JP6418499B2 - セラミックハニカムフィルタの製造方法 - Google Patents
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Description
そのため、封止部の長さが封止材スラリーに押圧するセラミックハニカム構造体毎に変動し、不均一となることを防止する方法として、特許文献1に、次のことが記載されている。すなわち、上端部に開口部を有する容器に封止材スラリーを充填し、前記容器内に貯留する封止材スラリーに、セラミックハニカム構造体を押圧するにあたり、封止材スラリーに押圧予定の端面側のセラミックハニカム構造体を把持手段を用いて把持するとともに、容器の開口部を把持手段で塞いだ後に、封止材スラリーをセラミックハニカム構造体の端面に押し込み封止部を形成する。この時、把持手段は、セラミックハニカム構造体の外周を把持するチャック部材を設け、チャック部材でセラミックハニカム構造体を把持した状態で、チャック部材を、開口部を区画している容器の側壁に、開口部の全周に渡って当接させることが記載されている。
前記スラリーの粘度が0.1〜10Pa・sであり、
前記容器の内形状が円筒状で、かつ平坦な底部を有し、
前記セラミックハニカム構造体の端面側の外周面に円筒状弾性部材を介在させた状態で円筒状治具を嵌着し、
前記円筒状治具の外周面と前記容器の内周面との間に円環状弾性部材を配置した状態で、
前記セラミックハニカム構造体の端面を前記容器中のスラリーに3.0×10-3 〜25.0×10-3 MPaの圧力で押圧し、所定時間保持した後、前記所定のセル内にスラリーを導入して封止部を形成することを特徴とする。
セラミックハニカムフィルタに用いるセラミックハニカム構造体は、少なくともセラミックスからなる原料粉末と有機バインダー、水、必要に応じて造孔材、潤滑剤等を混合した混合物を混練して坏土とし、押出成形用金型を通じて、外径が150mm以上、壁厚が0.1〜0.5mm、セル密度が100〜500セル/平方インチのハニカム形状に押出成形する。次に、押出成形されたセラミックハニカム成形体を熱風炉、もしくは、マイクロ波乾燥装置等で乾燥させ、焼成してセラミックハニカム構造体とする。次に、ダイヤモンドカッタ、もしくは、ダイヤモンドソーで端面12a、12bを加工して、所定の長さを有するセラミックハニカム構造体10とする。ここで、セラミックハニカム構造体の好ましい材質としては、コーディエライト、アルミナ、シリカ、窒化珪素、炭化珪素、チタン酸アルミニウム、LAS等が挙げられ、中でもコーディエライトを主結晶相とするセラミックは、安価で耐熱性に優れ、化学的にも安定なため最も好ましい。
ここで、円筒状弾性部材20は、図3に示すような円筒形状であり、セラミックハニカム構造体10の外周面に嵌着可能な形状であるとともに、円筒状治具50で嵌着される構造となっている。また、円筒状治具50は、図4に示すように、2つの分割治具501、502からなる2分割の円筒形状であり、これら2つの分割治具は、互いにボルト55、もしくはねじ、あるいは蝶番によって締結される。これにより、円筒状弾性部材20は、円筒状治具50によりセラミックハニカム構造体と密着する。尚、円筒状治具50はステンレス製であることが好ましい。
これにより、円筒状治具50の外周面51と容器40の内周面41とが密着され易くなるため、スラリー30に均一に圧力が作用し、セラミックハニカム構造体の所定のセル内に、スラリー30が均一に導入され易くなる。これにより、一つのセラミックハニカム構造体に形成された封止部の長さにばらつきが生じ難いセラミックハニカムフィルタを得ることができる。
また、円筒状弾性部材20が、独立気泡を有していると、セラミックハニカム構造体及び容器との密着が良好となり、セラミックハニカム構造体の端面を容器中のスラリーに押圧した場合、所定のセル内にスラリーが均一により導入され易くなるので好ましい。円筒状弾性部材20の材質としては、クロロプレンゴムが好ましい。
前記円環状部材60の断面形状は、前記円筒状治具の外周面51及び容器40と密着可能であれば、四角形、円形等の形状が採用できるが、図2(h)に示すように円形状であると好ましい。
また、円環状弾性部材60の材質は、円筒状治具50の外周面51と容器40の内周面41とが密着できるのであれば、天然ゴム、合成天然ゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロプレンゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、シリコンゴム等の材質が用いられるが、なかでも、ニトリルゴムが好ましい。具体的には、円環状弾性部材60には、シール用のOリングを用いることができる。
スラリーに使用するセラミックス原料粉末としては、封止部を焼成した後に、セラミックハニカム構造体と同材質となり一体化するものが好ましい。従って、焼成後に前記セラミックハニカム構造体の好ましい具体例である、コーディエライト、アルミナ、シリカ、窒化珪素、炭化珪素、チタン酸アルミニウム、LAS等になるものであれば良い。セラミックス原料粉末は、セラミックハニカム構造体の材質がコーディエライトである場合は、焼成後にコーディエライトとなるよう配合されたコーディエライト配合原料、もしくは、焼成済みのコーディエライト粉末を用いることが好ましい。さらに、セラミックス原料粉末は、コーディエライト配合原料及びコーディエライト粉末で構成されることで、封止部を焼成した際の収縮がより一層緩和され、セラミックハニカムフィルタとして良好に使用することができるので好ましい。
カオリン、タルク、シリカ、アルミナなどの粉末を調整して、質量比で、SiO2:48〜52%、Al2O3:33〜37%、MgO:12〜15%を含むようなコーディエライト生成原料粉末とし、これにメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等のバインダー、潤滑剤、造孔材として発泡済み樹脂を添加し、乾式で十分混合した後、規定量の水を添加、十分な混練を行って可塑化したセラミック杯土を作成した。次に、押出し成形用金型を用いて坏土を押出し成形し、切断して、直径270mm×長さ300mmの成形体とした。次に、成形体を、乾燥、焼成させ、セラミックハニカム構造体の外周部を加工除去して、外径が266mm、セル壁が、厚さ0.3mm、気孔率63%、平均細孔径21μm、セルピッチ1.5mmのコーディエライト質セラミックハニカム構造体10を得た。
尚、セラミックス原料粉末として用いたコーディエライト配合原料は、焼成後にコーディエライト組成となるように、質量%でカオリン6.3%、タルク41.1%、シリカ18.2%、アルミナ23.3%、水酸化アルミ11.1%の粉末を配合したものである。
また、セラミックス原料粉末の粒度分布は、日機装(株)製マイクロトラック粒度分布測定装置(MT3000)を用いて測定し、第1のピークの高さである頻度P1と、第2のピークの高さである頻度P2を測定した。
そして、セラミックハニカム構造体への押圧を解除し、セラミックハニカム構造体10を上方へ引き上げて取り出し、続いて、セラミックハニカム構造体10のもう一方の端面15bにおいても同様にスラリーを導入する。
そして、スラリーを硬化、乾燥し、1400℃で焼成して、実施例1〜7、比較例2のセラミックハニカムフィルタを得た。
実施例1と同様にしてコーディエライト質セラミックハニカム構造体10を得て、実施例1と同様に、セラミックハニカム構造体10の両端面に封止用フィルムを貼付し、封止すべき流路を市松模様にレーザー光で開孔して貫通孔を形成した。
次に、封止材料として、表1に示したセラミックス原料粉末と、セラミックス原料に対して表1に示すイオン交換水、バインダーとしてメチルセルロースと、分散剤3%を配合して、混合、混練を行いスラリー状の封止材を作製した。
尚、セラミックス原料粉末として用いたコーディエライト配合原料は、焼成後にコーディエライト組成となるように、質量%でカオリン6.3%、タルク41.1%、シリカ18.2%、アルミナ23.3%、水酸化アルミ11.1%の粉末を配合したものである。
次に、従来の方法である図6に示す容器90に混合、混練を完了したスラリー80を貯留させ、セラミックハニカム構造体の一方の端面を、封止部長さの目標である5mm下降させて封止部を形成した。続いて、セラミックハニカム構造体10のもう一方の端面15bにおいても同様にスラリーを導入する。
そして、スラリーを硬化、乾燥し、1400℃で焼成して、比較例1のセラミックハニカムフィルタを得た。
そして、各実施例で作製したセラミックハニカムフィルタについて、一つのセラミックハニカムフィルタに形成された封止部長さのばらつきの評価を行った。
0.5以下であった場合を(◎)、
0.5を超え0.7以下であった場合を(○)
0.7を超え1.0以下であった場合を(△)、
1.0を超えた場合を(×)、
として評価し表1に示した。
10:セラミックハニカム構造体
11:外周壁
12:隔壁
13、13a、13b:セル
14a、14b:封止部
15a、15b:端面
20:円筒状弾性部材
30、80:封止材スラリー
40、90:容器
41:容器の内周面
45、451、452:容器の側壁部
42:容器の底部
50:円筒状治具
51:円筒状治具の外周面
55:ボルト
60:円環状弾性部材
61:円環状弾性部材の内周部
6:フィルム
6a、6b:貫通孔
Claims (6)
- 隔壁によって仕切られた多数のセルを有するセラミックハニカム構造体の端面を容器中のスラリーに押圧し、所定のセル内にスラリーを導入して封止部を形成するセラミックハニカムフィルタの製造方法であって、
前記スラリーの粘度が0.1〜10Pa・sであり、
前記容器の内形状が円筒状で、かつ平坦な底部を有し、
前記セラミックハニカム構造体の端面側の外周面に円筒状弾性部材を介在させた状態で円筒状治具を嵌着し、
前記円筒状治具の外周面と前記容器の内周面との間に円環状弾性部材を配置した状態で
、
前記セラミックハニカム構造体の端面を前記容器中のスラリーに3.0×10-3 〜25.0×10-3 MPaの圧力で押圧し、所定時間保持した後、前記所定のセル内にスラリーを導入して封止部を形成することを特徴とするセラミックハニカムフィルタの製造方法。 - 前記円環状弾性部材が前記容器の円筒軸方向に2ヶ所以上配置していることを特徴とする請求項1に記載のセラミックハニカムフィルタの製造方法。
- 前記容器中のスラリーの体積は、前記セル内に導入されるスラリーの体積の1.5〜8倍であることを特徴とする請求項1に記載のセラミックハニカムフィルタの製造方法。
- 前記スラリーは、セラミック粒子100質量%に対して、50〜60質量%の水、0.5〜10質量%のバインダーを含み、前記セラミック粒子の粒度分布にピークが2以上存在し、第1のピークは粒径100〜200μmの間、第2のピークは粒径2〜20μmの間であり、第1のピークの高さは第2のピークの高さよりも大きいことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のセラミックハニカムフィルタの製造方法。
- 前記封止部が形成されたセラミックハニカム構造体を前記容器と相対的に略水平方向に移動して取り出すことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のセラミックハニカムフィルタの製造方法。
- 前記セラミックハニカム構造体の前記端面を含水した後、前記端面を容器中のスラリーに押圧することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のセラミックハニカムフィルタの製造方法。
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