JP6421252B2 - 油脂組成物及び油脂の酸化抑制方法 - Google Patents

油脂組成物及び油脂の酸化抑制方法 Download PDF

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Description

本発明は、油脂の酸化が抑制された油脂組成物及び油脂の酸化抑制方法に関する。
油脂は、空気中の酸素、湿気、熱、光、金属イオン、微生物、酵素等の作用により容易に過酸化物を生成し、酸化反応が進行して不快臭や味の劣化、褐変等が生じる。さらに、酸化した油脂を摂取すると消化器障害を引き起こすなど、健康に悪影響を及ぼす。
油脂を構成する脂肪酸のうち、炭素二重結合を有する不飽和脂肪酸は酸化しやすく、さらに二重結合を複数有する多価不飽和脂肪酸は酸化速度が非常に速い。
多価不飽和脂肪酸のうち、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)等のω3脂肪酸は近年その生理活性が注目され、健康の維持及び増進、美容等を目的として摂取が盛んに勧められている。しかしながら、ω3脂肪酸は多価不飽和脂肪酸であり、酸化速度が非常に速いため品質の維持が難しく、酸化抑制が大きな課題となっている。
油脂または油脂を含有する食品は、トコフェロール、βカロテン、ビタミンC等のビタミン類、カテキン、セサミン、ローズマリー抽出物等のポリフェノール類等の天然素材を含有する抗酸化物質を添加することにより、油脂の酸化の抑制が行われてきた。
しかしながら、特に酸化速度が速い多価不飽和脂肪酸に対しては、十分な効果が得られていないのが現状である。
また、合成酸化防止剤として、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ジブチルヒドロキシトルエン等も食品添加物として用いられているが、安全性を懸念する消費者も多い。
その他の方法として、特許文献1には、多価不飽和脂質に対して炭素数が8〜22の飽和脂肪酸のポリグリセリンエステルを添加する方法が開示され、特に、多価不飽和脂質の水中油型(O/W)乳化物にポリグリセリン脂肪酸エステルを添加すると油脂の酸化が抑制されやすい旨が記載されている。
しかしながら、特許文献1に記載の方法をもってしても、多価不飽和脂肪酸を含む油脂の酸化抑制には十分な効果を奏さなかった。
特開2001−115185号公報
本発明の目的は、油脂の酸化が抑制された油脂組成物及び油脂の酸化抑制方法を提供するものであり、特に、ω3脂肪酸等の多価不飽和脂肪酸のような酸化速度が速い油脂に対してより好ましく適用できるものである。
本発明者は、前記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた。
その結果、
油脂、イオン性界面活性剤及び多価アルコールを含有する油脂組成物の明度の値L1及び油脂組成物に清水で100質量倍を添加して得られた乳化物の明度の値L2から算出したL2−L1値が正であることによりはじめて、意外にも、油脂の酸化をより効果的に抑制できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)油脂、イオン性界面活性剤及び多価アルコールを含有する油脂組成物であって、
下記方法により算出したL2−L1値が正である、
油脂組成物、
L1値:油脂組成物の明度の値
L2値:油脂組成物に清水で100質量倍を添加して得られた乳化物の明度の値
(2)(1)に記載の油脂組成物において、
前記L2−L1の値が10以上である、
油脂組成物、
(3)(1)又は(2)の油脂組成物において、
前記油脂組成物全量に対して、
油脂を60%以上95%以下、
イオン性界面活性剤を0.5%以上10%以下、
多価アルコールを3%以上35%以下配合する、
油脂組成物、
(4)(1)乃至(3)のいずれかの油脂組成物において、
前記油脂組成物の酸化誘導期間が、原料油脂の酸化誘導期間に対して130%以上である、
油脂組成物、
(5)(1)乃至(4)のいずれかの油脂組成物において、
前記油脂組成物全量に対して水分含有量が0%以上6%以下含有する、
油脂組成物、
(6)(1)乃至(5)のいずれかの油脂組成物において、
前記油脂を構成する脂肪酸としてω3脂肪酸を含み、
前記油脂を構成する脂肪酸におけるω3脂肪酸の質量比率が5%以上である、
油脂組成物、
(7)(1)乃至(6)のいずれかの油脂組成物において、
前記イオン性界面活性剤が両性界面活性剤である、
油脂組成物、
(8)(7)の油脂組成物において、
前記両性界面活性剤を構成する脂肪酸に含まれる飽和脂肪酸の質量比率が40%以上である、
油脂組成物、
(9)(7)又は(8)の油脂組成物において、
前記両性界面活性剤がリゾリン脂質である、
油脂組成物、
(10)(7)乃至(9)のいずれかの油脂組成物において、
前記両性界面活性剤を構成する脂肪酸に含まれるアミノリン脂質の質量比率が0.01%以上である、
油脂組成物、
(11)(7)乃至(10)のいずれかの油脂組成物において、
前記両性界面活性剤が卵黄由来である、
油脂組成物、
(12)(1)乃至(11)の油脂組成物において、
前記多価アルコールがグリセリンである、
油脂組成物、
(13)イオン性界面活性剤及び多価アルコールを含有させる、油脂の酸化抑制方法であって、
下記方法により算出したL2−L1値が正となるように油脂組成物を調整する、
油脂の酸化抑制方法、
L1値:油脂組成物の明度の値
L2値:油脂組成物に清水で100質量倍を添加して得られた乳化物の明度の値
である。
本発明によれば、油脂の酸化を効果的に抑制することができる。したがって、食品、サプリメント、化粧品等に用いる油脂原料、特に多価不飽和脂肪酸を多く含む油脂原料の長期間にわたる品質維持と需要拡大に貢献できる。
以下本発明を詳細に説明する。
なお、本発明において「%」は「質量%」を、「部」は「質量部」を意味する。
<本発明の特徴>
本発明は、油脂にイオン性界面活性剤及び多価アルコールを含有させ特定の状態の油脂組成物とすることにより、油脂の酸化が抑制できることに特徴を有する。
<油脂組成物>
本発明の油脂組成物は、油脂にイオン性界面活性剤及び多価アルコールを含有させたものであり、測色色差計を用いた色の明度を表すL値の測定において、前記油脂組成物の明度L1値と、前記油脂組成物を清水で100倍希釈した場合の明度L2値との差(L2−L1)の値が正となる性質を有するものである。
L値は色の明度を表す数値であり、値が大きいほど明るい色であることを示す。乳化物の場合、乳化粒子が微細化するほど散乱光量が増加して白っぽくなるため、L値が大きくなる。本発明におけるL値の変化は、本発明の油脂組成物が水の添加によって相転移し、油脂が微細粒子化した乳化物となって白濁して透明度が低下するために起こるものである。
本発明において、L値は測色色差計(商品名「Color Meter ZE-2000」:日本電色工業社製)を用いて測定することができる。
油脂又は油脂組成物に水を添加することによって容易に油脂が微粒子化した乳化状態(O/W乳化)となる性質を「自己乳化性」という。本発明の油脂組成物は、水の添加により自己乳化してO/W乳化物となる前の状態が維持されたものである。自己乳化性は、液晶、界面活性剤が無限に会合した両連続マイクロエマルション(BCME;bicontinuous microemulsion)等、分子が無限に会合した無限会合体が形成された系に見られる特徴であり、系の安定性と自己乳化性の高さは比例関係にある。本発明の油脂組成物の構造の詳細は明らかではないが、水の添加によって自己乳化性を示すことから、無限会合体が形成された系またはそれに類する状態を有する系であると推測される。
無限会合体が形成された系またはそれに類する状態を有する系においては、系を構成する各相が連続的なチャネルを形成した特異的な構造をとっている。すなわち、O/W乳化物やW/O乳化物のような明確な乳化界面を持たないことで、多価不飽和脂肪酸と酸素分子や鉄イオン等の酸化促進要因との接触を促進しない、あるいは自動酸化の連鎖反応を阻害していること等が考えられる。メカニズムの詳細は定かではないが、この特異的な構造を維持することが油脂の酸化抑制に大きく寄与するものと推測される。
<油脂組成物の水希釈前後のL値の差>
本発明の油脂組成物の自己乳化性が高いと水で希釈した場合に得られるO/W乳化物中の油脂粒子の大きさも小さくなり、その結果、L2の値は大きくなる。自己乳化性の高さは上述のとおり油脂組成物の安定性と比例関係にあることから、L2の値は油脂組成物の安定性を表すこととなる。
したがって、水希釈前の油脂組成物のL値(L1)と、水で100倍希釈した場合のL値(L2)との差であるL2−L1の値が大きいほど、本発明の油脂組成物はその構造を安定に維持しており、油脂の酸化抑制効果に優れる。
本発明においては、L2−L1の値が正であり、好ましくはL2−L1の値が10以上であり、さらに好ましくは20以上であると、油脂の酸化抑制効果により優れたものとなる。
<油脂の酸化誘導期間>
油脂の酸化は酸化安定性加速試験装置を用いて後述する試験例2の方法により測定する。本発明においては、この測定により求められる酸化誘導期間が原料油脂の130%以上となるのが好ましく、さらに180%以上となるのが好ましい。
<油脂>
本発明において油脂とは、グリセリン骨格を有する脂肪酸エステル、又は脂肪酸誘導体であって、本発明は前記脂肪酸に少なくとも不飽和脂肪酸を含むものである。
前記グリセリン骨格を有する脂肪酸は、脂肪酸トリグリセリド、脂肪酸ジグリセリド、脂肪酸モノグリセリドが挙げられる。
前記脂肪酸誘導体としては、脂肪酸メチルエステル、脂肪酸エチルエステル等の脂肪酸とアルコールとのエステル、フィトステロール、コレステロール等のステロール類等と脂肪酸とのエステル等が挙げられ、ただし、本発明のイオン性界面活性剤を除く。
前記不飽和脂肪酸としては、例えば、オレイン酸、リノール酸、α−リノレン酸、γ−リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)、ヘンイコサペンタエン酸(HPA)ドコサペンタエン酸(DPA)、エイコサテトラエン酸(ETA)、エイコサトリエン酸(ETE)、ステアリドン酸(STA)等が挙げられる。
本発明の油脂として、前記グリセリン骨格を有する脂肪酸エステル、又は脂肪酸誘導体であって、本発明は前記脂肪酸に少なくとも不飽和脂肪酸を含むものの混合物である、大豆油、菜種油、ヒマワリ油、サフラワー油、ヤシ油、コーン油、綿実油、米油、シソ油、エゴマ油、オリーブ油、アーモンド油、ココナッツ油、亜麻仁油、ブドウ種子油、藻類や微生物培養で得られた油脂、卵黄油、魚油、鯨油、肝油等の動植物油、又はこれらの精製油(サラダ油)等を用いてもよく、さらにミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等の飽和脂肪酸を含んでいてもよい。
本発明の油脂組成物は、酸化されやすい油脂の酸化をより効果的に抑制する。したがって、多価不飽和脂肪酸を多く含む油脂に好適である。
<油脂の配合量>
油脂の配合量は、前記油脂組成物の状態がより保たれやすくなり、油脂の酸化がより効果的に抑制される観点から、油脂組成物全量に対して60%以上95%以下がよく、さらに65%以上95%以下とするとよい。
<ω3脂肪酸>
本発明の方法は、前記油脂を構成する脂肪酸として、ω3脂肪酸を含有する場合に好ましく用いることができる。
ω3脂肪酸は、末端炭素(ω炭素)から数えて3番目に二重結合を有する多価不飽和脂肪酸の総称であり、酸化速度は非常に速いことが知られている。ω3脂肪酸としては、例えば、EPA、DHAの他、α−リノレン酸(ALA)等がある。
ω3脂肪酸を含む油脂としては、魚油、藻類や微生物培養で得られた油脂、亜麻仁油、エゴマ油等が挙げられる。
<ω3脂肪酸の含有割合>
前記油脂にω3脂肪酸を含有する場合の、ω3脂肪酸の含有割合は特に限定されないが、油脂の酸化がより効果的に抑制される観点から、前記油脂を構成する脂肪酸全体に対して、質量比率で5%以上がよく、さらに10%以上がよい。
<イオン性界面活性剤>
イオン性界面活性剤は、水に溶解した際に電離してイオンを生成するものであり、陰イオン性、陽イオン性、両性の3種がある。
本発明においては、上述する3種の界面活性剤から選択される少なくとも一種の界面活性剤を含有する。また、界面活性剤の由来は、天然、合成、半合成いずれものでも用いることができる。
陰イオン性界面活性剤としては、例えば、モノグリセリドの水酸基にさらに有機酸(酢酸、乳酸、クエン酸、コハク酸、ジアセチル酒石酸等)が結合した有機酸モノグリセリド、パーフルオロカルボン酸又はその塩、ドデシル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム等のアルキル硫酸塩、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルグリセロール等が挙げられる。
陽イオン性界面活性剤としては、例えば、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム等の四級アンモニウム塩等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、例えば、ステアリルベタイン、ラウリルベタイン等のアルキルベタイン、ラウリルジメチルアミンオキサイド等のアルキルアミンオキサイド、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルコリン等のリン脂質、又はこれらをリゾ化したリゾリン脂質、等が挙げられる。
なお、イオン性界面活性剤と類似の作用を有する乳化素材も、イオン性界面活性剤に含める。
<界面活性剤の配合量>
界面活性剤の配合量は、前記油脂組成物の状態がより維持されやすく、油脂の酸化がより効果的に抑制される観点から、前記油脂組成物全体に対して0.5%以上10%以下がよく、0.5%以上8%以下がよく、さらに1%以上5%以下がよい。
<両性界面活性剤>
本発明においては、前記3種の界面活性剤のうち両性界面活性剤を用いると、油脂の酸化が効果的に抑制されやすい。
両性界面活性剤は、pHによってイオン性が変化する界面活性剤であり、親水基が負に帯電すると陰イオン性界面活性剤、親水基が正に帯電すると陽イオン性界面活性剤の性質を示す。すなわち、本発明で示す油脂組成物を調製する際、その配合成分によるイオン性によらず常にイオン性界面活性剤として作用し、自己乳化性を有する本発明の油脂組成物を形成しやすい。また、これに水を添加して自己乳化物を得る際にも、水以外のイオン性成分(塩類等)の共存に影響を受けず、微細で安定なO/W乳化物を得ることができる。
<両性界面活性剤を構成する脂肪酸>
本発明に用いる両性界面活性剤を構成する脂肪酸は、油脂の酸化がより効果的に抑制される観点から、飽和型であるとよい。両性界面活性剤を構成する脂肪酸が飽和型であると、界面活性剤そのものが酸化されにくくなる。また、配合された油脂の不飽和脂肪酸部分が、無限会合体が形成された系またはそれに類する状態において分子レベルで混合されることにより、自動酸化の連鎖の抑制効果も得られると推測される。
<両性界面活性剤を構成する飽和脂肪酸の構成比率>
両性界面活性剤を構成する飽和脂肪酸は、油脂の酸化がより効果的に抑制される観点から、前記脂肪酸を構成する脂肪酸全体に対して、質量比率で40%以上がよく、さらに65%以上がよい。このような両性界面活性剤としては、卵黄由来のリン脂質が挙げられる。
<リン脂質>
本発明においては、前記油脂組成物の状態を形成かつ維持しやすく、油脂の酸化がより効果的に抑制される観点から、前記両性界面活性剤のうちリン脂質を用いるとよい。
リン脂質は、リン酸エステル及びホスホン酸エステルを有する脂質であり、親水性基と疎水性基の両方を持つ両親媒性物質である。
リン脂質には、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール等のグリセロールを骨格とするグリセロリン脂質、スフィンゴエミリン等のスフィンゴシンを骨格とするスフィンゴリン脂質がある。
リン脂質の中でもホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリンを用いるのがよく、これらリン脂質を含有する混合物、例えば、卵黄、卵黄レシチン、豆乳等を用いてもよい。リン脂質を含有する混合物を用いる場合は、含まれているリン脂質部分が本発明のイオン性界面活性剤に相当する。
例えば、卵黄レシチン(PL−30、LPL−20S:キユーピー(株)製、等)を用いる場合、混合物に含まれているリン脂質が本発明のイオン性界面活性剤に相当し、卵黄油の部分は本発明の油脂に相当する。
<リゾリン脂質>
本発明においては、上述のリン脂質をリゾ化したリゾリン脂質を用いると、油脂の酸化をさらに効果的に抑制することができる。
リゾリン脂質の中でも、リゾフォスファチジルコリン、リゾホスファチジルエタノールアミン、リゾホスファチジルセリンを用いると、前記油脂組成物の状態を安定的に形成しやすく、油脂の酸化抑制効果に優れる。
<アミノリン脂質の含有量>
本発明においては、油脂の酸化がより効果的に抑制される観点から、界面活性剤全量に対してホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、リゾホスファチジルエタノールアミン、リゾホスファチジルセリン等の遊離アミノ基を有するアミノリン脂質を質量比率で0.01%以上含有するとよい。
アミノリン脂質は、ホスファチジン酸のリン酸基にエタノールアミンやセリン等が結合したもので、分子内に遊離アミノ基を持つ。本発明のイオン性界面活性剤にはこれらのアミノリン脂質が含まれる。
リン脂質は、界面活性剤としての働きとともに、油脂や食品の酸化抑制においてシネルギスト(トコフェロール等の抗酸化剤と共存してその効果を高める作用をする成分)として知られている。この効果は、リン脂質の中でもホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン等の遊離アミノ基を有するアミノリン脂質が強く、リン酸基部分の金属キレート効果等も一つの要素と考えられている。
本発明の油脂組成物は、無限会合体が形成された系またはそれに類する状態を有する系であり、乳化界面を形成せずに油脂をアミノリン脂質が分子レベルで十分に接触することで油脂の酸化抑制効果に大きく寄与するものと推定される。
アミノリン脂質は単離したものを添加してもよく、これらを含有する組成物、例えば、卵黄レシチン(PL−30、LPL−20S:キユーピー(株)製、等)等の組成物として添加してもよい。
本発明においては、イオン性界面活性剤として、卵黄由来のリゾリン脂質を好適に用いることができる。
<多価アルコール>
多価アルコールは、前記油脂組成物において無限会合体が形成された状態またはそれに類する状態を維持するために作用する。
多価アルコールとは、分子内に2つ以上のヒドロキシ基を有するアルコールの総称であり、例えば、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、又はこれらの重合体、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−プロパンジオール等のアルカンジオール、マルチトール、ラクチトール、ソルビトール、キシリトール、エリスリトール、還元パラチノース、還元水あめ等の糖アルコール等が挙げられる。
本発明においては、特にグリセリンを用いると、前記油脂組成物の状態を形成しやすく、さらにその状態が維持されやすいため、油脂の酸化がより効果的に抑制される。
<多価アルコールの配合量>
多価アルコールの配合量は、油脂の酸化がより効果的に抑制される観点から、前記油脂組成物全量に対して3%以上35%以下がよく、さらに5%以上30%以下がよい。多価アルコールの配合量が前記範囲であると、前記油脂組成物の状態を形成しやすく、さらにその状態が維持されやすい。
<水分>
本発明において、前記油脂組成物は油脂の酸化抑制効果を損なわない範囲で水分を含んでいてもよい。
水分を含む場合は、清水を配合してもよく、水分を含有する配合原料、例えば多価アルコールとして含水した液糖等に由来するものでもよい。
<水分含有量>
水分含有量は、油脂の酸化がより効果的に抑制される観点から、前記油脂組成物全量に対して0%以上6%以下がよく、さらに0%以上3%以下がよい。
<その他の原料>
本発明においては、本発明の必須原料である油脂、イオン性界面活性剤、多価アルコール以外の原料を、本発明の効果を損なわない範囲で適宜選択し、配合することができる。
具体的には、例えば、レチノイン酸、レチノール、トコフェロール、アスコルビン酸、ステロール類、β−カロテン、リコピン、ルテイン、アスタキサンチン等のカロテノイド、イソフラボン、アンドシアニジン、アントシアニン、カテキン、テアフラビン、プロシアニジン、クロロゲン酸、タンニン、セサミン、セサモリン、クルクミン、ケルセチン、ヘスぺリジン等のフラボノイド、レスベラトロール、コエンザイムQ10、ヒアルロン酸、コラーゲン、コンドロイチン、プラセンタ、及びこれらの誘導体、生薬等のエキス類、鉄、亜鉛、カルシウム、銅、マグネシウム等のミネラル類、各種アミノ酸、各種ビタミン、各種ペプチド、トレハロース、アスパルテーム、フェニルアラニン等の甘味料、クエン酸、酢酸、乳酸、リン酸、柑橘果汁等の酸味料、ブドウ糖、ショ糖、乳糖、食塩、醤油、その他の調味料、ペクチン、ゼラチン、寒天、アルギン酸、大豆多糖類、セルロース、キサンタンガム、グアーガム、カラギナン等の増粘安定剤、着色料、香料、保存料等が挙げられる。
<油脂組成物の製造方法>
本発明の油脂組成物は、原料を常法により混合することにより製造できる。例えば、イオン性界面活性剤と多価アルコールを均一に撹拌混合し、そこに油脂を注加しながら撹拌混合する。
油脂組成物を窒素雰囲気下にて製造すると、原料と大気中の酸素との接触を最小限に抑えられるため、油脂組成物中の油脂の酸化がより効果的に抑制される。
以下、本発明について、実施例、比較例及び試験例に基づき具体的に説明する。なお、本発明は、これらに限定するものではない。
[実施例1]
表1の配合に準じ、魚油を含有する本発明の油脂組成物を製した。
すなわち、ガラス製のビーカーに卵黄リゾリン脂質とグリセリンを添加して、アンカーを付けたプロペラ撹拌機で撹拌混合して均一な状態とした。その後、撹拌を続けたまま10分間かけて油脂を徐々に添加し、本発明の油脂組成物を得た。
[比較例1]
表1の配合に準じ、魚油及びその他の原料の混合物を製した。
すなわち、魚油、卵黄リゾリン脂質及びグリセリンをガラス製のビーカーに入れ、アンカーを付けた撹拌機を用いて10分間撹拌混合し、魚油及びその他原料の混合物を得た。
[比較例2]
表1の配合に準じ、魚油を含有する水中油型乳化物を製した。
すなわち、ガラス製のビーカーにグリセリンと水を添加して均一になるまで撹拌した。ここに卵黄リゾリン脂質を添加し、ホモミキサーを用いて3000rpmで5分間撹拌した後、撹拌を続けたまま、5分間かけて油脂を徐々に添加し、水中油型乳化物を得た。
[試験例1]L値の測定
実施例1、比較例1、2及び対照として魚油を用い、下記の方法で水希釈前後の各試料のL値を3回測定してその平均値を算出し、L2−L1の値を算出した。
<測定装置>
測色色差系(Color Meter ZE−2000、日本電色工業社製)
<測定条件>
水希釈前の試料のL値(L1)
円形セルに水希釈前の試料1.5gを入れて測定に供した。
水希釈後の試料のL値(L2)
ビーカーに希釈前の試料0.2gを採取し、清水19.8g添加して撹拌した。得られた水希釈後の試料1.5gを円形セルに入れ、測定に供した。
[試験例2]油脂の酸化安定性
実施例1、比較例1、2、及び対照として魚油を用い、酸化安定性加速試験装置を用いて、下記の方法で各試料の酸化速度を測定した。
すなわち、試料皿に試料を採り、酸化安定加速試験装置の反応室に入れて密閉した後、反応室内部に酸素ガスを充填して加圧した。反応室を加温して内部圧力を測定し、サンプルの酸化によって内部圧力の急激な低下が起こるまでの時間を酸化誘導期間として算出した。
<測定装置>
酸化安定性加速試験装置(商品名:オキシテスト、Velp Scientifica社製)
<測定条件>
試料量:10.0g(試料皿1枚、スペーサー2枚使用)
O2加圧:6bar
加熱温度:90℃
<評価基準>
A:酸化誘導期間が、原料油脂の180%以上である
B:酸化誘導期間が、原料油脂の130%以上である
C:酸化誘導期間が、原料油脂の130%未満である
Figure 0006421252

※原料油脂(魚油)の酸化誘導期間は4時間15分
※魚油中のω3含有割合は30%
※卵黄リゾリン脂質中の飽和脂肪酸の質量比率は80%、アミノリン脂質の質量比率は16%
※グリセリンの純度は95%
表1より、本発明の油脂組成物の状態とした魚油(実施例1)は、L2−L1の値が10以上であり、本発明の油脂組成物の構造をより安定に維持され、酸化誘導期間も原料油脂である魚油の180%以上であった。油脂の酸化が大幅に抑制されていることがわかる。
一方、本発明の油脂組成物の原料を単に混合した状態のもの(比較例1)及び水中油型乳化物としたもの(比較例2)は、L2−L1の値が負であって本発明の油脂組成物の状態とはなっておらず、魚油の酸化抑制に関して格別な効果は見られなかった。
以上の結果より、本発明の油脂組成物の状態とすることにより、油脂の酸化が抑制されることが理解できる。
実施例2〜5及び比較例7は、表2の配合に準じ、実施例1と同様の方法により、魚油を含有する本発明の油脂組成物を製した。
比較例3〜6は、表2の配合に準じ、比較例1と同様の方法により、魚油及びその他の原料を含有する混合物を製した。
Figure 0006421252

※原料油脂(魚油)の酸化誘導期間は、4時間15分
※魚油中のω3含有割合は30%
※卵黄リゾリン脂質中の飽和脂肪酸の質量比率は55%、アミノリン脂質比率は11%
※グリセリンの純度は95%
表2より、本発明の油脂組成物の状態とした魚油(実施例2〜5)は、L2−L1の値が10以上であり、本発明の油脂組成物の構造をより安定に維持されていた。また、酸化誘導期間が原料油脂である魚油の180%以上であり、油脂の酸化が大幅に抑制されていることがわかる。特に、油脂含有量が65%以上95%以下で、イオン性界面活性剤としてリゾリン脂質を用いたもの(実施例2〜4)は、L2−L1の値が10以上であり、本発明の油脂組成物の構造をより安定に維持していることが示され、酸化誘導期間が原料油脂である魚油の180%以上であり、油脂の酸化抑制効果に優れていた。
また、水分含有量が0%以上6%以下のもの(実施例2〜4)も、油脂の酸化抑制効果に優れていた。
一方、L2−L1の値が負となり油脂が本発明の油脂組成物の状態をとらないもの(比較例1〜6)は、油脂の酸化抑制に対して格別な効果は見られなかった。
また、非イオン性界面活性剤を用いたもの(比較例7)は、本発明の油脂組成物の構造を有していたものの、油脂の酸化抑制に対して格別な効果は見られなかった。
以上より、油脂を、イオン性界面活性剤及び多価アルコールを含有し、自己乳化性を有する本発明の油脂組成物の状態とすることにより、油脂の酸化が大幅に抑制されることが示された。
[実施例6]
油脂として亜麻仁油、イオン性界面活性剤として卵黄リゾリン脂質、多価アルコールとして還元澱粉糖化物を用い、表3の配合に準じて、実施例1と同様の方法により、本発明の油脂組成物を製した。
[比較例8]
表3の配合に準じて、比較例1と同様の方法により、亜麻仁油及びその他の原料を含有する混合物を製した。
Figure 0006421252

※原料油脂(亜麻仁油)の酸化誘導期間は、5時間7分
※亜麻仁油中のω3含有割合は50%
※卵黄リゾリン脂質中の飽和脂肪酸の質量比率は90%、アミノリン脂質の質量比率は18%
表3より、本発明の油脂組成物の状態とした亜麻仁油(実施例6)は、L2−L1の値が10以上となり、本発明の油脂組成物の状態を安定に維持し、油脂の酸化が抑制されていた。一方で、多価アルコールとしてグリセリンを使用した場合(実施例1〜4)と比較すると、油脂の酸化抑制効果はやや劣っており、多価アルコールとしてはグリセリンがより好ましいことがわかる。
一方、油脂が本発明の油脂組成物の状態をとらないもの(比較例8)は、油脂の酸化抑制に対する格別な効果は見られなかった。
[実施例7]
油脂を、トコフェロールを200ppm含有したDHA含有トリグリセリド(ω3脂肪酸含有比率22%)に置き換えた以外は実施例1と同様の配合及び方法にて、本発明の油脂組成物を製した。なお、原料油脂であるDHA含有トリグリセリドの酸化誘導期間は、2時間43分であった。
得られた油脂組成物のL2−L1の値は10以上であり、本発明の油脂組成物の構造を安定に維持するものであった。また、酸化誘導期間は原料油脂であるDHA含有トリグリセリドの酸化誘導期間の180%以上となり、油脂の酸化抑制効果に非常に優れるものであった。
[実施例8]
油脂を、トコフェロールを1000ppm含有したDHA含有トリグリセリド(ω3脂肪酸含有割合22%)に、グリセリンの純度を99%のものにそれぞれ置き換えた以外は実施例1と同様の配合及び方法にて、本発明の油脂組成物を製した。なお、原料油脂であるDHA含有トリグリセリドの酸化誘導期間は2時間43分、水分含有量は0.11%であった。
L2−L1の値は10以上であり、本発明の油脂組成物の構造を安定に維持するものであった。また、酸化誘導期間は原料油脂であるDHA含有トリグリセリドの酸化誘導期間の180%以上となり、油脂の酸化抑制効果に非常に優れるものであった。
[実施例9]
表4の配合に準じ、実施例1と同様の方法にて本発明の油脂組成物を製した。なお、原料油脂であるDHA含有トリグリセリドの酸化誘導期間は3時間56分、水分含有量は17.1%であった。
Figure 0006421252
得られた油脂組成物のL2−L1は正の値となり、本発明の油脂組成物の構造を安定に維持するものであった。また、酸化誘導期間は原料油脂であるDHA含有トリグリセリドの酸化誘導期間の130%以上となり、油脂の酸化抑制効果を有するものであった。
[実施例10]
表4の配合に準じ、窒素雰囲気下で調製を行った以外は実施例1と同様の方法にて本発明の油脂組成物を製した。なお、原料油脂であるDHA含有トリグリセリドの酸化誘導期間は3時間56分、水分含有量は17.1%であった。
得られた油脂組成物のL2−L1の値は10以上であり、本発明の油脂組成物の構造を安定に維持するものであった。また、酸化誘導期間は原料油脂であるDHA含有トリグリセリドの酸化誘導期間の180%以上となり、油脂の酸化抑制効果に非常に優れるものであった。

Claims (10)

  1. 油脂、イオン性界面活性剤及び多価アルコールを含有する油脂組成物であって、
    下記方法により算出したL2−L1値が正であり、
    前記油脂組成物全量に対して、
    油脂を40%以上95%以下、
    イオン性界面活性剤を0.5%以上10%以下、
    多価アルコールを3%以上36.4%以下配合し、
    前記油脂が不飽和脂肪酸を含み、
    前記イオン性界面活性剤が両性界面活性剤であり、
    前記両性界面活性剤がリゾリン脂質であり、
    前記多価アルコールがグリセリン又は糖アルコールである、
    油脂組成物。
    L1値:油脂組成物の明度の値
    L2値:油脂組成物に清水で100質量倍を添加して得られた乳化物の明度の値
  2. 請求項1に記載の油脂組成物において、
    前記L2−L1の値が10以上である、
    油脂組成物。
  3. 請求項1又は2に記載の油脂組成物において、
    前記油脂組成物の酸化誘導期間が、原料油脂の酸化誘導期間に対して
    130%以上である、
    油脂組成物。
  4. 請求項1乃至3のいずれか一項に記載の油脂組成物において、
    前記油脂組成物全量に対して水分含有量が0%以上6%以下含有する、
    油脂組成物。
  5. 請求項1乃至4のいずれか一項に記載の油脂組成物において、
    前記油脂を構成する脂肪酸としてω3脂肪酸を含み、
    前記油脂を構成する脂肪酸におけるω3脂肪酸の質量比率が5%以上である、
    油脂組成物。
  6. 請求項1乃至5のいずれか一項に記載の油脂組成物において、
    前記両性界面活性剤を構成する脂肪酸に含まれる飽和脂肪酸の質量比率が40%以上である、
    油脂組成物。
  7. 請求項乃至のいずれか一項に記載の油脂組成物において、
    前記両性界面活性剤を構成する脂肪酸に含まれるアミノリン脂質の質量比率が0.01%以上である、
    油脂組成物。
  8. 請求項乃至のいずれか一項に記載の油脂組成物において、
    前記両性界面活性剤が卵黄由来である、
    油脂組成物。
  9. 請求項1乃至のいずれか一項に記載の油脂組成物において、
    前記多価アルコールがグリセリンである、
    油脂組成物。
  10. イオン性界面活性剤及び多価アルコールを含有させる、油脂の酸化抑制方法であって、
    下記方法により算出したL2−L1値が正となるように油脂組成物を調整し、
    前記油脂組成物全量に対して、
    油脂を40%以上95%以下、
    イオン性界面活性剤を0.5%以上10%以下、
    多価アルコールを3%以上36.4%以下配合し、
    前記油脂が不飽和脂肪酸を含み、
    前記イオン性界面活性剤が両性界面活性剤であり、
    前記両性界面活性剤がリゾリン脂質であり、
    前記多価アルコールがグリセリン又は糖アルコールである、
    油脂の酸化抑制方法。
    L1値:油脂組成物の明度の値
    L2値:油脂組成物に清水で100質量倍を添加して得られた乳化物の明度の値
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