を調節するだけでなく、ポリイミド2との相溶性を向上する効果がある。それによりポリイミド1とポリイミド2との混合物の均一性は飛躍的に高まる。
ポリイミドを主成分とする層2の屈折率niは、ポリイミド1の屈折率nP1とポリイミド2の屈折率nP2との中間になる。さらにポリイミド1とポリイミド2の混合物の均一性が高まると、ポリイミド2の屈折率nP2=xnP1+(1−x)nP2(ただしxはポリイミド混合物中のポリイミド1の重量比)に限りなく近づく。そのためポリイミド1とポリイミド2の混合比から容易に屈折率が予想でき、ポリイミドを主成分とする層2の屈折率niの精度を高めることができる。一方、ポリイミド同士が均一に混合しない場合、片方のポリイミドを多く含む部分と少なく含む部分ができてしまいポリイミドを主成分とする層2の膜厚と屈折率niに面内バラつきが生じる。ポリイミドを主成分とする層2の膜厚と屈折率niが適正値から外れた部分では反射防止効果が十分に得られないため反射防止性能にも面内バラつきが生じる。
ポリイミド1とポリイミド2を混合して屈折率niを調節する際にはポリイミド1の屈折率nP1とポリイミド2の屈折率nP2の屈折率差は0.01以上あることが好ましい。0.01未満では屈折率の調節幅が狭く、所望の屈折率を得ることが難しくなる。
具体的には、ポリイミド1とポリイミド2の混合割合は、ポリイミド1が5重量%以上95重量%以下に対して、ポリイミド2が5重量%以上95重量%以下の範囲が好ましい。さらに好ましくは、ポリイミド1が10重量%以上90重量%以下に対して、ポリイミド2が10重量%以上90重量%以下の範囲である。
ポリイミド1の主鎖中のジアミン残基には、芳香族ジアミン残基および脂環式ジアミン残基、さらに必要に応じてその他のジアミン残基が含有される。ポリイミド1の主鎖中の全てのジアミン残基を100モル%とした時の芳香族ジアミン残基および脂環式ジアミン残基のモル含有量は10モル%以上90モル%以下である。さらに芳香族ジアミン残基のモル含有量は35モル%より大きく65モル%未満であることが好ましく、ポリイミド2との屈折率差が大きい場合でも高い相溶性を示す。芳香族ジアミン残基のモル含有量が35モル%以下あるいは65モル%以上の場合、ポリイミド2との相溶性が不十分なため均一混合物が得られないことがある。
一方、ポリイミド2の主鎖中の芳香族ジアミン残基のモル含有量はポリイミド1と異なっていれば良い。芳香族ジアミン残基のモル含有量が同じであるとポリイミド1とポリイミド2の屈折率差がほとんどなく混合する効果が表れない。
ポリイミド2の主鎖中のジアミン残基には、芳香族ジアミン残基および/または脂環式ジアミン残基、さらに必要に応じてその他のジアミン残基が含有される。具体的には、(1)ポリイミド2の主鎖中に芳香族ジアミン残基だけがある場合、ポリイミド2の主鎖中の全てのジアミン残基を100モル%とした時の芳香族ジアミン残基のモル含有量は65モル%以上100モル%以下の値である。(2)ポリイミド2の主鎖中に脂環式ジアミン残基だけがある場合、ポリイミド2の主鎖中の全てのジアミン残基を100モル%とした時の芳香族ジアミン残基のモル含有量は0モル%の値である。(3)ポリイミド2の主鎖中に芳香族ジアミン残基および脂環式ジアミン残基がある場合、ポリイミド2の主鎖中の全てのジアミン残基を100モル%とした時の芳香族ジアミン残基および脂環式ジアミン残基のモル含有量は10モル%以上90モル%以下である。さらに、ポリイミド2の主鎖中に芳香族ジアミン残基および脂環式ジアミン残基がある場合、芳香族ジアミン残基のモル含有量は35モル%以下あるいは65モル%以上である。ポリイミド2の芳香族ジアミン残基のモル含有量が35モル%より大きいあるいは65モル%未満の場合、ポリイミド1とポリイミド2の屈折率差が大きくなり混合による屈折率調節の幅が拡がる。同様の理由からポリイミド2が芳香族ジアミン残基あるいは脂環式ジアミン残基のいずれか一方のみを有することがさらに好ましい。
また、ポリイミド2の主鎖中の芳香族ジアミン残基および脂環式ジアミン残基は、ポリイミド1の主鎖中の芳香族ジアミン残基および脂環式ジアミン残基と同一であることが、ポリイミド1との相溶性の観点からより好ましい。
ポリイミド1および2中のジアミン残基は、ポリイミドを合成する際のジアミンまたはその誘導体の骨格に相当する。
ポリイミド1および2中の芳香族ジアミン残基を導入するために用いられる芳香族ジアミンの例としてはm−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン、o−トリジン、m−トリジン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、1,1−ビス(4−アミノフェニル)シクロヘキサン、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゾフェノン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,4−ビス[2−(4−アミノフェニル)−2−プロピル]ベンゼン、1,3−ビス[2−(4−アミノフェニル)−2−プロピル]ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[3−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−アミノ−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−アミノ−3−フルオロフェニル)フルオレン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、4,4’−ビス(4−アミノフェニルチオ)ビフェニル、ビス[4−(4−アミノフェニルチオ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(4−アミノフェニルチオ)フェニル]スルホン、1,4−ビス(4−アミノフェニルチオ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェニルチオ)ベンゾフェノンなどである。ポリイミドの耐熱性や屈折率を高める観点から、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[3−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレンなどが芳香族ジアミンとしてより好ましい。
ポリイミド1および2中の脂環式ジアミン残基はシクロペンチル基、シクロヘキシル基、ビシクロペンチル基、ビシクロオクチル基などの脂環構造を含んだ構造である。ポリイミドの耐熱性や溶媒への溶解性の観点からポリイミド1とポリイミド2の主鎖中の脂環式ジアミン残基は、下記一般式(1)で表される構造を有することがより好ましい。
Figure 0006433110
(式中、R1からR8は、それぞれ水素原子、Br、Cl、F、I、フェニル基、または炭素数1から6の直鎖状あるいは環状のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基を表す。ただし、R1からR8は同一であっても異なっていてもよい。)
上記一般式で表される脂環式ジアミン残基を導入するために用いられる脂環式ジアミンの例としては、4,4’−メチレンビス(アミノシクロヘキサン)、trans,trans−4,4’−メチレンビス(アミノシクロヘキサン)、4,4’−メチレンビス(1−アミノ−2−メチルシクロヘキサン)、trans,trans−4,4’−メチレンビス(1−アミノ−2−メチルシクロヘキサン)、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパンが挙げられる。
その他の脂環式ジアミンの例としては、1,4−シクロヘキサンジアミン、trans−1,4−シクロヘキサンジアミン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、trans−1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、4,4’−ビシクロヘキシルアミン、ノルボルナンジアミン、ジシクロオクタンビスアミノメタン、アダマンタンジアミン、アダマンタンビスアミノメタンなどが挙げられる。
ポリイミドが有するジアミン残基としては芳香族ジアミン残基や脂環式ジアミン残基に加えて、その他のジアミン残基としてシロキサン基含有ジアミン残基を含むことがより好ましい。ポリイミドがシロキサン基含有ジアミン残基を有することで、ポリイミドを主成分にする層2と基材1や凹凸構造を有する層4との密着性を高めることができる。さらに、全てのジアミン残基を100モル%とした時のシロキサン基含有ジアミン残基のモル含有量は3モル%以上35モル%以下であることがより好ましい。シロキサン基含有ジアミン残基のモル含有量が3モル%未満だとシロキサン基導入の効果が見られない。また35モル%より大きい時はTgの低下などの膜性能が低下する場合がある。ポリイミド中にシロキサン基含有ジアミン残基を導入するために用いられるシロキサン基含有ジアミンの例としては1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、1,4−ビス(3−アミノプロピルジメチルシリル)ベンゼン、両末端にアミノ基を有するジメチルシロキサンオリゴマーなどが挙げられる。
ポリイミド1およびポリイミド2が有する酸二無水物残基を導入するために用いられる酸二無水物の例としては、ピロメリット酸無水物、3,3‘−ビフタル酸無水物、3,4‘−ビフタル酸無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物、4,4’−オキシジフタル酸二無水物などの芳香族酸二無水物、meso−ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、4−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1,2−ジカルボン酸無水物などの脂肪族酸二無水物が挙げられる。
ポリイミドの溶解性、塗布性や透明性を向上する観点から、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物、meso−ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、4−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1,2−ジカルボン酸無水物がより好ましい。
本発明のポリイミドを主成分とする層2の屈折率niは基材1の屈折率nb、低屈折率層3屈折率のnsに対して、nb≧ni≧nsとなることが好ましい。このような屈折率の範囲を満たすようにポリイミド1とポリイミド2は混合され、ポリイミドを主成分とする層2として用いられる。
次に、本発明の光学用部材の製造方法について説明する。本発明の光学用部材の製造方法は、基材表面に光の反射を抑えるための積層体が形成され、前記積層体の少なくとも一層が前記ポリイミドを含有する層からなる光学用部材の製造方法である。
本発明の光学用部材の製造方法におけるポリイミドを主成分とする層2を形成する方法を説明する。
本発明のポリイミドを主成分とする層2を形成する方法は、
1)少なくとも芳香族ジアミン、脂環式ジアミンおよび酸二無水物を溶媒中に加え、重合、イミド化の順に反応を行い、主鎖中に芳香族ジアミン残基および脂環式ジアミン残基を有するポリイミド1を合成する工程、
2)少なくとも芳香族ジアミンおよび/または脂環式ジアミンおよび酸二無水物を溶媒中に加え、重合、イミド化の順に反応を行い、主鎖中に芳香族ジアミン残基および/または脂環式ジアミン残基を有し、かつ芳香族ジアミン残基と脂環式ジアミン残基のモル比がポリイミド1とは異なるポリイミド2を合成する工程、
3)前記ポリイミド1および前記ポリイミド2を溶媒に溶解し、前記ポリイミド1と前記ポリイミド2が均一に混合されたポリイミド溶液を調製する工程、
4)ポリイミド1およびポリイミド2を含む溶液を基材上または基材上に設けられた薄膜上に塗布する工程、
5)ポリイミド1およびポリイミド2を含む薄膜を23℃以上250℃以下、常圧または減圧下で乾燥および/または焼成し、ポリイミドを主成分とする層を形成する工程、
を有する。
ポリイミド1およびポリイミド2はそれぞれ別々に合成される。ポリイミドの合成は溶液中で重合(重付加)反応、イミド化(脱水縮合)反応を順に行う一般的な合成法を用いることができる。最も一般的な方法はジアミンと酸二無水物とを溶媒中で反応させポリアミック酸溶液を得る。得られたポリアミック酸を溶液中でイミド化し、ポリイミドを合成する。
ポリイミドの合成に用いられる溶媒としては、ポリアミック酸とポリイミドが溶解する溶媒であれば良く、一般的にはN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどの非プロトン性極性溶媒が用いられる。ジアミンと酸二無水物を反応させポリアミック酸を得る過程では、0℃以上30℃以下で反応熱を除きながら重合を進行させることが一般的である。しかしながら、脂環式ジアミンを用いるとポリアミック酸と未反応の脂環式ジアミンの間で塩が形成し沈殿が形成する場合、80℃以下で加熱し塩を溶かしながら重合しても良い。
イミド化反応はポリアミック酸を脱水閉環してポリイミドに転換する方法である。イミド化にはピリジンやトリエチルアミンなどの三級アミンと無水酢酸の存在下25℃以上120℃以下で加熱する方法と150℃以上でキシレンなどと共沸する方法などがある。
ポリイミドのイミド化率は90%以上が好ましく、それ以下であるとポリイミドの吸水率が上昇して膜厚や屈折率が変動し易くなる。さらに好ましくは93%以上99%以下である。
ポリイミド1およびポリイミド2を含む溶液はポリイミド合成後の溶液同士をそのまま混合しても良い。あるいはポリイミド合成後の溶液を一旦貧溶媒中に再沈殿して得られたポリイミド粉末を再度溶媒に溶解して用いても良い。三級アミンを用いる化学イミド化を行った際は、各種薬品や未反応のモノマーを除去するためにアルコールに再沈殿してポリイミド粉末を得ることが好ましい。さらにポリイミド粉末をアルコールで洗浄し、加熱・真空乾燥することで、正確な秤量が可能になる。
ポリイミド1およびポリイミド2を含む溶液は、同じ溶媒にそれぞれのポリイミドを順に加えることで調製しても良く、それぞれのポリイミド溶液を調製してから混合しても良い。
ポリイミド1とポリイミド2の混合溶液に用いる溶媒としては、2−ブタノン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンなどのケトン類。酢酸エチル、酢酸n−ブチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸エチル、γ−ブチロラクトンなどのエステル類。テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、ジグライムなどのエーテル類。トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの各種の芳香族炭化水素類。クロロホルム、メチレンクロライド、テトラクロロエタンなどの塩素化炭化水素類。その他、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、スルホランなどの溶媒が挙げられる。さらに、1−ブタノール、メチルセロソルブ、メトキシプロパノールなどのアルコール類も併用することができる。
合成したポリイミドから本発明のポリイミドを主成分とする層2を形成するためには、まずポリイミド1とポリイミド2を含む溶液を基材上または基材上に設けられた薄膜上に塗布する。
ポリイミドを含む溶液を塗布する方法としては、例えばディッピング法、スピンコート法、スプレー法、印刷法、フローコート法、ならびにこれらの併用等、既知の塗布手段を適宜採用することができる。
さらに塗布したポリイミドを含む溶液を23℃以上250℃以下、常圧または減圧下で乾燥および/または焼成する。ポリイミドを含む溶液の乾燥および/または焼成は主に溶媒の除去のために行われ、時間は5分から2時間程度の加熱を行うことが好ましい。加熱の方法は熱風循環オーブン、マッフル炉、赤外線、マイクロ波などの光、放射線または電磁波照射を適宜選択して行うことが必要である。
また、ポリイミドを主成分とする層2にはポリイミドの光学特性、透明性、耐熱性や耐水性を損なわない程度にポリイミド以外の成分を混合することができる。ポリイミド以外の成分を混合する場合は、ポリイミド全体を100重量部にとした時に混合できるポリイミド以外の成分は20重量部未満である。それ以上混合すると透明性や膜強度、膜厚の均一性が損なわれる恐れがある。
ポリイミド以外の成分で混合する成分としては密着性を改善するためのシランカップリング剤やリン酸エステル類である。また、ポリイミドを主成分とする層2の耐溶剤性を向上する目的でエポキシ樹脂、メラミン樹脂、アクリル樹脂などの熱や光硬化性樹脂や架橋剤を混合することが出来る。屈折率の調整や膜の硬度を上げるためにSiO、TiO、ZrO、SiO、ZnO、MgO、Alなどの無機微粒子を少量混ぜることができる。
本発明のポリイミドを主成分とする層2上に形成された低屈折率層3は屈折率が1.4以下であれば良く、用いられる化合物としては金属酸化物、金属ハロゲン化物、フッ素ポリマーなどが挙げられる。より好ましくは低屈折率層3が酸化シリコン、フッ化マグネシウム、フッ素化アクリルポリマーを主成分とする多孔質膜または酸化シリコンや酸化アルミニウム、透明ポリマーを主成分とする微細凹凸構造からなる層であり、より高い反射防止効果が得られる。
図2は本発明における本実施形態に係る光学用部材を示す模式的な概略断面図である。
同図2において、本発明の光学用部材は、基材1表面に、ポリイミドを主成分とする層2と微細凹凸構造からなる層4が順に積層されている。最表面には微細凹凸構造5が形成されている。
積層体の一層である微細凹凸構造からなる層4を形成する微細凹凸構造5は酸化アルミニウムの板状結晶であることが好ましい。酸化アルミニウムの板状結晶とは酸化アルミニウムを主成分とする膜を温水に浸漬することより、酸化アルミニウム膜の表層が解膠作用等を受け、膜の表層に析出、成長する板状の結晶のことを言う。
微細凹凸構造からなる層4は、表層側から基材側に向かって屈折率が連続的に上昇する層であることが好ましく、図3に示すように膜厚に対する屈折率変化が(a)のような直線または(b)(c)のような曲線で表すことができる。表層側から基材側に向かって屈折率が連続的に上昇することで、表層側から順に屈折率の高い層を積層した時に比べ反射率低減効果が大きい。
微細凹凸構造からなる層4は、アルミニウムの酸化物または水酸化物またはそれらの水和物を主成分とする板状結晶から形成される。特に好ましい板状結晶として、ベーマイトがある。また、これらの板状結晶を配することで、その端部が微細な凹凸構造5を形成するので、微細な凹凸の高さを大きくし、その間隔を狭めるために板状結晶は選択的に基材の表面に対して特定の角度で配置される。本発明では、アルミニウムの酸化物または水酸化物またはそれらの水和物を酸化アルミニウムと称することとする。また、酸化アルミニウム単独/或いはZrO、SiO、TiO、ZnO、MgOの何れかを含み、酸化アルミニウムが70モル%以上である一層以上の酸化物層のことを酸化アルミニウムを主成分とする層と称することとする。
基材1の表面が平板、フィルムないしシートなどの平面の場合を、図4で示す。板状結晶は基材の表面に対して、すなわち板状結晶の傾斜方向6と基材表面との間の角度θ1の平均角度が45°以上90°以下、好ましくは60°以上90°以下となるように配置されることが望ましい。
また、基材1の表面が二次元あるいは三次元の曲面を有する場合を、図5で示す。板状結晶は基材の表面に対して、すなわち板状結晶の傾斜方向7と基材表面の接線8との間の角度θ2の平均角度が45°以上90°以下、好ましくは60°以上90°以下となるように配置されることが望ましい。なお、上記の角度θ1およびθ2の値は、板状結晶の傾きにより90°をこえる場合があるが、この場合90°以下となるように測定された値とする。
微細凹凸構造からなる層4の層厚は、好ましくは20nm以上1000nm以下であり、より好ましくは50nm以上1000nm以下である。凹凸を形成する層厚が20nm以上1000nm以下では、微細な凹凸構造による反射防止性能が効果的であり、また凹凸の機械的強度が損なわれる恐れが無くなり、微細な凹凸構造の製造コストも有利になる。 また、層厚が50nm以上1000nm以下とすることにより、反射防止性能をさらに高めることとなり、より好ましい。
本発明の微細凹凸の面密度も重要であり、これに対応する中心線平均粗さを面拡張した平均面粗さRa’値が5nm以上、より好ましく10nm以上、さらに好ましくは15nm以上100nm以下である。また表面積比Srが1.1以上、より好ましくは1.15以上、さらに好ましくは1.2以上3.5以下である。
得られた微細凹凸構造の評価方法の一つとして、走査型プローブ顕微鏡による微細凹凸組織表面の観察があり、該観察により該膜の中心線平均粗さRaを面拡張した平均面粗さRa’値と表面積比Srが求められる。すなわち、平均面粗さRa’値(nm)は、JIS B 0601で定義されている中心線平均粗さRaを、測定面に対し適用し三次元に拡張したもので、「基準面から指定面までの偏差の絶対値を平均した値」と表現し、次の式(1)で与えられる。
Figure 0006433110
Ra’:平均面粗さ値(nm)、
:測定面が理想的にフラットであるとした時の面積、|X−X|×|Y−Y|、F(X,Y):測定点(X,Y)における高さ、XはX座標、YはY座標、
からX:測定面のX座標の範囲、
からY:測定面のY座標の範囲、
:測定面内の平均の高さ。
また、表面積比Srは、Sr=S/S〔S:測定面が理想的にフラットであるときの面積。S:実際の測定面の表面積。〕で求められる。なお、実際の測定面の表面積は次のようにして求める。先ず、最も近接した3つのデータ点(A,B,C)より成る微小三角形に分割し、次いで各微小三角形の面積△Sを、ベクトル積を用いて求める。△S(△ABC)=[s(s−AB)(s−BC)(s−AC)]0.5〔但し、AB、BCおよびACは各辺の長さで、s≡0.5(AB+BC+AC)〕となり、この△Sの総和が求める表面積Sになる。微細凹凸の面密度がRa’が5nm以上で、Srが1.1以上になると、凹凸構造による反射防止を発現することができる。また、Ra’が10nm以上で、Srが1.15以上であると、その反射防止効果は前者に比べ高いものとなる。そしてRa’が15nm以上で、Srが1.2以上になると実際の使用に耐えうる性能となる。しかしRa’が100nm以上で、Srが3.5以上になると反射防止効果よりも凹凸構造による散乱の効果が勝り十分な反射防止性能を得ることが出来ない。
本発明においては、積層体の最外表面に凹凸構造を有する層を形成するための下記の各工程を有することを特徴とする。
6)前記積層体の最外表面に酸化アルミニウム前駆体ゾルを塗布する工程、
7)前記塗布した酸化アルミニウム前駆体ゾル膜を乾燥および/または焼成して酸化アルミニウム膜を形成する工程、
8)前記酸化アルミニウム膜を温水に浸漬して酸化アルミニウムを主成分とする板状結晶からなる凹凸構造を形成する工程。
本発明において、微細凹凸構造からなる層4が酸化アルミニウムを主成分とする場合、ポリイミドを主成分とする層2に金属Al単独の膜/或いは金属Alと金属Zn、金属Mgの何れかを含む金属膜を形成する。その後、50℃以上の温水に浸漬する/或いは水蒸気にさらすことにより形成される。この時上記金属表面には水和、溶解、再析出によって凹凸構造5が形成される。一方、ポリイミドを主成分とする層2上に酸化アルミニウムを主成分とする層を形成し、上記と同様温水に浸漬する/或いは水蒸気にさらすことでその表面に微細凹凸構造5を析出させる事ができる。上記酸化アルミニウムを主成分とする層は公知のCVD、PVDの気相法、及びゾル−ゲル法などの液相法、無機塩を用いた水熱合成などにより形成する事ができる。このような酸化アルミニウムの板状結晶を設ける方法では、微細凹凸構造からなる層4中の凹凸構造5の下部に不定形の酸化アルミニウム層が残存することがある。
大面積や、非平面状の基材に均一な反射防止層を形成できる点から、酸化アルミニウムを含む酸化アルミニウム前駆体ゾルを塗布して形成したゲル膜を温水で処理させて、アルミナ板状結晶を成長させる方法が好ましい。
酸化アルミニウム前駆体ゾルから得られるゲル膜の原料には、Al化合物を/或いはAl化合物とともにZr、Si、Ti、Zn、Mgの各々の化合物の少なくとも1種の化合物とを用いる。Al、ZrO、SiO、TiO、ZnO、MgOの原料として、各々の金属アルコキシドや塩化物や硝酸塩などの塩化合物を用いることができる。製膜性の観点から、特にZrO、SiO、TiO原料としては金属アルコキシドを用いるのが好ましい。
アルミニウム化合物としては、例えば、アルミニウムエトキシド、アルミニウムイソプロポキシド、アルミニウム−n−ブトキシド、アルミニウム−sec−ブトキシド、アルミニウム−tert−ブトキシド、アルミニウムアセチルアセトナート。またこれらのオリゴマー、硝酸アルミニウム、塩化アルミニウム、酢酸アルミニウム、リン酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、水酸化アルミニウムなどが挙げられる。
ジルコニウムアルコキシドの具体例として、以下のものが挙げられる。ジルコニウムテトラメトキシド、ジルコニウムテトラエトキシド、ジルコニウムテトラn−プロポキシド、ジルコニウムテトライソプロポキシド、ジルコニウムテトラn−ブトキシド、ジルコニウムテトラt−ブトキシド等が挙げられる。
シリコンアルコキシドとしては、一般式Si(OR)で表される各種のものを使用することができる。Rはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基等の同一または別異の低級アルキル基が挙げられる。
チタニウムアルコキシドとしては、例えば、テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラn−プロポキシチタン、テトライソプロポキシチタン、テトラn−ブトキシチタン、テトライソブトキシチタン等が挙げられる。
亜鉛化合物としては、例えば酢酸亜鉛、塩化亜鉛、硝酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸亜鉛、サリチル酸亜鉛などが挙げられ、特に酢酸亜鉛、塩化亜鉛が好ましい。
マグネシウム化合物としてはジメトキシマグネシウム、ジエトキシマグネシウム、ジプロポキシマグネシウム、ジブトキシマグネシウム等のマグネシウムアルコキシド、マグネシウムアセチルアセトネート、塩化マグネシウム等が挙げられる。
有機溶媒としては、上記アルコキシドなどの原料をゲル化させないものであれば良い。例えばメタノール、エタノール、2−プロパノール、ブタノール、ペンタノール、エチレングリコール、もしくはエチレングリコール−モノ−n−プロピルエーテルなどのアルコール類。n−ヘキサン、n−オクタン、シクロヘキサン、シクロペンタン、シクロオクタンのような各種の脂肪族系ないしは脂環族系の炭化水素類。トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの各種の芳香族炭化水素類。ギ酸エチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテートなどの各種のエステル類。アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどの各種のケトン類。ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジイソプロピルエーテルのような各種のエーテル類。クロロホルム、メチレンクロライド、四塩化炭素、テトラクロロエタンのような、各種の塩素化炭化水素類。N−メチルピロリドン、ジメチルフォルムアミド、ジメチルアセトアミド、エチレンカーボネートのような、非プロトン性極性溶剤等が挙げられる。溶液の安定性の点から上述した各種の溶剤類のうちアルコール類を使用することが好ましい。
アルコキシド原料を用いる場合、特にアルミニウム、ジルコニウム、チタニウムのアルコキシドは水に対する反応性が高く、空気中の水分や水の添加により急激に加水分解され溶液の白濁、沈殿を生じる。また、アルミニウム塩化合物、亜鉛塩化合物、マグネシウム塩化合物は有機溶媒のみでは溶解が困難で、溶液の安定性が低い。これらを防止するために安定化剤を添加し、溶液の安定化を図ることが好ましい。
安定化剤としては、例えば、アセチルアセトン、ジピロバイルメタン、トリフルオロアセチルアセトン、ヘキサフルオロアセチルアセトン、ベンゾイルアセトン、ジベンゾイルメタン、3−メチル‐2,4−ペンタンジオン、3−エチル‐2,4−ペンタンジオンなどのβ−ジケトン化合物類。アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸アリル、アセト酢酸ベンジル、アセト酢酸−iso−プロピル、アセト酢酸−tert−ブチル、アセト酢酸−iso−ブチル、アセト酢酸−2−メトキシエチル、3−ケト−n−バレリック酸メチルなどの、β−ケトエステル化合物類。さらには、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどの、アルカノールアミン類等を挙げることができる。安定化剤の添加量は、アルコキシドや塩化合物に対しモル比で1程度にすることが好ましい。また、安定化剤の添加後には、適当な前駆体を形成するために、反応の一部を促進する目的で触媒を加えることが好ましい。触媒としては、たとえば、硝酸、塩酸、硫酸、燐酸、酢酸、アンモニア等を例示することができる。
前記酸化アルミニウム前駆体ゾルはポリイミドを主成分とする層2上またはポリイミドを主成分とする層2よりも上の積層体最表面に塗布することができる。塗布する方法は、例えばディッピング法、スピンコート法、スプレー法、印刷法、フローコート法、ならびにこれらの併用等、既知の塗布手段を適宜採用することができる。
塗布した酸化アルミニウム前駆体ゾル膜を60℃以上250℃以下で乾燥および/または焼成して酸化アルミニウム膜を形成することができる。熱処理温度は高いほど膜は高密度化しやすくなるが、熱処理温度が250℃を超えると基材に変形などのダメージが生じる。より好ましくは100℃以上200℃以下である。加熱時間は加熱温度にもよるが、10分以上が好ましい。
酸化アルミニウム膜は温水に浸漬して酸化アルミニウムを主成分とする板状結晶から形成された凹凸構造を形成する。温水に浸漬することで、酸化アルミニウムを含むゲル膜の表層が解膠作用等を受け、一部の成分は溶出する。各種水酸化物の温水への溶解度の違いにより、酸化アルミニウムを主成分とする板状結晶が該ゲル膜の表層に析出、成長する。なお、温水の温度は40℃から100℃とすることが好ましい。温水処理時間としては5分間ないし24時間程度である。
酸化アルミニウムを主成分とする膜に異種成分としてTiO、ZrO、SiO、ZnO、MgOなどの酸化物を添加したゲル膜の温水処理では、各成分の温水に対する溶解度の差を用いて結晶化を行っている。そのため酸化アルミニウム単成分膜の温水処理とは異なり、無機成分の組成を変化させることにより板状結晶のサイズを広範な範囲にわたって制御することができる。その結果、板状結晶の形成する凹凸形状を前記の広範な範囲にわたって制御することが可能となる。さらに、副成分としてZnOを用いた場合、酸化アルミニウムとの共析が可能となるため、屈折率の制御がさらに広範囲にわたって可能となり優れた反射防止性能を実現できる。
本発明で使用される基材1としては、ガラス、樹脂、ガラスミラー、樹脂製ミラー等が挙げられる。樹脂基材の代表的なものとしては以下のものが挙げられる。ポリエステル、トリアセチルセルロース、酢酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ABS樹脂、ポリフェニレンオキサイド、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリシクロオレフィン、ポリ塩化ビニルなどの熱可塑性樹脂のフィルムや成形品。また、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、架橋型ポリウレタン、架橋型のアクリル樹脂、架橋型の飽和ポリエステル樹脂など各種の熱硬化性樹脂から得られる架橋フィルムや架橋した成形品等も挙げられる。ガラスの具体例として、無アルカリガラス、アルミナケイ酸ガラスを挙げることができる。本発明に用いられる基材は、最終的に使用目的に応じた形状にされ得るものであれば良く、平板、フィルムないしシートなどが用いられ、二次元あるいは三次元の曲面を有するものであっても良い。厚さは、適宜に決定でき5mm以下が一般的であるが、これに限定されない。
本発明の透明な光学用部材は、以上説明した層の他に、各種機能を付与するための層を更に設けることができる。例えば、膜硬度を向上させるために、微細凹凸構造からなる層上にハードコート層を設けたり、汚れの付着を防止する目的などのためにフルオロアルキルシランやアルキルシランなどの撥水性膜層を設けたりすることができる。一方、基材とポリイミドを主成分とする層との密着性を向上させるために接着剤層やプライマー層を設けたりすることができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。ただし本発明はかかる実施例に限定されるものではない。各実施例、比較例で得られた、表面に微細な凹凸を有する光学膜について、下記の方法で評価を行った。
(1)脂環式ジアミン4,4’−メチレンビス(アミノシクロヘキサン)の精製
4,4’−メチレンビス(アミノシクロヘキサン)(以下DADCMと略す。東京化成製)200gに還流させながらヘキサンを徐々に加えて完全に溶解させた。加熱を止め数日間室温に放置した後、析出物を濾別し、減圧乾燥した。61gの白色固体状の精製DADCMを得た。ガスクロマトグラフィ分析からtrans,trans−異性体の含量は94%であった。
H−NMR(DMSO−d);δ0.83(2H,m),δ0.97(2H,q),δ1.18(2H,m),δ1.60(2H,d),δ1.69(2H,d),δ2.05(2H,s),δ2.42(2H,m),δ3.30(4H,b)
Figure 0006433110
(2)ポリイミドaからhの合成
合計で12mmolになるように(1)で精製した脂環式ジアミンDADCM、芳香族ジアミン4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル(製品名BAPB:和歌山精化工業製)およびシロキサン含有ジアミン1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン(製品名PAM−E:信越化学工業製)の3種類のジアミンをN,N−ジメチルアセトアミド(以下、DMAcと略す)に溶解した。
このジアミン溶液を水冷しながら約12mmolの酸二無水物を加えた。酸二無水物は4−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1,2−ジカルボン酸無水物(製品名TDA−100:新日本理化製)または5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物(製品名B−4400:DIC製)のいずれか一方を用いた。DMAcの量はジアミンと酸二無水物の質量の合計が20重量%になるように調整した。
この溶液を15時間室温で攪拌し、重合反応を行った。さらに、DMAcで希釈して8重量%になるように調整した後、7.4mlのピリジンと3.8mlの無水酢酸を加え、室温で1時間攪拌した。さらに、オイルバスで60から70℃に加熱しながら4時間攪拌した。重合溶液をメタノールまたはメタノールに再沈殿しポリマーを取り出した後、メタノール中で数回洗浄した。100℃で真空乾燥後、白色から淡黄色粉末状のポリイミドを得た。H−NMRスペクトルからカルボキシル基残量を測定し、イミド化率を求めた。ポリイミドaからhの重合組成を表1に示した。
Figure 0006433110
Figure 0006433110
(注)
TDA−100: 4−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1,2−ジカルボン酸無水物
B−4400: 5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物
DADCM: 4,4’−メチレンビス(アミノシクロヘキサン)(ヘキサン再結晶品)
BAPB: 4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル
PAM−E: 1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン
(3)酸化アルミニウム前駆体ゾルの調製
14.8gのアルミニウム−sec−ブトキシド(ASBD、川研ファインケミカル製)と、3.42gの3−メチル−2,4−ペンタンジオンと、14gの2−エチルブタノールとを均一になるまで混合攪拌した。1.62gの0.01M希塩酸を2−エチルブタノール/1−エトキシ−2−プロパノールの混合溶媒に溶解してから、前記アルミニウム−sec−ブトキシドの溶液にゆっくり加え、暫く攪拌した。溶媒は最終的に2−エチルブタノールと1−エトキシ−2−プロパノールの混合重量比が7/3の混合溶媒が59.3gになるように調製した。さらに120℃のオイルバス中で2から3時間以上攪拌することによって酸化アルミニウム前駆体ゾルを調製した。
(4)基板の洗浄
両面を研磨した大きさ約φ30mm、厚さ約2mmの各種ガラス基板をアルカリ洗剤およびIPAで超音波洗浄した後、オーブン中で乾燥した。
(5)反射率測定
絶対反射率測定装置(USPM−RU、オリンパス製)を用い、波長400nmから700nmの範囲の入射角0°時の反射率測定を行った。
(6)膜厚および屈折率の測定
分光エリプソメータ(VASE、ジェー・エー・ウーラム・ジャパン製)を用い、波長380nmから800nmまで測定した。
(7)基板の表面観察
基板表面をPd/Pt処理を行い、FE−SEM(S−4800、日立ハイテク製)を用いて加速電圧2kVで表面観察を行った。
実施例1
ポリイミド1としてポリイミドa(芳香族ジアミン残基が40モル%、脂環式ジアミン残基が40モル%)とポリイミド2としてポリイミドb(芳香族ジアミン残基が15モル%、脂環式ジアミン残基が60モル%)を合計で1gになるようにシクロヘキサノン/シクロペンタノン混合溶媒49gに溶解し、さらに3−イソシアン酸トリエトキシシリル0.02gとイオン交換水数滴を加えた。ポリイミドaとポリイミドbはそれぞれ単独もしくは混合した4種類のポリイミド溶液を調製した。
実施例1から8で用いられたポリイミド1とポリイミド2の組み合わせを表2に示した。ただし、ポリイミド1およびポリイミド2中の芳香族ジアミン残基および脂環式ジアミン残基のモル含有量はシロキサン含有ジアミンを含めた全てのジアミン残基を100モル%として計算した。
洗浄したLaを主成分とするnd=1.77、νd=50のガラスAの研磨面上にそれぞれのポリイミド溶液を適量滴下した。さらに3000から4000rpmで20秒スピンコートを行ない、この基板を140℃で30分間乾燥し、膜厚が約45から50nmのポリイミド膜を作製した。ポリイミド膜はポリイミドaのみの膜、ポリイミドaとbの重量比(a/b)が0.65/0.35または0.35/0.65の膜、ポリイミドbのみの4種類の均一な膜を作製した。ポリイミドの屈折率はエリプソメトリーを用いて測定し、ポリイミド膜中のポリイミドaの含有率(wt%)と屈折率の関係をプロットした(図6)。その結果、ポリイミドaのみの屈折率1.618からポリイミドbの屈折率1.580を結ぶ直線上にポリイミドaとbの混合膜の屈折率プロットが載ることが分かった。
実施例2
ポリイミド2としてポリイミドbをポリイミドc(芳香族ジアミン残基が65モル%、脂環式ジアミン残基が20モル%)に変更した以外は実施例1と同様の操作を行った。得られたポリイミド膜は膜厚が約45から50nmで、ポリイミドaのみの膜、ポリイミドaとcの重量比(a/c)が0.65/0.35または0.35/0.65の膜、ポリイミドcのみの4種類の均一な膜であった。ポリイミド膜中のポリイミドaの含有率(wt%)と屈折率の関係をプロットした(図6)。その結果、ポリイミドaのみの屈折率1.618からポリイミドcの屈折率1.661を結ぶ直線上にポリイミドaとcの混合膜の屈折率プロットが載ることが分かった。
実施例3
ポリイミド2としてポリイミドbをポリイミドd(芳香族ジアミン残基はなし、脂環式ジアミン残基が40モル%)に変更した以外は実施例1と同様の操作を行った。得られたポリイミド膜は膜厚が約45から50nmで、ポリイミドaのみの膜、ポリイミドaとdの重量比(a/d)が0.87/0.13、0.7/0.3、または0.37/0.63の膜、ポリイミドdのみの5種類の均一な膜であった。ポリイミド膜中のポリイミドaの含有率(wt%)と屈折率の関係をプロットした(図7)。その結果、ポリイミドaのみの屈折率1.618からポリイミドdの屈折率1.558を結ぶ直線上にポリイミドaとdの混合膜の屈折率プロットが載ることが分かった。
実施例4
ポリイミド2としてポリイミドbをポリイミドe(芳香族ジアミン残基が90モル%、脂環式ジアミン残基はなし)に変更した以外は実施例1と同様の操作を行った。得られたポリイミド膜は膜厚が約45から50nmで、ポリイミドaのみの膜、ポリイミドaとeの重量比(a/e)が0.8/0.2、0.5/0.5、または0.35/0.65の膜、ポリイミドeのみの5種類の均一な膜であった。ポリイミド膜中のポリイミドaの含有率(wt%)と屈折率の関係をプロットした(図7)。その結果、ポリイミドaのみの屈折率1.618からポリイミドeの屈折率1.680を結ぶ直線上にポリイミドaとeの混合膜の屈折率プロットが載ることが分かった。
実施例5
ポリイミド1としてポリイミドaをポリイミドf(芳香族ジアミン残基が40モル%、脂環式ジアミン残基が40モル%)に変更し、ポリイミド2としてポリイミドbをポリイミドg(芳香族ジアミン残基:脂環式ジアミン残基のモル比が0:1)に変更した以外は実施例1と同様の操作を行った。得られたポリイミド膜は膜厚が約45から50nmで、ポリイミドfのみの膜、ポリイミドfとgの重量比(f/g)が0.68/0.32または0.22/0.78の膜、ポリイミドgのみの4種類の均一な膜であった。ポリイミド膜中のポリイミドfの含有率(wt%)と屈折率の関係をプロットした(図8)。その結果、ポリイミドfのみの屈折率1.600からポリイミドgの屈折率1.537を結ぶ直線上にポリイミドfとgの混合膜の屈折率プロットが載ることが分かった。
実施例6
ポリイミド1としてポリイミドaをポリイミドfに変更し、ポリイミド2としてポリイミドbをポリイミドh(芳香族ジアミン残基が90モル%、脂環式ジアミン残基はなし)に変更した以外は実施例1と同様の操作を行った。得られたポリイミド膜は膜厚が約45から50nmで、ポリイミドfのみの膜、ポリイミドfとhの重量比(f/h)が0.67/0.33または0.33/0.67の膜、ポリイミドhのみの4種類の均一な膜であった。ポリイミド膜中のポリイミドfの含有率(wt%)と屈折率の関係をプロットした(図8)。その結果、ポリイミドfのみの屈折率1.600からポリイミドhの屈折率1.663を結ぶ直線上にポリイミドfとhの混合膜の屈折率プロットが載ることが分かった。
実施例7
ポリイミド2としてポリイミドbをポリイミドgに変更した以外は実施例1と同様の操作を行った。得られたポリイミド膜は膜厚が約45から50nmで、ポリイミドaのみの膜、ポリイミドaとgの重量比(a/g)が0.5/0.5の膜、ポリイミドgのみの3種類の均一な膜であった。ポリイミド膜中のポリイミドaの含有率(wt%)と屈折率の関係をプロットした(図9)。その結果、ポリイミドaのみの屈折率1.618からポリイミドgの屈折率1.537を結ぶ直線上にポリイミドaとgの混合膜の屈折率プロットが載ることが分かった。
実施例8
ポリイミド2としてポリイミドbをポリイミドhに変更した以外は実施例1と同様の操作を行った。得られたポリイミド膜は膜厚が約45から50nmで、ポリイミドaのみの膜、ポリイミドaとhの重量比(a/h)が0.5/0.5の膜、ポリイミドhのみの3種類の均一な膜であった。ポリイミド膜中のポリイミドaの含有率(wt%)と屈折率の関係をプロットした(図9)。その結果、ポリイミドaのみの屈折率1.618からポリイミドhの屈折率1.663を結ぶ直線上にポリイミドaとhの混合膜の屈折率プロットが載ることが分かった。
比較例1
ポリイミドd(芳香族ジアミン残基はなし、脂環式ジアミン残基が70モル%)とポリイミドe(芳香族ジアミン残基が90モル%、脂環式ジアミン残基はなし)のいずれもポリイミド2であるポリイミドに変更した以外は実施例1と同様の操作を行った。比較例1で用いられたポリイミドの組み合わせを表2に示した。
得られたポリイミド膜は膜厚が約45から50nmで、ポリイミドdのみの膜、ポリイミドdとeの重量比(d/e)が0.8/0.2、0.6/0.4、0.45/0.55、0.3/0.7、または0.15/0.85の膜、ポリイミドeのみの7種類の膜を得た。ポリイミドdとeの混合膜は不均一でクモリが発生した。ポリイミド膜中のポリイミドdの含有率(wt%)と屈折率の関係をプロットした(図10)ところ、ポリイミドdのみの屈折率1.558からポリイミドeの屈折率1.680を結ぶ直線上にポリイミドdとeの混合膜の屈折率プロットは載らなかった。
Figure 0006433110
実施例9
Laを主成分とするnd=1.77、νd=50のガラスAの研磨面上に実施例3、5、7で作製したポリイミドa/ポリイミドd(重量比)=0.37/0.63(屈折率1.578)、ポリイミドf/ポリイミドg(重量比)=0.68/0.32(屈折率1.580)、ポリイミドa/ポリイミドg(重量比)=0.5/0.5(屈折率1.577)の混合膜をそれぞれ作製した。それぞれのポリイミド混合膜上に酸化アルミニウム前駆体ゾルを適量滴下し、4000rpmで20秒スピンコートを行った後、140℃の熱風循環オーブンで60分間焼成し、ポリイミド1膜上に非晶性酸化アルミニウム膜を被膜した。
次に、80℃の温水中に20分間浸漬したのち、60℃で15分間乾燥させた。
得られた膜表面のFE−SEM観察を行ったところ、酸化アルミニウムを主成分とする板状結晶がランダム状にかつ複雑に入り組んだ微細な凹凸組織が観測された。
次いで、ガラスA上の光学膜の絶対反射率を測定し、450から650nmの絶対反射率が0.1%以下の反射防止膜付きガラス基板3種類を得た(図11)。屈折率を揃えたポリイミド混合膜上の反射防止性能に差はなかった。また、それぞれの基板内の反射率のバラつきもなく、散乱によるクモリの発生もなかった。
実施例10
Laを主成分とするnd=1.83、νd=43のガラスBの研磨面上に実施例4、6、8で作製したポリイミドa/ポリイミドe(重量比)=0.65/0.35(屈折率1.641)、ポリイミドf/ポリイミドh(重量比)=0.33/0.67(屈折率1.643)、ポリイミドa/ポリイミドh(重量比)=0.5/0.5(屈折率1.641)の混合膜をそれぞれ作製した。それ以降は実施例9と同様の操作を行ない、ガラスB上に反射防止膜を作製した。ガラスA上の光学膜の絶対反射率を測定し、450から650nmの絶対反射率が0.1%以下の反射防止膜付きガラス基板3種類を得た(図12)。屈折率を揃えたポリイミド混合膜上の反射防止性能に差はなかった。また、それぞれの基板内の反射率のバラつきもなく、散乱によるクモリの発生もなかった。
比較例2
Laを主成分とするnd=1.77、νd=50のガラスAの研磨面上に比較例1で作製したポリイミドd/ポリイミドe(重量比)=0.8/0.2(屈折率1.581)の混合膜を作製した。それ以降は実施例9と同様の操作を行ない、ガラスA上に反射防止膜を作製した。ガラスA上の光学膜の絶対反射率を測定し、450から650nmの絶対反射率が0.2%以下であった。しかしながら基板内に0.1%程度の反射率のバラつきが見られ、散乱によるクモリの発生も確認された。基板断面のFE−SEM観察をしたところ、ポリイミド膜中で一方のポリイミドが数μmの間隔で島状に相分離していることが確認された。
比較例3
Laを主成分とするnd=1.83、νd=43のガラスBの研磨面上に比較例1で作製したポリイミドd/ポリイミドe(重量比)=0.3/0.7(屈折率1.645)の混合膜を作製した。それ以降は実施例9と同様の操作を行ない、ガラスB上に反射防止膜を作製した。ガラスA上の光学膜の絶対反射率を測定し、450から650nmの絶対反射率が0.2%以下であった。しかしながら基板内に0.1%程度の反射率のバラつきが見られ、散乱によるクモリの発生も確認された。また、基板断面のFE−SEM観察をしたところ、ポリイミド膜中で一方のポリイミドが数μmの間隔で島状に相分離していることが確認された。
本発明の光学用部材は、任意の屈折率を有する透明基材に対応でき、可視光に対して優れた反射防止効果を示す。それによりワープロ、コンピュータ、テレビ、プラズマディスプレイパネル等の各種ディスプレイ。液晶表示装置に用いる偏光板、各種光学硝材及び透明プラスチック類からなるサングラスレンズ、度付メガネレンズ、カメラ用ファインダーレンズ、プリズム、フライアイレンズ、トーリックレンズ、各種光学フィルター、センサーなどの光学部材。さらにはそれらを用いた撮影光学系、双眼鏡などの観察光学系、液晶プロジェクタなどに用いる投射光学系。レーザービームプリンターなどに用いる走査光学系等の各種光学レンズ。各種計器のカバー、自動車、電車等の窓ガラスなどの光学部材に利用することができる。
1 基材
2 ポリイミドを主成分とする層
3 多孔質あるいは凹凸構造による空隙を有する低屈折率層
4 微細凹凸構造からなる層
5 微細凹凸構造
6 板状結晶の傾斜方向
7 板状結晶の傾斜方向
8 基材表面の接線

Claims (11)

  1. 基材表面に光の反射を抑えるための積層体が形成された光学用部材において、前記積層体の最外表面が多孔質あるいは凹凸構造による空隙を有する層であり、前記積層体の少なくとも一層がポリイミドを主成分とする層であり、前記ポリイミドを主成分とする層が、主鎖中に、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物、meso−ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、または4−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1,2−ジカルボン酸無水物由来である酸二無水物残基、芳香族ジアミン残基、および脂環式ジアミン残基を有するポリイミド1、および主鎖中に、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物、meso−ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、または4−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1,2−ジカルボン酸無水物由来である酸二無水物残基、および芳香族ジアミン残基を有し、かつ芳香族ジアミン残基の含有量がポリイミド1とは異なるポリイミド2を含有し、前記ポリイミド1および前記ポリイミド2のイミド化率が90%以上であることを特徴とする光学用部材。
  2. 前記ポリイミド2とポリイミド1が有する芳香族ジアミン残基は同一であることを特徴とする請求項1記載の光学用部材。
  3. 基材表面に光の反射を抑えるための積層体が形成された光学用部材において、前記積層体の最外表面が多孔質あるいは凹凸構造による空隙を有する層であり、前記積層体の少なくとも一層がポリイミドを主成分とする層であり、前記ポリイミドを主成分とする層が、主鎖中に、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物、meso−ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、または4−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1,2−ジカルボン酸無水物由来である酸二無水物残基、芳香族ジアミン残基、および脂環式ジアミン残基を有するポリイミド1、および主鎖中に、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物、meso−ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、または4−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1,2−ジカルボン酸無水物由来である酸二無水物残基、および脂環式ジアミン残基を有し、かつ芳香族ジアミン残基を含まないポリイミド2を含有し、前記ポリイミド1および前記ポリイミド2のイミド化率が90%以上であることを特徴とする光学用部材。
  4. 前記ポリイミド2とポリイミド1が有する脂環式ジアミン残基は同一であることを特徴とする請求項3記載の光学用部材。
  5. 前記ポリイミド1とポリイミド2の主鎖中の脂環式ジアミン残基は、下記一般式(1)で表される構造を有することを特徴とする請求項3または4に記載の光学用部材。
    Figure 0006433110

    (式中、R1からR8は、それぞれ水素原子、Br、Cl、F、I、フェニル基、または炭素数1から6の直鎖状あるいは環状のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基を表す。ただし、R1からR8は同一であっても異なっていてもよい。)
  6. 前記ポリイミド1および/またはポリイミド2がシロキサン含有ジアミン残基を有することを特徴とする請求項1乃至のいずれかの項に記載の光学用部材。
  7. 前記ポリイミド1とポリイミド2の屈折率差が0.01以上であることを特徴とする請求項1乃至のいずれかの項に記載の光学用部材。
  8. 前記凹凸構造が酸化アルミニウムを主成分とする板状結晶から形成されていることを特徴とする請求項1乃至のいずれかの項に記載の光学用部材。
  9. 基材表面に光の反射を抑えるための積層体が形成され、前記積層体の少なくとも一層がポリイミドを主成分とする層からなる光学用部材の製造方法であって、
    1)少なくとも芳香族ジアミン、脂環式ジアミンおよび酸二無水物を溶媒中で反応を行い、主鎖中に、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物、meso−ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、または4−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1,2−ジカルボン酸無水物由来である酸二無水物残基、芳香族ジアミン残基、および脂環式ジアミン残基を有し、イミド化率が90%以上のポリイミド1を合成する工程、
    2)少なくとも芳香族ジアミンおよび酸二無水物を溶媒中で反応を行い、主鎖中に、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物、meso−ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、または4−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1,2−ジカルボン酸無水物由来である酸二無水物残基、および芳香族ジアミン残基を有し、イミド化率が90%以上であって、かつ芳香族ジアミン残基の含有量がポリイミド1とは異なるポリイミド2を合成する工程、
    3)前記ポリイミド1および前記ポリイミド2を溶媒に溶解してポリイミド溶液を調製する工程、
    4)前記ポリイミド溶液を基材上または基材上に設けられた薄膜上に塗布する工程、
    5)前記塗布したポリイミド溶液を乾燥および/または焼成してポリイミドを主成分とする層を形成する工程、
    を有することを特徴とする光学用部材の製造方法。
  10. 基材表面に光の反射を抑えるための積層体が形成され、前記積層体の少なくとも一層がポリイミドを主成分とする層からなる光学用部材の製造方法であって、
    1)少なくとも芳香族ジアミン、脂環式ジアミンおよび酸二無水物を溶媒中で反応を行い、主鎖中に、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物、meso−ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、または4−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1,2−ジカルボン酸無水物由来である酸二無水物残基、芳香族ジアミン残基、および脂環式ジアミン残基を有し、イミド化率が90%以上のポリイミド1を合成する工程、
    2)少なくとも脂環式ジアミンおよび酸二無水物を溶媒中で反応を行い、主鎖中に、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物、meso−ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、または4−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1,2−ジカルボン酸無水物由来である酸二無水物残基、および脂環式ジアミン残基を有し、かつ芳香族ジアミンを含まず、イミド化率が90%以上であるポリイミド2を合成する工程、
    3)前記ポリイミド1および前記ポリイミド2を溶媒に溶解してポリイミド溶液を調製する工程、
    4)前記ポリイミド溶液を基材上または基材上に設けられた薄膜上に塗布する工程、
    5)前記塗布したポリイミド溶液を乾燥および/または焼成してポリイミドを主成分とする層を形成する工程、
    を有することを特徴とする光学用部材の製造方法。
  11. さらに、前記積層体の最外表面に凹凸構造を有する層を形成するための下記の各工程を有することを特徴とする請求項9または10記載の光学用部材の製造方法。
    6)前記積層体の最外表面に酸化アルミニウム前駆体ゾルを塗布する工程、
    7)前記塗布した酸化アルミニウム前駆体ゾル膜を乾燥および/または焼成して酸化アルミニウム膜を形成する工程、
    8)前記酸化アルミニウム膜を温水に浸漬して酸化アルミニウムを主成分とする板状結晶からなる凹凸構造を形成する工程
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