JP6430770B2 - 眼科装置 - Google Patents

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Description

この発明は、複数のレンズアレイが形成されたハルトマン板を備えた眼科装置に関する。
従来から、ハルトマン板を用いて被検眼の屈折力等を測定する眼科装置が知られている(特許文献1参照)。
かかる眼科装置は、被検眼の眼底を照明する照明光学系と、前記眼底から反射された反射照明光を複数の光束に分割するハルトマン板及び該ハルトマン板で分割された分割光束を受光する受光部を有する波面測定系とを備え、受光部上に形成される複数の点像の位置に基づいて被検眼の屈折力などを測定するものである。
ハルトマン板に格子状に配置した複数のレンズアレイが形成されており、受光部上には格子状の点像が形成され、この格子状の点像の位置と各点像の基準位置とのズレ量に基づいて被検眼の屈折力などを測定する。
特開2014-30573号公報
このような眼科装置にあっては、例えば受光部の瞳孔上の中心を中心位置(原点)にして、この中心位置からの距離と角度とに基づいて点像の位置を求めている。
ここで、各点像の位置にランダム誤差(測定誤差や製造誤差)がある場合を考える。その誤差Δwの大きさは各点像で同じであるとし、中心位置から各点像までの距離をρとすると、測定値に与える誤差の寄与率は、Δw/ρとなり、中心位置から遠いほど誤差の寄与率は小さくなる。
ハルトマン板に複数のレンズアレイが格子状に形成されているので、図16に示すように、受光素子S1の受光面上に格子状に点像が形成される。
その受光面の原点Oを中心にして例えばφ3(直径3mm)の範囲内にある点像に基づいて波面収差を求める場合、この範囲内のうち最外周側にある点像が例えば、四角い枠W1上の点像P1〜P16であるとき、この受光素子S1の原点Oから点像P1〜P16までの距離をρ1〜ρ16とすると、ρ1=ρ5=ρ9=ρ13、ρ2=ρ4=ρ6=ρ8=ρ10=ρ12=ρ14=ρ16、ρ3=ρ7=ρ11=ρ15となり、3つの異なる距離ρ1<ρ2<ρ3が存在することになる。
ここで、距離ρ1,ρ2,ρ3の点像P1,P2,P3について考える。各点像P1〜P3に誤差Δwが含まれているとすると、各点像P1〜P3の誤差の寄与率は、Δw/ρ1>Δw/ρ2>Δw/ρ3となる。
すなわち、各点像P1〜P3の位置における波面収差を求める際、各点像P1〜P3の誤差量が同じであっても、波面収差の計算に及ぼす誤差の寄与率が各点像P1〜P3ごとに異なってしまい、被検眼の正確な光学特性を求めることができなくなるという問題がある。
この発明は、被検眼の正確な光学特性を求めることのできる眼科装置を提供することにある。
請求項1の発明は、被検眼の眼底を照明する照明光学系と、前記眼底から反射された反射照明光を複数の光束に分割する複数のレンズアレイを有するハルトマン板及び該ハルトマン板で分割された分割光束を受光する受光部を有する波面測定系とを備えた眼科装置であって、
前記ハルトマン板に形成されている複数のレンズアレイを複数の円周上に配置し、前記複数のレンズアレイによって形成される前記受光部の点像に基づいて前記被検眼の光学特性を測定するものであり、
前記受光部の全ての点像から波面収差を求め、この波面収差に基づいて前記被検眼の光学特性を求め、
または、前記円周ごとの点像から円周ごとの波面収差を求め、この円周ごとの波面収差に基づいて円周ごとに前記被検眼の光学特性を測定することを特徴とする。
この発明によれば、被検眼の正確な光学特性を求めることができる。
この発明に係る眼科装置の構成を示すブロック図である。 図1に示すハルトマン板に形成されたレンズアレイを示した説明図である。 図2に示すレンズアレイによって形成される受光部上の点像を示した説明図である。 第2実施例の点像の配置を示した説明図である。 第2実施例のレンズアレイの配置を示した説明図である。 角度に対するランダム誤差の寄与の度合いを示すグラフである。 第3実施例の点像の配置を示した説明図である。 第3実施例のレンズアレイの配置を示した説明図である。 第4実施例の眼科装置の光学系の配置を示した光学配置図である。 図7に示す眼科装置の制御系の構成を示したブロック図である。 被検眼側から正面視したプラチドリングパターンを模式的に示す説明図である。 エリアセンサ(その受光面)上に結像されたプラチドリングパターン像を示した説明図である。 Zアライメントがずれた状態を説明するための図4と同様な説明図である。 眼底の照明光と反射光とを模式的に示した説明図である。 制御演算部の処理動作の一部を示したフロー図である。 被検眼の波面収差とシミュレーションしたランドルト環等を表示したモニタ画面の説明図である。 角膜の波面収差等を表示したモニタ画面の説明図である。 従来の点像の配置を示した説明図である。
以下、この発明に係る眼科装置の実施の形態である実施例を図面に基づいて説明する。
[第1実施例]
図1は眼科装置1010の構成を示す。この眼科装置1010は、被検眼Eの眼底Efを照明する眼底照明光学系(照明光学系)1020と、眼底Efの反射照明光を受光して波面収差を測定する波面測定光学系(波面測定系)1030と、被検眼Eの前眼部Eaを照明する前眼部照明光学系1040と、前眼部Eaを観察する観察光学系1050とを備えている。
[眼底照明光学系]
眼底照明光学系1020は、波長830nmの赤外のレーザ光を発光する照明光源1021と、照明光源1021から発光された照明光を集光する集光レンズ1022と、偏光ビームスプリッタ1023と、光学絞り1024と、リレーレンズ1025と、ダイクロイックミラー1026と、対物レンズ1027と、赤外光を反射し可視光を透過するダイクロイックミラー1028とを有している。
ダイクロイックミラー1026は、波長830nmの赤外光を反射し、波長940nmの赤外光を透過するように設定されている。
ダイクロイックミラー1028は、波長が約800nmより短い波長の可視光を透過し、波長が800nm以上の長い波長の赤外光を透過するように設定されている。
眼底照明光学系1020は、照明光源1021の位置を−3Dないし−13Dのところにもってくることでビームウエスト位置を像面位置(0.0D)に合わせている。また、射出瞳位置が像面位置の遠方(眼底の後方)200mm〜300mmとなるように、光学絞り1024の位置が設定されている。
また、照明光源1021を−3Dないし−13Dの間に位置させて、被検眼Eの眼底Ef位置が照明光源1021とほぼ共役位置となるように照明光源1021を配置し、射出瞳位置を像面位置の遠方に配置したことから、装置本体から被検眼Eまでの距離である作動距離を可変にすることができる。
[波面測定光学系]
波面測定光学系1030は、眼底Efからの反射照明光が入射するダイクロイックミラー1028と、対物レンズ1027と、ダイクロイックミラー1026と、リレーレンズ1025と、光学絞り1024と、偏光ビームスプリッタ1023と、リレーレンズ1031と、ハルトマン板1032と、CMOSイメージセンサからなる受光部1033とを有している。波面測定光学系1030は、眼底照明光学系1020の偏光ビームスプリッタ1023からダイクロイックミラー1028までの光路にある光学部材を共有するものである。
ハルトマン板1032は、眼底Efからの反射照明光を複数の光束に分割するもので、被検眼Eの瞳孔と共役関係にあり、図2に示すように、複数の同心の円周上に配置された複数のレンズアレイ1032A〜1032Eを有している。
受光部1033は、ハルトマン板1032により複数に分割された分割光束を受光するようになっている。
ハルトマン板1032が被検眼Eの瞳孔と共役位置にあることにより、受光部1033の受光信号に基づいて被検眼Eからの反射光束の波面情報を光学的に検出することができる。波面情報には、眼の屈折特性に係る情報が含まれている。
[前眼部照明光学系]
前眼部照明光学系1040は、赤外光を発光するダイオードからなる光源1041と、ダイクロイックミラー1028とを有している。
[観察光学系]
観察光学系1050は、前眼部Eaからの反射光を反射させるダイクロイックミラー1028と、対物レンズ1027と、ダイクロイックミラー1026と、結像レンズ1051と、CCDからなる受光部1052とを有している。
[その他の構成]
眼科装置1010は、ダイクロイックミラー1028の回転を制御・検知するダイクロイックミラー回転制御・検知部1060と、傾斜角検出部1061と、演算制御部1070と、表示部1071とを有している。
ダイクロイックミラー1028は、被検眼Eに向かう方向を中心として左右に振れる構造となっており、この構造は、特開2014-30573号公報に記載されているものと同じなのでその説明は省略する。また、同様にダイクロイックミラー回転制御・検知部1060と傾斜角検出部1061の動作などは上記公報に記載されているものと同じなので、その説明を省略する。
演算制御部1070は、受光部1033の受光信号に基づいて波面収差やこの波面収差から屈折力(光学特性)や乱視軸(光学特性)などを求めたりする。
表示部1071は、演算制御部1070が求めた屈折力などや受光部1052が撮像した前眼部像を表示したりする。
[動 作]
次に、上記のように構成される眼科装置1010の動作について説明する。
前眼部照明光学系1040の光源1041から赤外光が発光されると、この赤外光はダイクロイックミラー1028で反射されて被検眼Eの前眼部Eaを照明する。前眼部Eaで反射した反射照明光は、ダイクロイックミラー1028で反射されて対物レンズ1027を介してダイクロイックミラー1026に達し、このダイクロイックミラー1026を透過して結像レンズ1051に達し、この結像レンズ1051により前眼部像が受光部1052に結像され、この前眼部像が表示部1071に表示される。
眼底照明光学系1020の照明光源1021から波長830nmの赤外のレーザ光が発光されると、このレーザ光は、集光レンズ1022により集光されて偏光ビームスプリッタ1023、光学絞り1024及びリレーレンズ1025を介してダイクロイックミラー1026に達し、ここで反射されて対物レンズ1027を介してダイクロイックミラー1028に達し、ここで反射されて被検眼Eの眼底Efを照明する。
眼底Efで反射した眼底反射照明光は、ダイクロイックミラー1028で反射され、対物レンズ1027を介してダイクロイックミラー1026に達し、ここで反射されてリレーレンズ1025を介して偏光ビームスプリッタ1023に入射する。偏光ビームスプリッタ1023に入射した眼底反射照明光は、ここで反射されてリレーレンズ1031及びハルトマン板1032を介して受光部1033に受光される。
ハルトマン板1032には、図2に示すように複数のレンズアレイ1032A〜1032Eが形成されていることにより、受光部1033上には、図3に示すように、複数の円周上に沿って点像QA〜QEが形成される。
演算制御部1070は、受光部1033の受光信号に基づいて各点像QA〜QEの重心位置を各点像の位置として求め、さらに、各点像QA〜QEの基準位置(図示せず)から各点像QA〜QEのズレ量を求め、このズレ量に基づいてゼルニケ多項式から波面収差を算出し、この波面収差に基づいて被検眼Eの屈折力などを算出(測定)する。この屈折力などは表示部1071に表示される。
波面収差は、次式に示すように直交関数である例えばゼルニケ多項式で表すことができる。
(1)式のR (ρ)がゼルニケ多項式である。
このゼルニケ多項式は(2)式で表すことができる。
下記にゼルニケ多項式の3次までの係数を示す。
(係数)
これら係数のうち、(3),(5)式が乱視軸を示し、(4)式が屈折力を示す。
ところで、ハルトマン板1032による点像の各点のそれぞれの基準座標(図示せず)からのズレ量が分かると、各点の座標(x,yまたはrθ)における波面の傾きが分かる。各点の座標は瞳孔と共役関係にあるので、つまり、ズレ量が分かるとハルトマン板1032による点像の座標と対応した瞳孔上の座標での波面の傾きが分かることになる。
この実施例では、波面を直交関数であるゼルニケ多項式で表して屈折力などを求めるものである。
上記のように、ハルトマン板1032の点像から分かるのは波面の傾きなので、ゼルニケ多項式の微分(フィッティング関数)と、各点像の座標における傾き(データ点)とを用いて最小二乗近似し、これにより波面収差を求め、この波面収差から屈折力などを算出する。
簡単のため、ゼルニケ多項式の二次の項であるZ 、つまり、屈折力に関係する項のみで、フィッティングする場合について考える。
=C (2r−1)…(6)
ただし、Cはゼルニケ係数、rは画像中心(または瞳孔中心)から各点像までの距離である。この(6)式を微分すると、下記に示す(7)式となる。
(∂Z/∂r)=C・4r=Z′…(7)
最小二乗フィッティングを求める式は、
と表される。この(8)式のGが最小となるCを求めることによって最小二乗フィッティングを求める。
ここで、各点像を検出する際にランダム誤差があるとすると、(8)式のZ′(r)がずれることになる。すなわち、Z′(r)→Z′(r)+ΔZ′となる。
ただし、rは予め求めておく各点像の基準座標と画像中心(瞳孔中心)との間の距離であり、ΔZ′はランダム誤差である。
(8)式を微分すると、下記の(9)式となる。
この(9)式を解けば最小二乗フィッティングを求めることになる。
Z′(r)にランダム誤差があるとして、ある1点のデータからゼルニケ係数Cを求めてみると、(Z′(r)+ΔZ′−4Cr)×(−4r)=0より、ゼルニケ係数Cは下記の(10)式となる。
この(10)式の
ΔZ′/4rは、同じ大きさのランダム誤差であってもrが大きい位置ではゼルニケ係数Cへの寄与(ゼルニケ係数を求める際の寄与)が小さいことを示している。また、rが同じであれば、ゼルニケ係数Cへの寄与は同じであることを示す。
すなわち、図2に示すように、レンズアレイ1032A〜1032Eを円周上に配置すると、同一円周上のレンズアレイ1032A〜1032Eでは、ゼルニケ係数Cへのランダム誤差の寄与は同じとなる。つまり、波面収差の計算に及ぼす誤差の寄与率が同一円周上では同じとなり、正確な波面収差を求めることができ、この波面収差から屈折力などを正確に算出することができることになる。
したがって、異なる円周ごとの屈折力や全体の屈折力などを正確に求めることができる。そして、この求めた円周ごとの屈折力や全体の屈折力などの測定結果と、求めた波面収差などとを表示部1071に表示して被検者に提供する。
この実施例では、波面収差から屈折力などを求めているが、図3に示す複数の点像QA〜QEの中心位置(重心位置)を周方向に結んで瞳孔像の中心位置を囲むように形成される線の形状から被検眼Eの屈折力を求めるようにしてもよい。
[第2実施例]
(10)式から各点像のランダム誤差がゼルニケ多項式の係数に与える寄与は相対的にΔZ′/4rとなる。
図4に示すように、瞳孔中心(画像中心)Oから半径r=riの円周上と、半径rの円周上とにレンズアレイの点像Qi,Qjがあるとし、r=ri上の点像Qiが与える寄与の総和は、点像の数をN個とすると、
×(ΔZ/4r)…(11)
同じく、半径rjの円周上の点像Qjが与える寄与の総和は、点像Qjの数をN個とすると、
×(ΔZ/4r)…(12)
となる。r>riとすると、(11)式と(12)式とが、各円周ごとにゼルニケ係数の決定に与える寄与が等しくなるには、Nの個数が多くならなければならない。すなわち、N=N×r/rとなる。
つまり、図4に示すように、点像Qiの個数N=8、r=2×rであれば、N=16となる。
このように、図4に示すように、点像Qi,Qjを配置すれば、すなわち、図4Aに示すように、レンズアレイQic,Qjdの数及び配置を設定すれば、波面収差の計算に及ぼす誤差の寄与率が、異なる半径r,rの円周上では同じとなり、さらに正確な波面収差を求めることができ、このため屈折力などをさらに正確に測定することができる。
なお、ΔZ′は正負を取り得るランダム誤差なので、点像の数が無限になればキャンセルされるが、レンズアレイの個数と1つの点像の明るさはトレードオフなので、際限なく個数を増やすことは不可能である。
[第3実施例]
次に、より複雑なφを含む下記の項(二次の項)にフィッティングする場合を考える。
=C cos2φ
上記の二次の項を径線方向に微分する。径線方向の微分をZ′rとすると、
Z′r=(∂Z/∂r)=C・2rcos2φ…(13)
となる。また、二次の項を周方向に微分する。周方向の微分をZ′φとすると、
Z′φ=(∂Z/∂φ)=−2C・rsin2φ…(14)
となる。
上記では、各点像から得られるZ′(r)とrで最小二乗フィッティングしたがφを含む場合、係数Cを求めるために、∂Z/∂r、r、φを用いた(13)式でのフィッティングと、∂Z/∂φ、r、φを用いた(14)式でのフィッティングの2通りの方法が考えられる。
なお、∂Z/∂r、∂Z/∂φは実際の検出結果から得られる値であり、r、φは予め分かっている値である。
ここで、通常は(13)式を用いてゼルニケ係数Cを計算する場合が多いので、以下(13)式の場合のみを考える。
(13)式の最小二乗フィッティングを求める式は下記の通りである。
(15)式をCで偏微分すると、

となる。
(10)式と同様に、径方向のランダム誤差ΔZrを考え、r=r、φ=φの場合のみを考えると、
(Z′r(r)+ΔZr−2C・rcos2φ1)(−2rcos2φ)=0
…(17)
となる。
この(17)式より、下記の(18)式を得る。
=(Z′r(r)/2rcos2φ)+ΔZr/2rcos2φ
…(18)
(18)式から径方向のランダム誤差ΔZrがゼルニケ多項式の2次の項であるrcos2φの項の係数決定に与える相対寄与は、ΔZr/2rcos2φとなる。1/2rcos2φのグラフは図5に示すように、φ=45°、135°、225°、315°の点が極大となるため、ほぼその角度の情報が支配的となる。
極大の箇所以外では、rが分母に入っていることにより、上記と同様にrが大きいほどランダム誤差ΔZrの寄与が小さくなる。
上記のrcos2φにおいて、ランダム誤差ΔZrの寄与が全体的に均等となるような点像にするには、例えば図6に示すような配置が考えられる。
図6に示す例は、ランダム誤差の寄与が極大で発散してしまう45°、135°、225°、315°の位置には点像Qa,Qbを配置せずに、例えば半径r=rでは、0°、90°、180°、270°の位置に点像Qaを配置し、r=3rでは、rの円周上にrの円周上の2倍の数の点像Qbを配置したものである。
この例では、半径rの円周上の各点像Qaのランダム誤差ΔZrの寄与の総計と、半径r(3r)の円周上の各点像Qbのランダム誤差ΔZrの寄与の総計とが同一となるためには、半径rの円周上の点像Qaのランダム誤差ΔZrの寄与に対して、半径rの円周上の1つの点像Qbのランダム誤差ΔZrの寄与が1/2であればよい。
すなわち、(1/2rcos2φ)×1/2=1/2rcos2φとなれば良い。
この式のr=3rを代入すると、1/4rcos2φ=1/6rcos2φ
となる。
したがって、φ=(1/2)cos−1((2/3)cos2φ
=0°±24.095…
となる。
これは、各点像Qaの径線方向に対して±24.095°の角度の方向に且つ中心位置Oから3rの位置に点像Qbがあればよいことを示すものである。
図6に示す点像Qa,Qbの配置の場合、rcos2φの項の係数を求める際にランダム誤差ΔZrが及ぼす寄与は、内側の円周(rの円周)と外側の円周(3r=rの円周)とで1つの周が及ぼすランダム誤差の寄与として考えた場合に等しくなる。
したがって、図6Aに示すようにレンズアレイQa1,Qb2を配置すれば、図6に示したように点像Qa,Qbが得られ、内側の円周と外側の円周とではゼルニケ係数Cへのランダム誤差ΔZrの寄与は同じとなり、波面収差の計算に及ぼす誤差の寄与率が内側の円周と外側の円周とでは同一となる。このため、正確な波面収差を求めることができ、乱視軸を正確に求めることができることになる。
すなわち、図6Aに示すレンズアレイQa1,Qb2の配置は、波面収差を所定の多項式(例えばゼルニケ多項式)で展開した際、その特定の項(rcos2φの項)の測定誤差を極力抑えるように最適化されたものとなっている。
上記実施例では、径線方向に微分してゼルニケ係数Cを求めているが、周方向に微分してゼルニケ係数Cを求めて、周方向の波面収差を求めてもよい。すなわち、各点像の周方向のズレを計算することで、周方向の波面収差を求めて屈折力を求めるようにしてもよい。また、ここで求めた周方向の波面収差を表示部1071に表示してもよい。
上記実施例は、いずれもレンズアレイを円周状に配置した場合について説明したが、格子状にあるいはランダムに多数配置し、そのうちから目的に応じて、例えば、図4Aや図6Aに示すような配置となるレンズアレイを抽出し、この抽出したレンズアレイの点像位置から波面収差を求め、この波面収差から屈折力や乱視軸など算出するようにしてもよい。
[第4実施例]
図7に示す眼科装置10は、被検眼Eの眼底Efに測定光束(第1測定光)を照明(照射)するとともに眼底Efで反射される測定光束の波面を受光して被検眼Eの眼球の波面収差を測定する眼球波面収差測定光学系100と、被検眼Eの角膜Ecにリングパターン光(第2測定光)を投影(照射)するとともに角膜Ecで反射するリングパターン光を受光して角膜Ecの収差を測定する角膜波面収差測定光学系200と、被検眼Eの前眼部を照明する前眼部照明光学系50と、アライメント観察光学系60と、被検眼Eに対してアライメントを検出するためのXYアライメント光学系70と、被検眼Eを固視させる固視光学系80とを備えている。
[眼球波面収差測定光学系]
眼球波面収差測定光学系100は、被検眼Eの眼底Efに照明光束(測定光束:第1測定光)としてのスポット光を照射する測定照明光学系(照明光学系)20と、眼底Efからの反射光束をエリアセンサ(第1受光素子)31で受光する受光光学系(波面測定系)30とを有している。
[測定照明光学系]
測定照明光学系20は、測定光源21と、コンデンサレンズ22と、偏光ビームスプリッタ23と、ダイクロイックミラー24と、ダイクロイックミラー25と、対物レンズ26とを有する。測定照明系20では、コンデンサレンズ22と対物レンズ26との間に偏光ビームスプリッタ23およびダイクロイックミラー24、25が配置されている。
偏光ビームスプリッタ23は、照明光束のS偏光成分を反射し、後述する眼底Efからの反射光束のP偏光成分を透過するダイクロイックミラーにより構成されている。
ダイクロイックミラー24は、照明光束および反射光束を反射し、後述する固視光束を透過する波長選択性ミラーにより構成されている。
ダイクロイックミラー25は、照明光束、反射光束および固視光束を反射し、後述する観察光束を透過させるダイクロイックミラーにより構成されている。
測定光源21は、近赤外線(第1測定光)を発光するSLD(スーパールミネッセンスダイオード)であり、光源移動手段41により光軸方向に沿って移動可能となっている。
なお、測定光源21は、レーザーやLED等を用いてもよい。
[受光光学系]
受光光学系30は、エリアセンサ31と、ハルトマン板32と、レンズ33と、レンズ34と、反射鏡35と、偏光ビームスプリッタ23と、ダイクロイックミラー24,25および対物レンズ26とを有する。
また、受光光学系30は、被検眼Eから偏光ビームスプリッタ23までの光学系は測定照明光学系20の光学系と共通とされている。
反射鏡35は、眼底Efからの反射光束の光軸を、測定光源21から出射される照明光束の光軸の方向と平行にする役割を果たす。すなわち、受光光学系30では、測定照明光学系20により照明された被検眼Eの網膜(眼底)Efからの反射光束を、対物レンズ26を経てダイクロイックミラー24およびダイクロイックミラー25で反射し、偏光ビームスプリッタ23を透過させて反射鏡35で反射することにより、レンズ33、レンズ34およびハルトマン板32が配置された測定光軸上へと導く。
ハルトマン板32は、図2に示すハルトマン板1032と同様に、複数の同心円上に配置された複数のレンズアレイ(図示せず)を有している。
レンズ33は、レンズ34を通過した反射光束を平行光束に変換してハルトマン板32に導く。
ハルトマン板32は、光軸と直交する面内に配された複数のマイクロフレネルレンズ等のマイクロレンズを有し、これにより眼底Efからの反射光束(平行反射光束)を複数の分割光束に分割してエリアセンサ31の受光面上に集光させる。
エリアセンサ31は、複数の分割光束を受光して各分割光束の受光光量に応じた受光信号S4を出力する。このエリアセンサ31からの受光信号S4に基づいて波面収差が求められる。この波面収差の変化(エリアセンサ31の受光面上の各輝点の理想波面に対する移動量)に基づいて解析する(エリアセンサ31で得られた光束の傾き角度に基づいてゼルニケ解析を行う)ことにより、被検眼Eの光学特性(屈折状態や収差量等)を演算する。
ハルトマン板32とエリアセンサ31とからなるセンサユニット36は、光軸方向に沿って移動可能となっており、センサ移動手段42によって光軸方向に移動される。
このセンサ移動手段42と光源移動手段41とは、被検眼Eの屈折度数に応じて、測定光源21と被検眼Eの網膜(眼底)Efとエリアセンサ31(その受光面)とが略共役な位置関係となるように、それぞれ駆動される。このような移動の方法としては、あらかじめ「0」ディオプタ(以下、「0」Dと記載する)の被検眼Eを測定した時のエリアセンサ31上の輝点の間隔を記憶し、実際に測定する被検眼Eを測定した際のエリアセンサ31上の輝点間隔が、記憶している間隔と略一致する位置まで移動すればよい。
この実施例では、測定光源21の移動量とセンサユニット36の移動量とが等しくなるように、測定照明光学系20および受光光学系30が光学的に構成され、測定光源21とセンサユニット36とがリンクされており、光源移動手段41とセンサ移動手段42とが単一の駆動源(例えばモータ)で駆動される単一の光学系移動手段(図示せず)として構成されている。また、後述するように、視標移動手段43も単一の光学系移動手段により移動される。これら光学系移動手段は、駆動部14(図8参照)からの移動制御信号S3によって駆動制御される。
[角膜波面収差測定光学系]
角膜波面収差測定光学系200は、前眼部を照明する前眼部照明光学系50と、前眼部で反射する反射光を受光する受光光学系(アライメント観察光学系)60とを有している。
[前眼部照明光学系]
前眼部照明光学系50は、被検眼Eの角膜Ecの曲率の測定と、被検眼Eと装置の作動距離を検出するZアライメントとに用いられ、プラチドリングパターン板51と、一対の光源(LED)52と、一対のコリメータレンズ53とを有する。
[プラチドリングパターン板]
プラチドリングパターン板51は、図9に示すように、光を透過し且つ対物レンズ26を取り囲むように(対物レンズ26の光軸を中心とする)同心円状に形成された複数のリングパターン54,55,56…と一対の開口57とを有する。
一対の開口57は、リングパターン55の中心を通る(対物レンズ26の光軸に直交する)直線上であってリングパターン55上に設けられており、リングパターン55の直径寸法と両開口57の中心位置の間隔とが等しく設定されている。
プラチドリングパターン板51の裏面(対物レンズ26側)には、リングパターン54,55,56…に沿って複数のLED(図示せず)が配置され、この複数のLEDによりプラチドリングパターン板51が照明され、リングパターン54,55,56…を透過した光束(第2測定光)により、被検眼Eの角膜Ecをリング状の発光パターンで照明する。
光源LED52は、各開口57に対応して、プラチドリングパターン板51の裏面側に設けられている。
コリメータレンズ53は、光源LED52から射出された光束を平行光束にしてプラチドリングパターン板51の開口57を照明し、この開口57を通過した平行光束は被検眼Eの角膜Ecを照明する。
前眼部照明光学系50は、上述したように、リング状の発光パターンに加えて一対の光源LED52による輝点として角膜Ecを照明する。この光束は、角膜Ec(その表面)で反射され、この反射された観察光束が対物レンズ26およびダイクロイックミラー25を透過し、後述するアライメント観察光学系60を経て、そのエリアセンサ61上に、リング状の投影像54´,55´,56´…に加えて一対の光源LED52による一対の輝点像57´を形成する(図10参照)。上述したように、プラチドリングパターン板51では、一対の開口57がリングパターン55上に設けられ、リングパターン55の直径寸法と両開口57の中心位置の間隔とが等しく設定されている。
また、前眼部照明光学系50では、角膜Ecに対する照明方向が対物レンズ26の光軸方向に対して傾斜されているとともに、その光軸方向で見たプラチドリングパターン板51の裏面に設けられたLEDの出射位置と光源LED52の出射位置とが異なって設定されている。このため、前眼部照明光学系50によりエリアセンサ61(その受光面)上に形成される像で見ると、Zアライメントが合致している場合、リング状の投影像55´の直径寸法RLと一対の輝点像57´の中心位置の間隔DLとが等しくなる(図10参照)。
また、前眼部照明光学系50によりエリアセンサ61(その受光面)上に形成される像で見ると、Zアライメントの変化に拘らず、一対の輝点像57´の中心位置の間隔DLが変化することはないが、Zアライメントの変化に応じて、リング状の投影像55´の直径寸法RLが変化する。このことから、エリアセンサ61(その受光面)上では、Zアライメントが合致していない場合、リング状の投影像55´の直径寸法RLと一対の輝点像57´の中心位置の間隔DLとに差異が生じる(図11参照)。このため、前眼部照明光学系50によりエリアセンサ61(その受光面)上に形成されるリング状の投影像55´の直径寸法RLと、一対の輝点像57´の中心位置の間隔DLとが等しくなるように、被検眼Eに対する装置の位置を前後させることにより、被検眼Eと装置との距離を一定に保つZアライメントを実行することができる。
[アライメント観察光学系]
アライメント観察光学系60は、エリアセンサ61と、結像レンズ62と、リレーレンズ63と、ハーフミラー64と、ダイクロイックミラー25と、対物レンズ26とを有する。また、アライメント観察光学系60は、上述したように、被検眼Eからダイクロイックミラー25までの光学系が測定照明光学系20の光学系と共通とされている。
エリアセンサ61は、例えばCCDによって構成されている。このエリアセンサ61(CCD)の受光面には、上述したように、前眼部照明光学系50によるリング状の投影像54´,55´,56´…および一対の輝点像57´と、後述するXYアライメント光学系70によるXYアライメント用の輝点像71´とが形成されるようになっている。
[XYアライメント光学系]
XYアライメント光学系70は、アライメント光源71と、レンズ72と、反射鏡73と、ハーフミラー64と、ダイクロイックミラー25と、対物レンズ26とを有する。
XYアライメント光学系70は、アライメント光源71から出射したアライメント光をレンズ72で平行光束にして反射鏡73で反射させ、さらにハーフミラー64で反射させてダイクロイックミラー25および対物レンズ26を介して被検眼Eの角膜Ecに照明させる。
ここで、エリアセンサ61が、角膜Ecの曲率によってできる虚像(プルキンエ像)と略共役となるように配置されており、XYアライメント光学系70から角膜Ecを照明することにより、その角膜Ec(その表面)で反射された光束(以下、調整光束という)は、対物レンズ26、ダイクロイックミラー25、ハーフミラー64、リレーレンズ63を通って結像レンズ62によりエリアセンサ61上に集光したXYアライメント用の輝点像71´を形成する(図10参照)。
このXYアライメント光学系70では、図10に示すように、被検眼Eの角膜頂点がアライメント観察光学系60の光軸と一致しているとき、XYアライメント用の輝点像71´が、エリアセンサ61(その受光面)上の中心に位置するように設定されている。ここで、XYアライメント用の輝点像71´は、被検眼Eの角膜頂点がアライメント観察光学系60の光軸と直交する平面内で移動すると、その移動量に応じてエリアセンサ61(その受光面)上を移動する。このことから、XYアライメント用の輝点像71´がエリアセンサ61(その受光面)上の中心に位置するように、被検眼Eに対して装置本体を移動させることにより、XYアライメントを実行することができる。
[固視光学系]
固視光学系80は、被検眼Eに、固視や雲霧のための固視視標(固視チャート)を投影する光学系であり、光源81と、レンズ82と、固視チャート(固視標)83と、レンズ84と、レンズ85と、反射鏡86と、ダイクロイックミラー24と、ダイクロイックミラー25と対物レンズ26とを有する。固視光学系80は、上述したように、被検眼Eからダイクロイックミラー24までの光学系は測定照明光学系20と共通とされている。
反射鏡86は、光源81から出射され、レンズ82、固視標83、レンズ84およびレンズ85を透過した光束(以下、固視光束という)を、測定照明光学系20における測定光源21からの照明光束の光軸の方向、および受光光学系30におけるエリアセンサ31に向かう反射光束の光軸の方向と一致させる役割を有する。光源81は、可視領域の波長の光(以下、単に可視光という)を出射する光源であり、タングステンランプやLEDが用いられている。また、光源81は、光量が可変とされている。この可変な範囲としては、少なくとも、固視標像を観察させる被検眼Eに対して、夜間の環境下と同等の明るさを照射することのできる光量から昼間の環境下と同等の明るさを照射することのできる光量までを含むものとされている。このため、固視光学系80(その光源81)は、測定光学系の光軸に沿って可視光により被検眼Eを照明する可視光照明手段として機能する。
この実施例では、光源81は、夜間の環境下と同等の明るさを照射することのできる光量から昼間の環境下と同等の明るさを照射することのできる光量までの4段階の明るさに切り換え可能となっている。
固視標83は、図示は略すが風景や放射線のパターンからなり、光源81から出射された光束により後方から照明される。この固視光学系80では、光源81から出射され固視標83を透過した可視光(以下、固視光束という)を、レンズ84およびレンズ85を透過させ、反射鏡86により反射させ、ダイクロイックミラー24を透過させ、ダイクロイックミラー25で反射して対物レンズ26を経て被検眼Eに入射させることにより、その網膜(眼底)Efに固視標83を投影させ、被検眼Eにその固視標像を視認させる。これにより、被検眼Eの視線を固視標83に固定するものである。
この固視光学系80の光源81とレンズ82および固視標83とからなる視標ユニット87は、視標移動手段43により固視光学系80の固視光軸に沿って移動可能となっている。視標移動手段43は、網膜(眼底)Ef上に固視標83の像を形成できる位置(ピントの合う位置)まで、固視光学系80を移動させるように駆動される。また、視標移動手段43は、被検眼Eの度数を測定する場面では、被検眼Eの調節の影響をなくすために、ピントが合わなくなる位置まで移動する雲霧を行う。
なお、視標移動手段43は、センサ移動手段42および光源移動手段41を駆動する単一の光学系移動手段によって駆動される。すなわち、光源移動手段41とセンサ移動手段42と視標移動手段43とは単一の駆動源(例えばモータ)で駆動される。視標ユニット87は、視標移動手段43すなわち光学系移動手段への移動制御信号S3によって駆動制御されることになる。
[制御系]
図8は眼科装置10の制御系の構成を示したものである。図8において、11は制御演算部、12は入力部(操作部)、13は表示部(表示手段:モニタ)、14は駆動部である。
制御演算部11は、受光光学系30のエリアセンサ31からの受光信号S4と、アライメント観察光学系60のエリアセンサ61からの受光信号S7と、入力部12からの操作信号とが入力される。
制御演算部11は、入力される受光信号S4,S7を適宜処理する入力情報処理部11aと、入力情報処理部11aで処理された信号や入力部12からの操作信号等に基づいて各光学系20,50,70,80の光源21,52,71,81の点灯制御や光学系移動手段の制御や駆動部14の駆動制御を行う駆動制御部11bと、入力情報処理部11aで処理された受光信号S4,S7に基づいて被検眼Eの波面収差や屈折力等を演算する解析処理部(眼球波面収差演算手段:角膜波面収差演算手段:シミュレーション手段)11cと、画像表示制御部11dと、各種のデータを記憶する記憶部11eと、波面収差のマップなどの画像を形成する画像形成部11fとを有する。
解析処理部11cは、測定した波面収差およびその他の測定データから被検眼Eに関する種々の光学特性、例えば、点像分布係数(PSF)、被検眼の伝達特性を示すMTF(Modulation Transfer Function)、瞳孔径寸法、コントラスト感度等を演算する。そして、解析処理部11cは、瞳孔径寸法計測手段として機能する。さらに、解析処理部11cは、これら演算結果に応じた信号又は他の信号・データを、光学系および電気制御系の制御を行う駆動制御部11bと、画像表示制御部11dと、記憶部11eとに適宜出力する。
画像表示制御部11dは、入力情報処理部11aからの信号(受光光学系30からの受光信号S4およびアライメント観察光学系60からの受光信号S7等)に基づいて、被検眼Eの角膜Ecの画像または波面を示す画像等を表示させるための信号を表示部13へと出力する。また、画像表示制御部11dは、測定結果、演算結果、解析結果や操作者がデータを入力、指示するためのウインドウ等を表示させるための信号を表示部13へと出力する。
記憶部11eは、被検眼Eに関するデータ、波面収差の演算に用いるデータ、測定における設定データ等を格納する。すなわち、入力情報処理部11aや駆動制御部11bや解析処理部11cから送信された情報を適宜格納し、当該格納した情報を、入力情報処理部11aや駆動制御部11bや解析処理部11cや画像表示制御部11dからの求めに応じて適宜引き出させる。また、記憶部11eは、測定を自動的に行う場合等の制御用プログラムを記憶する。
画像形成部11fは、解析処理部11cが求めた波面収差からマップを作成したりグラフを作成したりする。
入力部12は、操作者が、所定の設定、指示、データ等の各種入力信号を入力するための、スイッチ、ボタン、キーボード等である。ここでは、表示部13に表示されたボタン、アイコン、位置、領域等を支持するためのポインティングデバイス等も含むものとする。入力部12は、自らに為された操作に応じた操作信号を制御演算部11に出力する。入力部12は、実施例1では、光量切換スイッチ12aと測定開始スイッチ12bとを有する。光量切換スイッチ12aは、光源81の光量を、設定された夜間の環境下と同等の明るさを照射することのできる光量から昼間の環境下と同等の明るさを照射することのでき
る光量までの4段階の明るさに切り換えるためのものであり、測定開始スイッチ12bは、各種測定を実行させるためのものである。
表示部13は、測定結果、演算結果、解析結果や操作者がデータを入力、指示するためのウインドウ、被検眼Eの画像等を表示する。表示部13は、制御演算部11の制御下で、適宜表示を行う。
駆動部14は、例えば、制御演算部11に入力されたエリアセンサ31からの受光信号S4に基づいて、測定照明光学系20の測定光源21(光源移動手段41)、受光光学系30のセンサユニット36(センサ移動手段42)、および固視光学系80の視標ユニット87(視標移動手段43)を一体的に光軸方向に移動させる光学系移動手段(図示せず)を駆動する。この駆動部14は、光学系移動手段に対して移動制御信号S3を出力することにより、当該光学系移動手段を駆動する。
[動 作]
次に、上記実施例の眼科装置10の動作について説明する。
先ず、固視光学系80の光源81を発光させて被検眼Eを固視させるとともに、XYアライメント光学系70のアライメント光源71を発光させる。このアライメント光源71から出射したアライメント光はレンズ72で平行光束にされて反射鏡73で反射され、さらにハーフミラー64で反射させてダイクロイックミラー25および対物レンズ26を介して被検眼Eの角膜Ecを照明する。
角膜Ec(その表面)で反射された調整光束は、対物レンズ26、ダイクロイックミラー25、ハーフミラー64、リレーレンズ63を通って結像レンズ62によりエリアセンサ61上に集光して輝点像71´を形成する(図10参照)。
この輝点像71´は、図10と同様に表示部13に表示され、輝点像71´がエリアセンサ61(その受光面)上の中心位置すなわち表示部13に表示されたマーク位置(図示せず)に位置するように、被検眼Eに対して装置本体を移動させてXYアライメントを行う。
そして、前眼部照明光学系50の一対の光源52と図示しない複数のLEDを発光させる。この複数のLEDの発光によりプラチドリングパターン板51が照明され、被検眼Eの角膜Ecにリング状の発光パターンが投影される。
この角膜Ecで反射された観察光束は、対物レンズ26およびダイクロイックミラー25を透過し、アライメント観察光学系60を経て、そのエリアセンサ61上に、リング状の投影像54´,55´,56´…に加えて一対の光源LED52による一対の輝点像57´を形成する。そして、表示部13には、図10と同様に輝点像57´とリング状の投影像54´,55´,56´…とが表示される。
検者は、表示部13に表示されるリング状の投影像55´の直径寸法RLと、一対の輝点像57´の中心位置の間隔DLとが等しくなるように、被検眼Eに対する装置本体の位置を前後させてZアライメントを行う。
次に、波面収差の測定を行う場合について説明する。
図7に示すように、固視光学系80の光源81を所定の明るさで点灯し、被検眼Eに固視標像を観察させる。この状態において、XYアライメントにより被検眼Eの角膜頂点と装置本体の測定光軸(対物レンズ26の光軸)とを一致させるとともに、Zアライメントにより被検眼Eの角膜頂点から装置本体までの距離を一定に保つ。その後、測定照明光学系20の測定光源21を光学系移動手段により基準位置に移動して、その測定光源21を点灯する。このとき、受光光学系30のセンサユニット36および固視光学系80の視標ユニット87も光学系移動手段により一体的に移動されることから、基準位置とされる。
この基準位置において、被検眼Eの屈折状態の仮測定を行い、この仮測定の結果に基づいて被検眼Eの屈折力を打ち消す位置に、測定照明光学系20の測定光源21、受光光学系30のセンサユニット36および固視光学系80の視標ユニット87を移動させ、その位置で再度被検眼Eの屈折状態を測定する。この再度の測定の結果、受光光学系30のセンサユニット36が被検眼Eの屈折力を略打ち消す位置となっていた場合、固視光学系80の視標ユニット87をプラス側へと移動して固視標像を雲霧させる。この状態で、被検眼Eの屈折状態および波面収差の測定を行う。
この測定では、測定照明光学系20において、測定光源21から出射されコンデンサレンズ22を透過した光束を、偏光ビームスプリッタ23、ダイクロイックミラー24およびダイクロイックミラー25で反射して対物レンズ26の光軸上へと導き、被検眼Eの眼底Efを照明する。これを照明光束Liとすると、図12に示すように、極めて小さな径の光束として対物レンズ26を経て被検眼Eへと入射し、眼底Efの微小な領域(スポット光)を照明する。すると、眼底Efでは、照明光束Liが反射され、その反射された光束のうち瞳孔Ep(虹彩Eiの内方)を通過した光束が、対物レンズ26へ向かう。
これを反射光束Lrとすると、反射光束Lrは、図12に示すように、対物レンズ26を経て受光光学系30(図7参照)へと導かれる。すなわち、反射光束Lrは、受光光学系30において、対物レンズ26を経てダイクロイックミラー24およびダイクロイックミラー25で反射され、偏光ビームスプリッタ23を透過して反射鏡35で反射され、レンズ33、レンズ34およびハルトマン板32へ向かい、このハルトマン板32を経て複数の分割光束に分割されてエリアセンサ31の受光面上に集光される。
エリアセンサ31は、各分割光束を受光して光電変換することにより、各分割光束の受光光量に応じた受光信号S4を制御演算部11へと出力する。制御演算部11は、解析処理部11cにおいて受光信号S4により取得したデータから波面収差(眼球波面収差)を得ることができ、この波面収差の変化(エリアセンサ31の受光面上の各輝点の理想波面に対する移動量)に基づき解析することにより、被検眼Eの光学特性(屈折状態や収差量等)を演算することができる。
ハルトマン板32には、図2に示すハルトマン板1032と同様に、複数の同心円上に配置された複数のレンズアレイ(図示せず)を有しているので、第1実施例と同様に正確な波面収差を求めることができる。
ここで、この演算された屈折状態は、図12に示すように、被検眼Eにおける反射光束Lrが透過した領域(図12でハッチを付した領域(符号Ar))での実際の光学的な要素の総てを包含したものとなる。
上記の波面収差の測定を一秒毎に10回行い、これら測定した波面収差の標準偏差を求め、図13に示すように、この標準偏差と予め設定した基準値とを比較し(ステップ1)、標準偏差が基準値より大きいとき、すなわちドライアイであると判断されたときステップ2へ進む。
なお、各回の測定の波面収差は、眼球全体で1つのRMS(二乗平均平方根)値を算出し、この値を波面収差として用いる。
ステップ2では、各測定した波面収差のマップM1〜M10を画像形成部11fが作成し、このマップM1〜M10を図14に示すように表示部13に表示する。さらに、各波面収差からランドルト環が被検者にどのように見えるかを解析処理部11cがシミュレーションし、このシミュレーションしたランドルト環K1〜K2を表示部13に表示する。なお、マップM1〜M10における波面収差の値はH1<H2<H3<H4である。また、波面収差が大きくなるほどランドルト環はぼけることになる。
また、表示部13には、測定回数に対する波面収差(RMS値)を示すグラフG1を表示する。このグラフG1も画像形成部(グラフ作成手段)11fで作成する。
さらに、エリアセンサ61上に形成されるリング状の投影像54´,55´,56´…に基づいて、演算制御部11の解析処理部11cが角膜Ecの波面収差を上記測定毎に求め、測定回数に対する角膜Ecの波面収差を示すグラフG2を画像形成部11fが作成し、このグラフG2が図14に示すように表示部13に表示される。
ステップ1でノーと判断された場合、すなわち、標準偏差が基準値以下の場合つまり、ドライアイでないと判断された場合ステップ3へ進む。
ステップ3では、制御演算部11の解析処理部11cが求めた角膜Ecの波面収差に基づいて、各測定毎の波面収差のマップを画像形成部11fが作成し、このマップM1c〜M10cを図15に示すように表示部13に表示させる。
このように、ドライアイでないと判断した場合、波面収差の経時的変化の激しい角膜の波面収差のマップM1c〜M10cを表示部13に表示するようにしたものであるから、このマップM1c〜M10cが波面収差の経時的変化の小ささを示していれば、ドライアイでないことがよりはっきりと認識することができる。つまり、ドライアイでないことの確証を得ることができることになる。なお、図15に示すマップM5c〜M10cでは角膜の波面収差を誇張して示してある。
上記実施例では、ステップ1で標準偏差と基準値とを比較しているが、波面収差の平均値と基準値とを比較して判断してもよい。
この発明は、上記実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加などは許容される。
1010 眼科装置
1020 眼底照明光学系(照明光学系)
1030 波面測定光学系(波面測定系)
1032 ハルトマン板
1032A〜1032E レンズアレイ
1033 受光部
1050 観察光学系
1052 受光部
1070 演算制御部
E 被検眼
Ef 眼底
Ea 前眼部

Claims (4)

  1. 被検眼の眼底を照明する照明光学系と、前記眼底から反射された反射照明光を複数の光束に分割する複数のレンズアレイを有するハルトマン板及び該ハルトマン板で分割された分割光束を受光する受光部を有する波面測定系とを備えた眼科装置であって、
    前記ハルトマン板に形成されている複数のレンズアレイを複数の円周上に配置し、前記複数のレンズアレイによって形成される前記受光部の点像に基づいて前記被検眼の光学特性を測定するものであり、
    前記受光部の全ての点像から波面収差を求め、この波面収差に基づいて前記被検眼の光学特性を求め、
    または、前記円周ごとの点像から円周ごとの波面収差を求め、この円周ごとの波面収差に基づいて円周ごとに前記被検眼の光学特性を測定することを特徴とする眼科装置。
  2. 被検眼の眼底を照明する照明光学系と、前記眼底から反射された反射照明光を複数の光束に分割する複数のレンズアレイを有するハルトマン板及び該ハルトマン板で分割された分割光束を受光する受光部を有する波面測定系とを備えた眼科装置であって、
    前記ハルトマン板に形成されている複数のレンズアレイを複数の円周上に配置し、
    前記受光部の中心位置またはその受光部上に形成される瞳孔像の中心位置を囲むように各点像を結んで形成される線の形状から前記被検眼の光学特性を測定することを特徴とする眼科装置。
  3. 前記被検眼の光学特性の測定結果を被検者に提供することを特徴とする請求項1又は2に記載の眼科装置。
  4. 前記各点像の基準位置に対するズレから周方向の波面収差を求めることを特徴とする請求項1に記載の眼科装置。
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