JP6418840B2 - コンクリート補修材 - Google Patents

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Description

この発明は、コンクリート補修材に関するものである。
鉄筋コンクリートは、引張強度の高い鉄と、圧縮強度の高いコンクリートを併用した構造物である。また、鉄は酸化して錆が発生し易いが、コンクリートに含まれる高アルカリのセメントによって鉄筋の表面には不動態膜が形成される。したがって、鉄筋コンクリート内部の鉄は腐食せず、要求性能を満たし続けることが可能となる。
しかしながら、コンクリートの中性化が進むと内部で酸化が進行し、内部の鉄が錆により膨張してコンクリートの表面にひび割れ等が生じる。すると、そのひび割れ部分から酸素や水分等が進入し、更に錆が生じるという悪循環が生じる。
このため、鉄筋コンクリートの劣化を防止するために、樹脂性の塗布材をコンクリート表面に塗布している(例えば、特許文献1参照)。
特開2014−83530
しかしながら、従来の塗布材は、鉄筋コンクリートの表面を水や塩害から予防することを目的とするのみで、コンクリート自体やコンクリート表面のひび割れから侵入した塩分等を考慮したものではなかった。
そこで本発明は、コンクリート自体やコンクリート表面のひび割れから侵入した塩分等を吸着固定することが可能なコンクリート補修材を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明のコンクリート補修材は、コンクリートのひび割れ補修等として用いることができるものであって、樹脂と、化学式がM2+ 1-x3+ x(OH)(An−x/n・mHOで表される層状複水酸化物(M2+は2価の金属、M3+は3価の金属、An−は陰イオンを表し、nは自然数である。)と、を有することを特徴とする。
この場合、粘度が1000mPa・s以下となるように前記層状複水酸化物の結晶子サイズを小さくしたものである方が好ましく、例えば、前記層状複水酸化物の結晶子サイズを20nm以下にすれば良い。
また、前記An−で表される陰イオンは炭酸イオン、炭酸水素イオン又は塩化物イオンでない方が好ましく、例えば、前記An−で表される陰イオンを、硝酸イオンとすることができる。
また、前記層状複水酸化物は、例えば、Mg2+ 1−xAl3+ (OH)(An−x/n・mHOで表されるものを用いることができる。
また、前記樹脂は、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂のいずれか1以上からなるものを用いることができる。
本発明によれば、含有する層状複水酸化物のイオン交換能により、コンクリート自体やコンクリート表面のひび割れから侵入した塩分等を吸着固定することができる。
以下に、本発明のコンクリート補修材について説明する。本発明のコンクリート補修材は、コンクリートの補修に用いることができるものであって、樹脂と、層状複水酸化物と、で主に構成される。
樹脂としては、コンクリートに生じた亀裂へ注入したり、コンクリートの表面を被覆したりすることができる樹脂であって、コンクリート内部へ水分や塩素等が侵入するのを防止できる硬化型の液状樹脂であれば良く、従来コンクリート補修材に用いられている樹脂を用いることができる。例えば、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、単独で使用してもよく、また二種以上を併用してもよい。また、樹脂は、1液型の樹脂でも2液型の樹脂でも構わない。
エポキシ系樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ハロゲン化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂などが挙げられる。
特に好ましく用いられるビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールAポリプロピレンオキシドジグリシジルエーテル、ビスフェノールAエチレンオキシドジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールAプロピレンオキシドジグリシジルエーテル等のビスフェノールA型ジグリシジルエーテルなどの縮重合物が挙げられる。このようなエポキシ樹脂は、1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
また、エポキシ系樹脂には、反応性希釈剤を添加・配合することもできる。このような反応性希釈剤は、該組成物を低粘度とするために有効である。かかる反応性希釈剤としては、フェニルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、スチレンオキシド、オクチレンオキシドなどの分子内に一個のエポキシ基を有する化合物を好ましく使用することができる。かかる反応性希釈剤は、主剤あたり、好ましくは45重量%以下、好ましくは25重量%以下であれば配合することもできる。
また、エポキシ系樹脂には、エポキシ基を有しないが硬化剤の成分(アミン化合物など)と反応し得る化合物を添加剤として配合することもできる。そのような化合物としては、ヘキサメチレンジイソシアネートやトリレンジイソシアネートなどのイソシアネート類、さらに、アミン化合物とマイケル付加反応を行うα、β−不飽和カルボニル化合物、例えばアクリル酸エステルやアクリルアミド誘導体を使用することができる。アクリル酸エステルは低温硬化性の改良に有効であり、アクリルアミド誘導体は揺変性の改良、あるいは接着性の向上に有効である。かかる添加剤は、主剤あたり、好ましくは30重量%以下、より好ましくは20重量%以下の範囲で配合することができる。
また、エポキシ系樹脂には、その他の成分として、可塑剤、染料、有機顔料や無機充填剤、高分子化合物、酸化防止剤、紫外線吸収剤、カップリング剤、界面活性剤などを適宜配合することもできる。
アクリル系樹脂としては、例えば、アクリル系モノマーの重合体またはアクリル系モノマーと他のモノマーとの共重合体が使用できる。アクリル系モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシルなどの(メタ)アクリル酸C1-10アルキルエステル、(メタ)アクリル酸シクロへキシルなどの(メタ)アクリル酸C3-12シクロアルキルエステル、(メタ)アクリル酸フェニルなどの(メタ)アクリル酸アリールエステル、ベンジル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸アラルキルエステル、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシC2-6アルキル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレートなどのアルキルアミノ−アルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、メチロール(メタ)アクリルアミド、アルコキシメチル(メタ)アクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミド又はその誘導体、グリシジル(メタ)アクリレートなどのエポキシ基含有(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリルなどが挙げられる。
アクリル系モノマーと共重合されるモノマーとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、ビニルトルエンなどの芳香族ビニル系モノマー、プロピオン酸ビニルなどの脂肪酸ビニルエスエル系モノマー、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などの不飽和多価カルボン酸もしくはマレイン酸ジメチル、フマル酸ジエチルなどの不飽和多価カルボン酸誘導体のエステル類、N−フェニルマレイミドなどのN−置換マレイミド、エチレン、プロピレンなどのオレフィン系モノマーなどが挙げられる。これらのモノマーは、単独で使用してもよく2種以上を併用してもよい。
ウレタン系樹脂としては、例えば、ポリオールとポリイソシアネートとを反応して得られる遊離イソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを好適に用いることができる。
ポリオールとしては、ポリエーテルポリオールや、ポリオレフィンポリオール等を用いることができる。
ポリエーテルポリオールとしては、エチレングリコールや、プロピレングリコール、ブタンジオール、ジエチレングリコール、グリセリン、ヘキサンジオール、ヘキサントリオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどの水酸基を2個以上、好ましくは、2〜6個有する炭素数2〜8個のポリオールに、エチレンオキサイドや、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、テトラヒドロフラン等の、好ましくは、炭素数数2〜8個のアルキレンオキサイドをアルカリ触媒などの存在下で付加重合して得た分子中に2〜4個の水酸基(活性水素基)を持つポリアルキレンポリオールなどを用いることが適当である。
ポリオレフィンポリオールとしては、例えば、ブタジエンや、イソプレンなどのジエン系化合物に、例えば、エチレンオキサイドや、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、テトラヒドロフラン等のアルキレンオキサイドを付加重合して得た分子中に2〜4個の水酸基を持つポリジエンポリオールを用いることが適当である。ポリイソシアネートとしては、1分子中に2個以上、好ましくは、2〜3個のイソシアネート基を有する化合物が適当である。
ポリイソシアネートとしては、具体的には、例えば、2,4−トルエンジイソシアネートや2,6−トルエンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4'−ジフェニルメタンジフェニルジイソシアネート、カルボジイミド変性ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、メタキシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート、水素化トルイレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等のイソシアネート化合物;スミジュールN(住友バイエルウレタン社製商品名)等のビュレットポリイソシアネート化合物;デスモジュールIL、HL(バイエルA.G.社製商品名)、コロネートE.H.(日本ポリウレタン工業社製商品名)等のイソシアネート環を有するポリイソシアネート化合物;スミジュールL(住友バイエルウレタン社製商品名)、コロネートHL(日本ポリウレタン工業社製商品名)等のアダクトポリイソシアネート化合物を挙げることができる。これらポリイソシアネートは1種単独で、又は2種以上の混合物として使用することができる。
層状複水酸化物とは、化学式がM2+ 1-x3+ x(OH)(An−x/n・mHOで表されるものを意味する。ここで、M2+は2価の金属、M3+は3価の金属、An−はn価の陰イオンを表す。また、xは一般的に1/6<x<1/3の範囲の数字であり、nは自然数である。層状複水酸化物は、ハイドロタルサイト様化合物と呼ばれることもある。

2価の金属としては、例えば、Mg2+、Mn2+、Fe2+、Zn2+、Ca2+、Li2+、Ni2+、Co2+、Cu2+等が挙げられる。
3価の金属としては、例えば、Al3+、Fe3+、Mn3+等が挙げられる。
具体的には、一般式がMg2+ 1-xAl3+ x(OH)2(An-)x/n・mH2Oで表される層状複水酸化物や、一般式Zn2+ 1-xAl3+ x(OH)2(An-)x/n・mH2Oで表される層状複水酸化物等が挙げられる。なお、An-はn価の陰イオン、m>0である。
また、層状複水酸化物の層間にある陰イオンAn−は、層状複水酸化物とより親和性の高い他の陰イオンと交換される。当該陰イオン交換は、電荷密度が高いイオンの方が取り込まれやすく、大きさが同じであれば価数が高いイオンが、価数が同じであればイオン径の小さなイオンが取り込まれやすい。したがって、樹脂に層状複水酸化物を一定量混合することにより、コンクリート自体やコンクリート表面のひび割れから侵入した塩分等を吸着固定することができる。層間陰イオンAn−としては、例えば、CO3 2-、HCO3 -、PO4 3-、SO4 2-、Cl-、NO2 -、NO3 -等が挙げられる。ただし、炭酸イオン(CO3 2-)や炭酸水素イオン(HCO3 -)は、他の陰イオンと交換されてセメント中に放出されると、当該セメントと反応して炭酸カルシウムを生じ、コンクリートが中性化するおそれがある。また、塩化物イオン(Cl-)は、他の陰イオンと交換されて放出されると、鉄が腐食するおそれがある。したがって、層状複水酸化物の層間陰イオンAn−には炭酸イオン、炭酸水素イオン又は塩化物イオンを含まない方が好ましい。
また、コンクリート補修材は、単にコンクリート表面を被覆するだけでなく、ひび割れ内に充填できる方が好ましい。ここで、ひび割れ注入材として一般的に使用されている低粘度形エポキシ樹脂の粘度は、品質規格(JIS A 6024)によって、100〜1000mPa・sとされている。したがって、コンクリート補修材の粘度は、1000mPa・s以下とするのが好ましい。ただし、エポキシ樹脂は、一般的な層状複水酸化物を混合すると粘度が大きくなるため、当該品質規格を満足させるためには、層状複水酸化物の量を減らす必要が生じる。そこで、本出願の発明者等が鋭意研究した結果、樹脂に混合する層状複水酸化物の結晶子サイズ(結晶子の大きさ)を小さくすると、当該樹脂の粘度を小さくすることができることを見出した。前述の品質規格を満足させるためには、層状複水酸化物の結晶子サイズは、好ましくは20nm以下が良く、更に好ましくは10nm以下が良い。
層状複水酸化物は、公知の方法で製造すれば良いが、例えば、以下のような方法で製造することができる。
まず、アルミニウムイオンとマグネシウムイオンを含む酸性溶液を調製する。
アルミニウムイオンのアルミニウム源としては、水中でアルミニウムイオンを生成するものであれば良く、特定の物質に限定されるものではない。例えば、アルミナ、アルミン酸ソーダ、水酸化アルミニウム、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム、ボーキサイト、ボーキサイトからのアルミナ製造残渣、アルミスラッジ等を用いることができる。また、これらアルミニウム源は、いずれかを単独で用いても、2種類以上を組み合わせて用いても良い。
また、マグネシウムイオンのマグネシウム源としては、水中でマグネシウムイオンを生成する物であれば良く、特定の物質に限定されるものではない。例えば、ブルーサイト、水酸化マグネシウム、マグネサイト、マグネサイトの焼成物等を用いることができる。これらマグネシウム源は、いずれかを単独で用いても、2種類以上を組み合わせて用いても良い。
ここで、アルミニウムイオンとマグネシウムイオンからなる層状複水酸化物の一般式は、Mg2+ 1−xAl3+ (OH)(An−x/n・mHO(An−は陰イオン)であり、高結晶質の層状複水酸化物の最も一般的な組成では、アルミニウムイオンとマグネシウムイオンのモル比が1:3(x=0.25)となっていることが知られている。したがって、酸性溶液中のアルミニウムイオンとマグネシウムイオンのモル比は、1:5〜1:2の範囲とするのが好ましい。この範囲とすることによって、アルミニウム源とマグネシウム源を無駄にすることなく、物質収支的に有利に層状複水酸化物を製造することができる。
また、前記酸性溶液を酸性に調整するには、例えば硝酸や塩酸を用いることができる。
次に、アルミニウムイオンとマグネシウムイオンを含んだ前記酸性溶液を、アルカリを含むアルカリ性溶液と混合する。このアルカリ性溶液は、pHが8〜11のものを用いるのが好ましい。なお、酸性溶液とアルカリ性溶液の混合は、酸性溶液をアルカリ性溶液へ一気に加えるか、あるいは酸性溶液をアルカリ性溶液へ滴下して行うことができるが、好ましくは、混合する際の撹拌能力に応じて酸性溶液とアルカリ性溶液を適量ずつ混合する方が良い。勿論、酸性溶液とアルカリ性溶液を十分に撹拌できるものであれば、これら以外の方法であっても構わない。
ここで、アルカリ性溶液に含まれるアルカリとしては、水溶液をアルカリ性とするものであれば良く、特定の物質に限定されるものではない。例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウムなどを用いることができる。また、アンモニア水、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウムなども用いることができる。これらアルカリはいずれかを単独で用いても、2種類以上を組み合わせて用いても良い。
ただし、高結晶質の層状複水酸化物は炭酸イオンと優先的にイオン交換するため、炭酸イオンを含むと目的とする陰イオンと効率良くイオン交換できない。また、炭酸イオン(CO3 2-)は、他の陰イオンと交換されてセメント中に放出されると、当該セメントと反応して炭酸カルシウムを生じ、コンクリートが中性化するおそれがある。また、塩化物イオン(Cl-)は、他の陰イオンと交換されて放出されると、鉄筋コンクリート中の鉄が腐食するおそれがある。したがって、前記酸性溶液およびアルカリ性溶液には、炭酸イオン、炭酸水素イオン及び塩化物イオンを含まないものにする方が好ましい。
なお、層状複水酸化物は、合成後の熟成時間を短くする程、結晶子サイズの小さいものを製造することができる。したがって、結晶子サイズが20nm以下、好ましくは10nm以下になるように、熟成を止めるのが好ましい。熟成を止めるには、層状複水酸化物の合成において酸性溶液とアルカリ性溶液を混合した後、当該混合液のpHを層状複水酸化物の結晶成長が止まる値まで下げれば良い。例えば、一般式がMg2+ 1-xAl3+ x(OH)2(An-)x/n・mH2Oで表される層状複水酸化物は、pHを9以下とすれば熟成を止めることができる。また、一般式Zn2+ 1-xAl3+ x(OH)2(An-)x/n・mH2Oで表される層状複水酸化物は、pHを5以下とすれば熟成を止めることができる。
樹脂への層状複水酸化物の混合方法は、層状複水酸化物を樹脂に均一に混合できるものであればどのようなものでも良く、樹脂を製造する工程で従来から知られている一般的な方法を用いることができる。例えば、反応釜において、拡散・溶解・分散等を合理的に行えるミキサーを用いれば混合することができる。
[実施例1]
層状複水酸化物の結晶子サイズと、層状複水酸化物/エポキシ樹脂混和物の粘度との関係を調べた。層状複水酸化物としては、層状複水酸化物の層間陰イオンが炭酸イオンである従来品(以下炭酸型LDHと記載、製品名DHT4A、共立化学株式会社製)と、層間陰イオンが炭酸イオンであり従来品よりも結晶子サイズの小さいもの(以下炭酸型NLDHと記載、化学式[Mg5.33Al2.67(OH)16][(CO31.335・4H2O])と、層間陰イオンが硝酸イオンであり従来品よりも結晶子サイズの小さいもの(以下硝酸型NLDHと記載、[Mg5.33Al2.67(OH)16][(NO32.67・4H2O])を用いた。また、エポキシ樹脂としては、ADOX1380W(日本アドックス株式会社製、粘度284mPa・s)を用いた。エポキシ樹脂の質量に対して層状複水酸化物を20%混入した層状複水酸化物/エポキシ樹脂混和物の結果を表1に示す。
Figure 0006418840
結晶子サイズが小さくなる程、粘度が小さくなることがわかる。また、ひび割れ注入材として一般的に使用されている低粘度形エポキシ樹脂の粘度の品質規格(JIS A 6024:100〜1,000mPa・s)に対して、結晶子サイズの大きい従来の層状複水酸化物では当該規格を満たせないが、結晶子サイズの小さい層状複水酸化物では当該規格を満たせることがわかる。
[実施例2]
層状複水酸化物の結晶子サイズと、塩分吸着量との関係を調べた。試験は以下のように行った。まず、50ppm(50mg/L)の塩化ナトリウム水溶液400mlを作成し、当該塩化物ナトリウム水溶液の塩化物イオンの量を計測した(理論値30.3ppm)。次に、エポキシ樹脂に対して、前記実施例1と同様の炭酸型LDH、炭酸型NLDHまたは硝酸型NLDH層状複水酸化物を20%混入させた「層状複水酸化物/エポキシ樹脂混和物」(コンクリート補修材)を作成し、当該混和物を不織布に0.89g染み込ませ、当該不織布を前記作成した塩化ナトリウム水溶液中に浸した。7日間の材齢後、塩化ナトリウム水溶液の塩化物イオンの総量を計測した。なお、試験は3回ずつ実施し、その平均値で評価した。試験結果を表2に示す。
Figure 0006418840
炭酸型LDHでは、塩化ナトリウム水溶液中の塩化物イオン量が、ネガティブコントロールと比較してほとんど変化していない。これに対して炭酸型NLDHおよび硝酸型NLDHでは、塩化ナトリウム水溶液中の塩化物イオン量がネガティブコントロールと比較して有意に減少していることがわかる。すなわち、層状複水酸化物の結晶子サイズが小さくなると、塩化物イオンの吸着量が増加することがわかる。さらに、炭酸型の層状複水酸化物よりも硝酸型の層状複水酸化物の方が塩化物イオンの吸着量が多いことがわかる。

Claims (5)

  1. コンクリートの補修に用いることができるコンクリート補修材であって、
    樹脂と、
    化学式がM2+ 1-x3+ x(OH)(An−x/n・mHOで表される層状複水酸化物(M2+は2価の金属、M3+は3価の金属、An−炭酸イオン、炭酸水素イオン又は塩化物イオンでないn価の陰イオンを表し、nは自然数である。)と、
    を有することを特徴とするコンクリート補修材。
  2. 前記層状複水酸化物の結晶子サイズが20nm以下であることを特徴とする請求項1記載のコンクリート補修材。
  3. 前記An−で表される陰イオンが硝酸イオンであることを特徴とする請求項1又は2記載のコンクリート補修材。
  4. 前記層状複水酸化物は、Mg2+ 1−xAl3+ (OH)(An−x/n・mHOで表されるものであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のコンクリート補修材。
  5. 前記樹脂は、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂のいずれか1以上からなることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のコンクリート補修材。
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