以下、クランプセンサおよび測定装置の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
最初に、測定装置の一例としての測定装置1の構成について、図面を参照して説明する。図1に示す測定装置1は、測定対象(例えば、電線)についての被測定量(例えば、電線に流れる電流)を測定可能に構成されている。具体的には、測定装置1は、同図に示すように、クランプセンサ2および本体部3を備えて構成されている。
クランプセンサ2は、クランプセンサの一例であって、図2に示すように、クランプ部20a,20b(以下、区別しないときには「クランプ部20」ともいう)を備えて被検出量(例えば、磁界)を検出可能に構成されている。
クランプ部20aは、シールド11a(図3参照)、コアホルダ12a(図4参照)、コア13a(図5参照)、カバー14(図3参照)、ホール素子15(図6参照)、およびこれらの各構成要素が収容されるクランプケース30a(図3〜図7参照)を備えて構成されている。また、クランプ部20aは、本体部3に対して回動しない状態で本体部3における本体ケース50(図1参照)の先端部側(同図における上側)に固定されている。
シールド11aは、図3に示すように、平面視弧状に形成されて、コアホルダ12aおよびコア13aを覆っている。コアホルダ12aは、図4に示すように、平面視弧状に形成されて、シールド11aを収容する。
コア13aは、図5,6に示すように、平面視弧状に形成されている。また、図6に示すように、コア13aの基端部111aには、クランプ部20bにおける後述するコア13bの第1係合部121bと係合する第1係合部121aが形成されている。また、コア13aの先端部112aには、クランプ部20bにおける後述するコア13bの第2係合部122bと係合する第2係合部122aが形成されている。
また、コア13aは、図6に示すように、コア13a,13bの第1係合部121a,121b同士および第2係合部122a,122b同士が互いに係合した閉状態において、コア13bと共に環状体Rを構成する。この場合、コア13aは、同図に示すように、環状体Rを二等分した長さよりも長い長さに形成されている。また、コア13aにおける先端部112aから基端部111aに向かってコア13aの長さ方向に沿って上記した二等分した長さだけ離間する位置には、ホール素子15が配設される配設部Sが形成されている。このクランプセンサ2では、同図に示すように、配設部Sの形成位置は、環状体Rにおける第2係合部122a,122b同士の係合部位(環状体Rの頂部)に対向する位置(環状体Rの底部であって、環状体Rの頂部および中心を通る直線A上の位置)に規定されている。
また、コア13aにおける配設部S(ホール素子15の配設位置)から先端部112aに向かって予め決められた距離だけ離間する位置には、第1係合部121a,121b同士の係合状態と同じ形態に形成された第3係合部123が設けられている。この場合、このクランプセンサ2では、「予め決められた距離」が、ホール素子15の配設位置から第1係合部121a,121bまでの距離と同じ距離に規定されている。
ここで、図6に示すように、環状体Rの頂部およびホール素子15の配設位置(環状体Rの底部)を通る直線Aで環状体Rを左右に分割した2つの半円状(半楕円状)の領域を想定すると、第3係合部123を設けていない構成では、左側の領域にのみ第1係合部121a,121bが存在することとなるため、環状体Rが直線Aの左右で非対称の形状となる結果、環状体Rに生じる磁界も直線Aの左右の領域で非対称となる(つまり、左右の領域における磁界のバランスが悪くなる)。これに対して第3係合部123を設けた構成では、環状体Rが直線Aの左右において対称の形状または対称に近い形状となる結果、環状体Rに生じる磁界も直線Aの左右の領域で対称となる(つまり、左右の領域における磁界のバランスが保たれる)。つまり、第3係合部123は、ホール素子15の配設位置を通る直線Aの左右の領域における磁界のバランスを保つ機能を有しており、第3係合部123を設けたことで、左右の領域の間に位置してるホール素子15による磁界(被検出量)の検出精度を向上させることが可能となっている。
また、コア13aは、図6に示すように、第1コア部材31a,31b、第2コア部材32および連結部材33を備えて構成されている。
第1コア部材31a,31bは、コア13aにおける基端部111aから第3係合部123までの部分を構成する部材であって、図6,8,9に示すように、互いに同じ形状(同じ長さ)に形成されている。また、第1コア部材31a,31bは、図8,9に示すように、板材41a,41bを積層してそれぞれ形成されている。
また、図8,9に示すように、第1コア部材31a,31bの両端部(板材41a,41bの両端部)には、板材41aを予め決められた長さだけ板材41bに対して長さ方向にスライドさせることにより、櫛歯状の部位が形成されている。この場合、第1コア部材31aにおける一方(図8における左側)の端部に形成されている櫛歯状の部位が第1係合部121aとして機能する。また、第1コア部材31bにおける一方(図9における右側)の端部に形成されている櫛歯状の部位が第3係合部123の半体(以下、「半体123a」ともいう)として機能する。
また、第1コア部材31a,31bは、上記した配設部Sを構成する隙間を設けた状態で、図5に示す連結部材33によって連結されている。この場合、連結部材33は、同図に示すように、平面視弧状の2枚の板材(同図では1枚のみを図示している)を備えて構成されて、同図における紙面奥側と紙面手前側から各板材で第1コア部材31a,31bを挟み込んで、各板材をねじ止めすることで第1コア部材31a,31bを連結する。
第2コア部材32は、コア13bにおける第3係合部123から先端部112aまでの部分を構成する部材であって、図10に示すように、板材42a,42bを積層して形成されている。また、第2コア部材32の両端部(板材42a,42bの両端部)には、板材42aを予め決められた長さだけ板材42bに対して長さ方向にスライドさせることにより、櫛歯状の部位が形成されている。この場合、第2コア部材32における一方(図10における上側)の端部に形成されている櫛歯状の部位が第2係合部122aとして機能する。また、第2コア部材32における他方(図10における下側)の端部に形成されている櫛歯状の部位が第3係合部123の半体(以下、「半体123b」ともいう)として機能し、上記した第1コア部材31bにおける一方(図9における右側)の端部に形成されている櫛歯状の部位(第3係合部123の半体123a)とこの第3係合部123の半体123bとが互いに噛合し、この互いに噛合した部分によって第3係合部123が構成される。
カバー14は、絶縁性を有する材料(例えば、樹脂)で形成されて、図3に示すように、ホール素子15を収容する収容部14aを備えて構成されている。また、カバー14は、収容部14aにホール素子15を収容した状態で、収容部14aが配設部Sに嵌め込まれるようにして装着されている。このカバー14は、配設部Sに嵌め込まれた収容部14aの壁部がホール素子15とコア13a(第1コア部材31a,31b)との間に介在することにより、ホール素子15とコア13aとの十分な絶縁を確保する機能を有している。
ホール素子15は、検出素子の一例であって、各クランプ部20a,20bで測定対象としての電線を取り囲んだ状態において、電線に電流が流れているときには、その電流によって各コア13a,13bに生じる磁界を検出して検出信号を出力する。この場合、ホール素子15は、カバー14の収容部に収容された状態で、コア13aの配設部S(第1コア部材31a,31bの間の隙間に)に配設されている。
クランプ部20bは、シールド11b(図3参照)、コアホルダ12b(図4参照)、コア13b(図5参照)、およびこれらの各構成要素が収容されるクランプケース30b(図3〜図7参照)を備えて構成されている。また、クランプ部20bは、基端部111b側に設けられた支点P(図6,7参照)を中心として本体部3に対して回動可能な状態で、本体部3における本体ケース50(図1参照)の先端部側に支持されている。また、クランプ部20bは、クランプケース30bの基端部と本体ケース50との間に配設されている図外の付勢部材(例えば、コイルスプリング)によってクランプ部20a,20bの各先端部同士(コア13a,13bの先端部112a,112b同士)が閉じる向きに付勢されている。また、図6,7に示すように、クランプケース30bには、レバー30cが設けられており、このレバー30cを操作する(押し込む)ことにより、付勢部材の付勢力に抗してクランプ部20a,20bの各先端部同士が開く向きにクランプ部20bが回動させられる。
シールド11bは、図3に示すように、平面視弧状に形成されて、コアホルダ12bおよびコア13bを覆っている。コアホルダ12bは、図4に示すように、平面視弧状に形成されて、シールド11bを収容する。
コア13bは、図5〜図7に示すように、平面視弧状に形成されている。また、図6に示すように、コア13bの基端部111bには、クランプ部20aにおけるコア13aの第1係合部121aと係合する第1係合部121bが形成されている。また、コア13bの先端部112bには、クランプ部20aにおけるコア13aの第2係合部122aと係合する第2係合部122bが形成されている。
この場合、コア13bは、図11に示すように、クランプ部20aにおけるコア13aの第2コア部材32と同じ形状(同じ長さ)に形成されている。つまり、コア13bは、第2コア部材32と同様にして、板材42a,42bを積層して形成されている。また、コア13bの両端部(板材42a,42bの両端部)には、板材42aを予め決められた長さだけ板材42bに対して長さ方向にスライドさせることにより、櫛歯状の部位が形成されている。この場合、コア13bにおける一方(図11における下側)の端部に形成されている櫛歯状の部位が第1係合部121bとして機能し、コア13bにおける他方(図11における上側)の端部に形成されている櫛歯状の部位が第2係合部122bとして機能する。
このクランプセンサ2では、第1係合部121a,121b同士および第2係合部122a,122b同士が係合する際に、櫛歯状に形成された板材41a,41b,42a,42bの各端部が互いに噛合する。また、クランプセンサ2では、第1係合部121aとして機能する第1コア部材31aにおける一方(図8における左側)の端部の櫛歯状の部位と、第3係合部123の半体123aとして機能する第1コア部材31bにおける一方(図9における右側)の端部の櫛歯状の部位とが互いに同じ形状に形成されている。また、第1係合部121bとして機能するコア13bにおける一方(図11における下側)の端部の櫛歯状の部位と、第3係合部123の半体123bとして機能する第2コア部材32における他方(図10における下側)の端部の櫛歯状の部位とが互いに同じ形状に形成されている。つまり、このクランプセンサ2では、第3係合部123の半体123a,123bが噛合して構成される第3係合部123が、第1係合部121a,121b同士の係合状態と同じ形態となるように形成されている。
本体部3は、図1に示すように、表示部51、操作部52、処理部53、およびこれらの各構成要素が収容または配設される本体ケース50を備えて構成されている。
表示部51は、例えば液晶パネルで構成されて、図1に示すように、本体ケース50の正面パネルに配設されている。また、表示部51は、処理部53の制御に従って電流(被測定量)の電流値等を表示する。操作部52は、本体ケース50の正面パネルに配設された各種のスイッチ52aやダイヤル52b等を備えて構成され、これらの操作に応じた操作信号を出力する。
処理部53は、操作部52から出力される操作信号に従って本体部3を構成する各部を制御する。また、処理部53は、測定部として機能し、クランプセンサ2のホール素子15から出力される検出信号に基づいて測定対象に流れる電流の電流値を測定すると共に、測定した電流値を表示部51に表示させる。
次に、測定装置1の使用法、および使用の際の測定装置1の動作について、図面を参照して説明する。
この測定装置1では、非使用時(初期状態)において、図2〜図6に示すように、クランプ部20a,20bの先端部同士が接合している。また、この状態では、図6に示すように、コア13a,13bの第1係合部121a,121b同士が係合し、コア13a,13bの第2係合部122a,122b同士が係合している。
次いで、例えば、測定対象としての電線に流れる被測定量としての電流を測定する際には、本体部3の操作部52における電源用のスイッチ52aを操作して電源を投入し、続いて、センサ部2(各クランプ部20a,20b)で電線をクランプする。具体的には、図7に示すように、クランプセンサ2におけるクランプ部20bのクランプケース30bに設けられているレバー30cを押し込む。
この際に、クランプケース30bの基端部と本体ケース50との間に配設されている図外の付勢部材の付勢力に抗してクランプ部20bが支点Pを回動中心として回動させられて、図7に示すように、クランプ部20bの先端部がクランプ部20aの先端部から離反する。また、クランプ部20bの回動に伴い、コア13a,13bの第1係合部121a,121b同士の係合(板材42a,42b,41a,41bの端部同士の噛合)、およびコア13a,13bの第2係合部122a,122b同士の係合(板材42a,42bの端部同士の噛合)が解除される。
次いで、各クランプ部20a,20bの各先端部の間の隙間に電線を通し、続いて、レバー30aの押し込みを解除する。この際に、付勢部材の付勢力によってクランプ部20bが回動することにより、各クランプ部20a,20bの各先端部同士が接触する。この際に、図6に示すように、コア13aにおける第1コア部材31aの一端部(同図における左側の端部)とコア13bの第1係合部121bとが係合すると共に、コア13aにおける第2コア部材32の一端部(同図における上側の端部)とコア13bの第2係合部122bとが係合する。この場合、第1コア部材31aを構成する板材41a,41b(図8参照)における櫛歯状の端部(同図における左側の端部)と、コア13bを構成する板材42a,42b(図11参照)における櫛歯状の端部(同図における下側の端部)とが噛合し、第2コア部材32を構成する板材42a,42b(図10参照)における櫛歯状の端部(同図における上側の端部)と、コア13bを構成する板材42a,42b(図11参照)における櫛歯状の端部(同図における上側の端部)とが噛合する。これにより、コア13a,13bが閉状態となって環状体Rを構成し、この環状体Rによって電線が取り囲まれる(クランプされる)。
ここで、電線に電流が流れているときには、環状体R(コア13a,13b)に磁界が生じ、この磁界をホール素子15が検出して検出信号を出力する。また、この際には、処理部53が、ホール素子15から出力される検出信号に基づいて電線に流れる電流の電流値を測定する。次いで、処理部53は、測定した電流値を表示部51に表示させる。
この場合、この測定装置1では、コア13aにおける基端部111aと先端部112aとの間にホール素子15が配設されている。したがって、コア13aにおけるホール素子15が配設された配設部Sの左右に位置する第1コア部材31a,31bを固定することで、基端部111a,111b間の距離が多少変化したとしても、配設部Sの幅(コア13aの長さ方向に沿った長さ)が変化しないようにすることができるため、基端部111a,111bの間の距離が変化することに起因する検出精度の低下が確実に防止され、この結果、被検出量(磁界)を正確に検出して被検出量(電流)を正確に測定することが可能となっている。また、この測定装置1では、第3係合部123を設けたことで、環状体Rが、環状体Rの頂部およびホール素子15の配設位置(環状体Rの底部)を通る直線Aの左右において対称の形状または対称に近い形状となるため、環状体Rに生じる磁界も直線Aの左右の領域で対称となる(つまり、左右の領域における磁界のバランスが保たれる)結果、このことによっても被検出量をより正確に検出して被検出量を正確に測定することが可能となっている。
続いて、測定が終了したときには、レバー30cを押し込むことにより、クランプ部20bの先端部をクランプ部20aの先端部から離反させる。次いで、各クランプ部20a,20bの各先端部の間の隙間に電線を通過させるようにしてクランプセンサ2を電線から離反させる。続いて、レバー30aの押し込みを解除して、各クランプ部20a,20bの各先端部同士を接触させる。次いで、他の電線に流れる電流を測定する際には、上記した操作を実行する。
このように、このクランプセンサ2および測定装置1では、コア13a(いずれか一方のコア)が環状体Rを二等分した長さよりも長く形成され、コア13aにおける先端部112aから基端部111aに向かってコア13aの長さ方向に沿って環状体Rを二等分した長さだけ離間する位置にホール素子15が配設され、コア13aにおけるホール素子15の配設位置から先端部112aに向かって予め決められた距離だけ離間する位置に、各第1係合部121a,121b同士の係合状態と同じ形態に形成された第3係合部123が設けられている。このため、このクランプセンサ2および測定装置1によれば、コア13aにおけるホール素子15が配設された配設部Sの両側部に位置する部分(第1コア部材31a,31b)を固定することで、基端部111a,111b(第1係合部121a,121b)間の距離が多少変化したとしても、配設部Sの幅(コア13aの長さ方向に沿った長さ)が変化しないようにすることができる。したがって、このクランプセンサ2および測定装置1によれば、基端部111a,111bの隙間にホール素子15が配設された従来の構成とは異なり、基端部111a,111bの間の距離が変化することに起因する検出精度の低下を確実に防止して、被検出量を正確に検出することができる。また、このクランプセンサ2および測定装置1によれば、第3係合部123を設けたことにより、環状体Rを、先端部(コア13a,13bの先端部)を起点としてコア13a,13bの長さ方向に沿って二等分した二つの半環状体に同じ形態の第1係合部121a,121bおよび第3係合部123を設けることで、各半環状体の先端部側に位置する各第2係合部122a,122bから各半環状体の基端部側に位置するホール素子15までの各磁気回路をほぼ同じ形態にすることができる結果、従来の構成と比較して、環状体Rの先端部を起点としてコア13a,13bの長さ方向に沿って環状体を二等分する直線Aに対して直交する方向における導体(測定対象)の位置変化の影響を低減することができる。
また、このクランプセンサ2および測定装置1では、コア13aにおける先端部112aから基端部111aに向かってコア13aの長さ方向に沿って環状体Rを二等分した長さだけ離間する位置にホール素子15が配設されている。つまり、このクランプセンサ2および測定装置1では、各コア13a,13bの第2係合部122a,122b同士の係合部位を環状体Rの頂部としたときに、環状体Rの最も底部にホール素子15を配設することができる。このため、このクランプセンサ2および測定装置1によれば、ホール素子15によって検出された被検出量に基づいて被測定量を測定する処理部53が収容された本体部3を環状体Rの底部側に設けたときに、処理部53とホール素子15とを近づけることができるため、処理部53とホール素子15との電気的接続(配線)を容易に行うことができる。
また、このクランプセンサ2および測定装置1では、第3係合部123が設けられる位置の配設部S(ホール素子15の配設位置)から先端部112aに向かう距離(予め決められた距離)が、配設部Sから第1係合部121aまでの距離と同じ距離に規定されている。このため、このクランプセンサ2および測定装置1によれば、環状体Rを、先端部(コア13a,13bの先端部)を起点としてコア13a,13bの長さ方向に沿って二等分した二つの半環状体における同じ位置に同じ形態の第1係合部121a,121bおよび第3係合部123を設けることで、各半環状体の先端部側に位置する各第2係合部122a,122bから各半環状体の基端部側に位置するホール素子15までの各磁気回路をさらに同じ形態に近づけることができる結果、従来の構成と比較して、上記の直線Aに対して直交する方向における導体(測定対象)の位置変化の影響をさらに低減することができる。
また、このクランプセンサ2および測定装置1では、ホール素子15を配設する隙間を設けた状態で連結部材33によって連結されてコア13aにおける基端部111aから第3係合部123までの部分を構成する第1コア部材31a,31bと、コア13aにおける第3係合部123から先端部112aまでの部分を構成する第2コア部材32とを備えてコア13aが構成されている。このため、このクランプセンサ2および測定装置1によれば、ホール素子15を配設する隙間と第3係合部123とを設けたコア13aを簡易な構成で実現することができるため、コア13aの製造コストを十分低く抑えることができる。また、このクランプセンサ2および測定装置1によれば、第1コア部材31a,31bを連結部材33によって連結することにより、隙間(配設部S)の幅(コア13aの長さ方向に沿った長さ)の変化を確実に防止することができるため、隙間の幅が変化することに起因する検出精度の低下を確実に防止することができる。
また、このクランプセンサ2および測定装置1では、第1コア部材31a,31bが互いに同じ形状に形成され、コア13bが第2コア部材32と同じ形状に形成されている。このため、このクランプセンサ2および測定装置1によれば、環状体Rを、先端部(コア13a,13bの先端部)を起点としてコア13a,13bの長さ方向に沿って環状体Rを二等分する直線Aに対して対称の形状に構成することで、上記の各半環状体の先端部側に位置する各第2係合部から各半環状体の基端部側に位置する検出素子までの各磁気回路をさらに同じ形態に近づけることができる結果、従来の構成と比較して、上記直線に対し垂直方向の導体(測定対象)の位置変化の影響を、さらに低減することができると共に、コア13a,13bを構成する構成要素を共通化することができる結果、各コア13a,13bの製造コストを十分低く抑えることができる。
また、このクランプセンサ2および測定装置1では、ホール素子15が、絶縁性を有するカバー14に収容された状態で配設されている。このため、このクランプセンサ2および測定装置1によれば、コア13aとホール素子15との絶縁性を十分に高めることができる結果、このクランプセンサ2および測定装置1の安全性を十分に高めることができる。また、ホール素子15を収容した状態のカバー14を装着するだけの簡易な作業で、コア13aとホール素子15とを絶縁した状態で、ホール素子15を配設することができるため、クランプセンサ2の製造効率を向上させることができる。
また、このクランプセンサ2および測定装置1では、複数の板材41a,41b,42a,42bを積層してコア13a,13bが構成され、板材41a,41b,42a,42bの各端部同士が噛合することによって互いに係合可能に各第1係合部121a,121bおよび各第2係合部122a,122bが構成されている。このため、このクランプセンサ2および測定装置1によれば、例えば、各第1係合部121a,121bおよび各第2係合部122a,122bが平坦面に形成されて、各平坦面同士を当接させた状態で係合させる構成と比較して、各第1係合部121a,121b同士および各第2係合部122a,122b同士を確実に係合させることができるため、被検出量を一層正確に検出することができる。
なお、クランプセンサおよび測定装置の構成は、上記の構成に限定されない。例えば、クランプ部20bが回動可能で、クランプ部20aが回動しない状態で固定されている構成例について上記したが、クランプ部20aが回動可能で、クランプ部20bが回動しない状態で固定されている構成や、クランプ部20a,20bの双方を回動可能とした構成を採用することもできる。
また、コア13aにおける配設部Sから先端部112aに向かう「予め決められた距離」と、配設部Sから第1係合部121aまでの距離とを同じ距離に規定した例について上記したが、両距離を異ならせた構成を採用することもできる。この構成においても、基端部111a,111bの間の距離が変化することに起因する検出精度の低下を確実に防止して、被検出量を正確に検出することができるという上記した効果を実現することができる。
また、第1コア部材31a,31bおよび第2コア部材32を備えてコア13aを構成した例について上記したが、これらの各部材を一体化した1つの部材でコア13aを構成することもできる。また、第1コア部材31bと第2コア部材32とを一体化した部材、および第1コア部材31aの2つの部材でコア13aを構成することもできる。また、コア13aの第2コア部材32とコア13bとを同じ長さに形成した例について上記したが、第2コア部材32とコア13bとを異なる長さに形成する構成を採用することもできる。これらの構成においても、上記した各構成と同様にして、基端部111a,111bの間の距離が変化することに起因する検出精度の低下を確実に防止して、被検出量を正確に検出することができるという上記した効果を実現することができる。
また、ホール素子15をカバー14に収容した状態で配設する例について上記したが、第1コア部材31a,31bに接触しない状態で配設部Sにホール素子15を配置して、接着剤等の固定用の材料で配設部Sにホール素子15を固定する構成を採用することもでき、この構成においても、コア13aとホール素子15との絶縁性を高めることができるため、ホール素子15による被検出量の検出精度を十分に高めることができる。
また、複数の板材41a,41b,42a,42bを積層することによってコア13a,13bの第1係合部121a,121bおよび第2係合部122a,122bを櫛歯状に形成して互いに噛合するように構成した例について上記したが、棒状の部材でコア13a,13bを作製することによって第1係合部121a,121bおよび第2係合部122a,122bを、互いに嵌合可能な形状に形成したり、互いに当接可能な平坦面に形成したりする構成を採用することもできる。
また、検出素子としてホール素子15を用いる構成例について上記したが、磁気抵抗効果素子、磁気インピーダンス素子、フラックスゲートセンサ等の磁気検出素子を検出素子として用いる構成を採用することもできる。
また、クランプセンサ2を備えた測定装置1に適用した例について上記したが、単独で用いるクランプセンサ2に適用することもできる。