<第1実施形態>
以下に図面を参照して本発明の実施形態を説明する。図1は第1実施形態の脱臭保存庫の斜視図を示している。脱臭保存庫1は床面に設置される本体部2と本体部2の上面を覆う蓋部10とを備えている。本体部2は外装を形成する外箱3を有し、外箱3の底面にはキャスター17、18(図2参照)が設けられる。外箱3の前面上部にはハンドル16が設けられ、ハンドル16を把持して脱臭保存庫1を床面上で移動させることができる。
蓋部10は外箱3の後端で枢支され、外箱3の上面の開口部3a(図2参照)を開閉する。蓋部10の上面前部には蓋部10を開く開ボタン11が設けられる。
図2は脱臭保存庫1の側面断面図を示している。また、図3は蓋部10を下方から見た斜視図を示し、図4は本体部2を上方から見た斜視図を示している。外箱3は水平断面形状が略矩形に形成され、前方が下がる傾斜面から成る上面に開口部3aを開口する。外箱3の底部には機械室5が設けられ、機械室5の上方に仕切壁9を介して収納部4が設けられる。仕切壁9を含む収納部4の壁面は発泡ウレタン等の断熱材を充填して形成される。
外箱3の後端にはヒンジ部12によって蓋部10が枢支される。ヒンジ部12には蓋部10を開く方向に付勢する捻りバネから成る付勢部13が設けられる。蓋部10には前部の下面に係止爪31が突出し、外箱3の上面前部には係止爪31が係合する孔部32が設けられる。
係止爪31が孔部32に係合して蓋部10が閉じられ、開ボタン11の押下により係止爪31と孔部32との係合を解除して蓋部10が開かれる。外箱3には蓋部10が開いた際に当接して回動範囲を規制するストッパ14が設けられる。また、蓋部10の周部には外箱3と蓋部10との隙間を塞ぐ環状のパッキンが設けられている。
外箱3の底面に配されるキャスター17、18は機械室5の底板5cに取り付けられる。前方の一対のキャスター17は鉛直な回転軸及び水平な回転軸を有し、底板5cの取付面5a上に取り付けられる。後方の一対のキャスター18は水平な回転軸を有し、取付面5aに対して下方に配される凹部5bに取り付けられる。
凹部5b内には冷凍サイクルを運転する圧縮機7が支持板7aを介して取り付けられる。これにより、後述する内ケース6を配した収納部4の下方に圧縮機11が配置される。従って、脱臭保存庫1の設置スペースを小さくし、居室内に脱臭保存庫1を設置することができる。
また、キャスター17の取付面5a対して下方に配される凹部5bに圧縮機7が設置されるため、機械室5の高さを低くすることができる。これにより、内容積の大きい収納部4を形成するとともに、外箱3の開口部3aを低い位置に設けることができる。
圧縮機7には冷媒管から成る冷却器8が接続される。冷却器8は蛇行により収納部4の前壁及び両側壁内に配される。圧縮機7により冷凍サイクルが運転されると、冷却器8によって収納部4内が冷却される。即ち、圧縮機7及び冷却器8は収納部4を冷却する冷却装置を構成する。これにより、収納部4内が冷蔵温度(0℃〜10℃)の所定の温度範囲Tr(図9参照)に維持される。本実施形態では温度範囲Trを1℃〜5℃に設定している。収納部4内を氷点よりも高温の冷蔵温度に冷却することにより、結露水の凍結による蓋部10や後述する内ケース6の固着を防止することができる。
また、脱臭保存庫1は収納部4の冷却条件の異なる通常冷却モードと急速冷却モードとを備えている。通常冷却モードは圧縮機7を所定の回転数で駆動して収納部4を冷却し、急速冷却モードは圧縮機7を通常冷却モードよりも高い回転数で駆動して収納部4を急速冷却する。通常冷却モード時は急速冷却モードよりも低回転で圧縮機7を駆動するため、脱臭保存庫1の省エネルギー化を図ることができる。
仕切壁5内には収納部4と外箱3の外部とを連通させるドレンパイプ33が設けられる。収納部4の冷却により収納部4内に発生する結露水はドレンパイプ33を介して排水される。
収納部4内には上面を開口して廃棄物が投入される内ケース6が配される。内ケース6は水平断面形状が略矩形に形成され、開口部3aを介して出し入れされる。内ケース6には出し入れする際に把持される把手(不図示)が設けられる。内ケース6内に廃棄物が投入されるゴミ袋を設け、開口部3aを介してゴミ袋を出し入れてもよい。
収納部4及び蓋部10には収納部4内の空気を循環させる循環ダクト20が設けられる。循環ダクト20は蓋部10に配される蓋部ダクト21と、収納部4の背壁上に配される収納部ダクト22とを有している。
収納部ダクト22上には収納部4内の温度を検知する温度センサ36が設けられる。温度センサ36の検知結果に基づいて圧縮機7をオンオフし、収納部4内が所定の温度範囲Trに維持される。また、温度センサ36の検知結果に基づいて後述するイオン発生装置26がオンオフされる。
図5は循環ダクト20を上方から見た斜視図を示し、図6は収納部ダクト22を後方から見た斜視図を示している。循環ダクト20の蓋部ダクト21は前部に吸込口21aが開口して後部に連通口21bが開口し、吸込口21aと連通口21bとの間に第1吸気路21cを形成する。連通口21bは前方から見て右方に偏った位置に配される。第1吸気路21cの下壁は蓋部10の上面に対して平行に形成され、水平に配される。
収納部ダクト22は前面の左方に偏った位置に吹出口22aが開口し、連通口21bに対向する連通口22bが上面に開口する。吹出口22aは内ケース6(図2参照)の上端よりも上方に配される。
収納部ダクト22内には遠心ファンから成る送風機25が配される。収納部ダクト22の下部は前方に突出し、送風機25の前方に面した吸気口(不図示)に気流を導く。連通口22bと送風機25の吸気口との間に第2吸気路22cが形成され、送風機25の排気口と吹出口22aとの間に排気路22dが形成される。
排気路22dの側壁上には排気路22d内にイオンを放出するイオン発生装置26が配される。イオン発生装置26は一対の放電電極(不図示)を有し、放電電極に交流波形またはインパルス波形から成る高電圧を印加してコロナ放電が発生する。
一方の放電電極には正電圧が印加され、コロナ放電により空気中の水分子が電離して水素イオンが生成される。この水素イオンが溶媒和エネルギーにより空気中の水分子とクラスタリングする。これにより、H+(H2O)m(mは0または任意の自然数)から成る空気イオンの正イオンが放出される。
他方の放電電極には負電圧が印加され、コロナ放電により空気中の酸素分子または水分子が電離して酸素イオンが生成される。この酸素イオンが溶媒和エネルギーにより空気中の水分子とクラスタリングする。これにより、O2 -(H2O)n(nは任意の自然数)から成る空気イオンの負イオンが放出される。
H+(H2O)m及びO2 -(H2O)nは空気中の浮遊菌や臭い成分の表面で凝集してこれらを取り囲む。そして、式(1)〜(3)に示すように、衝突により活性種である[・OH](水酸基ラジカル)やH2O2(過酸化水素)を微生物等の表面上で凝集生成して浮遊菌や臭い成分を破壊する。ここで、m’、n’は任意の自然数である。
従って、プラスイオン及びマイナスイオンを発生して排気路22dに放出することにより、排気路22dを流通する気流の殺菌及び脱臭を行うことができる。また、吹出口22aからプラスイオン及びマイナスイオンを送出して収納部4内の殺菌及び脱臭を行うことができる。
H+(H2O)m+O2 -(H2O)n→・OH+1/2O2+(m+n)H2O ・・・(1)
H+(H2O)m+H+(H2O)m’+O2 -(H2O)n+O2 -(H2O)n’
→ 2・OH+O2+(m+m'+n+n')H2O ・・・(2)
H+(H2O)m+H+(H2O)m’+O2 -(H2O)n+O2 -(H2O)n’
→ H2O2+O2+(m+m'+n+n')H2O ・・・(3)
尚、イオン発生装置26は一対の放電電極を有する形態に限定するものではなく、例えば放電電極が単一であってもよい。また、イオン発生装置26が発生するイオンはプラスイオン及びマイナスイオンのいずれか一方であってもよい。
イオン発生装置26と吹出口22aとの間には脱臭触媒27が配される。脱臭触媒27は二酸化マンガンやゼオライト等の吸着剤をハニカム状の基材に担持して形成され、臭気成分の化学吸着や物理吸着によってダクト部20内の気流を脱臭する。これにより、収納部4内の脱臭効果をより向上することができる。従って、イオン発生装置26及び脱臭触媒27は収納部4内を脱臭する脱臭装置を構成する。
尚、脱臭触媒27をハニカム状に形成することにより、イオン発生装置26で発生したイオンが脱臭触媒27を通過してイオンの消滅を抑制することができる。脱臭触媒27をイオン発生装置26の上流に配置してもよい。
循環ダクト20が蓋部ダクト21及び収納部ダクト22を有し、収納部ダクト22に送風機25、イオン発生装置26及び脱臭触媒27を配置するため、蓋部10を軽量化することができる。これにより、付勢部13の付勢力を弱くしても蓋部10を開くことができ、付勢部13に抗して蓋部10を閉じる際の使用者の負担を軽減することができる。
また、可動部である蓋部10に電気部品であるイオン発生装置26や送風機25を配さないため、蓋部10に電気配線を通す必要がない。また、蓋部10の開閉による衝撃をイオン発生装置26や送風機25が直接受けることがなくなる。従って、イオン発生装置26や送風機25の信頼性が向上して長寿命化を図ることができる。
図7は脱臭保存庫1の上部の吹出口22aを通る側面断面図を示し、図8は脱臭保存庫1の上部の連通口21b、22bを通る側面断面図を示している。送風機25(図6参照)の駆動によって後方の吹出口22aから収納部4内に気流が送出される(矢印B2)。収納部4内に送出された気流はイオンを収納部4内に拡散するとともに、蓋部10と内ケース6との間の空間部34を通って前方の吸込口21aから循環ダクト20内に流入する(矢印A1)。
これにより、内ケース6の上方の空間部34にエアカーテンが形成され、外箱3と蓋部10との隙間からの臭気成分の流出をより防止することができる。この時、外箱3の上面を前方が下がる傾斜面に形成するため、エアカーテンの形成領域を確保するとともに開口部3aの前端の高さを低くすることができる。
上記の脱臭保存庫1の横幅×奥行×高さは例えば、330mm×440mm×680mmに形成される。脱臭保存庫1の横幅は350mm以下にすると望ましい。即ち、介護ベッドの長さは約200mm〜220mmであり、居室の壁面の長さは約2550mm(1.5畳)であることが多い。このため、該壁面に沿って介護ベッドを配置した際に介護ベッドの足下または頭上のデッドスペースに脱臭保存庫1を設置することができる。
また、内ケース6の横幅×奥行×高さは約220mm×約280mm×約340mmに形成される。これにより、内ケース6の内容量が約20Lになっており、要介護者が利用する大人用の紙おむつを1人1日当たり4枚として4日分(重量約8kg)を収容することができる。このため、可燃性ゴミの回収日が一週間当たり2回とすると、回収日まで紙おむつを内ケース6内に保管することができる。
内ケース6の横幅は外箱3の横幅及び外箱3の周壁の厚みによって制限される。内ケース6の奥行を横幅に対して著しく大きくすると内ケース6を持ち運びしにくくなるため、内ケース6の奥行は横幅の1.5倍以下が望ましい。これにより、内ケース6の高さが所望の内容量(本実施形態では20L)を確保するように決められる。
また、外箱3の傾斜面から成る上面に開口する開口部3aの前端の高さは500mm〜600mmに形成される。開口部3aの前端の高さを500mm以上に形成することにより、使用者が屈まずに内ケース6または内ケース6内のゴミ袋を取り出すことができる。また、開口部3aの前端の高さを600mm以下にすることにより、廃棄物の収容により重量の大きい内ケース6やゴミ袋を開口部3aよりも上方に容易に持ち上げることができる。これにより、腕力の弱い女性や高齢者の使用者でも容易に内ケース6やゴミ袋を取り出して廃棄物を廃棄することができる。
上記構成の脱臭保存庫1において、開ボタン11の押下により蓋部10が開き、内ケース6内または内ケース6に配したゴミ袋内に廃棄物を投入して蓋部10が閉じられる。圧縮機7の駆動によって冷凍サイクルが運転され、収納部4内が冷蔵温度に冷却される。これにより、廃棄物からの臭気成分を含む水分の蒸散が抑制される。
また、送風機25及びイオン発生装置26の駆動により収納部4内の空気は矢印A1(図8参照)に示すように吸込口21aを介して循環ダクト20の蓋部ダクト21に流入する。蓋部ダクト21に流入した空気は第1吸気路21cを流通し、矢印A2(図8参照)に示すように連通口21b、22bを介して収納部ダクト22に流入する。収納部ダクト22に流入した空気は矢印A3、A4、A5(図6参照)に示すように第2吸気路22cを流通し、送風機25に導かれる。
送風機25から排気された空気は矢印B1(図6参照)に示すように排気路22dを流通し、イオン発生装置26により発生したイオンによって殺菌及び脱臭が行われる。また、排気路22dを流通する空気は脱臭触媒27を通過し、更に脱臭が行われる。脱臭触媒27を通過した空気は矢印B2(図7参照)に示すように吹出口22aから収納部4内に送出される。吹出口22aから送出された空気に含まれるイオンは収納部4内に拡散され、収納部4内の殺菌及び脱臭が行われる。
図9は脱臭保存庫1の脱臭による収納部4内の臭気指数と温度との関係を示す図である。縦軸は臭気指数を示し、横軸は温度(単位:℃)を示している。収納部4内には廃棄物の一例として生ゴミを収納し、イオン発生装置26を駆動した状態を図中、破線Ponで示し、停止した状態を破線Poffで示している。
臭気指数は式(1)により表される。式(1)において、Nは臭気指数であり、Mは臭気濃度である。臭気指数Nは臭気濃度Mを対数表示して表される。
N=10logM ・・・(1)
人の感覚は対数関数的に増減するため、臭気指数によって人が感じる臭いの増減を表すことができる。即ち、臭気濃度の変化割合が同じであれば臭気指数の変化量が同じであり、人が感じる脱臭効果も同じになる。
また、人による臭いの官能試験の評価は0(無臭)〜5(強烈な臭い)の6段階の臭気強度により行われる場合がある。臭気強度の値が1以上変わると使用者が臭いの増減を感じることができる。臭気成分により異なるが、多くの臭気成分は臭気指数が10変化すれば、臭気強度が1以上変化することが知られている。
図9によると、イオン発生装置26の駆動状態(Pon)及び停止状態(Poff)の臭気指数は温度の低下により減少する。即ち、収納部4の低温時は廃棄物からの臭気成分を含む水分の蒸散が少なく、収納部4内の臭気濃度が低くなるため臭気指数が低い。また、イオン発生装置26の駆動時はイオンによる脱臭が行われるため、イオン発生装置26の駆動状態の臭気指数は停止状態の臭気指数よりも低い。
この時、図中、実線Pで示すように、収納部4が第1切替温度T1と第2切替温度T2との間でイオン発生装置26が駆動される。また、第1切替温度T1よりも低温の期間及び第2切替温度T2よりも高温の期間でイオン発生装置26が停止される。第1切替温度T1は収納部4が温度制御される温度範囲Tr内の温度に設定される。第2切替温度T2は温度範囲Trに対して高温の温度に設定される。
図中、S1はイオン発生装置26を停止した収納部4内が常温(25℃)の時の臭気指数を示し、S2は臭気指数S1に対して10低い臭気指数を示している。臭気指数S1は常温の居室内に廃棄物を放置した場合の居室内の臭気指数と同等である。
本実施形態ではイオン発生装置26を停止した収納部4内が臭気指数S2となる温度(4℃)を第1切替温度T1に設定している。これにより、第1切替温度T1よりも低温の期間ではイオン発生装置26を停止しても常温の居室内に廃棄物を放置した場合に対して臭気強度の値が約1以上減少する。このため、通常の室温の居室内で使用者が脱臭効果を感じることができる。
また、本実施形態では第2切替温度T2を常温(25℃)に設定している。居室内が高温となる夏季に蓋部10を長時間開いた場合等に収納部4が常温よりも高温になり、収納部4内の臭気指数が臭気指数S1よりも高くなる。この居室内に廃棄物を放置した場合も同様に居室内の臭気指数が臭気指数S1よりも高くなる。
常温よりも高温の期間では居室内に廃棄物を放置した場合に対してイオン発生装置26を駆動した際の臭気指数の減少量(PoffとPonの差)が小さい。このため、常温の第2切替温度T2よりも高温の期間でイオン発生装置26を駆動しても使用者が脱臭効果を感じられず、停止しても使用者が脱臭効果の低下をあまり感じない。
従って、第1切替温度T1よりも低温の期間及び第2切替温度T2よりも高温の期間でイオン発生装置26を停止すると、イオン発生装置26の駆動時間を削減できる。これにより、放電電極の劣化を抑制し、イオン発生装置26の長寿命化を図ることができる。
尚、第1切替温度T1は温度範囲Tr内の他の温度に設定してもよい。例えば、第1切替温度T1を臭気指数S1に対する差が10よりも大きい臭気指数となる温度に設定してもよい。また、第1切替温度T1を臭気指数S1に対する差が10よりも小さい臭気指数となる温度に設定してもよい。この場合は、通常の室温の居室内で一部の使用者に対して脱臭効果を感じさせることができる。
また、第2切替温度T2は温度範囲Trよりも高温の常温以外の温度に設定してもよい。第2切替温度T2を常温よりも高温にすると、居室内に配したゴミ収容器1の収納部4内が第2切替温度T2に到達することが少ない。このため、第2切替温度T2を常温よりも低温にすると、イオン発生装置26の駆動時間をより削減できる。
この時、イオン発生装置26の駆動時に収納部4内が臭気指数S2となる温度(図9では約12℃)よりも高温に第2切替温度T2を設定してもよい。これにより、イオン発生装置26を駆動しても収納部4内の臭気指数と臭気指数S1との差が10よりも小さい期間でイオン発生装置26が停止される。このため、使用者に脱臭効果の低下をあまり感じさせずにイオン発生装置26の駆動時間を削減できる。
また、イオン発生装置26の停止時と駆動時との臭気指数の差が最大となる温度(図9では約15℃)よりも高温に第2切替温度T2を設定してもよい。これにより、第2切替温度T2よりも高温側でイオン発生装置26の駆動時の臭気指数と臭気指数S2との差が大きくなり、イオン発生装置26の駆動時の臭気指数と停止時の臭気指数との差が小さくなる。このため、イオン発生装置26を駆動しても停止時との臭気指数の差が小さく、使用者に脱臭効果の低下をより感じさせずにイオン発生装置26の駆動時間を削減できる。
尚、第1切替温度T1や第2切替温度T2は単一の値に設定されるだけでなく、幅を持った値に設定することもできる。例えば、本実施形態において第1切替温度T1の設定温度を4℃に対して±0.2℃の幅を持たせてもよい。これにより、3.8℃よりも低温となった場合にイオン発生装置26を停止させ、4.2℃よりも高温となった場合にイオン発生装置26を駆動させる。このように設定温度に幅を持たせることで、設定温度近くで頻繁にイオン発生装置26がオンオフしてしまうことを防止できる。
図10は脱臭保存庫1の動作を示すフローチャートである。脱臭保存庫1に電源が投入されると、ステップ#11で収納部4内の温度T0が温度範囲Trの上限温度(5℃)よりも高温か否かが判断される。温度T0が温度範囲Trの上限温度よりも高温でない場合はステップ#15に移行し、高温の場合はステップ#12に移行する。
ステップ#12では通常冷却モードが選択されているか否かが判断される。急速冷却モードが選択されている場合はステップ#13に移行する。ステップ#13では圧縮機7が高回転で駆動され、ステップ#26に移行する。通常冷却モードが選択されている場合はステップ#14に移行する。ステップ#14では圧縮機7が低回転で駆動され、ステップ#21に移行する。
また、ステップ#15では急速冷却モードにより圧縮機7が高回転で駆動されているか否かが判断される。圧縮機7が高回転で駆動されていない場合はステップ#21に移行する。圧縮機7が高回転で駆動されている場合はステップ#14に移行して圧縮機7が低回転で駆動され、急速冷却モードから通常冷却モードに切り替えられる。
ステップ#21では収納部4の温度T0が第2切替温度T2(25℃)よりも高温か否かが判断される。温度T0が第2切替温度T2よりも高温の場合はステップ#26に移行し、高温でない場合はステップ#22に移行する。
ステップ#22では収納部4の温度T0が第1切替温度T1よりも低温か否かが判断される。温度T0が第1切替温度T1(4℃)よりも低温の場合はステップ#26に移行し、低温でない場合はステップ#23に移行する。
ステップ#23では蓋部10が開かれているか否かが判断される。蓋部10が開かれている場合はステップ#26に移行し、閉じられている場合はステップ#24に移行する。
ステップ#24ではイオン発生装置26を駆動してステップ#25で送風機25を駆動し、ステップ#31に移行する。これにより、イオンによる脱臭効果が得られる。
また、ステップ#26ではイオン発生装置26を停止してステップ#27で送風機25を停止し、ステップ#31に移行する。これにより、急速冷却モード時、第1切替温度T1よりも低温時、第2切替温度T2よりも高温時及び蓋部10の開成時にそれぞれイオン発生装置26及び送風機25が停止される。
蓋部10が開かれるとイオン発生装置26を駆動してもイオンが室内に放出されて十分な脱臭効果が得られない。また、蓋部10を開いて送風機25が駆動されると、収納部4内の臭気成分が室内に放出されて使用者に不快感を与える。このため、蓋部10が開かれた際にイオン発生装置26及び送風機25を停止してこれらの長寿命化を図るとともに、不快感を防止することができる。
また、急速冷却モードは使用者の選択により動作するため、蓋部10を閉じた状態が保持される可能性が高い。このため、急速冷却モード時にイオン発生装置26及び送風機25を停止してこれらの長寿命化を図ることができる。
ステップ#31では収納部4内の温度T0が温度範囲Trの下限温度(1℃)よりも低温か否かが判断される。温度T0が温度範囲Trの下限温度よりも低温でない場合はステップ#11に移行してステップ#11〜#31が繰り返される。温度T0が温度範囲Trの下限温度よりも低温の場合はステップ#32に移行し、圧縮機7が停止される。そして、ステップ#11〜#32が繰り返される。
尚、本実施形態において、蓋部10を閉じた状態でイオン発生装置26を停止した際に、送風機25を駆動して脱臭触媒27による脱臭を行ってもよい。
本実施形態によると、収納部4が冷却により所定の温度範囲Trに維持され、温度範囲Tr内の第1切替温度T1よりも高温の時にイオン発生装置26を駆動して低温の時にイオン発生装置26が停止される。このため、収納部4の冷却により臭気濃度が低くなった時にイオン発生装置26を停止し、イオン発生装置26の長寿命化を図ることができる。
また、収納部4が温度範囲Trに対して高温の第2切替温度T2よりも高温の時にイオン発生装置26を停止して圧縮機7が駆動される。これにより、イオン発生装置26を駆動しても使用者が脱臭効果を感じられない高温の期間でイオン発生装置26を停止し、イオン発生装置26の長寿命化をより図ることができる。
また、イオン発生装置26の駆動時に送風機25を駆動し、イオン発生装置26の停止時に送風機25を停止するので、送風機25の長寿命化を図ることができる。
また、蓋部10を開いた際にイオンが室内に放出されて十分な脱臭効果が得られないため、イオン発生装置26を停止してイオン発生装置26の長寿命化をより図ることができる。この時、送風機25を停止することにより、臭気成分の放出による不快感を防止することができる。
また、通常冷却モードと急速冷却モードとを使用者により選択可能に設け、急速冷却モードの実行時にイオン発生装置26が停止される。急速冷却モードが使用者により選択されるため蓋部10を閉じた状態が保持される可能性が高く、イオン発生装置26を停止してイオン発生装置26の長寿命化をより図ることができる。また、急速冷却モードを実行して収納部4が低温の温度範囲Trになると通常冷却モードに切り替えられるため、脱臭保存庫1の省電力化を図ることができる。
また、冷却器8により収納部4内が氷点(0℃)よりも高温の冷蔵温度に冷却されるので、結露水の凍結による蓋部10や内ケース6の固着を防止することができる。
また、蓋部10上に配した蓋部ダクト21の前部に吸込口21aが開口して収納部4の背壁上に配される収納部ダクト22の内ケース6よりも上方に吹出口22aが開口し、外箱3の上面が傾斜面に形成される。これにより、内ケース6の上方にエアカーテンを形成して外箱3と蓋部10との隙間からの臭気成分の流出を防止することができる。また、開口部3aの前端の高さを低く形成して内ケース6を開口部3aから容易に出し入れすることができる。
また、冷却器8が収納部4の背壁を除く周壁(前壁、側壁)に配した冷媒管により形成される。これにより、収納部4内の内ケース6を配した内容物の収納領域に隣接して冷媒管から成る冷却器8が配され、収納領域を効率良く冷却することができる。
<第2実施形態>
次に、図11、図12は第2実施形態の脱臭保存庫1のダクト部20の斜視図及び収納部ダクト22の斜視図を示している。説明の便宜上、前述の図1〜図10に示す第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付している。本実施形態は第1実施形態に対して吹出口22aの配置が異なっている。その他の部分は第1実施形態と同一である。
収納部ダクト22の上面には前方から見て右方に偏った位置に連通口22bが開口し、左方に偏った位置に吹出口22aが開口する。蓋部ダクト21の下面には上方に凹む凹部21dが吹出口22aに対向して設けられる。
図13は脱臭保存庫1の上部の吹出口22a上を通る側面断面図を示している。送風機25の駆動によって吹出口22aから上方に送出される空気は矢印B3に示すように、凹部21dの内面に沿って下方に向かって反転する。そして、イオンを含む空気の一部が内ケース6の内部に供給され、前方の吸込口21aから蓋部ダクト21に流入する。これにより、内ケース6の上方の空間部34にエアカーテンを形成するとともに、イオンにより内ケース6の内部の殺菌及び脱臭を行うことができる。従って、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
<第3実施形態>
次に、第3実施形態について説明する。本実施形態は前述の図1〜図8に示す第1実施形態と同様に構成され、フィンチューブ型の冷却器8(不図示)が循環ダクト20の収納部ダクト22内に設けられる。その他の部分は第1実施形態と同様である。
送風機25が駆動されると収納部ダクト22内の冷却器8と熱交換した冷気が収納部4内に送出される。これにより、収納部4内を冷却することができ、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。第2実施形態の脱臭保存庫1についても本実施形態と同様の冷却器8を設けてもよい。また、冷却器8を循環ダクト20内及び収納部4の周壁内の両方に設けてもよい。
第1〜第3実施形態において、収納部4内に生ゴミや紙おむつ等の廃棄物を収納しているが、臭いを発生する食品等の内容物を収納してもよい。