JP6418871B2 - めっき用マスキングフィルム - Google Patents

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Description

本発明は、配線基板の製造工程において部分的にめっき処理を施す際に用いられるめっき用マスキングフィルムに関し、さらに詳しくは、フレキシブルプリント基板等の接続端子等特定部位に選択的にめっき処理を施す際に用いられるめっき用マスキングフィルムに関する。
配線基板は、絶縁基材上に、所望により接着剤層を介して銅箔等からなる導電層を積層し、当該積層体の導電層を食刻加工等により任意の回路パターンに形成することにより製造される。形成された回路パターンの表面は、電気抵抗を低くしたり、酸化や摩耗から回路表面を保護するため、あるいは装飾等のために部分的にめっき層が形成されている。
図1に、めっき用マスキングフィルムを用いて配線基板の回路パターン上に部分的にめっき層を形成する工程の一例を示す。図1(A)は、めっき用マスキングフィルムの断面模式図の一例である。セパレータ3に、粘着層塗布液を塗布し、乾燥して粘着層2を形成する。セパレータとしては、例えば、クラフト紙にシリコーン処理を施した紙セパレータ等を用いることができる。粘着層2をめっき用マスキングフィルム支持体1の一方の面に貼り合わせた後、キュアリングして、セパレータ付きのめっき用マスキングフィルム10を作製する。
図1(B)は打抜き工程を示す図である。ここでは、配線基板であるフレキシブルプリント基板(FPC)4(図1(C)参照)のマスキングをしない部分、すなわち、めっき層を形成する部分を打ち抜く。この工程は、室温でパンチングのような打ち抜き機を用いて行われる。
続いて、打ち抜いためっき用マスキングフィルム10からセパレータ3を剥離した後、FPC4の回路パターンに粘着層2面を貼り付けて仮貼りする(図1(C))。その後、100〜120℃で熱ラミネート及び/又は熱プレスを行い、めっき用マスキングフィルム10をFPC4の回路パターンに密着させる(図1(D))。
上記のようにして得られためっき用マスキングフィルム10を被覆したFPC4をめっき液が通常60℃〜90℃程度であるめっき槽5に入れて、電解めっきや無電解めっきを行うことにより、FPC4上のめっき用マスキングフィルム10が貼られていない部分にめっき層6が形成される(図1(E))。図1(E)のめっき工程終了後、FPC4をめっき槽から取り出し、水で洗い、60℃〜120℃で乾燥後、室温まで放冷する(図1(F))。冷却したFPC4からめっき用マスキングフィルム10を剥離することにより、FPC4の所望の箇所にめっき層6が形成された製品が得られる(図1(G))。
上記FPC等配線基板の表面には、先に形成した回路パターンの複雑な凹凸がある。そのため、めっき用マスキングフィルムは、この凹凸に追従・密着し(以下、「回路パターンへの追従性」又は「追従性」という)、マスキング部分へのめっき液浸入を防止する必要がある。めっき用マスキングフィルムの追従性が低いと、めっき液の浸み込みが発生し、めっき精度が低下して回路の誤動作等の原因となる可能性もある。
上記課題を解決するために、特許文献1では、ポリブチレンテレフタレートよりなる層と、ガラス転移温度が40℃〜90℃のポリエステルよりなる層とが共押出法により積層され、総厚みが10μm〜50μmであるマスキングフィルム支持体が提案されている。上記マスキングフィルム支持体は、良好な打ち抜き性と追従性、低収縮性及び粘着剤に対する良好な濡れ性を有することが記載されている。しかしながら、マスキングフィルム支持体の各種性能は改善されたが、追従性及び打ち抜き性が未だ十分なものではなかった。
また、特許文献2では、ポリブチレンテレフタレートに、特定の無機フィラーを含有させ、室温付近での引張り弾性値を所定値としためっき用マスキングフィルム支持体が提案されている。上記マスキングフィルム支持体は、追従性及び打ち抜き性が優れたものであった。
特開2012−82267号公報 国際公開WO2014/098195パンフレット
しかしながら、特許文献2のマスキングフィルム支持体は、無機フィラーを含有しているためマスキングフィルム支持体が裂けてちぎれやすいものであり、取扱性に注意を要するものであった。
一方、従来のめっき用マスキングフィルムは、上述したようにマスキング部分へのめっき液の浸入を防止するという観点から、めっき工程で加わる温度に耐え得るよう高温で高い粘着性を有する必要があり、これに伴いめっき後の常温でも比較的高い粘着性を有するものである(例えば、特開2008−300441号公報の段落番号0064〜0069)。
このような従来からのめっき用マスキングフィルムで用いている粘着層を、上記特許文献2のマスキングフィルム支持体に用いると、上述したように特許文献2のマスキングフィルム支持体は裂けてちぎれやすいため、配線基板から剥離する際に、めっき用マスキンフィルムが剥離できないあるいは剥離しにくくなるという新たな問題が生じた。
このような問題を解決するため上記粘着層の厚みを薄くして、めっき後の常温での粘着性を低くしようとすると、高温での粘着性も低くなるため、密着性が低下し、さらには回路パターンへの追従性も低下することから、マスキング部分へのめっき液の浸入を防止することができないものとなってしまった。
また、上記従来のめっき用マスキングフィルムで用いられている粘着層は、打ち抜き加工の際に、粘着層からバリが発生しやすいものである。粘着層からバリが発生すると本来めっきすべき部分にめっきが施されないという不具合が生じる。さらには、バリが発生した部分からめっき液が浸入して、マスキング精度を低下させるという不具合も生じる。
そこで本発明は、常温及び高温での回路パターンへの追従性が良好であり、めっき液の浸み込み防止性に優れ、かつバリが発生しにくく打ち抜き性に優れ、さらにめっき後の常温での剥離性が良好なめっき用マスキングフィルムを提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討を行った結果、マスキングフィルム支持体の一方の面に有する粘着層に着目し、当該粘着層を特定のものとすることによって、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のめっき用マスキングフィルムは、基材フィルムの一方の面に粘着層を有するものであって、前記粘着層はガラス転移温度が10℃から35℃であり、かつ少なくとも(A)アクリル樹脂と(B)架橋剤とから形成されてなるものであり、
前記(A)アクリル樹脂は、少なくとも(A−1)エチルメタクリレート、(A−2)前記(B)と反応する官能基としての水酸基とともに炭素数が2〜8のアルキル基を有する(メタ)アクリレート及び(A−3)エチレン性不飽和二重結合を有するモノマー(ただし、(A−1)及び(A−2)に該当するものを除く)を含む成分からなる共重合体であることを特徴とするものである。
好ましくは、(A)成分は、(A−1)成分を30〜75質量%、(A−2)成分を0.1〜10質量%、(A−3)成分を15〜65質量%、含有するものである。
また好ましくは、本発明のめっき用マスキングフィルムは、粘着層が、さらに(C)成分として、ガラス転移温度が−70℃から−30℃である樹脂を含有することを特徴とするものである。
さらに好ましくは、(C)成分が、炭素数2〜8の(メタ)アクリレート(官能基を含有するものを除く)、アクリロニトリル、酢酸ビニル及び(B)と反応する官能基含有する(メタ)アクリレートから選ばれる種以上のモノマー由来成分を含む樹脂((A)成分に該当するものを除く)であることを特徴とするものである。
また本発明のめっき用マスキングフィルムは、粘着層における(C)成分の含有量が前記粘着層全体の30質量%以上、80質量%以下であることを特徴とするものである。
また本発明のめっき用マスキングフィルムは、粘着層の厚みが4〜40μmであることを特徴とするものである。
また本発明のめっき用マスキングフィルムは、前記基材フィルムが無機フィラーを含有することを特徴とするものである。
なお、本発明でいう「ガラス転移温度」とは、めっき用マスキングフィルムから剥離させた粘着層を示差走査熱量測定(DSC)することにより得られた値(℃)をいう。
本発明によれば、常温及び高温での回路パターンへの追従性が良好であり、めっき液の浸み込み防止性に優れ、かつバリが発生しにくく打ち抜き性に優れ、さらにめっき後の常温での剥離性が良好なめっき用マスキングフィルムが得られる。
マスキングフィルムを用いて配線基板の回路パターン上に部分的にめっき層を形成する工程の一例を示す模式図である。
本発明のめっき用マスキングフィルムは、基材フィルムの一方の面に粘着層を有するものであって、
前記粘着層はガラス転移温度が10℃から35℃であり、かつ少なくとも(A)アクリル樹脂と(B)架橋剤とから形成されてなるものであり、
前記(A)アクリル樹脂は、少なくとも(A−1)エチルメタクリレート、(A−2)前記(B)と反応する官能基としての水酸基とともに炭素数が2〜8のアルキル基を有する(メタ)アクリレート及び(A−3)エチレン性不飽和二重結合を有するモノマー(ただし、(A−1)及び(A−2)に該当するものを除く)を含む成分からなる共重合体であることを特徴とするものである。
以下、本発明のめっき用マスキングフィルムの実施の形態について詳細に説明する。
本発明で用いられる基材フィルムとしては、特に制限されるものではなく、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、トリアセチルセルロース、ポリイミド、ポリアミド、ポリエーテルスルホン、芳香族ポリアミド、ポリスルホン、アクリル、ポリ塩化ビニル、フッ素樹脂などの合成樹脂フィルムを用いることができる。
なかでも、回路パターンへの追従性及び打ち抜き加工性の観点から、無機フィラー、特に粘土鉱物を含有したポリブチレンテレフタレートを用いることが好適である。粘土鉱物としては、タルク、カオリナイト、パイロフィライト、マイカ、モンモリロナイト、スメクタイト、セリサイト、イライト、グローコナイト、クロライト、ゼオライト、バーミキュライト、リモナイト、サポナイト、ディッカイト、ナクライト、ベーマイト、ゾノトライト、ドロマイト、カルサイト、ゼビオライト、ワラストナイト等があげられる。なかでもモース硬度が3以下の粘土鉱物が好ましく、特に、タルク、カオリナイト、パイロフィライト、マイカは、取扱い性がよく安価に製造することができることから、これらから選ばれる少なくとも一種を用いることが好ましい。
なお、基材フィルムは透明であっても、これを構成する材料に各種顔料や染料を配合して着色したものであってもよく、また、その表面がマット状に加工されていてもよい。さらには、これらの合成樹脂フィルムを2層以上組み合わせて積層したものであってもよい。基材フィルムの厚み(積層したものを用いる場合は総厚み)は、特に限定されるものではないが、回路パターンへの追従性及び打ち抜き加工性の観点から、下限として、4μm以上、8μm以上、さらには12μm以上とすることが好ましく、上限として、125μm以下、100μm以下、75μm以下、さらには50μm以下とすることが好ましい。厚みを4μm以上とすることにより、打ち抜き加工性及び熱寸法安定性に優れ、さらには取扱い性が良好なものとすることができる。厚みを125μm以下とすることにより、回路パターンへの追従性を良好なものとすることができる。
このような基材フィルムは、本発明の効果を阻害しない範囲であれば、耐熱安定剤、耐酸化安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤などの公知の添加剤を含有させることができる。また、基材フィルムと後述する粘着層との密着性を向上させるために、基材フィルムの表面にプラズマ処理、コロナ放電処理、火炎処理、オゾン処理、紫外線照射処理、電子線照射処理、放射線照射処理、酸処理、アルカリ処理、化学薬品処理、サンドブラスト処理、エンボス処理、下引き易接着層塗布形成などの易接着処理を施しても良い。
また、基材フィルムの前記粘着層を設けた面とは反対側の面には、必要に応じて、帯電防止処理、剥離処理、隠蔽処理、エンボス処理などの表面処理を施しても良い。特に剥離処理として、シリコーン系、フッ素系、アルキド系の離型剤を塗布しても良い。
次に、粘着層について説明する。粘着層のガラス転移温度は、下限として10℃以上、好ましくは20℃以上であり、上限として35℃以下、好ましくは30℃以下である。ガラス転移温度の下限を10℃以上とすることにより、高温での密着力の低下を抑制し、めっき液の浸み込みを防止することができる。また、ガラス転移温度の上限を35℃以下とすることにより、配線基板の凹凸に対する追従性が良好となり、配線基板に貼り合せた際の初期の接着性を良好なものとすることができる。
また、このようなガラス転移温度を持つ粘着層は、さらに−40℃以上0℃以下の範囲に、より好ましくは−35℃以上−10℃以下の範囲に、もう一つガラス転移温度を有することが好ましい。
このような範囲にもう一つガラス転移温度を有することにより、高温での密着力の低下をより抑制することができ、めっき液の浸み込みをより防止することができる。また、常温でのタックをさらに十分なものとすることができるため、配線基板に貼り合せた際の初期の接着性をより良好なものとすることができる。さらには、めっき工程前後にエッチング処理や水洗処理等を行う場合でも、配線基板から当該マスキングフィルムが剥がれてしまうことを防止することができる。
また粘着層は、少なくとも(A)アクリル樹脂と(B)架橋剤とから形成されてなるものである。本発明で用いる(A)アクリル樹脂は、少なくとも(A−1)エチルメタクリレート、(A−2)(B)と反応する官能基としての水酸基とともに炭素数が2〜8のアルキル基を有する(メタ)アクリレート及び(A−3)エチレン性不飽和二重結合を有するモノマー(ただし、(A−1)及び(A−2)に該当するものを除く)を含む成分からなる共重合体である。
まず、(A−1)エチルメタクリレートは、高温での回路パターンへの追従性を良好なものとし、粘着層のバリが発生しにくく打ち抜き性を良好なものとするという観点から用いられる。
(A−1)エチルメタクリレートを用いることにより、高温で高い粘着力を保持することができるため、高温でのめっき液の浸入を防止することができる。また、適度な柔軟性を有するため、打抜き加工時に粘着層のバリの発生を抑えることができ打ち抜き性に優れ、さらにめっき後の常温での剥離力が良好なめっき用マスキングフィルムとすることができる。また、無機フィラーを含有したポリブチレンテレフタレートや、比較的厚みの薄い(厚み20μm以下程度)ポリエチレンテレフタレート等を基材フィルムとして使用した場合であっても、被着体からマスキングフィルムを剥離する際に当該基材フィルムが裂けてちぎれてしまうことなく、剥離することができる。
また、粘着層の凝集力を調整し、高温での粘着力及び加熱後の常温での剥離力を調整するという観点から、(A−2)後述の(B)と反応する官能基としての水酸基とともに炭素数が2〜8のアルキル基を有する(メタ)アクリレートが用いられる。このような水酸基を有するモノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、N−メチロールアクリルアミド、アリルアルコール、p−ヒドロキシスチレンなどがあげられる。なかでも2−ヒドロキシエチルメタクリレート及び2−ヒドロキシエチルアクリレートから選ばれる少なくとも1種以上を用いることによって、より粘着層の凝集力を調整しやすくすることができ、より高温での粘着力及び加熱後の常温での剥離力を調整しやすくすることができる。また、(A−2)成分を含むことにより、被着体に糊残りを生じさせにくくすることができる。
また、(A−3)エチレン性不飽和二重結合を有するモノマーは、被着体からの加熱後の常温での剥離力を調整するとともに、粘着層のガラス転移温度を適正な範囲に調整しやすくすることができるという観点から用いられる。このようなモノマーとしては、上述した(A−1)及び(A−2)の両成分以外の、炭素数が2〜8のアルキル基を有する(メタ)アクリレート例えば、エチルアクリレート、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ビニルエーテル、スチレン、(メタ)アクリロニトリルなどがあげられる。なかでもエチルアクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、アクリロニトリル、メチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート及び酢酸ビニルから選ばれる少なくとも1種以上を用いることによって、より被着体からの加熱後の常温での剥離力を調整しやすくするとともに、より粘着層のガラス転移温度を適正な範囲に調整しやすくすることができる。
以上のような(A)アクリル樹脂を構成する(A−1)成分、(A−2)成分及び(A−3)成分は、粘着層としたときのガラス転移温度が10℃から35℃になるように配合しなければならないが、高温で高い粘着力を有しつつ加熱後の常温でのより良好な剥離力を得る、また糊残りしにくく、打ち抜き加工時にバリが生じにくく打ち抜き性をより良好にすることができるという観点から、(A−1)成分は下限として30質量%以上、さらには40質量%以上であり、上限として75質量%以下、さらには65質量%以下とし、(A−2)成分は、下限として0.1質量%以上、さらには1質量%以上であり、上限として10質量%以下、さらには5質量%以下とし、(A−3)成分は、下限として15質量%以上、さらには25質量%以上であり、上限として65質量%以下、さらには50質量%以下とすることが好ましい。
次に、(B)成分の架橋剤は、(A)アクリル樹脂中の官能基と反応して架橋させるために用いるものであり、例えば、イソシアネート系架橋剤、金属キレート架橋剤、エポキシ系架橋剤、メラミン系架橋剤、尿素系架橋剤などがあげられる。なかでも、基材フィルムとの密着性、被着体への糊残り防止性及び剥離力の調整のしやすさという観点から、イソシアネート系架橋剤が好ましく用いられる。
イソシアネート系架橋剤としては、トリレンジイソシアネート系、ジフェニルメタンジイソシアネート系、ナフタレンジイソシアネート系、キシリレンジイソシアネート系、イソホロンジイソシアネート系、ヘキサメチレンジイソシアネート系、メチルジフェニルメタンジイソシアネート系、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート系、リジンイソシアネート系などがあげられるが、なかでも官能基を3つ以上有するものであることが好ましい。官能基を3つ以上有するイソシアネート系架橋剤を用いることにより、基材フィルムへの密着性がより良好となり、また架橋密度が高くなるため、より糊残りしにくい粘着層とすることができる。また基材フィルムがちぎれ易いものであった場合でも、ちぎれることなく剥離することができる。
このようなイソシアネート系架橋剤としては、トリレンジイソシアネート系、イソホロンジイソシアネート系、ヘキサメチレンジイソシアネート系などがあげられる。
また、粘着層は、上述した(A)成分及び(B)成分に加えて、(C)成分として、他の樹脂を含有させても良く、被着体からの剥離力を調整するとともに、粘着層のガラス転移温度を適正な範囲に調整しやすくすることができるという観点から、ガラス転移温度が−70℃から−30℃である樹脂を含有させることが好ましい。このような(C)成分のガラス転移温度が−70℃から−30℃である樹脂としては、
炭素数2〜8の(メタ)アクリレート(官能基を含有するものを除く)、アクリロニトリル、酢酸ビニル及び前記(B)と反応する官能基含有する(メタ)アクリレートから選ばれる種以上のモノマー由来成分を含む樹脂((A)成分に該当するものを除く)などがあげられ、このような樹脂を用いることによって、より被着体からの剥離力を調整するとともに、粘着層のガラス転移温度を適正な範囲に調整しやすくすることができる。
前記粘着層に(C)成分を加えたときの前記粘着層における(C)成分の含有量は、本発明の効果を阻害しない範囲であれば特に限定されるものではないが、(A)アクリル樹脂の性能を阻害せず、かつ被着体からの剥離力を調整しやすくすることができるという観点から、下限として粘着層全体の30質量%以上、さらには40質量%以上とすることが好ましく、上限として粘着層全体の80質量%以下、さらには70質量%以下とすることが好ましい。(C)成分が多くなりすぎると、高温での粘着性が低下していき、めっき液が浸み込みやすくなっていくため、(C)成分はこのような範囲とすることが好ましい。
また、このような粘着層には、本発明のめっき用マスキングフィルムとしての機能を損なわない範囲であれば、反応促進剤、界面活性剤、顔料、滑剤、着色剤、帯電防止剤、難燃剤、抗菌剤、防カビ剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、レベリング剤、流動調整剤、消泡剤などの種々の添加剤を含ませることができる。
粘着層の厚みは回路パターンの凹凸の深さや形状によって異なってくるので一概にいえないが、下限としては4μm以上、さらには6μm以上が好ましく、上限としては40μm以下、さらには20μm以下が好ましい。粘着層の厚みを4μm以上とすることにより、高温での回路パターンへの追従性を十分なものとすることができ、めっき液の浸入を防止することができ、40μm以下とすることにより、取扱性及び生産性を向上することができる。
本発明のめっき用マスキングフィルムは、上述した(A)アクリル樹脂、(B)架橋剤、所望により用いられる(C)他の樹脂及び添加剤を、必要に応じて希釈溶剤に溶解又は分散して塗布液とし、この塗布液をバーコーティング法などの従来公知の塗布方法によって、上述した基材フィルムの一方の面に塗布、乾燥、必要に応じキュアリングすることによって作製することができる。また当該塗布液をセパレータに塗布、乾燥した後、基材と貼り合わせて作製することもできる。
本発明のめっき用マスキングフィルムは、取扱性の観点から粘着層を有する面にセパレータを設けることが好ましい。このようなセパレータとしては、特に限定されず紙や合成紙、ポリエチレンラミネート紙、プラスチックフィルム等を使用することができる。プラスチックフィルムとしては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンナフタレート、ポリスチレン、ポリアリレート、アセチルセルロース、ポリアミド、ポリイミド、ポリ塩化ビニル、塩化ビニリデン−塩化ビニル共重合体、(メタ)アクリル酸エステル樹脂、フッ素系樹脂等からなる各種の合成樹脂フィルム等があげられる。
上記セパレータは、粘着層との離型性を向上させるため、粘着層と接する面にポリエチレンワックスやシリコーン離型剤を塗布し離型処理を施したものであっても良い。また、粘着層に凹凸を転写する目的でセパレータ表面に凹凸を施したもの、例えば、セパレータ表面にマット剤を含有した樹脂層を設けたり、セパレータ表面をサンドマット処理したり、セパレータ自身をエンボス処理したものを用いても良い。
以上のような、本発明のめっき用マスキングフィルムは、(a)配線基板に用いられる合成樹脂フィルムと、当該めっき用マスキングフィルムの粘着層を有する面とが向き合うように配置して120℃で熱ラミネートし、JIS Z0237:2009に準拠した測定法での85℃における粘着力が0.5N/25mm以上、さらには0.6N/25mm以上に調整することが好ましい。
また、(b)上記と同様の合成樹脂フィルムと、当該めっき用マスキングフィルムとを上記と同様に配置して熱ラミネートし、85℃の環境下に40分間静置後、温度23℃の環境下に30分間静置させた後、上記と同様の測定法で測定した剥離力(粘着力)が、5N/25mm以下、さらには3N/25mm以下に調整することが好ましい。
上記(a)及び(b)をこのような範囲とすることにより、高温においてはめっき液の浸み込みを防止し、かつ常温においてはめっき後の配線基板にダメージを与えることなく剥離することができる。
以上のような本発明のめっき用マスキングフィルムによれば、常温及び高温での回路パターンへの追従性が良好であり、めっき液の浸み込み防止性に優れ、かつバリが発生しにくく打ち抜き性に優れ、さらにめっき後の常温での剥離性が良好であるため、めっき精度が高く回路の誤動作等を起こしにくい回路基板を得ることができる。
特に、本発明のめっき用マスキングフィルムに用いられる粘着層は、高温では高い粘着力を保持しつつ、加熱後の常温では剥離力の調整が容易なものとすることができるため、例えば、打ち抜き性に優れた基材フィルムとして、無機フィラーを含有した基材フィルムを用いた場合であっても、基材フィルムが裂けてちぎれてしまうことを抑制し、被着体からマスキングフィルムを容易に剥離することができる。したがって、本発明のめっき用マスキングフィルムは、めっき精度の高い配線基板を効率よく生産することができるため、有益である。
以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明する。なお、本実施例において「部」、「%」は、特に示さない限り質量基準である。
[実施例及び比較例]
1.(A)アクリル樹脂の合成
攪拌機、コンデンサー、温度計および窒素導入管を備えた反応容器に酢酸エチルを溶媒として、表1に示すモノマー成分及びアゾビスイソブチロニトリル0.15部を配合し、均一になるまで撹拌後、流量100ml/分にて60分間バブリングを実施し、反応系中の溶存酸素を脱気した。次にそれを1時間かけて80℃まで昇温し、昇温後4時間重合させた。その後1時間かけて90℃まで昇温し、更に90℃にて1時間保持後、室温まで冷却した。次にトルエンを加え、アクリル樹脂溶液中の固形分が25%になるように調整した。重合したアクリル樹脂の重量平均分子量(ポリスチレン換算)をゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定したところ、30万〜50万の範囲であった。
なお、表1〜4中、「Tg」はガラス転移温度、「EMA」はエチルメタクリレート、「2−HEMA」は2−ヒドロキシエチルメタクリレート、「2−HEA」は2−ヒドロキシエチルアクリレート、「EA」はエチルアクリレート、「BA」はブチルアクリレート、「MA」はメチルアクリレート、「MMA」はメチルメタクリレート、「2−EHMA」は2−エチルヘキシルメタクリレート、「2−EHA」は2−エチルヘキシルアクリレート、「AN」はアクリロニトリル、「VA」は酢酸ビニル、「HDI系」はヘキサメチレンジイソシアネート系架橋剤(官能基3つ)、「IPDI系」はイソホロンジイソシアネート系架橋剤(官能基3つ)、「(B)※1」はヘキサメチレンジイソシアネートビューレット型架橋剤(官能基2つ)、「BA/EA/BMA/AN/2−HEMA」はブチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルメタクリレート、アクリロニトリル及び2−ヒドロキシエチルメタクリレートを55:20:18.7:5:1.3で含有させた共重合体(ガラス転移温度−32℃、Mw80万)、「2−EHA/2−HEMA/VA」は2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート及び酢酸ビニルを63.7:1.3:35で含有させた共重合体(ガラス転移温度−42℃)、「2−EHA/2−HEMA」は2−エチルヘキシルアクリレート及び2−ヒドロキシエチルメタクリレートを97:3で含有させた共重合体(ガラス転移温度−65℃)を表す。
2.めっき用マスキングフィルムの作製
表2〜4の(A)アクリル樹脂、(B)架橋剤、及び必要に応じて(C)他の樹脂にメチルエチルケトンを加えて撹拌して実施例及び比較例の粘着層用塗布液を作製した。
次に、厚み25μmのタルク含有のポリブチレンテレフタレートフィルム(タルク:平均粒径4μm、12.5重量%含有)の一方の面に、上述の実施例及び比較例の粘着層用塗布液を乾燥後の厚みが表3に示す値となるように塗布し、90℃加熱で2分間乾燥した後、厚み130μmの紙セパレータ(SLK−70SB:住化加工紙社製)のシリコーン塗布面にラミネートした。このフィルムを40℃の環境で4日間キュアリングした後、紙セパレータを剥離除去して、実施例及び比較例のめっき用マスキングフィルムを作製した。
また、実施例1の粘着層用塗布液を、基材フィルムとしてタルク含有のポリブチレンテレフタレートフィルムの代わりに、厚み12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを用いた以外は、上記と同様にして実施例1’のめっき用マスキングフィルムを作製した。
次に、実施例及び比較例のめっき用マスキングフィルムについて、(1)粘着層のガラス転移温度、(2)追従性、(3)打ち抜き性、(4)高温での粘着力、(5)加熱後、常温での剥離力、(6)めっき液の浸み込み防止性、(7)基材のちぎれ防止性、(8)糊残り性について下記の方法で測定及び評価をした。結果を合わせて表2〜4に示す。
(1)ガラス転移温度の測定
実施例及び比較例のめっき用マスキングフィルムの粘着層のみを剥離させ、示差走査熱量計(DSC3200S:ブルカー・エイエックスエス社製)を使用して、昇温スピード10℃/分で測定を行った。
(2)追従性
実施例及び比較例のめっき用マスキングフィルムを、高さ30μmの凹凸パターンを有する配線基板に、ラミネーター(LAMIC−1:ソマール社製)を用いて、ラミネーティングロールの加熱温度が120℃、シリンダー圧力500kPa、搬送(熱圧着)速度1m/分で熱圧着を行い、配線基板上にめっき用マスキングフィルムを圧着した。
次いで当該めっき用マスキングフィルムの段差追従性をマイクロスコープ(VHX−1000:キーエンス社製)を用いて30倍で観察し、評価した。
評価は、めっき用マスキングフィルムに気泡がまったく混入していないものを◎、マスキング部分の内側に気泡は見られるが、端面は気泡なく密着しているものを○、段差に浮きがみられるものを△、端面に浮きが発生しているものを×とした。
(3)打ち抜き性
紙セパレータを剥離除去する前の実施例及び比較例のめっき用マスキングフィルムを基材フィルム側から直径2.9mmの打ち抜き装置(2穴パンチUB-85:カール事務器社製)で穴をあけ、上記(2)と同様のマイクロスコープを用いて30倍で観察し、打ち抜かれた部分の面積のうち、基材フィルムがはみ出した部分の面積を測定した。評価は、面積比が5%未満のものを◎、5%以上10%未満のものを○、10%以上のものを△、カス残りのあるものを×とした。
(4)高温での粘着力
実施例及び比較例のめっき用マスキングフィルムを、幅25mm、長さ250mmに切断し、ポリイミドフィルム(カプトン100V:東レデュポン社製)に対して、粘着層が当該ポリイミドフィルムと接触するように配置させ、上記(2)と同様のラミネーターを用いて、ラミネーティングロールの加熱温度が120℃、シリンダー圧力500kPa、搬送(熱圧着)速度1m/分で圧着した。
この評価サンプルを85℃のホットプレート上に置き、JIS Z0237:2009に準拠した測定法で、ポリイミドフィルムをマスキングフィルムから剥離することにより、粘着力を測定した。
(5)加熱後、常温での剥離力
実施例及び比較例のめっき用マスキングフィルムを、上記(4)と同様の大きさに切断し、上記(4)と同様に粘着層がポリイミドフィルムと接触するように配置させ熱ラミネーションで圧着した。この評価サンプルをホットプレートにて所定の条件(85℃、60分)で加熱後、温度23℃、湿度65%RHの条件下で冷却し、JIS Z0237:2009に準拠した測定法で、マスキングフィルムをポリイミドフィルムから剥離することにより、剥離力を測定した。
(6)めっき液の浸み込み防止性
実施例及び比較例のめっき用マスキングフィルムを、上記(2)と同様にして配線基板上にめっき用マスキングフィルムを圧着した。
次いで、当該めっき用マスキングフィルムを85℃の無電解ニッケルめっき液(エンプレートNI−426:メルテックス社製)に1時間浸漬した後、水洗・乾燥を行い、目視にて観察し評価した。
評価は、めっき液の浸み込みが全く見られないものを○、段差部分にのみにめっき液の浸み込みが見られたものを△、段差からも端部からもめっき液の浸み込みが見られた、又は配線基板から剥がれてしまったものを×とした。
(7)基材フィルムのちぎれ防止性
実施例及び比較例のめっき用マスキングフィルムを上記(2)と同様の配線基板に、上記(2)と同様のラミネーターを用いて、ラミネーティングロールの加熱温度が120℃、シリンダー圧力500kPa、搬送(熱圧着)速度1m/分で熱圧着を行い、配線基板上にめっき用マスキングフィルムを圧着した。めっき用マスキングフィルムのサイズは60mm×200mmとし、事前に星形の抜き型(先端R加工4mmφ)で打ち抜き処理をした。
次いでめっき用マスキングフィルムを貼った配線基板を85℃で1時間熱処理し、常温に戻した後、100mm/sの速度でめっき用マスキングフィルムを剥離し、評価した。
評価は、裂けが発生せずにすべて剥離できたものを○、先端部分で裂けが発生したが、ちぎれることなくすべて剥離できたものを△、裂けが発生しちぎれてしまい剥がし残しが生じたものを×とした。
(8)糊残り性
上記(7)の評価後の配線基板の表面を、目視及び上記(2)と同様のマイクロスコープ(150倍)を用いて糊残りを観察し、評価した。評価は、目視及びマイクロスコープで糊残りが確認できなかったものを○、目視では確認できなかったが、マイクロスコープで確認できたものを△、目視であきらかに糊残りが確認できたものを×とした。
表1、2に示すように、実施例1〜3のめっき用マスキングフィルムは、粘着層のガラス転移温度が10℃から35℃であり、かつ(A−1)エチルメタクリレート、(A−2)水酸基を有し炭素数が2〜8のアルキル基を有する(メタ)アクリレート及び(A−3)エチレン性不飽和二重結合を有するモノマーを含む成分からなる共重合体である(A)アクリル樹脂と(B)架橋剤とから形成されてなる粘着層を基材の一方の面に有するものであった。
その結果、いずれのめっき用マスキングフィルムも回路パターンへの追従性が良好であり、めっき液の浸み込み防止性に優れ、かつバリが発生しにくく打ち抜き性が良好で、さらに加熱後の常温での剥離性が良好なものであった。
一方、比較例1のめっき用マスキングフィルムは、(A−1)成分、(A−2)成分及び(A−3)成分を有する(A)アクリル樹脂を用いていたが、ガラス転移温度が8℃と下限よりも低いものであった。その結果、高温での粘着力が低いものとなり、めっき液の浸み込み防止性も低いものとなった。
また、比較例2のめっき用マスキングフィルムは、(A−1)成分、(A−2)成分及び(A−3)成分を有する(A)アクリル樹脂を用いていたが、ガラス転移温度が41℃と上限よりも高いものであった。その結果、凹凸パターンを有する配線板に対する段差追従性が低いものとなった。また、実施例1〜3よりも高温での粘着力も若干低いものとなり、めっき液の浸み込み防止性が劣るものとなった。
これら実施例1〜3、及び比較例1、2の結果から、(A)アクリル樹脂として(A−1)成分、(A−2)成分及び(A−3)成分を有するものを用いたとしても、ガラス転移温度が、適正な範囲にないものは実用に適さないことが確認された。
次に表1、3に示すように、比較例3、4のめっき用マスキングフィルムは、(A)’アクリル樹脂として(A−2)成分、(A−3)成分を含有しているが、(A−1)成分を含有していないものであった。その結果、高温での粘着力が低いものとなり、めっき液の浸み込み防止性も低いものとなった。また、実施例1よりもバリが発生しており打ち抜き性の劣るものとなった。また、実施例よりも基材フィルムのちぎれ性が劣るものとなった。
これら実施例1及び比較例3、4の結果から、(A)アクリル樹脂として(A−1)成分を含有しないものは、実用に適さないことが確認された。
次に、実施例のめっき用マスキングフィルムについて比較する。
表1、4に示すように、実施例1と実施例4を比較すると、実施例1が(C)成分を含有するものであるのに対し、実施例4は、(A−1)成分、(A−2)成分及び(A−3)成分を有する(A)アクリル樹脂を用いているが、(C)成分を含有していないものである。その結果、実施例1及び実施例4の両方とも、回路パターンへの追従性が良好であり、めっき液の浸み込み防止性に優れ、かつバリが発生しにくく打ち抜き性に優れ、さらに加熱後の常温での剥離性が良好なものとなった。ただし、(C)成分を含有する実施例1の方が実施例4よりも加熱後、常温での剥離力を軽いものとすることができた。また、基材フィルムのちぎれ防止性についても、実施例1の方が実施例4よりも有利であることが確認された。これは、実施例1が(C)成分を含有することにより、剥離力を調整しやすかったためと考えられる。ただし、実施例4も実用上問題のないものであった。
次に、表1、4に示すように、実施例1、5と実施例6を比較すると、実施例1、5は、(B)架橋剤として、反応性官能基数が3のイソシアネート系架橋剤を用いており、反応性官能基数が2のイソシアネート系架橋剤を用いた実施例6よりもバリが発生しにくく打ち抜き性に優れ、さらに加熱後の常温での剥離性が良好なものとなった。また、糊残り性や基材フィルムのちぎれ防止性についても、実施例1、5の方が実施例6よりも優れていることが確認された。これは、実施例6よりも実施例1、5の粘着層の方が凝集力に優れているためと考えられる。ただし、実施例6も実用上問題のないものであった。
次に、表1、4に示すように、実施例1と実施例1’を比較すると、実施例1’は二軸延伸ポリエチレンテレフタレートを基材フィルムとしているため、タルクを含有したポリブチレンテレフタレートを基材フィルムとした実施例1よりも打抜き性は優れた結果となった。しかし、基材フィルムとして柔軟性を有する実施例1のめっき用マスキングフィルムの方が、実施例1’よりも、回路パターンへの追従性が良好であり、めっき液の浸み込み防止性に優れたものとなった。ただし、実施例1’も全面貼りなど追従性が必要のない用途や段差の小さい基板に使用する場合等は、実用上問題のないものであった。
また、表1、2に示すように、実施例1〜3及び比較例1のめっき用マスキングフィルムを比較すると、(A)アクリル樹脂1〜4における(A−1)成分の含有量は、順に63質量%、37質量%、60質量%、28質量%であり、実施例1、3、及び実施例2、比較例1の順、すなわち(A−1)成分の含有量の多い順に、バリが発生しにくく打ち抜き性が良いものとなった。また、基材フィルムのちぎれ防止性についても、(A−1)成分の含有量の多い順に、ちぎれ防止性に有利なものとなった。
1・・・めっき用マスキングフィルム支持体
2・・・粘着層
3・・・セパレータ
4・・・フレキシブルプリント基板(FPC)
5・・・めっき槽
6・・・めっき層
10・・・めっき用マスキングフィルム

Claims (7)

  1. 基材フィルムの一方の面に粘着層を有するめっき用マスキングフィルムであって、
    前記粘着層はガラス転移温度が10℃から35℃であり、かつ少なくとも(A)アクリル樹脂と(B)架橋剤とから形成されてなるものであり、
    前記(A)アクリル樹脂は、少なくとも(A−1)エチルメタクリレート、(A−2)前記(B)と反応する官能基としての水酸基とともに炭素数が2〜8のアルキル基を有する(メタ)アクリレート及び(A−3)エチレン性不飽和二重結合を有するモノマー(ただし、(A−1)及び(A−2)に該当するものを除く)を含む成分からなる共重合体であることを特徴とするめっき用マスキングフィルム。
  2. (A)成分は、(A−1)成分を30〜75質量%、(A−2)成分を0.1〜10質量%、(A−3)成分を15〜65質量%、含有する請求項1記載のめっき用マスキングフィルム。
  3. 前記粘着層は、さらに(C)成分として、ガラス転移温度が−70℃から−30℃である樹脂を含有することを特徴とする請求項1又は2記載のめっき用マスキングフィルム。
  4. 前記(C)成分は、炭素数2〜8の(メタ)アクリレート(官能基を含有するものを除く)、アクリロニトリル、酢酸ビニル及び前記(B)と反応する官能基含有する(メタ)アクリレートから選ばれる種以上のモノマー由来成分を含む樹脂((A)成分に該当するものを除く)であることを特徴とする請求項記載のめっき用マスキングフィルム。
  5. 前記粘着層における前記(C)成分の含有量は、前記粘着層の30質量%以上、80質量%以下であることを特徴とする請求項3又は4記載のめっき用マスキングフィルム。
  6. 前記粘着層は、厚みが4〜40μmであることを特徴とする請求項1からいずれか1項記載のめっき用マスキングフィルム。
  7. 前記基材フィルムが無機フィラーを含有することを特徴とする請求項1からいずれか1項記載のめっき用マスキングフィルム。
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